JP2012047301A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両発進時にロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御が実行可能な車両の制御装置において、スリップスタート制御時にショックが発生することを抑制する。
【解決手段】車両発進時のスリップスタート制御時に、ロックアップクラッチの掴み過ぎにより出力軸トルクの揺れが発生すると判定した場合、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習(ロックアップ制御圧が減圧側となるように学習値を更新)して、ロックアップクラッチの制御圧を下げる。このような学習制御により、SLUソレノイドバルブのハードばらつきに起因するトルク揺れが実際に発生する場合にロックアップ制御圧指示値を下げることができるので、スリップスタート制御による燃費効果を確保しながら、車両発進時のショックを抑制することができる。
【選択図】図8
【解決手段】車両発進時のスリップスタート制御時に、ロックアップクラッチの掴み過ぎにより出力軸トルクの揺れが発生すると判定した場合、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習(ロックアップ制御圧が減圧側となるように学習値を更新)して、ロックアップクラッチの制御圧を下げる。このような学習制御により、SLUソレノイドバルブのハードばらつきに起因するトルク揺れが実際に発生する場合にロックアップ制御圧指示値を下げることができるので、スリップスタート制御による燃費効果を確保しながら、車両発進時のショックを抑制することができる。
【選択図】図8
Description
本発明は、エンジンと自動変速機との間にロックアップクラッチ付きの流体伝動装置(例えばトルクコンバータ)等が設けられた車両の制御装置に関し、さらに詳しくは、車両の発進に伴ってロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御(フレックススタート制御とも呼ばれる)が実行可能な車両の制御装置に関する。
エンジン(内燃機関)が搭載された車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。
車両に搭載される自動変速機としては、例えば、クラッチ及びブレーキと遊星歯車装置とを用いて変速比(ギヤ段)を設定する遊星歯車式変速機や、変速比を無段階に調整するベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)がある。
また、この種の自動変速機が搭載された車両においては、エンジンと自動変速機との間にフルードカップリングやトルクコンバータなどの流体伝動装置が配設されている。さらに、この流体伝動装置として、ロックアップクラッチを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ロックアップクラッチは、作動油(ATF)の油圧によって摩擦係合することにより、流体伝動装置の入力側と出力側とを直結可能とするものである。
このようなロックアップクラッチ付きの流体伝動装置が搭載された車両においては、例えば、自動変速機の油圧制御を含む油圧制御系の油圧(ライン圧)を元圧として、ロックアップクラッチに作用させる油圧を制御することによって、ロックアップクラッチの係合状態、半係合状態(フレックスロックアップ状態)、解放状態を制御している。
具体的には、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータの場合、ロックアップ制御用ソレノイドバルブ(以下、SLUソレノイドバルブともいう)及びロックアップコントロールバルブ等を用いて、トルクコンバータの係合側油室と解放側油室との間の差圧(ロックアップ差圧)をロックアップ制御圧指示値に基づいて制御(例えば上記SLUソレノイドバルブをDuty制御)することによって、ロックアップクラッチの係合・半係合・解放の制御を行っている。
また、上記ロックアップクラッチ付きの流体伝動装置が搭載された車両の発進時にロックアップクラッチを半係合状態とするスリップスタート制御を実行するものも知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。こうしたスリップスタート制御の実行により、車両発進時におけるトルクコンバータでの動力伝達ロスが削減されるとともに、エンジン回転数の急上昇(いわゆる吹け上がり)が抑制されることになり、燃費(燃料消費率)の改善を図ることが可能になる。
ところで、ロックアップクラッチのスリップ制御に用いるSLUソレノイドバルブは、初期品質でI/P特性(電流−油圧特性)に±20kPaのハードばらつきがある。例えば、そのハードばらつきの上限(+20kPa)の特性をもつSLUソレノイドバルブである場合、スリップスタート制御時の指示圧により車両発進直後にロックアップクラッチを掴み過ぎてしまい、トルク揺れやショックが発生する。これを回避するには、初期の適合値(ロックアップ制御圧指示値)を下げればよいが、I/P特性のばらつきの上限側(例えば、+20kPa)に合わせて初期の適合値を下げると、その以外のI/P特性をもつSLUソレノイドバルブ(例えばI/P特性がノミナルやハードばらつきのマイナス側のもの)である場合、車両発進時のエンジン回転数を抑えることができず、燃費効果が目減りしてしまう。そのため、この方法を採用することは現実的ではない。
このようなSLUソレノイドバルブのハードばらつきに起因するスリップスタート制御時の問題を解消するには、ロックアップ制御圧指示値の学習制御を行えばよいが、車両発進時には、ばらつき要因となるハード依存のパラメータ(アクセルペダルのあそび、摩擦係数の変化(静摩擦→動摩擦)、エンジントルクの立ち上がり等)が多いため、学習精度の信頼性が低い。
そこで、ソレノイドバルブ以外の特性が比較的安定する定常走行時のロックアップクラッチのスリップ制御中に、ロックアップ制御圧指示値の学習制御を行い、その定常走行時に学習した学習値をスリップスタート制御のロックアップ制御圧指示値に反映するという方法が考えられる。しかし、定常走行時のスリップ制御とスリップスタート制御とは作動領域が異なる。このため、定常走行時のスリップ制御での学習制御による学習値が収束するまでの間において、スリップスタート制御が繰り返して実行された場合、ショックが連続的に発生することが懸念される。
また、定常走行時と車両発進時とでは、エンジントルク、ロックアップ制御圧指示値、ドライバビリティの許容範囲などが異なるため、学習値のばらつきの許容範囲も定常走行時と車両発進時とでは異なる可能性があって、定常走行時のスリップ制御で学習した学習値を、そのままスリップスタート制御のロックアップ制御圧指示値に必ずしも適用できるとは言えない。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、車両発進時にロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御が実行可能な車両の制御装置において、スリップスタート制御時にショックが発生することを抑制することが可能な制御の実現を目的とする。
