JP2012064927A - 太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシート - Google Patents

太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシート Download PDF

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Abstract

【課題】接着性の優れた太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシート。
【解決手段】少なくとも片面に塗布層を有する基材厚みが20〜300μmの黒色ポリエステルフィルムであって、フィルムの光学濃度が1.0〜5.0であり、
前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシートに関する。詳しくは、太陽電池用バックシートの封止剤に接する面に用いた際に、高温高湿下においても封止剤との接着に優れた黒色ポリエステルフィルム、およびそれを用いたバックシートに関する。
近年、地球温暖化の原因となる石油エネルギーに代わる、エネルギー手段として、太陽電池が注目を浴びており、その需要が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムであり、太陽電池素子として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体や、化合物系、あるいは有機物系色素など使用されている。最近では、原料、生産に要するエネルギーやコストを削減させるためにシリコンの厚みを薄くした薄膜太陽電池素子の割合が増加してきている。このような太陽電池素子単体を一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年以上)に亘って素子を保護するため種々のパーケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼ぶ。
ここで、太陽電池モジュールは、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、太陽電子素子を封止材で間隙を埋め、裏面をバックシートと呼ばれる耐熱、耐候性プラスチック材料などの複数の層構成からなる保護シートで保護された構成になっている。太陽電池素子を充填する封止材としてはエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVA)やポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB)などのオレフィン系樹脂が用いられる。これらの封止材を用い、上記ガラス基板/封止材/太陽電池素子/封止材/バックシートの構成で重ね合わせ、真空ラミネーターなどで加熱圧着することによりモジュールが作製される。封止材には、太陽電池素子を接着固定するとともに、外部からの湿気の侵入を防ぎ、太陽電池素子を保護する役割がある。
太陽電池用バックシートとしては、太陽電池素子側(封止材側)からポリエステルフィルム/接着剤/ポリエステルフィルム(着色)/金属、または、金属酸化物系薄膜層(防湿層)/接着剤/フッ素フィルム(防汚層)などの積層構成を有したものが提案されている。このようなバックシートには太陽電池素子を外部の湿気や汚染から長期にわたり、保護する役目がある。そのため、封止材と直接的に接する太陽電池素子側のポリエステルフィルムと封止材との接着性は重要である。しかしながら、表面未処理のポリエステルフィルムでは、十分な接着性が得られず、改善することが求められている。ポリエステルフィルムの接着性を改善させる方法として、樹脂や架橋剤を含む接着層を設けることが提案されている(特許文献1〜4)。
一方、光電変換効率の向上を図ることを目的として、太陽電池素子(特に薄膜太陽電池素子)を透過した光を反射させ、効率よく吸収させるために、太陽電池素子側(封止材側)のポリエステルフィルムとして白色ポリエステルフィルムが採用される場合がある(特許文献5)しかしながら、太陽電池素子によっては、例えば非晶質薄膜シリコンのように、発電時の素子の温度を上げることで発電効率が向上する種類のものがある。この場合においてはバックシートを黒色にして太陽光の輻射熱を効率よく吸収させて素子の温度を上昇させることが好ましい(特許文献6)。
特開2006−152013号公報 特開2006−332091号公報 特開2007−48944号公報 特開2007−136911号公報 特開2009−182188号公報 特開2007−128943号公報
屋外で過酷な環境条件下で使用される太陽電池モジュールは、20年以上の長寿命化が期待されている。そのため、部材として用いられる封止材易接着フィルムにおいても、初期接着性だけでなく、高温高湿下でも長期間、接着性を保持することが必要であると考えられた。しかしながら、上記特許文献に開示されるような太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムは、いまだ接着性が不十分であり、特に高温高湿下の長期間の使用においては接着強度の低下は避けられないものであった。
加えて、封止材には、生産性の向上や劣化防止の観点から架橋剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含む多様な組成物種が用いられるようになってきた。そのため、多様な封止材に対しても同程度の接着性を示す汎用性の高い易接着性フィルムが求められている。
本発明は上記課題に鑑み、過酷な環境下にも耐ええる強度な接着性を有し、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下における接着性の低下をほとんど引き起こさず、多様な封止材に対しても良好な接着性を有し、加えて、バックシート表面での光の反射を抑制することで輻射熱を効率よく吸収しうる太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60である塗布層を用いることにより、過酷な環境下にも耐え得る強度な接着性を奏し、高温高湿下でも優れた接着性を奏することを見出し、本発明に至ったものである。
前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。
(1)少なくとも片面に塗布層を有する、基材厚みが20μm〜500μmの黒色ポリエステルフィルムであって、フィルムの光学濃度が1.0〜5.0であり、前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルム。
(2)前記太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを積層した太陽電池用バックシート。
本発明の太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムは強固な接着性を奏し、特に、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)に優れる。そのため、好ましい実施態様としては、上記高温、高湿処理での接着性が、当初の接着性と同等に維持される。本発明の好ましい実施態様としては、本発明の太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムをバックシートの部材として用いた場合、封止材との接着性が良好である。
(黒色ポリエステルフィルム)
本発明の基材に用いるポリエステルとは、テレフタル酸,イソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール,ジエチレングリコール,1,4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは、(1)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(直重法)のほか、(2)芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(エステル交換法)、あるいは(3)芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法、などの公知の方法によって製造することができる。
かかるポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位、プロピレンテレフタレート単位、あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートがコストパフォーマンスの点から特に好適である。また、基材フィルムの固有粘度は0.50〜0.75dl/gであることが好ましい。
太陽電池素子の発電効率を向上させるためは、太陽光の輻射熱をよく吸収して温度が上昇しやすい黒色ポリエステルフィルムを用いる。効果的な温度上昇効果とフィルムの力学強度を両立させるため、本発明のポリエステルフィルムの光学濃度(OD)は1.0〜5.0であることが好ましく、1.3〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.0であることがさらに好ましい。
なお、ここで黒色ポリエステルフィルムとは、反射率が20%未満のものをいう。この反射率は輻射熱の吸収効率の観点から、5%未満であることがより好ましい。
ここでポリエステルフィルムの光学濃度を上記範囲に制御する方法としては、光反射や光散乱によるものではなく、光吸収によって発現させることが好ましい。具体的には、フィルム中に黒色顔料や色素など光吸収剤を添加することが好ましい実施形態である。
本発明に用いる黒色顔料としては無機系,有機系を問わずに公知のものを用いることができるが、耐候性の観点から無機系顔料を用いることが好ましく、炭素系やチタン系、鉄系の顔料を用いることが好ましく、例えばカーボンブラックやチタンブラックなどが用いられる。特に、カーボンブラックは少量で高い光吸収性を発現させることが可能であり、また工業材料として容易に安価に入手できるため好ましい顔料である。なお、ここで用いる顔料には分散性向上などの目的のため各種有機、無機表面処理を施すことができる。
黒色顔料の添加量は、顔料の種類、フィルムの光学濃度(光吸収性)およびフィルム厚みにより適宜選択することが望ましい。例えば、フィルム中0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。添加量が上記の範囲に満たない場合には、比較的隠蔽性が高いカーボンブラックを以ってしても必要な光吸収性を得ることが困難であり、また上記の範囲を超えた場合には、フィルムの力学特性が低下したり、顔料粒子のチキソトロピー性に因る加工適性の低下を招いたりするために好ましくない。
より具体的には、カーボンブラックやチタンブラックを用いて光学濃度を発現する方法を用いるならば、その添加量(%)とフィルム厚み(μm)を乗じた係数が、20〜80%・μmとすることが好ましく、30〜50%・μmとすることがより好ましい。なお、この係数はフィルム単位体積中に含まれる顔料の総量をあらわすパラメータであり、積層フィルムにおいては各層の値の和で表現することができる。
また、フィルムに他の機能を付与するために、基材中に黒色顔料以外の無機粒子,有機粒子、酸化防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて含有させることができる。
たとえば、基材フィルムには黒色顔料とこれより平均粒子径が大きい粒子を含有させることで滑り性(アンチブロッキング性)を付与することが可能である。ここで用いる粒子は特に限定されず、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン粒子など良く知られた粒子を用いることが可能であるが、ポリエステル樹脂に対する親和性が高く、屈折率も近いことからシリカ粒子を用いるのが好ましい実施形態である。
また、ここで用いる粒子の平均粒径は0.5〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。平均粒径が上記の範囲に満たない場合には、滑り性を十分に発現させることが困難であり、上記の範囲を超える場合には粒子の脱落や外観不良などの問題を生じるため好ましくない。なお、上記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する10ヶ以上の粒子の最大径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
また、ここで用いる粒子の添加量は200〜10000ppmであることが好ましく、500〜5000ppmであることがより好ましい。添加量がこの範囲に満たない場合には十分な滑り性を得ることが困難であり、またこの範囲を超える場合には、フィルムの力学特性の低下や外観不良を招くために好ましくない。特に白色顔料などの屈折率の高い粒子を用いた場合には、添加量の増大に伴って光反射率が向上し、本発明の主旨である輻射熱の活用に好ましくない影響を与えることが考えられる。
本発明の基材フィルムは単層であっても多層であっても構わない。例えば、黒色顔料の添加量が比較的多いA層と、比較的少ないB層をB/A/Bの順に積層することによって、フィルムの外観や劈開強度を改善することが可能である。さらにその他の機能性添加剤を含有させたC層を
加えてA/B/C、C/A/B/A/Cなどの構成をとることによって様々な機能を付与したフィルムとすることが可能である。
ここで多層フィルムを作る方法は特に限定されず、共押出しや押出しラミネート,接着によるラミネートなど公知の方法を用いることが可能であるが、生産効率の観点からは共押出しによって行うのが好ましい実施形態である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの厚みは20〜300μmであり、より好ましくは35〜250μmであり、さらに好ましくは50〜200μmである。基材層がこの範囲に満たない場合には、太陽電池モジュールを保護するにおいて強度が不足するために好ましくない。また、この範囲を超えるようなフィルムは力学性能において過剰品質となるだけでなく、場合によってはハンドリングが困難となるために好ましくない。
(塗布層)
本発明の太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムには、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とした塗布層が形成され、赤外分光法による測定で、脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)がが0.70〜1.60であることが重要である。ここで、「主成分」とは、塗布層に含まれる全固形成分中として50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することを意味する。
上記特許文献1〜4のように、従来の技術常識では塗布層の耐久性を向上させる点からは塗布層形成において架橋構造を積極的に導入し、剛直で強硬な塗布層にすることが望ましいと考えられていた。しかし、本発明では脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂を赤外分光法による吸光度を一定の範囲に制御することで、強固な接着性を奏し、かつ高温高湿熱下での接着性を向上させるという顕著な効果を見出し、本発明に至った。このような構成により、接着性を向上させることの機序はよくわからないが、本発明者は次のように考えている。
例えば、モジュールのパッケージングに際して、ガラス基板/封止材/塗布層を有するポリエステルフィルム(塗布層)を積層した構成で高温で加熱圧着が行われる。この際、高温接着時のポリエステルフィルムの熱収縮により、ポリエステルフィルム(塗布層)と封止材の間に応力が生じる。特に、係る応力の発生も多様な封止材の種類・接着条件によって変化しうる。その結果、上記応力が緩和し切れず、封止材との接着性が低下すると考えられた。さらに、係る積層体を高温高湿下においた場合、加水分解により、塗布層の劣化が進行する。その結果、上記応力に耐え切れず、封止材が剥離し、高温高湿下での接着性が低下すると考えられた。そのため、封止材との強固な密着性や高温高湿下での接着性を高度に保持するためには、単に塗布層を強固に架橋することで耐久性を付与するのではなく、耐熱、耐加水分解性を保持した成分で、かつ、上記応力に耐えうる柔軟性を備えることが望ましいと考えられる。しかし、単に柔軟性を有するだけでは、塗膜強度に問題がある。そのためこれら相反する特性を両立させることが最も望ましい。
