JP2012068150A - 酸素センサの異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】検出素子の外層部に拡散層を有する酸素センサに好適な異常診断装置を提供する。
【解決手段】検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流電流、および、検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する。検出された少なくとも一方の変化率に基づき、酸素センサが正常か異常かを判定する。検出素子自体のバラツキ等に起因した電流値バラツキの影響を低減し、診断誤差を低減できる。
【選択図】図5
【解決手段】検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流電流、および、検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する。検出された少なくとも一方の変化率に基づき、酸素センサが正常か異常かを判定する。検出素子自体のバラツキ等に起因した電流値バラツキの影響を低減し、診断誤差を低減できる。
【選択図】図5
Description
本発明は酸素センサの異常診断装置に係り、特に、検出素子の外層部に拡散層を有する酸素センサに好適な異常診断装置に関する。
触媒を利用した排気ガス浄化システムを備える内燃機関では、触媒による排気ガスの有害成分の浄化を有効に行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが不可欠である。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に、排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサを設け、その検出結果より空燃比を求めて、検出された空燃比を所定の目標空燃比に近づける空燃比フィードバック制御を実施するようにしている。
典型的な酸素センサは、排気通路内に突出するように配設された筒型の検出素子を備えている。検出素子は、その内面を大気に露呈するとともに、その外面は排気ガスに曝されている。また検出素子は、内外の表面に電極が被覆された固体電解質を有している。固体電解質は、酸素がイオン化した状態でその内部を移動可能な固形物質であり、酸素センサ用としては例えばジルコニアが利用されている。
検出素子の内側の大気と外側の排気ガスとの酸素分圧に差が生じると、その分圧の差を縮小すべく、酸素分圧の高い側(通常は大気側)の酸素がイオン化して固体電解質を通り、酸素分圧の低い側(通常は排気ガス側)へと移動する。酸素分子はイオン化する過程で4価の電子を受け取り、イオン化した状態から分子に戻る過程で4価の電子を放出する。そのため、上記の酸素の移動に応じて検出素子の内外表面の電極で電子の移動が生じ、その結果、検出素子に起電力が発生する。
こうして酸素センサは、大気と排気ガスとの酸素分圧の差に応じて起電力を発生し、より具体的には、排気ガスの酸素濃度が少なくなるほど(つまり排気ガスの空燃比がリッチであるほど)大きな起電力を発生する。
一方、自動車の分野では、排気エミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するため、車載状態(オンボード)で触媒やセンサの異常を診断することが各国法規等で要請されている。そこで酸素センサについても様々な診断装置が提案されるに至っている。
例えば特許文献1には、検出素子の交流インピーダンスに基づいて抵抗成分と静電容量成分とを算出し、算出された抵抗成分と静電容量成分とを個別に基準値と比較し、この比較結果の組み合わせに基づいて検出素子の異常を診断する装置が開示されている。
酸素センサの中には、検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有するものがある。本発明者らは、鋭意研究の結果、このような酸素センサの異常時に発生する固有の現象を利用して、酸素センサの異常診断を行えることを見出した。
そこで本発明の目的は、検出素子の外層部に拡散層を有する酸素センサに好適な異常診断装置を提供することにある。
本発明の一形態によれば、
検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流電流、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流電流および複数の負の直流電流の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置が提供される。
検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流電流、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流電流および複数の負の直流電流の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置が提供される。
ここで、複数の正の直流電流の変化率とは、複数の正の直流電圧の変化に対する複数の正の直流電流の変化の割合ないし度合いをいう。また、複数の負の直流電流の変化率とは、複数の負の直流電圧の変化に対する複数の負の直流電流の変化の割合ないし度合いをいう。
好ましくは、前記検出手段は、少なくとも前記複数の正の直流電流を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する。
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する。
好ましくは、前記検出手段は、少なくとも前記複数の負の直流電流を検出し、
前記判定手段は、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する。
前記判定手段は、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する。
好ましくは、前記検出手段は、前記複数の正の直流電流および前記複数の負の直流電流の両方を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値以上であり、且つ、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値以下であるとき、前記酸素センサを正常と判定する。
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値以上であり、且つ、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値以下であるとき、前記酸素センサを正常と判定する。
好ましくは、前記酸素センサが内燃機関の排気通路に設けられ、
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流電流および前記複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する。
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流電流および前記複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する。
本発明の他の形態によれば、
