JP2012146481A - 電線被覆形成用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することが可能な電線被覆形成用材料を提供すること。
【解決手段】電線において導体を被覆する電線被覆の形成に用いられる電線被覆形成用材料であって、エチレン系樹脂を含み、エチレン系樹脂が、エチレンと、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンとの共重合体である電線被覆形成用材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、電線被覆形成用材料に関する。
USB3.0ケーブル、HDMIケーブル、インフィニバンドケーブル、マイクロUSBケーブルなどの高速伝送ケーブルなどに使用される電線は、導体と、その導体を被覆する電線被覆とで構成され、電線被覆を製造する際には、マスターバッチが使用されることがある。
例えば下記特許文献1には、予め樹脂の一部に高濃度で発泡剤を練り込んだマスターバッチを作っておき、これをベース樹脂とドライブレンドして押出することにより導体上に電線被覆を形成して電線を得ることが開示されている。
特開平11−213759号公報(段落0022)
しかし、上記特許文献1に記載のマスターバッチは、以下に示す課題を有していた。
即ちマスターバッチの樹脂としてプロピレン系樹脂を用いると、低温において脆化が起こり易いという問題があった。電線は極寒地域でも使用されうるため、このような低温における脆化は十分に抑制されることが望ましい。言い換えると、電線は優れた耐寒性を有することが望ましい。
そこで、マスターバッチの樹脂として、耐寒性に優れるポリエチレンを使用することが考えられる。しかし、マスターバッチの樹脂として低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density PolyEthylene)や高密度ポリエチレン(HDPE:High Density PolyEthylene)などのポリエチレンを用いる場合、得られる電線には高周波における誘電特性(以下、単に「誘電特性」と呼ぶ)の向上の点で未だ改良の余地があった。
またマスターバッチの樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:Linear Low Density PolyEthylene)を用いる場合、電線被覆の表面に、押出に起因する肌荒れが発生する場合があった。この肌荒れは、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)で表されるような反射減衰特性などを悪化させ、特に高周波での伝送特性を低下させるため、表面肌荒れが十分に抑制されることが求められる。
また電線においては、電気特性の低下を抑制するため、その長手方向に沿った電線被覆の外径変動を十分に抑制することが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することが可能な電線被覆形成用材料を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、電線被覆形成用材料の樹脂として、特定のエチレン系樹脂を用いることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、電線において導体を被覆する電線被覆の形成に用いられる電線被覆形成用材料であって、エチレン系樹脂を含み、前記エチレン系樹脂が、エチレンと、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンとの共重合体である電線被覆形成用材料である。
この電線被覆形成用材料によれば、当該電線被覆形成用材料を溶融押出して導体を被覆する場合に、優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することが可能となる。
上記オレフィンは、α−オレフィンであることが好ましい。
この場合、オレフィンがα−オレフィン以外のオレフィンである場合に比べて、結晶性が適度に高くなり、適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた誘電特性が得られる。
上記マスターバッチにおいて、α−オレフィンが1−ブテン及び/又は1−ヘキセンであることが好ましい。
この場合、α−オレフィンが1−ブテン及び/又は1−ヘキセン以外のα―オレフィンである場合に比べて、エチレン系樹脂を、低配合量でより効率的に適切な結晶性を有するように調節できる。
α−オレフィンが1−ブテン及び1−ヘキセンである場合、前記エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率は12質量%以下であることが好ましい。
この場合、エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率が12質量%を超える場合に比べて、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
前記エチレン系樹脂中の1−ヘキセンの配合比率は5質量%を超えないことが好ましい。