本発明では、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とする塗布層であって、赤外分光法による測定される脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60とすることで、上記特性を両立させるものである。すなわち、耐加水分解性を有する脂肪族ポリカーボネート成分と、強硬性を奏するウレタン成分を所定の割合で共存させることで、上記特性の両立を図るものである。これにより、高温での熱接着時のポリエステルフィルムの熱収縮による応力を緩和することができるため、封止材との強固な接着性を得ることができ、その後の高温高湿の環境下でも、耐熱、耐加水分解性を保持しているため、塗布層の劣化を防止できると考えている
ここで、1460cm−1付近の吸光度(A1460)は、脂肪族系ポリカーボネート成分に含まれるメチレン基にC−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1460cm−1付近の吸光度(A1460)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネートポリオール成分量に依存する。一方、1530cm−1付近の吸光度(A1530)は、ウレタン成分に含まれるN−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1530cm−1付近の吸光度(A1530)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成するウレタン成分量に依存する。そのため、これらの吸光度比率(A1460/A1530)は、それぞれ異なる特性を有する両成分を特定の割合で共存していることを示すものである。本発明では、前記比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であるが、前記比率(A1460/A1530)の下限は好ましくは0.75であり、より好ましくは0.80である。また、前記比率(A1460/A1530)の上限は好ましくは1.50であり、より好ましくは1.45であり、さらに好ましくは1.40である。前記比率(A1460/A1530)が、0.70未満の場合は、強硬なウレタン成分が多くなりすぎ、塗布層の応力緩和が低下するため耐湿熱性が低下する。また、前記比率(A1460/A1530)が、1.55を越える場合は、柔軟な脂肪族系ポリカーボネートの脂肪族成分が多くなりすぎ、塗布層の強度が低下するため塗膜強度や耐湿熱性が低下する。
本発明は、上記態様により、封止材との強度な接着性を奏し、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)を向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳細する。
(ウレタン樹脂)
本発明のウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。本発明では、ウレタン樹脂の構成成分として脂肪族系ポリカーボネートポリオールを有することを特徴とする。本発明の塗布層に脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を含有させることで、耐湿熱性を向上させることができる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるジオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有させる必要がある。本発明の太陽光による黄変防止の点から脂肪族系ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分である脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類の1種または二種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは1500〜4000であり、より好ましくは2000〜3000である。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さい場合は、相対的にウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネート成分の比率が小さくなる。そのため、前記比率(A1460/A1530)を前述の範囲にするためには、脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量を上記範囲で制御することが好ましい。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が大きいと、脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)が増加し、脂肪族成分が増加してしまうため、接着性や高温高湿処理後の強度が低下する場合がある。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さいと強硬なウレタン成分が増加し、基材の熱収縮による応力を緩和できなくなり、接着性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。芳香族イソシアネートを使用した場合、黄変の問題があり、好ましくない場合がある。また、脂肪族系と比較して、強硬な塗膜になるため、基材の熱収縮による応力を緩和できなくなり、接着性が低下する場合がある。
鎖延長剤としては、エチレングリコール,ジエチレングリコール,1,4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類,グリセリン,トリメチロールプロパン,およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類,エチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミンおよびピペラジン等のジアミン類,モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類,チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類や水が挙げられる。ただし、主鎖の短い鎖延長剤を用いると、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)が増し、塗布層の柔軟性が低下する場合がある。よって、鎖延長剤としては主鎖の長いものが好ましい。また、塗布層の柔軟性を付与する点では、脂肪族系で主鎖の炭素数が4〜10の長さのジオールやジアミンの鎖延長剤が好ましい。これらの点から、本発明に用いる鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミンなどが好適である。すなわち、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度の低下を防ぎ、柔軟性を付与するために、1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,ヘキサメチレンジアミンなどの直鎖で分子量の大きいものが好ましい。
本発明の塗布層の塗布方法は特に限定されず、各種のオフラインコート法やインラインコート法を採用することができる。ただし、生産性や環境保護の点からは、本発明の塗布層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。この場合、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。また、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を導入することもできる。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリイソプロピルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類,N−メチルモルホリン,N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類,N−ジメチルエタノールアミン,N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、二種以上併用することもできる。
