JP2012132043A - Cvd装置 - Google Patents

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正清 池田
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Abstract

【課題】噴霧ノズルの目詰まり及び原料の再固化を防止できる溶液気化型のCVD装置を提供する。
【解決手段】両端を閉塞された中空多段円筒状の気化室と、気化室内に噴霧ノズルによって原料溶液を導入する導入部と、気化室において気化された原料ガスを排気口を介して外部に排気する排気部と、気化室を加熱するために気化室の外周に設けられたヒータと、を有する気化器を備えたCVD装置において、気化室を、第1内径を有し、噴霧ノズルの先端が位置する第1円筒部と、第1円筒部の下方に連設され、第1内径より長い第2内径を有する第2円筒部と、で構成する。そして、排気部の排気口を、第2円筒部の側面に位置させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置に関する。
従来、液体窒素温度(77K)以上で超電導を示す高温超電導体の一種として、RE系超電導体(RE:希土類元素)が知られている。特に、化学式YBa2Cu37-yで表されるイットリウム系酸化物超電導体(以下、YBCO)が代表的である。このYBCO薄膜の形成には、例えば、基材の表面に原料ガスを供給して化学反応させることにより超電導層を成膜する化学気相成長法(CVD法:Chemical Vapor deposition method)が利用される。
CVD法を利用して超電導線材を製造する場合、超電導体の原料は蒸気圧が低く常温固体であるため、固体原料を溶解した溶液(原料溶液)を気化器において気化させ、この気化された原料ガスを反応室に供給する手法が採られている。原料溶液としては、例えばTHF(テトラヒドロフラン)の溶媒に、金属のβ−ジケトン錯体(例えばジピバロイルメタン(DPM:dipivaloylmethane)を溶解したものが用いられる。以下、金属MのDPM錯体をM(DPM)nと表す。上述した手法に用いられる溶液気化型のCVD装置は、例えば特許文献1に開示されている。
図9は、本発明者等が従来使用していた溶液気化型CVD装置の気化器の構成を示す図である。図9に示すように、従来の気化器50は、上下両端を閉塞された中空円筒型状の気化室51、気化室51内に液体又は気体を導入する導入部52、気化室51を加熱するために気化室51の外周に設けられたヒータ53、気化室51において気化された原料ガスを反応室に排気する排気部54を備えて構成されている。
導入部52は、第1導入管521と第2導入管522による二重構造となっている。第1導入管521は、気化室51の上面51aに気化室51と第1導入管521の中心軸を一致させて設けられ、先端部の噴霧ノズル521aから気化室51内に向けて原料溶液を噴霧する。第2導入管522は、第1導入管521の外側に同心状に設けられ、気化室51内に向けて不活性ガス(例えばArガス)を導入する。
気化器50において、第1導入管521に原料溶液供給部(図示略)から供給された原料溶液とともに、この原料溶液を噴霧するための不活性ガス(例えばArガス)が導入されると、第1導入管521の噴霧ノズルから原料溶液が高速で噴霧される。そして、噴霧された原料溶液はヒータ53によって加熱された気化室51の内面に衝突して瞬時に気化され、この気化されたガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室に供給される。反応室に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することで薄膜(例えばYBCO薄膜)が形成される。
特開平6−206796号公報
しかしながら、上述した気化器50においても、運転条件によって噴霧ノズル521aの目詰まりが生じ、即座に運転不能となることがあった。気化器50では、気化された原料ガスは気化室51の底面51cに配設された排気部54から排気されるが、一部は気化室51の底面51cではね返されて、側面51bに沿って気化室51の上部に戻る。そのため、噴霧用ノズル521aが高温の原料ガスに曝されて先端温度が上昇し、原料溶液の溶媒が噴霧前に蒸発して固体原料が凝縮してしまい、噴霧ノズル521aが目詰まりすると考えられる。
これを防止するには、反応室51の底面51cに衝突して戻ってくる原料ガスの熱の影響を考慮して、気化室51の上部の温度を低く設定することが考えられる。しかし、温度設定が低すぎると、原料が再固化して固体原料が気化室51の内面(特に上面51a)に付着するという問題が生じる。原料の再固化が発生している状況でも運転可能であるが、付着物が増加すると気化室51内で異常反応が起こり、気化室51内の温度を正確に制御することが困難となる。また、付着物が増加すると原料ガスの組成が変動し、所望する超電導層が形成されなくなる。そのため、所定期間経過ごとに、気化器51の内面に付着した固体原料を除去する必要がある。つまり、連続運転できる時間が制約されるため、超電導線材の生産性が低下してしまう。