本発明は、エンジン及び自動変速機と、前記エンジンと自動変速機との間に配設された流体伝動装置と、前記流体伝動装置の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチとが搭載された車両に適用され、車両発進時に上記ロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御が実行可能な車両の制御装置を前提としており、このような車両の制御装置において、車両発進時に出力軸トルクの揺れが発生するか否かを判定し、「トルク揺れ発生」と判定した場合には、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習することを技術的特徴としている。
本発明によれば、車両発進時のスリップスタート制御時に、ロックアップクラッチの掴み過ぎにより出力軸トルクの揺れが発生すると判定した場合、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習(ロックアップ制御圧が減圧側となるように学習値を更新)して、ロックアップクラッチの制御圧を下げるので、スリップスタート制御時にショックが発生することを抑制することができる。しかも、初期の適合値(ロックアップ制御圧指示値)を下げるのではなく、SLUソレノイドバルブのハードばらつきに起因するトルク揺れが実際に発生する場合にロックアップ制御圧指示値を下げるので、スリップスタート制御による燃費効果を確保しながら、車両発進時のショックを抑制することができる。
本発明の具体的な構成として、エンジン回転数と流体伝動装置のタービン回転数(トルクコンバータの回転数)との差回転の変化量(単位時間当たりの変化量)を検出する差回転変化量検出手段を備えさせ、スリップスタート制御の開始から所定時間内に、上記差回転の変化量が負勾配となる場合に、「トルク揺れ発生」と判定するという構成を挙げることができる。このような構成によれば、新たなセンサを追加することなく、既存のセンサ(エンジン回転数センサ、タービン回転数センサ)を流用して、スリップスタート制御時の出力軸トルクの揺れを判定することができる。
また、他の具体的な構成として、「トルク揺れ発生」の判定によりロックアップ制御圧指示値を下げた後、スリップスタート制御が複数回実施されたときに、「トルク揺れ発生」の判定が複数回連続して成立しない場合には、ロックアップ制御圧指示値を上げる側に学習する。この場合の学習制御では、ロックアップ制御圧指示値を段階的に上げていくようにする。
このような構成によれば、適切なロックアップ制御圧指示値を設定することができ、燃費の低下を抑えることができる。すなわち、「トルク揺れ発生」の判定が複数回(例えば2回)連続して成立しない場合には、ロックアップ制御圧指示値を低下し過ぎている可能性があり、エンジン回転数の上昇による燃費の低下が懸念される。そこで、「トルク揺れ発生」の判定が複数回連続して成立しない場合には、ロックアップ制御圧指示値を上げることにより、その指示値を適正な値とすることができる。これによってエンジン回転数の上昇を抑えることができ、燃費の低下を抑制することができる。
本発明によれば、車両発進時にロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御が実行可能な車両の制御装置において、車両発進時に出力軸トルクの揺れが発生すると判定した場合には、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習するので、スリップスタート制御時にショックが発生することを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
この例の車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両であって、エンジンであるエンジン(内燃機関)1、トルクコンバータ2、自動変速機3、差動歯車装置5、及び、ECU200などを備えており、そのECU200により実行されるプログラムによって本発明の制御装置が実現される。
エンジン1の出力軸であるクランクシャフト(図示せず)はトルクコンバータ2に連結されており、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2から自動変速機3等を介して差動歯車装置5に伝達され、左右の駆動輪6,6へ分配される。これらエンジン1、トルクコンバータ2、自動変速機3、及び、ECU200の各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1には、出力軸であるクランクシャフトの回転数を検出するエンジン回転数センサ211、及び、エンジン水温(冷却水温)を検出する水温センサ217が配置されている。
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1には、出力軸であるクランクシャフトの回転数を検出するエンジン回転数センサ211、及び、エンジン水温(冷却水温)を検出する水温センサ217が配置されている。
エンジン1に吸入される吸入空気量は電子制御式のスロットルバルブ11により調整される。スロットルバルブ11は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ212によって検出される。
スロットルバルブ11のスロットル開度はECU200によって駆動制御される。具体的にはエンジン回転数、及び、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)などのエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御している。より詳細には、スロットル開度センサ212を用いてスロットルバルブ11の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ11のスロットルモータ12をフィードバック制御している。
−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、図2に示すように、入力軸側のポンプインペラ21と、出力軸側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備え、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体(ATF)を介して動力伝達を行う。
トルクコンバータ2は、図2に示すように、入力軸側のポンプインペラ21と、出力軸側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備え、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体(ATF)を介して動力伝達を行う。
トルクコンバータ2には、当該トルクコンバータ2の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ25が設けられている。ロックアップクラッチ25は、図4に示すように、係合側油室26内の油圧と解放側油室27内の油圧との差圧(ロックアップ差圧)ΔP(ΔP=係合側油室26内の油圧PON−解放側油室27内の油圧POFF)によってフロントカバー2aに摩擦係合される油圧式摩擦クラッチであって、前記差圧ΔPを制御することにより、完全係合・半係合(スリップ状態での係合)または解放される。
