JP2012084355A - 電子デバイス - Google Patents

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一史 渡辺
Toshiya Kuroda
俊也 黒田
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隆 眞田
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Abstract

【課題】性能の低下が少なく信頼性が高い電子デバイスを提供する。
【解決手段】積層フィルム5の上に設けられた有機EL素子と、積層フィルム5に対向する積層フィルム6と、有機EL素子を囲み積層フィルム5,6を貼り合わせる封止材20と、を有し、積層フィルム5,6の少なくとも一方が有する薄膜層の少なくとも1層は、炭素分布曲線が実質的に連続である条件、炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有する条件、及び炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である条件を全て満たし、封止材20は、液晶性樹脂を含む組成物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、封止材を用いた封止構造を有する電子デバイスに関するものである。
種々の電子デバイスは、素子構造が酸素ガスや水蒸気により劣化しやすい。そこで、通常の電子デバイスは、素子構造の劣化による性能低下を抑制するため、内部への酸素ガスや水蒸気の侵入を抑制する封止構造を有している。
近年、電子デバイスの封止構造に適用可能な材料として、プラスチックフィルム等の基材の表面に無機化合物のガスバリア層を形成したガスバリア性フィルムが提案されている。このようなガスバリア性フィルムを用いた電子デバイスでは、ガラスや無機酸化物を形成材料とした基板をガスバリア性フィルムで代替して封止構造を形成することにより、軽量化を図ることができる。さらに、可撓性を有するフィルムの上に素子構造を形成することで、全体として可撓性を持たせた電子デバイスとすることが期待される。
例えば、可撓性を持たせた電子デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)が提案されている。有機EL素子は、一対の電極間に発光層が配置された構造を有し、自発光型の素子であり消費電力が小さいことから、照明装置や表示装置への応用が検討されている。そのような有機EL素子を、さらにガスバリア性フィルムの上に形成して可撓性を持たせることにより、湾曲した壁面へ設置する照明装置や、屈曲可能な携帯型ディスプレイなどの実現が期待されている。
一方で有機EL素子は、電極が酸素ガスや水蒸気に触れると、電極の酸化や腐食等によって、ダークスポットと呼ばれる発光不良部が生じることがある。また、発光層が酸素ガスや水蒸気に触れて劣化し、発光特性が低下することもある。そこで、これらの不都合を回避する上で、電極や発光層が酸素ガスや水蒸気に触れることを抑制する封止構造を有している。
このような封止構造に適用可能なガスバリア性フィルムとして、例えば、液晶性樹脂を形成材料として用いたものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。液晶性樹脂は、高度なガスバリア性および極度に低い吸湿性を有することから、液晶性樹脂を用いたガスバリア性フィルムを電子デバイスの保護膜に用いると、内部への酸素ガスや水蒸気の侵入を良好に抑制することが可能であると考えられる。
特開2010−46830号公報 特開2003−103708号公報 特開2005−243532号公報
ところで、有機EL素子の封止構造としては、ガスバリア性を有する第1の基板上に有機EL素子を形成し、ガスバリア性を有する第2の基板で有機EL素子を覆うとともに、有機EL素子を囲むようにして封止材(またはシール材)と呼ばれる組成物を配置して、両基板を貼り合わせる構造が知られている。そのため、酸素ガスや水蒸気の侵入経路としては、(1)基板を透過、(2)封止材を透過、の2種が想定される。
従来のガスバリア性フィルムの検討においては、ガスバリア性フィルムのガス透過率や水分透過率の向上に検討の目が向いていた。そのため、従来のガスバリア性フィルムを有機EL素子に適用した場合に、上記(1)の侵入経路については封止性能が向上している一方で、上記(2)の侵入経路については、検討があまり成されていなかった。
すなわち、ガスバリア性フィルムの性能が向上するに従い、ガスバリア性フィルムを有する有機EL素子において、上記(1)の侵入経路の影響よりも上記(2)の侵入経路の影響が相対的に大きくなり、素子全体の物性に強い影響を与えることが考えられる。しかし、従来はガスバリア性フィルムの性能向上の検討が先行し、ガスバリア性フィルムを用いて封止構造を形成した有機EL素子全体について、封止性能を向上させる検討が成されていなかった。
このような事情は、有機EL素子に限らず、ガスバリア性フィルムを用いて封止構造を形成する種々の電子デバイス、具体的には液晶表示素子、電子泳動表示素子、光電変換素子、電池素子を有する装置に共通する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ガスバリア性フィルムを有し、高い封止性能を実現することで、性能の低下が少なく信頼性が高い電子デバイスを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の電子デバイスは、第1の基板上に設けられた機能性素子と、前記第1の基板の前記機能性素子が形成された面に対向する第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間であって、前記機能性素子の周囲に少なくとも配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる封止材と、を有し、前記第1の基板および前記第2の基板の少なくとも一方は、基材と、前記基材の少なくとも片方の表面上に形成された少なくとも1層の薄膜層とを備える積層フィルムであり、前記薄膜層のうちの少なくとも1層が珪素、酸素及び炭素を含有しており、且つ、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、下記条件(i)〜(iii):
(i)炭素分布曲線が実質的に連続であること、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
を全て満たし、前記封止材は、液晶性樹脂を含む組成物であることを特徴とする。
本発明においては、前記組成物が、無機フィラーを含むことが望ましい。
本発明においては、前記薄膜層は、前記基板において前記機能性素子に面する側の面に形成されていることが望ましい。
本発明においては、前記第1の基板および前記第2の基板の両方が、前記積層フィルムであることが望ましい。
本発明においては、前記積層フィルムは、前記基材の両面に前記薄膜層が形成されていることが望ましい。
本発明においては、前記基材の形成材料が、ポリエステル、ポリオレフィンの中から1種以上選ばれる樹脂材料を含むことが望ましい。
本発明においては、前記機能性素子が有機エレクトロルミネッセンス素子を構成することが望ましい。
本発明においては、前記機能性素子が液晶表示素子を構成することが望ましい。
本発明においては、前記機能性素子が電気泳動表示素子を構成することが望ましい。
本発明においては、前記機能性素子が電池素子を構成することが望ましい。
本発明においては、前記機能性素子が光を受光して発電する光電変換素子を構成することが望ましい。
本発明によれば、性能の低下が少なく信頼性が高い電子デバイスを提供することができる。
第1実施形態の電子デバイスである有機EL素子の構成例を示す説明図である。 積層フィルムの製造装置の一例を示す図である。 積層フィルムの原子比の分布例を示すグラフである。 有機EL装置の封止を行う製造装置の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係る電子デバイスである液晶表示装置の側断面図である。 第3実施形態に係る電子デバイスである電気泳動表示装置の側断面図である。 第4実施形態に係る電子デバイスである電池セルの説明図である。 第5実施形態に係る電子デバイスである光電変換装置の側断面図である。
[第1実施形態]
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
〈有機EL装置〉
図1は、本実施形態の電子デバイスである有機EL装置の構成例を示す説明図である。
本実施形態に係る有機EL装置は、光を利用する各種の電子機器に適用可能である。本実施形態の有機EL素子は、例えば携帯機器等の表示部の一部でもよいし、例えばプリンター等の画像形成装置の一部でもよい。本実施形態の有機EL素子は、例えば液晶表示パネル等の光源(バックライト)でもよいし、例えば照明機器の光源でもよい。
(第1例の有機EL装置)
図1(a)に示す第1例の有機EL装置1Aは、一対の電極(第1電極2及び第2電極3)、発光層4、積層フィルム(第1の基板)5、積層フィルム(第2の基板)6および封止材20を備えている。積層フィルム5は、基材7及びバリア膜8を備えている。積層フィルム6は、基材9及びバリア膜10を備えている。
発光層4は、第1電極2と第2電極3との間に配置されており、第1電極2、第2電極3,発光層4は有機EL素子(機能性素子)を形成している。積層フィルム5は、第1電極2に対して発光層4の反対側に配置されている。積層フィルム6は、第2電極3に対して発光層4の反対側に配置されている。さらに、積層フィルム5と積層フィルム6とは、有機EL装置100の周囲を取り囲むように配置されている封止材20によって貼り合わされている。
なお、以下の説明では、発光層4の厚み方向で発光層4に近づく側を内側と称し、発光層4から離れる側を外側と称することがある。
有機EL装置1Aにおいて、第1電極2と第2電極3との間に電力が供給されると、発光層4にキャリア(電子及び正孔)が供給され、発光層4に光が生じる。有機EL装置1Aに対する電力の供給源は、有機EL装置1Aと同じ装置に搭載されていてもよいし、この装置の外部に設けられていてもよい。発光層4から発せられた光は、有機EL装置1Aを含んだ装置の用途等に応じて、画像の表示や形成、照明等に利用される。以下、有機EL装置1Aの構成要素について、詳しく説明する。
第1例の有機EL装置1Aは、第1電極2が陽極であり、第2電極3が陰極である。第1電極2は、発光層4に正孔(キャリア)を供給する。第1電極2は、第2電極3よりも仕事関数が大きい(例えば5eV以上)材質で形成されている。有機EL装置1Aは、発光層4の膜厚方向で第1電極2の配置側と第2電極3の配置側のうちで、片側から光を射出する構成であってもよいし、両側から光を射出する構成であってもよい。発光層4からの光が有機EL装置1Aの外部に至る光路に配置される各構成要素は、少なくとも光路に相当する部分が透光性を有するように、材質等が適宜選択される。発光層4からの光の光路以外に配置される構成要素については、透光性の材質でもよいし、この光の一部又は全部を遮る材質でもよい。
第1例では、発光層4から第2電極3へ向かう光が反射部材で反射し、第1電極2に向かって進行する。この反射部材で反射した光は、発光層4から第1電極2へ向かう光とともに、第1電極2を通って上記の一方側から有機EL装置1Aの外部に射出される。上記の反射部材は、例えば金属等の反射材料で形成された第2電極3であってもよいし、第2電極3に対して外側に配置された部材であってもよい。
第1電極2は、例えば、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物、スズ酸化物等の透光性を有する導電材料で形成される。第1電極2として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。本例の第1電極2は、積層フィルム5を基材(基板)として、形成されている。第1電極2の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
有機EL装置1Aを自発光型の表示部として利用する場合には、例えば第1電極2が画素電極として形成される。この画素電極は、画素又はサブ画素ごとに設けられる。画素電極は、画素電極への電力供給の有無をスイッチングするスイッチング素子と電気的に接続される。スイッチング素子は、層間絶縁膜や各種配線等を含んだ素子層に形成される。素子層は、例えば第1電極2と積層フィルム5との間に配置される。素子層は、積層フィルムを基板として形成されていてもよい。素子層に形成された各種配線は、スイッチング素子のオンオフの制御や画像信号の供給等を行うドライバーと電気的に接続される。
