JP2012137712A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】定着が良好で且つ繰り返し印字に対してもスリーブゴーストのない良好な画像を得ることができるトナーの提供。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであり、該結着樹脂は結着樹脂A及び結着樹脂Bを有し、該結着樹脂AはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが2000以上7000以下であり、該結着樹脂BはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが9000以上200000以下であり、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、該結着樹脂Aは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有し、該結着樹脂Bは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真,静電荷像を顕像化するための画像形成方法及びトナージェットに使用されるトナーに関する。
電子写真法を用いた画像形成装置は、より信頼性が要求される軽印刷(パソコンによる文書の編集からコピー、製本までの多品種少量印刷が可能なプリント・オン・デマンド用途)向けに使われはじめた。それらに対応すべくトナーにはさらなる低温定着化と高速プリント時の耐久安定性の両立が望まれている。
特許文献1には、結晶性ブロックと非晶性ブロックからなるブロックポリエステルを結着樹脂として用いることで、機械的ストレスに強く、かつ、幅広い温度領域で十分な定着性(定着強度)を確保することが可能なトナーを提供できる提案がなされている。このようにトナーを迅速に溶融させるために結晶性物質を用いた場合、トナーの溶融特性が大きく低下する。そのため、高温での耐オフセット性や耐ブロッキング性に与える影響が非常に大きい。さらに、特にジャンピング現像方式において、高速で同じパターンの画像を多量に印字した場合、現像スリーブ上において印字部と非印字部の帯電性にムラが生じやすくなる。従って、パターンの異なる画像を印字した際に前のパターンの画像の履歴が出てしまう(以下スリーブゴーストとする)といった弊害が発生する場合がある。
特許文献2には、ある一定の電界強度の中、メインピークのピークトップにおける慣性二乗半径を制御し、且つトナーとのゼータ電位の差が特定の範囲にある無機微粉末を一定の遊離率で存在させた負帯電性磁性トナーの提案がなされている。それによると、高速印刷時,低印字時等の使用状況においても帯電ムラ、スリーブ汚染、ブロッチのない安定したトナーコート層を形成することが出来ることが開示されている。
しかし、このような場合においても、同じパターンの画像を高速で且つ多量に印字した場合、スリーブゴーストが発生する場合がある。さらに、複数の現像スリーブを近接対向して配置した画像形成装置を用いた場合、スリーブゴーストの発生が顕著になる。
以上のように、低温定着性を成り立たせた上で軽印刷特有の使用方法に対応するためには技術的課題は非常に多く、改良の余地を有する。
特許第03963673号公報 特開2008−145488号
本発明の目的は上記問題点を解消したトナーを提供することにある。
本発明の目的は画像形成装置の構成に関わらず、スリーブゴーストの発生がないトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は結着樹脂A及び結着樹脂Bを有し、該結着樹脂AはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが2000以上7000以下であり、該結着樹脂BはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが9000以上200000以下であり、
示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、該結着樹脂Aは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有し、該結着樹脂Bは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有することを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、特定の温度領域に吸熱ピークを有し、特定の分子量を有する結着樹脂を含有したトナーを用いることで、低温定着性に優れるトナーを得ることが出来る。さらに、複数の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置であってもスリーブゴーストのない良好なトナーを得ることが出来る。
本発明の磁性トナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置の一例を示す該略図である。
本発明者らはジャンピング現像方式における高速現像安定性と低温定着性の両立に関する検討を進めた。その中で、低温定着性を満足し、且つスリーブゴーストのない良好な画像を得るためには、トナーの大部分を占める結着樹脂の構成を見直す必要があることを見出した。
即ち、分子量及び分子配向を制御した結着樹脂を使用したトナーを用いることで、同一パターンの画像を連続して出力した場合の現像スリーブ上の印字部と非印字部のトナー層の帯電性を均一且つ安定的に制御できることを見出した。さらに本発明者らは、これらの効果が複数の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置で使用した時に顕著に現れることを見出した。
次に画像形成プロセスの高速現像時におけるトナー層の形成状態と摩擦帯電の関わりを、画像形成プロセスを参照しながら説明する。
図1において、現像スリーブ102の略右半周面はトナー容器106内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブの表面近傍のトナーが現像スリーブの表面に現像スリーブ内の磁気発生手段103の磁力で及び/又は静電気力により付着保持される。現像スリーブ102が回転駆動されるとその現像スリーブの表面のトナー層がトナー規制部材104の位置を通過する過程で各部均一の厚さの薄層T1として整層化される。この層厚を規制するために、強磁性金属からなるトナー層厚規制部材としての規制部材104が、現像スリーブ102の表面から約100乃至300μmのギャップ幅を持って現像スリーブ102に臨むように垂下されている。磁気発生手段103の磁極N1からの磁力線が規制部材104に集中することにより、現像スリーブ102上にトナーの薄層(トナー層)が形成される。整層化されたトナー層T1としては、現像領域部Aにおける現像スリーブ102と感光体101との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。このようなトナー層T1により静電潜像を現像する方式の非接触型現像装置に本発明は特に有効である。また、2本の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置においては第二現像スリーブはトナー規制部材を備えておらず、現像スリーブ間隙部での磁気的拘束力等により、トナーコート規制が行われる。