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。また、前記組成モル比が60モル%を超える場合は、耐水性が低下するため耐湿熱性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂のガラス転移点温度は0℃未満が好ましく、より好ましくは−5℃未満である。ガラス転移点温度が0℃未満の場合は、加圧接着の際に部分的に溶融したEVAやPVBなどのオレフィン樹脂と粘度が近くなり、部分的混合による強固な接着性の向上に寄与し、塗布層の応力緩和の点から好適な柔軟性を奏しやすく好ましい。
本発明のウレタン樹脂には高温高湿後の接着性を向上させるために、樹脂自体に架橋基を導入しても良い。塗液の経時安定性や架橋密度向上効果からシラノール基が好ましい。
本発明のウレタン樹脂以外の樹脂でも、接着性を向上させるために含有させても良い。例えば、ポリエーテル、または、ポリエステルを構成成分とするウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
本発明において、塗布層中に架橋剤を含有させても良い。架橋剤を含有させることにより、接着性を更に向上させることが可能になる。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、二種類の架橋剤を混合させても良い。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用しても良い。
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ,カオリナイト,タルク,軽質炭酸カルシウム,重質炭酸カルシウム,ゼオライト,アルミナ,硫酸バリウム,カーボンブラック,酸化亜鉛,硫酸亜鉛,炭酸亜鉛,二酸化チタン,サチンホワイト,珪酸アルミニウム,ケイソウ土,珪酸カルシウム,水酸化アルミニウム,加水ハロイサイト,炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系,塩化ビニル系,酢酸ビニル系,ナイロン,スチレン/アクリル系,スチレン/ブタジエン系,ポリスチレン/アクリル系,ポリスチレン/イソプレン系,ポリスチレン/イソプレン系,メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系,メラミン系,ポリカーボネート系,尿素系,エポキシ系,ウレタン系,フェノール系,ジアリルフタレート系,ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
前記粒子は、平均粒径が1〜500nmのものが好適である。平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から1〜100nmであれば好ましい。
前記粒子は、平均粒径の異なる粒子を二種類以上含有させても良い。
なお、上記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する10ヶ以上の粒子の最大径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分なアンチブロッキング性を得ることができない。また、スクラッチ耐性が悪化してしまう。多い場合は、塗膜強度が低下する。
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系,アニオン系,ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系,アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、封止材との接着性を損なわない程度の範囲、例えば、塗布液中に0.005〜0.5質量%の範囲で含有させることも好ましい。
塗布層に他の機能性を付与するために、封止材との接着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば蛍光染料,蛍光増白剤,可塑剤,紫外線吸収剤,顔料分散剤,抑泡剤,消泡剤,防腐剤,帯電防止剤等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
(太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムの製造)
本発明の黒色ポリエステルフィルムは、逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸により得られた二軸配向積層ポリエステルが望ましい。以下、最も広く用いられる逐次二軸延伸方法について説明する。
フィルム原料を十分に真空乾燥した後、押出し機で溶融し、Tダイよりシート状に押出し、未延伸フィルムを得る。
この際、顔料やその他添加剤は押出し機に粉末添加して混練りするのではなく、予めポリエステル樹脂中に顔料などをそれぞれ別々に高濃度で含有させたマスターバッチポリマーを作成し、それらをポリエステル樹脂でブレンド希釈する方法が均一混合の点から好ましい。押出し機は各種フィルム原料をさらに十分に均一混合するために、二軸押出し機を用いることが好ましい。
本発明において、基材のポリエステルフィルムは単層構造でも、多層構造でも構わないが、積層構造とする場合には、組成の異なるA層とB層の樹脂を別々の押出し機に供給した後、例えば溶融状態でA層/B層の2層構造とする、A層/B層/A層の3層構成などに積層して、同一のダイから押出す共押出し法を採用することが最も好ましい。
その後、一軸延伸ポリエステルフィルムをテンター方式の横延伸機に導き、80〜180℃に加熱した後、横方向に2.5〜5.0倍延伸し、次いで、200〜240℃で熱固定処理した後、必要に応じて縦方向および/または横方向に1〜10%緩和処理し、次いで、フィルムワインダーで巻き取って二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
このフィルム製造工程の任意の段階で、フィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、前記塗布層を形成する。塗布層はフィルムの両面に形成させても特に問題はない。塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35質量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15質量%である。
この塗布液をフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法,グラビアコート法,キスコート法,ダイコーター法,ロールブラッシュ法,スプレーコート法,エアナイフコート法,ワイヤーバーコート法,パイプドクター法,含浸コート法,カーテンコート法などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明においては、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。フィルム製膜時に塗布層を形成するインラインコート法により塗布層とポリエステルフィルム基材との密着性はより向上するため高温高湿後の封止材と密着性を向上させる点で好ましい。
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは好ましくは10〜3000nm、より好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは10〜500nm、よりさらに好ましくは10〜400nmである。また、塗布層の乾燥後の塗布量は、好ましくは0.01〜3g/m、より好ましくは0.01〜1g/m、さらに好ましくは0.01〜0.5g/m、よりさらに好ましくは0.01〜0.4g/mである。塗布層の塗布量が0.01g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなる。一方、塗布量が3g/mを越えると、ヘイズが増加してしまう。
