図18は、液晶パネルにおける応力発生に起因する光漏れの説明図である。ここでは、説明を簡単にするため、ガラス単体を試料として説明するが、試料を、液晶を挟持した一対のガラス基板に置き換えても同じである。この試料112の各面に、偏光子111となる偏光板と、検光子113となる偏光板とが設けられる。偏光子111および検光子113は、例えば、それぞれの吸収軸121,122が直交するように配置される。試料112において発生した応力方向と、偏光子111の吸収軸121とのなす角度をφとする(図18(a)参照)。試料に応力が生じること伴う漏れ光量をIとすると、漏れ光量Iには、以下に示す式(1)の関係が成立する。
I∝{sin(2φ)}2×{sin(δ/2)}2 式(1)
式(1)におけるδは、光弾性効果で発生するリタデーションであり、以下に示す式(2)で表される。
δ=2πdCσ/λ 式(2)
式(2)において、dは、試料112の厚みである。また、Cは、光弾性係数である。σは、主応力差である。λは、光の波長である。
式(1)から、φが±45°となるときに、漏れ光量Iが最大になることがわかる。
従って、試料に対して、図18(b)に例示する曲げを発生させた場合、φ=0°であるので、漏れ光量Iは最小、すなわち0となる。また、図18(c)に例示するように、試料にねじれを発生させた場合、φ=45°となり、漏れ光量Iは最大になる。また、φ=5°の場合、最大漏れ光量の約3%程度の光漏れが発生し、φ=10°の場合、最大漏れ光量の約10%程度の光漏れが発生し、さらに、φ=15°の場合、最大漏れ光量の約25%の光漏れが発生することとなる。
上記のように、液晶パネル101に応力が発生した場合、φの値によっては、光漏れが生じる。このため、図17に例示する液晶パネル101が、ノーマリブラックのIPS(In Plain Switching)モードやVA(Vertical Alignment)モード等である場合、液晶パネル101とバックライトユニット102と間に異物を挟んでしまうと、光漏れが生じてしまうという問題があった。図19は、液晶パネル101とバックライトユニット102と間に異物を挟んだ状態を模式的に示す説明図である。ただし、図19では、位置決め突起103の図示を省略している。
バックライトユニット102上に液晶パネル101を配置し、フロントカバー104をかぶせる工程において、図19に例示するようにバックライトユニット102と液晶パネル101との間に異物105を挟み込んでしまうと、液晶パネル101の各ガラス基板100a,100bに応力が生じ、ノーマリブラックである液晶パネル101に光漏れが生じてしまう。図20は、光漏れの例を模式的示す説明図である。図20において、散点模様で示した箇所は光漏れが生じている領域を表し、散点模様で囲まれた白色の箇所は、光漏れが特に強い領域を表している。図20に示すように、バックライトユニット(図20において図示略)と液晶パネル101との間に異物105を挟み込んでしまうと、異物105の近傍で、光漏れが生じてしまう。特に、図17に示すように、液晶パネル101の側面を囲むように位置決め突起103を設けると、晶表示パネル101と位置決め突起103との間に異物を挟み込み易くなってしまう。
また、図20に示すような、異物に起因する光漏れが発生した場合、液晶表示装置を分解し、異物105(図19参照)を除去してから、液晶表示装置を再度組み立て直す必要があるため、ノーマリブラックのIPSモードやVAモードの液晶表示装置は、組み立て作業性が他のモードの液晶表示装置よりも低くなってしまう。
そこで、本発明は、ノーマリブラックの液晶パネルにおける光漏れを抑制することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、ガラス板の外周の一部に強制的に変位を生じさせた場合にガラス板に生じる応力の分布をシミュレーションによって求めた。また、発明者は、ガラス板を2種類の方法で固定して、それぞれの固定方法に関してこのシミュレーションを行った。図1は、このシミュレーションを示す説明図である。発明者は、145mm×51mmのガラス板80に関して、応力の分布を求めるシミュレーションを行った。
