JP2012028255A - 水性組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性溶媒中に無機フィラーを含有し、二次電池を構成する部材の表面への塗工に適した粘度および固形分分散状態を有する水性組成物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明により提供される水性組成物製造方法は、無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒とを混練して上記水性組成物を調製することを包含する。ここで、当該水性組成物の固形分濃度は35〜80質量%であり、上記分散剤の使用量は、固形分基準で、上記水性組成物に含まれる全固形分の0.2〜2.0質量%に相当する量である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性溶媒に無機フィラーが分散した組成物であって、リチウムイオン二次電池その他各種二次電池を構成する部材に塗工して用いられる水性組成物を製造する方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な正負の電極と、これら両電極間に介在されたセパレータとを備える。該セパレータには非水電解液が含浸されており、該電解液中のリチウムイオンが両電極間を行き来することにより充放電を行う。軽量でエネルギー密度が高いため、各種携帯機器の電源として普及している。リチウムイオン二次電池に関する技術文献として、特許文献1〜6が挙げられる。
特開2008−16311号公報 国際公開第06/061936号 特開2008−16313号公報 国際公開第2005/011043号 特開2004−214042号公報 特開2009−302009号公報
ところで、電極および/またはセパレータの表面保護、短絡防止機能の強化、非水電解液含浸量の増加等を目的として、電極部材(例えば、正極活物質層、負極活物質層、セパレータ等)の表面(片面または両面)に、絶縁性無機フィラーを主体とする層が付与されることがある。このような無機フィラー層は、一般に、無機フィラー、各種添加剤、および適当な溶媒等を含むスラリー状またはペースト状の組成物から形成される。その溶媒としては、環境衛生およびコスト低減の観点から、水性溶媒の使用が望ましい。しかしながら、水性溶媒を用いた場合、無機フィラーの凝集やゲル化が起こりやすくなり、特に保存時においてこれら現象が顕著になりがちであった。一方、かかる現象を回避するために組成物の固形分濃度を低くすると、特に、ポリオレフィン製セパレータ等のような低極性表面に塗付した場合、ハジキが生じて均一な厚さの無機フィラー層の形成が困難になることがあった。
本発明の一目的は、水性溶媒に無機フィラーが分散した液状組成物であって、上記無機フィラーの分散性に優れ、且つ二次電池構成部材の表面への塗工に適した性状の水性組成物を製造する方法を提供することである。
本発明によると、水性溶媒に無機フィラーが分散した水性組成物(以下、無機フィラー水性組成物ということもある。)であって、二次電池の構成部材に塗工して用いられるための水性組成物を製造する方法が提供される。その製造方法は、無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒とを混練して前記水性組成物を調製することを包含する。ここで、該組成物の固形分濃度は35〜80質量%である。また、前記分散剤の使用量は、固形分基準で、前記水性組成物に含まれる全固形分の0.2〜2.0質量%に相当する量である。なお、ここで水性組成物とは、固形材料が水性溶媒に分散された組成物を指す。また、上記水性溶媒は、典型的には水であり、水以外に他の溶媒(典型的には、低級アルコール類等の水溶性有機溶媒)を含む混合溶媒であってもよい。
かかる製造方法によると、得られた組成物には上記所定量の分散剤が含まれるので、固形分濃度が上記範囲と比較的高くても、均一な分散状態(例えば、凝集物の平均粒径が2μm以下)を有し、且つかかる分散状態を長期にわたって安定的に維持可能な無機フィラー水性組成物を形成することができる。このように組成物の分散性が高いことは、凝集物に起因する製造機器類(該組成物の製造工程において使用する攪拌装置や塗工装置)の不具合(管詰り等)や、攪拌容器内に凝集物が滞留する無駄が起こりにくくなるので好ましい。また、該組成物は、固形分濃度が上記範囲にあることにより、二次電池構成部材への塗工に適した粘度(流動性としても把握され得る)を有する。具体的には、例えば、セパレータや電極シート等の薄いシート状部材に対しても均一に薄く塗工し得る程度に流動性が高く、かつセパレータ等の低極性表面に塗布してもハジキが起こりにくい程度に流動性の低いものとなり得る。ここに開示される技術は、例えば、25℃,60rpmの条件にてB型粘度計により測定される粘度が500mPa・s以上5000mPa・s以下(例えば500mPa・s以上3000mPa・s以下)である水性組成物の製造に好ましく適用され得る。かかる粘度の水性組成物は、二次電池構成部材に対する塗工性(例えば、上述のような薄物の表面への塗工性、低極性表面への塗工性等)に優れたものであり得る。
