JP2012148223A - 振動発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動発生装置において、不均等な加速度である偏加速度を単純な構造で発生させる。
【解決手段】振動発生装置は、コイルを有する固定子と、永久磁石を有する可動子と、コイルへの入力電流に応じたコイルの発生磁界と永久磁石との磁気作用を用いて可動子が振動可能なように固定子と可動子を連結する弾性体と、可動子の固有周期(コイルへの電圧入力の停止時における可動子の減衰振動の周期)に応じたパルス電圧をコイルに入力する電圧入力部と、を備える。例えば、可動子における正弦波状の速度信号の位相が270°になるタイミングにおいて、可動子の移動方向と反対方向に可動子を向かわせる電圧極性を有するパルス電圧であって且つ固有周期の25%未満のパルス幅を有するパルス電圧をコイルに入力する。
【選択図】図14

Description

本発明は、振動を発生させる振動発生装置に関する。
近年、携帯電話機やゲーム機器には振動発生装置が組み込まれていることが多く、振動発生装置が発生した振動によってユーザに特定の情報(着信通知やイベント発生)を伝達することができる。一般的な振動発生装置では、コイルを有する固定子と永久磁石を有する可動子とを弾性体を介して結合し、コイルに正弦波状の電圧及び電流を入力する。この入力により発生した振動磁界を利用して可動子を一次元方向で振動させる。振動の中心を基準にして一次元の軸を正負で切り分けた場合、可動子の加速度は、通常、正及び負方向間において均等である。
他方、正及び負方向間において均等ではない加速度を偏加速度と呼ぶ。偏加速度を適切に発生させれば、ユーザにいわゆる力覚を知覚させることができる。例えば、正の加速度が負の加速度よりも大きくなるような偏加速度を発生させることで、正方向にユーザの注意を向けさせるような作用をもたらすことができる。
これに鑑み、偏加速度の発生に適した特殊な構造が下記特許文献1に示されている。
尚、下記特許文献2には、パルス状の電圧を振動アクチュエータに入力する方法が示されている。
特許第4551448号公報 特表2009−525175号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、偏加速度を発生させるために偏加速度の発生に特化した特殊な構造を採用する必要があり、振動発生装置の構造が複雑になる。尚、特許文献2に示された方法では、均等な加速度が発生している(偏加速度が発生していない)。
そこで本発明は、単純な構造で偏加速度を発生させることのできる振動発生装置を提供することを目的とする。
本発明に係る振動発生装置は、コイルを有する固定子と、永久磁石を有する可動子と、前記コイルへの入力電流に応じた前記コイルの発生磁界と前記永久磁石との磁気作用を用いて前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生装置において、前記可動子の固有周期に応じたパルス電圧を前記コイルに入力する電圧入力部を更に備えたことを特徴とする。
これにより、単純な構造で偏加速度を発生させることができ、ユーザに力覚を提示することが可能である。単純な構造の採用は、振動発生装置のサイズ低減及びコスト低減に寄与する。また、通常の振動と偏加速度を共通の構造にて発生させることが可能となる。
具体的には例えば、前記固有周期での前記可動子の振動中において、前記可動子の速度の絶対値が最大になるタイミングに、前記電圧入力部は、前記可動子の移動方向の逆方向に前記可動子を導く電圧極性を有する電圧を、前記パルス電圧として前記コイルに入力する、又は、前記固有周期での前記可動子の振動中において、前記可動子の移動方向が第1方向から前記第1方向の反対方向である第2方向へと切り替わるタイミングに、前記電圧入力部は、前記第2方向に前記可動子を導く電圧極性を有する電圧を、前記パルス電圧として前記コイルに入力する。
また具体的には例えば、前記パルス電圧は、前記固有周期の25%未満のパルス幅を有する。
また例えば、前記パルス電圧は、第1パルス電圧と、前記第1パルス電圧よりも後に前記コイルに入力される第2パルス電圧と、を含み、前記電圧入力部は、前記コイルに対する前記第1パルス電圧の入力タイミングから見た、前記コイルに対する前記第2パルス電圧の入力タイミングの遅れ時間を、前記固有周期に応じて設定する。
より具体的には例えば、前記電圧入力部は、前記第1パルス電圧の入力によって発生する前記可動子の減衰振動が前記第2パルス電圧の入力によって抑制されるように、前記遅れ時間を前記固有周期に応じて設定する。
これにより、偏加速度の増大効果等を得ることが可能となる。
より具体的には例えば、前記遅れ時間は、前記固有周期の50%の長さを有し、且つ、前記第1及び第2パルス電圧の夫々は、前記固有周期の50%未満のパルス幅を有する。
尚、ここにおける数値“50%”は、或る程度、幅を持った数値概念であると解釈されるべきである。
また例えば、前記電圧入力部は、前記パルス電圧を前記コイルに複数回入力する操作を、所定の周期で繰り返し実行する。
これにより、力覚を適切な強度を持った状態でユーザに知覚させることが可能となる。
また例えば、前記固定子は、磁性体を更に有し、前記固有周期は、前記コイルへの電圧入力の停止時において前記永久磁石及び前記磁性体間の磁気吸引力と前記弾性体の機械推力とによって生じる、前記可動子の減衰振動の周期である。
本発明によれば、単純な構造で偏加速度を発生させることのできる振動発生装置を提供することが可能である。
本発明の実施形態に係る振動デバイスの外観斜視図である。 図1の振動デバイスを2つに割った時の外観斜視図である。 図1の振動デバイスの断面図である。 図1の振動デバイスの分解図である。 図1の振動デバイスに設けられた固定子ヨークを形成する中央ヨーク及びバックヨークの外観斜視図(a)及び(b)と、中央ヨークのZ断面図(c)である。 コイルが巻かれた中央ヨークと2つのバックヨークとの結合方法を示す図である。 図1の振動デバイスに設けられた永久磁石の、X軸に沿った断面図である。 図1の振動デバイスに電圧入力部が接続される様子を示した図である。 図1の振動デバイスにおける振動動作を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る振動デバイスの第1変形構造を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る振動デバイスの第2変形構造を示す断面図である。 コイルに対するパルス電圧の入力条件を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る振動デバイスモデルを示す図である。 本発明の実施形態に係る第1シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第1シミュレーションの結果を示す図である。 周期的に入力されるパルス電圧の信号波形と速度及び加速度の信号波形とを示す図である。 本発明の実施形態に係る第2シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第3シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第4シミュレーションの結果を示す図である。 パルス電圧入力後に発生する減衰振動を説明するための図である。 減衰振動の抑制方法を説明するための図である。 コイルに対するパルス電圧の入力条件を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る第5シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第5シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第5シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第6シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第6シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第6シミュレーションの結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第6シミュレーションの結果をまとめた図である。 