発明者は、図1(a)に示すように、上記のガラス板80の1つの長辺を除いた残りの三辺を固定した状態で、固定していない長辺の中央部分85に0.25mmの変位を強制的に与えた場合の応力分布を求めた。なお、固定した三辺における固定領域81の幅は、1.5mmとした。このときの応力分布を図1(b)に示す。
また、発明者は、図1(c)に示すように、上記のガラス板80の1つの長辺を除いた残りの三辺の各中央部の領域82を固定し、固定していない長辺の中央部分85に0.25mmの変位を強制的に与えた場合の応力分布を求めた。固定領域82の大きさは、それぞれ辺に沿った方向の長さを3mmとし、固定領域82がガラス板の内面側に入り込んでいる部分の長さLを1.5mmとした。このときの応力分布を図1(d)に示す。
図1(b),(d)において、応力の絶対値が0に近い領域から順に、領域91,92,93,94,95としている。従って、三辺全体を固定させて変異を与えた場合、応力が0に近い領域91は、2つの頂点の近傍付近にしか存在せず、大部分は応力が発生している領域92〜94で占められている(図1(b)参照)。一方、三辺の中央部の領域82(図1(c)参照)のみを固定させて変異を与えた場合には、各領域82と強制的に変異を与えた部分85の近辺に応力が集中し、大部分の領域では、応力がほぼ0となっていることが分かる(図1(d)参照)。
また、発明者は、図1(a)に示すように三辺を固定した場合と、図1(c)に示すように、3箇所の小面積の領域82でガラス板を固定した場合とに関して、固定位置からの距離に応じて、どのように応力の絶対値が変化するかをシミュレーションによって求めた。このシミュレーションでは、ガラス板の三辺を固定する固定領域81の幅を3.0mmとした。すなわち、図1(a)で1.5mmとしていた幅を3.0mmとした。また、3箇所の小面積の領域82でガラス板を固定する場合において、領域82がガラス板の内面側に入り込んでいる部分の長さLを3.0mmとした。すなわち、図1(c)で1.5mmとしていた長さLを3.0mmとした。このとき、支持部(固定した領域)の端部からの距離を横軸にとり、応力を縦軸にとったグラフを、図2に示す。図2に示すように、小面積の領域で固定(支持)した場合には、その領域の近傍では応力が大きいが、その固定領域から離れるにつれ(すなわち、ガラス板の中央に近づくにつれ)、応力は小さくなっている。一方、三辺で支持した場合には、固定領域から離れても応力の減少は緩やかである。小面積の領域でガラス板を固定した場合における応力が、辺全体でガラス板を固定した場合の応力を下回る位置までの、支持部の端部からの距離を臨界距離と呼ぶこととする。
さらに発明者は、辺でガラス板を固定する場合の固定領域81(図1(a)参照)の幅および、小面積の領域82でガラス板を固定する場合における長さL(図1(c)参照)を、1.5mm,3.0mm,4.5mmにした場合の臨界距離をそれぞれ求めた。このシミュレーションで求めた臨界距離の変化を図3に示す。なお、図3において、実線で示す直線は、縦軸をy、横軸をxとした場合、y=0.4x+1.2となる関係式を示している。
本発明の発明者は、このようなシミュレーションによって得た知見に基づいて、以下に示す発明をした。
本発明による液晶表示装置は、一方の面に偏光板が設けられた2枚の矩形の透明基板(例えば、ガラス基板2,3)間に液晶を挟持した液晶パネル(例えば、液晶パネル1)と、液晶パネルに対して光を照射するバックライトユニット(例えば、バックライトユニット15)と、液晶パネルに対してバックライトユニットとは反対側から被せられるカバー部材(例えば、フロントカバー16)と、バックライトユニットとカバー部材との間で液晶パネルを支持する4つの支持部(例えば、支持部21〜24)とを備え、4つの支持部は、2つの支持部同士が組をなし、組をなす2つの支持部同士が対向するように配置され、一方の組をなす2つの支持部の各中心を通過する直線と、一方の偏光板の吸収軸とのなす角度が10°以下であり、他方の組をなす2つの支持部の各中心を通過する直線と、他方の偏光板の吸収軸とのなす角度が10°以下であることを特徴とする。
