JP2011513434A - キメラC3様Rhoアンタゴニストによる骨治療 - Google Patents

キメラC3様Rhoアンタゴニストによる骨治療 Download PDF

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Abstract

治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与することにより、治療を要する対象の骨障害を治療する方法が開示される。

Description

(関連出願の相互参照)
本明細書は2008年3月7日に出願された米国仮特許出願第61/034,668号の利益を主張するものであり、参照によりその内容全体が本明細書に取り込まれる。
本発明は、医学と細胞生物学分野に属する。特に、本発明はRhoアンタゴニストによる骨細胞、および骨折および骨粗鬆症などの骨障害の治療に関する。
骨格の機械的な健全性の維持は骨再形成に依存する。骨の恒常性には骨芽細胞、破骨細胞、および骨細胞が主な細胞として関与し、これらは骨細胞および他の細胞および組織から分泌される一群のサイトカインの制御下にある。骨格の維持には骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の間に十分に調整されたバランスが求められる。
破骨細胞は、骨再形成において決定的な役割を果たす骨を吸収する主要な細胞である。刺激を受けた骨芽細胞は破骨前駆細胞を破骨細胞に転換し、破骨細胞が融合して形成した巨大破骨細胞が骨を溶解する。破骨細胞は、F−アクチンおよびその他の細胞骨格タンパク質からなる「ポドソーム」と呼ばれる特殊な分離構造を介して骨表面に接着する。骨吸収の開始に先行して破骨細胞内でアクチン環が形成され、骨吸収の明帯と正確に対応する末梢領域にポドソ−ムの環構造が出現する。
骨芽細胞と破骨細胞との共役作用は、多数の局所および血中のホルモンおよび因子の作用で制御されている。骨吸収が骨形成を超えるなどで作用の脱共役がもし起こると、骨量減少、骨粗鬆症への進行、および脆弱性骨折が結果として引き起こされることもある。
各種の病態は、外傷の結果として発生する骨形成の必要性が特徴であり、損傷した骨構造の適切かつ完全な回復のために十分な骨形成活性がきわめて重要となる。骨粗鬆症を予防する療法は存在するものの、これらの療法では骨形成を改善または増強する能力は限られている。したがって、骨形成を刺激することにより骨量に正の影響を及ぼす薬剤に大きな関心が持たれている。
一態様において、本発明は骨細胞中のRhoタンパク質を調整する方法であることを特徴とする。この方法は骨細胞とRhoタンパク質の発現または活性レベルを調節するRhoアンタゴニストとを接触させることを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、骨細胞は骨再形成細胞、たとえば骨芽細胞または骨芽前駆細胞である。他の実施形態では、骨再形成細胞は破骨細胞または破骨前駆細胞である。
別の態様では、本発明は対象の骨形成を促進または刺激する方法であることを特徴とし、この方法は治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって対象の骨形成を促進または刺激することを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.01pg/kg体重から約1mg/kg体重、たとえば、約0.01pg/kg体重から約0.01mg/kg体重、約0.01ng/kg体重から約0.01mg/kg体重、または約0.01μg/kg体重から約0.01mg/kg体重の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1nMから1M、たとえば、約1μMから100mM、約0.1mMから約100mM、約0.1mMから約10mM、または約0.1mMから2mMの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約10mM、約50mM、約75mM、約100mM、または約500mMの濃度で投与される。
他の実施形態では、この方法はRhoアンタゴニストを1つ以上の追加薬剤、たとえば上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGFs)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病抑制因子(LIF)、インスリン様成長因子(IGFs)、骨形成タンパク質、オステオゲニン(osteogenin)、NaF、エストロゲン、ビスフォスフォネート、および/またはカルシトニンと組み合わせて投与することを含む。
いくつかの実施形態では、対象は骨損傷を有する。ある実施形態では、骨損傷は骨折である。他の実施形態では、骨損傷は脊柱損傷である。さらに他の実施形態では、骨損傷は転移性の腫瘍から起こる骨量減少である。
別の態様では、本発明は対象の骨損傷の治療法であることを特徴とし、この方法は治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって対象の骨損傷を治療することを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.01pg/kg体重から約1mg/kg体重、たとえば、約0.01pg/kg体重から約0.01mg/kg体重、約0.01ng/kg体重から約0.01mg/kg体重、または約0.01μg/kg体重から約0.01mg/kg体重の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1nMから1M、たとえば、約1μMから100mM、約0.1mMから約100mM、約0.1mMから約10mM、または約0.1mMから約2mMの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約10mM、約50mM、約75mM、約100mM、または約500mMの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、骨損傷は骨折である。他の実施形態では、骨損傷は脊柱損傷である。さらに他の実施形態では、骨損傷は転移性の腫瘍から起こる骨量減少である。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは骨損傷の部位に局所的に投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは組織シーラント、たとえば、フィブリンシーラントを用いて局所的に投与される。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.001μg/cm3組織から約50μg/cm3組織の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.0001μg/cm3組織から約100μg/cm3組織の用量で投与される。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1μg/cm3組織から約10μg/cm3組織の用量で投与される。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約50μg/cm3組織の用量で投与される。
ある実施形態では、Rhoアンタゴニストはフィブリンシーラント中に約1μgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、フィブリンシーラントはTISSEEL(登録商標)である。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは薬剤溶出医療装置を用いて骨組織に直接投与される。
他の実施形態では、この方法はRhoアンタゴニストを1つ以上の追加薬剤、たとえば上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGFs)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病抑制因子(LIF)、インスリン様成長因子(IGFs)、骨形成タンパク質、オステオゲニン、NaF、エストロゲン、ビスフォスフォネート、および/またはカルシトニンと組み合わせて投与することを含む。
さらに別の態様では、本発明は骨芽前駆細胞を刺激して骨芽細胞に分化させる方法であることを特徴とし、この方法は骨芽前駆細胞とRhoアンタゴニストとを接触させ、それによって前駆細胞の分化を刺激することを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明は対象の骨吸収を阻害する方法であることを特徴とし、この方法はRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって骨吸収を阻害することを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.01pg/kg体重から約1mg/kg体重、たとえば、約0.01pg/kg体重から約0.01mg/kg体重、約0.01ng/kg体重から約0.01mg/kg体重、または約0.01μg/kg体重から約0.01mg/kg体重の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1nMから1M、たとえば、約1μMから100mM、約0.1mMから約100mM、約0.1mMから約10mM、または約0.1mMから約2mMの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約10mM、約50mM、約75mM、約100mM、または約500mMの濃度で投与される。
他の実施形態では、この方法はRhoアンタゴニストを1つ以上の追加薬剤、たとえば上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGFs)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病抑制因子(LIF)、インスリン様成長因子(IGFs)、骨形成タンパク質、オステオゲニン、NaF、エストロゲン、ビスフォスフォネート、および/またはカルシトニンと組み合わせて投与することを含む。
さらに別の態様では、本発明は対象の骨損傷の治療法であることを特徴とし、この方法は骨芽前駆細胞を得るステップ;前駆細胞をRhoアンタゴニストと接触させ、それによって前駆細胞の骨芽細胞への分化を刺激するステップ;および骨芽細胞を対象に移植するステップを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.01pg/kg体重から約1mg/kg体重、たとえば、約0.01pg/kg体重から約0.01mg/kg体重、約0.01ng/kg体重から約0.01mg/kg体重、または約0.01μg/kg体重から約0.01mg/kg体重の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1nMから1M、たとえば、約1μMから100mM、約0.1mMから約100mM、約0.1mMから約10mM、または約0.1mMから約2mMの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約10mM、約50mM、約75mM、約100mM、または約500mMの濃度で投与される。
別の態様では、本発明は対象の軟骨細胞分化を促進または刺激する方法であることを特徴とし、この方法は治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって対象の軟骨細胞分化を促進または刺激することを含む。
いくつかの実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である。他の実施形態では、RhoアンタゴニストはC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である。たとえば、この複合体はC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、この複合体は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.01pg/kg体重から約1mg/kg体重、たとえば、約0.01pg/kg体重から約0.01mg/kg体重、約0.01ng/kg体重から約0.01mg/kg体重、または約0.01μg/kg体重から約0.01mg/kg体重の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1nMから1M、たとえば、約1μMから100mM、約0.1mMから約100mM、約0.1mMから約10mM、または約0.1mMから約2mMの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約10mM、約50mM、約75mM、約100mM、または約500mMの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、対象は軟骨再生を必要としている。たとえば、対象は軟骨異形成症などの軟骨に関連する障害、または外傷またはたとえば関節リウマチまたは変形性関節症などの疾患により損傷した軟骨を有する。
いくつかの実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.001μg/cm3組織から約50μg/cm3組織の用量で投与される。他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約0.0001μg/cm3組織から約100μg/cm3組織の用量で投与される。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約1μg/cm3組織から約10μg/cm3組織の用量で投与される。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは約50μg/cm3組織の用量で投与される。
ある実施形態では、Rhoアンタゴニストはフィブリンシーラント中約1μgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、フィブリンシーラントはTISSEEL(登録商標)である。さらに他の実施形態では、Rhoアンタゴニストは薬剤溶出医療装置を用いて骨組織に直接投与される。
