JP2012112012A - Hvaf溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】HVOF溶射で得られる皮膜と同等又はより優れた皮膜特性を有する溶射皮膜を形成することが可能な、HVAF溶射用途で使用される溶射用粉末、及びその溶射用粉末を用いた溶射皮膜の形成方法を提供する。
【解決手段】本発明の溶射用粉末は、HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で使用される溶射用粉末であって、コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属と炭化タングステンを含んだ造粒−焼結サーメット粒子からなり、造粒−焼結サーメット粒子の平均径は1〜30μm以下、造粒−焼結サーメット粒子のセラミックスの含有量は60〜95質量%、造粒−焼結サーメット粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が0.2〜6.0μm、造粒−焼結サーメット粒子を構成する金属一次粒子の個数平均径を同じ金属一次粒子の体積平均径で除することにより得られる値として定義する分散性の値は0.40以下の溶射用粉末である。
【選択図】なし

Description

本発明は、HVAF溶射用途で使用される溶射用粉末、及びその溶射用粉末を用いた溶射皮膜の形成方法に関する。
燃焼フレームやプラズマジェットなどを熱源として用いて金属、セラミックス、サーメットなどの溶射用粉末を基材に吹き付けることにより基材上に皮膜を形成する溶射は、表面改質方法の一種として広く知られている。中でも、燃焼フレームを熱源とするHVOF(high velocity oxy-fuel)溶射及びHVAF(high velocity air fuel)溶射などの高速フレーム溶射は様々な産業用途に適用されている。
酸素を支燃ガスとして使用することにより比較的高温のフレームを発生するHVOF溶射が酸素製造装置や大掛かりな冷却装置を必要とするのに対し、空気を支燃ガスとして使用するHVAF溶射は、基本的に空冷機構を有しており、それらを必要としない。そのため、HVAF溶射は、現地施工に向いており、大型で移動させることが難しい対象物に対して溶射皮膜を形成する場合に有用であることから、HVOF溶射の代替として期待が高まっている。
しかしながら、同じ組成の溶射用粉末を用いた場合、HVAF溶射により形成される溶射皮膜は、HVOF溶射により形成される溶射皮膜に比べて硬度等の皮膜特性に劣ることが多い。これは、HVAF溶射のフレームがHVOF溶射のフレームに比べて低温であるため、HVAF溶射の場合には溶射用粉末の溶融が不十分になりやすく、溶射皮膜中の粒子間結合力が低くなることが主な理由であると考えられている。
このような従来の欠点を解消し、HVAF溶射により得られた溶射皮膜においてHVOF溶射と同等又はより優れた性能を有する溶射皮膜を得ようと、HVAF溶射に使用する溶射用粉末の検討がなされている。例えば、特許文献1には、HVAF溶射に用いる炭化クロムとニッケル基合金のサーメット粒子からなる溶射用粉末が開示されている。しかしながら、融点の高いセラミックスを含むサーメット粉末からなる溶射用粉末への適用は難しく、また、HVOF溶射の代替としては実用レベルまで達しているとは言い難い。
特開2006−183091号公報
そこで本発明の目的は、HVOF溶射で得られる皮膜と同等又はより優れた皮膜特性を有する溶射皮膜を形成することが可能な、HVAF溶射用途で使用される溶射用粉末、及びその溶射用粉末を用いた溶射皮膜の形成方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で使用される溶射用粉末であって、前記溶射用粉末はコバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属と炭化タングステンを含んだ造粒−焼結サーメット粒子からなり、前記造粒−焼結サーメット粒子の平均径は1〜30μm以下であり、前記造粒−焼結サーメット粒子のセラミックスの含有量は60〜95質量%であり、前記造粒−焼結サーメット粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が0.2〜6.0μmであり、
前記造粒−焼結サーメット粒子を構成する金属一次粒子の個数平均径を同じ金属一次粒子の体積平均径で除することにより得られる値として定義する分散性の値は0.40以下である溶射用粉末を提供する。造粒−焼結サーメット粒子の製造に使用される金属微粒子が、クロムを含むコバルト基合金であることが好ましい。
本発明の第2の態様では、第1の態様の溶射用粉末をHVAF溶射して溶射皮膜を形成する溶射皮膜の形成方法を提供する。前記HVAF溶射に先立って、前処理として基材を50℃以上に予熱することが好ましい。