第2電極3は、発光層4に電子(キャリア)を供給する。第2電極3は、第1電極2よりも仕事関数が小さい(例えば5eV未満)材質で形成されている。第2電極3の形成材料としては、例えばカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属、フッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体等が挙げられる。
発光層4は、蛍光と燐光の少なくとも一方を発光する発光材料を含んでいる。発光層4に、例えば、発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントが付加されていてもよい。発光層4の形成材料は、低分子化合物と高分子化合物のいずれでもよい。発光層4に含まれる発光材料としては、例えば以下のものを挙げることができる。
色素系の発光材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
金属錯体系の発光材料としては、中心金属に、Ir、Pt、Al、Zn、Beなど、またはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができ、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。
高分子系の発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、およびポリビニルカルバゾール誘導体など、並びに上記色素系の発光材料や金属錯体系の発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。
白色に発光する材料としては、上述した青色、緑色、赤色に発光する材料を混合して用いてもよい。上述した青色、緑色、赤色にそれぞれ発光する複数種類の材料の各成分を1分子内に有する材料を白色に発光する材料として用いることができる。例えば、白色に発光する材料として、各色の材料の成分をモノマーとして重合したポリマーを用いてもよい。また、互いに異なる発光色で発光する複数の層を積層することにより、白色光を発光する素子を実現してもよい。
ドーパント材料としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
なお、発光層4と第1電極2との間に、正孔注入層が配置されることもある。正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体などが挙げられる。
また、正孔注入層と発光層4の間に、正孔輸送層が配置されることもある。正孔注入層及び正孔輸送層に代えて、正孔注入輸送層が配置されることもある。発光層4と第2電極3との間に、電子注入層が配置されることもある。この電子注入層と発光層4との間に、電子輸送層が配置されることもある。第1電極2と第2電極3との間に、電子が陽極側から負極側に移動することを防止する中間層、あるいは正孔が負極側から正極側に移動することを防止する中間層が配置されることもある。
第1例の積層フィルム5、6は、基材の片面にバリア膜を形成したものである。このバリア膜は、水蒸気及び酸素ガスに対してガスバリア性を有している。積層フィルム5は、バリア膜8を内側に向けて配置されている。積層フィルム6は、バリア膜10を内側に向けて配置されている。第1例の積層フィルム6は、第2電極3の外側に接着剤等によって貼設されている。第1例の積層フィルム5は、その構造や特性が積層フィルム6と同様である。すなわち、基材7は、その構造や特性が基材9と同様である。また、バリア膜8は、その構造や特性がバリア膜10と同様である。
なお、基材7と基材9とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。また、バリア膜8とバリア膜10とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。
第1例の積層フィルム5は、基材7に後述するプラズマ化学気相成長法(以下、プラズマCVD法という)でバリア膜8を形成したものである。第1例の基材7は、無色透明な樹脂からなるフィルム又はシートである。基材7に用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中で、耐熱性及び線膨張率が高く、製造コストが低いという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、PET、PENが特に好ましい。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を積層または混合することで組み合わせて使用してもよい。
基材7の厚みは、バリア膜8を形成するときの安定性等を考慮して、適宜設定可能である。基材7の厚みは、例えば5μm以上500μm以下の範囲内に設定されていてもよい。これにより、基材7を、例えばバリア膜8を形成するときの真空雰囲気中で、安定して搬送することができる。プラズマCVD法によりバリア膜8を形成する場合には、基材7の厚みが50μm以上200μm以下の範囲内に設定されているとよく、50μm以上100μm以下の範囲内に設定されているとさらによい。これにより、プラズマCVD法による成膜中に、基材7を通してプラズマ発生用の放電を安定して行うことができる。
本実施形態に係るバリア膜(例えばバリア膜8)は、1層以上の薄膜層を有しており、薄膜層のうちの少なくとも1層は、後に説明する所定の条件を満たすように形成されている。本実施形態に係るバリア膜は、所定の条件を満たすように形成されていることによって、屈曲によるガスバリア性の低下が抑制されている。これにより、本実施形態に係るバリア膜は、バリア膜が屈曲した状態を経た後であっても、一般的に有機EL素子に要求されるガスバリア性を発現することが可能である。
薄膜層の膜厚は、5nm以上3000nm以下の範囲内に設定されていることが好ましく、10nm以上2000nm以下の範囲内に設定されていることがより好ましく、100nm以上1000nm以下の範囲内に設定されていることが特に好ましい。薄膜層の膜厚が上記の範囲の下限値以上であれば、一般的に有機EL素子に要求されるガスバリア性を確保することが容易になる。薄膜層の膜厚が上記範囲の上限値以下であれば、屈曲によるガスバリア性の低下を抑制する効果が高くなる。
なお、積層フィルム5に複数の薄膜層が設けられていてもよい。複数の薄膜層の総厚は、例えば10nm以上10000nm以下の範囲内に設定される。複数のバリア膜の総厚は、10nm以上5000nm以下の範囲内に設定されていることが好ましく、100nm以上3000nm以下の範囲内に設定されていることがより好ましく、200nm以上2000nm以下の範囲内に設定されていることが特に好ましい。複数のバリア膜の総厚が上記範囲の下限値以上であれば、一般に有機EL素子に要求されるガスバリア性(酸素透過率、水蒸気透過率)を確保することが容易になる。複数のバリア膜の総厚が上記範囲の上限値以下であれば、複数のバリア膜の屈曲によるガスバリア性の低下を抑制する効果が高くなる。
(封止材)
封止材20は、有機EL装置1Aの内部への酸素ガスおよび水蒸気の侵入を防止する機能と、積層フィルム5と積層フィルム6とを貼り合わせ、互いの位置を固定する機能と、を有している。
封止材20は、バインダーの中に液晶性樹脂が分散した組成物、または液晶性樹脂である。バインダーとしては、通常知られたエポキシ基を有する硬化性樹脂を用いることができる。バインダーは、光硬化性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。また、必要に応じて光または熱を加えることで重合反応を起こさせる反応開始剤を含むこととしてもよい。
(液晶性樹脂)
液晶性樹脂は、高度なガスバリア性と極度に低い吸湿性を有するため、直接封止材として用いても、バインダーの中に分散させても、封止材20の酸素透過度および水分透過性(すなわち、ガスバリア性)を低く下げることができる。
封止材の酸素透過度および水分透過度は、封止材に対するガスおよび水蒸気の溶解度と、封止材内におけるガスおよび水蒸気の拡散度と、の積により規定することができる。値が大きい方が酸素透過度および水分透過度が大きく(ガスバリア性が低く)、値が大きい方が酸素透過度および水分透過度が小さい(ガスバリア性が高い)。
液晶性樹脂は、主鎖のメソゲン部が規則的に配向して凝集し、緻密な結晶構造を形成しやすいため、液晶性樹脂中に原子が存在しない空間(フリースペース)が形成されにくい。したがって、液晶性樹脂は、樹脂中を酸素ガスや水蒸気が拡散しにくい(拡散度が低い)性質を有する。
ここで、液晶性樹脂としては、(I)芳香環などのメソゲン部を有する単量体が互いに縮重合することにより生じる縮重合体、または、(II)主鎖にメソゲン部を有し端部に重合性官能基が結合した化合物(すなわちA−LまたはA−L−A(但し、Lはメソゲン部、Aは重合性官能基を示す))が、重合性官能基で互いに重合することにより生じる重合体、を用いることができる。
上記(I)のタイプの液晶性樹脂としては、特に限定されるものではないが、以下の化学式(a)〜(g)に示すジヒドロキシ化合物、(h)〜(n)に示すジカルボン酸、(o)〜(r)に示すヒドロキシカルボン酸、(s)〜(u)に示すアミン(ジアミン、ヒドロキシアミン、アミノカルボン酸)、およびこれらの誘導体を縮重合させることにより得られるサーモトロピック型の液晶ポリエステルまたは液晶ポリエステルアミドを用いることができる。
Figure 2012084355
Figure 2012084355
Figure 2012084355
Figure 2012084355
上述の化合物を縮重合して得られる液晶ポリエステルまたは液晶ポリエステルアミドとしては、以下の化学式(1)〜(5)を例示することができる。
Figure 2012084355
Figure 2012084355
Figure 2012084355
Figure 2012084355
Figure 2012084355
上記化学式(1)〜(5)において、a〜c,l〜n,p〜s,x〜z,wは、各構造の繰り返しであることを示している。化学式(1)〜(5)に示す重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。また、2種以上の重合体を用いることとしても構わない。
また、上記(II)のタイプの液晶性樹脂としては、以下に示すメソゲン部に、以下に示す1または2以上の重合性官能基が結合した化合物を、重合性官能基において互いに重合させることにより得られる重合体を用いることができる。
メソゲン部としては、特に限定されるものではないが、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、フェニルベンゾエート等の芳香環を有する剛直な構造を例示することができる。
また、重合性官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の化学式(A),(B)に示す炭素−炭素二重結合を有する官能基、(C)に示すグリシジルエーテル、(D)に示すグリシジルエステル、(E)に示す3,4−エポキシシクロヘキシルなどのエポキシ官能基を挙げることができる。
Figure 2012084355
(但し、Rは水素原子、又はメチル基、Rは、-(CH-、-(CHCHO)-、-(CH-CH(CH)O)-(nは0から10の整数)、ベンジル基を示す)
Figure 2012084355
上記液晶性樹脂の重合性官能基とメソゲン部との比、すなわち重合性官能基/(重合性官能基+メソゲン部)の割合(重量分率)は、1%〜95%、好ましくは5%〜80%、さらに好ましくは10%〜70%である。
上記バインダーとして用いるエポキシ基を有する硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、α−ナフトールノボラックグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミンジフェニルメタン、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレートなどが挙げられる。
封止材20に含まれる液晶性樹脂の量は、適宜設定することができる。また、封止材20において、バインダーと液晶性樹脂とは相溶していてもよく、相分離していてもよい。相分離する場合、バインダー中で液晶性樹脂がドメインを構成して海・島状に分散していてもよい。
