JP2012122457A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】体格の小型化とバルブタイミング調整応答性の向上との両立。
【解決手段】スプール73に設けられる還流通路110のうち、外通路部143は、スプール73の周方向に延伸するスリット孔状に外筒部材140を貫通してスリーブ74との摺動面140aに開口部143aを形成し、内通路部145は、筒孔状に内筒部材141を貫通し、中間通路部146は、内外通路部145,143よりも作動油の流通面積を拡大するように、それら通路部145,143間を接続し、内筒部材141の弁座122が露出する弁通路部は、外筒部材140を貫通して弁部材124を収容し、接続通路部144は、内筒部材141を貫通して弁通路部142に内通路部145を接続する。そして、通路部145,143,144につき、各々による作動油の最小流通面積Si,So,Scは、Si≧So≧Scの関係を満たす。
【選択図】図15

Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸と連動回転するハウジング並びにカム軸と連動回転するベーンロータを備えたバルブタイミング調整装置が、知られている。例えば特許文献1には、ハウジング内にてベーンロータにより回転方向に区画した進角室又は遅角室へ作動液を導入することで、ハウジングに対するベーンロータの回転位相を進角側又は遅角側へ変化させるものが、開示されている。この特許文献1の装置では、スリーブ内に収容されるスプールの移動位置に応じて進角室及び遅角室に対する作動液の入出を制御する制御弁が、用いられている。
具体的に、特許文献1の装置において制御弁のスリーブには、回転位相の変化時に進角室及び遅角室の一方に作動液を導入する導入ポートと、当該変化時に進角室及び遅角室の他方から作動液が排出される排出ポートとが、設けられている。それと共に、特許文献1の装置において制御弁のスプールには、回転位相の変化時に導入ポートを排出ポートに接続する還流通路と、還流通路を排出ポートから導入ポート側へ流通する作動液の還流のみを弁座からの弁部材の離座により許容する還流逆止弁とが、設けられている。
このような構成により特許文献1の装置では、回転位相の変化時にカム軸からベーンロータに作用する変動トルクの交番に応じて、逆止弁が作動することになる。まず、進角室及び遅角室のうち排出ポートへの作動液の排出対象室が変動トルクの作用により容積縮小しようとすると、排出対象室の作動液が排出ポートを通じて還流通路に押し出される。このとき、進角室及び遅角室のうち変動トルクの作用により容積拡大して負圧の発生する導入対象室に作動液を導入する導入ポートは、還流通路と接続されるので、当該還流通路では、導入ポート側へと流通する還流が還流逆止弁により許容される。その結果、導入対象室には、排出対象室から排出された作動液が負圧により吸入されて、回転位相が変化する。一方、変動トルクの向きが反転して導入対象室が容積縮小しようとすると、当該反転前に導入対象室に導入された作動液が導入ポートを通じて還流通路に押し出される。このとき還流通路では、排出ポート側へ流通する還流が還流逆止弁により規制されるので、変動トルクの反転前に変化した回転位相の戻りが抑制されるのである。
そして、以上の作動を還流通路にて還流逆止弁に担わせる特許文献1の装置では、外筒部材と内筒部材とからなる二重円筒状に、制御弁のスプールが形成されている。これにより、還流通路のうち弁部材を収容する弁通路部を有した外筒部材の内周側に、当該弁通路部に露出する弁座を有した内筒部材を配置して、弁部材が弁座に対して離着座する還流逆止弁を実現しているのである。
特許第4518149号明細書
さて、特許文献1の装置において、スプールをなす外筒部材と内筒部材とはそれぞれ、還流通路の一部として互いに接続される外通路部と内通路部とを、有している。ここで特許文献1の装置では、回転位相の変化時に排出対象室から還流通路を経て作動液を導入対象室に還流させる還流流量は、当該還流通路のうち排出ポートに向かって開口する外通路部が排出ポートとの間に形成する隙間により、制御される。こうした制御のために、スプールにおいてスリーブとの摺動面に開口部を形成することになる外通路部については、当該開口部の幅をスプールの軸方向に小さく設定することで、当該開口部周囲に摺動面を確保することによるスプールの軸方向長の増大を抑制可能となる。しかしながら、外通路部の開口部の幅を小さく設定すると、当該外通路部による作動液の流通面積が絞られてしまうので、導入対象室への還流流量が減少して、回転位相変化に応じたバルブタイミング調整の応答性が低下するおそれがあった。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、体格の小型化とバルブタイミング調整応答性の向上とを両立させるバルブタイミング調整装置を、提供することにある。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランク軸と連動回転するハウジングと、内燃機関のカム軸と連動回転し、ハウジング内において進角室及び遅角室を回転方向に区画し、作動液が進角室又は遅角室へ導入されることにより、ハウジングに対する回転位相が進角側又は遅角側へ変化するベーンロータと、スリーブ内に収容されるスプールの移動位置に応じて進角室及び遅角室に対する作動液の入出を制御する制御弁とを、備え、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
回転位相を変化させる位相変化モードにおいて進角室及び遅角室の一方に作動液を導入する導入ポートと、位相変化モードにおいて進角室及び遅角室の他方から作動液が排出される排出ポートとが、スリーブに設けられ、位相変化モードにおいて導入ポートを排出ポートに接続する還流通路と、位相変化モードにおいて弁部材が弁座から離座することにより、還流通路を排出ポートから導入ポート側へ流通する作動液の還流を許容する一方、位相変化モードにおいて弁部材が弁座に着座することにより、還流通路を導入ポートから排出ポート側へ流通する作動液の還流を規制する還流逆止弁とが、スプールに設けられるバルブタイミング調整装置において、
スプールは、外筒部材の内周側に内筒部材を配置してなり、外筒部材は、還流通路のうち位相変化モードにおいて排出ポートに向かって開口する外通路部、並びに還流通路のうち弁部材を収容する弁通路部を有し、内筒部材は、還流通路のうち内通路部、還流通路のうち弁通路部に内通路部を接続する接続通路部、並びに弁通路部に露出する弁座を有し、外筒部材及び内筒部材の間には、還流通路のうち外通路部を内通路部に接続する中間通路部が、形成され、外通路部は、スプールの周方向に延伸するスリット孔状に外筒部材を貫通して当該外筒部材のうちスリーブとの摺動面に開口部を形成し、中間通路部は、内通路部及び外通路部よりも作動液の流通面積を拡大するように、それら内通路部及び外通路部の間を接続し、内通路部による作動液の最小流通面積Siと、外通路部による作動液の最小流通面積Soと、接続通路部による作動液の最小流通面積Scとは、Si≧So≧Scの関係を満たすことを特徴とする。
このような請求項1に記載の発明の位相変化モードでは、進角室及び遅角室のうち排出ポートへの作動液の排出対象室が変動トルクの作用により容積縮小しようとすると、排出対象室の作動液が排出ポートを通じて還流通路に押し出される。このとき、進角室及び遅角室のうち変動トルクの作用により容積拡大して負圧の発生する導入対象室に作動油を導入する導入ポートは、還流通路と接続されるので、当該還流通路では、導入ポート側へ流通する還流が還流逆止弁における弁部材の弁座からの離座により許容される。その結果、導入対象室には、排出対象室から排出された作動液が負圧により吸入されて、回転位相が変化する。一方、変動トルクの向きが反転して導入対象室が容積縮小しようとすると、当該反転前に導入対象室に導入された作動液が導入ポートを通じて還流通路に押し出される。このとき還流通路では、排出ポート側へ流通する還流が還流逆止弁における弁部材の弁座への着座により規制されるので、変動トルクの反転前に変化した回転位相の戻りが抑制されことになる。
以上の作動を還流逆止弁により実現するため、スリーブに収容されて制御弁を構成するスプールについては、還流通路のうち弁部材を収容する弁通路部を有した外筒部材の内周側に、当該弁通路部に露出する弁座を有した内筒部材が配置されてなる。そして、かかる構成のスプールにつき、還流通路のうち外筒部材の外通路部がスリーブの排出ポートに向かって開口する位相変化モードでは、排出対象室から還流通路を経て作動液を導入対象室に還流させる流量は、当該外通路部と排出ポートとの間の隙間により制御される。
