JP2012146631A - 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基板、下塗り層13及び色素15を担持させた金属酸化物半導体微粒子層14がこの順で積層された色素増感型光電変換素子用光電極1の製造方法であって、前記下塗り層が形成された導電性基板上に、金属酸化物半導体微粒子層14を積層する前または積層と同時に、前記下塗り層に波長400nm以下の電磁波を照射する色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法である。
【選択図】図1
Description
しかし、これらの太陽電池は、高温もしくは真空下で製造するために、プラントのコストが高く、エネルギーペイバックタイムが長いという欠点がある。
なかでも特に注目されるのは大気中で低コストの量産が可能な色素増感型太陽電池であり、色素増感された多孔質半導体膜を用いる高効率の光電変換方法が提案されている(特許文献1)。
また、透明導電膜上に金属酸化物ゾルを静電塗布し、塗膜を低温焼成して光触媒膜を形成し、焼成前後いずれかまたは両方において塗膜または光触媒膜にレーザーを照射することが提案されている(特許文献5)。特許文献5では、光触媒膜の光触媒微粒子と透明電極との結合を強化することができる。
しかしながら、金属酸化物多孔質半導体微粒子層と導電性基板との密着性をウエット剥離耐久性という観点から検討されていない。
前記下塗り層が形成された導電性基板上に、前記金属酸化物半導体微粒子層を積層する前または積層と同時に、前記下塗り層に電磁波を照射する色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法である。
前記下塗り層は、金属酸化物または金属酸化物前駆体からなる塗膜により形成したものである前記(1)に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法である。
前記下塗り層を形成する塗膜の前記金属酸化物が、酸化チタンである前記(1)乃至(3)に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法である。
前記下塗り層を形成する塗膜の前記金属酸化物前駆体が、有機チタンモノマーまたは有機チタンオリゴマーである前記(1)乃至(4)に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法である。
図1に示すように、本発明に用いられる色素増感型光電変換素子用光電極1は、透明基材11と透明導電層12からなる導電性基板、下塗り層13、色素15を担持した金属酸化物半導体多孔質層14から構成されている。
本願発明の導電性基板を構成する透明基材は、ガラス板やポリマーフィルムが好ましく、ガラス板よりも屈曲性があるポリマーフィルムである方がより好ましい。
ポリマーフィルム材料としては、無着色で透明性が高く、耐熱性が高く、耐薬品性ならびにガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好ましく選ばれる。
この観点から、好ましい材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)などが用いられる。
これらのなかでも化学的安定性とコストの点で特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)であり、もっとも好ましいものはポリエチレンナフタレート(PEN)である。
この中で高い光学的透明性をもつ点で導電性金属酸化物が好ましく、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)、酸化亜鉛、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。
最も好ましいものは、耐熱性と化学安定性に優れるインジウム・亜鉛酸化物(IZO)である。
低い表面抵抗値を達成するためには、金属を用いることが好ましい。金属は、透明でないという問題は、金属メッシュ構造からなる透明導電性層を形成することにより解決でき、金属がヨウ素により腐食されるという問題は、電解液中のヨウ素をなくすか、あるいはその含有量を削減することにより解決できる。
透明基板上に透明電極層を設けた光電極基板の光透過率(測定波長:500nm)は、60%以上が好ましく、75%以上であることがさらに好ましく、80%以上が最も好ましい。
このような補助リードは、低抵抗の金属材料(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケル)によって形成される。
補助リードがパターニングされた透明導電層において、補助リードを含めた表面の抵抗値は好ましくは1Ω/□以下に制御することが好ましい。このような補助リードのパターンは透明基板に蒸着、スパッタリングなどにより形成し、さらにその上に酸化スズ、ITO膜、IZO膜などからなる透明導電層を設けるのが好ましい。
本願発明の下塗り層は、金属酸化物または金属酸化物前駆体により形成される。塗膜形成性の観点から、有機チタンモノマーまたは有機チタンオリゴマー及びその加水分解生成物により形成されることが好ましい。
)、アルデヒド基、エポキシド基、スクシンアミド基または酸無水物基である。
有機モノマーの具体例としては、例えば、チタン−テトラ−イソブロポキノト、アミノ−へキシル−チタン−トリ−イソプロポキシド、アミノ−プロピル−チタン−トリ−イソプロポキシド及びカルボキシル−へキンル−チタン−トリ−イソプロポキシドがある。
なお、本願発明は有機チタンオリゴマーに限定されるものではなく、多量体構造(−M−O−M−)を分子内に有する有機金属オリゴマー(Mは金属)であれば、同様の効果を得られる。
また、従来下塗り層形成に用いられている金属アルコキシドは、反応性が高く容易に加水分解され塗膜表面の性状を制御することが難しい。しかし、本発明に使用した有機チタンオリゴマーは、加水分解速度が遅く、塗膜表面の性状が安定しており、金属酸化物からなる半導体多孔質層を重層する場合に下塗り層の塗膜表面性状が長時間に亘って安定であるという長所がある。