さらに、封止材20には、無機フィラーを混合させることとしても良い。用いることができる無機フィラーとしては、例えば、シリカ、マイカ、ガラスフィラーなどが挙げられる。これらの無機フィラーを混合させることで、封止材20のガスバリア性を向上させることが可能である。
(第2例の有機EL装置)
図1(b)に示す第2例の有機EL装置1Bは、第1電極2、第2電極3、発光層4、積層フィルム(第1の基板)11、及び積層フィルム(第2の基板)12を備えている。積層フィルム11は、基材7、バリア膜8、及びバリア膜13を備えている。積層フィルム12は、基材9、バリア膜10、及びバリア膜14を備えている。また、積層フィルム11と積層フィルム12とは、有機EL装置100の周囲を取り囲むように配置されている封止材20によって貼り合わされている。
第2例における積層フィルム11は、基材の両面にバリア膜を形成したものである。積層フィルム11において、基材7の両面のバリア膜のうちの一方がバリア膜8であり、他方がバリア膜13である。第2例におけるバリア膜13は、その構造や特性がバリア膜8とである。第2例において、積層フィルム12は、その構造や特性が積層フィルム11と同様である。すなわち、バリア膜8、13、10、14は、いずれも同様のものである。
なお、バリア膜8とバリア膜13とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。バリア膜13とバリア膜14とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。バリア膜8、13、10、14の少なくとも1つが、1以上の薄膜層を含んでおり、この薄膜層が所定の条件を満たすように形成されていればよい。
(第3例の有機EL装置)
図1(c)に示す第3例の有機EL装置1Cは、第1電極2、第2電極3、発光層4、積層フィルム(第1の基板)6、及び基板(第2の基板)15を備えている。有機EL装置1Cには、第1例の有機EL装置1Aにおける積層フィルム5の代わりに、基板15が設けられている。また、積層フィルム6と基板15とは、有機EL装置100の周囲を取り囲むように配置されている封止材20によって貼り合わされている。
基板15は、例えば、ガラス基板やシリコン基板、樹脂フィルム等である。基板15は、積層フィルム6の基材7と同じ材質でもよいし、異なる材質でもよい。基板15は、例えばスイッチング素子や配線等が形成された素子基板でもよい。
(バリア膜)
次に、本実施形態に係るバリア膜について詳しく説明する。以下の説明では、薄膜層の表面を膜表面と称することがある。薄膜層の膜厚方向を単に膜厚方向と称し、薄膜層の表面に平行な方向を膜面方向と称することがある。膜厚方向と膜面方向は、実質的に直交する方向である。
本実施形態に係るバリア膜は、珪素、酸素及び炭素を含有する薄膜層を有している。薄膜層は、珪素原子の原子比、酸素原子の原子比、及び炭素原子の原子比が所定の条件を満たすように、形成されている。各原子の原子比は、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する、対象の原子の量の比率である。原子比の単位は、at%である。例えば、珪素原子の原子比は、上記の合計量に対する珪素原子の量の比率である。上記の所定の条件は、下記の第1条件、第2条件、及び第3条件をいずれも満たす条件である。
本実施形態では、膜厚方向における膜表面からの距離と、各距離の位置での局所的な珪素原子の原子比との関係を示す曲線を珪素分布曲線という。同様に、膜厚方向における膜表面からの距離と、各距離の位置での局所的な酸素原子の原子比との関係を示す曲線を酸素分布曲線という。また、膜厚方向における膜表面からの距離と、各距離の位置での局所的な炭素原子の原子比との関係を示す曲線を炭素分布曲線という。また、膜厚方向における膜表面からの距離と、各距離の位置での局所的な酸素原子の原子比及び炭素原子の原子比の合計との関係を示す曲線を酸素炭素分布曲線という。
上記の第1条件は、炭素分布曲線は、実質的に連続であることが好ましい。炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことである。具体的には、膜厚方向における膜表面からの距離をx[nm]、炭素の原子比をC[at%]としたときに、下記の式(1)を満たす条件である。
|dC/dx|≦ 1 ・・・(1)
上記の第2条件は、炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有する条件である。ここでいう極値は、膜厚方向における膜表面からの距離に対する各元素の原子比の極大値又は極小値である。極値は、膜厚方向における膜表面からの距離を変化させたときに、元素の原子比が増加から減少に転じる点、又は元素の原子比が減少から増加に転じる点での原子比の値である。極値は、例えば、膜厚方向において複数の測定位置のそれぞれで原子比を測定した測定結果に基づいて、求めることができる。原子比の測定位置は、膜厚方向の間隔が例えば20nm以下に設定される。極値をとる位置は、各測定位置での測定結果を含んだ離散的なデータ群について、例えば互いに異なる3以上の測定位置での測定結果を比較し、測定結果が増加から減少に転じる位置又は減少から増加に転じる位置を求めることによって、得ることができる。極値をとる位置は、例えば、上記の離散的なデータ群から求めた近似曲線を微分することによって、得ることもできる。極値をとる位置から原子比が単調増加又は単調減少する区間が例えば20nm以上である場合に、極値をとる位置から膜厚方向に20nmだけ移動した位置での原子比と、極値との差の絶対値は例えば3at%以上である。
第2条件を満たすように形成された薄膜層は、屈曲前のガス透過率に対する屈曲後のガス透過率の増加量が、第2条件を満たさない場合と比較して少なくなる。すなわち、第2条件を満たすことにより、屈曲によるガスバリア性の低下を抑制する効果が得られる。炭素分布曲線の極値の数が2つ以上になるように薄膜層を形成すると、炭素分布曲線の極値の数が1つである場合と比較して、上記の増加量が少なくなる。また、炭素分布曲線の極値の数が3つ以上になるように薄膜層を形成すると、炭素分布曲線の極値の数が2つである場合と比較して、上記の増加量が少なくなる。炭素分布曲線が2つ以上の極値を有する場合に、第1の極値をとる位置の膜厚方向における膜表面からの距離と、第1の極値と隣接する第2の極値をとる位置の膜厚方向における膜表面からの距離との差の絶対値が、1nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましく、1nm以上100nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。
上記の第3条件は、炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である条件である。第3条件を満たすように形成された薄膜層は、屈曲前のガス透過率に対する屈曲後のガス透過率の増加量が、第3条件を満たさない場合と比較して少なくなる。すなわち、第3条件を満たすことにより、屈曲によるガスバリア性の低下を抑制する効果が得られる。炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であると上記の効果が高くなり、7at%以上であると上記の効果がさらに高くなる。
珪素分布曲線における珪素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が低くなるほど、薄膜層のガスバリア性が向上する傾向がある。このような観点で、上記の絶対値は、5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。
また、酸素炭素分布曲線において、各距離の位置での局所的な酸素原子の原子比及び炭素原子の原子比の合計を「合計原子比」としたときに、合計原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が低くなるほど、薄膜層のガスバリア性が向上する傾向がある。このような観点で、上記の合計原子比は、5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。
膜面方向において、薄膜層を実質的に一様な組成にすると、薄膜層のガスバリア性を均一にするとともに向上させることができる。実質的に一様な組成であるとは、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線において、膜表面の任意の2箇所で極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
また、珪素分布曲線、酸素分布曲線、及び炭素分布曲線において薄膜層の膜厚の90%以上の領域で、第4条件又は第5条件を択一的に満たすことが好ましい。
第4条件は、酸素の原子比が珪素の原子比よりも大きく、かつ、珪素の原子が炭素の原子比よりも大きい条件である。第4条件は、下記の式(2)で表される。
(酸素の原子比)>(珪素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(2)
第5条件は、炭素の原子比が珪素の原子比よりも大きく、かつ、珪素の原子が酸素の原子比よりも大きい条件である。第5条件は、下記の式(3)で表される。
(炭素の原子比)>(珪素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(3)
第1条件を満たすように形成された薄膜層は、一般的に有機EL素子に要求されるガスバリア性を発現することが可能である。薄膜層の膜厚のうちで第4条件又は第5条件を択一的に満たす範囲が増加するほど、薄膜層のガスバリア性が向上する傾向がある。このような観点で、薄膜層の膜厚のうちで第4条件又は第5条件を択一的に満たす範囲は、薄膜層の膜厚の95%以上であることが好ましく、薄膜層の膜厚の略100%であることがさらに好ましい。
上記の第4条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25at%以上45at%以下であることが好ましく、30at%以上40at%以下であることがより好ましい。上記の第4条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、33at%以上67at%以下であることが好ましく、45at%以上67at%以下であることがより好ましい。上記の第4条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、3at%以上33at%以下であることが好ましく、3at%以上25at%以下であることがより好ましい。
上記の第5条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25at%以上45at%以下であることが好ましく、30at%以上40at%以下であることがより好ましい。上記の第5条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、1at%以上33at%以下であることが好ましく、10at%以上27at%以下であることがより好ましい。上記の第5条件を満たす場合に、薄膜層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、33at%以上66at%以下であることが好ましく、40at%以上57at%以下であることがより好ましい。
第1態様のバリア膜は、2以上の薄膜層を有していてもよい。第1態様のバリア膜は、薄膜層の他に、構成元素の種類、各構成元素の原子の量の比率(原子比)、及び原子比の分布のうちの1以上の項目が薄膜層とは異なる薄膜層(以下、他の薄膜層という)を有していてもよい。他の薄膜層は、窒素とアルミニウムの少なくとも一方を含有していてもよい。他の薄膜層は、珪素、酸素、及び炭素に加えて、窒素とアルミニウムの少なくとも一方を含有していてもよい。他の薄膜層は、ガスバリア性を有していなくても構わない。
〈有機EL装置の製造方法〉
次に、本実施形態の有機EL装置の製造方法について説明する。以下の説明においては、有機EL装置を構成する積層フィルムの製造工程と、封止構造を形成し有機EL装置とする製造工程と、について説明を行う。
(積層フィルムの製造工程)
まず、本実施形態に係る積層フィルムの製造方法及び特性について説明する。
本実施形態の積層フィルムは、基材上にバリア膜を形成することにより製造される。本実施形態のバリア膜を基材上に形成する方法としては、例えばプラズマCVD法が挙げられる。プラズマCVD法でバリア膜を形成すれば、緻密な膜質のバリア膜を形成することができ、ガスバリア性を向上させる上で有利である。なお、プラズマ化学気相成長法は、ペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であってもよい。また、バリア膜を形成する前に、形成後のバリア膜と基材との密着性が向上するように、基材の表面を清浄するための表面活性処理を施してもよい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