本発明の実施形態に係る第1実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第2実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る第2実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る振動発生装置の概略的な回路ブロック図である。 本発明の第3実施例に係る加速度の信号波形を示す図である。 本発明の第3実施例に係る加速度の信号波形を示す図である。 固有周期の測定方法を説明するための図である。 振動デバイスを組み込んだ機器を示す図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る振動デバイス1の外観斜視図である。振動デバイス1は、ボタン電池のような高さの比較的低い円柱形状の外形を有している。その円柱の中心軸に沿って振動デバイス1を2つに切って得られる片方の部材(振動デバイス1の半分)の外観斜視図を図2に示す。また、その片方の部材を側面から見た平面図、即ち、上記中心軸に沿った面を断面とする、振動デバイス1の断面図を図3に示す。図4は、振動デバイス1の構成部材の分解図である。振動デバイス1を、任意の電子機器又は任意の電子機器の付属品などに搭載することができる。電子機器は、例えば、携帯電話機及び携帯型ゲーム機器のような携帯機器や、テレビ受信機及びゲーム機器におけるリモートコントローラを含む(但し、リモートコントローラは電子機器の付属品であると捉えることも可能である)。
振動デバイス1は、内部に空洞を有する円柱形状のケース10と、磁性材料にて形成された固定子ヨーク20と、固定子ヨーク20に巻かれたコイル21と、円筒形状を有する永久磁石30と、永久磁石30の外周側に設けられた円筒形状の重量体31と、弾性体であるバネ材41及び42とを有する。図4に示す如く、ケース10は、円盤状のケース部材11とカップ状のケース部材12を接合することで形成される。尚、図示の便宜上、図2においてコイル21の図示を省略しており、図4においてコイル21並びにバネ材41及び42の図示を省略している。
振動デバイス1の固定子は固定子ヨーク20及びコイル21を含んで構成され、振動デバイス1の可動子は永久磁石30及び重量体31を含んで構成される。固定子及び可動子並びにバネ材41及び42は、ケース10内部に収容される。固定子をケース10に固定する一方で、バネ材41及び42を用いて可動子をケース10内で振動可能なように配置することで振動デバイス1が形成される。
コイル21の中心軸をZ軸と定義する。そうすると、図3は、Z軸に沿った平面を断面とする、振動デバイス1の断面図に相当する。可動子の振動方向はZ軸と平行である。以下、Z軸に沿った断面をZ断面と呼ぶと共にZ断面を断面とする断面図をZ断面図と呼ぶ。また、Z断面図上において、Z軸に直交する軸をX軸と定義する。X軸に沿った断面をX断面と呼ぶと共にX断面を断面とする断面図をX断面図と呼ぶ。X軸とZ軸は、固定子ヨーク20の中心点と一致する原点Oにて交差する。更に、X軸とZ軸を座標軸とする二次元直交座標面をXZ座標面と呼ぶ。
ケース10内に配置された固定子ヨーク20、永久磁石30及び重量体31は、全て、Z軸を回転軸とする回転体であると言える。XZ座標面において、ケース10内に配置された固定子ヨーク20は、Z軸及びX軸の夫々に対して線対称の構造を有している。XZ座標面において、永久磁石30及び重量体31は、Z軸に対して線対称の構造を有していると共に可動子の振動停止時においてはX軸に対しても線対称の構造を有している。
図5(a)及び(b)は、固定子ヨーク20の構成部材である中央ヨーク25及びバックヨーク26の外観斜視図であり、図5(c)は、中央ヨーク25のZ断面図である。図6は、コイル21が巻かれた中央ヨーク25と2つのバックヨーク26との結合方法を示す図である。
中央ヨーク25は、円柱形状のヨーク(棒状のヨーク)であり、中央ヨーク25の外周面に沿ってコイル21が巻かれる。中央ヨーク25の外形形状である円柱の中心軸は、コイル21の中心軸であるZ軸に一致する。バックヨーク26は、上面及び下面の内、一方の面にのみ磁性材料の底面を有する円筒形状のヨークであり、カップ状の外形を有している。バックヨーク26の内周半径は、中央ヨーク25の外周半径よりも大きい。中央ヨーク25の円柱の両端面の夫々には突出部が存在し(図5(c)参照)、バックヨーク26の底面の中央には穴が開いている。図6に示す如く、中央ヨーク25にコイル21を巻いた後、中央ヨーク25の上面及び下面の突出部を第1及び第2のバックヨーク26の穴に嵌め込むことで中央ヨーク25と第1及び第2のバックヨーク26を結合させる。これにより、コイル21が巻かれた固定子ヨーク20が形成される。
永久磁石30及び重量体31の夫々は、上述したように、Z軸を中心軸とする円筒形状(輪形状)の外形を有する。従って、図7に示す如く、永久磁石30は、X断面図において、内周と内周よりも半径の大きい外周とを有する輪状図形を描く。重量体31も同様である。永久磁石30の外周面と重量体31の内周面が接するように永久磁石30と重量体31が結合されることによって可動子が形成される。重量体31は、可動子の質量を所望の質量に設定するための重りである。中央ヨーク25及びバックヨーク26は磁性体から成る。永久磁石30の比透磁率は1に近い値(例えば、1.1)を有する一方で、中央ヨーク25及びバックヨーク26を形成する磁性体の比透磁率は十分に大きな値(例えば、数百〜数万)を有する。重量体31の比透磁率は任意である。本明細書において、磁性体と磁性材料は同義である。
本実施形態では、図7に示す如く、永久磁石30の内周側がN極、永久磁石30の外周側がS極であると想定する(勿論、それらを逆にすることも可能である)。従って、永久磁石30の内周面及び外周面はそれぞれN極面及びS極面であり、永久磁石30のN極面はコイル21の外周面に対向している(図3等参照)。
バネ材41はZ軸方向が伸張方向となるように、その一端がケース10の上方側の内面(ケース部材12の内面)に固定されると共に、その他端が可動子の上面に結合されている。バネ材42はZ軸方向が伸張方向となるように、その一端がケース10の下方側の内面(ケース部材11)に固定されると共に、その他端が可動子の下面に結合されている。このため、可動子を上方向に移動させる力を加えれば、Z軸方向にバネ材41が縮む一方でバネ材42が伸び、可動子を下方向に移動させる力を加えれば、Z軸方向にバネ材41が伸びる一方でバネ材42が縮む。ここで、上方向はZ軸の正側の方向に対応し、下方向はZ軸の負側の方向に対応している。
図8に示す如く、振動デバイス1には電圧入力部2が接続されている。図1及び図6を含む各図面には示されていないが、コイル21の両端に電気的に接続された一対のリード線LLが、固定子ヨーク20及びケース10に設けられた穴を介して、ケース10の外側に引き出されている。電圧入力部2は、この一対のリード線LLを介して、任意の信号波形を有する電圧をコイル21に印加することができる。例えば、コイル21に交流電圧を印加することでコイル21に交流電流が流れ、該交流電流に応じた磁界が固定子ヨーク20に現れる。尚、本明細書では、コイル21に対する電圧の印加を電圧の入力とも表現する。電圧入力部2を、コイル21に電圧を印加又は供給する電圧印加部又は電圧供給部と呼ぶこともできるし、コイル21に電流を入力又は供給する電流入力部又は電流供給部と呼ぶこともできる。
