JP2012067263A - エポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物の強靱化を図るとともに、エポキシ樹脂に対するPESの割合が同じであって、エポキシ樹脂とPESとの溶解後に硬化物を配合して得た従来のエポキシ樹脂組成物と比較して、接着作業性が向上したエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤およびポリエーテルスルホンを含むエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンとの質量比が80:20〜40:60であって、液状のエポキシ樹脂2に対して、固形粒子状のポリエーテルスルホン3が分散された液状の組成物1とし、さらに、液状の組成物を硬化したときの硬化物10が、ポリエーテルスルホンをマトリックス11とし、このマトリックス11中にエポキシ樹脂のドメイン12が分散したマトリックス・ドメインの相構造をとるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物およびこれを硬化してなるエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体に関するものである。
エポキシ樹脂は、接着性、耐熱性、機械的強度に優れた樹脂として広く用いられているが、エポキシ樹脂単独では、その硬化物が硬くて脆いため、強靭化が課題とされていた。
そこで、従来では、エポキシ樹脂にスーパーエンプラのポリエーテルスルホン(以下では、PESと示す。)をアロイ化することで、エポキシ樹脂の強靱化が図られている(例えば、特許文献1−3参照)。
このエポキシ樹脂にPESをアロイ化する方法は、エポキシ樹脂とPESとを加熱しながら撹拌または混練することにより、エポキシ樹脂とPESとの溶解物を作製した後、その溶解物に硬化剤を配合することでエポキシ樹脂組成物を作製し、このエポキシ樹脂組成物を加熱して硬化させることで、強靱化された硬化物を得るものである(例えば、特許文献3の段落0028参照)。この硬化物では、エポキシ樹脂に対するPESの割合が多いほど、強靱化の効果が高くなる。
特許第3142425号公報 特許第4172220号公報 特許第4428978号公報
ところで、エポキシ樹脂にPESをアロイ化したものの硬化物は、マトリックス中にドメインが分散したマトリックス・ドメインの相構造(いわゆる海島構造)をとるが(例えば、特許文献1〜3参照)、エポキシ樹脂の強靱化のためには、強靱なPESがマトリックスとなり、エポキシ樹脂がドメインとなることが望まれる。
また、エポキシ樹脂を接着剤として使用する場合、接着作業性(取り扱い性)の観点より、接着作業時の温度、すなわち、常温下で、流動性を有する液状であることが求められる。
しかし、エポキシ樹脂とPESとの溶解後に硬化物を配合して得た従来のエポキシ樹脂組成物は、流動性の低い粘稠物か固形物となってしまい、接着作業性が悪いという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、硬化物の強靱化を図るとともに、エポキシ樹脂に対するPESの割合が同じ従来のエポキシ樹脂組成物と比較して、接着作業性が向上したエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、エポキシ樹脂、硬化剤およびポリエーテルスルホンを含むエポキシ樹脂組成物において、
エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンとの質量比が80:20〜40:60であって、液状のエポキシ樹脂(2)に対して、固形粒子状のポリエーテルスルホン(3)が分散された液状の組成物(1)であり、
液状の組成物を硬化したときの硬化物(10)が、ポリエーテルスルホンをマトリックス(11)とし、このマトリックス(11)中にエポキシ樹脂のドメイン(12)が分散したマトリックス・ドメインの相構造をとることを特徴としている。
このように、エポキシ樹脂とPESとの質量比が80:20のときよりも、PESの割合を大きくすることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の相構造を、PESのマトリックス中にエポキシ樹脂のドメインが分散したマトリックス・ドメイン構造とすることができる。このため、エポキシ樹脂単独の場合と比較して、硬化物の強靱化が可能となる。
そして、液状のエポキシ樹脂に対して、固形粒子状のPESが分散された構成とすることで、エポキシ樹脂に対するPESの割合が同じである従来のエポキシ樹脂組成物と比較して、接着作業性が向上したエポキシ樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、エポキシ樹脂に対するPESの割合が大きく、常温での接着作業性が良好なエポキシ樹脂組成物を提供できる。ただし、エポキシ樹脂とPESとの質量比が40:60のときよりもPESの割合を小さくする。このときよりもPESの割合が大きいと、接着作業性が悪くなるからである。
特に、請求項2に記載のように、エポキシ樹脂とPESとの配合比を、従来では液状のエポキシ樹脂組成物が得られない範囲(エポキシ樹脂:PES=60:40〜40:60)としても、常温で液状のエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
また、請求項1、2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、液状のエポキシ樹脂(2)に分散される固形粒子状のポリエーテルスルホン(3)は、平均粒子径が1mm以下であることが好ましい。このようにすることで、硬化のための加熱時に、エポキシ樹脂とPESとを均一に溶解させることができる。
