JP2012011505A - 翼溝加工用クリスマスカッタ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のクリスマスカッタにおける波の深さの基準である荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向は、実際の切削方向とは異なる方向であるため、圧力面を切削する場合には仕上工程を含む後工程で用いられるクリスマスカッタでの切削量が相対的に増大し、精度的に重要な圧力面で十分な形状精度を得られなくなるといった問題があった。
【解決手段】刃部の先端からシャンク部側へ向かって、凸状部と凹状部を複数有するクリスマスツリー形状の外周切れ刃を有し、波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分において、前記波形切れ刃における波の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であることを特徴とする翼溝加工用クリスマスカッタである。
【選択図】図12

Description

本発明は、総形回転切削工具に係り、特にタービン翼をタービンの回転軸(ロータ)に取り付けるクリスマスツリー状の翼溝の荒加工を行うクリスマスカッタに関する。
発電所や排熱回収プラントではタービンが用いられる。このようなタービンのタービン翼を回転軸(ロータ)に取り付けるには翼溝の加工が必要である。図1はロータの回転軸の中心に向かって多数の逆クリスマスツリー状の翼溝をロータの外周部に設けるタイプの形状をもつ翼溝を示す図であり、図2はタービン翼根部においてロータの回転軸の中心に向かってクリスマスツリー状の翼溝を設けるタイプの形状を有した翼溝を示す図である。この翼溝の形状には、図1に示すようなロータ1の回転軸の中心に向かって多数の逆クリスマスツリー状の翼溝3をロータ1の外周部に設けるタイプの形状と、図2に示すようなタービン翼2のタービン翼根部15にロータ1の回転軸の中心に向かってクリスマスツリー状の翼溝を設けるタイプの形状とがある。本発明ではこの2つのタイプの翼溝を総称して翼溝という。図3は図1に示す翼溝の一つを拡大して示す断面図である。図3における斜線は断面を示す。ロータ1の翼溝3の中で、特にタービンの回転時の遠心力によって強い圧力のかかる部分である圧力面4は非常に高い形状精度に仕上げる必要がある部分である。
図3に示すように、タービン翼が取り付けられる回転軸の外周部における翼溝3は、翼溝中心線Oに対して逆クリスマスツリー状にロータの回転軸の中心に向かって左右対称に溝幅を徐々に減少しながら配置される。また、図2に示すようなタービン翼自体のタービン翼根部における翼溝3は、翼溝中心線に対してクリスマスツリー状にロータの回転軸の中心に向かって左右対称に溝幅を徐々に増加しながら配置される。図3で示すような前記翼溝3は溝幅が広い溝幅広部と、それぞれの溝幅広部とは相対的に溝幅が狭い幅狭部とが、交互に凹凸状に翼溝3の底からロータ1の外周部に向かって第1溝幅広部16、第1溝幅狭部19、第2溝幅広部17、第2溝幅狭部20、第3溝幅広部18、第3溝幅狭部21と形成されている。前記溝幅広部と前記溝幅狭部はそれぞれ通常2乃至4個の組合せが多い。
このような翼溝を切削する工具は、図4で示すような外周部にクリスマスツリー状の外周切れ刃28を有するいわゆるクリスマスカッタが使用される。クリスマスカッタは刃部5と柄部6を有し工具中心軸Lまわりに回転して前記外周切れ刃28で切削する総形切削工具の一種である。切削すべき翼溝は前述のように幅広部と幅狭部を繰り返して有する形状なので、それに対応するクリスマスカッタも、外周切れ刃はクリスマスツリー状の翼溝における溝幅の変化に対応して工具先端から第1幅広部22、第1幅狭部25、第2幅広部23、第2幅狭部26、第3幅広部24、第3幅狭部27と刃先径が増減してくびれ、工具柄部側ほど大径となっている。クリスマスカッタはこのようにくびれを有しているので折損の危険性が高いうえに、複雑な翼溝を切削加工する必要があることから、翼溝の加工は1乃至3工程からなる荒加工と、それに続く仕上加工の工程からなるのが普通である。
図5は波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタによる翼溝の切削加工を示す図である。図5における斜線は断面を示す。荒加工用クリスマスカッタを用いてロータ1を切削する場合は、図5に示すように荒加工用クリスマスカッタが工具中心軸Lまわりに回転して切削を行う。図6は図5における第1幅広部付近の領域Aの拡大図である。図6における間隔が大きく描かれた斜線は断面を示す。波形切れ刃9の形状は図6で示すように、仕上加工で必要な翼溝の形状7に対し、図6において間隔が小さく描かれた斜線である後工程での取り代10を設けた翼溝の形状を荒加工用クリスマスカッタの基準形状である荒加工基準形状8とし、前記荒加工基準形状8に波形切れ刃9の凸部が接するように形成される。本発明は、このような工具の径寸法が波形に変化して前記波形の凸部が荒加工基準形状に接する荒加工用波形切れ刃を有する翼溝加工用クリスマスカッタに関する発明である。
波形切れ刃を有する総形フライスの従来技術としては特許文献1のように、波形切れ刃は凸略円弧と凹略円弧の連続した波形状として、波形切れ刃の凹凸の差(波の深さ)は隣接する波形切れ刃凸部頂点の間隔の0.01倍乃至0.8倍、及び/または凸略円弧の半径は該間隔の0.2倍乃至5倍の値で設けたことを特徴とする総形フライスが提案されている。なお、特許文献1に記載されている総形フライスの波形切れ刃は1刃と次刃とでは荒加工基準形状に沿ってずれて配置されている。