別の態様では、本発明は本明細書記載のRhoアンタゴニストおよびRhoアンタゴニストを骨障害、たとえば本明細書記載の骨障害の治療に用いるための指示を含むキットであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、このキットは骨障害治療用の追加の治療薬を含む。
別の態様では、本発明は本明細書記載の骨障害を治療する薬物の製造におけるRhoアンタゴニストの使用であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、この薬物は骨障害治療用の追加の治療薬を含む。
本発明の前述および他の目的、本発明の様々な特徴、および本発明それ自体は、以下の説明を添付図面と合わせて読むとより完全に理解できるであろう。
図1は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、ラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物によるチミジン取り込みをグラフで表したものである。 図2Aは、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、ラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物の顕微鏡写真を表したものである。 図2Bは、対照または種々濃度のクエン酸緩衝液で処理した後の、ラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物の顕微鏡写真を表したものである。 図3は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、MCT3T−E1骨芽細胞様培養物によるチミジン取り込みをグラフで表したものである。 図4は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、活発に増殖しているラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物によるチミジン取り込みをグラフで表したものである。 図5Aは、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、活発に増殖しているラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物の顕微鏡写真を表したものである。 図5Bは、対照または種々濃度のクエン酸緩衝液で処理した後の、活発に増殖しているラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物の顕微鏡写真を表したものである。 図6は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)および種々量のFCSで処理した後の、ラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞の初代培養物によるチミジン取り込みをグラフで表したものである。 図7は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、マウス骨髄培養物から生じた破骨細胞の数をグラフで表したものである。 図8は、対照または種々濃度のCethrin(登録商標)で処理した後の、マウス骨髄培養物の顕微鏡写真を表したものである。
本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図しない。別に定義しない限り、本明細書において用いられるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書記載のものと類似または同等の方法および材料が本発明の実施または試験に使用可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。
本発明はRhoアンタゴニストを用いた骨障害の治療に関する。
(定義)
便宜的に、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において用いられる特定の用語がここに収集される。別に定義しない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技能を有する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における語群もしくは用語に与えられる最初の定義は、特に断りがない限り、本明細書を通じて個別にまたは他の語群の一部として、その語群もしくは用語に対して適用される。
本明細書で「1つの(a)」および「1つの(an)」の冠詞は、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)のその冠詞がついた目的語を指すために用いる。例として、「1つの要素(an element)」は1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
本明細書で「または(or)」という用語は、文脈上明白な断りがない限り、「および/または(and/or)」という用語を意味し、同義的に用いられる。
本明細書で「約(about)」という用語は、与えられた数値の−または+20%の値を意味するために用いられる。したがって、「約60%」は60−(60の20%)と60+(60の20%)(すなわち、48から70の間)の値を意味する。
本明細書で「単離された」という用語は、自然に存在する状態を超えて精製された状態を意味するために用いられる。たとえば、単離された化合物は実質的に細胞物質もしくはその化合物が由来した細胞からの他の混入物質を含まない、または化学合成された時に実質的に化学的前駆体もしくは他の化学物質を含まない状態でありえる。いくつかの実施形態では、細胞からの混入物質、または化学的前駆体を約50%未満(乾燥重量にて)有する化合物の調製物は、実質的に純粋であるとみなされる。他の実施形態では、細胞からの混入物質、または化学的前駆体を約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、約1%(乾燥重量にて)未満有する化合物の調製物は、実質的に純粋であるとみなされる。
本明細書で用いられる「Rhoアンタゴニスト」という用語は、直接的または間接的にRho GTPアーゼの活性を阻害する、および/またはRho GTPアーゼポリペプチドの発現レベルを減少させる薬剤を意味する。
本明細書で用いられる「C3ポリペプチド」という用語は、ADP−リボシルトランスフェラーゼC3ポリペプチドを指す。細胞外酵素C3トランスフェラーゼは、選択的にRhoをリボシル化して不活性にするADPリボシルトランスフェラーゼである。このようなC3ポリペプチドは当技術分野において知られており、たとえばボツリヌス菌(Clostridium Botulinum)、クロストリジウム・リモサム(Clostridium limosum)、セレウス菌(Bacillus cereus)または黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のC3ポリペプチドを含む。「C3ポリペプチド」という用語は、組み換え型のADP−リボシルトランスフェラーゼC3ポリペプチドもまた含む。
本明細書で用いられる「C3様ポリペプチド」という用語は、ADP−リボシルトランスフェラーゼC3ポリペプチドに類似(たとえば実質的に類似または同一)の生物活性を有する任意のポリペプチドを指す。「C3様ポリペプチド」は、RhoをADP−リボシル化する能力を保持したC3ポリペプチドの類縁体および誘導体を含む。通常は、この用語は天然のC3ポリペプチド配列および構造を有し、C3様ポリペプチドがC3ポリペプチドの活性、たとえばADP−リボシル化活性を保持する限りで、天然ポリペプチドと比較して1つ以上のアミノ酸が付加、置換および/または欠失したポリペプチドを指す。C3様ポリペプチドは変異C3ポリヌクレオチド配列から作製できる。C3様ポリペプチドの例は、たとえば米国特許出願第11/643,940号および同第11/808,733号記載のものを含む。
本明細書で「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は同義的に用いられる。
本明細書で用いられる「複合体」という用語は、異種ポリペプチドに化学的に結合した第一のポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)、または異種ポリペプチドに融合した第一のポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)(たとえば融合タンパク質)を含むRhoアンタゴニストを意味する。
本明細書で用いられる「異種ポリペプチド」という用語は、第一のポリペプチドとは異なるポリペプチドである。
「骨細胞」という用語は、骨の形成、維持および恒常性、再形成、および構造健全性に関与する細胞を指す。骨細胞の例は、限定されないが、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞(osteocyte、 すなわち休眠状態の骨芽細胞)、および骨芽前駆細胞を含む。
「骨再形成」という用語は、コラーゲンおよびカルシウム塩の基質である類骨の形成、維持および恒常性、再形成、および構造の健全性を含み、第一に骨吸収(破骨細胞活性)、および第二にそれに反応した骨形成(骨芽細胞活性)に関する。「骨再形成」という用語は、通常の骨の恒常性維持および様々なストレス、外傷、損傷、および骨疾患(たとえば骨折、骨移植、歯周のびらん(periodontal erosion)に対応した骨の産生を指してもよい。
「骨再形成細胞」という用語は、コラーゲンおよびカルシウム塩の基質である類骨の形成、維持および恒常性、再形成、および構造の健全性に関与する細胞を指し、第一に骨吸収、および第二にそれに反応した骨形成に関する。骨再形成細胞の例は、限定されないが、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、および骨芽前駆細胞を含む。
「骨障害」もしくは「骨格障害」という用語は、骨格系の発達および/または構造に影響する任意の状態を指す。骨障害には、骨形成と骨吸収の比率の不均衡を生じ、たとえば、もし是正されなければ、対象は望ましい量よりも少ない骨量を示すか、もしくは対象の骨が望ましい状態よりも不完全および稠密でなくなるかもしれない任意の障害を含めることができる。骨障害は骨の障害、疾患、たとえば骨折、骨粗鬆症、変形性関節症などの状態または外傷、または癌を指すこともある。たとえば、骨障害は骨折、外科的処置、または歯科もしくは歯周疾患に起因することもある。これらの疾病は当技術分野において公知の様々な原因および症状を有する。骨障害は新生児から高齢の成人までいかなる年代の人にも発症しうる。しかし、ある年齢群ではある種の疾病により罹患しやすい。
本明細書で用いられる「前駆細胞」という用語は、分化することになっているが、通常は成熟して完全に分化した細胞としての標識または機能を発現しない細胞を指す。
「薬学的有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書記載の障害または状態を有する患者の治療に効果的な量(たとえば投与量)を指す。本明細書中では、「薬学的有効量」は、一回の投与量または任意の用量もしくは経路での摂取、単独または他の治療薬と組み合わせての摂取のいずれかで、望ましい治療効果を与える量と解釈することができるということもまた理解されるべきである。たとえば、「薬学的有効量」はRhoアンタゴニスト、たとえばC3もしくはC3様ポリペプチドが、たとえばRho活性、たとえばRho GTPアーゼの活性を阻害しうる量と理解することができる。
本明細書で用いられる「治療」または「治療すること」という用語は、統計的に有意な程度もしくは当業者に認められる程度のいずれかで、状態、症状、または障害もしくは状態に関連する数値を効果的に改善する、または障害もしくは状態の進行を効果的に防止もしくは抑制する量、方法、および/または様式で療法を施すことを指す。効果的な量、方法、または様式は対象によって変動可能で、また対象にあわせて調整してもよい。
本明細書で用いられる「対象」という用語は、治療を必要とする対象を意味する。たとえば、対象は哺乳類、たとえばヒトまたは非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、もしくはシカであってよい。
(Rhoアンタゴニスト)
本明細書記載の方法は、投与などのRhoアンタゴニストの使用に関する。Rhoアンタゴニストは低分子、タンパク質(たとえば抗体)、ペプチド、核酸、アプタマー、si(低分子干渉)RNA、またはRhoファミリーのメンバーに結合してRhoのシグナル経路を不活性化するか、またはRhoファミリーのメンバーの発現を抑制する任意の薬剤であってよい。
低分子量GTPアーゼであるRhoファミリーは、少なくとも26個の異なるタンパク質(たとえばBustelo et al., Bioessays 29:356−370, 2007を参照されたい)をコードするヒトの23個の遺伝子を含む。Rhoファミリーは、限定されないが、rho、rac、cdc42のほかRhoA、RhoB、およびRhoCといったアイソタイプを含む。Rhoファミリーのメンバーはよく特性化されている(たとえばTakei et al., Physiol. Rev. 81:153−208, 2001;Bishop et al., Biochem. J. 348:241−255, 2000;Johnson, Microbiol. Mol. Biol. Rev. 63:54−105, 1999;Wennerberg et al., J. Cell Sci. 117:1301−1312, 2004;Burridge et al., Cell 116:167−179, 2004を参照);またこれらの配列も公知である(たとえばChardin et al., Nucleic Acids Res. 16:2717, 1988;Yeramian et al., Nucleic Acids Res. 15:1869, 1987を参照されたい)。
場合によっては、RhoアンタゴニストはRho GTPアーゼの活性を調節するために使用される。Rho GTPアーゼの活性を調節するRhoアンタゴニストの量は当技術分野において知られた標準的な分析で測定できる(たとえば、Rojas et al., Comb. Chem. Hiah Throughput Screen. 6:409−418(2003)を参照されたい)。
(細菌タンパク質のアンタゴニスト)
