以下、図面を参照して、この発明にかかる被検体内導入装置、被検体内導入システム、および被検体内観察方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムの一構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、被検体100の内部に導入して被検体100の消化管内の画像を撮像するカプセル型内視鏡1と、カプセル型内視鏡1を浮揚させる液体2aを被検体100の内部に導入する供給器2と、液体2a中に浮揚するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御するための永久磁石3と、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をモニタに表示するワークステーション4とを有する。
カプセル型内視鏡1は、被検体100内を撮像する撮像機能と、撮像した画像等の各種情報をワークステーション4に送信する無線通信機能とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、被検体100に導入し易い大きさに形成され、液体2aの比重と同程度またはそれ未満の比重を有する。このようなカプセル型内視鏡1は、被検体100に飲み込まれた場合、被検体100の蠕動運動等によって消化管内を移動するとともに、所定の間隔、例えば0.5秒間隔で消化管内の画像を逐次撮像する。また、カプセル型内視鏡1は、このように撮像した消化管内の画像をワークステーション4に送信する。
供給器2は、カプセル型内視鏡1を浮揚させる液体2aを被検体100の内部に供給するためのものである。具体的には、供給器2は、例えば水または生理食塩水等の所望の液体2aを内包し、被検体100の口から体内に液体2aを供給する。かかる供給器2によって供給された液体2aは、例えば被検体100の胃に導入され、この胃内部においてカプセル型内視鏡1を浮揚する。
永久磁石3は、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する制御手段として機能する。具体的には、永久磁石3は、被検体100の内部(例えば胃の内部)に導入されたカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生し、かかる磁場の磁力によって、液体2a中でのカプセル型内視鏡1の動作(すなわち筐体の動き)を制御する。永久磁石3は、かかるカプセル型内視鏡1の動作を制御することによって、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3によって印加された磁力に反応して筐体を動作する磁石を内蔵する。
なお、永久磁石3は、所定の磁力を有する単一のものを用いてもよいが、互いに異なる磁力を有する複数の永久磁石を準備し、これら複数の永久磁石の中から選択したものを用いることが望ましい。この場合、永久磁石3は、被検体100の体型(例えば身長、体重、胴回り等)または制御するカプセル型内視鏡1の動作(例えば移動、揺動、またはその両動作)に応じ、適切な磁場を発生するものを選択すればよい。
ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像等の各種情報を受信する無線通信機能と、カプセル型内視鏡1から受信した画像等をモニタに表示する表示機能とを有する。具体的には、ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1に対して無線信号を送受信するアンテナ5aを有し、例えば被検体100の体表に配置されたアンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1からの各種情報を取得する。また、ワークステーション4は、このようなアンテナ5aを介し、カプセル型内視鏡1の駆動制御を行うための制御信号(例えばカプセル型内視鏡1の撮像動作の開始または停止を制御する制御信号)を送信できる。
アンテナ5aは、例えばループアンテナを用いて実現され、カプセル型内視鏡1とワークステーション4との間で無線信号を送受信する。具体的には、アンテナ5aは、図1に例示するように、被検体100の体表上の所定位置、例えば被検体100の胃近傍の位置に配置される。この場合、アンテナ5aは、被検体100の胃に導入されたカプセル型内視鏡1とワークステーション4との無線通信を可能にする。なお、アンテナ5aは、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の通過経路に対応する被検体100の体表上に配置されればよい。また、このようなアンテナ5aの配置数は、特に1つに限定されず、複数であってもよい。
つぎに、この発明にかかる被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡1の構成について詳細に説明する。図2は、カプセル型内視鏡1の一構成例を示す模式図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡1は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体10と、上述した永久磁石3の磁力によって筐体10を動作する永久磁石11とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、被検体100の内部を撮像するための撮像部12と、筐体10が揺動する際の角速度を検出する角速度センサ13と、筐体10が移動する際の加速度を検出する加速度センサ14と、カプセル型内視鏡1に対して発生した永久磁石3の磁場強度を検出する磁気センサ15とを有する。さらに、カプセル型内視鏡1は、撮像部12によって撮像された画像に対応する画像信号を生成する信号処理部16と、外部のアンテナ5aとの間で無線信号を送受信するアンテナ17aと、外部のワークステーション4に対して送信する画像信号等の各種信号を無線信号に変調し、またはアンテナ17aを介して受信した無線信号を復調する通信処理部17とを有する。また、カプセル型内視鏡1は、カプセル型内視鏡1の各構成部の駆動を制御する制御部18と、カプセル型内視鏡1の各構成部に対して駆動電力を供給する電源部19とを有する。
筐体10は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、カプセル型内視鏡1の各構成部を内蔵するケース本体10aと、筐体10の前端部を形成するドーム部材10bとによって実現される。ケース本体10aは、例えば図2に示すように、筐体10の中心部に比して後端側に永久磁石11および電源部19を有し、前端部に撮像部12を有する。ドーム部材10bは、光透過性のある略透明なドーム状部材であり、撮像部12を覆う態様でケース本体10aの前端部に取り付けられる。この場合、ドーム部材10bは、その内壁とケース本体10aの前端部とに囲まれる空間領域10cを形成する。このようなケース本体10aおよびドーム部材10bによって形成される筐体10は、液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ後端側に重心を有する。
永久磁石11は、外部に発生した磁場の磁力によって筐体10を動作する駆動手段として機能する。具体的には、永久磁石11は、筐体10の長手方向に磁化し、例えば外部の永久磁石3が永久磁石11に対して磁場を発生した場合、この磁場によって印加された磁力に基づいて液体2a中の筐体10を移動または揺動する。これによって、永久磁石11は、液体2a中のカプセル型内視鏡1の姿勢および位置の少なくとも一つを磁力によって変えることができる。
なお、ここでいうカプセル型内視鏡1の姿勢は、所定の空間座標系xyzにおける筐体10の姿勢である。具体的には、カプセル型内視鏡1の姿勢は、筐体10の長手方向の中心軸上に軸ベクトルとして後端部から前端部に向かう方向の長軸C1を設定した場合、空間座標系xyzでの長軸C1の方向によって決定される。また、ここでいうカプセル型内視鏡1の位置は、空間座標系xyzにおける筐体10の座標位置によって決定される。すなわち、カプセル型内視鏡1が被検体100の内部に導入された場合、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の姿勢は、空間座標系xyzにおける長軸C1の方向によって決定され、被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置は、空間座標系xyzにおける筐体10の座標位置によって決定される。
撮像部12は、例えば被検体100の消化管内の画像を撮像するためのものである。具体的には、撮像部12は、CCDまたはCMOS等の撮像素子と、この撮像素子の撮像視野を照明するLED等の発光素子と、この撮像素子に対して撮像視野からの反射光を結像するレンズ等の光学系とを用いて実現される。撮像部12は、上述したようにケース本体10aの前端部に固定され、ドーム部材10bを介して受光する撮像視野からの反射光を結像し、例えば被検体100の消化管内の画像を撮像する。撮像部12は、得られた画像情報を信号処理部16に送信する。なお、撮像部12の光学系は、広角のものであることが望ましい。これによって、撮像部12は、例えば100〜140度程度の視野角を有することができ、撮像視野を広範囲にすることができる。この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、このような広範囲の撮像視野を有するカプセル型内視鏡1を用いることによって、被検体100内の観察性を高めることができる。
ここで、かかる筐体10の内部に固定配置された撮像部12の撮像視野の方向は、空間座標系xyzにおける筐体10の方向によって決定される。すなわち、撮像部12の受光面は、筐体10に関する所定の方向、例えば長軸C1に対して垂直に配置される。この場合、撮像部12の撮像視野の中心軸(すなわち光軸)は、長軸C1に略一致し、撮像部12の受光面は、長軸C1に対して垂直な軸ベクトルである2つの径軸C2a,C2bに対して平行である。なお、径軸C2a,C2bは、筐体10の径方向の軸ベクトルであり、長軸C1および径軸C2a,C2bは、互いに直交する。このような撮像部12は、空間座標系xyzにおける長軸C1の方向によって受光面の法線方向、すなわち撮像視野の方向が決定され、長軸C1を回転中心にした径軸C2aの回転角度によって受光面の回転角度、すなわち長軸C1を回転中心にした撮像視野の回転角度が決定される。
角速度センサ13は、カプセル型内視鏡1の姿勢が変化する際の筐体10の角速度を検出するためのものである。具体的には、角速度センサ13は、MEMSジャイロ等を用いて実現され、筐体10が揺動する際の角速度、すなわち、空間座標系xyzにおいて方向が変化する長軸10の角速度を検出する。また、角速度センサ13は、長軸C1を回転中心にして回転する際の筐体10の角速度を検出する。この場合、角速度センサ13は、長軸C1を回転中心にして回転する径軸C2aの角速度を検出する。角速度センサ13は、このような角速度の各検出結果を制御部18に送信する。
加速度センサ14は、カプセル型内視鏡1が変位する際の筐体10の加速度を検出するためのものである。具体的には、加速度センサ14は、筐体10が移動する際の加速度、すなわち、空間座標系xyzにおいて座標位置が変化する筐体10の加速度を検出する。この場合、加速度センサ14は、このような筐体10の加速度の大きさおよび方向を検出する。加速度センサ14は、このような加速度の検出結果を制御部18に送信する。
磁気センサ15は、カプセル型内視鏡1に対して作用する外部の磁場強度を検出するためのものである。具体的には、磁気センサ15は、例えば外部の永久磁石3がカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生した場合、かかる永久磁石3の磁場強度を検出する。磁気センサ15は、このような磁場強度の検出結果を制御部18に送信する。
なお、このようなカプセル型内視鏡1に対する磁場強度の検出には、磁気センサ15に限らず、角度センサ13または加速度センサ14を利用するようにしてもよい。この場合、制御部18は、角速度センサ13または加速度センサ14の検出結果をもとに、外部の永久磁石3の磁場によるカプセル型内視鏡1の方向変化または変位を検出し、かかるカプセル型内視鏡1の方向変化または変位に基づいて永久磁石3の磁場強度を検出する。
信号処理部16は、撮像部12によって撮像された画像に対応する画像信号を生成するためのものである。具体的には、信号処理部16は、撮像部12から受信した画像情報を含む画像信号を生成する。さらに、信号処理部16は、制御部18から受信した筐体10の動き情報(後述する)を画像信号のブランキング期間に含める。これによって、信号処理部16は、撮像部12によって撮像された画像と撮像時の筐体10の動き情報とを対応付ける。信号処理部16は、このような画像情報と動き情報とを含む画像信号を通信処理部17に送信する。
通信処理部17は、信号処理部16から受信した画像信号に対して所定の変調処理等を行い、この画像信号を無線信号に変調する。これとほぼ同様に、通信処理部17は、制御部18から受信した磁場検出信号(後述する)を無線信号に変調する。通信処理部17は、このように生成した無線信号をアンテナ17aに出力する。アンテナ17aは、例えばコイルアンテナであり、信号処理部17から受信した無線信号を例えば外部のアンテナ5aに送信する。この場合、この無線信号は、アンテナ5aを介してワークステーション4に受信される。一方、通信処理部17は、アンテナ17aを介して例えばワークステーション4からの無線信号を受信する。この場合、通信処理部17は、アンテナ17aを介して受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行い、この無線信号を例えばワークステーション4からの制御信号に復調する。その後、通信処理部17は、得られた制御信号を制御部18に送信する。
制御部18は、撮像部12、角速度センサ13、加速度センサ14、磁気センサ15、信号処理部16、通信処理部17の各駆動を制御し、これら各構成部における信号の入出力制御を行う。この場合、制御部18は、撮像部12が画像を撮像する際の筐体10の角速度および加速度を検出するように、撮像部12、角速度センサ14、および加速度センサ14の動作タイミングを制御する。また、制御部18は、通信処理部17からワークステーション4からの制御信号を受信した場合、この制御信号に基づいて撮像部12の駆動を開始または停止する。この場合、制御部18は、撮像開始の制御信号に基づき、所定の間隔、例えば0.5秒間隔で被検体100内の画像を撮像するように撮像部12の駆動を制御し、撮像停止の制御信号に基づき、撮像部12の駆動を停止する。さらに、制御部18は、磁気センサ15から受信した検出結果をもとに外部の磁場強度を把握し、この磁場強度に対応する磁場検出信号を通信処理部17に送信する。
なお、制御部18は、上述したようにワークステーション4からの制御信号に基づいて撮像部12の駆動を制御してもよいし、電源部19によって駆動電力が供給されてから所定の時間が経過した場合に撮像部12の駆動制御を開始してもよい。
また、制御部18は、カプセル型内視鏡1が変位する際の筐体10の移動量を検出する移動量検出部18aと、カプセル型内視鏡1の姿勢が変化する際の筐体10の回転角度を検出する角度検出部18bとを有する。移動量検出部18aは、加速度センサ14によって検出された加速度に対して所定の積分処理を行い、空間座標系xyzにおける筐体10の移動量を算出する。かかる移動量検出部18aによって算出された移動量は、空間座標系xyzでの筐体10の移動距離および移動方向を示すベクトル量である。一方、角度検出部18bは、角速度センサ13によって検出された角速度に対して所定の積分処理を行い、空間座標系xyzにおける長軸C1の回転角度および径軸C2aの回転角度を算出する。制御部18は、かかる移動量検出部18aによって検出した移動量と角度検出部18bによって検出した各回転角度とを筐体10の動き情報として信号処理部16に送信する。
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4について詳細に説明する。図3は、ワークステーション4の一構成例を模式的に示すブロック図である。図3に示すように、ワークステーション4は、アンテナ5aを用いてカプセル型内視鏡1に対する無線通信を行う通信部5と、ワークステーション4に対する各種指示情報等を入力する入力部6と、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像等を表示する表示部7と、画像情報等の各種情報を記憶する記憶部8と、ワークステーション4の各構成部の駆動を制御する制御部9とを有する。
通信部5は、上述したアンテナ5aがケーブルを介して接続され、アンテナ5aを介して受信した無線信号に対して所定の復調処理を行い、カプセル型内視鏡1から送信された各種情報を取得する。この場合、通信部5は、撮像部12によって得られた画像情報および筐体10の動き情報を取得し、取得した画像情報および動き情報を制御部9に送信する。また、通信部5は、磁気センサ15による磁場強度の検出結果に対応する磁場検出信号を取得し、取得した磁場検出信号を制御部9に送信する。一方、通信部5は、制御部9から受信したカプセル型内視鏡1に対する制御信号に対して所定の変調処理等を行い、この制御信号を無線信号に変調する。この場合、通信部5は、生成した無線信号をアンテナ5aに送信し、このアンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1に無線信号を送信する。これによって、通信部5は、カプセル型内視鏡1に対し、例えば撮像部12の駆動開始を指示する制御信号を送信できる。
入力部6は、キーボードまたはマウス等を用いて実現され、医師または看護師等の検査者による入力操作によって、制御部9に対して各種情報を入力する。この場合、入力部6は、例えば制御部9に対して指示する各種指示情報または被検体100に関する患者情報等を入力する。なお、この指示情報として、例えば、カプセル型内視鏡1から取得した画像を表示部7に表示するための指示情報、カプセル型内視鏡1から取得した画像を加工するための指示情報等が挙げられる。また、この患者情報として、例えば被検体100の名前(患者名)、性別、生年月日、および患者ID等の被検体100を特定するための情報、被検体100の身長、体重、胴回り等の身体的情報等が挙げられる。
表示部7は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等のディスプレイを用いて実現され、制御部9によって表示指示された各種情報を表示する。この場合、表示部7は、例えばカプセル型内視鏡1によって撮像された画像および被検体100の患者情報等の被検体100の内部を観察し、診断するために必要な各種情報を表示する。また、表示部7は、制御部9によって所定の加工処理が行われた画像を表示する。
記憶部8は、制御部9によって書込み指示された各種情報を保存する。具体的には、記憶部8は、例えばカプセル型内視鏡1から受信した各種情報、入力部6によって入力された各種情報、および制御部9によって所定の加工処理が行われた画像情報等を保存する。この場合、記憶部8は、上述した画像情報と動き情報とを対応付けて記憶する。また、記憶部8は、制御部9によって読み出し指示された情報を制御部9に送信する。
制御部9は、ワークステーション4の各構成部、例えば通信部5、入力部6、表示部7、および記憶部8の駆動制御を行い、これら各構成部に対する情報の入出力制御と、これら各構成部との間で各種情報を入出力するための情報処理とを行う。また、制御部9は、入力部6から入力された指示情報に基づいて、カプセル型内視鏡1に対する各種制御信号を通信部5に出力する。この場合、カプセル型内視鏡1に対する制御信号は、アンテナ5aを介してカプセル型内視鏡1に送信される。すなわち、ワークステーション4は、カプセル型内視鏡1の駆動を制御する制御手段として機能する。
このような制御部9は、表示部7による各種情報の表示動作を制御する表示制御部9aと、上述した通信部5の駆動を制御する通信制御部9bとを有する。また、制御部9は、液体2a中でカプセル型内視鏡1を動かすに充分な磁場を発生する永久磁石を選択する磁石選択部9cと、カプセル型内視鏡1から受信した画像信号をもとに例えば被検体100内の画像を生成する画像処理部9dとを有する。さらに、制御部9は、画像処理部9dによって生成された複数の画像の共通部分を合成し、例えば被検体100内の複数の画像を結合する画像結合部9eと、カプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する位置姿勢検出部9fと、永久磁石3の磁場によってカプセル型内視鏡1の動きが制御可能な状態であるか否かを判断する状態判断部9gとを有する。
磁石選択部9cは、状態判断部9gの判断結果をもとに、液体2a中でカプセル型内視鏡1を動かすに充分な磁場を発生する永久磁石を選択する。この場合、状態判断部9gは、カプセル型内視鏡1から受信した磁場検出信号をもとにカプセル型内視鏡1に対する永久磁石3の磁場強度を検出し、この検出した磁場強度と所定の磁場強度範囲とを比較する比較処理を行う。状態判断部9gは、この比較処理の結果をもとに、永久磁石3の磁場によってカプセル型内視鏡1の動きが制御可能な状態であるか否かを判断する。すなわち、状態判断部9gは、検出した磁場強度が所定の磁場強度範囲内である場合、永久磁石3の磁場強度はカプセル型内視鏡1の動きを制御するに充分なものであると判断する。また、状態判断部9gは、検出した磁場強度が所定の磁場強度範囲を下回る場合、永久磁石3の磁場強度は不足であると判断し、所定の磁場強度範囲を上回る場合、永久磁石3の磁場強度は過度であると判断する。磁石選択部9cは、状態判断部9gによって磁場強度が充分であると判断された永久磁石を選択する。また、磁石選択部9cは、状態判断部9gによって磁場強度が不十分であると判断された場合、現在の永久磁石に比して強い磁場を発生する永久磁石を選択し、磁場強度が過度であると判断された場合、現在の永久磁石に比して弱い磁場を発生する永久磁石を選択する。表示制御部9aは、かかる磁石選択部9cによる永久磁石の選択結果を表示部7に表示させる。この場合、検査者は、表示部7に表示された永久磁石の選択結果を視認することによって、複数の永久磁石の中からカプセル型内視鏡1の動きを制御するに好適な永久磁石を容易に選択できる。
なお、状態判断部9gは、このような永久磁石3の磁場強度の状態(すなわちカプセル型内視鏡1に印加する磁場の過不足等の強度状態)を判断することによって、カプセル型内視鏡1を所望通りに誘導できているか否かを判断でき、カプセル型内視鏡1が永久磁石3による外部の磁場に反応したか否かの判断結果を表示部7に表示させることができる。これにより、使用している外部の永久磁石3の磁場強度や被検体100の体表への押し付け具合が十分であるかを確認でき、カプセル型内視鏡1に印加する磁場強度の過大や不足によって観察部位の見落としが発生することを防止することができる。
また、カプセル型内視鏡1が外部の磁場に反応したか否かの判断には、上述した角度センサ13、加速度センサ、または磁気センサ15に限らず、消化管内のカプセル型内視鏡1の位置を検出する位置検出機能を有するセンサ等を用いるようにしてもよい。また、外部の永久磁石3としては、磁場強度の異なる複数種類の永久磁石を選択自在に予め用意しておき、かかる状態判断部9gの判断結果(例えばカプセル型内視鏡1に印加する外部の磁場の過大や不足)に応じて選択的に使い分けるようにすることが望ましい。また、被検体100の体型に合わせて、使用する外部の永久磁石3の強度を決めるようにしてもよい。すなわち、被検体100の体重、身長、胴回り等に応じて、使用する外部の永久磁石3の磁場強度を決定する。この際、被検体100の体重、身長、胴回りの各値をもとに外部の永久磁石3を決定するためのシートを予め用意しておけば、使用する永久磁石の選択が適正且つ容易となる。これにより、被検体100の体型による個人差を吸収し、より正確且つ効率的に検査を行うことができる。なお、制御部9には、被検体100の体重、身長、胴回りの各値を入力することによって、使用する外部の永久磁石3を決定するプログラムが設定されてもよい。あるいは、体重、身長、胴回り等のデータに代えて、CTスキャン等により予め取得されたCTデータ等を用いるようにしてもよい。
画像処理部9dは、カプセル型内視鏡1からの画像信号をもとに、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像を生成する。この場合、表示制御部9aは、画像処理部9dによって生成された画像を時系列に沿って表示部7に順次表示させる。また、画像結合部9eは、かかる画像処理部9dによって生成された複数の画像を一つの画像に結合する画像結合処理を行う。表示制御部9aは、画像結合部9eによって結合された加工画像(例えば被検体100の消化管内を表すパノラマ画像)を表示部7に表示させる。なお、画像結合部9eの画像結合処理については、後述する。
位置姿勢検出部9fは、カプセル型内視鏡1から受信した動き情報をもとに、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を検出する。具体的には、位置姿勢検出部9fは、まず、カプセル型内視鏡1の位置および姿勢を決定する空間座標系xyzを設定する。ここで、この空間座標系xyzは、例えば、静止状態のカプセル型内視鏡1の位置を原点Oとし、このカプセル型内視鏡1の径軸C2a,C2bおよび長軸C1をそれぞれz軸、x軸、y軸とする空間座標系である。
つぎに、位置姿勢検出部9fは、この原点Oを始点として移動または揺動するカプセル型内視鏡1の座標位置(x,y,z)と長軸C1の方向とを逐次検出する。この場合、位置姿勢検出部9fは、カプセル型内視鏡1から順次受信する動き情報をもとに、空間座標系xyzにおいてカプセル型内視鏡1が移動または揺動した際の筐体10の移動量(ベクトル量)、長軸C1の回転角度、および径軸C2aの回転角度を順次取得する。位置姿勢検出部9fは、このように順次取得した筐体10の移動量、長軸C1の回転角度、および径軸C2aの回転角度をもとに、原点Oに対する筐体10の相対位置、すなわち空間座標系xyzにおける筐体10の座標位置(x,y,z)と、空間座標系xyzにおける長軸C1のベクトル方向とを検出する。かかる位置姿勢検出部9fによって検出された筐体10の座標位置(x,y,z)および長軸C1のベクトル方向は、空間座標系xyzにおけるカプセル型内視鏡1の位置および姿勢にそれぞれ相当する。