(太陽電池用バックシート)
本発明の太陽電池用バックシートは前記塗布層を有する黒色ポリエステルフィルムを構成部材とする。特に、封止材と直接的に接する最表層に用いることが好ましい。係る構成により本発明の太陽電池用バックシートは封止材との強固な密着性を奏することができ、長期にわたる過酷な環境下においても良好な密着性を奏する。そのため、太陽電池素子の防湿性保持やバリア性向上に寄与しうる。さらに、本発明の太陽電池用バックシートは良好な光吸収性を奏するので光電変換効率を向上する上で好適である。
本発明の太陽電池用バックシートの態様としては、例えば、前記塗布層を有する黒色ポリエステルフィルム/接着剤/金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム/接着剤/ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムといった構成が例示される。また本発明の黒色ポリエステルフィルムは両面に前記塗布層を有する構成であっても構わない。本発明の塗布層は封止材以外の構成とも良好な接着性を奏しうる。ここで金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルムとしては、水蒸気バリア性を有するものが好適に用いることができる。
前記金属の種類としてはアルミニウム、錫、マグネシウム、銀、ステンレスなどが挙げられるが中でもアルミニウム、銀が比較的高い反射率を有し、工業的に入手しやすいため好適である。金属層は金属箔をして使用しても良いし、ポリエステルフィルム等に薄膜として積層してもよい。これら金属を薄膜として積層する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることができる。
本発明においては前記塗布層を有する黒色ポリエステルフィルム、金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム、ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムの各層間を、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池用バックシートを製造することができる。上記において、各フィルム間の接着性等を高めるために、接着剤を介して積層するのが好ましい。接着剤としては例えば(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤等が挙げられる。
ここで、高耐久防湿フィルムとは耐候性を向上させる目的で積層されるものであり、高耐久防湿フィルムとしては、例えばポリテトラフロロエチレン(PTFE),4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA),4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP),2−エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE),ポリ3−フッ化エチレン(PCTFE),ポリフッ化ビニデン(PVDF)、もしくはポリフッカビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム,あるいはポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート,ポリアクリレート,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),アクリル等の樹脂に紫外線吸収剤を練り混んだ樹脂組成物からなるフィルムが挙げられる。
(太陽電池モジュール)
太陽電池モジュールは、例えば、ガラス基板と、配線を配設した光起電力素子としての太陽電池素子と、太陽電池素子を挟むように介在する封止材と、本発明の太陽電池バックシートを用いて構成される。封止剤としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリビニルブチラール樹脂などのオレフィン樹脂が好適に用いられる。特に、本発明の塗布層は上記のような柔軟性を有しているためエチレン・酢酸ビニル共重合体やポリビニルブチラール樹脂といった封止材と良好な接着性を奏することができる。
封止材としては、ラミネート工程による加熱圧着後に別ラインに設けたオーブンでのキュア工程により硬化反応をさせるスタンダードキュアタイプと、ラミネート工程でのラミネーター内部で硬化反応をさせるファストキュアタイプとに分類されるが、いずれも適用しうる。封止材の主成分としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリビニルブチラール樹脂などのオレフィン樹脂が用いられる。なお、ここで、「主成分」とは、封止剤のうち50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することを意味する。例えば、架橋反応を進行させるための架橋剤や反応開始材などが添加される。例えば、熱架橋を行う場合は、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物が用いられる。また、光硬化を行う場合には、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチルやベンゾインエーテルなどの光増感剤が用いられる。さらに、ガラス基板との接着を考慮してシランカップリング剤も配合しても良い。接着性及び硬化を促進する目的でを配合されている場合もあり、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有化合物が用いられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)樹脂の固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、フェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用いて30℃で測定した。
(2)樹脂の融点,ガラス転移温度
JIS K 7121に記載の「プラスチックの転移温度測定方法」により、DSC測定を行った。サンプルは、拡大鏡つきミクロトームを用いてフィルムより熱接着層を切削した小片約10mgを、アルミパンに密封して300℃で3分間溶融し、液体窒素でクエンチしたものを用いた。測定器には示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製、EXSTAR6200DSC)を用い、乾燥窒素雰囲気下で実施した。室温より10℃/分の速さで加熱して中間点ガラス転移温度を求めた後、融解ピーク温度(融点)を求めた。
(3)フィルム厚み
JIS K 7130に記載の「発泡プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」により測定した。測定器は電子マイクロメーター(マール社製、ミリトロン1240)を用いた。測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
(4)フィルムの積層厚み
測定すべきフィルムの任意の3箇所より小片を切り取った。ミクロトームを用いてこの小片を切削し、フィルム表面に直交するフィルム断面を作成した。この断面に白金パラジウム合金をスパッタリングしてサンプルとし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S2500)を用いて断面を検鏡した。フィルム全厚みが一視野に含まれる適切な倍率で観察して、各層の厚みを測定した。測定は各視野あたり3箇所で行い、合計9箇所の平均値をもって積層厚みとした。
(5)フィルムの光学濃度
白黒透過濃度計(伊原電子工業製、Ihac−T5)を用いて、白色光での光学濃度を測定した。測定は外光が遮光された案室内で実施した。測定すべきサンプルの任意の5箇所より切り取った50mm四方のサンプル5枚について測定を行い、その平均値を求める光学濃度とした。