本明細書記載の方法で有用なRhoアンタゴニストは、限定されないが、Rho阻害で知られる細菌タンパク質を含む。たとえば、C3トランスフェラーゼである細菌のADPリボシルトランスフェラーゼはRhoをリボシル化して不活性化させる(たとえば、Tominaga et al., Meth. Enzymol. 256:290−297, 1995;Boquet et al., Meth. Enzymol. 256:297−306, 1995;Lang et al., Meth. Enzymol. 256: 320−327, 1995;Stasia et al., Meth. Enzymol. 256:327−336, 1995を参照されたい)。C3ポリペプチドはボツリヌス菌、クロストリジウム・リモサム、セレウス菌または黄色ブドウ球菌由来のC3ポリペプチドを含む。任意の公知のC3ポリペプチドを本明細書記載の方法で使用できる。同様に、トキシンAおよびBなどのRho阻害活性に関連する他の細菌毒素も本明細書記載の方法でRhoアンタゴニストとして使用できる。
場合によっては、Rhoアンタゴニストは、たとえばC3ポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性な断片、C3様ポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性な断片、およびC3もしくはC3様ポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合タンパク質(たとえばC3ポリペプチドの融合タンパク質)を含む。
たとえば、限定するものではないがいくつかの場合には、RhoアンタゴニストはC3もしくはC3様ポリペプチド(またはそれらの生物学的に活性な断片)と異種ポリペプチドとを含む複合体である。いくつかの例では、異種ポリペプチドは複合体の細胞取り込みを促進する輸送剤である。典型的な複合体は、米国特許出願第11/643,940号および同第11/808,733号に記載されているが、これらに限定されない。
限定するものではないが他の典型的な複合体はBA−210(C3−11)融合タンパク質であり、米国特許出願第11/643,940号および同第11/808,733号の配列番号10として記載されている。BA−210は232個のアミノ酸で構成され、理論分子量は25,858ダルトンで、理論等電点(pI)は9.6である。BA−210はCethrin(登録商標)(BioAxone Therapeutic, Inc., Montreal, Canada)の医薬有効成分であり、プロリンに富むペプチド性輸送配列(peptidic transport sequence)のC3細胞外酵素配列への付加を通じて部分的に操作されている(Winton et al., J. Biol. Chem. 277:32820−32829, 2002を参照されたい)。BA−210の様々な類縁体および誘導体もまた本明細書記載の方法において有用である。
(アンチセンスとリボザイム)
本明細書記載の方法で有用な他のRhoアンタゴニストは核酸アンタゴニストで、RhoファミリーのメンバーをコードするmRNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス分子もしくは触媒核酸分子(たとえばリボザイム)を含む。アンチセンス構造は、RhoファミリーのメンバーをコードするcDNAコード配列もしくはmRNAの少なくとも一部の逆相補鎖、RhoファミリーのメンバーのcDNA、または遺伝子配列もしくはその隣接領域を含み、したがってmRNAにハイブリダイズすることができる。
導入された配列は完全長のcDNAまたは遺伝子またはそれらの逆相補鎖である必要はなく、形質転換される細胞タイプ内に見られる対応する配列と完全に相同である必要もない。アンチセンス分子は当技術分野において既知の技術を利用して作成できる(たとえばAgrawal, Methods in Molecular Biology, Humana Press Inc., 1993, Vol. 20(“Protocols for Oligonucleotides and Analogs”)を参照されたい)。
アンチセンス分子は、たとえばペプチド、ハイブリダイゼーションに誘発される架橋剤、輸送剤、アプタマー、またはハイブリダイゼーションに誘発される開裂剤などの他の分子と複合していてもよい。また、たとえば骨細胞などの細胞による分子の取り込みを増進する標的部分もまた含んでもよい。標的部分は、たとえば骨細胞などの細胞表面に存在する分子を認識する抗体もしくはその断片などの、特定の結合分子であってよい。
あるいは、Rhoアンタゴニストはリボザイム(高度に特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性を有する合成RNA分子)のような、触媒作用を有する核酸である。リボザイムの製造と使用については、たとえば米国特許第4,987,071号および米国特許第5,543,508号で開示されている。リボザイムは合成でき、細胞および対象に投与でき、または標的細胞内でリボザイムを合成させるための発現ベクターにコードできる(たとえば、国際公開公報第9523225号、およびBeigelman et al, Nucl. Acids Res. 23:4434−42, 1995を参照されたい)。触媒活性を有するオリゴヌクレオチドの例は、たとえば国際公開公報第9506764号および国際公開公報第9011364号、およびSarver et al., Science 247:1222−1225, 1990に記載されている。アンチセンスRNA中にリボザイム配列を含めることは、たとえば、アンチセンスRNAに結合した内因性mRNA分子が開裂し、次に増強された内因性遺伝子発現のアンチセンス阻害につながるRNA開裂活性をアンチセンスRNAに与えるために利用できる。
(RNA干渉)
Rhoファミリーのメンバーをコードする遺伝子の発現を抑制する二本鎖核酸分子は、Rhoアンタゴニストとして利用できる。RNA干渉(RNAi)は、目的の遺伝子(または翻訳領域)に対応する二本鎖RNA(dsRNA)を細胞または生体内に導入し、その結果対応するmRNAの分解を引き起こす転写後遺伝子サイレンシング機構である。RNA干渉の効果は、遺伝子発現が回復する前の複数回の細胞***にわたって持続する。すなわちRNAiはRNAレベルでの標的ノックアウトまたは「ノックダウン」を行うのに効果的な方法である。RNAiはヒト胎児由来腎臓細胞およびHeLa細胞を含むヒト細胞内で成功することが証明されている(たとえば、Elbashir et al., Nature 411:494−498,2001を参照されたい)。たとえば、遺伝子サイレンシングはヘアピン型RNAの内因性発現により、哺乳類細胞内で誘導することができる(Paddison et al., PNAS(USA) 99:1443−1448, 2002を参照されたい)。他の場合では、小さい(21−23ヌクレオチド(nt))dsRNAの形質移入は特異的に遺伝子発現を阻害する(Caplen, Trends in Biotechnol. 20:49−51, 2002で概説)。
簡潔にいえば、RNAiは次のように作用すると考えられる。抑制される遺伝子の一部に対応するmiRNA、プレ−miRNA(pre-miRNA)、プリ−miRNA(pri-miRNA)またはdsRNAが細胞内に導入される。dsRNAは消化されて21から23個のヌクレオチドであるsiRNA、すなわち低分子干渉RNAになる。二本鎖のsiRNAはヌクレアーゼ複合体と結合し、この結合体はRNA誘導サイレンシング複合体、すなわちRISCとして知られている。RISCは、siRNA鎖の一本と内因性mRNAとの間の塩基対形成相互作用により相同的転写を標的とする。次にRISCはmRNAをsiRNAの3’末端側から約12ヌクレオチドで開裂する(Sharp et al., Genes Dev. 15:485−490, 2001;およびHamMond et al., Nature Rev. Gen. 2:110−119, 2001で概説)。
遺伝子サイレンシングにおけるRNAi技術は標準的な分子生物学の方法を使用する。不活性化される標的遺伝子由来の配列に対応するdsRNAは標準的な方法、たとえばT7 RNAポリメラーゼを使用した鋳型DNA(標的配列に対応する)の両方の鎖の同時転写で作成できる。RNAiで使用するdsRNAの作成キットは、たとえばNew England Biolabs, Inc.から市販されている。dsRNA、またはdsRNAを産生するように操作されたプラスミドの形質移入の方法は当技術分野において慣用である。
RNAiの効果に類似した遺伝子サイレンシング効果が、mRNA−cDNAハイブリッド構築物を形質移入した哺乳類細胞において報告されており(Lin et al., Biochem. Biophys. Res. ComMun. 281:639−644, 2001を参照されたい)、遺伝子サイレンシングの他の方法として利用できる。治療におけるRNAiの適用は、たとえばShuey, Drug Discov. Today 7:1040−1046, 2002に記載されている。
(アプタマー)
場合によっては、RhoアンタゴニストはRhoファミリーのメンバーを標的とするアプタマーである。アプタマーはタンパク質リガンドに特異的に結合可能な三次構造を有する核酸分子である(たとえば、Osborne et al., Curr. Opin. Chem. Biol. 1:5−9, 1997;およびPatel, Curr. Opin. Chem. Biol. 1:32−46, 1997を参照されたい)。アプタマーはsiRNAまたはmiRNAと複合体を作ることもできる(国際公開第2007/143086号を参照されたい)。
Rhoを標的とするアプタマーは、選択された標的に結合するランダムに生成された核酸配列に対する、インビトロにおける自然選択様式を用いて作られてもよい。この方法は「SELEX」(すなわちSystematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)と名付けられている。SELEX法(以下、SELEXとする)および関連する応用は、たとえば米国特許第5,475,096号、米国特許第6,083,696号、米国特許第6,441,158号および米国特許第6,458,559号に記載されている。SELEX工程は核酸リガンドと呼ばれる部類の生産物を供給し、これらのリガンドは特異配列を有し、標的化合物または分子に特異的に結合する性質を持つ。SELEXで識別されたそれぞれの核酸分子リガンドは、与えられた標的化合物または分子に特異的なリガンドである。SELEXは、核酸は各種の二次元および三次元構造を取れる十分な能力を持ち、単量体であろうと重合体であろうと実質的に任意の化合物に対してリガンドとして作用する(特異的に結合する対を構成する)のに十分な化学的万能性が核酸の単量体には存在するという見識に基づいている。
簡潔にいえば、SELEX法は、候補化合物の混合物からの選抜、並びに結合、分別、および増幅の段階を追っての反復を含み、同じ普遍的な選抜主眼を用いて実質的に任意の望ましい結合親和性および選択性の基準を達成する。この方法は、好ましくはランダム化配列の切片を含む核酸の混合物から開始して、結合に適した条件下で核酸混合物と標的とを接触させ、標的分子に結合した核酸を未結合の核酸から分別し、核酸と標的の対を分離させ、核酸と標的の対から分離した核酸を増幅してリガンドが豊富な核酸混合物を得て、その後結合、分別、分離、増幅の段階を所望の周回数で反復する。貯留された核酸中から混合物中の大部分の核酸よりも標的に対する高い親和性を有する構成要素を分別するには様々な技法が利用できる。
一方で理論に拘束されることなく、SELEXは、候補となりうる多数の配列および構造物を含む核酸混合物中には、与えられた標的に対する広範囲の結合親和性が存在するという知見に基づく。たとえば、20ヌクレオチドからなるランダム化切片を含む核酸混合物は可能性のある候補を420個有しうる。標的に対してより高い親和性定数を持つ候補がもっとも標的に結合しやすい。分別、分離および増幅工程の後、より高い結合親和性を有する候補に富む第二の核酸混合物が生成される。追加の一連の選別工程は、結果として得る核酸混合物が主に一種のみ、または数種の配列から構成されるまで、最適なリガンドを累進的に優先していく。これらの候補は純粋なリガンドとしてクローン化し、配列を決定し、個別に親和性を試験することができる。
選別、分別、および増幅のサイクルは望ましい目標に達するまで繰り返される。一般的な大部分の例では、選別、分別、および増幅は、サイクルの反復中に結合強度の著しい改善が見られなくなるまで繰り返される。この方法では、約1018個までの異なる核酸種を試料として使用しうる。試験混合物中の核酸は効率的な増幅に必要となる保存配列に加えて、好ましくはランダム化配列部分を含む。核酸配列の変異体は、ランダム化核酸配列の合成およびランダムに開裂させた細胞核酸からのサイズ選択を含む、いくつかの方法で生産できる。可変配列部分は全部または一部にランダム化配列を含んでいてもよい;また可変配列部分はランダム化配列に取り込まれた保存配列のサブ部分(subportions)を含んでいてもよい。試験核酸中の配列変異は選別、分別および増幅の反復前または最中の突然変異誘発により導入または増加させることもできる。
基本のSELEX法は特定の目的を達成するために変更されてもよい。たとえば、米国特許第5,707,796号は湾曲DNAなどの特異な構造特性を有する核酸分子を選別するためのゲル電気泳動と併用したSELEX使用方法を記載する。米国特許第5,763,177号では、標的分子を結合および/または光架橋および/または光不活性化できる光反応基を含む核酸リガンドを選別するためのSELEXを基礎とした方法を記載する。米国特許第5,580,737号は、近縁種である分子をそれぞれ識別できる高度に特異的な核酸リガンドを同定する、「カウンターSELEX」と名付けられた方法を記載する。米国特許第5,567,588号は、標的分子に対して高度および低度の親和性を有するオリゴヌクレオチド間で効率の高い選別を達成できる、SELEXを基礎とする方法を記載する。
SELEX法はインビボでの安定性または輸送性の改善など、改善された特性をリガンドに与える修飾ヌクレオチドを含む高親和性核酸リガンドの同定を包含する。そのような
修飾の例はリボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置の化学的置換を含む。修飾ヌクレオチドを含み、SELEXで同定される特定の核酸リガンドは、たとえば米国特許第5,660,985号に記載され、この特許はピリミジンの5位および2’位が化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチド、および2’位のアミノ修飾を含む、トロンビンに対する特定のRNAリガンドを記載する。2’位のアミノ(2’−NH2)、2’位のフルオロ(2’−F)、および/または2’位のO−メチル(2’−OMe)が修飾された1つ以上のヌクレオチドを含む高度に特異的な核酸リガンドもまた含まれる。