好ましい一態様では、ここに開示される水性組成物製造方法は、前記無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒との混練において、まず上記無機フィラーと上記分散剤と上記水性溶媒とを混練し(第一混練段階)、次いで、その混練物に上記増粘剤を添加してさらに混練する(第二混練段階)ことを特徴とする。かかる製造方法によると、より分散性に優れた水性組成物が実現され得る。
他の好ましい一態様では、ここに開示される水性組成物製造方法は、無機フィラーと上記分散剤と上記増粘剤と上記水性溶媒の一部(最終目的物たる固形分濃度35〜80質量%の水性組成物(最終組成物)に含まれる水性溶媒のうち、後述する希釈用の水性溶媒を除いた分量)とを固形分濃度が70〜85質量%となるように予備混練する(ここで、当該分散剤は全固形分の0.2〜1.0質量%程度とする。)予備混練段階と、その予備混練物に前記水性溶媒の残部(希釈用の水性溶媒)を添加(追加)してさらに混練し、最終固形分濃度が35〜80質量%の水性組成物(最終組成物;上記予備混練物よりも固形分濃度の低い組成物)を形成する濃度調整段階と、を含む。予備混練によって得られた固形部濃度70〜85質量%の組成物(予備混練物)は、良好な分散状態を維持しながら、よりコンパクトに保存できる(すなわち、保存時の容積をより小さくすることができる)という利点がある。したがって、かかる予備混練物の状態で保存しておき、必要に応じて該予備混練物(まとめて調製した予備混練物から取り分けた一部であり得る。)を希釈して最終組成物を形成することも、本明細書に開示される無機フィラー水性組成物製造方法の概念に包含される。上記希釈用の水性溶媒は、2回以上に分けて予備混練物に添加・攪拌することがより好ましい。これにより、最終組成物の分散性をより向上させることができる。例えば、予備混練段階において凝集物が形成された場合であっても、希釈を2回以上に分けて実施することにより、上記凝集物が効果的に分解され、より均一な分散状態の最終組成物が実現され得る。
上述のとおり、ここに開示される方法によって製造された無機フィラー水性組成物は、分散安定性に優れ、比較的高い固形分濃度でありながらゲル化しにくいことから、リチウムイオン二次電池を構成する正極(特にシート状の正極、典型的には該正極の具備する活物質層)の表面、負極(特にシート状の負極、典型的には該負極の具備する活物質層)の表面、およびセパレータの表面等に無機フィラー層を形成する用途に好適である。したがって、本発明によると、また、上記方法によって製造された水性組成物を用いて形成された無機フィラー層が、正極、負極、およびセパレータの少なくともいずれかの部材表面に付与されたリチウムイオン二次電池が提供される。かかるリチウムイオン二次電池は、厚さが均一で表面形状の滑らかな無機フィラー層を電極表面またはセパレータ表面に備えることから、電極および/またはセパレータの表面保護、短絡防止機能の強化、および非水電解液含浸量の増加の少なくともいずれかの効果が実現され、より性能(耐久性、安全性、容量等)の優れたものであり得る。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。 粘度を分散剤使用量に対してプロットしたグラフである。 粘度を固形分濃度に対してプロットしたグラフである。 自公転遊星方式攪拌機の概略図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本明細書に開示される水性組成物製造方法は、無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒とを混練することを含む。上述のとおり、ここに開示される方法によると、厚みが均一で表面形状の滑らかな無機フィラー層を形成可能であって且つ保存安定性にも優れた無機フィラー水性組成物を、効率よく製造することができる。加えて、通常、揮発性有機溶剤を溶媒とする組成物に比べて水性組成物は乾燥に時間がかかりがちであるが、上記水性組成物の固形分濃度は比較的高いので、塗工物の乾燥効率を向上させることができる。さらに、該組成物は水性溶媒を用いることから環境衛生上も好ましい。
上記分散剤は、上記水性組成物に含まれる全固形分の0.2〜1.0質量%の割合で配合する。かかる無機フィラー水性組成物は、製造直後における粘度のばらつき(例えば、異なるバッチで製造された組成物間での粘度の違い)が少ない、保存による粘度の変動(例えば、製造直後と常温で3日間の保存後との粘度の違い)が小さい等、粘度安定性に優れたものとなり得る。また、保存(例えば、常温で3日間の保存)によってもゲル化し難く、適度の流動性(すなわち、良好な塗工性)を維持するものであり得る。分散剤の配合量が少なすぎると、得られる無機フィラー水性組成物の粘度が安定せず、また製造後に時間の経過とともにゲル化が進行する場合がある。一方、分散剤の配合量が多すぎると、全固形分に占める無機フィラーの配合割合が相対的に減少するので、その組成物から形成された無機フィラー層の物性(無機フィラー密度、強度)や性能(短絡防止機能等)が低下する場合がある。
