JP2012051367A - 層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 配線の微細化および高密度化において発生する種々の問題に対応することができ、層間絶縁材料用支持フィルムとして好適なポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 一方のフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.5〜15nmであるポリエステルフィルムのもう一方の面に塗布層を有し、180℃で30分間熱処理した後の当該塗布層表面のオリゴマー量が3.0mg/m以下であることを特徴とする層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、層間絶縁材料の支持フィルムに関し、特に回路基板に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムに関するものであり、例えば、プリント配線板、多層配線板、半導体装置や液晶表示装置等の回路基板構成部材である層間絶縁層の形成に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムとして好適な層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムを提供するものである。
ここで層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムとは、あらかじめ、層間絶縁材料溶液をフィルム状に塗布・乾燥するのに用いられる支持フィルムであり、得られたフィルム状の層間絶縁材料を真空プレスあるいは真空ロールラミネータを用いて、回路基板上に貼り合わせた後に剥がされる。
プリント配線基板は、ICなどの電子部品を搭載、接続するために銅回路が形成されている基板であり、テレビなどの家電に用いられている民生用プリント配線基板と、コンピューターや計測機器などの産業用に用いられている産業用プリント配線板などが挙げられる。特に明確な区別がなされているわけではないが、プリント配線板の基材は、主に紙を基材とするフェノール樹脂積層板から製造されているものなどが民生用に使用され、エポキシ樹脂を用いたガラス布基材積層板などが産業用プリント配線板用の基材として使用されている。
プリント配線基板に設置されるICなど端子数が増加するに従い、限られた面積で必要な配線を収容するための手段として多層化が図られ、多層プリント配線板も量産されている。
多層プリント配線板の中でも、リジッド基板上に配線パターンを形成し、その上に絶縁層を形成し、さらにその上に配線パターンを形成し、さらに絶縁層を形成するという工程を繰り返すことで、プリント配線板を形成するビルドアップ法は、携帯電話などの小型化が必要な製品や、コンピューターなどの高速動作が必要な用途に適した方法として用いられており、近年、更なる電子機器の小型化、高性能化が進み、ビルドアップ層もさらに複層化され、配線の微細化および高密度化も一層進んでいる。
多層プリント配線板に用いられる絶縁層は、ガラスクロスに、エポキシ系、ポリイミド系等の樹脂を含浸させたもの、あるいはセラミック系等の材料が用いられ、配線層の信号の伝播速度やプリント配線板の特性インピーダンス等の電気特性を左右する重要なパラメーターであるため、そのような電気特性を満足するような材料を選定することが必要であり、具体的には、できるだけ誘電率の低い材料が選定されており、各種提案もなされている。また、絶縁層の形成は、フィルム支持体の上に塗布する方法が、均一な厚さのものが得られるため、小型化や高性能化の要求に対して好ましく、塗布できる材料が用いられている。
絶縁層の形態は、小型化や高性能化に対応するための層間絶縁材料として、フィルム状の支持体に絶縁層となる熱硬化性樹脂などを塗布し、支持体のフィルムと硬化させた絶縁層とをロール状とする方法が提案されている。フィルム状態の絶縁層に関しては、樹脂とフィラーの最適な選択などにより、レーザー加工に適合し、粗化処理後の樹脂表面がめっき密着性を向上するように設計したビルドアップ用絶縁層を有するフィルムが提案され、近年の要求に対応するなど、絶縁層に関しては、種々の提案がなされている。
しかしながら、フィルム状の絶縁層を形成するための支持体であるフィルムに関しては、絶縁層の表面性や、絶縁層の形成時における生産性などに大きな影響を与えるにも関わらず、具体的な提案はなされていない状況である。特に、配線の微細化および高密度化が進み層間絶縁層表面の微細な表面欠陥や不純物の混入による電気的特性への悪影響が顕在化するようになってきたが、絶縁層を形成するための支持体に使用するフィルムに関しての提案がなされていない状況である。
特開2005−154727号公報 特開2005−39247号公報 特開2008−251971号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、その解決しようとする課題は、配線の微細化および高密度化において発生する種々の問題に対応することができ、層間絶縁材料用支持フィルムとして好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、一方のフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.5〜15nmであるポリエステルフィルムのもう一方の面に塗布層を有し、180℃で30分間熱処理した後の当該塗布層表面のオリゴマー量が3.0mg/m以下であることを特徴とする層間絶縁材料支持ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、配線の微細化および高密度化において発生する種々の問題に対応することができる、層間絶縁材料用支持フィルムとして好適なポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、フィルムを180℃で30分間熱処理した後における塗布層表面のポリエステルオリゴマー量が、3.0mg/m以下である必要がある。熱処理後の塗布層表面のポリエステルオリゴマー量がこの範囲を超えると、層間絶縁層を基板上に形成する工程の熱処理により、フィルムから析出したオリゴマーが加工装置を汚し、ラミネート時の欠陥となったり、生産性が低下したりする。また、析出・滞積したオリゴマーが配線板に混入することにより電気的特性を損なわれたり、電気的欠陥が発生したりする。
