JP2011528344A - 胃腸管において酵素分解に付される、および/または吸収されにくい薬剤の結腸への送達系 - Google Patents
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Abstract
前記発明は、胃腸管において分解される、および/または吸収されにくい薬剤または生体活性分子の選択的結腸送達のための医薬形態を言及する。この系は、活性成分からなるコアならびにプロテアーゼ阻害剤層および/または吸収エンハンサー層を含み、前記コアは、胃腸管に存在する生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーによりこれらの層から分離しており、ポリマー層の厚さに応じて、阻害剤および/またはプロモーターに対して薬剤の放出を調節することができる。
Description
目的の分野
本発明は、胃腸管において分解される、および/または吸収されにくい薬剤または生体活性分子、特にペプチドおよびタンパク質の選択的結腸送達のための医薬投与形態に関する。
本発明は、胃腸管において分解される、および/または吸収されにくい薬剤または生体活性分子、特にペプチドおよびタンパク質の選択的結腸送達のための医薬投与形態に関する。
発明の背景
薬剤の部位特異的放出(site-directed release)のための経口製剤を都合良く使用して、胃腸管に存在する酵素による分解プロセスを受ける薬剤の投与を可能にすることができる。結腸は、消化酵素の存在が小腸と比較して限定されているので、これらの薬剤の吸収にとってより好ましい環境を提供する。それにもかかわらず、適切な薬理学的応答を得るため、特にタンパク質およびペプチドを扱う場合には、製剤はプロテアーゼ阻害剤および/または吸収プロモーターも含むべきである。
薬剤の部位特異的放出(site-directed release)のための経口製剤を都合良く使用して、胃腸管に存在する酵素による分解プロセスを受ける薬剤の投与を可能にすることができる。結腸は、消化酵素の存在が小腸と比較して限定されているので、これらの薬剤の吸収にとってより好ましい環境を提供する。それにもかかわらず、適切な薬理学的応答を得るため、特にタンパク質およびペプチドを扱う場合には、製剤はプロテアーゼ阻害剤および/または吸収プロモーターも含むべきである。
これらの前提に基づいて、Katsumaら(Int. J. Pharm. 307、156-162 2006)は、最近、プロテアーゼ阻害剤としてメシル酸カモスタット、ならびに吸収プロモーターとしてグリココール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびEDTA二ナトリウムを含有するインスリン結腸放出系を記載し、イヌにおいて実施されたインビボ研究では、そのような系は、佐剤を含まない系と比較して増強された低血糖効果を誘発した。
US2004/0185107は、活性成分をプロテアーゼ阻害剤および/または吸収プロモーターと共に同時に放出することができる侵食性ポリマーマトリックスを含む経口医薬投与形態に言及し、タンパク質ならびにプロモーターおよび/または阻害剤の放出をプログラムできない系に対する数多くの利点を主張している。
一方、何人かの著者(Dorkoosh F. A.ら、J. Contr. Rel. 71、307-318 2001)は、小腸において薬剤の放出の前にプロテアーゼ阻害剤および/または吸収プロモーターを放出することができる生体接着性ポリマーを含む系に関連する、いわゆる「二重相時間放出プロフィール」の概念を紹介した。特に、ポリマーが膨張している間に、したがってペプチドを放出する前に、プロテアーゼ活性を抑制し、上皮特性を変更する可能性が主張されている。
しかし、そのような系は、大腸と比べてタンパク質および/またはペプチドの吸収にとってはるかに好ましくない部位であることが実証されている小腸において放出するように設計されている。更に、複雑な製造に起因して、そのような系は、工業的な規模拡大の見通しが乏しい。
一方、EP0572942に記載されている装置は、有機溶媒の使用を回避する、したがって規模拡大性の利点を示す実験規模の工業器具により実施される技術を使用して、タンパク質を含む薬剤を結腸において放出することができる(Serratoni M.ら、Proceed. Int'l Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 34, 749 2007)。EP0572942によると、この系は、
a)薬学的に許容される賦形剤と場合により混合される活性成分を含有するコア、
b)コアに含有される活性成分の放出をpH非依存様式で遅延させる親水性の侵食性ポリマーを含む中間コーティング層、
c)その溶解が中間層の侵食過程を誘発する外側層、
を含み、
中間層は、コアに対する重量増が10から300%であるように適用される。
a)薬学的に許容される賦形剤と場合により混合される活性成分を含有するコア、
b)コアに含有される活性成分の放出をpH非依存様式で遅延させる親水性の侵食性ポリマーを含む中間コーティング層、
c)その溶解が中間層の侵食過程を誘発する外側層、
を含み、
中間層は、コアに対する重量増が10から300%であるように適用される。
文献において、他の文書には、下記に簡潔に記載される本発明の分野に関係するものは、何もまたは無視できるほどわずかしか見出すことができない。