ロックアップクラッチ25を完全係合させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ25を所定のスリップ状態(半係合状態)で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ22がポンプインペラ21に追随して回転する。一方、ロックアップ差圧ΔPを負に設定することによりロックアップクラッチ25は解放状態となる。
−自動変速機−
自動変速機3は、図2に示すように、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置301を主体として構成される第1変速部300Aと、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置302及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置303を主体として構成される第2変速部300Bとを同軸線上に有し、入力軸311の回転を変速して出力軸312に伝達し、出力歯車313から出力する遊星歯車式多段変速機である。出力歯車313は差動歯車装置5のデフドリブンギヤ5a(図1参照)に噛み合っている。なお、自動変速機3及びトルクコンバータ2は中心線に対して略対称的に構成されているので、図2では中心線の下半分を省略している。
自動変速機3は、図2に示すように、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置301を主体として構成される第1変速部300Aと、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置302及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置303を主体として構成される第2変速部300Bとを同軸線上に有し、入力軸311の回転を変速して出力軸312に伝達し、出力歯車313から出力する遊星歯車式多段変速機である。出力歯車313は差動歯車装置5のデフドリブンギヤ5a(図1参照)に噛み合っている。なお、自動変速機3及びトルクコンバータ2は中心線に対して略対称的に構成されているので、図2では中心線の下半分を省略している。
第1変速部300Aを構成している第1遊星歯車装置301は、サンギヤS1、キャリアCA1、及び、リングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸311に連結される。さらに、サンギヤS1は、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介してハウジングケース310に固定されることにより、キャリアCA1を中間出力部材として入力軸311に対して減速回転される。
第2変速部300Bを構成している第2遊星歯車装置302及び第3遊星歯車装置303においては、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。
具体的には、第3遊星歯車装置303のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成されており、第2遊星歯車装置302のリングギヤR2及び第3遊星歯車装置303のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成されている。さらに、第2遊星歯車装置302のキャリアCA2及び第3遊星歯車装置303のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成されている。また、第2遊星歯車装置302のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。
第2遊星歯車装置302及び第3遊星歯車装置303は、キャリアCA2及びCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されている。さらに、第2遊星歯車装置302のピニオンギヤが第3遊星歯車装置303の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
第1回転要素RM1(サンギヤS3)は、中間出力部材である第1遊星歯車装置301のキャリアCA1に一体的に連結されており、第1ブレーキB1によってハウジングケース310に選択的に連結されて回転停止される。第2回転要素RM2(リングギヤR2及びR3)は、第2クラッチC2を介して入力軸311に選択的に連結される一方、ワンウェイクラッチF1及び第2ブレーキB2を介してハウジングケース310に選択的に連結されて回転停止される。
第3回転要素RM3(キャリアCA2及びCA3)は出力軸312に一体的に連結されている。第4回転要素RM4(サンギヤS2)は、第1クラッチC1を介して入力軸311に選択的に連結される。
以上の自動変速機3では、摩擦係合要素である第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、及び、ワンウェイクラッチF1などが、所定の状態に係合または解放されることによってギヤ段が設定される。
図3は、自動変速機3の各ギヤ段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、「×」は解放をそれぞれ表している。
図3に示すように、自動変速機3のクラッチC1を係合させると前進ギヤ段の1速(1st)が成立し、この1速ではワンウェイクラッチF1が係合する。さらに、1速のエンジンブレーキ(EGB)レンジでは第2ブレーキB2が係合させられる。第1クラッチC1及びブレーキB1を係合させると前進ギヤ段の2速(2nd)が成立する。第1クラッチC1及び第3ブレーキB3を係合させると前進ギヤ段の3速(3rd)が成立する。
また、第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させると前進ギヤ段の4速(4th)が成立する。第2クラッチC2及び第3ブレーキB3を係合させると前進ギヤ段の5速(5th)が成立する。第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させると前進ギヤ段の6速(6th)が成立する。一方、第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3を係合させると後進ギヤ段(R)が成立する。
以上の自動変速機3の入力軸311の回転数(タービン回転数Nt)はタービン回転数センサ(入力軸回転数センサ)213によって検出される。また、自動変速機3の出力軸312の回転数は出力軸回転数センサ214によって検出される。これらタービン回転数センサ213及び出力軸回転数センサ214の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)に基づいて、自動変速機3の現在ギヤ段を判定することができる。