コイル21に電流を流しておらず、可動子の振動が停止している時、バネ材41及び42による推力(以下、機械推力という)が均衡して、Z軸方向における可動子の中心はX軸上に位置する。コイル21に電流を流すことで磁界が発生し、これによって可動子をZ軸方向に振動させる磁気による推力(以下、磁気推力という)が発生して、磁気推力と機械推力に従い可動子がZ軸方向に振動する。磁気推力は、コイル21に電流を流すことで発生した磁界と、永久磁石30との磁気作用によって生じる推力である。
コイル21に第1方向の電流を流した時には、図9(a)に示す如く、固定子ヨーク20の上側及び下側が夫々S極及びN極になり、永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の下側磁極(N極)とが反発しあう一方で永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の上側磁極(S極)とが吸引しあうため、可動子を上方向(Z軸の正側)に向かわせる磁気推力が発生する。一方、コイル21に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、図9(b)に示す如く、固定子ヨーク20の上側及び下側が夫々N極及びS極になり、永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の上側磁極(N極)とが反発しあう一方で永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の下側磁極(S極)とが吸引しあうため、可動子を下方向(Z軸の負側)に向かわせる磁気推力が発生する。
以下では、電圧入力部2からコイル21に入力される電圧を単にコイル電圧とも呼ぶ。また、コイル21に第1方向の電流を流すための(即ち、可動子を上方向に導くための)コイル電圧の極性は正であって、且つ、コイル21に第2方向の電流を流すための(即ち、可動子を下方向に導くための)コイル電圧の極性は負であるとする。従って例えば、可動子の振動が停止している状態において、正のコイル電圧をコイル21に入力すれば可動子は上方向に移動し、逆に負のコイル電圧をコイル21に入力すれば可動子は下方向に移動する。
尚、固定子はケース10に固定されていると共にバネ材41及び42の各一端もケース10に固定されているため、バネ材41及び42は、コイル21への入力電流(即ち、コイル電圧に応じてコイル21に流れる電流)に応じたコイル21の発生磁界と永久磁石30との磁気作用を用いて可動子がZ軸方向に振動可能なように、ケース10を介して固定子と可動子を連結する弾性体であると言える。或いは、ケース10自体も固定子の構成部材に含まれる、と考えることもできる。また、可動子がZ軸方向に振動可能となるように、ケース10を介することなく固定子と可動子を直接的に弾性体にて連結するようにしてもよい。
上述した振動デバイス1の内部構造は一例に過ぎず、それを様々に変形可能である。例として、図10及び図11に、第1及び第2変形構造に係る振動デバイス1のZ断面図を示す。例えば、図10に示す如く、永久磁石30の内周側に、可動子の構成要素として可動子ヨーク32を設けるようにしてもよい。可動子ヨーク32は、Z軸を中心とする円筒形状の外形を有した磁性体である。第1変形構造において、可動子ヨーク32の外周面と永久磁石30の内周面が接するように可動子ヨーク32と永久磁石30が接合される。また例えば、図11に示す如く、H型形状の固定子ヨーク20aを固定子ヨーク20の代わりに用いても良い。この場合、固定子ヨーク20aの溝部分にコイル21が巻かれる。図11に示される第2変形構造では可動子ヨーク32が設けられているが、第2変形構造から可動子ヨーク32を削除しても構わない。
電圧入力部2は、正弦波状の信号波形を有するコイル電圧をコイル21に入力することができる。正弦波状の信号波形を有するコイル電圧がコイル21に入力された場合、正弦波状の交流電流がコイル21に流れ、Z軸の正及び負方向間で均等な加速度が振動デバイス1に発生する。これに対し、本実施形態では、Z軸の正及び負方向間において均等ではない加速度を偏加速度と呼ぶ。
本実施形態では、偏加速度を実現するべく、パルス状の電圧(換言すれば、矩形波状の電圧)をコイル21に入力する。以下、パルス状のコイル電圧を、パルス電圧と呼ぶ。パルス電圧をコイル21に入力することを、単に、パルス電圧を入力するとも表現する。図12に示す如く、パルス電圧は、矩形波状の信号波形を有する電圧である。電圧入力部2は、パルス電圧を周期的にコイル21に入力することができる。パルス電圧を周期的にコイル21に入力するときにおける、コイル電圧信号の周期をパルス周期と呼ぶと共に記号PPによって表す。コイル電圧信号とは、コイル電圧を表す電圧信号である。パルス電圧の電圧値(即ち、パルス電圧の大きさ)を記号PVによって表し、パルス電圧におけるパルス幅を記号PWによって表す。1パルス周期にパルス電圧が1つだけ入力される場合、当該1パルス周期において、コイル電圧信号はパルス幅PWだけ電圧値PVを持ち、残りの期間(PP−PW)中にはゼロの電圧値を持つ。電圧値PVは正又は負の値を持つ(単位はボルト)。図12を含め、以下の説明では、主として電圧値PVが正であることが想定される。
パルス電圧の入力条件を様々に変更させながら、偏加速度の発生状況を検証する複数のシミュレーションを行った。各シミュレーションでは、図13に示す、可動子101、固定子102及びバネ103を含む振動デバイスモデルを使用した。各シミュレーションでは、固定子102内のコイル21にコイル電圧が入力されると考える。可動子101及び固定子102は、夫々、振動デバイス1の可動子及び固定子をモデル化したものであり、可動子101及び固定子102は、夫々、振動デバイス1の可動子及び固定子そのものであると考えても良い。但し、振動デバイス1が他の物体(例えば、携帯電話機)内に組み込まれている場合など、振動デバイス1に対して他の物体が結合されている場合には当該他の物体も固定子102の構成要素に含まれる。
図13の振動デバイスモデルでは、可動子101及び固定子102の夫々がZ軸方向に移動可能な運動系を想定している。可動子101及び固定子102の振動に寄与するバネ103は、機械バネと磁気バネを合成したものである。機械バネは、機械的なバネ材41及び42によって形成され、バネ材41及び42による機械推力は可動子101及び固定子102をZ軸方向に振動させる。磁気バネは、コイル21への電圧入力停止時において永久磁石30が固定子ヨーク20を吸引する力(即ち、永久磁石30及び固定子ヨーク20間の磁気吸引力)によるバネ、より厳密には、コイル21に電流が流れていない時において永久磁石30が固定子ヨーク20を吸引する力(即ち、永久磁石30及び固定子ヨーク20間の磁気吸引力)によるバネである。磁気バネも、Z軸方向に沿った可動子101及び固定子102の振動に寄与する。可動子101及び固定子102の質量を夫々m及びmで表し、機械バネ及び磁気バネのバネ定数を夫々K及びKにて表す。そうすると、バネ103に基づく可動子101及び固定子102の振動周波数は、下記式(1)の固有周波数ωと一致する。ωは角周波数である。尚、m<<mである場合、式(1)は式(2)へと近似される。
バネ103の力は、機械バネによる機械推力と磁気バネによる磁気吸引力とを合成したものである。バネ103の力のみに基づく可動子101及び固定子102の振動は減衰振動であり、その減衰振動の周期は、可動子101、固定子102及びバネ103の特性に応じた固有周期Tと一致する。固有周期Tは式(3)にて表される。ζは振動デバイス1の構造により定まる減衰係数であり(1>ζ>0)、πは円周率である。固有周期Tは、コイル21への電圧入力を停止しているときにおいてバネ103の力によって生じる、可動子101の減衰振動(例えば、可動子101の速度若しくは加速度の減衰振動)の周期であると共に固定子102の減衰振動(例えば、固定子102の速度若しくは加速度の減衰振動)の周期である。
