侵襲的に又は非侵襲的に、患者の気道へ呼吸ガスのフローを供給することが望ましい多くの例がある。例えば、多くの人が睡眠時無呼吸症及び他の関連疾患を患っており、これらは睡眠中の発作性上気道閉塞をもたらす。結果として、患者は度重なる睡眠の中断を経験する。睡眠時無呼吸症及び他の関連疾患を治療するために、陽圧呼吸(PAP)装置などの圧支持システムが開発されている。
典型的なPAP装置は、呼吸ガスの陽圧フローを生成するフロー発生器を含む。呼吸ガスの陽圧フローは、通常は供給管と患者インターフェース機器を含む患者回路を介して、患者の気道に供給される。持続的気道陽圧(CAP)、患者の呼吸サイクルとともに変化する可変気道圧(二相式圧力など)、又は観察される患者の状況によって変化する自動調整(auto‐titrating)圧力で、呼吸ガスの陽圧フローを供給することが知られている。圧支持療法はまた、チェーン‐ストークス呼吸、鬱血性心不全、及び脳卒中など、他の内科的疾患及び呼吸疾患を治療するためにも提供される。
こうした患者に気道陽圧を供給することは当該技術分野で周知である。しかしながら、乾燥した圧搾空気を吸うことは患者にとって不快であることがわかっている。時間がたつと、呼吸ガスの陽圧フローは患者の喉、鼻腔、及び粘膜を乾燥させ、不快感と痛みをもたらす。この問題を克服するために、多くの従来技術の圧支持システムは、呼吸ガスの陽圧フローに水蒸気を加えるように構成された加湿器を含む。こうした従来技術の圧支持システムを図示する簡略化された概略図が図7に見られる。図7に見られるように、PAP装置は乾燥した呼吸ガスの供給を加圧する。この加圧された乾燥した呼吸ガスは加湿器へと伝えられ、ここで加圧された呼吸ガス内に水蒸気が取り込まれる(すなわち呼吸ガスが加湿される)。そして、加圧され、加湿された呼吸ガスが使用者に供給されることができる。図7に見られるように、加湿器はPAP装置の下流に位置する。
従来技術のこうした装置例の1つは、Dobson et al.の米国特許No.5,673,687("'687特許")に開示されている。'687特許に開示された装置は、PAP装置、受動加湿器、及び患者回路を含む。受動加湿器は容器及び対応する蓋を持つ。容器は水で満たされるように構成される。加湿器はPAP装置の下流に、PAP装置の排気口と患者回路の間に接続される。患者が呼吸すると、呼吸ガスの陽圧フローがPAP装置から出て加湿器に入り、ここで容器内に含まれる水を通り過ぎる。容器内の水の自然蒸発によって存在する、容器内の水蒸気は、乾燥した加圧呼吸ガスのフロー内に受動的に取り込まれる。そして加湿された呼吸ガスのフローは加湿器から出て、患者回路を介して患者に供給される。
従来技術の別のこうした装置例は、Gradon et al.の米国特許No.6,349,722("'722特許")に開示されている。'687特許における装置によって利用される受動加湿器とは異なり、'722特許に記載されている装置は、呼吸ガスの陽圧フロー内に取り込まれる水蒸気の量を増加させるように設計された能動加湿器を利用する。'722特許に開示された加湿器はプラスチックの上部と金属の底部を持つ水室を持つ。金属の底部は通常、高い熱伝導性を示すアルミニウムなどの金属のシートをスタンピングすることによって形成される。水室の底部はヒータープレートの上部に置かれる。能動加湿は、ヒータープレートの温度が周囲温度よりも上昇する際に起こる。ヒータープレートによって生成される熱は、室内に含まれる水の温度を上昇させ、それによって水の蒸発速度を加速させる。乾燥した加圧呼吸ガスのフローが容器内に含まれる水を通り過ぎると、その中に水蒸気が取り込まれる。そして加湿された呼吸ガスのフローは患者回路を介して患者の気道に供給される。
一般的に、気体の温度が上昇すると、その中に取り込まれることができる水蒸気の量も増加する。反対に、気体の温度が低下すると、その中に取り込まれることができる水蒸気の量も減少する。上記の受動加湿器及び能動加湿器は両方とも、呼吸ガスが加圧された後、ただし呼吸ガスが患者回路に入る前に、呼吸ガス内に取り込まれる水蒸気の量を増加さえるように設計されている。表1と併せて以下でより完全に述べられるように、この配置は、加圧後に水蒸気が呼吸ガスのフローに加えられるので、患者回路内のレインアウト(すなわち凝縮)のリスクを増加させる。