また、トナーの摩擦帯電は主として現像スリーブ102の回転に伴う現像スリーブの表面とその近傍のトナー溜りのトナーとの摩擦接触によりなされる。その後、現像スリーブ102上のトナー薄層の面は現像スリーブの回転に伴い感光体101側へ回転し、感光ドラム101と現像スリーブ102の最接近部である現像領域部Aを通過する。この通過過程で現像スリーブ102の表面側のトナー薄層のトナーが感光体101と現像スリーブ102間に印加した直流と交流電圧による直流と交流電界により飛翔し、現像領域部Aの感光体101表面と、現像スリーブ102面との間(間隙α)を往復運動する。最終的には現像スリーブ102側のトナーが感光体101表面の表面に潜像の電位パターンに応じて選択的に移行付着してトナー像T2が順次に形成される。
現像領域部Aを通過して、トナーが選択的に消費された現像スリーブの表面はトナー容器106のトナー溜りへ再回転することによりトナーの再供給を受け、現像領域部Aへ現像スリーブ102のトナー薄層T1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
この画像形成プロセスにおいて、同じパターンの画像が繰り返し現像される場合、現像スリーブ上においてトナーが消費され続ける場所と消費されない場所が現れてくる。トナーが消費され続ける場所はトナーの再供給を受けることが出来るため、常にトナー層を同じ状態に保つことが出来る。それに対し、トナーが消費されない場所はトナーの再供給を受けることなく同じトナーが規制及び帯電をされつづけることになる。その結果、両者の間には帯電の差が大きく生じるため、その後、違うパターンの画像を現像した際にその帯電差の履歴を大きく受けた画像が印字されることになる。さらにこのような現象は、トナー層の規制と帯電が複数の現像スリーブで行われるような画像形成装置を使用した場合、さらに顕著に見られるようになる。また、より高速で印字を行おうとした場合、現像スリーブの回転速度を速める必要があるため、現像スリーブの表面のトナー層をトナー規制部材104の位置を通過する過程でいかに均一にかつ迅速に摩擦帯電させられるかが重要になる。
この様な背景から、本発明者らは、現像スリーブ上の印字部と非印字部のトナー層の帯電を均一且つ安定的に形成させ、さらに高速印刷時にどのような印字比率においても迅速且つ均一に帯電させるためにトナーを根本から見直し検討を進めた。
即ち、本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであり、該結着樹脂は、結着樹脂A及び結着樹脂Bを有し、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、該結着樹脂Aは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有し、該結着樹脂Bは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有することを特徴とする。
吸熱ピークは結着樹脂の分子鎖が配向することによって得られる結晶状態を表す。トナー粒子中における結着樹脂成分の分子配向を制御することにより、トナー粒子内の原材料の微分散性を向上することが可能となり、トナー粒子が迅速且つ均一に帯電することが明らかになった。さらに、吸熱ピークを有することでトナー中の結着樹脂がこのピークを起点に溶融し始めることを示す。一般に吸熱ピークの温度は配向の強さにより変化することが知られている。即ち、結晶性が高い(分子配向性が高い)場合、吸熱ピークの温度が高くなり、結晶性が低い(分子配向性が低い)場合、吸熱ピークの温度が低くなる。さらに分子間の配向性が低くなると結晶性がなくなり吸熱ピークが消失する。結着樹脂A及びBの吸熱ピークが55℃未満の場合、トナー全体の溶融速度が上がるため、低温定着性は向上するものの、耐オフセット性が悪化する。また、吸熱ピークが55℃未満の場合、分子配向性が低いことを示している。このような場合、トナー粒子内の原材料の微分散性を向上することが困難となり、トナー粒子の帯電性が不均一になり、スリーブゴーストが発生する。一方、吸熱ピークが120℃よりも高い場合、トナー中の結着樹脂の動き出しが遅いことを示しており、このような場合、低温定着性が悪化する。また、吸熱ピークが120℃よりも高い場合、分子配向性が高いことを示している。このような場合、チャージアップし易い低湿環境下においてスリーブゴーストが発生する。なお、結着樹脂A及びBの吸熱ピークの好ましい範囲は、温度80℃以上120℃以下である。
さらに、本発明はトナー中の分子配向性を制御することを特徴としている。低温定着性と耐オフセット性を両立しつつ使用する環境あるいは複数の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置での使用においても均一且つ迅速な帯電を達成するためには、分子量の異なる2種類の配向性を制御された高分子を用いる必要があることを見出した。
即ち本発明は、該結着樹脂AはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが2000以上7000以下、好ましくは3500以上7000以下であり、該結着樹脂BはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが9000以上200000以下、好ましくは9000以上150000以下であることを特徴とする。
結着樹脂AのTHF可溶分の重量平均分子量Mwが2000未満の場合、トナー中に存在する結着樹脂のサイズが小さすぎるため、トナー粒子の帯電に与える影響が小さくなる。その結果、温度、湿度の変化に伴い帯電量が大きく変化し、スリーブゴーストが発生する。また、結着樹脂BのTHF可溶分の重量平均分子量Mwが200000よりも大きい場合、樹脂の配向を制御することが非常に困難となり、結晶性が消失する。その結果、低温定着性が悪化するだけではなく、トナー粒子内の原材料の微分散性を向上することが困難となり、トナー粒子の帯電性が不均一になり、スリーブゴーストが発生する。さらに、結着樹脂AとBのTHF可溶分の重量平均分子量Mwが近い、具体的には結着樹脂AのTHF可溶分の重量平均分子量Mwが7000より大きく、結着樹脂BのTHF可溶分の重量平均分子量Mwが9000未満の場合、温度、湿度の変化に伴い帯電量が大きく変化し、スリーブゴーストが発生する。これは、ほぼサイズと配向の揃った1種類の樹脂がトナー中に存在することに相当するため、温度、湿度等の環境による帯電の変化に対応できなくなるためであると考えられる。さらに、このような場合、複数の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置での使用においてスリーブゴーストの発生が顕著となった。
