JP2012046817A - ケミカルタンカーのカーゴタンク等の酸洗浄剤及びその自動酸洗方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケミカルタンカーのステンレス製カーゴタンクの酸洗作業において、安全面、効率面で問題のある手作業による酸洗方法に替えて、タンク洗浄装置を用いて無人化、自動化による酸洗方法、及びこの自動酸洗方法に好適な高い洗浄効果を得ることができる酸洗浄剤を提供する。
【解決手段】硝酸、フッ酸、硫酸、有機酸、多価アルコール、粘性助剤、錯化合物、消泡剤を含有した構成をもつ酸洗浄剤、及びこの酸洗剤を使用してタンク洗浄装置を用いて行うケミカルタンカーのステンレス製カーゴタンクの自動酸洗方法。
【選択図】なし
【解決手段】硝酸、フッ酸、硫酸、有機酸、多価アルコール、粘性助剤、錯化合物、消泡剤を含有した構成をもつ酸洗浄剤、及びこの酸洗剤を使用してタンク洗浄装置を用いて行うケミカルタンカーのステンレス製カーゴタンクの自動酸洗方法。
【選択図】なし
Description
本発明はケミカルタンカーのステンレス鋼製カーゴタンクやスロップタンク等の内面の酸洗において、当該ステンレス鋼の表面に発生した熱酸化皮膜、赤錆、もらい錆、及び油脂類を洗浄するために、タンク洗浄装置を使用して行う自動酸洗方法及びこの酸洗方法の使用に好適な酸洗浄剤に関するものである。
ケミカルタンカーは、液状化学物質を船内のカーゴタンクに積載し輸送するものである。液状化学物質は多岐にわたり、特に腐食性の高い化学物質を輸送することが多いため、通常の石油輸送タンカーとは異なり、ケミカルタンカーのカーゴタンクには、耐食鋼板、例えばSUS304、SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼が一般に用いられている。
このケミカルタンカーの建造にあたっては、ステンレス鋼カーゴタンク内面は建造時の溶接部のスケール除去、建造時に発生した汚れの洗浄及びステンレス鋼の不動態化処理のために、建造最終工程においてタンク内面の酸洗処理作業を実施する。
ケミカルタンカーのカーゴタンク内面の酸洗に際しては、作業員が酸洗浄剤や吹付けポンプその他の機材を持ち込みタンク内に入り、手作業で酸洗浄剤を霧状に壁全面に吹き付ける酸洗作業方法が今日一般的に行われている。しかし、特に近年カーゴタンクの大型化が進み天井の高さは15〜20メートルにも達し、ますます人による酸洗作業は作業環境が悪く、直接酸洗浄剤雰囲気に曝されることによる有毒ガスや酸素欠乏のため危険であり作業員に過度の負担がかかっている。
また使用する酸洗浄剤についても液状の酸洗浄剤を用いて吹き付けを行うと、液ダレを起こし酸洗斑が起き、酸化スケールを取り残すといった問題点も有していた。これを防ぐためにフッ硝酸のような混酸をペースト状にした酸洗浄剤を使用し、更に酸洗作業を行った後、取り残したスケールの除去のために機械的な研磨作業をも併用するという2段階の工程が用いられている。このようにケミカルタンカーのカーゴタンク内面の酸洗浄工程は非常に非効率であり、危険性の高い過酷な作業環境下で多大の労力を必要とする欠点を有していた。
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、ケミカルタンカーのタンク内面の酸洗作業方法において、人による手作業での酸洗方法に替えて、効率的且つ安全な作業に置き換えられる自動酸洗方法と、この自動酸洗方法でタンク洗浄装置(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)を使用する場合に好適な酸洗浄剤の開発が望まれてきた。
造船設計便覧第4版739〜741頁 関西造船協会編纂 昭和58年8月8日発行 海文堂出版株式会社発行 特表2008−503337号公報
特開2008−290033号公報
造船設計便覧第4版739〜741頁 関西造船協会編纂 昭和58年8月8日発行 海文堂出版株式会社発行
以上述べたように、本発明はケミカルタンカーのカーゴタンク内面の酸洗作業に関る問題を解決する方法を提供することを課題とする。従来人手で行っていた酸洗作業において、従来使用されているフッ硝酸のペースト状酸洗浄剤を用い、前述の非特許文献1や特許文献1や特許文献2などに記載されている市販のタンク洗浄装置を使用して通常の洗浄条件下で酸洗浄作業を実施すると、タンク内壁面に一様に酸洗浄剤を塗布させることが難しく、液ダレを起こし酸洗斑が発生し、酸化スケールを完全に除去することが困難である。
このために、自動酸洗方法において最適な酸洗剤を使用した場合にタンク洗浄装置の性能に合った吐出速度や圧力や吐出液量などの洗浄条件の最適化を検討すること、及びタンク洗浄装置により最適なタンク壁面の付着状態が得られ、液ダレ、酸洗斑が出なく、酸化スケールを完全に除去できるタンク洗浄装置に好適な酸洗浄剤を開発することが課題となる。この課題を解決することにより、タンク洗浄装置を使用したケミカルタンカーのカーゴタンク酸洗作業の自動化が確立できる。