患者回路内で起こるレインアウトは望ましくなく、PAP装置内で起こるレインアウトはさらに望ましくない。例えばPAP装置内の空気流路は点検と洗浄が困難である。結果として、PAP装置内で起こるレインアウトはPAP装置内部の細菌の増殖を引き起こしやすい。加えて、PAP装置内の流路は一般的に防水になるように構成されない。結果として、PAP装置内で起こるレインアウトはPAP装置の回路へ水を漏出させ、回路を損傷させやすく、及び/又は、とりわけフロー発生器を故障させやすい。レインアウトがPAP装置内で起こることを防ぐために、従来技術のシステムは加湿器をPAP装置の下流に、PAP装置と患者回路の間に配置する。
しかしながら、フロー発生器の下流に加湿器を配置することはいくつかの欠点も提示する。例えばこの配置では、加湿室が呼吸ガスの陽圧フローによって加圧される。結果として、加湿器からの空気及び/又は水の漏出を防ぐために適切な密封が維持されなければならない。加えて、加湿器にわたって大きな圧力低下が存在する。この圧力低下は、呼吸ガスのフローが所望の治療圧で患者に供給されることを確実にするために考慮されなければならない。
上述の通り、加湿器をフロー発生器の下流に配置することは、レインアウトが患者回路の内部で起こる可能性も増加させる。ここで下記の表1を参照すると、PAP装置は25℃(77°F)の周囲温度で呼吸ガスのフローを受け取る。PAP装置圧力発生器による圧縮の仕事により、呼吸ガスのフローの温度は32℃(89.6°F)に上昇する。PAP装置の下流に配置される加湿器は、PAP装置の排気口から呼吸ガスの陽圧フローを受け取る。ここで呼吸ガスの陽圧フローは、加湿器に入る前に周囲よりもおよそ7℃(およそ12.6°F)高く加熱されている。この温度上昇のために、呼吸ガスのフローはその中により多くの水蒸気を取り込むことができる。これは、呼吸ガスのフローの相対湿度の50%(周囲において)から34%(PAPの排気口において)への低下によって、表1に反映されている。
呼吸ガスのフローの相対湿度が低下されているので、加湿器はより効率的に動作することができる。表1に見られるように、加湿器は呼吸ガスのフローの絶対湿度を11.4mg/Lから26mg/Lへと上昇させる(相対湿度は34%から78%へと上昇する)。しかしながらこの加湿の一部は、呼吸ガスのフローが患者導管を通過する際に冷却するため、無駄にされる。この冷却は呼吸ガスのフロー中の水蒸気を露点に到達させ、レインアウトさせる。ここで、患者導管の壁に沿った呼吸ガスのフローの温度は32℃(89.6°F)から26℃(78.8°F)に冷却し、呼吸ガスの陽圧フローの相対湿度が100%を超えるようにする(すなわち、これはレインアウトが起こることを意味する)。患者導管内にある間、呼吸ガスのフロー内の水蒸気が露点に達することを防ぐために、例えば患者導管及び/又は患者インターフェースを加熱する追加手段が組み入れられなければならない。
本明細書で使用される方向の語句、例えば左、右、時計回り、反時計回り、上部、底部、上、下、及びその派生語などは、図面に示された要素の方向に関し、請求項において明示されない限り請求項を限定するものではない。
本明細書で使用される"数"の用語は1つ又は1つよりも多くを意味するものとし、"a"、"an"及び"the"の単数形は、文脈が他に明示しない限り、複数形の指示対象を含む。
本明細書で使用される、2つ以上の部分が"接続した"、"結合した"又は"付着した"という記述は、これらの部分が直接的に、又は1つ以上の中間部分又は部品を介してのいずれかで、連結されるか又は共に操作されることを意味するものとする。
本明細書で使用される"絶対湿度"という用語は、特定体積の気体における水蒸気の量をあらわし、全体を通して一般的にリットル当たりミリグラム(mg/L)の単位であらわされる。