(ドミナントネガティブ変異体)
場合によっては、本明細書記載の方法で有用なRhoアンタゴニストはRhoファミリーのメンバーのドミナントネガティブ変異体である。一般に、ドミナントネガティブタンパク質は天然タンパク質の変異体または他の変性を受けた誘導体で、天然タンパク質の機能を妨害する能力を有する。ドミナントネガティブなRhoアンタゴニストは、変異Rhoファミリー遺伝子、および/または野生型のRhoファミリータンパク質活性を欠損しているが、野生型のタンパク質とともに発現した時に、野生型のRhoファミリータンパク質活性を阻害するコード化された変異Rhoファミリータンパク質を指す。
Rhoファミリータンパク質のドミナントネガティブ型は当技術分野において公知であり、限定されないが、RhoA(N19)(たとえば、Khosravi−Far et al, Mol. Cell. Biol. 15:6443−6453, 1995を参照されたい);RhoB(N19)(たとえば、Prendergast et al., Oncogene 10:2289−2296, 1995を参照されたい);およびRacl(N17)(たとえば、Khosravi−Far et al., Mol. Cell. Biol. 15:6443−6453, 1995;およびQiu et al., Nature 374:457−459, 1995を参照されたい)を含む。他のRhoアンタゴニストは変異エフェクタードメインA−37を有し、GTP交換を阻害するRhoである。
他のRhoアンタゴニストは、細胞外ドメインを取り込んだRhoファミリーのメンバーの断片を含み、このタンパク質断片は細胞外ドメインそれ自体、および他のN末端および/またはC末端が切断されたRhoファミリーのメンバーの断片、またはアミノ酸たとえば1から10個のアミノ酸が特に保存的に置換された細胞外ドメインならびにその類縁体、およびN末端および/もしくはC末端残基が化学的な安定化基で誘導体化されたRhoファミリーのメンバーまたはRhoファミリーのメンバーの断片の誘導体を含む。Rhoファミリーの断片は、ペプチド合成、もしくは切断されたRhoタンパク質または後にランダムまたは部位選択的な様式で酵素消化される無処理のRhoタンパク質のいずれかの組み換えDNAの発現(標準的な組み換え手順を用いる)のいずれかで生産できる。RhoファミリーのメンバーまたはRhoファミリーのメンバーの断片の類縁体も、組み換えDNA技法、またはペプチド合成によって生成でき、1つ以上、たとえば1から5個の、L型またはD型アミノ酸置換を取り込める。Rhoファミリーのメンバー、Rhoファミリーのメンバーの断片およびRhoファミリーのメンバーの類縁体の誘導体は、構造内の物質または標的アミノ酸を遮蔽または安定化する効果を有する、N末端、C末端、および内部残基を修飾する基など所望の誘導体化基を取り込むことで、Rhoタンパク質の化学反応により生成できる。
Rhoファミリーの誘導体、類縁体、および断片は当技術分野において公知のさまざまな方法で生産できる。これらを生産する操作は遺伝子またはタンパク質レベルで行える。たとえば、DNAは制限エンドヌクレアーゼによる適切な部位での切断、所望であれば酵素修飾、単離、およびインビトロにおける結合による方法など、当技術分野において公知である多数の戦略(たとえば、Maniatis et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y, 1982を参照されたい)のいずれでも修飾できる。
(抗体アンタゴニスト)
本明細書記載の方法で使用できるRhoアンタゴニストは、Rhoファミリータンパク質に対するアンタゴニスト抗体もまた含む。アンタゴニスト抗体は、たとえば、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体またはその抗原結合断片;キメラ抗体、再構成抗体、ヒト化抗体などの修飾抗体またはそれらの断片(たとえばFab’、Fab、F(ab’)2);または生合成抗体、たとえば、単鎖抗体、シングルドメイン抗体(DAB)、可変領域フラグメント、単鎖可変領域フラグメント(scFv)などでもよい。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を製造および使用する方法は、たとえばHarlow et al., Using Antibodies: A Laboratory Manual:Portable Protocol I. Cold Spring Harbor Laboratory(December 1, 1998)に記載されている。修飾抗体および抗体断片、たとえば、キメラ抗体、再構成抗体、ヒト化抗体またはそれらの断片(たとえばFab’、Fab、F(ab’)2断片);または生合成抗体、たとえば、単鎖抗体、シングルドメイン抗体(DAB)、可変領域フラグメント、単鎖可変領域フラグメント(scFv)などを製造する方法は当技術分野において公知であり、たとえば、Zola, Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives, Springer Verlag(December 15, 2000;1st edition)などに見られる。
(低分子アンタゴニスト)
Rhoファミリーのメンバーの活性を阻害する低分子は、本明細書記載の方法においてRhoアンタゴニストとして利用できる。これらの低分子は当技術分野において公知であり、限定されないが、CCG−1423(たとえば、Evelyn et al., Mol. Cancer Ther. 6:2249−2260, 2007を参照されたい)を含む。他の低分子アンタゴニストはたとえば、Rojas et al., Comb. Chem. High Throughput Screen 6:409−418, 2003に記載されたような慣用法を使用して同定できる。
(障害および損傷におけるRhoアンタゴニストの使用)
本明細書記載のある方法では、Rhoアンタゴニストは骨障害または損傷の治療、または予防のために使用される。骨障害または損傷の例は、限定されないが、骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、閉経期の骨量減少、骨減少症、骨形成不全症、骨軟骨腫、骨腫瘍、骨巨細胞腫、類骨骨腫、骨肉腫、骨壊死、骨棘、頭蓋骨癒合症、内軟骨腫、線維性骨異形成、感染性関節炎、クリッペル・フェイユ症候群、四肢長の不均衡、骨炎、硬化性腸骨炎、離断性骨軟骨症、骨髄炎、大理石骨病、腎性骨ジストロフィ、骨嚢胞、単房性骨嚢胞、頭蓋骨癒合症、脊柱側彎症、骨溶解、骨軟化症、骨膜炎、骨切断、骨折、骨移植、変性関節疾患、変形性関節症、骨形成不全症、関節炎、続発性変形性関節症、ぺージェット病、フライバーグ病、ケーラー病、およびくる病を含む。
場合によっては、骨折は完全な破砕、たとえば、骨片が完全に分離した破砕である。他の場合、骨折は不完全な破砕、たとえば、骨片が一部でまだ接合している破砕である。さらなる骨折のタイプは、限定されないが、線状骨折、たとえば、骨の長軸に平行な骨折;横骨折、たとえば、骨の長軸に対して直角な骨折;斜骨折、たとえば、骨の長軸に対して斜方向の骨折;圧迫骨折、たとえば、通常は椎骨に起こる骨折;らせん骨折、たとえば、少なくとも骨の一部がねじれている骨折;粉砕骨折、たとえば、多数の骨片を生ずる骨折;圧縮骨折、たとえば、骨片が互いにぶつかり合った時に起こる骨折;および開放骨折、たとえば、骨が皮膚に達した骨折を含む。
他の場合には、本明細書記載のRhoアンタゴニストは、形成外科的治療における骨の治癒促進;セメントを使用しない人工関節および歯科インプラントにおける骨成長の刺激;閉経前の女性における最大骨量の上昇;発育不全の治療;歯周疾患および歯科欠陥、およびその他の歯の修復工程における治療;仮骨延長術中の骨形成の増加;および加齢による骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症または廃用性骨粗鬆症および関節炎などの、その他の骨格障害の治療、または骨形成の刺激が有用である任意の状態に使用できる。本明細書記載のRhoアンタゴニストは先天性、外傷由来または外科的な骨切除(たとえば癌の治療用)、および美容整形の修復にもまた使用できる。
本明細書記載の方法で治療しうる他の骨損傷は脊柱損傷から起こる損傷である。たとえば、いくつかの脊椎損傷に対する現在の治療法は外科的に2つ以上の脊椎骨を融合することを含む。本明細書記載のRhoアンタゴニストは、このような脊椎骨を融合する治療の代替として、または追加として投与できる。
さらに他の場合には、骨量減少はたとえば、細菌感染、タバコからの物質を含む有害物質の摂取または吸入に由来する炎症による、歯周組織の骨量減少である。たとえば、本明細書記載のRhoアンタゴニストは、たとえば、歯、および歯科インプラント周辺を囲む骨の復元および健全性を刺激するために、歯根の周辺に投与できる。
他の場合には、本明細書記載のRhoアンタゴニストは軟骨形成異常などの軟骨に関係した状態の治療または予防、および/または軟骨再生の刺激(たとえば、Wang et
al., J. Biol. Chem. 279:13205−13214, 2004;Woods et al., J. Biol. Chem. 281:13134−13140, 2006を参照されたい)を目的として、軟骨細胞分化を誘導または促進するために使用できる。Rhoアンタゴニストは、たとえば変形性関節症および他の関節炎の治療および対象の自家骨および自家関節移植の促進を目的として、軟骨修復の可能性を有する軟骨細胞を刺激するために使用できる。軟骨は異常に発達することがあり、または関節リウマチまたは変形性関節症などの疾患により、または外傷により損傷を受けることがあり、いずれも身体の異常および衰弱につながりうる。Howell et al., Osteoarthritis: Diagnosis and Management, 2nd ed.(Philadelphia, W.B. Saunders,1990);およびKelley et al., Textbook of Rheumatology, 3rd ed.(Philadelphia, W.B. Saunders, 1989)で概説されているように、軟骨が外傷により損傷する場合も先天異常の場合も、軟骨の臨床的な再生は成功したとしても、最良でもしばしば予後不良である。本明細書記載のRhoアンタゴニストは損傷した軟骨の再生に使用できる。
(骨細胞と軟骨細胞の治療)
本明細書記載のいくつかの方法では、Rhoアンタゴニストは骨芽細胞の分化、または骨芽前駆細胞の骨芽細胞への分化を刺激するために使用する。当業者は、公知の方法および識別マーカーを使用して骨芽細胞および骨芽前駆細胞を識別できる。
たとえば、骨芽細胞は、アルカリホスファターゼ(ALP)(たとえば、Ongphiphadhanakul et al., Endocrinol. 133:2502−2507, 1993;Chipoy et al., J. Bone Miner. Res. 19:1850−1861, 2004を参照されたい);アルファ1(I)プロコラーゲン(たとえば、Zhou et al., J. Bone Miner. Res. 9:1489−99,1994を参照されたい);骨Gla(γ−カルボキシグルタミン酸含有タンパク質)タンパク質(BGP)(たとえば、Zhou et al., J. Bone Miner. Res. 9:1489−99, 1994を参照されたい);骨シアロタンパク質(BSP)(たとえば、Chen et al., Calcif. Tissue Int. 60:283−90, 1997;Chipoy et al., J. Bone Miner. Res. 19:1850−1861, 2004を参照されたい);Cbfa1/Osf2(たとえば、Garcia et al., Bone 31:205−211, 2002を参照されたい);I型コラーゲン(たとえば、Ongphiphadhanakul et al., Endocrinol. 133:2502−2507, 1993:Dacic et al., J. Bone Miner. Res. 16:1228−36, 2001を参照されたい);E11(たとえば、Wetterwald et al., Bone 18:125−132, 1996を参照されたい);オステオカルシン(たとえば、Ongphiphadhanakul et al., Endocrinol. 133:2502−2507, 1993;Chipoy et al., J. Bone Miner. Res. 19:1850−1861, 2004を参照されたい);オステオポンチン(たとえば、Zhou et al., J. Bone Miner. Res. 9:1489−99, 1994;Ongphiphadhanakul et al., Endocrinol. 133:2502−2507, 1993を参照されたい);Phex(たとえば、Ecarot et al., Endocrinol. 140:1192−1199, 1999を参照されたい);およびRP59(たとえば、Kruger et al., Dev. Dyn. 223:414−418, 2002を参照されたい)などの、公知のタンパク質マーカーを示す。
