JP2012039912A - グリセリンの処理方法および下水余剰汚泥の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 下水余剰汚泥を効果的に処理すると共に、バイオディーゼル燃料の製造時に副生されるグリセリンの処理を行う方法を提供する。
【解決手段】 本発明の方法では、副生グリセリン含有水溶液に下水余剰汚泥を加えて嫌気醗酵する。これにより、効果的に副生グリセリンを分解することができる。また、分解物が工業的に有用な物である。さらに、この嫌気醗酵により、下水余剰汚泥中の有機物などが栄養源として消費されるので、処理後の固形物を土壌などとして再利用することが容易である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、バイオディーゼル燃料の製造時に副生されるグリセリンの処理方法および下水余剰汚泥の処理方法に関する。
近年、廃植物油を有効利用することが試みられている。廃植物油に第一級アルコールと水酸化カリウムなどの苛性アルカリとを加えてエステル交換反応を行い、脂肪酸メチルエステル、すなわち廃油再生燃料(バイオディーゼル燃料)を得る。この際に、原料油脂の10〜20%程度のグリセリンが副生する。
このグリセリンは、通常、触媒(苛性アルカリ)、未変換の脂肪酸などの不純物を含む。このため、医薬品、化粧品、石鹸などの原料にするには精製が必要であり、多大なコストを必要とする。したがって、廃棄物として処分されているのが実情である。
副生グリセリンを分解する技術が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、グリセリンを含有する有機性廃棄物に、固形物含有有機性廃棄物(古紙、廃菌床、家畜糞尿、バガス、生ゴミなど)を混合してメタン発酵させる方法が開示されている。
また、副生グリセリンに、動物糞を主とする畜産関連廃棄物と混合して水素を生成する方法が開示されている。
このように、従来の方法では、副生グリセリンに固形物を含有する廃棄物を混合して処理をする。このため、固形物を含有する廃棄物を必要とする。また、メタンや水素を得た後に、廃棄物中に含まれていた固形物のうち残存する固形物等を処理する必要とする場合もある。すなわち、副生グリセリンを単独で処理をする方法が望まれる。
一方、下水余剰汚泥は、活性汚泥法と呼ばれる下水処理の過程で発生する。活性汚泥とは、人為的・工学的に培養・育成された好気微生物群を主成分とする「生きた」浮遊性有機汚泥の総称である。活性汚泥法により汚水浄化を行うと、除去した有機物の50%以上が微生物に変化し、下水余剰汚泥と呼ばれる汚泥を発生させる。日本における産業廃棄物の2〜3割は下水余剰汚泥である。下水余剰汚泥を処分するためには脱水、焼却処分、運搬と多大なエネルギーが要される。このため、この下水余剰汚泥を有効に処理する方法が望まれる。
また、本発明者らは、既に、副生されるグリセリンと微量の余剰汚泥との混合物に嫌気性醗酵菌叢を加えて、副生グリセリンを処理する方法を開発した(特願2009−41477)。しかし、この方法では、余剰汚泥を極微量加えるのみである。さらに、効果的に余剰汚泥を利用することが望まれる。
特開2007−98239号公報 特開2005−279411号公報
すなわち、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、下水余剰汚泥を効果的に処理すると共に、バイオディーゼル燃料の製造時に副生されるグリセリンの処理を行う方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、熱や電気エネルギーを用いずに、下水余剰汚泥の減量化を行う方法を提供することにある。
本発明者らは、副生グリセリンに下水余剰汚泥を加え、発酵処理することで、下水余剰汚泥が、嫌気醗酵菌叢に転換し、副生グリセリンが分解されることを見出した。
