JP2011521248A - メタボリックシンドロームを有する患者及び有しない患者のリスク分析 - Google Patents

メタボリックシンドロームを有する患者及び有しない患者のリスク分析 Download PDF

Info

Publication number
JP2011521248A
JP2011521248A JP2011509963A JP2011509963A JP2011521248A JP 2011521248 A JP2011521248 A JP 2011521248A JP 2011509963 A JP2011509963 A JP 2011509963A JP 2011509963 A JP2011509963 A JP 2011509963A JP 2011521248 A JP2011521248 A JP 2011521248A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amount
metabolic syndrome
adiponectin
subject
proinsulin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011509963A
Other languages
English (en)
Inventor
ヘス,ゲオルク
ズドゥネク,ディートマル
ホルシュ,アンドレア
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
F Hoffmann La Roche AG
Original Assignee
F Hoffmann La Roche AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by F Hoffmann La Roche AG filed Critical F Hoffmann La Roche AG
Publication of JP2011521248A publication Critical patent/JP2011521248A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6893Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/74Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving hormones or other non-cytokine intercellular protein regulatory factors such as growth factors, including receptors to hormones and growth factors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/575Hormones
    • G01N2333/62Insulins
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/04Endocrine or metabolic disorders

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

本発明は、被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4及びプロインスリンの量の測定と、このように測定した量と適当な参照量との比較に基づいて、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定する方法に関する。さらに本発明は、被験体のサンプル中の上記マーカーの測定に基づいて、見かけ上健康な被験体のメタボリックシンドロームの発症リスクを予測する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法の実施に適したキット及びデバイスを包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4及びプロインスリンの量の測定と、このように測定した量と適当な参照量との比較に基づいて、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定する方法に関する。さらに本発明は、被験体のサンプル中の上記マーカーの測定に基づいて、見かけ上健康な被験体のメタボリックシンドロームの発症リスクを予測する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法の実施に適したキット及びデバイスを包含する。
メタボリックシンドロームは、エネルギー摂取量とエネルギー貯蔵能との不均衡に関連し、内臓脂肪、肝臓、骨格筋、膵臓β細胞及び血管壁における異所性脂質沈着を生じる(Smith (2006) Obesity Vol. 14 Suppl. 128S-134S)。これは、アテローム硬化性心血管系疾患及び2型糖尿病の発症を直接的に促進すると考えられる代謝性の原因のリスク相関因子の群である(Grundy et al. (2005) Circulation 112, 2735-2752)。
このシンドロームの主な根本的リスク因子は、おそらく、腹部肥満、インスリン抵抗性である。メタボリックシンドロームと関連する他の状態は、運動不足及びホルモン不均衡である。メタボリックシンドロームは、肥満患者及び非肥満患者の両方で生じうる。非肥満患者では、内臓貯蔵庫に脂質が貯留する。これらの貯蔵庫が満たされると、脂質は他の組織及び器官にも貯留する。特に、内臓型肥満が存在する場合には、2型糖尿病及び心血管系疾患に進行するリスクが顕著に高まる。
メタボリックシンドロームの診断は難しい。数機関がその診断のための簡便な基準を策定しようと試みている。第1の提唱は、WHOのために糖尿病に関する定義を作成するグループから1998年に行われた。この提唱では、インスリン抵抗性が主要な根本的リスク因子と見られ、診断に必要とされている。この提唱は、インスリン抵抗性がメタボリックシンドロームの主因であるという広く支持されている考えに従うものであった。従って、WHOの基準による診断は、患者が、インスリン抵抗性の複数のマーカーのうち1つと、それに加えて2つの追加的リスク因子を示した場合になされた。インスリン抵抗性は臨床状況では直接測定することが困難なものであるが、数種の間接的証拠、例えば耐糖能異常、空腹時グルコースの異常、2型糖尿病、又は高インスリン血症及び正常血糖状態における糖処理の異常など、が許容されていた。診断に用いられる追加的なリスク因子としては、肥満、高血圧、高トリグリセリド、低HDL-Cレベル、又は微量アルブミン量の存在が挙げられる。
1999年には、インスリン抵抗性の欧州研究グループ(European Group for Study of Insulin Resistance; EGIR)が、WHOの定義の修正を提唱した。EGIRは同様に、インスリン抵抗性が主要因であり、従って、それが診断に必要な証拠ではあるが、WHOよりも腹部肥満に焦点を当てることを提唱した。その基準では、集団の上位四分位点の血漿インスリンレベルをインスリン抵抗性と規定した。診断のために、血漿インスリンの上昇と、それに加えて他の2つの因子(腹部肥満、高血圧、高トリグリセリド又は低HDL-C、及び高血漿グルコース)を提唱した。WHOの基準とは対照的に、EGIRは、2型糖尿病患者をメタボリックシンドロームから除外した。それは、インスリン抵抗性はそもそも糖尿病のリスク因子とみられていたためである(種々の基準についての概説は、Grundy et al. (2005) Circulation 112, 2735-2752を参照のこと)。
しかしながら、メタボリックシンドロームの基準を満たすものではないが、メタボリックシンドロームと関連した疾患(心血管系疾患、腫瘍、糖尿病、脂肪肝疾患)を発症するリスクが高い被験体が存在するという証拠がある。そのためこれらの被験体は、十分な治療を必要とする。さらに、メタボリックシンドローム(従って、上記基準を満たす)が、上述した疾患を発症するリスクが高くはない被験体が存在する。このような被験体は、過剰な治療を受けて、医療費の上昇をもたらす可能性がある。
従って、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体の信頼性ある同定が必要とされており、またメタボリックシンドローム及びメタボリックシンドロームに関連する疾患を発症するリスクなどの一般的なリスク層化が必要とされている。
本発明の基礎となっている技術的課題は、上述の必要性に応じるための手段や方法の提供として理解することができる。
上記技術的課題は特許請求の範囲及び本明細書下記で特徴付けられる実施形態によって解決される。
従って、本発明は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定する方法であって、
(a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
(b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
(c)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するステップと
を含む方法に関する。
本発明の方法は、好ましくはin vitroの方法である。さらに、前記方法は上記で明示的に述べたものに加えて他のステップを含んでもよい。例えば、別のステップは、サンプルの前処理、又は前記方法で得られる結果の評価に関連するものである。本発明の方法はまた、被験体のモニター、確認及び下位分類のために使用することも可能である。本方法は、手動で行うか、又は自動化により支援することができる。好ましくは、ステップ(a)、(b)及び/又は(c)は、その全体又は一部を自動化によって、例えば、ステップ(a)での測定のための適切なロボット及びセンサ装置、又はステップ(b)でのコンピュータで行う比較によって、支援することができる。
メタボリックシンドローム(MS)を有する被験体(n=356)及びMSを有しない被験体(n=1907)における高分子量アディポネクチン、プロインスリン及びRBP4を示す。
本明細書で用いる「同定する」という用語は、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であるかどうか、従ってそれに適格であるかどうかを評価することを意味する。特に、上記治療を必要とする、より具体的には上記治療の利益を享受するだろう被験体を同定する。好ましくは、上記治療を受容可能な被験体は、上記治療の利益を享受する。被験体は、好ましくは、その被験体の状態が悪化しないか又は状態(特にメタボリックシンドロームに関する状態)が改善する場合に、治療の利益を享受している。上記治療を受容可能ではない被験体は、好ましくは上記治療の利益を享受しない(例えば、その被験体は、有害な副作用のリスク、高い医療費を有する可能性がある)。当業者ならば理解するとおり、そのような評価は通常は同定しようとする被験体の全て(すなわち100%)について正しいことを意図したものではない。しかし、この用語は被験体の統計学的に有意な一部(例えば、コホート研究における1コホート)を同定できることを要する。一部が統計的に有意かどうかは、当業者に別の手間を要することなく、様々な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定等を用いて決定することができる。詳細については、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983中に見られる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。より好ましくは、集団のうち少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の被験体を、本発明の方法により適切に同定することができる。
本明細書で用いる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。本発明では、被験体は、メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康であることを想定している。しかしながら、被験体が、既にメタボリックシンドロームを発症している、すなわちメタボリックシンドロームを有することも想定している。「メタボリックシンドローム」という用語は当技術分野で公知である。本明細書において使用するこの用語は、高トリグリセリド血症、腹部肥満、動脈性高血圧(arterial hypertony)、及び種々の代謝障害(脂質異常症及び高血糖など)を含むリスク因子群に関連することが好ましい。当技術分野では、メタボリックシンドロームに関して、メタボリックシンドロームX、症候群X、インスリン抵抗性症候群、及びリーブン(Reaven)症候群などの種々の用語が知られている。メタボリックシンドロームを有する個体を同定するための種々の基準が存在することも知られている。本明細書で使用するメタボリックシンドロームは、好ましくはWHO(世界保健機関)による基準、又はEGIR(インスリン抵抗性の欧州研究グループ)による基準、又はNECP(米国教育プログラム成人治療パネルIII、ATP III基準と称されることも多い)による基準、又はAHA/NHLBI基準(米国心臓協会/改訂NCEP)により定義される。これらのうち、メタボリックシンドロームの診断にはEGIR基準がより好ましく、ATP III基準が最も好ましい。上記機関により定義された種々の基準は当技術分野で公知である(概説としてScott M. Grundy et al., Circulation;2005(112):2735-2752参照。その開示内容に関して全体を参照により本明細書に組み入れる)。本発明において、特定の基準(以下参照)を満たす被験体は、メタボリックシンドロームを患っている、すなわちメタボリックシンドロームを発症している。従って、上記基準を満たさない被験体はメタボリックシンドロームを発症していない、従ってメタボリックシンドロームを患っていない。
