JP2012052160A - ろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材およびアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法 - Google Patents

ろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材およびアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フラックスや真空設備を必要とすることなく大気圧下でのフラックスレスろう付けを安定的に行うことを可能にする。
【解決手段】Mgを0.1〜1.0%、Mnを0.3〜2.0%.Feを0.3〜1.5%含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金であって、減圧を伴わない非酸化性雰囲気でフラックスレスろう付によって接合される部材最表面に円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり500個以上分布するろう付用部材4と、ろう材3を接触密着させ、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で加熱温度559〜620℃において、前記接触密着部を接合するので、フラックスや真空設備を必要とせずに大気圧下でのフラックスレスろう付けを安定して行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非酸化性雰囲気でフラックスを使用せずに、良好にろう付が可能なろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材及びそのろう付け方法に関する。
ラジエータやコンデンサをはじめ、インタークーラー等を代表とする自動車用熱交換器や、その他アルミニウム合金にて製造される熱交換器や放熱器等は、現在、非腐食性のフッ化物系フラックスを用いてろう付けされるか、ろう材に0.5〜1.5質量%程度のMgを添加して真空下でろう付けされる工法が主流となっている。
上記フラックスを用いる場合、多くがろう付け対象部材をプレス成形等で加工後、所望の組み付け状態とし、フラックス粉末を溶媒に溶いた混濁液を組み付け体に塗着・乾燥させ、高純度窒素ガス雰囲気等の非酸化性雰囲気中で加熱ろう付けしている。この場合、フラックスを使用すること自体、或いは、その塗布工程の設置や管理にコストを要するという問題がある。また、フラックスは、その一部がろう付け加熱過程で蒸発し、炉内壁に付着、堆積することが知られており、堆積物の除去を目的とした定期的な炉のメンテナンスも必要コストとして生じる。そして昨今、自動車の軽量化促進に伴い、自動車用熱交換器でも材料の薄肉高強度化が求められ、アルミニウム材料の高強度化には、アルミニウム合金へのMg添加が有効であることは一般的に知られているが、フラックスを用いたろう付けではMgとフラックスが反応して高融点のMgFを生成することから、これがろう付け阻害要因となったり、材料中のMgを消費してしまうため、折角添加したMgが高強度化にあまり役立たないという問題がある。すなわち、フラックスろう付けでは製品中のMg添加部位や量に制限があり、積極的に材料高強度化手法として用いることができていないのが現状である。
一方、真空ろう付けでは、ろう材に添加されたMgがろう付け昇温過程で材料中から蒸発し、その際に、ろう付け阻害要因であるアルミニウム材料表面の酸化皮膜を破壊し、雰囲気中では水分や酸素と結合するゲッター作用により、炉内雰囲気をろう付け可能な状態としている。本手法では、フラックス工程管理は必要ないものの、真空炉が高価な設備であること、炉の気密性管理等に相応のコストが生じる問題がある。また、自動車用熱交換器等では、製品の耐食性確保を目的にZnが添加されるが、真空加熱下ではZnが蒸発してしまい、製品材料中に十分なZnを残すことができないというデメリットもある。更に、炉内壁には蒸発したMgやZnが堆積することから、定期的な炉内清掃も必要となる。
これらに対し、最近では上記問題を解消しようとする大気圧下のフラックスレスろう付けが提案されている。例えば特許文献1では、被ろう付け部材、もしくはそれ以外の部位にMg含有物を配置し、且つ、被ろう付け物に覆いをすることによって非酸化性雰囲気大気圧下のフラックスレスろう付けを提案している。しかし、この技術では覆いをすることが必須となっており、覆いを製品サイズ別に用意したり、量産で想定される使用個数を準備する必要があったり、更に、覆いのメンテナンス等が必要となり、量産適用においては手間やコストがかかるという問題がある。また、覆いをすることにより被ろう付け物の昇温速度が低下してしまい、生産性を低下させてしまうという問題もある。
上記問題に対し、特許文献2では、予めろう付け炉内で加熱された風除け冶具(覆い)によって炉内で被ろう付け部材を覆うような仕組みを提案し、昇温速度の低下を改善している。しかし、本方法においては、炉内に風除け冶具の動作を制御する機構を設ける必要があり、設備の導入や維持にコストと手間が掛かるという問題がある。