この場合、エチレン系樹脂中の1−ヘキセンの配合比率が5質量%を超える場合に比べて、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
前記エチレン系樹脂の密度は0.910〜0.940g/cmであることが好ましい。エチレン系樹脂の密度が上記範囲内にあると、0.910g/cm未満である場合と比べて、エチレン系樹脂の結晶性がより高くなり、より優れた誘電特性が得られる。またエチレン系樹脂の密度が0.940g/cmを超える場合と比べて、結晶性が高すぎることがなくなり、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
上記電線被覆形成用材料においては、前記エチレン系樹脂の融点が100〜128℃であることが好ましい。
この場合、エチレン系樹脂の融点が上記範囲を外れる場合に比べて、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
上記電線被覆形成用材料は、添加剤を更に含んでいてもよい。
前記添加剤は例えば熱分解型化学発泡剤である。熱分解型化学発泡剤を含んだ電線被覆形成用材料を用いて電線被覆を形成する際、エチレン系樹脂を高温で溶融する必要がなくなり、熱分解型化学発泡剤の熱分解をより十分に防止することができる。その結果、得られる電線被覆において発泡ムラが生じにくくなり、誘電特性が大きく低下しにくくなる。したがって、本発明は、添加剤が熱分解型の化学発泡剤である場合に、特に有用である。
上記電線被覆形成用材料は、前記添加剤を40質量%以下の割合で含有することが好ましい。
この場合、電線被覆形成用材料が40質量%を超える割合で含有する場合に比べて、ブルームの発生がより十分に抑制される。このため、この電線被覆形成用材料を溶融混練して導体上に電線被覆を形成すると、長手方向に沿って均質な電線被覆を形成することができる。
上記電線被覆形成用材料においては、前記添加剤が発泡剤であり、前記エチレン系樹脂の破断時における溶融張力が13〜50mNであることが好ましい。
エチレン系樹脂の破断時における溶融張力が13mN以上であると、発泡セルのより十分な微細化が可能になる。一方、エチレン系樹脂の破断時における溶融張力が50mN以下であると、エチレン系樹脂の押出時において発泡度が低くなりにくい傾向にある。
なお、本発明において、「破断時における溶融張力」とは、キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 1D、東洋精機製作所株式会社製)を用いて測定した溶融張力を言う。詳細には、「破断時における溶融張力」は以下のように定義される。即ち、まず内径1.0mm、長さ10mmのフラットキャピラリーに樹脂を充填する。次に、ピストンスピードを5mm/分、バレルの内径を9.55mm、引取加速度を400m/minに設定するとともに、バレル、キャピラリー及びバレル直後の恒温槽それぞれの温度を200℃の条件に設定する。その後、バレルに樹脂を充填して5分予熱した後、上記ピストンスピードで樹脂のピストン押出を開始する。そして、樹脂を上記引取加速度で加速して引き取り、樹脂が破断したときの張力を測定する。これを10回行って得られた張力の測定値の平均値を「破断時における溶融張力」と言うものとする。なお、フラットキャピラリー又はバレルに充填される「樹脂」とは、エチレン系樹脂のことを言うものとする。
本発明によれば、優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することが可能な電線被覆形成用材料が提供される。
本発明の電線被覆形成用材料を用いて形成される電線被覆を備えた電線を適用した伝送ケーブルを示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る電線被覆形成用材料を用いて形成される電線被覆を備えた電線を適用した伝送ケーブルを示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1に示すように、伝送ケーブル10は同軸ケーブルを示しており、発泡電線5と、発泡電線5を包囲する外部導体3と、外部導体3を被覆するシース4とを備えている。そして、発泡電線5は、内部導体1と、内部導体1を被覆する電線被覆としての発泡絶縁層2とを有している。
発泡絶縁層2は、熱分解型化学発泡剤と、エチレン系樹脂とを含むマスターバッチを用いて形成される。発泡絶縁層2は、マスターバッチのみを内部導体1上に溶融押出することにより形成してもよく、マスターバッチとベース樹脂とを溶融混練し、この混練物を内部導体1上に溶融押出することにより形成してもよい。
エチレン系樹脂としては、エチレンと、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンとの共重合体が用いられる。ここで、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンは、エチレン系樹脂を押し出す際の樹脂の急激な可塑化を適度にゆるやかにし、押し出しを安定しやすくするため、外径変動をより抑制することができる。また4〜20個の炭素原子を有するオレフィンは、エチレン系樹脂の表面を平滑化するため、表面肌荒れを抑制することもできる。なお、オレフィンの炭素原子数が4未満では、低温における脆化が生じやすくなる。一方、オレフィンの炭素原子数が20を超えると、結晶性が低下するとともに、誘電特性が悪化する。