本明細書で使用される"相対湿度"という用語は、ある気体がある特定温度において保持している水蒸気の量を、その気体がその特定温度において保持することができる水蒸気の量と比較してあらわす。相対湿度は全体を通して一般的に百分率(%)としてあらわされる。
本明細書で使用される"レインアウト"という用語は、気体に取り込まれた水蒸気の、液体又は固体への凝縮をあらわす。レインアウトは通常、気体の相対湿度がおよそ100%に達するときに起こる。
図1は、本発明の原理に従う圧支持システム10の簡略化された概略図である。(図7に示されるような)既知のシステムとは異なり、圧支持システム10は、加湿器20が陽圧呼吸装置30の上流に位置するように配置される。従って加湿器20は、加圧されていない、乾燥した呼吸ガスのフローを受け取り、そこから、加圧されていない、加湿された呼吸ガスのフローを生成する。陽圧呼吸装置30は、この加圧されていない、加湿された呼吸ガスのフローを加湿器20から受け取り、そこから、加圧された、加湿された呼吸ガスのフローを生成する。
本発明の例示的な実施形態に従う圧支持システム10の斜視図及び詳細な概略図が、それぞれ図2及び図3に概して図示される。圧支持システム10は呼吸療法のレジメンを使用者へ提供するように構成され、加湿器20と陽圧呼吸装置30を含み、これらの各々は互いに取り外し可能に結合されるように構成される。図1に関連して上述したように、圧支持システム10は、加湿された、加圧された呼吸ガスのフローを使用者へ供給するように構成される。
陽圧呼吸装置30は呼吸ガスの陽圧フローを生成するように構成され、限定されることなく、とりわけ、人工呼吸器、持続的圧支持装置(持続的陽圧呼吸装置、すなわちCPAP装置など)、可変圧力装置(例えばペンシルヴァニア州マリーズヴィルのRespironics,Inc.によって製造、流通されている、BiPAP(登録商標)、Bi‐Flex(登録商標)、又はC‐Flex(商標)装置)及び自動調整圧支持装置を含み得る。
乾燥した呼吸ガスのフローは、ガス入口25を通して大気から加湿器20へと引き込まれる。大気から引き込まれる呼吸ガスのフローは、通常は所望の相対湿度よりも低い相対湿度を持つため、本明細書では概して"乾燥している"と称され、この乾燥した呼吸ガスのフローの相対湿度は、通常は加湿器20の内部で増加される。ガス入口25は、自由水面を持つ水の供給を含むチャンバ27と流体連結する。水の供給の蒸発からチャンバ27に存在する水蒸気は、水の自由表面を通り過ぎる、及び/又は水の自由表面に衝突する、乾燥した呼吸ガスのフローに取り込まれる。結果として、加湿された呼吸ガスのフローがガス出口26において加湿器20から出るよう、乾燥した呼吸ガスのフローの相対湿度が増加する。
現実施形態において、加湿器20は発熱体41と凝縮部42を含む。発熱体41は、チャンバ27内に保持される水の供給の温度を上昇させるように構成される。水の供給を加熱することによって、蒸発速度、従って取り込みに利用可能な水蒸気の量が増加される。対照的に、凝縮部42は、チャンバ27から排出される、加湿された呼吸ガスのフローの相対湿度を低下させるように構成される。凝縮部42は冷却面を持ち、これは、冷却面を通り過ぎる加湿された呼吸ガスのフローの部分の温度を下げ、加湿された呼吸ガスのフローにおける水蒸気の一部を、制御された方法でレインアウトさせる。現実施形態において、凝縮部42はペルチェ素子を用いて構成されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の素子又は手段が使用され得る。
本明細書の考察は概して、乾燥した呼吸ガスのフローに取り込まれる水蒸気の量を増加させるために加湿器20を使用することに関するが、本発明の範囲内にとどまりながら、加湿された呼吸ガスのフローに取り込まれる水蒸気の量を減少させるために圧支持システム10が利用され得ることが考えられる。例えば、加湿器20から出る呼吸ガスのフローの相対湿度が、加湿器20に入る呼吸ガスのフローの相対湿度よりも低くなるように、凝縮部42が利用され得る。