特許文献2には、外周刃の外径寸法Dが連続的に変化している波形切れ刃の凸部頂点の間隔、深さ、および凸部凹部の曲率半径のうち少なくとも一つが、該波形状の凸側の包絡線の回転軌跡で表される外径寸法Dの変化に対応して、前記外径寸法Dが大きくなるほど大きくなるように変化していることを特徴とする回転切削工具が開示されている。
特開2001−246514号公報 特開2002−233909号公報
図11は波形切れ刃を有するクリスマスカッタの外周刃において、波形切れ刃の凸部、波形切れ刃の凹部、波のピッチ、波の高さを示した図である。波形切れ刃を有するクリスマスカッタの外周刃においては、図11に示すように、波の深さH´(荒加工基準形状8と波形切れ刃の凹部の包絡線13との間隔)、波のピッチP(波形切れ刃の凸部32と荒加工基準形状の接点とその隣の波形切れ刃の凸部32との荒加工基準形状に沿った間隔)、波形を構成する波形切れ刃における凸部の曲率半径R1、波形切れ刃における凹部の最小曲率半径R2、および波形切れ刃の凸部と凹部を滑らかにつなぐための形状が重要である。ここで、波形切れ刃の凸部と凹部を滑らかにつなぐための形状は、直線や円弧またはそれらを複数用いた形状をいう。この直線や円弧の接線が工具中心軸に直交する平面となす角度をθとする。従来の波形切れ刃の設計方法は上記の特許文献の例でも分かるように、波の深さは、荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向で規定され、設計されてきた。これはテーパラフィングエンドミルに設けられた波形切れ刃の波の深さが傾斜に対して直交する方向であったことから、この考えを踏襲して荒加工基準形状の一部がテーパであるクリスマスカッタの波形切れ刃も適用させたためである。
従来における波の深さの基準である荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向は、工具中心軸と直交する方向である実際の切削方向とは異なる方向であるため、従来のクリスマスカッタでは荒加工基準形状の傾斜によっては過大な波の深さを有する波形切れ刃を設けることとなる。図7は図5に示す翼溝の切削加工におけるクリスマスカッタの回転軌跡を示す図である。図8は図7における圧力面付近の領域Bの拡大図である。図5に示すような形状のクリスマスカッタを用いて切削加工をすると、例えば図8で示すように、従来のクリスマスカッタの波形切れ刃は、過大な波の深さを有する波形切れ刃であるため、1刃の波形切れ刃の回転軌跡11と次刃の波形切れ刃の回転軌跡12の交点となる回転軌跡の交点14が荒加工基準形状8から離れており、図7で示すように特に傾斜が急である圧力面4を切削する場合には削り残し量が増大するので、仕上工程を含む後工程での切削量が相対的に増大し、仕上工程を含む後工程で用いられるクリスマスカッタの切削負荷が増加する。また精度的に重要な圧力面で十分な形状精度を得られなくなるといった問題があった。
また、荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向に波形切れ刃の深さを設けるのであれば、前記波形切れ刃の荒加工基準形状の傾斜によっては過大な波の深さを有する波形切れ刃を設けることとなり、過大な波の深さを有する波形切れ刃を得るために、波形切れ刃を構成する他の要素である波のピッチ、波形を構成する凸部の曲率半径、凹部の曲率半径、および波形切れ刃の凸部と凹部をつなぐ形状を所定の形状で波の形状を滑らかに構成することができないという問題もあった。
本発明は以上のような従来技術の課題を解決するためになされたもので、前記波形切れ刃の波の深さを切削方向と同じ方向になるように設計し、波形切れ刃を構成する他の要素である波のピッチ、波形を構成する凸部の曲率半径、凹部の曲率半径、および波形切れ刃の凸部と凹部をつなぐ形状を最適な大きさに設計し、波形切れ刃を構成するようにした荒加工に用いられる翼溝加工用クリスマスカッタを提供するものである。
仕上加工工程の前に複数の荒加工工程を行なう場合には、前記複数の荒加工工程を、大荒加工や、それに続く荒加工または中仕上げ加工などという呼び方もあるが、本発明では波形切れ刃を有するクリスマスカッタでの加工をすべて荒加工という。荒加工用のクリスマスカッタの切れ刃は先端部の底刃と外周切れ刃からなる。前記外周切れ刃はその長さの大きな割合が波形切れ刃となっている。
前述した従来技術の課題を達成するために、本発明の波形切れ刃の部分は、波形切れ刃の深さを工具中心軸に直交する方向で規定して設計し、前記クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分における前記波形切れ刃の波の深さを0.1mm以上0.2mm以下の範囲内となるようにした翼溝加工用クリスマスカッタである。本発明は波形切れ刃における波の深さが小さくなり、過大な波の深さを有する波形切れ刃が形成されることを抑制したものである。