WHOによる基準(1998年)は、被験体におけるメタボリックシンドロームの診断に関して、以下の1つにより同定されるインスリン抵抗性の存在を必要としている。すなわち、糖尿病、耐糖能異常、空腹時グルコース異常、又は正常な空腹時グルコースレベル(<110 mg/dL)を示す被験体についてはグルコース取り込みが、高インスリン血症の正常血糖状態において調査中のバックグラウンド集団の下位四分位以下である。インスリン抵抗性に加えて、以下の少なくとも2つの存在が必要である:
(a)血圧:≧140 mmHg 収縮期又は≧90 mmHg 拡張期(又は高血圧の治療中である)
(b)血漿トリグリセリド(TG):≧1.695 mmol/L、及び高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)≦0.9 mmol/L(男性被験者)、≦1.0 mmol/L(女性被験者)
(c)ヒップとウエストの比率:>0.90(男性被験者)、>0.85(女性被験者)、及び/又はボディマスインデックス(BMI):>30 kg/m2
(d)尿アルブミン排出率:≧20μg/分、又はアルブミンとクレアチニンの比率:≧30 mg/g。
米国国立コレステロール教育プログラム成人治療パネルIII(ATP-III/NCEP, 2001年)は、メタボリックシンドロームの存在/診断に、以下のうちの少なくとも3つを必要としている:
(a)胴囲として示される腹部肥満:≧102 cm(男性被験者)、≧88 cm(女性被験者)
(b)血漿トリグリセリド:≧1.695 mmol/L(150 mg/dl)
(c)HDL-C:<40 mg/dL(男性被験者)、<50 mg/dL(女性被験者)
(d)血圧:≧130/≧85 mmHg
(e)空腹時血漿グルコース:≧6.1 mmol/L(110 mg/dl)。
インスリン抵抗性の欧州研究グループ(EGIR)は、メタボリックシンドロームの存在/診断に、非糖尿病個体群における空腹時インスリン値の上位25%として規定されるインスリン抵抗性と、以下のうちの2つ以上を必要としている:
(a)中心性肥満:胴囲≧94 cm(男性)、≧80 cm(女性)、及び/又はボディマスインデックス(BMI)>30 kg/m2
(b)血漿トリグリセリド:≧150 mg/dL及び/又はHDL-C:<39 mg/dL(又は脂質異常症の治療)
(c)高血圧:血圧≧140/90 mm Hg(又は降圧剤の服用)
(d)空腹時血漿グルコース:≧6.1 mmol/L。
AHA/NHLBI基準である米国心臓協会/改訂NCEPは、メタボリックシンドロームの存在/診断に、以下のうちの少なくとも3つを必要としている:胴囲の増大(男性:102 cm以上、女性:88 cm以上);高トリグリセリド(150 mg/dl以上);低HDLコレステロール(男性:40 mg/dL未満、女性50 mg/dL未満);高血圧(130/85 mm Hg以上、又は高血圧用医薬の使用);高空腹時グルコース(100 mg/dL(5.6 mmol/L)以上、又は高血糖用医薬の使用)。
メタボリックシンドロームは既に診断されていてもよいし又は診断されていなくてもよいことが理解されるだろう。
「メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康である被験体」は、好ましくは、メタボリックシンドロームを発症していない、従って、本明細書において上述したメタボリックシンドロームの存在についての上記の基準、好ましくはWHOによる基準、より好ましくはEGIRによる基準、最も好ましくはNCEP(ATP III)による基準を満たさない被験体である。従って、被験体は、メタボリックシンドロームを有しないことになる。
「メタボリックシンドロームに関連する治療」という用語は、好ましくはメタボリックシンドロームを改善し治療する目的の治療レジメンを含む。そのような治療レジメンは当技術分野で公知である。また、メタボリックシンドロームの発症の予防を目的とした治療レジメンも想定される。好ましくは、治療レジメンには、生活習慣の変更及び医薬の投与がある。しかしながら、減量を可能にする外科処置レジメン、好ましくは胃バンディング術(腹腔鏡調節性胃バンディングとしても知られる)も想定される。本発明において好ましい生活習慣の変更は、定期的な運動、カロリー制限、減量、ナトリウム摂取の低減、アルコール摂取の低減、及び禁煙である。特に、過体重(及び低アディポネクチン量)の被験体は体重減少に集中すべきである。
投与する医薬は、好ましくはメタボリックシンドロームを構成する個々の障害、例えば脂質異常症、高血圧及び高血糖などを治療することができる医薬である。かかる医薬は当技術分野で公知である。メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体に投与すべき好ましい医薬は、脂質低下医薬(好ましくは脂質異常症の治療を目的としたもの)、βアドレナリン遮断薬、利尿薬、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(好ましくは高血圧の治療を目的としたもの)、インスリン増感剤、例えば塩酸メトホルミン及びチアゾリジンジオン(thiazolidinedone)(例えばグリタゾン、メジオン(medione)、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)(好ましくは高血糖の治療を目的としたもの)、並びにアルドステロンアンタゴニスト、好ましくはスピロノラクトン及びエプレレノンからなる群より選択される。メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体に好ましく投与される他の医薬は、αグルコシダーゼ阻害剤、アンギオテンシンII 1型受容体遮断薬、DPP-IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤)及びエンドカンナビノイドである。
脂質低下薬は当業者に公知である。具体例には、フィブラート(例えば、ベンゾフィブラート、クロフィブラート、エトフィブラート、エトフィリン、クロフィブラート、フェノフィブラート、ジェムフィブロジル)、ニコチン酸及びその類似体(例えば、ニコチン酸、アシピモクス)、スタチン(例えば、シムバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン)、陰イオン交換樹脂(例えば、コレスチラミン、コレスチポール)、プロブコール及びシトステロールが含まれる。本発明において好ましい脂質低下薬はスタチンである。
ACE阻害剤は当業者に公知である。具体例には、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル及びトランドラプリルが含まれる。
βアドレナリン遮断薬(非選択的及びβ1選択的)は当業者に公知である。具体例には、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、ソタロール、タニロロール及びチモロールが含まれる。
「プロインスリン」という用語は当技術分野で周知である。本明細書において用いるこの用語は、好ましくは、インスリンの前駆体である一本鎖ポリペプチドに関する。プロインスリンは、膵臓β細胞において合成され、続いて酵素により切断されて、プロインスリン分子内のインスリンのA鎖とB鎖を連結するC-ペプチドと共にインスリンが循環中に放出する。プロインスリンの配列は哺乳動物種において高度に保存されており、IGF-1及びIGF-2と相同性がある。好ましくは「プロインスリン」という用語はヒトプロインスリンに関する。好ましくは、プロインスリンという用語はまたプロインスリンの変異体も含む。プロインスリンの量を測定する方法は当技術分野で周知である(例えば、Houssa P. et al.: First direct assay for intact human proinsulin. Clinical Chemistry, 44(7): 15414-1519 (1998);又はLinde S. et al. Chromatogr., 548(1-2): 371-380 (1991)参照)。
本発明において、プロインスリン量を測定する代わりに、C-ペプチドの量を測定することも想定される。
アディポネクチンは、脂肪細胞により分泌されるポリペプチド(公知の複数のアジポサイトカインの1つ)である。アディポネクチンは、血漿中で広範囲の多量体複合体で存在し、そのコラーゲンドメインを介して結合して3つの主要なオリゴマー形態、すなわち低分子量(LMW)三量体、中分子量(MMW)六量体、及び高分子量(HMW)12〜18量体を生成する(Kadowaki et al.(2006) Adiponectin and adiponectin receptors in insulin resistance, diabetes, and metabolic syndrome. J Clin Invest. 116(7): 1784-1792、Rexford S. Ahima, Obesity 2006;14:242S-249S)。アディポネクチンは、アテローム性動脈硬化に対する防御作用、インスリン感受性の改善、及び肝繊維症の予防などのいくつかの生理学的作用を有することが報告されている。
本明細書において使用するアディポネクチンは、好ましくは低分子量アディポネクチン、中分子量アディポネクチン、より好ましくは総アディポネクチン、最も好ましくは高分子量(HMW)アディポネクチン(12〜18量体アディポネクチン、好ましくは18量体アディポネクチン)に関する。高分子量アディポネクチン、中分子量アディポネクチン及び総アディポネクチンという用語は当業者により理解されている(Kadowaki,前掲、その全体を参照により本明細書に組み入れる)。好ましくはアディポネクチンはヒトアディポネクチンである。「アディポネクチン」という用語はまたアディポネクチンの変異体を含むことが好ましい。種々のアディポネクチンの量を測定する方法は当技術分野で周知である。アディポネクチンの測定方法は、例えばUS 2007/0042424 A1及びWO/2008/084003号に開示されている。さらに、アディポネクチンポリペプチドの配列は当技術分野で周知であり、例えばWO/2008/084003号(その全体を参照により本明細書に組み入れる)に開示されている。
「レチノール結合タンパク質4」という用語は、本明細書においてRBP4又はレチノール結合タンパク質とも称し、当業者に周知である。この用語はまた、RBP4の変異体を包含する。この用語は、ヒトRBP4に関することが好ましい。RBP4は、リポカリンのポリペプチド及びメンバーであり、レチノールに結合することができる。「レチノール結合タンパク質4」という用語はまた、レチノール結合タンパク質の変異体を含むことが好ましい。具体的には、RBP4は、レチノールを肝臓から末梢組織へと移送する。RBP4の配列、及びRBP4の量を測定する方法は、当技術分野で周知である(配列に関しては、例えばGenbankアクセッション番号NM_006744.3(核酸配列)/NP_006735.2(タンパク質配列)参照)。