このように、従来の気化器50では、運転条件が非常に狭く、良質な超電導線材を効率よく製造することが困難となっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置に有用な技術であって、噴霧ノズルの目詰まり及び原料の再固化を防止できるCVD装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、両端を閉塞された中空多段円筒状の気化室と、
前記気化室内に噴霧ノズルによって原料溶液を導入する導入部と、
前記気化室において気化された原料ガスを排気口を介して外部に排気する排気部と、
前記気化室を加熱するために前記気化室の外周に設けられたヒータと、を有する気化器を備えたCVD装置であって、
前記気化室が、第1内径を有し、前記噴霧ノズルの先端が位置する第1円筒部と、
前記第1円筒部の下方に連設され、前記第1内径より長い第2内径を有する第2円筒部と、で構成され、
前記排気口が、前記第2円筒部の側面に位置していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のCVD装置において、前記第1円筒部と前記第2円筒部とを連結する段部が、前記気化室の中心軸に対して90°以下の角度で上方に傾斜していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のCVD装置において、前記排気口が、前記第2円筒部を周方向に等分割した位置に複数形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のCVD装置において、前記排気部が、前記第2円筒部の外周に環状配置されるとともに、前記排気口を介して前記第2円筒部に連通する排気流路を有していることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載のCVD装置において、前記気化器が、前記第2円筒部の下方に連設され、前記第1内径より長く前記第2内径より短い第3内径を有する第3円筒部を有することを特徴とする。
本発明によれば、気化室内において原料ガスが上部(特に噴霧ノズル)に戻るのを抑制できるので、原料ガスに曝されて高温となることにより噴霧ノズルが目詰まりするのを効果的に防止できる。また、噴霧ノズルの目詰まりを防止するために気化室上部の温度を低温に制御する必要はないので、原料ガスが再固化して固体原料が反応室内面に付着するのを防止できる。
したがって、気化器の運転条件が広くなるとともに、噴霧ノズルの目詰まりを解消したり、再固化した固体原料を除去したりするためのメンテナンスが不要となるので、超電導線材の生産性が格段に向上される。また、気化器における原料ガスの再固化を防止できるので、原料収率の向上を図ることができる。
原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る気化器の概略構成を示す断面図である。 第1円筒部と第2円筒部を連結する段部の構成を示す拡大図である。 第2実施形態に係る気化器の概略構成を示す断面図である。 図4のA−A断面図である。 第3実施形態に係る気化器の概略構成を示す断面図である。 第4実施形態に係る気化器の概略構成を示す断面図である。 図7のB−B断面図である。 従来の溶液気化型CVD装置の気化器の構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置の概略構成を示す図である。ここでは、YBCO薄膜を形成する場合に用いられるCVD装置の一例について示している。
図1に示すように、CVD装置1は、気化器10、反応室20、原料溶液供給部30を備えて構成されている。原料溶液供給部30は、原料溶液を収容する原料容器31〜33と、溶媒を収容する溶媒容器34とを備えている。原料容器31〜33には、それぞれ溶媒であるTHFにイットリウム(Y)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のDPM錯体を溶解させたY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFが収容されている。また、溶媒容器34には、溶媒であるTHFが収容されている。
なお、溶媒としては、THFの他、キシレン、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミン類等、沸点100℃以下、かつ炭化水素類の有機溶剤を用いることができる。具体的には、ジエチルエーテル、ジエチルケトン、エタノール、テトラグリム(テトラグライム)、2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデカン等を適用できる。