また、位置姿勢検出部9fは、上述した径軸C2aの回転角度をもとに、空間座標系xyzのz軸に対する径軸C2aの傾きを検出する。ここで、径軸C2aは、撮像部12の受光面の上方向を決定する軸ベクトルであり、撮像部12によって撮像された画像の上方向を決定する軸ベクトルである。したがって、位置姿勢検出部9fは、かかるz軸に対する径軸C2aの傾きを検出することによって、上述した長軸C1を法線ベクトルとする画像(すなわち撮像部12によって撮像された画像)のz軸に対する傾きを検出できる。
制御部9は、かかる位置姿勢検出部9fによって検出されたカプセル型内視鏡1の位置および姿勢と、撮像部12によって撮像された画像のz軸に対する傾きとを位置姿勢情報として記憶部8に保存する。この場合、制御部9は、カプセル型内視鏡1から受信した画像情報毎に位置姿勢情報を取得し、かかる画像情報と位置姿勢情報とを対応付けて記憶部8に順次保存する。
つぎに、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をもとに被検体100の消化管内(例えば胃内部等)を観察する処理手順について説明する。図4は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1による消化管内の画像をもとに被検体100の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。
図4において、まず、検査者は、ワークステーション4または所定のスターターを用いてカプセル型内視鏡1の撮像動作を開始させ、このカプセル型内視鏡1を被検体100の内部に導入し、さらに供給器2を用いて被検体100の内部に液体2aを導入する(ステップS101)。この場合、カプセル型内視鏡1および液体2aは、例えば被検体100の口から飲み込まれ、その後、被検体100内の観察すべき所望の消化管に到達する。検査者は、カプセル型内視鏡1によって撮像された画像をワークステーション4に表示させ、この画像を視認することによって被検体100内でのカプセル型内視鏡1の位置を把握する。なお、検査者は、被検体100内にカプセル型内視鏡1を導入した後に、ワークステーション4を操作してカプセル型内視鏡1の撮像動作を開始させてもよい。
つぎに、検査者は、被検体100内に発泡剤を適量の水とともに導入し(ステップS102)、カプセル型内視鏡1を導入した所望の消化管を伸展させる。これによって、カプセル型内視鏡1は、観察部位である消化管内を撮像視野に捉え易くなり、この消化管内の画像を撮像し易くなる。このように消化管内でのカプセル型内視鏡1の撮像視野を確保した後、検査者は、この発泡剤を導入した被検体100内の消化管に対して消泡剤を導入し(ステップS103)、この発泡剤によって液体2aの表面に発生した泡を消す。これによって、カプセル型内視鏡1は、この発泡剤によって発生した泡に撮像視野を遮られることなく、消化管内の画像を撮像することができる。
その後、検査者は、カプセル型内視鏡1を導入した被検体100に対して永久磁石3を近接し(ステップS104)、被検体100内のカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生させる。具体的には、永久磁石3は、カプセル型内視鏡1が導入された消化管の近傍になる被検体100の体表に近付けられる。かかるカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生させる永久磁石3は、所定の磁力を有する単一のものであってもよいが、互いに異なる磁力を有する複数の永久磁石の中から選択されることが望ましい。この場合、検査者は、ワークステーション4に表示された永久磁石の選択結果を参照し、この選択結果に基づいて永久磁石を選択すればよい。これによって、検査者は、カプセル型内視鏡1に対して適切な磁場強度の磁場を発生する永久磁石を選択することができる。
被検体100に永久磁石3を近接させた場合、検査者は、この永久磁石3を操作してカプセル型内視鏡1に対する磁場の強度および向きを調整し、かかる永久磁石3の磁力によってカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する(ステップS105)。この場合、カプセル型内視鏡1の永久磁石11は、かかる永久磁石3によって印加された磁力に反応して筐体10を動かす。かかる永久磁石11の作用によって、カプセル型内視鏡1は、液体2a中で例えば水平方向に移動または揺動し、観察部位である消化管内での位置および姿勢の少なくとも一つを変える。これによって、カプセル型内視鏡1は、消化管内に対する撮像視野の方向を筐体10の動きとともに変えつつ、この消化管内の画像を順次撮像する。
さらに、検査者は、被検体100内に液体2aを追加導入し(ステップS106)、観察部位である消化管内の液体2aの量を増加する。ここで、カプセル型内視鏡1は、上述したように、液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ筐体10の後端側に重心を有する。このため、カプセル型内視鏡1は、略鉛直上方に撮像視野を向けた状態で液体2aの表面に浮揚するとともに、消化管内での液体2aの増量(すなわち水位の上昇)に伴って、鉛直上方に移動する。この場合、カプセル型内視鏡1は、取得画像の位置(観察部位)を変えることができる。
その後、検査者は、被検体100の***を別の***に変換せずに現状の***を維持し(ステップS107,No)、かつ観察部位である消化管内の撮像を続行する場合(ステップS109,No)、上述したステップS104以降の処理手順を繰り返す。この場合、検査者は、ワークステーション4に表示した消化管内の画像を参照しつつ、この消化管内での液体2aの量を増減し、または永久磁石3を操作し、この消化管内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を所望のものに制御する。
一方、検査者は、被検体100の***を別の***に変換して消化管内の撮像を続行する場合(ステップS107,Yes)、被検体100の現在の***(例えば仰臥位)を所望の***(例えば右側臥位)に変換する(ステップS108)。その後、検査者は、上述したステップS104以降の処理手順を繰り返す。
このように、観察部位である消化管内でのカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御することによって、カプセル型内視鏡1は、この消化管内の略全域を撮像することができる。検査者は、かかるカプセル型内視鏡1によって撮像された画像をワークステーション4に表示させることによって、被検体100内の所望の観察部位である消化管内を隈なく観察することができる。
その後、検査者は、この観察部位である消化管内の観察を完了し、この消化管内の撮像を完了する場合(ステップS109,Yes)、この消化管の出口側にカプセル型内視鏡1を誘導する(ステップS110)。この場合、カプセル型内視鏡1は、この消化管の蠕動または液体2aの流れによって出口側に誘導され、または被検体100の体表上に近接した永久磁石3の磁力によってこの消化管の出口側に誘導され、つぎの消化管内に移動する。これによって、カプセル型内視鏡1は、この観察部位である消化管内の撮像を完了する。その後、カプセル型内視鏡1は、各消化管の蠕動、液体2aの流れ、または永久磁石3の磁力等によって被検体100内を移動しつつ消化管内の画像を撮像し、被検体100の外部に排出される。
なお、検査者は、このようなカプセル型内視鏡1によって撮像された画像をワークステーション4に表示させ、被検体100の各消化管内を観察することができる。一方、検査者は、ワークステーション4を操作して撮像動作を停止する制御信号を送信させ、所望の観察部位を撮像し終えたカプセル型内視鏡1の撮像動作を停止させてもよい。
また、上述したステップS102の発泡剤およびステップS103の消泡剤は、必要に応じて被検体100内に導入するようにしてもよい。具体的には、検査者は、ワークステーション4に表示した被検体100内の画像を観察し、例えばこの消化管内をさらに詳細に観察すべきと判断した場合、上述したように発泡剤および消泡剤を被検体100内に順次導入してもよい。
つぎに、検査者が被検体100の胃を観察する場合を例示して、この観察部位である胃に導入したカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する動作について具体的に説明する。図5は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1が鉛直方向に変位する動作を説明するための模式図である。
被検体100の口から飲込まれたカプセル型内視鏡1および液体2aは、食道を通過し、その後、図5に例示するように、例えば観察部位である胃に到達する。ここで、カプセル型内視鏡1は、上述したように、液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ筐体10の後端側に重心を有する。このため、かかる液体2a中のカプセル型内視鏡1は、図5に例示するように、略鉛直上方に撮像視野を向けた状態で液体2aの表面に浮揚する。この時、撮像視野が完全に気中に含まれるようになっている。
このようなカプセル型内視鏡1は、永久磁石3の磁場に依存しなくとも、液体2aに比して鉛直上方側の胃壁、すなわち上述した発泡剤によって伸展した胃壁を撮像視野に捉えることができる。また、カプセル型内視鏡1は、液体2aの水位変化に伴って鉛直方向の位置を変化させる。したがって、カプセル型内視鏡1は、例えば胃内部の液体2aの量を増加する(すなわち胃における液体2aの水位を上昇する)ことによって鉛直上方に移動でき、観察位置の変更や胃壁の拡大画像を撮像することができる。このように、カプセル型内視鏡1は、胃内部における液体2aの量を増減することによって、胃内部における鉛直方向の位置を制御できる。
なお、かかる液体2aの表面に浮揚するカプセル型内視鏡1は、筐体10の中心部近傍または前端側に重心を有するようにし、永久磁石3から印加される磁力によって液体2aから鉛直上方側に撮像視野を向けてもよいが、上述したように筐体10の後端側に重心を有することが望ましい。これによって、液体2aの浮力によってカプセル型内視鏡1の撮像視野を鉛直上方側に向けることができるので、より弱い磁力の永久磁石を用いてカプセル型内視鏡1の動きを制御でき、かかるカプセル型内視鏡1の動きを制御する永久磁石3を小型化することができる。
つぎに、被検体100内の観察部位である消化管(例えば胃)に導入したカプセル型内視鏡1が水平方向に変位する動作について具体的に説明する。図6は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1を水平方向に変位させる永久磁石3の動作を説明するための模式図である。
図6に示すように、被検体100の体表に近接した永久磁石3は、例えば胃内部の液体2a中のカプセル型内視鏡1に対して所定の磁場を発生し、この磁場の磁力によってカプセル型内視鏡1を捕捉する。このようにカプセル型内視鏡1を捕捉した永久磁石3は、被検体100の体表上を略水平方向に移動し、このカプセル型内視鏡1に対する磁場の位置および方向を変化させる。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3の移動に追従して液体2a中を略水平方向に移動し、これと同時に、胃内部の撮像視野を変位させつつ胃内部の画像を順次撮像する。
このように永久磁石3が磁力によってカプセル型内視鏡1の水平方向の動きを制御することによって、カプセル型内視鏡1は、例えば液体2aに比して鉛直上方側の胃壁、すなわち上述した発泡剤によって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。これによって、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101の画像を確実に撮像できる。このことは、このカプセル型内視鏡1を浮揚する液体2aの量を増減した場合も同様である。すなわち、カプセル型内視鏡1は、かかる液体2aの水位変化に伴って鉛直方向に変位し、例えば図6に示すように、観察位置を変えたり、胃壁に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101に近接することができ、この患部101の拡大画像を撮像することができる。
つぎに、被検体100内の観察部位である消化管(例えば胃)に導入したカプセル型内視鏡1が姿勢を変える動作について具体的に説明する。図7は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1の姿勢を変える永久磁石3の動作を説明するための模式図である。
図7に示すように、被検体100の体表に近接した永久磁石3は、上述したように、磁力によってカプセル型内視鏡1を捕捉する。このようにカプセル型内視鏡1を捕捉した永久磁石3は、被検体100の体表上を略水平方向に揺動し、このカプセル型内視鏡1に対する磁場の位置および方向を変化させる。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3の揺動に追従して液体2a中で揺動し、長軸C1のベクトル方向を永久磁石3の位置に向ける。これと同時に、カプセル型内視鏡1は、胃内部の撮像視野の方向を変えつつ胃内部の画像を順次撮像する。
このように永久磁石3が磁力によってカプセル型内視鏡1の揺動を制御することによって、カプセル型内視鏡1は、例えば液体2aに比して鉛直上方側の胃壁、すなわち上述した発泡剤によって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。これによって、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101の画像を確実に撮像できる。このことは、このカプセル型内視鏡1を浮揚する液体2aの量を増減した場合も同様である。すなわち、カプセル型内視鏡1は、かかる液体2aの水位変化に伴って鉛直方向に変位し、例えば図7に示すように、胃壁に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101に近接することができ、この患部101の拡大画像を撮像することができる。
つぎに、被検体100内の観察部位である消化管(例えば胃)に導入したカプセル型内視鏡1が水平方向の位置および姿勢を変える動作について具体的に説明する。図8は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡1の水平方向の位置および姿勢を変える永久磁石3の動作を説明するための模式図である。
図8に示すように、被検体100の体表に近接した永久磁石3は、例えば胃内部の液体2a中のカプセル型内視鏡1に対して所定の磁場を発生する。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる永久磁石3によって発生した磁場の磁力に捕捉されるように動く。具体的には、カプセル型内視鏡1は、この永久磁石3の位置に長軸C1のベクトル方向を向けるように揺動しつつ、この永久磁石3に近付くように水平方向に移動する。これと同時に、カプセル型内視鏡1は、胃内部の撮像視野の位置および方向を変えつつ胃内部の画像を順次撮像する。この時、被検体100外の磁界を発生していない状態において、カプセル型内視鏡内1内の永久磁石11の磁化方向が、液体の水面に対して10°以上の角度を有するようにカプセル型内視鏡1の重心位置が配置されることが望ましい(カプセル型内視鏡1の中心から永久磁石11の磁化方向に対して10°以上角度を有する方向に重心をずらす)。被検体100外からの磁界発生前の永久磁石11の磁化方向が磁界発生時の永久磁石11の方向と一致するため、被検体100内のカプセル型内視鏡1の誘導を行う時は、永久磁石3の磁化方向と永久磁石11の磁化方向とが同じ方向になるように、永久磁石3を被検体100に近付ければよい。このため、制御性が向上すると共に、磁気トルクを発生させる必要がないので、効率的な誘導ができ、永久磁石11,永久磁石3の小型化が可能となる。さらに、永久磁石3は、被検体100内の液体に対して鉛直下側から近付けても良い。また、永久磁石3の被検体100までの距離を変化させることによって、永久磁石11近傍の磁界強度を制御し、この被検体100内のカプセル型内視鏡1の移動速度を変化させても良い。また、本実施の形態1では、永久磁石3の水平位置を変化させることによって、被検体100内のカプセル型内視鏡1の水平方向の位置を制御しているが、これに限らず、水平面内に複数の電磁石(磁界発生要素)をアレー状に配置し、複数の電磁石に流す電流を制御する制御部(磁界強度変更部)を備え、磁化する電磁石を切り替えることによって、被検体100内のカプセル型内視鏡1の水平方向の位置を制御しても良い。
このように永久磁石3が磁力によってカプセル型内視鏡1の水平方向の位置および姿勢を制御することによって、カプセル型内視鏡1は、例えば液体2aに比して鉛直上方側の胃壁、すなわち上述した発泡剤によって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。これによって、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101の画像を確実に撮像できる。このことは、このカプセル型内視鏡1を浮揚する液体2aの量を増減した場合も同様である。すなわち、カプセル型内視鏡1は、かかる液体2aの水位変化に伴って鉛直方向に変位し、例えば図8に示すように、観察位置を変えたり、胃壁に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。この場合、カプセル型内視鏡1は、例えば胃壁の患部101に近接することができ、この患部101の拡大画像を撮像することができる。
一方、所望の観察部位である胃の内部を撮像し終えたカプセル型内視鏡1は、上述したステップS110の処理手順によって次の消化管(例えば十二指腸)に移動する。具体的には、カプセル型内視鏡1は、被検体100の幽門部近傍に近接した永久磁石3から印加される磁力によって胃から幽門部に移動する。この場合、検査者は、例えば被検体100の***を右側臥位に変換し、その後、幽門部近傍である被検体100の体表上に向けて永久磁石3を動かし、かかる永久磁石3から印加される磁力によってカプセル型内視鏡1を幽門部に誘導すればよい。
つぎに、カプセル型内視鏡1によって撮像された被検体100内の複数の画像を結合する画像結合処理について詳細に説明する。図9は、ワークステーション4の制御部9が行う画像結合処理の処理手順を例示するフローチャートである。図10は、複数の画像を連結する制御部9の動作を説明するための模式図である。
ワークステーション4の制御部9は、カプセル型内視鏡1から取得した複数の画像情報と、これら複数の画像情報にそれぞれ対応付けた各位置姿勢情報とをもとに、カプセル型内視鏡1によって撮像された複数の画像の相対位置および相対方向を把握し、エピポーラ幾何に基づいて複数の画像を結合する。すなわち、図9において、制御部9は、まず、結合対象の2つの画像を入力する(ステップS201)。この場合、入力部6は、検査者の入力操作に応じ、制御部9に対して結合対象の2つの画像を指定する情報を入力する。制御部9は、かかる入力部6からの入力情報に基づいて、結合対象の2つの画像Pn,Pn-1を記憶部8から読み出す。これと同時に、制御部9は、かかる画像Pn,Pn-1に対応付けた各位置姿勢情報を記憶部8から読み出す。画像結合部9eは、画像Pn,Pn-1の各位置姿勢情報をもとに、画像Pn,Pn-1が撮像された際のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢とz軸に対する画像の傾きとを把握する。
つぎに、制御部9は、読み出した2つの画像Pn,Pn-1の歪曲収差を補正する(ステップS202)。この場合、画像結合部9eは、かかる画像Pn,Pn-1の各歪曲収差を補正する。これによって、画像結合部9eは、両画像Pn,Pn-1に共通の被写体が撮像されている場合に、この共通の被写体を表す(すなわち類似度の高い)画素領域を合成して両画像Pn,Pn-1を結合できるようになる。
その後、制御部9は、かかる両画像Pn,Pn-1の間で類似度の高い画素領域を探索するパターンマッチング処理の探索範囲を設定する(ステップS203)。この場合、画像結合部9eは、エピポーラ幾何に基づいて、画像Pn-1上の複数の参照点と、これら複数の参照点にそれぞれ対応する画像Pn上の複数のエピポーラ線とを算出する。
ここで、画像Pn,Pn-1は、カプセル型内視鏡1が位置および姿勢の少なくとも一つを変える前後において撮像された画像である。具体的には、画像Pn-1は、例えば図10に示すように、カプセル型内視鏡1によって被検体100の内部を撮像した画像であり、画像Pnは、このカプセル型内視鏡1が位置および姿勢を変えた後に被検体100の内部を撮像した画像である。このような画像Pn,Pn-1は、同じ被写体を含む画像である場合、互いに類似度の高い画素領域を有する。画像結合部9eは、このように類似度の高い画素領域に対応する参照点を画像Pn-1上に複数(例えば6点以上)設定し、これら複数の参照点にそれぞれ対応する複数のエピポーラ線を画像Pn上に設定する。
例えば、画像結合部9eは、図10に示すように、画像Pn-1上に参照点R0を設定し、この参照点R0に対応するエピポーラ線EPを画像上Pnに設定する。この参照点R0が画像Pn,Pn-1間において類似度の高い画素領域の座標位置を示すものである場合、画像結合部9eは、このエピポーラ線EPを画像Pn上、例えば画像Pnの対向する2つの頂点の間に設定できる。このようなエピポーラ線EP上には、参照点R0に対応する対応点R1が含まれる。この対応点R1は、参照点R0によって座標位置が設定される画像Pn-1上の画素領域に比して類似度の高い画像Pn上の画素領域の座標位置を示すものである。
このようにして、画像結合部9eは、画像Pn-1上に複数(例えば6点以上)の参照点を設定し、さらに、これら複数の参照点にそれぞれ対応する複数のエピポーラ線を画像Pn上に設定する。この場合、画像結合部9eは、かかる複数のエピポーラ線のそれぞれに近傍の各画素領域をパターンマッチング処理の探索範囲に設定する。
つぎに、制御部9は、画像Pn-1をもとに、パターンマッチング処理の基準となる複数の画素領域(テンプレート画像)を検出する(ステップS204)。この場合、画像結合部9eは、上述した参照点R0に例示される複数の参照点にそれぞれ対応する複数(例えば6つ以上)のテンプレート画像を検出する。
その後、制御部9は、このように検出した複数のテンプレート画像に比して類似度の高い画像Pn上の複数の画素領域をそれぞれ検出するパターンパッチング処理を実行する(ステップS205)。この場合、画像結合部9eは、例えばエピポーラ線EP近傍の画像Pn上の画素領域をパターンマッチング処理の探索範囲とし、参照点R0に対応するテンプレート画像に比して類似度の高い画像Pn上の画素領域を検出する。そして、画像結合部9eは、この類似度の高い画素領域の画像Pn上での座標位置を決定する対応点R1を算出する。画像結合部9eは、このようなパターンマッチング処理を複数のテンプレート画像およびエピポーラ線について繰り返し行い、例えば6つ以上のテンプレート画像にそれぞれ対応する画像Pn上の画素領域を6つ以上検出する。そして、画像結合部9eは、かかる6つ以上の画素領域の座標位置をそれぞれ決定する6つ以上の座標点、すなわち上述した参照点R0に例示される6つ以上の参照点にそれぞれ対応する画像Pn上の6つ以上の対応点を算出する。
かかる画像Pn,Pn-1上の例えば6つ以上の参照点および対応点を算出した場合、制御部9は、両画像Pn,Pn-1のアフィン変換処理を実行する(ステップS206)。この場合、画像結合部9eは、算出した6つ以上の参照点および対応点を用い、最小二乗法に基づいてアフィンパラメータを算出する。画像結合部9eは、算出したアフィンパラメータをもとに、例えば画像Pn-1上の座標系を画像Pn上の座標系に変換し、かかる両画像Pn,Pn-1のアフィン変換処理を達成する。
つぎに、制御部9は、アフィン変換処理が行われた両画像Pn,Pn-1を合成し(ステップS207)、これら両画像Pn,Pn-1を一つの加工画像(例えばパノラマ画像)に結合する。この場合、画像結合部9eは、アフィン変換処理が行われた両画像Pn,Pn-1に共通する被写体を表す画素領域(すなわち類似度の高い画素領域)を合成し、かかる両画像Pn,Pn-1を結合した加工画像を生成する。
その後、制御部9は、このような画像結合処理を続けて行う場合(ステップS208,No)、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。この場合、画像結合部9eは、カプセル型内視鏡1によって撮像された複数の画像を順次結合することができ、被検体100内の観察部位、例えば胃の内壁の全体像を表すパノラマ画像を生成できる。一方、制御部9は、入力部6によって処理官僚を指示する情報が入力された場合、画像結合処理を完了する(ステップS208,Yes)。この場合、制御部9は、かかる画像結合処理によって生成した加工画像を記憶部8に保存する。
ここで、制御部9は、上述した画像結合処理によって生成した加工画像、例えば帯状のパノラマ画像をもとに、被検体100内の消化管内部を略立体的に表す円柱状の加工画像を生成することができる。この場合、画像結合部9eは、帯状のパノラマ画像の直交座標系を円柱座標系に変換するとともに、この帯状のパノラマ画像の長手方向の両端部を合成して円柱状の加工画像を生成する。制御部9は、このような円柱状の加工画像を記憶部8に保存する。
つぎに、上述したカプセル型内視鏡1の動きを制御する永久磁石3を選択するために準備した複数の永久磁石を収納する収納装置について説明する。図11は、複数の永久磁石を収納する収納装置の一構成例を模式的に示す模式図である。以下では、永久磁石3を選択するために準備した6つの永久磁石3a〜3fを収納する収納装置を例示する。なお、かかる永久磁石の数量は、2以上であればよく、この収納装置の構成を限定するものではない。
図11に示すように、この収納装置110は、永久磁石3a〜3fをそれぞれ収納する6つの収納部111〜116と、収納部111〜116を一体的に接続する台117と、収納部111〜116の各開閉駆動を制御する制御部118とを有する。なお、永久磁石3a〜3fは、それぞれを特定する例えば磁石番号1〜6がそれぞれ付される。この場合、永久磁石3a〜3fは、かかる磁石番号が大きい程、強い磁力を有するものである。