図2は、積層フィルムの製造装置の一例を示す図である。
図2に示す製造装置50は、送り出しロール51、巻き取りロール52、搬送ロール53〜56、成膜ロール57、58、ガス供給管59、プラズマ発生用電源60、電極61、62、及び磁場発生装置63、64を備えている。製造装置50の構成要素のうちで少なくとも成膜ロール57、58、ガス供給管59、及び磁場発生装置63、64は、積層フィルムを製造するときに、図示略の真空チャンバー内に配置される。この真空チャンバーは、図示略の真空ポンプに接続される。真空チャンバーの内部の圧力は、真空ポンプの動作により調整される。
送り出しロール51には、フィルムFが巻き取られている。本例において、フィルムFは、基材7の母材である。製造装置50は、フィルムFにプラズマCVD法で薄膜層を形成可能である。なお、製造装置50を用いて、2層以上の薄膜層を含んだバリア膜を形成することもできる。例えば、フィルムFとして、1層の薄膜層が母材上に形成されたフィルムを用いると、母材上に2層目の薄膜層を積層することができる。以下同様に、必要な回数だけ薄膜層の積層を繰り返すことによって、複数層の薄膜層を含んだバリア膜を形成することができる。
フィルムFは、送り出しロール51から搬送ロール53を経由して、成膜ロール57へ搬送される。フィルムFは、成膜ロール57から、搬送ロール54及び搬送ロール55を経由して、成膜ロール58へ搬送される。フィルムFは、成膜ロール58から搬送ロール56を経由して巻き取りロール52へ搬送され、巻き取りロール52に巻き取られる。
成膜ロール57と成膜ロール58は、互いに対向するように配置されている。本例の成膜ロール57の軸は、成膜ロール58の軸と実質的に平行である。本例の成膜ロール57の直径は、成膜ロール58の直径と実質的に同じである。本例では、フィルムFが成膜ロール57上を搬送されているとき、及びフィルムFが成膜ロール58上を搬送されているときに、フィルムFに薄膜層が形成される。
製造装置50は、成膜ロール57と成膜ロール58とに挟まれる空間SPに、プラズマを発生可能である。プラズマ発生用電源60は、電極61及び電極62と電気的に接続されている。電極61と電極62は、空間SPを挟むように、配置されている。電極61及び電極62は、プラズマ発生用電源60と電気的に接続されている。本例では、電極61が成膜ロール57の一部であり、電極62が成膜ロール58の一部である。
製造装置50は、プラズマ発生用電源60から電極61及び電極62に供給される電力によって、プラズマを発生可能である。プラズマ発生用電源60としては、公知の電源等を適宜用いることができる。本例のプラズマ発生用電源60は、電極61及び電極62の極性を交互に反転可能な交流電源である。プラズマ発生用電源60は、効率よく成膜可能にする観点で、その印加電力が例えば100W以上10kW以下に設定され、かつ交流の周波数が例えば50Hz以上500kHz以下に設定される。
磁場発生装置63及び磁場発生装置64は、空間SPに磁場を発生可能である。磁場発生装置63及び磁場発生装置64は、成膜ロール57上での搬送方向及び成膜ロール58上での搬送方向で磁束密度が変化するように、磁場を発生させてもよい。本例の磁場発生装置63は、成膜ロール57の内部に配置されている。本例の磁場発生装置64は、成膜ロール58の内部に配置されている。本例の磁場発生装置63、64は、成膜ロール57、58の回転に伴って姿勢が変化しないように、取付けられている。
ガス供給管59は、薄膜層の形成に用いる供給ガスGを空間SPに供給可能である。供給ガスGは、薄膜層の原料ガスを含む。ガス供給管59から供給された原料ガスは、空間SPに発生するプラズマによって分解される。原料ガスの分解を経て、薄膜層の膜成分が生成される。薄膜層の膜成分は、成膜ロール57上を搬送されているフィルムF上、及び成膜ロール58上を搬送されているフィルムF上に堆積する。
原料ガスとしては、例えば珪素を含有する有機珪素化合物を用いることができる。このような有機珪素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機珪素化合物の中でも、化合物の取り扱い性及び得られる薄膜層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機珪素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、原料ガスとして、上述の有機硅素化合物の他にモノシランを含有させ、形成するバリア膜のケイ素源として使用することとしてもよい。
供給ガスGは、原料ガスの他に反応ガスを含んでいてもよい。反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
供給ガスGは、キャリアガスと放電用ガスの少なくとも一方を含んでいてもよい。キャリアガスとしては、原料ガスの真空チャンバー内への供給を促進するガスを適宜選択して用いることができる。放電用ガスとしては、空間SPでのプラズマ放電の発生を促進するガスを適宜選択して用いることができる。キャリアガス及び放電用ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
本例では、珪素−酸素系の薄膜層を製造する場合を例に挙げて説明する。本例の供給ガスGは、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機珪素化合物:HMDSO:(CHSiO:)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有している。
プラズマCVD法において、ヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有する供給ガスGを反応させると、下記の式(6)に示す反応により、二酸化珪素が生成される。
[化12]
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO …(6)
供給ガスG中の原料ガスの量に対する反応ガスの量の比率は、例えば、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために化学量論的に必要な反応ガスの量の比率(化学量論比)に対して、過剰に高くなり過ぎないように設定される。例えば、式(6)に示す反応において、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに化学量論的に必要な酸素量は12モルである。すなわち、供給ガスGがヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有している場合に、理論上は、薄膜層として均一な二酸化珪素膜が形成されることになる。実際には、供給された反応ガスの一部が反応に寄与しないことがある。そこで、原料ガスを完全に反応させるには、通常は化学量論比よりも高い比率で反応ガスを含むガスが供給される。実際に原料ガスを完全に反応させうる反応ガスの原料ガスに対するモル比(以下、実効比率という)は、実験等によって調べることができる。
例えば、プラズマCVD法でヘキサメチルジシロキサンを完全酸化するには、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍(実効比率が20)以上にする場合もある。このような観点で、供給ガスG中の原料ガスの量に対する反応ガスの量の比率は、実効比率(例えば20)未満でもよいし、化学量論比(例えば12)以下でもよく、化学量論比よりも低い値(例えば10)でもよい。また、薄膜層の透明性を確保する観点では、原料ガスの量に対する反応ガスの量の比率が0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
以上のように、原料ガスを完全に反応させる上で反応ガスが不足する条件に設定すると、完全酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子が薄膜層中に取り込まれる。これにより、薄膜層において、膜厚方向における膜表面からの距離に対する原子比の分布が所定の条件を満たすように、薄膜層を形成することができる。
例えば、製造装置50において、原料ガスの種類、供給ガスG中の原料ガスのモル量に対する反応ガスのモル量の比率、電極61、62に供給する電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ロール57、58の直径、フィルムFの搬送速度等のパラメータの1以上を適宜調整することによって所定の条件を満たすように、薄膜層を形成することができる。なお、上記のパラメータの1以上について、フィルムFが空間SPに面する成膜エリアを通過する期間内に時間的に変化させてもよいし、成膜エリア内で空間的に変化させてもよい。
上記の電極61、62に供給する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。電極61、62に供給する電力は、例えば0.1kW以上10kW以下の範囲内に設定される。電極61、62に供給する電力が0.1kW以上であれば、パーティクルの発生が抑制される。電極61、62に供給する電力が10kW以下であれば、電極61、62からフィルムFが受ける熱によってフィルムFにシワや損傷を生じることが抑制される。また、フィルムFの損傷に伴って成膜ロール57、58間に異常放電が発生することが回避され、成膜ロール57、58が異常放電によって損傷することも回避される。
上記の真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができる。真空チャンバー内の圧力は、例えば0.1Pa以上50Pa以下の範囲内に設定される。
上記のフィルムFの搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。フィルムFの搬送速度は、例えば0.1m/min以上100m/min以下の範囲内に設定されていてもよいし、0.5m/min以上20m/min以下の範囲に設定されていてもよい。搬送速度が、上記の範囲の下限以上であれば、フィルムFに熱等によって皺が発生することが抑制される。搬送速度が、上記の範囲の上限以下であれば、形成される薄膜層の膜厚を増すことが容易になる。
図3は、上記製造方法にて製造した積層フィルムについて珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を求めた一例を示す。
ここでは、図2に示した製造装置50を用い、フィルムFとして、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)(厚み:100μm、幅:350mm)を用いて製造した積層フィルムについて測定した。
積層フィルムの成膜条件は、原料ガスの供給量が、フィルムFの面積速度1mあたり、0℃、1気圧換算で285sccm、酸素ガスの供給量が、フィルムFの面積速度1mあたり、0℃、1気圧換算で2860sccm、真空チャンバー内の真空度が3Pa、プラズマ発生用電源60からの印加電力が0.8kW、プラズマ発生用電源の周波数が70kHz、フィルムFの搬送速度が0.5m/minである。得られた積層フィルムにおける薄膜層の厚みは0.3μmであった。
積層フィルムの膜表面からの各距離における原子比は、例えばXPSデプスプロファイル測定によって得られる。XPSデプスプロファイル測定では、イオンスパッタ等で試料をエッチングすることにより、エッチング前の試料表面からの各距離(深さ)における試料内部を順に露出させる。そして、露出した試料内部の各深さでの表面組成分析を、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)等によって行う。これにより、膜厚方向の膜表面からの各距離における原子比が得られる。
図3に示す結果においては、下記の測定条件でXPSデプスプロファイル測定を行った。測定に使用したX線光電子分光装置は、Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」である。測定に際して、X線光電子分光装置の照射X線は単結晶分光AlKαに設定し、X線のスポット及びそのサイズは800×400μmの楕円形に設定した。測定条件において、エッチングイオン種はアルゴン(Ar)、エッチングレートはSiO熱酸化膜換算値で0.05nm/sec、エッチング間隔はSiO換算値で10nmにそれぞれ設定した。