ここに開示される方法は、最終的な固形分濃度が35〜80質量%(例えば35〜60質量%程度)である無機フィラー水性組成物の製造に好ましく適用され得る。固形分濃度が低すぎると、セパレータ等の低極性表面に付与した際にハジキが生じ、均一な厚みの無機フィラー層形成が困難になる場合がある。また、組成物を所望の粘度に調整するために要する増粘剤の量が多くなりすぎ、これにより全固形分に占める無機フィラーの配合割合が相対的に減少して、その組成物から形成された無機フィラー層の物性(無機フィラー密度、強度)や性能(短絡防止機能等)が低下する場合がある。一方、固形分濃度が高すぎると、攪拌・混練が困難になったり、高速塗工において塗膜の透け(塗布厚みが目標値よりも薄い欠点部)が生じやすくなったりする場合がある。上述した固形分濃度は、例えば、塗工厚(乾燥前の厚み、すなわちwet膜厚)が5μm〜20μm程度の比較的薄い液膜を塗工する態様で使用されるための水性組成物において好ましく採用され得る。
上記無機フィラー水性組成物は、25℃,60rpmの条件下でB型粘度計にて測定される粘度が100mPa・s以上20000mPa・s以下の範囲であり得る。例えば、粘度が500mPa・s以上(より好ましくは600mPa・s以上)の無機フィラー水性組成物が好ましい。かかる粘度の水性組成物は、セパレータ(例えば、ポリオレフィン多孔質シートからなるセパレータ)等の低極性表面に付与される場合にも、ハジキを生じにくく、均一な塗膜を形成しやすい。また、粘度が10000mPa・s以下(典型的には5000mP・s以下、例えば3000mPa・s以下)の無機フィラー水性組成物が好ましい。かかる粘度の水性組成物は、薄いシート状の部材(例えば、厚みが200μm以下、特に100μm以下の部材)の表面に塗工される場合にも、シートにかかる負荷が少なく、高速塗工における塗膜の透け(ムラ)も生じにくい。上述した固形分濃度は、例えば、塗工厚が5μm〜20μm程度の比較的薄い液膜を塗工する態様で使用されるための水性組成物において好ましく採用され得る。
好ましい一態様では、上記成分を混練する際、まず無機フィラーと分散剤と水性溶媒とを混練(混合)した後、その混練物に増粘剤を添加してさらに混練することにより、最終組成物としての無機フィラー水性組成物を製造する。かかる手順によると、より均一な分散状態の組成物が形成され得る。これら原料を混練する方法は特に制限されず、例えば、一般的な分散機を用いて実施することができる。上記の順番で組成物の構成成分を分散機に投入することにより、増粘剤を投入する前に、無機フィラーを水性溶媒によく分散させておくことができる。このことによって、中間混合物(例えば、無機フィラー、分散剤、水性溶媒の混合物)および最終組成物のいずれについても凝集物の発生が抑制され、分散機の配管の詰まりやタンク(攪拌容器)隅における凝集物の滞留等の問題を効果的に回避することができる。また、該最終組成物は、上記所定量の分散剤を含むことから、ゲル化の進行を抑制し、上記良好な分散状態を安定して維持することができる。なお、増粘剤以外の構成成分(無機フィラー、分散剤および水性溶媒)の投入順は特に制限されない。例えば、これらを分散機に同時に投入してもよく、水性溶媒、分散剤、無機フィラーの順に投入・攪拌してもよい。
また、ここに開示される水性溶媒と無機フィラーと増粘剤とを含む水性組成物は、少なくとも水性溶媒と無機フィラーとを混合した後、その混合物に増粘剤を投入することにより好ましく製造され得る。より具体的には、(1)まず水性溶媒と無機フィラーとを混合した後に増粘剤を投入することにより、(2)無機フィラーおよび増粘剤を水性溶媒に同時に投入して混合する場合や、(3)水性溶媒に増粘剤を投入して混合した後に該混合物に無機フィラーを投入する場合に比べて、より分散性に優れた(例えば、凝集物のサイズおよび量の少なくとも一方が低減された)水性組成物を製造することができる。
本発明者は、無機フィラーとしての中心粒径約0.2μmのチタニア粉末99.3質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム0.7質量部と、水性溶媒としての水とを、固形分濃度が40質量%となるようにして市販の分散機で攪拌混合して水性組成物を調製し、このときの分散機への投入順序を上記(1)〜(3)の三種類として実験を行い、上記(1)の投入順によると上記(2),(3)に比べてチタニアの分散性が著しく向上する(凝集物のサイズおよび量が著しく少ない)ことを確認した。かかる効果が実現されるのは、増粘剤投入前の水性溶媒は増粘剤投入後に比べて低粘度であるので無機フィラーになじみやすく(例えば、無機フィラーの粒子が集合していてもその粒子間に浸透しやすく)、該無機フィラーを短時間で均一に分散させられるためと考えられる。かかる効果は、分散剤の使用の有無にかかわらず実現され得る。したがって、この明細書により開示される事項には、水性溶媒に無機フィラーが分散しており、二次電池の構成部材に塗工して用いられるための固形分濃度35〜80質量%の水性組成物を製造する方法であって、前記水性組成物は少なくとも無機フィラーと増粘剤と水性溶媒とを含み、無機フィラーと水性溶媒とを混練する第一混練段階と、その混練物に増粘剤を混練する第二混練段階とを包含する製造方法が包含され得る。この製造方法は、さらに分散剤を含む水性組成物の製造にも好ましく適用され得る。その場合、分散剤の投入時期は特に限定されず、例えば、水性溶媒に無機フィラーを投入する前、無機フィラーの投入と同時、無機フィラーの投入後増粘剤の投入前、増粘剤の投入と同時、増粘剤の投入後、等のいずれの時期でもよい。
