JP2012109311A - 伝熱シート、伝熱シートの作製方法、及び放熱装置 - Google Patents

伝熱シート、伝熱シートの作製方法、及び放熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】伝熱性に優れ、再利用可能な伝熱シートを提供する。
【解決手段】本発明の伝熱シートは、室温で弾性を示すバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とを含有し、前記異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シートを有し、この基材シートの一方の表面上に金属蒸着膜(C)を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、伝熱シート、伝熱シートの作製方法、及び放熱装置に関する。詳しくは、伝熱性に優れ、更に再利用可能な伝熱シート及びそれを用いた伝熱シート、伝熱シートの作製方法、及び伝熱シートを用いた放熱装置に関する。
近年、パソコンを初めとした各種電子機器の情報処理量は急激に増加し、前記機器内部の重要部材である多層配線板や半導体の高密度化し、また電子部品の大型化が進んでいる。上記背景のなか、機器内部で発生する熱量も従来の機種に比べて大きなものとなり、操作中のトラブル(誤作動、操作不能)などの問題を引き起こしている。
現在このような問題を解決すべく電子機器メーカ各社は、内部の冷却を迅速に行うため、(1)従来よりも高性能の冷却ファンを設置する、(2)発熱体の放熱性の向上を目的に発熱体と放熱材の間に熱伝導率が高く且つ柔軟性のある放熱材を介在させる、などの対策を図っている。しかし冷却ファンの高性能化は電子機器の大型化を招き、更に騒音の増加及びコスト高の要因となっている。
そこで注目されるのは、発熱体と放熱材の間に付設する伝熱材である。伝熱材には、できる限り薄く伝熱性に優れること、発熱体および放熱材の変形に追従可能であること、が求められる。
代表的な伝熱材としては、グリース型の材料が挙げられる。しかしこの方法は、グリースの粘性に起因する取扱い性の悪さから、放熱装置の組み立て時の作業性の悪化を招いている。また、グリースは温度変化に伴う粘度変化が大きく、伝熱特性の変化が問題視されており、再利用も困難である。
そこで上記グリース型伝熱材の作業性を改良した材料として、弾性を有し表面タック性(粘着性)が安定している伝熱シートが注目されている。
しかし、現状市販されている伝熱シートは、放熱特性(発熱体の冷却効果)、取扱い性、及びシート特性(弾性量や表面タック性)のバランスが悪く、改善が望まれている。また、柔軟性を有した放熱金属材料として、インジウムをシート化したものも使用されているが、高コストのため一部の使用に留まっている。
このような状況の中、低コストで放熱特性及び作業性に優れた様々な複合材料組成物及びその加工物が提案されている。
例えば、黒鉛粉末を熱可塑性樹脂に配合した放熱性樹脂成形品(例えば、特許文献1参照。)や、黒鉛、カーボンブラック等を含有するポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。更に、粒径1〜20μmの人造黒鉛を配合したゴム組成物(例えば、特許文献3参照。)、結晶面間隔が0.330〜0.340nmの球状黒鉛粉をシリコーンゴムに配合した組成物(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。
また、特定の黒鉛粒子を固体中で加圧圧縮して組成物の表面に対して平行に整列させた高放熱性複合材料とその製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。更に、成形体中の黒鉛粉末の結晶構造におけるc軸が、放熱方向に対して直交方法に配向されている放熱性成形体及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
取扱い性に優れた伝熱シートは、上述のように放熱装置を組み立てる際の作業性が簡便であるという特徴を有する。この特徴を更に生かす使用方法において、放熱材の形状に合わせる形状加工性、発熱体及び放熱材面の凸凹や曲面などの特殊な形状に対する追従性、応力緩和などの機能を付与するニーズが生じている。例えば、デイスプレイパネルのような大面積からの放熱においては、上記機能が重要な課題となっている。
また、電子機器のメンテナンスを想定した場合、コスト面からシート再利用の可否も大きな課題となる。したがって、上述のような伝熱シートに要求される放熱特性や取扱い性などに加えて、再利用性についても向上が望まれている。
特開昭62―131033号公報 特開平04−246456号公報 特開平05―247268号公報 特開平10−298433号公報 特開平11−001621号公報 特開2003−321554号公報
本発明は、伝熱性に優れ、再利用可能な伝熱シート、該伝熱シートの製造方法、及び該伝熱シートを用いた伝熱装置を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、異方性黒鉛粉をバインダ成分中に一定方向に配向させ、且つシート表面に特定の金属層を付与することで、伝熱特性に優れ、且つ再利用性にも優れる伝熱シートを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 室温で弾性を示すバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とを含有し、黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シートと、
前記基材シートの一方の表面上に設けた、金属蒸着膜(C)と、
を有する伝熱シート。
(2) 前記金属蒸着膜(C)の厚さが、総厚みの2%以下である前記(1)に記載の伝熱シート。
(3) 前記金属蒸着膜(C)が、アルミ、銅、銀、金、白金、又はニッケルから形成されてなる前記(1)又は(2)に記載の伝熱シート。
(4) 前記異方性黒鉛粉(B)が、膨張黒鉛成型シートの粉砕粉であり、粉砕前の前記膨張黒鉛成型シートの嵩密度が0.1g/cm〜1.5g/cmの範囲にある前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の伝熱シート。
(5) 前記異方性黒鉛粉(B)が、薄片針枝状又は樹枝状であり、粒子径が50μm〜2000μmの範囲である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の伝熱シート。
(6) 前記バインダ成分(A)として、ガラス転移温度50℃以下の熱可塑性ゴム(D)を含む前記(1)〜(5)にいずれか1項に記載の伝熱シート。
(7) 前記バインダ成分(A)として、熱可塑性ゴム成分(D)と、熱硬化性ゴム成分(E)と、該熱硬化性ゴム成分(E)に架橋可能な熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを含む前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の伝熱シート。
(8) 更に、燐酸エステルを含有する前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の伝熱シート。
