JP2012140366A - ヒンダードポリオールエステルの製造方法 - Google Patents

ヒンダードポリオールエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいポリオールエステルを得ることができるポリオールエステルの製造方法の提供。
【解決手段】水分の含有量が150質量ppm〜1,000質量ppmである前記脂肪酸低級アルキルエステルと前記ポリオールとを含有する混合液に、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して0.01質量%〜0.05質量%の金属アルコキシドを添加し、60℃〜90℃の温度下で系内の前記水分と生成する低級アルコールとを留去して混合液中の前記水分の含有量を100質量ppm以下とする工程1と、前記工程1に続いて、160℃〜250℃に加熱昇温し、該温度範囲に維持する工程2と、を含むヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒンダードポリオールエステルの製造方法、特にポリオールの水酸基を全てエステルとしたヒンダードポリオールフルエステルの製造方法に関する。
ヒンダードポリオールエステル、中でもポリオールの水酸基を全てエステルとしたヒンダードポリオールフルエステルは、潤滑性、耐熱性、酸化安定性、低温流動性、生分解性などに優れ、鉱物油の代替として潤滑油の基油などとして用いられている。このヒンダードポリオールエステルは、ポリオールと脂肪酸とのエステル化反応や、ポリオールと脂肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応によって合成することができる。前記エステル交換反応による場合、その触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属アルコキシド等の強アルカリを用いることができるが、特に、アルカリ触媒として、ナトリウムメトキシド等のアルコキシドを用いた場合、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を使用した場合に比べて、反応時間を短縮でき、高い反応率が得られることが知られている(特許文献1参照)。
特開平7−305079号公報
本発明者らは、金属アルコキシド触媒をエステル交換反応に使用する場合、脂肪酸の副生により目的物であるヒンダードポリオールエステルの酸価が高くなるという新たな課題を見出した。これは、強アルカリ性である金属アルコキシド触媒と脂肪酸エステルとの反応により脂肪酸塩が生成し、これが触媒除去のための水洗工程等で加水分解して脂肪酸となることによるものと推測される。
一方、前記酸価の増加を防ぐために、アルカリ触媒の使用量を減らした場合、特にネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のヒンダードアルコールをポリオールとして用いたエステル交換反応によるヒンダードポリオールフルエステルの製造においては、反応速度の低下が問題となる。
また、金属アルコキシド触媒は、水と反応して分解し、その触媒活性を失うため、原料中に残存する水分が、ヒンダードポリオールエステルの生産性を低下させる点で問題である。これに対して、触媒の添加前に反応系内の水分を除去する工程を含めると、製造が煩雑となる点で問題である。
したがって、本発明は、反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいポリオールエステルを得ることができるポリオールエステルの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、水分の含有量が150質量ppm〜1,000質量ppmである前記脂肪酸低級アルキルエステルと前記ポリオールとを含有する混合液に、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して0.01質量%〜0.05質量%の金属アルコキシドを添加し、60℃〜90℃の温度下で系内の前記水分と生成する低級アルコールとを留去して混合液中の前記水分の含有量を100質量ppm以下とする工程1と、前記工程1に続いて、160℃〜250℃に加熱昇温し、該温度範囲に維持する工程2とを含むヒンダードポリオールエステルの製造方法は、反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいポリオールエステルを得ることができることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 金属アルコキシドを触媒とするポリオールと脂肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応によるヒンダードポリオールエステルの製造方法であって、下記工程1及び下記工程2を含むことを特徴とするヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
工程1:水分の含有量が150質量ppm〜1,000質量ppmである前記脂肪酸低級アルキルエステルと前記ポリオールとを含有する混合液に、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して0.01質量%〜0.05質量%の前記金属アルコキシドを添加し、60℃〜90℃の温度下で系内の前記水分と生成する低級アルコールとを留去して混合液中の前記水分の含有量を100質量ppm以下とする工程。
工程2:前記工程1に続いて、160℃〜250℃に加熱昇温し、該温度範囲に維持する工程。
<2> 工程1における脂肪酸低級アルキルエステルのモル数/(ポリオールのモル数×ポリオール1分子中の水酸基の数)の比が、1.0〜2.0である前記<1>に記載のヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