破骨細胞は、公知のマーカー、たとえば酸性ATPアーゼ(acid ATPase)(たとえば、Andersson et al., Connect. Tissue Res. 20:151−158, 1989を参照されたい);カルシトニン(CT)受容体(CTR)(たとえば、Lee et al., Endocrinol. 136:4572−4581, 1995;Rouleau et al., J. Bone Miner. Res. 1:543−553, 1986を参照されたい);I型コラーゲンC末端テロペプチド(1CPT)(たとえば、Gough et al., Diabet. Med. 14:527−531, 1997を参照されたい);カテプシンK(たとえば、Dodds et al., Cell. Biochem. Funct. 21:231−234, 2003;Dodds et al., J. Bone Miner. Res. 16:478−486, 2001を参照されたい);クレアチンキナーゼBB(CKBB)(たとえば、Whyte et al., J. Bone Miner. Res. 11:1438−1443, 1996;Bollerslev et al., Clin. Orthop. Relat. Res. 377:241−247, 2000を参照されたい);強酸性(acidotrophic)のアミン 3−(2,4−ジニトロアニリノ)−3’−アミノ−Nーメチルジプロピルアミン(DAMP)(たとえば、Inoue et al., Cell Tissue Res. 298:527−537, 1999を参照されたい);ED1(たとえば、Wildemann et al., Biomaterials 26:4035−4040, 2005;Miao et al., BMC Musculoskelet, Disord. 3:16, 2002を参照されたい);Kat1−抗原(Kat1−Ag)(たとえば、Kukita et al., Histochem. Cell Biol. 115:215−222, 2001を参照されたい);プロコラーゲンC末端ペプチド(PlCP)(たとえば、Gough et al., Diabet. Med. 14:527−531, 1997を参照されたい);RANK(たとえば、Atkins et al., J. Bone Miner. Res. 21:1339−1349, 2006を参照されたい);酒石酸耐性酸性ATPアーゼ(たとえば、Andersson et al., J. Histochem. Cytochem. 37:115−117, 1989を参照されたい);酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)(たとえば、Ballanti et al., Osteoporos, Int. 7:39−43, 1997;Minkin et al., Calcif. Tissue Int. 34:285−290, 1982を参照されたい);液胞型プロトンポンプ(E11)(たとえば、Kurihara et al., Endocrinol. 127:3215−3221, 1990を参照されたい);およびビトロネクチン受容体(VR、VNR)(たとえば、Sakiyama et al., J. Bone Miner. Metab. 19:220−227, 2001;Kurihara et al., Endocrinol. 127:3215−3221, 1990を参照されたい)を使用して識別できる。
骨芽細胞もしくはその前駆体は、骨芽細胞特異的因子−2(OSF−2)、オステオプロテジェリン(OPG;RANKL)、オステオポンチン(OP)、オステオカルシン(OC)、I型コラーゲン、酒石酸耐性アルカリホスファターゼ、骨特異的アルカリホスファターゼ(BAP)、および間質幹細胞マーカー−1(STRO−1)を含むマーカーによって識別可能である。
本明細書記載の他の方法では、Rhoアンタゴニストは軟骨細胞分化を刺激するために使用される。当業者は、公知の方法および識別マーカーを使用して軟骨細胞を識別できる。軟骨細胞のマーカーは、限定されないが、11−fibrau(たとえば、van Osch et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 280:806−812, 2001を参照されたい);アグリカン(たとえば、Sive et al., Mol. Pathol. 55:91−97, 2002を参照されたい);アネキシンVI(たとえば、Pfander et al., Am. J. Pathol. 159:1777−1783, 2001を参照されたい);ベータ1インテグリン(CD29)(たとえば、Salter et al., J. Histochem. Cytochem. 43:447−457, 1995を参照されたい);COMP(軟骨オリゴマーマトリクスタンパク質)(たとえば、Zaucke et al., Biochem. J. 358:17−24, 2001を参照されたい);カテプシンB(たとえば、Baici et al., Ann. Rheum. Dis. 47:684−691, 1988を参照されたい);CEP−68(たとえば、Steck et al., Biochem. J. 353:169−174, 2001を参照されたい);II型コラーゲン(たとえば、Sive et al., Mol. Pathol. 55:91−97, 2002を参照されたい);IX型コラーゲン(たとえば、Zaucke et al., Biochem. J. 358:17−24, 2001を参照されたい);X型コラーゲン(たとえば、Wu et al., Exp. Cell. Res. 256:383−391, 2000を参照されたい);MMP13(たとえば、D’Angelo et al., J. Cell. Biochem. 77:678−693, 2000を参照されたい);sox9(たとえば、Sive et al., Mol. Pathol. 55:91−97, 2002を参照されたい);およびシンデカン−3(たとえば、Pfander et al., Am. J. Pathol. 159:1777−1783, 2001を参照されたい)を含む。
(医薬組成物と投与)
本明細書記載のRhoアンタゴニストは、本明細書記載の方法で使用するために医薬組成物中に組み込むことができる。これらの組成物は、典型的にはRhoアンタゴニストと薬学的に許容できる担体とを含む。
本明細書で用いられる「薬学的に許容できる担体」は、本明細書記載のRhoアンタゴニストとともに対象に投与でき、その薬理学的活性を損なわない担体を意味する。薬学的に許容できる担体は、たとえば、溶解剤、分散剤、コーティング剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤など、薬学的な投与に適合した担体を含む。補完的な活性化合物もまた組成物中に組み込んでよい。
限定するものではない使用可能な薬学的に許容できる担体の例は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、PVA、一部が加水分解されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体、一部が加水分解された架橋されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、ポリグリコール酸、PGA、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンとポリエチレングリコールとの共重合体、ポリ乳酸とポリエチレングリコールとの共重合体、ポリエチレングリコール;およびこれらの組み合わせおよびブレンドを含む。
他の担体は、たとえば水溶性ゼラチン、水溶性タンパク質、高分子担体、架橋剤、またはこれらの組み合わせを含む。他の場合には、担体は基質である。さらに他の場合には、担体は水、薬学的に許容できる緩衝塩、薬学的に許容できる緩衝液、薬学的に許容できる酸化防止剤、アスコルビン酸、1つ以上の薬理学的に許容できる低分子量ポリペプチド、2から10アミノ酸残基からなるペプチド、1つ以上の薬学的に許容できるタンパク質、1つ以上の薬学的に許容できるアミノ酸、ヒトの必須アミノ酸、1つ以上の薬学的に許容できる炭水化物、1つ以上の薬学的に許容できる炭水化物由来の材料、非還元糖、グルコース、スクロース、ソルビトール、トレハロース、マンニトール、マルトデキストリン、デキストリン、シクロデキストリン、薬学的に許容できるキレート剤、EDTA、DTPA、二価金属イオンに対するキレート剤、三価金属イオンに対するキレート剤、グルタチオン、薬学的に許容できる非特異的血清アルブミン、および/またはこれらの組み合わせを含む。
Rhoアンタゴニストを含む医薬組成物は、当業者に公知の意図した投与経路に適合するように処方できる。限定するものではない投与経路の例は、たとえば静脈内、皮内、皮下などの非経口、経口(たとえば吸入)、経皮(外用)、経粘膜、経膣および経直腸投与を含む。非経口、皮内、または皮下での適用に使用する溶液または懸濁液は下記の成分を含んでよい:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒などの無菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ソーダなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張力調整剤。pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整できる。非経口製剤はアンプル、使い捨てシリンジ、またはガラス製またはプラスチック製の複数回投与バイアルに封入できる。
注射用の使用に適した医薬組成物は、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌注射用溶液または分散液を用時調製するための無菌粉体を含む。静脈内投与では、適した担体は生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany, NJ)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。いずれの場合も、組成物は必ず無菌であり、注射容易性(easy syringability)を有するという点で流体であるべきである。組成物は製造および貯蔵の条件下で安定であるべきで、細菌および真菌などの微生物の汚染活動から保護されなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、たとえば、レクチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持できる。微生物活動の防止は、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの種々の抗細菌剤および抗真菌剤の利用で達成される。組成物は、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、もしくは塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましい場合もある。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことで成し遂げられる(たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st edition, Lippincott Williams & Wilkins, Gennaro, ed. (2006)を参照されたい)。
無菌注射用溶液は、必要な量のRhoアンタゴニストを、必要に応じて上で列挙した成分を1つまたは組み合わせて含む適当な溶媒中に取り込み、続いて濾過滅菌して調製できる。一般的に、分散液は基本的な分散媒および上で列挙したその他の必要な成分を含む無菌の溶媒に有効成分を取り込んで調製する。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉体の場合は、調製方法は、これらに限定されることなく、有効成分に任意の所望の成分を加えて濾過滅菌した溶液からこれらの粉体を得る真空乾燥および凍結乾燥を含む。
経口用組成物は一般的に不活性希釈剤または可食担体を含む。経口投与治療の目的では、Rhoアンタゴニストは賦形剤に取り込まれ、錠剤、丸薬、トローチ剤、またはたとえばゼラチンカプセルなどのカプセルで使用できる。経口用組成物はうがい薬として利用するために流体の担体でも調製できる。薬学的に適合する結合剤、および/または補助材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ剤などは任意の下記成分、または類似の性質の化合物を含むことができる:結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモジェル(Primogel)、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースおよびサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香味料などの香味料。
吸入による投与では、Rhoアンタゴニストは、たとえば二酸化炭素などのガスなどの適切な噴霧剤を含む加圧容器またはディスペンサー、または噴霧器からのエアゾールスプレーの形態で送達できる。
経粘膜的もしくは経皮的な手法による全身投与もまた行える。経粘膜的もしくは経皮的な投与では、透過すべき障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。これらの浸透剤は当技術分野において周知であり、限定されないが、たとえば、経粘膜的投与では界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸の誘導体を含む。経粘膜的投与は点鼻薬または坐剤の使用を通じて達成できる。経皮的な投与では、有効成分は当技術分野において周知のように、たとえば軟膏、膏薬、ゲル、もしくはクリームの中に製剤化される。
Rho阻害剤を含む医薬組成物は坐剤(たとえば、カカオバターおよびその他のグリセリドなど従来の坐剤基剤を用いる)、または直腸送達用の停留浣腸剤の形態でも調製できる。
それらの代わりに、または追加として、Rhoアンタゴニストは、たとえば患部に直接適用したり、たとえば骨腫瘍を切除した後に残った周辺部分に直接適用したりなど、骨または周囲の組織に局所的に適用できる。たとえば、Rhoアンタゴニストは当技術分野において公知の薬剤溶出または送達装置で適用できる。
いくつかの医薬組成物は、急速な体内からの排出に対してRhoアンタゴニストを保護する、埋め込みおよびマイクロカプセル化送達系(たとえば、Tan et al., Pharm, Res. 24:2297−2308, 2007に記載されている)を含む放出制御製剤などの担体とともに調製できる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸など、生分解性で生体適合性のある高分子が使用できる。これらの処方の調製方法は当業者には明らかである。材料は市販されている(たとえば、Alza Corp., Mountain View, CAより)。リポソーム懸濁液(細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を有し、特定の細胞を標的とするリポソームを含む)も薬学的に許容できる担体として利用できる。これらは、たとえば米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に公知の方法にしたがって調製できる。