また、液晶パネルに設けられた2枚の偏光板のうち、一方の偏光板の吸収軸は、その液晶パネルにおける表示領域の水平方向と平行であり、他方の偏光板の吸収軸は、一方の偏光板の吸収軸と直交し、4つの支持部が、一方の組をなす2つの支持部の各中心を通過する直線が、液晶パネルの一方の透明基板の各短辺の中心を通過する直線と、液晶パネルの他方の透明基板の各短辺の中心を通過する直線との間に存在するか、あるいは、その3つの直線が重なり、他方の組をなす2つの支持部の各中心を通過する直線が、液晶パネルの一方の透明基板の各長辺の中心を通過する直線と、液晶パネルの他方の透明基板の各長辺の中心を通過する直線との間に存在するか、あるいは、その3つの直線が重なるように設けられる構成であることが好ましい。
また、液晶パネルの各辺から画像を表示する有効画像表示領域までの距離のうちの最小値をD[mm]とし、個々の辺から、個々の辺に対応する支持部の液晶パネルの内側方向の端部までの距離をL[mm]とした場合に、D≧0.4×L+1.2を満足するように構成されていることが好ましい。
また、4つの支持部が、液晶パネルの主面に接触する接触面と、液晶パネルの側面に対向する対向面とを有する階段状部材であってもよい。
また、支持部同士の2つの組のうち、一方の組をなす2つの支持部が、カバー部材に設けられ、他方の組をなす2つの支持部が、バックライトユニットに設けられていることが好ましい。
また、カバー部材に設けられる2つの支持部が、それぞれ液晶パネルの短辺を押え、バックライトユニットに設けられる2つの支持部が、それぞれ液晶パネルの長辺を押える構成であってもよい。
また、カバー部材に設けられる2つの支持部が、それぞれ液晶パネルの長辺を押え、バックライトユニットに設けられる2つの支持部が、それぞれ液晶パネルの短辺を押える構成であってもよい。
また、液晶パネルには、フレキシブルプリント基板が接続され、フレキシブルプリント基板の各辺のうち液晶パネルに接続される辺には、支持部に対応する位置に切り欠きが設けられ、フレキシブルプリント基板の各辺のうち液晶パネルに接続される辺が、切り欠きに支持部を収めるようにして、切り欠き以外の箇所で液晶パネルに接続されることが好ましい。
本発明によれば、ノーマリブラックの液晶パネルにおける光漏れを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の液晶表示装置は、液晶パネルと、バックライトユニットと、フロントカバーとを備える。まず、液晶パネルの構成について説明する。図4は、液晶パネルの構成例を示す模式的断面図である。
まず、液晶パネルの構成について説明する。図4は、液晶パネルの構成例を示す模式的断面図である。本実施の形態では、液晶パネルはノーマリブラックであるものとする。液晶パネルは、IPSモードであっても、VAモードであっても、あるいは、他のモードであってもよい。また、本実施の形態では、液晶パネルがTFT液晶パネルである場合を例にして説明する。図4に示すように、液晶パネル4は、一対の透明基板2,3の間に液晶6を挟持する。透明基板2,3は、いずれも矩形である。ここでは、透明基板2,3がガラス基板である場合を例にして説明する。ガラス基板2には、一方の面に偏光板4が設けられる。同様に、ガラス基板3においても、一方の面に偏光板5が設けられる。具体的には、ガラス基板2,3において、液晶6が存在する側とは反対側の面に、それぞれ偏光板4,5が設けられる。また、ガラス基板2,3の大きさは異なっていてもよい。
本実施の形態では、大きい方のガラス基板3に、複数の画素電極9が設けられ、小さい方のガラス基板2に、コモン電極8が設けられている場合を例にする。ガラス基板3には、画素電極9毎にTFT(図示略)が設けられ、各画素電極の電位はTFTを介して設定される。また、コモン電極8は、所定の電位に設定され、コモン電極と各画素電極との間に電圧を印加して各画素の液晶の状態を制御することで画像を表示する。また、ガラス基板2には、カラーフィルタ(図示略。以下、CFと記す。)が設けられていて、画像をカラー表示する。各画素電極9とコモン電極8とが対向するように配置される領域10は、画像を表示する領域となる。液晶パネル1において、各画素電極9とコモン電極8とが対向するように配置されていて、画像を表示することになる領域10を、以下、有効画像表示領域10と記す。
また、以下、TFTが設けられているガラス基板3をTFT基板3と記し、CFが設けられているガラス基板2をCF基板2と記す。
なお、CF基板2とTFT基板3との間には、有効画像表示領域10を囲むようにシール材7が設けられ、液晶6は、CF基板2、TFT基板3およびシール材7によって封止される。