すなわち第1の本発明は、刃部の先端からシャンク部側へ向かって、凸状部と凹状部を複数有するクリスマスツリー形状の外周切れ刃を有し、前記外周切れ刃には1刃と次刃とで前記クリスマスツリー形状に沿って波形がずれた波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタであって、前記クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分において、前記波形切れ刃における波の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であることを特徴とする翼溝加工用クリスマスカッタである。
第1の本発明においては、工具中心軸を含む工具の長手方向で切断し、クリスマスカッタの断面を見たときに、荒加工基準形状が工具中心軸に対し60°以上の急傾斜で工具中心軸に傾いている部分を対象にしていることを特徴としている。その急傾斜部分の波の深さが、工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であり、従来技術のように荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向を基準にして設計されてきたクリスマスカッタと比較すると極めて浅い波の深さであることが本発明の特徴である。
また第2の本発明は、刃部の先端からシャンク部側へ向かって、凸状部と凹状部を複数有するクリスマスツリー形状の外周切れ刃を有し、前記外周切れ刃には1刃と次刃とで前記クリスマスツリー形状に沿って波形がずれた波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタであって、クリスマスツリー形状の外周切れ刃に配置された波形切れ刃の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であることを特徴とする翼溝加工用クリスマスカッタである。第2の本発明においては、波形切れ刃における波の深さが工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内である領域が、波形切れ刃の全域であることを特徴とする。
本発明によれば、工具中心軸と直交する方向を基準にして波の深さが設けられた波形切れ刃が形成されているので、前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面と成す角度が0度に近い程、従来のような荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向とした時の波形状の深さに換算すると、その値は小さくなる。そのために本発明の翼溝加工用クリスマスカッタでは、下記のような発明の効果が生じる。
本発明によれば、波形切れ刃を構成する波のピッチ、波形を構成する波形切れ刃の凸部の曲率半径、波形切れ刃の凹部の曲率半径、および波形切れ刃の凸部と凹部をつなぐ形状を、荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向で波の深さを決める従来の方法よりも波形切れ刃の形状を自由に構成することが可能となる。これにより、波形切れ刃の凸部への切削抵抗の集中を防ぎ耐チッピング性が向上するため、加工能率の大幅な向上が可能となる。さらにクリスマスカッタの製造時には、砥石の先端曲率半径Rwを大きくすることができるため砥石の摩耗が低減する。
本発明の翼溝加工用クリスマスカッタは、波形切れ刃の刃の長さが全体として減るので、切れ刃を形成する研削時間が短縮されると共に、研削砥石の摩耗を減らすことができる。
また、前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面と成す角度が小さい程、波形切れ刃における波の深さが浅くなることで、仕上げ寸法に対する荒加工での切削量が増加し、1回目の荒加工以降の加工における切削量が相対的に減少し、1回目の荒加工以降における切削負荷が低減され、大幅に加工能率が向上できる。
更に前述した理由により本発明の切削負荷が低減されるため、翼溝加工で発生する溝形状がアップカット側に傾くことを抑制でき、特に圧力面での高い形状精度の翼溝を得ることができるようになる。
ロータの回転軸の中心に向かって多数の逆クリスマスツリー状の翼溝をロータの外周部に設けるタイプの形状をもつ翼溝を示す図である。 タービン翼根部においてロータの回転軸の中心に向かってクリスマスツリー状の翼溝を設けるタイプの形状を有した翼溝を示す図である。 図1に示す翼溝の一つを拡大して示す断面図である。 本発明の一実施例であるクリスマスカッタの正面図である。 波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタによる翼溝の切削加工を示す図である。 図5における第1幅広部付近の領域Aの拡大図である。 図5に示す翼溝の切削加工におけるクリスマスカッタの回転軌跡を示す図である。 図7における圧力面付近の領域Bの拡大図である。 従来波形状である波形切れ刃が滑らかに繋がらないことを示す図である。 図10は波形状を自由に構成できる例として波形切れ刃の凸部の曲率半径を大きくした波形切れ刃を示す図である。 波形切れ刃を有するクリスマスカッタの外周刃において、波形切れ刃の凸部、波形切れ刃の凹部、波のピッチ、波の高さを示した図である。 図4に示す本発明のクリスマスカッタの切り屑排出溝側から見た波形切れ刃の拡大図である。 従来のクリスマスカッタの切り屑排出溝側から見た波形切れ刃の拡大図である。 翼溝の切削加工におけるクリスマスカッタの回転軌跡を示す図である。 従来のクリスマスカッタにおける図14に示した非圧力面加工部付近の領域a、幅広部付近の領域b及び圧力面加工部付近の領域cの拡大図である。 本発明のクリスマスカッタにおける図14に示した非圧力面加工部付近の領域a、幅広部付近の領域b及び圧力面加工部付近の領域cの拡大図である。 荒加工用クリスマスカッタの製造時における波形切れ刃に対する砥石の当たり方を模式的に示した図である。