WO2004/05/602は、酸性pH値で不溶性のポリマーからなり、タンパク質薬剤をプロテアーゼ阻害剤と共に含有する外側胃耐性(gastroresistant)コーティングを備えた製剤を記載している。しかし、上記の製剤は、プログラムされた時間に活性成分および佐剤の放出を遅延できる構成成分を含まないので、時間依存性放出のために設計されてはいない。この製剤は、結腸送達のためにも、時間依存性結腸送達のためにも意図されていない。
US2002/004495は、酸性pH値で可溶性であるpH依存性溶解性を有するポリマーにより、および腸の遠位に存在する腸内細菌による選択的分解に感受性のある外側糖層によりコーティングされた薬剤含有コアを含む、結腸送達のために設計された系を記載する。糖層の分解は、有機酸の形成をもたらし、その下のpH依存性層の溶解を引き起こす。したがって、選択的結腸放出は、結腸微生物叢の特定の分布を利用することによって達成される。前記文書は、時間依存性放出またはそのような目的を達成するための膨張性の親水性ポリマー使用について何も言及していない。更に、保持された薬剤に対して佐剤(酵素阻害剤/吸収プロモーター)の放出を調節する可能性について何も言及していない。
WO03/059330は、心血管疾患の治療が意図されている多層系を開示している。コアに含有されている薬剤はタンパク質ではない。コアを取り囲むコーティング層により保持される分子は、タンパク質分解酵素を阻害することが意図されているが、そのような酵素は胃腸管において阻害されず、その阻害は経口投与薬の安定性を保つことが目的ではない。この文書に記載されている製剤は、コアの中にタンパク質薬剤もコーティング層に保持された腸消化性プロテアーゼ阻害剤も全く含有しない。
US2007/0172525は、2型糖尿病の治療が意図される医薬製剤を報告している。遅い放出のために設計されたコアは、非タンパク質薬剤、特に、ビグアナイドの分類に属するメトホルミンを含有する。ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害剤ファミリーに属する第2の活性成分は、外側コーティング層において見出される。ビグアナイドとDPP4阻害剤のいずれも薬剤分類は経口低血糖薬である。これは、酵素の阻害が経口投与薬剤の腸安定性を増加させる戦略を構成しない、別の事例である。
US4 101 650は、関連する浮揚特性により可能となる胃滞留延長のために設計されたミニカプセルからなる、胃および十二指腸潰瘍の治療が意図される製剤を記載する。そのようなミニカプセルは、重炭酸ナトリウムの顆粒、水性媒質に急速に溶解しうるフィルムコーティングおよびペプスタチンを含有する周囲層を含む。重炭酸ナトリウムと酸性水性媒質との接触により単位の中に生成される二酸化炭素によって、それらは胃内容物表面に浮揚し、したがって、従来の製剤と比較してより長い時間胃の中に捕捉される。胃内腔に放出されたペプスタチンは、食品タンパク質の消化に関与するプロテアーゼであるペプシンを阻害するが、ここでも、同時投与薬剤の安定性を改善することが目的ではなく、特定の治療効果を生じることが目的である。
US2005/026608は、2型糖尿病の治療においてDPP4阻害剤を放出する系を言及する。そのような系は、薬剤が存在しないプラセボコア、第1封止層、活性DPP4阻害剤を含有する活性層および外側封止層を含む。2つの封止層は、本発明者たちが錠剤賦形剤との接触により誘導されうると仮定する分解から薬剤を保護することがもっぱら意図されている。
WO03/0395118は、ニコチンまたはその誘導体の多様な延長放出組成物を記載している。系のために提案されている可能な構成うち、例1に記載されているものは、外側層から始まって内側層へ、口腔内の薬剤吸収に好ましい値のpHを緩衝することが意図される重炭酸ナトリウムを含有する第1層(層1)、封止機能(「物理的障壁」)を有する第2層(層2)、薬剤の中間放出製剤を含有する第3層(層3)および最後に薬剤も含有するが延長放出のために設計されているコア(層4)を含む。コアは、腸の遠位における部位選択的放出が有益である活性分子を全く含有していない。更に、保持された薬剤の放出の開始を遅延できるコーティングは存在しない。
EP0 636 366は、HPMCからなるが薬剤放出の時間を変更するのに適していない厚さを有する保護膜としてもっぱら適用される「オーバーコート」層を定時しうる、薬剤、すなわちアヘン性鎮痛薬の延長放出用の多層系を開示する。
US4 579 730は、インスリンを、吸収プロモーターおよびプロテアーゼ阻害剤などの佐剤と同時に経口投与することが意図される製剤を記載する。いずれの場合においても、その発明は、薬剤放出の時間を遅延させること、または優先的な結腸放出を可能にすることが意図される構造要素について何ら言及していない。
Katsumaら、Int. J. Pharm. 307、156-162 2006
Dorkoosh F. A.ら、J. Contr. Rel. 71、307-318 2001
Serratoni M.ら、Proceed. Int'l Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 34, 749 2007
発明の説明