−油圧制御回路−
次に、この例に適用する油圧制御回路100について図4を参照して説明する。なお、図4にはロックアップクラッチ25付きトルクコンバータ2の油圧制御回路の要部のみを示している。
次に、この例に適用する油圧制御回路100について図4を参照して説明する。なお、図4にはロックアップクラッチ25付きトルクコンバータ2の油圧制御回路の要部のみを示している。
まず、オイルポンプ110が発生した油圧はプライマリレギュレータバルブ101により調圧されてライン圧PL1が生成され、そのライン油圧PL1を元圧としてセカンダリレギュレータバルブ102によってセカンダリ圧PSECが調圧される。また、プライマリレギュレータバルブ101にて生成されたライン圧PL1がモジュレータバルブ103にて一定の圧力PMに調圧されてリニアソレノイドバルブ(SLU)104及びソレノイドバルブ(SL)105に供給される。
リニアソレノイドバルブ(SLU)104は、ECU200(図1及び図6参照)から送信されたSLU油圧指示値(ロックアップ制御圧指示値:Duty値)によって決まる電流値に応じて制御圧PSLUをロックアップコントロールバルブ107に出力する。ソレノイドバルブ(SL)105は、ECU200から送信されたSL油圧指示値(Duty値)によって決まる電流値に応じて制御圧PSLをロックアップリレーバルブ106に出力する。
ロックアップリレーバルブ106はソレノイドバルブ(SL)105からの制御圧PSLに応じてロックアップクラッチ25の係合または解放を切り替えるためのバルブである。
ロックアップリレーバルブ106には、軸方向に移動可能なスプール弁子161が設けられている。スプール弁子161の一端側(図4の上端側)には圧縮コイルばね162が配置されており、このスプール弁子161を挟んで圧縮コイルばね162とは反対側の端部に、ソレノイドバルブ(SL)105からの制御圧PSLが供給される油室60が設けられている。
また、ロックアップリレーバルブ106には、セカンダリレギュレータバルブ102からのセカンダリ圧PSECが入力される入力ポート61、トルクコンバータ2の係合側油室26に連通するON油路26aが接続される係合側ポート62、係合側油室26に連通するCIR油路26bが接続されるCIRポート63、解放側油室27に連通するOFF油路27aが接続される解放側ポート64、作動油を排出する排出ポート65,66、迂回ポート67,68、及び、リリーフポート69などが設けられている。
なお、図4に示すロックアップリレーバルブ106において、スプール弁子161の位置が中心線に対し左側にあるときには、ロックアップリレーバルブ106がオフの状態であり、ロックアップクラッチ25が解放され、スプール弁子161の位置が中心線に対し右側にあるときには、ロックアップリレーバルブ106がオンの状態であり、ロックアップクラッチ25が係合される。
ロックアップコントロールバルブ107は、ロックアップリレーバルブ106によりロックアップクラッチ25が係合側状態となっているときに差圧ΔPを調整してロックアップクラッチ25の作動状態を、解放状態を含むスリップ状態からロックアップオンまでの範囲で切り替えるバルブである。
ロックアップコントロールバルブ107は、スプール弁子171と、そのスプール弁子171をスリップ(SLIP)側位置へ向かう推力を付与する圧縮コイルばね172とを備えている。また、ロックアップコントロールバルブ107には、スプール弁子171をSLIP側位置へ向かって付勢するためにトルクコンバータ2の係合側油室26内の油圧PONを受け入れる油室70、スプール弁子171を完全係合(ON)側の位置へ付勢するためにトルクコンバータ2の解放側油室27内の油圧POFFを受け入れる油室71、スプール弁子171をON側位置に向かって付勢するために制御圧PSLUを受け入れる油室72、セカンダリレギュレータバルブ102からのセカンダリ圧PSECが供給される入力ポート73、制御ポート74、及び、作動油を排出する排出ポート75,76などが設けられている。
なお、図4に示すロックアップコントロールバルブ107において、スプール弁子171の位置が中心線に対し左側にあるときにはスリップ状態(完全解放状態も含む)を示しており、スプール弁子171の位置が中心線に対し右側にあるときには完全係合状態(ON)を示している。ここで、ロックアップコントロールバルブ107は、制御圧PSLUが供給されず、圧縮コイルばね172の弾性力によってスプール弁子171が図4の下端に位置しているときには「OFF」の状態になる。
以上の油圧制御回路100において、ロックアップクラッチ25をロックアップオフに制御する場合について説明する。
ロックアップリレーバルブ106において、制御圧PSLが油室122へ供給されずスプリング118の推力によってスプール弁子161が解放(OFF)側位置へ付勢されると、入力ポート61に供給されたセカンダリ圧PSECが解放側ポート64からOFF油路27aを通り解放側油室27へ供給される。これと同時に、係合側油室26を経てON油路26aを通り係合側ポート62に排出された作動油が排出ポート66からクーラ回路120(ATFクーラ121)に排出される。これにより、ロックアップクラッチ25がロックアップオフとされる。このとき、解放側油室27の油圧が係合側油室26の油圧よりも高くなるため、差圧ΔPは負となる。
次に、ロックアップクラッチ25を、解放状態を含むスリップ状態からロックアップオンに制御する場合について説明する。
ロックアップリレーバルブ106において、制御圧PSLが油室60に供給されてスプール弁子161が係合(ON)側位置へ付勢されると、入力ポート61に供給されたセカンダリ圧PSECが、係合側ポート62からON油路26aを通り係合側油室26へ供給される。この係合側油室26へ供給されるセカンダリ圧PSECが油圧PONとなる。これと同時に、解放側油室27は、OFF油路27aを通り解放側ポート64から迂回ポート68を経てロックアップコントロールバルブ107の制御ポート74に連通する。そして、解放側油室27内の油圧POFFがロックアップコントロールバルブ107により調整されて(つまり、ロックアップコントロールバルブ107によって差圧ΔPが調整されて)、ロックアップクラッチ25の作動状態がスリップ状態からロックアップオンの範囲で切り替えられる。
具体的には、ロックアップリレーバルブ106のスプール弁子161が係合側位置へ付勢されているときに(つまり、ロックアップクラッチ25が係合側状態に切り替えられたときに)、ロックアップコントロールバルブ107において、スプール弁子171が完全係合(ON)側位置へ付勢されるための制御圧PSLUが油室72へ供給されず圧縮コイルばね172の弾性力によって、スプール弁子171がスリップ(SLIP)側位置に配置されると、入力ポート73に供給されたセカンダリ圧PSECが制御ポート74からロックアップリレーバルブ106の迂回ポート68を経て解放側ポート64からOFF油路27aを通り解放側油室27へ供給される。この状態において、差圧ΔPが制御圧PSLUによって制御されてロックアップクラッチ25のスリップ状態(解放状態を含む)が制御される。