図3に示すグラフにおいて、縦軸は原子比であり、横軸は膜厚方向における膜表面からの距離を示す値である。XPSデプスプロファイル測定において、膜厚方向における膜表面からの距離は、エッチング速度及びエッチング時間を用いて算出可能であり、エッチング速度が実質的に一定である場合にエッチング時間に比例する。図3のグラフでは、第1横軸にエッチング時間を示し、第2横軸に膜厚方向における膜表面からの距離の算出値を示している。
図3に示すように、測定した薄膜層は、炭素分布曲線が実質的に連続であること、炭素分布曲線が複数の明確な極値を有していること、炭素分布曲線において炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが確認された。このように、測定した積層フィルムにおける薄膜層は、上述した条件を全て満たすことが確認された。
また、測定した積層フィルムに対して、屈曲させる前の水蒸気透過度、及び屈曲させた後の水蒸気透過度を測定し、積層フィルムのガスバリア性を評価した。
屈曲させる前の水蒸気透過度は、2種類の測定条件で測定した。第1の測定条件では、水蒸気透過度測定機(GTRテック社製、機種名「GTRテック−30XASC」)を用いて測定した。第1の測定条件において、測定環境の温度は40℃、積層フィルムの片面側(低湿度側)の湿度は0%RH、積層フィルムのもう片面側(高湿度側)の湿度は90%RHに設定した。第1の測定条件で水蒸気透過度は、3.1×10−4g/(m・day)であった。第2の測定条件では、水蒸気透過度測定機(Lyssy社製、機種名「Lyssy−L80−5000」)を用いて測定した。第2の測定条件において、測定環境の温度は40℃、低湿度側の湿度は10%RH、高湿度側の湿度は100%RHに設定した。第2の測定条件で水蒸気透過度は、検出限界以下の値であった。
以上のように、積層フィルムは、有機EL素子における一対の電極及び発光層への水蒸気の侵入を抑制するのに十分なガスバリア性を発現可能であることが確認された。
屈曲させた後の水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定機(Lyssy社製、機種名「Lyssy−L80−5000」)を用いて測定した。測定に際して、測定環境の温度は40℃、低湿度側の湿度は10%RH、高湿度側の湿度は100%RHに設定した。また、水蒸気透過度の測定に先立ち、金属製の棒に積層フィルムを巻き付けて1分放置した後に、積層フィルムを平らに戻して試料とした。なお、金属製の棒に積層フィルムを1回転だけ巻き付けたときの積層フィルムの曲率半径は、金属製の棒の直径の1/2とほぼ同じになる。金属製の棒に積層フィルムを複数回巻き付けたときの積層フィルムの曲率半径は、金属製の棒の径方向で外側の積層フィルムであるほど、積層フィルムの厚み及び巻き数の分だけ金属製の棒の直径の1/2よりも大きくなる。ここでは、金属製の棒に積層フィルムを複数回巻き付けたときの積層フィルムの曲率半径は、巻き付けられたフィルムの外周の直径の1/2を曲率半径とする。曲率半径8mmで屈曲後に平面に戻した状態での積層フィルムの水蒸気透過度は、検出限界以下の値であった。このように、測定した積層フィルムは、屈曲によるガスバリア性の低下が十分に抑制されていることが確認された。
(封止構造の製造工程)
次に、有機EL装置の封止構造を形成する工程について説明を行う。ここでは、いわゆるロールトゥロール方式によって、上述の積層フィルム上に有機EL素子を形成し、封止を行う製造装置について、主として封止を行う工程について説明する。
図4は、有機EL装置の封止を行う製造装置70を示す説明図である。図に示すように、製造装置70は、ロール状に巻き取られた長尺の積層フィルムFaを送り出す送り出しロール71と、同様にロール状に巻き取られた長尺の積層フィルムFbを送り出す送り出しロール72と、積層フィルムFa,Fbを搬送する搬送ロール73a,73bと、積層フィルムFa,Fbをまとめて巻き取る巻取りロール74と、を有する。積層フィルムFa,Fbは、互いに上述のバリア膜が対向するようにして搬送される。
また、積層フィルムFa,Fbの搬送経路内には、上流側から下流側に向けて順に、成膜装置75,塗布装置76,押圧ロール77,硬化装置78,切削装置79が設けられている。
成膜装置75は、積層フィルムFaの搬送過程において、積層フィルムFaのバリア膜側の面に有機EL素子の素子構造を形成する。成膜装置75としては、通常知られた蒸着装置や、塗布装置などを採用することができる。また、成膜装置75を製造装置70とは別体に設け、製造装置70では有機EL素子が形成された積層フィルムFaの封止のみ行うこととしてもよい。
塗布装置76は、成膜装置75の下流側において積層フィルムFaの有機EL素子形成側(バリア膜側)の面に、上述の封止材の前駆体20aを塗布する塗布装置76aと、積層フィルムFbのバリア膜側の面に前駆体20aを塗布する塗布装置76bと、を有している。前駆体20aは、例えば、上述の封止材を構成するバインダーである硬化性樹脂の前駆体と、バインダー中に分散する液晶性樹脂、無機フィラー、反応開始剤などとの混合物である。
塗布装置76a,76bは、積層フィルムFa上に形成された有機EL素子の周囲に、最終的に独立した1つの有機EL装置となる構成単位毎に囲むように、前駆体20aを塗布する。例えば、塗布装置76aによって積層フィルムFaの幅方向の両端において、積層フィルムFaの長手方向に延在するように前駆体20aを塗布する。また、塗布装置76bによって、積層フィルムFbの幅方向に延在して、隣り合う構成単位の間の領域に前駆体20aを塗布する。
塗布装置76としては、通常知られた構成の装置を採用することができ、例えば、ディスペンサー、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、スリットコーターなどの装置を挙げることができる。
押圧ロール77は、積層フィルムFaに対し有機EL素子を形成した面とは反対側の面に接する押圧ロール77aと、積層フィルムFbに対し有機EL素子に面する面とは反対側の面に接する押圧ロール77bと、を有している。押圧ロール77a,77bの間隙を積層フィルムFa,Fbが通過する際に、押圧ロール77a,77bは前駆体20aを押し延ばし、積層フィルムFa,Fbを密着させる。
硬化装置78は、前駆体20aに硬化反応を生じさせる装置であり、積層フィルムFa側に設けられた硬化装置78aと、積層フィルムFb側に設けられた硬化装置78bと、を有している。前駆体20aを硬化させることにより、上述の封止材が得られる。封止材は、積層フィルムFa,Fbを貼り合わせると共に、有機EL素子への水蒸気および酸素ガスの侵入を防止する。
前駆体20aのバインダーが熱硬化性樹脂である場合、硬化装置78は、積層フィルムFa,Fbを加熱する加熱機構を有し、硬化反応を生じさせる。また、前駆体20aのバインダーが光硬化性樹脂である場合、硬化装置78は、官能基の吸収波長を含む光を積層フィルムFa,Fbに向けて照射する光照射機構を有し、硬化反応を生じさせる。光硬化性樹脂である場合であっても、硬化装置78が加熱機構を有することとし、光硬化反応後に加熱を行って、硬化反応を完結させる構成としてもよい。
切削装置79は、積層フィルムFa,Fbの端部からはみ出た封止材を切削除去する装置である。これにより、巻き取りロール74で巻き取りやすくなり、美観も向上する。
以上のようにして製造し、巻き取りロール74に巻き取られた複数の有機EL装置を、別途、構成単位毎に切削して切り離すことにより、本実施形態で電子デバイスの例として挙げた有機EL装置を製造する。
以上のような構成の有機EL装置によって例示した電子デバイスによれば、高いガスバリア性を有する積層フィルムとともに、高いガスバリア性を示す液晶性樹脂を含む封止材を用いて封止構造を構成しているため、高い封止性能を実現し、封止構造で封止される素子構造の性能の低下が少なく信頼性が高い電子デバイスとすることができる。
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスである液晶表示装置の側断面図である。図に示す液晶表示装置100は、第1基板102、第2基板103、及び液晶層104を備えている。第1基板102は、第2基板103に対向して配置されている。液晶層104は、第1基板102と第2基板103との間に配置されている。液晶表示装置100は、例えば、第1基板102と第2基板103とを封止材130を用いて貼り合せるとともに、第1基板102と第2基板103と封止材130とで囲まれた空間に液晶層104を封入することによって製造される。以下の説明では、液晶層104の厚み方向において、液晶層104に近づく側を内側と称し、液晶層104から離れる方向を外側と称することがある。
液晶表示装置100は、複数の画素を有している。複数の画素は、マトリックス状に配列されている。本実施形態の液晶表示装置100は、フルカラーの画像を表示可能である。液晶表示装置100の各画素は、サブ画素Pr、サブ画素Pg、及びサブ画素Pbを含んでいる。サブ画素の間は、遮光領域BMになっている。3種のサブ画素は、画像信号に応じた階調の互いに異なる色光を、画像の表示側に射出する。本実施形態では、サブ画素Prから赤色光が射出され、サブ画素Pgから緑色光が射出され、サブ画素Pbから青色光が射出される。3種のサブ画素から射出された3色の色光が混じり合って視認されることによって、フルカラーの1画素が表示される。
第1基板102は、積層フィルム(第1の基板)105、素子層106、複数の画素電極107、配向膜108、及び偏光板109を備えている。画素電極107は、後述する共通電極114と一対の電極をなしている。積層フィルム105は、基材110及びバリア膜111を備えている。基材110は、薄板状又はフィルム状である。バリア膜111は、基材110の片面に形成されている。素子層106は、バリア膜111が形成された基材110の上に積層されて形成されている。複数の画素電極107は、素子層106の上に、液晶表示装置100のサブ画素ごとに独立して設けられている。配向膜108は、複数のサブ画素にわたって、画素電極107の上に間に設けられている。
第2基板103は、積層フィルム(第2の基板)112、カラーフィルター113、共通電極114、配向膜115、及び偏光板116を供えている。積層フィルム112は、基材117及びバリア膜118を備えている。基材117は、薄板状又はフィルム状である。バリア膜118は、基材117の片面に形成されている。カラーフィルター113は、バリア膜111が形成された基材110の上に積層されて形成されている。共通電極114は、カラーフィルター113の上に設けられている。配向膜115は、共通電極114の上に設けられている。
第1基板102と第2基板103は、画素電極107と共通電極114とが向き合うように対向して配置されて液晶層104を挟んだ状態で、互いに貼り合わされている。画素電極107、共通電極114,液晶層104は液晶表示素子(機能性素子)を形成している。
次に、液晶表示装置100の各構成要素について説明する。
素子層106は、その詳細な構造の図示を省略するが、層間絶縁膜等を介して形成されたスイッチング素子及び各種配線を含んでいる。スイッチング素子や各種配線は、遮光領域BMに配置されている。素子層106のスイッチング素子は、サブ画素ごとに設けられている。素子層106のスイッチング素子は、画素電極107と電気的に接続されている。素子層106のスイッチング素子は、画素電極107への電圧(画像信号)の印加をスイッチングする。素子層106の各種配線は、例えば走査線やデータ線、容量線である。素子層106の各種配線は、スイッチング素子の制御や画像信号の供給などを行うドライバー等と電気的に接続されている。
画素電極107に電圧が印加されると、この画素電極107に対応するサブ画素において、画素電極107と共通電極114との間の液晶層104に電界が印加される。画素電極107と共通電極114は、それぞれ、公知の導電材料から選択される材料で形成可能である。画素電極107と共通電極114とのうちで、液晶層104に対して表示側と同じ側に配置される電極は、透光性を有する透明材料で形成される。
本発明は、透過型、反射型、半透過反反射の液晶表示素子のいずれにも、適用可能である。透過型の液晶表示素子において、液晶層104に対して表示側と反対側に配置される電極は、透明材料で形成される。透過型の液晶表示素子である場合には、液晶層104に対して表示側と反対側に配置される電極の外側に、必要に応じてバックライト等の光源が配置される。
反射型の液晶表示素子において、液晶層104に対して表示側と反対側に配置される電極は、光を反射する反射材料で形成される。反射型の液晶表示素子において、液晶層104に対して表示側と反対側に配置される電極が透明材料で形成され、この電極の外側に反射膜が設けられることもある。