本発明によれば、HVOF溶射で得られる皮膜と同等又はより優れた皮膜特性を有する溶射皮膜を形成することが可能な、HVAF溶射用途で使用される溶射用粉末、及びその溶射用粉末を用いた溶射皮膜の形成方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の溶射用粉末は、造粒−焼結サーメット粒子からなる。造粒−焼結サーメット粒子は、セラミックス微粒子及び金属微粒子が凝集してなる複合粒子であり、セラミックス微粒子及び金属微粒子の混合物を造粒して得られる造粒物(顆粒)を焼結することにより製造される。
溶射用粉末は、高速フレーム溶射のうち、高速空気燃料(HVAF)溶射によりサーメットの溶射皮膜を形成する用途で用いられる。HVAF溶射では支燃ガスとして空気を用いることにより、支燃ガスとして酸素を用いる高速酸素燃料(HVOF)溶射に比べて低温の燃焼フレームを形成し、この燃焼フレームにより溶射用粉末を加熱及び加速して基材に衝突及び付着させる。この場合、造粒−焼結サーメット粒子を構成するセラミックス微粒子の熱劣化が起こる1500℃を超える温度にまで溶射用粉末は加熱されないことが好ましい。
造粒−焼結サーメット粒子の製造に使用される金属微粒子は、コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属からなり、セラミックス微粒子は炭化タングステンからなる。コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属微粒子は、コバルト又はクロムの金属単体からなる粒子、コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属合金からなる粒子、あるいはこれらの粒子の組み合わせであってもよい。中でも、造粒−焼結サーメット粒子は、金属成分としてコバルト及びクロムの両方を含むことが好ましい。コバルト及びクロムを両方含む場合には、造粒−焼結サーメット粒子に含まれる金属の融点が各々単体金属の融点より低下することによって粒子の軟化状態が高くなる結果、溶射用粉末の皮膜特性が向上する。
造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径(体積平均径)の下限は1μmである。造粒−焼結サーメット粒子の平均径が大きくなるにつれて、溶射用粉末の流動性が向上する結果、溶射装置への溶射用粉末の供給が容易となるとともに、溶射用粉末中に含まれる溶射中に過溶融するおそれのある微小な遊離粒子の量が少なくなる結果、いわゆるスピッティングの発生が起こりにくくなる傾向がある。スピッティングとは、過溶融した溶射用粉末が溶射機のノズルの内壁に付着堆積してできる堆積物が溶射用粉末の溶射中に同内壁から脱落して溶射皮膜に混入する現象であり、溶射皮膜の性能を低下させる要因となる。この点、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径が1μm以上である場合には、溶射用粉末の溶射時のスピッティングの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制することが容易となる。これらの観点からは、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径は3μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm以上である。なお、造粒−焼結サーメット粒子の平均径の測定は、例えば、レーザー回折散乱法やBET法、光散乱法により行うことができる。レーザー回折散乱法による造粒−焼結サーメット粒子の平均径の測定は、例えば、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”を用いて行うことができる。
また、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径の上限は30μmである。造粒−焼結サーメット粒子の平均径が小さくなるにつれて、溶射用粉末の付着効率が向上する。また、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密度が増す結果、溶射皮膜の硬度が向上もする。この傾向は、プロセス温度、すなわち溶射時の溶射用粉末の温度が低いほど顕著である。この点、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径が30μm以下である場合には、溶射時の溶射用粉末の温度が低いプロセスで所要の硬度を有する溶射皮膜を溶射用粉末から形成するうえで特に有利である。溶射皮膜の硬度のさらなる向上という点からは、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径は25μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子、すなわちセラミックス一次粒子及び金属一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)の下限はそれぞれ、0.2μmである。造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子の平均粒子径が大きくなるにつれて、溶射用粉末の製造コストが低減する。