また、ロックアップリレーバルブ106のスプール弁子161が係合側位置へ付勢されているときに、ロックアップコントロールバルブ107において、スプール弁子171が完全係合(ON)側位置へ付勢されるための制御圧PSLUが油室72へ供給されると、入力ポート73から解放側油室27へはセカンダリ圧PSECが供給されず、解放側油室27からの作動油の排出が制御ポート74にて遮断される。これにより、油圧POFFが「0」となり、差圧ΔPが最大となってロックアップクラッチ25が完全係合状態になる。
−シフト操作装置−
一方、車両の運転席の近傍には図5に示すようなシフト操作装置4が配置されている。シフト操作装置4にはシフトレバー41が変位可能に設けられている。
一方、車両の運転席の近傍には図5に示すようなシフト操作装置4が配置されている。シフト操作装置4にはシフトレバー41が変位可能に設けられている。
この例のシフト操作装置4には、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、及び、D(ドライブ)ポジションが設定されており、ドライバが所望のポジションへシフトレバー41を変位させることが可能となっている。これらPポジション、Rポジション、Nポジション、Dポジション(下記のSポジションのアップシフト(+)位置及びダウンシフト位置(−)位置も含む)の各位置は、シフトポジションセンサ216(図6参照)によって検出される。シフトポジションセンサ216の出力信号はECU200に入力される。
Pポジション(レンジ)及びNポジション(レンジ)は、車両を走行させないときに選択される非走行ポジション(レンジ)であり、Rポジション(レンジ)及びDポジション(レンジ)は、車両を走行させるときに選択される走行ポジション(レンジ)である。
シフトレバー41にてPポジションが選択されると、図3に示すように、自動変速機3のクラッチC1〜C2、ブレーキB1〜B3、及び、ワンウェイクラッチF1の全てが解放されるとともに、パーキング機構(図示せず)によって出力軸34がロックされる。Nポジションが選択されると、自動変速機3のクラッチC1〜C2、ブレーキB1〜B3、及び、ワンウェイクラッチF1の全てが解放される。
Dポジションが選択されると、車両の運転状態などに応じて自動変速機3を自動的に変速する自動変速モードが設定され、自動変速機3の複数の前進ギヤ段(前進6速)が自動的に変速制御される。Rポジションが選択されると、自動変速機3は後進ギヤ段に切り替えられる。
また、シフト操作装置4には、図5(b)に示すように、S(シーケンシャル)ポジション42が設けられており、シフトレバー41がSポジション42に操作されたときに、手動にて変速操作を行う手動変速モード(シーケンシャルモード)が設定される。この手動変速モードにおいてシフトレバー41がアップシフト(+)またはダウンシフト(−)に操作されると、自動変速機3の前進ギヤ段がアップまたはダウンされる。具体的には、アップシフト(+)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→6th)される。一方、ダウンシフト(−)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→・・→1st)される。
−ECU−
ECU200は、図6に示すように、CPU201、ROM202、RAM203及びバックアップRAM204などを備えている。
ECU200は、図6に示すように、CPU201、ROM202、RAM203及びバックアップRAM204などを備えている。
ROM202には、車両の基本的な運転に関する制御の他、車両の走行状態に応じて自動変速機3のギヤ段を設定する変速制御を実行するためのプログラムを含む各種プログラムなどが記憶されている。
CPU201は、ROM202に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM203はCPU201での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM204はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU201、ROM202、RAM203、及び、バックアップRAM204はバス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース205及び出力インターフェース206と接続されている。
入力インターフェース205には、エンジン回転数センサ211、スロットル開度センサ212、タービン回転数センサ(入力軸回転数センサ)213、出力軸回転数センサ214、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ215、シフトポジションセンサ216、水温センサ217、吸入空気量を検出するエアフロメータ218、吸気温センサ219、自動変速機3の作動油の温度を検出するATF油温センサ220、及び、ブレーキペダルセンサ221などが接続されており、これらの各センサからの信号がECU200に入力される。
出力インターフェース206には、スロットルバルブ11のスロットルモータ12、エンジン1に燃料を噴射するインジェクタ13、点火プラグの点火時期を制御するイグナイタ14、及び、油圧制御回路100などが接続されている。
ECU200は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ11の開度制御、点火時期制御、燃料噴射量制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
また、ECU200は、自動変速機3のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を油圧制御回路100に出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、油圧制御回路100のリニアソレノイドバルブやON−OFFソレノイドバルブの励磁・非励磁などが制御され、所定の変速ギヤ段(1速〜6速)を構成するように、自動変速3のクラッチC1〜C2、ブレーキB1〜B3、及び、ワンウェイクラッチF1などが、所定の状態に係合または解放される。
さらに、ECU200は、油圧制御回路100のロックアップリレーバルブ106及びロックアップコントロールバルブ107などを制御し、その制御によりトルクコンバータ2のロックアップクラッチ25が、上述した動作で係合・半係合または解放される。そして、ECU200は下記のスリップスタート制御時の学習制御を実行する。
−スリップスタート制御時の学習制御−
まず、スリップスタート制御は、上述したように、車両の発進時に、ロックアップ差圧ΔPを次第に上昇させていくことでロックアップクラッチ25を半係合状態とするものであって、このスリップスタート制御の実施により、車両発進時におけるトルクコンバータ2での動力伝達ロスが削減されるとともに、エンジン回転数Neの急上昇(いわゆる、吹け上がり)が抑制されることになり、燃費の改善を図ることが可能である。
まず、スリップスタート制御は、上述したように、車両の発進時に、ロックアップ差圧ΔPを次第に上昇させていくことでロックアップクラッチ25を半係合状態とするものであって、このスリップスタート制御の実施により、車両発進時におけるトルクコンバータ2での動力伝達ロスが削減されるとともに、エンジン回転数Neの急上昇(いわゆる、吹け上がり)が抑制されることになり、燃費の改善を図ることが可能である。