(6)赤外分光法による吸光度測定
フィルムについての塗布層を正常なカミソリ刃を用いて削り取り、約1mgの試料を採取した。採取した試料に圧力をかけ、厚み約1μmのフィルム状に成型した塗布層試料片(大きさ:約50μm×約50μm)を作成した。さらに、フィルム表層ブランク試料として基材フィルムと同質のPET樹脂についても前記手順と同様にして試料片(ブランク試料片)を作成した。
作成した試料片をKBr板上に載せ、下記条件の顕微透過法により赤外吸収スペクトルを測定した。塗布層の赤外分光スペクトルは、塗布層試料片から得た赤外分光スペクトルとブランク試料片のスペクトルとの差スペクトルとして求めた。
脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)は1460±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とし、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)は1530±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とした。なお、ベースラインはそれぞれの極大吸収のピークの両側の裾を結ぶ線とした。得られた吸光度から下記式により吸光度比率を求めた。
(吸光度比率)=A1460/A1530
(測定条件)
装置:FT−IR分析装置SPECTRA TECH社製 IRμs/SIRM
検出器:MCT
分解能:4cm−1
積算回数:128回
(7)反射率
分光光度計(日立製作所製、Spectrophotometer U−3500)に積分球を取り付け、アルミナ白板(日立計測器サービス製)の反射率が100%となるようにベースラインを補正した。装置付属の鏡面測定用治具(傾斜角10度)を介して、フィルムサンプルを固定した。波長950−1050nmの範囲で、1nm刻みで反射率を測定し、995〜1005nmの測定値(計11点)を平均してフィルムの反射率を測定した。この反射率を下記の基準でランク分けした。
◎:0%以上、5%未満
○:5%以上、20%未満
×:20%以上
(8)接着性
得られた太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを100mm幅×100mm長、EVAシートを70mm幅×90mm長に切り出したもの用意し、フィルム(塗布層面)/下記記載のEVA/(塗布層面)フィルムの構成で重ね、真空ラミネーターで下記記載の接着条件で加熱圧着し、サンプルを作成した。作成したサンプルを20mm幅×100mm長に切り出した後、SUS板に貼りつけ、下記記載の条件で引張り試験機でフィルム層とEVA層の剥離強度を測定した。剥離強度は極大点を越えた後に安定して剥離している部分の平均値として求めた。下記の基準でランク分けした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(サンプル作成条件)
装置:真空ラミネーター エヌ・ピー・シー社製 LM−30×30型
加圧:1気圧
EVA:
A.スタンダードキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.4μm)
ラミネート工程:100℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:熱処理150℃(常圧45分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ SC4(0.4μm)
ラミネート工程:130℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:150℃(常圧45分)
B.ファストキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.45μm)
ラミネート工程:135℃(真空5分、真空加圧15分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ RC02B(0.45μm)
ラミネート工程:150℃(真空5分、真空加圧15分)
(測定条件)
装置:テンシロン 東洋BALDWIN社製 RTM−100
剥離速度:200mm/分
剥離角度:180度
(7)耐湿熱性
得られた太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを、高温高湿槽中で85℃、85%RHの環境下1000時間放置した。次いで、太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを取りだし、室温常湿で24時間放置した。その後、は、前記(4)と同様の方法で剥離強度を測定し、下記の基準でランク分けをした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−1の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−1)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−1)のガラス転移点温度は−30℃であった。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−2の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート29.14質量部、ジメチロールブタン酸7.57質量部、数平均分子量3000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール173.29質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−2)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−3の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸11.12質量部、ヘキサンジオール1.97質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール143.40質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−3)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするシラノール基含有ウレタン樹脂A−4の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート38.41質量部、ジメチロールプロパン酸6.95質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール158.99質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン4.37質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次にγ―(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン3.84質量部、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール1.80質量部と水450gを添加して、ポリウレタンプレポリマー溶液を滴下して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分30%の水溶性シラノール基含有ポリウレタン樹脂溶液(A−4)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−5の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−5)を得た。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−6の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量5000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−6)を得た。
(ポリエステルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−7)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2000のポリエステルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−7)を得た。
(ポリエーテルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−8)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2000のポリエーテルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−8)を得た。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−9の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3ビス‐(イソシアナトメチル)シクロヘキサン32.39質量部、ジメチロールブタン酸13.09質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール156.74質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン80.89質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−9)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−9)のガラス転移点温度は−30℃であった。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−10の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジシクロヘキシルジイソシアネート45.93質量部、ジメチロールブタン酸13.09質量部、数平均分子量3000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール235.11質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン117.66質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−10)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−10)のガラス転移点温度は−40℃であった。
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。
水 55.86質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 13.52質量%
粒子 0.59質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(2)太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムの製造
(ポリエステルa)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を定法によって重合したのち、定法によって固相重合を施し、極限粘度0.69dl/g、酸価8(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(原料a)を製造した。
(ポリエステルb)
シリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂を定法によって重合し、凝集シリカ粒子(平均粒子径2.0μm)を500ppm含有した固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(原料b)を製造した。これを定法によって固相重合処理し、極限粘度0.65dl/g、酸価11(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(原料b)を製造した。
(カーボンブラック含有マスターバッチc)
原料aとカーボンブラックを95対5(質量比)で混合した後、280℃
に温調した二軸押出機に供給、混練してカーボンブラック含有マスターバッチ(原料c)を製造した。
(カーボンブラック含有マスターバッチd)
原料aとカーボンブラックを99対1(質量比)で混合した後、280℃に温調した二軸押出機に供給、混練してカーボンブラック含有マスターバッチ(原料d)を製造した。
(カーボンブラック含有マスターバッチe)
原料aとカーボンブラックを80対20(質量比)で混合した後、280℃に温調した二軸押出機に供給、混練してカーボンブラック含有マスターバッチ(原料e)を製造した。
(チタンブラック含有マスターバッチf)
原料aとチタンブラック(三菱マテリアル社製、13M)を95対5(質量比)で混合した後、280℃に温調した二軸押出機に供給、混練してチタンブラック含有マスターバッチ(原料f)を製造した。
(酸化チタン含有マスターバッチg)
原料aと酸化チタンを50対50(質量比)で混合した後、280℃に温調した二軸押出機に供給、混練して酸化チタン含有マスターバッチ(原料g)を製造した。
(硫酸バリウム含有マスターバッチh)
原料aと酸化チタンを99対1(質量比)で混合した後、280℃に温調した二軸押出機に供給、混練して硫酸バリウム含有マスターバッチ(原料h)を製造した。
(フィルムの製造)
加熱下で真空乾燥を施した前記原料をa/c=90/10(質量比)となるように連続計量,連続攪拌しながらA層の原料として押出機に供給し、溶融混練した後にフィルターを経由してフィードブロック(共押出し接合器)に供給した。
一方、B層の原料には同様に乾燥を施した前記原料をb/c=96/4(質量比)となるように連続計量したものを用い、ベント式二軸押出し機に供給して溶融混練し、フィルターを経由して前記フィードブロックに供給した。
フィードブロックでは、前記A層の両面に前記B層を同じ厚みとなるように接合した。このとき、延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=5/90/5となるように、A層及びB層の樹脂吐出量を制御して供給し、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャストして、厚さ2.4mmの未延伸フィルムを製造した。
次に、前記の方法で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に加熱した後、周速が異なるロール間で3.2倍に延伸した。このとき、低速ロールと高速ロールの中間部に、フィルムを挟んで対向する位置に集光赤外ヒータを設置し、フィルムを均一延伸するために必要十分な熱量をフィルムの両面から均等に与えた。
次いで、前記塗布液をロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/m(乾燥後の塗布層厚み150nm)になるように調整した。
引き続いてテンターに導入し、120℃から150℃に加熱昇温しつつ幅方向に3.9倍の延伸を行った。さらに、テンター内で、220℃の熱風を30秒間吹き付け、熱処理を施した。その後、40秒間をかけて室温まで徐々に冷却しつつ、幅方向に2%の緩和処理を施して、厚みが100μmの太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
比較例1
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−5)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−6)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用リエステルフィルムを得た。
比較例3