また、TFT基板3のうち、CF基板2と重ならない領域12には、フレキシブルプリント基板(以下、FPCと記す。図1において図示略。)17が配置される。
また、本実施の形態では、互いの吸収軸が直交するように偏光板5および偏光板4が配置される場合を例にして説明する。偏光板5の吸収軸と、偏光板4の吸収軸とは直交していなくてもよいが、直交していることが好ましい。
また、本実施の形態では、いずれか一方の偏光板の吸収軸は液晶パネルの表示領域の水平方向と平行であるものとする。一般に、表示領域の水平方向は、有効画像表示領域10に表示される画像の水平方向と同じである。また、表示領域である有効画像表示領域10は、矩形である。そして、有効画像表示領域10の長辺は、TFT基板3の長辺およびCF基板2の長辺と平行であり、有効画像表示領域10の短辺は、TFT基板3の短辺およびCF基板2の短辺と平行である。
図5は、本発明の液晶表示装置におけるバックライトユニット、液晶パネルおよびフロントカバーの配置例を示す説明図である。ただし、図5では、液晶パネル1の構成要素としてCF基板2およびTFT基板3のみを図示し、液晶や偏光板等の図示は省略している。また、図5(a)は、上面から観察した場合におけるバックライトユニット、液晶パネルおよびフロントカバーの位置関係を示す説明図である。ただし、本来、フロントカバー等で隠れて見えない構成要素も図5(a)において図示している。図5(b)は、図5(a)に示すB−Bにおける模式的断面図である。ただし、図5(b)では、FPC17の図示を省略している。図5(c)は、図5(a)に示すC−Cにおける模式的断面図である。
バックライトユニット15は、液晶パネル1の背面側に配置され、液晶パネル1に対して光を照射する。バックライトユニット15が液晶パネル1に対して光を照射している状態で、有効画像表示領域10(図5(a)参照)の各画素における液晶に画像に応じた電圧を印加することで有効画像表示領域10に画像を表示することができる。
フロントカバー16は、前面側から液晶パネル1に被せられる。換言すれば、フロントカバー16は、液晶パネル1に対して、バックライトユニット15とは反対側から被せられる。フロントカバー16は、液晶パネル1の保護や液晶表示装置のデザイン性向上等のために設けられる。
また、液晶パネル1のTFT基板3には、FPC17が配置されている。
液晶表示装置は、バックライトユニット15とフロントカバー16との間で液晶パネル1を支持する局部的な4つの支持部21,22,23,24とを備える。この4つの支持部21〜24は、2つの支持部同士が組をなし、組をなす2つの支持部同士が液晶パネルの対向辺に位置して対向するように配置される。例えば、4つの支持部のうち、2つの支持部がフロントカバー16に設けられ、残りの2つの支持部がバックライトユニット15に設けられる。そして、フロントカバー16に設けられた2つの支持部は液晶パネル1を挟んで対向し、バックライトユニット15に設けられた2つの支持部も液晶パネル1を挟んで対向する。図5では、フロントカバー16に支持部材21,22が対向するようにして設けられ、バックライトユニット15に支持部材23,24が対向するようにして設けられる場合を例示している。この場合、支持部材21,22が一方の組をなし、支持部材23,24が他方の組をなしていることになる。
液晶パネル1は、前面側および背面側からそれぞれ2つの支持部によって押えられることによって、支持(すなわち、固定)される。
上記のように、4つの支持部21〜24は二組に分けられ、各支持部21〜24は、組をなす相手側の支持部と対向するという条件を満たすように配置される。また、各支持部21〜24および偏光板4,5(図4参照)は、支持部の各組において、2つの支持部の中心を通過する直線と、偏光板の吸収軸とのなす角が所定の関係になるという条件も満足するように配置される。この条件に関しては、後述する。