本発明の処理方法では、下記に説明するように、下水余剰汚泥を副生グリセリンに対して混合して嫌気醗酵処理する。これにより、下水余剰汚泥中の嫌気微生物が菌叢を形成し、副生グリセリンの分解を促進する。下水余剰汚泥は、有機物を含んだ水を処理する際に用いる活性汚泥(好気微生物を多量に含んだ泥)が沈殿したものである。下水余剰汚泥中には、嫌気微生物を含んでいる。この下水余剰汚泥を嫌気醗酵させると、好気微生物は、嫌気微生物群に吸収され、嫌気醗酵菌叢が形成される。この嫌気醗酵菌叢には、少なくとも加水分解菌、酸生成菌、水素生成菌およびメタン生成菌が含まれている。また、下水余剰汚泥中には、副生グリセリンの分解を制御する制御因子と、嫌気醗酵菌叢の栄養源となる物質が含まれている。したがって、下水余剰汚泥を用いることで、副生グリセリンをより効果的に分解することができることを見出した。また、下水余剰汚泥の含水率や副生グリセリン濃度を制御することで、反応時間や生成される分解物の種類を制御することができることを見出した。本発明は、以下のとおりである。
本発明のグリセリンの処理方法は、アルカリ触媒法により、植物油及び第一級アルコールを原料とするバイオディーゼル燃料の製造時に、反応生成物である脂肪酸のアルキルエステルと共に副生されるグリセリンと、下水余剰汚泥との混合物を嫌気発酵処理して分解物を得るものである。
含水率が95〜99.5重量%の前記下水余剰汚泥を、前記混合物中に、80体積%混合するとよい。
一連の処理で、メタン単独発酵、水素単独醗酵、または水素−メタン連続発酵を行うことができる。
本発明の下水余剰汚泥の処理方法は、アルカリ触媒法により、植物油及び第一級アルコールを原料とするバイオディーゼル燃料の製造時に、反応生成物である脂肪酸のアルキルエステルと共に副生されるグリセリンと、下水余剰汚泥との混合物を嫌気発酵処理して、下水余剰汚泥の固形分を減量する。
本発明の方法では、副生グリセリン含有水溶液に下水余剰汚泥を加えて嫌気醗酵する。これにより、効果的に副生グリセリンを分解することができる。また、分解物が工業的に有用な物である。さらに、この嫌気醗酵により、下水余剰汚泥中の有機物などが栄養源として消費されるので、処理後の固形物を土壌などとして再利用することが容易である。
図1は、低濃度副生グリセリンを分解したときの培養期間に対する発生したガス量を測定した図である。 図2は、低濃度副生グリセリンを分解したときの培養期間に対する生成した有機酸と1,3−プロパンジオール量を測定した図である。 図3は、高濃度副生グリセリンを分解したときの培養期間に対する発生したガス量を測定した図である。 図4は、高濃度副生グリセリンを分解したときの培養期間に対する生成した有機酸と1,3−プロパンジオール量を測定した図である。 図5は、副生グリセリンの投入量の変化による発生したガス量を測定した図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の副生グリセリンの処理方法によれば、副生グリセリンは、以下の工程により処理することができる。
[副生グリセリン]
本発明の処理方法に用いる副生グリセリンは、大豆油や回収された調理廃油などの植物油を、メタノール、エタノールなどの第一級アルコールでエステル交換して脂肪酸メチルまたは脂肪酸エチルなどの脂肪酸アルキルエステルを主成分とするバイオディーゼル燃料を製造する工程から副生する、グリセリン及び油脂を含有するものである。これに限定されず、別の由来の副生グリセリンであってもよい。
使用する副生グリセリンは、必要に応じて濃度を調整した水溶液として用いればよい。副生グリセリンの濃度は、醗酵槽内における全液中の副生グリセリン濃度が、例えば0.01〜1.0体積%であればよい。副生グリセリン濃度により、メタン単独発酵、水素単独醗酵、または水素−メタン連続発酵を行うことができる。
また、使用する副生グリセリンは、中性でなくてもよい。ただし、反応槽内のpHは、例えばpH10程度以下が好ましい。従って、バイオディーゼル燃料を製造する工程から副生するグリセリンをpH10程度まで中和して、処理するのが好ましい。