ここで、そうした制御のために、外筒部材のうちスリーブとの摺動面に開口部を形成する外通路部は、スプールの周方向に延伸するスリット孔状に外筒部材を貫通することで当該開口部を形成するので、当該開口部の幅をスプールの軸方向に可及的に小さく設定できる。これによれば、外通路部の開口部周囲に摺動面を確保することによるスプールの軸方向長の増大を、抑制し得るのである。しかも還流通路のうち、そのような作用を齎す外通路部と、内筒部材の内通路部と、内筒部材において内通路部を弁通路部に接続する接続通路部とについては、各々による最小流通面積So,Si,ScがSi≧So≧Scの関係を満たすことになる。これにより位相変化モードでは、接続通路部以上の流通面積の外通路部から、それ以上の流通面積の内通路部を通じて接続通路部へと流通する作動液を、弁通路部に露出する弁座からの弁部材の離座により導入対象室へ還流させるので、還流流量が確保され得る。加えて、還流通路のうち中間通路部は、内外通路部よりも流通面積が拡大させられるので、それぞれ別部材が形成する内外通路部間を、上述した最小流通面積So,Si,Scの関係による還流流量の確保作用を妨げることなく接続し得るのである。
以上説明したことから、体格についてスプールの軸方向長の増大抑制による小型化と、回転位相変化に応じたバルブタイミング調整応答性について還流流量の確保による向上とを、両立させることが可能である。
請求項2に記載の発明によると、内通路部と外通路部とは、スプールの径方向からの投影視において中間通路部の内方に共に位置する。この発明のように、スプールの径方向からの投影視にて内外通路部が共に内方に位置する中間通路部は、それら内外通路部に対する流通面積の拡大形態を確実に実現し得るので、還流流量の確保作用の発揮が確固たるものとなる。したがって、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、高めることができるのである。
請求項3に記載の発明によると、内通路部と外通路部とは、スプールの径方向からの投影視において互いに重なる。この発明によれば、スプールの径方向からの投影視にて中間通路部内方の内外通路部が互いに重なることで、中間通路部を通じて外通路部から内通路部へと流通する作動液に発生の圧損は、低減される。これにより、異なった内外通路部間を接続することによる還流流量の確保作用の妨げを、回避し得る。したがって、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、高めることができるのである。
請求項4に記載の発明によると、スプールの径方向に外筒部材を貫通する筒孔状の内通路部と、外通路部とは、当該径方向からの投影視において互いに心合わせされる。この発明によれば、スプールの径方向からの投影視にて中間通路部内方の内外通路部が互いに重なって心合わせされるので、作動液の圧損を十分に低減して、異なった内外通路部間を接続することによる還流流量の確保作用の妨げを回避し得る。したがって、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、さらに高めることができるのである。
請求項5に記載の発明によると、外通路部は、外筒部材において内筒部材に向かって開口するスリット孔状に形成され、中間通路部は、内筒部材において外通路部に向かって開口する溝状に形成され、内通路部は、内筒部材において接続通路部の溝底面に開口する筒孔状に形成される。この発明では、外筒部材において内筒部材に向かって開口するスリット孔状の外通路部の開口部に対し、内筒部材において外通路部に向かって開口する溝状の中間通路部の開口部を大きく形成することで、外通路部よりも流通面積の拡大された中間通路部を、確実に実現し得る。さらに、内筒部材において接続通路部の溝底面に開口する筒孔状に内通路部を形成することで、内通路部よりも流通面積の拡大された中間通路部についても、確実に実現し得る。これらのことによれば、還流流量の確保作用の発揮を確固たるものとして、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、高めることができるのである。
請求項6に記載の発明によると、内通路部は、内筒部材において外筒部材に向かって開口する筒孔状に形成され、中間通路部は、外筒部材において内通路部に向かって開口する溝状に形成され、外通路部は、外筒部材において接続通路部の溝底面に開口するスリット孔状に形成される。この発明では、内筒部材において外筒部材に向かって開口する筒孔状の内通路部の開口部に対し、外筒部材において内通路部に向かって開口する溝状の中間通路部の開口部を大きく形成することで、内通路部よりも流通面積の拡大された中間通路部を、確実に実現し得る。さらに、外筒部材において接続通路部の溝底面に開口するスリット孔状に外通路部を形成することで、外通路部よりも流通面積の拡大された中間通路部についても、確実に実現し得る。これらのことによれば、還流流量の確保作用の発揮を確固たるものとして、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、高めることができるのである。
請求項7に記載の発明によると、制御弁は、カム軸及びベーンロータからなる連動回転要素に内蔵される。この発明のように、カム軸及びベーンロータからなる連動回転要素に内蔵される制御弁では、当該内蔵スペースが制限されるので、スプールにおける還流通路の開口部周囲にスリーブとの摺動面を確保しつつ、スプールの軸方向長の増大を抑制することが望ましい。そこで、スプールの外筒部材において、上述の如く周方向に延伸するスリット孔状に還流通路の外通路部を貫通させて小幅の開口部を形成することによれば、当該開口部周囲に摺動面を確保することによるスプールの軸方向長の増大を、抑制し得る。したがって、制御弁の内蔵スペースの制限に応えた小型のバルブタイミング調整装置を提供することが、可能である。
本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置の縦断面を示す構成図である。 図1のバルブタイミング調整装置の一部横断面を示す構成図である。 図1のベーンロータに作用する変動トルクについて説明するため特性図である。 図1の制御弁を拡大して示す縦断面図である。 図1の制御弁の一作動状態を示す模式図である。 図5とは別の作動状態を示す模式図である。 図5,6とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜7とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜8とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜9とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜10とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜11とは別の作動状態を示す模式図である。 図5〜12とは別の作動状態を示す模式図である。 図1のスプールの分解斜視を示す模式図である。 図1のスプールの縦断面を示す模式図である。 図1のスプールの横断面を示す模式図である。 図1のスプールについて径方向からの投影視を示す模式図である。 本発明の第二実施形態によるバルブタイミング調整装置のスプールの縦断面を示す模式図である。 図18のスプールの横断面を示す模式図である。 図18のスプールについて径方向からの投影視を示す模式図である。 図17,20の変形例を示す模式図(a)〜(e)である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を車両の内燃機関に適用した例を、示している。バルブタイミング調整装置1は、「作動液」として作動油を用いる流体駆動式であり、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する。
(基本構成)
まず、バルブタイミング調整装置1の基本構成について、説明する。図1,2に示すようにバルブタイミング調整装置1は、内燃機関においてクランク軸(図示しない)から出力される機関トルクをカム軸2へ伝達する伝達系に設置の駆動部10と、当該駆動部10を駆動するための作動油の入出を制御する制御部30とを、組み合わせてなる。