本発明のクリスマスカッタの最も基本的な構成を図4で説明する。図4は本発明の一実施例であるクリスマスカッタの正面図である。図12は、図4に示す本発明のクリスマスカッタの切り屑排出溝側から見た波形切れ刃の拡大図である。
図4に示す本発明のクリスマスカッタは刃部5と柄部6を有し、刃部の形状は複数の幅広部と幅狭部が連続して形成されており、工具先端から第1幅広部22、圧力面加工部29、第1幅狭部25、非圧力面加工部30、第2幅広部23、圧力面加工部29、第2幅狭部26、非圧力面加工部30、第3幅広部24、圧力面加工部29、第3幅狭部27と連続して形成され、さらに刃先径が増減してくびれ、工具の柄部側ほど大径となっているクリスマスツリー形状であって、前記ツリー形状に沿って外周切れ刃28が複数設けられている。前記外周切れ刃28はその長さの大きな割合が波形切れ刃9となっており、1刃と次刃とで荒加工基準形状に沿って波形状がずれているように形成されている。前記外周切れ刃28の数は切り屑排出溝31の広さを考慮し、翼溝の1回目の荒加工に用いるなら2枚刃もしくは3枚刃、2回目以降の荒加工に用いるならば3枚刃もしくは4枚刃が好ましい。
図4に示す本発明のクリスマスカッタにおいて、前記外周切れ刃28は工具中心軸Lに対してねじれるように形成されており、前記外周切れ刃28に隣接する形で切り屑排出溝31が外周切れ刃28と同数だけ設けられている。また外周切れ刃28の外周面には、工具回転方向後方に向かうにつれて外周面から工具中心軸Lまでの距離が漸次短くなっていくように逃げ面が形成されている。
外周切れ刃に波形切れ刃を設けることが荒加工に適するというのは、主に二つの効果によるものである。その一つは波形切れ刃の凹部が非切削部となりチップブレーカーとして働くことで切り屑を分断し、切り屑排出性を高める効果がある。もう一つの効果は、切削部が山の部分のみとなることで切削量が減少するために1刃にかかる切削抵抗が低減し、その分だけ送り速度を上げることができるためである。ただし、波形切れ刃の凸部には強い切削負荷がかかるため、チッピングが発生しやすい。
以上を踏まえて、波形切れ刃の形状の設計を見直し、特に本発明では波の深さに着目した。図13は従来のクリスマスカッタの切り屑排出溝側から見た波形切れ刃の拡大図である。従来からの設計では、図13に示すように波形切れ刃9を有するクリスマスカッタにおける波の深さは、荒加工基準形状8と波形切れ刃の凹部の包絡線13の間隔を、荒加工基準形状8の傾斜に対して直交する方向で測定したときの波の深さである、荒加工基準形状に対して直交する方向の波の深さH´としてきた。図13における全ての場所において前記波の深さH´の値は一定である。しかし実際の使用状況を考慮した場合、必要な波の深さは、切れ刃が切り込む方向である切削方向に適正な量を確保している必要があると考えた。そのために、本発明では図12に示すように、本発明のクリスマスカッタにおける波の深さは、荒加工基準形状8と波形切れ刃の凹部の包絡線13の間隔を、工具中心軸Lに対して直交する方向で測定したときの波の深さである、工具中心軸Lに対して直交する方向の波の深さHとする。さらに、図12及び図13において、工具中心軸に直交する平面Sと、波形切れ刃の凹部から始まり波形切れ刃の凸部までに至る直線を延長させた延長線Cとのなす角度のうち、最小となる角度を凸部と凹部のつなぎ部の最小角度θとした。
図14は翼溝の切削加工におけるクリスマスカッタの回転軌跡を示す図である。非圧力面加工部付近の領域aは非圧力面加工部30において任意に選ばれる領域を示す。幅広部付近の領域bは第1幅広部22、第2幅広部23、第3幅広部24のいずれかにおいて任意に選ばれる領域を示す。圧力面加工部付近の領域cは圧力面加工部29において任意に選ばれる領域を示す。図15は従来のクリスマスカッタにおける図14に示した非圧力面加工部付近の領域a、幅広部付近の領域b及び圧力面加工部付近の領域cの拡大図である。図16は本発明のクリスマスカッタにおける図14に示した非圧力面加工部付近の領域a、幅広部付近の領域b及び圧力面加工部付近の領域cの拡大図である。
図15及び図16に示すように、波の深さ方向が変わることによって特に圧力面加工部付近の領域cでは波形切れ刃9の傾斜が大きいため、本発明のクリスマスカッタでは波の形状が大きく変わることとなる。なお本明細書において、従来からあった波の深さが「荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向」で一定となるように非圧力面加工部における従来波形状の深さH´a、幅広部の頂における従来波形状の深さH´b及び圧力面加工部における従来波形状の深さH´cなどの荒加工基準形状に対して直交する方向の波の深さH´を設計した波形状を「従来波形状」ともいうこととする。さらに、本発明の特長である波の深さが「工具中心軸に対して直交する方向」で一定となるように非圧力面加工部における本発明波形状の深さHa、幅広部の頂における本発明波形状の深さHb及び圧力面加工部における本発明波形状の深さHcなどの工具中心軸Lに対して直交する方向の波の深さHを設計した波形状を「本発明波形状」ともいうこととする。