4〜20個の炭素原子数を有するオレフィンとしては、α−オレフィンが挙げられる。
α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィンとしては、α−オレフィンが、不飽和エステルよりも結晶性が低くなりすぎにくいことから好ましく用いられる。中でも、α−オレフィンとしては、1−ブテン及び1−ヘキセンが併用されることが好ましい。この場合、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
α−オレフィンとして、1−ブテン及び1−ヘキセンが併用される場合、エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率は、エチレン系樹脂を100質量%とした場合に12質量%以下であることが好ましい。
この場合、エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率が12質量%を超える場合と比較して、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率は、6質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。但し、エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率は、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られることから、1質量%以上であることが好ましい。
またエチレン系樹脂中の1−ヘキセンの含有率は5質量%を超えないことが好ましい。
この場合、エチレン系樹脂中の1−ヘキセンの含有率が5質量%を超える場合に比べて結晶性が低くなりすぎにくく、適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。
またエチレン系樹脂中の1−ヘキセンの含有率は、0〜4質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましい。
尚、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンとしては、不飽和エステルを用いることも可能である。不飽和エステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸イソブチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレン系樹脂の融点は通常は80〜135℃であるが、好ましくは100〜128℃である。この場合、融点が100〜128℃の範囲を外れる場合に比べて、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。特に、エチレン系樹脂の融点を128℃以下にすることで、マスターバッチを製造する過程でエチレン系樹脂を高温で溶融する必要がなくなり、化学発泡剤の熱分解をより十分に防止することができる。その結果、得られる発泡絶縁層2において発泡ムラが生じにくくなり、誘電特性が大きく低下しにくくなる。
融点とは、JIS-K7121の手法に従って測定される融点を言う。具体的には、DSC(パーキンエルマー Diamond(入力補償型))で、試料の量を約5mgとし、試料を、
1) 200℃で10分等温保持し、
2) 200℃から−60℃に10℃/minで降温し、
3)−60℃で10分等温保持し、
4)−60℃から200℃に10℃/minで昇温 した場合に、
4)の条件下で観察される融解熱ピーク部分の頂点として求められる融解熱ピーク温度を融点と言うものとする。
エチレン系樹脂の融点は、105〜128℃であることがより好ましく、109〜127℃であることがさらに好ましい。
エチレン系樹脂の密度は通常、0.890〜0.965g/cmである。中でも、エチレン系樹脂の密度は、0.910〜0.940g/cmであることが好ましい。エチレン系樹脂の密度が上記範囲にあると、0.910g/cm未満である場合と比べて、エチレン系樹脂の結晶性がより高くなり、より優れた誘電特性が得られる。またエチレン系樹脂の密度が0.940g/cmを超える場合と比べて、結晶性を適度に高い状態にでき、それによって適度に高い耐熱性が得られるとともに、より優れた柔軟性、耐寒性及び誘電特性が得られる。エチレン系樹脂の密度は、より好ましくは0.917〜0.929g/cmである。ここで、密度とは、JIS−K7112の手法に従って測定される密度を言う。
エチレン系樹脂は、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒などの公知の重合触媒を用いて合成することができる。中でも、シングルサイト触媒の一つであるメタロセン系触媒が好ましい。メタロセン系触媒を用いて合成されたエチレン系樹脂においては、分子量分布が狭く、高周波信号を吸収し易く誘電特性を低下させる原因となる不要な低分子量成分の割合が少ないため、誘電特性を向上させることができる。
該メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物からなる触媒成分と有機アルミニウムなどの助触媒成分とを用いて得られる重合触媒である。また、該シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物としては、元素の周期表(IUPAC1989年)第3〜6族の元素を有する化合物が好ましい。また、シクロペンタジエニル2個が遷移金属をサンドイッチ状に挟みこんだ構造が好ましい。
(熱分解型化学発泡剤)
熱分解型化学発泡剤としては、熱分解してNH3、N2、CO2等のガスを発生するものであればよく、例えば、アゾジカルボンアミド(以下、「ADCA」と呼ぶ)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(以下、「OBSH」と呼ぶ)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、アゾジカルボンアミドが、微細発泡が形成しやすく、熱分解温度が高く、エチレン系樹脂の融点と熱分解温度との差がより大きくなり、マスターバッチを製造する過程において化学発泡剤の熱分解を十分に抑制できるため好ましい。
マスターバッチ中の熱分解型化学発泡剤の含有率は好ましくは40質量%以下である。この場合、マスターバッチ中の熱分解型化学発泡剤の含有率が40質量%を超える場合に比べて、ブルームの発生がより十分に抑制される。このため、このマスターバッチそれ自体を溶融するか、又はマスターバッチとベース樹脂とを溶融混練して内部導体1を被覆するように押し出すと、長手方向に沿って均質な発泡絶縁層2を形成することができる。
マスターバッチ中の熱分解型化学発泡剤の含有率はより好ましくは30質量%以下である。但し、発泡成形時に均質な発泡を得るという観点からは、マスターバッチ中の熱分解型化学発泡剤の含有率は、0.5質量%以上であることが好ましい。
マスターバッチを得るためには、エチレン系樹脂と発泡剤とを押出機に導入して混練すればよい。そのためには、エチレン系樹脂及び発泡剤を、エチレン系樹脂の融点以上の温度に加熱して混練すればよい。但し、発泡剤として熱分解型の化学発泡剤を用いる場合、混練中に発泡剤が熱分解すると、発泡絶縁層2において発泡ムラが生じるおそれがある。そのため、混練は、樹脂の温度が160℃以下となる温度で行うことが好ましい。例えば熱分解型化学発泡剤としてADCAを用いる場合には、混練は、樹脂の温度が130〜160℃となる温度で行うことが好ましい。
マスターバッチを用いて発泡絶縁層2を形成する場合には、まずマスターバッチ中のエチレン系樹脂を溶融させる。このとき、熱分解型発泡剤を熱分解させない。その後、熱分解型化学発泡剤を熱分解温度以上の温度に加熱して熱分解させ、分解ガスを発生させる。そして、分解ガスを含有した樹脂を押し出しながら発泡させて、この押出物で内部導体1を被覆する。こうして内部導体1上に発泡絶縁層2が得られる。
こうして得られる発泡絶縁層2は、耐寒性及び誘電特性に優れるとともに外径変動及び表面荒れを十分に抑制できる。また、発泡絶縁層2を高速で押し出しても、エチレン系樹脂の熱による劣化を十分に抑制することができる。従って、発泡電線5の製造効率を十分に向上させることができる。
発泡絶縁層2中のエチレン系樹脂の破断時における溶融張力は13mN以上であることが、発泡セルのより十分な微細化が可能になるという理由から好ましく、17mN以上であることがより好ましい。但し、エチレン系樹脂の破断時における溶融張力が大きすぎると、エチレン系樹脂の押出時において発泡度が低くなりやすい傾向にあるため、溶融張力は50mN以下であることが好ましく、35mN以下であることがより好ましい。
破断時におけるエチレン系樹脂の溶融張力は、例えば押出機のダイス出口におけるエチレン系樹脂の温度を調整することで調整することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、発泡電線5が、伝送ケーブルとしての同軸ケーブルに適用された例が示されているが、発泡電線5は、USB3.0ケーブル、HDMIケーブル、インフィニバンドケーブル、マイクロUSBケーブルなどの高速伝送ケーブルなどにも適用可能である。
また上記実施形態では、発泡剤として、熱分解型化学発泡剤が使用されているが、発泡剤としては、熱分解型化学発泡剤に限らず、N2、CO2などの非熱分解型の発泡剤を用いることも可能である。
また、上記実施形態では、添加剤として発泡剤が用いられているが、発泡剤に代えて発泡核剤を使用することも可能である。但し、添加剤として発泡核剤を使用する場合には、マスターバッチを用いて押出成形をする際、物理発泡剤を導入する必要がある。この場合、発泡核剤を起点として気泡を形成することができる。発泡核剤としては、例えばタルク、クレイ、ボロンナイトライド(BN)、シリカ等の微粉末、アゾジカルボンアミドやフッ素系樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン。以下、「PTFE」と呼ぶ)の微粉末、フッ素系ゴムの微粉末を用いることが可能である。
また発泡核剤を添加剤として用いる場合、マスターバッチ中の発泡核剤の含有率はより好ましくは30質量%以下である。但し、発泡成形時に均質な発泡を得るという観点からは、マスターバッチ中の発泡核剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