また、請求項1〜3に記載の発明においては、請求項4に記載のように、硬化物(10)におけるドメイン(12)の平均粒子径が1μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物(1)を硬化してなるエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物およびその硬化物を示す模式図である。 実施例4の硬化物のSEM写真である。
図1は、本発明におけるエポキシ樹脂組成物1およびその硬化物10を示す模式図である。エポキシ樹脂組成物1は、エポキシ樹脂、硬化剤およびPESを含むものであるが、図1(a)に示すように、液状のエポキシ樹脂2に対して、固形粒子状のPES3が分散された液状の組成物であり、液状のエポキシ樹脂2に硬化剤が含まれている。
このエポキシ樹脂組成物1は、プラスチック同士やセラミックス同士等の接着剤、例えば、各種センサー等の電子部品を収容する樹脂製(もしくはセラミックス製)パッケージの本体と蓋との接着剤に適している。接着作業は、通常、常温(室温)で行われるところ、このエポキシ樹脂組成物1は、常温下で液状であるため、取り扱い性が良く、接着作業が容易となる。
そして、図1(c)に示すように、このエポキシ樹脂組成物1を所定の硬化条件で加熱後、冷却されて得られた硬化物10は、PESをマトリックス11とし、このマトリックス中にエポキシ樹脂のドメイン12が分散したマトリックス・ドメインの相構造をとる。
より具体的には、図1(a)に示すエポキシ樹脂組成物1は、液状のエポキシ樹脂2と粉末状のPES3と硬化剤とを、常温で撹拌して混合させることで得られる。この常温とは、加熱しない平常の温度(室温)を意味する。このように、PESをエポキシ樹脂に溶解させないので、常温下で液状にすることができ、従来のようにPESをエポキシ樹脂に溶解させた場合と比較して、粘度を低くできる。
このとき用いるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、レゾルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール、ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型、あるいは、これらの水添による脂環型のグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエステル型; フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;さらには骨格がポリエーテル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリル、シリコーンである柔軟性エポキシ樹脂などが挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は単独でも2種類以上を併用しても良い。特に、ビスフェノール型のエポキシ樹脂が、物性、接着性に優れるエポキシ樹脂として好適に用いられる。
また、このとき用いる硬化剤は、エポキシ樹脂に対して使用しうる硬化剤であれば、特に限定されない。例えば、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサンのようなポリアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンのようなポリメチレンジアミン;メンセンジアミン(MDA)、イソフォロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、三井化学(株)製のNBDAに代表されるノルボルナン骨格のジアミンのような環状脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン(MXDA)のような芳香環を含む脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンのような芳香族ポリアミン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
他のアミン系硬化剤としては、例えば、ポリアミンにアルデヒドおよび/またはフェノールを反応させることにより得られるマンニッヒ変性ジアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト)、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、脂肪族ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン;テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、ピコリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルアミノフェノール、ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N′−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのような第二級アミン類または第三級アミン類;ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンのようなポリアミンとを反応させてなる液体ポリアミドが挙げられる。
