JP2012114538A - 平面アンテナ及び平面アンテナの製造方法 - Google Patents

平面アンテナ及び平面アンテナの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】指向性が鋭く、良好な電波特性を有する安価な平面アンテナ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の平面アンテナの製造方法は、樹脂からなる誘電体である平板状の基板1と、基板1上に形成された所定のパターン3、4と、所定のパターン3、4以外の基板1の表面を被覆する導体膜2とを有する平面アンテナの製造方法であって、基板1の表面の所定のパターン3、4に対応する位置にインクジェット方式を用いて離型剤12を塗布することにより、基板1の表面の密着力を低下させる処理を行う基板密着力低下処理工程と、密着力が低下した部分13、14以外の基板1の表面の密着力を向上させる処理15を行う基板密着力向上処理工程と、基板1の表面に所定の膜厚で導体膜2を形成する導体膜形成工程と、基板1の表面の密着力が低下した部分13、14上に形成された導体膜2を除去する導体膜除去工程とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、放射用スロットパターンと給電用スロットパターンを有する平面アンテナ及びその製造方法に関し、特に、パターン表面の導体膜を除去する方法に関する。
近年、高度情報化社会を背景に無線を利用した通信システムが汎用されており、とりわけ情報量の多いマイクロ波やミリ波領域を使用した通信システムの発展が著しい。このような通信システムにおいて、平面アンテナは短波長無線システムの入出力装置として好適である。
ところで、アンテナの大きさは電(磁)波の波長の大きさにあわせて作る必要があり、波長を短波長化すると入出力装置であるアンテナの形状も小型化する必要がある。これにより、近年のアンテナではアンテナの寸法精度も微細加工技術が要求されるようになっている。
平面アンテナのスロットパターンやパッチパターンを形成する方法としては、例えば、エッチング技術を用いる方法や、金型を用いた射出成形方法などが挙げられる。
エッチング技術を用いる方法では、例えば、基板の表面全体に導体膜を形成し、その後、基板表面のスロットパターンに対応する位置に形成された導体膜をエッチングにより除去することにより、導体膜で被覆されない凹部形状のスロットパターンを形成する。
一方、金型を用いた射出成形方法では、例えば、特許文献1で提案されているように、スロットパターンに対応する凹部形状のパターンを有する金型を用いて平板状の基板表面に凸部を形成し、基板表面の全体を導体膜で被覆し、凸部を被覆している導体膜のみを除去することにより、導体膜で被覆されない凸部形状のスロットパターンを形成する。この射出成形法を利用して平面アンテナを製造する場合、一度所定のパターンを有する金型を成形してしまえばアンテナの量産が容易であるため、安価にアンテナを製造することができる。また、射出成形法はミクロン単位で所定のパターンを成形可能であり、短波長化に好適な小型のアンテナを提供できる。
特開2003−115718号公報
しかし、上記エッチング技術を利用する平面アンテナの製造方法では、平面アンテナを精度良く大量に生産できない。微細加工がそのアンテナ特性に与える影響は大きく、特に、ミリ波における寸法精度は少なくとも波長の1%以下は必要とされ、例えば、周波数が50GHzにおいては数十μmの寸法精度が必要とされる。このような要求に対してLSIの製造工程に適用可能な微細加工技術を適用することも考えられるが、かかる技術では安価なアンテナを製造することはできない。
一方、特許文献1で提案されている射出成形方法を利用する平面アンテナの製造では、凸部を被覆している導体膜を除去する方法として、機械的な手段である研削や研磨作業を用いており、凸部を被覆している導体膜だけでなく、凸部の先端部も同時に研削または研磨している。そのため、研削または研磨された凸部の高さが場所により異なり、電波特性にバラツキが生じる場合がある。また、研削装置や研磨装置自体が高価であるために、結果的にアンテナの価格が高くなってしまうという問題も生じる。