一方、覆いを必要としないフラックスレスろう付けとしては、特許文献3では、クラッド材のろう材にMgを添加し、そのクラッド材で成形された熱交換器チューブの内側を不活性雰囲気中大気圧下でフラックスレスろう付けする方法が提案されている。
また、同じく覆いを必要としないものとして、特許文献4では、ろう材表面に酸化防止層をクラッドし、そのクラッド材を積層構造としたもので大気雰囲気中のろう付けを可能にするという提案もある。
そして特許文献5では、芯材の表面にAl−Si−Mg系合金からなるろう材をクラッドし、且つ、ろう付け前に材料表面を酸洗浄し酸化皮膜の厚みを20Å以下とすれば、非酸化性雰囲気中でのフラックスレスろう付けが可能になるという提案がある。
特開平9−85433号公報 特開2006−175500号公報 特許第4037477号公報 特許第3701847号公報 特開平10−180489号公報
しかし、覆いを必要とせずに、大気圧下でのろう付けを可能にする特許文献3〜5においても以下の課題がある。
特許文献3で提案されている方法では、チューブ外面とフィンの接合はフラックスを使用しており、フラックスを使用することによるデメリットは完全に解消されていないという問題がある。
また、特許文献4で提案されている技術では、従来の真空ろう付けやノコロックろう付けに用いる材料に対し、ろう材表面に酸化防止層を設けたクラッド材を準備する必要があり、材料コストが高くなるという問題があり、更に、コアとしては積層構造に限定されるという汎用性の問題がある。
さらに、特許文献5に示される方法では、酸洗浄の工程管理が煩雑となる問題や、酸洗浄工程分のコストが増加するという問題がある。
このような問題に鑑み、本発明者らはフラックス塗布工程や真空設備等の導入運用コストや、ろう付け時に使用する覆い等の副資材コスト、材料酸洗浄等の新たな工程コストを発生させず、且つ、熱交換器等の形状によらない汎用的な大気圧下フラックスレスろう付けを可能にしたろう付け方法を見出している。すなわち、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材を用いて、該ろう材とろう付対象部材とを接触密着させることで減圧を伴わない非酸化性雰囲気でのフラックスレスろう付を可能にしている。
しかし、当該方法は、ろう材同士をろう付する際には良好なろう付が安定してなされるものの、ろう材層を表面に有しないろう付用部材をろう付対象にする場合には、ろう付用部材によってはろう付接合性が十分でない場合がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で安定した、良好なろう付が可能なろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材およびアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材のうち、第1の本発明は、質量比で、Mgを0.1〜1.0%、Mnを0.3〜2.0%.Feを0.3〜1.5%含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金であって、減圧を伴わない非酸化性雰囲気でフラックスレスろう付によって接合される部材最表面に円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり500個以上分布することを特徴とする。
第2の本発明のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材は、前記第1の本発明において、ろう付後の平均結晶粒径が150μm以下であることを特徴とする。
第3の本発明のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材は、前記第1または第2の本発明において、さらに質量%でSiを0.1〜1.2%、Cuを0.1〜1.0%を含有することを特徴とする。
第4の本発明のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、固相線温度(融点)が620℃以下であることを特徴とする。
第5の本発明のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法は、質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材と前記第1〜第4の本発明のいずれかに記載のフラックスレスろう付用部材とを接触密着させ、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で加熱温度559〜620℃において、前記接触密着部を接合することを特徴とする。
以下に、本発明で規定する成分等の限定理由について説明する。なお、各成分量はいずれも質量%で示される。
1.ろう付用部材
Mg:0.1〜1.0%