駆動部10は、ハウジング11及びベーンロータ15を備えている。ハウジング11は、シューケーシング12の軸方向両端部にフロントプレート13及びリアプレート14を締結してなる。シューケーシング12は、円筒状のケーシング本体12aと、仕切部である複数のシュー12b,12c,12dと、スプロケット部12eとを、有している。各シュー12b,12c,12dは、ケーシング本体12aにおいて回転方向に所定間隔ずつあけた箇所から径方向内側へ突出している。回転方向において隣り合うシュー12b,12c,12dの間には、それぞれ収容室50が形成されている。スプロケット部12eは、タイミングチェーン(図示しない)を介してクランク軸と連繋する。かかる連繋により内燃機関の回転中は、クランク軸からスプロケット部12eへと機関トルクが伝達されることで、ハウジング11がクランク軸と連動して一定方向(図2の時計方向)に回転する。
ベーンロータ15は、ハウジング11内に同軸上に配置されている。ベーンロータ15は、円筒状の回転軸15aと、複数のベーン15b,15c,15dとを、有している。回転軸15aは、カム軸2に対して同軸上に固定されている。かかる固定によりベーンロータ15は、カム軸2と連動して一定方向(図2の時計方向)に回転可能且つハウジング11に対して相対回転可能となっている。各ベーン15b,15c,15dは、回転軸15aにおいて回転方向に所定間隔ずつあけた箇所から径方向外側へ突出し、それぞれ対応する収容室50に収容されている。
図1に示すように各ベーン15b,15c,15dは、対応する収容室50を回転方向に分割することで、進角室52,53,54及び遅角室56,57,58をハウジング11内に区画している。具体的には、シュー12b及びベーン15bの間には進角室52が形成され、シュー12c及びベーン15cの間には進角室53が形成され、シュー12d及びベーン15dの間には進角室54が形成されている。また、シュー12c及びベーン15bの間には遅角室56が形成され、シュー12d及びベーン15cの間には遅角室57が形成され、シュー12bとベーン15dの間には遅角室58が形成されている。尚、図1,2に示すようにベーン15bには、内燃機関の停止時にリアプレート14のロック孔14aに嵌合することでハウジング11に対するベーンロータ15の回転位相をロックするロック部材16が、保持されている。このロック部材16は、内燃機関の始動時にロック孔14aから離脱することで内燃機関の定常運転時には回転位相の変化を許容する。
このような構成により駆動部10では、内燃機関の定常運転に伴って、進角室52,53,54及び遅角室56,57,58に対する作動油の入出により回転位相が変化し、当該回転位相に応じたバルブタイミングが実現されることになる。具体的には、進角室52,53,54が作動油の導入により容積拡大すると共に、遅角室56,57,58が作動油の排出により容積縮小することで、回転位相は進角側へと変化し、それに応じてバルブタイミングが進角する。一方、遅角室56,57,58が作動油の導入により容積拡大すると共に、進角室52,53,54が作動油の排出により容積縮小することで、回転位相は遅角側へと変化し、それに応じてバルブタイミングが遅角する。
以上の駆動部10に対して制御部30は、通路60,61,62,65、制御弁70及び制御回路90を備えている。進角制御通路60は、駆動部10の各進角室52,53,54と個別に連通するように、複数設けられている。遅角制御通路61は、駆動部10の各遅角室56,57,58と個別に連通するように、複数設けられている。供給通路62は、供給源としてのポンプ4の吐出口と連通することで、ドレンパン5から同ポンプ4の吸入口へと吸入される作動油が吐出供給されるようになっている。ここでポンプ4は、内燃機関のクランク軸の回転により駆動されるメカポンプであり、当該回転中は、ポンプ4から供給通路62へ作動油が継続的に供給される。ドレン回収通路65は、ドレン回収部としてのドレンパン5と共に大気に開放されて、当該ドレンパン5へ作動油を排出可能となっている。
制御弁70は、ソレノイド71への通電により発生する駆動力と、リターンスプリング72の発生する復原力とを利用して、スプール73をスリーブ74内にて往復直線駆動する電磁駆動式スプール弁である。ここでスリーブ74には、進角制御ポート80、遅角制御ポート81、供給ポート82、進角ドレンポート85及び遅角ドレンポート86が設けられている。進角制御ポート80及び遅角制御ポート81は、それぞれ進角制御通路60及び遅角制御通路61と連通し、また供給ポート82は、供給通路62と連通している。さらに進角ドレンポート85及び遅角ドレンポート86は共に、ドレン回収通路65と連通することで、大気に開放されている。制御弁70は、ソレノイド71への通電に応じてスプール73の移動位置を変化させることで、ポート80,81,82,85,86間の接続状態を切り替える。
制御回路90は、例えばマイクロコンピュータ等を主体に構成される電子回路であり、制御弁70のソレノイド71及び内燃機関の各種電装品(図示しない)と電気接続されている。制御回路90は、内部メモリに記憶のコンピュータプログラムに従って、ソレノイド71への通電を含む内燃機関の回転を制御する。
(変動トルク)
次に、カム軸2からベーンロータ15に作用する変動トルクについて、説明する。内燃機関の回転中は、カム軸2により開閉駆動される吸気弁からのスプリング反力等に起因して生じる変動トルクが、当該カム軸2を通じて駆動部10のベーンロータ15へと作用する。ここで、図3に示すように変動トルクは、ハウジング11に対する進角側に作用する負トルクと、ハウジング11に対する遅角側に作用する正トルクとの間において交番変動するものである。尚、変動トルクは、例えば正トルクのピークトルクT+が負トルクのピークトルクT−よりも大きくなることにより平均トルクが正トルク側に偏るものであってもよいし、正トルクのピークトルクT+が負トルクのピークトルクT−と実質的に等しくなることにより平均トルクが実質的に零となるものであってもよい。
(制御部)
次に、制御部30の具体的構成について説明する。図1に示す制御弁70において、金属により円筒状に形成されるスリーブ74は、カム軸2及びベーンロータ15からなる連動回転要素100に同軸上に内蔵されている。スリーブ74は、カム軸2に螺着固定される雄螺子状の固定部75を一端部に有し、当該カム軸2との間にベーンロータ15の回転軸15aを挟持する円環鍔状のフランジ部76を他端部に有している。スリーブ74においてフランジ部76側の軸方向端部から固定部75側の軸方向端部に向かって順に、進角ドレンポート85、遅角制御ポート81、供給ポート82、進角制御ポート80及び遅角ドレンポート86が並設されている(図4も参照)。
金属により円柱ロッド状に形成されるスプール73は、スリーブ74内に同軸上に収容され、当該スリーブ74の内周面により外周面を摺動案内される。ここで、特に本実施形態のスプール73は、スリーブ74のうち、フランジ部76よりもカム軸2側において連動回転要素100に内蔵される部分の内周面と摺動するように、配置されている。これは、固定部75をカム軸2に固定したとき、製造公差に起因してフランジ部76に変形が生じることで、当該フランジ部76の近傍ではスリーブ74の内周面の円筒度を悪化させる事態が、懸念されるからである。
スプール73の一端部には、ソレノイド71の駆動軸71aが連繋し、スプール73の他端部には、リターンスプリング72が連繋している。ソレノイド71は、制御回路90からの通電に応じた駆動軸71aの駆動力によりスプール73をリターンスプリング72側へ押圧し、リターンスプリング72は、スリーブ74との間での圧縮変形に応じた復原力の発生によりスプール73をソレノイド71側へ押圧する。したがって、制御弁70では、ソレノイド71が駆動軸71aに与える駆動力と、リターンスプリング72が発生する復原力との釣り合いに応じて、スプール73の移動位置(以下、単に「スプール移動位置」という)が決まることになる。
図4に示すようにスプール73には、進角還流通路110、遅角還流通路111、進角ドレン通路112及び遅角ドレン通路113が設けられている。スプール73を孔状に貫通する進角還流通路110及び遅角還流通路111の各一端部110a,111aは、互いに一体となってスプール73の外周面に開口している。進角還流通路110及び遅角還流通路111の各他端部110b,111bは、スプール73の軸方向に互いに離間する箇所にて、それぞれスプール73の外周面に開口している。スプール73の外周面に溝状に開口する進角ドレン通路112は、進角還流通路110の他端部110bの開口部に対してスプール73の周方向にずれた箇所を、スプール73の軸方向に延伸している。スプール73において、遅角還流通路111を軸方向に挟んで進角還流通路110とは反対側箇所を孔状に貫通する遅角ドレン通路113は、両端部113a,113bをそれぞれスプール73の一端面及び外周面に開口させている。