また、本発明のポリエステルフィルムの塗布層表面の表面固有抵抗は、1×1013Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは表面固有抵抗が1×1012Ω/□以下、特に好ましくは1×1010Ω/□以下である。表面固有抵抗が1×1013Ω/□を超える場合は、ロール状に巻いたフィルムを巻出した時や、重ね合わせた単枚状のフィルムを順次搬送するような時に、フィルム同士の密着や加工不良、異物や埃の付着といった問題を引き起こす場合がある。
本発明において、フィルムに設けられる塗布層を構成する成分としては、4級アンモニウム塩基を有する化合物やポリビニルアルコールが好ましく用いられる。4級アンモニウム塩基を有する化合物とは、分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を持つものを指す。そのような構成要素としては例えば、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。さらに、これらを組み合わせて、あるいは他の樹脂と共重合させても構わない。また、これらの4級アンモニウム塩の対イオンとなるアニオンとしては例えば、ハロゲン、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸等のイオンが挙げられる。
また、本発明においては、4級アンモニウム塩基を有する化合物は、高分子化合物であることが望ましい。分子量が低すぎる場合は、塗布層中から容易に除去されて経時的に性能の低下を引き起こしたり、塗布層がべたついたりするおそれがある。また、分子量が低いと耐熱安定性に劣る場合がある。このような不具合を生じないためには、4級アンモニウム塩基を有する化合物の数平均分子量が、通常は1000以上、さらには2000以上、特に5000以上であることが望ましい。また一方で、かかる化合物は分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる場合がある。そのような不具合を生じないためには、数平均分子量が500000以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリビニルアルコールは、通常の重合反応によって合成することができ、水溶性であることが好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用いられる。重合度が100以下の場合、塗布層の耐水性が低下する傾向がある。ポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、99.9モル%以下であるポリ酢酸ビニルけん化物が実用上用いられる。さらに塗布層中には、必要に応じて上記以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂の1種もしくは2種以上を併用することができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
さらに必要に応じて、塗布層中に架橋反応性化合物を含んでいてもよい。架橋反応性化合物は、主に塗布層構成成分中に含まれる官能基と架橋反応することで、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができ好ましい。本発明のフィルムの塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布層構成成分中に占める4級アンモニウム塩基を有する化合物の比率は、通常10〜99重量%、好ましくは20重量%〜95重量%である。比率がこれらの範囲より高すぎたり低すぎたりした場合は、所望の帯電防止性能、オリゴマー析出防止性能が得られない場合がある。本発明において用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となることがある。
塗布層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる。ポリエステルフィルムに塗布層を設ける方法は、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。例えば、未延伸フィルムに塗布した後、延伸する方法、一軸延伸フィルムに塗布した後、延伸する方法、二軸延伸フィルムに塗布した後、延伸する方法等がある。特に、未延伸または一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後、テンターにおいて乾燥および延伸を同時に行
う方法が経済的である。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
本発明のフィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体は、二軸配向ポリエステルフィルムよりなり、該ポリエステルフィルムは、溶融押出機を3台以上用いて、いわゆる共押出法により3層または4層以上の積層フィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、上述の塗布層を有する面の反対面を構成する最表層A層にB層が隣接し、A層と反対面となる最外層は、それぞれの表面となる層に用いるポリエステルには同じ粒子もしくは異なる粒子を配合した原料を用いることができる。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明においてポリエステルフィルムのA層は、ポリエステルのフィルム上で形成された層間絶縁層の表面性とフィルム上の傷欠陥発生防止を両立させるため、特定の表面粗さを必要とする。そのためには、平均粒子径が通常0.1〜0.6μm、好ましくは0.2〜0.5μmの粒子を含有させる。平均粒子径が0.1μm未満では、フィルムの表面粗度が低くなり、フィルムの滑り性が悪く、フィルム表面に傷が発生しやすくなったりすることがあり、支持フィルムを製膜した後にロール状態で製品を得ることができない場合がある。また、平均粒子径が0.6μmを超える場合は、層間絶縁層表面の凹みが大きくなり、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じることがある。
上記粒子のポリエステルフィルムのA層中の含有量は、通常100〜2000ppm、好ましくは、200〜1500ppm、さらに好ましくは500〜1000ppmとする。粒子の含有量が100ppm未満では、フィルムの滑り性が悪くなる傾向があり、また、含有量が2000ppmを超えると、フィルムの表面粗度が大きくなり過ぎて平面性が損なわれることがある。