酸または酸無水物系硬化剤としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸のようなポリカルボン酸;無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物のような芳香族酸無水物;無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水メチルハイミック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物のような環状脂肪族酸無水物;ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物のような脂肪族酸無水物;クロレンド酸無水物、テトラブロム無水フタル酸、無水ヘット酸のようなハロゲン化酸無水物が挙げられる。
塩基性活性水素化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジドが挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジンが挙げられる。
ポリメルカプタン系硬化剤としては、例えば、2,2′−ビスメルカプトエチルエーテルの部分エポキシ付加物;ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート、トリメチロールプロパンドリチオグリコレートのようなチオグリコール酸のエステル;末端にメルカプト基を有するポリスルフィドゴムのようなメルカプト基を含む化合物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートのようなイソシアネート化合物;イソシアネート基を、フェノール、アルコール、カプロラクタムのようなブロック化剤と反応させてマスクしてなるブロックイソシアネート化合物が挙げられる。
図1(b)に示すように、エポキシ樹脂組成物1を所定の硬化条件で加熱すると、固形粒子のPESがエポキシ樹脂に完全に溶解して透明な樹脂となる。このとき、PESがエポキシ樹脂に対して均一に溶解されるように、図1(a)に示すエポキシ樹脂組成物1中のPES3の平均粒子径が1mm以下であることが好ましい。これは、硬化のための加熱時では、撹拌をしないため、平均粒子径が1mmよりも大きいと、加熱時にPESが溶解しても、PESの粒子が存在した箇所はPESのみの領域となり、エポキシ樹脂に対してPESを均一に溶解させることができないからである。
そして、エポキシ樹脂組成物1が所定の硬化条件で加熱された後、冷却されると、図1(c)に示すマトリックス・ドメインの分散構造を有する硬化物となる。これは、エポキシ樹脂と硬化剤との反応前は、エポキシ樹脂の分子量が小さいので、PESとの相溶性が高いのに対して、エポキシ樹脂と硬化剤との反応後は、エポキシ樹脂の分子量が大きくなって、PESとの相溶性が低くなるからである。この硬化物はエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体である。
ちなみに、硬化物10のマトリックス・ドメインの分散構造において、エポキシ樹脂のドメイン12の平均粒子径は1μm以上10μm以下である。また、PESのマトリックス11にはエポキシ樹脂がわずかに含まれていても良く、エポキシ樹脂のドメイン12にはPESがわずかに含まれていても良い。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物1は、液状のエポキシ樹脂2と固形粒子状のPES3との配合比が、質量比で80:20〜40:60の範囲のものである。
エポキシ樹脂とPESとの質量比が80:20のときよりも、PESの割合を大きくするのは、後述の実施例に示すように、硬化物10の相構造を、PESのマトリックス11中にエポキシ樹脂のドメイン12が分散したマトリックス・ドメイン構造とすることができるからである。これにより、強靱なPESがマトリックスとなり、エポキシ樹脂がドメインとなるので、本発明のエポキシ樹脂組成物1によれば、エポキシ樹脂単独の場合と比較して、硬化物10の強靱化(曲げ強度、曲げ歪の向上)および接着強度の向上が可能となる。
また、エポキシ樹脂とPESとの質量比が40:60のときよりもPESの割合を小さくするのは、後述する実施例に示すように、このときよりもPESの割合が小さければ、エポキシ樹脂組成物1が液状となり、接着剤として使用する際に良好な接着作業性が得られるからである。
表1、2に、本発明の実施例および比較例におけるエポキシ樹脂組成物の配合比、硬化物の評価結果を示す。
実施例1〜5および比較例1〜3では、表1に示す配合比(質量比)にて、液状のエポキシ樹脂、粉末状のPESおよび硬化剤としての芳香族ポリアミンを同時に配合し、常温下で撹拌してエポキシ樹脂組成物を作製した。なお、比較例1ではPESを省略した点を除いて、実施例1〜5と同様に作製した。
一方、比較例4〜8では、表2に示す配合比にて、加熱しながらエポキシ樹脂およびPESを溶解した後、硬化剤としての芳香族ポリアミンを配合してエポキシ樹脂組成物を作製した。なお、比較例4〜8では加熱温度を100℃とした。
そして、各実施例および各比較例で作製したエポキシ樹脂組成物を硬化して得た硬化物の評価を行った。
各実施例および各比較例で使用したエポキシ樹脂、PESおよび芳香族ポリアミン、硬化条件、評価方法は以下の通りである。
[材料]
・エポキシ樹脂:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(製品名DER331J、ダウケミカル社製)
・PES:製品名スミカエクセル5003PS、住化ケムテックス社製を100μm以下に粉砕したもの
・芳香族ポリアミン:ジエチルトルエンジアミン(製品名JERキュアW、三菱化学社製)
[硬化条件]