ろう付用部材のMgは、材料表面に生成する緻密なアルミニウムの酸化皮膜(Al)をろう付け加熱時に還元し、分解することでろう材との濡れ性を向上させて接合性を向上させる。Mgの含有量が下限未満であると酸化皮膜の上記変質効果が不十分となる。一方、上限を超えるとMgの酸化皮膜が厚く成長し、ろう付性を阻害するので、Mg含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.2%、上限を0.7%とするのが望ましい。
Mn:0.3〜2.0%
ろう付用部材のMnは、Al−Mn(−Fe)系金属間化合物を生成させ、同部位における酸化皮膜の成長を抑制すると共に、酸化皮膜の欠陥部を形成させることで接合率を著しく向上させる。Mnの含有量が下限未満であると金属間化合物の生成量が少なすぎて十分な効果が得られない。一方、上限を超えると、鋳造および圧延性が著しく低下するので、Mn含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.5%、上限を1.5%とするのが望ましい。
Fe:0.3〜1.5%
ろう付用部材のFeは、Al−Fe(−Mn)系金属間化合物を生成させ、同部位における酸化皮膜の成長を抑制すると共に、酸化皮膜の欠陥部を形成させることで接合率を著しく向上させる。Fe含有量が下限未満であると、金属間化合物の生成量が少なすぎて十分な効果が得られない。一方、上限を超えると、鋳造および圧延性が著しく低下し、さらに腐食速度が増大し、耐食性が低下するので、Fe含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.5%、上限を1.0%とするのが望ましい。
Si:0.1〜1.2%
Siは、Mnとの共存によりAl−Mn−Si系金属間化合物として分散して材料強度を向上させると共に、Mg添加との相乗効果によって得られるMgSiの析出により、材料強度を著しく向上させるので、所望により含有させる。Si含有量が下限未満であると効果が不十分であり、一方、上限を超えると融点が低下し過ぎて、ろう付時に溶融するので、Si含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.3%、上限を1.0%とするのが望ましい。
Cu:0.1〜1.0%
Cuは、ろう付用部材生地中に固溶してろう付後の強度を向上させるので、所望により含有させる。Cu含有量が下限未満であると効果が不十分であり、一方、上限を超えると圧延性が低下し、さらに腐食速度が著しく増大し、耐食性が低下するのでCu含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.2%、上限を0.7%とするのが望ましい。
金属間化合物の分布
ろう付用部材表面で金属間化合物が生成されている部位は、アルミニウムの緻密な酸化皮膜の成長が抑制され、酸化皮膜の欠陥部として作用し、この部位を起点に酸化皮膜の破壊や分断が進み、溶融ろうの濡れ性が向上し、より安定した接合状態を得ることが可能となる。この金属間化合物のサイズが小さ過ぎると、酸化皮膜の欠陥部として作用する効果が不十分となる。したがって、部材最表面に存在する円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり500個以上分布することを必要とする。
上記分布密度が下限未満であると、ろう材の染み出しが発生する箇所が少なく、酸化皮膜の破壊や分断が不十分となるので、分布密度の下限を定める。また、上記分布密度は同様の理由で円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり2500個以上分布するのが望ましい。なお、分布密度が100,000個/mmを超えると、酸化皮膜の欠陥部は増大するが、鋳造性や圧延性が低下し、切断およびプレス時の金型磨耗が促進される。上記上限を定めるのが望ましい。
なお、ここで部材表層面とは、酸化皮膜を除いたアルミニウム合金生地の表面を意味しており、10μmに至る深さ範囲のいずれかの面方向において、上記条件を満たしていればよい。
ろう付後の平均結晶粒径:150μm以下
結晶粒界がろう材侵食の起点となるため、ろう材と接合部材の反応性が向上し、安定した接合状態が得られる。ろう付け後の平均結晶粒径が上限を超えるとろう侵食の起点が減少し、接合不良が発生しやすくなるため、該上限を定めるのが望ましい。また、ろう付後の平均結晶粒径が25μm未満であると、母材へのろう侵食が促進されすぎて良好なフィレットが形成されないので、該平均結晶粒径は実用上は50μm以上であるのが望ましい。
なお、ろう付け後の平均結晶粒径は、例えば、本発明のろう付用部材をろう付に相当する600℃×3分で加熱した際の平均結晶粒径によって評価することができる。
ろう付け後の平均結晶粒径は、合金組成に応じて高温で長時間均質化処理を実施したり、冷間圧延率を高くするなどの製造工程の最適化により、制御することが可能である。
固相線温度:620℃以下
