JP2011512877A - 組換えタンパク質の大スケール産生に適した細胞を同定する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法を提供する。本発明は、目的タンパク質をコードしている遺伝子中の欠失の非存在が、細胞が目的タンパク質の大スケール産生に適していることを示す、目的タンパク質をコードしている遺伝子中の遺伝子再編成を高スループットでスクリーニングする方法をさらに提供する。
【図1】

Description

本発明は、一般に遺伝子発現およびタンパク質産生に関し、より具体的には、組換えタンパク質の大スケール産生における使用に適した細胞を同定する方法に関する。
バイオテクノロジー産業の主要な目標の1つは、それだけには限定されないが、組換え抗体など、組換えタンパク質の発現および大スケール産生に適した安定な細胞系の開発である。標準的な方法は、目的遺伝子を発現する適切な組換え宿主細胞系の、時間のかかる労働集約的な開発を必要とする。従来は、目的遺伝子および選択可能マーカー遺伝子を含有する発現ベクターによって細胞をトランスフェクトする。その後、細胞の集団全体を、発現ベクターを取り込むことに失敗した細胞を除去するための選択プロセスに供する。その後、典型的には、ベクターを含有するプールをサブクローニングし、高レベルの発現についてスクリーニングする。その後、生じる高レベル発現クローンのそれぞれを拡大増殖させ、さらに培養中での成長に順応させる。しかし、多くの場合これらの細胞は不安定であり、組換えタンパク質および/またはポリペプチドの発現が喪失する場合がしばしばある。
遺伝子発現の不安定性は、タンパク質治療のための産生細胞系の開発を妨害する。発現の喪失は、それだけには限定されないが、DNAメチル化、相同組換えおよび非相同組換えを含めた様々な機構によって起こる場合がある。これらの機構のいずれかが発現カセットの全部または一部の喪失をもたらす場合があり、これにより、細胞が選択剤に対して感受性のあるものとなる場合がある。
当分野では、それだけには限定されないが、抗体の重鎖および軽鎖を含めた、組換えタンパク質および/またはポリペプチドの発現および大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する改善された方法の必要性が依然として存在する。本発明はこれらの必要性に取り組んでおり、目的タンパク質を安定に発現し、かつ組換えタンパク質/ポリペプチドの大スケール産生に適した組換え細胞のクローン集団の同定方法を提供する。
本明細書における任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるという承認としてみなされるべきでない。
本発明の一態様は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法であって、
a)細胞の集団を、目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体でトランスフェクトするステップと、
b)目的タンパク質をコードしている遺伝子を発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
を含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法であって、
a)細胞の集団を、トリパータイトリーダー配列(TPL)のコード領域、イントロン、目的タンパク質をコードしている遺伝子、内部リボソーム進入部位(IRES)および選択可能マーカーのコード領域を順次含む核酸構築体でトランスフェクトするステップと、
b)目的タンパク質をコードしている遺伝子および選択可能マーカーを発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
を含む方法を提供する。
一実施形態では、この方法は、目的タンパク質を細胞のクローン集団から単離および精製することをさらに含む。
一実施形態では、上記ステップe)の大スケール産生は、2リットルを超える体積の細胞培地中で細胞を培養することを含む。
一実施形態では、この方法は、目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’側に位置するイントロン配列を含む核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、イントロン配列の5’側に位置するトリパータイトリーダー(TPL)配列のコード領域を含む核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、選択可能マーカーのコード領域と作動可能に連結したIRESをさらに順次含み、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域が目的タンパク質をコードしている遺伝子の3’側に位置する、核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、遺伝子が免疫グロブリン分子の重鎖をコードしている核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、遺伝子が免疫グロブリン分子の軽鎖をコードしている核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、選択可能マーカーが、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、ネオマイシントランスフェラーゼ、ヒスチジノール、ハイグロマイシン、グルタミン合成酵素、ゼオシンおよびフレオマイシンからなる群から選択される、核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、IRESが配列番号4、6および8からなる群から選択される核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、再編成が目的タンパク質をコードしている遺伝子の全部または一部の欠失を含む核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、目的タンパク質をコードしている遺伝子中の欠失が、DNA、mRNA前駆体およびmRNAからなる群から選択される核酸中で検出される、核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、遺伝子が、抗体、融合タンパク質、または小モジュラー免疫薬製品(SMIP)である目的タンパク質をコードしている、核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、遺伝子が治療的抗体をコードしている核酸構築体を提供する。