なお、図16のように、第1幅広部22、第2幅広部23、第3幅広部24、全ての圧力面加工部29及び全ての非圧力面加工部30における工具中心軸Lに対して直交する方向の波の深さHを等しくすることにより、本発明の効果をさらに向上させることが可能となる。
本発明の翼溝加工用クリスマスカッタは、クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分において、前記波形切れ刃における波の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内で設定する。これは、波の深さが工具中心軸に対して直交する方向で0.1mm未満となる場合、特に圧力面加工部のようなクリスマスカッタの工具中心軸に対して直交する平面と成す角度が0度を超えて30度以下となる部分では、1つの波形切れ刃の凸部での切削幅が大きくなり、最悪の場合には切屑が分断できなくなってしまうからである。また、波形切れ刃の波の深さが工具中心軸に対して直交する方向で0.2mmを超えた場合、従来の荒加工基準形状に対して直交する方向に波形切れ刃の波の深さを設けた時と同様に過大な波の深さを持った波形切れ刃を形成することになり、本発明が目的とする必要な効果を十分発揮することができないためである。
なお、本発明において、波形切れ刃の全体で波の深さを工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内で設定することが望ましい。これにより、本発明の効果をさらに向上させることが可能となる。
図17は荒加工用クリスマスカッタの製造時における波形切れ刃に対する砥石の当たり方を模式的に示した図である。図17における砥石34は研削加工に関わる部分のみを図示している。砥石34は波形切れ刃9の形状に沿って左から右へ移動し、波形切れ刃9の研削加工を行う。波形切れ刃の凹部の最小曲率半径R2は波形状を滑らかに形成できる範囲で大きく設定することが望ましい。これは、波形切れ刃を研削する砥石34の凸となっている砥石の先端曲率半径Rwの大きい方が加工能率は高く、砥石の磨耗が少ないためであるが、図17で示すように波形切れ刃9を研削する時に使用する砥石34の凸となっている砥石の先端曲率半径Rwは波形切れ刃9の凹部の最小曲率半径R2よりも小さくなければ所定の波形切れ刃9を形成できないために波形切れ刃9の凹部の最小曲率半径R2によって使用できる砥石34の凸となっている砥石の先端曲率半径Rwは限られてしまう。
図10は波形状を自由に構成できる例として波形切れ刃の凸部の曲率半径を大きくした波形切れ刃を示す図である。図10に示す波形切れ刃の凸部の曲率半径R1は図9や図12における凸部の曲率半径R1よりも大きくなるように設計されている。このような波形切れ刃9は波形切れ刃の凸部32に切削抵抗が集中するのを防ぎ、耐チッピング性が向上する。しかし、前記凸部の曲率半径R1が1.0mmを超えた場合には前述した波形切れ刃の効果が出なくなる。また、前記凸部の曲率半径R1が0.3mm未満であればチッピングの危険性が増大する。よって波形切れ刃の凸部の曲率半径R1は波形状を滑らかに形成でき、なおかつ0.3mm以上1.0mm以下の範囲内で設定することが望ましい。
波のピッチPは波形状を滑らかに形成でき、かつ前記ピッチPを波形切れ刃の刃数で除算した時の値が0.3mm以上0.5mm以下の範囲内で設定することが望ましい。前記ピッチPを波形切れ刃の刃数で除算した時の値が0.5mmを超えると波形切れ刃の隣り合う波形切れ刃の凸部の間隔が開きすぎてしまい、1つの波形切れ刃の凸部に切削負荷が集中し、摩耗が局部的に大きくなる。また、前記ピッチPを波形切れ刃の数で除算した時の値が0.3mm未満であれば、隣り合う波形切れ刃の凸部の間隔が狭すぎて、波形状を滑らかに形成することができなくなってしまう。
図9は従来波形状である波形切れ刃が滑らかに繋がらないことを示す図である。図9で示すように、従来波形状において荒加工基準形状に対して直交する方向の波の深さH´を一定となるように設計した場合、波形状を滑らかに形成できず、滑らかに繋がらない部分35が生じてしまう。このように従来では過大な波形切れ刃9の波の深さを得ようとするために、他の波形状を構成する要素である波のピッチ、波形を構成する波形切れ刃の凸部の曲率半径、波形切れ刃の凹部の曲率半径、および波形切れ刃の凸部と凹部をつなぐ形状を適切に設定できず、所定波形状で滑らかに構成することができなかった。これは前記クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度に近いほどその傾向にあった。そのために第1の本発明では前記クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分における工具中心軸Lに対して直交する方向の波の深さHを0.1mm以上0.2mm以下の範囲内となるように設けた。
本発明は研削負荷の大きい超硬合金といった硬質材料をクリスマスカッタの波形切れ刃の母材に使用するときに顕著な効果として発揮される。ただし、本発明の効果は従来から使用されている溶製高速度工具鋼や粉末高速度工具鋼が母材である場合にも大きな効果がでるので、クリスマスカッタの母材を限定するものではない。