検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流抵抗、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流抵抗および複数の負の直流抵抗の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置が提供される。
検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流抵抗、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流抵抗および複数の負の直流抵抗の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置が提供される。
ここで、複数の正の直流抵抗の変化率とは、複数の正の直流電圧の変化に対する複数の正の直流抵抗の変化の割合ないし度合いをいう。また、複数の負の直流抵抗の変化率とは、複数の負の直流電圧の変化に対する複数の負の直流抵抗の変化の割合ないし度合いをいう。
好ましくは、前記検出手段は、少なくとも前記複数の正の直流抵抗を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する。
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する。
好ましくは、前記検出手段は、少なくとも前記複数の負の直流抵抗を検出し、
前記判定手段は、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する。
前記判定手段は、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する。
好ましくは、前記検出手段は、前記複数の正の直流抵抗および前記複数の負の直流抵抗の両方を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値以下であり、且つ、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値以上であるとき、前記酸素センサを正常と判定する。
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値以下であり、且つ、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値以上であるとき、前記酸素センサを正常と判定する。
好ましくは、前記酸素センサが内燃機関の排気通路に設けられ、
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流抵抗および前記複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する。
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流抵抗および前記複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する。
本発明によれば、検出素子の外層部に拡散層を有する酸素センサに好適な異常診断装置を提供することができるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の構成を図1を参照して説明する。本実施形態の内燃機関(エンジン)10は自動車用であり、火花点火式内燃機関、具体的にはガソリンエンジンである。内燃機関10の吸気通路11には、その通路面積を可変とするスロットルバルブ15(本実施形態では電子制御式)が設けられ、その開度制御により、エアクリーナ14を通じて吸入される空気の量が調整される。吸入された空気の量(吸入空気量)はエアフローメータ16により検出される。吸気通路11に吸入された空気は、スロットルバルブ15下流に設けられたインジェクタ17より噴射された燃料と混合された後、エンジン本体12内の燃焼室に送られ、そこで燃焼される。
燃焼室での燃焼により生じた排気ガスが送られる排気通路13には、排気ガス中の有害成分を浄化する三元触媒18が設けられ、その上流側に酸素センサ19が設けられている。
三元触媒18は、これに供給される排気ガスの空燃比が理論空燃比(ストイキ)近傍の狭い範囲(ウインドウ)でのみ、排気ガス中の主要有害成分(HC、CO、NOx)のすべてを効率的に浄化する。こうした三元触媒18を有効に機能させるには、燃焼室に供給される混合気の空燃比を上記ウインドウの中心に合わせこむ、厳密なコントロールが必要となる。
この空燃比の制御は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)22により行われる。ECU22は、例えば図示しない双方向性バスにより相互に接続されたCPU、ROM、RAM、B(バッテリバックアップ).RAM、不揮発性メモリ、入力ポート、出力ポート、A/D変換器およびD/A変換器を具備する。ECU22には、上記エアフローメータ16や酸素センサ19、及びアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ21、機関回転速度を検出する回転速度センサ23を始めとする各種センサ類の検出信号が入力されている。そしてECU22は、それらセンサ類の検出信号より把握される内燃機関10や車両の運転状況に応じて、上記スロットルバルブ15やインジェクタ17等を駆動制御して、上記の空燃比フィードバック制御を行っている。空燃比フィードバック制御の概要は次の通りである。
まずECU22は、アクセル開度や機関回転速度の検出結果に応じて把握される吸入空気量の要求量を求め、それに応じた吸入空気量が得られるようにスロットルバルブ15の開度を調整する。その一方、エアフローメータ16により検出される吸入空気量の実測値に対して、理論空燃比が得られるだけの燃料量を求め、それによりインジェクタ17からの燃料噴射量を調整する。これにより、燃焼室12で燃焼される混合気の空燃比を、ある程度に理論空燃比に近づけることはできる。ただし、それだけでは上記要求される高精度の空燃比制御には不十分である。
そこでECU22は、上記酸素センサ19の検出結果より把握される空燃比の実測値に基づいて、インジェクタ17からの燃料噴射量をフィードバック補正し、要求される空燃比制御の精度を確保している。
以上のように、この排気ガス浄化システムでは、酸素センサ19の検出結果に応じて燃料噴射量をフィードバック補正する、いわゆる空燃比フィードバック制御を実施することで、混合気の空燃比を理論空燃比近傍に保持し、高い排気ガス浄化率を確保している。
図2及び図3に示すように、酸素センサ19は、排気通路13内に突出するように配設された筒型の検出素子31を備えている。検出素子31は、その内面を大気(空気)に露呈するとともに、その外面は、穿孔されたセンサカバー32を通して流過する排気ガスに曝される。また検出素子31は、内外の表面に電極33A,33Bが被覆された固体電解質37を有する。すなわち検出素子31は、固体電解質37を一対の電極33A,33Bで挟んでなる。固体電解質37は、酸素がイオン化した状態でその内部を移動可能な固形物質であり、酸素センサ用としては例えばジルコニアが利用されている。また電極33A,33Bは白金等の多孔質から形成されている。
検出素子31の内側の大気室34は、センサ内に設けられた図示しない大気通路と、センサボディに形成された大気穴35とを通じて外部と連通され、且つ大気が導出入可能となっている。大気室34には、検出素子31を加熱して早期に活性化させるためのヒータ36が設けられ、ヒータ36はECU22によって通電制御される。