このような観点から、造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子、すなわちセラミックス一次粒子及び金属一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)はそれぞれ0.4μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.7μm以上である。なお、造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子の平均粒子径の測定は、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡“S−3000N”を用いて行うことができる。
また、造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子、すなわちセラミックス一次粒子及び金属一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)の上限はそれぞれ、6μmである。造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子の平均粒子径が小さくなるにつれて、溶射用粉末の付着効率が向上する。また、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密度が増す結果、溶射皮膜の硬度が向上もする。この傾向は、プロセス温度、すなわち溶射時の溶射用粉末の温度が低いほど顕著である。このような観点から、造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子、すなわちセラミックス一次粒子及び金属一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)はそれぞれ5μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以下である。
造粒−焼結サーメット粒子中のセラミックスの含有量の上限は、95質量%である。換言すれば、造粒−焼結サーメット粒子中の金属の含有量の下限は、5質量%である。セラミックスの含有量が少なくなるにつれて(換言すれば、金属の含有量が多くなるにつれて)、造粒−焼結サーメット粒子の塑性変形能が向上する結果、溶射用粉末の付着効率が向上する。このような観点から、造粒−焼結サーメット粒子中のセラミックスの含有量は、90質量%以下が好ましく、より好ましくは86質量%以下である。換言すれば、造粒−焼結サーメット粒子中の金属の含有量は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは14質量%以上である。
また、造粒−焼結サーメット粒子中のセラミックスの含有量の下限は、60質量%である。換言すれば、造粒−焼結サーメット粒子中の金属の含有量の下上限は、40質量%である。セラミックスの含有量が多くなるにつれて(換言すれば、金属の含有量が少なくなるにつれて)、溶射用粉末のから形成される溶射皮膜の硬度が向上する。このような観点から、造粒−焼結サーメット粒子中のセラミックスの含有量は、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。換言すれば、造粒−焼結サーメット粒子中の金属の含有量は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
造粒−焼結サーメット粒子中の金属一次粒子は、以下に定義する分散性の値の上限が0.40である。分散性の値は、造粒−焼結サーメット粒子を構成する金属一次粒子の個数平均径を同じ金属一次粒子の体積平均径で除することにより得られる値である。この分散性の値は、造粒−焼結サーメット粒子中で金属一次粒子が分散する程度を示す指標となるものであり、値が小さいほど造粒−焼結サーメット粒子中で金属一次粒子がより一様に分散していることを示す。分散性の値が0.40以下、さらに言えば0.35以下、もっと言えば0.30以下である場合には、溶射時の造粒−焼結サーメット粒子の温度分布が均一になる結果、溶射用粉末の付着効率が向上すると共に、形成される溶射皮膜の硬度が向上もする。この傾向は、プロセス温度、すなわち溶射時の溶射用粉末の温度が低いほど顕著である。
造粒−焼結サーメット粒子の圧縮強度は、20MPa以上であることが好ましく、より好ましくは60MPa以上である。造粒−焼結サーメット粒子の圧縮強度が高くなるにつれて、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の硬度が向上する。なお、造粒−焼結サーメット粒子の圧縮強度の測定は、例えば、株式会社島津製作所製の微小圧縮試験装置“MCTE−500”を用いて行うことができる。
また、造粒−焼結サーメット粒子の圧縮強度は、1100MPa以下であることが好ましく、より好ましくは900MPa以下、さらに好ましくは800MPa以下である。造粒−焼結サーメット粒子の圧縮強度が低くなるにつれて、溶射用粉末の付着効率が向上する。
