JP2012007559A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピニオン6は、このピニオン6の回転力をリングギヤ23に伝達するとき、並びに、リングギヤ23が停止する直前の状態、およびリングギヤ23が停止している状態の何れか一方の状態のとき、リングギヤ23とピニオン6との噛合抵抗が、押圧力よりも大きくなるように形成されていると共に、エンジン始動後にリングギヤ23の回転数がピニオン6の回転数を上回ったとき、リングギヤ23とピニオン6との噛合力が、リングギヤ23からピニオン6が離脱する方向に向かって作用するように形成されており、エンジン始動後において、リングギヤ23からピニオン6が離脱する方向に向かって作用する力と、第2リターンスプリング21の押圧力との合力により、リングギヤ23からピニオン6が離脱する。
【選択図】図1
Description
そして、励磁コイルに電流が供給されると、ソレノイドがピニオンギヤをリングギヤ側に押し出し、ピニオンギヤを介してモータの回転力がリングギヤに伝達され、エンジンが始動する(例えば、特許文献1参照)。
このような自動車の場合、エンジンを再始動させるたびにスタータを駆動することになる。このため、その都度ソレノイドがピニオンギヤをリングギヤ側に押し出し、このリングギヤにピニオンギヤを噛合わせているとエンジンの再始動までに時間がかかり、速やかに自動車を発進させることができない。
また、ピニオンギヤの押し出し、および引き込みの両動作をソレノイドを用いて行うので、この分、制御が複雑になり、製造コストが増大するという課題がある。
また、バネ部材の押圧力と、リングギヤからピニオンが離脱する方向に向かって作用する力との合力により、リングギヤからピニオンを離脱させるので、従来のソレノイドを用いてピニオンを引き込む場合と比較して制御の複雑化を抑制でき、製造コストを低減することができる。
また、リングギヤの回転数が出力軸の回転数を上回り、リングギヤからピニオンに回転力が伝達されると、リングギヤの回転数が出力軸の回転数を下回っている場合とは反対側に向かう力がヘリカル歯形に作用する。このため、この力とバネ部材の押圧力とによって、リングギヤからピニオンを容易に離脱させることが可能になる。よって、リングギヤの回転力がモータ部に伝達され、このモータ部が損傷してしまうのを防止できる。
また、バネ部材の押圧力を利用してリングギヤからピニオンを離脱させるので、従来のソレノイドを用いてピニオンを引き込む場合と比較して制御の複雑化を抑制でき、製造コストを低減することができる。
さらに、リングギヤからピニオンを離脱させる際、すなわち、エンジン始動後にリングギヤの回転数がピニオンの回転数を上回ったとき、リングギヤとピニオンとの噛合力が、リングギヤからピニオンが離脱する方向に向かって作用するので、容易、かつ確実にリングギヤからピニオンを離脱させることが可能になる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータ1の断面図である。
同図に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3に連結されている出力軸4と、出力軸4上に摺動自在に設けられたクラッチ5、およびピニオン6と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、およびピニオン6を軸線方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のヨーク53と、ヨーク53の径方向内側に配置され、ヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。ヨーク53の内周面には、複数(例えば、この実施形態では6つ)の永久磁石57が周方向に磁極が順番となるように配設されている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。このライザ63にアーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されるようになっている。
遊星歯車機構2は、回転軸52に外嵌固定されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
ハウジング17の開口部17a側外周面には、軸線方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。
さらに、ハウジング17には、底部17cの径方向中央に出力軸4の一端を回転自在に支持するための滑り軸受け17dが設けられている。
ここで、クラッチ5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断されるように構成されている。
図2は、ピニオン6の斜視図である。
図1、図2に示すように、クラッチインナ22の他端側には、ピニオン6がクラッチインナ22に対してスライド移動可能、かつ相対回転不能に外嵌されている。ピニオン6は、不図示のエンジンのクランク軸と一体化されているリングギヤ23に噛合うことにより、モータ部3の回転力をリングギヤ23に伝達してエンジンを始動させるためのものである。
一方、クラッチインナ22の外周面には、収納部6bの開口部を閉塞するように段差により拡径された拡径部22bが形成されている。
これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ28は、互いに同心円上に設けられ、軸線方向に相対移動可能に設けられている。
各ブラシ41の基端側には、コイルスプリング42が設けられている。このコイルスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
ターミナルボルト44は、スタータ1に取り付けるためのカバー45を有している。カバー45は、ヨーク10、およびハウジング17に挟持された状態で固定されている。
次に、図1、図3、図4に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
図3、図4は、スタータ1の挙動について示す要部断面図である。
図1に示すように、まず、励磁コイル24に電流を供給する前の静止状態にあっては、スイッチプランジャ27は、第1リターンスプリング35に付勢されてモータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動し、外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。そして、外フランジ部29に立設されている連結ロッド30に設けられている可動接点板8は、固定接点板34に対して離間している。