投与を容易にし、用量を均一にするために、経口または注射用組成物を用量単位(dosage unit)の形態で製剤化することは利点となりうる。本明細書での用量単位形態は、治療を受ける対象に対する単位用量として適した、物理的に分離した単位を指す;各単位は望ましい治療効果を生じるように計算された所定量の有効成分とそれに伴って必要な薬学的担体とを含む。
これらの化合物の毒性および治療効果は、たとえばLD50(集団の50%が死亡する投与量)およびED50(集団の50%に治療効果が見られる投与量)の決定など、培養細胞または実験動物での標準的な薬学的手順で決定できる。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数で、LD50/ED50の比で表すことができる。毒性の副作用を示す化合物を使用できるが、罹患していない細胞に対する潜在的な損傷を最小化するために、そのような化合物の標的を患部組織部位に定め、それによって副作用を軽減する送達系の設計に注意を払うべきである。
培養細胞試験および動物実験で得られたデータは、ヒトでの使用における用量の範囲を策定する際に使用できる。一般的に化合物の用量はまったく毒性がないか、または毒性がごくわずかであるED50を含む血中濃度の範囲内である。用量は、使用する投与形態および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変化してよい。本発明の方法で使用される任意の化合物に対して、最初に培養細胞試験で治療有効投与量を推定できる。動物モデルにおいて、投与量は培養細胞で決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿の濃度域を達成するように処方できる。このような情報はヒトにおける有用な投与量をさらに正確に決定するために使用できる。血漿中のレベルは、たとえば、高速液体クロマトグラフィーで測定できる。これらの化合物を調製および試験するための情報は当技術分野において公知である(たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st edition, Lippincott Williams & Wilkins, Gennaro, ed.(2006)を参照されたい)。
いくつかの場合に、組織1cm3あたり約0.1μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約10,000μgのRhoアンタゴニストの治療有効量が投与され、この量はたとえば、組織1cm3あたり約0.1μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約1,000μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.1μgの
Rhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.5μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約1μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約10μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約100μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約20μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約80μgのRhoアンタゴニスト、または組織1cm3あたり約50μgのRhoアンタゴニストである。
他の場合には、組織1cm3あたり約0.001μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約1,000μgのRhoアンタゴニストが投与され、この量はたとえば、組織1cm3あたり約0.01μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.05μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.1μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約500μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.2μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約250μgのRhoアンタゴニスト、組織1cm3あたり約0.5μgのRhoアンタゴニストから組織1cm3あたり約200μgのRhoアンタゴニスト、または組織1cm3あたり約1μgのRhoアンタゴニストから約100μgのRhoアンタゴニストである。
他の場合には、約0.0005μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニストが投与され、この量はたとえば約0.005μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.01μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.02μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.03μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.04μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.05μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.1μMのRhoアンタゴニストから約50μMのRhoアンタゴニスト、約0.1μMのRhoアンタゴニストから約25μMのRhoアンタゴニスト、約0.2μMのRhoアンタゴニストから約20μMのRhoアンタゴニスト、約0.5μMのRhoアンタゴニストから約20μMのRhoアンタゴニスト、または約1μMのRhoアンタゴニストから約10μMのRhoアンタゴニストである。
さらに他の場合には、Rhoアンタゴニストの治療有効量すなわち用量は、約0.001mg/kg体重から約100mg/kg体重の範囲、たとえば約0.01mg/kg体重から約50mg/kg体重、約0.025mg/kg体重から約25mg/kg体重、約0.1mg/kg体重から約20mg/kg体重、約0.25mg/kg体重から約20mg/kg体重、約0.5mg/kg体重から約20mg/kg体重、約0.5mg/kg体重から約10mg/kg体重、約1mg/kg体重から約10mg/kg体重、または約5mg/kg体重の範囲でありうる。
他の場合には、Rhoアンタゴニストの治療有効量すなわち用量は、全量で約0.001mgから約50mg、たとえば、全量で約0.01mgから約40mg、全量で約0.025mgから約30mg、全量で約0.05mgから約20mg、全量で約0.1mgから約10mg、または全量で約1mgから約10mgの範囲でありうる。
医師は、疾患または障害の重症度、先行した治療、全体的な健康、および/または対象の年齢、および現在罹患している他の疾患を含むがこれらに限定されないある種の要因が、対象を効果的に治療するために必要な用量に影響しうることを認識するであろう。さらに、治療有効量のRhoアンタゴニストを用いた対象の治療は、1回の治療もしくは一連の治療を含むことができる。1つの実施例では、対象は約0.06mgから120mgの範囲内のRhoアンタゴニストを用いて、週に1回、約1から10週間、あるいは、2から8週間、約3から7週間、または、約4、5、もしくは6週間にわたって治療された。治療で使用する、有効用量のRhoアンタゴニストは、特定の治療の過程で増量または減量してもよいこともまた認識されるであろう。
医薬組成物は投与指示書とともに容器、パック、またはディスペンサーに入れることができる。
本明細書記載の医薬組成物が局所的に適用される時、そのような医薬組成物は組織接着剤および/またはフィブリンを含むことができ、これらは組織またはフィブリンシーラント、たとえばTisseel(登録商標)であってよい。たとえば、医薬組成物は、Rhoアンタゴニスト、たとえばBA−210を、たとえば組織接着剤、たとえばフィブリン接着剤またはコラーゲンゲルなど、インビボでの治療に許容できる基質を形成できる流動性の担体成分と混合することにより調製できる。
フィブリンシーラントは3つの基本的な成分を有する:フィブリノゲン濃縮物、塩化カルシウムおよびトロンビン(米国特許第7,141,428号を参照されたい)。ゲル組成の性状に変化を与えるために、たとえば、可溶性成分からフィブリンゲルを形成するのにかかる時間を調整するために、形成されるタンパク質ネットワークのサイズを変えるために、およびゲルの強度を変えるために、他の成分を加えることができる。体内設置後のゲルの除去を遅らせるために、プロテアーゼ阻害剤を加えることもできる。
一般的に、成分が混合された時、トロンビンの作用によりフィブリノゲン分子が開裂してフィブリン単量体を生成し、このフィブリン単量体が自発的に重合して大部分が水素結合で結束されているフィブリンの三次元ネットワークを構築することで、フィブリンの凝塊が形成される。これは使用されるトロンビン濃度に凝固率が依存する、自然な血液凝固カスケードの最終段階に相当する。引張り強度を改善するために、シーラント組成物中に第XIII因子を含めることでフィブリン鎖間に共有結合の架橋が供される。カルシウムイオン存在下で、トロンビンは第XIII因子を第XIIIa因子に活性化する。活性化した第XIIIa因子はトロンビンとともにフィブリンの架橋を触媒し、血餅の強度を増す。フィブリン血餅の強度は、生成したフィブリンネットワークに架橋で結合するフィブロネクチンを組成物に加えることでさらに改善される。傷が治癒する間に血餅の材料は徐々に溶解を受け、完全に吸収される。線維素溶解によるフィブリン血餅の分解が早く起こりすぎることを防ぐために、フィブリンシーラント組成物はアプロチニンなどのプラスミノーゲン活性化因子阻害剤もしくはプラスミン阻害剤を含むことができる。これらの阻害剤は、フィブリノゲン組成物中にいくらか残存するプラスミノーゲンによる線維素溶解活性もまた減少させる。同様に、組成物はヒアルロン酸(もしくは他の多糖類)を含むことができ、周辺の組織に常時存在するヒアルロニダーゼによるヒアルロン酸成分の分解を防止する(すなわち、存在期間を延長する)ために、1つ以上のフラボノイド(または他の多糖類に対する相当する阻害剤)などのヒアルロニダーゼ阻害剤もまた含むことができる。ヒアルロン酸は架橋を作ることができ、市販品の例はHylan(登録商標)である(Biomatrix, Ritchfield, N.Y., USAより入手できる)。ヒアルロン酸組成物は、たとえばゲルまたは溶液であってよい。
場合によっては、フィブリン血餅はRhoアンタゴニストの投与に使用できる。たとえば、本明細書記載のRhoアンタゴニストを組織接着剤に組み込むことで、組織接着剤の投与で形成されるフィブリンネットワーク中にアンタゴニストが取り込まれる。これにより、制御可能な形でフィブリンネットワークから放出されている間、アンタゴニストが投与部位にとどまることを確実にする。
フィブリンシーラントの使用は当技術分野において公知である(たとえば、米国特許第5,714,370号;米国特許第5,750,657号;米国特許第号5,773,418号;米国特許第5,962,405号;米国特許第5,962,420号;米国特許第6,117,425号;米国特許第6,162,241号;および米国特許第6,262,236号を参照されたい)。一般的に、フィブリンゲルを作るには、可溶性のトロンビンおよびフィブリノゲンを塩化カルシウム存在下で混合する。成分を混合すると、フィブリノゲン分子がトロンビンで開裂されてフィブリン単量体を生成し、フィブリンの接着性ゲルが生成する。フィブリン単量体は自発的に重合してフィブリンの三次元ネットワークを構築するが、この反応は凝固カスケードの最終共通経路を模したもので、すなわち、フィブリノゲンからフィブリンシーラントへの変換である。調製にあたっては、対象への投与の前または後の所望のタイミングで重合を制御できるように、フィブリノゲンおよびトロンビン成分は使用時まで別々に保管されるべきである。
本明細書記載の医薬組成物の製剤化/輸送に使用される一つの模範的なフィブリンシーラントは、Baxter Hearthcare Corporationが製造する、TISSEEL VH 2成分型フィブリンシーラントキット 蒸気加熱処理(TISSEEL VHフィブリンシーラント)である。TISSEEL VHフィブリンシーラントキットはフィブリノゲン(シーラー(Sealer)タンパク質濃縮物)およびトロンビンを主な有効成分として含む。また、塩化カルシウム溶液、および線維素溶解阻害剤溶液(ウシ由来のアプロチニン)をも含む。シーラータンパク質溶液およびトロンビン溶液の二つの再構成された成分は、混合されて局所的に適用される。シーラータンパク質溶液およびトロンビン溶液を混合すると、急速に弾性の凝塊となる粘性溶液が生ずる。トロンビンは、シーラータンパク質溶液に含まれるフィブリノゲンをフィブリンに変換する高度に特異的なプロテアーゼである。大部分のトロンビンは生成するフィブリンに吸収される。過剰なトロンビンがあれば、血中のプロテアーゼ阻害剤で不活性化される。線維素溶解阻害剤溶液(アプロチニン)は、フィブリンの早期分解を防止する多価プロテアーゼ阻害剤である。
本明細書記載の医薬組成物の製剤化/輸送に使用できる他のフィブリンシーラントは、たとえばCebus(商標)、Ateles(商標)およびProleus(商標)(PlasmaSeal);Vivostat(登録商標)(Vivolution);CryosSeal FS(登録商標)(Thermogenesis);CoSeal(商標)(Angiotech);Duraseal(登録商標)(Confluent Surgical);Poliphase(登録商標)(Avalon Medical);Bioglue(登録商標)(Cryolife Inc.);Avitene Fluor(商標)(Davol);Dermabond(商標)(Johnson & Johnson);Hemassel、Hemassel−HMNおよびHemassel−Thrombin(Hermacure);Beriplast−P(登録商標)(Aventis);Fibrocaps(登録商標)(Profibrix);およびCrosseal(商標)、Evicel(商標)およびThrombin(Omrix Pharmaceuticals)を含む。