以上のように、2種類の分子量の異なる配向性を制御した高分子を用いることで、低温定着性と耐オフセット性を両立しつつ使用する環境あるいは複数の現像スリーブを近接対向して配置したような画像形成装置での使用においても均一且つ迅速な帯電を達成することが出来ることが明らかとなった。
尚、結着樹脂A及び結着樹脂Bの分子量の制御は、公知の方法で行うことができ、例えば反応時間、反応温度等の条件をコントロールすることによって行うことができる。
本発明における樹脂のDSC曲線の吸熱ピーク及び吸熱量は以下の方法で測定される。樹脂の吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。この昇温過程において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
この2度目の昇温過程で温度30℃以上200℃以下の範囲において、得られた吸熱ピークを結着樹脂の吸熱ピークとする。一方、それら吸熱ピークの吸熱量ΔHは上記吸熱ピークの積分値を求めることで得ることができる。尚、樹脂によっては、ガラス転移温度の近傍にエンタルピー緩和に起因する吸熱ピークが現れることがある。本発明において議論する吸熱ピークは結晶成分の融解に起因するものであるため、その場合には、エンタルピー緩和に起因する吸熱ピークよりも高温側に現れるピークに基づきピーク温度を求める。
本発明における結着樹脂のGPCによる分子量分布は以下の方法で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102乃至107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguard columnの組み合せを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2乃至0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5乃至5mg/mlとなるように調整する。
本発明に使用される結着樹脂としては、分子を配向させて結晶性を持たせるという点でポリエステル樹脂が好ましく、その中でも特に線状ポリエステルが良い。
本発明において特に好ましく用いられる線状ポリエステル樹脂の成分は以下の通りである。
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が上げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
本発明は結着樹脂の高分子鎖を配向させることで結晶性を持たせることを特徴としている。そのため、堅固な平面構造をとり、π電子系により非局在化した電子が豊富に存在することで、π−π相互作用により分子配向しやすい芳香族ジカルボン酸が好ましい。特に好ましくは直鎖構造をとりやすいテレフタル酸、イソフタル酸が良い。この芳香族ジカルボン酸の含有量はポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部中50モル部以上であることが吸熱ピークの温度を制御するという点で好ましく、より好ましくは70モル部である。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
Figure 2012137712
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
および式(2)で示されるジオール類。
Figure 2012137712
これら中でも、分子を配向させ結晶性を持たせるという観点から直鎖構造をとり易い炭素数6以下の脂肪族アルコールが好ましい。但し、配向性をコントロールし、高分子の結晶化度を制御するためには、直鎖構造をとりつつ立体的に結晶性を崩すことが可能な側鎖に置換基を有するネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の使用が特に好ましい。
本発明で使用される、ポリエステル樹脂は、上述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物以外に、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるもではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のカルボン酸化合物およびアルコール化合物を一緒に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。
さらに本発明においては、上記の如き吸熱ピークを有するポリエステル樹脂を非晶性樹脂に反応させることで、分子量分布を調整しても構わない。
また、該結着樹脂は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量2000以上12000以下の領域に少なくとも1つのピークを有し、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1以上40以下であることが好ましい。この場合には、耐ブロッキング性と定着性とを良好に両立できる。
また、該結着樹脂のガラス転移温度は、定着性及び保存性の観点から45以上60℃以下、より好ましくは45以上58℃以下が良い。
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。また、磁性酸化鉄はトナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時のスラリーにせん断をかけ、磁性酸化鉄を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
本発明においてトナーに含有させる磁性酸化鉄の量は、トナー中に25質量%以上45質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上45質量%以下が良い。
これらの磁性体は795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6kA/m以上12.0kA/m以下、飽和磁化が50.0Am2/kg以上200.0Am2/kg以下(好ましくは50.0Am2/kg以上100.0Am2/kg以下)である。さらに、残留磁化は2.0Am2/kg以上20.0Am2/kg以下のものが好ましい。