<3> 工程2の後、更に未反応の脂肪酸低級アルキルエステルを留去し、金属アルコキシド由来の成分を吸着剤を用いて除去する工程を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
<4> ポリオールがトリメチロールプロパンである前記<1>から<3>のいずれかに記載のヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
<5> 工程1における水分と低級アルコールとの留去が、50kPa以下の減圧下にて行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載のヒンダードポリオールエステルの製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいポリオールエステルを得ることができるポリオールエステルの製造方法を提供することができる。
(ヒンダードポリオールエステルの製造方法)
本発明のヒンダードポリオールエステルの製造方法は、比較的低温の条件でエステル交換反応を行う工程1と、その後に加熱昇温して、比較的高温でエステル交換反応を行う工程2とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでなる。
<工程1>
前記工程1は、比較的低温の条件でエステル交換反応を行う工程である。前記工程1(以下、「低温反応工程」と称することがある。)においては、ポリオールと脂肪酸低級アルキルエステルとを含有する混合液に、エステル交換触媒としての金属アルコキシドを添加して反応させ、その後系内の水分と生成する低級アルコールを留去する。
<<混合液>>
前記混合液は、ポリオールと、脂肪酸低級アルキルエステルと、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記ポリオールと前記脂肪酸アルキルエステルとを反応原料とし、前記金属アルコキシドを触媒としてエステル交換反応を行う場合、反応系に水分が含まれていると、該水分により前記金属アルコキシドの触媒活性が失われてしまうため好ましくないが、通常、このような反応系には、前記原料に由来する水分が150質量ppm〜1,000質量ppm程度含まれてしまう。
本発明のヒンダードポリオールエステルの製造方法では、このような水分含有系であっても、水分の除去工程が不要であり、反応速度が速く、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいポリオールエステルを得ることができる点で有利である。
−ポリオール(多価アルコール)−
前記ポリオール(多価アルコール)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等のヒンダードポリオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなヒンダードポリオールは、立体障害から通常フルエステルとすることが困難であることから、特にこれらのフルエステルを製造する場合に本発明の効果がより有効に得られる点で好ましい。これらの中でも、流動点が低く、潤滑油に適した基材が得られる点で、トリメチロールプロパンが好ましい。
前記ポリオールの仕込み量としては、特に制限はなく、前記脂肪酸低級アルキルエステルの量などに応じて適宜選択することができる。
−脂肪酸低級アルキルエステル−
前記脂肪酸低級アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飽和又は不飽和のアシル基を有する、炭素数が8〜18である脂肪酸や炭素数が1〜4の低級アルコールのエステルが好ましく、脂肪酸メチルエステルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪酸メチルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチルなどが挙げられる。
前記脂肪酸低級アルキルエステルの酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エステル交換反応にアルカリ触媒である金属アルコキシドを使用するため前記酸価が小さいほどより少ない触媒量で高い反応率が得られ、最終生成物中の副生脂肪酸を少なくすることができるために好ましく、0.5以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が特に好ましい。
前記酸価は、例えば、JIS K2501に従い測定することができる。
前記脂肪酸低級アルキルエステルの仕込み量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒンダードポリオールエステルのフルエステルを効率よく得る観点から、前記脂肪酸低級アルキルエステルのモル数/(前記ポリオールのモル数×前記ポリオール1分子中の水酸基の数)の比が、1.0〜2.0の範囲が好ましく、1.05〜1.5がより好ましく、1.1〜1.3が特に好ましい。
<<金属アルコキシド>>
前記エステル交換触媒としての金属アルコキシドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも入手の容易さの点で、ナトリウムメトキシドが好ましい。