こうした構成から、図2,5,6に示す第一進角モードA1のスプール移動位置では、進角還流通路110の一端部110aが進角制御ポート80及び供給ポート82と連通し、同通路110の他端部110bが遅角制御ポート81と連通する。また、第一進角モードA1のスプール移動位置では、遅角還流通路111の一端部111aが進角制御ポート80及び供給ポート82と連通し、同通路111の他端部111bがスリーブ74により閉塞される。さらに、第一進角モードA1のスプール移動位置では、進角ドレン通路112の一端部112aが進角ドレンポート85と連通し、同通路112の他端部112bがスリーブ74により閉塞される。またさらに、第一進角モードA1のスプール移動位置では、遅角ドレン通路113の一端部113aが遅角ドレンポート86と連通し、遅角ドレン通路113の他端部113bがスリーブ74により閉塞される。
図2,7,8に示す第二進角モードA2のスプール移動位置では、進角還流通路110の一端部110aが進角制御ポート80及び供給ポート82と連通し、同通路110の他端部110bが遅角制御ポート81と連通する。また、第二進角モードA2のスプール移動位置では、遅角還流通路111の一端部111aが進角制御ポート80及び供給ポート82と連通し、同通路111の他端部111bがスリーブ74により閉塞される。さらに、第二進角モードA2のスプール移動位置では、進角ドレン通路112の一端部112aが進角ドレンポート85と連通し、同通路112の他端部112bが遅角制御ポート81と連通する。またさらに、第二進角モードA2のスプール移動位置では、遅角ドレン通路113の一端部113aが遅角ドレンポート86と連通し、同通路113の他端部113bがスリーブ74により閉塞される。
図2,9,10に示す第一遅角モードR1のスプール移動位置では、進角還流通路110の一端部110aが遅角制御ポート81及び供給ポート82と連通し、同通路110の他端部110bがスリーブ74により閉塞される。また、第一遅角モードR1のスプール移動位置では、遅角還流通路111の一端部111aが遅角制御ポート81及び供給ポート82と連通し、同通路111の他端部111bが進角制御ポート80と連通する。さらに、第一遅角モードR1のスプール移動位置では、一端部112aが進角ドレンポート85と連通し、同通路112の他端部112bがスリーブ74により閉塞される。またさらに、第一遅角モードR1のスプール移動位置では、遅角ドレン通路113の一端部113aが遅角ドレンポート86と連通し、遅角ドレン通路113の他端部113bがスリーブ74により閉塞される。
図2,11,12に示す第二遅角モードR2のスプール移動位置では、進角還流通路110の一端部110aが遅角制御ポート81及び供給ポート82と連通し、同通路110の他端部110bがスリーブ74により閉塞される。また、第二遅角モードR2のスプール移動位置では、遅角還流通路111の一端部111aが遅角制御ポート81及び供給ポート82と連通すると共に、同通路111の他端部111bが進角制御ポート80と連通する。さらに、第二遅角モードR2のスプール移動位置では、進角ドレン通路112の一端部112aが進角ドレンポート85と連通し、同通路112の他端部112bがスリーブ74により閉塞される。またさらに、第二遅角モードR2のスプール移動位置では、遅角ドレン通路113の一端部113aが遅角ドレンポート86と連通し、同通路113の他端部113bが進角制御ポート80と連通する。
図2,13に示す保持モードHのスプール移動位置では、進角制御ポート80及び遅角制御ポート81が共にスプール73により閉塞される。また、保持モードHのスプール移動位置では、進角還流通路110及び遅角還流通路111の各一端部110a,111aが供給ポート82と連通し、それら進角還流通路110及び遅角還流通路111の各他端部110b,111bがスリーブ74により閉塞される。さらに、保持モードHのスプール移動位置では、進角ドレン通路112の一端部112aが進角ドレンポート85と連通し、同通路112の他端部112bがスリーブ74により閉塞される。またさらに、保持モードHのスプール移動位置では、遅角ドレン通路113の一端部113aが遅角ドレンポート86と連通し、同通路113の他端部113bがスリーブ74により閉塞される。
さて、図1,4に示すように、スプール73の進角還流通路110及び遅角還流通路111には、それぞれ進角還流逆止弁120及び遅角還流逆止弁121が配設されている。各還流逆止弁120,121は、図4に示すように、それぞれ個別の弁座122,123及び弁部材124,125と、互いに共通の弾性部材126とを組み合わせてなる。
進角弁座122は、進角還流通路110の内壁面のうち端部110b側に向かって縮径する円錐面により、形成されている。金属により有底円筒状に形成される進角弁部材124は、進角還流通路110のうち進角弁座122よりも端部110a側に当該弁座122と同軸上に収容され、軸方向に往復移動可能となっている。これにより進角弁部材124の底部は、端部110b側へ移動することで進角弁座122に着座する一方、端部110a側へ移動することで進角弁座122から離座する。
遅角弁座123は、遅角還流通路111の内壁面のうち端部111b側に向かって縮径する円錐面により、形成されている。金属により有底円筒状に形成される遅角弁部材125は、遅角還流通路111のうち遅角弁座123よりも端部111a側に当該弁座123と同軸上に収容され、軸方向に往復移動可能となっている。これにより遅角弁部材125の底部は、端部111b側へ移動することで遅角弁座123に着座する一方、端部111a側へ移動することで遅角弁座123から離座する。
金属製のコイルスプリングからなる弾性部材126は、進角弁部材124及び遅角弁部材125の間に同軸上に介装されている。これにより弾性部材126は、進角弁部材124及び遅角弁部材125の間での圧縮変形に応じた復原力を発生することで、それら進角弁部材124及び遅角弁部材125をそれぞれ進角弁座122側及び遅角弁座123側へ押圧する。
こうした構成から、進角還流通路110のうち進角弁座122を挟んで端部110a側よりも端部110b側が高圧となることで、図5,8の如く進角弁部材124が進角弁座122から離座するときには、進角還流逆止弁120が開弁状態となる。これにより、モードA1,A2の進角還流通路110では、遅角制御ポート81から進角制御ポート80側へ流通する作動油の還流(図5,8参照)が、許容される。一方、進角還流通路110のうち進角弁座122を挟んで端部110b側よりも端部110a側が高圧となることで、図6,7,9〜13の如く進角弁部材124が進角弁座122に着座するときには、進角還流逆止弁120が閉弁状態となる。これにより、モードA1,A2の進角還流通路110では、進角制御ポート80から遅角制御ポート81側へ流通する作動油の還流(図6参照)が、規制される。
また、遅角還流通路111のうち遅角弁座123を挟んで端部111a側よりも端部111b側が高圧となることで、図9,12の如く遅角弁部材125が遅角弁座123から離座するときには、遅角還流逆止弁121が開弁状態となる。これにより、モードR1,R2の遅角還流通路111では、進角制御ポート80から遅角制御ポート81側へ流通する作動油の還流(図9,12参照)が、許容される。一方、遅角還流通路111のうち遅角弁座123を挟んで端部111b側よりも端部111a側が高圧となることで、図5〜8,10,11,13の如く遅角弁部材125が遅角弁座123に着座するときには、遅角還流逆止弁121が閉弁状態となる。これにより、モードR1,R2の遅角還流通路111では、遅角制御ポート81から進角制御ポート80側へ流通する作動油の還流(図10参照)が、規制される。
以上に加えて、図1,2に示すように制御部30の供給通路62には、リード式の供給流逆止弁(リード弁)130が配設されている。供給流逆止弁130は、供給通路62を挟んで供給ポート82側よりもポンプ4側が高圧となることで、開弁状態となる。これにより、モードA2,R2の供給通路62では、ポンプ4から供給ポート82側への供給流(図7,11,13参照)が、許容される。一方、供給流逆止弁130は、供給通路62を挟んでポンプ4側よりも供給ポート82側が高圧となることで、閉弁状態となる。これにより、モードA1,R1の供給通路62では、供給ポート82側からポンプ4への逆流(図5,6,8〜10,12参照)が、規制される。