かかる粒子の例として、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができ、本発明の要旨を損なわれない限り、これらに限定されるものではない。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明においてポリエステルフィルムのB層中の粒径0.4μm以上の粒子量は、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは0ppmである。100ppmを越えるとポリエステルフィルムのA層表面にうねりが発生し、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じるおそれがある。
本発明の特徴の1つは、支持体となるポリエステルフィルムを特定の表面とすることであり、少なくとも、ポリエステルフィルムの片面の中心線平均粗さSRaAを0.5nm〜15nm、好ましくは0.5nm〜10nmの範囲とする。中心線平均粗さSRaAが0.5nm未満では、フィルムの滑り性やフィルム間でのエアーヌケが悪く、フィルム表面に傷が発生しやすくなり、フィルム成形後のロール状態で製品を得ることができない。
また、中心線平均粗さSRaAが15nmを超える場合は、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じ好ましくない。
本発明のポリエステルフィルム自体は、接着シートとしてコア基材に層間絶縁層が接着された後は、剥離されその役割を終えるが、ポリエステルフィルムが剥がされた後のコア基材に接着された層間絶縁層の表面に影響を与える。
熱硬化性樹脂を塗布し、層間絶縁層が形成されるポリエステルフィルムの塗布層表面の中心線平均粗さRaは、通常30nm以下、好ましくは20nm以下であり、十点平均粗さRzは通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。塗布層表面の中心性平均粗さRaが30nmを超えたり、十点平均粗さRzが200nmを超えたりする場合は、層間絶縁層の表面粗度が大きくなり、回路の高密度化に弊害が生じることがある。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常15〜50μm、好ましくは20〜40μmの範囲である。フィルム厚みが15μm未満では、絶縁材を塗布した際にシワが入りやすくなる傾向があり、フィルム厚みが、50μmを超える場合は、使用するポリエステル量が増加するため、コストがかさむことになる。
本発明で用いる層間絶縁層に用いる硬化性樹脂は、支持体上で層を形成することができ、十分な絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル系、ポリイミド樹脂系、ポリイミドアミド樹脂系、ポリシアネート樹脂系、ポリエステル樹脂系、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂系などが挙げられる。また、これらを2種以上組み合わせて使用したり、多層構造としたりすることも可能である。
層間絶縁層を支持体に形成する方法は、上記した熱硬化性樹脂などを溶媒に溶解した該樹脂組成物ワニスを塗布した後、加熱することにより溶剤を乾燥させると同時に樹脂を硬化させる公知の方法で作成することができる。
本発明は、層間絶縁層となる硬化樹脂層をポリエステルフィルムからなる支持体上に積層フィルムとして設け、該積層フィルムをロール状とする。ロール状とする際は、そのままの状態でも、硬化樹脂の表面を保護するための保護フィルムを貼り合わせた状態でも、ロール状態で保管できれば、どちらでも構わない。但し、保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができるので、保護フィルムの無い状態でロールとした場合も、最終的には保護フィルムを貼りあわせる工程を追加した方が好ましい。
保護フィルムは、層間絶縁層の表面を保護する機能を有していれば特にこだわらず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムが用いられる。
ポリエステルフィルムで形成する層間絶縁層の厚さは、通常は、導体層の厚さ以上とする。回路基板の導体層の厚さはが、通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みが好ましい。
本発明で得られた層間絶縁層を有するフィルムは、導電層をパターン加工して回路を形成する時に接着フィルムとして、層間絶縁層の保護フィルムが剥がされ、コア基板に積層される。コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成、またはコア基材の両面を層間絶縁層で挟む、ポリエステルフィルム支持体/層間絶縁/コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成で加熱処理などを行い、コア基材と層間絶縁層を接着させ、ポリエステルフィルムからなる支持体が剥がされる。
層間絶縁層をコア基材に接着する方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルムおよび回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等によりあらかじめ粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。
次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により塗布層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
また、ポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)表面粗さ(SRa)
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(4)表面固有抵抗値
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器(HP4339B)および測定電極(HP16008B)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを十分調湿後、印可電圧100Vで1分後の塗布層の表面固有抵抗値を測定した。
(5)フィルムの熱処理方法
A4サイズのケント紙と熱処理を行うポリエステルフィルムを重ね合わせる。その際、オリゴマー量を測定する面が外側になるようにゼムクリップ等で四隅をクリップし、ケント紙とポリエステルフィルムを止める。窒素雰囲気下で180℃のオーブンに前記ポリエステルフィルムを、30分間放置し熱処理を行う。