他の好ましい一態様では、組成物の攪拌に、自公転遊星攪拌方式を採用する。自公転遊星攪拌方式は、固形分濃度が高くても、無機フィラーを水性溶媒に短時間(例えば、10分程度)で均一に分散させることができる。したがって、この方式は、例えば、上述のようにいったん固形分濃度が70〜85質量%の予備混練物を形成する態様において、該予備混練物を調製する際に特に好適に採用することができる。また、上記予備混練物を希釈する際にも好ましく採用することができる。なお、この明細書において、「自公転遊星攪拌方式」とは、図6に模式的に示す自公転遊星機70のように、攪拌対象物を収容した攪拌容器72を、縦軸A1(天地方向の軸。以下、公転軸ともいう。)の周囲に公転させながら、その公転軸A1に対して該攪拌容器72の自転軸A2を所望の角度に維持したまま自転させることで攪拌する方式を指す。
上記自公転遊星攪拌方式を用いる態様において、水性組成物構成成分の添加順序は特に制限されない。すなわち、分散剤と増粘剤とを同時に添加してもよく、任意の順序で別々に添加してもよい。好ましい一態様では、無機フィラーおよび分散剤を投入した後、水性溶媒を投入して攪拌し、さらに増粘剤を投入する。これにより、増粘剤を投入する前に(より粘度の低い状態で)、無機フィラーを水性溶媒によくなじませることができるので、より分散安定性に優れた組成物が製造され得る。また、増粘剤が攪拌容器の自公転による遠心力により容器内壁に押しつけられて該内壁にこびりつく事象を効果的に抑制することができる。好ましい他の一態様では、無機フィラーおよび分散剤を投入した後、増粘剤を水性溶媒に溶かした水溶液を投入する。この態様によっても、増粘剤が容器内壁にこびりつく事象を効果的に抑制することができる。上記自公転遊星攪拌方式によって実現された均一な分散状態は、その無機フィラー水性組成物が分散剤を上記所定量含むことから、組成物の保存中も良好に維持され得る。
なお、自公転遊星攪拌方式の攪拌機を用いることによる上記の効果は、上記分散剤を必須成分としない組成の水性組成物に対しても発揮され得る。例えば、水性溶媒と無機フィラーと増粘剤とを含む水性組成物を、まず固形分濃度が70〜85質量%の予備混練物を形成し、次いで該予備混練物を水性溶媒で希釈する態様で製造する場合に、該予備混練物を調製する際に特に好適に採用することができる。また、上記予備混練物を希釈する際にも自公転遊星攪拌方式の攪拌機を好ましく採用することができる。好ましい一態様では、上記予備混練物を調製する際、上記攪拌機に無機フィラーを投入した後、水性溶媒を投入して攪拌し、さらに増粘剤を投入する。好ましい他の一態様では、上記攪拌機に無機フィラーを投入した後、増粘剤を水性溶媒に溶かした水溶液を投入する。自公転遊星攪拌方式の攪拌機を用いる上記製造方法は、さらに分散剤を含む水性組成物の製造にも好ましく適用され得る。この場合、分散剤の投入時期は特に限定されず、例えば、無機フィラーを投入する前、無機フィラーの投入と同時、無機フィラーの投入後増粘剤の投入前、増粘剤の投入と同時、増粘剤の投入後、等のいずれの時期でもよい。
本発明者は、無機フィラーとしての中心粒径約0.2μmのチタニア粉末99.3質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム0.7質量部と、水性溶媒としての水の一部とを、最終組成物よりも高い固形分濃度となるようにして市販の自公転遊星式攪拌機(倉敷紡績株式会社製、型式「KK−1000」)を用いて攪拌混合することにより予備混練物を調製し、次いでこの予備混練物に残部の水(希釈用の水)を加えて上記攪拌機でさらに攪拌混合することにより固形分濃度40質量%の水性組成物(最終組成物)を調製する実験を行った。上記予備混練の際には、まず上記攪拌機に無機フィラーを投入し、次いで増粘剤を水に溶かした水溶液を投入した。上記予備混練物の固形分濃度を60質量%、67質量%、70質量%、75質量%、85質量%の5水準で異ならせて上記実験を行ったところ、予備混練物の固形分濃度を70質量%以上(より具体的には、70〜85質量%)として得られた水性組成物は、予備混練物の固形分濃度をそれ以下とした水性組成物に比べて、最終組成物におけるチタニアの分散性が著しく改善されていることが確認された。
本発明者は、さらに、予備混練物希釈用の水を2回以上に分けて加えることの効果を確認する実験を行った。すなわち、無機フィラーとしての中心粒径0.65μmのアルミナ粉末99.3質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム0.7質量部と、水性溶媒としての水の一部とを市販の自公転遊星式攪拌機(倉敷紡績株式会社製、型式「KK−1000」)を用いて攪拌混合することにより、固形分濃度が73%の予備混練物を調製した。上記予備混練の際には、まず上記攪拌機に無機フィラーを投入し、次いで増粘剤を水に溶かした水溶液を投入した。次いで、この予備混練物に残部の水(希釈用の水)を加えて上記攪拌機でさらに攪拌混合することにより、固形分濃度47質量%の水性組成物(最終組成物)を調製した。