水性流体と接触したときに膨張および/または溶解および/または分解するポリマーの層により、前記阻害剤および/またはプロモーターを含有する層から活性成分含有コアを分離することによって、コアに含有される活性成分の放出の前に、阻害剤および/またはプロモーターの放出を達成することが可能であることが今や見出された。プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーの放出から活性成分の放出までの時間の経過を、介在ポリマー層の厚さの関数としてプログラムすることができ、したがって、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーが薬剤の前に放出されるため、タンパク質分解酵素が既に阻害され、薬剤が放出されたときには腸上皮が既に変更されているので、結腸における薬剤吸収は改善される。
水性流体と接触したときに膨張および/または溶解および/または分解するポリマーの層により、前記阻害剤および/またはプロモーターを含有する層から活性成分含有コアを分離することによって、コアに含有される活性成分の放出の前に、阻害剤および/またはプロモーターの放出を達成することが可能であることが今や見出された。プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーの放出から活性成分の放出までの時間の経過を、介在ポリマー層の厚さの関数としてプログラムすることができ、したがって、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーが薬剤の前に放出されるため、タンパク質分解酵素が既に阻害され、薬剤が放出されたときには腸上皮が既に変更されているので、結腸における薬剤吸収は改善される。
したがって本発明は、
a)胃腸管において酵素分解に感受性のあるおよび/または吸収されにくい薬剤を含有するコアと、
b)胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる内側層と、
c)結合ポリマーまたは他の薬学的に許容される賦形剤と場合により混合された、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーからなる中間層と、
d)層b)を形成するポリマーまたはポリマーの混合物と同一または異なることができる、胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる外側層と、
場合により
e)胃耐性ポリマーからなる外側層と
を含み、
層b)の厚さが、10から1350μm、好ましくは150から450μmの範囲であり、
層c)の厚さが、10から1000μm、好ましくは10から300μmの範囲であり、そして層d)の厚さが、150から1500μm、好ましくは200から1000μmの範囲である
図1に概略的に示されている経口投与固形医薬形態を言及する。
a)胃腸管において酵素分解に感受性のあるおよび/または吸収されにくい薬剤を含有するコアと、
b)胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる内側層と、
c)結合ポリマーまたは他の薬学的に許容される賦形剤と場合により混合された、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーからなる中間層と、
d)層b)を形成するポリマーまたはポリマーの混合物と同一または異なることができる、胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる外側層と、
場合により
e)胃耐性ポリマーからなる外側層と
を含み、
層b)の厚さが、10から1350μm、好ましくは150から450μmの範囲であり、
層c)の厚さが、10から1000μm、好ましくは10から300μmの範囲であり、そして層d)の厚さが、150から1500μm、好ましくは200から1000μmの範囲である
図1に概略的に示されている経口投与固形医薬形態を言及する。
前記阻害剤および/またはエンハンサーに対する活性成分の放出において観察される遅延は、層b)の厚さに正比例することが証明されている。
コアに含有されている活性成分は、ペプチドまたはタンパク質、例えばインスリン、バソプレシンおよび類似体、カルシトニン、エンケファリン、シクロスポリン、オキシトシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、スーパーオキシドジムスターゼ(superoxydodismutase)、インターロイキン12(IL−12)、インターフェロン、コロニー刺激因子(CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト、セツキシマブ、ベバシズマブなどのモノクローナル抗体から、また、胃腸酵素と接触したときに分解する他の非タンパク質薬剤、例えばクロルプロマジン、エチニルエストラジオール、フルラゼパムおよびロラゼパムからなることができる。コアは、一般に、活性成分の特性、投与形態の種類およびコアに期待される放出特性に従って選択された、Remingtonの第21版またはHandbook of Excipients第5版、A. H. Kibbe編、Washington, DC、2000に記載されているものなどの薬学的に許容される賦形剤とブレンドされた活性成分の錠剤からなる。コアは、カプセル、ミニ錠剤およびペレットからなることもできる。
層b)およびd)に含まれるポリマーは、下記から選択される:
1.親水性の膨張性および/または侵食性ポリマー、例えばセルロース誘導体、例はメチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);
2.腸微生物叢により分解される天然の親水性ポリマー、例えばグアーガム、デキストラン、ペクチン酸塩、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩、ラクツロース、アミロース、アミロペクチン、セロビオース、フルクトオリゴ糖、キトサン、シクロデキストリンおよびコンドロイチン硫酸;
3.合成の親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルポリピロリドン、アクリルポリマー、例えばポリカルボフィル、カーボポール、メテクリル酸のコポリマー、例えばEudragit RL、Eudragit RS、Eudragit FS、Eudragit S、Eudragit L、Eudragit NE。
1.親水性の膨張性および/または侵食性ポリマー、例えばセルロース誘導体、例はメチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);
2.腸微生物叢により分解される天然の親水性ポリマー、例えばグアーガム、デキストラン、ペクチン酸塩、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩、ラクツロース、アミロース、アミロペクチン、セロビオース、フルクトオリゴ糖、キトサン、シクロデキストリンおよびコンドロイチン硫酸;
3.合成の親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルポリピロリドン、アクリルポリマー、例えばポリカルボフィル、カーボポール、メテクリル酸のコポリマー、例えばEudragit RL、Eudragit RS、Eudragit FS、Eudragit S、Eudragit L、Eudragit NE。
更に、ポリマー層は、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、二酸化チタンおよびタルクなどの、例えばHandbook of Excipients第5版、A. H. Kibbe編、Washington, DC、2000に示されているものから選択される1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。
層c)において見出すことができるプロテアーゼ阻害剤は、アミノ酸ならびにアルファーアミノボロン酸誘導体(ボロロイシン(boroleucine)、ボロアラニン(boroalanine)およびボロバリン(borovaline))、N−アセチルシステインおよびペプスタチルグルタミン酸(pepstatylglutamic acid)などのこれらの類似体;ペプチドならびにバシトラシン、ペプスタチン、アンチパイン、ロイペプチン、キモスタチン、エラタチナール(elastatinal)、ホスホラミドン、ベスタチン、ピューロマイシンおよびアマスタチン、オボムコイド、ボーマンバーク阻害剤(BBI)、1,10−フェナントロリンなどの誘導体;有機リン阻害剤(ジ−イソプロピルフルオロホスフェート、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトエートメタンスルホネート(FK−448)、メシル酸カモスタット、メシル酸ガベキセート、メシル酸ナファモスタット、p−ヒドロキシ水銀安息香酸などの非アミノ酸構造を有する分子;グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム(sodium taurodeoxycholate)などの胆汁酸塩;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、(DTPA)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)およびヒドロキシキノリンなどの錯化剤から選択することができる。層c)に含有することができる吸収プロモーターは、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム(sodium glycodeoxycholate)、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩;タウロジヒドロ−フシジン酸ナトリウム(sodium taurodihydro-fusidate)、グリコジヒドロ−フシジン酸ナトリウム(sodium glycodihydro-fusidate)などのジヒドロフシジン酸塩(dihydro-fusidates);ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、N−ラウリル−ベータ−D−マルトピラノシドなどの界面活性剤;EDTA、DTPA、EGTAなどの錯化剤;ドコサヘキサン酸、エイコサペンタン酸、カプリン酸およびサリチレートなどの脂肪酸のうちから選択される。結合物質は、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ガム、デンプン、ゼラチン、ポリビニルポリピロリドンおよび多様な分子量のポリエチレングリコールのうちから選択することができる。