磁性酸化鉄の磁気特性は、振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
非磁性トナーとして用いる場合には、着色剤としてカーボンブラックやその他、従来より知られているあらゆる顔料や染料の一種又は二種以上を用いることができる。
着色剤は樹脂成分100.0質量部に対して、0.1質量部以上60.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上50.0質量部以下である。
本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができ、該ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
例えば、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
該離型剤を添加するタイミングは、トナー製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくい。20質量部を超える場合はトナー粒子中での分散も悪く、感光体へのトナー付着や、現像部材・クリーニング部材の表面汚染が起こりやすく、トナー画像が劣化しやすい。
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることが好ましい。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、本発明で用いられる結着樹脂の末端に存在する酸基あるいは水酸基と中心金属が相互作用し易い、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)があげられる。また、電荷制御樹脂も上述の電荷制御剤と併用することもできる。
また本発明のトナーにおいては、無機微粉末としてトナー粒子表面への流動性付与能が高い、一次粒子の個数平均粒径のより小さいBET比表面積が50m2/g以上300m2/g以下の流動性向上剤を使用することが好ましい。該流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものならば使用可能である。例えば、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
また、この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られたシリカと他の金属酸化物の複合微粉体でも良い。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001μm以上2μm以下の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002μm以上0.2μm以下の範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることが好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上80以下の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
該無機微粉末は、シリコーンオイル処理されても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm2/s以上1000mm2/s以下のものが用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
無機微粉末は、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上8質量部以下、好ましくは0.1質量部以上4質量部以下使用するのが良い。
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
滑剤としては、ポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。これらの外添剤はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明のトナーを得ることができる。
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることが出来る。溶融混練工程に用いられる混練機としては、連続生産が可能なこと等の理由から2軸押出機が好ましく用いられる。本発明においては、トナー化後も吸熱ピークを有することが重要であるため、溶融混練工程の後にアニール処理等を行うことで再結晶化させることも好ましい方法の1つである。
本発明のトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
本発明のトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<磁性酸化鉄粒子の磁気特性の測定>
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、試料温度25℃、外部磁場795.8kA/mにて測定した。
<磁性酸化鉄粒子の平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径は走査型電子顕微鏡(倍率40000倍)で磁性酸化鉄粒子を観察し、200個の粒子のフェレ径を計測し個数平均粒子径を求める。本実施例においては、走査型電子顕微鏡としては、S−4700(日立製作所製)を用いた。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。実施例中の部数は質量部である。
<結着樹脂L−1の製造例>
テレフタル酸:80mol部
フマル酸:20mol部
エチレングリコール:70mol部
メチルプロパンジオール:10mol部
ネオペンチルグリコール:20mol部
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)と共に5リットルオートクレーブに仕込む。そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して、表2に示す物性を有する結着樹脂L−1を得た。
<結着樹脂L−2乃至L−11,H−1乃至H−3,H−5,H−6及びH−8乃至H−10の製造例>
表1に記載のモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応温度、反応時間を調整しながら反応を行い、終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して、表2に示す物性を有する結着樹脂L−2乃至L−11,H−1乃至H−3,H−5,H−6及びH−8乃至H−10を得た。