一実施形態では、この方法は、ヘリカーゼ依存性増幅またはRT−PCR、逆PCR、定量的PCR、リアルタイムPCR、およびin situ PCRからなる群から選択される任意のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む決定ステップを提供する。
本発明の第2の態様は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定するためのアッセイであって、
a)目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体を含む細胞を培養して細胞のクローン集団を産生するステップと、
b)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって遺伝子の一部分を増幅するステップであって、増幅が第1のプライマーおよび第2のプライマーを用いて実施され、第1のプライマーが遺伝子の5’側のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、第2のプライマーが遺伝子の3’側のヌクレオチド配列とハイブリダイズするステップと、
c)遺伝子の増幅した部分における遺伝子の全部または一部の欠失の存在または非存在を決定するステップと
を含み、欠失の非存在から、細胞のクローン集団が目的タンパク質の大スケール産生に適していることが同定されるアッセイ
を提供する。
一実施形態では、このアッセイは、目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’側に位置するトリパータイトリーダー(TPL)配列のコード領域をさらに含む核酸構築体を提供する。
一実施形態では、このアッセイは、選択可能マーカーのコード領域と作動可能に連結した内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに順次含み、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域が目的タンパク質をコードしている遺伝子の3’側に位置する、核酸構築体を提供する。
一実施形態では、このアッセイは、第1のプライマーをTPL配列のコード領域とハイブリダイズさせ、第2のプライマーを選択可能マーカーのコード領域とハイブリダイズさせることを含む増幅ステップを提供する。
本発明の第3の態様は、上述の方法のいずれかによって産生された、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を提供する。
タンパク質および選択可能マーカーの同時発現のためのいくつかの可能なベクターの組合せを示す図である。 内部リボソーム進入部位(IRES)の非存在下における、単一の選択可能マーカーを用いた重鎖遺伝子の発現。遺伝子産物の発現はプロモーターによって駆動され、転写物はポリアデニル化配列(pA)によって安定化される。pAとプロモーター2との間に位置する、下方の図中の標識していないボックスは、介在DNAを表す。 タンパク質および選択可能マーカーの同時発現のためのいくつかの可能なベクターの組合せを示す図である。 IRESの非存在下における、単一の選択可能マーカーを用いた軽鎖遺伝子の発現。遺伝子産物の発現はプロモーターによって駆動され、転写物はポリアデニル化配列(pA)によって安定化される。pAとプロモーター2との間に位置する、下方の図中の標識していないボックスは、介在DNAを表す。 タンパク質および選択可能マーカーの同時発現のためのいくつかの可能なベクターの組合せを示す図である。 バイシストロンメッセージを用いた重鎖または軽鎖遺伝子の発現。それぞれのmRNAは、同じ転写物からの第2の遺伝子産物の翻訳を可能にするIRESを有し、この例では、第2の遺伝子産物は選択可能マーカーである。 経時的な抗体重鎖−DHFRバイシストロン転写物の喪失のノーザンブロット分析を示す図である。 細胞を、図1Cに示すようにIRESを介してDHFRと連結した重鎖DNAでトランスフェクトした。細胞を、メトトレキサートを含有する既知組成培地中でDHFRの発現について選択し、拡大増殖させ、無血清懸濁液に順応させた。抗体を発現するクローンAおよびBについて示した時点で、RNAを単離し、2ugを1.2%のアガロースゲル上で分離した。核酸をナイロン膜に移し、UVで架橋結合させた。マウスDHFRの完全長cDNAに対応するDNAとのランダムプライム反応によって、32P標識したプローブを作製した。このプローブを膜に終夜42℃でハイブリダイズさせ、続いて2×SSC/0.1%のSDS、室温で洗浄し、その後0.1×SSC/0.1%のSDS、65℃で洗浄した。膜をX線フィルムに露出させ、現像した。プローブ配列に相補的な核酸に対応する転写物を示す。完全長バイシストロンメッセージをHC−DHFRと命名する。遺伝子再編成からの再編成されたより小さな転写物は遊離DHFRとして示す。 ループアウト再編成の模式図である。 図2に示す再編成された遊離DHFR転写物の模式図である。いくつかのRNA産物のクローニングおよび配列決定により、遊離DHFRに対応する得られたRNAは、リードイントロンとIRESとの間の遺伝子再編成であったことが実証された。 抗体発現の特定生産性の喪失を示す図である。 クローンAおよびBによる抗体産生の特定生産性はHC−DHFR転写物の喪失および遊離DHFR転写物の発生に対応する。培地を細胞系AおよびBから収集し、特定の抗体の量を測定した。生産性は、産生されたタンパク質のpg/細胞/日(p/c/d)に対して正規化した。トランスフェクト後95日目までにはタンパク質産生の量はほぼ排除されていた。 