検出素子31の内側の大気と外側の排気ガスとの酸素分圧に差が生じると、その分圧の差を縮小すべく、酸素分圧の高い側(通常は大気側)の酸素がイオン化して固体電解質37を通り、酸素分圧の低い側(通常は排気側)へと移動する。酸素分子はイオン化する過程で4価の電子を受け取り、イオン化した状態から分子に戻る過程で4価の電子を放出する。そのため、上記の酸素の移動に応じて内外の電極間で電子の移動が生じ、その結果、検出素子31に起電力が発生する。
こうして酸素センサ19は、大気と排気ガスとの酸素分圧の差に応じて起電力を発生し、より具体的には、排気ガスの酸素濃度が少なくなるほど(つまり検出素子31外部の排気ガスの空燃比がリッチであるほど)大きな起電力を発生する。ここで酸素イオンが内側の電極33Aから検出素子31を通って外側の電極33Bに向かうことから、電流の向きは逆となり、両電極に接続された外部装置に対しては内側の電極33Aが正極、外側の電極33Bが負極となる。以下、内側の電極33Aを大気電極、外側の電極33Bを排気電極ともいう。
ちなみに、酸素センサには他にも、板形状の検出素子を用いたものや、検出素子にジルコニア以外の素材を用いたものなど、様々なタイプの酸素センサがある。そしてその多くは、上記例示したセンサと同様の検出原理により排気ガスの酸素分圧を検出する構成となっている。すなわち、基準ガス(大気)と排気ガスとを隔離するよう配設された検出素子が、基準ガスに対する排気ガスの酸素分圧の差に応じて起電力を発生する構成となっている。本発明はこのような様々なタイプの酸素センサに適用可能である。
酸素センサ19の出力特性を図4に例示する。示されるように、酸素センサ19の出力電圧は理論空燃比A/Fs(例えば14.6)を境にスイッチング的に変化し、酸素センサ19に供給される排気ガス(雰囲気ガス)の空燃比A/Fが理論空燃比A/Fsよりもリーンな領域(A/F>A/Fs、以下リーン空燃比ともいう)では0.1V程度の小さい電圧を示し、理論空燃比A/Fsよりもリッチな領域(A/F<A/Fs、以下リッチ空燃比ともいう)では0.9V程度の比較的高い電圧を示す。ここでは、0.45Vのセンサ出力をリッチ・リーン判定閾値として予め定め、実際のセンサ出力電圧を当該閾値と比較して空燃比がリッチかリーンかを判断している。なお、酸素センサ19の上記各領域でのセンサ出力電圧の大きさは、検出素子31の温度状態に応じて変化することがある。
なお、理論空燃比での燃焼(ストイキ燃焼)のみを目的とした空燃比フィードバック制御を行う内燃機関では、本実施形態のように、理論空燃比を境に出力電圧がスイッチング的に変化する特性の酸素センサが用いられることが多い。こうしたセンサは、理論空燃比よりもリッチ、及び理論空燃比よりもリーンのいずれかといった低い分解能しか持たないものの、上記ストイキ燃焼のみを行うには、それで十分なことが多い。一方、希薄空燃比での燃焼を行うなど、より広範囲の空燃比での燃焼を行う内燃機関では、排気ガスの空燃比に応じてその出力値が線形的に変化する特性の、より分解能の高い酸素センサが用いられることもある。本発明はこのような酸素センサ、あるいはA/F(空燃比)センサに対しても適用可能である。
ところで、図3および図5に示すように、検出素子31の排気電極33Bの外側には、内側から外側に向かって、拡散層38と、触媒層39と、トラップ層40とが順次積層されている。これら拡散層38、触媒層39およびトラップ層40により、排気電極33Bの外側に形成された、或いは排気電極33Bとその外側のガスとの間に介設された外層部41が形成されている。
拡散層38は、ガスの拡散速度を律速するものであり、アルミナ(Al2O3)や酸化マグネシウムMgO等の多孔質から形成されている。ガスが排気電極33Bに向かって拡散層38を透過する際、ガスに抵抗が与えられ、ガスが律速される。
触媒層39は、ガス中の未燃成分(特にH2)を酸化させて除去し、センサの出力ズレを抑制するためのものである。触媒層39は、アルミナ等の多孔質に、Pt、Pd、Rh等の触媒貴金属粒子を担持させて構成されている。
トラップ層40は、その内側の各層を保護すると共に、排気電極33Bにガス以外の物質が到達するのを防止するためのものである。トラップ層40はアルミナ等の多孔質から形成されている。
なお、ここでは拡散層38の他に触媒層39を別個に設けたが、触媒層39を省略してもよい。この場合、拡散層38に触媒貴金属粒子を担持させ、拡散層38に触媒層39の機能を持たせてもよい。またトラップ層40を省略してもよい。
次に、酸素センサ19の異常診断について説明する。
[第1実施例]
以下に述べる第1実施例においては、ECU22により、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流電流を検出すると共に、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の負の直流電流を検出する。
以下に述べる第1実施例においては、ECU22により、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流電流を検出すると共に、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の負の直流電流を検出する。
この検出方法を図示して説明する。図5には、検出素子31に正の直流電圧と負の直流電圧とを印加可能な電源回路の構成が模式的に示されている。正の直流電圧を印加する電源を正直流電源と称し、B+で表わす。同様に、負の直流電圧を印加する電源を負直流電源と称し、B−で表わす。これら電源は、ECU22内に構築されたスイッチング回路S1,S2によって切り替えおよび選択可能となっている。なお正直流電源B+と負直流電源B−とを共用とし、スイッチングのみで両者を切り替えても良い。
図示例では、正直流電源B+のみが選択され、大気電極33Aに正直流電源B+の正(+)極が接続され、排気電極33Bに正直流電源B+の負(−)極が接続されている。この状態を、「検出素子31に正の直流電圧を印加した状態」と定義する。正の直流電圧を印加した状態では、図示されるように、排気電極33Bから大気電極33Aに向かって酸素O2がポンピングされる。
他方、負直流電源B−のみが選択されると、大気電極33Aに負直流電源B−の負(−)極が接続され、排気電極33Bに負直流電源B−の正(+)極が接続される。この状態を、「検出素子31に負の直流電圧を印加した状態」と定義する。負の直流電圧を印加した状態では、酸素O2のポンピングの向きは前記と逆になる。
検出素子31に正の直流電圧を印加した場合(「+直流電圧印加時」ともいう)、拡散層38により、排気電極33Bに到達する酸素量がある程度制限される。他方、検出素子31に負の直流電圧を印加した場合(「−直流電圧印加時」ともいう)だと、大気電極33A側には拡散層38が無いため、酸素量が制限されることがない。
そして+直流電圧印加時には、拡散層38の状態に応じて、排気電極33Bに到達する酸素量が変化する。すなわち拡散層38が正常であれば比較的多くの酸素が排気電極33Bに到達できるが、拡散層38に目詰まりが生じていると、比較的少ない酸素しか排気電極33Bに到達できない。つまり、拡散層38の目詰まり度合いが大きいほど、排気電極33Bに到達する単位時間当たりの酸素量が少なくなり、+直流電圧印加時に得られる電流値(これを「正の直流電流」という)は小さくなる。なお、拡散層38の目詰まりの原因は、主に排気ガスに含まれる煤、鉛、マンガン、硫黄等である。
図6は、+直流電圧印加時における印加電圧と電流との関係を示すグラフである。図中「正常」とは拡散層38に目詰まりが生じていない正常の場合をいい、「目詰まり大」、「目詰まり中」および「目詰まり小」とは、それぞれ、拡散層38における目詰まりの程度が大、中および小の場合をいう。図示するように、拡散層38における目詰まり度合いが大きいほど、一定の印加電圧に対する電流値は小さくなる傾向にある。