CVD装置1において、原料容器31〜33に収容されている原料溶液又は溶媒容器34に収容されている溶媒THFは、He、Ar、N2などの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送される。そして、原料溶液輸送管35において、原料溶液Y(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFが混合される。
混合された原料溶液は、He、Ar、N2などの噴霧用ガスと合流して気化器10に導入され、噴霧ノズルから噴霧される。そして、気化器10の内面に衝突して瞬時に気化され、この気化ガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室20に供給される。反応室20に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することでYBCO薄膜が形成される。
CVD装置1では、気化器10が以下の第1〜第4実施形態の気化器10A〜10Dに示す構成を有しているため、気化器10の運転条件が広くなるとともに、噴霧ノズルの目詰まりを解消したり、再固化した固体原料を除去したりするためのメンテナンスが不要となる。したがって、超電導線材の生産性が格段に向上される。また、原料ガスの再固化を防止できるので、原料収率の向上を図ることができる。
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係る気化器10Aの概略構成を示す断面図である。図2に示すように、気化器10Aは、気化室11A、導入部12、ヒータ13、排気部14を備えて構成されている。
気化室11Aは、上下面を閉塞された中空2段円筒体である。具体的には、上部に位置する内径R1の第1円筒部111と、第1円筒部111の下方に連設された内径R2の第2円筒部112で構成されている。また、第2円筒部112の内径R2は、第1円筒部111の内径R1よりも長くなっている。第2円筒部112の上面112aが、第1円筒部111と第2円筒部112を連結する段部となる。
気化室11(第1円筒部111)の上面11aに導入部12が接続され、第2円筒部112の側面112bに排気部14が接続されている。
ここで、図3に示すように、第2円筒部112の上面(段部)112aは、気化室11Aの中心軸、すなわち第1円筒部111の側面111bに対して90°以下の角度θで上方に傾斜している。これにより、気化室11(第2円筒部112)の底面11cに衝突して戻ってきた原料ガスを、第2円筒部112に効果的に停滞させることができる。
なお、図3(a)に示すように、第2円筒部112の上面112aの全部を傾斜面としてもよいし、図3(b)に示すように、第2円筒部112の上面112aを傾斜面と平坦面を連設した構成としてもよい。
また、第1円筒部111の内径R1と第2円筒部112の内径R2は、下式(1)を満たすことが望ましい。
R2×R2>2×R1×R1 ・・・(1)
これにより、第1円筒部111における原料ガスの平均速度より、第2円筒部112の中心部(第1円筒部111のガス流域に相当)を除いた外周部で逆流する原料ガスの平均速度が小さくなるので、逆流する原料ガスを第2円筒部112に設けられた排気部14から効率よく排気することができる。
導入部12は、第1導入管121と第2導入管122による二重構造となっており、気化室11A内に液体又は気体を導入する。第1導入管121は、気化室11Aの上面11aに、先端部の噴霧ノズル121aが第1円筒部111内に突出した状態で、気化室11Aと第1導入管121の中心軸を一致させて配設されている。第2導入管122は、第1導入管121の外側に同心状に配設されている。
原料溶液供給部30(図1参照)から供給された原料溶液は、第1導入管121の噴霧ノズル121aから噴霧用ガスとともに気化室11A内に向けて噴霧される。また、第2導入管122からは、気化室11A内に向けて不活性ガス(例えばArガス)が導入される。噴霧ノズル121a近傍の温度が溶媒の沸点よりも高温になると、原料溶液が噴霧されて気化する前に溶媒が蒸発して固体原料が凝縮し、噴霧ノズル121aが目詰まりしてしまう。そこで、第2導入管122から気化室11A内に不活性ガスをシュラウドガスとして導入することにより、噴霧ノズル121a近傍の温度を適宜に制御できるようにしている。
ヒータ13は、気化室11Aの外周に配設されたジャケットタイプのマントルヒータであり、気化室11Aの壁体を所定の温度に加熱・保持する。図2では、ヒータ13が気化室11Aの底面11cにまで延設され、気化室11Aの全体を加熱するようになっている。ヒータ13の構造は特に限定されないが、例えば、気化室11Aの上部、中部、下部を別々に加熱する3段型のヒータで構成するのが望ましい。