(9) 室温で弾性を示すバインダ成分(A)と、異方性黒鉛粉(B)とを含有する組成物を調製する工程と、
前記組成物を用いて、前記異方性黒鉛粉(B)が主たる面に対して略平行な方向に配向する一次シートを作製する工程と、
前記一次シートを積層又は捲回して、成形体を作製する工程と、
前記一次シート面からの法線に対し45〜80度の角度で、前記成形体をスライスして基材シートを作製する工程と、
前記基材シートの表面に金属を蒸着して、金属蒸着膜(C)を形成する工程と、
を有する前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の伝熱シートの作製方法。
(10) 前記バインダ成分(A)として、熱可塑性ゴム成分(D)と、熱硬化性ゴム成分(E)と、該熱硬化性ゴム成分(E)に架橋可能な熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを含み、
前記基材シートの表面に前記金属蒸着膜(C)を形成する工程の前に、前記バインダ成分(A)を架橋させる工程を有する前記(9)に記載の伝熱シートの作製方法。
(11) 発熱体と、
放熱体と、
前記発熱体と前記放熱体の間に、該発熱体及び放熱体の双方に接するように配置した、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の伝熱シートと、
を有する放熱装置。
本発明によれば、伝熱性に優れ、再利用可能な伝熱シート、該伝熱シートの製造方法、及び該伝熱シートを用いた伝熱装置が提供される。
<伝熱シート>
本発明の伝熱シートは、室温で弾性を示すバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とを含有し、前記異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シートを有し、この基材シートの一方の表面上に、金属蒸着膜(C)を備える。このような構成とすることで、伝熱シートの伝熱特性を維持したまま再利用性が改善される。
本発明の伝熱シートでは、異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向しているため、伝熱シートの厚み方向の熱伝導性が向上し、発熱体と放熱材間に設けられる場合に、発熱体の熱を放熱板に効率よく伝熱させることができる。
また、金属蒸着膜(C)を基材シートの表面に付与することによって、基材シート表面のタック性(粘着性)が無くなり、再利用性が向上する。なお、ここでいう「再利用性」とは、伝熱シートを付設した被設部材(例えば放熱体や発熱体)から伝熱シートを剥がし取ったときに、被設部材が故障無く、再利用できることをいう。
更に、金属蒸着膜(C)は蒸着膜であるが故に薄く形成され、金属膜の硬さが抑えられることから被設部材の形状に追従しやすい。よって金属膜の付設による伝熱損失が抑えられて、基材シートの伝熱特性を維持することができる。
本発明において、「異方性黒鉛粉」とは、熱伝導率において異方性を有し、形状においてアスペクト比(短軸及び長軸)を有する黒鉛粉を意味する。
異方性黒鉛粉(B)が「シートの厚み方向に配向」するとは、伝熱シートを正八角形に切った各辺の厚み方向での断面を蛍光顕微鏡で観察し、いずれか1辺の断面において、任意の50個の異方性黒鉛粉(B)の長軸が、伝熱シートの表面に対してなす角度(90度以上の場合は補角を採用する)を測定し、その平均値が60〜90度の範囲内にある状態をいう。
「室温で弾性を示す」とは、25℃において、柔軟性を示すことを意味する。
バインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とは、それぞれが充分に混ざり合った状態となっていることが好ましい。
以下、本発明の伝熱シートを構成する材料について説明を行う。
(バインダ成分(A))
本発明の伝熱シートは、基材シートと金属蒸着膜(C)とを有する。前記基材シートは、室温で弾性を示すバインダ成分(A)を含有し、バインダ成分(A)中で、後述の異方性黒鉛粉(B)がシートの厚み方向に配向している。
バインダ成分(A)としては、室温で弾性を示すものであれば制限されないが、ガラス転移温度50℃以下の熱可塑性ゴム成分(D)を用いることが好ましく、より好ましくは−70〜20℃、更に好ましくは−60〜0℃のガラス転移温度を有する場合である。ガラス転移温度が50℃以下の場合は、柔軟性に優れ、発熱体及び放熱体に対する密着性が良好となる。なおガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量装置(DSC)により測定する。
使用される熱可塑性ゴム成分(D)は特に制限されず、例えばアクリル酸エステル(エチル、ブチル又は2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル)と他のモノマーとの共重合で得られるアクリルゴムや、エチレンとプロピレンを触媒にて反応させ得られるエチレン−プロピレンゴム、イソブチレンとイソプレンの共重合で得られるブチルゴム、ブタジエンとスチレンの共重合で得られるスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルとブタジエンからなるNBRなどが挙げられる。
また上記熱可塑性ゴム成分(D)は単独及び複合化して使用される。使用される熱可塑性ゴム成分(D)の重量平均分子量は、10万〜200万の範囲が好ましく、より好ましい範囲は20万〜150万である。重量平均分子量が10万以上の場合には、最終的に得られる基材シートとしてのガラス転移温度の低下が抑制され、電子機器内部の温度変化に伴う伝熱シートの物性の変動が抑えられて伝熱特性の変動が抑えられる。また使用する熱可塑性ゴム成分(D)の重量平均分子量が200万以下の場合には、異方性黒鉛粉(B)との混合性が向上し、且つタック性及び弾性に優れる。
熱可塑性ゴム成分(D)の含有量に特に制限はないが、基材シート100質量部に対し、5質量部〜70質量部であることが好ましく、5質量部〜60質量部であることがより好ましい。この範囲内にあると上述のシート特性が維持される。
熱可塑性ゴム成分(D)としては、具体的に、アクリルゴムとして、商品名:THR−811DS、重量平均分子量:50万、ナガセケムテックス(株)製;商品名:THR−811DR、重量平均分子量:50万、ナガセケムテックス(株)製;商品名:Nipol AR31、日本ゼオン(株)製;商品名:Nipol AR51、日本ゼオン(株)製;、商品名:Nipol AR71、日本ゼオン(株)製;商品名:Nipol AR32、日本ゼオン(株)製;商品名:Nipol AR42W、日本ゼオン(株)製;等が例示できる。
一般に、伝熱シートは発熱部材と放熱板に挟まれ、一定の圧力が加えられるとともに使用環境の温度が変化する状況で使用される。そのため使用環境下での圧力負荷に耐えうるよう、バインダ成分(A)として、上述の熱可塑性ゴム成分(D)に加えて熱硬化性ゴム成分(E)を併用することが好適である。熱可塑性ゴム成分(D)と熱硬化性ゴム成分(E)の併用により、さらに取扱い性を高めることが可能となる。