収納部111は、磁石番号1の永久磁石3aを収納するためのものである。具体的には、収納部111は、永久磁石3aを収納する箱部材111aと、箱部材111aの開口端を開閉する蓋111bと、箱部材111aに収納された永久磁石3aを検出する磁石検出部111cと、蓋111bを施錠するロック部111dとを有する。箱部材111aは、例えば側断面が凹状の部材であり、開口端近傍に蓋111bが回動自在に設けられる。かかる箱部材111aに収納された永久磁石3aは、蓋111bを開閉することによって出し入れされる。磁石検出部111cは、永久磁石3aが箱部材111aに収納された場合、この永久磁石3aの磁場または重さを検出し、この検出結果をもとに箱部材111a内の永久磁石3aの有無を検出する。磁石検出部111cは、この永久磁石3aの検出結果を制御部118に通知する。ロック部111dは、制御部118の制御をもとに蓋111bを施錠し、または蓋111bの施錠を解除する。
また、収納部112〜116は、磁石番号2〜6の永久磁石3b〜3fをそれぞれ収納するためのものであり、上述した収納部111とほぼ同様の構成および機能を有する。すなわち、収納部112〜116は、永久磁石3b〜3fを個別に収納する箱部材112a〜116aと、箱部材112a〜116aの各開口端をそれぞれ開閉する蓋112b〜116bと、箱部材112a〜116aにそれぞれ収納された永久磁石3b〜3fを個別に検出する磁石検出部112c〜116cと、蓋112b〜116bをそれぞれ施錠するロック部112d〜116dとを有する。この場合、箱部材112a〜116aは収納部111の箱部材111aとほぼ同様の機能を有し、蓋112b〜116bは収納部111の蓋111bとほぼ同様の機能を有する。また、磁石検出部112c〜116cは収納部111の磁石検出部111cとほぼ同様の機能を有し、ロック部112d〜116dは収納部111のロック部111dとほぼ同様の機能を有する。
制御部118は、例えば台118に設けられ、上述した磁石検出部111c〜116cおよびロック部111d〜116dの各駆動を制御する。具体的には、制御部118は、磁石検出部111c〜116cから永久磁石3a〜3fの各検出結果を取得し、取得した永久磁石3a〜3fの各検出結果をもとにロック部111d〜116dの各駆動を制御する。この場合、制御部118は、磁石検出部111c〜116cの全てから永久磁石有りの検出結果を取得すれば、施錠を解除する駆動制御をロック部111d〜116dに対して行う。
一方、制御部118は、磁石検出部111c〜116cのうちの一つから永久磁石無しの検出結果を取得すれば、この永久磁石無しの検出結果を通知した磁石検出部を有する収納部、すなわち永久磁石が取り出された収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、施錠を解除する駆動制御を行う。これと同時に、制御部118は、永久磁石有りの検出結果を通知した残りの磁石検出部を有する各収納部、すなわち永久磁石が収納されている各収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、蓋を施錠する駆動制御を行う。
このような制御部118は、収納部111〜116にそれぞれ収納された永久磁石3a〜3fの中からいずれか一つを取り出せるように駆動制御し、同時に複数の永久磁石を取り出せないようにする。例えば図11に示すように、検査者が永久磁石3a〜3fの中から永久磁石3aを取り出した場合、制御部118は、磁石検出部111cから永久磁石無しの検出結果を取得するとともに、残りの磁石検出部112c〜116cから永久磁石有りの検出結果を取得する。この場合、制御部118は、ロック部111dに対して蓋の施錠を解除する駆動制御を行うとともに、残りのロック部112d〜116dに対して蓋を施錠する駆動制御を行う。これによって、検査者は、収納装置110から必要な永久磁石のみを取り出すことができ、例えばカプセル型内視鏡1を導入した被検体100に対して複数の永久磁石を意図せず近接させる事態を防止でき、より安定した被検体100内の観察を行うことができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態1では、被検体内を撮像する撮像部を筐体の内部に固定配置し、所定の空間座標系における筐体の座標位置およびベクトル方向によって撮像視野の位置および方向を決定するようにし、また、外部の磁場に反応してこの筐体を動かす永久磁石を筐体内部に配置し、被検体の消化管内に導入した所定の液体中で筐体の座標位置およびベクトル方向の少なくとも一つを変えるようにしている。このため、被検体内に導入した際の筐体の座標位置およびベクトル方向の少なくとも一つを能動的に変えることができ、これによって、被検体の消化管内に対する撮像視野の位置および方向を容易に変えることができ、所望の観察部位である消化管内を隈なく撮像できる被検体内導入装置を実現することができる。また、被検体内に導入した液体によってこの被検体内導入装置に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した永久磁石)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
また、このような被検体内導入装置に対して磁場を発生する永久磁石を用い、被検体の消化管内に導入した所定の液体中で被検体内導入装置を動かし、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変えるようにしている。このため、消化管内に導入した液体中で被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを能動的に変えることができ、これによって、被検体の消化管内に対する撮像視野の位置および方向を容易に変えることができ、所望の観察部位である消化管内を短時間に隈なく観察できる被検体内導入システムを実現することができる。
さらに、かかる被検体内導入装置の比重を所定の液体に比して同程度またはそれ未満にしたので、外部の磁場強度によらず、消化管内に導入した所定の液体の表面に被検体内導入装置を浮揚でき、被検体内導入装置の動きを制御する外部の永久磁石の小型化を促進するとともに、この外部の永久磁石が発生した磁場によって被検体内導入装置を容易に水平方向に変位または揺動することができる。また、被検体内導入装置を浮揚する所定の液体の量を増減することによって、被検体内導入装置を容易に鉛直方向に変位させることができる。
また、かかる被検体内導入装置の筐体の一部分であって撮像部を覆うドーム部材を所定の液体に浸すことができるので、このドーム部材に発生した傷に液体膜を形成でき、これによって、消化管内の画像を撮像する際にドーム部材の傷が目立たなくなり、より鮮明な画像を撮像することができる。
(実施の形態1の変形例)
つぎに、この発明の実施の形態1の変形例について説明する。上述した実施の形態1では、被検体100の消化管内に導入した液体2aの表面に浮揚するとともに液体2aの表面に比して鉛直上方側に撮像視野を向けるカプセル型内視鏡1を用いていたが、この実施の形態1の変形例にかかる被検体内導入システムは、このようなカプセル型内視鏡1に代えて、液体2aの表面に浮揚するとともに液体2aの表面に比して鉛直下方側に撮像視野を向けるカプセル型内視鏡を備えている。
図12は、この発明の実施の形態1の変形例にかかる被検体内導入装置の一構成例を示す模式図である。図12に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡21は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体10に代えて筐体20を有する。この筐体20は、上述した筐体10のケース本体10aに代えてケース本体20aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体20は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体20aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体20aは、カプセル型内視鏡21の各構成部を内蔵するとともに、筐体20の中心に比して前端側に永久磁石11を有する。この場合、ケース本体20aは、上述したカプセル型内視鏡1と同様に、前端部に撮像部12を固定配置する。また、ケース本体20aの後端部には、空間領域20dが形成される。このようなケース本体20aとドーム部材10bとによって形成される筐体20は、上述したカプセル型内視鏡1の筐体10とほぼ同様に、液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ前端側に重心を有する。
なお、筐体20の比重を液体2aに比して同程度またはそれ未満にするとともに筐体20の重心を前端側にするために、ケース本体20aは、図12に例示したような永久磁石11の配置または空間領域20dの形成に限らず、液体2aに比して比重が大きくならない程度に前端部近傍に鉄または鉛等の錘を追加してもよいし、後端部近傍に空間領域を追加してもよいし、電源部19の配置を前端側に変更してもよい。
このような筐体20を有するカプセル型内視鏡21は、被検体100の消化管内に導入した液体2aの表面に浮揚するとともに、この液体2aの液面に比して鉛直下方側に撮像視野を向ける。図13は、カプセル型内視鏡21および液体2aを消化管内に導入した状態を例示する模式図である。図13に示すように、例えば被検体100の胃の内部にカプセル型内視鏡21および液体2aを導入した場合、カプセル型内視鏡21は、この胃内部の液体2aの表面に浮揚するとともに、この液体2aの表面に比して鉛直下方側に撮像視野を向ける。この時、撮像視野が完全に水中に含まれるようになっている。
ここで、かかるカプセル型内視鏡21の撮像視野に捉えられる胃壁(すなわち液体2aの表面に比して鉛直下方側の胃壁)は、上述した実施の形態1のように発泡剤を用いなくとも、胃内部に導入された液体2aによって伸展する。
また、カプセル型内視鏡21は、上述した実施の形態1の場合とほぼ同様に、液体2aの水位変化に伴って鉛直方向の位置を変化させる。したがって、カプセル型内視鏡21は、被検体100内に導入された後、上述したステップS104以降の処理手順を繰り返すことによって、観察部位を変えることができ、所望の観察部位、例えば胃の内部を隈なく撮像することができ、さらには、胃壁の拡大画像を撮像することができる。これによって、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる。
なお、このようなカプセル型内視鏡21は、筐体20の中心部近傍または後端側に重心を有するようにし、永久磁石3から印加される磁力によって液体2aから鉛直下方側に撮像視野を向けてもよいが、上述したように筐体20の前端側に重心を有することが望ましい。これによって、液体2aの浮力によってカプセル型内視鏡21の撮像視野を鉛直下方側に向けることができるので、より弱い磁力の永久磁石を用いてカプセル型内視鏡21の動きを制御でき、かかるカプセル型内視鏡21の動きを制御する永久磁石3を小型化することができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態1の変形例では、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の重心を前端側に変更したカプセル型内視鏡を用いたので、被検体の消化管内に導入した液体の表面下に撮像視野を向けた態様でカプセル型内視鏡を浮揚できる。このため、この液体を介して消化管内を撮像視野に捉えることができるとともに、発泡剤等を用いなくとも、この液体によって伸展した消化管内を撮像することができ、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、より鮮明な被検体内の画像を観察することができる。また、被検体内に導入した液体によって被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡21)に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した永久磁石)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、被検体100の消化管内に導入する液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有するカプセル型内視鏡1を用いていたが、この実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、このようなカプセル型内視鏡1に代えて、この液体2aを超える比重を有するカプセル型内視鏡を備えている。
図14は、この発明の実施の形態2にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図14に示すように、この実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡31を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡31は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様の撮像機能および無線通信機能を有するものであり、被検体100の消化管内に導入される液体2aに比して大きい比重を有する。このようなカプセル型内視鏡31は、この液体2aに沈み、永久磁石3によって印加された磁力に反応してこの液体2a中で揺動または移動する。このようにして、カプセル型内視鏡31は、消化管内での撮像視野の位置および方向の少なくとも一つを変えつつ消化管内の画像を順次撮像する。
つぎに、この発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡31の構成について説明する。図15は、この発明の実施の形態2にかかる被検体内導入装置の一構成例を示す模式図である。図15に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡31は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体10に代えて筐体30を有する。この筐体30は、上述した筐体10のケース本体10aに代えてケース本体30aを有する。また、ケース本体30aの内部には、錘32がさらに設けられる。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には、同一符号を付している。
筐体30は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体30aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体30aは、カプセル型内視鏡31の各構成部を内蔵する。この場合、ケース本体30aは、上述したカプセル型内視鏡1と同様に、前端部に撮像部12を固定配置し、筐体30の中心に比して後端側に永久磁石11および錘32を配置する。錘32は、鉄または鉛等の筐体30に所定の重量を追加するための部材である。このような錘32を所望数量追加したケース本体30aとドーム部材10bとによって形成される筐体30は、上述した液体2aに比して大きい比重を有し、且つ後端側に重心を有する。
なお、筐体30の比重を液体2aに比して大きくするために、ケース本体30aは、図15に例示したような錘32の追加に限らず、内部の空間領域を減らして高密度化してもよい。また、ドーム部材10bとケース本体30aの前端部とによって形成される空間領域10cを減らして筐体30の高密度化を実現してもよい。かかる筐体30の高密度化によって、カプセル型内視鏡31の小型化を促進できる。
かかる筐体30を有するカプセル型内視鏡31は、被検体100の消化管内に導入した液体2aに沈むとともに、この液体2aを介して消化管内を撮像視野に捉える。この場合、カプセル型内視鏡31は、筐体30の後端側に重心を有することによって、永久磁石3の磁力に依存しなくとも、例えば液体2aの浮力を用いて略鉛直上方に撮像視野を向けることができる。また、カプセル型内視鏡31は、液体2aを介して消化管内の画像を撮像できるので、上述した発泡剤を用いなくとも、液体2aによって伸展した消化管内の画像をより鮮明に撮像できる。
このようなカプセル型内視鏡31は、被検体100内に導入された後、上述したステップS104以降の処理手順を繰り返すことによって、所望の観察部位、例えば胃の内部を隈なく撮像することができる。これによって、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる。
つぎに、上述したステップS104,S105の処理手順を行ってカプセル型内視鏡31が液体2a中で位置または姿勢を変える動作について説明する。まず、被検体100内の観察部位である消化管(例えば胃)に導入したカプセル型内視鏡31が姿勢を変える動作について具体的に説明する。図16は、液体2aに沈んだカプセル型内視鏡31の姿勢を変える永久磁石3の動作を説明するための模式図である。
図16に示すように、永久磁石3は、例えば胃の近傍である被検体100の体表に近接した場合、胃内部の液体2aに沈んだカプセル型内視鏡31を磁力によって捕捉する。このようにカプセル型内視鏡31を捕捉した永久磁石3は、被検体100の体表上を例えば水平方向に揺動し、このカプセル型内視鏡31に対する磁場の位置および方向を変化させる。この場合、カプセル型内視鏡31は、かかる永久磁石3の揺動に追従して液体2aの底部で揺動し、長軸C1のベクトル方向を永久磁石3の位置に向ける。これと同時に、カプセル型内視鏡31は、胃内部の撮像視野の方向を変えつつ胃内部の画像を順次撮像する。この時、カプセル型内視鏡31内の永久磁石11の磁化方向が観察視野方向に対して80°以下の角度であることが望ましい。このように永久磁石11の磁化方向を調整することによって、永久磁石11に発生する磁界の方向に応じて、撮像視野の方向を変化させることができる。
このように永久磁石3が磁力によってカプセル型内視鏡31の揺動を制御することによって、カプセル型内視鏡31は、液体2aによって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。また、カプセル型内視鏡31の比重が液体の比重よりも大きい場合、カプセル型内視鏡31は、液体の底に沈み、胃壁と接触部分を有するため、この接触部分の摩擦によって、この接触部分が支点になり、その結果、確実に撮像視野の方向を変化させることができる。また、図示しないが、永久磁石3の水平方向の位置を変化させる代わりに、複数の電磁石を水平面状に複数個配置し、各電磁石が発生する磁界を、磁界強度変更部によって変更することで、カプセル型内視鏡31の永久磁石11に発生する磁界の方向を変化させることができる。かかる複数の電磁石の構成は、具体的には後述する図32、図35の様な構成にしても良い。
つぎに、被検体100内の観察部位である消化管(例えば胃)に導入したカプセル型内視鏡31が鉛直方向または水平方向に変位する動作について具体的に説明する。図17は、液体2aに沈んだカプセル型内視鏡31を鉛直方向または水平方向に変位させる永久磁石3の動作を説明するための模式図である。なお、ここで用いる永久磁石3は、液体2a中に沈んだカプセル型内視鏡31を鉛直上方に引き付けることが可能な磁場強度の磁場を発生するものである。この場合、永久磁石3は、被検体100の体表に対する距離を調整することによってカプセル型内視鏡31に作用する磁場強度を調整することができる。
図17に示すように、永久磁石3は、例えば胃の近傍である被検体100の体表に対して所定の距離まで近づいた場合、液体2aの底部に沈んだカプセル型内視鏡31を磁力によって捕捉する(状態1)。つぎに、かかるカプセル型内視鏡31を捕捉した永久磁石3は、被検体100の体表に向けてさらに近付けて体表上に近接し、この液体2aの底部に沈んだカプセル型内視鏡31に対して強い磁場を発生する。これによって、このカプセル型内視鏡31は、この永久磁石3の磁力に引き寄せられ、液体2aの表面に向かって上昇する(状態2)。このようにして、カプセル型内視鏡31は、略鉛直上方に変位することができ、これと同時に、胃内部の撮像視野を変位させつつ胃内部の画像を順次撮像する。
また、液体2aの表面にカプセル型内視鏡31を引き寄せた永久磁石3は、被検体100の体表上を略水平方向に移動し、このカプセル型内視鏡31に対する磁場の位置および方向を変化させる。この場合、カプセル型内視鏡31は、かかる永久磁石3の移動に追従して液体2a中を略水平方向に移動し(状態3)、これと同時に、胃内部の撮像視野を変位させつつ胃内部の画像を順次撮像する。
その後、永久磁石3は、被検体100の体表から離間する方向に移動し、このカプセル型内視鏡31に対する磁場強度を弱める。この場合、カプセル型内視鏡31は、かかる永久磁石3の磁力による補足から開放され、液体2aの底部に向けて鉛直下方に変位する(状態4)。これと同時に、カプセル型内視鏡31は、胃内部の撮像視野を変位させつつ胃内部の画像を順次撮像する。
このように永久磁石3が磁力によってカプセル型内視鏡31の変位動作を制御することによって、カプセル型内視鏡31は、液体2aによって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。この場合、カプセル型内視鏡31は、胃壁の所望位置に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。また、カプセル型内視鏡31は、液体2a中で水平移動する際に胃壁に対する接触を回避できるため、摩擦の発生を抑制でき、スムーズに水平移動することができる。この時、永久磁石3と被検体100との距離を変えることによって、カプセル内視鏡31に対して発生する磁界の強度を変更することができる。また、永久磁石3の代わりに電磁石を設けても良い。さらに、永久磁石3は、図示しないアームの様な構造体に固定され、この構造体の固定部の位置を変化させることによって、カプセル内視鏡31に対して発生する磁界の強度を変更するようにしても良い。
なお、このようなカプセル型内視鏡31は、筐体30の中心部近傍または前端側に重心を有するようにし、永久磁石3から印加される磁力によって鉛直上方側に撮像視野を向けてもよいが、上述したように筐体30の後端側に重心を有することが望ましい。これによって、液体2aの浮力によってカプセル型内視鏡31の撮像視野を鉛直上方側に向けることができるので、より弱い磁力の永久磁石を用いてカプセル型内視鏡31の動きを制御でき、かかるカプセル型内視鏡31の動きを制御する永久磁石3を小型化することができる。さらに、永久磁石3の姿勢を変化させることによって、移動中のカプセル型内視鏡31の姿勢を制御することができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の比重を所定の液体に比して大きくしたカプセル型内視鏡を用いたので、被検体の消化管内に導入した所定の液体中に沈んだ状態で撮像視野の位置および方向を変えることができる。このため、この所定の液体を介して消化管内を撮像視野に捉えることができるとともに、発泡剤等を用いなくとも、この所定の液体によって伸展した消化管内を撮像することができ、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、より鮮明な被検体内の画像を観察することができる。また、被検体内に導入した液体によって被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡31)に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した永久磁石)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型内視鏡1の動きを磁力によって制御する永久磁石3を用いていたが、この実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、このような永久磁石3に代えて電磁石を備えるようにしている。
図18は、この発明の実施の形態3にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図18に示すように、この実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムの永久磁石3に代えて磁場発生装置43を有し、ワークステーション4に代えてワークステーション40を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
磁場発生装置43は、カプセル型内視鏡1に対して磁場を発生する磁場発生部43aと、磁場発生部43aを一端部に接続するアーム部43bと、アーム部43bを介して磁場発生部43aを操作する操作部43cとを有する。このような磁場発生装置43は、ケーブル等を介してワークステーション40に電気的に接続され、このワークステーション40によって制御される。
つぎに、ワークステーション40および磁場発生装置43の各構成について詳細に説明する。図19は、ワークステーション40および磁場発生装置43の一構成例を模式的に示すブロック図である。図19に示すように、ワークステーション40は、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのワークステーション4の制御部9に代えて制御部49を有する。制御部49は、上述したワークステーション4の制御部9の磁石選択部9cに代えて磁場制御部49cを有する。また、磁場発生装置43の操作部43cは、ケーブル等を介して制御部49に電気的に接続される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
磁場発生部43aは、被検体100の消化管内に導入した液体2a中でのカプセル型内視鏡1の動きを制御する磁場を発生するためのものである。具体的には、磁場発生部43aは、電磁石等を用いて実現され、アーム部43bを介して操作部43cから供給された駆動電力をもとに磁場を発生する。この場合、磁場発生部43aは、被検体100の体表上に近接し、この駆動電力をもとに発生した磁場によって、例えば液体2aの表面に浮揚するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御する。一方、アーム部43bは、一端に磁場発生部43aが接続されるとともに他端に操作部43cが接続され、かかる磁場発生部43aと操作部43cとを電気的に接続する。