ループアウト検出アッセイの模式図である。 ループアウト検出アッセイの模式図。プライマーのアニーリング点は、図中に示すベクターの上および下に配置したボックスによって示す。順方向プライマーはトリパータイトリーダー(TPL)中にアニーリングし、逆方向プライマーはマウスDHFR遺伝子(DHFR)中にアニーリングする。典型的な抗体重鎖を含有するインタクトな構築体の完全長RT−PCR産物は約2.7Kbである。目的遺伝子(この例では重鎖遺伝子)が切除される場合は、同じプライマーを用いて得られるRT−PCR産物は約550bpである。 抗体産生を喪失したクローン由来のRNAのRT−PCR分析を示す図である。 ループアウト検出アッセイを、図2および4のクローンAおよびBに対応するRNA試料に適用した。最初期の時点(61日目)から単離したRNAは、クローンA中の検出可能な再編成された遺伝子産物を実証している。同様の大きさのRT−PCR産物が67日目にクローンBから検出可能である。どちらの産物も、アッセイの感度を実証する対応するノーザンブロットよりも早く検出され、分析する第1の培地試料よりもはるかに早く検出される(図4の74日目)。 いくつかのタンパク質産物クラスに適用したループアウト検出アッセイ(LODA)を示す図である。 ループアウト検出アッセイを、Fc融合タンパク質、小モジュラー免疫薬(SMIP)または抗体を発現する細胞のクローン集団に適用する。以前のように細胞をトランスフェクトおよび培養した。LODAを、RNAサンプリングの時点で既に生産性を喪失した細胞(それぞれ0.5および0.9のQp)または抗体(39のQp)に適用し、これは、図6のMAbクローンAおよびBと同様に発現を喪失する。 Qpとは、細胞の特定生産性をいう。これは、単一の細胞が二十四(24)時間の期間内に産生するタンパク質の量の測度である(ピコグラム/細胞/日)。
本発明の方法および治療方法を説明する前に、方法および条件は変動し得るため、本発明は特定の方法および記載する実験条件に限定されないことを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲中でのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は特定の実施形態を説明することのみが目的であり、限定することを意図しないことも理解されたい。
本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「a」、「an」、および「the」には、内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、複数形の言及が含まれる。したがって、たとえば、「方法(the method)」への言及には、1つまたは複数の方法、および/または本明細書に記載した種類のステップ、および/または本開示を読んだ際に当業者に明らかとなるものが含まれる。
したがって、本出願では、当分野の技術範囲内にある従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNAの技術を用い得る。そのような技術は文献中に十分に記載されている。たとえば、Byrd,CMおよびHruby,DE、Methods in Molecular Biology、第269巻:Vaccinia Virus and Poxvirology、第3章、31〜40ページ、Sambrook、FritschおよびManiatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(本明細書で「Sambrook他、1989」)、DNA Cloning:A Practical Approach、第IおよびII巻(D.N.Glover編、1985)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984)、Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985))、Transcription And Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984))、Animal Cell Culture(R.I.Freshney編(1986))、Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、(1986))、B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984)、F.M.Ausubel他(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
本明細書に記載したものと類似または等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で引用するすべての出版物は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
定義
本明細書で使用する用語は、当業者に認識され、知られている意味を有するが、利便性および完全性のため、特定の用語およびその意味を以下に記載する。
用語「約」とは、20%以内、より好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
本明細書で使用する「増幅すること」とは、核酸配列のさらなるコピーの作製をいう。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含めた、核酸配列を増幅するための様々な方法が開発されている。核酸配列のPCR増幅は、一般に、核酸配列の指数関数的な増幅をもたらす。
本発明には、抗体および他の抗原結合タンパク質を含めたタンパク質が包含される。本出願の目的で、用語「抗体」には、本明細書に記載の任意の抗原結合タンパク質が含まれることを意図する。