(特徴的構成)
次に、スプール73の特徴的構成について、説明する。図4,14に示すようにスプール73は、外筒部材140の内周側に内筒部材141を同軸上に配置して、それら二部材140,141同士を嵌合により組み合わせてなる。
図4に示すように外筒部材140は、進角還流通路110のうち弁通路部142及び外通路部143を、他の通路111,112,113及び遅角弁座123と共に形成している。ここで、外筒部材140をスプール73の軸方向に貫通して進角還流通路110の端部110aを形成する弁通路部142は、進角弁部材124を往復移動可能に収容し且つ弾性部材126を弾性変形可能に部分的に収容する円筒孔状を、呈している。
図14〜17に示すように、外筒部材140をスプール73の径方向に貫通して進角還流通路110の端部110bを形成する外通路部143は、同スプール73の周方向に延伸するスリット孔状(長孔状)を、呈している。本実施形態において外通路部143は、スプール73の周方向にπradずれた二箇所に等間隔をあけて設けられ、それぞれ当該πrad未満の周方向長さを有している。各外通路部143は、モードA1,A2にて遅角制御ポート81に向かって開口する開口部143a(図5〜8も参照)を、スリーブ74と摺動する外筒部材140の外周面140aに形成している。また、各外通路部143は、内筒部材141に向かって開口する開口部143bを、外筒部材140の内周面140bに形成している。
図4に示すように内筒部材141は、進角還流通路110のうち接続通路部144、内通路部145及び中間通路部146を、弁通路部142に露出する進角弁座122と共に形成している。ここで、内筒部材141をスプール73の軸方向に貫通する接続通路部144は、進角弁座122の内周側を通じて弁通路部142に同軸上に連通する円筒孔状を、呈している。これにより、接続通路部144に対して弁通路部142は、作動油の流通面積を拡大するように接続されている。そして、ここまでの構成から、遅角還流通路111に遅角弁部材125及び弾性部材126の一部を収容し且つ弁通路部142に進角弁部材125及び弾性部材126の残部を収容した外筒部材140に対し、内筒部材141を嵌合させて当該弁通路部142を接続通路部144に接続させることで、逆止弁120,121の機能の実現が可能となっている。
図14〜17に示すように、内筒部材141をスプール73の径方向に貫通する内通路部145は、同スプール73の径方向からの投影視において外通路部143と重なって心合わせされる円筒孔を、呈している。これにより内通路部145は、スプール73の周方向にπradずれた二箇所に等間隔をあけて設けられ、それぞれ対応する外通路部143に対して同スプール73の径方向における内側に位置決めされている。各内通路部145は、接続通路部144を介して弁通路部142(図4参照)に接続される開口部145aを、当該接続通路部144を囲む内筒部材141の内周面141aに形成している。
図14〜17に示すように、内筒部材141において外周面141bからスプール73の径方向に凹む中間通路部146は、当該径方向からの投影視において内外通路部145,143と重なって心合わせされる矩形溝状を、呈している。これにより中間通路部146は、スプール73の周方向にπradずれた二箇所に等間隔をあけて設けられ、それぞれ対応する内外通路部145,143の間を同スプール73の径方向に接続している。各中間通路部146は、対応する外通路部143に向かって開口する開口部146aを、内筒部材141の外周面141bに形成している。また、各中間通路部146は、対応する内通路部145が開口部145bを通じて開口する溝底面146bを、矩形平面状に形成している。
こうした各中間通路部146の溝底面146bの輪郭は、図17に示すスプール73の径方向からの投影視において、対応する内外通路部145,143の各開口部145b,143bの輪郭をいずれも囲むように、形成されている。即ち、スプール73の径方向からの投影視において各中間通路部146の内方には、対応通路部145,143の各開口部145b,143bが共に位置する形となっている。これにより、図14〜17に示す各中間通路部146は、対応する内外通路部145,143の各開口部145b,143bよりも作動油の流通面積を確実に拡大した状態で、それら対応通路部145,143間を接続しているのである。
以上の構成を有するスプール73では、両外通路部143による作動油の最小流通面積Soと、両内通路部145による作動油の最小流通面積Siと、接続通路部144による作動油の最小流通面積Scとが、規定されている。
具体的には、本実施形態において各外通路部143の通路面積は、スプール73の径方向のうち内側開口部143bの形成箇所にて最小となっており、両外通路部143の当該最小通路面積の総和として、最小流通面積Soが下記の式(1)により規定されている。尚、式(1)中のθは、図16に示すように、スプール73の周方向における角度範囲として、各外通路部143の内側開口部143bが延伸する範囲を表している。また、式(1)中のLは、図15に示すように、スプール73の軸方向における幅として、各外通路部143の幅を表している。さらに、式(1)中のdoは、図15に示すように、外筒部材140において各外通路部143の内側開口部143bが形成される内周面140bの直径を、表している。
So=2・θ・L・do/2 ・・・(1)
本実施形態において各内通路部145の通路面積は、スプール73の径方向の任意箇所にて実質的に一定となっており、両内通路部145の当該通路面積の総和として、最小流通面積Siが下記の式(2)により規定されている。尚、式(2)中のdiは、図15,16に示すように、各内通路部145の直径を表している。
Si=2・π・(di/2) ・・・(2)
本実施形態において接続通路部144の通路面積は、スプール73の軸方向の任意箇所にて実質的に一定となっており、当該通路面積としての最小流通面積Scが下記の式(3)により規定されている。尚、式(3)中のdcは、図15に示すように、接続通路部144の直径を表している。
Sc=π・(dc/2) ・・・(3)
そして、このように規定されている最小流通面積So,Si,Scについて、本実施形態は、下記の式(4)の相関関係を満たすことを特徴としている。ここで、特に最小流通面積So,Scの間では、式(1),(3),(4)から下記の式(5)の関係が得られる。したがって、例えばθ=π/2、do=2・dcとした場合には、式(5)から下記の式(6)が得られるので、スプール73の軸方向における各外通路部143の幅Lについては、接続通路部144の直径の1/4程度まで小さくしてもよいことが、分かる。
Si≧So≧Sc ・・・(4)
L≧π・dc/(4・θ・do) ・・・(5)
L≧dc/4 ・・・(6)
このように、外筒部材140においてスプール73の周方向に延伸するスリット孔状に貫通する各外通路部143については、スリーブ74と摺動する外周面140aに開口する外側開口部143aの幅Lを、同スプール73の軸方向に可及的に小さく設定し得る。故に、スリーブ74のうちフランジ部76よりもカム軸2側にて連動回転要素100に内蔵される部分と摺動する「摺動面」として、外筒部材140の外周面140aを各外通路部143の外側開口部143aの周囲に確保しつつ、スプール73の軸方向長の増大を抑制できる。したがって、連動回転要素100における制御弁70の内蔵スペースの制限に応え得る小型なバルブタイミング調整装置を、提供可能である。
(作動)
次に、バルブタイミング調整装置1のバルブタイミング調整作動について、説明する。ポンプ4から作動油の供給が継続される内燃機関の定常運転時(以下、単に「定常運転時」という)には、運転状態に適したバルブタイミングを実現するように制御回路90がソレノイド71への通電を制御することで、モードA1,A2,R1,R2,Hのスプール移動位置のうちいずれかの位置が選択される。その結果、進角室52,53,54及び遅角室56,57,58に対する作動油の入出が、選択されたスプール移動位置に応じて制御される。そこで、以下では、定常運転時における各モードA1,A2,R1,R2,Hの作動を、個別に説明する。尚、内燃機関において定常運転が開始される始動直後においては、進角室52,53,54、遅角室56,57,58のいずれも、ポンプ4から供給の作動油により満たされた状態となっている。
(a1) 第一進角モードA1