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、指向性が鋭く、良好な電波特性を有する安価な平面アンテナ及びその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の平面アンテナの製造方法は、樹脂からなる誘電体である平板状の基板と、上記基板上に形成された所定のパターンと、上記所定のパターン以外の上記基板の表面を被覆する導体膜とを有する平面アンテナの製造方法であって、上記基板の表面の上記所定のパターンに対応する位置にインクジェット方式を用いて離型剤を塗布することにより、上記基板の表面の密着力を低下させる処理を行う基板密着力低下処理工程と、密着力が低下した部分以外の上記基板の表面の密着力を向上させる処理を行う基板密着力向上処理工程と、上記基板の表面に所定の膜厚で導体膜を形成する導体膜形成工程と、上記基板の表面の密着力が低下した部分上に形成された導体膜を除去する導体膜除去工程とを含むことを特徴とする。
本発明の平面アンテナは、上記本発明の平面アンテナの製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明の平面アンテナの製造方法によれば、エッチング技術や、高価な研削装置や研磨装置を必要とせず、短時間で所定のパターン上の導体膜を除去でき、指向性が鋭く、良好な電波特性を有する平面アンテナを安価に製造できる。
また、本発明の平面アンテナによれば、上記本発明の平面アンテナの製造方法を用いることにより、指向性が鋭く、良好な電波特性を有する安価な平面アンテナを実現できる。
本発明の平面アンテナの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の平面アンテナの製造方法の一例を説明するための断面図である。 図2Cに示す基板の一主面を示す概略斜視図である。 図2Cに示す基板の他方の主面を示す概略斜視図である。 図3において実線Vで囲まれた領域を示す基板の一部拡大斜視図である。
本発明の平面アンテナの製造方法は、樹脂からなる誘電体である平板状の基板と、上記基板上に形成された所定のパターンと、上記所定のパターン以外の上記基板の表面を被覆する導体膜とを有する平面アンテナの製造方法であって、上記基板の表面の上記所定のパターンに対応する位置にインクジェット方式を用いて離型剤を塗布することにより、上記基板の表面の密着力を低下させる処理を行う基板密着力低下処理工程と、密着力が低下した部分以外の上記基板の表面の密着力を向上させる処理を行う基板密着力向上処理工程と、上記基板の表面に所定の膜厚で導体膜を形成する導体膜形成工程と、上記基板の表面の密着力が低下した部分上に形成された導体膜を除去する導体膜除去工程とを含むことを特徴とする。これにより、エッチング技術や、高価な研削装置や研磨装置を必要とせず、短時間で所定のパターン上の導体膜を除去でき、指向性が鋭く、良好な電波特性を有する平面アンテナを安価に製造できる。
上記基板密着力低下処理工程において、基板表面の密着力を低下させる処理としては、離型剤を塗布(付着)する方法を用いる。離型剤としては、有機溶剤に溶解可能なものを用い、具体的には顔料インク、染料インク、油性ペンのインクなどが挙げられる。本発明では、離型剤の塗布方法としてインクジェット方式を採用している。インクジェット方式は、細かいノズルから数ピコリットルの微細液滴を吐出することが可能で、従来のスクリーン印刷法などに比べて原版を必要としないため、設計から試作までの時間が大幅に短縮され、かつ多品種少量生産などの用途にも向く。離型剤の塗布領域が大きい場合には、離型剤の吐出量の異なるノズルを用いた方が好ましい。例えば、離型剤の塗布領域の境界部には、つまり、塗布領域内の外周縁部には離型剤の吐出量が少ないノズル(例えば、1フェムトリットル程度の吐出量)を用いて土手を形成し、この土手に囲まれた領域内には、離型剤の吐出量が多いノズル(例えば、1ピコリットル程度の吐出量)を用いて一気に埋めることで、離型層を正確かつ短時間で形成することができる。離型層の厚さは、導電膜よりも厚い方が好ましい。これについては後述する。
上記基板密着力向上処理工程において、基板表面の密着力を向上させる処理として、逆スパッタリング法やプラズマ処理あるいは紫外線照射による界面改質法などを用いることができる。特に、上記逆スパッタリング法を用いる方が、導電膜のスパッタリング時と同じスパッタリングプロセスやスパッタリング装置を利用できるため好ましい。