以下、本発明を下記の実施例により詳細に説明するが、それらにより本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は本発明の翼溝加工用クリスマスカッタの設計と製造に関する実施例である。製造した本発明例、比較例及び従来例の翼溝加工用クリスマスカッタは、カッタ先端よりカッタの第1幅広部の最大刃径が18mm、カッタの第2幅広部の最大刃径が26mm、カッタの第3幅広部の最大刃径が35mm、カッタの第1幅狭部の最大刃径が8mm、カッタの第2幅狭部の最大刃径が16mm、カッタの第3幅狭部の最大刃径が23mm、刃長を約56mm、工具軸に直交する方向を0度としたとき圧力面加工部の傾斜は16度とし、カッタの第1幅狭部の最大刃径とカッタの第3幅広部の最大刃径との比が4.4倍、刃数が3枚のものを製造した。
実施例1にて製造したクリスマスカッタのうち、本発明例1乃至8、比較例1乃至4及び従来例1乃至3は超硬合金製である。また、本発明例9は溶製高速度工具鋼製であり、本発明例10は粉末高速度工具鋼製である。
外周切れ刃はその長さの大きな割合が波形切れ刃となっており、表1に示す波形切れ刃の仕様となる本発明の翼溝加工用クリスマスカッタと、比較例として本発明の構成要件から少し外れるクリスマスカッタを製造した。従来例としては、クリスマスカッタの荒加工基準形状は本発明と同じであるが、波形切れ刃の深さは荒加工基準形状の傾斜に対して直交する方向で一定となるように設けたクリスマスカッタを製造した。ただし、従来波形状では一部波形状を滑らかに繋ぐことができないため、圧力面加工部に限り波のピッチを大きくしている。本発明例、比較例及び従来例のクリスマスカッタの仕様として、工具中心軸に対して直行する方向における波の深さ、荒加工基準形状に対して直行する方向における波の深さ、波のピッチP、凸部の曲率半径R1、波形切れ刃の凹部における最小の曲率半径である凹部の最小曲率半径R2、及び凸部と凹部のつなぎ部の最小角度θを、それぞれの本発明例、比較例及び従来例について表1に示す。
Figure 2012011505







本発明例1乃至10では従来例と比較し、それぞれ波のピッチを小さくし、波形切れ刃の凸部の曲率半径を大きくし、なおかつ波形切れ刃の凹部の最小曲率半径を大きくしたが全ての波形切れ刃を滑らかに形成することができた。
しかし、従来波形状である荒加工基準形状に対して直行する方向における波の深さが一定となるように設計を行った従来例1乃至3は、本発明例1乃至10とは異なり、全ての波形切れ刃を滑らかに形成することができなかった。従来例1は凸部と凹部のつなぎ部の最小角度θが非常に小さくなり、圧力面を切削する場合には削り残し量が増大する可能性が高い形状となった。従来例2及び3は、圧力面加工部における波のピッチが非常に大きくなり、圧力面を切削する場合には削り残し量が増大する可能性が高い形状となった。
なお、以下の実施例2乃至5は図1で示した様なタービンのロータに翼溝を加工するクリスマスカッタの実施例であるが、タービン翼根部に翼溝を加工するクリスマスカッタにも適用し得る。
(実施例2)
本発明例1乃至8、比較例1乃至4及び従来例1乃至3において、加工能率を把握するため、切削加工が可能な送り速度の限界値を切削試験により調査した。クリスマスカッタにおける切削加工は、クリスマスカッタのツリー形状を被削材に転写させることから、工具軸方向の切り込み量を変化させることが出来ないため、クリスマスカッタにおける加工能率は送り速度によって決定される。
本発明例、従来例、比較例のいずれにおいても、切削加工を行う被削材はSUS420(Crを約13質量%含むステンレス鋼)とし、形状は幅が80mm、奥行きが100mm、高さが100mmの直方体とした。本発明例1乃至8、比較例1乃至4及び従来例1乃至3は回転数が730回/minとした。
試験方法は始めに5m/minの送り速度で被削材に切削加工を行い、クリスマスカッタのツリー形状の溝を設けた。試験中にはクリスマスカッタの状態を観察し、切削加工時にビビリ振動や過大な切削音が発生せず、なおかつ切削終了後にクリスマスカッタの波形切れ刃を光学式顕微鏡で観察したときに、波形切れ刃にチッピングや異常摩耗が発生していなかった場合は、送り速度を5m/min増加させ、切削加工におけるビビリ振動や過大な切削音もしくは波形切れ刃のチッピングや異常摩耗が発生するまで同様の試験を行った。
評価基準としては、切削加工におけるビビリ振動や過大な切削音もしくは波形切れ刃のチッピングや異常摩耗が発生しなかったときの最も高い送り速度を送り速度限界値とし、送り速度限界値を30m/min以上となるものを良好とした。結果を表2に示す。
Figure 2012011505













表2に示すように、本発明例1乃至8は送り速度限界値が30m/minであり、良好な結果を示した。特に全体の波形切れ刃における波の深さが工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下である本発明例4乃至8は送り速度限界値が35m/min以上であり、非常に良好な結果を示した。
比較例3及び4は圧力面加工部における本発明波形状の深さHcが工具中心軸に直交する方向に0.05mmであることから、送り速度が増加するに従い、切屑を分断する効果が低くなってしまったため、送り速度限界値は比較例3が20m/min、比較例4が15m/minであった。
比較例1及び2は圧力面加工部における本発明波形状の深さHcが工具中心軸に直交する方向に0.25mmであることから、従来例1乃至3と同様に、波形切れ刃の圧力面において過大な波の深さを有しているため、切削抵抗が増大し、送り速度限界値は比較例1が20m/min、比較例2が25m/minであった。