このとき、残部の水を一度に加えて得られた水性組成物(サンプルS1)に比べて、まず上記予備混練物を固形分濃度64質量%まで希釈するに足る量の水を加えて混練し(第一濃度調整段階)、その後に残りの希釈用水を加えて固形分濃度を47質量%に調整する(第二濃度調整段階)ことにより得られた水性組成物(サンプルS2)は、アルミナの分散性が著しく改善されていることが確認された。なお、サンプルS2の作製において、予備混練物の固形分濃度を69質量%とし、この予備混練物を第一濃度調整段階で固形分濃度64質量%に希釈し、次いで固形分濃度47質量%に希釈して調製した水性組成物(サンプルS3)は、サンプルS2に比べて分散性に劣ることが確認された。この結果は、濃度調整段階において希釈用の水性溶媒を2回以上に分けて投入する(段階的に希釈する)場合にも、予備混練物の濃度を70質量%以上とすることが分散性の向上に有意義であることを裏付けるものである。
上記無機フィラーとしては、電気絶縁性の無機化合物からなる粒子を用いることができる。例えば、チタニア(酸化チタン;TiO)、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化鉄、セリア、イットリア等の酸化物系セラミックス等から選択される一種または二種以上の無機化合物を粒子状に調整したものが使用され得る。これら無機化合物は、その融点が一般的なセパレータの融点より顕著に高いことから、セパレータ表面に付与される無機フィラー層の主成分として好適である。特に好ましい無機化合物として、チタニア、アルミナが例示される。上記無機化合物粒子の一次粒径は、例えば、0.1μm〜10μm(より好ましくは0.1μm〜1.0μm)程度が好ましい。また、比表面積は3〜10m/g程度が好ましい。
上記分散剤としては、従来公知の一般的な分散剤を使用することができる。電気化学的安定性の高い分散剤を採用することが好ましい。例えば、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸塩等を好ましく用いることができる。上記塩に含まれるカチオンは特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムイオン、アミン類のカチオン等であり得る。好ましくは、重量平均分子量が1×10〜500×10程度(より好ましくは10×10〜100×10程度)のものを選択する。これら分散剤は、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。特に好ましい分散剤として、ポリアクリル酸ナトリウム(CHCHCOONaで表わされる繰返し単位を有するポリマーをいい、通常は、上記繰返し単位を少なくとも50質量%以上(75質量%以上であってもよく、実質的に100質量%であってもよい。)含むポリマーが好ましい。)、ポリアクリル酸アンモニウム等が挙げられる。
上記水性溶媒としては、水を主成分として(体積基準で50%以上の割合で)含む溶媒(例えば、水と低級アルコールの混合溶媒)を使用することができるが、環境衛生およびコスト低減の観点から、水の使用が好ましい。水性溶媒の使用量は、組成物の固形分濃度が所望の値となるように適宜選択することができる。
上記増粘剤としては、一般的な増粘剤を特に制限なく使用することができる。好ましい具体例として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロース系樹脂が挙げられる。これら増粘剤は、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。増粘剤の配合量は、最終組成物の固形分濃度や粘度の目標値、他の材料の使用量等に応じて適宜選択することができる。例えば、全固形分の凡そ0.01〜3.0質量%の範囲とすることができる。特に好ましい分散剤としてCMCが挙げられる。
上記水性組成物は、必要に応じて、無機フィラーを結着可能な結着剤をさらに含み得る。かかる結着剤としては、例えば、側鎖に水素結合性官能基を有するアクリル系樹脂等を、一種、または二種以上使用することができる。上記水性組成物に結着剤を添加するタイミングは、攪拌方法に応じて適宜選択すればよい。例えば、無機フィラー、分散剤、水系溶媒を混練した後に増粘剤を添加する態様では、増粘剤を添加して混練した更に後に結着剤を添加することが好ましい。この際、結着剤を少量の水性溶媒に溶解または分散させて(すなわち、水性溶液または水性分散液として)添加することが好ましい。また、自公転遊星攪拌方式を採用する場合、結着剤は、最初から添加してもよく、増粘剤を添加する際に併せて加えてもよく、あるいは他の全ての成分を混練した後に添加してもよい。結着剤を使用する場合、その配合量は、固形分基準で、水性組成物の全固形分の0.5〜3.0質量%程度とすることが好ましい。
上記水性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤(酸、アルカリ等)等の各種添加剤を配合してもよい。
上記水性組成物は、適用対象部材の表面に適宜の方法で付与(典型的には塗工)し、乾燥させることにより、当該表面上に無機フィラー層を形成することができる。その対象部材に上記水性組成物を付与する方法は特に制限されず、例えば、ダイコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スプレーコーター、ブラッシュコーター、スクリーンコーター等を用いて行うことができる。