以下の各シミュレーションの説明において、特に記述なき限り、速度とは可動子101の速度を指し、加速度とは固定子102の加速度を指す(後述の第1〜第3実施例においても同様)。また、Z軸の正方向への移動の速度及び加速度の極性は正であって、Z軸の負方向への移動の速度及び加速度の極性は負であると定義する。また、速度を表す信号を速度信号と呼び、加速度を表す信号を加速度信号と呼ぶ。また、以下の各シミュレーションでは、固有周期Tを6.4ミリ秒に設定した。
[第1シミュレーション]
第1シミュレーションを説明する。図14等を参照する。第1シミュレーション及び後述の第2〜第4シミュレーションでは、図12に示すものと同様、1パルス周期にパルス電圧を1つだけコイル21に入力することが想定される。第1シミュレーションでは、
パルス幅PWを固有周期Tの5%にて固定し(即ち、PW=T×0.05)、且つ、
パルス電圧の電圧値PVを5ボルトにて固定した。
第1シミュレーション及び後述の第2〜第4シミュレーションでは、速度及び加速度が減衰振動している状態において(即ち、可動子101及び固定子102が減衰振動している状態において)、タイミングtINにパルス電圧をコイル21に入力し、パルス電圧の入力後における速度及び加速度の信号波形を調べた。或るタイミングにパルス電圧をコイル21に入力するとは、そのタイミングからパルス幅PW分だけ電圧値PWを有する矩形波電圧をコイル21に入力することを意味する。
図14には、第1シミュレーションにおいて得られた信号波形の一例が示されている。タイミングtIN前には、速度信号は6.4ミリ秒の固有周期Tにて変化しており、速度信号の信号波形は正弦波である。尚、時刻tIN以前における可動子101及び固定子102の振動は、時刻tIN以前に正弦波状又はパルス状のコイル電圧をコイル21に入力することで発生したものである。
速度信号の値が負から正に切り替わる時点を基準とした、速度信号の位相を位相αにて表す。図14のグラフ及び後述の他のグラフにおいて、線ZRは、速度又は加速度におけるゼロを表す基準線である。図14において、曲線301、曲線302及び折れ線303は、夫々、位相αが270°である時点をタイミングtINに設定した場合における、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形を表している。図14のグラフにおいて、横軸は時間に対応しており、縦軸は速度、加速度又は電圧に対応している。タイミングtINにおけるパルス電圧の入力により、正の加速度と負の加速度が不均等になる偏加速度が発生していることが分かる。パルス電圧がコイル21へ入力されるタイミング(tINを含む)における速度信号の位相αを、入力位相αと呼ぶ。
第1シミュレーションでは、入力位相αを様々に変化させて、偏加速度の発生状況を検証した。図15に、その検証結果を示す。図15のグラフにおいて、横軸はタイミングtINにおける入力位相α(即ち、速度信号の位相に対するパルス電圧の位相のずれ)に対応し、縦軸は加速度に対応している。タイミングtIN後に得られる加速度の値の内、負の値を有する最初の極小値(図14の曲線302においては、点311での加速度)を最小加速度と呼び、正の値を有する最初の極大値(図14の曲線302においては、点312での加速度)を最大加速度と呼ぶ。
図15において、曲線321は、タイミングtINにおける位相αと最大加速度との関係を表し、曲線322は、タイミングtINにおける位相αと最小加速度との関係を表している。曲線323は、タイミングtINにおける位相αと最大加速度及び最小加速度の和との関係を表している。最大加速度及び最小加速度の和の絶対値が大きいほど、正の加速度と負の加速度との不均等の度合いが大きくなる。故に、最大加速度及び最小加速度の和の絶対値を偏加速度の大きさであるとも解釈することができ、以下、最大加速度及び最小加速度の和の絶対値を、便宜上、偏加速度量とも呼ぶ。曲線323に見られるように、入力位相αが270°であるときに偏加速度量が最大になることが分かった。また、入力位相αが0°であるときにも、入力位相αが270°であるときと同程度の偏加速度量が得られることが分かった。
ところで、1パルス周期にパルス電圧が1つだけ含まれるようにパルス電圧を一定周期でコイル21に入力すると、入力位相αがパルス周期に応じた或る位相で固定される。この現象を、図16を参照して説明する。図16のグラフにおいて、横軸は時間に対応し、縦軸は速度及び電圧に対応する。曲線331は、パルス電圧の入力が成されないときにおける速度信号の波形であり、曲線332は、パルス電圧の入力が周期的に成されたときにおける速度信号の波形である。折れ線333は、曲線332の速度信号を得るためのコイル電圧の信号波形を表している。図16の例では、タイミングtINA、tINB及びtINCの夫々においてパルス電圧がコイル21に入力される。
タイミングtINAは、曲線331に対応する速度信号の位相αが0°であるときのタイミングである。タイミングtINAにおいてパルス電圧をコイル21に入力すると、速度は急速に極大値まで上昇した後、減衰振動を行う。タイミングtINAから所定時間が経過したタイミングtINBでは、曲線332の速度信号の位相αが0°になる。このタイミングtINBにおいてパルス電圧をコイル21に入力すると、速度は急速に極大値まで上昇した後、減衰振動を行う。タイミングtINBから所定時間が経過したタイミングtINCでは、曲線332の速度信号の位相αが0°になる。このタイミングtINCにおいてパルス電圧をコイル21に入力すると、速度は急速に極大値まで上昇した後、減衰振動を行う。
このように、図16の例におけるパルス電圧は、速度信号の位相αを0°から約90°まで非連続的に変化させるように作用する。i番目のパルス電圧の入力後、或るタイミングで速度信号の位相αは0°になるが、そのタイミングで(i+1)番目のパルス電圧を入力すれば、その後、i番目のパルス電圧の入力後と同等の速度信号が得られる(iは整数)。つまり、タイミングtINB及びtINC間の速度信号の波形は、タイミングtINA及びtINB間の速度信号の波形と同じとなる。従って、図16の例において、タイミングtINA及びtINB間の時間間隔と、タイミングtINB及びtINC間の時間間隔は、同じである。このように、パルス電圧を或る一定周期でコイル21に入力すれば、パルス電圧が常に位相αが0°なる時に入力されるようになる。この一定周期は、様々なパラメータ(パルス電圧の大きさ、パルス幅、振動デバイス1の構造的特性など)に依存するが、該一定周期を予め実験等を介して求めておくことができる。位相αが0°以外の角度になる時にパルス電圧を入力する場合も同様である。
故に、パルス周期として、パルス周期PP[j]を予め実験等を介して求めておくことができる(jは、0≦j<360を満たす実数)。パルス周期PP[j]は、速度信号の位相αがj°である時にパルス電圧を入力させるためのパルス周期であり、電圧入力部2が、所定の電圧値PV及びパルス幅PWを有するパルス電圧をパルス周期PP[j]にてコイル21に入力すれば、常に速度信号の位相αがj°である時にパルス電圧がコイル21に入力されるようになる。
[第2シミュレーション]
第2シミュレーションを説明する。図17に、第2シミュレーションの結果を示す。第2シミュレーションでは、
入力位相αを270°で固定し、且つ、
パルス電圧の電圧値PVを5ボルトにて固定した上で、
最大加速度、最小加速度及び偏加速度量のパルス幅PW依存性を調べた。
図17のグラフにおいて、横軸は固有周期Tに対するパルス幅PWの割合(単位は%)に対応し、縦軸は加速度に対応している。図17において、曲線351は、上記割合と最大加速度との関係を表し、曲線352は、上記割合と最小加速度との関係を表し、曲線353は、上記割合と最大加速度及び最小加速度の和との関係を表している。