半透過半反射型の液晶表示素子は、透過領域と反射領域を有している。透過領域は、透過型の液晶表示素子と同様の構造をとりえる。反射領域は、反射型の液晶表示素子と同様の構造をとりえる。
上記の透明材料としては、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物、スズ酸化物等が挙げられる。画素電極107として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。本例の画素電極107は、積層フィルム105を基材(基板)として、積層フィルム105の上に形成されている。画素電極107の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。上記の反射材料としては、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
液晶層104は、複屈折性を発現しうる液晶材料で構成されている。液晶層104に電界が印加されていないときの液晶層104における液晶分子のディレクタ方向は、配向膜108及び配向膜115に規制されている。配向膜108及び配向膜115としては、斜方蒸着法等で形成された酸化シリコン膜等からなる無機配向膜や、ポリイミド等からなる樹脂膜にラビング処理等の配向処理を施した有機配向膜、無機配向膜にシランカップリング剤等を作用させた配向膜等を用いることができる。
液晶層104に電界が印加されると、液晶分子のディレクタ方向が変化して、液晶層104の複屈折性が変化する。本実施形態の液晶層104は、例えば誘電異方性が負の液晶材料からなるVAモードの液晶層である。液晶層104は、TNモードの液晶層であってもよい。液晶層の駆動方法は、縦電界方式でもよいし、横電界方式でもよい。
本実施形態のカラーフィルター113は、赤色光を通す赤色部119、緑色光を通す緑色部120、青色光を通す青色部121、及び可視光を遮光する遮光部122を有している。赤色部119はサブ画素Prに配置され、緑色部120はサブ画素Pgに配置されている。青色部121はサブ画素Pbに配置され、遮光部122は遮光領域BMに配置されている。
カラーフィルター113は、積層フィルム112の外側に設けられていてもよい。カラーフィルター113は、有機材料から形成されることが多く、カラーフィルター113から有機材料の分解によるガスが発生することがありえる。積層フィルム112が、カラーフィルター113と液晶層104との間に配置されていれば、カラーフィルター113で発生したガスが液晶層104へ侵入しにくくなる。
偏光板109及び偏光板116は、直線偏光を通す特性を有している。偏光板109及び偏光板116のそれぞれの透過軸の方向は、液晶層104の特性や動作モードに応じて設定される。例えば、VAモードの液晶層104は、電圧が印加されていない状態(以下、電圧非印加状態という)でほとんど複屈折性を発現しない。すなわち、電圧非印加状態で液晶層104に入射した光は、偏光状態がほとんど変化せずに液晶層104から射出される。電圧非印加状態で暗表示となる動作モード(ノーマリーブラック)を採用する場合には、偏光板109の透過軸が偏光板116の透過軸と直交するように、偏光板109及び偏光板116が設定される。
積層フィルム105、112は、基材の片面にバリア膜を形成したものである。このバリア膜は、水蒸気及び酸素ガスに対してガスバリア性を有している。積層フィルム105は、バリア膜111を液晶層104に向けて配置されている。積層フィルム112は、バリア膜118を液晶層104に向けて配置されている。積層フィルム105は、その構造や特性が積層フィルム112と同様である。すなわち、基材110は、その構造や特性が基材117と同様である。また、バリア膜111は、その構造や特性がバリア膜118と同様である。
なお、基材110と基材117とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。また、バリア膜111とバリア膜118とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。積層フィルム105と積層フィルム112の少なくとも一方について、その両面にバリア膜が設けられていてもよい。積層フィルムの両面にガスバリア性を有するバリア膜を設けることにより、ガスバリア性を高めることができる。
積層フィルム105,積層フィルム112には、第1実施形態の積層フィルム5,6と同じものを採用することができる。また、第1実施形態の積層フィルム11,12と同じものを採用することも可能である。
封止材130は、第1実施形態の封止材20と同じく、バインダーである硬化性樹脂の中に液晶性樹脂や無機フィラーが分散した組成物を採用することができる。また、封止材130の中には、第1基板102と第2基板103との離間距離を一定に保つ機能を備えた不図示の球状のスペーサを含んでいる。
本実施形態の液晶表示装置100は、以上のように構成されている。
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスである電気泳動表示装置の側断面図である。図に示す電気泳動表示装置200は、第1基板202、第2基板203、及び電気泳動層204を備えている。第1基板202は、第2基板203に対向して配置されている。電気泳動層204は、第1基板202と第2基板203との間に配置されている。電気泳動表示装置200は、例えば、第1基板202と第2基板203のうちの一方の基板の上に電気泳動層204を形成した後に、電気泳動層204の周囲を取り囲むように封止材230を配置し、封止材230により電気泳動層204の上に他方の基板を貼り合せることによって、製造される。
第1基板202は、積層フィルム(第1の基板)205、素子層206、及び複数の画素電極207を備えている。画素電極207は、後述する共通電極215と一対の電極をなしている。積層フィルム205は、基材208及びバリア膜209を備えている。基材208は、薄板状又はフィルム状である。バリア膜209は、基材208の片面に形成されている。素子層206は、基材208の上に形成されたバリア膜209の上に積層されている。複数の画素電極207は、素子層206の上に形成されている。
電気泳動層204は、複数のマイクロカプセル210を有している。複数のマイクロカプセル210は、第1基板202から第2基板203へ向かう方向の交差方向に並んでいる。マイクロカプセル210は、分散媒211、電気泳動粒子212、及び電気泳動粒子213を内包している。
第2基板203は、積層フィルム(第2の基板)214、及び共通電極215を備えている。積層フィルム214は、基材216及びバリア膜217を備えている。基材216は、薄板状又はフィルム状である。バリア膜217は、基材216の片面に形成されている。共通電極215は、基材216に形成されたバリア膜217の上に積層されている。
第1基板202と第2基板203は、画素電極207と共通電極215とが向き合うように対向して配置されて電気泳動層204を挟んだ状態で、互いに貼り合わされている。電気泳動層204は、第1基板202と第2基板203との間に気密に封止されている。画素電極207、共通電極215,電気泳動層204は電気泳動表示素子(機能性素子)を形成している。
電気泳動表示装置200は、概略すると以下のように動作する。電気泳動表示装置200は、複数の画素を有している。電気泳動表示装置200は、画素電極207と共通電極215との間に画素ごとに独立して、画像信号に応じた電界を印加可能である。各画素において、電気泳動粒子212は、印加された電界に応じて、画素電極207側又は共通電極215側に偏在するようにマイクロカプセル210の内部を電気泳動する。電気泳動粒子213は、印加された電界に応じて、電気泳動粒子212とは反対側に偏るように電気泳動する。電気泳動表示装置200の表示側に電気泳動粒子212、213のいずれを偏在させるかによって、画素ごとに明表示と暗表示とを切替えることが可能である。このように、電気泳動表示装置200は、画素ごとに画像信号に応じた表示を行うことが可能である。
次に、電気泳動表示装置200の各構成要素について説明する。
画素電極207は、電気泳動表示装置200の画素ごとに独立して設けられている。共通電極215は、電気泳動表示装置200の複数の画素にまたがって設けられている。画素電極207と共通電極215は、それぞれ、公知の導電材料から選択される材料で形成可能である。画素電極207と共通電極215とのうちで、電気泳動層204に対して表示側と同じ側に配置される電極は、透光性を有する材料で形成される。画素電極207と共通電極215とのうちで、電気泳動層204に対して表示側と反対側に配置される電極は、透光性を有する材料で形成されていてもよいし、反射や吸収により光を遮光する遮光性の材料で形成されていてもよい。本実施形態では、電気泳動層204に対して画素電極207と同じ側が表示側であるとする。
上記の透光性を有する材料としては、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物、スズ酸化物等が挙げられる。画素電極207として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。本例の画素電極207は、積層フィルム205を基材(基板)として、積層フィルム205の上に形成されている。画素電極207の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。上記の遮光性の材料としては、金、銀、クロム、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
素子層206は、その詳細な構造の図示を省略するが、層間絶縁膜等を介して形成されたスイッチング素子及び各種配線を含んでいる。素子層206のスイッチング素子は、画素ごとに設けられている。素子層206のスイッチング素子は、画素電極207と電気的に接続されている。素子層206のスイッチング素子は、画素電極207への電圧(画像信号)の印加をスイッチングする。素子層206のスイッチング素子は、上記の各種配線と電気的に接続されている。素子層206の各種配線は、スイッチング素子の制御や画像信号の供給などを行うドライバー等と電気的に接続されている。
電気泳動層204は、例えば、第1基板202の上に多数のマイクロカプセル210を含んだ液状体(インク)をスクリーン印刷などで印刷することによって、形成可能である。電気泳動表示装置200において、第1基板202と第2基板203との間のマイクロカプセル210の周辺は、実際にはバインダー等で満たされているが、図1ではバインダーの図示を省略している。
マイクロカプセル210は、電気泳動粒子212及び電気泳動粒子213を分散媒211に分散させた分散液を、カプセル内に封入したものである。電気泳動粒子212、213は、分散媒中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)である。電気泳動粒子212は、可視光に対する反射率又は吸収率が電気泳動粒子213と異なっている。本実施形態では、電気泳動粒子212が黒色粒子であり、電気泳動粒子213が白色粒子である。また、電気泳動粒子212と電気泳動粒子213の一方の粒子は正に帯電しており、他方の粒子は負に帯電している。
電気泳動粒子212及び電気泳動粒子213は、顔料の粒子であってもよいし、コア材の外側に樹脂などの被膜を設けた粒子であってもよい。分散媒211の種類と、電気泳動粒子212,213の種類との組み合わせには特に限定はない。分散媒211の種類や電気泳動粒子212,213の種類については、重力による電気泳動粒子212,213の偏在を抑制する等の観点で、分散媒211の比重と、電気泳動粒子212,213の比重とを考慮して選択することができる。
分散媒211としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
積層フィルム205、214は、基材の片面にバリア膜を形成したものである。このバリア膜は、水蒸気及び酸素ガスに対してガスバリア性を有している。積層フィルム205は、バリア膜209を電気泳動層204に向けて配置されている。積層フィルム214は、バリア膜217を電気泳動層204に向けて配置されている。積層フィルム205は、その構造や特性が積層フィルム214と同様である。すなわち、基材208は、その構造や特性が基材216と同様である。また、バリア膜209は、その構造や特性がバリア膜217と同様である。