本発明において、変異体は、少なくとも、特定のポリペプチド(それぞれRBP4、プロインスリン、アディポネクチン、ナトリウム利尿ペプチド及びCRP)と同じ本質的な生物学的及び免疫学的性質を有していることが好ましい。特に、それらの変異体は、本明細書で言及している同一の特定のアッセイ、例えばその特定のポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いたELISAアッセイ、で検出可能な場合には、同じ本質的な生物学的及び免疫学的性質を有する。好ましいアッセイについては添付の実施例中に記載されている。さらに、本発明に関して記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/若しくは付加によって異なるアミノ酸配列を有しており、その際、該変異体のアミノ酸配列は、好ましくは、特定のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%同一である。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は当技術分野で周知のアルゴリズムによって決定することができる。好ましくは、同一性の程度は2つの最適にアライメントさせた配列を比較ウインドウにわたって比較することによって決定され、その際、比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は最適なアライメント用の参照配列(付加若しくは欠失を含んでいない)と比較して、付加若しくは欠失(例えば、ギャップやオーバーハング)を含んでいてもよい。パーセンテージは2つの配列の双方で同一のアミノ酸残基が存在する位置の数から一致している位置の数を求め、一致している位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で割り、その解に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith及びWatermannのローカルホモロジーアルゴリズム(Add. APL. Math. 2:482(1981))によって、Needleman及びWunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443(1970))によって、Pearson及びLipmanの類似性探索法(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:2444(1988))によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、及びTFASTA)によって、又は目視による検討によって行うことができる。比較のために2つの配列が同定されている場合は、GAP及びBESTFITを用いてそれらの最適なアライメントを決定することによって、同一性の程度を求めることが好ましい。好ましくは、ギャップウエイトについてのデフォルト値が5.00であり、ギャップウエイトレングスについてのデフォルト値が0.30である。上記変異体は、アレル変異体、又は他の任意の種の特定のホモログ、パラログ若しくはオーソログであってもよい。さらに、本明細書に記載の変異体は、特定のポリペプチド又は上述のタイプの変異体の断片を、それらの断片が上述の本質的な免疫学的及び生物学的性質を有するものである限り、含んでいる。そのような断片は、例えばポリペプチドの分解産物であることができる。翻訳後の修飾、例えばリン酸化又はミリスチル化などにより異なる変異体がさらに含まれる。
本発明に関して記載するポリペプチドは、ヒトポリペプチドに関することが好ましい。
「サンプル」という用語は、体液のサンプル、分離した細胞のサンプル、又は組織若しくは器官からのサンプルを意味する。体液のサンプルは周知の技術によって得ることができ、そのようなサンプルとしては、好ましくは、血液、血漿、血清、又は尿のサンプル、より好ましくは、血液、血漿、又は血清のサンプルが挙げられる。最も好ましくは、サンプルは血清である。組織又は器官のサンプルは任意の組織又は器官から、例えば生検によって得ることができる。分離した細胞は、体液又は組織若しくは器官から、遠心分離又は細胞ソーティングなどの分離技術によって得ることができる。好ましくは、細胞、組織又は器官のサンプルは本明細書で記載するペプチドを発現又は産生する細胞、組織又は器官から得られたものである。
本明細書に記載のRBP4(レチノール結合タンパク質4)、プロインスリン、アディポネクチン、又は任意の他のペプチド若しくはポリペプチドの量の測定は、その量又は濃度を、好ましくは半定量的又は定量的に測定することに関する。測定は、直接的又は間接的に行うことができる。直接的な測定は、ペプチド又はポリペプチド自体から得られ、その強度がサンプル中に存在するペプチド分子数と直接相関するシグナルに基づいて、ペプチド又はポリペプチドの量又は濃度を測定することに関する。(強度シグナルとして本明細書に記載されることもある)そのようなシグナルは、例えばペプチド又はポリペプチドの特定の物理的又は化学的な特性の強度値を測定することによって得ることができる。間接的な測定は、二次成分(即ちペプチド若しくはポリペプチドそれ自体ではない成分)又は生物学的な読み取り系、例えば測定可能な細胞応答、リガンド、標識若しくは酵素反応生成物から得られるシグナルの測定を含む。
本発明においては、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチドの量を測定するためのあらゆる公知の手段によって行うことができる。この手段は、種々のサンドイッチ、競合又は他のアッセイ形式において標識した分子を利用することができるイムノアッセイのデバイス及び方法を含む。該アッセイは、ペプチド又はポリペプチドの存在又は非存在を示すシグナルを生成する。さらにシグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量と直接的に又は間接的に(例えば反比例で)相関するものである。別の好適な方法は、正確な分子量又はNMRスペクトル等のペプチド又はポリペプチドに特有な物理的又は化学的な特性を測定することを含む。該方法は、好ましくは、バイオセンサ、イムノアッセイと連結した光学装置、バイオチップ、質量分析計、NMR分析器又はクロマトグラフィー装置等の分析装置を含む。さらに方法としては、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全に自動化又はロボット化したイムノアッセイ(例えばElecsysTM分析器を利用できる)、CBA(酵素的コバルト結合アッセイ法(enzymatic Cobalt Binding Assay)、例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)、及びラテックス凝集アッセイ(例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)が挙げられる。
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、(a)細胞応答の強度がペプチド又はポリペプチドの量を示す細胞応答を誘導することができる細胞に、該ペプチド又はポリペプチドを適切な時間にわたり接触させる工程と、(b)その細胞応答を測定する工程を含む。細胞応答を測定するためには、好ましくは、サンプル又は処理したサンプルを、培養細胞に加え、内部又は外部の細胞応答を測定する。その細胞応答としては、測定可能なレポーター遺伝子の発現、又はペプチド、ポリペプチド若しくは小分子等の物質の分泌が挙げられる。その発現又は物質は、ペプチド又はポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生じる。
また好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチド又はポリペプチドから得られる特有な強度シグナルを測定する工程を含む。上記のように、このようなシグナルは、質量スペクトルで観察されるペプチド若しくはポリペプチドに特有な変化量m/z、又はペプチド若しくはポリペプチドに特有なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度であってもよい。
ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)該ペプチドを特定のリガンドに接触させる工程、(b)(任意に)非結合リガンドを除去する工程、(c)結合リガンドの量を測定する工程を含んでもよい。その結合リガンドは、強度シグナルを生じる。本発明において、結合は、共有結合及び非共有結合を含む。本発明において、リガンドは、任意の化合物、例えば本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドに結合する、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は小分子でありうる。好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、例えば、該ペプチド又はポリペプチドに対する受容体又は結合パートナー、及び該ペプチドに対する結合ドメインを含むそれらの断片、並びに核酸又はペプチドアプタマー等のアプタマーがある。このようなリガンドを調製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、好適な抗体又はアプタマーの同定及び作製は、市販の業者からも提供される。当業者は、より高い親和性又は特異性をもつ前記リガンドの誘導体を開発する方法に精通している。例えば、ランダム変異を核酸、ペプチド又はポリペプチドに導入することができる。これらの誘導体の結合は、例えばファージディスプレイ法等の当技術分野で知られるスクリーニング法により試験することができる。本明細書において記載する抗体は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、並びに抗原又はハプテンに結合することができるFv、Fab及びF(ab)2フラグメント等のそのフラグメントも含む。本発明はまた、一本鎖抗体、及び所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列をヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせたヒト化ハイブリッド抗体も含む。ドナー配列は通常、少なくとも抗原に結合するドナーのアミノ酸残基を含むが、他の構造的及び/又は機能的に関連性のあるドナー抗体のアミノ酸残基を含んでもよい。このようなハイブリッドは、当技術分野で周知の種々の方法により調製することができる。好ましくは、リガンド又は薬剤がペプチド又はポリペプチドに特異的に結合する。本発明において、特異的な結合は、そのリガンド又は薬剤が、分析対象サンプル中に存在する他のペプチド、ポリペプチド又は物質に、実質的に結合する(「交差反応する」)べきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合するペプチド又はポリペプチドは、関連のある他のどのペプチド又はポリペプチドよりも、少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合するべきである。非特異的な結合も、例えばウェスタンブロットにおけるそのサイズに従って、又はサンプル中に相対的に多量に存在することによって、明確に区別し測定できる場合は、許容できることもある。リガンドの結合は、当技術分野で公知のあらゆる方法によって測定することができる。好ましくは、該方法は、半定量的又は定量的である。好適な方法については、以下に記載する。
第一に、リガンドの結合は、例えばNMR又は表面プラズモン共鳴によって、直接測定することができる。
第二に、リガンドが、対象とするペプチド又はポリペプチドの酵素活性の基質としても機能する場合は、酵素反応生成物を測定することができる(例えばプロテアーゼの量は、例えばウェスタンブロットで、切断された基質の量を測定することによって測定することができる)。あるいは、リガンドが酵素特性自体を示す場合があり、「リガンド/ペプチド若しくはポリペプチド」複合体、又はペプチド若しくはポリペプチドそれぞれと結合するリガンドを、強度シグナルの発生によって検出可能となる好適な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のために、好ましくは基質の量は飽和している。基質は、反応前に検出可能な標識で標識化してもよい。好ましくは、サンプルを適切な時間にわたり、基質と接触させる。適切な時間は、検出可能な、好ましくは測定可能な量の生成物が生成されるのに必要な時間を表す。生成物の量を測定する代わりに、所定の(例えば検出可能な)量の生成物が現れるために必要な時間を測定することができる。