また上記実施形態では、電線として、発泡電線5が用いられているが、本発明の電線被覆形成用材料は、発泡電線の被覆である発泡絶縁層のみならず、非発泡電線の被覆にも適用可能である。即ち、添加剤として、発泡剤や発泡核剤を用いる代わりに、金属不活性化剤や酸化防止剤などを用いることも可能である。この場合でも、優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することは可能である。添加剤として金属不活性化剤又は酸化防止剤を用いる場合、さらに耐熱老化性に優れた電線被覆を得ることが可能となる。
金属不活性化剤は、内部導体1との接触によるベース樹脂の劣化を防止するためのものであればいかなるものであってもよい。このような金属不活性化剤としては、ヒンダードフェノールと異なる化学構造を有するヒドラジド系の金属不活性化剤であることが好ましい。このような金属不活性化剤としては、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール(例えば、ADEKA社製CDA−1、ADEKA社製CDA−1M)、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド又はデカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド(例えばADEKA社製CDA−6)が用いられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジドが、耐熱老化特性をより効果的に向上させることができるため好ましい。
酸化防止剤は、内部導体1との接触によるベース樹脂の劣化促進や、熱又は酸素による通常の酸化劣化を防止するためのものであればいかなるものであってもよいが、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有するものであることが好ましい。
ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤としては、例えばセミヒンダードフェノール系の酸化防止剤やレスヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられる。
セミヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−80)、エチレンビス(オキシエチエレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](例えば、BASF社のイルガノックス245)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−70)が挙げられる。
レスヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、大内新興化学工業社のノクラック300)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−30)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−40)が挙げられる。
これらのセミヒンダードフェノール系の酸化防止剤やレスヒンダードフェノール系の酸化防止剤は、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤の中でも特に周波数による影響を比較的受け難く、GHz帯域における誘電特性をより良好にすることができる。
また酸化防止剤又は金属不活性化剤を添加剤として用いる場合、マスターバッチ中の酸化防止剤又は金属不活性化剤の含有率はより好ましくは30質量%以下である。但し、より優れた耐熱老化特性を得るという観点からは、マスターバッチ中の酸化防止剤又は金属不活性化剤の含有率は、0.05質量%以上であることが好ましい。
さらに上記添加剤は省略してもよい。即ち、電線被覆形成用材料は、エチレン系樹脂のみから構成されるものであってもよい。この場合でも、優れた耐寒性及び誘電特性を有するとともに外径変動及び表面肌荒れが十分に抑制された電線被覆を形成することは可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表1中の数値の単位は、特に明示していない場合には「質量部」である。また表1において、空欄は、マスターバッチ樹脂(MB樹脂)、化学発泡剤、発泡核剤、金属不活性化剤又は酸化防止剤の配合量が0質量部であることを意味する。さらに表1において、ρは密度を表し、その単位はg/cmである。
(実施例1)
MB樹脂としての、125℃の融点(mp)を有するエチレン系樹脂であるCU5003(商品名、密度:0.928g/cm、住友化学株式会社製)、及び熱分解型化学発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(ADCA)を押出機(製品名:ラボプラストミルD2020、スクリュー径(D):直径20mm、有効スクリュー長(L):400mm、東洋精機製作所社製)に投入した。このとき、ADCAは、MB樹脂100質量部に対して1質量部を添加した。そして、下記条件(混練温度及びスクリュー速度)で溶融押出を行い、溶融押出物をペレタイザーでカットした。こうしてペレット状のマスターバッチを得た。なお、MB樹脂であるエチレン系樹脂は、メタロセン系触媒を用いて合成されたものである。