ガス出口26は陽圧呼吸装置30の吸気口35と流体連結する。吸気口35はガス出口26から加湿された呼吸ガスのフローを受け取り、それを圧力発生器31へ供給するように構成される。圧力発生器31は、加湿器20から供給される加湿された呼吸ガスのフローから、呼吸ガスの陽圧フローを生成するように構成される。例示的な実施形態において、圧力発生器31は、マイクロプロセッサ32の制御化で動作するモータによってファン又はインペラが駆動される、遠心ブロワである。しかし当然のことながら、本発明は高圧において呼吸ガスのフローを生成するための他の技術も考慮する。例えば、ドラッグコンプレッサ、ファン、ピストン、又はベローズもまた、環境大気圧よりも高い圧力において呼吸ガスのフローを作り出すために、陽圧支持システム10において圧力発生器31として使用されることができる。
圧力発生器31によって生成される呼吸ガスの陽圧フローは、排気口36を通して排出され、通常は、例えば患者導管46と患者インターフェース機器47を含む患者回路45を通して、使用者へ供給される。患者回路45は、使用者の気道に陽圧呼吸装置30からの呼吸ガスのフローを伝えるように構成される。典型的には、患者回路45は導管又はチューブ46を含み、この第一端は陽圧呼吸装置30と結合し、この第二端は患者インターフェース機器47と結合する。患者インターフェース機器47は通常、患者の顔の上に、及び/又は顔を覆って配置されるように構成される鼻又は鼻/口マスクである。しかしながら、こうした患者の気道への呼吸ガスのフローの供給を促進し、こうした患者の気道からの呼気ガスのフローの除去を促進するような、いかなる種類の患者インターフェース機器47が、本発明の範囲内にとどまりながら使用されてもよい。
陽圧呼吸装置30は、マイクロプロセッサ32、使用者インターフェース機器33、及びメモリ34を含む。マイクロプロセッサ32は多数の動作ルーチンを実施及び/又は実行するように構成される。動作ルーチンは、限定はされないが、マイクロプロセッサ32によって実行可能なソフトウェア、ファームウェアなどといった様々な形式のいずれであってもよい。現実施形態において、動作ルーチンは一般的に、マイクロプロセッサ32と動作可能に通信しているメモリ34内に格納される。動作ルーチンは、例えば限定はされないが、マイクロプロセッサ32によって実行されると、使用者へ呼吸療法のレジメンを提供するために、圧力発生器31、発熱体41、及び凝縮部42の動作を制御する命令を含み得る。
メモリ34は、とりわけマイクロプロセッサ32によって実行可能なルーチンの数のための記憶領域を提供する。メモリ34は、限定はされないが、例えばコンピュータの内部記憶領域の方法でデータ記憶用のレジスタを提供する、RAM、ROM、EPROM、EEPROMSなどといった、様々な種類の内部及び/又は外部記憶媒体のいずれであることもでき、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであることができる。
使用者インターフェース機器33は、陽圧呼吸装置30と、例えば使用者との間で情報を交換するように構成される。使用者インターフェース機器33の実施例は、とりわけ、手動作動式ボタン、ディスプレイ、キーパッド、音声作動式の入力装置、音声出力、インジケータ(例えばライト)、スイッチ、ノブ、モデム、及びネットワークカードを含む。図2に見られるように、陽圧呼吸装置30は多数の手動作動式ボタン33を持ち、これらは例えば使用者へ供給されるガスの陽圧フローの所望の相対湿度レベルを選択するために使用され得る。
表2(下記)は、本発明の原理に従って加湿器20を陽圧呼吸装置30の上流に置くことによってもたらされるレインアウト防止の例示的な説明である。上述の通り、呼吸ガスのフローの温度が上昇すると、呼吸ガスのフローがその中に取り込むことができる水蒸気の量も増加する。呼吸ガスのフローはより多くの水蒸気を保持することができるので、呼吸ガスのフローの相対湿度(保持されることができる水蒸気の量に対する、保持されている水蒸気の量の比率である)は減少する。