対象部材表面に付与した水性組成物は、従来公知の方法を適宜選択して実施することができる。例えば、上記対象部材の他の構成要素を変質させない程度の高温に保持して、あるいは低温減圧下に保持して乾燥させることができる。上記無機フィラー層の乾燥後の厚みは、目的に応じて選択すればよい。
上記水性組成物の適用対象部材としては、二次電池の正極、負極、セパレータ等が挙げられる。該組成物から形成された無機フィラー層は、これら部材の表面(片面または両面)に付与されて、例えば、表面保護、短絡防止性向上、非水電解液含浸量増加、強度向上等の効果を奏し得る。
以下、図面を参照しつつ、ここに開示される技術の一適用対象たるリチウムイオン二次電池について、電極体と非水電解液とが角型形状の電池ケースに収容された態様のリチウムイオン二次電池100(図1)を例にして更に詳しく説明するが、本発明の適用対象をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。また、本発明に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、その電池ケース、電極体等は、用途や容量に応じて、素材、形状、大きさ等を適宜選択することができる。例えば、電池ケースは、直方体状、扁平形状、円筒形状等であり得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、角図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本実施形態に係る電池100は、図1,2に示されるように、捲回電極体20を、図示しない電解液とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10の開口部12より内部に収容し、該ケース10の開口部12を蓋体14で塞ぐことによって構築することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14の表面側に突出するように設けられている。
上記電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30と、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40とを、2枚の長尺シート状のセパレータ50と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
セパレータ50は、正極シート30および負極シート40の間に介在され、正極シート30の正極活物質層34と、負極シート40の負極活物質層44にそれぞれ接するように配置される。そして、セパレータ50に非水電解液を含浸させることにより電極間のイオン伝導パス(導電経路)を形成することができる。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極集電体32が露出するように形成されている。すなわち、該端部には、正極活物質層34が形成されていないか、形成後に除去されている。同様に、捲回される負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
セパレータ50としては、リチウムイオン二次電池に一般的に用いられるセパレータを使用することができる。一態様では、セパレータ50の片面または各面(両面)に上記無機フィラー層が付与されている。片面に無機フィラー層が付与されている場合、当該無機フィラー層をどちら向きに(正極側、負極側のどちらに)配置するかは、適宜選択すればよい。
上記無機フィラー層は、セパレータとしての多孔性樹脂膜の片面または両面それぞれ(典型的には片面)に上記水性組成物を付与し、乾燥させることによって形成される。上記多孔性樹脂膜の材質は特に制限されず、一般的なリチウムイオン二次電池用セパレータに用いられる各種樹脂材料を用いることができる。例えば、一軸延伸または二軸延伸され、多孔性に加工されたフィルム状の樹脂基材を好ましく用いることができる。典型的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の各種ポリオレフィンを主体とする樹脂基材を用いる。上記樹脂膜は、一種類の樹脂材料からなる単層であってもよく、異なる二種以上の樹脂材料からなる層が積層された多層であってもよい。上記樹脂膜は、必要に応じて、その片面または両面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理、下塗り処理等の表面改質処理が施されていてもよい。
上記の正極活物質層34は、例えば、正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(正極合材)を正極集電体32に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