ところで、ロックアップクラッチ25のスリップ制御に用いるリニアソレノイドバルブ(SLU)104は、上述したように、初期品質でI/P特性(電流−油圧特性)に±20kPaのハードばらつきがある。その上限(+20kPa)の特性をもつリニアソレノイドバルブ(SLU)104である場合、スリップスタート制御時の指示圧により車両発進直後にロックアップクラッチ25を掴み過ぎてしまい、図9に示すように、エンジン回転数Neの落ち込みの発生等によるトルク揺れやショックが発生する。
そこで、この例では、スリップスタート制御時に学習制御を実行する。具体的には、車両発進時に出力軸トルクの揺れが発生するか否かを判定し、「トルク揺れ発生」と判定した場合には、SLU油圧指示値(ロックアップ制御圧指示値)を下げる側に学習することを特徴としている。さらに、その「トルク揺れ発生」の判定処理に、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslp(Ne−Nt)の変化量の勾配を用いている点にも特徴がある。すなわち、本願発明者は、車両発進時に出力軸トルクの揺れが発生すれば、上記差回転nslpの変化量(単位時間当たりの変化量)が負勾配になることを実験的に把握しており、このような現象を利用し、スリップスタート制御の開始から所定時間内に、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslpの変化量が負勾配である否かを判定して「トルク揺れ発生」の有無を判定する。
スリップスタート制御時の学習制御の具体的な例について図7のフローチャートを参照して説明する。図7の制御ルーチンはECU200において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
この例において、ECU200は、図7の制御ルーチンを開始した時点から、エンジン回転数センサ211及びタービン回転数センサ213の各出力信号に基づいてエンジン回転数Ne及びタービン回転数Ntを逐次算出するとともに、それらエンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslp(Ne−Nt)を逐次算出している。
図7の制御ルーチンが開始されると、まずは、ステップST101において、スリップスタート制御開始条件が成立した否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST101の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST102に進んで、スリップスタート制御を開始する。
スリップスタート制御開始条件としては下記のJ11〜J19を挙げることができ、これらの条件J11〜J19の全てを満足している場合に「スリップスタート制御開始条件」が成立していると判定する。
[J11]現在の車両状態がスリップスタート制御領域内(例えば車速及びアクセル開度をパラメータするマップに基づいて認識)であること
[J12]Dレンジ(シフトポジションセンサ216の出力信号から認識)であること
[J13]ブレーキOFF(ブレーキペダルセンサ221の出力信号から認識)であること
[J14]現在ギヤ段が1速(上記した出力回転数/入力回転数から判定)であること
[J15]フェールセーフによる禁止時ではないこと
[J16]アクセル開度が所定値以上(アクセル開度センサ215の出力信号から認識)であること
[J17]油温センサ220で検出される油温が所定の条件(例えば低油温時を除く条件)を満足していること
[J18]変速制御、ガレージ制御、及び、ニュートラル制御がいずれも非作動時であること
[J19]車両停止履歴があること
なお、ニュートラル制御とは、アイドル運転時に所定のニュートラル制御開始条件が成立したときに、自動変速機3の前進クラッチC1を解放または所定のスリップ状態にしてニュートラルに近い状態にする制御のことである。また、ガレージ制御とは、ニュートラル状態からの車両発進時(前進・後進)に、自動変速機3の摩擦係合要素を滑らかに係合させるための制御のことである。
[J12]Dレンジ(シフトポジションセンサ216の出力信号から認識)であること
[J13]ブレーキOFF(ブレーキペダルセンサ221の出力信号から認識)であること
[J14]現在ギヤ段が1速(上記した出力回転数/入力回転数から判定)であること
[J15]フェールセーフによる禁止時ではないこと
[J16]アクセル開度が所定値以上(アクセル開度センサ215の出力信号から認識)であること
[J17]油温センサ220で検出される油温が所定の条件(例えば低油温時を除く条件)を満足していること
[J18]変速制御、ガレージ制御、及び、ニュートラル制御がいずれも非作動時であること
[J19]車両停止履歴があること
なお、ニュートラル制御とは、アイドル運転時に所定のニュートラル制御開始条件が成立したときに、自動変速機3の前進クラッチC1を解放または所定のスリップ状態にしてニュートラルに近い状態にする制御のことである。また、ガレージ制御とは、ニュートラル状態からの車両発進時(前進・後進)に、自動変速機3の摩擦係合要素を滑らかに係合させるための制御のことである。
次に、ステップST103において、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslp(Ne−Nt)に基づく、車両発進時のトルク揺れ判定条件が成立しているか否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合はステップST105に移行する。ステップST103の判定結果が肯定判定(YES)である場合(トルク揺れ判定条件成立の場合)はステップST104に進んで、発進時トルク揺れ検出フラグをONにする。
車両発進時のトルク揺れ判定条件としては下記のJ21〜J27を挙げることができ、これらの条件J21〜J27の全てを満足している場合に「トルク揺れ判定条件」が成立していると判定する。
[J21]上記差回転nslp(Ne−Nt)の変化量が所定値(例えば0[rpm]未満:負勾配)であること
[J22]スリップスタート制御を開始してからの経過時間が所定時間(負勾配検出時間)内であること
[J23]油温センサ220で検出される油温が所定の条件(例えば低油温時を除く条件)を満足していること
[J24]水温センサ217で検出される水温が所定の条件(例えば低水温時を除く条件)を満足していること
[J25]タービン回転数Ntが所定範囲内であること(車両が完全停止状態でロックアップクラッチ25を係合することによるエンジンストールを回避するため)
[J26]タービン回転数Ntの変化量が所定範囲内であること(悪路(波状路、砂利道等)走行時のタービン回転数Ntの変化をトルク揺れと誤判定しないため)
[J27]スリップスタート制御実施中であること
次に、スリップスタート制御の終了後(ステップST105)、発進時トルク揺れ検出フラグがONであるか否かを判定し(ステップST106)、その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。