なお、本発明において「熱硬化性ゴム成分(E)」とは、硬化前の成分を意味し、熱硬化型ゴム硬化剤(F)と熱処理することにより、硬化した成分となる。
本発明において、熱硬化性ゴム成分(E)は、熱硬化型ゴム硬化剤(F)と架橋することにより、伝熱シートの使用温度によっても分子鎖運動の変化が少ない成分となり、取扱い性向上(強度向上)、急激な使用環境高温変化における安定した伝熱特性を得ることができる。
本発明で使用する熱硬化性ゴム成分(E)に特に制限は無く、熱硬化型ゴム硬化剤(F)と架橋可能な官能基を有する変性合成ゴムであればよい。また、熱硬化性ゴム成分(E)を選択する際には、熱硬化型ゴム硬化剤(F)の種類の選択が重要となる。
ゴムの架橋(加硫)剤としては、一般的な硫黄、硫黄化合物、過酸化物等を使用することも可能であるが、環境(臭気)、安全衛生及びゴムとの架橋性の維持の観点から、以下の構造を有する熱硬化型ゴム硬化剤(F)を用いることが好ましい。
本発明に係る熱硬化性ゴム成分(E)の架橋は、架橋によって熱硬化性ゴム成分(E)の分子量が増加しシート強度が高くなるという、分子量の増加のみを単純に考えるのではなく、組み込まれる熱硬化性ゴム成分(E)及び熱硬化型ゴム硬化剤(F)の構造やその特徴を、架橋により得られた基材シートの特性に反映させるよう設計することが望ましい。よって、熱硬化性ゴム成分(E)は、熱硬化型ゴム硬化剤(F)に対して架橋できる官能基を有するものであることが好ましい。
上記の目的を考慮すると、熱硬化性ゴム成分(E)において、熱硬化型ゴム硬化剤(F)と反応する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等が好ましく、熱硬化性ゴム成分(E)としては、これらの官能基で変性された変性合成ゴムを使用することが好ましい。特に、カルボキシル基を有する、アクリロニトリル・ブタジエン・メタクリル酸の共重合体であるNBRやアクリル酸ブチル・アクリロニトリル・アクリル酸との共重合で得られるアクリルゴムが、シート特性及びコストの面で好ましい。
なお、熱硬化性ゴム成分(E)として、常温で固体である成分(E1)と、常温で液体である成分(E2)とを併用すると、常温で固形である成分(E1)の特性である強度、耐熱性と、常温で液体である成分(E2)の特性である柔軟性の両方の特性を配合により、耐熱性と柔軟性をバランスよく得られることから好ましい。ここで常温とは、15℃〜30℃とする。
常温で固体である熱硬化性ゴム成分(E1)としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等で変性された変性合成ゴムが好ましく、更には固形カルボキシル基変性合成ゴムが好ましい。
常温で液体である熱硬化性ゴム成分(E2)としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等で変性された変性合成ゴムが好ましく、更には液状カルボキシル基変性合成ゴムであることが好ましい。
好ましく使用されるカルボキシル基変性の固形ゴム(E1)の分子量は、常温で固体であれば特に制限は無く、重量平均分子量で10万以上であることが好ましく、重量平均分子量15万〜50万であることがより好ましい。
好ましく使用されるカルボキシル基変性の液状ゴム(E2)の分子量は、常温で液体であれば特に制限は無く、重量平均分子量で9万以下であることが好ましく、重量平均分子量3万〜9万であることがより好ましい。
前記カルボキシル基変性固形ゴム(E1)と前記カルボキシル基変性液状ゴム(E2)は、各々単独で、或いは混合して使用することができる。混合して使用する場合の比率は、要求特性により任意に決定される。なお、常温で固体である熱硬化性ゴム成分(E1)を多く用いると、強度、耐熱性を高める傾向があり、常温で液体である熱硬化性ゴム成分(E2)を用いると柔軟性を高める傾向がある。
常温で固体の熱硬化性ゴム成分(E1)としては、具体的に、カルボキシル基変性NBR(商品名:Nippol 1072、重量平均分子量:25万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g)、日本ゼオン(株)製)等が例示できる。
常温で液体の熱硬化性ゴム成分(E2)としては、具体的に、カルボキシル基変性NBR(商品名:Nippol DN601、重量平均分子量:6.8万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g)、日本ゼオン(株)製)、X750、X740、X146、X160(JSR(株)製)等が例示できる。
前記熱硬化性ゴム成分(E)の使用量は、バインダ成分(A)中の熱可塑性ゴム成分(D)と熱硬化性ゴム成分(E)との総量100質量部に対し10〜70質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。この範囲内であるとバランスのとれた伝熱シートが得られやすい。
本発明で使用する熱硬化型ゴム硬化剤(F)に特に制限は無いが、熱硬化性ゴム成分(E)が有するカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基と容易に反応し、安定した物性を有する材料が好ましい。
なお、熱硬化性ゴム成分(E)としての水酸基を有した変性合成ゴムと、熱硬化型ゴム硬化剤(F)としてのイソシアネート(NCO)化合物とを併用する方法も採用し得るが、イソシアネート化合物は水分とも瞬時に反応するため、取扱い性及び反応のコントロールの観点からはイソシアネート化合物以外のものを用いることが好ましい。
熱硬化性ゴム成分(E)としてカルボキシル基変性合成ゴム又はアミノ基変性合成ゴムを使用する場合、熱硬化型ゴム硬化剤(F)としてはエポキシ基含有化合物が好ましく、特にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ基含有化合物が好ましい。エポキシ基含有化合物は、他部材との伝熱シートの接着力や耐熱性の向上、バインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)との混合性の向上等の働きもある。よって、エポキシ基含有化合物を使用した伝熱シートでは、使用するエポキシ基含有化合物の特徴が一部反映した物性を有したものとなる。
本発明で使用するエポキシ含有化合物の分子量及び構造に特に制限は無いが、熱可塑性ゴム成分(D)と熱硬化性ゴム成分(E)との相溶性、耐熱性及びコスト等を考慮すると、数平均分子量(Mn)500以下のエピクロルヒドリンとビスフェノールAで構成されるエポキシ含有化合物が好ましい。
熱硬化性ゴム成分(E)、特に熱硬化性ゴム成分(E)がカルボキシル基変性合成ゴム又はアミノ基変性合成ゴムであるときの、熱硬化型ゴム硬化剤(F)としてのエポキシ基含有化合物の比率は、熱硬化性ゴム成分(E)に含まれるカルボキシル基濃度又はアミノ基濃度とエポキシ基含有化合物の分子量及びエポキシ基の数(当量)で決定される。一般には、カルボキシル基変性合成ゴム又はアミノ基変性合成ゴム100質量部に対し、エポキシ基含有化合物1〜30質量部が好ましい。エポキシ基含有化合物の配合量が1質量部以上であれば、エポキシ基含有化合物を介した架橋密度が向上し、タック性及びバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)の混合性が向上する。また、エポキシ基含有化合物の配合量が30質量部以下の場合には、添加したエポキシ基含有化合物の全体が架橋に充分寄与し、耐熱性やシート特性が向上する。