[下水余剰汚泥]
本発明では、副生グリセリンの処理に際し、下水余剰汚泥を加えることが特徴である。下水余剰汚泥は、活性汚泥法により汚水浄化を行うと、除去した有機物の50%以上が微生物に変化して発生した汚泥である。
本発明では、下水余剰汚泥は、含水率が95〜99.5重量%の前記下水余剰汚泥を、前記混合物中に、80体積%混合する。このように下水余剰汚泥を加えることで、下水余剰汚泥が種菌となり、副生グリセリンを効率よく分解することができる。下水余剰汚泥中には、微生物以外に有機物や無機物等が含まれ、これらの成分が特定の微生物を活性化する、あるいは抑制するなどの機能を有していると考えられる。また、下水余剰汚泥に含まれるこれらの菌種や有機物や無機物等は、処理物の種類、採取の場所、季節などで変動する可能性がある。このため、上記の含水率や添加量に限定することなく、目的とする分解物に応じて適宜最適な含水率や添加量を選択すればよい。
なお、下水余剰汚泥の含水率は、以下のようにして求める。ビーカーなどの容器の質量を測定し、その容器に試料1mlを入れ、質量を測定する。試料を入れた容器を105℃の乾燥器に入れ、1日加熱乾燥する。乾燥後、容器をデシケーターに移して放冷し、放冷後、質量を測定する。下水余剰汚泥の含水率は、次の計算式により算出する。
Figure 2012039912
また、本発明の処理方法では、下水余剰汚泥の濃縮物を用いてもよい。下水余剰汚泥の濃縮は、下水余剰汚泥を遠心操作し、上清と沈殿に分離し、所定量の上清を除去することにより行う。
[発酵処理]
発酵処理は、副生グリセリンと下水余剰汚泥との混合物を嫌気醗酵させて行う。培養は、醗酵槽中の副生グリセリン濃度や下水余剰汚泥の量により異なる。通常嫌気条件下で、37℃で1〜13日程度行う。
上記下水余剰汚泥から得られる嫌気醗酵菌叢には、少なくとも加水分解菌、酸生成菌、水素生成菌およびメタン生成菌が含まれている。下水余剰汚泥の含水率、副生グリセリン濃度から、加水分解菌が活性化すれば1,3−プロパンジオールが、酸生成菌が活性化すれば各種有機酸が液相に生成され、水素生成菌が活性化されれば水素が、メタン生成菌が活性化されればメタンが気相に生成される。
[分解物]
本発明の副生グリセリンの処理方法を行うと、副生グリセリン濃度が高い場合は、気相から水素が、液相から1,3−プロパンジオール、有機酸が、あるいは副生グリセリン濃度が低い場合は、気相からメタンが得られる。水素またはメタンは、それを用いる分野で利用できる。1,3−プロパンジオールは、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の原料として用いることができる。有機酸は、さらにメタン発酵させてメタンを得る、あるいは分離してそれぞれの有機酸として利用することができる。
醗酵槽内の副生グリセリン濃度により、メタン単独発酵、水素単独醗酵、または水素−メタン連続発酵が起こる。例えば、含水率99.5重量%の下水余剰汚泥と。0.05〜5.0体積%の副生グリセリン水溶液を体積比で4:1になるように混合したものを嫌気醗酵させると、0.2〜0.8体積%の副生グリセリン濃度の場合は、水素醗酵が先に起こり、その後メタン発酵が起こる。副生グリセリン濃度が0.2体積%より少ない場合はメタン発酵が単独で起こり、副生グリセリン濃度が1.0体積%より多い場合は水素発酵が単独で起こる。したがって、副生グリセリン濃度と下水余剰汚泥の配合を適切に選択することで、メタン単独発酵、水素単独醗酵、または水素−メタン連続発酵を任意に起こすことができる。
また、水素−メタン連続発酵を行う場合に、気相に含まれるメタン濃度を測定することで、醗酵の進行状態がわかる。メタン発酵終了時に副生グリセリンを追加することで、水素−メタン連続発酵を繰り返して行うことができる。