本発明のろう付用部材の固相線温度が低いほうが、ミクロ的な局部溶融により、ろう材との反応性が向上し、安定した接合状態が得られる。したがって、ろう付用部材の固相線温度の上限を定めるのが望ましい。固相線温度が上限を超えると局部溶解が発生しにくくなるため効果が不十分となる。また、固相線温度が580℃未満になると十分なフィレットが形成されず、接合強度が低下するので、固相線温度が580℃以上であるのが望ましい。
固相線温度は、規定された範囲内での成分調整によって設定することができる。
ろう付用部材の初期酸化膜厚
本発明の実施に当たってろう付用部材は、特に材料表面の初期酸化皮膜を抑制するような材料製作は必要としない為、通常、アルミニウムの量産コイル材として作製される初期酸化膜厚20〜500Å程度のアルミニウム材料を使用できる。初期酸化皮膜厚さを20Å未満とするためには、従来技術に示したような酸洗浄等が必要となる。また、初期酸化皮膜厚さが500Åを超えても本発明材であれば接合は可能であるが、良好な接合状態が得られにくくなるため、初期酸化皮膜はなるべく薄くしておくことが望ましい。
本発明のろう付用部材には、圧延工程を経た板材や押出工程を経た押出材などを用いることができ、本発明としては特定の製造過程に限定されるものではない。
なお、上記フラックスレスろう付用部材における金属間化合物の分布は、該部材を製造する際の熱管理によって制御することができる。
例えば、鋳造時の凝固速度や均質化処理の温度と時間、熱間圧延時の最大圧延率等によって金属間化合物の大きさを制御でき、鋳造時の凝固速度によって円相当径0.5μm以上の金属間化合物の個数密度を制御することができる。
すなわち、鋳造時の凝固速度が遅いほど粗大な金属間化合物が生成され、凝固速度が速いほど微細な金属間化合物が生成される。また、凝固速度が速いほど、金属間化合物の個数密度が大きくなり、凝固速度が遅いほど金属間化合物の個数密度が小さくなる。
また、均質化処理を高温で長時間実施するほど、金属間化合物が生成され、低温で短時間実施することで微細な金属間化合物となる。
また、熱間圧延時の圧下率は、一度の圧下率が大きいほど金属間化合物が微細に破砕される。
これらの条件を複合的に制御することで金属間化合物の分布(大きさ、個数密度)を変えることができる。
2.ろう材
本発明ではAl−Si−Mg系合金をベースとしたろう材が好適に使用され、該ろう材では下記含有量でSi、Mgを必須成分として含有する。
Si:3〜13%
SiはAlに含有することにより、その融点を低下させ、ろう付温度にて溶融して所定の継手を形成する基本的な元素である。ろうとして機能する適正な含有量の範囲として、3〜13%とする。3%未満では生成する液相量が不足するため十分な流動性が得られず、13%を超えると初晶Siが急激に増加して加工性が悪化するとともに、ろう付時に接合部のろう侵食が著しく促進される。Si含有量の一層好ましい下限は6%、上限は12%である。
Mg:0.1〜5.0%
Mgは材料表面の酸化皮膜(A1)を還元、分解して、接合性とろうの濡れ性を向上する効果を有する。本発明において十分な接合を得るためのMg含有量は0.1〜5.0%である。0.1%未満では本発明の効果であるろう付時接合面の酸化皮膜破壊効果が得られず、5.0%を越えるとその効果が飽和し、かつ、アルミニウム材料の加工性に難を生じる。
上記Mg成分範囲における酸化皮膜破壊活動のみでもろう付性を確保できるが、さらに、Mg含有量を最適化してAl−Si−Mg系ろう材の固相線温度の低下効果を利用すれば、優れたろう付性を発揮できる。この場合のMgの最適含有量は、Si含有量により変動するが、例えばSi含有量が6〜12%の場合は、Mg含有量は0.75〜1.5%が好ましい。この範囲であれば、ろうの融点低下が十分に得られ、Mgによる酸化皮膜破壊効果との相乗効果により、より良好なろう付性を得ることが可能となる。具体的には、Al−Si−Mg合金で最も低い固相線温度の559℃以上でろう付が可能となる。
上記ろう材は、上記Si、Mgを含有し、その他をAlと不可避不純物とするものでもよく、また、上記Si、Mgの作用を損なわない範囲で、その他の成分を含有するものであってもよい。以下に、所望によって含有するその他の成分を説明する。
Zn:0.1〜5.0%
Znはろう材の電位を低下させ、犠牲陽極効果によりブレージングシートの耐食性を向上させる効果を有するので所望によりろう材に含有させる。Znの含有量は0.1〜5.0%が望ましい。0.1%未満では電位がほとんど変化しないため十分な耐食性向上効果が得られず、5.0%を超えると腐食速度が著しく増大する。なお、Zn含有量の一層好ましい下限は0.5%、上限は3.0%である。また、Znを積極的に添加しない場合でも、該Znを不可避不純物として0.1%未満で含むものであってもよい。
3.クラッド材
本発明に使用するろう材は、単体で提供されるものでもよく、また上記Al−Si系ろう材がクラッドされたクラッド材として提供されるものであってもよい。
4.炉内雰囲気