また必要に応じて、イソシアネート又はアミン化合物等の硬化促進剤が使用される。
前記熱硬化型ゴム硬化剤(F)と前記熱硬化性ゴム成分(E)との反応では、熱処理されることが好ましい。熱処理条件に特に制限はないが、150℃/60分で完全硬化する。完全硬化は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基の完全消失(IR)が確認され、これを完全硬化した状態と判断できる。従って、伝熱シート中の硬化ひずみを少なくしたい場合は、低温・長時間で処理し、また、生産性向上を図るなら高温・短時間の熱処理条件となる。
熱硬化型ゴム硬化剤(F)と熱硬化性ゴム成分(E)の架橋により得られる架橋密度は熱処理条件により、任意に設定できる。上記熱処理条件によりバインダ成分(A)中に含まれる熱硬化性ゴム成分(E)と熱硬化型ゴム硬化剤(F)との架橋密度を変えることができるので、所望の要求に合わせた性状の伝熱シートを提供できる。
例えば、本発明の伝熱シートにおいて、発熱体及び放熱体に対する密着性を優先したい場合には、熱処理せずに伝熱シートを発熱体及び放熱体に付着させた後に、熱処理を施して熱硬化性ゴム成分(E)と熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを硬化させる方法がある。
他方、発熱体及び放熱体に対する密着性よりも、生産性や基材シートの強度(取り扱い性)を重視する場合、基材シートを作製した段階で熱処理し、バインダ成分(A)中の熱硬化性ゴム成分(E)と熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを硬化させ、バインダ成分(A)中の熱可塑性ゴム成分(D)のタック性により、発熱体と放熱体の間に伝熱シートを固定する方法等がある。
なお、本発明の伝熱シートで用いる金属膜は蒸着によって形成された金属蒸着膜であることから、基材シートと金属蒸着膜(C)との密着性に優れるため、金属シートを硬化してから金属蒸着膜(C)を形成する方法が好適に採用できる。この方法によれば、取り扱い性が向上した伝熱シートが得られる。
いずれにしても、本発明の伝熱シートを放熱材として利用する前には、熱硬化性ゴム成分(E)と熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを硬化させることにはなるが、上述の通り、放熱材として使用する前の伝熱シートは、所望の要求により架橋密度を変えることが可能である。
(黒鉛粉(B))
本発明に係る基材シートは、異方性黒鉛粉(B)を含有する。伝熱材料として機能する異方性黒鉛粉であれば特に限定されないが、膨張黒鉛成型シートの粉砕粉であることが好ましく、更に薄片針枝状又は樹枝状の形状を有することが好ましい。
膨張黒鉛成型シートの粉砕粉は、例えば、下記の工程を経て作製される。
(1)膨張黒鉛を作製する工程。
(2)膨張黒鉛により、膨張黒鉛成型シートを作製する工程。
(3)膨張黒鉛成型シートを粉砕する工程。
(4)分級により粉砕粉の粒度を揃える工程。
上記(1)の工程において、膨張黒鉛を作製する方法は特に制限はなく、例えば原料の天然黒鉛等を、酸性物質及び酸化剤を含む溶液中に浸漬して黒鉛層間化合物を生成させる工程の後に、前記黒鉛層間化合物を加熱して黒鉛結晶のc軸方向を膨張させて膨張黒鉛とする工程を経て製造することができる。これにより、膨張した黒鉛が虫状短繊維となり複雑に絡み合った形態となる。
膨張黒鉛の膨張倍率は特に制限はないが、放熱特性を考慮すると、10倍以上が好ましく、50倍から500倍であることが更に好ましい。膨張倍率が10倍以上の膨張黒鉛を使用すると、得られる膨張黒鉛成形シートの強度に優れ、また500倍以下の膨張黒鉛を使用すると、膨張黒鉛成型シートの作製の作業性に優れる。また必要に応じて、上記膨張黒鉛を更に高い温度で熱処理し、膨張黒鉛中に含まれる不純物を除去して使用されることも好ましい。
なお、前記膨張黒鉛の原料黒鉛としては特に制限はないが、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等の、高度に結晶が発達した黒鉛が好ましいものとして挙げられる。得られる特性と経済性の両者を考慮すると天然黒鉛が好ましい。用いる天然黒鉛としては、特に制限はなく、F48C(日本黒鉛(株)製)、H−50(中越黒鉛(株)製)等の市販品を用いることができる。これらは、鱗片状の性状形態で使用することが好ましい。
上記(1)の工程において、黒鉛の処理に用いられる酸性物質は、黒鉛層間に進入して十分な膨張能力を有する酸性根(陰イオン)を発生可能な、硫酸等が使用される。酸性物質としての硫酸は、適度な濃度で使用されるが、95質量%以上の濃度であることが好ましく、濃硫酸を使用することが特に好ましい。酸性物質の使用量については特に制限はなく、目的とする膨張倍率で決定され、例えば、原料黒鉛100質量部に対して100〜1000質量部で使用することが好ましい。
また、酸性物質と伴に用いられる酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム等の過酸化物、また硝酸などの酸化作用のある酸を用いることが好ましく、良好な膨張黒鉛を得やすいという観点から過酸化水素が特に好ましい。
酸化剤として過酸化水素を用いる場合には、水溶液として用いることが好ましい。水溶液中の過酸化水素の濃度については特に制限はないが、20〜40質量%の範囲が好ましい。過酸化水素水の使用量についても特に制限はないが、原料黒鉛100質量部に対して5〜60質量部の範囲で使用することが好ましい。
上記(2)の工程において、得られた膨張黒鉛を成型してシート化する方法に特に制限はなく、常温でのロール、プレス等により簡単にシート化することができる。また、得られる膨張黒鉛成型シート層の嵩密度は、膨張黒鉛充填量と成形圧力の大きさでほぼ決定される。
使用される膨張黒鉛成型シートの嵩密度に制限はないが、0.07g/cm〜1.5g/cmの範囲が好ましく、0.1g/cm〜1.5g/cmの範囲がより好ましい。嵩密度が0.07g/cm以上、更には0.1g/cm以上の場合、膨張黒鉛成型シートの強度が充分となり、嵩密度が1.5g/cm以下の場合、成型時に膨張黒鉛擬集物が破壊するのが抑えられる。
膨張黒鉛成型シートは上記製法により得ることもできるが、下記に示す市販品を入手して使用することも可能である。本発明で用いられる膨張黒鉛成型シートとしては、日立化成工業(株)製のカーボフィットHGP−105、HGP−207等が挙げられる。
上記(3)及び(4)の工程で使用する装置に制限はなく、一般的な乾式粉砕機及び乾式分級機が使用でき、形状が薄片針枝状又は樹枝状の異方性黒鉛粉を得ることができる。
本発明の伝熱シートにおいて、異方性黒鉛粉(B)の形状が球状もしくは球状に近い場合は、後に述べる異方性黒鉛粉(B)同士の接触が緩慢となって高い伝熱性を有する伝熱シートが得られにくくなるため、薄片針枝状又は樹枝状の異方性黒鉛粉を用いることが好適である。
ここで、「薄片針枝状」とは、針葉樹のような尖った葉を平らにした形状を指す。また「樹枝状」とは、木の枝のような形状で、複数の小枝が絡み合った形状を指す。なお、これらの形状の確認は、SEMを用いて行う。