表2に見られる通り、呼吸ガスのフローの温度はガス出口26における25℃(77°F)から吸気口35における26℃(78.8°F)へ上昇し、それに対応して呼吸ガスのフローの相対湿度は100%から94%へ減少する。吸気口35において呼吸ガスのフローの相対湿度は100%より低いので、レインアウトは起こらない。ガス出口26における呼吸ガスのフローの相対湿度は表2において100%と示されているが、より大きな安全域をもたらすために、例えば凝縮部42を用いて、より低い相対湿度が実現され得ることが考えられる。再び表2を参照すると、概して空気圧縮の仕事によって圧力発生器31内に生じた熱に起因して、呼吸ガスのフローの温度は吸気口35における26℃(78.8°F)から排気口36における32℃(89.6°F)へ上昇する。この温度上昇により、呼吸ガスのフローの相対湿度は対応して吸気口35における94%から排気口36における68%へ減少し、その結果、陽圧呼吸装置30内でレインアウトが起こるリスクをさらに低下させる。
圧支持システム10を用いて、(例えば、空気圧縮の仕事に起因して)圧力発生器31によって呼吸ガスのフローに対して与えられる温度上昇は、呼吸ガスのフローが標準的な6ft.長の患者導管46を通過する際に経験される温度低下と実質的に同じであることが、実験によって示されている。これは表2に例示され、例えば呼吸ガスのフローの温度が吸気口35と排気口36の間で6℃(10.8°F)(すなわち26℃(78.8°F)から32℃(89.6°F)に)上昇する場合、排気口36と患者導管46の患者側末端の間で同じ量(すなわち6℃(10.8°F))減少することになる。
呼吸ガスのフローの温度が低下すると、その中に取り込まれることができる水蒸気の量も減少し、その結果、呼吸ガスの相対湿度を増加させることになる。吸気口35、及び患者導管46の患者側末端における呼吸ガスのフローの温度は同じであるため、これらの点の両方における呼吸ガスの相対湿度も同じであり、ここでは94%である。従って、吸気口35における呼吸ガスのフローの相対湿度を100%未満に維持することによって、陽圧呼吸装置30及び患者回路45内のレインアウトが排除される。
図3において凝縮部42は圧力発生器31の上流に位置するように図示されているが、凝縮部42は、レインアウトが患者回路45内で起こらないことを確実にするために、例えば限定はされないが、圧力発生器31と患者回路45の間など、異なる位置に置かれることができることが考えられる。同様に、1つよりも多くの凝縮部42が利用され得ることが考えられる。例えば、第一凝縮部42は圧力発生器31の上流に位置し得(例えば図3に示されるように)、第二凝縮部42は圧力発生器31と患者回路45の間に位置し得る。本発明の範囲内にある他の配置も考えられる。
表2は、加湿器20を陽圧呼吸装置30の上流に置くことが、加湿器20によって呼吸ガスのフロー内に取り込まれることができる水蒸気の量を制限することも説明している。例えば、加湿器20の内部の呼吸ガスのフローは25℃(77°F)の温度である。この温度において、呼吸ガスのフロー内に取り込まれることができる水蒸気の最大量は22.8mg/Lである。より少ない水蒸気が呼吸ガスのフロー内に取り込まれているので(既知の圧支持システムの呼吸ガスのフロー内に取り込まれる26mg/Lの水蒸気と比較して;表1参照)、陽圧呼吸装置30及び患者回路45内のレインアウトのリスクが軽減される。
図4は本発明の一実施形態に従う図2の加湿器20の斜視図である。加湿器20は、上壁21、実質的に直立の側壁22、及び底壁23を含む。上壁21、側壁22、及び底壁23は、自由水面を持つ水の供給を保持するように構成されるチャンバ27を画定する。チャンバ27と流体連結している注水口24は、使用者がチャンバ27に水を容易に補充することを可能にするように構成される。チャンバ27は、呼吸ガスのフローによる水蒸気の取り込みを促進するように構成される多数のバッフル及び/又は他の構造を含み得る。