操作部43cは、アーム部43bの端部に設けられた磁場発生部43aを操作するためのものである。具体的には、操作部43cは、検査者に把持され、検査者の操作によって被検体100に対する磁場発生部43aの位置を調整する。また、操作部43cは、制御部9から駆動電力が供給され、この駆動電力を調整しつつ磁場発生部43aに供給する。この場合、操作部43cは、この磁場発生部43aに供給する駆動電力を調整する調整スイッチ(図示せず)を有し、検査者による調整スイッチの操作に基づいて、磁場発生部43aに供給する駆動電力を調整する。
一方、ワークステーション40の制御部49は、上述したワークステーション4の制御部9とほぼ同様の機能を有し、さらに、磁場発生装置43の駆動を制御する。具体的には、制御部49は、磁場発生部43aの磁場強度を制御する磁場制御部49cをさらに有する。磁場制御部49cは、状態判断部9gによる磁場強度の判断結果をもとに、磁場発生装置43に供給する駆動電力を制御し、これによって、磁場発生装置43の磁場強度を制御する。この場合、状態判断部9gは、カプセル型内視鏡1から受信した磁場検出信号をもとに、カプセル型内視鏡1に対する磁場発生部43aの磁場強度について判断する。
このような磁場制御部49cは、例えば入力部6によって入力された被検体100の患者情報をもとに、磁場発生装置43に供給する駆動電力を初期設定し、その後、状態判断部9gによる磁場強度の判断結果をもとに、この駆動電力を調整する。かかる磁場制御部49cによって制御された磁場発生装置43は、被検体100の消化管内に導入したカプセル型内視鏡1を液体2a中で動かすに充分な磁場を発生できる。この場合、検査者は、上述したステップS101以降の処理手順を行うことによって、胃等の所望の観察部位を短時間に隈なく観察することができる。
また、磁場制御部49cは、かかる磁場発生部43aに対して供給する駆動電力を制御することによって、液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を止めるように磁場発生部43aの磁場強度を制御できる。図20は、磁場発生装置43の磁場強度を制御する制御部49の動作を説明するための模式図である。
まず、制御部49は、被検体100の体表上に近接した磁場発生装置43に対して駆動電力を供給し、例えば胃内部に導入したカプセル型内視鏡1に対して磁場を発生させる。この場合、磁場制御部49cは、上述したように磁場発生装置43に対して供給する駆動電力を制御し、磁場発生装置43の磁場強度を制御する。磁場発生部43aは、かかる磁場制御部49cによって制御された駆動電力をもとに磁場を発生し、例えば図20に示すように、液体2aの表面に浮揚するカプセル型内視鏡1を磁力によって捕捉する。
つぎに、制御部49は、例えば入力部6からの指示情報に基づいて、液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を止める磁場強度になるように磁場発生装置43への駆動電力を制御する。この場合、磁場制御部49cは、カプセル型内視鏡1の位置姿勢情報をもとに磁場発生装置43への駆動電力を制御し、磁場発生装置43の磁場によってカプセル型内視鏡1を液体2aの表面下に止めるよう磁場強度を制御する。
ここで、磁場発生部43aが液体2a中のカプセル型内視鏡1を引き寄せる磁場を発生した場合、このカプセル型内視鏡1は、例えば図20に示すように、その自重G1に対して磁場発生部43aからの磁力G2と液体2aからの浮力G3とが加えられる。この場合、自重G1および磁力G2の力の向きは鉛直下方であり、浮力G3の力の向きは鉛直上方である。すなわち、カプセル型内視鏡1は、自重G1および磁力G2の和に比して浮力G3が大きい場合に液体2aの表面に向けて上昇し、自重G1および磁力G2の和に比して浮力G3が小さい場合に液体2aの底部に向けて下降し、自重G1および磁力G2の和に比して浮力G3が同程度である場合に液体2a中に止まる。
したがって、磁場制御部49cは、カプセル型内視鏡1の位置姿勢情報をもとに磁場発生装置43の磁場強度、すなわち磁力G2を制御することによって、液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を止めることができる。この場合、磁場制御部49cは、カプセル型内視鏡1の位置姿勢情報をもとに、カプセル型内視鏡1が液体2aの表面下に止まっているか否かを判断し、この判断結果をもとに磁場発生装置43に供給する駆動電力を制御する。磁場発生部43aは、かかる磁場制御部49cに制御された駆動電力をもとに磁場強度、すなわち磁力G2を調整し、例えば液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を沈める磁場を発生し、その後、このカプセル型内視鏡1を止める磁場を発生する。
このように液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を止める磁場を発生した状態において、磁場発生装置43は、上述した操作部43cの調整スイッチを操作して磁場発生部43aに供給する駆動電力を調整することによって、この液体2a中のカプセル型内視鏡1を鉛直上方または鉛直下方に変位することができる。具体的には、磁場発生装置43は、操作部43cの調整スイッチを操作して駆動電力を下げることによって磁力G2を減少し、液体2aの表面に向けてカプセル型内視鏡1を上昇させることができる。また、磁場発生装置43は、操作部43cの調整スイッチを操作して駆動電力を上げることによって磁力G2を増加し、液体2aの底部に向けてカプセル型内視鏡1を下降させることができる。
また、磁場発生装置43は、磁場制御部49cの制御に基づいて磁場強度を調整しつつ被検体100の体表上を移動することによって、液体2aの表面下に沈めた状態を維持しつつカプセル型内視鏡1を変位させることができる。図21は、液体2aに沈んだ状態を維持しつつカプセル型内視鏡31を変位する磁場発生装置43の動作を説明するための模式図である。
図21に示すように、磁場発生装置43は、まず、磁場制御部49cの制御に基づいて例えば胃内部の液体2aの表面下にカプセル型内視鏡1を止める磁場を発生し、カプセル型内視鏡1を磁力によって補足するとともに液体2aの表面下に止める。その後、磁場発生装置43は、操作部43cの調整スイッチを操作して磁力G2を増加し、カプセル型内視鏡1を液体2aの底部まで下降させる(状態1)。
つぎに、磁場発生装置43は、操作部43cの調整スイッチを操作して磁力G2を減少し、カプセル型内視鏡1を液体2aの表面と底部との間に上昇させる(状態2)。ここで、磁場発生部43は、操作部43cを操作して磁場発生部43aを被検体100の体表に沿って略水平方向に移動し、このカプセル型内視鏡1に対する磁場の位置および方向を変化させる。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる磁場発生部43aの移動に追従して液体2a中を略水平方向に移動する(状態3)。
その後、磁場発生装置43は、操作部43cの調整スイッチを操作して磁力G2を増加し、カプセル型内視鏡1を液体2aの底部まで下降させる(状態4)。このようにして、磁場発生装置43は、液体2aの表面下に沈めた状態を維持しつつカプセル型内視鏡1を変位させることができる。この場合、カプセル型内視鏡1は、上述した状態1〜状態4に変位するまでの間、胃内部の撮像視野を変位させつつ胃内部の画像を順次撮像する。さらに、図示しないが、磁場発生部43aの方向を変化させることによって、カプセル型内視鏡1の姿勢を制御しても良い。これにより、液体内でカプセル型内視鏡1の位置(水平方向,鉛直方向)と姿勢とを制御することができる。さらに、制御部49が、図示しないパターン駆動部を備え、パターン駆動部が、予め決められたパターンに基づいて、磁界発生部43a,アーム部43bを制御し、カプセル型内視鏡1の位置(水平,鉛直方向)と姿勢とを制御するようにしても良い。
このように磁場発生装置43が磁力によってカプセル型内視鏡1の変位動作を制御することによって、カプセル型内視鏡1は、液体2aによって伸展した胃壁を隈なく撮像することができる。この場合、カプセル型内視鏡1は、胃壁の所望位置に近接して胃壁の拡大画像を撮像できる。また、本実施の形態3では、液体の上に気体が存在するが、胃内が液体で満たされる場合、図示しないが、カプセル型内視鏡1が、胃上面に接触し、水平方向の移動が難しくなる。この場合、磁気引力でカプセル型内視鏡1を水中まで移動し、さらに、水平方向に移動することによって、胃上面の影響を受けないで位置を制御することができ、制御性が向上する。
以上、説明したように、この発明の実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡の動きを電磁石の磁場によって制御するように構成したので、被検体の消化管内に導入した所定の液体中にカプセル型内視鏡を容易に止めることができ、消化管内に導入したカプセル型内視鏡の撮像視野の位置および方向を容易に変えることができる。このため、この所定の液体を介して消化管内を撮像視野に捉えることができるとともに、発泡剤等を用いなくとも、この所定の液体によって伸展した消化管内をより鮮明に撮像することができ、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、被検体内を容易に観察することができる。
また、この実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡の動きを電磁石の磁場によって制御する構成は、実施の形態1に限らず、上述した実施の形態1の変形例および実施の形態2に適用することもできる。かかる実施の形態1の変形例または実施の形態2と実施の形態3との組み合わせによって、上述した実施の形態1の変形例または実施の形態2の作用効果を享受するとともに、消化管内に導入したカプセル型内視鏡の撮像視野の位置および方向を容易に変えることができ、被検体内を容易に観察することができる。また、被検体内に導入した液体によって被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡1)に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した永久磁石)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態3では、単一の電磁石を用いて液体中のカプセル型内視鏡の動きを制御していたが、この実施の形態4にかかる被検体内導入システムは、カプセル型内視鏡に対して水平方向の磁場を発生する電磁石と鉛直方向の磁場を発生する電磁石とを備えるようにし、かかる複数の電磁石の各磁場によって液体中でのカプセル型内視鏡の動きを制御している。
図22は、この発明の実施の形態4にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図22に示すように、この実施の形態4にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態3にかかる被検体内導入システムのカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡51を有し、磁場発生装置43に代えてカプセル誘導装置60を有し、ワークステーション40に代えてワークステーション70を有する。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡51は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様の撮像機能および無線通信機能を有するものであり、長手方向に代えて径方向に磁化された磁石を内蔵する。また、カプセル型内視鏡51は、液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ筐体の中心部近傍に重心を有する。なお、カプセル型内視鏡51は、筐体50の前端側または後端側に重心を有するように構成されてもよいが、上述したように筐体50の中心部近傍に重心を有することが望ましい。これによって、カプセル型内視鏡51の姿勢変更に必要な磁気トルクが略一定となるため、カプセル型内視鏡51の姿勢制御性が向上し、より安定した観察ができる。
カプセル誘導装置60は、所望の***の被検体100を配置する被検体配置部であるベッド60aに設けられ、この被検体100内に導入した液体2a中でのカプセル型内視鏡51の動きを制御するとともに、被検体100内の所望の位置にカプセル型内視鏡51を誘導する。このようなカプセル型内視鏡60は、ベッド60aに配置した被検体100内のカプセル型内視鏡51に対して(あるいは被検体配置部に対して)略鉛直方向に磁場を発生する鉛直磁場発生部61と、このカプセル型内視鏡51に対して略水平方向に磁場を発生する水平磁場発生部62とを有する。また、カプセル誘導装置60は、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を搭載する回転テーブル63と、ベッド60aの長手方向(Y軸方向)に回転テーブル63を移動する可動台64と、ベッド60aの短手方向(X軸方向)に可動台64を移動する可動台65とを有する。
鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62は、回転テーブル63に搭載された状態でベッド60aの被検体配置部近傍に配置され、この被検体配置部に配置された被検体100内のカプセル型内視鏡51に対し、この被検体配置部を介して磁場を発生する。この場合、鉛直磁場発生部61は、この被検体100内のカプセル型内視鏡51に対して略鉛直方向に磁力を印加する磁場を発生する。また、水平磁場発生部62は、この被検体100内のカプセル型内視鏡51に対して略水平方向に磁力を印加する磁場を発生する。
回転テーブル63は、搭載した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62をベッド60aの被検体配置部近傍に配置する。また、回転テーブル63は、駆動部63aを有し、このように搭載した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を回転する。この場合、駆動部63aは、この鉛直磁場発生部61のコイル軸を回転中心にし、水平磁場発生部62を鉛直磁場発生部61の周囲に回転させる。
可動台64は、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62をベッド60aのY軸方向に移動するためのものである。具体的には、可動台64は、駆動部64aを有し、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62が搭載された回転テーブル63を搭載する。駆動部64aは、可動台65に設けられたレール65bに沿って、すなわちベッド60aのY軸方向に可動台64を移動させる。
可動台65は、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62をベッド60aのX軸方向に移動するためのものである。具体的には、可動台65は、駆動部65aを有し、上述した回転テーブル63が搭載された可動台64を搭載する。駆動部64aは、ベッド60aの底部に設けられた1対のレール66a,66bに沿って、すなわちベッド60aのX軸方向に可動台65を移動させる。
このような可動台64,65は、ベッド60aの被検体配置部の所望位置、すなわちベッド60aの長手方向の軸(Y軸)と短手方向の軸(X軸)との直交座標系XYの所望の座標位置に、回転テーブル63上の鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を移動できる。また、回転テーブル63は、この直交座標系XYの所望の座標位置において、この直交座標系XYの平面と鉛直磁場発生部61のコイル軸とを略直角にした状態で鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を回転できる。
ワークステーション70は、上述した実施の形態3にかかるワークステーション40とほぼ同様の機能を有し、カプセル誘導装置60を操作する操作機能をさらに有する。具体的には、ワークステーション70は、ケーブル等を介してカプセル誘導装置60と電気的に接続され、上述した鉛直磁場発生部61、水平磁場発生部62、および駆動部63a,64a,65aの各駆動を制御する。
つぎに、この発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡51の構成について説明する。図23は、この発明の実施の形態4にかかる被検体内導入装置の一構成例を示す模式図である。図23に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡51は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体10に代えて筐体50を有し、永久磁石11に代えて永久磁石52を有する。この筐体50は、上述した筐体10のケース本体10aに代えてケース本体50aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体50は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体50aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体50aは、カプセル型内視鏡51の各構成部を内蔵する。この場合、ケース本体50aは、上述したカプセル型内視鏡1と同様に、前端部に撮像部12を固定配置する。また、ケース本体50aの後端部には、空間領域50dが形成される。このようなケース本体50aとドーム部材10bとによって形成される筐体50は、上述した液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有し、且つ中心部近傍に重心を有する。
永久磁石52は、外部に発生した磁場の磁力によって筐体50を動作する駆動手段として機能する。具体的には、永久磁石52は、筐体50の径方向(例えば径軸C2aの方向)に磁化し、例えば上述した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62が永久磁石52に対して磁場を発生した場合、かかる磁場によって印加された磁力に基づいて液体2a中の筐体50を移動または揺動する。これによって、永久磁石52は、液体2a中のカプセル型内視鏡51の姿勢および位置の少なくとも一つを磁力によって変えることができる。
つぎに、ワークステーション70の構成について説明する。図24は、ワークステーション70の一構成例を模式的に示すブロック図である。図24に示すように、ワークステーション70は、上述した実施の形態3にかかるワークステーション40の制御部49に代えて制御部79を有し、カプセル誘導装置60を操作するための操作部76をさらに有する。この制御部79は、上述した制御部49の磁場制御部49cに代えて磁場制御部79iを有し、カプセル誘導装置60の駆動を制御する駆動制御部79hをさらに有する。この場合、制御部79は、ケーブル等を介してカプセル誘導装置60と電気的に接続される。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
操作部76は、カプセル誘導装置60を操作するためのものである。具体的には、操作部76は、カプセル誘導装置60の各駆動部63a,64a,65aの駆動を操作する操作レバーと鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度を調整する調整スイッチとを有し、かかるカプセル誘導装置60の駆動を指示する指示情報を制御部79に入力する。
制御部79は、上述したワークステーション40の制御部49とほぼ同様の機能を有し、さらに、カプセル誘導装置60の駆動を制御する。このような制御部79は、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度を制御する磁場制御部79iと、駆動部63a,64a,65aの各駆動を制御する駆動制御部79hとをさらに有する。
駆動制御部79hは、検査者の操作に基づいて操作部76から入力された指示情報をもとに、駆動部63a,64a,65aの各駆動を制御する。この場合、駆動制御部79hは、駆動部63aの駆動制御を行って、上述したように水平磁場発生部62を鉛直磁場発生部61の周囲に回転させる。また、駆動制御部79hは、駆動部64aの駆動制御を行って可動台64をレール65bに沿って移動させ、駆動部65aの駆動制御を行って可動台65を1対のレール66a,66bに沿って移動させる。
磁場制御部79iは、上述した制御部49の磁場制御部49cとほぼ同様に、状態判断部9gの判断結果またはカプセル型内視鏡51の位置姿勢情報をもとに、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62のそれぞれに供給する駆動電力を制御し、かかる鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度を制御する。あるいは、磁場制御部79iは、入力部6によって入力された被検体100の患者情報または操作部76によって入力された指示情報をもとに、かかる鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度を制御する。
このような制御部79は、カプセル誘導装置60の駆動を制御することによって、被検体100の消化管内に導入した液体2a中のカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御できる。図25は、カプセル誘導装置60の駆動を制御する制御部79の動作を説明するための模式図である。なお、以下では、被検体100の大腸内にカプセル型内視鏡51および液体2aを導入した場合を例示して説明する。
まず、制御部79は、被検体100の大腸に導入した液体2a中のカプセル型内視鏡51に対して磁力を印加できる位置に鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を移動させる。この場合、駆動制御部79hは、操作部76からの指示情報またはカプセル型内視鏡51の位置姿勢情報をもとに駆動部63a,64a,65aの駆動を制御し、このカプセル型内視鏡51を磁力によって捕捉可能な位置に鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を移動させる。
つぎに、制御部79は、このカプセル型内視鏡51を磁力によって補足するように鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各駆動を制御する。この場合、磁場制御部79iは、上述したように鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62のそれぞれに供給する駆動電力を制御し、かかる鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度を制御する。かかる磁場制御部79iの制御によって、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62は、このカプセル型内視鏡51に対して略鉛直方向の磁場および略水平方向の磁場をそれぞれ発生する。この場合、このカプセル型内視鏡51は、かかる鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62によって印加された各磁力によって捕捉される。
ここで、かかる鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁力によって捕捉されたカプセル型内視鏡51は、例えば図25に示すように、鉛直方向の磁場による磁力G4と水平方向の磁場による磁力G5とが印加される。この場合、カプセル型内視鏡51は、かかる鉛直方向の磁場と水平方向の磁場との合成磁場による合成磁力G6が印加されたことになり、この合成磁力G6に基づいて液体2a中での位置および姿勢が制御される。制御部79は、鉛直磁場発生部61のコイル軸C3を中心に回転テーブル63を回転駆動する制御を行うことによって磁力5のベクトル方向(すなわち合成磁力6のベクトル方向)を変化し、このカプセル型内視鏡51の姿勢を変化できる。また、制御部79は、可動台64,65の各駆動を制御することによって磁力G4,G5の位置(すなわち合成磁力G6の位置)を変化し、このカプセル型内視鏡51の位置を変化できる。
また、制御部79は、鉛直磁場発生部61の磁場強度を制御することによって、液体2a中でのカプセル型内視鏡51の鉛直方向の位置を制御できる。具体的には、磁場制御部79iは、例えば図26に示すように、鉛直磁場発生部61の磁場強度を所定の周期で増減する制御を行い、カプセル型内視鏡51に印加される鉛直方向の磁力G4を所定の周期で増減する。カプセル型内視鏡51は、自重G7および磁力G4の和に比して浮力G8が大きい場合に液体2a中を上昇し、自重G7および磁力G4の和に比して浮力G8が小さい場合に液体2a中を下降し、自重G7および磁力G4の和に比して浮力G8が同程度である場合に液体2a中に止まる。
したがって、磁場制御部79iは、カプセル型内視鏡51の位置姿勢情報をもとに鉛直磁場発生部61の磁場強度、すなわち磁力G4の増減を制御することによって、上述した実施の形態3の場合とほぼ同様に、液体2a中でのカプセル型内視鏡51の鉛直方向の位置を制御でき、このカプセル型内視鏡51を鉛直方向の所望の位置に止めることができる。また、磁場制御部79iは、上述した操作部76からの指示情報等をもとに磁力G4の増減を制御し、液体2a中でのカプセル型内視鏡51の鉛直方向の位置を制御することもできる。