(6)フィルム表面オリゴマー量測定法
上記(5)示す方法にてフィルムを180℃、30分間熱処理する。次いで、上部が開放され、底辺の面積が250cm2となるように、ポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。塗布層を設けている場合は、塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中に、DMF(ジメチルホルムアミド)10mlを入れ3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のポリエステルのオリゴマー量を求め、このオリゴマー量の値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m2)とする。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例2(ポリエステルB)
ベーマイトを加熱、焼成することによって得られた、一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を得た。次いで、ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール65部および酢酸マグネシウム0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去しつつエステル交換反応を行った。反応開始後約4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に、平均粒径70nmの酸化アルミニウム凝集体3.0重量%を添加し、さらにエチレングリコールスラリーエチルホスフェート0.4部、三酸化アンチモン0.03部を加えた後、常法に従って重合を行い、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例3(ポリエステルC)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例4(ポリエステルD)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例5(ポリエステルE)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径3.2μmの凝集シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例6(ポリエステルF)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.40μmの単分散球状シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例7(ポリエステルG)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.60μmの単分散球状シリカ粒子を0.2部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
以下の実施例・比較例において使用した塗布液は以下のとおりである。
(塗布液H)
主鎖にピロリジウム環を有するポリマーである第一工業製薬社製シャロールDC−303P/けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で85/13/2の割合で含有する水性塗布液
(塗布液J)
主鎖にピロリジウム環を有するポリマーである第一工業製薬社製シャロールDC−303P/けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で40/22/35/3の割合で含有する水性塗布液
(塗布液K)
ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/10けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で40/22/35/3の割合で含有する水性塗布液
(塗布液L)
常法により、トリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/メチルメタクリレートを、重量組成比として65/35の割合で共重合した化合物(a1)を得た。この化合物a1を用いて、a1/けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で70/12/15/3の割合で含有する水性塗布液
(塗布液M)
けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で85/12/3の割合で含有する水性塗布液
(塗布液N)
ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを共重合した、Tgが約40℃のアクリル樹脂である、日本カーバイド工業製ニカゾール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.06μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で40/22/35/3の割合で含有する水性塗布液
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルA〜Gを下記表1に示す配合比でA層、B層、C層の混合原料とし、3台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、3種3層(A層/B層/C層)の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸した。実施例1〜6、比較例2〜4は、縦延伸後にフィルムのC層側表面にコロナ放電処理を施して、表1に示す塗布液をC層表面に塗布した。この後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、C層側表面に0.08μmの塗布層を有する表1に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの表面特性をまとめて表1に示す。
比較例1は表1に示す配合比でA層、B層、C層の混合原料とし、3台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、3種3層(A層/B層/C層)の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸し、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、表1に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。