前記金属アルコキシドの添加量としては、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して0.01質量%〜0.05質量%である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して、0.01質量%〜0.04質量%が好ましく、0.01質量%〜0.03質量%がより好ましく、0.01質量%〜0.02質量%が特に好ましい。前記添加量が、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して、0.01質量%以上であると十分な反応速度が得られ、0.05質量%以下であると、脂肪酸塩の生成が抑制され、酸価の低い目的生成物を得ることができる。また、前記添加量が前記好ましい範囲とすることで、より十分な反応速度が安定して得られ、かつ、生成物の酸価がより低くなる点で有利である。
前記金属アルコキシドは、粉末の状態で添加してもよく、メタノール等の低級アルコール溶液として添加してもよい。前記金属アルコキシドをメタノール等の低級アルコール溶液として添加する方法は、反応組成物に触媒を均一に溶解することができる点で有利である。
前記金属アルコキシドの添加温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、原料である前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルを含む混合液中の水分による金属アルコキシドの分解を抑制するために、60℃〜90℃が好ましく、60℃〜85℃がより好ましく、70℃〜80℃が特に好ましい。前記好ましい温度範囲で前記金属アルコキシドを添加した場合、前記金属アルコキシドの添加と共に反応が速やかに進行するため、反応により生成する低級アルコールを減圧等の手段により系外に除去する操作により、水分も速やかに除去でき、これにより前記金属アルコキシドと水分との反応がより抑制されるものと推定している。
なお、前記好ましい温度範囲外であっても、前記金属アルコキシドを仕込み後、速やかに加熱昇温して反応を開始しても本発明の効果を得ることができる。
<<反応方法、条件>>
前記低温反応工程(工程1)では、前記金属アルコキシドを添加した後、60℃〜90℃の温度下、エステル交換反応を行い、留出してくる低級アルコールを系外に除去することで同時に原料由来の水分を留去し、水分を100質量ppm以下とする。
前記温度条件としては、60℃〜90℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60〜85℃が好ましく、70〜80℃がより好ましい。
前記温度条件が、60℃未満であると、エステル交換反応の進行が遅いため脱水が進行しない場合があり、90℃を超えると、触媒活性が低下する場合がある。
前記低温反応工程においては、エステル交換反応により生成する低級アルコールを系外に除去することで同時に水分を同伴させて効率よく短時間のうちに水分の除去を行うことができる。
前記低級アルコール等の除去方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば。減圧法、窒素等の気体の流通による方法などが挙げられる。
前記減圧法の場合、その圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50kPa以下が好ましく、30kPa以下がより好ましい。
前記低温反応工程の反応時間としては、特に制限はなく、水分含有量が100質量ppm以下になる範囲で目的に応じて適宜選択することができるが、概ね30分間〜120分間である。
前記低温反応工程の反応後の水分含有量としては、100質量ppm以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70質量ppm以下が好ましい。
前記水分含有量が、100質量ppmを超えると、反応率が低下し、最終的に得られるヒンダードポリオールエステル中のフルエステル含有量が低下する場合がある。一方、前記水分含有量が前記好ましい範囲内であると、安定して高い反応率が得られる点で有利である。
前記水分含有量は、例えば、カールフィッシャー水分計(商品名:AQV−7、平沼産業株式会社製)で測定することができる。
なお、前記低温反応工程において水分含有量が100質量ppmになったときの反応率(ポリオール及びヒンダードポリオールエステル中のフルエステル含有量)は、概ね15質量%〜30質量%である。
<工程2>
前記工程2は、前記工程1の反応物を160℃〜250℃に加熱昇温し、該温度範囲に温度を維持し、更にエステル交換反応を進行させる工程である。
本願発明の製造方法によれば、160℃〜250℃に昇温することにより、触媒量が従来と比べて少ない場合であっても、エステル交換反応を行うことができ、反応率を向上させて、短時間でエステル交換反応を完了することができる。
昇温時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、160℃に到達するまでの昇温時間を、60分間〜300分間とすることが、全体の反応時間を不必要に延長することなく、所望の反応率のヒンダードポリオールエステルを、特にフルエステルを得ることができるために好ましい。昇温完了後は、該温度を160℃〜250℃の範囲に維持し、エステル交換反応を更に進行させる。
前記維持する温度としては、160℃〜250℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、180℃〜230℃が好ましく、200℃〜220℃が特に好ましい。前記温度が、160℃未満であると、反応率が低下することがあり、250℃を超えると、着色が問題となることがある。前記好ましい範囲とすることでより少ない触媒量により高い反応率でフルエステルを得ることができる。
前記工程2の反応は、攪拌混合下、減圧或いは窒素などのガス流通によりエステル交換反応で生成する低級アルコールを系外に除去しながら行うことができる。