よって、検出素子31に所定の大きさの正の直流電圧を印加し、このときに得られる電流値に基づき、酸素センサ19の異常、特に拡散層38の目詰まり異常を検出することが考えられる。
但し、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキにより、印加電圧に対する電流値もばらつく可能性がある。よって一値の印加電圧に対応した電流値のみを診断の基礎に用いる方法だと、診断誤差が大きくなり、正常と異常の判別が困難となる可能性がある。
一方、図6の関係によれば、拡散層38における目詰まり度合いが大きいほど、印加電圧の増大に対する電流値の増大割合(勾配)は小さくなる傾向にある。
そこでこの傾向に着目し、第1実施例では、まず、図6に示す如く、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流電流を検出する。そして検出された複数の正の直流電流の変化率に基づき、酸素センサ19が正常か異常かを判定する。
ここで、複数の正の直流電流の変化率とは、複数の正の直流電圧の変化に対する複数の正の直流電流の変化の割合ないし度合いをいう。図6に示す例では8つの値の正の直流電圧に対応した8つの値の正の直流電流が検出されている。すなわち8点のデータが取得されている。特にこの例では、正の直流電圧の増大につれ正の直流電流も増大する傾向にあるから、変化率を増大率と言い換えることもできる。
変化率は任意に定義することができる。例えば、8点全てのデータに対し最小自乗法等を適用して平均的な勾配を算出し、この勾配を変化率と定義することができる。あるいは、より単純に、8点のうち所定の2点のデータ間の勾配を算出し、この勾配を変化率と定義することができる。この場合最初から2点のみのデータを取得するようにしてもよい。いずれにしても、変化率を求めるには、少なくとも2点のデータを取得することが必要である。
この変化率を所定の第1閾値と比較することにより、目詰まり異常の有無を判別することが可能である。すなわち、変化率が第1閾値より小さいときは目詰まり異常あり、変化率が第1閾値以上のときは目詰まり異常なしといった具合である。
このように、正の直流電流の変化率を診断の基礎に用いるので、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因した電流値バラツキの影響を低減し、診断誤差の低減および診断精度の向上が可能となる。
一方、−直流電圧印加時だと、拡散層38の状態に応じて印加電圧と電流との関係が変化することは実質的にないが、検出素子31の状態に応じて両者の関係が変化することが判明した。
図7は、−直流電圧印加時における印加電圧と電流との関係を示すグラフである。印加電圧と電流の値は絶対値で表す。図中「正常」とは、検出素子31の割れ(「素子割れ」という)が生じていない正常の場合をいい、「割れ小」および「割れ大」とは、それぞれ、検出素子31の割れの程度が小および大の場合をいう。なお、試験においては検出素子31に意図的に穴を開けて検出素子31の割れを再現し、その穴の大きさを変えて割れの程度を変えている。ここではφ0.3mmの穴を開けた場合を「割れ小」とし、φ2.0mmの穴を開けた場合を「割れ大」としている。
図示するように、素子割れの程度が大きいほど、一定の印加電圧に対する電流値は大きくなる傾向にある。よって検出素子31に所定の大きさの負の直流電圧を印加し、このときに得られる電流値に基づき、酸素センサ19の異常、特に素子割れ異常を検出することが考えられる。
但し前記同様、一値の印加電圧に対応した電流値のみを診断の基礎に用いる方法では、診断誤差が大きくなり、正常と異常の判別が困難となる可能性がある。一方、図7の関係によれば、素子割れの程度が大きいほど、印加電圧(負の直流電圧の絶対値)の増大に対する電流値(負の直流電流の絶対値)の増大割合は大きくなる傾向にある。
そこでこの傾向に着目し、第1実施例では、図7に示す如く、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の負の直流電流を検出する。そして検出された複数の負の直流電流の変化率に基づき、酸素センサ19が正常か異常かを判定する。
前記同様、複数の負の直流電流の変化率も、複数の負の直流電圧の変化に対する複数の負の直流電流の変化の割合ないし度合いをいう。図7に示す例でも、8つの値の負の直流電圧に対応した8つの値の負の直流電流が検出され、8点のデータが取得されている。特にこの例では、負の直流電圧の増大につれ負の直流電流も増大する傾向にあるから、変化率を増大率と言い換えることもできる。変化率は前記同様、任意に定義することができる。
この変化率を所定の第2閾値と比較することにより、素子割れ異常の有無を判別することが可能である。すなわち、変化率が第2閾値より大きいときは素子割れ異常あり、変化率が第2閾値以下のときは素子割れ異常なしといった具合である。
このように、負の直流電流の変化率を診断の基礎に用いるので、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因した電流値バラツキの影響を低減し、診断誤差の低減および診断精度の向上が可能となる。
ここに述べた正の直流電流変化率に基づく目詰まり異常診断、および負の直流電流変化率に基づく素子割れ異常診断は、それぞれ単独で行うことができる。例えば前者について言えば、正の直流電流変化率が第1閾値より小さいとき、酸素センサ19を異常と判定すると共にその異常の種類として拡散層38の目詰まりを特定し、正の直流電流変化率が第1閾値以上のとき酸素センサ19を正常と判定する、といった具合である。しかしながら、両者を行った方が当然に、診断の精度および信頼性が高くなるため、好ましい。また両者を行った方が、酸素センサ19の正常・異常を判別できるのみならず、異常の場合にその異常の種類ないし箇所も特定することができるため、好ましい。こうして、拡散層38を有する酸素センサ19に好適な異常診断装置を提供することが可能である。
次に、ECU22が実行する第1実施例に係る異常診断処理を図8を参照して説明する。
ステップS101では、診断を実施するのに必要な所定の前提条件が成立しているか否かが判断される。前提条件が成立するには、例えば、(1)酸素センサ19の検出素子31が十分高温となっており、酸素センサ19が活性化している、という基本条件が成立していることが必要である。例えばECU22は、酸素センサ19の出力電圧がリッチ・リーン間で所定回数反転したことを検出したとき、酸素センサ19が活性化したと判断する。
また、前提条件が成立するには、併せて、次の特定条件(2)または(3)が成立していることが必要である。
(2)エンジンの燃焼室に対する燃料供給が停止している。この燃料供給停止状態には、減速時にインジェクタ17からの燃料噴射を停止するフューエルカット(減速フューエルカット)状態、およびハイブリッド車等において間欠的にエンジンを停止するためインジェクタ17からの燃料噴射を停止するフューエルカット状態が含まれる。
(3)エンジンがアイドル運転状態にある。
(2)エンジンの燃焼室に対する燃料供給が停止している。この燃料供給停止状態には、減速時にインジェクタ17からの燃料噴射を停止するフューエルカット(減速フューエルカット)状態、およびハイブリッド車等において間欠的にエンジンを停止するためインジェクタ17からの燃料噴射を停止するフューエルカット状態が含まれる。
(3)エンジンがアイドル運転状態にある。