Figure 2012051367
また、下記表2にポリエステルフィルムをロール状に巻き上げた外観を示した。
《ロール外観》
ポリエステルフィルムの製造において、該フィルムを1500mm幅で1万m長さにスリットして巻き上げた製品ロールの表面に凸状の突起、およびシワを目視により評価した。100ロール当たりの突起とシワの発生比率でランクを分け、その結果を表2に示した。
○:ロール外観の欠陥が5%未満
△:ロール外観の欠陥が5%以上10%未満
×:ロール外観の欠陥が10%以上
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
比較例1と3はポリエステルフィルムのロール状に凸状の突起が発生する製品ロールの割合が高く、突起部分で樹脂組成ワニスの塗布欠陥が生じ、製品を得られなかった。なお、塗布欠陥の無い部分で層間絶縁層の表面観察を行った結果を表2に示した。
《防塵性》
基板/層間絶縁層/支持フィルムの構成で、支持フィルム表面側を目視検査で1m当たりに見えるフィルム表面の付着物をカウントし、下記ランクで評価した結果を表2に示した。
○:付着物がない
△:付着物が10個/m以下
×:付着物が10個/mを超える
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《帯電》
製品ロールの表面に帯電跡の観察、および製品ロールから巻きほぐしたフィルムの状態を観察し、下記ランクで評価した結果を表2に示した。
○:毛羽立ち、フィルムの張り付きがない
△:ロールから引き出したフィルム表面で微かに毛羽立ちを感じる
×:ロール表面に帯電跡あるか、もしくは巻きほぐしたフィルムを放すとロール表面張り付く
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《エポキシ樹脂組成物》
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)20部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDB−500)20部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、軟化点78℃、大日本インキ化学(株)製エピクロンN−673)20部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業(株)製デナレックスR−45EPT)15部をMEKに攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ臭素化フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分40重量%、臭素含有量25重量%、溶剤組成、キシレン:メトキシプロパノール:メチルエチルケトン=5:2:8、東都化成(株)製YPB−40−PXM40)50部、エポキシ硬化剤として2、4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリエチル)−1、3、5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物4部、さらに微粉砕シリカ2部、三酸化アンチモン4部、炭酸カルシウム5部を添加し樹脂組成ワニスを作製した。
《ポリエステルフィルムへの樹脂組成ワニス塗布:層間絶縁層の形成》
上記の方法で作製した樹脂組成ワニスを、実施例1〜6、比較例1〜4で得られたポリエステルフィルムのA層上に、乾燥後の樹脂厚さが70μmとなる用にダイコーターで塗布し、80〜120℃(平均100℃)で乾燥し、ポリエステルフィルムを支持体とした層間絶縁層を作製した。
《加工機付着》
ラミネート温度を130℃として、100回圧着を繰り返した後、プレス面を目視で評価し、その結果を表2に示した。
(プレス面外観良好) ○>△>× (プレス面に汚れが見られ外観不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《層間絶縁層の表面性》
得られた層間絶縁層のポリエステルフィルムに相当する表面をSEMで観察し、配線に影響を与える凹みの有無を下記の通り評価し、その結果を表2に示す。
○:外観上凹みが無い、もしくは凹みが僅かに見られる
△:実用上問題なく使用できるレベルの凹みの大きさが見られる
×:大きな凹みが有り、回路配線に悪影響を与える凹みが見られる
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《コストの優位性》
得られる特性と、歩留まり等の製造に関わるコスト評価を下記の通り評価し、その結果を表2に示す。
○:コスト的に優位性がある
△:コスト的に若干劣る
×:コスト的に劣る
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
Figure 2012051367
本発明のポリエステルフィルムは、ビルドアップビルドアップ法で製造する多層プリント配線板に用いられる、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 一方のフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.5〜15nmであるポリエステルフィルムのもう一方の面に塗布層を有し、180℃で30分間熱処理した後の当該塗布層表面のオリゴマー量が3.0mg/m以下であることを特徴とする層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
  2. 共押出法により得られる、少なくとも3層からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、一方の表層厚さが0.4〜5μmであり、当該表層と隣接する層中の平均粒径0.4μm以上の粒子量が100ppm以下でかつ当該層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
  3. 塗布層が、4級アンモニウム塩基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
  4. 塗布層表面の表面固有抵抗が1×1013Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
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