本明細書記載の方法および組成物で使用できるさらに他のフィブリンシーラントは、米国再発行特許第39,298号;米国再発行特許第39,321号;米国特許第4,427,650号;米国特許第4,427,651号;米国特許第4,414,976号;米国特許第4,640,834号;米国特許第5,290,552号;米国特許第5,607,694号;米国特許第5,714,370号;米国特許第5,750,657号;米国特許第5,773,418号;米国特許第5,962,405号;米国特許第5,962,420号;米国特許第6,117,425号;米国特許第6,162,241号;米国特許第6,262,236号;米国特許第6,780,411号;米国特許出願第11/112156号;および欧州特許第0 804 257号に記載されているものである。組織接着剤の処方もまた米国特許第7,141,428号に記載されている。
これらのフィブリンシーラントは例として名前を挙げたもので、限定的なものではないことは理解されるべきである。任意の薬学的に許容できる細胞接着剤、たとえばフィブリンまたはコラーゲンゲルが本明細書記載の方法において使用できることを理解されるべきである。
当業者は、本明細書記載の医薬組成物が単回投与バイアルとして処方できることを認識するであろう。たとえば、単回投与バイアルは本明細書記載のRhoアンタゴニストを含む医薬組成物を約25μg、約40μg、約60μg、約100μg、約150μg、約200μg、約300μg、または約500μg含んで生産できる。さらなる実施例では、単回投与バイアルは本明細書記載の医薬組成物を約0.5mMまたは約1.0mMの濃度で含んで生産できる。
本明細書記載の治療有効量のRhoアンタゴニストを含む医薬組成物を用いた対象の治療は、1回の治療、継続治療、または複数の投与量に分けられた一連の治療であってよい。治療は1回の投与、継続投与、または1年以上の定期的な投与を含むことができる。多くの場合に慢性で長期にわたる投与が指示されうる。場合によっては、対象は1年間までの間治療される。他の場合には、対象は6ヶ月までの間治療される。さらに他の状況では、対象は100日間までの間治療される。1つの実施例で、対象は1週間に1回、約1から10週間、あるいは2から8週間、約3から7週間、または約4、5、または6週間の時間枠でRhoアンタゴニストにて治療される。他の場合には、対象は実質的に連続的に治療されうる。他の状況では、対象は1日に1回、1日に2回、1週間に1回、または1ヶ月に1回治療されうる。
一般的に、各処方は本明細書記載の骨障害または状態による有害な影響や症状を、抑制または軽減または除去するのに十分な量で投与される。
既存の骨障害の治療に加えて、本明細書記載の方法はこれらの障害の予防または発症を遅らせることができる。たとえば、本明細書記載のRhoアンタゴニストは、たとえば骨障害に罹患しやすい、さもなければ罹患するおそれがある対象に対して投与するなど、予防的な適用として投与することができる。場合によっては、Rhoアンタゴニストは、既存の骨障害を持ち、さらなる骨障害の影響をうけやすい、さもなければ受けるおそれのある対象に投与することができる。
骨障害の抑制は、骨吸収が遅滞されたかまたは減弱されたかを測定する任意の公知の方法で評価できる。これらの方法は、たとえば自覚症状もしくは客観的な生理的指標、または骨造影法、または骨生検、または血清マーカー、たとえばリン酸、カルシウム、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRACP)、アルカリホスファターゼ(AIP)、未変性オステオカルシン(OC)、もしくはI型コラーゲンカルボキシ末端ピリジノリン架橋テロペプチド(ICTP)により評価される、たとえば直接観察および間接評価を含む。治療効果は、たとえば、上で与えられた個別の指標またはこれらの任意の組み合わせで評価される、骨量減少の防止または骨の修復に基づいて評価できる。
他の場合には、本明細書記載の医薬組成物は、限定されないが、たとえばステント、ケージ、骨、ねじ、棒、柱、プレート、歯科インプラント、メッシュ、ワイヤ、くぎ、アンカー、人工関節、スポンジ、高分子、またはゲルを含む医療装置向けの薬剤溶出コーティング剤として使用される。
(組み合わせ療法)
場合によっては、本明細書記載のRhoアンタゴニストは1つ以上の治療薬、たとえば本明細書記載の骨障害または状態の治療に有用な治療薬と組み合わせて投与される。たとえば、成長因子などのある種の第二の治療薬は組織の成長または浸潤を促進できる。この目的に対して模範的な成長因子は、限定されないが、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGFs)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病抑制因子(LIF)、およびインスリン様成長因子(IGFs)を含む。他の第二の治療薬、たとえば骨形成タンパク質(米国特許第4,761,471号;国際公開公報第90/11366号)、オステオゲニン(Sampath, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1987) 84:7109 13)およびNaF(Tencer, et al., J. Biomed. Mat. Res.(1989) 23:571 89)なども、骨成長を促進することができる。
他の場合には、本明細書記載のRhoアンタゴニストは、エストロゲン、ビスホスホネート、カルシトニン、PTH、およびBMPを含むがこれらに限定されない再吸収阻害薬など、骨吸収を阻害する薬剤と組み合わせて使用できる。
場合によっては、Rhoアンタゴニストは1つ以上のRhoキナーゼ(ROCK)阻害剤と組み合わせて投与できる。ROCK阻害剤は当技術分野において公知であり、限定されないが、Fasudil、Y27632、WF−536、SC−3536、H−89、ML−9、HA−1077、およびH−1152(たとえばSomiyo, Nature 389:908−910, 1997;Uehata et al., Nature 389:990−994, 1997;米国特許第4,997,834号を参照されたい)を含む。他のROCK阻害剤は米国特許出願公開第2004/0138272号および同第2005/0272751号に記載されている。
本発明は以下の実施例によりさらに例示される。実施例は説明目的のために示されるにすぎない。実施例はいかなる意味でも本発明の範囲または内容の限定として解釈されるものではない。
[実施例1] 頭蓋冠器官培養(骨吸収およびDNA合成)
(手順)
20匹のマウスに生後1から3日齢において、滅菌生理食塩水溶液25μl中の3μCi45Caを皮下注射する。30mmのペトリ皿に3mlの培地(0.1%BSA/培地199)を加え、37℃で培養する。マウスを断頭し、半頭蓋冠(hemi-calvariae)を頭部から切開して格子に置く(表面張力で骨の下から培地を引き上げる)。骨を24時間前培養する。培地を3mlの新鮮な培地で置換し、30μl/ウェルのCethrin(登録商標)を加えて骨を48時間培養する。
それぞれの皿から300μlの培地を5mlのプラスチックバイアルに入れ、そこに3−4mlのシンチラント(scintillant)を加えてボルテックスする。バイアル中の45Caをベータカウンター中で計数する。培地500μl中に2μCiの3H−チミジンをすべての皿に加え、4時間培養する。試料骨を新鮮な培地中ですすぎ、1mlの5%トリクロロ酢酸(TCA)を含む個々のガラスチューブに入れる。骨を4℃で12〜24時間培養する。100μlのTCA溶液をそれぞれのチューブから取り、5mlのプラスチックバイアルにいれて3〜4mlのシンチラントを加えてボルテックスする。バイアル中の45
Caをベータカウンター中で計数する。
骨吸収の量は、骨から放出された45Caの百分率を次の式を用いて計算することにより測定する:
Figure 2011513434
破骨細胞の活性を測定するために、骨試料中のDNAの合成量を測定する。一定分量のTCAを取り、TCAをチップにより除き、1mlのアセトンを加え、試料をドラフト中に室温(RT)で1〜2時間放置する。アセトンが除去され、1mlのエーテルを1〜2時間加えておく。エーテルが除去され、骨を完全に乾燥する。それから骨重量(μg)を量る。骨を20mlのガラス製シンチレーションバイアルに入れ、1MのKOHを500μl加える。バイアルを密栓して80℃で約10分間培養する。すべてのバイアルに1MのHClを500μl加え、溶液を中和する。それぞれのバイアルに10mlのシンチラントを加え、完全にボルテックスして3Hの量を計数する。DNAの合成量は以下の式を使用して計算する:
Figure 2011513434
(結果)
Cethrin(登録商標)での骨処理は、Cethrin(登録商標)で処理しない骨と比較して骨吸収が減少する結果となる。骨吸収の減少は破骨細胞活性のレベルが減少したことによる。
[実施例2] MC3T3−E1細胞のミネラル化
(手順)
MC3T3−E1細胞は培地中(MEM+10%FCS+ピルビン酸ナトリウム(原液1ml/培地100ml))で維持する。細胞がよく成長し、播種の準備ができたら、チロシナーゼを加えて標準的な方法を用いて細胞を洗浄する。それから細胞を計数し、5×104細胞/ウェルの密度で6−ウェルのプレートまたは35mmの皿に播種する。コンフルエントになるまで細胞を培地中で生育し(約3日間)、それから培地をミネラル化培地(αMEM、10%FCS、50μg/mlのアスコルビン酸−2−リン酸、および10mMのβ−グリセロリン酸)で置換し、Cethrin(登録商標)を加える。培地とCethrin(登録商標)は週2回交換する。18から21日間のミネラル化の後に、Von Kossa染色またはアリザリンレッドで細胞を染色する。
(結果)
ミネラル化培地中でのCethrin(登録商標)の使用は、Von Kossa染色またはアリザリンレッドを用いる新しい骨の染色で測定したところ、Cethrin(登録商標)が存在しない場合と比べてミネラル化が増進する結果となる。
[実施例3] 骨芽細胞の増殖試験
(手順)
全体の手順は下記のとおりである:第1日目に、初代ラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞をMEM/5%FCSに播種した。第2日目に、細胞をMEM/0.1%BSAで血清欠乏状態(serum-starved)にした。第3日目に、新鮮なMEM/0.1%BSAおよびCethrin(登録商標)を加えた。第4日目に、3Hチミジンを加え、細胞を6時間培養した。それからプレートを洗浄し、TCAを加えた。第5日目に、プレートを計数処理した。
以下のように24−ウェルのプレートに播種した:4mlのPBSでフラスコを2回すすいだ。フラスコに4mlのトリプシンを加え、インキュベーターに入れておよそ5分間培養した。細胞が持ち上げられたら、8mlのMEM+5%FBSを15mlの遠心管に加え、遠心管を1200rpmで2分間遠心した。上清を廃棄し、細胞を5mlの培地で洗浄した。細胞を再度遠心し、5mlの培地で再懸濁した。
細胞計数は1:20の希釈液(すなわち、エッペンドルフチューブ中に50μlの細胞+950μlの培地)で行った。血球計算器の8つの大きな正方形中で細胞を計数し、平均値を決定した。24ウェルのプレートに、5×104細胞/ml MEM+5%FBSの密度で、ウェルあたり0.5ml使用して細胞を加えた。6−ウェルのプレートに、5×104細胞/ml MEM+5%FBSの密度で、ウェルあたり3ml使用して細胞を加えた。
バキュセット(vacuset)を使って培地を取り除き、1.0mlのMEM+0.1%BSAを各ウェルに加えた:(MEM100ml中にBSA原液333μl)。細胞を37℃で終夜培養した。
翌日、[3H]チミジンをウェルに加えた。ウェルあたりの最終濃度は0.5μCi/50μl(原液50μl(5mCi)+培地5ml)を使用し、この濃度は4×24ウェルプレートに十分であった。50μlの[3H]チミジン(原液50μl+培地5ml)を各ウェルに加え、37℃で6時間培養した。それからウェルを1mlの無血清培地で洗浄した。培地を取り除き、1mlの10%TCAを各ウェルに加えた。
TCAを取り除き、各ウェルを1mlのエタノール/エーテル(3:1)ですすいだ。その後エタノール/エーテルを完全に蒸発させた。2MのKOHを200μl加え、ウェルを55℃で30分間培養した。それから1MのHClを400μl各ウェルに加えた。それぞれの試料を300μlずつシンチレーションバイアルに入れ、シンチレーション液を加えてシンチレーションを行った。
(結果)
Cethrin(登録商標)は、上で述べた手順で活発に増殖していない細胞を使用した対照と比較して、用量依存的にチミジンの取り込みを減少させた(図1)。細胞に影響を与えなかったクエン酸塩緩衝液の対照(図2b)と比較して、細胞は用量応答的に凝集し、死滅したようであった(図2a)。この結果は、骨芽細胞の培養細胞株MCT3T−E1でも確認され、ここでもCethrin(登録商標)が対照と比較して、用量依存的にチミジンの取り込みを阻害した(図3)。同様の結果は、血清欠乏状態ではなくて、0.1%BSAではなく1%FCSを添加した培地に移された、活発に増殖しているラット胎児頭蓋冠由来骨芽細胞でも見られた(図4、5aおよび5b;クエン酸塩緩衝液は活発に増殖している細胞に影響を与えなかった)。5%または10%FCSを培地に加えたとき、Cethrin(登録商標)は24時間でチミジンの取り込みを阻害した(図6)。6時間では、対照と比較してチミジンの取り込みに著しい違いは見られなかった。(図6)。
Cethrin(登録商標)は用量依存的に骨芽細胞を減少させ、培地へのFCSの添加は細胞の減少を救助しなかった。Rhoは細胞骨格系の制御に関与することが知られているので、細胞が「凝集」したように見受けられても驚くに値しない。それに加えて、骨結節/ミネラル化の段階まで生育させる、骨芽細胞の予備的な長期培養は、Cethrin(登録商標)が骨芽細胞の分化を助長するかもしれないことを示す。
[実施例4] 破骨細胞形成のためのマウス骨髄培養
(手順)
麻酔後、各マウスを頸椎脱臼で屠殺した。脚をエタノールで消毒し、股関節にて取り外した。足を足首の上で切断し、100%エタノール中ですすいだ。臀部末端から足首の関節に向けて皮膚を剥いで除去した。メスとピンセットを使って別の皿に筋肉を削り取り、骨(大腿骨もしくは脛骨)の全長を露出した。23GAの針を挿入するのに十分な直径を与えるように、大腿骨および脛骨のそれぞれの端から骨端を切り落とした。骨をαMEM中に入れた。23GAの針およびαMEMを充填した5mlのシリンジを使用して両方の末端から骨を洗い流し、骨髄を取り出した。50mlのコニカルチューブに培地と骨髄を集めた。αMEMおよび骨髄切開から集めた髄を使用して、チューブを1200rpmで2分間遠心した。培地を捨ててペレットをおよそ15mlの10%FCS/αMEM中に再懸濁した。