上記導体膜形成工程において、導体膜の形成には、無電解メッキ処理、電解メッキ法、蒸着またはスパッタリング法を用いる。例えば、銅の導体膜を形成する場合には、スパッタリング法を用いた方がメッキ法などで成膜した膜に比べて緻密な膜が得られ導電率も高くなるので好ましい。ただ、スパッタリング法により厚く導電体を形成すると応力によりクラックなどが入りやすいため、基板表面に近い方の導電体をスパッタリング法により薄めに形成し、それの上に電解メッキ法により目的の厚さまで導電体を形成しても良い。ここでのスパッタリング法により形成した導電体の膜厚は、表皮深さよりも厚い方が好ましい。もちろん、導体膜としては、銅に限らず、例えば、アルミニウム、銀、ニッケルなどを用いても同様に機能する。また、導体膜は表皮効果を考慮して基板表面上に所定の厚さに形成されるが、基板表面の所定の領域(放射用スロットパターン及び給電用スロットパターンの形成位置)には形成されておらず、この所定の領域をスロットとすることでアンテナとして機能する。
上記導体膜除去工程において、超音波洗浄や粘着テープなどの接着力を利用して、基板表面の密着力が低下した部分に付着している導体膜の除去を行う。この時、導体膜の除去と同時に離型剤も除去されることが多い。特に、最初に超音波洗浄を短時間実施後、粘着テープの接着力を利用して導体膜を除去する方法は、容易にパターン上に形成された導体膜を除去することができる。離型剤が有機溶剤に溶解可能なものである場合には、超音波洗浄の洗浄液に有機溶剤を用いると、上記導体膜の除去をより容易に実行可能である。有機溶剤としては、例えば、アセトン、アルコールなどが挙げられる。また、粘着テープとしては、セロハンテープなどが挙げられる。また、本発明の導体膜除去工程を実施することにより、両面側のパターン上の導体膜を同時に除去することができ、更に、一度に多数枚の基板の除去も可能となる。従って、本発明により、エッチング技術や、高価な研削装置や研磨装置を必要とせず、かつ短時間でパターン上の導体膜の除去ができるので最終的には安価なアンテナが得られる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(実施形態1)
まず、本発明の平面アンテナ及びその製造方法の一例を、実施形態1として説明する。図1は、本実施形態の平面アンテナの構成を示す概略断面図を示す図である。
本実施形態の平面アンテナ100は、図1に示すように、樹脂からなる誘電体である平板状の基板1と、基板1の一方の主面(ここでは上面)上に形成された凹部形状の放射用スロットパターン3と、基板1の他方の主面(下面)上に形成された凹部形状の給電用スロットパターン4と、上記各スロットパターン3、4以外の基板1の表面を被覆する導体膜2とを有する。なお、図1では、平面アンテナの理解を補助するため、放射用スロットパターン3及び給電用スロットパターン4はその大きさが誇張されかつ一部省略して描いている。
また、本実施形態の平面アンテナ100は、例えば、直径60mm、厚さ1.2mmのディスク形状を有し、小型のラジアルスロットアンテナとして実現される。但し、本発明の平面アンテナの適用はこれに限定されることは無く、例えば、パッチアンテナ、マイクロストリップアンテナなど導体被覆面の一部に導体を被覆しない領域を有する誘電体として構成されるいかなるアンテナに関しても適用することができ、またその大きさにおいて限定を有するものではない。このような平面アンテナは、小型であっても寸法精度良く製造することができるという長所を有する。
本実施形態において、基板1は、所定の厚みを有し、かかる厚み部分が導波路となって各スロットへの給電回路として機能する。本明細書においては、基板1の表面において、放射用スロットパターン3及び給電用スロットパターン4が形成される部分を除き、導体膜2が形成される部分を基板の導体被覆面5と定義する。図1では、上面(放射面)に凹部形状の放射用スロットパターン3が、下面(給電面)に凹部形状の給電用スロットパターン4がそれぞれ基板1に一体成形されている。放射用スロットパターン3は、平面視での形状が例えば「ハ」の字状で、基板1の上面にスパイラル状に形成されている。一方、給電用スロットパターン4は、平面視での形状が例えばプラス形状で、基板1の下面の中心位置に形成されている。なお、給電用スロットパターン4の平面視での形状は、プラス形状に限られず、場合によっては円形でも良い。また、給電用スロットパターン4がアンテナ100のスロット中心に給電できないと放射電力パターンが偏った特性となるため、給電用スロットパターン4は、上述したスパイラル状の放射用スロットパターン3の中心に対向する位置に精度良く設けられている。