上記の通り、呼吸ガスのフローは大気からガス入口25を通して加湿器20の中へ引き込まれる。ガス入口25はチャンバ27と流体連結し、チャンバ27へ呼吸ガスのフローを供給するように構成される。ガス出口26もまたチャンバ27と流体連結し、チャンバ27から加湿された呼吸ガスのフローを排出するように構成される。ガス出口26は、図2に示される陽圧呼吸装置30の吸気口35と流体結合するように構成される。
現実施形態において、ガス入口25と注水口24は側壁22の前面に配置され、一方ガス出口26は上壁21上に配置される。しかしながら、本発明の範囲内にとどまりながら、別の位置が使用され得ることが考えられる。ガス入口25及び注水口24は各々それに付随する濾材28を持つ。濾材28はチャンバ27に供給される呼吸ガスのフロー及び/又は水から汚染物質を除去するように構成される。現実施形態では別々の部品として示されているが、ガス入口25と注水口24は本発明の範囲から逸脱することなく単一の部品に組み合わされ得ることが考えられる。濾材28は、呼吸ガスのフロー及び水の供給のうちの一方若しくは両方から汚染物質を除去するように構成され得ることがさらに考えられる。
圧支持システム10は部品の特定の配置に関連して述べられているが、他の配置、部品、及び/又は組み合わせが、本発明の範囲内において呼吸ガスの陽圧フローを生成するために使用され得ることが考えられる。例えば、加湿器20は概して蒸気式の加湿器として図示され記載されているが、他の種類の加湿器、例えばとりわけ、気化式加湿器、超音波式加湿器、及び噴霧式加湿器などが、本発明の範囲から逸脱することなく利用され得る。別の実施例として、加湿器及び陽圧呼吸装置30は図3において別々の部品として図示されているが、加湿器20の部品が陽圧呼吸装置30'の中に組み込まれる圧支持システム10'(図5参照)もまた、本発明の範囲から逸脱することなく考えられる。さらに別の実施例として、加湿器20及び/又は陽圧呼吸装置30が、ガス出口26から吸気口35への水の浸入を防ぐように構成される水浸入弁を持ち得ることが考えられる。
一実施形態に従って使用者へ呼吸療法のレジメンを提供するための動作プロセス60が図6に図示される。動作プロセスは動作61から開始し、ここで加湿された呼吸ガスのフローが陽圧呼吸装置の吸気口において受け取られる。現実施形態において、例えば乾燥した呼吸ガスのフローは加湿器20のガス入口25において受け取られる。加湿器20は加湿された呼吸ガスのフローを生成するために利用される。例えば、25℃(77°F)の温度と50%の相対湿度を持つガスのフローが大気から引き込まれ、ガス入口25に供給される。この乾燥した呼吸ガスのフローは加湿器20内のチャンバ27を通過する。チャンバ27は水の供給を保持するように構成される。乾燥した呼吸ガスのフローは水の自由表面を通り過ぎる、及び/又は水の自由表面に衝突する。チャンバ27内の水の供給の蒸発の結果として存在する水蒸気は、乾燥した呼吸ガスのフローに取り込まれる。結果として、乾燥した呼吸ガスのフローの相対湿度は50%から100%へ増加する。従って、呼吸ガスのフローは今や加湿された呼吸ガスのフローである。そして加湿された呼吸ガスのフローは、加湿器20のガス出口26から陽圧呼吸装置30の吸気口35へ供給される。
加湿器に付随する発熱体及び/又は凝縮部は、呼吸ガスのフローに取り込まれる水蒸気の量を制御するために使用され得る。現実施形態において、発熱体41は概して加湿器20を通過する呼吸ガスのフローの相対湿度を増加させるために利用され、一方凝縮部42は概して加湿器20を通過する呼吸ガスのフローの相対湿度を減少させるために利用される。発熱体41はチャンバ27内に保持される水の供給の温度を上昇させるように構成される。この加熱は水の供給に関連する蒸発速度を増加させ、その結果、チャンバ27を通過する呼吸ガスのフロー内に取り込まれるために利用可能な水蒸気の量を増加させる。
対照的に、凝縮部42は冷却面をもたらし、これは呼吸ガスのフローによって通り過ぎられると、及び/又は衝突されると、呼吸ガスのフロー内に取り込まれた水蒸気のいくらかの量を凝縮させる。例えば、圧力発生装置10内のレインアウトに対してさらなる安全域をもたらすために、加湿された呼吸ガスのフローの相対湿度を100%から95%へ減少させることが望ましい可能性がある。凝縮部42は、例えば限定はされないが、ペルチェ素子を用いて構成され得るが、本発明の範囲内にある他の素子又は手段が考えられる。