また、本発明の下水余剰汚泥の処理方法を用いると、下水余剰汚泥中の有機物や微生物などが消費される。したがって、従来電気エネルギーや熱エネルギーを用いて処理されていた下水余剰汚泥を、エネルギーを用いずに減容化処理ができる。また、有機物などが消費されているため、悪臭や腐敗を生じにくい。このため、そのまま土壌などとして再利用することができる。
本発明の処理方法は、連続式であっても、半連続式であっても、回分式であってもよい。下水余剰汚泥の効果的な処理や分解物の分離効率の点から、回分式が最も好ましい。また、廃グリセリンの分解にある程度の時間がかかること、および所望の分解物を収率よく回収するためには一定の期間を必要とすることから、連続式より、半連続式であるほうが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において、培養は以下のように行った。まず、ヘッドスペースバイアル(La−Pha−Pack社製、容積20.6ml)を培養器として用いた。初期気相成分として窒素を用いた。培養温度は、37℃であった。炭素源として、所定量のグリセリン水溶液を用いた。副生グリセリンは、公立大学法人大阪府立大学食堂から廃食用油の提供を受けたものをメタノールでエステル交換して得られた物を用いた。下水余剰汚泥は、堺市建設局下水道部泉北処理場より採集したものを用いた。下水余剰汚泥原液は、含水率が99.5重量%であり、これを上記の方法で濃縮し、含水率97.5重量%と95.0重量%のものを作製した。また、副生グリセリンは、必要に応じて酸でpH10程度に中和したものを用いた。
培養は、所定濃度の副生グリセリン水溶液(1ml)と下水余剰汚泥(4ml)の混合物とを用いた。また、必要な場合には、所定量の純水を加え、副生グリセリン水溶液と純水との合計を1mlとしたものを用いた。上記混合物を入れたバイアルをブチルゴム栓及びアルミシールキャップで閉栓後、バイアル内を窒素ガスで充填した。これ37℃で静置培養した。
(気相分析)
気相中の水素、窒素、メタン、二酸化炭素はバイアル瓶のヘッドスペースからガスタイトシリンジ(伊藤製作所製)でバイオガスを0.5ml採取し、TCDガスクロマトグラフィー(Shimadzu GC−8APT)で分析した。なお、カラムはPorapak Q(粒度80−100,Waters社製)を充填したステンレス製の充填カラム(長さ3m×内径3mm,信和化工株式会社)を使用した。なお、標準ガスとして窒素・二酸化炭素混合ガス(体積比80:20,JAPAN air GASES)、純水素(含有率99.99%,ジーエルサイエンス株式会社)、純メタン(含有率99.9%,ジーエルサイエンス株式会社)を使用した。ガスクロマトグラフの操作条件として、キャリアーガスはアルゴン(JAPAN air GASES)を使用し、流速は20ml/min、入口温度、カラム温度、検出器温度はそれぞれ100℃、70℃、100℃に設定した。
(液相分析)
培養液を15000rpm、10分間の遠心操作により上清と沈殿に分離させ、この上清をナイロンフィルター(孔経0.2mm,National Scientific Company)で濾過したものを液相分析に用いた。
液相中の副生グリセリン、1,3−PDOは高速液体クロマトグラフィー(LC−2000 Plus series,Nippon Bunko)で分析した。なお、各モジュールは送液ポンプ(PU−2080 Plus)、検出器(RI−2031 Plus)、オートサンプラ(AS−2055 Plus)、カラムオーブン(CO−2065 Plus)を使用し、カラムは官能基にスルホ基(Na+)を有するスチレンビニルベンゼン共重合体を充填した充填カラム2本(Shodex Suger KS−804,理論段数17000以上,排除限界分子量4×105,長さ300mm×内径8mm,昭和電工株式会社製)、(Shodex Suger KS−801,理論段数17000以上,排除限界分子量1×103,長さ300mm×内径8mm,昭和電工株式会社製)を直列接続し、ガードカラム(Shodex Suger KS−G,長さ50mm×内径6mm,昭和電工株式会社製)を付属させて使用した。分離モードはサイズ排除モードと配位子交換モードを組み合わせて使用した。高速液体クロマトグラムの操作条件として、移動相は超純水を使用し、流速は0.4ml/minに設定した。