7.5mlの細胞懸濁液を2つの9cmペトリ皿に蒔き、37℃、5%CO2下で2時間培養した。2時間後、両方の皿から培地および付着していない細胞を取り出し、15mlの遠心管に入れた。遠心管を1200rpmで2分間遠心した。培地をおだやかに流し出し、およそ4〜5mlの10%FCS/αMEMを加え、培地を吸引した。50μlの各細胞懸濁液に、950μlの培地をエッペンドルフチューブ中にて加えた。細胞を血球計算器のチャンバー中で計数した(細胞計数:平均細胞数×希釈度×104細胞/ml)。培地500μl中の5×105個の細胞を各ウェル中に播種した。「ビタミンなし」の対照以外の各ウェルに10-6MのビタミンD3を5μl加えた。Cethrin(登録商標)を適当なウェルに指示されたように加え、各プレートを37℃、5%CO2下で48時間培養した。
第2日目に、「ビタミンなし」の対照ウェルに10%FCS/αMEMを500μl加えた。それ以外のウェル全てに、ビタミンD3を含む15%FCS/αMEMを500μl加えた。10μlの処理薬物を適当なウェルにそれぞれ加え、37℃、5%CO2下で48時間培養した。第4日目に、各ウェルからリバースピペッティングで500μlを取り出し、37℃、5%CO2下で72時間培養した。第7日目に、TRAPi細胞を目的としてウェルを染色した。
(結果)
Cethrin(登録商標)は破骨細胞の発達を減少させた(図7)。間質細胞の生育は(上記の骨芽細胞培養と比較して)阻害されず、顕微鏡写真に示されるように、TRAP陽性の多核破骨細胞を取り囲むかなり多くの間質細胞が見られた(図8;「*」は破骨細胞(多核細胞)を示す;「#」は間質細胞(骨芽細胞を含む)を示す)。
Cethrin(登録商標)は特異的に破骨細胞形成を阻害し、間質細胞は阻害されない。
[実施例5] Cethrin(登録商標) ウサギ橈骨欠損の研究
(手順)
この実施例の目的は、外科的に作られた骨欠陥部位に局所的に適用するフィブリンシーラント基質中のCethrin(登録商標)が、長い骨における臨床的な程度の欠損の治癒を刺激する能力を評価することである。試験では、Cethrin(登録商標)で処理した骨の治癒と自家移植した骨の治癒とを比較し、もっとも効果的なCethrin(登録商標)の投与量を予測する用量反応曲線を作成する。
評価に使用する試験系は、骨格が成熟したメスのニュージーランドシロウサギの橈骨における、臨床的な程度の部分欠損の縮小である。
30匹の骨格が成熟した(≧26週齢、証明付)メスのニュージーランドシロウサギはランダムに5つの群に割り当てられ(N=6/群)、次の処理を受けた:フィブリン基質媒体対照(群1)、フィブリン基質中に1μgのBA−210(群2)、フィブリン基質中に10μgのBA−210(群3)、フィブリン基質中に100μgのBA−210(群4)、および陽性対照として、小片化した腸骨稜移植(ICBG)(群5)。
Figure 2011513434
外科手術当日、ウサギに麻酔をかけて、両方の前肢の前後方向および側方向のX線写真を撮影する。左前肢を剪毛し、ポビドンヨードおよびアルコールで交代にこすって外科手術に備え、無菌的に覆う。予防的抗生剤(セファゾリン、20mg/kg)を、フェンタニルの経皮貼布(25μg/時間)として手術前に投与する。橈骨の頭方内側表面にわたっておよそ3cmの皮膚切開を行い、表面下にある組織を引き離し、開創する。洗浄下で、振動のこぎりを使用して橈骨の2箇所を横切断し、橈骨手根関節から2.5cmに位置する遠位縁に1.5cmの部分欠損を得る。欠損を創出したら、割り当てられた治療材料を骨欠損に配置し、皮下軟部組織および皮膚をVicryl縫合糸(Ethicon, Inc., Somerville, NJ)で閉じる。術後痛はフェンタニルの経皮貼布(25μg/時間)、およびカルプロフェン(4mg/kg)の1日1回注射で3日間管理する。RhoA阻害剤で処理する動物に関しては、BA−210溶液(25μl)を600μlのフィブリン血餅(300μlのフィブリノゲンおよび300μlのトロンビン)に入れて与える。一定分量のBA−210(1μg、10μg、および100μg)は、30mg/mlの原液からクエン酸塩緩衝液での希釈を経て外科手術時に調製する。陰性対照動物(群1)には600μlのフィブリンを単独で(25μlのクエン酸塩緩衝液とともに)与え、一方陽性対照(群5)には、小片化した腸骨稜由来の皮質海綿質の自家移植片を0.3cm3与える。
陽性対照となる動物に関して、部分欠損手術に先だって腸骨稜から移植骨を採取する。これらの動物において、尾側の背領域を剪毛し、ポビドンヨードおよびアルコールで交代にこすって外科手術に備え、無菌的に覆う。正中線上に4〜6cmの皮膚切開を行い、鈍的、鋭的、および電気焼灼的な剥離を経て、腸骨稜の頭方部分を覆う皮下組織に接近する。腸骨稜上の付着筋肉は骨膜下を持ち上げて取り除き、皮質海綿質の骨を採取し、骨鉗子で小片化する。深い皮下組織は4−0 Vicrylで閉じ、皮膚は止め金で閉じる。
治癒を観察し、新たな骨形成を検出するために、前肢の平面X線写真を2週間の間隔で撮影する。動物は全て術後8週間で安楽死させる。安楽死させる際に、術前のX線写真と比較する目的で、前肢の前後方向および側方向のX線写真をin situで撮影する。それから橈骨および尺骨を一括で採取し、冷固定液(10%ホルマリン)につける。骨の近接端部および遠位端部を整形し、マイクロコンピュータ化された断層撮影システム(μCT40,Scanco Medical AG, Scanco Corporation, CH)を使用して、欠損部位の高解像度3−Dボリューム画像(30μm3等大ボクセルサイズ)を生成する。スキャンは55kVpおよび145μAにて実行する。欠損の架橋および新しい骨形成は、Bodde et al.(J. Biomed. Mater. Res. 85A:206−217(2008))およびHedberg et al.(Tissue Engineering 11:1356−1367(2005))によって記載された5点の評点方式を使用して、定性的に点数化する。それから欠損の新しい骨の体積を、欠損部位を中心とした標準化された500枚のスライス(15mm)の体積から定量化する。尺骨は体積から手動の分割で取り除く。骨の体積は、固定フィルタリングおよびσ=1.0、サポート=1、および閾値=315の分割パラメータを備えた、μCT40に組み込まれたイメージ処理手順を使用して計算する。ミネラル密度(立方センチメートルあたりのヒドロキシアパタイト(mg)、mg HA/cm3)を、分割された画像の密度較正を経て計算する。Holm−Sidak法の事後検定とともに一元配置分散分析(ANOVA)を使用して、統計的な比較を行う。
μCT造影後、骨を脱灰してパラフィンに埋め込み、連続した正中矢状切片をミクロトームで切り取る。切片をスライドガラスに載せて、交互の連続切片をトルイジンブルーおよびマッソン・トリクロームで慣用の光学顕微鏡分析用に染色する。
(結果)
フィブリンシーラント基質中のCethrin(登録商標)の局所投与は、フィブリンシーラント単独での適用と比較して、骨欠損部位の新しい骨の形成を加速する。
[実施例6] ウサギの橈骨欠損に対するCethrin(登録商標)およびBMPの投与
他の研究で、ウサギを実施例5に記載されたように準備および処理する。しかしながら、Cethrin(登録商標)およびBMPを同時に投与する。Cethrin(登録商標)はフィブリンシーラント中で局所的に投与し、BMPはCethrin(登録商標)とともに局所的、もしくは全身的のどちらかで投与する。
BMPおよびCethrin(登録商標)を組み合わせた投与は、フィブリンシーラント中のCethrin(登録商標)単独での適用と比較して、骨欠損部位の新しい骨の形成の加速に相乗的または付加的に影響する結果となる。
[実験例7] 骨芽前駆細胞のエクスビボ処理
破骨前駆細胞をオステオポンチンなどのマーカーによって同定し、常用の方法を使用して対象から単離する。破骨前駆細胞をエクスビボで維持してCethrin(登録商標)で処理する。それから処理した細胞を対象の骨損傷部位に移植する。
Cethrin(登録商標)を用いた骨芽前駆細胞のエクスビボ処理は骨芽細胞の形成と成熟を助長し、対象に移植した時に骨形成を促進する。
(同等性)
本発明はその詳細な説明とともに記載されているが、前述の説明は例示することを意図したもので本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲で定められると理解されるべきである。他の態様、利点、および変形例は以下の特許請求の範囲内である。
[配列表]
Figure 2011513434

Claims (38)

  1. 骨細胞とRho GTPアーゼ活性を調節する量のRhoアンタゴニストとを接触させることを含む、骨細胞中のRho GTPアーゼを調節する方法。
  2. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である、請求項1記載の方法。
  3. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である、請求項1記載の方法。
  4. 前記複合体がC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である、請求項3記載の方法。
  5. 前記複合体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記骨細胞が骨再形成細胞である、請求項1記載の方法。
  7. 前記骨再形成細胞が骨芽細胞または骨芽前駆細胞である、請求項6記載の方法。
  8. 前記骨再形成細胞が破骨細胞または破骨前駆細胞である、請求項6記載の方法。
  9. 治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって前記対象の骨再形成を促進することを含む、対象の骨再形成を促進する方法。
  10. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である、請求項9記載の方法。
  11. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である、請求項9記載の方法。
  12. 前記複合体がC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である、請求項11記載の方法。
  13. 前記複合体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項12記載の方法。
  14. 治療有効量のRhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって骨損傷を治療することを含む、対象の骨損傷を治療する方法。
  15. 前記骨損傷が骨折である、請求項14記載の方法。
  16. 前記骨損傷が脊柱損傷である、請求項14記載の方法。
  17. 前記骨損傷が転移性の腫瘍から起こる骨量減少である、請求項14記載の方法。
  18. 前記Rhoアンタゴニストが骨損傷の部位に局所的に投与される、請求項14記載の方法。
  19. 前記Rhoアンタゴニストが配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項18記載の方法。
  20. 前記Rhoアンタゴニストが約0.0001μg/cm3組織から約100μg/cm3組織の用量で投与される、請求項19記載の方法。
  21. 前記Rhoアンタゴニストがフィブリンシーラント中で投与される、請求項18記載の方法。
  22. 前記フィブリンシーラントがTISSEEL(登録商標)である、請求項21記載の方法。
  23. 前記Rhoアンタゴニストが薬剤溶出装置を用いて骨組織に直接投与される、請求項18記載の方法。
  24. 骨芽前駆細胞とRhoアンタゴニストとを接触させ、それによって前記前駆細胞の分化を刺激することを含む、骨芽前駆細胞を刺激して骨芽細胞に分化させる方法。
  25. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である、請求項24記載の方法。
  26. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である、請求項24記載の方法。
  27. 前記複合体がC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である、請求項26記載の方法。
  28. 前記複合体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項27記載の方法。
  29. Rhoアンタゴニストを対象に投与し、それによって骨吸収を阻害することを含む、対象における骨吸収を阻害する方法。
  30. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である、請求項29記載の方法。
  31. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である、請求項29記載の方法。
  32. 前記複合体がC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である、請求項31記載の方法。
  33. 前記複合体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項32記載の方法。
  34. 対象から骨芽前駆細胞を得るステップ;
    前記前駆細胞をRhoアンタゴニストと接触させ、それによって前記前駆細胞の骨芽細胞への分化を刺激するステップ;
    および前記骨芽細胞を前記対象に移植するステップ
    を含む、対象の骨損傷を治療する方法。
  35. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片である、請求項34記載の方法。
  36. 前記RhoアンタゴニストがC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む複合体である、請求項34記載の方法。
  37. 前記複合体がC3ポリペプチド、C3様ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な断片を含む融合タンパク質である、請求項36記載の方法。
  38. 前記複合体が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項37記載の方法。
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