本発明の実施にあたっては、炉内雰囲気を不活性ガス、或いは還元性ガス等の非酸化性ガスとすることで、雰囲気中の酸素濃度や露点を低下させ、ろう材および被ろう付け部材の再酸化を抑制する必要がある。使用する置換ガスの種類としては、接合を得るにあたり特に限定されるものではないが、コストの観点で、不活性ガスとしては窒素、アルゴン、還元性ガスとしては水素、アンモニア、一酸化炭素を用いることが好適である。雰囲気中の酸素濃度管理範囲としては、5〜500ppmがよい。5ppm未満の場合は、接合に不具合は生じないが、雰囲気の管理に多量のガスを使用する等、製造コストの増大懸念が生じるためである。500ppm超ではろう材および被ろう付け部材の再酸化が進みやすくなり、特にろう材が表面にないベア構成部材とろう材間の接合が十分に得られない為である。
5.ろう付温度
本発明においては、Al−Si−Mg系ろう材合金を用いる場合、該ろう材合金の最も低い固相線温度である559℃以上でろう付ができるが、当然、従来からのAl−Siろう材によるろう付温度範囲も適用可能である。具体的には559〜620℃が良い。559℃未満ではろうが溶融しないためろう付ができず、620℃超ではろう侵食が顕著となり、製品形状の維持等に問題が生じるため好ましくない。但し、この温度範囲においても、ろうの合金組成によって固相線温度が低い場合には、ろう侵食が顕著になる場合もあり、その際は、この温度範囲の中で合金組成にあったろう付温度を選択するのが好ましい。
以上説明したように、本発明のフラックスレスろう付用部材およびろう付法によれば、フラックスや真空設備を必要としない、大気圧下のフラックスレスろう付が可能となり、従来よりも安定した接合状態を容易かつ確実に得ることができる。また、減圧を伴わない雰囲気での加熱となるため、アルミニウム材料からのMgやZnの蒸発はほとんど発生せず、炉内壁等の汚染を生じないというメリットが得られる。
本発明の一実施形態におけるろう付け前の状態を示す概略図である。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
質量比で、Mgを0.1〜1.0%、Mnを0.3〜2.0%.Feを0.3〜1.5%含有し、残部がAlと不可避不純物からなるフラックスレスろう付用部材と、質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%を含有するAl−Si系ろう材と芯材とがクラッドされたクラッド材とは、常法の工程手順により製造することができる。
なお、上記フラックスレスろう付用部材では、鋳造時の凝固速度や均質化処理の温度と時間、熱間圧延時の最大圧延率等によって金属間化合物の分布を制御する。
これらの条件を複合的に制御することで金属間化合物の分布(大きさ、個数密度)を調整し、円相当径0.5μm以上の金属間化合物の個数密度が500個/mmの範囲内になるようにする。
また、ろう材をクラッドする場合、クラッドされる芯材の組成は、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有するもの、Mn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%を含有するもの、あるいはSi:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、さらにMn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、さらに所望によりZr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.5%の内1種または2種以上を含有などが望ましい。
上記によって得られるアルミニウムクラッド材1は、図1に示すように芯材2の片面または両面にクラッドされた上記Al−Si系ろう材3が最表面に位置しており、初期酸化膜厚として20〜500Åの酸化皮膜が形成されている。また、本発明のろう付用部材4も初期酸化膜厚として20〜500Åの酸化皮膜が形成されており、ろう付される最表面には、円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり500個以上分布している。
上記アルミニウムクラッド材1は、前記Al−Si系ろう材3が、本発明のろう付用部材4に接触密着するように組み付けられて、好適には熱交換器組立体などを構成する。
上記組立体は、減圧を伴うことなく非酸化性雰囲気とされた加熱炉内に配置される。該非酸化性雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスまたは水素、アンモニア、一酸化炭素などの還元性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いて構成することができる。非酸化性雰囲気は、ろう付加熱時には減圧を伴わず、通常は大気圧とされる。なお、非酸化性雰囲気を得る前に、置換などの目的で減圧工程を含むものであってもよい。加熱炉は密閉した空間を有することを必要とせず、ろう付材の搬入口、搬出口を有するものであってもよい。このような加熱炉でも、不活性ガスを炉内に吹き出し続けることで非酸化性雰囲気が維持される。該非酸化性雰囲気としては、酸素濃度として体積比で5〜500ppmが望ましい。上記雰囲気下で559〜620℃で加熱をしてろう付を行う。ろう付においては、ろう付用部材4との接触密着部5がフラックスレスで良好に接合される。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1、2に示す組成(残部Alと不可避不純物)のろう付用部材を用意した。該ろう付用部材の鋳造時の凝固速度は一般的な半連続鋳造の条件である0.1〜2.0℃/secの範囲に制御した。なお、ろう付用部材は鋳造時の凝固速度と均質化処理条件、熱間圧延時の最大圧延率を種々変化させることによって、最表面における金属間化合物の分布を制御した。