第三に、リガンドの検出及び測定を可能とする標識に、リガンドを共有結合又は非共有結合により結合させることができる。標識は、直接的又は間接的な方法により行うことができる。直接的な標識は、リガンドに標識を直接(共有結合又は非共有結合により)結合させることを含む。間接的な標識は、一次リガンドに二次リガンドが(共有結合又は非共有結合により)結合することを含む。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合するべきである。二次リガンドは、好適な標識と結合する及び/又はその二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(受容体)となることができる。二次、三次又はより高次のリガンドの使用は、シグナルを増強するために用いられる場合が多い。好適な二次及び高次のリガンドとしては、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が挙げられる。リガンド又は基質は、当技術分野で公知の一種以上のタグで「タグ標識」してもよい。このようなタグは、より高次のリガンドの標的となってもよい。好適なタグとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、A型インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質等が挙げられる。ペプチド又はポリペプチドの場合は、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端にある。好適な標識は、適切な検出法によって検出可能な全ての標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(例えば、常磁性及び超常磁性標識等の「磁性ビーズ」)、及び蛍光標識がある。酵素活性標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びその誘導体が挙げられる。検出のための好適な基質としては、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnosticsの既製のストック溶液として利用できる、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)がある。好適な酵素と基質の組み合わせによって、当技術分野で公知の方法により(例えば、感光膜又は好適なカメラシステムを用いて)測定可能な着色反応生成物、蛍光又は化学発光が生じることになる。酵素反応の測定に関しては、上で規定した基準を同様に適用する。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えばGFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン及びAlexa色素(例えばAlexa 568)が挙げられる。別の蛍光標識は、例えばMolecular Probes(Oregon)から入手可能である。蛍光標識として量子ドットの使用も想定される。典型的な放射性標識としては、35S、125I、32P、33P等が挙げられる。放射性標識は、感光膜又はホスファーイメージャー(phosphor imager)等の適切な周知の方法によって検出することができる。本発明において好適な測定法には、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気的に生成された化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫法、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増感ランタニド蛍光イムノアッセイ(dissociation-enhanced lanthanide fluoro immuno assay (DELFIA))、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、ネフェロメトリ、ラテックスにより増感される比濁法若しくはネフェロメトリ、又は固相免疫法も含まれる。当技術分野で公知の別の方法(例えばゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE))、ウェスタンブロッティング及び質量分析法)は、単独で、又は上記の標識化若しくは他の検出法と組み合わせて用いることができる。
本明細書で用いられる用語「量」は、ポリペプチド又はペプチドの絶対量、該ポリペプチド又はペプチドの相対量若しくは濃度、並びにこれに関連する又はこれから導かれるあらゆる値又はパラメータを包含する。そのような値又はパラメータには、直接的な測定によって前記ペプチドから得られる全ての特有の物理的又は化学的な特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルの強度値が含まれる。さらに、本明細書の各所で特定される間接的な測定により得られる全ての値又はパラメータ、例えば、ペプチドに対する応答として生物学的読み取り系で測定される応答レベル、又は特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。上記の量又はパラメータと相関する値は、全ての標準的な数学的手法によっても得られることは理解されるべきである。
本明細書で用いる用語「比較する」は、分析対象のサンプルに含まれるペプチド又はポリペプチドの量を、本明細書中の他の箇所で説明する好適な参照源の量と比較することを含む。本明細書で用いる比較とは、対応するパラメータ又は値の比較を意味し、例えば絶対量は絶対参照量と比較するが、濃度は参照濃度と比較し、あるいは試験サンプルから得られる強度シグナルは参照サンプルの同種の強度シグナルと比較すると理解される。本発明の方法のステップ(b)に記載の比較は、手動で又はコンピュータによって行うことができる。コンピュータによる比較については、測定した量の値を、コンピュータプログラムによって、データベース中に格納されている適切な参照に対応する値と比較することができる。コンピュータプログラムはさらに比較結果を評価することができる、すなわち、適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供することができる。ステップ(a)で測定した量と参照量との比較に基づいて、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であるか、すなわちメタボリックシンドロームに関連する治療の適用によって治療が成功しうる被験体の群に属するかどうかを評価することができる。従って、参照量は、比較される量との相違(差)又は類似性のいずれかによって、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体の群に属する試験被験体を同定するか、又はメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではない試験被験体を同定することができるように、選択される。
従って、本発明書において使用する「参照量」という用語は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定することができる量を意味する。それゆえ、参照は、(i)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることがわかっている被験体、又は(ii)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないことがわかっている被験体のいずれかから導くことができる。さらに、本発明において、RBP4、プロインスリン及びアディポネクチンの参照量はそれぞれ、RBP4、プロインスリン及びアディポネクチンの閾値量を規定するものであってもよく、それにより各閾値より多い量のRBP4及びプロインスリン、並びに閾値より少ない量のアディポネクチンは、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を示す。一方、閾値量より少ない量のRBP4及びプロインスリン、並びに閾値量より多い量のアディポネクチンは、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではない被験体を示す。個々の被験体に適用できる参照量は、種々の生理学的パラメーター、例えば年齢、性別、又は部分集団、並びに本明細書に記載のポリペプチド若しくはペプチドの測定に用いられる手段によって変わりうる。適切な参照量は、本発明の方法により、分析しようとする参照サンプルと共に(すなわち同時に又は順次的に)試験サンプルから決定することができる。閾値となりうる好ましい参照量は、正常値の上限(ULN)、すなわち、メタボリックシンドロームに関連する治療を必要としない被験体集団において見出される生理学的な量の上限値から導くことができる。所与の被験体集団のためのULNは種々の周知の技術によって決定することができる。適切な技術は、本発明の方法で測定するペプチド又はポリペプチドの量について、集団の中央値を求めることでありうる。
本発明において記載するRBP4の閾値量を規定する参照量は、好ましくは47 mg/l、より好ましくは41 mg/ml、よりさらに好ましくは43 mg/lである。
本発明において記載するプロインスリンの閾値量を規定する参照量は、好ましくは2.8 pmol/l、より好ましくは2.0 pmol/l、よりさらに好ましくは2.2 pmol/lである。
本発明において記載するアディポネクチン、特に高分子量アディポネクチンの閾値量を規定する参照量は、好ましくは2.0μg/ml、より好ましくは2.4μg/ml、よりさらに好ましくは2.8μg/ml、又は3.0μg/mlである。
この参照量よりも少ない量のアディポネクチン、並びにRBP4及びプロインスリンについてはこの参照量より多い量のRBP4及びプロインスリンは、好ましくは、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体であることを示す。
上記参照量よりも多い量のアディポネクチン、並びにRBP4及びプロインスリンについては上記参照量より少ない量のRBP4及びプロインスリンは、好ましくは、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではない被験体であることを示す。当然、前記患者は、本明細書において上述した生活習慣の変更による利益を依然として享受するものであってもよい。
上記基準((a) 参照よりも少ないアディポネクチン、参照量よりも多いRPB4及びプロインスリン、又は(b) 参照よりも多いアディポネクチン、参照量よりも少ないRPB4及びプロインスリン)を満たさない被験体は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であるかどうかについて決定するために注意深くモニターすべきである。例えば、マーカーは、一定の間隔で、好ましくは6ヶ月又は1年の間隔で、再度測定すべきである。
本発明の基礎となる研究において、有利にも、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を信頼性をもって同定するためには、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量の測定が必要であることが見い出された。メタボリックシンドローム(種々の異なる基準が提唱されている)を評価し、そのリスクを評価することは非常に困難であるため、メタボリックシンドロームに関連する治療が必要な被験体を同定することも困難である。
本発明では、種々のマーカー(RBP4、高分子量アディポネクチン、プロインスリン、NT-proBNP及びCRP)を、メタボリックシンドロームを有する被験者及び有しない被験者において測定した(実施例を参照のこと)。一般的に、プロインスリン及びRBP4(並びにCRP及びNT-proBNP)の量はメタボリックシンドロームを有しない個体のサンプルよりもメタボリックシンドロームを有する個体のサンプルにおいて多く、アディポネクチンの量はメタボリックシンドロームを有しない個体のサンプルよりもメタボリックシンドロームを有する個体のサンプルにおいて少ない(図1参照)。
興味深いことに、メタボリックシンドロームを有しない個体群の一部は、プロインスリン及びRBP4量が上昇しており、アディポネクチン量が低下している。このことはメタボリック治療の必要性を示している。これらは、メタボリックシンドロームを発症するリスク及び/又はその続発症を患うリスクがあるため、メタボリックシンドロームに関連する治療から利益を享受すると思われる患者である。また、メタボリックシンドロームを有するが、プロインスリン及びRBP4量の上昇を示さず、アディポネクチンの低下を示さない患者も存在した。これらは、メタボリックシンドロームに関連する治療で過剰に処置されている(結果として、例えば医療費が増大する)患者である。
従って、メタボリックシンドロームを発症した全ての患者がメタボリックシンドロームに関連する治療を必ずしも必要とするわけではない(本明細書において低リスク患者という)一方で、メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康な患者の一部(メタボリックシンドロームの基準を満たさない患者)は、メタボリックシンドロームに関連する治療の利益を享受するだろう(本明細書において、高リスク患者という。従って将来的に心血管系疾患/障害、糖尿病、腫瘍を発症するリスクが特に高い患者である)。
本発明を適用した場合、本発明は、(a)従来の方法によりメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体とは同定されていないが、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能である被験体(特にメタボリックシンドロームに関して見かけ上健康である被験体、高リスク群の被験体)の同定が可能となり、そして(b)以前に多くの治療を行った、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないメタボリックシンドロームを有する被験体の同定が可能となる(特にいわゆる低リスク群の被験体)。