また、ヒータ13は、上端13aが気化室11A(第1円筒部111)の上面11aよりも上方(例えば、30mm)に延在するように配設されている。気化室11Aの上面11aに、安定した加熱が望めるヒータ13の中腹部を位置させることにより、気化室11Aの上面11aの温度を、側面11bの温度と同等にすることができる。すなわち、気化室11Aの上面11aの温度を、固体原料の昇華点よりも高温に保持できるので、上面11aに固体原料が再固化して付着するのを防止できる。一方で、気化室11Aの内面からの輻射熱は、第2導入管122から導入されたシュラウドガスにより遮断されるので、噴霧ノズル121a近傍の温度を溶媒の沸点よりも低温に保持することができる。
排気部14は、原料ガスを排気するための排気管141で構成されており、第2円筒部112の側面112bの上部に接続されている。なお、図2では、排気管141(排気口14a)を、気化室11A(第2円筒部112)の側面112bの一箇所に配設した場合を例示しているが、気化室11A(第2円筒部112)を周方向に等分割した位置に複数配設するようにしてもよい。これにより、原料ガスを気化室11A内から均一に排気することができる。
気化器10Aにおいて、第1導入管121に原料溶液供給部30(図1参照)から供給された原料溶液とともに、この原料溶液を噴霧するための不活性ガス(例えばAr、He、N2ガス)が導入されると(例えば1L/min)、第1導入管121の噴霧ノズル121aから原料溶液が高速で噴霧される。噴霧された原料溶液はヒータ13によって加熱された気化室11Aの内面に衝突して瞬時に気化される。そして、気化室11Aにおいて気化された原料ガスは、排気部14から反応室20(図1参照)に向けて排気される。
気化器10Aでは、気化された原料ガスが底面11cに衝突し、側面11bに沿って気化室11Aの上部に戻ろうとするが、第2円筒部112の上面(段部)112aによってガス流が遮られる。したがって、原料ガスは第2円筒部112に停滞することとなり、次第に排気部14から排気される。排気部14の排気口14aは、第2円筒部112の側面112bの上部に位置しているので、第2円筒部112に停滞している原料ガスを効率よく排気することができる。
このように、第1実施形態の気化器10Aは、両端を閉塞された中空多段円筒状の気化室11Aと、気化室11A内に噴霧ノズル121aによって原料溶液を導入する導入部12と、気化室11Aにおいて気化された原料ガスを排気口14aを介して外部(反応室20)に排気する排気部14と、気化室11Aを加熱するために気化室11Aの外周に設けられたヒータ13とを有している。
また、気化室11Aは、第1内径(R1)を有し、噴霧ノズル121aの先端が位置する第1円筒部111と、第1円筒部111の下方に連設され、第1内径(R1)より長い第2内径(R2)を有する第2円筒部112とで構成されている。そして、排気部14の排気口14aが第2円筒部112の側面に位置している。
気化器10Aでは、第2円筒部112の側面112bの上部、すなわち内径が不連続となる部分の側面に排気部14が配設されているので、気化室11A内において原料ガスが上部(特に噴霧ノズル121a)に戻るのを抑制できる。したがって、原料ガスに曝されて高温となることにより噴霧ノズル121aが目詰まりするのを効果的に防止できる。また、噴霧ノズル121aの目詰まりを防止するために気化室11A上部の温度を低温に制御する必要はない(ただし、シュラウドガスにより噴霧ノズル121a近傍はある程度低温に保持される)ので、原料ガスが再固化して固体原料が気化室11Aの内面(特に上面11a)に付着するのを防止できる。
つまり、気化器10Aを備えたCVD装置1によれば、気化器10Aの運転条件が広くなるとともに、噴霧ノズル121aの目詰まりを解消したり、再固化した固体原料を除去したりするためのメンテナンスが不要となるので、超電導線材の生産性が格段に向上される。また、気化器10Aにおける原料ガスの再固化を防止できるので、原料収率の向上を図ることができる。
[実施例1]
実施例1では、第1実施形態のCVD装置1、すなわち図2に示す気化器10Aを備えたCVD装置1を用いて、基材に超電導層(YBCO層)を成膜した。気化器10Aには、気化室11Aの第1円筒部111の内径R1を22mm、高さを290mm、第2円筒部112の内径R2を32mm、高さを65mmとしたものを採用した。
そして、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器10Aに導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを900sccmで気化器10Aに導入した。また、上部ヒータ温度を215℃、下部ヒータ温度を220℃に設定した。
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同様のCVD装置1を用いて、基材に超電導層を成膜した。実施例2では、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器10Aに導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを900sccmで気化器10Aに導入した。また、上部ヒータ温度を240℃、下部ヒータ温度を245℃に設定した。すなわち、実施例1とは、ヒータの設定温度が異なる。