なお、基材208と基材216とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。また、バリア膜209とバリア膜217とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。積層フィルム205と積層フィルム214の少なくとも一方について、その両面にバリア膜が設けられていてもよい。積層フィルムの両面にガスバリア性を有するバリア膜を設けることにより、ガスバリア性を高めることができる。
積層フィルム205,積層フィルム214には、第1実施形態の積層フィルム5,6と同じものを採用することができる。また、第1実施形態の積層フィルム11,12と同じものを採用することも可能である。
封止材230は、第1実施形態の封止材20と同じく、バインダーである硬化性樹脂の中に液晶性樹脂や無機フィラーが分散した組成物を採用することができる。また、封止材230の中には、第1基板202と第2基板203との離間距離を一定に保つ機能を備えた不図示の球状のスペーサを含んでいる。
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係る電子デバイスである電池セルの説明図であり、図7(a)は本発明に係る電池セルの構成例を示す模式図、図7(b)は図7(a)のA−A’線断面図である。
本実施形態に係る電池セルは、繰り返し充放電が可能な二次電池である。本実施形態に係る電池セルは、携帯電話等の携帯機器や自動車等の移動機器等の各種装置における電力供給源として、また発電装置の電力バッファ等として利用可能である。ここでは、本発明をフィルム型のリチウムイオン二次電池に適用した例を説明する。本発明は、リチウムイオン二次電池以外にナトリウム二次電池等の各種二次電池や、各種一次電池等にも適用可能である。
図7(a)及び図7(b)に示す電池セル300は、電極体(電池素子、機能性素子)302、集電体303、集電体304、積層フィルム(第1の基板)305、積層フィルム(第2の基板)306、及び封止材307を備えている。電極体302は、一対の電極(正極活物質層308及び負極活物質層309)及び電解質層310を備えている。積層フィルム305は、基材311及びバリア膜312を備えている。積層フィルム306は、基材313及びバリア膜314を備えている。
本実施形態の電極体302は、薄板状又はフィルム状の積層体である。電極体302の一面側に積層フィルム305が配置されており、電極体302の他面側に積層フィルム306が配置されている。集電体303は、電極体302と積層フィルム305との間に配置されている。集電体304は、電極体302と積層フィルム306との間に配置されている。封止材307は、積層フィルム305と積層フィルム306との間で電極体302の外周を環状に囲むように、配置されている。電極体302は、積層フィルム305と積層フィルム306と封止材307とに囲まれる空間に、気密に封止されている。
電極体302において、正極活物質層308と負極活物質層309は、互いに直接接触しないように離間して配置されている。電解質層310は、正極活物質層308と負極活物質層309との間に配置されている。正極活物質層308は、集電体303と接触しており、集電体303と電気的に接続されている。負極活物質層309、集電体304と接触しており、集電体304と電気的に接続されている。
積層フィルム305は、フィルム状の基材311上にバリア膜312が形成された構造になっている。積層フィルム305は、バリア膜312が形成された面を電極体302に向けて、配置されている。積層フィルム306は、フィルム状の基材313上にバリア膜314が形成された構造になっている。積層フィルム306は、バリア膜314が形成された面を電極体302に向けて、配置されている。
電池セル300は、概略すると以下のように動作する。電池セル300の充電時に、集電体304から負極活物質層309に電子が供給されるとともに、電解質層310から負極活物質層309中にリチウムイオンが取り込まれる。また、電池セル300の充電時に、正極活物質層308から電解質層310中にリチウムイオンが放出されるとともに、正極活物質層308から集電体303へ電子が放出される。電池セル300の放電時に、負極活物質層309から電解質層310中にリチウムイオンが放出されるとともに、負極活物質層309から集電体304へ電子が放出される。また、電池セル300の放電時に、集電体303から正極活物質層308に電子が供給されるとともに、電解質層310から正極活物質層308中にリチウムイオンが取り込まれる。
次に、電池セル300の各構成要素について、詳しく説明する。
集電体303、304は、例えば金属薄板や金属箔等である。集電体303は、積層フィルム305のバリア膜312の上に形成されている。集電体304は、積層フィルム306のバリア膜314の上に形成されている。集電体303の材質は、集電体304の材質と同じでもよいし、異なっていてもよい。集電体303、4の形成材料としては、例えば金、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属材料が挙げられる。
正極活物質層308は、積層フィルム305の上に形成された集電体303の上に積層されて形成されている。正極活物質層308は、負極活物質層309よりも高い電位でリチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能であればよい。正極活物質層308は、正極活物質及びバインダーを含有する正極合剤で形成される。正極合剤としては、導電剤を含有していてもよい。
正極活物質としては、V、Mn、Fe、Co、Ni、CrおよびTiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属とリチウムを含む塩、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケル酸リチウムのニッケルの一部がMn、Co等の他元素と置換されたリチウム複合金属酸化物、上記の遷移金属とリチウムを含むフッ素化合物、上記の遷移金属とリチウムを含むリン酸塩等が挙げられる。上記のリン酸塩の具体例として、リン酸鉄リチウム等が挙げられる。また、正極活物質として、リチウムマンガンスピネルなどのスピネル型構造を有するリチウム複合金属酸化物を用いることもできる。
バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。バインダーの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用いてもよい。例えば、正極活物質100重量部に対し、フッ素樹脂が1〜10重量部、ポリオレフィン樹脂の割合が0.1重量部〜2重量部となるように含有させることによって、集電体303との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。正極合剤は、ビニルピロリドンなどの凝集抑制剤を含有していてもよい。
導電剤としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素材料(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)等が挙げられる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、正極合剤に少量を添加することにより電極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができる。通常、正極合剤中の導電剤の割合は、正極活物質100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である。導電剤として上述のような繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
正極活物質層308は、集電体303に正極合剤を担持させることによって、形成される。具体的には、集電体303上に正極合剤を加圧成型する方法や、有機溶媒などを用いてペースト化した正極合剤を集電体上に塗布した後に、乾燥後にプレスすること等により固着する方法が挙げられる。正極合剤をペースト化する場合には、例えば正極活物質、導電剤、バインダー、及び有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。
負極活物質層309は、積層フィルム305の上に形成された集電体303の上に積層されて形成されている。負極活物質層309は、グラファイト等の負極活物質を含有する負極合剤で形成される。負極合剤は、バインダーや導電剤を含んでいてもよい。負極合剤に使用するバインダーとしては、フッ素化合物の重合体、フッ素原子を含まずエチレン性二重結合を含む単量体の付加重合体、多糖類及びその誘導体等が挙げられる。
電解質層310は、電解成分(ここではリチウムイオン)を含有する材料からなる。電解質層310は、電解液であってもよいし、固体電解質であってもよい。電解質層310として電解液を用いる場合に、正極活物質層308と負極活物質層309とが互いに直接接触しないように、正極活物質層308と負極活物質層309との間にセパレータが配置されることが多い。
電解液は、電解質を含有する有機溶媒からなる。電解質としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(COCF)、Li(CSO)、LiC(SOCF、Li10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateを示す)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。本実施形態では、電解質として、フッ素を含むLiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCFおよびLiC(SOCFからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる。
電解液の有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したもの、あるいは上記の有機溶媒の二種以上を混合した混合物を用いることができる。
電解液の有機溶媒としては、カーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、安全管理の容易性という観点で、LiPF等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
上記のセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、上記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、上記の材料が積層されていてもよい。
上記の固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLiS−SiS、LiS−GeS、LiS−P、LiS−B、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiSOなどの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。
積層フィルム305、306は、基材の片面にバリア膜を形成したものである。このバリア膜は、水蒸気及び酸素ガスに対してガスバリア性を有している。積層フィルム305は、バリア膜312を内側に向けて配置されている。積層フィルム306は、バリア膜314を内側に向けて配置されている。積層フィルム306は、負極活物質層309の外側に接着剤等によって貼設されている。積層フィルム305は、その構造や特性が積層フィルム306と同様である。すなわち、基材311は、その構造や特性が基材313と同様である。また、バリア膜312は、その構造や特性がバリア膜314と同様である。
なお、基材311と基材313とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。また、バリア膜312とバリア膜314とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。積層フィルム305と積層フィルム306の少なくとも一方について、その両面にバリア膜が設けられていてもよい。積層フィルムの両面にガスバリア性を有するバリア膜を設けることにより、ガスバリア性を高めることができる。
積層フィルム305,積層フィルム306には、第1実施形態の積層フィルム5,6と同じものを採用することができる。また、第1実施形態の積層フィルム11,12と同じものを採用することも可能である。