前記反応方法としては、特に制限なく、目的に応じて適宜公知の方法を選択して行うことができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記工程2で得られたヒンダードポリオールエステルから、未反応の脂肪酸低級アルキルエステルを除去する工程(以下、「脂肪酸低級アルキルエステル除去工程」と称することがある。)、前記金属アルコキシド由来の塩基成分及び酸性成分を除去する工程(以下、「塩基成分乃至酸性成分除去工程」と称することがある。)等の精製工程などが挙げられる。
<<脂肪酸低級アルキルエステル除去工程>>
前記脂肪酸低級アルキルエステル除去工程において、前記未反応の脂肪酸低級アルキルエステルを除去する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧蒸留法などが挙げられる。
<<塩基成分乃至酸性成分除去工程>>
前記塩基成分乃至酸性成分除去工程において、前記金属アルコキシド由来の塩基成分及び酸性成分を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吸着剤により除去する方法などが挙げられる。
−吸着剤−
前記吸着剤としては、塩基成分及び酸性成分を吸着可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属アルコキシド由来の塩基成分を吸着可能な吸収剤(例えば、キョーワード700(協和化学工業株式会社製))と、金属アルコキシド由来の酸性成分を吸着可能な吸収剤(例えば、キョーワード500(協和化学工業株式会社製))との混合物、などが挙げられる。
これら吸着剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粗生成物に対して、0.5質量%〜3質量%程度が好ましい。
本発明のヒンダードポリオールエステルの製造方法は、前記触媒(金属アルコキシド)の添加量が少ないため、より酸価の低い粗生成物を得ることができる。そのため、これら吸着剤の使用によって、更に酸価の低いヒンダードポリオールエステルを得ることができる点で有利である。一方、従来の触媒量の多い製造方法では吸着剤を前記程度に使用しても十分には酸価の低いヒンダードポリオールエステルを製造することができない。
<ヒンダードポリオールエステル>
本発明の製造方法は、反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高いだけでなく、脂肪酸等の副生成物が少なく、高い反応率でフルエステルを得ることができ、更に酸価の低いヒンダードポリオールエステルを得ることができる。
前記反応率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、100%(全てがフルエステル)であることが特に好ましい。
前記フルエステルの反応率は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより、反応生成物を測定試料として、該測定試料中のポリオール(未反応の原料)、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルをそれぞれ分析し、トリエステルの面積比から、ポリオールを基準としたポリオールエステルの反応率を算出することにより求めることができる。
前記酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が特に好ましい。前記酸価が0.5を超えると、安定性が悪くなることがある。
なお、本発明の製造方法により製造されたヒンダードポリオールエステルにおいて、酸価は、副生成物である前記脂肪酸に由来するものであり、該副生成物は含まれないことが好ましいため、前記酸価の下限値に臨界的意義はない。
前記酸価は、例えば、JIS K2501に従い測定することができる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<評価方法、測定方法>
以下の実施例及び比較例において、水分含有率、反応率、及び酸価は、以下の測定方法により測定した。
<<水分含有率の測定方法>>
水分含有率は、カールフィッシャー水分計(商品名:AQV−7、平沼産業株式会社製)により測定した。
<<反応率の測定方法>>
反応率としては、下記条件のガスクロマトグラフィーにより、ポリオール(原料)、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルをそれぞれ分析し、トリエステルの面積比から、ポリオールを基準としたポリオールエステルの反応率を算出した。
[ガスクロマトグラフィーの条件]
装置:5890ガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム:商品名 J&W DB−1HT(アジレント・テクノロジー株式会社製)
オーブン温度:80℃〜390℃、10℃/分間
気化室温度:390℃
検出器温度:390℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム
<<酸価の測定方法>>
酸価は、JIS K2501に従い、電位差滴定法により測定した。
(実施例1)
<工程1>
コンデンサ、温度計、攪拌機をつけた容量5Lのガラス製反応器に、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製)680.4g及びカプリン酸メチル(ライオンケミカル株式会社製)2,888.4gを仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温した。反応原料混合液の水分含有率(初期水分)は、200質量ppmであった。
前記反応原料混合液を80℃に昇温した後、トリメチロールプロパン及びカプリン酸メチルの合計質量3,568.8gに対して0.01質量%に当たる量のナトリウムメトキシド 28質量%メタノール溶液(純正化学株式会社製)1.275g(純分として0.357g、0.0066モル)を、大気圧条件下、及び80℃の温度条件下で添加した。