また、本願発明に使用する有機チタンオリゴマーは、塗膜形成性、塗膜密着性(接着性)を改良するために、チタン化合物オリゴマーに対し、分子中に1個以上のアルコキシ基を有するシリコン化合物を反応させた構造又は混合させた組成を有する複合化合物(特開2008−143990)であってもよい。
(1)半導体微粒子
本願発明の多孔質半導体微粒子層は、ナノサイズの細孔が内部に網目状に形成されたいわゆるメソポーラスな半導体膜からなっている。
多孔質半導体微粒子層を形成する半導体微粒子としては、金属の酸化物及び金属カルコゲニドを使用することができる。
金属酸化物及び金属カルコゲニドを構成する金属元素としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス、カドミウムなどが挙げられる。
TiO2、ZnO、SnO2、WO3、Nb2O3が好ましく、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびこれらの複合体がさらに好ましく、二酸化チタンが最も好ましい。
これらの半導体粒子の一次粒子は、平均粒径が2nm〜80nmであることが好ましく、10nm〜60nmがさらに好ましく、2nm〜30nmが最も好ましい。
本願発明の光電変換素子において、上記の半導体粒子によって作られる多孔質半導体粒子層は、色素によって増感されているので色素を多孔質膜の表面に吸着分子として持っている。
多孔質半導体粒子層は、2種類以上の微粒子群を含むことができる。2種以上の微粒子群は、例えば、粒径分布が異なるものであることができる。粒径分布が異なる2種類以上の微粒子群を含む場合、最も小さい粒子群の平均サイズは20nm以下が好ましい。
この超微粒子に対して、光散乱により光吸収を高める目的で、平均粒径が200nmを越える大きな粒子を、質量割合として5%〜30質量%の割合で添加することが好ましい。
このような低温製膜は、バインダーフリーコーティング法により行うことができる。バインダーフリーコーティング法は、粒子を分散し粘度を上げるための添加剤や樹脂バインダーなどの絶縁材料を一切含まず、金属酸化物半導体ナノ微粒子のみからなる粒子分散液をコーティングして多孔質半導体微粒子層を作製する方法である。簡単な製造工程を実現できるメリットがある。
多孔質半導体粒子層の増感に用いる色素分子としては、電気化学の分野で色素分子を用いる半導体電極の分光増感にこれまで用いられてきた各種の有機系、金属錯体系の増感材料が用いられる。
また、光電変換の波長領域をできるだけ広くし、かつ、変換効率を上げるために、二種類以上の色素を混合して用いてもよく、光源の波長域と強度分布に合わせて、混合する色素とその混合割合を選択してもよい。
そのほか「機能材料」、2003年6月号、第5〜18ページに記載されている合成色素と天然色素や、「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)」、B.第107巻、第597ページ(2003年)に記載されるクマリンを中心とする有機色素を用いることもできる。
半導体微粒子に色素を吸着させるためは、色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬する方法、あるいは色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。
浸漬法の場合は、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。
塗布法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等の塗布方法や、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等の印刷方法が利用できる。
色素の全使用量は、導電性支持体の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとすることが好ましい。
色素の吸着量が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素の吸着量が多すぎると半導体微粒子に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる。
色素の吸着量を増大させるために吸着前に半導体微粒子を加熱処理するのが好ましい。また、加熱処理の後に半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、加熱処理後には常温に戻さず半導体微粒子層の温度が40℃〜80℃で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄により除去することが好ましい。洗浄は、アセトニトリルやアルコール系溶剤等の有機溶媒を用いて行うのが好ましい。
共吸着させる化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例 コール酸、ケノデオキシコール酸)が挙げられる。また、紫外線吸収剤を併用してもよい。
図1に示すように、本願発明の光電極、電荷輸送層、対極(正電極)をこの順に積層し、電解液を封止剤で封止することにより、色素増感型太陽電池を製造することができる。このような色素増感太陽電池も本発明に含まれる。
電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送材料としては、イオンが関わる電荷輸送材料であっても、固体中のキャリア移動が関わる電荷輸送材料であってもよい。
イオンが関わる電荷輸送材料としては、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリックスのゲル含浸したいわゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物がある。
固体中のキャリア移動が関わる電解質材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料などがある。