さらに、制御部79は、入力部6または操作部76からの指示情報をもとに、上述した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度および各磁場方向を所定の周期で繰り返し往復変化させることによって、液体2a中で長軸C1の方向を所定の周期で繰り返し往復変化させるカプセル型内視鏡51の往復回動を制御できる。この場合、液体2a中のカプセル型内視鏡51は、かかる制御部79の制御をもとに、筐体50の所定の位置を回転中心にして自動的に往復回動を繰り返し、被検体100内に対する撮像視野の方向および位置を繰り返し往復変化させる。かかる往復回動によって、カプセル型内視鏡51は、広範囲(広角)の消化管内の画像を容易に撮像することができる。なお、制御部79は、撮像部12の撮像タイミングに合わせて、このカプセル型内視鏡51の往復回動を制御することが望ましい。これによって、制御部79は、カプセル型内視鏡51を往復回動させた際の画像のぶれを抑制することができる。
なお、上述した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62は、それぞれ所望数量の電磁石を用いて実現される。この場合、鉛直磁場発生部61は、例えば図27に示すように、2つの電磁石61a、61bを同心円状に配置し、かかる電磁石61a,61bに対して互いに逆方向に駆動電流を流すように構成されることが望ましい。このような構成にすることによって、鉛直磁場発生部61は、内側の電磁石61aの発生磁場の外側に逆方向の磁場を発生させることができ、これによって、外側からコイル軸C3に向かう磁場勾配を増大させることができる。このような磁場を発生させることによって、鉛直磁場発生部61は、例えば被検体100の大腸内に導入された液体2a中のカプセル型内視鏡51を磁力によって捕捉し易くなる。このことは、かかるカプセル型内視鏡51の位置および姿勢の制御性を高めることができる。
一方、上述したカプセル型内視鏡51は、被検体100内に導入する液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有することが望ましく、さらには、この液体2aの比重の1/2に比して大きい比重を有することが望ましい。これは、以下に示すことに起因する。すなわち、カプセル型内視鏡51の比重が液体2aの比重の1/2に比して小さい場合、液体2a中のカプセル型内視鏡51に発生する浮力と自重との差がこの自重に比して大きくなる。この場合、上述したカプセル型内視鏡51の動作制御に必要な磁力(すなわち鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62のそれぞれによって印加される磁力)が、液体2aの外部、例えば空気中に配置したカプセル型内視鏡51の動作制御に必要の磁力を上回る。このため、かかるカプセル型内視鏡51の動作制御に必要の磁力を大きくする必要が有り、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の小型化または省電力化が困難になるからである。すなわち、カプセル型内視鏡51の比重を液体2aの比重の1/2に比して大きくすることによって、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の小型化および省電力化を促進できる。
また、カプセル型内視鏡51は、筐体50の径方向に磁化した永久磁石52を有しているが、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様に長軸C1方向に磁化した永久磁石を備えるようにしてもよい。このような構成を有するカプセル型内視鏡51は、上述した水平方向の磁場、すなわち水平方向に印加される磁力によって長軸C1のベクトル方向を規制することができる。このことは、カプセル誘導装置60によるカプセル型内視鏡51の姿勢制御を確実なものにし、かかるカプセル型内視鏡51の液体2a中での姿勢制御性を高めることができる。
つぎに、カプセル型内視鏡51によって撮像された画像をもとに被検体100の消化管内(例えば大腸等)を観察する処理手順について説明する。図28は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡51による消化管内の画像をもとに被検体100の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。
図28において、まず、検査者は、ワークステーション70または所定のスターターを用いてカプセル型内視鏡51の撮像動作を開始させ、このカプセル型内視鏡51を被検体100の内部に導入し、さらに供給器2を用いて被検体100の内部に液体2aを導入する(ステップS301)。この場合、カプセル型内視鏡51および液体2aは、例えば被検体100の口から飲み込まれ、その後、被検体100内の観察すべき所望の消化管(例えば大腸等)に到達する。検査者は、カプセル型内視鏡51によって撮像された画像をワークステーション70に表示させ、この画像を視認することによって被検体100内でのカプセル型内視鏡51の位置を把握する。なお、検査者は、被検体100内にカプセル型内視鏡51を導入した後に、ワークステーション70を操作してカプセル型内視鏡51の撮像動作を開始させてもよい。また、カプセル型内視鏡51および液体2aは、経肛門的に被検体100内に導入されてもよい。例えば大腸のみを観察する場合は、経肛門的にカプセル型内視鏡51および液体2aを導入することによって、カプセル型内視鏡51および液体2aが大腸に到達する時間を短縮でき、検査時間を短縮できる。
ここで、被検体100に導入したカプセル型内視鏡51および液体2aが例えば大腸等の細い管状の消化管内に到達した場合、液体2aは、この消化管内を伸展させ、この液体2a中のカプセル型内視鏡51は、かかる液体2aの作用によって消化管に対する撮像視野が確保され、この伸展した消化管内の画像を撮像することができる。
つぎに、検査者は、ワークステーション70の操作部76等を操作して、この消化管内のカプセル型内視鏡51を磁気的に捕捉する(ステップS302)。この場合、制御部79は、検査者の入力操作に応じて例えば操作部76から入力された指示情報をもとに、上述したようにカプセル誘導装置60の駆動を制御する。カプセル誘導装置60は、かかる制御部79の制御に基づいてカプセル型内視鏡51を磁気的に捕捉する。具体的には、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62は、上述した回転テーブル63および可動台64,65の各駆動によって消化管内のカプセル型内視鏡51の近傍に移動し、このカプセル型内視鏡51に対して鉛直方向および水平方向の各磁場を発生する。このカプセル型内視鏡51は、上述したように、かかる各磁場によって印加される磁力に捕捉される。
このように磁力によってカプセル型内視鏡51を捕捉した場合、検査者は、操作部76を操作してカプセル誘導装置60を駆動させ、このカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御する(ステップS303)。この場合、消化管内のカプセル型内視鏡51は、液体2a中で鉛直方向および水平方向に磁力が印加され、鉛直方向および水平方向の各磁力の作用によって、この液体2a中で揺動し、または鉛直方向に移動する。また、このカプセル型内視鏡51は、カプセル誘導装置60の駆動によって消化管内を水平方向に移動する。このように、カプセル誘導装置60は、制御部79の制御に基づいて、所望の観察部位である消化管内でのカプセル内視鏡51の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる。この場合、カプセル型内視鏡51は、消化管内に対する撮像視野の方向を筐体50の動きとともに変化させつつ、この液体2aによって伸展した消化管内の画像を順次撮像する。
つぎに、検査者は、この消化管内の他の位置を撮像し続ける場合(ステップS304,No)、被検体100の現在の***(例えば仰臥位)を所望の***(例えば左側臥位)に変換し(ステップS305)、その後、上述したステップS302以降の処理手順を繰り返す。この場合、検査者は、ワークステーション70に表示した消化管内の画像を参照しつつ、操作部76等を操作してカプセル誘導装置60を駆動させ、この消化管内でのカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を所望のものに制御する。
上述したステップS302〜S305の処理手順を繰り返すことによって、カプセル型内視鏡51は、例えば大腸の上行結腸、横行結腸、下行結腸等を肛門に向かって液体2aとともに順次移動しつつ画像を撮像し、この消化管内(例えば大腸等)の略全域を撮像することができる。検査者は、かかるカプセル型内視鏡51によって撮像された画像をワークステーション70に表示させることによって、被検体100内の所望の観察部位である消化管内を隈なく観察することができる。
その後、検査者は、この観察部位である消化管内の観察を完了し、この消化管内の撮像を完了する場合(ステップS304,Yes)、操作部76等を操作してカプセル誘導装置60を駆動させ、この消化管の出口側にカプセル型内視鏡51を誘導し(ステップS306)、この観察部位である大腸内の撮像を完了する。
なお、カプセル型内視鏡1は、つぎの消化管内に移動した場合、それ以降の消化管の蠕動、液体2aの流れ、またはカプセル誘導装置60の磁力等によって被検体100内を移動しつつ消化管内の画像を撮像し、被検体100の外部に排出される。
つぎに、検査者が被検体100の大腸を観察する場合を例示して、この観察部位である大腸に導入したカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御する動作について具体的に説明する。図29は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御するカプセル誘導装置60の動作を説明するための模式図である。
図29に示すように、カプセル誘導装置60は、上述した制御部79の制御に基づいて、被検体100の大腸に導入されたカプセル型内視鏡51の近傍に鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を移動させ、このカプセル型内視鏡51を液体2a中で磁気的に捕捉する。この場合、鉛直磁場発生部61は、このカプセル型内視鏡51に対して鉛直方向に磁力を印加し、水平磁場発生部62は、このカプセル型内視鏡51に対して水平方向に磁力を印加する。
つぎに、カプセル誘導装置60は、制御部79の制御に基づいて、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の各磁場強度、回転テーブル63の回転駆動によって変化する水平磁場発生部62の回転位置(すなわち鉛直磁場発生部61の周囲の位置)、並びに可動台64,65の駆動によって変化する鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62の位置(すなわち直交座標系XYにおける座標位置)を調整し、大腸内におけるカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御する。
かかるカプセル誘導装置60の制御によって、この大腸内のカプセル型内視鏡51は、液体2a中で止まり、または鉛直方向または水平方向に変位する。また、この大腸内のカプセル型内視鏡51は、液体2a中で揺動し、または所定の周期で往復揺動する。このようなカプセル型内視鏡51は、カプセル誘導装置60によって大腸内の液体2a中で位置および姿勢を所望のものに変化させ、大腸内部に対する撮像視野を所望の位置または方向に順次変化させる。これによって、カプセル型内視鏡51は、液体2aによって伸展させた大腸内の略全域を撮像することができる。
また、検査者が、ワークステーション70に表示した画像をもとに例えば大腸内の患部102を発見し、この患部102の画像を参照しつつ操作部76を操作した場合、制御部79は、かかる操作部76によって入力された指示情報をもとにカプセル誘導装置60の駆動を制御し、カプセル誘導装置60は、かかる制御部79の制御をもとに液体2a中のカプセル型内視鏡51を誘導し、大腸内の患部102にカプセル型内視鏡51を近接させる。これによって、カプセル型内視鏡51は、この患部102の拡大画像を撮像できる。
さらに、制御部79は、表示部7に表示した画像の所望の座標位置、例えば画像内における患部102の座標位置を指定する情報を入力部6から入力された場合、この座標位置の指定情報とカプセル型内視鏡51の位置姿勢情報とをもとにカプセル誘導装置60を駆動制御することによって、この患部102にカプセル型内視鏡51を近接させることができる。この場合、カプセル誘導装置60は、かかる制御部79の制御に基づいて液体2a中のカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御し、例えば患部102にカプセル型内視鏡51を自動的に近接させることができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態4では、被検体内を撮像する撮像部を筐体の内部に固定配置し、且つ、筐体に対して所定の方向に磁化した永久磁石を筐体内部に配置し、外部の合成磁場に反応してこの永久磁石が筐体を動かすようにし、被検体の消化管内に導入した所定の液体中で筐体の座標位置およびベクトル方向の少なくとも一つを変化させるようにしている。このため、上述した実施の形態3と同様に、被検体内の液体中で筐体を止めることができるとともに、この筐体の座標位置およびベクトル方向の少なくとも一つを能動的に変えることができる。これによって、上述した実施の形態3と同様の作用効果を享受できるとともに、小腸または大腸等の細い管状の消化管内に導入した液体中で消化管内に対する撮像視野の位置および方向を容易に変えることができ、かかる細い管状の消化管内の画像を撮像するに好適な被検体内導入装置を実現することができる。
また、このような被検体内導入装置に対して鉛直方向および水平方向に各磁場を発生する複数の電磁石を用い、被検体の消化管内に導入した所定の液体中で被検体内導入装置に対して合成磁場による磁力を印加し、この被検体内導入装置の位置および姿勢を制御するようにしている。このため、小腸または大腸等の細い管状の消化管内に導入した液体中で被検体内導入装置の位置および姿勢を能動的に変えて消化管内に対する撮像視野の位置および方向を容易に変えることができ、かかる細い管状の消化管内であっても短時間に隈なく観察できる被検体内導入システムを実現することができる。また、被検体内に導入した液体によって被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡51)に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した永久磁石)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
(実施の形態4の変形例1)
つぎに、この発明の実施の形態4の変形例1について説明する。上述した実施の形態4では、単一の水平磁場発生部62を鉛直磁場発生部61の周りに回転させてカプセル型内視鏡51の姿勢を変化させていたが、この実施の形態4の変形例1にかかる被検体内導入システムは、鉛直磁場発生部61の周囲に複数の水平磁場発生部を有し、かかる複数の水平磁場発生部の中から水平磁場を発生させるものを切り替えることによってカプセル型内視鏡51の姿勢を変化させている。
図30は、この発明の実施の形態4の変形例1にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図30に示すように、この実施の形態4の変形例1にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態4にかかる被検体内導入システムのカプセル誘導装置60に代えてカプセル誘導装置80を有し、ワークステーション70に代えてワークステーション90を有する。このカプセル誘導装置80は、上述したカプセル誘導装置60の鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62に代えて磁場発生部81を有し、回転テーブル63に代えてテーブル83を有する。その他の構成は実施の形態4と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
磁場発生装置81は、可動台64に対して固定されたテーブル83に搭載され、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡51に対して鉛直方向および水平方向に各磁場を発生する。このような磁場発生装置81は、例えばテーブル83の中央部近傍に鉛直磁場発生部を有し、この鉛直磁場発生部の周囲に複数の水平磁場発生部を有する。
ワークステーション90は、上述した実施の形態4にかかるワークステーション70とほぼ同様の機能を有する。この場合、ワークステーション90は、ケーブル等を介してカプセル誘導装置80に電気的に接続され、かかるカプセル誘導装置80の駆動を制御する。
つぎに、カプセル誘導装置80およびワークステーション90の各構成について説明する。図31は、カプセル誘導装置80およびワークステーション90の一構成例を模式的に示すブロック図である。図32は、カプセル誘導装置80の鉛直磁場発生部および水平磁場発生部の一配置例を示す模式図である。
図31に示すように、カプセル誘導装置80の磁場発生装置81は、1つの鉛直磁場発生部81aと、6つの水平磁場発生部81b〜81gとを有する。鉛直磁場発生部81aは、上述したカプセル誘導装置60の鉛直磁場発生部61と同様の機能を有し、制御部99によって駆動制御される。水平磁場発生部81b〜81gは、上述したカプセル誘導装置60の水平磁場発生部62と同様の機能を有し、制御部99によって駆動制御される。
このような鉛直磁場発生部81aと水平磁場発生部81b〜81gとは、例えば図32に示すように、テーブル83上に配置される。具体的には、鉛直磁場発生部81aは、テーブル83の略中央部に配置され、水平磁場発生部81b〜81gは、この鉛直磁場発生部81aの周囲に略等間隔で配置される。なお、かかる水平磁場発生部の配置数量は、複数であればよく、特に6つに限定されない。
一方、ワークステーション90は、図31に示すように、上述したワークステーション70の制御部79に代えて制御部99を有する。この場合、制御部99は、上述した制御部79の駆動制御部79hに代えて駆動制御部99hを有し、磁場制御部79iに代えて磁場制御部99iを有する。その他の構成は実施の形態4と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部99は、上述したワークステーション70の制御部79とほぼ同様の機能を有する。また、制御部99は、上述した制御部79とほぼ同様にカプセル誘導装置80の駆動を制御する。具体的には、駆動制御部99hは、上述した駆動制御部79hと同様に可動台64の駆動部64aと可動台65の駆動部65aとを駆動制御する。かかる駆動制御部99hの制御によって、可動台64,65は、磁場発生装置81を搭載したテーブル83を上述した直交座標系XYの所望の座標位置に移動させることができる。
磁場制御部99iは、上述した磁場発生部79iとほぼ同様に、磁場発生装置81による鉛直方向の磁場強度および水平方向の磁場強度を制御する。この場合、磁場制御部99iは、上述した鉛直磁場発生部61に対する磁場発生部79iの制御と同様に、鉛直磁場発生部81aの駆動を制御する。また、磁場制御部99iは、操作部76によって入力された指示情報をもとに、6つの水平磁場発生部81b〜81gの中から水平方向に磁場を発生させるものを選択する。そして、磁場制御部99iは、このように選択した水平磁場発生部81b〜81gのいずれかに対し、上述した水平磁場発生部62に対する磁場発生部79iの制御と同様に駆動制御を行う。この場合、磁場制御部99iは、操作部76によって順次入力された指示情報をもとに、磁場発生対象の水平磁場発生部を順次切り替える。
かかる磁場制御部99iの制御によって、磁場発生装置81は、テーブル83が回転駆動しなくとも、上述した実施の形態4と同様に、液体2a中のカプセル型内視鏡51の姿勢および鉛直方向の位置を制御できる。また、かかる駆動制御部99hおよび磁場制御部99iの各制御によって、磁場発生装置81は、合成磁場の磁力によって液体2a中のカプセル型内視鏡51を捕捉しつつ、上述した直交座標系XYの所望の座標位置に移動できる。これによって、磁場発生装置81は、上述した実施の形態4と同様に、液体2a中のカプセル型内視鏡51の水平方向の位置を制御できる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態4の変形例1では、上述した実施の形態4とほぼ同様の機能を有し、また、カプセル型内視鏡に対して鉛直方向に磁場を発生する鉛直磁場発生部の周囲に複数の水平磁場発生部を配置し、かかる複数の水平磁場発生部の中から水平方向の磁場を発生させるものを切り替えるようにした。このため、上述した実施の形態4と同様の作用効果を享受するとともに、このカプセル型内視鏡の位置および姿勢を制御するカプセル誘導装置の小型化を促進することができる。
(実施の形態4の変形例2)
つぎに、この発明の実施の形態4の変形例2について説明する。上述した実施の形態4の変形例1では、鉛直磁場発生部81aによる鉛直方向の磁場と水平磁場発生部81b〜81gのいずれかによる水平方向の磁場とをカプセル型内視鏡51に対して発生させていたが、この実施の形態4の変形例2にかかる被検体内導入システムは、カプセル型内視鏡51に対して回転磁場を発生する磁場発生装置を有し、かかる回転磁場によってカプセル型内視鏡51の位置および姿勢を制御している。
図33は、この発明の実施の形態4の変形例2にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図33に示すように、この実施の形態4の変形例2にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態4の変形例1にかかる被検体内導入システムのカプセル誘導装置80に代えてカプセル誘導装置200を有し、ワークステーション90に代えてワークステーション210を有する。このカプセル誘導装置200は、上述したカプセル誘導装置80の磁場発生装置81に代えて磁場発生部201を有する。その他の構成は実施の形態4の変形例1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
磁場発生装置201は、可動台64に対して固定されたテーブル83に搭載され、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡51に対して回転磁場を発生する。このような磁場発生装置201は、例えばテーブル83の中央部近傍に鉛直磁場発生部を有し、この鉛直磁場発生部の周囲に、対をなす複数の水平磁場発生部を有する。
ワークステーション210は、上述した実施の形態4の変形例1にかかるワークステーション90とほぼ同様の機能を有する。この場合、ワークステーション210は、ケーブル等を介してカプセル誘導装置200に電気的に接続され、かかるカプセル誘導装置200の駆動を制御する。
つぎに、カプセル誘導装置200およびワークステーション210の各構成について説明する。図34は、カプセル誘導装置200およびワークステーション210の一構成例を模式的に示すブロック図である。図35は、回転磁場を発生するカプセル誘導装置200の磁場発生装置の一構成例を示す模式図である。
図35に示すように、カプセル誘導装置200の磁場発生装置201は、1つの鉛直磁場発生部201aと、対をなす4つの水平磁場発生部201b〜201eとを有する。鉛直磁場発生部201aは、カプセル型内視鏡51に対して鉛直方向の交流磁場を発生するよう機能する。また、水平磁場発生部201b〜201eは、2つずつ対をなし、カプセル型内視鏡51に対して水平方向の磁力を印加する円弧状の交流磁場をそれぞれ発生するよう機能する。
このような鉛直磁場発生部201aと水平磁場発生部201b〜201eとは、例えば図35に示すように、テーブル83上に配置される。具体的には、鉛直磁場発生部201aは、テーブル83の略中央部に配置され、水平磁場発生部201b〜201eは、この鉛直磁場発生部201aの周囲に略等間隔で配置される。この場合、鉛直磁場発生部201aは、鉛直方向の交流磁場である鉛直磁場H1を発生する。また、水平磁場発生部201b,201cは、1対を成して円弧状の交流磁場である水平磁場H2を発生し、水平磁場発生部201d,201eは、1対を成して円弧状の交流磁場である水平磁場H3を発生する。かかる水平磁場H2,H3は、互いに垂直な方向の磁場であり、鉛直磁場H1上で水平方向の磁場を形成する。また、水平磁場H2または水平磁場H3と鉛直磁場H1とは、互いに合成することによって回転磁場を形成する。なお、かかる水平磁場発生部の配置数量は、偶数であればよく、特に4つに限定されない。本発明の実施の形態4の変形例2では、回転磁界の発生を想定しているが、磁界発生部201は回転磁界に限らず、任意の方向に磁界を発生できるので、実施の形態1に示したようなカプセル型内視鏡1の姿勢を制御することもできる。更に実施の形態1において、鉛直磁場発生部201aが発生する磁界によってカプセル型内視鏡1を捕捉することができる。従って、鉛直磁場発生部201の水平方向の位置を移動することで、カプセル型内視鏡1の水平方向の位置を制御することもできる。
一方、ワークステーション210は、図34に示すように、上述したワークステーション90の制御部99に代えて制御部219を有する。この場合、制御部219は、上述した制御部99の磁場制御部99iに代えて磁場制御部219iを有する。その他の構成は実施の形態4の変形例1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部219は、上述したワークステーション90の制御部99とほぼ同様の機能を有する。この場合、制御部219は、上述した制御部99とほぼ同様に、可動台64の駆動部64aと可動台65の駆動部65aとを駆動制御する。かかる制御部219の制御によって、可動台64,65は、磁場発生装置201を搭載したテーブル83を上述した直交座標系XYの所望の座標位置に移動させることができる。
磁場制御部219iは、被検体100内のカプセル型内視鏡51に対して回転磁場を発生させるように磁場発生装置201の駆動を制御する。具体的には、磁場制御部219iは、鉛直磁場発生部201aに対し、例えば余弦波の交流磁場によって鉛直磁場H1を形成するよう駆動制御する。