用語「抗体」には、少なくとも1つ、典型的には2つのVHドメインもしくはその一部分、および/または少なくとも1つ、典型的には2つのVLドメインもしくはその一部分を含むタンパク質が含まれる。特定の実施形態では、抗体は2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖の四量体であり、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖は、たとえばジスルフィド結合によって相互結合されている。抗体またはその一部分は、それだけには限定されないが、げっ歯類、霊長類(たとえば、ヒトおよび非ヒトの霊長類)、ラクダ科、サメを含めた任意の起源から得ることもでき、たとえば当業者に周知の方法によって組換えにより産生する、たとえば、キメラ、ヒト化、および/またはin vitroで作製することもできる。
また、本発明には、「抗体の抗原結合断片」も包含され、これには、(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)断片、すなわち、ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)1つのVHドメインからなるdAb断片、(vi)ラクダ科またはラクダ化可変ドメイン、たとえばVHHドメイン、(vii)単鎖Fv(scFv)、(viii)二重特異性抗体、ならびに(ix)Fc領域と融合した免疫グロブリンの1つまたは複数の抗原結合断片が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、これらは、組換え方法を用いて、VLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として産生されることを可能にする合成リンカーによって連結することができる(単鎖Fv(scFv)として知られる、たとえば、Bird他(1988)Science、242:423〜26、Huston他(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5879〜83を参照)。また、そのような単鎖抗体も、用語、抗体の「抗原結合断片」に包含されることを意図する。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来技術を用いて得られ、断片は、インタクトな抗体と同じ様式で機能を評価する。
また、本発明には、単一ドメイン抗体も包含される。単一ドメイン抗体には、相補性決定領域が単一ドメインのポリペプチドの一部である抗体が含まれる場合がある。例には、それだけには限定されないが、重鎖抗体、天然に軽鎖を欠く抗体、従来の四本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作した抗体および抗体に由来するもの以外の単一ドメイン足場が含まれる。単一ドメイン抗体は、当分野における任意のもの、または任意の将来の単一ドメイン抗体であり得る。単一ドメイン抗体は、それだけには限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシおよびサメを含めた任意の種に由来し得る。本発明の一態様によれば、本明細書で使用する単一ドメイン抗体とは、軽鎖を欠く重鎖抗体として知られている、天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、たとえばWO9404678号に開示されている。明確さのために、天然に軽鎖を欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、四本鎖の免疫グロブリンの従来のVHと区別するために、本明細書でVHHまたはナノボディーとして知られる。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、たとえば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコ中で産生させた抗体に由来することができる。ラクダ科以外の他の種も天然に軽鎖を欠く重鎖抗体を産生する場合があり、そのようなVHHは本発明の範囲内にある。また、単一ドメイン抗体には、サメIgNARも含まれ、たとえば、Dooley他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、103:1846〜1851(2006)を参照されたい。
「二重特異性」または「二機能性」抗体以外では、抗体は、その結合部位のそれぞれが同一であると理解される。「二重特異性」または「二機能性抗体」とは、2つの異なる重鎖/軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人工のハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含めた様々な方法によって産生することができる。たとえば、SongsivilaiおよびLachmann、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321(1990)、Kostelny他、J.Immunol.、148、1547〜1553(1992)を参照されたい。
タンパク質が抗体またはその断片である実施形態では、少なくとも1本または2本の完全長の重鎖、および少なくとも1本または2本の軽鎖が含まれ得る。あるいは、抗体またはその断片には、抗原結合断片(たとえば、Fab、F(ab’)、Fvまたは単鎖Fv断片)のみが含まれ得る。抗体またはその断片は、モノクローナルまたは単一特異性抗体であり得る。また、抗体またはその断片は、ヒト、ヒト化、キメラ、CDR移植した、またはin vitroで作製した抗体でもあり得る。さらに他の実施形態では、抗体は、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択された重鎖定常領域を有する。別の実施形態では、抗体は、たとえばκまたはλから選択された軽鎖を有する。一実施形態では、定常領域は、抗体の特性を改変するために(たとえば、Fc受容体の結合、抗体のグリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または低下させるため)、変更されている、たとえば突然変異している。典型的には、抗体またはその断片は、所定の抗原、たとえば、障害、たとえば神経変性、代謝性、炎症性、自己免疫性および/または悪性の障害に関連する抗原と特異的に結合する。