混練温度 :145℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例2〜6)
MB樹脂とADCAとの配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例7)
MB樹脂を、CU5003から、GT050(商品名、mp:110℃、密度:0.922g/cm、住友化学株式会社製)に変更し、MB樹脂とADCAとを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。なお、MB樹脂であるGT050は、メタロセン系触媒を用いて合成されたエチレン系樹脂である。
混練温度 :130℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例8)
MB樹脂を、CU5003から、GT140(商品名、mp:106℃、密度:0.918g/cm、住友化学株式会社製)に変更し、MB樹脂とADCAとを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。なお、MB樹脂であるGT140は、メタロセン系触媒を用いて合成されたエチレン系樹脂である。
混練温度 :125℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例9)
MB樹脂を、CU5003から、GH030(商品名、mp:102℃、密度:0.912g/cm、住友化学株式会社製)に変更し、MB樹脂とADCAとを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。なお、MB樹脂であるGH030は、メタロセン系触媒を用いて合成されたエチレン系樹脂である。
混練温度 :120℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例10)
MB樹脂を、CU5003から、GH030に変更し、発泡剤を、ADCA単独から、ADCAとOBSHとの混合物に変更し、エチレン系樹脂とADCAとOBSHとの配合比率を表1に示す通りとし、MB樹脂と発泡剤とを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。
混練温度 :120℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例11)
MB樹脂を、CU5003から、GH030に変更し、発泡剤を、ADCA単独から、OBSH単独に変更し、エチレン系樹脂とOBSHとの配合比率を表1に示す通りとし、MB樹脂と発泡剤とを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。
混練温度 :120℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
(実施例12)
発泡剤であるADCAを、発泡核剤であるPTFEに変更したこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例13)
発泡剤であるADCAを、発泡核剤であるPTFEに変更したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例14)
発泡剤であるADCAを、発泡核剤であるPTFEに変更したこと以外は実施例5と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例15〜17)
発泡剤であるADCAを、金属不活性化剤であるアデカスタブCDA−1(ADEKA社製)に変更し、金属不活性化剤の配合量を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例18〜20)
発泡剤であるADCAを、酸化防止剤であるアデカスタブAO−40(ADEKA社製)に変更し、酸化防止剤の配合量を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを作製した。
(実施例21)
発泡剤であるADCAをMB樹脂に添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチを作製した。
(比較例1)
MB樹脂を、CU5003から、LDPEであるB028(商品名、mp:113℃、密度:0.928g/cm、宇部丸善ポリエチレン株式会社製)に変更し、MB樹脂とADCAとを以下の条件で溶融押出したこと以外は実施例3と同様にしてマスターバッチを作製した。なお、MB樹脂であるB028は、高圧法で合成されたLDPEである。
混練温度 :135℃(設定温度)
スクリュー速度:20rpm
[特性評価]
実施例1〜21及び比較例1で得られたマスターバッチについて、以下の特性を評価した。
(1)1−ブテン及び1−ヘキセンの含有率
エチレン系樹脂中の1−ブテン及び1-ヘキセンの含有率は、実施例1〜21及び比較例1のMB樹脂について測定したNMRスペクトルから算出した。結果を表1に示す。なお、NMRスペクトルは、日本電子JNM EX−270によって測定した。NMRの測定条件は以下の通りとした。
測 定 核 種:13C(67.8MHz)
積 算 回 数:10000回
測 定 温 度:114.2℃
溶 媒:オルトジクロロベンゼン及び重ベンゼンの混合溶媒(体積比=3:1)