本発明の光電極は、電荷輸送層としてイオンが関わる電荷輸送材料を用いる場合に、特に有効である。
溶融塩電解質組成物は、常温で液体であることが好ましい。主成分である溶融塩は室温において液状であるか、または低融点の電解質である。一般的な例としては、WO95/18456号、特開平8−259543号に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等がある。具体例は、特開2001−320068号の段落番号0066〜0082に詳しく記載されている。また、溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
電解液は、電解質、溶媒及び添加物から構成されることが好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、ヨウ素とヨウ化物(例 金属ヨウ化物、4級アンモニウム化合物ヨウ素塩)の組み合わせ、臭素と臭化物(例 金属臭化物、4級アンモニウム化合物臭素塩)の組み合わせ等がある。電解質は混合してもよい。
電解液に使用する溶媒は、低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリア濃度を高めることができるか、あるいはその両方であるために優れたイオン伝導性を発現できるものが好ましい。多孔質半導体微粒子層に色素を吸着して得られる色素増感半導体薄膜層を光電極とするため、多孔質半導体微粒子層への浸透性が光電変換効率を向上するために必要だからである。また、電解液量を保持するために高沸点であること、特に沸点が200℃以上であることが好ましい。さらに、溶質として用いる無機塩の溶解性の観点から、非プロトン性極性溶媒であることも好ましい。
本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手段により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化(固体化)させて使用することができる。溶融電解質をゲル化した例は特開2000−58140号に記載され、電解液をゲル化した例は、特開平11−185863号に記載されている。
本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質の代わりに、有機固体正孔輸送材料、無機固体正孔輸送材料、あるいはこの両者を組み合わせた材料を使用することができる。
本発明において好ましく使用できる有機正孔輸送材料の例としては、芳香族アミン類(特開平11−176489号などに記載)、トリフェニレン誘導体類(特開平11−176489号などに記載)、オリゴチオフェン(JACS,Vol.120,No.4,p664−672(1998)などに記載)、ポリピロール、ポリアセチレン及びその誘導体などがある。
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができ、そのバンドギャップは2eV以上が好ましく、2.5eV以上がより好ましい。
また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは、色素の正孔を還元するためには色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。好ましいp型無機化合物半導体は1価の銅を含む化合物半導体(例、CuI、CuSCNなど)である。
電荷輸送層は、2通りの方法のいずれかにより形成できる。1つは、光電極と対極を貼り合せた後に、その間隙に液状の電荷輸送層(電解質溶液)を挟み込む(吸い込ませる)方法である。電荷輸送層を挟み込むには、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスまたは間隙を減圧にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
ゲル電解質組成物を用いる場合には、ゲル電解質組成物を湿式で塗布した後に重合等の方法により固体化することができる。固体化は、対極貼り合せの前後いずれで行ってもよい。
無機正孔輸送材料は、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解析出法、無電解メッキ法等により光電極内部に導入することができる。
対向電極は光電変換素子を光化学電池としたときに正極として作用するものである。対向電極は、前述の導電性基板と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持体基板から構成されてもよい。対極導電層に用いる導電剤としては、金属(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなど)、炭素、導電性金属酸化物(例、インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズなど)がある。この中でも、白金、金、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましい。
対極に用いる基板は、ガラス基板又はプラスチック基板であり、これに上記の導電性材料を塗布又は蒸着して用いることができる。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層の表面抵抗は低いほどよい。50Ω/□以下が好ましく、20Ω/□以下がより好ましい。
なお、基板と導電層の間に、本発明の下塗り層を設けることもできる。
電極として作用する光電極層及び対向電極層の一方又は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの機能性層は、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法などによって形成することができる。
このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法が利用できる。生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性及び塗膜の均一性の観点からスライドホッパー法やエクストルージョン法が好ましい。
機能性層の形成には、光電極層及び対向電極層の材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。
(1)封止材
本発明の素子シール部は、電解液を封止することができるものであれば特に限定されるものではないが、電解液に対する耐性(耐薬品性)や、高温高湿耐久性(耐湿熱性)に優れていることが好ましい。電解液の漏洩を効果的かつ持続的に抑制するためには、耐薬品性と耐湿熱性に優れる必要があるからである。
取扱い性に優れるという観点から、アクリル系樹脂封止材、フッ素系樹脂封止材、シリコーン系樹脂封止材が好ましい。
前記素子シール部と前記透明基材等の被接着部材との密着強度としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記素子シール部が、上述したアクリル系樹脂封止材、フッ素系樹脂封止材またはシリコーン系樹脂封止材等を用いて形成される場合は、0.5N/15mm幅〜15N/15mm幅の範囲内であることが好ましい。
実際の色素増感型光電変換素子から直接的に密着強度を求めることが困難である場合は、対象となる色素増感型光電変換素子に用いられている素子シール部と同一成分の素子シール部形成用封止材と、用いられている被接着部材(例えば、透明電極層および対向電極層)とを用意し、この外部シール部形成用封止材を、スペーサーを介して2つの被接着部材で挟み込み、ゲージ圧(大気圧との差圧)20kPaの加圧下、120℃で1時間熱圧着することにより、実際の色素増感型光電変換素子を模した積層体を形成し、この積層体に対して、前記剥離試験を行うことにより、密着強度を求めることができる。
密着強度は、例えば、引張試験機(機種名:テンシロン、エー・アンド・ディー(A&D)株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明の封止材中には、電極間距離を規制するためにスペーサーを混在させる。このような目的で用いられるスペーサーとしては、真円球樹脂粒子、無機粒子、ガラスビーズなどを適宜選択することができる。
また、前記素子シール部の幅としては、特に限定されるものではないが、例えば0.5mm〜5mmの範囲内、中でも0.8mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。素子シール部の幅が小さすぎると、電解質に対して充分な耐久性を発揮できない可能性があり、素子シール部の幅が大きすぎると、色素増感型太陽電池素子において発電に寄与する素子面積が減少するため、モジュール面積に対して有効な面積が低下し、有効発電効率が減少してしまう可能性があるからである。なお、前記素子シール部の厚みおよび幅とは、例えば
図4において、それぞれ「a」および「b」で表される長さをいうものである。
このセパレータ層は、色素増感多孔質半導体フィルム電極と対向電極との間に挿入し、フレキシブルな電極である両極が物理的に接触することを防止することを目的とする。
(1)下塗り層の作製
透明導電膜として、インジウム−スズ酸化物(ITO)をコートしたポリエチレンナフタレートフィルム(ITO−PENフィルム、フィルム厚み200μm、シート抵抗15Ω/sq)を6cm×8cmにカットし、真空ポンプを使って塗布台に固定した。下塗り層は、オルガチックスPC−600溶液(マツモトファインケミカル製)を使用した。自動塗布コーターにワイヤーバーをセットし、1.6%のオルガチックスPC−600溶液を10mm/secの掃引速度でITO表面に製膜し、室温乾燥後、150℃で10分間加熱をして下塗り層を形成した。
その後、高圧水銀ランプ(定格ランプ電力 400W)光源から10cmに下塗り層付きITO−PENフィルムを置き、電磁波を1分間照射した。
ルテニウム錯体色素(N719, ソラロニクス社製)0.0713gを200mLのメスフラスコに入れた。これをエタノール50mL, tert-ブタノール50mL及びアセトニトリル100mLからなる混合溶媒に溶かし、全量を200mLとすることで、0.3mMの色素溶液を調製した。
電磁波を照射した下塗り層付ITO−PENフィルムを平滑なガラス台の上に真空ポンプを使って固定し、ポリマー成分を含まないバインダーフリー酸化チタンペースト(PECC−C01−06、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)をベーカー式アプリケータを用いて、塗布厚み25μmで塗布した。ペーストを常温で乾燥させた後、150℃のオーブン内で10分間加熱して、酸化チタンナノ多孔膜フィルムを作製した。
酸化チタン膜フィルムを放冷後、1.5×2.0cmのサイズにカットした。さらに、カットしたフィルムの短辺(1.5cmの辺)の一方から、2mm内側より、酸化チタン膜を直径6mmの円となるように成形した。表面粗さ測定装置(SURFCOM 130A、東京精密社製)にて測定した酸化チタン多孔質半導体層の厚みは、5μmであった。
この酸化チタン電極を、上記のように調製した0.3mMのN719色素液に浸けた。このとき、充分な色素吸着を行うため、色素溶液は、電極一枚当たり、2mL以上を目安とした。
色素溶液を40℃に保ちながら、色素を吸着させた。3時間後、シャーレから色素吸着済み酸化チタン膜を取り出し、アセトニトリル溶液にて洗浄して乾燥させた。
ヨウ素(0.04M)、ヨウ化リチウム(0.4M)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.4M)、n−メチルベンゾイミダゾール(0.3M)を含むアセトニトリル溶液を調製し、これを電解液とした。
25μm厚の熱融着フィルム(SOLARONIX社製)を1.2cm×1.9cmに切り出し、フィルムの内側直径9mmを円形状にくりぬき、電解液を保持させるためのスペースを設けた。