ここで、各支持部の中心について説明する。支持部の中心とは、組をなす相手の支持部側からみて、支持部を左右対称に分割する平面内の点であって、液晶パネル1に接触する部分の点であると定義する。図6は、図5に示す支持部21〜24の例を示す斜視図である。各支持部は、液晶パネル1の主面に部分的に接触する接触面31と、液晶パネル1の側面に対向する対向面32とを有する階段状部材(換言すれば、L字型部材)である。図7は、この支持部を、組をなす相手の支持部側からみて、左右対称に分割する平面を示す説明図である。図7に示す破線は、図7に示す支持部を、組をなす相手側の支持部側から見て左右対称に分割する平面33を表している。この平面33の面内の点であって、液晶パネル1に接触する接触面31上に存在する点を、図7に示す支持部の中心とする。ただし、このような点は、一点ではなく、接触面31上の線分上の各点が、支持部の中心となり得る。いずれの点を支持部の中心としてもよい。
次に、組をなす2つの支持部(すなわち、対向する2つの支持部)のそれぞれの中心を通過する直線と、偏光板の吸収軸との関係について説明する。組をなす2つの支持部のそれぞれの中心を通過する直線と、偏光板4,5のいずれか一方の吸収軸とのなす角度は10°以下であるという条件を満たすように、各支持部21〜24および各偏光板4,5は配置される。図8および図9は、組をなす2つの支持部と偏光板の吸収軸とが満たすべき条件を示す説明図である。図8では、図5に示す階段状の形状の支持部21,22と一方の偏光板の吸収軸とを示している。また、図8では、階段状の支持部21,22を液晶パネル1との接触面とは反対側から観察した場合を図示している。支持部21の中心21aと支持部22の中心22aとを通過する直線41と、一方の偏光板の吸収軸42とのなす角度θは、10°以下である。なお、図8に示す吸収軸42は、図1に示す偏光板4の吸収軸であるものとして説明する。そして、次に説明する図9で示す吸収軸44は、図1に示す偏光板5の吸収軸であるものとする。組をなす2つの支持部(すなわち、対向する2つの支持部)のそれぞれの中心を通過する直線と、偏光板の吸収軸とのなす角度θを10°以下とすることで、光漏れを、最大漏れ光量の10%程度にすることができ、最大漏れ光量の10%程度の光漏れは、許容することができる。例えば、θを10°より大きくし、15°とした場合は、最大漏れ光量の25%の光漏れが発生することとなる。
図9では、図5に示す階段状の形状の支持部23,24を液晶パネル1との接触面側から観察した場合を図示している。支持部23の中心23aと支持部24の中心24aとを通過する直線43と、偏光板5の吸収軸44とのなす角度θは、10°以下である。
ここでは、図8に示す吸収軸42が偏光板4の吸収軸であり、図9に示す吸収軸44が偏光板5の吸収軸であるものとして説明したが、図8に示す吸収軸42が偏光板5の吸収軸であり、図9に示す吸収軸44が偏光板4の吸収軸であってもよい。
また、本実施の形態では、一方の偏光板の吸収軸は、液晶パネルの表示領域の水平方向と平行であり、偏光板4,5の吸収軸が直交する場合を例にしている。また、各支持部21〜24は、液晶パネル1の辺に対応する位置に設けられる(図5参照)。従って、図5に示す例では、図8および図9に示すθはいずれも0°である。すなわち、支持部21の中心21aと支持部22の中心22aとを通過する直線41(図8参照)と、偏光板4の吸収軸42とのなす角度θは0°である。また、支持部23の中心23aと支持部24の中心24aとを通過する直線43と、偏光板5の吸収軸44とのなす角度θも0°である。
なお、各支持部21〜24を、液晶パネル1の角部に対応する位置に設けてもよい。例えば、支持部21,22を、液晶パネル1における隣り合わない角部に対応する位置に配置し(すなわち、対角線上に配置し)、支持部23,24を液晶パネル1における残りの2つの角部に対応する位置に配置してもよい。この場合、支持部21,22のそれぞれの中心を通過する直点と吸収軸との角度が10°以下になるように、一方の偏光板の向きを定め、同様に、支持部23,24のそれぞれの中心を通過する直線と吸収軸との角度が10°以下になるように、もう一方の偏光板の向きを定めればよい。
次に、各支持部21〜24を液晶パネル1の辺に対応する位置に設ける場合における、各支持部21〜24の配置位置について説明する。
一つの組をなす支持部(ここでは、支持部21,22を例にする。)は、その支持部の各中心を通過する直線が、液晶パネル1のTFT基板3の各短辺の中心を通過する直線と、液晶パネル1のもう一方のガラス基板であるCF基板2の各短辺の中心を通過する直線との間に存在するか、あるいは、それらの3つの直線が重なるように、位置が決められる。