従って、患者が特定の治療を受容可能ではないことが明らかとなった場合には、時間及び/又はコストがかかる治療を回避することができる。そのため、メタボリックシンドロームに関連する治療に付随する可能性のある有害な副作用から被験体を予防することに加えて、本発明の方法は、資源を節約するという点で医療制度にとって有益である。
好ましくは、本発明の方法は、被験体のサンプル(好ましくは血液、血清又は血漿サンプル)中のナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRP(C反応性タンパク質)の量を測定するステップと、ナトリウム利尿ペプチドの測定量をナトリウム利尿ペプチドの適当な参照量、及び/又はCRPの量と比較するステップをさらに含む。この量は、本明細書で記載する他のポリペプチドの量を異なるサンプル(例えば第2又は第3サンプル)において測定する/測定した場合に同じサンプルにおいて測定することができる。また、RBP4、プロインスリン、アディポネクチン、上記ナトリウム利尿ペプチド及びCRPの同時測定も想定している。
上で記載した追加的なマーカーの測定は、好ましくは、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体の同定について感度及び特異性を高めるだろう。
本発明においてナトリウム利尿ペプチドは、ANP型及びBNP型ペプチド、並びにそれらの変異体を含む(例えば、Bonow, R.O. (1996). New insights into the cardiac natriuretic peptides. Circulation 93: 1946-1950を参照されたい)。
ANP型ペプチドはpre-proANP、proANP、NT-proANP、ANP及びそれらの変異体を含む。
BNP型ペプチドはpre-proBNP、proBNP、NT-proBNP、BNP及びそれらの変異体を含む。
プレプロペプチド(pre-proBNPの場合には134アミノ酸)は短いシグナルペプチドを含み、これは酵素により切断されてプロペプチド(proBNPの場合には108アミノ酸)を遊離する。このプロペプチドは更に切断されてN末端プロペプチド(NT-proBNPの場合には76アミノ酸のNT-プロペプチド)及び活性ホルモン(BNPの場合には32アミノ酸、ANPの場合には28アミノ酸)となる。
本発明において好ましいナトリウム利尿ペプチドはNT-proANP、ANP、NT-proBNP、BNP及びそれらの変異体である。ANP及びBNPは活性ホルモンであり、それらに対応するそれぞれの不活性対応物であるNT-proANP及びNT-proBNPより短い半減期を有する。したがって、対象の時間経過に応じて、活性形態又は不活性形態の測定が有利となりうる。本発明において最も好ましいナトリウム利尿ペプチドはBNP型ペプチド及びその変異体、特にNT-proBNP及びその変異体である。
CRP(本明細書中、C反応性タンパク質とも称する)は、75年以上も前に肺炎球菌のC多糖に結合する血液タンパク質であることが発見されている急性期タンパク質である。CRPは、反応性炎症マーカーとして知られ、原発病変部位を起源とするケモカイン又はインターロイキンに応答して又は反応して遠位の器官(すなわち肝臓)により産生される。CRPは、5つの単一サブユニットからなり、これらは非共有結合し、分子量約110〜140kDaを有する環状五量体として集合している。好ましくは、本明細書で使用するCRPはヒトCRPに関する。ヒトCRPの配列は周知であり、例えばWoo et al.(J. Biol. Chem. 1985. 260 (24), 13384-13388)により開示されている。CRPのレベルは、正常個体において通常は低いが、炎症、感染又は損傷によって100〜200倍又はそれ以上に上昇しうる(Yeh (2004) Circulation. 2004; 109:II-11〜II-14)。CRPは心血管系リスクの独立した予測因子であることが知られている。特に、CRPは、心筋梗塞、卒中、末梢動脈疾患及び突然心臓死の予測因子として好適であることが示されている。さらに、CRP量の上昇は、急性冠症候群(ACS)を有する被験体及び冠動脈治療介入を受けた被験体における再発性虚血及び死亡を予測しうる。冠動脈性心疾患のリスクがある患者において、専門家パネル(例えば米国心臓協会)によりCRPの測定が推奨されている(Pearson et al. (2003) Markers of Inflammation and Cardiovascular Disease. Circulation, 107: 499-511も参照のこと)。CRPという用語はまたそれらの変異体にも関する。
好ましくは、被験体のサンプル中のCRP量は、高感度のCRPアッセイを用いて測定する。そのようなアッセイにより測定されるCRPは高感度CRP(hsCRP)と呼ばれることが多い。hsCRPアッセイは、例えば心疾患のリスクを予測するために使用されている。好適なhsCRPアッセイは当技術分野で公知である。本発明において特に好ましいhsCRPアッセイは、検出限界が0.1mg/lであるRoche/Hitachi CRP (Latex) HS試験である。
ナトリウム利尿ペプチドの参照量は、本明細書において上述したように得ることができる。本明細書において言及するナトリウム利尿ペプチド、特にNT-proBNPの閾値量を規定する参照量は、好ましくは70 pg/ml、より好ましくは120 pg/ml、最も好ましくは100 pg/mlである。
CRPの参照量は、本明細書において上述したように得ることができる。本明細書において言及するCRPの閾値量を規定する参照量は、好ましくは3.0 mg/l、より好ましくは4.0 mg/l、最も好ましくは5.0 mg/lである。
ナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの量の測定により、被験体の分類、従って特定の治療レジメンについてのさらなる決定を行うための分類が可能となる。
好ましくは、参照量よりも多い量(ナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの参照量よりも多い量、ナトリウム利尿ペプチド及びCRPの両方を測定する場合には、ナトリウム利尿ペプチド及びCRPの参照量よりも多い量)のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)及び/又はCRPは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることをさらに示す/確認する。ただし、RBP4、プロインスリン及びアディポネクチンの量も被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることを示しているものとする(上記参照)。この場合、参照よりも多い量のナトリウム利尿ペプチドに関して、治療の1つの焦点は、好ましくは、心疾患及び障害の治療に好適な医薬、好ましくはACE阻害剤、スタチン及びβアドレナリン遮断薬の投与となることが理解されよう。好ましくは、CRP量が参照よりも多い場合、治療の1つの焦点は、薬物治療、好ましくは抗炎症薬(NSAIDなど)及び/又は脂質低下薬(例えばスタチン)による薬物治療となる。
好ましくは、参照量よりも少ない量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)及び/又はCRPは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないことをさらに示す/確認する。ただし、RBP4、プロインスリン及びアディポネクチンの量も被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないことを示しているものとする。
本発明の方法の好ましい実施形態において、本方法は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するためのものであり、
(a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
(b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
(c)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するステップと
を含み、前記被験体は、メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康であり、(i)アディポネクチンの参照量よりも少ない量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも多い量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも多い量のプロインスリンは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることを示す。
本明細書の上で説明するように、前記方法はまた、ナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの測定ステップを含んでもよい。
本発明の方法の別の好ましい実施形態において、本方法により、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではない被験体を同定することが可能であり、
(a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
(b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
(c)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではない被験体を同定するステップと
を含み、前記被験体は、メタボリックシンドロームを既に発症しており、(i)アディポネクチンの参照量よりも多い量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも少ない量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも少ない量のプロインスリンは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないことを示す。
本明細書の上で説明するように、上述した方法は、ナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの測定ステップをさらに含んでもよい。
上に示す定義は、以下にも準用する。
さらに本発明は、見かけ上健康である被験体において、メタボリックシンドロームを発症するリスク(及び/又は腫瘍疾患、心血管系疾患、糖尿病及び脂肪肝疾患からなる群より選択されるメタボリックシンドロームの続発症を発症するリスク)を予測する方法であって、
(a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
(b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
(c)メタボリックシンドロームの発症リスク(及び/又はメタボリックシンドロームの続発症の発症リスク)を予測するステップと
を含む方法に関する。
用いる「予測する」という用語は、将来のある規定期間の窓(予測窓)内に、メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康な被験体がメタボリックシンドロームを発症する(及び/又はその続発症を発症する)確率を評価することを意味する。予測窓とは、被験体がメタボリックシンドロームを発症する期間である。予測窓は、本発明の方法による分析時の、被験体の残りの全寿命とすることができる。しかし、好ましくは、予測窓は、本発明の方法を実施した後(本発明の方法によって分析するサンプルが得られた後、とすることがより好ましくかつ正確である)、6ヶ月、又は1、2、3、4、5若しくは10年間の期間である。当業者であれば理解されようが、このような評価は通常は分析しようとする被験体の100%について正しいものとなることは意図していない。しかし、この用語は、分析対象の被験体のうちの統計学的に有意な一部について妥当であることを要する。ある一部が統計学的に有意であるかは、当業者であれば、追加の労力なく、様々な周知の統計評価ツール、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン-ホイットニー検定などを用いることによって決定することができる。それらの詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に記載されている。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.l、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。好ましくは、所与のコホートの被験体のうちの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%について、本発明で意図する確率により正しい予測を行うことができる。