異方性黒鉛粉(B)の粒子径は、50μm〜2000μmの範囲が好ましく、100μm〜1500μmの範囲がより好ましく、150μm〜1000μmの範囲が更に好ましい。異方性黒鉛粉(B)の粒子径が50μm以上の場合、放熱特性を左右する黒鉛粉の異方性が充分となり、異方性黒鉛粉(B)同士の接触確率が増大し放熱特性が向上する傾向にある。粒子径が2000μm以下の異方性黒鉛粉(B)を使用した場合は、バインダ成分(A)と均一に混合しやすく、伝熱シートの伝熱特性及び物性が均一化しやすい。
異方性黒鉛粉(B)の粒子径は、篩い分け法により粒度分布を測定する。具体的には、106、212、300、420、500、600、710、850、1000、1400、2000μmの篩を用いて分級し、各篩に残った黒鉛粉の重量より算出する。
異方性黒鉛粉(B)の基材シートにおける配合量は、基材シート全体に対して、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることが好ましい。20質量%以上では放熱効果が充分となり、70質量%以下では基材シートが硬くなりすぎるのが防止される。
(その他の成分)
本発明の伝熱シートで使用されるその他の成分としては、難燃剤、可塑剤等が挙げられる。難燃剤としては特に制限はないが、基材シートのバインダ成分(A)の一部として機能するため、バインダ成分(A)との相溶性や耐熱性及び得られる基材シートの物性を配慮して選択する必要がある。
難燃剤としては一般的なハロゲン化化合物が使用できるが、上記シート特性のバランスを考慮すると燐酸エステル系の難燃剤が好ましく、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートの脂肪族燐酸エステルや、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の芳香族燐酸エステル及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合型燐酸エステルが挙げられ、これらは単独及び混合して使用できる。
本発明で使用できる燐酸エステルの一例としては、芳香族縮合燐酸エステル(大八化学工業(株)のCR−741)等が挙げられる。
難燃剤の使用量は、伝熱シートのバインダ成分(A)の100質量部に対して5〜70質量部の範囲が好ましく、異方性黒鉛粉(B)の使用量によって適宜決定される。難燃剤の使用量が5質量部以上の場合には、目標とする難燃性が得られやすく、70質量部以下の場合には、得られる伝熱シートの柔軟性が急激に低下するのが抑えられる。
また、可塑剤としては各種低分子化合物が使用され、例えば、ポリブテン(日油(株)製、商品名0N、3N、5N、10N、30N、200N)などが挙げられる。
また、伝熱シートを付設する発熱体及び放熱体への密着性を向上させる観点からは、粘着性付与剤をバインダ成分(A)に加えてもよい。粘着性付与剤としては、例えば、タッキファイヤーなどが挙げられる。市販品としては、スーパーエステルA−75(荒川化学工業(株)製)、エステルガムAA−L(荒川化学(株)製)、ペンセルA(荒川化学(株)製)などを例示することができる。
(基材シート)
本発明に係る基材シートは、前記バインダ成分(A)と前記異方性黒鉛粉(B)とを含有し、異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向してなる。
この基材シートの厚みは、100μm〜2000μmであることが好ましく、100μm〜1500μmであることがより好ましく、100μm〜1000μmであることが更に好ましい。基材シートの厚みが上記範囲内にあると、取扱い性及び伝熱特性に優れる。
なお、本発明の伝熱シート中における基材シートの厚みは、厚さゲージによって測定し、その平均値(同一基材シート内の任意の5点での測定の平均値)とする。なお、厚さゲージとしては、例えば、デジタルダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製 デジマチックインジケータID−C112C)が挙げられる。
上述の通り、基材シートは熱処理して硬化した硬化シートであってもよいし、熱処理せずに未架橋の状態のシートであってもよいが、基材シートの強度を高める観点からは、架橋した硬化シートとすることが好ましい。なお、未架橋の基材シートは、後述の金属蒸着膜(C)をラミネートして伝熱シートを作製した後に、或いは、伝熱シートを発熱体と放熱体の間に配置した後に、熱処理を施す。
基材シートの具体的な作製方法については後述する。
(金属蒸着膜(C))
本発明において、使用される金属蒸着膜(C)の材質は用途に合わせて適宜選定され、アルミ、銅、銀、金、白金、及びニッケルが挙げられる。そのなかでも、取扱い性、伝熱特性の観点からアルミ、銅又は錫が好ましく、アルミがより好ましい。
金属蒸着膜(C)の厚みは、伝熱シートの総厚みの2%以下であることが、被設部材への追従性の観点から好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。金属蒸着膜(C)が2%以下であるとシート表面が硬くなり、伝熱特性が低下する傾向にある。なお金属箔の材質は用途に合わせて適宜選定される。
本発明の伝熱シートにおける金属蒸着膜(C)の厚みは、厚さゲージによって測定し、その平均値(同一金属蒸着膜内の任意の5点での測定の平均値)とする。なお、厚さゲージとしては、例えば、デジタルダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製、デジマチックインジケータID−C112C)が挙げられる。
金属蒸着膜(C)の厚みは、用途や基材シートの厚みにより適宜選定する。具体的には、1μm〜3μmであることが好ましく、0.5μm〜1μmであることがより好ましい。金属蒸着膜(C)の厚みが上記範囲内にあると、伝熱特性に優れる。
<伝熱シートの製造方法>
伝熱シートの製造方法では、まず、前記バインダ成分(A)と前記異方性黒鉛粉(B)とを含有し、異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シートを作製する。次に、基材シートの一方の表面に金属蒸着膜(C)を付設する。
詳細には、伝熱シートの製造方法は、下記の工程を含む。
(a)前記バインダ成分(A)と前記異方性黒鉛粉(B)とを含有する組成物を調製する工程。
(b)前記組成物から一次シートを作製する工程。
(c)前記一次シートを積層又は捲回して成形体を得る工程。
(d)前記成形体をスライスしてスライスシート(基材シート)を得る工程。
(e)前記基材シートの表面に金属を蒸着して、金属蒸着膜(C)を形成し伝熱シートを得る工程。
((a)工程)
まず、前記バインダ成分(A)、異方性黒鉛粉(B)、および適宜他の成分を混合して組成物を得る。
上記したバインダ成分(A)、異方性黒鉛粉(B)及びその他の成分の混合方法に特に制限はなく、前記各成分を変異無く、短時間で均一に混合できる方法が好ましい。特に、加熱した加圧型のニーダを使用し混合することが好ましい。