本実施形態に係る溶射用粉末、すなわち造粒−焼結サーメット粒子は、例えば以下の手
順で製造される。まず、コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属からなる金属微粒子と、炭化タングステンからなるセラミックス微粒子とを分散媒に混合することによりスラリーを調製する。スラリーには適当なバインダを添加してもよい。次に、転動型造粒機、噴霧型造粒機又は圧縮造粒機を用いてスラリーから造粒粉末を作製する。こうして得られた造粒粉末を焼結し、必要に応じてさらに解砕及び分級することにより造粒−焼結サーメット粒子は製造される。尚、造粒粉末の焼結は、真空中及び不活性ガス雰囲気中のいずれで行ってもよく、電気炉及びガス炉のいずれを用いてもよい。
HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合、支燃ガスである空気は、好ましくは0.4〜1.3MPa、より好ましくは0.4〜1.0MPa、最も好ましくは0.5〜0.7MPaの圧力でHVAF装置に供給されて、好ましくは800〜2000℃、より好ましくは1000〜1700℃、最も好ましくは1200〜1500℃にまで加熱される。溶射用粉末は、好ましくは50〜350g/分、より好ましくは80〜320g/分、さらに好ましくは100〜300g/分の供給速度でもって支燃ガスと同軸方向から支燃ガスに供給される。溶射時、HVAF装置のノズル先端から基材までの距離(溶射距離)は、100〜500mmであることが好ましく、より好ましくは150〜400mmであり、HVAF装置のノズルのトラバース速度は、好ましくは50〜900mm/秒、より好ましくは150〜750mm/秒である。また、形成する溶射皮膜の膜厚は、好ましくは50〜3000μmであり、より好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜500μmである。
また、HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合、前処理として基材を予熱処理することが好ましい。予熱温度の下限は、好ましくは50℃、より好ましくは100℃、さらに好ましくは200℃である。基材の予熱温度が高くなるにつれて、溶射皮膜の硬度が向上する。この際、基材を予熱処理する前処理方法は特に限定されないが、例えば、電気ヒーターや粉を投入せずに溶射するいわゆる空吹き等の方法が挙げられる。そして、その方法の選択は基材の大きさや形状等の条件によって選択されればよい。
本実施形態によれば、以下の利点が得られる。
・ 造粒−焼結法により製造される溶射用粉末は一般に、溶融−粉砕法又は焼結−粉砕法により製造される溶射用粉末に比べて、流動性が良好であり、製造過程での粉砕にともなった不純物の混入の虞も少ない。従って、造粒−焼結法により製造される本実施形態に係る溶射用粉末もこれらの利点を有する。
・ HVAF溶射は一般に、HVOF溶射に比べて、単位時間当たりに溶射できる溶射用粉末の量(粉末処理量)が多く、現地施工にも向いているなどの利点を有する。
・ HVAF溶射は一般に、HVOF溶射が支燃ガスとして酸素を使用しているのに対し、支燃ガスに空気を使用しているため安全性に優れると共に、安価かつ簡便に溶射を行うことができるという利点を有する。
前記実施形態は次のように変更してもよい。
・ 溶射用粉末中の造粒−焼結サーメット粒子は、不可避不純物あるいは添加剤などのセラミックス及び金属以外の成分を含有してもよい。
・ 溶射用粉末は、造粒−焼結サーメット粒子以外の成分を含有してもよい。ただし、
造粒−焼結サーメット粒子以外の成分の含有量はできるだけ少ないことが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜24及び比較例1〜16の溶射用粉末として圧縮強度が約300MPaの各種の造粒−焼結サーメット粒子を用意し、これを表1に示す第1又は第2の条件でそれぞれ溶射することにより厚さ200〜400μmの溶射皮膜を形成した。
表2及び表3の“造粒−焼結サーメット粒子の組成”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結サーメット粒子の化学組成を示す。同欄中、“WC−12%Co−4%Cr”は12質量%のコバルトと4質量%のクロムと残部の炭化タングステンのサーメットを表す。また、“WC−12%Co”は、12質量%のコバルトと残部の炭化タングステンのサーメットを表す。その他についてはこれに倣う。造粒−焼結サーメット粒子の化学組成の測定は、株式会社島津製作所製の蛍光X線分析装置“LAB CENTER XRF−1700”とLECO社製の炭素分析装置“WC−200”を用いて行った。