(実施例3)
次に、本発明のクリスマスカッタを用いて荒加工用を行った後の、仕上げ用クリスマスカッタを用いて仕上げ加工を行ったときにおける、翼溝の形状精度の改善について調査を行った。
荒加工用のクリスマスカッタとしては、それぞれの切削試験において本発明例1乃至10、比較例1乃至4及び従来例1乃至3を用いた。
本発明例1乃至10、比較例1乃至4及び従来例1乃至3を用いて荒加工を行った後は、仕上げ用クリスマスカッタを用いて仕上げ加工を行った。仕上げ用クリスマスカッタは、母材が超硬合金であり、カッタ先端よりカッタの第1幅広部の最大刃径が19mm、カッタの第2幅広部の最大刃径が27mm、カッタの第3幅広部の最大刃径が36mm、カッタの第1幅狭部の最大刃径が9mm、カッタの第2幅狭部の最大刃径が17mm、カッタの第3幅狭部の最大刃径が24mm、刃長を約56mm、圧力面加工部の傾斜は工具軸に直交する方向を0度としたとき、16度とし、カッタの第1幅狭部の最大刃径とカッタの第3幅広部の最大刃径との比が4倍、刃数が4枚のものを使用した。
試験方法は本発明例1乃至10、比較例1乃至4及び従来例1乃至3を用いて荒加工用を行い、仕上げ用クリスマスカッタを用いて仕上げ加工を行った。荒加工用のクリスマスカッタの切削条件としては本発明例1乃至8、比較例1乃至4及び従来例1乃至3は回転数が730回/min、送り速度が20m/minとした。また、本発明例9は溶製高速度工具鋼製であり本発明例10は粉末高速度工具鋼製であるため、回転数及び送り速度を下げ、回転数が250回/min、送り速度が10m/minとした。また、仕上げ用クリスマスカッタの切削条件としては回転数が500回/min、送り速度が25m/minとした。次に仕上げ加工が終了した被削材に設けられた翼溝の形状精度を確認する手段として、2種類のゲージを用いた。2種類のゲージとは通りゲージと止りゲージである。
通りゲージは切削加工により形成したい翼溝の大きさに対し、最小公差となる形状で作製されており、通りゲージが仕上げ加工後の翼溝に抵抗無く差込まれることにより、仕上げ加工後の翼溝が最小公差となる大きさよりも大きな形状で形成されたことが確認できる。しかし、通りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込むことが出来ない場合は、仕上げ加工後の翼溝が曲がっているもしくは仕上げ加工後の翼溝が最小公差となる形状よりも小さな形状で形成されたことになり、形成された翼溝は不良と判断される。
また、止りゲージは切削加工により形成したい翼溝の大きさに対し、最大公差となる形状で作製されており、止りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込むことが出来ないということにより、仕上げ加工後の翼溝が最大公差となる大きさよりも小さな形状で形成されたことが確認できる。しかし、止りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込むことが出来る場合は、仕上げ加工後の翼溝が曲がっているもしくは仕上げ加工後の翼溝が最大公差となる形状よりも大きな形状で形成されたことになり、形成された翼溝は不良と判断される。
評価基準としては、通りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み可能であり、なおかつ止りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み不可能であったものを良好とした。結果を表3に示す。
Figure 2012011505















表3に示すように、本発明例1乃至10により荒加工を行い、仕上げ用クリスマスカッタを用いて仕上げ加工を行った翼溝は、通りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み可能であり、なおかつ止りゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み不可能であったため、良好であった。
従来例1及び2は、通りゲージと止りゲージの両方のゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み不可能であった。これは荒加工の時点で翼溝が曲がってしまい、それが仕上げ加工においても、翼溝の曲がりが改善されなかったためだと考えられる。
また、従来例3及び比較例1乃至4は、通りゲージと止りゲージの両方のゲージが仕上げ加工後の翼溝に差込み可能であった。これは荒加工の時点でビビリ振動が発生し、翼溝が最大公差となる形状よりも大きくなってしまったためだと考えられる。
(実施例4)
本発明例6及び従来例1の製造時において、波形切れ刃を形成する研削時間と砥石の交換までの加工本数との比較を行った。
比較方法はクリスマスカッタの波形切れ刃をならい研削盤を用いて研削砥石で研削し、波形切れ刃を形成する研削時間と、砥石の交換までの加工本数を計測することで行った。
評価基準としては、波形切れ刃を形成する研削時間が250分以下であり、さらに砥石の交換までの加工本数も20本以上であったものを良好とした。結果を表4に示す。
Figure 2012011505