試料の濃度 :5質量%
プ ロ ー ブ:外径5mmφ(石英ガラス)
(2)マスターバッチの吐出量
実施例1〜9、12〜21及び比較例1のマスターバッチについては、マスターバッチを押出機(製品名:東洋精機製作所社製ラボプラストミルに、スクリュー径(D):直径25mm、有効スクリュー長(L):500mmの単軸押出機を接続した押出機)で、140℃に設定し、樹脂温度が160℃で安定するように回転数を少しずつ増加していき、安定した際の吐出量(※1)を求めた。結果を表2に示す。なお、樹脂温度は、吐出された樹脂が直接接し、押出機とは触れないようにダイス付近へ熱電対を設置し、直接測定した温度を示す。
また実施例10〜11のマスターバッチについては、マスターバッチを上記ラボプラストミルの単軸押出機に投入し、設定温度110℃でのMB樹脂温度が130℃となる吐出量(※2)を求めた。結果を表2に示す。
(3)ブルーム(ブルーミング)
ブルームは、実施例1〜21及び比較例1のマスターバッチを、50℃で1ヶ月放置した後、表面を観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。

A・・・目視で表面に異物が確認できない
B・・・目視で表面に異物が確認できる
(4)破断時における溶融張力
実施例1〜21及び比較例1で得られたMB樹脂について破断時における溶融張力を測定した。結果を表2に示す。
(5)発泡の有無
実施例1〜21及び比較例1で得られたマスターバッチの一部を切り取り、そのマスターバッチの断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、発泡の有無を調べた。結果を表2に示す。なお、表2において、発泡が起こっていない場合はAと表記し、発泡が起こっている場合にはBと表記した。
(6)外径変動幅
実施例1〜11及び比較例1で得られたマスターバッチについては、このマスターバッチとプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体(商品名:FB5100、mp:165℃、日本ポリプロ株式会社製)とを、最終的な発泡剤濃度が0.6質量%となるような比率でドライブレンドし、押出機に投入した後、混練し、150m/minの押出線速にて混練物を押し出しながら、直径0.32mmの錫めっき銅線の導体を混練物で被覆した。こうして、電線被覆の外径が0.9mmで発泡度が40%である電線を作製した。
一方、実施例12〜20については、このマスターバッチと上記プロピレン系樹脂とを、最終的な発泡核剤濃度が0.1質量%となるような比率でドライブレンドし、押出機に投入した後、混練し、押出機の途中で、Nガスを圧入し、150m/minの押出線速にて混練物を押し出しながら、直径0.32mmの錫めっき銅線の導体を混練物で被覆した。こうして、電線被覆の外径が0.9mmで、発泡度が40%である電線を作製した。
さらに、実施例21については、CU5003を押出機に投入した後、混練し、150m/minの押出線速にて混練物を押し出しながら、直径0.32mmの錫めっき銅線の導体を混練物で被覆した。こうして、電線被覆の外径が0.9mmで発泡度が0%である電線を作製した。
そして、長さ2000mの電線について、外径の最大値及び最小値を、外径測定器(キーエンス社製高速高精度デジタル測定器LS−7000シリーズ)を用いて測定し、下記式:
Figure 2012146481
に基づいて外径変動幅を算出した。結果を表2に示す。なお、表2においては、外径変動幅のレベルを、外径変動幅に応じて以下のA〜Dの4段階に分けて表記した。ここで、A〜Cは外径変動幅に優れるとして合格とし、Dは外径変動幅に劣るとして不合格とした。

A…外径変動幅が30μm未満
B…外径変動幅が30μm以上50μm未満
C…外径変動幅が50μm以上200μm未満
D…外径変動幅が200μm以上
(7)低温脆化特性(耐寒性)
低温脆化特性は、実施例1〜21及び比較例1のMB樹脂について低温脆化試験を行うことによって評価した。低温脆化試験は、以下のようにして行った。
即ち実施例1〜21及び比較例1のMB樹脂について、脆化温度試験機(製品名:ぜい化試験機TM−2110、上島製作所製)を使用して脆化温度を測定した。このとき、厚さ2mmの板状にMB樹脂を加工し、それを幅6mm、長さ約38mmに切断した試料を用い、試験条件はASTM D746に従い、試料表面に傷や割れが発生する温度を脆化温度とした。結果を表2に示す。なお、表2においては、低温脆化特性のレベルを、脆化温度に応じて以下のA〜Dの4段階に分けて表記した。ここで、A〜Cは低温脆化特性に優れるとして合格とし、Dは低温脆化特性に劣るとして不合格とした。

A…脆化温度が−50℃以下
B…脆化温度が−50℃より高く−40℃以下
C…脆化温度が−40℃より高く−30℃以下
D…脆化温度が−30℃より高い
(8)電線被覆製造時の押出外観
実施例1〜21及び比較例1で得られたマスターバッチを押し出して得られた外観、即ち、外径変動幅を調べるために先に作製した電線における電線被覆の押出外観を目視にて観察することにより表面荒れの状態を調べた。結果を表2に示す。なお、表2においては、押出外観のレベルを、表面荒れの程度に応じて以下のA〜Dの4段階に分けて表記した。ここで、A〜Cは表面荒れが十分に抑制されているとして合格とし、Dは表面荒れが十分に抑制されていないとして不合格とした。