詳しくは後述するが、当該異常診断処理においては、検出精度および診断精度を高めるため、上記特定条件下で且つ下記の制御変更を実施した場合のみ、診断を実行するようにしている。
前提条件が成立していなければ待機状態となり、前提条件が成立したならばステップS102に進む。ステップS102では、次のような制御変更が実施される。
まず特定条件(2)の成立時には、検出素子31の温度が所定の基準温度よりも昇温される。すなわち、ECU22は通常、検出素子31の温度が所定の基準温度(例えば550℃)になるよう、検出素子31のヒータ36をフィードバック制御している。しかし、診断時で且つ特定条件(2)の成立時には、検出素子31の温度が基準温度より高い所定温度(例えば700℃)になるよう、検出素子31のヒータ36をフィードバック制御する。
また、特定条件(3)の成立時には、空燃比が理論空燃比(例えば14.6)よりもリーンな所定値(例えば14.8〜15.0の範囲内の値)に制御される。すなわち、ECU22は通常、酸素センサ19により検出された空燃比が理論空燃比になるよう燃料噴射量をフィードバック制御している。しかし、診断時で且つ特定条件(3)の成立時には、空燃比が理論空燃比よりもリーン(特に弱リーン)な所定値になるよう燃料噴射量を制御する。この強制リーン制御に際しては、エアフローメータ16により検出された吸入空気量に基づき燃料噴射量がフィードフォワード制御される。そうする理由は、本実施形態のようなZ特性(図4)を持つ酸素センサ19の場合、理論空燃比以外の空燃比にフィードバック制御することが困難であること、およびそもそも酸素センサ19の診断時にその出力値を使って空燃比制御を行うのが好ましくないからである。
なお、触媒18の下流側に設けた酸素センサ19に対し本発明を適用することも可能である。そして触媒18の上流側に酸素センサ(リニア空燃比センサ等)を追加して設け、この上流側酸素センサの出力に基づいて空燃比をフィードバック制御することが可能である。この場合、強制リーン制御に際して、上流側酸素センサの出力に基づいて空燃比(具体的には燃料噴射量)をフィードバック制御することが可能である。
次に、ステップS103において、所定時間内における酸素センサ19の出力電圧の使用を禁止するための禁止フラグがセットされる。このような禁止を行う理由は、酸素センサ19の検出素子31に後述の如く正負の直流電圧を印加すると、排気ガスの酸素濃度とは無関係にセンサ出力がリッチまたはリーンに変化するからである。
具体的には、後述する正負の直流電圧の印加中、および印加終了から所定時間が経過するまでは、本診断以外の目的で酸素センサ19の出力電圧を使用することが禁止される。
この結果、特定条件(2)の成立時には、燃料供給停止中に酸素センサ19の出力電圧を使用して行う他の診断(例えば酸素センサ19の応答性診断)が禁止される。また、特定条件(3)の成立時には、アイドル運転中に酸素センサ19の出力電圧を使用して行う他の制御および処理(例えば空燃比フィードバック制御および補正値学習処理)が禁止される。
これにより、酸素センサ19の出力電圧の使用による他の制御への悪影響(例えばセンサ出力を使用した診断における誤判定、制御値および学習値のズレならびにこれに伴うエミッション悪化)を未然に防止することができる。
次に、ステップS104において、検出素子31に所定の正の直流電圧が印加され、このときに検出素子31を流れる電流すなわち正の直流電流(+直流電流)Ipnが検出、記憶される。本実施例では、正の直流電圧を印加して正の直流電流Ipを検出するという操作を、電圧値を変えながらA回行う。Aは2以上の整数で、本実施例では例えば8とされる。電圧値の変え方は任意であるが、本実施例では徐々に増大させるようにしている。初回(n=1)の検出時には、予め定められた最小の正の直流電圧が印加される。
次に、ステップS105において、検出素子31に所定の負の直流電圧が印加され、このときに検出素子31を流れる電流すなわち負の直流電流(−直流電流)Imn(但し絶対値)が検出、記憶される。前記同様、本実施例では、負の直流電圧を印加して負の直流電流Imを検出するという操作を、電圧値を変えながらA回行う。Aは2以上の整数で、本実施例では例えば8とされる。電圧値の変え方は任意であるが、本実施例では、負の直流電圧の絶対値を徐々に増大させるようにしている。初回(n=1)の検出時には、予め定められた最小の絶対値を有する負の直流電圧が印加される。
ステップS106では、A回の検出を終えたか否か、すなわちn≧Aが成立しているか否かが判断される。
成立していない場合、ステップS107に進んで、nの値が1だけ増加されると共に、正負の直流電圧の電圧値が予め定められた次の値に変更され、ステップS101に戻る。こうして正の直流電流Ipnと負の直流電流Imnとが次々と、n=8になるまで検出されていく。
成立していない場合、ステップS107に進んで、nの値が1だけ増加されると共に、正負の直流電圧の電圧値が予め定められた次の値に変更され、ステップS101に戻る。こうして正の直流電流Ipnと負の直流電流Imnとが次々と、n=8になるまで検出されていく。
他方、成立した場合、ステップS108に進んで、検出されたA個の正の直流電流Ipのデータに基づき、正の直流電流変化率(+直流電流変化率)LIpが算出される。本実施例において、この算出は次のように行われる。まずA個のデータの中から、予め定められた中間程度の電圧値(例えば300mV)に対応する電流値Ip1と、最大の電圧値(例えば500mV)に対応する電流値Ip2とが抽出される。そして前者と後者の電流値の比Ip2/Ip1が正の直流電流変化率LIpとして算出される。
このように、所定の二つの正の直流電圧に対応した二つの正の直流電流が検出され、そのうち大きい方の正の直流電圧に対応した正の直流電流を、小さい方の正の直流電圧に対応した正の直流電流で除して、正の直流電流変化率が算出される。
もっとも前述したように、この正の直流電流変化率LIpの算出方法は任意であり、A個のデータの中からより多くのデータ、あるいは全てのデータを使って正の直流電流変化率LIpを算出してもよい。
次に、ステップS109に進んで、検出されたA個の負の直流電流Imのデータに基づき、負の直流電流変化率(−直流電流変化率)LImが算出される。この場合も同様に、A個のデータの中から予め定められた中間程度の電圧値(絶対値、例えば300mV)に対応する電流値Im1と、最大の電圧値(絶対値、例えば500mV)に対応する電流値Im2とが抽出される。そして前者と後者の電流値の比Im2/Im1が負の直流電流変化率LImとして算出される。
このように、所定の二つの負の直流電圧に対応した二つの負の直流電流が検出され、そのうち絶対値の大きい方の負の直流電圧に対応した負の直流電流を、絶対値の小さい方の負の直流電圧に対応した負の直流電流で除して、負の直流電流変化率が算出される。
次に、ステップS110において、正の直流電流変化率LIpが所定の第1閾値α1と比較される。LIp<α1の場合、ステップS111に進んで、酸素センサ19は異常と判定され、且つその異常の種類として拡散層38の目詰まりが特定される。
他方、LIp≧α1の場合、ステップS112に進んで、負の直流電流変化率LImが所定の第2閾値α2と比較される。LIm>α2の場合、ステップS113に進んで、酸素センサ19は異常と判定され、且つその異常の種類として検出素子31の割れが特定される。
他方、LIm≦α2の場合、ステップS114に進んで、酸素センサ19は正常と判定される。
ここで、ステップS101,S102に関し、診断を特定条件(2)または(3)の成立時に限って行う理由、およびこれら特定条件(2)および(3)にそれぞれ対応した制御変更を行う理由を説明する。