触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、及び80℃の温度条件下で60分間保持し、その後、20分間かけて90℃まで昇温して、コンデンサに留出してくるメタノールを除去しながらエステル交換反応を行った。90℃到達時の、水分含有率は40質量ppmであり、反応率は23.4%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、280分間かけて90℃から160℃まで昇温し、その後、120分間かけて220℃まで昇温しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物2,600gに、吸着剤(商品名:キョーワード700を26g及び商品名:キョーワード500を26g(ともに協和化学工業株式会社製))を添加して、90℃で60分間の攪拌を行った後、孔径0.45μmのPTFE製フィルター(商品名:オムニポアメンブレン、ミリポア社製)と、濾過助剤(商品名:ハイフロスーパーセル、東京珪藻土工業株式会社製;ろ過面積に対して0.8kg/m)とを用いて濾過した。
その結果、反応率98.2%で、酸価0.04mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,510gが得られた。
(実施例2)
<工程1>
実施例1と同様のガラス製反応器に、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製)680.4g及びカプリン酸メチル(ライオンケミカル株式会社製)2,888.4gを仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温した。ここで、イオン交換水を添加して反応原料混合液の水分含有率(初期水分)を800質量ppmに調整した。
水分調整した後、トリメチロールプロパン及びカプリン酸メチルの合計質量3,568.8gに対して0.04質量%に当たる量のナトリウムメトキシド 28質量%メタノール溶液(純正化学株式会社製)5.10g(純分として1.43g、0.026モル)を、大気圧条件下、及び70℃の温度条件下で添加した。
触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、及び70℃の温度条件下で60分間保持し、その後、30分間かけて90℃まで昇温して、コンデンサに留出してくるメタノールを除去しながらエステル交換反応を行った。90℃到達時の、水分含有率は60質量ppmであり、反応率は20.6%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、150分間かけて90℃から160℃まで昇温し、その後、240分間かけて220℃まで昇温しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率99.4%で、酸価0.1mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,509gが得られた。
(比較例1)
<工程1>
実施例2の工程1において、昇温温度及びナトリウムメトキシド 28質量%メタノール溶液の添加時の温度を100℃に変え、触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、及び100℃の温度条件下で30分間保持し、コンデンサに留出してくるメタノールを除去しながらエステル交換反応を行ったこと以外は、実施例2の工程1と同様の方法で比較例1の工程1の反応を行った。1時間保持後の、水分含有率は50質量ppmであり、反応率は46.6%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、120分間かけて100℃から160℃まで昇温し、その後、330分間かけて220℃まで昇温しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率88.2%で、酸価0.1mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,502gが得られた。
(比較例2)
<工程1>
実施例2の工程1において、触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、70℃の温度条件下での保持時間をとらずに昇温を開始して、30分間で70℃から90℃に昇温したこと以外は、実施例2の工程1と同様の方法で工程1の反応を行った。
90℃到達時の、水分含有率は230質量ppmであり、反応率は14.6%であった。
<工程2>
前記工程1に減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、150分間かけて90℃から160℃まで昇温し、その後、300分間かけて220℃まで昇温しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率89.2%で、酸価0.1mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,510gが得られた。
(比較例3)
<工程1>
実施例1の工程1において、触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、80℃の温度条件下での保持時間をとらずに昇温を開始して、20分間で80℃から90℃に昇温したこと以外は、実施例1の工程1と同様の方法で工程1の反応を行った。
90℃到達時の、水分含有率は140質量ppmであり、反応率は20.2%であった。
<工程2>