図17から分かるように、固有周期Tに対するパルス幅PWの割合(即ち、PW/T)を25%未満に設定すると、比較的大きな偏加速度量が得られ、該割合を25%以上にすると、偏加速度量は殆どゼロであった。尚、上記割合が25%未満であるとき、最小加速度は概ね一定であった。従って、電圧入力部2は、上記割合を25%未満に設定したパルス電圧をコイル21に入力すると良く、これによって、或る程度の大きさを有する偏加速度を発生させることができる。
[第3シミュレーション]
第3シミュレーションを説明する。図18に、第3シミュレーションの結果を示す。第3シミュレーションでは、
入力位相αを270°で固定し、且つ、
パルス幅PWを固有周期Tの5%にて固定(即ち、PW=T×0.05)した上で、
最大加速度、最小加速度及び偏加速度量の電圧値PV依存性を調べた。
図18のグラフにおいて、横軸はパルス電圧の電圧値PV(単位はボルト)に対応し、縦軸は加速度に対応している。図18において、線371は、電圧値PVと最大加速度との関係を表し、線372は、電圧値PVと最小加速度との関係を表し、線373は、電圧値PVと最大加速度及び最小加速度の和との関係を表している。図18から分かるように、パルス電圧の電圧値PVを増大させるにつれて、偏加速度量が大きくなる。
[第4シミュレーション]
第4シミュレーションを説明する。図19に、第4シミュレーションの結果を示す。第4シミュレーションでは、
入力位相αを270°で固定し、且つ、
パルス幅PWを固有周期Tの25%にて固定(即ち、PW=T×0.25)した上で、
最大加速度、最小加速度及び偏加速度量の電圧値PV依存性を調べた。
図19のグラフにおいて、横軸はパルス電圧の電圧値PV(単位はボルト)に対応し、縦軸は加速度に対応している。図19において、線391は、電圧値PVと最大加速度との関係を表し、線392は、電圧値PVと最小加速度との関係を表し、線393は、電圧値PVと最大加速度及び最小加速度の和との関係を表している。図19から分かるように、パルス幅を固有周期Tの25%に設定した場合においては、パルス電圧の電圧値PVに依存せず、殆ど偏加速度が発生しないことが分かった。
[1パルス入力後の減衰振動について]
図20を参照する。図20の波形401、402及び403は、夫々、第1、第2、第3又は第4シミュレーションにおいて得られた、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形の1つである。第1〜第4シミュレーションで想定したパルス電圧のように、1パルス周期にパルス電圧を1つだけコイル21に入力した場合、パルス電圧の入力後に速度及び加速度の減衰振動が発生する(但し、図示されていないが、パルス幅PWを固有周期Tの100%に設定した場合には、減衰振動が殆ど発生しない)。図20において、波線404内における信号波形401及び402が速度及び加速度の減衰振動を表している。速度の減衰振動は可動子101の減衰振動に相当し、可動子101が減衰振動を行えば、その反作用として固定子102も減衰振動を行う。
仮に、パルス電圧の入力後における減衰振動を速やかに停止させることができたならば、その分だけ偏加速度を増大させることができる(第1のメリット)。例えば、パルス電圧の入力によって速度が極値をとった後、急峻に速度をゼロに戻すことができれば、図21に示す如く、急峻に速度がゼロに戻された反動によって大きな偏加速度が発生するからである。図21では、1つ目のパルス電圧を入力してから、所定時間の経過後に2つ目のパルス電圧を入力することを想定しており、1つ目のパルス電圧の入力によって生じた速度及び加速度の減衰振動が、2つ目のパルス電圧の入力によって急激に停止せしめられている。
また、振動デバイス1の特性にも依存するが、ユーザにしっかりと振動を知覚させるためには、複数のパルス電圧を断続的に入力することが必要になることも多い。この場合において、i番目のパルス電圧を入力しようとしたときに、(i−1)番目のパルス電圧入力に基づく減衰振動が残存していたならば、速度信号の位相を考慮して、i番目のパルス電圧の入力タイミングを決定する必要が生じうる。仮に、(i−1)番目のパルス電圧入力に基づく減衰振動を速やかに停止する技術が適用されたならば、速度信号の位相を何ら考慮することなく、所望のタイミング(例えば、ユーザが振動デバイス1の振動を知覚しやすいタイミング)にi番目のパルス電圧を入力することができる(第2のメリット)。
このようなメリットを享受すべく、1パルス周期に2つのパルス電圧を入力することで減衰振動を速やかに停止させることができないかを、後述の第5及び第6シミュレーションにて検証した。
図22に、第5及び第6シミュレーションにおけるコイル電圧の信号波形を示す。第5及び第6シミュレーションでは、1パルス周期内に第1パルス電圧及び第2パルス電圧がコイル21に入力される。1パルス周期内において、第2パルス電圧は、第1パルス電圧よりも遅れ時間DLだけ後にコイル21に入力される。第1及び第2パルス電圧の電圧値PVは互いに同じであり、第1及び第2パルス電圧のパルス幅PWも互いに同じである。第1又は第2パルス電圧がコイル21に入力されないタイミングにおけるコイル電圧はゼロである。
[第5シミュレーション]
第5シミュレーションを説明する。第5シミュレーションでは、
パルス周期PPを或る一定周期にて固定し、且つ、
パルス電圧の電圧値PVを5ボルトにて固定し、且つ、
パルス幅PWを固有周期Tの10%にて固定(即ち、PW=T×0.10)した状態で、第1及び第2パルス電圧から成るパルス電圧列を、周期的にコイル21に入力した。この際、遅れ時間DLを様々に変化させて速度及び加速度の状態を調べた。
図23(a)〜(c)、図24(a)〜(c)及び図25(a)〜(c)に、第5シミュレーションの結果を示す9つのグラフが示されている。この9つのグラフの夫々おいて、横軸は時間に対応しており、縦軸は速度、加速度又はコイル電圧に対応している。図23(a)、図23(b)、図23(c)、図24(a)、図24(b)、図24(c)、図25(a)、図25(b)、図25(c)は、夫々、遅れ時間DLを固有周期Tの20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%に設定した場合における、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形を示している。iが20、30、40、50、60、70、80、90又は100である場合、曲線Vel_DL[i]、曲線Acc_DL[i]及び折れ線Vol_DL[i]は、夫々、遅れ時間DLを固有周期のi%に設定した場合における、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形を表している。
上記の9つのグラフから、以下のことが分かる。
遅れ時間DLが固有周期Tの20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%又は100%である場合、第1パルス電圧の入力に基づく速度及び加速度の減衰振動は、第2パルス電圧の入力によって抑制されず、逆に、第2パルス電圧の入力によって、速度及び加速度の振動の振幅が増大することもある。
一方、遅れ時間DLが固有周期Tの50%である場合、第1パルス電圧の入力に基づく速度及び加速度の減衰振動は、第2パルス電圧の入力によって抑制されている。
尚、図23(a)等における速度及び加速度の信号波形と異なり、図24(a)における速度及び加速度の信号波形では、第1パルス電圧であるパルス電圧411の入力前において速度及び加速度が略ゼロになっている。これは、パルス電圧411を含むパルス周期の前のパルス周期における第2パルス電圧(パルス電圧412の1パルス周期前に入力されたパルス電圧)によって、速度及び加速度がゼロ付近まで急峻に減少せしめられたためである。
[第6シミュレーション]
第6シミュレーションを説明する。第6シミュレーションでは、
パルス周期PPを或る一定周期にて固定し、且つ、
パルス電圧の電圧値PVを5ボルトにて固定し、且つ、
遅れ時間DLを固有周期Tの50%にて固定(即ち、DL=T×0.50)した状態で、第1及び第2パルス電圧から成るパルス電圧列を、周期的にコイル21に入力した。この際、パルス幅PWを様々に変化させて速度及び加速度の状態を調べた。