本明細書で用いる「メタボリックシンドロームの発症リスクを予測する」という用語は、本発明の方法で分析される被験体を以下のいずれかに割り当てることをいう:正常、すなわちメタボリックシンドロームの発症リスクが上昇していない集団の被験体群、又は有意にそのリスクが上昇した被験体群。本発明において言及するリスクの上昇とは、既定の予測窓内でメタボリックシンドロームを発症するリスクが、ある被験体について、本明細書で規定する被験体のメタボリックシンドロームの平均リスクの点で有意に上昇していることを意味する。平均リスクは、年齢及び性別によって異なることが理解されよう。好ましくは、3年間という予測窓について平均リスクは0.5%から3.0%の範囲内、好ましくは2.0%である。本明細書で用いているリスクの上昇とは、3年間という予測窓で、好ましくは3.0%超のリスク、好ましくは5.0%超、よりさらに好ましくは10%超、最も好ましくは3.0%〜15%のリスク、又はさらに15%超のリスクに関する。所定のリスクは、成人被験体、好ましくは20歳を超える被験体のコホートに基づくことが好ましい。
マーカーであるRBP4、プロインスリン及びアディポネクチンの好ましい参照量は本明細書において上で示している。
好ましくは、(i)アディポネクチンの参照量よりも少ない量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも多い量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも多い量のプロインスリンは、被験体にメタボリックシンドロームの発症リスク(及び/又は上記続発症の発症リスク)があることを示す。
好ましくは、(i)アディポネクチンの参照量よりも多い量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも少ない量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも少ない量のプロインスリンは、被験体にメタボリックシンドロームの発症リスク(及び/又は上記続発症の発症リスク)がないことを示す。
上記基準((a) 参照よりも少ないアディポネクチン、参照量よりも多いRPB4及びプロインスリン、又は(b) 参照よりも多いアディポネクチン、参照量よりも少ないRPB4及びプロインスリン)を満たさない他の被験体は、好ましくはそのリスクを予測するために注意深くモニターすべきである(上記もまた参照のこと)。
好ましい実施形態において、上述した本発明の方法は、各被験体のサンプル中のナトリウム利尿ペプチド(好ましくはNT-proBNP)及び/又はCRP(C反応性タンパク質)の量を測定するステップと、前記量を適当な参照量と比較するステップをさらに含む。ナトリウム利尿ペプチド及びCRPの好ましい参照量は本明細書において上で示している。好ましくは、各参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPは、被験体がメタボリックシンドロームを発症するリスクがある/リスクが高いことをさらに示す/確認する(ただし、他の測定したマーカーの量も被験体にリスクがあることを示しているものとする)。一方、参照量より少ない量のナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPは、被験体がメタボリックシンドロームの発症リスクがないことをさらに示す/確認する。
メタボリックシンドロームを発症するリスクがある被験体はまた、メタボリックシンドロームに高頻度で関連する疾患(メタボリックシンドロームの続発症)、好ましくは心血管系疾患、糖尿病、特に2型糖尿病、腫瘍疾患及び脂肪肝疾患を発症するリスクもあることが理解されよう。
従って、特定の実施形態において、本発明の方法は、好ましくは見かけ上健康である被験体において、腫瘍疾患、心血管系疾患、糖尿病及び脂肪肝疾患からなる群より選択されるメタボリックシンドロームの少なくとも1つの続発症を発症するリスクを予測する方法であって、
(a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
(b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
(c)メタボリックシンドロームの少なくとも1つの続発症の発症リスクを予測するステップと
を含む方法に関する。
上述した方法は、好ましくは、被験体のサンプル中のナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの量を測定するステップと、こうして測定した量をナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの参照量と比較するステップをさらに含む。
好ましい参照量は本明細書において上で示している。
本発明において、糖尿病は、好ましくは2型糖尿病に関する。糖尿病の定義は当業者に公知であり、診断基準は、世界保健機関(WHO)により1985年及び1999年に、また米国糖尿病協会(ADA)により1997年に確定されている。これらの規定の1以上に従って基準を満たす患者は2型糖尿病患者とみなされる。糖尿病患者は、WHOの1999年基準により規定されることが好ましい。2型糖尿病は成人発症型糖尿病又は非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)としても知られている。2型糖尿病は、脂肪症が付随してもよいし(2a型)、又は脂肪症が付随しなくてもよい(2b型)。別のタイプの糖尿病は、例えば遺伝子欠陥、膵臓外分泌腺の疾患、内分泌障害、及び化学物質若しくは医薬物の影響により生じる。2型を患う被験体は、内因性インスリン分泌機能の一定のレベルを保持する。しかしながら、インスリンレベルはインスリン抵抗性及びグルコースレベルの程度と比較して低い。2型糖尿病は、好ましくは空腹時血中グルコースレベルを測定することにより評価することができる。好ましくは、空腹時血中グルコース又は血清グルコース濃度が125 mg/dL(6.94 mmol/L)を超える場合には、2型糖尿病を示す。さらに、2型糖尿病は、当技術分野で周知の耐糖能試験を実施して評価することもできる。好ましくは、(一晩空腹後に)75 gのグルコース摂取の2時間後に血漿1dL当たり200 mg以上のグルコースである血糖値は、2型糖尿病を示す。耐糖能試験において、10〜12時間の空腹後に試験対象の患者に75 gのグルコースを経口投与し、グルコース摂取の直前とグルコース摂取の1及び2時間後に血糖値を記録する。血中グルコースの測定方法は当技術分野で周知である。
腫瘍疾患は当技術分野で公知である。好ましくは、腫瘍疾患は、以下からなる群より選択される:神経芽細胞腫、腸癌、例えば直腸癌、結腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス及び遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、食道癌、***癌、喉頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、未分化甲状腺癌、腎癌、腎実質癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛癌、膵癌、前立腺癌、精巣癌、乳癌、特にERBB2 (赤芽球性白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ2)陽性乳癌、膀胱癌、メラノーマ、脳腫瘍、例えば膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽腫及び末梢神経外胚葉性腫瘍、肝細胞癌、胆嚢癌、気管支癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽腫、脈絡膜メラノーマ、セミノーマ、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫及び形質細胞腫。種々のタイプの癌が当技術分野で公知であり、神経芽細胞腫、腸癌、例えば直腸癌、結腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス及び遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、食道癌、***癌、喉頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、未分化甲状腺癌、腎癌、腎実質癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛癌、膵癌、前立腺癌、精巣癌、乳癌、膀胱癌、メラノーマ、脳腫瘍、例えば膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽腫及び末梢神経外胚葉性腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、成人T細胞白血病リンパ腫、肝細胞癌、胆嚢癌、気管支癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽腫、脈絡膜メラノーマ、セミノーマ、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫及び形質細胞腫を含む。より好ましくは、腫瘍疾患は、肺、結腸、膵臓、胃、前立腺及び卵巣の癌からなる群より選択される。
脂肪肝疾患は、肝臓脂肪症と称されることも多く、脂質が肝臓細胞に蓄積した場合に起こる高頻度に見られる肝臓の状態である。脂質の蓄積は細胞の損傷を生じうる。本発明において、脂肪酸肝疾患は、好ましくは大空胞変性(macrovesicular steatosis)又は微小空胞変性である。本明細書で用いる「脂肪肝疾患」という用語は、好ましくは非アルコール性脂肪肝疾患に関する。
「心血管系疾患」という用語は当技術分野で公知である。本明細書において用いるこの用語は、好ましくは、心臓の正常な機能を損なう、心臓又は心臓に供給する血管の構造的又は機能的異常に関連する障害又は疾患状態に関する。本発明において心血管系疾患は、好ましくは冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、心筋症、動脈硬化、高血圧、狭心症及び鬱血性心不全からなる群より選択される。
さらに本発明は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するためのデバイスであって、(i)被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それによりメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体が同定される手段とを備えるデバイスに関する。
また本発明は、被験体、好ましくはメタボリックシンドロームに関して見かけ上健康な被験体が、メタボリックシンドローム(及び/又はメタボリックシンドロームの続発症)を発症するリスクがあるかどうかを予測するためのデバイスであって、(i)被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それにより被験体にメタボリックシンドローム(及び/又はメタボリックシンドロームの続発症)の発症リスクがあるかどうかが予測される手段とを備えるデバイスを想定している。
本明細書で用いる用語「デバイス」は、予測を可能とするために、互いが動作可能となるよう連結された少なくとも上記の手段を備える手段からなるシステムに関する。プロインスリン、RBP4及びアディポネクチンの量を測定するための好ましい手段、並びに比較を行うための好ましい手段は、本発明の方法に関連して上に開示されている。動作しうるように手段を連結する方法は、デバイスに含まれる手段の種類に応じて変わる。例えば、ペプチドの量を自動的に測定するための手段を適用する場合には、その自動的に作動する手段により得られるデータを、所望の結果を得るために、例えばコンピュータプログラムによって処理することができる。好ましくは、そのような場合、その手段は単一のデバイスによって構成される。従って該デバイスは、アプライされるサンプル中のペプチド又はポリペプチドの量の測定について解析するユニット、及び評価のためにその得られたデータを処理するコンピュータユニットを備えることができる。あるいは、テストストリップのような手段をペプチド又はポリペプチドの量を測定するために使用する場合には、比較のための手段は、対照ストリップ、又は測定量を参照量に割り当てる表を含んでもよい。テストストリップは、好ましくは、本明細書で説明するペプチド又はポリペプチドと特異的に結合するリガンドと組み合わせられる。ストリップ又はデバイスは、好ましくは該ペプチド又はポリペプチドと該リガンドとの結合を検出するための手段を含む。検出のための好ましい手段は、上記の本発明の方法に関する実施形態と関連して開示されている。そのような場合、その手段は動作可能なように連結され、システムの使用者はその量の測定結果と説明書に定められる指示及び解釈によりその予測値を結びつける。その手段は、かかる実施形態で個々のデバイスとして存在してもよく、好ましくはキットとして一緒にパッケージングされる。当業者は、さらなる苦労をすることなくその手段を連結する方法を理解することができる。好ましいデバイスは、専門の臨床医の特別な知識がなくても適用することができるものであり、例えば、単にサンプルを付加すればよいテストストリップ又は電子デバイスである。結果は、臨床医による解釈を必要とする未加工データのアウトプットとして得ることができる。しかし好ましくは、デバイスのアウトプットは、その解釈にあたり臨床医を必要としないように処理された、即ち評価された未加工データである。さらに好ましいデバイスは、分析ユニット/デバイス(例えば、バイオセンサ、アレイ、本明細書に記載の種々のマーカーを特異的に認識するリガンドと結合した固体支持体、表面プラズモン共鳴装置、NMR分光装置、質量分析装置等)、又は本発明の方法における上記の評価ユニット/デバイスを備える。