図1の層b)およびd)の適用に用いられる技術は、例えばフィルムコーティングにより実施することができ、それによってポリマーまたはポリマー混合物の水溶液がコアに適用される。プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーからなる中間層c)は、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサー、ならびに場合により結合物質または他の薬学的に許容される賦形剤を含有する水溶液を適用するフィルムコーティングにより、既にコーティングされているコアに適用することができる。
最後に、胃耐性層e)は、一般に、フィルムコーティングにより適用することができる、メタクリル酸(例えば、Eudragit L、Eudragit FS;好ましくはEudragit L30D55)のコポリマーまたは酢酸フタル酸セルロース(CAP)などの、pH依存性の溶解性を有するポリマーを含む。
以下の実験のセクションにおいて更に詳細に説明される本発明の例示的な実施態様において、活性成分はアセトアミノフェンであり、プロテアーゼ阻害剤はメシル酸カモスタットであり、内側および外側ポリマー層b)およびd)は、それぞれ、ヒドロプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールを含む。
上記の方法の他に、本発明に関連する製剤を、二重圧縮、粉末積層またはRemingtonのThe Science and Practice of Pharmacy第20版、Baltimore、MD、Lippincott Williams&Wilkins、2000に記載されているもの、ならびにLieberman, HA.およびLachman L.編、New York and Basil, Marcel Dekker, Inc.、1980に記載されているものなどの他の方法により調製することもできる。
図の説明
図1:本発明による送達系の概要:コアa);内部層b);プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーを含有する中間層c);外部層d);胃耐性層e)。
図1:本発明による送達系の概要:コアa);内部層b);プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーを含有する中間層c);外部層d);胃耐性層e)。
図2(a−c)−6(a−c):厚さの異なる層b)およびd)を有する、アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタットを含有する系からの放出プロフィール(脱イオン水800ml、37±0.5℃、31サイクル/分、n=3)。
実験セクション
材料および方法
図1の親水性層b)およびd)は、HPMC(8%w/w)およびPEG400(0.8%w/w)の水溶液をコアに適用する、流動床または回転皿における上面噴霧フィルムコーティングにより得た。メシル酸カモスタットを含む中間層c)は、内部親水性層を備えたコアにプロテアーゼ阻害剤およびPEG400の水溶液を適用する、流動床におけるフィルムコーティングにより適用した。
材料および方法
図1の親水性層b)およびd)は、HPMC(8%w/w)およびPEG400(0.8%w/w)の水溶液をコアに適用する、流動床または回転皿における上面噴霧フィルムコーティングにより得た。メシル酸カモスタットを含む中間層c)は、内部親水性層を備えたコアにプロテアーゼ阻害剤およびPEG400の水溶液を適用する、流動床におけるフィルムコーティングにより適用した。
流動床フィルムコーティングに用いたプロセスパラメーターを下記に示す:入口空気温度58から60℃;出口空気温度36から38℃;入口空気フラップ開口40から45%;ノズル直径1.2mm;噴霧圧3.5から4.0バール。コーティングプロセスの間、適切な粘度を維持するために40℃の一定温度に保持されている溶液を、ネオプレン管(内径約4.0mm)を有する蠕動ポンプ(VRX 88、Verder GmbH、D)により二方向噴霧器まで送った。
回転皿におけるフィルムコーティングに用いたプロセスパラメーターを下記に示す:循環空気温度65℃;コアの温度38から40℃;噴霧器圧0.4から0.6バール;ノズル直径1.2mm;噴霧器とコアの間隔8.5cm;噴霧/非噴霧比30秒−10秒;噴霧速度0.5g/分;皿回転速度30rpm。
得られた系を、重量、高さおよび直径について特徴決定した。適用層の厚さを以下のように計算した:
厚さ=(a/2+b/2)/2(ここで、aは直径の変化であり、そしてbは、高さの変化である)。
厚さ=(a/2+b/2)/2(ここで、aは直径の変化であり、そしてbは、高さの変化である)。
インビトロ放出プロフィールを、European Pharmacopoeia第6版の崩壊試験装置により実施する溶解試験によって評価した。溶解媒質は、37±0.5℃に保持した脱イオン水(800ml)であった。全ての放出試験を3回繰り返した。
アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタットを含有する系の調製
例1.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(5mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:158μm;中間層c)の厚さ:60μm;外側親水性層d)の厚さ:546μm。