液相中の各種有機酸は高速液体クロマトグラフィー(LC−2000 Plus series,Nippon Bunko)で分析した。なお、各モジュールは送液ポンプ(PU−2080 Plus)、検出器(UV−2070 Plus)、オートサンプラ(AS−2057 Plus)、カラムオーブン(CO−2065 Plus)を使用し、カラムは官能基にスルホ基を有するスチレンビニルベンゼン共重合体(粒径6mm)を充填したカラム2本(Shodex RSpak KC−811,理論段数17000以上,長さ300mm×内径8mm,昭和電工株式会社製)を直列接続させて使用した。分離モードはイオン排除モードを使用した。高速液体クロマトグラムの操作条件として、移動相は3mM 過塩素酸水溶液を使用し、流速は0.8ml/minに設定した。なお、移動相は次のように調整した。過塩素酸0.5gを秤量し、これに水を加えて1Lとすることで移動相を調整した。反応液は0.2mM ブロモチモールブルー(BTB)と15mM リン酸水素二ナトリウム12水の混合溶液を使用し、流速は1.2ml/minに設定した。なお、反応液は次のように調整した。BTB 0.124gを秤量し、エタノール10mlで溶解し、BTBエタノール溶液を作製した。次に、リン酸水素二ナトリウム12水5.37gを秤量し、水500mlで溶解し、BTBエタノール溶液と混合した後、水を加えて1Lとすることで反応液を調整した。移動相、反応液調整後は0.22mmメンブランフィルターで吸引濾過し、吸引濾過後、超音波洗浄器とアスピレーターで減圧脱気した。
なお、全有機酸濃度はマレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、ギ酸、酢酸、レブリン酸、ピログルタミン酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸濃度の和とした。
(固相分析)
培養x日後の下水余剰汚泥中の固形分の質量は乾燥減量試験により測定した。まず、培養x日後のバイアル瓶を開栓し、このバイアル瓶を105℃の乾燥器に入れ、1日加熱乾燥した。乾燥後、バイアル瓶をデシケーターに移して放冷し、放冷後、質量を測定した。培養x日後の下水余剰汚泥中の固形分の質量は、培養x日後、副生グリセリンが完全に分解され、1,3−PDO、各種有機酸、バイオガスへ変換したと仮定して、次の計算式により算出した。
Figure 2012039912
(低濃度の副生グリセリンの嫌気醗酵における評価)
(気相分析)
副生グリセリンを最終濃度が0.01体積%になるように投入した。下水余剰汚泥を、含水率99.5重量%、97.5重量%、95重量%と変えて投入し、それぞれ7日間培養し、発生するガス(メタンと水素)を測定した。結果を図1に示す。図1は、低濃度グリセリンを培養期間に対する発生したガス量を測定した図である。図1において、横軸は培養時間(日)、縦軸は、水素収率、メタン収率をそれぞれ示す。図中、●は水素を、○はメタンを示す。各成分収率は各成分の物質量(単位mol)を全固形分の質量(単位g)で割ることにより算出した。
図1から、低濃度副生グリセリンの場合は、下水余剰汚泥の含水率にかかわらず、メタンが発生し、水素が発生していないことがわかる。また、水素の収率は、下水余剰汚泥の含水率が高いものほどよかった。このことから、本実施例で用いた下水余剰汚泥は、低濃度副生グリセリンの場合ではメタン生成菌を活性化することがわかる。また、下水余剰汚泥の含水率が高いものほど水素の収率が高いことから、本実施例で用いた下水余剰汚泥には、メタン生成菌の活性を抑制する成分が含まれていることがわかる。
以上の結果から、下水余剰汚泥を用いれば、副生グリセリンを分解処理してメタンを単独で発生させることができることがわかった。