対極上に電解液を滴下し、上から光電極を重ね合わせた。みの虫クリップで両側を挟むことで色素増感型光電変換素子を作製した。このとき、光電変換部の有効面積を規定するため、直径5.5mmの円形状のくり抜き部分を有する黒色遮光マスクを使用した。作製した光電変換素子の光電極フィルムの上に遮光マスクを置くことにより、有効面積を0.2376cm2とした。
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)光源を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mWcm-2(JIS−C−8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続した。
電流電圧特性は、1Sunの光照射下、バイアス電圧を、0Vから0.8Vまで、0.01V単位で変化させながら出力電流を測定することで、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、及びエネルギー変換効率(Eff.)を評価した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化後、0.05秒後から0.15秒後の値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8V〜0Vまでステップさせる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値によりエネルギー変換効率(η)を評価した。
直径6mmに成形された酸化チタン膜を硝酸(質量分率69%,和光純薬工業株式会社)に浸漬させ、塗膜が完全に剥離するまでの時間を計測した。
作製した色素増感型光電変換素子の外周を液状の光硬化型封止剤(株式会社スリーボンド製)にて封止し、60℃、80%RHの条件の環境試験機(エスペック株式会社製)に入れて、光電変換効率の経時変化を測定した。これにより、高温高湿雰囲気下における光電変換素子の色素増感型太陽電池としての耐久性を評価した。結果を図2に示す。
バインダーフリー酸化チタンペーストを塗布する前に、下塗り層に高圧水銀ランプ(定格ランプ電力 400W)による電磁波を5分間照射したこと以外は、実施例1と同様とした。
バインダーフリー酸化チタンペーストを塗布する前に、下塗り層に高圧水銀ランプによる電磁波を10分間照射したこと以外は、実施例1と同様とした。
バインダーフリー酸化チタンペーストを塗布する前に、下塗り層に高圧水銀ランプによる電磁波照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
下塗り層をITO膜上に形成せず、かつ電磁波照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
下塗り層をITO膜上に形成せずに、ITO表面に高圧水銀ランプによる電磁波を10分間照射したこと以外は、実施例1と同様とした。
下塗り層をITO膜上にスパッタリング法により形成し、下塗り層表面に高圧水銀ランプによる電磁波を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
11 透明基板
12 透明電極層
13 下塗り層
14 半導体粒子(層)
15 増感色素
2 電解液層
3 対向電極層
31 透明基板
32 透明導電層
41 光電極層側の入射光
42 対向電極側の入射光
5 電流
Claims (7)
- 導電性基板、下塗り層及び色素を担持させた金属酸化物半導体微粒子層がこの順で積層された色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法であって、
前記下塗り層が形成された導電性基板上に、前記金属酸化物半導体微粒子層を積層する前または積層と同時に、前記下塗り層に電磁波を照射する色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。 - 導電性基板、下塗り層及び色素を担持させた金属酸化物半導体微粒子層がこの順で積層された色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法であって、
前記下塗り層は、金属酸化物または金属酸化物前駆体からなる塗膜により形成したものである請求項1に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。 - 前記下塗り層に照射する電磁波の波長が400nm以下である請求項1または2に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。
- 導電性基板、下塗り層及び色素を担持させた金属酸化物半導体微粒子層がこの順で積層された色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法であって、
前記下塗り層を形成する塗膜の前記金属酸化物が、酸化チタンである請求項1乃至3に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。 - 導電性基板、下塗り層及び色素を担持させた金属酸化物半導体微粒子層がこの順で積層された色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法であって、
前記下塗り層を形成する塗膜の前記金属酸化物前駆体が、有機チタンモノマーまたは有機チタンオリゴマーである請求項1乃至4に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。 - 前記金属酸化物前駆体が、有機チタンオリゴマーに対し、分子中に1個以上のアルコキシ基を有するシリコン化合物を反応させた構造又は混合させた組成を有する複合化合物からなる請求項1乃至5に記載した色素増感型光電変換素子用光電極の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載した製造方法により製造した光電極を備えた色素増感型太陽電池。
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