前記工程1に減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、280分間かけて90℃から160℃まで昇温し、その後、180分間かけて220℃まで昇温しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率94.2%で、酸価0.1mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,490gが得られた。
(比較例4)
<工程1>
比較例4の工程1は、実施例1と同様の方法で行った。
90℃到達時の、水分含有率は50質量ppmであり、反応率は24.3%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、120分間かけて90℃から140℃まで昇温し、その後、280分間140℃で保持しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率90.1%で、酸価0.1mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,507gが得られた。
(比較例5)
<工程1>
実施例2の工程1と同様の方法で、水分含有率(初期水分)800質量ppmの反応原料混合液を調製した。次いで、トリメチロールプロパン及びカプリン酸メチルの合計質量3,568.8gに対して0.1質量%に当たる量のナトリウムメトキシド 28質量%メタノール溶液(純正化学株式会社製)12.7g(純分として3.57g、0.07モル)を、大気圧条件下、及び70℃の温度条件下で添加した。
触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、及び70℃の温度条件下で120分間保持し、その後、30分間かけて90℃まで昇温して、コンデンサに留出してくるメタノールを除去しながらエステル交換反応を行った。90℃到達時の、水分含有率は60質量ppmであり、反応率は77.6%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、240分間かけて90℃から160℃まで昇温し、その後、90分間160℃で保持しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率99.1%で、酸価0.3mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,507gが得られた。
(比較例6)
<工程1>
実施例2の工程1と同様の方法で、水分含有率(初期水分)800質量ppmの反応原料混合液を調製した。次いで、トリメチロールプロパン及びカプリン酸メチルの合計質量3,568.8gに対して0.3質量%に当たる量のナトリウムメトキシド 28質量%メタノール溶液(純正化学株式会社製)38.1g(純分として10.7g、0.21モル)を、大気圧条件下、及び70℃の温度条件下で添加した。
触媒添加後直ちに減圧し、4kPa〜7kPaの圧力条件下、及び70℃の温度条件下で120分間保持し、その後、30分間かけて90℃まで昇温して、コンデンサに留出してくるメタノールを除去しながらエステル交換反応を行った。90℃到達時の、水分含有率は60質量ppmであり、反応率は88.2%であった。
<工程2>
前記工程1に続けて、減圧条件下で副生するメタノールを除去しながら、60分間かけて90℃から120℃まで昇温し、その後、180分間120℃で保持しながら、更にエステル交換反応を行った。エステル交換反応により得られた粗生成物は、実施例1と同様の方法で、吸着、濾過を行った。
その結果、反応率99.0%で、酸価0.4mgKOH/gのトリメチロールプロパンカプリレート2,507gが得られた。
実施例1〜2及び比較例1〜6の反応条件及び結果を下記表1及び下記表2にまとめて示す。
Figure 2012140366
Figure 2012140366
表1及び表2の結果より、実施例1〜2では、少ない触媒量(0.01質量%、0.04質量%)で98%以上の反応率が得られることが分かった。また、実施例1〜2では、触媒量の削減により、脂肪酸塩の生成を抑制し、水洗などの煩雑な工程を含まない簡便な精製で、酸価の小さい基材が得られることが分かった。
本発明の方法により製造されたポリオールエステルは、反応速度が速く、水分の除去工程が不要であり、反応率が十分高く、かつ酸価が小さいため、圧延用潤滑油、2サイクル,4サイクル用潤滑油等のエンジン油、工業用ギヤ油、油圧作動油、繊維用潤滑油などに好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 金属アルコキシドを触媒とするポリオールと脂肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応によるヒンダードポリオールエステルの製造方法であって、下記工程1及び下記工程2を含むことを特徴とするヒンダードポリオールエステルの製造方法。
    工程1:水分の含有量が150質量ppm〜1,000質量ppmである前記脂肪酸低級アルキルエステルと前記ポリオールとを含有する混合液に、前記ポリオール及び前記脂肪酸低級アルキルエステルの合計質量に対して0.01質量%〜0.05質量%の前記金属アルコキシドを添加し、60℃〜90℃の温度下で系内の前記水分と生成する低級アルコールとを留去して混合液中の前記水分の含有量を100質量ppm以下とする工程。
    工程2:前記工程1に続いて、160℃〜250℃に加熱昇温し、該温度範囲に維持する工程。
  2. 工程1における脂肪酸低級アルキルエステルのモル数/(ポリオールのモル数×ポリオール1分子中の水酸基の数)の比が、1.0〜2.0である請求項1に記載のヒンダードポリオールエステルの製造方法。
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