[実施例3]
実施例3では、実施例1と同様のCVD装置1を用いて、基材に超電導層を成膜した。実施例3では、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器10Aに導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを600sccmで気化器10Aに導入した。また、上部ヒータ温度を240℃、下部ヒータ温度を245℃に設定した。すなわち、実施例2とは、噴霧用ガスの導入量が異なる。
実施例1〜3では、40時間連続して運転しても、噴霧用ノズル121aに目詰まりは生じず、正常に運転できた。また、気化室11Aの上面11aに固体原料の付着物が発生することもなかった。
[比較例1]
比較例1では、図9に示す従来の気化器50を備えたCVD装置1を用いて、基材に超電導層(YBCO)を成膜した。気化器50には、気化室51の円筒部の内径R1を22mm、高さを355mmとしたものを採用した。
そして、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器50に導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを900sccmで気化器10Aに導入した。また、上部ヒータ温度を215℃、下部ヒータ温度を220℃に設定した。
[比較例2]
比較例2では、比較例1と同様のCVD装置1を用いて、基材に超電導層を成膜した。比較例2では、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器50に導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを900sccmで気化器50に導入した。また、上部ヒータ温度を225℃、下部ヒータ温度を230℃に設定した。すなわち、比較例1とは、ヒータの設定温度が異なる。
[比較例3]
比較例3では、比較例1と同様のCVD装置1を用いて、基材に超電導層を成膜した。比較例3では、超電導層を成膜するに際し、原料溶液となるY(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを、合計流量が1.2g/minとなるように気化器50に導入した。このとき、原料溶液とともに噴霧用ガスとしてのArを700sccmで気化器50に導入した。また、上部ヒータ温度を215℃、下部ヒータ温度を220℃に設定した。すなわち、比較例2とは、噴霧用ガスの導入量及びヒータ温度が異なる。
比較例1では、実施例1〜3と同様に連続運転可能であったが、比較例2,3では、運転を開始してすぐ(5〜20分後)に噴霧用ノズル121aに目詰まりが生じて、正常運転が不能となった。また、比較例1では、気化器50に投入したY(DPM)3(0.15mol/L)の積算量が350gになると、気化器上面51aに固体原料の付着物が見られるようになりメンテナンスを行う必要があった。
これより、実施例1〜3で用いた気化器10Aのほうが、比較例1〜3で用いた従来の気化器50に比較して、正常に運転できる条件(ヒータ設定温度)が広いことがわかる。また、実施例2,3のように、気化器10Aのヒータ温度を十分高くすることができるので、気化室11Aの上面11aに固体原料が付着するのを効果的に防止できる。その結果、気化器10Aの寿命が延び、原料収率も向上する。
例えば、実施例2では気化器10Aに投入したY(DPM)3(0.15mol/L)の積算量が1000gを超えた時点でも、気化器11aの上面には付着物が見られていない(長寿命化)。また、ヒータ設定温度を上げた実施例2では、実施例1と同一の超電導層(YBCO)を成膜するのに導入する必要なBa(DPM)2/THFが4%少なくなった(原料収率の向上)。
また、実施例3では、反応室20における超電導層の成長速度が、実施例2に比較して10%向上した。これは噴霧用ガス流量を小さくでき、原料ガス濃度が高くなったためである。
[第2実施形態]
図4は第2実施形態に係る気化器10Bの概略構成を示す断面図で、図5は図4のA−A断面図である。図4に示すように、気化器10Bは、気化室11B、導入部12、ヒータ13、排気部14を備えて構成されている。図4に示す気化器10Bにおいて、第1実施形態の気化器10Aと同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
気化器10Bでは、気化室11Bを構成する第2円筒部112の上部が、二重環構造となっている。具体的には、第2円筒部112の上部が径方向外側に膨出して形成されており、第2円筒部112の内側面112bと外側面112dで挟まれた膨出部が円環状の隔壁112cで仕切られている。