[J22]スリップスタート制御を開始してからの経過時間が所定時間(負勾配検出時間)内であること
[J23]油温センサ220で検出される油温が所定の条件(例えば低油温時を除く条件)を満足していること
[J24]水温センサ217で検出される水温が所定の条件(例えば低水温時を除く条件)を満足していること
[J25]タービン回転数Ntが所定範囲内であること(車両が完全停止状態でロックアップクラッチ25を係合することによるエンジンストールを回避するため)
[J26]タービン回転数Ntの変化量が所定範囲内であること(悪路(波状路、砂利道等)走行時のタービン回転数Ntの変化をトルク揺れと誤判定しないため)
[J27]スリップスタート制御実施中であること
次に、スリップスタート制御の終了後(ステップST105)、発進時トルク揺れ検出フラグがONであるか否かを判定し(ステップST106)、その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。
ステップST106の判定結果が肯定判定(YES)である場合は、スリップスタート制御の学習値を減算値(図10参照)に更新し、発進時トルク揺れ検出フラグをOFFにする(ステップST107)。このステップST107での学習値の更新には図10のマップを用いる。
図10のマップにおいては、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslpの変化量が「0」未満である場合の学習更新値(減算値)を負の値としている。この減算値は、スリップスタート制御時のショック低減などを考慮して実験・計算等によって経験的に適合した値(一定値)とする。また、このスリップスタート制御用の減算値及び定常時の学習値と、SLU油圧指示値(最新の指示値)との関係は、[SLU油圧指示値=[ノミナル値+定常時の学習値+減算値(マイナス値)]となる。
なお、定常時のスリップ制御の学習制御とは、例えば、定常走行時のロックアップクラッチ25のスリップ制御時において、実際の差回転nslp(Ne−Nt)が目標差回転に一致するようにロックアップクラッチ25の制御圧をフィードバック制御したときに、その実際の差回転と目標差回転との偏差から学習補正量を算出して学習値を更新するという制御である。
次に、この例のスリップスタート制御時の学習制御について図8及び図9のタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
まず、上記スリップスタート制御開始条件が成立した時点t1でスリップスタート制御を開始する。このとき、車両に搭載されているリニアソレノイドバルブ(SLU)104が、ハードばらつきの上限側のものである場合、図9に示すように、スリップスタート制御を開始した直後に、ロックアップクラッチ25の掴み過ぎにより、スリップスタート制御から所定時間(負勾配検出時間t1〜t2)内に、エンジン回転数Neの落ち込みが発生し、差回転nslpの変化量が負勾配になる。このような状況になると、上記発進時トルク揺れ検出フラグがON(図7に示すステップST103の判定結果が肯定判定(YES)でステップST104でフラグON)となり、SLU油圧指示値を下げる減算値(図10参照)が学習される。つまり、図8に示すように、SLU油圧指示値を、破線から実線へと下げるための減算値が学習され、この減算値によりスリップスタート制御時のロックアップクラッチ25の制御圧が減圧される。このような学習制御により、図8に示すようにエンジン回転数Neの落ち込みがなくなるので、ショックの発生を抑制することができる。ただし、SLU油圧指示値に上記減算値をリアルタイムで反映すると、ドライバビリティの悪化やショック発生などが懸念されるので、その減算値(学習値)は次回のスリップスタート制御の作動時に反映する。
なお、図8及び図9に示す加速スリップ制御(加速フレックスロックアップ制御とも呼ばれる)とは、エンジン回転数Neがタービン回転数Ntよりも大きくて、その差回転nslp(Ne−Nt)が目標差回転となるように、ロックアップクラッチ25の制御圧をフィードバック制御する制御のことである。
以上のように、この例の制御によれば、車両発進時のスリップスタート制御時に、ロックアップクラッチ25の掴み過ぎにより出力軸トルクの揺れが発生すると判定した場合、SLU油圧指示値(ロックアップ制御圧指示値)を下げる側に学習して、ロックアップクラッチ25の制御圧を下げているので、スリップスタート制御時にショックが発生することを抑制することができる。しかも、初期の適合値(SLU油圧指示値)を下げるのではなく、リニアソレノイドバルブ(SLU)104のハードばらつきに起因するトルク揺れが実際に発生する場合にSLU油圧指示値を下げているので、スリップスタート制御による燃費効果を確保しながら、車両発進時のショックを抑制することができる。
−学習制御の他の例−
ECU200が実行するスリップスタート制御時の学習制御の他の例について図11のフローチャートを参照して説明する。図11の制御ルーチンはECU200において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
ECU200が実行するスリップスタート制御時の学習制御の他の例について図11のフローチャートを参照して説明する。図11の制御ルーチンはECU200において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
図11に示すフローチャートのステップST201〜ステップST207の各処理は、上記した図7のフローチャートのステップST101〜ステップST107の各処理と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。なお、この例においても、ECU200は、図11の制御ルーチンを開始した時点から、エンジン回転数センサ211及びタービン回転数センサ213の各出力信号に基づいてエンジン回転数Ne及びタービン回転数Ntを逐次算出するとともに、それらエンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転nslp(Ne−Nt)を逐次算出している。
この例では、ステップST203の判定結果が否定判定(NO)であり、スリップスタート終了後の発進時トルク揺れ検出フラグがOFFとなる場合(ステップST206の判定結果が否定判定(NO)となる場合)、ステップST210において、これまでに発進時トルク揺れ検出フラグが、N回(例えばN=2)以上連続して不成立(発進時トルク揺れ検出フラグ=OFF)であるか否かを判定し(SLU油圧指示値を下げる側に学習した後に、スリップスタート制御が複数回繰り返して実行された際にトルク揺れ判定がN回以上連続して不成立である否かを判定し)、その判定結果か否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST210の判定結果が肯定判定(YES)である場合(例えばN≧2である場合)は、スリップスタート制御の学習値をプラス側に更新する(ステップST211)。その学習値をプラス側に更新する処理について図12を参照して具体的に説明する。