本実施形態では、放射用スロットパターン3の中心と給電用スロットパターン4の中心(電位的意味の中心)のずれがλ(波長)/50以内であることが好ましい。このように放射電磁波の位相のずれを抑えることにより、それら放射電磁波が合成されることにより形成される放射パターンが良好なものとなる。
基板1を構成する誘電体としては、例えば、シクロオレフィンポリマー樹脂を用いることができるが、これに限らず低誘電率や低吸水性のある樹脂であれば適用可能で、耐水性、耐腐食性を高めることができる。低誘電率の樹脂は、一般に分子内に親水性の高い極性基を持たないため、飽和吸水量が小さく疎水性である。また、低誘電率の樹脂は、多孔質でもないために、アルミナなどの無機材料と比較して撥水性である。具体的な材料としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ポリスチレンなどの芳香族系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンなどのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。コストやプロセスを考慮すると、炭化水素系樹脂が特に好ましい。なお、これらの材料には熱膨張率などのため必要に応じて二酸化ケイ素などのフィラーやファイバーを混入することも可能である。50GHz以上の高周波での使用を考えた場合、ジメタノナフタレン系樹脂が優れている。
また、基板1を構成する誘電体は、吸水率が0.01%以下である材料から構成されていても良い。これにより、耐水性、耐腐食性を高めることができる。このような材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンなどのポリオレフィン系樹脂が含まれる。
また、基板1を構成する誘電体は、熱膨張率が7×10-5以下である材料から構成されていても良い。これにより、耐水性、耐腐食性を高めることができる。このような材料には、例えば、ジメタノナフタレン系樹脂が含まれる。
本実施形態において、導体膜2は、基板1の導体被覆面5上に表皮効果の影響を受けないように所定の厚さに形成されている。本実施形態では周波数が60GHzの平面アンテナを想定しているので、導体膜の厚さは、例えば、2μm程度と設定できる。導体材料としては、銅や銀、ニッケルなどを用いることができる。
以下に、本実施形態の平面アンテナの製造方法について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態の平面アンテナの製造方法の一例を示す図である。
まず、基板密着力低下処理を行う。具体的には、図2Aに示すように、誘電体である平板状の基板1に対向して、離型剤12を吐出するノズル10、11を配置する。本実施形態では、基板1としては直径60mm、厚さ1.2mmのディスク形状のものを用い、離型剤12としては顔料インクを用い、ノズル10、11としては吐出量が約4ピコリットルのノズルを使用する。そして、ノズル10、11を用いてインクジェット方式により顔料インク12を所定位置に塗布する。つまり、図2Bに示すように、ノズル10、11を基板1表面に対して平行に移動させながら、基板1表面の所定のパターンに対応する位置に顔料インク12を塗布する。これにより、図2Cに示すように、基板1上の所定のパターンに対応する位置に離型層13、14が形成され、基板1表面の離型層13、14が形成された部分の密着力を低下させることができる。なお、この基板密着力低下処理により基板1表面に形成された離型層13、14は後述の導体膜除去工程においてほとんど除去される。
ここで、離型層13、14について図3〜図5を用いてより詳細に説明する。
図3は、図2Cに示す基板1の上面を示す概略斜視図であり、図4は、図2Cに示す基板1の下面を示す概略斜視図である。離型層13は、基板1表面の放射用スロットパターン3(図1)に対応する位置に形成されるものであり、例えば、図3に示すように、平面視での形状が「ハ」の字状で、かつ、基板1の上面にスパイラル状に形成されている。離型層14は、基板1表面の給電用スロットパターン4(図1)に対応する位置に形成されるものであり、例えば、図4に示すように、平面視での形状がプラス型で、かつ、基板1の下面の中心位置に形成されている。また、図5は、図3において実線Vで囲まれた領域を示す基板の一部拡大斜視図である。図5に示すように、平面視での形状が「ハ」の字状の離型層13は、平面視での形状がマイナス型の凸部13a、13bからなる。また、図示していないが、図4の離型層14は、平面視での形状がプラス型の凸部である。