また、もう一方の組をなす支持部(ここでは、支持部23,24を例にする。)は、その支持部の各中心を通過する直線が、液晶パネル1のTFT基板3の各長辺の中心を通過する直線と、液晶パネル1のCF基板2の各長辺の中心を通過する直線との間に存在するか、あるいは、それらの3つの直線が重なるように、位置が決められる。
図10は、各支持部21〜24の配置位置を示す説明図である。TFT基板3やCF基板2の短辺に対応する場所に配置される支持部21,22の位置は、図10に示すように、TFT基板3の各短辺の中心を通過する直線47と、CF基板2の各短辺の中点を通過する直線46との間に、支持部21,22の各中心を通過する直線41が存在するように決定される。図10に示す例では、TFT基板3の短辺は、CF基板2の短辺よりも長いため、上記の直線46,47は一致しない。この場合、支持部21,22の各中心を通過する直線41が直線46,47間に収まるように、支持部21,22が設けられる。よって、支持部21,22は、TFT基板3やCF基板2の短辺に対応する位置であって、図10に示す範囲50内に中心が収まる位置に設けられればよい。
また、TFT基板3の短辺の長さとCF基板2の短辺の長さとが等しい場合、TFT基板3の各短辺の中心を通過する直線47と、CF基板2の各短辺の中点を通過する直線46は一致する。この場合には、支持部21,22の各中心を通過する直線41および直線46,47が一致するように、支持部21,22を設ければよい。
また、図10に示す例では、TFT基板3の長辺の長さとCF基板2の長辺の長さとが等しい。従って、TFT基板3の各長辺の中心を通過する直線と、CF基板2の各長辺の中点を通過する直線は一致する。この場合、TFT基板3やCF基板2の長辺に対応する場所に配置される支持部23,24は、支持部23,24の各中心を通過する直線41が、TFT基板3の各長辺の中心を通過する直線、およびCF基板2の各長辺の中点を通過する直線と一致するように、設けられる。
TFT基板3の長辺の長さとCF基板2の長辺の長さとが異なる場合には、TFT基板3の各長辺の中心を通過する直線と、CF基板2の各長辺の中心を通過する直線との間に、支持部23,24の各中心を通過する直線43が収まるように、支持部23,24の位置を定めればよい。
図11は、TFT基板3とCF基板2との間で、短辺および長辺がいずれも異なっている場合の例を示している。支持部21,22の位置に関しては、図10に示す場合と同様であり、説明を省略する。支持部23,24の位置は、TFT基板3の各長辺の中心を通過する直線49と、CF基板2の各長辺の中心を通過する直線48との間に、支持部23,24の各中心を通過する直線43が収まるように決定されればよい。すなわち、支持部23,24の各中心を通過する直線43が、図11に示す範囲51に収まっていればよい。
なお、組をなす支持部の各中心を通過する直線41や直線43(図11参照)が、範囲50,51に収まっていれば、支持部の側面が範囲50,51からはみ出ていてもよい。図12に、この場合の例を示す。図12では、支持部21のみを図示している。また、図10や図11と同一の直線や範囲に関しては、図10、図11と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図12に示すように、組をなす支持部の各中心を通過する直線41が、範囲50に収まっていれば、支持部21の側面は、範囲50からはみ出ていてもよい。ただし、支持部21における、液晶パネル1の辺に沿った方向の幅W(図12、図6参照)は、液晶パネル1の長辺の長さの1/10以下とする。この幅Wは、狭いほど好ましい。図12では、支持部21に関して説明したが、他の支持部22,23,24(図5等参照)に関しても同様である。なお、対向する支持部21,22で幅Wを等しくし、同様に、対向する支持部23,24でも幅Wを等しくすることが好ましい。このとき、支持部21,22における幅Wの値と、支持部23,24における幅Wの値が異なっていてもよい。また、4つの支持部21〜24における幅Wの値を全て等しくしてもよい。
次に、各支持部21〜24と、表示パネル1における有効画像表示領域10との位置関係について説明する。図13は、支持部と有効画像表示領域との位置関係を示す説明図である。図13では、支持部23を例にして説明するが、他の支持部21,22,24に関しても同様である。また、図13では、液晶パネル1を平面的に模式化して図示しているが、液晶パネル1には厚みがあり、支持部23の対向面32は、液晶パネル1の側面に対向している。