まず、図11の制御ルーチンを1回実行したときに(スリップスタート制御実施回数1回目)、発進時トルク揺れ検出フラグがONとなり、SLU油圧指示値を下げる側に学習(減算値を[−A]とする学習)を行ったとすると、次回のスリップスタート制御(2回目)を実施したときの発進時トルク揺れ検出フラグがOFF([トルク揺れ判定]が非成立(ステップST206の判定結果が否定判定))であり、さらに、次のスリップスタート制御(3回目)を実施したときの発進時トルク揺れ検出フラグがOFF([トルク揺れ判定]が非成立)である場合は、SLU油圧指示値を低下し過ぎているか、もしくは、ノイズ等の他の要因による誤学習であると判断する。
そして、4回目のスリップスタート制御を終了したときに、1回目の学習制御による下げ量(−A)よりも小さな所定値B(B<A)だけSLU油圧指示値を上昇(−A+B)させて、ロックアップクラッチ25の制御圧を強くする。さらに、5回目のスリップスタート制御を終了したときに、4回目の学習制御による学習値(−A+B)に対して所定値Bだけ上昇(−A+2B)させてロックアップクラッチ25の制御圧を強くする。以後、6回目以降のスリップスタート制御についても、同様に、その各スリップスタート制御が終了する毎に、上記所定値Bを加算してSLU油圧指示値を段階的に上げていく。
このようにして、SLU油圧指示値を、スリップスタート制御終了毎に段階的に引き上げていくことにより、SLU油圧指示値を低下し過ぎている場合は、その過低下分を補正することが可能となり、SLU油圧指示値を適正な値に設定することができる。また、ノイズ等の他の要因による誤学習である場合には、その誤学習による影響を少なくすることができる。ここで、SLU油圧指示値を段階的に引き上げていく処理は、上記した[ノミナル値+定常時の学習値]を上限とする。
なお、この例において、SLU油圧指示値の引き上げ過程において上記上限値を超えてしまい、出力軸トルクに揺れが発生することが懸念されるが、そのトルク揺れを判定した時点で、その1回前のスリップスタート制御時の学習値に戻すなどの処理を行うことによってドライバビリティの悪化を回避することができる。
この例において、発進時トルク揺れ検出フラグが連続して不成立となる回数(ステップST210の判定に用いる回数N)は、3回以上の任意の回数であってもよい。
−他の実施形態−
以上の例では、前進6段変速の自動変速機が搭載された車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の遊星歯車式自動変速機が搭載された車両の制御にも適用可能である。
以上の例では、前進6段変速の自動変速機が搭載された車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の遊星歯車式自動変速機が搭載された車両の制御にも適用可能である。
以上の例では、クラッチ及びブレーキと遊星歯車装置とを用いて変速比を設定する遊星歯車式変速機が搭載された車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータを有するベルト式無段変速機(CVT)が搭載された車両の制御にも適用可能である。
以上の例では、ポート噴射型ガソリンエンジンを搭載した車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、筒内直噴型ガソリンエンジンを搭載した車両の制御にも適用可能である。また、本発明は、ガソリンエンジンを搭載した車両の制御に限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両の制御にも適用可能である。
さらに、本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に限れられることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両や、4輪駆動車の制御にも適用できる。
本発明は、エンジンと自動変速機との間にロックアップクラッチ付きの流体伝動装置(例えばトルクコンバータ)等が設けられた車両の制御装置に利用可能であり、さらに詳しくは、車両の発進に伴ってロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御(フレックススタート制御とも呼ばれる)が実行可能な車両の制御装置に有効に利用することができる。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
25 ロックアップクラッチ
26 係合側油室
27 解放側油室
3 自動変速機
100 油圧制御回路
106 ロックアップリレーバルブ
107 ロックアップコントロールバルブ
200 ECU
211 エンジン回転数センサ
213 タービン回転数センサ
2 トルクコンバータ
25 ロックアップクラッチ
26 係合側油室
27 解放側油室
3 自動変速機
100 油圧制御回路
106 ロックアップリレーバルブ
107 ロックアップコントロールバルブ
200 ECU
211 エンジン回転数センサ
213 タービン回転数センサ
Claims (4)
- エンジン及び自動変速機と、前記エンジンと自動変速機との間に配設された流体伝動装置と、前記流体伝動装置の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチとが搭載された車両に適用され、車両発進時に上記ロックアップクラッチを半係合状態にするスリップスタート制御が実行可能な車両の制御装置において、
車両発進時に出力軸トルクの揺れが発生するか否かを判定し、「トルク揺れ発生」と判定した場合には、ロックアップ制御圧指示値を下げる側に学習することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記エンジンの回転数と前記流体伝動装置のタービン回転数との差回転の変化量を検出する差回転変化量検出手段を備え、前記スリップスタート制御の開始から所定時間内に、前記差回転の変化量が負勾配となる場合に、「トルク揺れ発生」と判定することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1または2記載の車両の制御装置において、
前記ロックアップ制御圧指示値を下げた後、前記スリップスタート制御が複数回実施されたときに、「トルク揺れ発生」の判定が複数回連続して成立しない場合には、前記ロックアップ制御圧指示値を上げる側に学習することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項3記載の車両の制御装置において、
前記「トルク揺れ発生」の判定が複数回連続して成立しない場合には、前記ロックアップ制御圧指示値を段階的に上げていくことを特徴とする車両の制御装置。
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Cited By (3)
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- 2010-08-27 JP JP2010191189A patent/JP2012047301A/ja active Pending
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