さらに本発明は、メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定する方法を実施するためのキットであって、前記方法を実施するための説明書と、(i)被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それによりメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体が同定される手段とを備えるキットに関する。
また本発明は、被験体、好ましくはメタボリックシンドロームに関して見かけ上健康な被験体において、メタボリックシンドローム(及び/又はメタボリックシンドロームの続発症)を発症するリスクを予測する方法を実施するためのキットであって、前記方法を実施するための説明書と、(i)メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康な被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それにより被験体にメタボリックシンドローム(及び/又はメタボリックシンドロームの続発症)の発症リスクがあるかどうかが予測される手段とを備えるキットを想定している。
本明細書で使用される「キット」という用語は、前述の手段の集合を指し、別々に又は単一容器内で提供されることが好ましい。キットの成分は別々のバイアルで(すなわち別の部分のキットとして)構成され得るか、又は単一バイアルで提供され得る。さらに、本発明のキットは本明細書で上で記載した方法を実践するために使用されるべきであることが理解されよう。好ましくは、全ての成分は、上に記載の方法を実施するために即時使用可能に提供されることが想定される。さらに、キットは前記方法を実施するための説明書を含むことが好ましい。説明書は、紙又は電子形式でユーザマニュアルによって提供され得る。例えば、マニュアルは、本発明のキットを用いて前述の方法を実施する際に得られた結果を解釈するための説明を含み得る。
上述した本発明に係るキット及びデバイスは、好ましくは、ナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の量及び/又はCRPの量を測定する手段、並びにナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の量及び/又はCRPの量を適当な参照量と比較する手段をさらに備えてもよいことが理解されるだろう。
本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体の開示内容及び本明細書で特別に言及された開示内容について、参照により本明細書に組み入れられる。
以下の実施例は本発明を単に説明するにすぎず、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
[実施例1]
合計2656人の無作為選択した被験者から得られた血清サンプル、及びインスリン抵抗性の欧州研究グループ(EGIR、44 pmol/lより多い血清インスリンと、以下の基準のうち2つ:30 kg/m2より高いBMI、2 mmol/lより多い血清トリグリセリド又は1 mmol/lより少ないS-HDL、6.1 mmol/lより多いグルコース、収縮期140 /拡張期90 mm Hgより高い血圧)に従ってメタボリックシンドロームを有する356人の被験者の血清サンプルにおいて、高分子量アディポネクチン、レチノール結合タンパク質4、プロインスリン、CRP及びNT-proBNPを測定した。HMWアディポネクチンは、アディポネクチン(多量体)EIAキット(Alpco Diagnostics, Salem, USA カタログ番号47-ADPH-9755)を用いて測定し、RBP4はレチノール結合タンパク質(RBP)/RBP4 ELISAキット(Immundiagnostik, Bensheim, Germany)を用いて測定し、プロインスリンはヒトインタクトプロインスリンELISAキット(Biovendor GmbH, Heidelberg Germany カタログ番号RD193094100)を用いて測定した。
メタボリックシンドロームを有する患者と有しない患者における種々のバイオマーカーに統計学的有意差があることが示された(表1参照)。
Figure 2011521248
一般的に、プロインスリン及びRBP4の量はメタボリックシンドロームを有しない個体のサンプルよりもメタボリックシンドロームを有する個体のサンプルにおいて多く、アディポネクチンの量はメタボリックシンドロームを有しない個体のサンプルよりもメタボリックシンドロームを有する個体のサンプルにおいて少ない。しかし、このデータはまた、メタボリックシンドロームを有する患者群とメタボリックシンドロームを有しない患者群との間で、個体基準で重複があることも示している。従って、メタボリックシンドロームを有しない個体群の一部は、プロインスリン及びRBP4量が上昇しており、アディポネクチン量が低下している。このことはメタボリック治療の必要性を示している。これらは、メタボリックシンドロームを発症するリスク及び/又はその続発症を患うリスクがあるため、メタボリックシンドロームに関連する治療から利益を享受すると思われる患者である。また、メタボリックシンドロームを有するが、プロインスリン及びRBP4量の上昇を示さず、アディポネクチンの低下を示さない患者も存在した。これらは、メタボリックシンドロームに関連する治療で過剰に処置されている(結果として、例えば医療費が増大する)患者である。
従って、メタボリックシンドロームに関する公知の基準は、メタボリックシンドロームに関連した全ての代謝障害を評価するためには十分ではない。そのため、メタボリックシンドロームを有する被験者の一部集団は、必要な処置よりも多くの処置を受けることになり、一方で見かけ上健康であるが特定のメタボリックシンドロームに関連する治療を要する一部集団はメタボリックシンドロームの基準を当てはめただけでは処置されないことになる。
メタボリックシンドロームを有する患者群の中央値は、CRPに関して2.8 mg/l、アディポネクチンに関して2.4μg/l、RPB4に関して42.65 mg/l、プロインスリンに関して2.14 pmol/lであった。メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康である被験者群の中央値よりも、CRP、RBP4,及びプロインスリンの中央値は高く、またアディポネクチンの中央値は低い。(メタボリックシンドロームを有しない群の中央値は、アディポネクチン3.59μg/ml、RBP4 37.11 mg/l、プロインスリン1.48 pmol/l、CRP 1.46 mg/lである。図1も参照のこと)。
しかし、見かけ上健康な被験者を含む群の一部の個体は、CRP、RBP4、NT-proBNP及びプロインスリン量の上昇と、アディポネクチン量の低下を示し、このことは、これらの被験者がメタボリックシンドロームを発症する又はその続発症を患うリスクが上昇していることを示す。メタボリックシンドローム群では、一部の個体はCRP、RBP4、プロインスリン、アディポネクチン及びNT-proBNPの正常レベルを示し(健康な被験者群の中央値と同じ又はほぼ同じ)、このことは、これらの個体が(メタボリックシンドロームを患ってはいるが)メタボリックシンドロームの続発症を発症するリスクが上昇していないことを示す。
本発明の方法によって、これらの一部集団の信頼性ある同定が可能となる。
[実施例2]
過体重(ボディマスインデックス:30)であり、メタボリックシンドロームの基準(ATP-III/NCEP基準による。わずかに上昇した血圧、経口グルコース負荷試験による空腹時血漿グルコースの上昇)を満たす52歳の男性患者が主治医を受診する。この患者は、減量とACE阻害剤及びスタチンによる治療の開始が有益であるかどうかを知ることを希望している。この患者から得た血清サンプル中で、バイオマーカーであるプロインスリン(1.5 pmol/l)、RBP-4(38 mg/dl)及びHMWアディポネクチン(3.1μg/ml)を測定する。これらのデータに基づいて、医師は、患者が減量すべきであると勧める。しかし、スタチン及びACE阻害剤による治療は開始すべきではない。6ヶ月後、患者のボディマスインデックスは30.5である。さらにアディポネクチンレベルは最初の測定と比べて上昇し、RBP-4及びプロインスリンレベルは変化しないままである。
[実施例3]
既知の冠動脈性疾患を有しない56歳の男性患者(ボディマスインデックス:26)が主治医を受診する。この患者は、正常血圧、6.1 mmol/l以下(すなわち上昇していない)空腹時血漿グルコースにより示されるように、メタボリックシンドロームを有していない。コレステロールレベルのみがわずかに上昇している。この患者から得た血清サンプル中で、バイオマーカーであるプロインスリン(3.2 pmol/l)、RBP-4(65 mg/dl)及びHMWアディポネクチン(2.75μg/ml)を測定する。これらのデータに基づいて、医師は日常の食事においてコレステロールを減らすことによってコレステロールレベルを低下することを勧める。
何らの症候もなく2年後に、患者は***症により主治医を受診する。***症は高頻度で2型糖尿病と関連するため、空腹時血漿グルコースを測定する。この結果は、この患者が血漿グルコースの上昇を有することを示す。糖尿病(2型)が診断される。

Claims (15)

  1. メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定する方法であって、
    (a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質4(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
    (b)ステップ(a)で測定したアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの参照量と比較するステップと、
    (c)メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するステップと
    を含む方法。
  2. メタボリックシンドロームに関連する治療が、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤、利尿薬の投与、脂質低下薬の投与、塩酸メトホルミンの投与、チアゾリジンジオンの投与、及びアンギオテンシン受容体遮断薬の投与からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 被験体がメタボリックシンドロームに関して見かけ上健康である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 被験体がメタボリックシンドロームを有する、請求項1又は2に記載の方法。