表2及び表3の“一次粒子の平均粒子径”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結サーメット粒子中の一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)を測定した結果を示す。この測定には、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡“S−3000N”を使用した。具体的には、造粒−焼結サーメット粒子の平均径から±3μm以内の大きさの粒径を有する6つの造粒−焼結サーメット粒子の断面を倍率5,000倍で反射電子像観察し、得られた粒子断面写真に基づいて一次粒子の平均粒子径を決定した。
表2及び表3の“造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径(体積平均径)を測定した結果を示す。この測定には、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”を使用した。
表2及び表3の“金属一次粒子の分散性”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結サーメット粒子中の金属一次粒子の分散性を測定した結果を示す。この測定は、各溶射用粉末の造粒−焼結サーメット粒子中の金属一次粒子の個数平均径を同じ金属一次粒子の体積平均径で除することにより算出した。
表2及び表3の“溶射前の基材予熱温度”欄には、各溶射用粉末を基材に溶射する前に、前処理として基材に予熱処理を施した際の基材予熱温度を示す。基材への予熱処理は、基材表面が特定の温度に達するまで幹拭きで加熱した。また、予熱処理を施した後の基材の予熱温度の測定は、K型熱電対を用いた株式会社横河M&C製のデジタル温度計“TX1002”により、直接基材の温度を測定した。
表2及び表3の“溶射装置への溶射用粉末供給速度”欄には、各溶射用粉末を溶射装置へ供給する際の粉末供給速度を示す。
表2及び表3の“ノズル長さ”欄には、各溶射用粉末から溶射皮膜を形成するときに用いたノズルの長さを示す。
表2及び表3の“溶射条件”欄には、各溶射用粉末から溶射皮膜を形成するときに用いた溶射条
件(表1参照)を示す。
表2及び表3の“皮膜硬度”欄には、各溶射用粉末から形成された溶射皮膜のビッカース硬度(Hv0.2)を、株式会社島津製作所製の微小硬度測定器HMV−1で測定した結果を示す。
表2及び表3の“付着効率”欄には、各溶射用粉末から形成された溶射皮膜の重量を、溶射した溶射用粉末の重量で除することにより得られる値を百分率で示す。
Figure 2012112012
Figure 2012112012
Figure 2012112012
表2及び表3に示されるように、実施例1〜24の本発明の一実施形態である溶射用粉末の場合には、皮膜硬度及び付着効率においてHVOF溶射で得られる皮膜(比較例11〜16)と同等又はより優れた皮膜特性を有する溶射皮膜を形成することができた。それに対し、造粒−焼結サーメット粒子の平均粒子径が40μm又は50μmである比較例1、2及び8の溶射用粉末の場合、造粒−焼結サーメット粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が7.0μmである比較例7及び10の溶射用粉末の場合、造粒−焼結サーメット粒子中の金属一次粒子の分散性が0.5又は0.7である比較例5、6及び9の溶射用粉末の場合、ならびに造粒−焼結サーメット粒子中のセラミックスの含有量が95.7質量%又は58質量%の比較例3及び4の溶射用粉末の場合、すなわち本発明で規定するパラメータの範囲を超える場合には、HVOF溶射で得られる皮膜と同等又はより優れた皮膜特性を有する溶射皮膜を形成することができなかった。

Claims (4)

  1. HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で使用される溶射用粉末であって、
    前記溶射用粉末は、コバルト及びクロムの少なくともいずれか一種を含む金属と炭化タングステンを含んだ造粒−焼結サーメット粒子からなり、
    前記造粒−焼結サーメット粒子の平均径は1〜30μmであり、
    前記造粒−焼結サーメット粒子のセラミックスの含有量は60〜95質量%であり、
    前記造粒−焼結サーメット粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が0.2〜6.0μmであり、
    前記造粒−焼結サーメット粒子を構成する金属一次粒子の個数平均径を同じ金属一次粒子の体積平均径で除することにより得られる値として定義する分散性の値が0.40以下であることを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記造粒−焼結サーメット粒子の製造に使用される金属微粒子が、クロムを含むコバルト基合金である請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 請求項1又は2に記載の溶射用粉末をHVAF溶射して溶射皮膜を形成することを特徴とする溶射皮膜の形成方法。
  4. 前記HVAF溶射に先立って、前処理として基材を50℃以上に予熱して溶射皮膜を形成する請求項3に記載の溶射皮膜の形成方法。


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