A…目視で表面の荒れが確認できず、触ると滑らかであり凹凸は確認できないレベル
B…目視で表面の荒れが確認できず、触るとわずかに凹凸が確認できるレベル
C…目視で表面の荒れがやや確認でき、触ると凹凸が確認できるレベル
D…目視で表面の荒れが十分に確認でき、触ると明確に凹凸が確認できるレベル
(9)耐熱老化特性
耐熱老化特性は以下のようにして評価した。即ちまず、外径変動幅を調べるために実施例1〜21及び比較例1で得られたマスターバッチを用いて先に作製した各種電線から内部導体を抜き取り、残った電線被覆について引張試験を行い、引張強度および伸び残率を測定した。以下、それぞれ「初期引張強度」及び「初期伸び残率」という。次に、その各種電線を恒温槽にて110℃で放置し、定期的に取り出して引張試験を行い、引張強度および伸びを測定した。そして、この引張強度が初期引張強度の50%となるか、または伸びが初期伸び残率の50%となった日数を、酸化防止剤及び金属不活性化剤を用いない実施例14の日数を100とした場合の相対値で算出した。結果を表2に示す。この相対値がA〜Cであれば耐熱老化性に優れるとして「合格」とし、Dであれば耐熱老化性に劣るとして「不合格」とした。

A…相対値が250以上
B…相対値が150以上250未満
C…相対値が100以上150未満
D…相対値が100未満
(10)誘電特性
誘電特性は、誘電正接(tanδ)に基づいて評価した。ここで、誘電正接(tanδ)は、実施例1〜21及び比較例1のMB樹脂を、直径2mm、長さ10cmの棒状に成形し、このシートについて、サムテック社製SUM-TM0m0の測定プログラムを用いたマイクロ波測定システムにて、測定周波数3.0GHzおよび14.6GHzの各周波数にて測定した。結果を表2に示す。各周波数ごとのtanδの合格基準は以下の通りである。

3.0GHz・・・・1.8×10−4以下
14.6GHz・・・1.7×10−4以下
(11)耐熱性
耐熱性は、外径変動幅を調べるために実施例1〜21及び比較例1のマスターバッチを用いて先に作製した各種電線について、加熱変形試験を行って測定した加熱変形率に基づいて評価した。加熱変形試験は、東洋精機製作所株式会社製の「三個掛加熱変形試験機型番W−3」の加熱変形試験機を用いることによって行った。具体的には、直径9mm、長さ5.0mmの円柱ジグの上に、長さ5cmに切断した電線を載せて1時間予熱した後、この電線を円柱ジグに押し付けながら100℃に加熱して250gの荷重を1時間にわたってかけることにより行った。そして、加熱変形率は、下記式:
Figure 2012146481

(式中、Tbは加熱変形試験前の電線被覆の厚さ、Taは加熱変形試験後の電線被覆の厚さを示す)
に従って算出した。結果を表2に示す。なお、表2においては、実施例9〜11の加熱変形率を100(%)とし、それに対する相対的な加熱変形率を示している。

Figure 2012146481
Figure 2012146481
表2に示す結果より、実施例1〜21のマスターバッチはいずれも、外径変動幅、低温脆化特性、押出外観、誘電正接の点で合格基準に達していた。これに対し、比較例1のマスターバッチは、誘電正接の点で合格基準に達していなかった。
以上より、本発明の電線被覆形成用材料は、電線被覆の形成に極めて適していることが確認された。
1…内部導体(導体)
2…発泡絶縁層(電線被覆)
5…発泡電線(電線)
10…伝送ケーブル

Claims (11)

  1. 電線において導体を被覆する電線被覆の形成に用いられる電線被覆形成用材料であって、
    エチレン系樹脂を含み、
    前記エチレン系樹脂が、エチレンと、4〜20個の炭素原子を有するオレフィンとの共重合体である電線被覆形成用材料。
  2. 前記オレフィンがα−オレフィンである、請求項1に記載の電線被覆形成用材料。
  3. 前記α−オレフィンが1−ブテン及び/又は1−ヘキセンである、請求項2に記載の電線被覆形成用材料。
  4. 前記エチレン系樹脂中の1−ブテンと1−ヘキセンとの合計配合比率が12質量%以下である、請求項3に記載の電線被覆形成用材料。
  5. 前記エチレン系樹脂中の1−ヘキセンの配合比率が5質量%を超えない、請求項3又は4に記載の電線被覆形成用材料。
  6. 前記エチレン系樹脂の密度が0.910〜0.940g/cmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電線被覆形成用材料。
  7. 前記エチレン系樹脂の融点が100〜128℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電線被覆形成用材料。
  8. 添加剤を更に含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の電線被覆形成用材料。
  9. 前記添加剤が熱分解型化学発泡剤である、請求項8に記載の電線被覆形成用材料。
  10. 前記添加剤を40質量%以下の割合で含有する、請求項8又は9に記載の電線被覆形成用材料。
  11. 前記添加剤が発泡剤であり、前記エチレン系樹脂の破断時における溶融張力が13〜50mNである請求項8〜10のいずれか一項に記載の電線被覆形成用材料。
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