図13は、正の直流電圧印加時における印加電圧と電流の関係を示すイメージ図である。線(特性線)aは、酸素センサが正常、検出素子温度が基準温度、且つ酸素センサの雰囲気ガスが大気の場合(燃料供給停止状態に相当)を示す。この場合、電流は印加電圧に対し単純な比例関係にあり、印加電圧の増大につれ電流も比例的に増大する。
一方、線bは、酸素センサが目詰まり異常を起こしているが、検出素子温度は基準温度、且つ酸素センサの雰囲気ガスが大気の場合を示す。この場合、所謂限界電流特性が表れ、印加電圧の増大につれ電流は最初は比例的に増大するが、ある印加電圧値V1から増大傾向が弱まり、最終的にほぼ一定となる傾向にある。このような限界電流特性が表れる理由は、拡散層の目詰まりによりガスの拡散速度が上限に達し、電流制限が発生するからである。
ところで、限界電流特性が表れる(すなわち電流値の比例的増大が止まる)印加電圧値V1は、比較的高く、本実施形態で採用する印加電圧レベルVsよりも格段に高い。従って、本実施形態において当該印加電圧レベルVs内で印加電圧を変えても、正常時と目詰まり時とで、電流の変化率に違いは生じない。
しかし、検出素子温度を基準温度よりも昇温すると、線aは線cに変化し、線bは線dに変化する。すると限界電流特性が表れる印加電圧値が、印加電圧レベルVsより高い値V1から、印加電圧レベルVs内の値V2に変わる。従って本実施形態で採用する印加電圧レベルVs内で印加電圧を変えることにより、正常時と目詰まり時とで電流の変化率に明確な違いが生じるようになり、検出精度および診断精度を高めることができるようになる。
このことは、仮に印加電圧レベルVsが図示レベルより高電圧側に拡張された場合、もしくは低電圧側に拡張された場合でも、同様に言えることである。つまり、印加電圧レベルVsの幅および大小に拘わらず、検出素子温度を昇温することで、検出精度および診断精度を向上することが可能である。
かかる点を考慮し、正の直流電流変化率LIpの算出に際しては、少なくとも、限界電流特性が表れる印加電圧値よりも大きい印加電圧と、それより小さい印加電圧とにそれぞれ対応した電流値データを用いるのが好ましい。こうすることで、正常時と目詰まり時とで正の直流電流変化率LIpに明確な違いを出せるようになるからである。
所定の二つの正の直流電圧に対応した二つの正の直流電流に基づき正の直流電流変化率を算出する場合、大きい方の正の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも大きい値とし、小さい方の正の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも小さい値とするのが好ましい。
なお、上記の説明は正の直流電圧印加時における目詰まり検出に関するものであったが、負の直流電圧印加時における素子割れ検出についても、上記の説明と同様の理由で検出精度および診断精度の向上が可能である。すなわち、負の直流電圧印加時においても、検出素子温度が基準温度のときには限界電流特性が発生し難いが、検出素子温度が基準温度より昇温されたときには限界電流特性が発生し易くなり、検出精度および診断精度の向上が可能である。
所定の二つの負の直流電圧に対応した二つの負の直流電流に基づき負の直流電流変化率を算出する場合、絶対値の大きい方の負の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも絶対値の大きい値とし、絶対値の小さい方の負の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも絶対値の小さい値とするのが好ましい。
他方、検出を特定条件(2)の成立時に限って行うこと、および当該成立時に検出素子温度を昇温することの有利性は、次の理由にもよる。
上記の如く正または負の直流電圧を酸素センサに強制的に印加すると、酸素センサからは雰囲気ガスの酸素濃度および空燃比に無関係な出力が出るので、酸素センサの出力を制御に使用しない燃料供給停止時に診断を行うのが好ましい。しかし、燃料供給停止時には、雰囲気ガスに多くの酸素が存在するため、拡散層による電流制限が発生し難く、目詰まりや素子割れに起因した電気的特性の変化が判別し難い。ところが、検出素子温度を昇温すると、酸素センサの電気抵抗が少なくなり、正または負の直流電圧印加時により多くの電流が流れるようになる。よって上述したような拡散層による電流制限が発生し易くなる。よって、目詰まりや素子割れによる電気的特性の変化を検出し易くなり、これを以て検出精度および診断精度の向上が図れる。
また、検出素子温度を昇温すると、より小さい印加電圧で電流制限が発生する。印加電圧を段階的に増大しその都度電流を検出する方法の場合、より小さい印加電圧から異常センサと正常センサとの電流値の違いが現れる。この違いが現れる印加電圧まで印加電圧を増大するとした場合、検出素子温度を昇温した方が、しない場合よりも、検出データ数は少なくて済む。よって検出時間を短縮することが可能である。
次に、図13において、線eは、酸素センサが目詰まり異常を起こしており、検出素子温度は基準温度、且つ酸素センサの雰囲気ガスが空燃比15.0(すなわち弱リーン)の場合を示す。一方上記と異なり、線aは、酸素センサが正常で、検出素子温度は基準温度、且つ酸素センサの雰囲気ガスが空燃比15.0の場合を示す。
正常な酸素センサの場合、雰囲気ガスが弱リーンでも限界電流が発生しないので、線aのような特性となる。一方、線eに示す目詰まり異常センサの場合、印加電圧を増大しても、ある印加電圧値V3から電流が増大しなくなる。すなわち限界電流特性が表れる。
弱リーンにすると、限界電流特性が表れる印加電圧値が印加電圧レベルVs付近の値V3となる。よって検出素子温度を昇温しなくても、弱リーンにすることで、印加電圧レベルVs付近において正常センサと目詰まりセンサとの間の電流変化率の違いを明確に出せるようになり、検出精度および診断精度を高めることができる。
他方、検出を特定条件(3)の成立時に限って行うこと、および当該成立時に空燃比をリーン化することの有利性は、次の理由にもよる。
上記の如く正または負の直流電圧を酸素センサに印加すると、酸素センサからは雰囲気ガスの酸素濃度および空燃比に無関係な出力が出るので、酸素センサの出力を制御に使用しない燃料供給停止時に診断を行うのが好ましい。しかし、燃料供給停止時には、雰囲気ガスに多くの酸素が存在するため、拡散層による電流制限が発生し難く、目詰まりや素子割れに起因した電気的特性の変化が判別し難い。そのため、エンジン制御への影響が比較的少ないアイドル運転状態のときに検出を行うのが好ましい。また、空燃比を強制的に弱リーン化することで、検出素子温度を昇温せずに、電流制限が発生し易い状況を作り出すことができる。よって、目詰まりや素子割れによる電気的特性の変化を検出し易くなり、これを以て検出精度および診断精度の向上が図れる。
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。この第2実施例は第1実施例と比べ、電流値でなく抵抗値を用いる点が主な相違点である。すなわち、ECU22により、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流抵抗を検出すると共に、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の負の直流抵抗を検出する。