混合条件は、使用するバインダ成分(A)の分子量や異方性黒鉛粉(B)の配合量等で任意に決定する。一般的なニーダへの各成分の投入順序は、バインダ成分(A)として、高分子の固形成分と低分子の液状成分を使用する場合には、固形成分を最初にニーダに投入し、素練りした状態で液状成分を少量ずつ配合して混合する方法で行われる。こうすることにより、均一なバインダ成分(A)が得られ効果的である。
また、固形成分及び液状成分のよりいっそうの均一性を望む場合には、固形成分と液状成分をニーダ及びロールにて均一混合し(このときに他成分の少量を配合してもよい)、前記混合と他材料をニーダにて再度混合してもよい。
また、熱硬化型ゴム成分(E)を使用する場合において、組成物の粘度が高く混合時に摩擦熱が発生し、熱硬化型ゴム硬化剤(F)と熱硬化性ゴム成分(E)との架橋反応の進行が懸念される場合は、混合終了時の10〜20分程度前に熱硬化型ゴム硬化剤(F)をニーダに投入することが好ましい。組成物の混合の均性一(熱硬化型ゴム硬化剤(F)による架橋反応の進行の確認も含まれる)の判断は、組成物の粘度を、キュラストメーターやムーニー粘度計で測定することで行う。
この際の目標とする粘度は、各種の配合系において混合温度や時間を変える等により予備検討を行い、目的とする物性値の得られた伝熱シート組成物の粘度値とすることが好ましい。なお、ここで目標とする組成物の粘度とは、硬化反応による影響が殆どなく、異方性黒鉛粉(B)とバインダ成分(A)との混合状態のみに起因する粘度である。
また、必要に応じて有機溶剤を少量添加して、混合性の向上を図ることもできるが、最終的には使用した溶媒を除去することが望ましい。
((b)工程)
次に、前記(a)工程で得た組成物から一次シートを作製する。
具体的には、(a)工程で得た組成物を、圧延成形、プレス成形、押し出し成形又は塗工することにより、前記異方性黒鉛粉(B)を主たる面に関してほぼ平行な方向に配向した一次シートを作製する。このなかでも、圧延成形又はプレス成形による方法が、確実に異方性黒鉛粉(B)を配向させ易く好ましい方法である。
ここで、異方性黒鉛粉(B)がシートの主たる面に関してほぼ平行方向に配向した状態とは、異方性黒鉛粉(B)がシートの主たる面に沿って配向した状態をいう。シート面内での異方性黒鉛粉(B)の配向の向きは、前記組成物を成形する際に、組成物の流れる方向を調節することによってコントロールされる。
なお、異方性黒鉛粉(B)は異方性を有する粒子であるため、組成物を圧延成形、プレス成形、押し出し成形又は塗工すると、通常、異方性黒鉛粉(B)の向きが揃って配置される。
((c)工程)
次いで、上記(b)工程において得られた一次シートを積層又は捲回して成形体を得る。
一次シートを積層する方法については特に制限はなく、例えば、複数枚の一次シートを積層する方法、一次シートを折り畳む方法等が挙げられる。
積層する際は、シート面内での異方性黒鉛粉(B)の向きを揃えて積層する。積層する際の一次シートの形状は、特に制限はなく、例えば矩形状の一次シートを積層した場合は角柱状の成形体が得られ、円形状の一次シートを積層した場合は円柱状の成形体が得られる。
また、一次シートを捲回する方法も特に制限はなく、前記一次シートを異方性黒鉛粉(B)の配向方向を軸にして捲回すればよい。捲回の形状も特に制限はなく、例えば、円筒形でも角筒形でもよい。
一次シートを積層する際の圧力や捲回する際の引張り力は、この後の工程の一次シート面からの法線に対し45〜80度の角度でスライスする都合上、スライス面がつぶれて所要面積を下回らない程度に弱く、かつシート間がうまく接着する程度に強くなるよう調節される。
通常はこの調節によって積層面又は捲回面間の接着力が充分に得られるが、不足する場合は溶剤又は接着剤等を薄く一次シートに塗布した上で積層又は捲回を行って成形体を得てもよい。
また、スライス条件によって発生する応力に対し一次シートの界面剥離を抑えるために、成形体を熱処理し、一次シート界面を一部硬化及び全硬化した成形体を得た後、スライスすることもできる。この場合、成形体を上下加熱した金属板に挟み、成形体が変形しない程度に圧力を加える方法は有効である。また成形体を熱処理(硬化)後にスライスして得られる伝熱シートは、後工程で熱処理を行なわなくてもよい。なお、本発明の伝熱シートでは金属膜を蒸着によって付設するため、金属膜と基材シートの密着性に優れる。そのため、成型体を熱処理してからスライスする方法を好適に採用することができる。その結果、スライスによる一次シート界面での剥離が抑えられ、得られる伝熱シートの伝熱特性の低下が効果的に抑制されるという効果を有する。
((d)工程)
次に、上記(c)工程により得た成形体をスライスして、スライスシート(基材シート)を得る。一次シート面からの法線に対し45〜80度の角度で、好ましくは55〜70度の角度でスライスして、所定の厚みを有するスライスシート(基材シート)を得る。
前記成形体が積層体である場合は、一次シートの積層方向とは垂直又は略垂直となるように、上記角度でスライスすればよい。また、前記成形体が捲回体である場合は、捲回の軸に対して垂直又は略垂直となるように、上記角度でスライスすればよい。更に、円形状の一次シートを積層した円柱状の成形体の場合は、上記角度の範囲内でかつら剥きのようにスライスしてもよい。
スライスする方法は特に制限されず、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。スライスシート(基材シート)の厚み精度及び切断面の平滑性を考慮するとナイフ加工法が好ましい。
スライスする際の切断具は、特に制限されず、スリットを有する平滑な盤面と、該スリット部より突出した刃部と、を有するカンナ様の部位を有するスライス部材であって、前記刃部が、スライスシート(基材シート)の所望の厚みに応じて、前記スリット部からの突出長さが調節可能であるものを使用すると、得られるスライスシート(基材シート)の表面近傍のバインダ成分(A)の亀裂或いは異方性黒鉛粉(B)の配向を乱し難く、かつ所望の厚みの薄いシートも作製し易いので好ましい。
具体的には、上記スライス部材は、鋭利な刃を備えたカンナ又はスライサーを用いることが好ましい。これらの刃は、スライスシート(基材シート)の所望の厚みに応じて、前記スリット部からの突出長さが調節可能とすることで、容易に所望の厚みとすることが可能である。
スライスする温度は、使用する熱可塑性ゴム成分(D)のTg(ガラス転移温度)と使用する異方性黒鉛粉(B)の配合量及び粒径により決定されるが、通常、成形体表面温度で−50℃〜+50℃の範囲が好ましい。
+50℃以下の表面温度の成形体は、成形体全体の柔軟性が抑えられてスライスしやすく、結果として、異方性黒鉛粉(B)の配向が乱れることが抑えられ、伝熱特性に優れる。また、成形体の表面温度が−50℃以上の場合には、成形体が固く脆くなるのが抑えられ、スライス直後に得られたスライスシートの割れが抑えられる。
成形体のスライス厚みは、用途等により任意に決定されるが、0.1〜5mm程度が好ましい。成形体のスライス厚みが0.1mm以上では取扱いやすく、5mm以下の場合は、熱伝導性に優れる。
((e)工程)
上記(d)工程により得られたスライスシート(基材シート)の一方の表面に金属を蒸着して、金属蒸着膜(C)を形成し、伝熱シートを得る。
蒸着の方法は公知の方法を採用することができ、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱して、金属を基材シートの表面に蒸着させる。使用する金属蒸着膜(C)の種類や厚みは、用途やスライスシート(基材シート)の厚みにより適宜選定する。