定常運転時に、内燃機関の回転数が所定値より小さく且つ実位相が目標位相に対する許容偏差より遅角側にある等の運転条件が成立すると、図5,6に示す第一進角モードA1のスプール移動位置が選択される。このスプール移動位置では、進角室52,53,54と遅角室56,57,58とがポート80,81間の進角還流通路110を介して接続される。またそれと同時に、通路110,111の各端部110a,111aが供給通路62に接続されると共に、通路111,112,113の端部111b,112b,113bがスリーブ74により閉塞される。
こうした接続形態下、変動トルクのうち負トルクがベーンロータ15に作用して遅角室56,57,58を縮小させようとすると、それら遅角室56,57,58の作動油は、図5に示すように遅角制御ポート81を通じて進角還流通路110に押し出される。このとき、負トルクの作用により容積拡大して負圧の発生する進角室52,53,54に進角制御ポート80を介して接続される進角還流通路110においては、当該進角制御ポート80側へ流通する還流が進角還流逆止弁120により許容される。それと共に、進角還流通路110と繋がる遅角還流通路111及び供給通路62においては、遅角還流逆止弁121及び供給流逆止弁130がそれぞれ閉弁する。したがって、遅角室56,57,58からの排出作動油は、負圧の発生した進角室52,53,54に進角還流通路110を通じて吸入されることになる。これに対し、大気開放のドレン回収通路65に進角ドレンポート85を介して端部112aが連通する進角ドレン通路112からは、当該通路112の端部112bの閉塞により、空気が進角還流通路110を通じて進角室52,53,54に吸入されることはない。これらによれば、回転位相を進角側へと変化させて、バルブタイミングを進角させることができるのである。
一方、変動トルクの方向反転により正トルクがベーンロータ15に作用して進角室52,53,54が容積縮小しようとすると、当該反転前の進角室52,53,54への導入作動油は、図6に示すように進角制御ポート80を通じて進角還流通路110に押し出される。このとき、進角還流通路110において遅角制御ポート81側へ流通する還流は、進角還流逆止弁120により規制される。それと共に、遅角還流通路111及び供給通路62においては、遅角還流逆止弁121及び供給流逆止弁130がそれぞれ閉弁する。これらによれば、変動トルクの反転前に進角側へ変化した回転位相が遅角側へと戻る事態を、抑制することができるのである。
このような第一進角モードA1において、遅角室56,57,58から進角還流通路110を経て作動油を進角室52,53,54に還流させる流量は、当該還流通路110のうち外通路部143が遅角制御ポート81との間に形成する隙間により、制御される。故に、スプール73の軸方向における各外通路部143の幅Lを単に小さく設定した場合、それら外通路部143による作動油の流通面積が絞られて還流流量が減少してしまい、回転位相の進角側変化に応じたバルブタイミング調整の応答性を低下させるおそれがある。
しかし、本実施形態では、進角還流通路110のうち両内通路部145、両外通路部143及び接続通路部144による最小流通面積Si,So,Scが式(4)の関係を満たす範囲で、各外通路部143の幅Lが可及的に小さく設定されることになる。これによれば、接続通路部144以上の流通面積となる両外通路部143から、それ以上の流通面積となる両内通路部145を通じて作動油を接続通路部144に流通させて、進角室52,53,54への還流流量を確保することができる。
加えて進角還流通路110のうち、対応する内外通路部145,143よりも流通面積が拡大する各中間通路部146によれば、別部材141,140の形成する対応通路部145,143間が、式(4)の関係による還流流量の確保作用を妨げずに接続され得る。ここでスプール73の径方向投影視にて、各中間通路部146の内方に異なる形状をもって位置する内外通路部145,143を重ねて心合わせさせていることによれば、それら通路部145,143間を接続して作動油を流通させることによる圧損を十分に低減できる。したがって、式(4)の関係による還流流量の確保作用につき、そうした圧損に起因して阻害される事態を回避し得るのである。
以上より、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、スプール73の軸方向長の増大抑制を図りながらも両立的に実現することが、可能である。尚、ここまでの説明から、第一進角モードA1が特許請求の範囲に記載の「位相変化モード」に相当し、進角制御ポート80が特許請求の範囲に記載の「導入ポート」に相当し、遅角制御ポート81が特許請求の範囲に記載の「排出ポート」に相当している。
(a2) 第二進角モードA2
定常運転時に、内燃機関の回転数が所定値より大きく且つ実位相が目標位相に対する許容偏差より遅角側にある等の運転条件が成立すると、図7,8に示す第二進角モードA2のスプール移動位置が選択される。このスプール移動位置では、進角室52,53,54と遅角室56,57,58とがポート80,81間の進角還流通路110を介して接続されると共に、進角ドレン通路112と連通の進角ドレンポート85を介して遅角制御ポート81がドレン回収通路65に接続される。またそれと同時に、通路110,111の各端部110a,111aが供給通路62に接続されると共に、通路111,113の端部111b,113bがスリーブ74により閉塞される。
こうした接続形態下、供給通路62において供給ポート82側への供給流を供給流逆止弁130が許容することで、ポンプ4から供給される作動油は、図7に示すように、当該供給ポート82から進角制御ポート80側へ流通する。このとき、ポンプ4からの作動油の供給圧が設定圧(例えば200kPa)以上となる場合に当該作動油が流入する進角還流通路110においては、進角制御ポート80から遅角制御ポート81側へ流通する還流が進角還流逆止弁120により規制される。それと共に、進角還流通路110と繋がる遅角還流通路111においては、遅角還流逆止弁121が閉弁する。これらによれば、作動油が供給通路62を通じて進角室52,53,54に導入される一方、遅角室56,57,58の作動油が進角ドレン通路112を通じてドレン回収通路65に排出される。したがって、内燃機関の高回転に伴って変動トルクが乱れることに起因して進角還流逆止弁120の作動応答性が低くなるような運転条件であっても、回転位相を迅速に進角側へと変化させて、バルブタイミングを進角させることができるのである。
但し、温度上昇により作動油の供給圧が設定圧未満となる場合、変動トルクに応じた作動が上記(a1)に準じて図8の如く生じることで、遅角室56,57,58からの排出作動油が進角還流通路110を通じて進角室52,53,54に導入されることになる。これによれば、ポンプ4からの作動油の供給圧が低下したとしても、バルブタイミングの進角を継続することが、可能となる。尚、このように作動油の供給圧が設定圧未満となる場合にも、上記(a1)の場合と同様の原理により、還流流量の確保によるバルブタイミング調整応答性の向上効果を、スプール73の軸方向長の増大抑制を図りながらも両立的に実現することが、可能である。したがって、第二進角モードA2も特許請求の範囲に記載の「位相変化モード」に相当する。
(r1) 第一遅角モードR1
定常運転時に、内燃機関の回転数が所定値より小さく且つ実位相が目標位相に対する許容偏差より進角側にある等の運転条件が成立すると、図9,10に示す第一遅角モードR1のスプール移動位置が選択される。このスプール移動位置では、進角室52,53,54と遅角室56,57,58とがポート80,81間の遅角還流通路111を介して接続される。またそれと同時に、通路110,111の各端部110a,111aが供給通路62に接続されると共に、通路110,112,113の端部110b,112b,113bがスリーブ74により閉塞される。
こうした接続形態下、変動トルクのうち正トルクがベーンロータ15に作用して進角室52,53,54を縮小させようとすると、それら進角室52,53,54の作動油は、図9に示すように進角制御ポート80を通じて遅角還流通路111に押し出される。このとき、正トルクの作用により容積拡大して負圧の発生する遅角室56,57,58に遅角制御ポート81を介して接続される遅角還流通路111においては、当該遅角還流通路111側へ流通する還流が遅角還流逆止弁121により許容される。それと共に、遅角還流通路111と繋がる進角還流通路110及び供給通路62においては、進角還流逆止弁120及び供給流逆止弁130がそれぞれ閉弁する。したがって、進角室52,53,54からの排出作動油は、負圧の発生した遅角室56,57,58に遅角還流通路111を通じて吸入されることになる。これに対し、大気開放のドレン回収通路65に遅角ドレンポート86を介して端部113aが連通する遅角ドレン通路113からは、当該通路113の端部113bの閉塞により、空気が遅角還流通路111を通じて遅角室56,57,58に吸入されることはない。これらによれば、回転位相を遅角側へと変化させて、バルブタイミングを遅角させることができるのである。