本発明の自動酸洗作業、及びこの作業に最適な酸洗浄剤を用いることにより、ケミカルタンカーのカーゴタンク内で多大な労力の必要な人手による酸洗作業から開放され、安全で、且つ効率的な酸洗作業が可能になる。更に自動化により酸洗作業が標準化できれば、作業者の経験、判断、熟練度に影響されずに均一で安定した品質の酸洗処理が保証されるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいてさらに詳細に説明する。
図は本発明で使用するケミカルタンカーのカーゴタンク酸洗設備を模式的に示した概略構成図である。
図は本発明で使用するケミカルタンカーのカーゴタンク酸洗設備を模式的に示した概略構成図である。
本発明で用いるタンク洗浄装置(4、5)は、カーゴタンク(1)の内壁に向けて洗浄液を噴射することによってタンク内部を洗浄する洗浄装置であって、上甲板に設置する酸洗浄剤を貯蔵する貯槽(2)、供給ポンプ(3)からなる酸洗浄剤供給工程、この貯槽(2)から供給された酸洗浄剤を使用してタンク内面を洗浄するためのスプレーノズル(5)を設けた旋回筒(4)をもつ洗浄工程、さらに酸洗後の酸洗浄剤を吸い込みポンプ(6)を介して回収し、再使用するための薬剤回収工程を具備したタンク自動洗浄装置を用いる。
通常タンク洗浄装置を用いた酸洗方法においては、予め所定量の酸洗浄剤を貯槽(2)に入れ供給ポンプ(3)を介して流動、昇圧させて旋回筒(4)に送る。旋回筒(4)はY軸の周りに360度回転しながら、それに接続された先端部のスプレーノズル(5)はX軸に対して360度回転しつつ洗浄液を噴出し、タンク壁面(1)に酸洗浄剤を塗布することで酸洗浄を開始する。旋回筒(4)がY軸周りに360度回転するのに3〜15分で一サイクルを終了させることができ、このサイクルを4〜20回連続してサイクルを回すことで酸洗浄を終了することができることがわかった。
酸洗浄が開始されると、スプレーノズル(5)から噴出した洗浄液はカーゴタンク(1)の壁面に衝突し、一部は壁面を伝わってタンク底部へと流下していく。タンク底部は傾斜が付けられた設計となっているので液は自然流下し、カーゴタンクの吸い込みピット部分(7)に流れ込んでくる。液を循環再使用するために吸い込みピット(7)付近に設置した吸い込みポンプ(6)を用いて吸い上げ上甲板に設置した酸洗浄剤貯槽(2)に導入される。このタンクの払い出しバルブ(図面省略)はポンプの吸い込み部と接続され、ポンプの吐出側は濾過機(図面省略)と接続し、濾過による清澄液がタンク洗浄工程に供給される一連の構成となって酸洗浄剤は循環再使用される。
酸洗浄が所定時間あるいは所定サイクルで終了すると、タンク底部に溜まった液は素早く上甲板のタンクに全量回収する。酸洗終了から水洗過程に移行するまでの時間は、酸洗浄剤の反応時間に相当し酸洗仕上がりの良否を決める重要な因子であり、酸洗終了時から30〜60分、好ましくは20〜40分の表面反応時間をとる。用水(8)の供給は三方自動弁(9)を介してタンク洗浄装置(4、5)に用水を供給し、カーゴタンク(1)の内部を洗浄する水洗工程に移る。酸洗工程から水洗工程に移行する時間が遅れると、酸洗浄剤の液ダレ跡や酸洗斑が生じる懸念がある。水洗工程では、旋回筒(4)の回転サイクルを4〜12サイクル、好ましくは6〜8サイクル作動をさせ用水を噴霧して終了することがわかった。
次にカーゴタンク(1)の洗浄廃液処理は三方自動弁(10)を介して廃水出口(11)から廃水処理船の貯槽へ吸い込みポンプ(6)を稼動して送液する。
上記のタンク洗浄装置を使用して行う自動洗浄方法において、最適な酸洗浄剤を検討した結果、最適な酸洗浄剤は硝酸と、フッ酸と、硫酸と、有機酸と、多価アルコールと、粘性助剤と、錯化合物と、消泡剤と、を含有した構成を有したものであることがわかった。通常酸洗浄剤として使用されているフッ硝酸及び硫酸以外の各構成成分には以下に述べる配合目的、作用があった。この成分構成により作成された酸洗浄剤により、タンク洗浄装置に好適である自動酸洗方法に使用できる酸洗浄剤の提供が可能になった。
含有する有機酸は、酸洗速度を制御する効果、錯化合物はタンク内壁表面に光沢を促進する効果があった。また、ノズルから酸洗浄剤を噴霧するにあたりタンク壁面に到達した酸洗浄剤を保持するために適正な粘性が必要であり、有機酸及び粘性助剤による軽度で適度な粘性がノズルからの酸洗浄剤のタンク壁面の付着状態を良好にするのに効果があった。従来のフッ硝酸による混酸で粘度の高いペースト状の酸洗浄剤を用いて噴霧すると、酸洗浄剤の微細な噴霧状態が得られずタンク壁面に一様に塗布させることが困難になり、部分的な液ダレ、酸洗斑が起こり良好な酸洗効果が得られなかった。また、フッ硝酸の混酸で全く粘性をもたない液状の酸洗浄剤においても液ダレが激しく、酸洗浄剤とタンク壁面のステンレス材との接触反応時間が充分とれず、良好な酸洗効果が得られない。このために僅かで適度な粘性をもった酸洗浄剤が最適であり、有機酸と粘性助剤の配合がこの粘度を制御することがわかった。