図26(a)〜(c)、図27(a)〜(c)及び図28(a)〜(c)に、第6シミュレーションの結果を示す9つのグラフが示されている。この9つのグラフの夫々おいて、横軸は時間に対応しており、縦軸は速度、加速度又は電圧に対応している。図26(a)、図26(b)、図26(c)、図27(a)、図27(b)、図27(c)、図28(a)、図28(b)、図28(c)は、夫々、パルス幅PWを固有周期Tの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%に設定した場合における、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形を示している。iが10、20、30、40、50、60、70、80又は90である場合、曲線Vel_PW[i]、曲線Acc_PW[i]及び折れ線Vol_PW[i]は、夫々、パルス幅PWを固有周期のi%に設定した場合における、速度、加速度及びコイル電圧の信号波形を表している。
第6シミュレーションでは、遅れ時間DLが固有周期Tの50%であるため、パルス幅PWが固有周期Tの50%である場合には、図27(b)に示す如く、第1パルス電圧の入力終了時点と第2パルス電圧の入力開始時点が一致し、第1及び第2パルス電圧は、(2×PW)のパルス幅を有する1つのパルス電圧を形成する。また、パルス幅PWが固有周期Tの50%よりも大きい場合には、図27(c)等に示す如く、第1パルス電圧の後半部分と第2パルス電圧の前半部分が重なり合い、第1及び第2パルス電圧が重なり合った期間には、(2×PV)の電圧値を有する電圧がコイル21に入力されることになる。
図29に、第6シミュレーションの結果をまとめる。図29のグラフにおいて、横軸は固有周期Tに対するパルス幅PWの割合(単位は%)に対応し、縦軸は加速度に対応している。図29において、線451は、上記割合と最大加速度との関係を表し、線452は、上記割合と最小加速度との関係を表し、線453は、上記割合と最大加速度及び最小加速度の和との関係を表している。
図29から分かるように、第6シミュレーションの条件下において、固有周期Tに対するパルス幅PWの割合(即ち、PW/T)を50%未満に設定すると、偏加速度が発生することが分かった。
[第1実験(1パルス入力)]
第1実験を説明する。上述の各シミュレーションでは、数値演算によって速度信号等の状態を調べた。これに対し、第1実験及び後述の第2実験では、コイル21に対して実際にパルス電圧を入力して、コイル21の両端子間電圧及び固定子の加速度を電圧検出センサ及び加速度センサにて計測した。
図30(a)及び(b)に第1実験の計測結果を示す。第1実験では、第1〜第4シミュレーションと同様、1パルス周期にパルス電圧が1つだけ含まれるように、パルス電圧を一定周期にて繰り返しコイル21に入力した(入力位相αが幾らであるのかを特に気にすることなく、パルス電圧を一定周期にて繰り返しコイル21に入力した)。第1実験では、パルスPWを固有周期Tの8%に固定し、且つ、パルス電圧の電圧値PVを5ボルトに固定した。図30(a)の波形481は、第1実験におけるコイル電圧の信号波形を表し、図30(b)の波形482は、第1実験における加速度の信号波形を表す。第1実験において、パルス電圧の入力により偏加速度の発生が観測されている。
尚、図30(a)のグラフにおいて、横軸は時間に対応し、縦軸はコイル電圧に対応している(後述の図31(a)及び図32(a)も同様)。図30(b)のグラフにおいて、横軸は時間に対応し、縦軸は加速度に対応している(後述の図31(b)及び図32(b)も同様)。また、図30(a)のグラフでは、上述の各シミュレーションにおけるグラフと異なり、図面の下方向が電圧の正方向に対応している(後述の図31(a)及び図32(a)も同様)。
[第2実験(2パルス入力)]
図31(a)及び(b)並びに図32(a)及び(b)に第2実験の計測結果を示す。第2実験では、第5及び第6シミュレーションと同様、1パルス周期に第1及び第2パルス電圧が含まれるように、第1及び第2パルス電圧から成るパルス電圧列を一定周期にて繰り返しコイル21に入力した。第2実験では、パルスPWを固有周期Tの42%に固定し、且つ、パルス電圧の電圧値PVを3ボルトに固定した。図31(a)及び図32(a)の波形491及び493は、第2実験のコイル電圧の信号波形を表し、図31(b)及び図32(b)の波形492及び494は、第2実験における加速度の信号波形を表す。但し、波形491及び492を得る際には、遅れ時間DLは固有周期Tの50%に設定され、波形492及び494を得る際には、遅れ時間DLは固有周期Tの60%に設定された。
波形491〜494から分かるように、遅れ時間DLを固有周期Tの50%に設定した場合にはパルス電圧入力後の減衰振動が抑制されるが、遅れ時間DLを固有周期Tの60%に設定した場合には、パルス電圧入力後の減衰振動が抑制されないことが分かる。尚、観測された波形491及び493は、きれいな矩形波形にはなっていないが、これは、コイル21にて発生した誘起電圧の影響によるものである。
[回路ブロック図]
図33に、リニア振動アクチュエータ(Linear oscillatory actuator)としての振動デバイス1及び電圧入力部2を有する振動発生装置の概略的な回路ブロック図を示す。図33の電圧入力部2は、CPU(Central Processing Unit)及びD/Aコンバータ等を有する制御回路3と、ドライバ4と、を備える。制御回路3は、コイル21に入力しようとする電圧のデジタル信号を生成し、D/Aコンバータにおいて該デジタル信号をアナログ信号に変換する。ドライバ4は、このアナログ信号を増幅し、増幅後のアナログ信号を電圧信号として実際にコイル21に入力する。尚、ドライバ4は、制御回路3内に設けられていても良い。
電圧入力部2は、振動デバイス1にて通常の振動(正負間で対称な加速度による振動)を発生させるための電圧信号をコイル21に出力することができる。即ち、正弦波状の電圧信号をコイル21に入力することができる。正弦波状の電圧信号とは別に、電圧入力部2は、偏加速度を発生させるための矩形波状の電圧信号をコイル21に入力することができる。
このため、本実施形態に係る振動発生装置では、偏加速度発生用の専用構造を必要とすることなく単純な構造にて、偏加速度を発生させることができ、ユーザに力覚を提示することが可能である。単純な構造の採用は、振動発生装置のサイズ低減及びコスト低減に寄与する。また、通常の振動と偏加速度を共通の構造にて発生させることができる。
以下、説明の便宜上、第1〜第4シミュレーションで想定された、1パルス周期内にパルス電圧を1つだけコイル21に入力する方法を1パルス方法と呼び、第5及び第6シミュレーションで想定された、1パルス周期内に2つのパルス電圧をコイル21に入力する方法を2パルス方法と呼ぶ。
[第1実施例]
まず、1パルス方法における電圧入力例を、第1実施例として説明する。電圧入力部2は、上述の第1〜第4シミュレーションにおいて説明された任意のパルス電圧を、実際に振動デバイス1のコイル21に入力することができる。
第1シミュレーションでは、入力位相αを270°又は0°に設定すると大きな偏加速度が得られることが分かった(図15参照)。第1シミュレーションでは、正のパルス電圧をコイル21に入力することを想定しているが、位相αが270°であるときに正のパルス電圧をコイル21に入力することと、位相αが90°であるときに負のパルス電圧をコイル21に入力することは等価であると言え、極性は異なるが、どちらも同じ偏加速度を生み出す。同様に、位相αが0°であるときに正のパルス電圧をコイル21に入力することと、位相αが180°であるときに負のパルス電圧をコイル21に入力することは等価であると言え、極性は異なるが、どちらも同じ偏加速度を生み出す。故に、より大きな偏加速度を発生させたいとき、電圧入力部2は、速度信号の位相αが270°又は0°であるときにおいて正のパルス電圧をコイル21に入力する、又は、速度信号の位相αが90°又は180°であるときにおいて負のパルス電圧をコイル21に入力することが望ましい。但し、速度信号の位相αが任意の位相であるときにおいて正又は負のパルス電圧をコイル21に入力することも可能である。