(その他)
上述のように、バインダ成分(A)の硬化のための熱処理は、(c)工程において行うことが可能であるが、(d)工程の後、(e)工程の後、又は伝熱シートを発熱体と放熱体の間に挟持させた後、のいずれかの段階で行なってもよい。
(d)工程の後に熱処理工程を備えれば、スライスシート(基材シート)の一体性が向上し、(e)工程の後に熱処理工程を備えれば、スライスシート(基材シート)と金属蒸着膜(C)との密着性が向上し、伝熱シートを発熱体と放熱体の間に挟持させた後に熱処理工程を備えれば、発熱体と伝熱シートと放熱体の間での密着性が向上する。
<放熱装置>
本発明の放熱装置は、本発明の伝熱シートを発熱体と放熱体の間に介在させてなるものである。
本発明の伝熱シートを適用する発熱体としては、使用温度が200℃を超えないものであることが好ましい。使用温度が200℃以下では、前記バインダ成分(A)の急激な柔軟性の低下が抑えられて、放熱特性の低下が抑制される。使用する好適な温度は、−20〜150℃の範囲であり、半導体パッケージ、ディスプレイ、LED、電灯等が、好適な発熱体の例として挙げられる。
放熱体としては、例えば、アルミ、銅のフィン・板等を利用したヒートシンク、ヒートパイプに接続されているアルミや銅のブロック、内部に冷却液体をポンプで循環させているアルミや銅のブロック、ペルチェ素子及びこれを備えたアルミや銅のブロック等が使用できる代表的なものである。
本発明の放熱装置は、発熱体と放熱体に、本発明の伝熱シートの各々の面を接触させて配置したものである。発熱体、伝熱シート及び放熱体を充分に密着させた状態で固定できる方法であれば、接触・固定させる方法に制限はないが、密着を持続させる観点から、ばねを介してねじ止めする方法、クリップで挟む方法等のように押し付ける力が持続する接触・固定方法が好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。本発明は、下記実施例に限定されない。
[実施例1]
<伝熱シートの作製>
(1)異方性黒鉛粉(膨張黒鉛成形シートの粉砕粉)の作製
嵩密度0.2g/cmの膨張黒鉛成形シート(日立化成工業(株)製、商品名:カーボフィットHGP−105)を粉砕機(細川ミクロン社(株)製、商品名:ロートプレツクス)で粉砕し、得られた粉砕粉を振動篩にて分級し、粒度分布500〜1000μmの異方性黒鉛粉(膨張黒鉛シート粉砕粉)を2kg作製した。
得られた異方性黒鉛粉の形状は、SEM写真で観察し、樹枝状であることを確認した。
(2)組成物の調製
容量1Lの加圧機構を備えたニーダ(吉田製作所(株)製 商品名:1100−S−1)を80℃に昇温(バレル温度)し、熱可塑性ゴム成分(D)としてのアクリルゴム(ナガセケムテックス(株)製、商品名:HTR−811DR、重量平均分子量:50万:ガラス転移温度:−46℃、タック性大、室温で弾性を示す。)320gと上記(1)で作製した異方性黒鉛粉250gを投入し、10分間混合した。
混合終了後、難燃剤として燐酸エステル(大八化学工業(株)製、商品名:CR−741(粘度:2400mpa・s(40℃)))150gを4回に分け20分掛けて(1回/5分混合)前記混合物中に混ぜこんだ。その後、200gの異方性黒鉛粉の残分を投入し20分混合し、組成物とした。放熱材料である異方性黒鉛粉の配合量は、全体配合量の48.9質量%となる。
また混合物の粘度は、ムーニー粘度計(上島製作所(株)製、商品名:VR−1130)の値で、25(60℃)、18(80℃)、13(100℃)であった。これについて測定温度を横軸に粘度を縦軸にとって、温度変化伴う粘度変化(温度依存性)を確認したところ、両者の関係が直線関係となり、使用した熱可塑性ゴム成分(D)のムーニー粘度と傾向が一致(粘度の値は異なる)した。以上の結果から、バインダ成分(A)中の異方性黒鉛粉の分散性が良好であること、及び混合時のバインダ成分性状の変化が少ないものと判断した。
(3)一次シートの作製
成形体に用いる一次シートは、下記のようにして得た。
まず、離型処理した0.1mm厚みのPETフィルムに、上記調製した組成物の50gを挟み、常温のプレス機を使用し約3mm厚のシートに加工した。得られた加工シートを80℃に昇温したロール(ギャップ1.2mm)に通し、冷却後厚み1mmの一次シートを得た。この一次シートの密度は1.4g/cmであった。
(4)一次シートの積層
上記で作製した一次シートを、ロール方向に合わせ50mm×250mmサイズに切断したものを50枚作製し、前記切断シートを寸法どおり積層した積層体を得た。
積層体の最外面である両表面に離型紙を充て、盤面を150℃の加熱したハンドプレスに乗せた。更に、積層体の両端側に、厚み調整材として厚み4.5mmの金属板を設置した。この状態でプレスを60分行い、スライス用成形体を作製した。
(5)成形体のスライス
上記で作製した成形体を自家製のスライス機械に固定した。成形体の表面温度を−10℃に冷却した後、定盤に固定した単刃により、成形体のスライド速さ60mm/分、切削角度30°の条件でスライスし、厚み0.25mmのスライスシート(基材シート)を作製した。
また、基材シートの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、任意の50個の異方性黒鉛粉について、異方性黒鉛粉の長軸が基材シートの表面に対してなす角度を測定し、その平均値を求めたところ90度であり、異方性黒鉛粉は基材シートの厚み方向に配向していることが認められた。
(6)金属膜の付与
真空蒸着機を用いて、上記作製した基材シートの片面にアルミを蒸着した。
(7)厚さの測定
基材シート及びアルミ蒸着膜の厚みは、デジタルダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製 デジマチックインジケータID−C112C)で測定し、基材シート及び金属箔のそれぞれにおいて、任意の5点で厚さを測定し、平均値を算出した。
厚み0.25mmの伝熱シートにおけるアルミ蒸着膜の厚みは0.8μmであった。
[実施例2〜5]
実施例1と同様にして、但し、実施例1の(5)において、スライスした基材シートの厚さを下記表1に示すように代えて、伝熱シートを作製した。
[実施例6]
実施例1と同様にして、但し、実施例1の(2)の組成物を、下記調製した組成物に代えて、伝熱シートを作製した。
(組成物の調製)
熱可塑性ゴム成分(D)としてのアクリルゴム(ナガセケムテックス(株)製、商品名:HTR−811DR、重量平均分子量:50万、ガラス転移温度:−46℃、タック性大、室温で弾性を示す。)211gと、熱硬化性ゴム成分(E)としての、常温で固体の固形カルボキシル基変性NBR(日本ゼオン(株)製、商品名:Nippol 1072、重量平均分子量:25万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g))80gと、実施例1の(1)で作製した異方性黒鉛粉200gを、実施例1と同様のニーダに投入し、10分間混合した。