一態様では、正極活物質層34の表面に、無機フィラー層が付与されている。かかる無機フィラー層は、上記水性組成物を正極活物質層表面に付与し、乾燥させることにより形成することができる。正極活物質の種類は特に制限されず、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質(例えば層状構造の酸化物やスピネル構造の酸化物)の一種または二種以上を使用することができる。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムマグネシウム系複合酸化物等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
ここで、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を、原子数換算でニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合(典型的にはニッケルよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。なお、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物およびリチウムマグネシウム系複合酸化物についても同様の意味である。
一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるオリビン型リン酸リチウムを上記正極活物質として用いてもよい。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。導電材は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
結着剤としては、例えば、水に溶解する水溶性ポリマーや、水に分散するポリマー、非水溶媒(有機溶媒)に溶解するポリマー等から適宜選択して用いることができる。また、一種のみを単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極集電体32には、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状のアルミニウム製の正極集電体32が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシートが好ましく使用され得る。
また、上記の負極活物質層44は、例えば、負極活物質を、結着剤(バインダ)等ともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(負極合材)を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
一態様では、負極活物質層44の表面に、無機フィラー層が付与されている。かかる無機フィラー層は、上記水性組成物を負極活物質層表面に付与し、乾燥させることにより形成することができる。負極活物質の種類は特に制限されず、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質の一種または二種以上を使用することができる。例えば、いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもの等のうち、いずれの炭素材料を使用してもよい。中でも特に、天然黒鉛等の黒鉛粒子を好ましく使用することができる。
結着剤には、上述の正極と同様のものを、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。結着剤の添加量は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。
負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。また、負極集電体42の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状の銅製の負極集電体42が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが5μm〜30μm程度の銅製シートが好ましく使用され得る。
上記非水電解液に含まれる支持塩としては、一般的なリチウムイオン二次電池に支持塩として用いられるリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解液は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7〜1.6mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1〜9>
全固形分を100部として、CMC(増粘剤)0.7部、アクリル樹脂(結着剤)2.6部、ポリアクリル酸ナトリウム(分散剤)0〜1.0部、および中心粒径0.2μmのチタニア(無機フィラー)95.7〜96.7部に、固形分濃度が45%となるように水を加え、振動式攪拌機(浅田鉄工株式会社製,型式「ペイントシェーカー」)を用いて混練して、例1〜9の各例に係る無機フィラー水性組成物を得た。各組成物につき、製造直後および製造から3日経過後において、市販のB型粘度計を用いて、25℃、60rpmの条件にて粘度(mPa・s)を測定した。分散剤添加量(使用量)と粘度との関係を表1および図4に示す。また、目視にて各組成物を観察したところ、分散剤量が0.2部未満(すなわち、固形分の0.2%未満)では、組成物のゲル化が認められた。