尚、位相αについて具体的に述べる角度値(例えば、0°、90°、180°又は270°)は、或る程度、幅を持った数値概念であると考えることができる。即ち例えば、速度信号の位相αがj°であるときにおいて正のパルス電圧をコイル21に入力するという方法は、速度信号の位相αが“j°−Δ≦α≦j°+Δ”を満たすときにおいて正のパルス電圧をコイル21に入力するという方法を含んでいると解釈されてもよい。ここで、Δは正の小さな角度値(例えば、5°)である。
第1シミュレーションにおいて、速度信号の位相αが270°であるとき、可動子101の速度は負の極値をとり、速度信号の位相αが90°であるとき、可動子101の速度は正の極値をとる。従って、第1シミュレーションにおいて、位相αが270°又は90°になるタイミングは可動子101の速度の絶対値が最大値(極大値)をとるタイミングである。そして、位相αが270°のタイミングにおける正のパルス電圧は、可動子101の移動方向の逆方向(正方向)に可動子101を導くパルス電圧として機能し、同様に、位相αが90°のタイミングにおける負のパルス電圧は、可動子101の移動方向の逆方向(負方向)に可動子101を導くパルス電圧として機能する。一方、第1シミュレーションにおいて、速度信号の位相αが0°であるタイミングは、可動子101の移動方向がZ軸の負方向から正方向へと切り替わるタイミングであり、速度信号の位相αが180°であるタイミングは、可動子101の移動方向がZ軸の正方向から負方向へと切り替わるタイミングである。
また、1パルス方法において、パルス幅PWを固有周期Tの25%以上にすると偏加速度が殆ど得られないことが第2シミュレーションから分かった(図17参照)。故に、より大きな偏加速度を発生させたいとき、電圧入力部2は、パルス幅PWを固有周期Tの25%未満に設定することが望ましい。パルス幅PWを固有周期Tの25%未満に設定することは、任意の入力位相αに対して適用することができる。
また、1パルス方法において、パルス電圧の電圧値PVを増大させれば偏加速度量も増大することが第3及び第4シミュレーションから分かった(図18及び図19参照)。故に、より大きな偏加速度を発生させたいとき、電圧入力部2は、パルス電圧の電圧値PVをなるだけ大きく設定することが望ましい(2パルス方法においても同様)。但し、永久磁石30及び重量体31から成る可動子の上端又は下端が、パルス電圧の入力によってケース10に当たることがないように、電圧値PVに上限を設けるべきである(2パルス方法においても同様)。
第1シミュレーションの説明において述べたように、パルス周期PP[j]を予め実験等を介して求めておくことができる。但し、パルス周期PP[j]は、パルス幅PW及び電圧値PVに依存するため、実際にコイル21に入力するパルス電圧のパルス幅PW及び電圧値PVに応じたパルス周期PP[j]を求めるようにする。即ち例えば、パルス幅PW及び電圧値PVを夫々パルス幅PW及び電圧値PVに設定した状態でパルス周期PP[j]を実験等を介して求め、求めたパルス周期PP[j]を制御回路3内のパラメータ記憶部(不図示)に保存しておく。その後、パルス幅PW及び電圧値PVを夫々パルス幅PW及び電圧値PVに設定した状態でコイル21にパルス電圧を入力する際、パラメータ記憶部に保存されたパルス周期PP[j]を用いてコイル21にパルス電圧を入力すればよく、これによって、常に速度信号の位相αがj°である時にパルス電圧をコイル21に入力することができる。求められるべきパルス周期PP[j]には、例えば、パルス周期PP[0]、PP[90]、PP[180]及びPP[270]が含まれる。
尚、1パルス方法において、1つ目のパルス電圧をコイル21に入力する際、可動子101は停止していても良いし、振動中であっても良い。可動子101の停止時において1つ目のパルス電圧をコイル21に入力する場合には、そもそも速度信号に対して位相αを定義できないが、上記パルス周期PP[j]にてパルス電圧を周期的にコイル21に入力すれば、2つ目以降のパルス電圧の入力位相αは所望位相(270°など)になる。
コイル21に正弦波状のコイル電圧を入力した後、その入力に応じた減衰振動中に1つ目のパルス電圧をコイル21に入力することもできる。この場合には、過去に入力された正弦波状のコイル電圧の信号波形から現時点の速度信号の位相αを推定し、その推定結果を用いて、1つ目のパルス電圧の入力タイミングを決定しても良い。これによれば、1つ目のパルス電圧の入力位相αをも所望位相(270°など)と一致させることができる。
[第2実施例]
次に、2パルス方法における電圧入力例を、第2実施例として説明する。電圧入力部2は、上述の第5及び第6シミュレーションにおいて説明された任意のパルス電圧を、実際に振動デバイス1のコイル21に入力することができる。
電圧入力部2は、コイル21への第1パルス電圧の入力によって発生する可動子101及び固定子102の減衰振動が、コイル21への第2パルス電圧の入力によって抑制されるように、遅れ時間DLを固有周期Tに応じて設定することができる(図21及び図22参照)。上記抑制を良好に実現するために、遅れ時間DLを固有周期Tの50%に設定することが望ましく、また、パルス幅PWを固有周期Tの50%未満に設定することが望ましい(図24(a)及び図29等参照)。
尚、遅れ時間DLについて具体的に述べる数値“50%”は、或る程度、幅を持った数値概念であると考えることができる。即ち例えば、遅れ時間DLを固有周期Tの50%に設定するという方法は、“T×(0.5−Δ)≦DL≦T×(0.5+Δ)”を満たす範囲内で遅れ時間DLを設定するという方法を含んでいると解釈されてもよい。ここで、Δは、50%よりも小さな正の値(例えば、5%)である。
[第3実施例]
コイル21への電圧入力例に関する、第3実施例を説明する。第1又は第2実施例で述べたようなパルス電圧の入力によって偏加速度を良好に発生させることができる。偏加速度の発生時においては、移動物体における正方向(Z軸の正方向)への加速度と負方向(Z軸の負方向)への加速度とが、加速度信号の1周期中で非対称になる。移動物体とは、可動子101又は固定子102である。偏加速度を発生させることで、振動デバイス1又は振動デバイス1を組み込んだ機器を手に持つユーザに、いわゆる力覚を知覚させることができる。例えば、正の加速度が負の加速度よりも大きくなるような偏加速度を発生させることで、正方向にユーザの注意を向けさせるような作用をもたらすことができる。
また、人間が力覚を知覚しやすい周波数は約10Hz(ヘルツ)である。従って、電圧入力部2は、パルス電圧をコイル21に入力する操作を、10Hzの周期(又は約10Hzの周期)で繰り返し実行すると良い。
図34に、10Hzの周期でパルス電圧をコイル21に入力した場合における加速度のシミュレーション結果を示す。図34に示す如く、電圧入力部2は、1パルス方法におけるパルス電圧を10Hzの周期で繰り返しコイル21に入力することができ、1パルス方法におけるパルス電圧の入力条件として、第1実施例のそれを適用することができる。これに代えて、電圧入力部2は、2パルス方法におけるパルス電圧を10Hzの周期でコイル21に繰り返し入力してもよい。即ち、第1及び第2パルス電圧から成るパルス電圧列をコイル21に入力する操作を、10Hzの周期で繰り返し実行しても良い。2パルス方法におけるパルス電圧の入力条件として、第2実施例のそれを適用することができる。
但し、パルス電圧を1周期分入力しただけでは、ごく短時間しか偏加速度が発生しないため、ユーザが知覚する力覚は小さい。そこで、図35に示す如く、電圧入力部2は、複数のパルス周期に亘って連続的にパルス電圧をコイル21に入力する操作を、所定の周期で繰り返し実行してもよく、所定の周期として例えば10Hzの周期(又は約10Hzの周期)を採用すると良い。図35の方法によれば、図34の方法と比べて偏加速度の発生期間が長くなるため、ユーザは力覚を知覚しやすくなる。