含有する消泡剤は、タンク洗浄装置のノズルヘッドから酸洗浄剤が噴出して、10〜20メートル先のタンク壁面に到達するまでの飛行中において、酸洗浄剤の噴霧粒子が空気を内包する危険を避けるためと、タンク壁面に塗布された酸洗浄剤の表面で泡の発生を防ぐために予め酸洗浄剤に含有しておくためであり、これにより酸洗斑などの発生が錯化合物を配合することと共に押さえられる効果が得られた。
また、酸洗浄剤の主成分のフッ硝酸は揮発性であるため、カーゴタンク壁面に到達するとステンレス鋼表面から蒸発し乾燥が速く、旋回筒のサイクルを6〜8分の短い期間で、しかも高圧で1〜1.2MPaの液圧を要したのに対して、消泡剤と多価アルコールを配合することによりフッ硝酸の蒸発速度を制御して、旋回筒のサイクルを15〜20分の長い周期でも対応が可能になった。このことは洗浄工程の系の圧力を1〜1.2MPaで操作する必要があったのを0.4〜0.6MPaの低圧の操作圧ができることとなり、供給ポンプの仕様が汎用品仕様となり安価でしかも省節電効果にもつながる。また特に酸洗終了後の水洗工程への移行時間に余裕ができたことは、酸洗終了後の液回収に時間を長く取ることができ循環使用してきた液の回収にも有利に働くことがわかった。さらに夏期においてはカーゴタンク内面の温度は非常に高温に曝されるので瞬時に酸洗浄剤が蒸発してしまい、スマットや酸洗斑の発生の危険が増大するが、この消泡剤と多価アルコールを適量配合することによりこれらの懸念が解消できることがわかった。
1 カーゴタンク
2 酸洗浄剤貯槽
3 酸洗浄剤供給ポンプ
4 洗浄機旋回筒
5 洗浄機スプレ−ノズル
6 吸い込みポンプ
7 ピット
8 用水
9 三方自動弁
10 三方自動弁
11 洗浄廃水出口
2 酸洗浄剤貯槽
3 酸洗浄剤供給ポンプ
4 洗浄機旋回筒
5 洗浄機スプレ−ノズル
6 吸い込みポンプ
7 ピット
8 用水
9 三方自動弁
10 三方自動弁
11 洗浄廃水出口
Claims (4)
- 硝酸と、フッ酸と、硫酸と、有機酸と、多価アルコールと、粘性助剤と、錯化合物と、消泡剤と、を含有することを特徴とする酸洗浄剤。
- 前記有機酸がシュウ酸、クエン酸、酒石酸のうちいずれか1種以上からなり、前記多価アルコールがエチレングリコールかグリセリンからなり、前記粘性助剤がポリアクリルアミド系、カルボキシメチルセルロース系、ポリビニールアルコール系のうちいずれか1種以上からなり、錯化合物がエチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸のうちいずれか1種以上からなり、前記消泡剤がエマルジョン系消泡剤からなることを特徴とする請求項1に記載の酸洗浄剤。
- 前記硝酸が10〜20%、好ましくは15〜20%、前記フッ酸が2〜10%、好ましくは3〜8%、前記硫酸は3〜15%、好ましくは5〜10%、前記有機酸が2〜10%、前記多価アルコールは1〜10%、好ましくは3〜6%、前記粘性助剤は10〜20%、前記錯化合物は1〜5%、前記消泡剤が0.1〜0.25%からなる請求項1乃至請求項2に記載の酸洗浄剤。
- ケミカルタンカーのステンレス鋼製カーゴタンクを酸洗する際に請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の酸洗浄剤を用い、市販のタンク洗浄装置を使用して自動酸洗浄を行うことを特徴とする酸洗方法。
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JP2010204903A JP2012046817A (ja) | 2010-08-25 | 2010-08-25 | ケミカルタンカーのカーゴタンク等の酸洗浄剤及びその自動酸洗方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105132224A (zh) * | 2015-07-11 | 2015-12-09 | 渤海大学 | 一种用于油罐车清洗的环保型清洗剂 |
JP2021147660A (ja) * | 2020-03-18 | 2021-09-27 | 日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社 | スケールおよび/またはカーボン除去方法、および金属材の製造方法 |
-
2010
- 2010-08-25 JP JP2010204903A patent/JP2012046817A/ja active Pending
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