混合終了後、常温で液体の液状カルボキシル基変性NBR(日本ゼオン(株)製、商品名:Nippol DN601、重量平均分子量:6.8万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g))30gと、難燃剤として燐酸エステル(大八化学工業(株)製、商品名:CR−741(粘度:2400mpa・s(40℃)))150gを混合したものを、4回に分け20分掛けて(1回毎に5分混合)前記混合物中に混ぜこんだ。
その後、262gの異方性黒鉛粉の残分を投入し20分混合し、更に熱硬化型ゴム硬化剤(F)として、エポキシ基含有化合物(シェル化学社製、商品名:エピコート828(以下、「Ep828」と略す)、数平均分子量:380、2官能型、エポキシ基の数(当量):190(液状))11g(NBR使用質量の10質量%)を投入して10分混合し、組成物とした。
得られた組成物のバインダ成分100質量部(熱可塑性ゴム成分(D)と熱硬化性ゴム成分(E)の合計量)中、熱可塑性ゴム成分(D)としてのアクリルゴムは65.7質量部、熱硬化性ゴム成分(E)としてのNBRが34.3質量部となる。
また、この組成物において、放熱材料である異方性黒鉛粉の配合量は、全体配合量の48.9質量%であり、混合物のムーニー粘度は、27(60℃)、20(80℃)、15(100℃)であった。
[比較例1]
実施例1と同様にして、但し、実施例1の(6)においてアルミ膜を蒸着せずに、伝熱シートを作製した。
<伝熱シートの評価>
上記実施例1〜6及び比較例1で得た伝熱シートについて、下記のようにしてシート特性を評価した。その結果を表1に示す。また伝熱特性に関しては、シートの熱抵抗値を用いた。
〔熱抵抗〕
得られた伝熱シートから、縦1cm×横1.5cmの大きさの試験シートを作製し、この試験シートをトランジスタ(2SC2233)とアルミニウム放熱ブロックとの間に挟み、0.5MPaの圧力でトランジスタを加圧し電流を通じた。トランジスタの温度:T1(℃)と、放熱ブロックの温度:T2(℃)を測定し、測定値と印可電力:W1(W)から、次式(1)によって熱抵抗:X(℃/W)を算出した。
X=(T1−T2)/W1 式(1)
上記式(1)の熱抵抗:X(℃/W)と伝熱シートの厚み:d(μm)、熱伝導率既知試料による補正係数:Cから、次式(2)により熱伝導率:Tc(W/mK)を見積もった(室温25℃で測定)。
Tc=C×d/X 式(2)
〔再利用性〕
得られた伝熱シートから、縦3cm×横3cmの大きさの試験シートを作製した。この試験シートを、縦50×横50×厚み2mmのアルミ板Aと縦10×横10×厚み2mmのアルミ板Bとの間に挟んだ。このとき試験シートにおけるアルミ蒸着膜がアルミ板Aと接するように配置した。この状態で、クリップを用いて0.5MPaの荷重を負荷した。
作製した試験体を100℃の乾燥機(ETAC製、型式HG220)に100時間投入し、取り出した後、除荷してアルミ板Bの剥がれ有無を確認した。
○:アルミ板Bが故障無く剥がれ、再利用できる。
×:アルミ板Bが剥がれず、再利用できない。
〔取扱い性〕
(長手方向)
得られた伝熱シートから、20mm×40mmの大きさの試験シートを作製し、オートグラフを用いて試験シートの長手方向(積層面に対し90度方向)の引張強度を室温25℃で測定した。
(積層方向)
得られた伝熱シートから、20mm×40mmの大きさの試験シートを作製し、試験シートの積層方向の引張強度を、長手方向の引張強度と同様の方法で測定した。
〔難燃性〕
UL規格に準じ、JIS Z 2391(1999)に従い垂直燃焼試験を行った。このときの試験シートの大きさは、125×13mmとした。難燃性試験合格品について、最も難燃効果の高いレベルをV0とし、次いでV1、V2、HBとした。
Figure 2012109311
表1に見られるように、室温で弾性を示すバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とを含有し、異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シート上に、金属蒸着膜(C)を備える実施例1〜6の伝熱シートでは、伝熱特性(熱抵抗)、取扱い性(強度、難燃性)、及び再利用性の両立が図られていることが分かる。

Claims (11)

  1. 室温で弾性を示すバインダ成分(A)と異方性黒鉛粉(B)とを含有し、前記異方性黒鉛粉(B)が厚み方向に配向した基材シートと、
    前記基材シートの一方の表面上に設けた、金属蒸着膜(C)と、
    を有する伝熱シート。
  2. 前記金属蒸着膜(C)の厚さが、総厚みの2%以下である請求項1に記載の伝熱シート。
  3. 前記金属蒸着膜(C)が、アルミ、銅、銀、金、白金、又はニッケルから形成されてなる請求項1又は請求項2に記載の伝熱シート。
  4. 前記異方性黒鉛粉(B)が、膨張黒鉛成型シートの粉砕粉であり、粉砕前の前記膨張黒鉛成型シートの嵩密度が0.1g/cm〜1.5g/cmの範囲にある請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の伝熱シート。
  5. 前記異方性黒鉛粉(B)が、薄片針枝状又は樹枝状であり、粒子径が50μm〜2000μmの範囲である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の伝熱シート。
  6. 前記バインダ成分(A)として、ガラス転移温度50℃以下の熱可塑性ゴム(D)を含む請求項1〜請求項5にいずれか1項に記載の伝熱シート。
  7. 前記バインダ成分(A)として、熱可塑性ゴム成分(D)と、熱硬化性ゴム成分(E)と、該熱硬化性ゴム成分(E)に架橋可能な熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の伝熱シート。
  8. 更に、燐酸エステルを含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の伝熱シート。
  9. 室温で弾性を示すバインダ成分(A)と、異方性黒鉛粉(B)とを含有する組成物を調製する工程と、
    前記組成物を用いて、前記黒鉛粉(B)が主たる面に対して略平行な方向に配向する一次シートを作製する工程と、
    前記一次シートを積層又は捲回して、成形体を作製する工程と、
    前記一次シート面からの法線に対し45〜80度の角度で、前記成形体をスライスして基材シートを作製する工程と、
    前記基材シートの表面に金属を蒸着して、金属蒸着膜(C)を形成する工程と、
    を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の伝熱シートの製造方法。
  10. 前記バインダ成分(A)として、熱可塑性ゴム成分(D)と、熱硬化性ゴム成分(E)と、該熱硬化性ゴム成分(E)に架橋可能な熱硬化型ゴム硬化剤(F)とを含み、
    前記基材シートの表面に前記金属蒸着膜(C)を形成する工程の前に、前記バインダ成分(A)を架橋させる工程を有する請求項9に記載の伝熱シートの製造方法。
  11. 発熱体と、
    放熱体と、
    前記発熱体と前記放熱体の間に、該発熱体及び放熱体の双方に接するように配置した、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の伝熱シートと、
    を有する放熱装置。
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