なお、液晶パネル1の寸法のばらつきを考慮して、支持部の対向面32と、液晶パネル1との間には、あそびとなる間隔が空けられる。
支持部23に対応する液晶パネル1の辺63から、支持部23の液晶パネル1における内側方向の端部61までの長さをL[mm]とする。支持部23の液晶パネル1における内側方向の端部61は、支持部23の接触面31上における、液晶パネル1との接触部分のうち、支持部23に対応する液晶パネル1の辺63から最も離れた部分である。以下、支持部23の液晶パネル1における内側方向の端部61を、単に、支持部23の端部61と称する。支持部21〜24に対応する各辺において、それぞれの辺から支持部の端部61までの長さLは等しく定める。また、液晶表示パネルの各辺から有効画像表示領域10までの距離のうち、最小の距離をD[mm]とする。図13に示す例では、液晶パネルの4辺のうち、辺63から有効画像表示領域10までの距離が最小になっているものとする。
このとき、以下に示す式(3)が成立するように、有効画像表示領域10と各支持部21〜24との位置関係が定められていることが好ましい。
D≧0.4×L+1.2 式(3)
上記式(3)は、図3に示す関係式y=0.4x+1.2を基に導き出されており、有効画像表示領域までの最小の距離を示している。また、式(3)を満足するようにするためには、例えば、有効画像表示領域10と液晶パネル1の各辺との距離が長くなるように、有効画像表示領域10を液晶パネル1の内側に設けるようにして、有効画像表示領域10から液晶パネル1の外周までを離すようにしてもよい。また、Lの値が小さくなるように、各支持部21〜24の位置を決定してもよい。
図14は、支持部と有効画像表示領域との位置関係を具体的に示す説明図である。図14では、フロントカバー側から各支持部21〜24や液晶パネル1等を観察した状態の例を表している。なお、支持部21,22は、フロントカバーに設けられているが、図14ではフロントカバーの図示を省略している。図14に示すように、バックライトユニット15に設けられた支持部23,24において、支持部23に対応する辺から支持部23の端部までの距離はL1[mm]であり、同様に、支持部24に対応する辺から支持部24の端部までの距離もL1[mm]である。また、フロントカバー(図14において図示略)に設けられた支持部21,22において、支持部21に対応する辺から支持部21の端部までの距離もL1[mm]であり、支持部22に対応する辺から支持部22の端部までの距離もL1[mm]である。また、液晶パネル1の各辺から有効画像表示領域10までの距離のうち、最短の値は、図14に示す例では、辺63から有効画像表示領域10までの距離D1[mm]である。この場合、D1が0.4×L1+1.2以上という関係が成立するように、有効画像表示領域10や支持部21〜24の位置が決定される。
既に説明したように、TFT基板3のうち、CF基板2と重ならない領域12(図4参照)には、FPC17(図4において図示略。図5(a)参照)が配置され、FPC17に設けられた各配線(図示略)が、TFT液晶パネル1のソースラインやゲートライン(図示略)に接続されている。図15は、液晶パネル1へのFPC17の接続態様を示す説明図である。FPC17の辺のうち、液晶パネル1に接続される辺には、支持部(本例では、支持部24であるとする。)に対応する位置に、切り欠き65が設けられる。そして、切り欠き65が設けられた辺は、切り欠き65に支持部24を収めるようにして、切り欠き以外の部分で、液晶パネル1と電気的に接続される。すなわち、切り欠き65以外の部分66,67を用いて、PFC17に設けられた配線を、液晶パネル1に接続させる。液晶パネル1においても、配線に接続される接続端を、切り欠き65以外の部分66,67に対応する位置に設けておけばよい。
このようにFPC17と液晶パネル1とを接続させることにより、支持部とFPC17との干渉を防ぐことができる。すなわち、支持部が存在していても、FPC17と液晶パネル1とを電気的に接続させることができる。