そして動作制御は動作62へと移され、ここで、加湿された呼吸ガスのフローを受け取ることに応じて、陽圧呼吸装置によって呼吸ガスの陽圧フローが生成される。現実施形態において、25℃(77°F)の温度と100%の相対湿度を持つ、加湿された呼吸ガスのフローが、陽圧呼吸装置30によって受け取られる。加湿された呼吸ガスのフローは、呼吸ガスの陽圧フローになるために加圧される。加湿された呼吸ガスのフローが加圧されると、その温度は上昇するが、一方その相対湿度はそれに対応して減少する。現実施例において、例えば加湿された呼吸ガスのフローの温度は25℃(77°F)から32℃(89.6°F)へ上昇し、一方加湿された呼吸ガスのフローの相対湿度はそれに対応して100%から68%へ減少する。
そして動作制御は動作63へと移され、ここで陽圧呼吸装置の排気口から呼吸ガスの陽圧フローが排出される。現実施形態において、陽圧呼吸装置30から排出される呼吸ガスの陽圧フローは32℃(89.6°F)の温度と68%の相対湿度を持つ。呼吸ガスの陽圧フローは排気口36から排出され、患者回路45へ伝えられる。
そして動作制御は動作64へと移され、ここで呼吸ガスの陽圧フローが使用者へ供給される。現実施形態において、呼吸ガスの陽圧フローは患者回路45を介して使用者へ供給される。ここで、患者回路45は標準的な6ft.の患者導管46と患者インターフェース機器47(例えば限定はされないが、とりわけ鼻マスク、フルフェイスマスク、トータルフェイスマスク、及び鼻カニューレなど)を含む。患者導管46の壁は一般的に25℃(77°F)の周囲温度であるため、呼吸ガスの陽圧フローが患者導管46を通過する際に熱損失が起こる。現実施形態において、空気の陽圧フローは患者に供給される前に温度が32℃(89.6°F)から26℃(78.8°F)へ低下する。それに対応して、呼吸ガスの陽圧フローの相対湿度は68%から94%へ増加する。呼吸ガスの陽圧フローの相対湿度は、加湿器20のガス出口26から排出された後、100%には決して達しない。従って、陽圧呼吸装置30及び患者回路45においてレインアウトが防止される。一実施形態においては、レインアウトが患者回路45内で起こらないことをさらに確実にするために、凝縮部42は圧力発生器31と患者回路45の間に位置する。
表2に例示され、動作プロセス60に関連して述べられた温度と相対湿度は、一例であることに留意すべきである。本発明の範囲内にとどまりながら、他の温度と相対湿度の値が利用され得ることが考えられる。概して本発明は、呼吸療法のレジメンを使用者へ提供するための方法を意図し、この方法において、吸気口35において受け取られる呼吸ガスのフローは第一の温度と第一の相対湿度を持つ。陽圧呼吸装置30はこの呼吸ガスのフローを使用して、第二の温度と第二の相対湿度を持つ呼吸ガスの陽圧フローを生成する。この呼吸ガスの陽圧フローが患者に供給される。しかしながら、供給中に経験される温度損失のために、患者に供給される呼吸ガスの陽圧フローは第三の温度と第三の相対湿度を持つ。本発明は、第一の温度が第二の温度よりも低く、ただし第三の温度と実質的に同じであるように、かつ、第一の相対湿度が第二の相対湿度よりも高く、ただし第三の相対湿度と実質的に同じであるように、呼吸ガスのフローの温度と相対湿度を制御する。
本発明は例示を目的として、現在最も有用で好ましい実施形態であるとみなされるものに基づいて詳細に記載されているが、当然のことながら、かかる詳細はその目的のために過ぎず、本発明は開示された実施形態に限定されない。それどころか、本発明は添付の請求項の精神と範囲の内にある変更及び均等な構成を包含することが意図される。例えば、当然のことながら本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴が任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることができることを意図する。