<結着樹脂H−4,H−7の製造例>
ポリエステル樹脂L−10(70mol%ピーク分子量2600を分子量の代表値として“mol%”を算出する。)と1,3−プロパンジオール(15mol%)とテレフタル酸(15mol%)との混合物と、エステル化縮合触媒(ジブチルスズオキシド)とともに5リットルオートクレーブに仕込む。そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。この際、重縮合反応の時間を変えることで分子量の異なるH−4、H−7を得ることが出来る。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して、表2に示す物性を有する結着樹脂H−4,H−7を得た。
[実施例1]
・結着樹脂L−5 70部
・結着樹脂H−5 30部
・磁性酸化鉄粒子 90部
(個数平均粒径0.20μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am2/kg、σr=14Am2/kg)
・市販の低分子ポリプロピレンワックス:ビスコール660−P 3部
・荷電制御剤(下記構造式) 2部
Figure 2012137712
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を40℃で8時間保持して結晶を成長させた。その後、冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)9.0μmの負帯電性の磁性トナー粒子を得た。磁性トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体1[BET比表面積150m2/g、シリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコーンオイル10部で疎水化処理]を1.0部とチタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)3.0部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、トナーT−1を得た。トナーの処方・特性を表3に記す。
このトナーT−1を、市販のデジタル複写機(image press 1135 キヤノン製)の定着器を外部に取り出し、定着ローラー温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを1000mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。低温定着性は90g/m2紙を用い、ベタ黒未定着画像を通紙することにより評価した。
低温定着性については、ベタ黒の画像を160℃に温調した定着器に通し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけ、シルボン紙によりその定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。
A:良好(15%未満)
B:普通(15%以上、25%未満)
C:劣る(25%以上)
摩擦帯電の立ち上がりの評価は、市販のデジタル複写機(image press 1135 キヤノン製)の現像器が複写機外でも動作可能でプロセススピードを任意に設定可能になるように改造した空回転機を用いて行った。
摩擦帯電の立ち上がりは、空回転試験の時間ごとの現像スリーブ上の摩擦帯電量を測定することで評価した。摩擦帯電の立ち上がりは、空回転5秒後と1分後の摩擦帯電量の差を測定し評価した。
A:スリーブ上の帯電量の差が±5mC/kg以内である
B:スリーブ上の帯電量の差が±5乃至10mC/kgである
C:スリーブ上の帯電量の差が±10mC/kgを超える
スリーブゴーストの評価は市販のデジタル複写機(image press 1135 キヤノン製)を1.2倍のプリントスピードに改造し、温度23℃,湿度5%RHの環境(N/L)で実施した。3cm幅のベタ黒縦ラインとベタ白縦ラインの繰り返しで構成される画像を連続10枚印字させ、現像スリーブ上に繰り返し画像の履歴をつけた後、ハーフトーン画像を一枚印字させ、画像上に残る前画像の履歴を目視で判断した。尚、ハーフトーン画像の画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い、反射濃度0.4になるように調整した。
A:スリーブゴースト発生なし
B:目視で一部に前画像の履歴が確認できる
C:目視で全体的に前画像の履歴が確認できる
[実施例2乃至11]
表3に記載の処方により実施例1と同様にトナーT−2乃至11を作製した。このようにして得られたトナーについて、同様の試験をした結果を表4に示す。
[比較例1乃至11]
表3に記載の処方により実施例1と同様にトナーT−12乃至22を作製した。このようにして得られたトナーについて、同様の試験をした結果を表4に示す。
Figure 2012137712
Figure 2012137712
Figure 2012137712
Figure 2012137712
101:感光体、102:現像スリーブ、103:磁気発生手段、104:トナー規制部材、105:トナー撹拌部材、106:現像容器、A:現像領域、T1:トナー層

Claims (2)

  1. 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂は結着樹脂A及び結着樹脂Bを有し、該結着樹脂AはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが2000以上7000以下であり、該結着樹脂BはTHF可溶分の重量平均分子量Mwが9000以上200000以下であり、
    示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、該結着樹脂Aは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有し、該結着樹脂Bは温度55℃以上120℃以下に吸熱ピークを有することを特徴とするトナー。
  2. 示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、該結着樹脂Aは温度80℃以上120℃以下に吸熱ピークを有し、該結着樹脂Bは温度80℃以上120℃以下に吸熱ピークを有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
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