A層の原料を前記原料a/d=95/5(質量比)となるように、またB層の原料を前記原料b/d=95/5(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−7)に変更した。この他は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
B層の原料を前記原料b/d/g=65/5/30(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−8)に変更した。この他は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
比較例5
A層の原料を前記原料a/g=70/30(質量比)となるように、またB層の原料を前記原料b/g=70/30(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムの基材厚みを18μmに変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
A層の原料を前記原料a/c=92/8(質量比)となるように、またB層の原料を前記原料b/c=98/2(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=10/80/10となるように、A層及びB層の樹脂吐出量を変更した。また、ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−3)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=3/94/3となるように、A層及びB層の樹脂吐出量を変更した。また、ポリウレタン樹脂をシラノール基含有ポリウレタン樹脂(A−4)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例5
B層の原料を前記原料b/c/h=90/5/5(質量比)となるように連続計量したものを用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
A層の原料を前記原料a/c=92/8(質量比)となるように連続計量したものを用い、B層を積層せずに単層で未延伸フィルムを製造した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例7
A層の原料を前記原料a/f=92/8(質量比)となるように、またB層の原料を前記原料b/f=98/2(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=10/80/10となるように、A層及びB層の樹脂吐出量を変更した。これ以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
実施例8
延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=5/40/5となるように、A層及びB層の樹脂吐出量を変更し、基材厚みを50μmに変更した。また、塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
水 61.51質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 8.11質量%
粒子 0.35質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例9
A層の原料を前記原料a/f=70/30(質量比)となるように、またB層の原料を前記原料b/f=90/10(質量比)となるように連続計量したものを用いた。また、塗布液を下記に変更した。これ以外は実施例8と同様にして太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを得た。
水 41.71質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 27.05質量%
粒子 1.18質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.06質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例10
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−9)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例11
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−10)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
(3)太陽電池用バックシートの製造
実施例12,13
実施例1および実施例11の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム/黒色ポリエステルフィルム(50μm)/アルミ箔(30μm)/ポリフッ化ビニルフィルム(38μm)の構成でドライラミネート法で接着し、太陽電池用バックシートを得た。
ドライラミネート用接着剤
タケラックA−315(三井化学製)/タケネートA−10(三井化学製)=9/1(固形分比)
実施例14,15
実施例12および実施例13において、黒色ポリエステルフィルム(50μm)の代わりに白色ポリエステルフィルム(50μm)を用いた以外は同様の方法で太陽電池バックシートを作製し、実施例1の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを用いた実施例14、および実施例11の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを用いた実施例15を作製した。得られた太陽電池用バックシートについて太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム面を照射面として岩崎電気株式会社製アイ スーパーUVテスターSUV−W151を用い、63℃、50%Rh、照射強度100mW/cmで100時間の連続UV照射処理を行った。UV照射後の太陽電池バックシートを蛍光灯下で目視確認した結果、実施例14の太陽電池用バックシートでは僅かに黄変が認められたものの、実施例15の太陽電池用バックシートでは全面において色の変化がなく、良好な外観を保持していた。
本発明の太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムは、封止材との接着性及び高温高湿下での接着性(耐湿熱性)に優れるため、太陽電池用バックシートの最内装の基材フィルムとして好適である。

Claims (2)

  1. 少なくとも片面に塗布層を有する基材厚みが20〜300μmの黒色ポリエステルフィルムであって、
    フィルムの光学濃度が1.0〜5.0であり、
    前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、
    前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1に記載の太陽電池用易接着性黒色ポリエステルフィルムを積層した太陽電池用バックシート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015185687A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 富士フイルム株式会社 太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュール
JP2016112755A (ja) * 2014-12-13 2016-06-23 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2017088635A (ja) * 2015-10-31 2017-05-25 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム

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