一方、変動トルクの方向反転により負トルクがベーンロータ15に作用して遅角室56,57,58が容積縮小しようとすると、当該反転前の遅角室56,57,58への導入作動油は、図10に示すように遅角制御ポート81を通じて遅角還流通路111に押し出される。このとき、遅角還流通路111において進角制御ポート80側へ流通する還流は、遅角還流逆止弁121により規制される。それと共に、進角還流通路110及び供給通路62においては、進角還流逆止弁120及び供給流逆止弁130がそれぞれ閉弁する。これらによれば、変動トルクの反転前に遅角側へ変化した回転位相が進角側へと戻る事態を、抑制することができるのである。
(r2) 第二遅角モードR2
定常運転時に、内燃機関の回転数が所定値より大きく且つ実位相が目標位相に対する許容偏差より進角側にある等の運転条件が成立すると、図11,12に示す第二遅角モードR2のスプール移動位置が選択される。このスプール移動位置では、進角室52,53,54と遅角室56,57,58とがポート80,81間の遅角還流通路111を介して接続されると共に、遅角ドレン通路113と連通の遅角ドレンポート86を介して進角制御ポート80がドレン回収通路65に接続される。またそれと同時に、通路110,111の各端部110a,111aが供給通路62に接続されると共に、通路110,112の端部110b,112bがスリーブ74により閉塞される。
こうした接続形態下、供給通路62において供給ポート82側への供給流を供給流逆止弁130が許容することで、ポンプ4から供給される作動油は、図11に示すように、当該供給ポート82から遅角制御ポート81側へ流通する。このとき、ポンプ4からの作動油の供給圧が上記(a2)の場合と同じ設定圧以上となる場合に当該作動油が流入する遅角還流通路111においては、遅角制御ポート81から進角制御ポート80側へ流通する還流が遅角還流逆止弁121により規制される。それと共に、遅角還流通路111と繋がる進角還流通路110においては、進角還流逆止弁120が閉弁する。これらによれば、作動油が供給通路62を通じて遅角室56,57,58に導入される一方、進角室52,53,54の作動油が遅角ドレン通路113を通じてドレン回収通路65に排出される。したがって、内燃機関の高回転に伴って変動トルクが乱れることに起因して遅角還流逆止弁121の作動応答性が低くなるような運転条件であっても、回転位相を迅速に遅角側へと変化させて、バルブタイミングを遅角させることができるのである。
但し、温度上昇により作動油の供給圧が設定圧未満となる場合、変動トルクに応じた作動が上記(r1)に準じて図12の如く生じることで、進角室52,53,54からの排出作動油が遅角還流通路111を通じて遅角室56,57,58に導入されることになる。これによれば、ポンプ4からの作動油の供給圧が低下したとしても、バルブタイミングの遅角を継続することが、可能となる。
(h) 保持モードH
定常運転時に、実位相が目標位相に対する許容偏差内にある等の運転条件が成立すると、図13に示す保持モードHのスプール移動位置が選択される。このスプール移動位置では、進角室52,53,54及び遅角室56,57,58が、進角還流通路110、遅角還流通路111及び供給通路62のうちいずれに対しても、遮断される。こうした接続形態下、各還流逆止弁120,121が閉弁して、進角室52,53,54及び遅角室56,57,58に作動油が保持されることになるので、変動トルクの影響による回転位相変化の範囲内にて、バルブタイミングを保持することができるのである。
(第二実施形態)
図18〜20に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、以下、特徴的構成として第一実施形態と異なる点を中心に説明する。第二実施形態のスプール2073は、外通路部143と共に中間通路部2146を有した外筒部材2140の内周側に、当該中間通路部2146を通じて外通路部143と接続される内通路部145を有した内筒部材2141を、配置してなる。
具体的には、外筒部材2140の内周面2140bからスプール2073の径方向に凹む中間通路部2146は、当該径方向からの投影視にて内筒部材2141の内通路部145及び同外筒部材2140の外通路部143と重なって心合わせされる矩形溝状を、呈している。これにより中間通路部2146は、スプール2073の周方向にπradずれた二箇所に等間隔をあけて設けられ、それぞれ対応する内外通路部145,143間を同スプール2073の径方向に接続している。
こうした構成に応じて各内通路部145は、外筒部材2140に向かって開口する開口部2145bを、内筒部材2141の外周面2141bに形成している。また、各中間通路部2146は、対応する内通路部145に向かって開口する開口部2146aを、外筒部材2140の内周面2140bに形成している。さらにまた、各外通路部143は、モードA1,A2にて遅角制御ポート81とは反対側に向かって開口する開口部2143bを、対応する中間通路部2146の矩形平面状の溝底面2146bに形成している。
そして、このような第二実施形態においても各中間通路部2146の溝底面2146bの輪郭は、図20に示すスプール2073の径方向からの投影視にて、対応する内外通路部145,143の各開口部2145b,2143bの輪郭をいずれも囲むように、形成されている。即ち、スプール2073の径方向からの投影視において各中間通路部2146の内方には、対応通路部145,143の各開口部2145b,2143bが共に位置する形となっている。これにより、図18〜20に示す各中間通路部2146は、対応する内外通路部145,143の各開口部2145b,2143bよりも作動油の流通面積を確実に拡大した状態で、それら対応通路部145,143の間を接続しているのである。
以上のスプール2073においても、両外通路部143による作動油の最小流通面積Soと、両内通路部145による作動油の最小流通面積Siと、接続通路部144による作動油の最小流通面積Scとが、第一実施形態に準ずる規定(但し、doは、外筒部材2140において各外通路部143の内側開口部2143bが形成される各中間通路部2146の溝底面2146bの直径を表す)により、式(4)の関係を満たす。したがって、第一実施形態と同様の作用効果を得ることが、可能である。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に制御弁70については、スプール73,2073及びリターンスプリング72を収容するスリーブ74を、上述の如く連動回転要素100をなすベーンロータ15及びカム軸2の双方に内蔵させる以外に、当該スリーブ74を、ベーンロータ15及びカム軸2の一方に内蔵にさせる、あるいはベーンロータ15及びカム軸2の外部に配置してもよい。また、内通路部145の形状については、式(4)を満たす限りにおいて、例えばスリット孔状等、各種の形状を採用することができる。
さらに、中間通路部146,2146の形状については、内外通路部145,143の各開口部145b,143b,2145b,2143bよりも作動油の流通面積を拡大させ得る限りにおいて、例えば有底円筒孔状等、各種の形状を採用することができる。またさらに、スプール73の径方向からの投影視にて中間通路部146,2146の内方に内外通路部145,143の各開口部145b,143b,2145b,2143bを共に位置させる構成では、各種の配置形態を採用することができる。例えば図21(a)〜(c)に示すように、スプール73の径方向からの投影視において、内外通路部145,143の双方が中間通路部146,2146と心合わせされていなくてもよく、この場合の内外通路部145,143同士については、図21(a)の如く重なって心合わせされていてもよいし、図21(b)の如く重なっていても心合わせされていなくてもよいし、図21(c)の如く重なっていなくてもよい。あるいは図21(d),(e)に示すように、スプール73の径方向からの投影視において、内外通路部145,143の一方(図21(d),(e)は内通路部145の例)が中間通路部146,2146と心合わせされていなくてもよく、この場合、内外通路部145,143同士について、図21(d)の如く重なっていてもよいし、図21(e)の如く重なっていなくてもよい。