例1.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(5mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:158μm;中間層c)の厚さ:60μm;外側親水性層d)の厚さ:546μm。
コア錠剤を、アセトアミノフェン(80%w/w)、ポリビニルポリピロリドン(2%w/w)、微晶質セルロース(12.5%w/w)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(sodium carboxymethylstarch)−Explotab(4.5%w/w)、ステアリン酸マグネシウム(0.5%w/w)およびコロイドシリカ(0.5%w/w)を含有する粉末混合物の直接圧縮によって得た。
コアを、PEG400(0.8%w/w)を含有する低粘度HPMC水溶液(Methocel E50、8%w/w)により、出発基材に対して13%の重量増(厚さ158μm)が達成されるまで、上面噴霧流動床においてコーティングした。これらの系を、錠剤1個あたり5mgのメシル酸カモスタットを装填するために、PEG400(0.3%w/w)を含有するメシル酸カモスタット水溶液(3.3%w/w)により回転皿において更にコーティングし、次に、出発錠剤に対して総コーティング厚の800μmにほぼ対応する100%の重量増を得るまで、親水性ポリマーの同じ水溶液により上面噴霧流動床において最後のコーティングプロセスに付した。
放出プロフィールを図2a〜cにおいて報告する。
そのような系は、アセトアミノフェンの放出の20分前に、メシル酸カモスタットの放出を生じた。2つの放出ステップ間の時間差は、厚さが158μmの内側親水性層b)の存在に起因する。
例2.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(5mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:248μm;中間層c)の厚さ:83μm;外側親水性層d)の厚さ:441μm。
コア錠剤を、アセトアミノフェン(80%w/w)、ポリビニルポリピロリドン(2%w/w)、微晶質セルロース(12.5%w/w)、カルボキシメチルデンプンナトリウム−Explotab(4.5%w/w)、ステアリン酸マグネシウム(0.5%w/w)およびコロイドシリカ(0.5%w/w)を含有する粉末混合物の直接圧縮によって得た。
コアを、PEG400(0.8%w/w)を含有する低粘度HPMC水溶液(Methocel E50、8%w/w)により、出発基材に対して25%の重量増(厚さ248μm)が達成されるまで、このように上面噴霧流動床においてコーティングした。得られた系を、続いて、錠剤1個あたり5mgのメシル酸カモスタットを装填するために、PEG400(0.3%w/w)を含有するメシル酸カモスタット水溶液(3.3%w/w)により回転皿においてコーティングし、次に、出発錠剤に対して総コーティング厚の800μmにほぼ対応する100%の重量増を得るまで、親水性ポリマーの同じ水溶液により上面噴霧流動床において最後のコーティングプロセスに付した。
放出プロフィールを図3a−cにおいて報告する。
そのような系は、アセトアミノフェンの放出の33分前に、メシル酸カモスタットの放出を生じた。2つの放出ステップ間の時間差は、厚さが248μmの内側親水性層b)の存在に起因する。
例3.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(5mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:434μm;中間層c)の厚さ:66μm;外側親水性層d)の厚さ:283μm。
コア錠剤を、アセトアミノフェン(80%w/w)、ポリビニルポリピロリドン(2%w/w)、微晶質セルロース(12.5%w/w)、カルボキシメチルデンプンナトリウム−Explotab(4.5%w/w)、ステアリン酸マグネシウム(0.5%w/w)およびコロイドシリカ(0.5%w/w)を含有する粉末混合物の直接圧縮によって得た。
コアを、PEG400(0.8%w/w)を含有する低粘度HPMC水溶液(Methocel E50、8%w/w)により、出発基材に対して50%の重量増(厚さ434μm)が達成されるまで、このように上面噴霧流動床においてコーティングした。得られた系を、続いて、錠剤1個あたり5mgのメシル酸カモスタットを装填するために、PEG400(0.3%w/w)を含有するメシル酸カモスタット水溶液(3.3%w/w)により回転皿においてコーティングし、次に、出発錠剤に対して総コーティング厚の800μmにほぼ対応する100%の重量増を得るまで、親水性ポリマーの同じ水溶液により上面噴霧流動床において最後のコーティングプロセスに付した。
放出プロフィールを図4a〜cにおいて報告する。
そのような系は、アセトアミノフェンの放出の75分前に、メシル酸カモスタットの放出を生じた。2つの放出ステップ間の時間差は、厚さが434μmの内側親水性層b)の存在に起因する。
例4.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(10mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:158μm;中間層c)の厚さ:107μm;外側親水性層d)の厚さ:527μm。