離型層13、14の形成には、顔料インクの塗布領域に応じて、顔料インクの吐出量の異なる複数のノズルを用いることができる。例えば、顔料インクを塗布する領域が少ない場合、顔料インクの吐出量が少ないノズル(例えば、1フェムトリットル程度の吐出量)を用いることが好ましい。この場合、顔料インクの塗布領域外への顔料インクの滲出を防ぎ、塗布領域の境界部分での直線性が出るからである。一方、顔料インクを塗布する領域が多い場合、顔料インクの吐出量の異なる2つのノズルを用いることが好ましい。例えば、まず、顔料インクの吐出量が少ないノズル(例えば、1フェムトリットル程度の吐出量)を用い、顔料インクの塗布領域の外縁部に沿って顔料インクを滴下して土手を形成し、土手に囲まれた領域内に、顔料インクの吐出量が多いノズル(例えば、1ピコリットル程度の吐出量)を用いて顔料インクを滴下することで、土手に囲まれた領域内の空洞を一気に顔料インクで埋めることができる。このように顔料インクの吐出量の異なる2つのノズルを用いることで、基板1表面の所定のパターンに対応する位置に離型層を正確かつ短時間で形成することができる。つまり、短時間で基板表面の密着力を低下させる処理が可能となる。ここで、離型層13、14の厚さは、導電膜よりも厚い方が後述の導体膜除去がしやすいので好ましい。例えば、離型層の厚さは、導体膜の約10倍の厚さにする。また、上記吐出量の異なる2つのノズルを用いる場合、吐出量の少ないノズルから吐出される顔料インクの粘性を、吐出量の多いノズルから吐出される顔料インクの粘性よりも高くすると、土手を形成しやすい。
以上で離型層13、14に関する説明を終わり、図2の説明に戻る。上述した離型層13、14の形成により基板密着力低下処理を行った後は、基板密着力向上処理を行う。
基板密着力向上処理とは、離型層13、14が形成された部分以外の基板表面の密着力を向上させる処理である。具体的には、図2Dに示すように、後述の導電膜形成工程で用いるものと同じマグネトロンスパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気中で、パワー500W、スパッタリング時間60秒の条件で逆スパッタリング15を行った。これにより、離型層13、14が形成された部分以外の基板表面の密着力を向上させることができる。
次に、図2Eに示すように、スパッタリング法により、基板1の表面全体に導体膜2を形成する(導体膜形成工程)。具体的には、マグネトロンスパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気中で、パワー1kWの条件で銅の導電膜2を厚み約2μmとなるように形成する。これにより、離型層13、14を含む基板1本体全体に一様に導体膜2が形成される。実際には離型層13、14の側面にも導体膜2は形成されるが、図面上省いている。
しかし、図2Eに示す状態では、放射用スロットパターン3(後述の図2F)及び給電用スロットパターン4(後述の図2F)となる部分(凹部)は導体膜で覆われているため、電気的なアンテナパターンとしては機能していない。そこで、電気的なアンテナパターンを得るために、基板表面の密着力が低下した部分、つまり、離型層13、14上に形成された導体膜2を除去する(導体膜除去工程)。また、この導体膜の除去処理により離型層13、14もほとんど除去される。
ここで、所定のパターンに対応する導体膜の除去方法としては、超音波洗浄、または、粘着テープなどの接着力を用いて除去する方法が挙げられる。特に、最初に超音波洗浄を数分間実施後、続いて粘着テープの接着力を利用して導体膜を除去する方法を用いた場合には、より短時間で容易に離型層13、14上に形成された導体膜2を除去することができる。場合によっては、超音波洗浄のみで所定の位置の導体膜を除去することも可能である。この場合、両面側のパターン上の導体膜を同時に剥離することができ、更に、一度に多数の基板の導体膜除去を実行可能となる。また、超音波洗浄を用いないで粘着テープのみで導体膜を除去できることもある。この場合には、ドライ条件のみでプロセスが完了するために好ましい。本実施形態において離型剤として用いた顔料インクは有機溶剤に溶解可能であるため、上記超音波洗浄の洗浄液には、アセトンやアルコールなどの有機溶剤を用いると良い。有機溶剤を用いた場合、上記導体膜除去をより容易に実行できる。また、粘着テープとしては、例えば、セロハンテープなどを用いることができる。また、本発明によれば、基板1の上面及び下面に形成された所定のパターンに対応する導体膜2を同時に除去することができ、更に、一度に多数枚の基板にも適用可能となる。従って、エッチング技術や、高価な研削装置や研磨装置を必要とせず、かつ短時間で所定のパターン上の導体膜の除去ができるので最終的には安価なアンテナが得られる。