表4に示すように、本発明例6のクリスマスカッタでは波形切れ刃を形成する研削時間が250分以下であり、さらに砥石の交換までの加工本数も20本以上であったため良好であった。これは波形切れ刃の長さが減り、クリスマスカッタ1本当たりの研削砥石の摩耗を減らすことができたためだと考えられる。
これに対して従来例1のクリスマスカッタでは波形切れ刃を形成する研削時間が290分であり、砥石の交換までの加工本数も16本であった。これは波形切れ刃が長いためだと考えられる。
(実施例5)
本発明例7乃至8及び従来例2乃至3の製造時において、砥石の交換までのクリスマスカッタの加工本数の比較を行った。
比較方法はクリスマスカッタの波形切れ刃をならい研削盤を用いて研削砥石で研削し、砥石の交換までの加工本数を計測することで行った。使用する研削砥石における砥石の先端曲率半径Rwは波形切れ刃の凹部の最小曲率半径R2より0.1mm小さい研削砥石を選定した。
評価基準としては、砥石の交換までの加工本数が20本以上であったものを良好とした。結果を表5に示す。
Figure 2012011505



本発明例7及び8は砥石の交換までの加工本数が20本以上であり、良好な結果を示した。これは本発明例7及び8は、全ての波形切れ刃を滑らかに形成しながらも、波形切れ刃の凹部の最小曲率半径R2を大きくすることができた。そのため、砥石の先端曲率半径Rwが大きい研削砥石を使用することができ、砥石の摩耗が低減したと考えられる。
これに対し、従来例2は砥石の交換までの加工本数が14本であり、従来例3は砥石の交換までの加工本数が12本であった。これは従来例2及び3は、波形切れ刃の凹部の最小曲率半径R2を小さく設計したことから、小さい砥石の先端曲率半径Rwを有する砥石を使用せざるを得ず、砥石の摩耗が早期に進行したと考えられる。
本発明のクリスマスカッタは、波形切れ刃の形状を従来のものより自由に構成し、波形の深さも浅くできるので、波形切れ刃を形成するときの研削が容易になり、研削時間が短縮され、研削砥石の摩耗を減らすこともできる。また、本発明の波形切れ刃は切削能率が上がると共に、重要な部分である圧力面加工時の精度も向上する。これらの発明の効果から、本発明はクリスマスカッタを製造する企業、そのカッタを使ってタービン回転軸やタービン翼を加工する企業にとって大幅な合理化が計れる切削工具を提供できるものである。
1 ロータ
2 タービン翼
3 翼溝
4 圧力面
5 刃部
6 柄部
7 仕上加工で必要な翼溝の形状
8 荒加工基準形状
9 波形切れ刃
10 取り代
11 1刃の波形切れ刃の回転軌跡
12 次刃の波形切れ刃の回転軌跡
13 波形切れ刃の凹部の包絡線
14 回転軌跡の交点
15 タービン翼根部
16 第1溝幅広部
17 第2溝幅広部
18 第3溝幅広部
19 第1溝幅狭部
20 第2溝幅狭部
21 第3溝幅狭部
22 第1幅広部
23 第2幅広部
24 第3幅広部
25 第1幅狭部
26 第2幅狭部
27 第3幅狭部
28 外周切れ刃
29 圧力面加工部
30 非圧力面加工部
31 切り屑排出溝
32 波形切れ刃の凸部
33 波形切れ刃の凹部
34 砥石
35 滑らかに繋がらない部分
O 翼溝中心線
L 工具中心軸
S 工具中心軸に直交する平面
P 波のピッチ
θ 凸部と凹部のつなぎ部の最小角度
A 第1幅広部付近の領域
B 圧力面付近の領域
C 延長線
a 非圧力面加工部付近の領域
b 幅広部付近の領域
c 圧力面加工部付近の領域
H 工具中心軸Lに対して直交する方向の波の深さ
Ha 非圧力面加工部における本発明波形状の深さ
Hb 幅広部の頂における本発明波形状の深さ
Hc 圧力面加工部における本発明波形状の深さ
H´ 荒加工基準形状に対して直交する方向の波の深さ
H´a 非圧力面加工部における従来波形状の深さ
H´b 幅広部の頂における従来波形状の深さ
H´c 圧力面加工部における従来波形状の深さ
R1 凸部の曲率半径
R2 凹部の最小曲率半径
Rw 砥石の先端曲率半径

Claims (2)

  1. 刃部の先端からシャンク部側へ向かって、凸状部と凹状部を複数有するクリスマスツリー形状の外周切れ刃を有し、前記外周切れ刃には1刃と次刃とで前記クリスマスツリー形状に沿って波形がずれた波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタであって、前記クリスマスカッタの荒加工基準形状における接線が前記クリスマスカッタの工具中心軸と直交する平面に対して0度を超えて30度以下で傾斜する部分において、前記波形切れ刃における波の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であることを特徴とする翼溝加工用クリスマスカッタ。
  2. 刃部の先端からシャンク部側へ向かって、凸状部と凹状部を複数有するクリスマスツリー形状の外周切れ刃を有し、前記外周切れ刃には1刃と次刃とで前記クリスマスツリー形状に沿って波形がずれた波形切れ刃を設けた荒加工用クリスマスカッタであって、クリスマスツリー形状の外周切れ刃に配置された波形切れ刃における波の深さは工具中心軸に直交する方向に0.1mm以上0.2mm以下の範囲内であることを特徴とする翼溝加工用クリスマスカッタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109047870A (zh) * 2018-07-26 2018-12-21 沈阳透平机械股份有限公司 透平轴流膨胀机转子主轴的枞树槽加工方法

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