図35の例の如く、電圧入力部2は、連続する6パルス周期(即ち、6×PP)を単位区間として捉え、単位区間が10Hzの周期で繰り返し訪れるように、パルス電圧をコイル21に入力することができる。各単位区間では、6パルス周期に亘り1パルス方法又は2パルス方法にてパルス電圧をコイル21に入力することができる(図35の例では、2パルス方法が採用されている)。従って、1パルス方法にてパルス電圧を入力する場合、1つの単位区間において計6つのパルス電圧がコイル21に入力され、2パルス方法にてパルス電圧を入力する場合、1つの単位区間において第1及び第2パルス電圧が6つずつコイル21に入力される。尚、1単位区間に属するパルス周期の個数は6以外であっても良い。
1パルス方法を採用する際、各単位区間におけるパルス電圧の入力条件として、第1実施例のそれを適用することができる。2パルス方法を採用する際、各単位区間におけるパルス電圧の入力条件として、第2実施例のそれを適用することができる。
尚、第3実施例において上述した“10Hz”という周期の数値は、或る程度、幅を持った数値概念であると考えることができる。即ち例えば、或る操作を10Hzの周期で繰り返し実行するという方法は、当該操作を(10−Δ)Hz以上且つ(10+Δ)Hz以下の周期で繰り返し実行するという方法を含んでいると解釈されてもよい。ここで、Δは、10よりも小さな正の値(例えば、1又は2)である。
[固有周期Tの測定方法]
固有周期Tの測定方法について説明する。固有周期Tを測定する際、図36に示す如く、加速度を測定するための加速度センサ121を振動デバイス1の近傍に設置する。そして、制御回路3から正弦波状又は矩形波状の電圧信号を出力させ、これによって正弦波状又は矩形波状のコイル電圧をコイル21に入力する。正弦波状又は矩形波状のコイル電圧をコイル21に一定期間入力した後、コイル電圧の入力を停止し、その停止後に発生する固定子102の減衰振動の加速度を加速度センサ121にて測定する。加速度センサ121によって測定された加速度の信号波形を、オシロスコープ122を用いて観測することで固有周期Tを求めることができる。制御回路3は、求めた固有周期Tを用いて、コイル21に対するパルス電圧の入力条件を決定することができる。固定子102における加速度の周期は、可動子101における速度及び加速度の周期と一致する。
また、上記の式(1)及び(3)からも分かるように、固有周期Tは固定子102の質量mにも依存する。従って、振動デバイス1が組み込まれる機器ごとに、固有周期Tを測定するようにしてもよい。即ち、図37に示す如く、振動デバイス1が組み込まれるべき機器123に対して実際に振動デバイス1を組み込んだ状態で、正弦波状又は矩形波状のコイル電圧をコイル21に一定期間入力した後、コイル電圧の入力を停止し、その停止後に発生する固定子102の減衰振動の加速度を加速度センサ121にて測定してもよい。振動デバイス1が機器123に組み込まれている場合、振動デバイス1を内包する機器123から可動子101を除いた部分全体が固定子102として機能する。加速度センサ121によって測定された加速度の信号波形を、オシロスコープ122を用いて観測することで固有周期Tを求めることができる。制御回路3は、求めた固有周期Tを用いて、コイル21に対するパルス電圧の入力条件を決定することができる。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
1 振動デバイス
2 電圧入力部
3 制御回路
4 ドライバ
10 ケース
20 固定子ヨーク
21 コイル
25 中央ヨーク
26 バックヨーク
30 永久磁石
31 重量体
32 可動子ヨーク
41、42 バネ材
101 可動子
102 固定子
103 バネ

Claims (8)

  1. コイルを有する固定子と、
    永久磁石を有する可動子と、
    前記コイルへの入力電流に応じた前記コイルの発生磁界と前記永久磁石との磁気作用を用いて前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生装置において、
    前記可動子の固有周期に応じたパルス電圧を前記コイルに入力する電圧入力部を更に備えた
    ことを特徴とする振動発生装置。
  2. 前記固有周期での前記可動子の振動中において、前記可動子の速度の絶対値が最大になるタイミングに、
    前記電圧入力部は、前記可動子の移動方向の逆方向に前記可動子を導く電圧極性を有する電圧を、前記パルス電圧として前記コイルに入力する、又は、
    前記固有周期での前記可動子の振動中において、前記可動子の移動方向が第1方向から前記第1方向の反対方向である第2方向へと切り替わるタイミングに、
    前記電圧入力部は、前記第2方向に前記可動子を導く電圧極性を有する電圧を、前記パルス電圧として前記コイルに入力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
  3. 前記パルス電圧は、前記固有周期の25%未満のパルス幅を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動発生装置。
  4. 前記パルス電圧は、第1パルス電圧と、前記第1パルス電圧よりも後に前記コイルに入力される第2パルス電圧と、を含み、
    前記電圧入力部は、前記コイルに対する前記第1パルス電圧の入力タイミングから見た、前記コイルに対する前記第2パルス電圧の入力タイミングの遅れ時間を、前記固有周期に応じて設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
  5. 前記電圧入力部は、前記第1パルス電圧の入力によって発生する前記可動子の減衰振動が前記第2パルス電圧の入力によって抑制されるように、前記遅れ時間を前記固有周期に応じて設定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の振動発生装置。
  6. 前記遅れ時間は、前記固有周期の50%の長さを有し、且つ、
    前記第1及び第2パルス電圧の夫々は、前記固有周期の50%未満のパルス幅を有する
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の振動発生装置。
  7. 前記電圧入力部は、前記パルス電圧を前記コイルに複数回入力する操作を、所定の周期で繰り返し実行する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の振動発生装置。
  8. 前記固定子は、磁性体を更に有し、
    前記固有周期は、前記コイルへの電圧入力の停止時において前記永久磁石及び前記磁性体間の磁気吸引力と前記弾性体の機械推力とによって生じる、前記可動子の減衰振動の周期である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の振動発生装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015119466A (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 現代自動車株式会社 車両のサウンドジェネレーター
JP2020019006A (ja) * 2018-08-03 2020-02-06 エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッドAAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd リニア振動モータ

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