(液相分析)
上記培養物の液相を分析し、液相中の有機酸と1,3−プロパンジオールを測定した。結果を図2に示す。図2は、培養期間に対する生成した有機酸と1,3−プロパンジオール量を測定した図である。図2において、横軸は培養時間(日)、縦軸は、有機酸収率、1,3−プロパンジオール収率をそれぞれ示す。図中、□は全有機酸を、◇はグリセリンを、△は1,3−プロパンジオールを示す。各成分収率は各成分の生成量(単位g)を全固形分の質量(単位g)で割ることにより算出した。
図2から、低濃度副生グリセリンの場合は、下水余剰汚泥の含水量にかかわらず、最初に有機酸とわずかに1,3−プロパンジオールとが発生し、次に、1,3−プロパンジオールは分解され、各種有機酸は蓄積されることがわかる。このことから、本実施例で用いた下水余剰汚泥は、低濃度副生グリセリンの場合では、最初に加水分解菌、酸生成菌が活性化し、酸生成菌の活性化が継続し、1,3−プロパンジオールは分解され、各種有機酸を生成することがわかる。また、本実施例で用いた下水余剰汚泥には、酸生成菌を活性化させる成分に適量があることがわかる。
(高濃度の副生グリセリンの嫌気醗酵における評価)
(気相分析)
副生グリセリンを最終濃度が0.4体積%になるように投入した。下水余剰汚泥を、含水率99.5重量%、97.5重量%、95重量%と変えて投入し、それぞれ7日間培養し、発生するガス(メタンと水素)を測定した。結果を図3に示す。図3は、培養期間に対する発生したガス量を測定した図である。図3において、横軸は培養時間(日)、縦軸は、水素収率、メタン収率をそれぞれ示す。図中、●は水素を、○はメタンを示す。各成分収率は各成分の物質量(単位mol)を全固形分の質量(単位g)で割ることにより算出した。
図3から、7日間培養した場合、高濃度副生グリセリンの場合は、下水余剰汚泥の含水率が99.5重量%であると水素が単独で発生している。下水余剰汚泥の含水率が97.5重量%であると最初水素が発生し、後にメタン発酵が始まる。また、下水余剰汚泥の含水率が95重量%であると7日間の培養では、メタンも、水素も発生していないことがわかる。
以上の結果から、高濃度の副生グリセリンを分解する場合は、含水率の多い下水余剰汚泥を用いれば、水素を単独で発生させることができることがわかった。また、下水余剰汚泥の含水率に応じてメタンか水素かを選択して発生させることができることがわかった。
(液相分析)
上記培養物の液相を分析し、液相中の有機酸と1,3−プロパンジオールを測定した。結果を図4に示す。図4は、培養期間に対する生成した有機酸と1,3−プロパンジオール量を測定した図である。図4において、横軸は培養時間(日)、縦軸は、有機酸収率、1,3−プロパンジオール収率をそれぞれ示す。図中、□は全有機酸を、◇はグリセリンを、△は1,3−プロパンジオールを示す。各成分収率は各成分の生成量(単位g)を全固形分の質量(単位g)で割ることにより算出した。
図4から、高濃度の副生グリセリンの場合は、下水余剰汚泥の含水率にかかわらず、有機酸と1,3−プロパンジオールとが発生した。発生した1,3−プロパンジオールは分解されなかった。また、下水余剰汚泥の含水率が99.5重量%、97.5重量%のものは、95重量%のものより、有機酸と1,3−プロパンジオールの収率がよかった。下水余剰汚泥の含水率が99.5重量%、97.5重量%のものは、1日で、副生グリセリンを100%分解する。このことから、下水余剰汚泥の含水率を適宜選択することで、副生グリセリンを効率よく分解することができることがわかった。また、分解物の使用目的に応じて有機酸と1,3−プロパンジオールとのいずれかの収率を増加させることができることがわかった。