また、磁場制御部219iは、操作部76によって入力された指示情報をもとに、4つの水平磁場発生部201b〜201eの中から例えば正弦波の交流磁場である水平磁場(水平磁場H2,H3のいずれか)を発生させる1対を選択する。そして、磁場制御部219iは、このように選択した1対の水平磁場発生部、すなわち水平磁場発生部201b,201cまたは水平磁場発生部201d,201eに対し、水平磁場H2または水平磁場H3を形成するよう駆動制御する。この場合、磁場制御部219iは、操作部76によって順次入力された指示情報をもとに、水平磁場発生対象の1対の水平磁場発生部を順次切り替える。
かかる磁場制御部219iの制御によって、水平磁場発生部201b〜201eのいずれか1対と鉛直磁場発生部201aとは、それぞれ水平磁場および鉛直磁場を発生させるとともに、かかる水平磁場と鉛直磁場とを合成して回転磁場を形成する。この場合、例えば1対の水平磁場発生部201d,201eと鉛直磁場発生部201aとは、図36に例示するように、水平磁場H3と鉛直磁場H1とをそれぞれ発生させるとともに、かかる水平磁場H3と鉛直磁場H1とを合成して回転磁場H4を形成する。なお、1対の水平磁場発生部201b,201cと鉛直磁場発生部201aとは、かかる回転磁場H4に直交する回転磁場を形成する。
かかる回転磁場が印加されたカプセル型内視鏡51は、例えば被検体100の大腸等の消化管内において液体2a中で長軸C1を中心に回転するとともに、内蔵する永久磁石52の磁場方向(すなわち筐体50の径方向)に交流磁場が印加される。このような回転磁場の作用によって、カプセル型内視鏡51は、上述した実施の形態4と同様に、この液体2a中で位置および姿勢が制御される。すなわち、上述した磁場制御部219iの制御によって、磁場発生装置201は、テーブル83が回転駆動しなくとも、上述した実施の形態4と同様に、液体2a中のカプセル型内視鏡51の姿勢および鉛直方向の位置を制御できる。また、上述した駆動制御部99hおよび磁場制御部219iの各制御によって、磁場発生装置201は、回転磁場の磁力によって液体2a中のカプセル型内視鏡51を捕捉しつつ、上述した直交座標系XYの所望の座標位置に移動できる。これによって、磁場発生装置201は、上述した実施の形態4と同様に、液体2a中のカプセル型内視鏡51の水平方向の位置を制御できる。
ここで、磁場制御部219iは、上述した鉛直磁場発生部201aおよび水平磁場発生部201b〜201eのいずれか1対を駆動制御し、カプセル型内視鏡51に対して発生する回転磁場(例えば回転磁場H4)に回転周波数以上の周波数の振動磁場成分を追加させることができる。これによって、例えば1対の水平磁場発生部201d,201eおよび鉛直磁場発生部201aは、図37に例示するように、上述した回転磁場H4の磁場強度を所定の周期で変化させた回転磁場H5を形成できる。この場合、回転磁場H5の磁場強度が強ければ、カプセル型内視鏡51は、磁場発生部201に引き寄せられる。一方、回転磁場H5の磁場強度が弱ければ、カプセル型内視鏡51に作用する磁気引力に比して浮力が大きくなるので、カプセル型内視鏡51は浮き上がる。したがって、カプセル型内視鏡51は、液体2a中の所定の位置を中心に自動的に上下運動し、大腸内の広範囲な画像を容易に撮像することができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態4の変形例2では、上述した実施の形態4の変形例1とほぼ同様の機能を有し、また、カプセル型内視鏡に対して回転磁場を発生させ、かかる回転磁場によってカプセル型内視鏡の位置および姿勢を制御するように構成した。このため、上述した実施の形態4の変形例1と同様の作用効果を享受できるとともに、このカプセル型内視鏡の位置および姿勢を安定的に制御することができる。
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1では、消化管内に導入する液体2aに比して同程度またはそれ未満の比重を有するカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを磁力によって制御していたが、この実施の形態5にかかる被検体内導入システムは、振動モータを内蔵したカプセル型内視鏡を有し、かかる振動モータの駆動によってカプセル型内視鏡を揺動させるようにし、さらに、このカプセル型内視鏡の比重を液体2aに比して大きい状態から小さい状態に変化させるようにしている。
図38は、この発明の実施の形態5にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図38に示すように、この実施の形態5にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態1にかかる被検体内導入システムのカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡221を有し、ワークステーション4に代えてワークステーション230を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡221は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様の撮像機能および無線通信機能を有し、さらに、被検体100の消化管内に導入される液体2aに比して比重を大きい状態から小さい状態に変化させる機能を有する。また、カプセル型内視鏡221は、ワークステーション230から受信した制御信号に基づいて揺動し、被検体100内に対する撮像視野の位置および方向を変化させるよう機能する。
ワークステーション230は、上述した実施の形態1にかかるワークステーション4とほぼ同様の機能を有する。この場合、ワークステーション230は、上述したワークステーション4の磁石選択機能および磁場強度判断機能に代えて、カプセル型内視鏡221の動作を制御する駆動制御機能を有する。具体的には、ワークステーション230は、アンテナ5aを介してカプセル型内視鏡221に制御信号を送信し、この制御信号によって、カプセル型内視鏡221を揺動させ、またはカプセル型内視鏡221の比重を変化させる。
つぎに、カプセル型内視鏡221の構成について説明する。図39は、この発明の実施の形態5にかかる被検体内導入装置の一具体例を示す模式図である。図39に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡221は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体10に代えて筐体220を有し、制御部18に代えて制御部226を有する。この筐体220は、上述した筐体10のケース本体10aに代えてケース本体220aを有する。また、カプセル型内視鏡221は、この筐体220の後端部の外壁に錘233が接続され、筐体220の後端部の内壁近傍に錘連結機構224が配置される。さらに、カプセル型内視鏡221は、この筐体220の内部に振動モータ222と錘225a,225bとが配置される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体220は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体220aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体220aは、外側から後端部に錘223を連結する。また、ケース本体220aの後端部の内側には、錘223を着脱可能に連結する錘連結機構224が配置される。一方、ケース本体220aの前端部近傍には、錘225a,225bが固定される。かかる錘225a,225bは、錘223が連結されていない状態の筐体220の重心を前端側にする。なお、錘225a,225bは、この筐体220の比重を液体2aに比して大きくするものではない。一方、カプセル型内視鏡221のその他の各構成部は、ケース本体220aの所定の位置にそれぞれ配置される。
このようなケース本体220aとドーム部材10bとによって形成される筐体220は、液体2aに比して小さい比重を有し、且つ前端側に重心を有する。また、上述した錘223を後端部に連結した筐体220は、液体2aに比して大きい比重に変化し、且つ後端側に重心を移行する。すなわち、このような構成を有する筐体220は、錘223を後端部に着脱することによって、液体2aに比して大きい比重を有する状態から小さい比重を有する状態に変化し、かかる比重の変化に伴って、重心の位置が後端部側から前端側に変化する。
振動モータ222は、筐体220を振動させて筐体220を液体2a中で揺動させる振動手段として機能する。具体的には、振動モータ222は、ページャモータ等を用いて実現され、制御部226によって駆動制御される。この場合、振動モータ222は、被検体100の消化管内に導入された液体2a中の筐体220を振動させることによって揺動させ、この液体2a中で消化管内に対する撮像視野の位置および方向を変化させる。
錘223は、鉄等の液体2aに比して大きい比重の有する部材であり、所定の位置に継ぎ手部223aが設けられる。かかる錘223は、この継ぎ手部223aが錘連結機構224に把持されることによって、ケース本体220aの後端部に対して外側から連結する。このようにケース本体220aに連結することによって、錘223は、筐体220の比重を液体2aに比して大きい状態に変化させるとともに、筐体220の重心を後端側に変化させる。
錘連結機構224は、上述した錘223をケース本体220aの後端部に連結するためのものである。具体的には、錘連結機構224は、錘223の継ぎ手部223aを把持する把持部224aと、把持部224aを駆動する駆動部224bとを有する。把持部224aは、ケース本体220aの後端部壁を貫通した態様で配置され、ケース本体220aの後端部壁を介して内側から継ぎ手部223aを把持する。駆動部224bは、制御部226の制御をもとに、このような把持部224aを動作させる。すなわち、把持部224aは、かかる駆動部224bの駆動によって、継ぎ手部223aを着脱可能に把持する。このような把持部224aおよび駆動部224bを有する錘連結機構224は、錘223を着脱することによって上述したように筐体220の比重を変化させる比重変化手段として機能する。
制御部226は、カプセル型内視鏡221の各構成部の駆動を制御するためのものである。具体的には、制御部226は、上述したカプセル型内視鏡1の制御部18と同様の機能を有し、さらに、振動モータ222および駆動部224bの各駆動を制御する。この場合、制御部226は、ワークステーション230との無線通信を行い、通信処理部17によって入力されたワークステーション230からの制御信号をもとに、振動モータ222または駆動部224bの駆動を制御し、液体2a中の筐体220を揺動させて被検体100内の撮像視野の位置および方向を変化させ、またはカプセル型内視鏡221の比重を液体2aに比して大きい状態から小さい状態に変化させる。
つぎに、ワークステーション230の構成について説明する。図40は、ワークステーション230の一構成例を模式的に示すブロック図である。図40に示すように、ワークステーション230は、上述したワークステーション4の制御部9に代えて制御部239を有する。この制御部239は、上述した制御部9の磁石選択部9cおよび状態判断部9gに代えて比重切替指示部239hおよび動作指示部239iを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部239は、上述したワークステーション4の制御部9とほぼ同様の機能を有する。この場合、制御部239は、上述した磁石選択機能および磁場強度判断機能に代えて、カプセル型内視鏡221に対して比重を切替指示する指示機能と、カプセル型内視鏡221の揺動を開始または停止させる駆動制御機能とを有する。具体的には、比重切替指示部239hは、入力部6によって入力された指示情報をもとに、カプセル型内視鏡221の比重を切り替える制御信号を生成する。かかる比重切替指示部239hによって生成された制御信号は、通信部5等を介してカプセル型内視鏡221に無線送信される。一方、動作指示部239iは、入力部6によって入力された指示情報をもとに、カプセル型内視鏡221の揺動を開始または停止させる制御信号を生成する。かかる動作指示部239iによって生成された制御信号は、通信部5等を介してカプセル型内視鏡221に無線送信される。
つぎに、カプセル型内視鏡221によって撮像された画像をもとに被検体100の消化管内(例えば胃内部等)を観察する処理手順について説明する。図41は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡221による消化管内の画像をもとに被検体100の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。図42は、液体2aの底部で筐体220を振動させて揺動するカプセル型内視鏡221の動作を説明する模式図である。図43は、液体2aに比して大きい状態から小さい状態に比重を変化させて撮像視野を反転させるカプセル型内視鏡221の動作を説明する模式図である。
図41において、まず、検査者は、ワークステーション230または所定のスターターを用いてカプセル型内視鏡221の撮像動作を開始させ、このカプセル型内視鏡221を被検体100の内部に導入し、さらに供給器2を用いて被検体100の内部に液体2aを導入する(ステップS401)。この場合、カプセル型内視鏡221および液体2aは、例えば被検体100の口から飲み込まれ、その後、被検体100内の観察すべき所望の消化管に到達する。また、液体2aは、この所望の消化管、例えば胃内部を満たす程度の量であり、この消化管内を充分に伸展させる。カプセル型内視鏡221は、錘223を接続しているので、この液体2aの底部に沈む。検査者は、カプセル型内視鏡221によって撮像された画像をワークステーション230に表示させ、この画像を視認することによって被検体100内でのカプセル型内視鏡221の位置を把握する。なお、検査者は、被検体100内にカプセル型内視鏡221を導入した後に、ワークステーション230を操作してカプセル型内視鏡221の撮像動作を開始させてもよい。
つぎに、検査者は、ワークステーション230の入力部を操作してカプセル型内視鏡221の動作を指示する(ステップS402)。この場合、制御部239は、カプセル型内視鏡221の動作を開始する指示情報を入力部6から受信する。動作指示部239iは、この指示情報をもとに動作開始を指示する制御信号を生成する。このように生成された制御信号は、通信部5の無線通信駆動によってカプセル型内視鏡221に送信される。この場合、カプセル型内視鏡221の制御部226は、かかるワークステーション230からの制御信号に基づいて振動モータ222の駆動を開始させ、筐体220を液体2a中で揺動させる。このようなカプセル型内視鏡221は、例えば図42に示すように、液体2a中に沈んだ状態で撮像視野を鉛直上方側に向けつつ揺動する。これによって、カプセル型内視鏡221は、消化管内に対する撮像視野の位置および方向を変化させつつ画像を順次撮像する。
その後、検査者は、この消化管内のカプセル型内視鏡221を反転して撮像視野の方向を変える場合(ステップS403,Yes)、入力部6を操作してカプセル型内視鏡221の比重を変化させる指示情報を入力する(ステップS404)。この場合、制御部239は、この比重変化の指示情報を入力部6から受信し、比重切替指示部239hは、この指示情報をもとに比重切替を指示する制御信号を生成する。このように生成された制御信号は、通信部5の無線通信駆動によってカプセル型内視鏡221に送信される。
この場合、カプセル型内視鏡221の制御部226は、かかるワークステーション230からの制御信号に基づいて駆動部224bの駆動を制御し、把持部224aによる継ぎ手部223aの把持状態を解除させる。これによって、カプセル型内視鏡221は、例えば図43に示すように、錘223から離脱するとともに鉛直上方に上昇する。そして、カプセル型内視鏡221は、液体2a中で揺動しつつ撮像視野の方向を鉛直下方側に反転し、液体2aの表面に浮揚する。この間、カプセル型内視鏡221は、揺動を繰り返しつつ消化管内(例えば胃壁)の画像を順次撮像する。この時、カプセル内視鏡221から分離される錘223の比重は、液体の比重よりも大きい。また、錘223は、撮像部12の反対側に設けられることが望ましい。これにより、撮像部12が、常に水中側を観察することができる。
その後、検査者は、被検体100の***を別の***に変換して観察部位である消化管内の撮像を続行する場合(ステップS405,No)、被検体100の現在の***(例えば仰臥位)を所望の***(例えば右側臥位)に変換する(ステップS406)。その後、検査者は、上述したステップS403以降の処理手順を繰り返す。なお、検査者は、上述したステップS403においてカプセル型内視鏡221を反転させない場合(ステップS403,No)、このステップS405以降の処理手順を繰り返す。
このように、観察部位である消化管内でのカプセル型内視鏡221の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させることによって、カプセル型内視鏡221は、この消化管内の略全域を撮像することができる。検査者は、かかるカプセル型内視鏡221によって撮像された画像をワークステーション230に表示させることによって、被検体100内の所望の観察部位である消化管内を隈なく観察することができる。
その後、検査者は、この観察部位である消化管内の観察を完了し、この消化管内の撮像を完了する場合(ステップS405,Yes)、この消化管の出口側にカプセル型内視鏡221を誘導する(ステップS407)。この場合、カプセル型内視鏡221は、この消化管の蠕動または液体2aの流れによって出口側に誘導され、つぎの消化管内に移動する。これによって、カプセル型内視鏡221は、この観察部位である消化管内の撮像を完了する。その後、カプセル型内視鏡221は、各消化管の蠕動または液体2aの流れによって被検体100内を移動しつつ消化管内の画像を撮像し、被検体100の外部に排出される。
なお、検査者は、このようなカプセル型内視鏡221によって撮像された画像をワークステーション230に表示させ、被検体100の各消化管内を観察することができる。一方、検査者は、ワークステーション230を操作して撮像動作を停止する制御信号を送信させ、所望の観察部位を撮像し終えたカプセル型内視鏡221の撮像動作を停止させてもよい。
以上、説明したように、この発明の実施の形態5では、被検体の消化管内の画像を撮像する撮像部を筐体の内部に固定配置し、且つ振動モータをこの筐体の内部に配置し、この振動モータが液体中の筐体を振動させて撮像視野の位置および方向を変化させるようにした。また、液体に比して小さい比重を有する筐体の外部に着脱可能に錘を連結し、この筐体の比重を液体に比して大きい状態にし、この錘の連結状態を所望のタイミングで解除するようにした。このため、消化管内に導入された液体中で撮像視野の位置および方向を容易に変化させることができ、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる被検体内導入装置および被検体内導入システムを簡易に実現することができる。また、被検体内に導入した液体によってこの被検体内導入装置に浮力が働き、この浮力の分だけ、この被検体内導入装置に発生する重力を軽減、さらには相殺できるため、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを容易に変えることができるとともに、この被検体内導入装置の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動部(例えば被検体内導入装置に内蔵した振動モータ)を小型化することができる。この結果、この被検体内導入装置を小型化できるため、被検体内に対する被検体内導入装置の導入性を向上することができる。
(実施の形態5の変形例1)
つぎに、この実施の形態5の変形例1について説明する。上述した実施の形態5では、カプセル型内視鏡221の比重を液体2aに比して大きい状態から小さい状態に変化させていたが、この実施の形態5の変形例1にかかる被検体内導入システムは、このカプセル型内視鏡221に代えて、液体2aに比して小さい状態から大きい状態に比重を変化させるカプセル型内視鏡を有している。
図44は、この発明の実施の形態5の変形例1にかかる被検体内導入装置の一構成例を示す模式図である。図44に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡241は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡221の筐体220に代えて筐体240を有し、錘223に代えて浮き242を有し、錘連結機構224に代えて浮き接続機構243を有し、制御部226に代えて制御部244を有する。また、筐体240は、上述した筐体220のケース本体220aに代えてケース本体240aを有する。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体240は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体240aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体240aは、後端部近傍の側壁に浮き242が着脱可能に接続され、かかる浮き242の接続部近傍に浮き接続機構243が内蔵される。また、カプセル型内視鏡241のその他の各構成部は、ケース本体240aの所定の位置にそれぞれ配置される。
このようなケース本体240aとドーム部材10bとによって形成される筐体240は、液体2aに比して大きい比重を有し、且つ後端側に重心を有する。また、上述した浮き242を後端部近傍の側壁に接続した筐体240は、液体2aに比して小さい比重に変化し、且つ前端側に重心を移行する。すなわち、このような構成を有する筐体240は、浮き242を後端部近傍の側壁に着脱することによって、液体2aに比して小さい比重を有する状態から大きい比重を有する状態に変化し、かかる比重の変化に伴って、重心の位置が前端側から後端側に変化する。
浮き242は、空気等の気体を内包した環状部材であり、内側の貫通孔にケース本体240aを挿入する態様でケース本体240aの後端部近傍の側壁に着脱可能に接続される。具体的には、浮き242は、内側の貫通孔にケース本体240aを挿入した態様で浮き接続機構243に支持されることによって、ケース本体240aの後端部近傍の側壁に着脱可能に接続される。このようにケース本体240aに接続されることによって、浮き242は、筐体240の比重を液体2aに比して小さい状態に変化させるとともに、筐体240の重心を前端側に変化させる。
浮き接続機構243は、上述した浮き242をケース本体240aの後端部近傍の側壁に接続するためのものである。具体的には、浮き接続機構243は、ケース本体240aの内側から浮き242を支持する接続部材243aと、接続部材243aを駆動する駆動部243bとを有する。接続部材243aは、ケース本体240aの後端部に形成された貫通孔を往復動作することによって浮き242を着脱する。すなわち、接続部材243aは、この貫通孔内を通過してケース本体240aの側壁から突出することによって、浮き242を内側から支持し、この貫通孔内に収納されることによって、浮き242の接続状態を解除する。駆動部243bは、制御部244の制御をもとに、このような接続部材243aを動作させる。かかる接続部材243aおよび駆動部243bを有する浮き接続部材243は、浮き242を着脱することによって上述したように筐体240の比重を変化させる比重変化手段として機能する。
制御部244は、カプセル型内視鏡241の各構成部の駆動を制御するためのものである。具体的には、制御部244は、上述したカプセル型内視鏡221の制御部226と同様の機能を有し、さらに、錘連結機構224の駆動部224bに代えて浮き接続機構243の駆動部243bの駆動を制御する。この場合、制御部244は、上述した制御部226と同様に、無線通信によって受信したワークステーション230からの制御信号をもとに、振動モータ222または駆動部243bの駆動を制御し、液体2a中の筐体240を揺動させて被検体100内の撮像視野の位置および方向を変化させ、またはカプセル型内視鏡241の比重を液体2aに比して小さい状態から大きい状態に変化させる。
このような構成を有するカプセル型内視鏡241を備えた被検体内導入システムを用いることによって、検査者は、上述した実施の形態5の場合とほぼ同様にステップS401〜S407の処理手順を行えば、例えば胃等の被検体100の所望の消化管内を隈なく観察することができる。この場合、カプセル型内視鏡241は、例えば図45に示すように、胃内部に導入された液体2aの表面に浮揚し、この状態で撮像視野を鉛直下方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。その後、カプセル型内視鏡241は、浮き242から筐体240を離脱させて液体2aの底部に沈み、この状態で撮像視野を鉛直上方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。この時、カプセル内視鏡241から分離される浮き242の比重は、液体の比重よりも小さい。また、浮き242は、撮像部12の反対側に設けられることが望ましい。これにより、撮像部12が、常に水中側を観察することができる。さらに、浮き242と筐体240との連結部分を体内で溶解可能な物質にしても良い。この場合、かかる溶解可能な連結部を有するカプセル型内視鏡を被検体内に導入した後に一定時間が経つと、この連結部が溶解し、この結果、浮き242が筐体240から分離される。
なお、上述したカプセル型内視鏡241は、浮き接続機構243を用いて浮き242をケース本体240aの後端部近傍の側壁に接続していたが、これに限らず、浮き242とケース本体240aの側壁とを澱粉またはゼラチン等の接着剤によって接着してもよい。このような接着剤は、液体2aまたは胃液等の分泌液等に所定時間以上浸されることによって溶解するので、ケース本体240aの側壁に対して浮き242を着脱可能に接続できる。また、ゼラチン等の液体2aまたは胃液等の分泌液等に所定時間以上浸されることによって溶解する部材によって浮き242を形成してもよい。このような構成を有するカプセル型内視鏡241は、液体2aまたは胃液等の分泌液等に所定時間以上浸されることによって浮き242を失い、液体2aに比して小さい状態から大きい状態に比重を変化させる。