次に、第2実施例について説明する。この第2実施例は第1実施例と比べ、電流値でなく抵抗値を用いる点が主な相違点である。すなわち、ECU22により、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流抵抗を検出すると共に、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の負の直流抵抗を検出する。
+直流電圧印加時、拡散層38の目詰まり度合いが大きいほど、排気電極33Bに到達する単位時間当たりの酸素量が少なくなり、正の直流電流値は小さくなり、得られる抵抗(これを正の直流抵抗という)の値は大きくなる。
図9は、+直流電圧印加時における印加電圧と抵抗との関係を示すグラフである。図中の「正常」、「目詰まり大」、「目詰まり中」および「目詰まり小」は図6と同様である。図示するように、拡散層38における目詰まり度合いが大きいほど、一定の印加電圧に対する抵抗値は大きくなる傾向にある。
よって一値の印加電圧に対応した抵抗値のみに基づき診断を行うことも可能である。但しこの方法だと、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因する診断誤差が大きくなり、正常と異常の判別が困難となる可能性がある。
一方、図9の関係によれば、拡散層38における目詰まり度合いが大きいほど、印加電圧の増大に対する抵抗値の増大割合(勾配)は大きくなる傾向にある。
そこでこの傾向に着目し、第2実施例では、まず、図9に示す如く、検出素子31に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の正の直流抵抗を検出する。そして検出された複数の正の直流抵抗の変化率に基づき、酸素センサ19が正常か異常かを判定する。
複数の正の直流抵抗の変化率とは、複数の正の直流電圧の変化に対する複数の正の直流抵抗の変化の割合ないし度合いをいう。図9に示す例では8点のデータが取得されている。特にこの例では、正の直流電圧の増大につれ正の直流抵抗も増大する傾向にあるから、変化率を増大率と言い換えることもできる。変化率を任意に定義することができる点は第1実施例と同様である。
この変化率を所定の第3閾値と比較することにより、目詰まり異常の有無が判別可能である。変化率が第3閾値より大きいときは目詰まり異常あり、変化率が第3閾値以下のときは目詰まり異常なしといった具合である。
このように、正の直流抵抗の変化率を診断の基礎に用いるので、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因した抵抗値バラツキの影響を低減し、診断誤差の低減および診断精度の向上が可能となる。
一方、−直流電圧印加時だと、拡散層38の状態に応じて印加電圧と抵抗との関係が変化することは実質的にないが、検出素子31の状態に応じて両者の関係が変化することが判明した。
図10は、−直流電圧印加時における印加電圧と抵抗との関係を示すグラフである。印加電圧は絶対値で表す。図中の「正常」、「割れ小」および「割れ大」は図7と同様である。図示するように、素子割れの程度が大きいほど、一定の印加電圧に対する抵抗値は小さくなる傾向にある。
よって一値の印加電圧に対応した抵抗値のみに基づき診断を行うことも可能である。但しこの方法だと、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因する診断誤差が大きくなり、正常と異常の判別が困難となる可能性がある。
一方、図10の関係によれば、素子割れの程度が大きいほど、印加電圧の増大(負の直流電圧の絶対値の増大)に対する抵抗値の増大割合(勾配)は小さくなる傾向にある。
そこでこの傾向に着目し、第2実施例では、図10に示す如く、検出素子31に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加してその各々に対応する複数の抵抗(これを負の直流抵抗という)を検出する。そして検出された複数の負の直流抵抗の変化率に基づき、酸素センサ19が正常か異常かを判定する。
ここでいう複数の負の直流抵抗の変化率も、複数の負の直流電圧の変化に対する複数の負の直流抵抗の変化の割合ないし度合いをいう。図10に示す例では8点のデータが取得されている。特にこの例では、負の直流電圧の増大につれ負の直流抵抗も増大する傾向にあるから、変化率を増大率と言い換えることもできる。変化率を任意に定義することができる点は第1実施例と同様である。
この変化率を所定の第4閾値と比較することにより、素子割れ異常の有無を判別することが可能である。すなわち、変化率が第4閾値より小さいときは素子割れ異常あり、変化率が第4閾値以上のときは素子割れ異常なしといった具合である。
図11には、図10のデータに基づいた−直流電圧印加時における印加電圧と抵抗変化率との関係を示す。ここで抵抗変化率は、印加電圧が300mV(またはその近傍)のときの抵抗値を基準値とし、印加電圧が300mVより大きいときの各抵抗値が基準値に対し何%増大したかを縦軸で表している。つまり基準値をR0、印加電圧が300mVより大きいときの各抵抗値をRxとすると、縦軸の値は(Rx/R0)×100−100(%)で表される。図から、素子割れの程度が大きくなるほど抵抗変化率が小さくなることが分かる。
このように、負の直流抵抗の変化率を診断の基礎に用いるので、検出素子31自体や制御素子温等のバラツキに起因した電流値バラツキの影響を低減し、診断誤差の低減および診断精度の向上が可能となる。
ここに述べた正の直流抵抗変化率に基づく目詰まり異常診断、および負の直流抵抗変化率に基づく素子割れ異常診断は、それぞれ単独で行うことができる。しかしながら、両者を行った方が当然に、診断の精度および信頼性が高くなるため、好ましい。また両者を行った方が、酸素センサ19の正常・異常を判別できるのみならず、異常の場合にその異常の種類ないし箇所も特定することができるため、好ましい。こうして、拡散層38を有する酸素センサ19に好適な異常診断装置を提供することが可能である。
次に、ECU22が実行する第2実施例に係る異常診断処理を図12を参照して説明する。
ステップS201〜S203は前記ステップS101〜S103と同様である。ステップS204においては、検出素子31に所定の正の直流電圧が印加され、このときの検出素子31の抵抗すなわち正の直流抵抗(+直流抵抗)Rpnが検出、記憶される。本実施例でも、第1実施例と同様、正の直流電圧を印加して正の直流抵抗Rpを検出するという操作を、電圧値を変えながらA回行う。
次に、ステップS205において、検出素子31に所定の負の直流電圧が印加され、このときの検出素子31の抵抗すなわち負の直流抵抗(−直流抵抗)Rmnが検出、記憶される。前記同様、負の直流電圧を印加して負の直流抵抗Rmを検出するという操作を、電圧値を変えながらA回行う。
ステップS206では、A回の検出を終えたか否か、すなわちn≧Aが成立しているか否かが判断される。成立していない場合、ステップS207に進んで、nの値が1だけ増加されると共に、正負の直流電圧の電圧値が予め定められた次の値に変更され、ステップS201に戻る。
他方、成立した場合、ステップS208に進んで、検出されたA個の正の直流抵抗Rpのデータに基づき、正の直流抵抗変化率(+直流抵抗変化率)LRpが算出される。A個のデータの中から、予め定められた中間程度の電圧値(例えば300mV)に対応する抵抗値Rp1と、最大の電圧値(例えば500mV)に対応する抵抗値Rp2とが抽出される。そして前者と後者の抵抗値の比Rp2/Rp1が正の直流抵抗変化率LRpとして算出される。但し、他の算出方法も可能である。