高濃度副生グリセリンを含水率97.5重量%の下水余剰汚泥で分解した場合の培養1日目の各成分の収率を求めた。培養開始時は、副生グリセリン0.39gと下水余剰汚泥0.61gの計1.0gであった。培養1日後には、副生グリセリンは完全に分解されていた。気相には、水素0.00082gと二酸化炭素0.23gが含まれていた。また、液相中には18%(0.18g)の有機酸と11%(0.11g)の1,3−プロパンジオールとが含まれていた。有機酸の組成は、酢酸6.8%、プロピオン酸3.7%、酪酸3.1%、その他4.3%であった。
(固形分の減量化)
0.4体積%高濃度副生グリセリンを含水率97.5重量%の下水余剰汚泥で分解し、固形分質量の経時変化を調べた。培養開始時に0.0767gあった固形分質量は、培養6日目に0.0328gに減少した。嫌気醗酵処理により約57.3%減量化できた。
通常、下水余剰汚泥の減量化に用いられる方法に基づき、含水率97.5重量%の下水余剰汚泥4mlに何も加えずに嫌気発酵処理した。培養開始時に0.0979gあった固形分質量は、培養6日目に0.0652gに減少した。嫌気醗酵処理により約33.4%減量化された。
このことから、本発明の処理方法を用いれば、従来の下水余剰汚泥の減量化に用いられる方法に比べ、下水余剰汚泥の固形分の減量化(約1.7倍)できることがわかった。
(副生グリセリンの投入量によるガス発生量に与える影響の評価)
0.01体積%、0.05体積%、0.1体積%、0.2体積%、0.6体積%、0.8体積%、1.0体積%の副生グリセリン溶液と、含水率99.5重量%の下水余剰汚泥を用いてそれぞれ13日間培養し、発生するガス(メタンと水素)を測定した。結果を図5に示す。図5は、副生グリセリンの投入量の変化による発生したガス量を測定した図である。図5において、横軸は培養時間(日)、縦軸は、●が水素発生量を、○がメタン発生量(ml)をそれぞれ示す。
図5から、副生グリセリン濃度が0.01〜0.1体積%の場合は、メタン発酵が独占的に起こることがわかる。また、副生グリセリン濃度が0.2〜0.8体積%の場合は、最初に水素醗酵が起こり、後にメタン発酵が起こることがわかる。また、副生グリセリン濃度が1.0体積%の場合は、水素醗酵が独占的に起こることがわかる。このことから、気相として水素とメタンのいずれかを得るだけでなく、水素とメタンとを順に生産することができることがわかる。
以上から、本発明の処理方法を用いると、従来分解できなかった副生グリセリンを、下水余剰汚泥のみを用いて、水素、メタン、1,3−プロパンジオール、有機酸に効率よく分解できることができる。また、これらの分解物を用いて、他の用途に利用することができる。
また、副生グリセリンの分解により、水素とメタンとを順に生産するシステムを得ることができる。
さらに、熱や電気エネルギーを用いずに、下水余剰汚泥の減量化を図ることができる。また、この減量化処理で、下水余剰汚泥に含まれる有機物等が分解されるので、土壌などとしてそのまま再利用できる。

Claims (5)

  1. アルカリ触媒法により、植物油及び第一級アルコールを原料とするバイオディーゼル燃料の製造時に、反応生成物である脂肪酸のアルキルエステルと共に副生されるグリセリンと、
    下水余剰汚泥との混合物を嫌気発酵処理して分解物を得る、副生グリセリンの処理方法。
  2. 含水率が95〜99.5重量%の前記下水余剰汚泥を、前記混合物中に、80体積%混合する、請求項1に記載の副生グリセリンの処理方法。
  3. 一連の処理で、メタン単独発酵、水素単独醗酵、または水素−メタン連続発酵のいずれかを行う、請求項1または2に記載の副生グリセリンの処理方法。
  4. 前記水素−メタン連続発酵において、メタン発酵終了時に副生グリセリンを追加する、請求項3に記載の副生グリセリンの処理方法。
  5. アルカリ触媒法により、植物油及び第一級アルコールを原料とするバイオディーゼル燃料の製造時に、反応生成物である脂肪酸のアルキルエステルと共に副生されるグリセリンと、
    下水余剰汚泥との混合物を嫌気発酵処理して、下水余剰汚泥の固形分を減量する、下水余剰汚泥の処理方法。
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