加えて、内外通路部145,143及び中間通路部146,2146の組数については、二組以外にも、一組であってもよいし、三組以上であってもよい。ここで一組の場合、一外通路部143による作動油の最小流通面積Soは、例えば当該外通路部143の開口部143b,2143bにおける最小通路面積として規定され、一内通路部145による作動油の最小流通面積Siは、例えば当該内通路部145の任意箇所にて実質的に一定となる通路面積として規定される。また、三組以上の場合、三つ以上の外通路部143による作動油の最小流通面積Soは、例えばそれら外通路部143の各開口部143b,2143bにおける最小通路面積の総和として規定され、三つ以上の内通路部145による作動油の最小流通面積Siは、例えばそれら内通路部145の任意箇所にて実質的に一定となる通路面積の総和として規定される。
さらに加えて、上述した特徴的構成のうち進角還流通路110に関する部分を、当該部部に代えて又は加えて遅角還流通路111に適用してもよい。この場合、第一遅角モードR1及び第二遅角モードR2が特許請求の範囲に記載の「位相変化モード」に相当し、遅角制御ポート81が特許請求の範囲に記載の「導入ポート」に相当し、進角制御ポート80が特許請求の範囲に記載の「排出ポート」に相当することになる。そして、本発明は、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外に、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、それら吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置にも、適用することができるのである。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 ポンプ、10 駆動部、11 ハウジング、15 ベーンロータ、15a 回転軸、15b,15c,15d ベーン、30 制御部、52,53,54 進角室、56,57,58 遅角室、60 進角制御通路、61 遅角制御通路、62 供給通路、65 ドレン回収通路、70 制御弁、71 ソレノイド、71a 駆動軸、72 リターンスプリング、73,2073 スプール、74 スリーブ、75 固定部、76 フランジ部、80 進角制御ポート、81 遅角制御ポート、82 供給ポート、85 進角ドレンポート、86 遅角ドレンポート、90 制御回路、100 連動回転要素、110 進角還流通路、111 遅角還流通路、112 進角ドレン通路、113 遅角ドレン通路、120 進角還流逆止弁、121 遅角還流逆止弁、122 進角弁座、123 遅角弁座、124 進角弁部材、125 遅角弁部材、126 弾性部材、130 供給流逆止弁、140,2140 外筒部材、140a 外周面、140b,2140b 内周面、141,2141 内筒部材、141a 内周面、141b,2141b 外周面、142 弁通路部、143 外通路部、143a,143b,2143b 開口部、144 接続通路部、145 内通路部、145a,145b,2145b 開口部、146,2146 中間通路部、146a,2146a 開口部、146b,2146b 溝底面、A1 第一進角モード、A2 第二進角モード、H 保持モード、R1 第一遅角モード、R2 第二遅角モード、L 幅、Sc,Si,So 最小流通面積

Claims (7)

  1. 内燃機関のクランク軸と連動回転するハウジングと、
    前記内燃機関のカム軸と連動回転し、前記ハウジング内において進角室及び遅角室を回転方向に区画し、作動液が前記進角室又は前記遅角室へ導入されることにより、前記ハウジングに対する回転位相が進角側又は遅角側へ変化するベーンロータと、
    スリーブ内に収容されるスプールの移動位置に応じて前記進角室及び前記遅角室に対する作動液の入出を制御する制御弁とを、備え、前記クランク軸からのトルク伝達により前記カム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    前記回転位相を変化させる位相変化モードにおいて前記進角室及び前記遅角室の一方に作動液を導入する導入ポートと、
    前記位相変化モードにおいて前記進角室及び前記遅角室の他方から作動液が排出される排出ポートとが、前記スリーブに設けられ、
    前記位相変化モードにおいて前記導入ポートを前記排出ポートに接続する還流通路と、
    前記位相変化モードにおいて弁部材が弁座から離座することにより、前記還流通路を前記排出ポートから前記導入ポート側へ流通する作動液の還流を許容する一方、前記位相変化モードにおいて弁部材が弁座に着座することにより、前記還流通路を前記導入ポートから前記排出ポート側へ流通する作動液の還流を規制する還流逆止弁とが、前記スプールに設けられるバルブタイミング調整装置において、
    前記スプールは、外筒部材の内周側に内筒部材を配置してなり、
    前記外筒部材は、前記還流通路のうち前記位相変化モードにおいて前記排出ポートに向かって開口する外通路部、並びに前記還流通路のうち前記弁部材を収容する弁通路部を有し、
    前記内筒部材は、前記還流通路のうち内通路部、前記還流通路のうち前記弁通路部に前記内通路部を接続する接続通路部、並びに前記弁通路部に露出する前記弁座を有し、
    前記外筒部材及び前記内筒部材の間には、前記還流通路のうち前記外通路部を前記内通路部に接続する中間通路部が、形成され、
    前記外通路部は、前記スプールの周方向に延伸するスリット孔状に前記外筒部材を貫通して当該外筒部材のうち前記スリーブとの摺動面に開口部を形成し、
    前記中間通路部は、前記内通路部及び前記外通路部よりも作動液の流通面積を拡大するように、それら内通路部及び外通路部の間を接続し、
    前記内通路部による作動液の最小流通面積Siと、前記外通路部による作動液の最小流通面積Soと、前記接続通路部による作動液の最小流通面積Scとは、Si≧So≧Scの関係を満たすことを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記内通路部と前記外通路部とは、前記スプールの径方向からの投影視において前記中間通路部の内方に共に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記内通路部と前記外通路部とは、前記スプールの径方向からの投影視において互いに重なることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記スプールの径方向に前記外筒部材を貫通する筒孔状の前記内通路部と、前記外通路部とは、当該径方向からの投影視において互いに心合わせされることを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記外通路部は、前記外筒部材において前記内筒部材に向かって開口する前記スリット孔状に形成され、
    前記中間通路部は、前記内筒部材において前記外通路部に向かって開口する溝状に形成され、
    前記内通路部は、前記内筒部材において前記接続通路部の溝底面に開口する筒孔状に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記内通路部は、前記内筒部材において前記外筒部材に向かって開口する筒孔状に形成され、
    前記中間通路部は、前記外筒部材において前記内通路部に向かって開口する溝状に形成され、
    前記外通路部は、前記外筒部材において前記接続通路部の溝底面に開口する前記スリット孔状に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記制御弁は、前記カム軸及び前記ベーンロータからなる連動回転要素に内蔵されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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WO2016174957A1 (ja) * 2015-04-27 2016-11-03 日立オートモティブシステムズ株式会社 油圧制御弁及び該油圧制御弁が用いられた内燃機関のバルブタイミング制御装置

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