  5. (i)アディポネクチンの参照量よりも少ない量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも多い量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも多い量のプロインスリンは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることを示す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (i)アディポネクチンの参照量よりも多い量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも少ない量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも少ない量のプロインスリンは、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能ではないことを示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. アディポネクチンの参照量が2.8μg/lであり、アディポネクチンが高分子量アディポネクチンであり、RBP4の参照量が43 mg/lであり、プロインスリンの参照量が2.2 pmol/lである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. サンプルが、血液、血漿又は血清サンプルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 被験体のサンプル中のナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRP(C反応性タンパク質)の量を測定するステップと、こうして測定した量をナトリウム利尿ペプチド及び/又はCRPの1又は複数の適当な参照量と比較するステップをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. NT-proBNPの参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド、及び/又はCRPの参照量よりも多い量は、被験体がメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能であることをさらに示す、請求項9に記載の方法。
  11. ナトリウム利尿ペプチドがNT-proBNPであり、NT-proBNPの参照量が100 pg/mlであり、CRPの参照量が4.0 mg/lである、請求項9又は10に記載の方法。
  12. メタボリックシンドロームに関して見かけ上健康である被験体においてメタボリックシンドロームを発症するリスクを予測する方法であって、
    (a)被験体のサンプル中のアディポネクチン、レチノール結合タンパク質(RBP4)及びプロインスリンの量を測定するステップと、
    (b)ステップ(a)で測定した量を、アディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの適当な参照量と比較するステップと、
    (c)メタボリックシンドロームの発症リスクを予測するステップと
    を含む方法。
  13. (i)アディポネクチンの参照量よりも少ない量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも多い量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも多い量のプロインスリンは、被験体にメタボリックシンドロームの発症リスクがあることを示し、(i)アディポネクチンの参照量よりも多い量のアディポネクチン、(ii)RBP4の参照量よりも少ない量のRBP4、及び(iii)プロインスリンの参照量よりも少ない量のプロインスリンは、被験体にメタボリックシンドロームの発症リスクがないことを示す、請求項12に記載の方法。
  14. メタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体を同定するためのデバイスであって、(i)被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それによりメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体が同定される手段とを備えるデバイス。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキットであって、前記方法を実施するための説明書と、(i)被験体のサンプル中のアディポネクチン、RBP4及びプロインスリンの量を測定する手段と、(ii)前記量を適当な参照量と比較し、それによりメタボリックシンドロームに関連する治療を受容可能な被験体が同定される手段とを備えるキット。
JP2011509963A 2008-05-20 2009-05-19 メタボリックシンドロームを有する患者及び有しない患者のリスク分析 Pending JP2011521248A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP08156545.9 2008-05-20
EP08156545 2008-05-20
PCT/EP2009/056082 WO2009141352A2 (en) 2008-05-20 2009-05-19 Risk analysis in patients with and without metabolic syndrome

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011521248A true JP2011521248A (ja) 2011-07-21

Family

ID=39561718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011509963A Pending JP2011521248A (ja) 2008-05-20 2009-05-19 メタボリックシンドロームを有する患者及び有しない患者のリスク分析

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20110033941A1 (ja)
EP (1) EP2279418A2 (ja)
JP (1) JP2011521248A (ja)
WO (1) WO2009141352A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016045185A (ja) * 2014-08-25 2016-04-04 真理 船木 メタボリックシンドローム発症の危険性の予測方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3944864B1 (ja) * 2006-07-31 2007-07-18 株式会社J−オイルミルズ メタボリックシンドロームの予防および改善用組成物
CA2736722A1 (en) * 2008-09-11 2010-03-18 F.Hoffmann-La Roche Ag Natriuretic peptides and adiponectin in subjects with a metabolic syndrome
WO2010052334A1 (en) * 2008-11-10 2010-05-14 F. Hoffmann-La Roche Ag Relevance of intestinal adipocyte function in type 1 diabetes
RU2444298C1 (ru) * 2010-07-15 2012-03-10 Учреждение Российской академии медицинских наук Научный центр клинической и экспериментальной медицины Сибирского отделения РАМН (НЦКЭМ СО РАМН) Способ диагностики метаболического синдрома
JP5711951B2 (ja) * 2010-12-07 2015-05-07 ライオン株式会社 アディポネクチン及び/又はインスリンの測定方法
CN115219705B (zh) * 2022-07-14 2023-04-07 中国医学科学院北京协和医院 生物标志物在库欣综合征诊断中的应用

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2071333B1 (en) 2003-10-15 2012-04-18 Sekisui Medical Co., Ltd. Method of selectively assaying adiponectin multimers
US8026345B2 (en) 2007-01-08 2011-09-27 Hoffmann-La Roche Inc. Characterization and identification of unique human adiponectin isoforms and antibodies

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016045185A (ja) * 2014-08-25 2016-04-04 真理 船木 メタボリックシンドローム発症の危険性の予測方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20110033941A1 (en) 2011-02-10
EP2279418A2 (en) 2011-02-02
WO2009141352A3 (en) 2010-01-21
WO2009141352A2 (en) 2009-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11719710B2 (en) GDF-15 and/or troponin T for predicting kidney failure in heart surgery patients
JP6615848B2 (ja) 異常な短縮率(fractional shortening)を持つ患者の同定
JP2011523051A (ja) 1型糖尿病におけるバイオマーカーとしてのgdf−15
JP2011521248A (ja) メタボリックシンドロームを有する患者及び有しない患者のリスク分析
JP5419968B2 (ja) 心臓治療を必要とする個体におけるl−fabp、ナトリウム利尿ペプチド及び心筋トロポニン
JP5606438B2 (ja) 抗血管新生療法を受容可能な被験体の同定
JP2012525571A (ja) 適切な治療を必要とする個体において心不全関連腎臓損傷を診断するための手段及び方法
JP2011528798A (ja) 抗血管形成療法のモニター
WO2014072471A1 (en) Ntprobnp and ctnt based therapy guidance in heart failure
WO2015028469A2 (en) Marker for statin treatment stratification in heart failure
US20110159600A1 (en) Natriuretic peptides and adiponectin in subjects with a metabolic syndrome
EP2291660A1 (en) Means and methods for determining the arteriosclerotic stenosis using inflammatory biomarkers
DK2533653T3 (en) Homoarginine AS A biomarker of MORTALITY RISK
EP2090891A1 (en) Means and methods for determining the atherosclerotic load using the biomarker PLGF
US8440463B2 (en) Predicting renal failure in diabetes patients based on placental growth factor and soluble FLT-1
US20110207629A1 (en) Predicting cardiovascular events and renal failure in type 1 diabetics
JP2011523072A (ja) 1型糖尿病を有する患者の合併症の評価
WO2010146182A1 (en) Method for monitoring the effect of ace inhibitor therapy on peripheral insulin resistance
WO2010018123A1 (en) Retinol binding protein 4 as a marker of peripheral insulin resistance in type 1 diabetes
WO2010125161A1 (en) Means and methods for the differentiation of cardiac and diabetes mellitus-based causes of kidney damage
EP2508890A1 (en) CAIX based diagnosis of heart failure
WO2010145880A1 (en) Means and methods for diagnosing a diabetes mellitus associated kidney damage in individuals in need of a suitable therapy
WO2010060738A1 (en) Rbp4 as a marker in type 1 diabetes patients

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110119