ここでも、所定の二つの正の直流電圧に対応した二つの正の直流抵抗が検出され、そのうち大きい方の正の直流電圧に対応した正の直流抵抗を、小さい方の正の直流電圧に対応した正の直流抵抗で除して、正の直流抵抗変化率が算出される。前記同様、大きい方の正の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも大きい値とし、小さい方の正の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも小さい値とするのが好ましい。
次に、ステップS209に進んで、検出されたA個の負の直流抵抗Rmのデータに基づき、負の直流抵抗変化率(−直流抵抗変化率)LRmが算出される。この場合も同様に、A個のデータの中から予め定められた中間程度の電圧値(絶対値、例えば300mV)に対応する抵抗値Rm1と、最大の電圧値(絶対値、例えば500mV)に対応する抵抗値Rm2とが抽出される。そして前者と後者の抵抗値の比Rm2/Rm1が負の直流抵抗変化率LRmとして算出される。但し、他の算出方法も可能である。
ここでも、所定の二つの負の直流電圧に対応した二つの負の直流抵抗が検出され、そのうち絶対値の大きい方の負の直流電圧に対応した負の直流抵抗を、絶対値の小さい方の負の直流電圧に対応した負の直流抵抗で除して、負の直流抵抗変化率が算出される。前記同様、絶対値の大きい方の負の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも絶対値の大きい値とし、絶対値の小さい方の負の直流電圧を、限界電流特性が表れる印加電圧よりも絶対値の小さい値とするのが好ましい。
次に、ステップS210において、正の直流抵抗変化率LRpが所定の第3閾値α3(例えば1.5)と比較される。LRp>α3の場合、ステップS211に進んで、酸素センサ19は異常と判定され、且つその異常の種類として拡散層38の目詰まりが特定される。
他方、LRp≦α3の場合、ステップS212に進んで、負の直流抵抗変化率LRmが所定の第4閾値α4(例えば1.5)と比較される。LRm<α4の場合、ステップS213に進んで、酸素センサ19は異常と判定され、且つその異常の種類として検出素子31の割れが特定される。
他方、LRm≧α4の場合、ステップS214に進んで、酸素センサ19は正常と判定される。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば内燃機関は自動車用以外であってもよく、その用途や形式に特に制限はない。酸素センサも内燃機関以外への適用が可能である。前記実施形態における各数値は任意に変更が可能である。酸素センサは前述の如きコップ型または筒型に限らず、例えば板型のものであってもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
19 酸素センサ
22 電子制御ユニット(ECU)
31 検出素子
33A,33B 電極
37 固体電解質
38 拡散層
41 外層部
22 電子制御ユニット(ECU)
31 検出素子
33A,33B 電極
37 固体電解質
38 拡散層
41 外層部
Claims (10)
- 検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流電流、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流電流および複数の負の直流電流の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、少なくとも前記複数の正の直流電流を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、少なくとも前記複数の負の直流電流を検出し、
前記判定手段は、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、前記複数の正の直流電流および前記複数の負の直流電流の両方を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流電流の変化率が所定の第1閾値以上であり、且つ、前記複数の負の直流電流の変化率が所定の第2閾値以下であるとき、前記酸素センサを正常と判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記酸素センサが内燃機関の排気通路に設けられ、
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流電流および前記複数の負の直流電流の少なくとも一方を検出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 検出素子の外層部に、ガスの拡散速度を律速する拡散層を有した酸素センサの異常診断装置であって、
前記検出素子に大きさの異なる複数の正の直流電圧を印加したときに得られる複数の正の直流抵抗、および、前記検出素子に大きさの異なる複数の負の直流電圧を印加したときに得られる複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された複数の正の直流抵抗および複数の負の直流抵抗の少なくとも一方の変化率に基づき、前記酸素センサが正常か異常かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、少なくとも前記複数の正の直流抵抗を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値より大きいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記拡散層の目詰まりを特定する
ことを特徴とする請求項6に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、少なくとも前記複数の負の直流抵抗を検出し、
前記判定手段は、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値より小さいとき、前記酸素センサを異常と判定すると共に、その異常の種類として前記検出素子の割れを特定する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記検出手段は、前記複数の正の直流抵抗および前記複数の負の直流抵抗の両方を検出し、
前記判定手段は、前記複数の正の直流抵抗の変化率が所定の第3閾値以下であり、且つ、前記複数の負の直流抵抗の変化率が所定の第4閾値以上であるとき、前記酸素センサを正常と判定する
ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の酸素センサの異常診断装置。 - 前記酸素センサが内燃機関の排気通路に設けられ、
前記検出手段は、前記内燃機関の燃焼室に対する燃料供給が停止され且つ前記検出素子の温度が所定の基準温度よりも昇温されているとき、または、前記内燃機関がアイドル運転状態にあり且つ空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御されているとき、前記複数の正の直流抵抗および前記複数の負の直流抵抗の少なくとも一方を検出する
ことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の酸素センサの異常診断装置。
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JP2010214036A JP2012068150A (ja) | 2010-09-24 | 2010-09-24 | 酸素センサの異常診断装置 |
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