コア錠剤を、アセトアミノフェン(80%w/w)、ポリビニルポリピロリドン(2%w/w)、微晶質セルロース(12.5%w/w)、カルボキシメチルデンプンナトリウム−Explotab(4.5%w/w)、ステアリン酸マグネシウム(0.5%w/w)およびコロイドシリカ(0.5%w/w)を含有する粉末混合物の直接圧縮によって得た。
コアを、PEG400(0.8%w/w)を含有する低粘度HPMC水溶液(Methocel E50、8%w/w)により、出発基材に対して13%の重量増(厚さ158μm)が達成されるまで、このように上面噴霧流動床においてコーティングした。得られた系を、続いて、錠剤1個あたり10mgのメシル酸カモスタットを装填するために、PEG400(0.7%w/w)を含有するメシル酸カモスタット水溶液(6.6%w/w)により回転皿においてコーティングし、次に、出発錠剤に対して、総コーティング厚の800μmにほぼ対応する100%の重量増を得るまで、親水性ポリマーの同じ水溶液により上面噴霧流動床において最後のコーティングプロセスに付した。
放出プロフィールを図5a〜cにおいて報告する。
そのような系は、アセトアミノフェンの放出の20分前に、メシル酸カモスタットの放出を生じた。2つの放出ステップ間の時間差は、厚さが158μmの内側親水性層b)の存在に起因する。
例5.アセトアミノフェンおよびメシル酸カモスタット(1mg)を含有する系の調製−内側親水性層b)の厚さ:248μm;中間層c)の厚さ:20μm;外側親水性層d)の厚さ:494μm。
コア錠剤を、アセトアミノフェン(80%w/w)、ポリビニルポリピロリドン(2%w/w)、微晶質セルロース(12.5%w/w)、カルボキシメチルデンプンナトリウム−Explotab(4.5%w/w)、ステアリン酸マグネシウム(0.5%w/w)およびコロイドシリカ(0.5%w/w)を含有する粉末混合物の直接圧縮によって得た。
コアを、PEG400(0.8%w/w)を含有する低粘度HPMC水溶液(Methocel E50、8%w/w)により、出発基材に対して25%の重量増(厚さ248μm)が達成されるまで、このように上面噴霧流動床においてコーティングした。得られた系を、続いて、錠剤1個あたり1mgのメシル酸カモスタットを装填するために、PEG400(0.3%w/w)を含有するメシル酸カモスタット水溶液(3.3%w/w)により回転皿においてコーティングし、次に、出発錠剤に対して、総コーティング厚の800μmにほぼ対応する100%の重量増を得るまで、親水性ポリマーの同じ水溶液により上面噴霧流動床において最後のコーティングプロセスに付した。
放出プロフィールを図6a〜cにおいて報告する。
そのような系は、アセトアミノフェンの放出の33分前に、メシル酸カモスタットの放出を生じた。2つの放出ステップ間の時間差は、厚さが248μmの内側親水性層b)の存在に起因する。
Claims (9)
- a)胃腸管において酵素分解に感受性のあるおよび/または吸収されにくい薬剤を、場合により薬学的に許容される賦形剤と混合して含有するコアと、
b)胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる内側層と、
c)結合ポリマーまたは他の薬学的に許容される賦形剤と場合により混合された、プロテアーゼ阻害剤および/または吸収エンハンサーからなる中間層と、
d)層b)を形成するポリマーまたはポリマーの混合物と同一または異なることができる、胃腸管において生物学的流体と接触すると膨張および/または溶解および/または分解するポリマーまたはポリマーの混合物からなる外側層と、
場合により
e)胃耐性ポリマーからなる外側層と
を含み、
層b)が、10から1350μmの厚さであり、
層c)が、10から1000μmの厚さであり、
層d)が、150から1500μmの厚さである
経口投与用の固形医薬形態。 - 内側層b)が150から450μmの厚さである、請求項1に記載の医薬形態。
- 中間層c)が10から300μmの厚さである、請求項1または2に記載の医薬形態。
- 外側層d)が200から1000μmの厚さである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬形態。
- 活性成分が、胃腸管において酵素分解に感受性のあるおよび/または吸収されにくいペプチド、タンパク質または活性成分である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬形態。
- タンパク質がインスリンである、請求項5に記載の医薬形態。
- プロテアーゼ阻害剤がメシル酸カモスタットである、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬形態。
- 吸収エンハンサーがグリココール酸ナトリウムである、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬形態。
- 内側層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコール400の混合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬形態。
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