また、この発明の実施の形態5の変形例1にかかるカプセル型内視鏡は、上述した浮き242に限らず、比重を液体2aに比して小さい状態から大きい状態に変化させる他の比重変化手段を備えてもよい。図46は、この発明の実施の形態5の変形例1の別態様であるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。具体的には、図46に示すように、この実施の形態5の変形例1の別態様であるカプセル型内視鏡251は、上述したカプセル型内視鏡241の筐体240に代えて筐体250を有し、浮き242および浮き接続機構243に代えて比重切替機構253を有し、制御部244に代えて制御部255を有する。この筐体250は、上述した筐体240のケース本体240aに代えてケース本体250aを有する。その他の構成は実施の形態5の変形例1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体250は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体250aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体250aは、後端部に比重切替機構253を有し、この比重切替機構253の近傍に、比重切替機構253とケース本体250aの外部とを連通する管路254が形成される。また、カプセル型内視鏡251のその他の各構成部は、ケース本体250aの所定の位置にそれぞれ配置される。
比重切替機構253は、例えば液体2aの導入によって、カプセル型内視鏡251の比重を液体2aに比して小さい状態から大きい状態に変化させる。具体的には、比重切替機構253は、管路254を介して例えば液体2aを吸収するスポンジ253aと、スポンジ253aを押圧して圧縮する押圧板253bと、スポンジ253aを圧縮した状態の押圧板253bの動きを止めるストッパ253cと、ストッパ253cを駆動する駆動部253dと、スポンジ253aおよび押圧板253bを内包するタンク253eとを有する。
タンク253eは、ケース本体250aの管路254を介してケース本体250aの外部と連通する。スポンジ253aは、タンク253eと管路254との連通部近傍に配置される。押圧板253bは、このようなスポンジ253aをタンク253eの内壁に対して押圧し、このスポンジ253aを圧縮する。かかる押圧板253bによって圧縮されたスポンジ253aは、例えば液体2aを吸収し難い。この場合、タンク253eは、押圧板253bを介したスポンジ253aの反端側に空間領域を形成する。かかるタンク253eは、筐体250の比重を液体2aに比して小さい状態にするとともに、筐体250の重心を前端側にする。
一方、駆動部253dがストッパ253cを動かして押圧板253bを自由にした場合、スポンジ253aは、膨張し始めるとともに管路254を介して液体2aを吸収する。この場合、押圧板253bは、かかるスポンジ253aの膨張に伴ってタンク253e内を摺動し、上述したタンク253e内の空間領域を減少させる。かかるスポンジ253aおよび押圧部253bの作用によって、タンク253eは、上述した空間領域を減少させるとともに、液体2aを吸収したスポンジ253aの占める領域を増加させる。このようなタンク253eは、筐体250の比重を液体2aに比して大きい状態にするとともに、筐体250の重心を後端側にする。
ここで、タンク253eの内部が略空間領域で満たされる場合、筐体250は、液体2aに比して小さい比重を有し、且つ前端側に重心を有する。一方、タンク253eの内部が略スポンジ253aで満たされる場合、筐体250は、液体2aに比して大きい比重を有し、且つ後端側に重心を有する。すなわち、筐体250は、かかる比重切替機構253の作用によって、液体2aに比して小さい比重を有する状態から大きい比重を有する状態に変化し、かかる比重の変化に伴って、重心の位置が前端側から後端側に変化する。
制御部255は、カプセル型内視鏡251の各構成部の駆動を制御するためのものである。具体的には、制御部255は、上述したカプセル型内視鏡221の制御部226と同様の機能を有し、さらに、錘連結機構224の駆動部224bに代えて比重切替機構253の駆動部253dの駆動を制御する。この場合、制御部255は、上述した制御部226と同様に、無線通信によって受信したワークステーション230からの制御信号をもとに、振動モータ222または駆動部253dの駆動を制御し、液体2a中の筐体250を揺動させて被検体100内の撮像視野の位置および方向を変化させ、またはカプセル型内視鏡251の比重を液体2aに比して小さい状態から大きい状態に変化させる。
このような構成を有するカプセル型内視鏡251を備えた被検体内導入システムを用いることによって、検査者は、上述した実施の形態5の場合とほぼ同様にステップS401〜S407の処理手順を行えば、例えば胃等の被検体100の所望の消化管内を隈なく観察することができる。この場合、カプセル型内視鏡251は、例えば図47に示すように、胃内部に導入された液体2aの表面に浮揚し、この状態で撮像視野を鉛直下方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。その後、カプセル型内視鏡251は、スポンジ253aに液体2aを吸収させて液体2aの底部に沈み、この状態で撮像視野を鉛直上方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。
以上、説明したように、この発明の実施の形態5の変形例1では、上述した実施の形態5とほぼ同様の機能を有し、消化管内に導入された液体に比して小さい状態から大きい状態に筐体の比重を変化させるようにした。このため、上述した実施の形態5と同様の作用効果を享受することができる。
(実施の形態5の変形例2)
つぎに、この発明の実施の形態5の変形例2について説明する。上述した実施の形態5の変形例1では、カプセル型内視鏡251の比重を液体2aに比して小さい状態から大きい状態に変化させていたが、この実施の形態5の変形例2にかかる被検体内導入システムは、このカプセル型内視鏡251に代えて、液体2aに比して小さい状態または大きい状態に比重を可逆的に変化させるカプセル型内視鏡を有している。
図48は、この発明の実施の形態5の変形例2にかかる被検体内導入装置の一構成例を示す模式図である。図48に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡261は、上述した実施の形態5の変形例1の別態様であるカプセル型内視鏡251の筐体250に代えて筐体260を有し、比重切替機構253に代えて比重切替機構263を有し、制御部255に代えて制御部265を有する。また、筐体260は、上述した筐体250のケース本体250aに代えてケース本体260aを有する。その他の構成は実施の形態5の変形例1の別態様と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体260は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体260aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。ケース本体260aは、後端部に比重切替機構263を有し、この比重切替機構263の近傍に、比重切替機構263とケース本体260aの外部とを連通する管路264が形成される。また、カプセル型内視鏡261のその他の各構成部は、ケース本体260aの所定の位置にそれぞれ配置される。
比重切替機構263は、例えば液体2aの出し入れによって、カプセル型内視鏡261の比重を液体2aに比して小さい状態または大きい状態に可逆的に変化させる。具体的には、比重切替機構263は、管路264を介して例えば液体2aを出し入れるピストン263aと、ピストン263aの摺動によって液体2aを貯留または空間領域を形成するシリンダー263bと、シリンダー263b内でピストン263aを摺動させる駆動部263cとを有する。
シリンダー263bは、ケース本体260aの管路264を介してケース本体260aの外部と連通する。ピストン263aは、駆動部263cの作用によって、シリンダー263b内を例えば筐体260の長手方向に摺動し、シリンダー263bと外部との間で液体2aを出し入れする。
ここで、ピストン263aの摺動によってシリンダー263bの内部が略空間領域で満たされる場合、筐体260は、液体2aに比して小さい比重を有し、且つ前端側に重心を有する。一方、ピストン263aの摺動によってシリンダー263bの内部が略液体2aで満たされる場合、筐体260は、液体2aに比して大きい比重を有し、且つ後端側に重心を有する。すなわち、筐体260は、かかる比重切替機構263の作用によって、液体2aに比して小さい比重を有する状態から大きい比重を有する状態に変化し、かかる比重の変化に伴って、重心の位置が前端側から後端側に変化する。または、筐体260は、かかる比重切替機構263の作用によって、液体2aに比して大きい比重を有する状態から小さい比重を有する状態に変化し、かかる比重の変化に伴って、重心の位置が後端側から前端側に変化する。
制御部265は、カプセル型内視鏡261の各構成部の駆動を制御するためのものである。具体的には、制御部265は、上述したカプセル型内視鏡251の制御部255と同様の機能を有し、さらに、比重切替機構253の駆動部253dに代えて比重切替機構263の駆動部263cの駆動を制御する。この場合、制御部265は、上述した制御部255と同様に、無線通信によって受信したワークステーション230からの制御信号をもとに、振動モータ222または駆動部263cの駆動を制御し、液体2a中の筐体260を揺動させて被検体100内の撮像視野の位置および方向を変化させ、またはカプセル型内視鏡261の比重を液体2aに比して小さい状態または大きい状態に可逆的に変化させる。
このような構成を有するカプセル型内視鏡261を備えた被検体内導入システムを用いることによって、検査者は、上述した実施の形態5の場合とほぼ同様にステップS401〜S407の処理手順を行えば、例えば胃等の被検体100の所望の消化管内を隈なく観察することができる。この場合、カプセル型内視鏡261は、例えば図49に示すように、胃内部に導入された液体2aの表面に浮揚し、この状態で撮像視野を鉛直下方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。また、カプセル型内視鏡261は、ピストン263aによって液体2aを導入させて液体2aの底部に沈み、この状態で撮像視野を鉛直上方側に向けて揺動しつつ胃壁の画像を順次撮像する。カプセル型内視鏡261は、このような動作を繰り返し行うことができる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態5の変形例2では、上述した実施の形態5の変形例1とほぼ同様の機能を有し、消化管内に導入された液体に比して小さい状態または大きい状態に筐体の比重を可逆的に変化させるようにした。このため、上述した実施の形態5の変形例1と同様の作用効果を享受できるとともに、消化管内の画像をさらに確実に撮像することができ、消化管内の観察性を高めることができる。
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。上述した実施の形態5では、振動モータによってカプセル型内視鏡を揺動させて撮像視野の位置および方向を変化させていたが、この実施の形態6にかかる被検体内導入システムは、液体の表面に浮揚したカプセル型内視鏡を水平方向に推進させて撮像視野の位置および方向を変化させている。
図50は、この発明の実施の形態6にかかる被検体内導入システムの一構成例を示す模式図である。図50に示すように、この実施の形態6にかかる被検体内導入システムは、上述した実施の形態5にかかる被検体内導入システムのカプセル型内視鏡221に代えてカプセル型内視鏡271を有し、ワークステーション230に代えてワークステーション280を有する。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡271は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡221と同様の撮像機能および無線通信機能を有し、さらに、液体2aの表面に浮揚して水平方向に推進する機能を有する。この場合、カプセル型内視鏡271は、ワークステーション280から受信した制御信号に基づいて液体2a中を推進し、被検体100内に対する撮像視野の位置および方向を変化させる。
ワークステーション280は、上述した実施の形態5にかかるワークステーション230とほぼ同様の機能を有する。この場合、ワークステーション280は、上述したワークステーション230の比重切替指示機能および振動指示機能に代えて、カプセル型内視鏡271の推進動作を制御する駆動制御機能を有する。具体的には、ワークステーション280は、アンテナ5aを介してカプセル型内視鏡271に制御信号を送信し、この制御信号によって、カプセル型内視鏡271を液体2a中で推進させる。
つぎに、カプセル型内視鏡271の構成について説明する。図51は、この発明の実施の形態6にかかる被検体内導入装置の一具体例を示す模式図である。図51に示すように、この被検体内導入装置の一例であるカプセル型内視鏡271は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡221の筐体220に代えて筐体270を有し、振動モータ222に代えて推進機構272を有し、錘223に代えて錘273を有し、制御部226に代えて制御部274を有する。この場合、筐体270は、上述した筐体220のケース本体220aに代えてケース本体270aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体270は、被検体100の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の部材であり、ケース本体270aの前端部にドーム部材10bを取り付けることによって実現される。錘273は、ケース本体270aの後端部に固定される。一方、カプセル型内視鏡271のその他の各構成部は、ケース本体270aの所定の位置にそれぞれ配置される。このようなケース本体270aとドーム部材10bとによって形成される筐体270は、液体2aに比して小さい比重を有し、且つ後端側に重心を有する。
推進機構272は、液体2a中でカプセル型内視鏡271を水平方向に推進させるためのものである。具体的には、推進機構272は、液体2a中で回転して推進力を生成するスクリュー272aと、スクリュー272aを回転自在に支持する駆動軸272bと、駆動軸272bを介してスクリュー272aを回転させる駆動部272cとを有する。この場合、スクリュー272aは、ケース本体270aの後端部近傍に形成された管路270dの内部に配置される。この管路270dは、スクリュー272aの回転によって筐体270を液体2a中で推進させる際に液体2aを流通させる。駆動部272cは、制御部274の制御をもとに、スクリュー272aを回転させて筐体270を液体2a中で推進させ、消化管内に対する撮像視野の位置および方向を変化させる。
制御部274は、カプセル型内視鏡271の各構成部の駆動を制御するためのものである。具体的には、制御部274は、上述したカプセル型内視鏡221の制御部226と同様の機能を有し、さらに、振動モータ222および駆動部224bに代えて推進機構272の駆動部272cの駆動を制御する。この場合、制御部271は、ワークステーション280との無線通信を行い、通信処理部17によって入力されたワークステーション280からの制御信号をもとに、駆動部272cの駆動を制御し、液体2a中で筐体270を推進させて被検体100内の撮像視野の位置および方向を変化させる。
つぎに、ワークステーション280の構成について説明する。図52は、ワークステーション280の一構成例を模式的に示すブロック図である。図52に示すように、ワークステーション280は、上述したワークステーション230の制御部239に代えて制御部289を有する。この制御部289は、上述した制御部239の比重切替指示部239hおよび動作指示部239iに代えて推進指示部289hを有する。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部289は、上述したワークステーション230の制御部239とほぼ同様の機能を有する。この場合、制御部289は、上述した比重切替指示機能および振動指示機能に代えて、液体2a中のカプセル型内視鏡271の推進を開始または停止させる駆動制御機能を有する。具体的には、推進指示部289hは、入力部6によって入力された指示情報をもとに、液体2a中のカプセル型内視鏡221の推進を開始または停止させる制御信号を生成する。かかる推進指示部289hによって生成された制御信号は、通信部5等を介してカプセル型内視鏡271に無線送信される。
つぎに、カプセル型内視鏡271によって撮像された画像をもとに被検体100の消化管内(例えば胃内部等)を観察する処理手順について説明する。図53は、被検体100内に導入したカプセル型内視鏡271による消化管内の画像をもとに被検体100の消化管内を観察する処理手順を説明するフローチャートである。図54は、液体2a中で筐体270を推進させて撮像視野の位置および方向を変化させるカプセル型内視鏡271の動作を説明する模式図である。
図53において、まず、検査者は、ワークステーション280または所定のスターターを用いてカプセル型内視鏡271の撮像動作を開始させ、このカプセル型内視鏡271を被検体100の内部に導入し、さらに供給器2を用いて被検体100の内部に液体2aを導入する(ステップS501)。この場合、カプセル型内視鏡221および液体2aは、例えば被検体100の口から飲み込まれ、その後、被検体100内の観察すべき所望の消化管に到達する。検査者は、カプセル型内視鏡271によって撮像された画像をワークステーション280に表示させ、この画像を視認することによって被検体100内でのカプセル型内視鏡271の位置を把握する。なお、検査者は、被検体100内にカプセル型内視鏡271を導入した後に、ワークステーション280を操作してカプセル型内視鏡271の撮像動作を開始させてもよい。
つぎに、検査者は、ワークステーション280の入力部を操作してカプセル型内視鏡271の動作を指示する(ステップS502)。この場合、制御部289は、カプセル型内視鏡271の推進動作を開始する指示情報を入力部6から受信する。推進指示部289hは、この指示情報をもとに推進開始を指示する制御信号を生成する。このように生成された制御信号は、通信部5の無線通信駆動によってカプセル型内視鏡271に送信される。この場合、カプセル型内視鏡271の制御部274は、かかるワークステーション280からの制御信号に基づいて推進機構272の駆動部272cの駆動を開始させ、筐体270を液体2a中で推進させる。このようなカプセル型内視鏡271は、例えば図54に示すように、液体2aの表面に浮揚した状態で撮像視野を鉛直上方側に向けつつ推進する。これによって、カプセル型内視鏡271は、消化管内に対する撮像視野の位置および方向を変化させつつ画像を順次撮像する。
その後、検査者は、被検体100の***を別の***に変換して観察部位である消化管内の撮像を続行する場合(ステップS503,No)、被検体100の現在の***(例えば仰臥位)を所望の***(例えば右側臥位)に変換する(ステップS504)。その後、検査者は、上述したステップS503以降の処理手順を繰り返す。
なお、検査者は、このステップS501の処理手順を行った後、上述した実施の形態1の場合と同様にステップS102,S103の処理手順を行ってもよい。これによって、例えば胃内部を発泡剤によって伸展させることができる。また、検査者は、このステップS502の処理手順を行った後、液体2aを追加導入してもよい。これによって、上述した実施の形態1の場合と同様にカプセル型内視鏡271を鉛直方向に変位させることができる。
このように、観察部位である消化管内でのカプセル型内視鏡271の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させることによって、カプセル型内視鏡271は、この消化管内の略全域を撮像することができる。検査者は、かかるカプセル型内視鏡271によって撮像された画像をワークステーション280に表示させることによって、被検体100内の所望の観察部位である消化管内を隈なく観察することができる。
その後、検査者は、この観察部位である消化管内の観察を完了し、この消化管内の撮像を完了する場合(ステップS503,Yes)、この消化管の出口側にカプセル型内視鏡271を誘導する(ステップS505)。この場合、カプセル型内視鏡271は、この消化管の蠕動または液体2aの流れによって出口側に誘導され、つぎの消化管内に移動する。これによって、カプセル型内視鏡271は、この観察部位である消化管内の撮像を完了する。その後、カプセル型内視鏡271は、各消化管の蠕動または液体2aの流れによって被検体100内を移動しつつ消化管内の画像を撮像し、被検体100の外部に排出される。
なお、検査者は、このようなカプセル型内視鏡271によって撮像された画像をワークステーション280に表示させ、被検体100の各消化管内を観察することができる。一方、検査者は、ワークステーション280を操作して撮像動作を停止する制御信号を送信させ、所望の観察部位を撮像し終えたカプセル型内視鏡271の撮像動作を停止させてもよい。さらに、検査者は、ワークステーション280を操作して推進動作を停止する制御信号を送信させ、所望の観察部位を撮像し終えたカプセル型内視鏡271の推進動作を停止させてもよい。
なお、この発明の実施の形態6にかかるカプセル型内視鏡は、スクリュー272aの回転によって得られる推進力をもとに液体2a中を推進していたが、これに限らず、液体2aでの筐体の振動を応用して推進するように構成してもよい。具体的には、例えば図55に示すように、筐体の長軸C1に対して駆動軸をずらした態様で振動モータ222を筐体内部に配置したカプセル型内視鏡291を用いてもよい。このようなカプセル型内視鏡291は、この振動モータ222の駆動によって筐体を偏って振動させ、かかる筐体の偏った振動に起因して液体2a中を揺動しつつ推進できる。また、例えば図56,57に示すように、振動モータを内部に配置した筐体の外壁にフィン状の水掻き部302a,302bを設けたカプセル型内視鏡301を用いてもよい。このようなカプセル型内視鏡301は、この振動モータの駆動によって筐体を振動させることによって筐体両側の水掻き部302a,302bが液体2aを掻き、かかる水掻き部302a,302bの作用によって液体2a中を揺動しつつ推進できる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態6では、被検体の消化管内の画像を撮像する撮像部を筐体の内部に固定配置し、且つ、液体中での筐体の推進力を生成するモータをこの筐体の内部に配置し、このモータ駆動によって液体中の筐体を推進させて撮像視野の位置および方向を変化させるように構成した。この筐体の内部に振動モータを配置し、且つ、この筐体の外壁にフィン状の水掻き部を配置し、振動モータが筐体を振動させるとともに水掻き部が液体を掻くようにして、液体中の筐体を推進させて撮像視野の位置および方向を変化させるように構成した。このため、消化管内に導入された液体中で撮像視野の位置および方向を容易に変化させることができ、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる被検体内導入装置および被検体内導入システムを簡易に実現することができる。
なお、上述した実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡に例示される比重切替機能は、振動モータまたは推進機構を筐体の内部に配置したカプセル型内視鏡に対してのみならず、上述した実施の形態1〜4に例示されるカプセル型内視鏡のように、磁力によって液体中での動きが制御されるカプセル型内視鏡に対して適用することもできる。
また、この発明の全実施の形態および各変形例では、被検体内に導入したカプセル型内視鏡の位置または姿勢を検出するために、このカプセル型内視鏡に内蔵の加速度センサまたは角速度センサを用いていたが、これに限らず、カプセル型内視鏡に距離センサを内蔵し、この距離センサを用いて位置または姿勢を検出してもよい。すなわち、このカプセル型内視鏡の内部に光学式または超音波式の距離センサを内蔵し、例えば胃壁との距離を検出し、この検出された距離情報に基づいて複数の画像間の距離によるサイズのばらつきを補正し、画像結合に利用するようにしてもよい。
さらに、このようなカプセル型内視鏡の位置または姿勢を検出する位置検出手段は、上述した内蔵型に限らず、被検体100の外部に設けたものであってもよい。図58〜60は、それぞれ被検体100の外部に設けた位置検出手段の構成例を示す模式図である。図58は、超音波プローブ401による断層像検出を用いて例えばカプセル型内視鏡1の位置を検出する超音波方式の例を示す。被検体100の胃内部には、液体2aが導入されているので、超音波プローブ401の発する超音波が伝播しやすく、この胃内部のカプセル型内視鏡1の位置を断層像から検出することができる。なお、超音波を用いるので、胃壁とカプセル型内視鏡1との距離が判るため、複数の画像結合のときの情報として有益となる。
図59は、例えばカプセル型内視鏡1内に小型マイクロフォンを搭載させるとともに被検体100外の複数の位置に音源402を配置させた音波方式の例を示す。このカプセル型内視鏡1に内蔵した小型のマイクロフォンによって検出する音の強度により、複数の位置の音源402からの距離を算出し、この算出した距離をもとにカプセル型内視鏡1の位置を検出することができる。
図60は、例えばカプセル型内視鏡1内に誘導コイルを内蔵し、被検体100の外部に配置したドライブコイル403からの磁場をこの誘導コイルに作用させて、カプセル型内視鏡1内の誘導コイルとコンデンサとの共振系によって誘導磁場を発生させ、この誘導磁場を被検体100外のセンスコイル404によって強度を検出することにより、カプセル型内視鏡1の位置を検出する磁気式の例を示す。この場合、カプセル型内視鏡1は、被検体100外のドライブコイル403からの磁場によって誘導磁場を発生し、カプセル型内視鏡1内の電源を消費しないため、省エネを図れる。なお、カプセル型内視鏡1内に磁場発生手段を設け、被検体100の外部に磁場検出手段を配置するようにしてもよい。これによれば、MI素子等の磁場検出手段を被検体100の外部に配置できるため、大型、高感度の検出器を用いることができる。また、逆に、被検体100の外部に磁場を発生させてカプセル型内視鏡1側でこの磁場を検出するようにしてもよい。これによれば、カプセル型内視鏡1内に磁場発生手段を配置する場合よりも、カプセル型内視鏡1側の消費エネルギーを小さくすることができる。