封止材307は、第1実施形態の封止材20と同じく、バインダーである硬化性樹脂の中に液晶性樹脂や無機フィラーが分散した組成物を採用することができる。
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態に係る電子デバイスである光電変換装置の側断面図である。本実施形態の光電変換装置は、光検出センサーや太陽電池等のように、光エネルギーを電気エネルギーに変換する各種デバイス等に利用可能である。
図に示す光電変換装置400は、一対の電極(第1電極402及び第2電極403)、光電変換層404、積層フィルム(第1の基板)405、及び積層フィルム(第2の基板)406を備えている。積層フィルム405は、基材407及びバリア膜408を備えている。積層フィルム406は、基材409及びバリア膜410を備えている。光電変換層404は、第1電極402と第2電極403との間に配置されており、第1電極402、第2電極403,光電変換層404は光電変換素子(機能性素子)を形成している。
積層フィルム405は、第1電極402に対して光電変換層404の反対側に配置されている。積層フィルム406は、第2電極403に対して光電変換層404の反対側に配置されている。以下の説明では、光電変換層404の厚み方向で光電変換層404に近づく側を内側と称し、光電変換層404から離れる側を外側と称することがある。
光電変換装置400は、第1電極402が透明電極であり、第2電極403が反射電極である。本例の光電変換装置400において、第1電極402を通って光電変換層404へ入射した光の光エネルギーは、光電変換層404で電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーは、第1電極402及び第2電極403を介して、光電変換装置400の外部に取出される。光電変換装置400の外部から光電変換層404へ入射する光の光路に配置される各構成要素は、少なくとも光路に相当する部分が透光性を有するように、材質等が適宜選択される。光電変換層404からの光の光路以外に配置される構成要素については、透光性の材質でもよいし、この光の一部又は全部を遮る材質でもよい。
第1電極402は、例えば、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物、スズ酸化物等の透光性を有する導電材料で形成される。第1電極402として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。本例の第1電極402は、積層フィルム405を基材(基板)として、形成されている。第1電極402の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
第2電極403は、第1電極402よりも仕事関数が小さい材料で形成されている。第2電極403は、光を反射する材料、例えばアルミニウムで形成される。光電変換装置400において、第1電極402から光電変換層404を通って第2電極403へ向かう光は、第2電極403で反射して光電変換層404に再度入射する。
光電変換装置400を、画像を画像信号に変換するイメージセンサー等の光検出センサーとして利用する場合には、例えば第1電極402が画素電極として形成される。この画素電極は、画素又はサブ画素ごとに設けられる。画素電極は、画素電極からの電荷の読み出しをスイッチングするスイッチング素子と電気的に接続される。スイッチング素子は、層間絶縁膜や各種配線等を含んだ素子層に形成される。素子層は、例えば第1電極402と積層フィルム405との間に配置される。素子層は、積層フィルムを基板として形成されていてもよい。素子層に形成された各種配線は、スイッチング素子のオンオフの制御等を行うドライバーと電気的に接続される。
光電変換層404は、電子供与性化合物及び電子受容性化合物を含んでいる。光電変換層404に光が入射すると、その光エネルギーが電子供与性化合物及び電子受容性化合物の少なくとも一方に吸収され、電子と正孔とが結合した励起子が光電変換層404に発生する。光電変換層404に発生した励起子は、光電変換層404中で電子供与性化合物と電子受容性化合物とが隣接するヘテロ接合界面に達すると、電子とホールとに分離する。分離したホールが第1電極402へ移動し、分離した電子が第2電極403へ移動することによって、光電変換装置400の外部へ電気エネルギー(電流)を取り出すことができる。
上記の電子供与性化合物としては、公知のものが使用でき、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等を併用してもよい。
上記の電子受容性化合物としては、公知のものが使用でき、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。ヘテロ接合面において励起子から電荷へ分離しやすさ、分離した電子の輸送性の観点から、フラーレン(例えば、C60等)及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、フラーレン誘導体であることがより好ましい。フラーレン誘導体としても、ジクロロベンゼン(即ち、ハロゲン系有機溶媒)90重量部に対して10重量部以上溶解するもの(例えば、PCBM(Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、PCBIB(Phenyl C61-butyric acid i-butyl ester)等)、又はキシレン(即ち、炭化水素系有機溶媒)90重量部に対して10重量部以上溶解するもの(例えば、PCBNB(Phenyl C61-butyric acid n-butyl ester)等)が特に好ましい。
なお、第2電極403と光電変換層404との間に、第2電極403と光電変換層404とを隔離するバッファ層が設けられることがある。バッファ層の形成材料として、例えばフッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物等を用いることができる。また、バッファ層の形成材料として、酸化チタン等無機半導体の微粒子を用いることもできる。バッファ層は、電荷輸送層としての役割を兼ねていてもよい。電荷輸送層は、一方の電荷(例えば電子)は輸送するが、他方の電荷(例えばホール)は輸送しにくい材料で形成される。電荷輸送層の材料として、例えば、CBP(4,4-di(N-carbazole)biphenyl)等のアリールアミン誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体、C60等のフラーレン誘導体等が好ましく用いられ、フェナントレン誘導体、フラーレン誘導体がより好ましく、フェナントレン誘導体がさらに好ましく、バソクプロインが特に好ましい。
積層フィルム405、406は、基材の片面にバリア膜を形成したものである。このバリア膜は、水蒸気及び酸素ガスに対してガスバリア性を有している。積層フィルム405は、バリア膜408を内側に向けて配置されている。積層フィルム406は、バリア膜410を内側に向けて配置されている。積層フィルム406は、第2電極403の外側に接着剤等によって貼設されている。積層フィルム405は、その構造や特性が積層フィルム406と同様である。すなわち、基材407は、その構造や特性が基材409と同様である。また、バリア膜408は、その構造や特性がバリア膜410と同様である。
なお、基材407と基材409とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。また、バリア膜408とバリア膜410とで厚みが同じでもよいし、異なっていてもよい。バリア膜408、410、414の少なくとも一方が、1以上の薄膜層を含んでおり、この薄膜層が後述の所定の条件を満たすように形成されていればよい。
積層フィルム405,積層フィルム406には、第1実施形態の積層フィルム5,6と同じものを採用することができる。また、第1実施形態の積層フィルム11,12と同じものを採用することも可能である。
封止材420は、第1実施形態の封止材20と同じく、バインダーである硬化性樹脂の中に液晶性樹脂や無機フィラーが分散した組成物を採用することができる。
以上のような第2実施形態から第5実施形態によって例示した電子デバイスであっても、高いガスバリア性を有する積層フィルムとともに、高いガスバリア性を示す液晶性樹脂を含む封止材を用いて封止構造を構成しているため、高い封止性能を実現し、封止構造で封止される素子構造の性能の低下が少なく信頼性が高い電子デバイスとすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1A,1B,1C…有機EL装置(電子デバイス)、2…第1電極(一対の電極)、3…第2電極(一対の電極)、4…発光層、5…積層フィルム(第1の基板)、6…積層フィルム(第2の基板)、20,130,230,307,420…封止材、100…液晶表示装置(電子デバイス)、104…液晶層、107…画素電極(一対の電極)、114…共通電極(一対の電極)、200…電気泳動表示装置(電子デバイス)、204…電気泳動層、207…画素電極(一対の電極)、215…共通電極(一対の電極)、212,213…電気泳動粒子、300…電池セル(電子デバイス)、308…正極活物質層(一対の電極)、309…負極活物質層(一対の電極)、310…電解質層、400…光電変換装置(電子デバイス)、402…第1電極(一対の電極)、403…第2電極(一対の電極)、404…光電変換層

Claims (11)

  1. 第1の基板上に設けられた機能性素子と、
    前記第1の基板の前記機能性素子が形成された面に対向する第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間であって、前記機能性素子の周囲に少なくとも配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる封止材と、を有し、
    前記第1の基板および前記第2の基板の少なくとも一方は、基材と、前記基材の少なくとも片方の表面上に形成された少なくとも1層の薄膜層とを備える積層フィルムであり、
    前記薄膜層のうちの少なくとも1層が珪素、酸素及び炭素を含有しており、且つ、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、下記条件(i)〜(iii):
    (i)炭素分布曲線が実質的に連続であること、
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
    を全て満たし、
    前記封止材は、液晶性樹脂を含む組成物であることを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記組成物が、無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記薄膜層は、前記基板において前記機能性素子に面する側の面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス。
  4. 前記第1の基板および前記第2の基板の両方が、前記積層フィルムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  5. 前記積層フィルムは、前記基材の両面に前記薄膜層が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  6. 前記基材の形成材料が、ポリエステル、ポリオレフィンの中から1種以上選ばれる樹脂材料を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  7. 前記機能性素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  8. 前記機能性素子が、液晶表示素子を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  9. 前記機能性素子が、電気泳動表示素子を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  10. 前記機能性素子が、電池素子を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
  11. 前記機能性素子が、光を受光して発電する光電変換素子を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
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