Figure 2012028255
<例10>
中心粒径0.2μmのチタニア(無機フィラー)97部、ポリアクリル酸ナトリウム(分散剤)1.0部、CMC(増粘剤)0.7部、およびアクリル樹脂(結着剤)1.3部に、固形分濃度が35%となるように水を加え、例1〜9と同じ振動式攪拌機を用いて混練して、本例に係る無機フィラー水性組成物を得た。
<例11〜13>
水の量を調節して固形分濃度をそれぞれ40%,45%,55%とした他は例10と同様にして、例11〜13の各例に係る無機フィラー水性組成物を得た。
例10〜13の各組成物につき、上記B型粘度計を用いて、上記と同様の条件にて製造直後の粘度(mPa・s)を求めた。これらの組成物の固形分濃度と粘度との関係を表2および図5に示す。
Figure 2012028255
<例14>
攪拌機(プライミクス社製、型式「T.K.AUTO MIXER 20」)に、水、CMC(第一工業製薬株式会社製、品番「BSH−6」)(増粘剤)0.7部、分散剤(東亞合成株式会社製、品番「T−50」)0.3部、中心粒径0.65μmのアルミナ99部の順に投入・攪拌して、本例に係る無機フィラー水性組成物(固形分濃度47%)を得た。
<例15>
攪拌機への投入順を水、分散剤、アルミナ、CMCの順に変更した他は例14と同様にして、本例に係る無機フィラー水性組成物を得た。
例14,15の各組成物につき、デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、型式「VHX−500F」)を用い、×200の倍率にて観察したところ、例14の組成物中には、最大で360μmの粒径を有する凝集物の存在が確認された。一方、例15の組成物中には、当該倍率において、凝集物の存在は確認されなかった。
表1および図4に示されるように、分散剤量が0.2質量%未満の無機フィラー水性組成物は、製造直後および製造から3日経過時(保存後)のいずれにおいても、粘度にばらつきがあり、保存後に粘度が増加する傾向が認められた。また、上述のとおり、組成物のゲル化が生じた。一方、分散剤量が0.2〜1.0質量%の無機フィラー水性組成物は、製造直後および保存後のいずれにおいても、概ね一定の粘度を示し、組成物のゲル化も起こらなかった。なお、分散剤の量を2.0部、無機フィラーの量を94.7部とした点以外は例1〜9と同様に無機フィラー水性組成物を製造したところ、製造直後の粘度は1230mPa・s、製造1日後の粘度は1500mPa・sであった。この結果から、分散剤の量を2.0部とした場合にも、製造直後および1日保存後のいずれにおいても概ね一定の粘度を示し、組成物のゲル化も起こらないことが確認された。
また、表2および図5から、固形分濃度が高くなるのに伴い、粘度が増加することが確認された。加えて、固形分濃度が35質量%以上で、低極性表面でもハジキの起こりにくい粘度、具体的には500mPa・s以上の粘度が実現されることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 車両
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
70 自公転遊星式攪拌機
72 攪拌容器
100 リチウムイオン二次電池

Claims (5)

  1. 水性溶媒に無機フィラーが分散しており、二次電池の構成部材に塗工して用いられるための水性組成物を製造する方法であって、無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒とを混練して前記水性組成物を調製することを含み、ここで、当該水性組成物の固形分濃度は35〜80質量%であり、前記分散剤の使用量は、固形分基準で、前記水性組成物に含まれる全固形分の0.2〜2.0質量%に相当する量である;
    を包含する、水性組成物製造方法。
  2. 前記無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒との混練は、まず前記無機フィラー、前記分散剤および前記水性溶媒を混練する第一混練段階と、その混練物に前記増粘剤を添加してさらに混練する第二混練段階とを含む、請求項1に記載の水性組成物製造方法。
  3. 前記無機フィラーと分散剤と増粘剤と水性溶媒との混練は、前記無機フィラーと前記分散剤と前記増粘剤と前記水性溶媒のうちの一部とを固形分濃度が70〜85質量%となるように混練する予備混練段階と、その予備混練物に前記水性溶媒の残部を添加して希釈することにより最終固形分濃度が35〜80質量%の水性組成物を形成する濃度調整段階とを含む、請求項1に記載の水性組成物製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法によって製造された水性組成物を前記部材に付与して形成された無機フィラー層を、正極、負極およびセパレータの少なくともいずれかの部材の少なくとも片面に備える、リチウムイオン二次電池。
  5. 請求項4に記載の電池を備える、車両。
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