第2円筒部112の内側面112bには、周方向に4等分する位置に排気口14aが形成されている。隔壁112cには、隣接する2つの排気口14a,14aの中間に対応し、周方向に2等分する位置に連通口14bが形成されている。外側面112dには、2つの連通口14b、14bの中間に対応する位置に、排気管141が接続されている。
第2円筒部112の内側面112bと隔壁112cで挟まれた空間142、及び隔壁112cと外側面112dで挟まれた空間143が、原料ガスを排気するための排気流路となる。すなわち、気化室11Bで気化された原料ガスは、排気口14aを介して排気流路142に流入し、連通口14bを介して排気流路143に流入し、最終的に排気管141から反応室20に向けて排気される。
第2実施形態では、第2円筒部112の上部に形成した膨出部を隔壁112cで仕切ることにより排気部14の一部となる排気流路142,143を形成しているが、この構造は、内側面112bで規定される第2円筒部112の外周に、排気流路142,143を環状配置していることに他ならない。
このように、気化器10Bでは、排気部14が、第2円筒部112の外周に環状配置されるとともに、排気口14aを介して第2円筒部112に連通する排気流路142,143を有している。
これにより、気化室11B内の原料ガスは均一に排気されるので、気化室11B内に乱流が生じて、原料ガスが気化室11B上部に巻き上げられるのを防止できる。したがって、第1実施形態と同様の効果に加えて、気化室11B内の原料ガスを均一かつ効率的に排気できるという効果が奏される。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る気化器10Cの概略構成を示す断面図である。図6に示すように、気化器10Cは、気化室11C、導入部12、ヒータ13、排気部14を備えて構成されている。図6に示す気化器10Cにおいて、第1実施形態の気化器10Aと同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
気化器10Cでは、気化室11Cが、上下面を閉塞された中空3段円筒体で構成されている。具体的には、上部に位置する内径R1の第1円筒部111と、第1円筒部111の下方に連設された内径R2の第2円筒部112と、第2円筒部112の下方に連設された内径R3の第3円筒部113で構成されている。また、第2円筒部112の内径R2は、第1円筒部111の内径R1よりも長く、第3円筒部113の内径R3は、第1円筒部111の内径R1より長く第2円筒部112の内径R2よりも短くなっている。
ここで、第1円筒部111の内径R1と第3円筒部113の内径R3は、第1実施形態と同様、式(1)相当(R2をR3で置換)の関係を満たすことが望ましい。また、第2円筒部112の内径R2と第2円筒部112の高さL2は、下式(2)を満たすことが望ましい。
R2−R3>L2 ・・・(2)
気化器10Cでは、第2円筒部112の下方に第3円筒部113が連設されることで、排気口14aに向かう原料ガスの通路が狭窄されるので、排気部14を気化室11Cの側面に配設することによる原料ガス流の偏りを抑制することができる。したがって、第1実施形態と同様の効果に加えて、気化室11C内の原料ガスを均一かつ効率的に排気できるという効果が奏される。
[第4実施形態]
図7は第4実施形態に係る気化器10Dの概略構成を示す断面図で、図8は図7のB−B断面図である。図7に示すように、気化器10Dは、気化室11D、導入部12、ヒータ13、排気部14を備えて構成されている。図7に示す気化器10Dは、第2実施形態の気化器10Bと第3実施形態の気化器10Cを組み合わせた構造となっている。図7に示す気化器10Dにおいて、第2実施形態の気化器10B又は第3実施形態の気化器10Cと同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
すなわち、気化器10Dでは、気化室11Dが、上下面を閉塞された中空3段円筒体で構成されている。具体的には、上部に位置する内径R1の第1円筒部111と、第1円筒部111の下方に連設された内径R2の第2円筒部112と、第2円筒部112の下方に連設された内径R3の第3円筒部113で構成されている。また、第2円筒部112の内径R2は、第1円筒部111の内径R1よりも長く、第3円筒部113の内径R3は、第1円筒部111の内径R1より長く第2円筒部112の内径R2よりも短くなっている。
また、気化器10Dでは、気化室11Dを構成する第2円筒部112の上部が、多重環構造となっている。具体的には、第2円筒部112が第1円筒部111と第3円筒部113に比して径方向外側に膨出して形成されており、第2円筒部112の内側面112bと外側面112dで挟まれた膨出部が円環状の隔壁112cで仕切られている。つまり、内側面112bで規定される第2円筒部112の外周に、排気流路142,143が環状配置されている。