また、本実施の形態によれば、4つの支持部21〜24で液晶パネルを支持するので、液晶表示装置の組み立て工程で、4つの支持部21〜24のいずれかと液晶パネル1との間に異物を挟み込んでしまったり、支持部21〜24の部材寸法にばらつきが生じて液晶パネルの支持高さが不均一になってしまったりしたとしても、液晶パネル1に生じる応力は支持部21〜24の近傍に集中する。このことは、図1(d)に示すシミュレーション結果からわかる。従って、有効画像表示領域10に応力が生じにくく、異物等に起因する有効画像表示領域10での光漏れを抑制することができる。この結果、液晶表示装置の表示品位を向上させることができる。
特に、式(3)の条件を満足していることで、有効画像表示領域10における応力発生の可能性をより抑えることができる。従って、式(3)を満たすようにすることで、異物等による光漏れをより抑制することができ、液晶表示装置の表示品位をさらに向上させることができる。
また、本実施の形態では、液晶パネル1を挟んで対向するようにフロントカバー16に設けられた2つの支持部21,22(図5参照)が、上側(フロントカバー側)から液晶パネル1を押える。また、液晶パネル1を挟んで対向するようにバックライトユニット15に設けられた2つの支持部23,24(図5参照)が、背面側から液晶パネル1を押える。この結果、液晶パネル1はフロントカバー16とバックライトユニット15の間で固定される。このとき、2つの支持部が上側から液晶パネル1を押え、他の2つの支持部が背面側から液晶パネル1を押えるので、液晶パネル1にわずかながら反りが生じる。しかし、フロントカバー16に設けられた2つの支持部21,22の各中心を通過する直線と、一方の偏光板の吸収軸のなす角度は10°以下であり、同様に、バックライトユニット15に設けられた2つの支持部23,24の各中心を通過する直線と、もう一方の偏光板の吸収軸のなす角度も10°以下である。従って、液晶パネルに上記のような反りが生じても、式(1)におけるφが10°以下であるので、支持部21〜24による支持に起因する反りが生じても、光漏れを抑えることができる。
また、本実施の形態では、4つの支持部21〜24で液晶パネル1を支持するので、液晶パネル1と支持部21〜24との接触箇所は4箇所しかない。従って、異物を挟み込む箇所も4箇所しかなく、異物を挟み込む可能性のある場所の面積は非常に小さい。そのため、液晶表示装置の組み立て工程において、液晶パネルと支持部との間に異物を挟み込みにくくすることができる。支持部21における、液晶パネル1の辺に沿った方向の幅W(図6参照)は、液晶パネル1の長辺の長さの1/10以下であるが、この幅Wを狭くすれば、その分、異物を挟み込みにくくなるので、幅Wはより狭いことが好ましい。
次に、上記の実施の形態の変形例について説明する。
上記の実施の形態では、各支持部21〜24が、図6に例示する階段状部材である場合を例に説明したが、各支持部21〜24の形状は、階段状以外の形状であってもよい。
また、図16は、フロントカバー16およびバックライトユニット15に対する支持部21〜24の配置例を示す説明図である。ただし、図16では、フロントカバー16、液晶パネル1およびバックライトユニット15を簡略化して図示している。また、各支持部21〜24も、簡略化して図示しているが、図6に示すように階段状部材であってもよい。上記の実施の形態では、図16(a)に示すように、液晶パネル1の長辺を押える1組の支持部23,24がバックライトユニット16に設けられ、液晶パネル1の短辺を押える1組の支持部21,22がフロントカバー21に設けられる場合を示した。この場合、バックライトユニット16に設けられた支持部23,24が液晶パネル1の長辺を背面側から押え、フロントカバー21に設けられた支持部21,22が液晶パネル1の短辺を上側から押える。
図16(b)に示すように、液晶パネル1の長辺を押える1組の支持部23,24がフロントカバー16に設けられ、液晶パネル1の短辺を押える1組の支持部21,22がバックライトユニット15に設けられていてもよい。この場合、フロントカバー15に設けられた支持部23,24が液晶パネル1の長辺を上側から押え、バックライトユニット15に設けられた支持部21,22が液晶パネル1の短辺を背面側から押える。他の点に関しては、既に説明した実施の形態と同様である。図16(b)に示すように支持部21〜24を配置したとしても、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。