以上のプロセスを経て、図2Fに示すように、基板1上の所定の領域に、導体膜2で被覆されない凹部形状の放射用スロットパターン3及び給電用スロットパターン4を有する平面アンテナ100を得ることができる。なお、導体膜除去工程で導体膜2の除去を行った時に、離型層13、14が多少残ることもあるが、電波特性に影響は無い。また、図2Fに示す平面アンテナを得た後、さらに導体膜2上に保護層としてSiO2膜やSiN膜などの薄膜を形成しても良い。ただし、保護層としてはアンテナの電波特性に影響を及ぼさないものを使用する必要がある。
このように、本実施形態の平面アンテナの製造方法によれば、指向性が鋭く、良好な電波特性を有するアンテナを得ることができる。また、量産性にも優れるため、製造コストの削減をもたらすことができる。
本実施形態では、スロットアンテナを例として示したが、例えば、パッチアンテナではスロットパターンが導体膜として構成されるだけでその他において製造方法に変わりは無い。また、本発明の製造方法はアンテナに限らず、モジュールに用いられるバンドパスフィルタなどにも適用できる。この場合には、基板の厚さが100μm程度の場合が多く、従来のような研削や研磨方法が難しいため、本実施例のインクジェット方式は好適である。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
本発明の平面アンテナは、ミリ波帯(周波数30乃至300GHz、波長1乃至10mmの電波)に適した小型な平面アンテナである。特に、大容量で低コストな多様な無線システムに適用可能である。このようなアンテナは、例えば、自動車衝突防止用のレーダ、短距離通信システム、無線LAN、及び家庭の屋内配線の無線化などに好適である。
1 基板
2 導体膜
3 放射用スロットパターン
4 給電用スロットパターン
5 導体被覆面
10、11 ノズル
12 顔料インク
13 放射用スロットパターンに対応する位置に形成された離型層
14 給電用スロットパターンに対応する位置に形成された離型層
15 表面密着力向上処理
100 平面アンテナ

Claims (10)

  1. 樹脂からなる誘電体である平板状の基板と、前記基板上に形成された所定のパターンと、前記所定のパターン以外の前記基板の表面を被覆する導体膜とを有する平面アンテナの製造方法であって、
    前記基板の表面の前記所定のパターンに対応する位置にインクジェット方式を用いて離型剤を塗布することにより、前記基板の表面の密着力を低下させる処理を行う基板密着力低下処理工程と、
    密着力が低下した部分以外の前記基板の表面の密着力を向上させる処理を行う基板密着力向上処理工程と、
    前記基板の表面に所定の膜厚で導体膜を形成する導体膜形成工程と、
    前記基板の表面の密着力が低下した部分上に形成された導体膜を除去する導体膜除去工程とを含むことを特徴とする平面アンテナの製造方法。
  2. 前記基板密着力低下処理工程は、吐出量の異なる複数のノズルを用いて前記離型剤を塗布する請求項1に記載の平面アンテナの製造方法。
  3. 前記離型剤は、有機溶剤に溶解可能である請求項1または2に記載の平面アンテナの製造方法。
  4. 前記離型剤は、顔料インクである請求項3に記載の平面アンテナの製造方法。
  5. 前記導体膜除去工程は、超音波洗浄により前記導体膜を除去する請求項1〜4のいずれか1項に記載の平面アンテナの製造方法。
  6. 前記導体膜除去工程は、粘着テープの粘着力を用いて前記導体膜を除去する請求項1〜4のいずれか1項に記載の平面アンテナの製造。
  7. 前記導体膜除去工程は、最初に前記基板を超音波洗浄した後、続いて粘着テープを用いて前記導体膜を除去する請求項1〜4のいずれか1項に記載の平面アンテナの製造方法。
  8. 前記超音波洗浄の洗浄液には、有機溶剤を用いる請求項5または7に記載の平面アンテナの製造方法。
  9. 前記導体膜は、銅の薄膜である請求項1〜8のいずれか1項に記載の平面アンテナの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載された製造方法により製造されることを特徴とする平面アンテナ。
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