すなわち、シフトスプリング36のバネ力は、第2リターンスプリング21のバネ力より弱いため、スイッチプランジャ27の吸引移動の初期ではギヤプランジャ28の静止状態が保たれて、先にコイルばね36が圧縮変形される。
ここで、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、クラッチ5の移動に伴ってギヤプランジャ28もリングギヤ23側へ向かって移動する。
このとき、ピニオン6とリングギヤ23との噛合わせ位相がずれていると、リングギヤ23にピニオン6が歯当たりして噛合わない。この場合、ピニオン6とクラッチ5のクラッチインナ22との間に設けられているコイルスプリング11が圧縮変形し、ピニオン6のリングギヤ23に対する歯当たりの衝撃を吸収しつつ、ピニオン6にリングギヤ23側に向かう付勢力を付与する。
そして、ピニオン6の噛み合い位置では、ストッパプレート20にクラッチアウタ18が当接するようになっている。ストッパプレート20によってクラッチアウタ18の軸線方向への移動が規制される。
これらの合力によって、ピニオン6がリングギヤ23から容易に離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
次に、図5に基づいて、例えば信号待ち等にエンジンを停止し、この後、再度エンジンを始動する方法について説明する。
図5は、エンジン再始動させるためのタイミングチャートであって、時間経過に伴う自動車の車速、エンジン回転数、モータ部3への供給電流量、イグニションスイッチのオン/オフの変化を示している。
クランクシャフトがこのような状態のとき、またはクランクシャフトが完全に停止した状態のときにリングギヤ23にピニオン6を噛合わせることにより、ピニオン6にリングギヤ23から離脱する方向に向かう力(図3におけるF6参照)が大きく作用しないようになっている。
励磁コイル24への電流の供給時間は、ピニオン6を押し出し可能な時間であればよいので、僅かな時間となる。例えば、約0.05秒程度励磁コイル24に電流を供給すればよい。通電時間は、制御機器に設けられているタイマ等により制御されている。
すると、モータ部3への通電が遮断されて出力軸4の回転が停止し、この出力軸4にヘリカルスプライン結合されているクラッチアウタ18に作用する慣性力が作用しなくなる。これに加え、第2リターンスプリング21によって、リングギヤ23からピニオン6を離脱させる方向に力が作用する(図3、図4におけるF4参照)。
ここで、歯部66の捩れ角θ(図2参照)は、
噛合抵抗F1’>付勢力F4・・・(1)
を満たすように設定される。
このため、エンジンが停止した状態であってもリングギヤ23とピニオン6との噛合い状態が維持される(噛合維持工程)。
このとき、予めリングギヤ23にピニオン6が噛合わされているので、出力軸4の回転が速やかにリングギヤ23に伝達される。そして、エンジンが起動し、ピニオン6の回転数が出力軸4の回転数を上回り、リングギヤ23がピニオン6を回転させる状態になる。すると、ピニオン6の歯部66によってリングギヤ23からピニオン6を離脱させる方向に力が作用し(図3におけるF6参照)、ピニオン6が離脱する。
したがって、上述の実施形態によれば、リングギヤ23にピニオン6を噛合わせる際には、出力軸4の回転によって生じる慣性力、および励磁コイル24を通電することによる磁力を用いる一方、リングギヤ23からピニオン6を離脱させる際には、第1リターンスプリング35、および第2リターンスプリング21のバネ力を用いるように構成し、それぞれを別々の機構で構成しているので、リングギヤ23の歯部66をヘリカル歯形に形成することにより、イグニションスイッチをオフした状態でリングギヤ23とピニオン6との噛合状態を維持できたり、エンジン起動後にリングギヤ23からピニオン6を離脱させたりすることができる。
このため、バッテリの消費を抑えつつ、停止後のエンジンを速やかに再始動させることができる。
さらに、ピニオン6の歯部66をヘリカル歯形に形成することにより、クラッチアウタ18に対する第2リターンスプリング21の付勢力(図3におけるF4参照)と、ピニオン6とリングギヤ23との噛合抵抗(図4におけるF1’参照)とを容易に式(1)を満たすように設定することができる。このため、簡素な構造でバッテリの消費を抑えつつ、停止後のエンジンを速やかに再始動させることができる。
例えば、上述の実施形態では、ピニオン6の歯部66の捩れ方向が左方向に設定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、歯部66の捩れ方向を右方向に設定してもよい。
この場合、歯部66の捩れ方向に対応するように、出力軸4の回転方向もモータ部3側からみて時計回り方向に設定することが望ましい。また、この場合、リングギヤ23とピニオンとの噛合力によって生じる軸方向への分力に基づいて、歯部の捩れ角θを設定する。
3 モータ部
4 出力軸
6 ピニオン
21 第2リターンスプリング(バネ部材)
23 リングギヤ
51 ブラシ付直流モータ
52 回転軸
66 歯部
Claims (3)
- 通電により回転力を発生するモータ部と、
前記モータ部の回転力を受けて回転する出力軸と、
前記出力軸の回転力を受けて前記出力軸に沿ってスライド移動し、エンジンの駆動力が伝達されるリングギヤに噛合されるピニオンと、
前記ピニオンに前記リングギヤとは反対側に向かって押圧力を付勢するバネ部材とを備えたスタータであって、
前記ピニオンは、
このピニオンの回転力を前記リングギヤに伝達するとき、並びに、前記リングギヤが停止する直前の状態、および前記リングギヤが停止している状態の何れか一方の状態のとき、前記リングギヤと前記ピニオンとの噛合抵抗が、前記押圧力よりも大きくなるように形成されていると共に、
エンジン始動後に前記リングギヤの回転数が前記ピニオンの回転数を上回ったとき、前記リングギヤと前記ピニオンとの噛合力が、前記リングギヤから前記ピニオンが離脱する方向に向かって作用するように形成されており、
エンジン始動後において、
前記リングギヤから前記ピニオンが離脱する方向に向かって作用する力と、前記バネ部材の押圧力との合力により、前記リングギヤから前記ピニオンが離脱することを特徴するスタータ。 - 前記ピニオンの歯部は、捩れ角を有するヘリカル歯形に形成されており、
前記歯部の捩れ角は、前記噛合抵抗が前記押圧力よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。 - 前記リングギヤが停止する直前とは、前記エンジンの停止後に前記リングギヤが逆回転し始めて完全停止するまでに揺動しているときであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスタータ。
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