気化器10Dでは、第2円筒部112の下方に第3円筒部113が連設されることで、排気口14aに向かう原料ガスの通路が狭窄されるので、排気部14を気化室11Dの側面に配設することによる原料ガス流の偏りを抑制することができる。
また、気化室11Dで気化された原料ガスは、排気口14aを介して排気流路142に流入し、連通口14bを介して排気流路143に流入し、最終的に排気管141から反応室20に向けて排気されるので、気化室11D内に乱流が生じて、原料ガスが気化室11D上部に巻き上げられるのを防止できる。
このように、気化器10Dによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、気化室11D内の原料ガスをより均一かつ効率的に排気できるという効果が奏される。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記実施形態では、基材表面にYBCO薄膜を形成する場合について説明したが、本発明は、蒸気圧が低く常温固体である原料を使用してMOCVD法により薄膜を形成する場合に共通して適用できる技術である。例えば、固体原料として、酸素原子を介して金属原子と有機基とが結合した有機金属原料を使用する場合に適用できる。ここで、有機基は、アセチルアセトネート、ジピバロイルメタネート、アルコキシド、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ペンタフルオロプロパノイルピバロイルメタネートのいずれかであればよい。
また、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムのような強誘電体の薄膜を形成する際の原料としては、バリウムジピバロイルメタネート(Ba(DPM)2)、ストロンチウムジピバロイルメタネート(Sr(DPM)2)、ビス(ジピバロイルメタネート)ジイソプロポキシチタニウム(Ti(iPrO)2(DPM)2」等が挙げられる。また、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OC374)等をTHFに溶解させた原料でもよい。
また、第2実施形態又は第4実施形態における排気部14の排気流路は、一重環構造、又は三重以上の多重環構造としてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 CVD装置
10、10A〜10D 気化器
11、11A〜11D 気化室
111 第1円筒部
112 第2円筒部
113 第3円筒部
12 導入部
121 第1導入管(原料溶液導入管)
121a 噴霧ノズル
122 第2導入管(不活性ガス導入管)
13 ヒータ
14 排気部
14a 排気口
14b 連通口
141 排気管
142、143 排気流路
20 反応室
30 原料溶液供給部
R1 第1円筒部の内径
R2 第2円筒部の内径
R3 第3円筒部の内径

Claims (5)

  1. 両端を閉塞された中空多段円筒状の気化室と、
    前記気化室内に噴霧ノズルによって原料溶液を導入する導入部と、
    前記気化室において気化された原料ガスを排気口を介して外部に排気する排気部と、
    前記気化室を加熱するために前記気化室の外周に設けられたヒータと、を有する気化器を備えたCVD装置であって、
    前記気化室が、第1内径を有し、前記噴霧ノズルの先端が位置する第1円筒部と、
    前記第1円筒部の下方に連設され、前記第1内径より長い第2内径を有する第2円筒部と、で構成され、
    前記排気口が、前記第2円筒部の側面に位置していることを特徴とするCVD装置。
  2. 前記第1円筒部と前記第2円筒部とを連結する段部が、前記気化室の中心軸に対して90°以下の角度で上方に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のCVD装置。
  3. 前記排気口が、前記第2円筒部を周方向に等分割した位置に複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のCVD装置。
  4. 前記排気部が、前記第2円筒部の外周に環状配置されるとともに、前記排気口を介して前記第2円筒部に連通する排気流路を有していることを特徴とする請求項3に記載のCVD装置。
  5. 前記気化器が、前記第2円筒部の下方に連設され、前記第1内径より長く前記第2内径より短い第3内径を有する第3円筒部を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のCVD装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017081924A1 (ja) * 2015-11-10 2017-05-18 東京エレクトロン株式会社 気化器、成膜装置及び温度制御方法

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