なお、均質化処理は、300〜595℃×1〜48時間の範囲内で調整し、熱間圧延の最大圧延率は、15〜50%の範囲内で調整した。
作製したろう付用部材について、部材最表面を0.1μmの砥粒で研磨し、0.5%フッ酸水溶液で60秒エッチングした後、表面方向からEPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いた全自動粒子解析により粒子サイズと個数を測定した。測定は各サンプルについて250μm角相当の観察視野で任意部5ヶ所について測定し、金属間化合物の分布を求めた。
該測定では、円相当径で0.5μm以上の金属間化合物の個数密度(個/mm)を算出し、測定結果を表1、2に示した。
ろう付後結晶粒径
作製したろう付用部材について、600℃で3分保持した後、冷却するろう付相当熱処理を実施後、部材最表面の平均結晶粒径の測定を行なった。その結果を表1、2に示した。
ろう付性(接合率)
本発明の上記ろう付部材を厚さ0.3mm、H14調質の圧延板とした後、本発明のろう付部材4の模式図に示すようなフィン形状に加工を行った、また、JIS A3003合金の片面にAl−1.5Mg−7.5Siろう材をクラッド率5%で貼り合せた厚さ0.6mm、H14のブレージングシートを作製し、用意した。
上記アルミニウムブレージングシートを幅25mm、長さ100mmに切断し、ブレージングシートのろう材面の間に本発明合金のろう付部材4を組み合わせて固定し、ろう付治具にて均一に加圧し、ろう付を行った。ろう付熱処理は窒素ガス雰囲気中(酸素濃度15ppm)にて、所定温度まで加熱を行なった後、室温まで冷却する条件で実施した。
その後、以下の式にてインナーフィンとチューブの接合率を求め、ろう付性を評価した。その結果は、表1、2に示した。
フィン接合率=(フィンとチューブの総ろう付接合長さ/フィンとチューブの総接触長さ)×100
ろう付け後材料強度
製作した上記ろう付用部材(0.5mm厚)をJIS5号試験片とし、上記条件によるろう付熱処理後、90℃×7日間時効処理後に引張試験に供した。得られた材料強度測定値を評価し、その結果を表1、2に示した。
固相線温度(融点)
製作した上記各ろう付用部材について示差熱分析(DTA)を実施し、固相線温度(融点)を測定し、その結果を表1、2に示した。
本発明の実施例は従来例に比べ良好なろう付性を示したのに対し、比較例では十分な接合が得られなかった。また、実施例では材料の高強度化とろう付性との両立が得られたが、比較材でその効果は得られなかった。
Figure 2012052160
Figure 2012052160
1 アルミニウムクラッド材
2 芯材
3 Al−Si系ろう材
4 ろう付用部材

Claims (5)

  1. 質量比で、Mgを0.1〜1.0%、Mnを0.3〜2.0%.Feを0.3〜1.5%含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金であって、減圧を伴わない非酸化性雰囲気でフラックスレスろう付によって接合される部材最表面に円相当径で0.5μm以上の金属間化合物が1mm当たり500個以上分布することを特徴とするろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材。
  2. ろう付後の平均結晶粒径が150μm以下であることを特徴とする請求項1記載のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材。
  3. さらに質量%でSiを0.1〜1.2%、Cuを0.1〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材。
  4. 固相線温度が620℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のろう付性に優れるフラックスレスろう付用部材。
  5. 質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材と請求項1〜4のいずれかに記載のフラックスレスろう付用部材とを接触密着させ、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で加熱温度559〜620℃において、前記接触密着部を接合することを特徴とするアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
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