なお、この発明の全実施の形態および各変形例では、カプセル型内視鏡の筐体の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させる駆動手段たる永久磁石を筐体の内部に配置していたが、これに限らず、患者の体型に合わせて選択された永久磁石を有するカプセル型内視鏡を用いてもよい。
図61は、筐体に対して永久磁石を着脱可能にしたカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。図61に示すように、このカプセル型内視鏡501は、永久磁石502が内蔵されたシース500bをカプセル本体500aに着脱可能に被せることによって形成される。カプセル本体500aは、上述したカプセル型内視鏡1から永久磁石11を取り除いたものとほぼ同様の構造を有する。シース500bは、永久磁石502が内蔵され、このカプセル本体500aを着脱可能に挿入する挿入部を有する。このようなシース500bは、内蔵される永久磁石の磁力(すなわち永久磁石のサイズ)毎に複数個準備される。すなわち、このようなシース500bは、患者の体型に合わせて選択される永久磁石毎に複数個準備される。
また、このようなカプセル型内視鏡501は、カプセル本体500aにサイズ(すなわち磁力)の異なる円筒状の永久磁石を選択的に装着して形成されてもよい。図62は、円筒状の永久磁石をカプセル本体に着脱可能に装着して形成されるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。図62に示すように、このカプセル型内視鏡501は、カプセル本体500aに円筒状の永久磁石503を着脱可能に被せることによって形成される。永久磁石503は、図62のA−A線断面に示すように、円筒形状の半分がN極に磁化され、残り半分がS極に磁化された円筒形状の永久磁石であり、カプセル本体500aを着脱可能に挿入する。このような円筒形状の永久磁石503は、サイズ毎(すなわち患者の体型に合わせて選択される永久磁石毎)に複数個準備される。
ここで、カプセル型内視鏡501に配置する永久磁石のサイズを変更させる場合、異なるサイズの永久磁石がそれぞれ内蔵された複数のシースからカプセル本体500aに被せるシース500bを患者の体型に合わせて選択し、図61に示すように、この選択したシース500bをカプセル本体500aに着脱可能に被せる。このように永久磁石内蔵のシースを選択することによって、例えば比較的弱い磁力の永久磁石502aが内蔵されたシース500bをカプセル本体500aに被せたカプセル型内視鏡501を選択的に形成でき、あるいは、永久磁石502aに比して磁力が強い永久磁石502bが内蔵されたシース500bをカプセル本体500aに被せたカプセル型内視鏡501を選択的に形成できる。これによって、患者の体型に合わせてカプセル型内視鏡501内の磁石のサイズを変更(選択)することができる。
または、サイズが異なる円筒形状の永久磁石群からカプセル本体500aに被せる円筒形状の永久磁石503を患者の体型に合わせて選択し、図62に示すように、この選択した永久磁石503をカプセル本体500aに着脱可能に被せる。このように円筒形状の永久磁石を選択することによって、例えば比較的弱い磁力の永久磁石503aをカプセル本体500aに被せたカプセル型内視鏡501を選択的に形成でき、あるいは、永久磁石503aに比して磁力が強い永久磁石503bをカプセル本体500aに被せたカプセル型内視鏡501を選択的に形成できる。これによって、患者の体型に合わせてカプセル型内視鏡501内の磁石のサイズを変更(選択)することができる。
さらに、このようなシース500bは、内蔵された永久磁石502を特定する特定情報が記録されたRFIDタグ(図示せず)を有する。あるいは、円筒形状の永久磁石503を着脱可能に装着するカプセル本体500aは、この永久磁石503を特定する特定情報が記録されたRFIDタグ(図示せず)を有する。上述したワークステーションまたはカプセル誘導装置は、このRFIDタグからこの特定情報を読み取るリーダを有するようにし、このリーダによってシース502のRFIDタグから読み取った特定情報をもとに、シース500b内の永久磁石502のサイズ、あるいはカプセル本体500aに被せた円筒形状の永久磁石503のサイズを認識する。上述したワークステーションまたはカプセル誘導装置は、被検体100に導入されたカプセル型内視鏡501に対して磁場を発生させて誘導する前に、このような永久磁石502または永久磁石503のサイズを認識し、これをもとに、このカプセル型内視鏡501に発生させる磁場の強度を制御する。
なお、上述したワークステーションまたはカプセル誘導装置がカプセル型内視鏡501内の永久磁石502または永久磁石503のサイズ等を認識する方法としては、上述したRFIDタグを用いるものに限らず、他の方法でもよい。具体的には、カプセル型内視鏡501の誘導開始時に、選択した永久磁石のサイズ等をカプセル誘導装置またはワークステーションに入力して永久磁石のサイズを認識する方法でもよいし、永久磁石502が内蔵された部材(シース500bまたはカプセル本体500a)の外装に視覚的に認識できるマーカを設け、ワークステーションまたはカプセル誘導装置に配置したリーダによってこのマーカを読み取って永久磁石のサイズを認識する方法でもよい。あるいは、カプセル本体500aの撮像視野内に、かかる永久磁石のサイズを識別するマーカを設け、カプセル本体500aによって撮像された取得画像からこのマーカを読み取って永久磁石のサイズを認識する方法でもよい。
ここで、被検体100内のカプセル型内視鏡501に磁場を発生させる電磁石等が平面配置されたカプセル誘導装置では、電磁石から離れるほど発生可能な磁場が小さくなる。そのため、体の大きな患者(すなわち被検体100)では、体内で十分な磁気引力、磁気トルクが得られない。また、体の大きな患者に合わせてカプセル型内視鏡内の永久磁石を大きくすると、体が小さい患者は、必要以上にサイズの大きいカプセル型内視鏡を導入されることになる。
しかし、上述したように構成されたカプセル型内視鏡501は、患者の体型に合わせて永久磁石のサイズを変更(選択)することができる。また、カプセル誘導装置は、このカプセル型内視鏡501内の永久磁石のサイズを認識し、このカプセル型内視鏡501に対して発生させる磁場の強度を適正に調整することができる。この結果、患者の体型に合わせて、適正な条件で体内のカプセル型内視鏡501を誘導することができる。
一方、この発明の実施の形態1およびその変形例では、被検体100の体表上で外部の永久磁石3を移動させて被検体100内のカプセル型内視鏡の姿勢を変化させていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、被検体100の体表上での永久磁石3の位置を変えずに、その位置で永久磁石3の向きを変えることによって、被検体100内のカプセル型内視鏡の姿勢を変更してもよい。具体的には、外部の永久磁石3は、例えば図63に示すように、被検体100の胃内部に導入した液体2a中のカプセル型内視鏡1を磁気的に(永久磁石3が発生する磁気引力によって)捕捉し、被検体100の体表上での位置を略変えずに向きを変化させる。この場合、永久磁石3は、このカプセル型内視鏡1に対する磁力線の向きを変化させ、これによってカプセル型内視鏡1の姿勢を変化させる。また、図63では、永久磁石3は被検体100内の液体に対して鉛直上側に配置されているが、図63とは逆方向(被検体100内の液体に対して鉛直下側)に配置しても良い。さらに、永久磁石3の代わりに、図32、図35に示すようなアレー状の電磁石を用いても良い。この場合、鉛直磁場発生部81a,201aによってカプセル型内視鏡1を磁気的に捕捉するための磁界を発生し、水平磁場発生部81b,201bによって発生する磁界によって、カプセル型内視鏡1の方向を変化させても良い。また、永久磁石3の代わりに、図27に示すような電磁石を用いてもよい。この場合、鉛直磁場発生部61によってカプセル型内視鏡1を磁気的に捕捉するための磁界を発生し、水平磁場発生部62によって発生する磁界を回転テーブル63によって回転させることによって、カプセル型内視鏡1の方向を変化させることができる。
また、この発明の実施の形態1,3およびその変形例では、立った姿勢(立位)または状態を起こして座った姿勢(座位)の被検体100内の液体2aの量を調整し、この被検体100内のカプセル型内視鏡の鉛直方向の位置を変化させていたが、これに限らず、この立位または座位の被検体100内のカプセル型内視鏡の水平位置または姿勢を変化させてもよい。この場合、立位または座位の被検体100に対して胃側面方向から例えば永久磁石3を近づけることによって、この立位または座位の被検体100内のカプセル型内視鏡の水平位置または姿勢を制御する。
具体的には、例えば図64に示すように、被検体100の胃に導入したカプセル型内視鏡1の永久磁石を吸引する方向で外部の永久磁石3を被検体100内の液体に対して側方(水平横方向)から近づけた場合、このカプセル型内視鏡1は、この永久磁石3に近づく方向に水平移動する。この時、被検体100外の磁界を発生していない状態において、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡内1内の永久磁石11の磁化方向が液体面に対して10°以上の角度を有するように、カプセル型内視鏡1の重心位置が配置されることが望ましい(カプセル型内視鏡1の中心から永久磁石11の磁化方向に対して10°以上角度を有する方向に重心をずらす)。このカプセル型内視鏡1の誘導を行う時は、永久磁石3の磁化方向と永久磁石11の磁化方向とが逆方向になるように、永久磁石3を被検体100に近付ければよい。この時、磁界発生前後の永久磁石11の磁化方向が大きく変化しないため、制御性が向上すると共に、磁気トルクを発生させる必要がないので、効率的な誘導ができ、永久磁石11,永久磁石3の小型化が可能となる。また、例えば図65に示すように、この被検体100内のカプセル型内視鏡1の永久磁石と反発する方向で外部の永久磁石3を近づけた場合、このカプセル型内視鏡1は、この永久磁石3から遠ざかる方向に水平移動する。ここで、被検体100外の磁界を発生していない状態において、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡内1内の永久磁石11の磁化方向が液体面に対して10°以上の角度を有するようにカプセル型内視鏡1の重心位置が配置され(カプセル型内視鏡1の中心から永久磁石11の磁化方向に対して10°以上角度を有する方向に重心をずらす)、永久磁石3の磁化方向と永久磁石11の磁化とが同じ方向になうようにして永久磁石3を被検体100に近付ける。この時、永久磁石3の鉛直方向の位置が、この液体面と一致する位置に配置されることが望ましい。これにより、効率的に安定した制御が可能になる。尚、図示しないが、永久磁石3を被検体100内の液体に対して鉛直上側または鉛直下側から近付ける場合は、永久磁石3の磁化方向と永久磁石11の磁化方向とが逆方向になるように、永久磁石3を被検体100に近付けることによって同様の作用効果が得られる。一方、このように胃側面方向から被検体100に近づけた永久磁石3の向きを変更した場合、例えば図66に示すように、この被検体100内のカプセル型内視鏡1は、撮像視野を変換しつつ(すなわち姿勢を変化させつつ)水平移動する。このように、胃側面方向から永久磁石3を近づけることによって、立位または座位の被検体100の胃に導入したカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを制御できる。なお、このことは、永久磁石3に代えて電磁石を近付けた場合も略同様である。また、被検体100外の磁界を発生していない状態において、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡内1内の永久磁石11の磁化方向が液体面に対して10°以上の角度を有するようにカプセル型内視鏡1の重心位置が配置された場合(カプセル型内視鏡1の中心から永久磁石11の磁化方向に対して10°以上角度を有する方向に重心をずらす)、図64と図65との状態を切り替える(永久磁石3の向きを切り替える)ことによって磁気引力を発生させる場合と磁気斥力を発生する場合とを切り替えることができる。永久磁石3を電磁石に替える場合は、電磁石に流す電流を逆方向にすることによって、磁気引力と磁気斥力との切替ができる。さらに、図示しないが、永久磁石11を被検体100内の液体に対して側方(水平横方向)に位置させ、鉛直方向の位置を変更する(鉛直位置変更部)ことによって、カプセル型内視鏡1に磁気引力を発生させる場合と磁気斥力を発生させる場合とを切り分けることができる。例えば、永久磁石3が水面と同じ鉛直位置に位置し、カプセル型内視鏡1に磁気斥力が発生する場合(カプセル型内視鏡1内の永久磁石11の磁化方向と永久磁石3の磁化方向が同じ場合)、永久磁石3を垂直方向に移動すると、永久磁石3と永久磁石11が磁気引力を発生する位置関係に変化する。これにより、磁気斥力と磁気引力とを切り替えることができる。
一方、この発明の実施の形態1では、通常のカプセル型内視鏡誘導用の永久磁石を用いて被検体100内のカプセル型内視鏡1の位置および姿勢の少なくとも一つを制御していたが、これに限らず、さらに強力な永久磁石を用いてカプセル型内視鏡1を引き付けることによって、例えば病変部等の所望部位の拡大観察を行うようにしてもよい。図67は、病変部を拡大観察するためのカプセル型内視鏡の位置および姿勢の制御を説明する模式図である。図67に示すように、誘導用の永久磁石3aを用い、例えば胃壁の病変部が取得画像の中心になるようにカプセル型内視鏡1の位置および姿勢を変化させる。つぎに、この誘導用の永久磁石3aを拡大観察用の強力な磁力の永久磁石3fに変更する。このような拡大観察用の永久磁石は、複数のサイズ(すなわち磁力の強さが異なるもの)を予め準備しておき、最も小さい(弱い)ものから、病変部の拡大観察が可能になる(カプセル型内視鏡1が病変部に引き付けられる)まで、順に大きくする。
また、この発明の実施の形態4では、鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62を用いて液体2a中のカプセル型内視鏡51の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させていたが、これに限らず、カプセル誘導装置60は、上述した鉛直磁場発生部61および水平磁場発生部62に代えて、平面内に対称に配置した複数(好ましくは3つ以上)の電磁石を用いて液体2a中のカプセル型内視鏡の位置および姿勢の少なくとも一つを変化させてもよい。
この場合、カプセル誘導装置60は、例えば図68に示すように、4つの電磁石610〜613を平面内(具体的には回転テーブル63上)に互いに対称に配置される。なお、このように対称的に配置される電磁石の配置数は複数であればよく、特に4つに限定されない。また、かかる電磁石の配置数は、3つ以上であることが望ましい。
また、このようなカプセル誘導装置60によって誘導されるカプセル型内視鏡601は、図69に示すように、円筒形状であって内側と外側とに磁化された永久磁石602が内部に配置される。この永久磁石602は、図69の縦断面に示すように、外側にN極が磁化されるとともに内側にS極が磁化される。
図68に示すように、このようなカプセル型内視鏡601は、各電磁石610〜613から反発力を受けるため、かかる電磁石610〜613の対称軸上に磁気的に捕捉(トラップ)される。また、カプセル型内視鏡601は、電磁石610〜613から対称軸方向に反発力を受ける。
ここで、カプセル型内視鏡601の比重を液体2aよりも大きくした場合、図70に示すように、液体2a内では、浮力と反発力との和と重力とが釣り合う位置でカプセル型内視鏡601がトラップされる。外乱により、このカプセル型内視鏡601が電磁石610〜613から離れた場合は、反発力が小さくなり、カプセル型内視鏡601が電磁石610〜613に近づく方向に移動する。また、外乱により、カプセル型内視鏡601が電磁石610〜613に近づいた場合は、反発力が大きくなり、カプセル型内視鏡601が電磁石610〜613から離れる方向に移動する。よって、外乱に対しても強く、カプセル型内視鏡601の安定した位置制御が可能になる。また電磁石610〜613の発生する磁界強度を変更することによって、水平面内での安定性を変化させることができる。また、図示しないが、カプセル型内視鏡601内の永久磁石は、図68の円筒形に限らず、図2のカプセル型内視鏡1に設けられたような永久磁石11でも良い。この場合、被検体100外の磁界を発生していない状態において、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡1の永久磁石11の磁化方向が液体面に対して10°以上の角度を有するように、カプセル型内視鏡1の重心位置が設定され(カプセル型内視鏡1の中心から永久磁石11の磁化方向に対して10°以上角度を有する方向に重心をずらす)、磁界発生部が発生する磁界は、任意の水平面内の任意の位置で発生する磁界強度が任意の位置周辺の磁界強度よりも小さい磁界を発生するようにすれば良い。この磁界は、図68の電磁石610〜613や、後述する図71に示すようなリング状の永久磁石でも発生することができる。これにより、水平面内の磁界が弱い位置にカプセル型内視鏡1がトラップされ、重心位置によってカプセル型内視鏡1の姿勢が維持されるため、斥力を発生させ続けることができる。
また、図示しないが、電磁石610〜613の磁場強度を変更することによって、カプセル型内視鏡601の鉛直方向の位置を制御でき、水平方向は電磁石610〜613の位置によって制御できる。さらに、図示しないが、電磁石610〜613が発生する磁界のバランスを変更する磁界バランス変更部を備えることによって、カプセル型内視鏡601の水平方向の位置および姿勢を制御することができる。まず、電磁石610〜613の傾きを磁界発生部傾き変更部が変化させる。これにより、水平面内の磁界が弱い位置が移動するため、カプセル型内視鏡1の位置が変化する。また、磁界発生部の傾きが大きくなると、カプセル型内視鏡1の姿勢が変化する。また、電磁石610〜613の相対位置を相対位置変更部が変化させる。これにより、水平面内の磁界が弱い位置が移動するため、カプセル型内視鏡1の位置が変化する。また、同様の理由で、各電磁石610〜613の出力を調整することによって、カプセル型内視鏡601の位置・姿勢を制御することができる。また、複数の電磁石を略水平面内にアレー状に配置し、各電磁石に流す電流を変化させることによって、水平面内の磁界の弱い位置を移動させても良い。
なお、このようなカプセル誘導装置60の変形例としては、上述した電磁石610〜613に代えて、図71に例示するようなリング状永久磁石620を配置してもよい。また、図示しないが、同軸状に配置されたサイズの異なる2つの電磁石を備え、2つの電磁石をそれぞれ逆方向に磁化してもよい。これにより、2つのコイルの軸上で、磁界強度が周りよりも弱い部分を形成することができる。また、図35に示すような磁場発生装置201でも良い。水平磁場発生部201b,201cを同じ方向に磁化することによって、磁場発生装置201の中心軸の磁界強度が周辺に対して弱い磁界を生成することができる。さらに、鉛直磁場発生部201aを水平磁場発生部201b,201cと逆方向に磁化することによって、中心軸の磁界強度を弱めることができる。また、カプセル型内視鏡601の比重が液体2aの比重よりも小さい場合は、図72に示すように、上述した電磁石610〜613を被検体100内の液体に対して鉛直上方側に配置する。この場合、液体2a内のカプセル型内視鏡601は、浮力と反発力との和と重力とが釣り合う位置でトラップされる。この場合も、図68と同様に、被検体100外の磁界を発生していない状態において、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡1の永久磁石11の磁化方向が液体面に対して10°以上の角度を有するように、カプセル型内視鏡1の重心位置が設定されるものとする。また、鉛直方向の外乱による安定性についても同様の効果が得られる。さらに、図示しないが、電磁石が磁気斥力を発生していない時、電磁石が磁気斥力を発生する時の磁界と逆方向の磁界を発生し(磁化方向切替部)、その方向を変化させることによって、カプセル型内視鏡1の姿勢を制御することができる。また、本変形例に限らず、鉛直方向の位置を磁気引力または磁気斥力によって制御する場合、カプセル型内視鏡1の液体に対する比重は、1に近いことが望ましい。比重が1に近い場合、カプセル型内視鏡1の誘導に必要な磁気引力,磁気斥力を小さくすることができるので、制御性が向上すると共に、磁界発生部が小型化され、操作性が向上する。
一方、この発明の実施の形態1〜4およびこれらの各変形例では、筐体の一端側に撮像視野を向けたカプセル型内視鏡を用いていたが、これに限らず、互いに異なる撮像視野を有する複数の撮像部を筐体の内部に固定配置したカプセル型内視鏡を用いてもよい。この場合、互いに異なる方向に撮像視野を有するカプセル型内視鏡701は、例えば図73に示すように、筐体の両端に撮像部702,703を有する。その他の構成は、上述した実施の形態1〜4およびこれらの各変形例にかかるカプセル型内視鏡とほぼ同様である。この場合、撮像部702は、例えば液体2a中の胃壁を撮像し、これと同時に撮像部703は、気体中の胃壁を撮像できる。このような構成を有するカプセル型内視鏡701を用いることによって、気体中と液体中とを同時に観察できるため観察効率が向上し、検査時間が短縮される。また、液体2aの水位により、カプセル型内視鏡701の鉛直方向の位置が制御できるとともに、気体、液体で撮像視野が確保されているため観察能力が向上する。
また、図74に示すように、カプセル型内視鏡711の比重が液体の比重より大きい場合、被検体外の永久磁石712を被検体100内の液体に対して側面(水平横)方向に配置し、永久磁石712の姿勢を変化させることによって、被検体100内(液体中)のカプセル型内視鏡711の方向を変化させ、このカプセル型内視鏡711の撮像部714の方向(撮像視野)を変化させても良い。この場合、カプセル型内視鏡711が胃壁に接触した状態であるため、このカプセル型内視鏡711と胃壁との接触部分を支点にして、このカプセル型内視鏡711の方向(撮像視野)を確実に変えることができる。
さらに、図75に示すように、永久磁石723を内蔵するカプセル型内視鏡721の比重が液体の比重より大きい場合、被検体100外の永久磁石722を被検体100内の液体に対して側面(水平横)方向に配置し、永久磁石722の垂直方向の位置を変化させることによって、この被検体100内(液体中)のカプセル型内視鏡721の方向を変化させ、このカプセル型内視鏡721の撮像部724の方向(撮像視野)を変化させても良い。この場合も、カプセル型内視鏡721が胃壁に接触した状態であるため、このカプセル型内視鏡721と胃壁との接触部分を支点にして、このカプセル型内視鏡721の方向を確実に変えることができる。なお、永久磁石722の垂直方向の動かす方向を鉛直下方(図75の下方向)にすると、被検体100内のカプセル型内視鏡721は、逆方向に向きを変えることができる。
さらに、図76に示すように、永久磁石733を内蔵するカプセル型内視鏡731の比重が液体の比重より小さい場合、このカプセル型内視鏡731の撮像部734の方向(撮像視野)が永久磁石733の磁化方向に対して略垂直になる様に、撮像部734および永久磁石733が配置される。さらに、被検体100内の液体中のカプセル型内視鏡731に対して被検体100外から磁界を加えない状態において、この浮遊状態のカプセル型内視鏡731内の永久磁石733の磁化方向が液面に対して略平行となる様に、カプセル型内視鏡731の重心位置を設定する。この結果、被検体100外に配置した永久磁石732を被検体100内のカプセル型内視鏡731に近付けることによって、このカプセル型内視鏡731の位置および姿勢を制御することができる。通常、永久磁石733の磁化方向と撮像部734の方向とが略垂直である場合、この永久磁石733に対して磁界を発生させても、この永久磁石733の磁化方向周りの回転自由度を一意に決めることができない。しかし、カプセル型内視鏡731の重心位置のバランスによって永久磁石733の磁化方向周りの自由度を規定する(カプセル型内視鏡731の中心から永久磁石733の磁化方向に対して垂直な方向に重心をずらす)ことによって、磁界を発生させた場合のカプセル型内視鏡731の方向を一意に決めることができる。これにより、カプセル型内視鏡731の撮像部734の撮像視野の方向を確実に変更することができる。また、被検体100外の永久磁石732は、被検体100内の液体に対して鉛直上側から近付けてもよい。さらに、永久磁石732の水平方向の位置を変化させることによって、被検体100内のカプセル型内視鏡731の水平方向の位置を制御することができる。この時、被検体100に近付ける永久磁石732の磁化方向の水平平面内での向きに依存しないで撮像部734の方向を一意に決めることができるので、制御性が良い。図76では永久磁石732を被検体内の液体に対して鉛直下方向から近付けたが、水平横方向から近付けても良い。この時、永久磁石732は、その磁化方向と水平平面とを略平行な状態にして近づけることによって、水平方向の位置の制御に関して、図76と同様の作用効果を得ることができる。
この発明の実施の形態1〜4およびこれらの変形例では、カプセル型内視鏡内に磁界応答部として永久磁石を備え、磁界によってカプセル型内視鏡の位置および姿勢を制御しているが、これに限らず、この磁界応答部としての永久磁石は、磁界に応答するものであり、電磁石や強磁性体や、強磁性体で構成され、カプセル型内視鏡の機能を動作させるための電池等であっても良い。
また、この発明の実施の形態1〜4およびこれらの変形例の中で、永久磁石,電磁石等の磁界発生部の位置、姿勢、移動方向が規定されているが、これに限らず、これらの磁界発生部は、検査者が保持しても良いし、アームやステージ等の機構に設置されても良い。例えば、アームやステージ等の機構は、磁界発生部を水平方向の位置を変化させるための水平位置変更部、鉛直方向の位置を変化させるための垂直位置変更部、姿勢を変化させるための姿勢変更部、磁界発生部と被検体との距離を変化させるための距離変更部等を備えている。