100℃、2時間+180℃、3時間
[硬化物の評価]
・ドメインの粒径をSEM観察より複数測定して平均粒子径を算出した。
・曲げ試験をJIS K 7171に則って室温で実施し、曲げ強度、曲げ歪を測定した。
試験体サイズ:長さ80mm×厚さ4mm×幅10mm
試験速度:2mm/min
なお、表1、2中の「>数値」は、その数値が測定限界値であったことを示している。これは、試験体をそれ以上曲げられず、試験体が破壊するまで測定できなかったためであり、実際にはその数値よりも高い数値が結果として得られることを意味している。
・せん断接着試験をJIS K 6850に則って室温で実施し、接着強度を測定した。
被着体サイズ:長さ100mm×厚さ3mm×幅20mm
重ね合わせ幅:10mm
試験速度:5mm/min
表1に示すように、PESの配合比が0、10である比較例1、2では、硬化物の相構造が、マトリックスがエポキシ樹脂であり、ドメインがPESであるマトリックス・ドメイン構造であった。
これに対して、PESの配合比が20〜60である実施例1〜5では、硬化物の相構造が、マトリックスがPESであり、ドメインがエポキシ樹脂であるマトリックス・ドメイン構造であった。このマトリックス・ドメイン構造の一例として、図2に、実施例4の硬化物のSEM写真を示す。図2に示すように、PESからなるマトリックス中に、エポキシ樹脂からなる球状のドメイン粒子が分散しており、他の実施例においても同様の構造が確認されている。ちなみに、表1に示すように、実施例1〜5におけるエポキシ樹脂からなるドメインの平均粒子径は2〜6μmであった。
そして、表1に示す結果からわかるように、実施例1〜5における硬化物の曲げ強度、曲げ歪および接着強度は、比較例1と比較して、向上している。
また、実施例1〜5のエポキシ樹脂組成物は、25℃で液状であり、室温での接着作業性(取り扱い性)が良いと言える。ちなみに、実施例1〜5の中では、実施例1、2が最も粘性が低く、最も接着作業性(取り扱い性)が良いと言える。
これに対して、PESの配合比が70である比較例3のエポキシ樹脂組成物は、25℃で粉状であり、室温での接着作業性(取り扱い性)が悪いと言える。
したがって、これらの結果より、エポキシ樹脂とPESとの配合比は、質量比で80:20〜40:60の範囲が良いことがわかる。
また、表2に示すように、比較例4〜8のエポキシ樹脂組成物は、それぞれ、実施例1〜5のエポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂とPESとの配合比が同じであるが、同じ配合比の実施例と比較して、接着作業性(取り扱い性)が悪いものであった。すなわち、25℃でのエポキシ樹脂組成物の性状が、比較例4、5は、それぞれ、実施例1、2と比較して粘性が高く流動性が低い粘稠液体であり、比較例6は流動性がほとんどない半固形であり、比較例7、8は固形であった。
したがって、実施例1〜5および比較例4〜8のエポキシ樹脂組成物の性状を比較してわかるように、エポキシ樹脂とPESとの配合比が同じ場合、エポキシ樹脂組成物の構成を、実施例1〜5のように、液状のエポキシ樹脂に対して、固形粒子状のPESが分散された構成とすることで、比較例4〜8のように、エポキシ樹脂とPESとの溶解後に硬化物を配合して得られる従来のエポキシ樹脂組成物と比較して、常温での接着作業性を向上できると言える。
また、上述の通り、比較例6、7、8のエポキシ樹脂組成物は25℃で液状ではないのに対して、実施例3、4、5のエポキシ樹脂組成物は25℃で液状であった。
このことから、本発明によれば、エポキシ樹脂とPESとの配合比が、従来では液状のエポキシ樹脂組成物が得られない範囲(エポキシ樹脂:PES=60:40〜40:60)であっても、常温で液状のエポキシ樹脂組成物が得られると言える。ちなみに、実施例3、4、5の配合比をそれぞれ換算すると、実施例3、4、5は、エポキシ樹脂100質量部に対して、それぞれ、67質量部、100質量部、150質量部である。
1 エポキシ樹脂組成物
2 液状のエポキシ樹脂
3 固形粒子状のPES
10 エポキシ樹脂組成物の硬化物
11 マトリックス(=PES)
12 ドメイン(=エポキシ樹脂)

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤およびポリエーテルスルホンを含むエポキシ樹脂組成物において、
    前記エポキシ樹脂と前記ポリエーテルスルホンとの質量比が80:20〜40:60であって、液状の前記エポキシ樹脂(2)に対して、固形粒子状の前記ポリエーテルスルホン(3)が分散された液状の組成物(1)であり、
    前記液状の組成物を硬化したときの硬化物(10)が、前記ポリエーテルスルホンをマトリックス(11)とし、このマトリックス(11)中に前記エポキシ樹脂のドメイン(12)が分散したマトリックス・ドメインの相構造をとることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂と前記ポリエーテルスルホンとの質量比が60:40〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 固形粒子状の前記ポリエーテルスルホン(3)は、平均粒子径が1mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記硬化物(10)における前記ドメイン(12)の平均粒子径が1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物(1)を硬化してなるエポキシ樹脂/ポリエーテルスルホン複合体。
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