本明細書に記載するタンパク質には、たとえば、安定性、エフェクター細胞機能または補体固定のうちの1つまたは複数を増強させる部分が、任意選択でさらに含まれる。たとえば、抗体または抗原結合タンパク質には、peg化部分、アルブミン、または重鎖および/もしくは軽鎖定常領域がさらに含まれ得る。
「治療的抗体」とは、単独、または、特定の受容体もしくは細胞種、または傷害部位への標的化を可能にする部分とカップリングした、または、細胞による取り込みの増強を可能にする化学またはタンパク質部分とカップリングした、上記抗体分子のいずれかに関し、そのような治療的抗体は、疾患を治療するため、または疾患に関連する少なくとも1つの症状を寛解させるために使用する。
抗体は、一般に、たとえば、旧来のハイブリドーマ技術(Kohler他、Nature、256:495〜499(1975))、組換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)、または抗体ライブラリーを用いたファージディスプレイ技術によって作製する(Clackson他、Nature、352:624〜628(1991)、Marks他、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1991))。様々な他の抗体産生技術には、Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow他編、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照されたい。
さらに、抗体は、検出可能または機能的な標識でタグ付けし得る。これらの標識には、放射標識(たとえば、131Iまたは99Tc)、酵素標識(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)、および他の化学部分(たとえばビオチン)が含まれる。
本明細書で使用する用語「細胞」、もしくは「複数の細胞」、または「宿主細胞」などには、ベクターまたは外因性核酸分子、ポリヌクレオチドおよび/もしくはタンパク質の取り込みにおけるレシピエントであり得る、またはそうであった、任意の個々の細胞または細胞培養物(「細胞の集団」)が含まれることを意図する。用語「細胞」、または「複数の細胞」には、単一の細胞の子孫が含まれ得る。しかし、子孫は、天然、偶発的、または意図的な突然変異により、元の親細胞と必ずしも完全に同一でなくてもよい(形態学または遺伝子もしくは全DNA補完性において)。細胞は原核または真核であってよく、それだけには限定されないが、細菌細胞、哺乳動物細胞、動物細胞(たとえば、ハムスター、ネズミ、ラット、サルまたはヒト)、昆虫細胞および酵母細胞が含まれ得る。
本明細書で使用する「細胞のクローン集団」とは、一般に単一の単離細胞に由来する細胞の集団という用語である点で、上記に言及した細胞とは異なる。
「コード領域」または「コード配列」または選択したポリペプチドを「コードしている」配列とは、適切な調節配列の制御下に置いた場合にポリペプチドへと転写(DNAの場合)および翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、それだけには限定されないが、ウイルス、原核、真核および合成起源のゲノムDNA、cDNA、およびmRNA配列が含まれ得る。転写終結配列がコード配列の3’側に位置する場合がある。
マウスの「ジヒドロ葉酸還元酵素」すなわち「DHFR」の配列は、Genbank配列:L26316号に示されている。
「融合分子」とは、2つ以上の作動可能に会合した、たとえば連結した部分、たとえばタンパク質部分を含有するタンパク質である。好ましくは、部分は共有結合している。部分は、直接会合するか、またはスペーサーもしくはリンカーによって結合することができる。
「遺伝子発現」とは、遺伝子中に含有されている情報を遺伝子産物へと変換することをいう。遺伝子産物は、遺伝子の直接の転写産物(たとえば、プロmRNA、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造的RNAもしくは任意の他の種類のRNA)、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。また、遺伝子産物には、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、および編集などのプロセスによって修飾されたRNA、ならびに、たとえばメチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP−リボシル化、5ミリスチル化、およびグリコシル化によって修飾されたタンパク質も含まれる。
「ヘリカーゼ依存性増幅」(HAD)とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によく似たin vitroのDNA増幅方法である。PCRは、熱を用いて二本鎖DNAを一本鎖へと変性させ、一本鎖をコピーさせて新しい二本鎖DNAを作製することを含む。これらの熱サイクルの代わりに、HDAは、酵素ヘリカーゼを用いて37℃の一定温度でDNAを変性させることによってDNAを複製する天然の方法を模倣する。
本発明の核酸と「ハイブリダイズする」(アニーリングする)核酸は、「低ストリンジェンシー条件」下でそれを行い得る。限定はしないが、例として、そのような低ストリンジェンシー条件を用いた手順は以下のとおりである(ShiloおよびWeinberg、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、78、6789 6792も参照されたい)。DNAを含有するフィルターを、1時間、42℃で、35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のフィコール、1%のBSA、および500μg/mlの変性サケ***DNAを含有する溶液中で前処理する。ハイブリダイゼーションは、以下の変更を含む同じ溶液中で実施する:0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.2%のBSA、100μg/mlのサケ***DNA、10%(重量/体積)の硫酸デキストラン、および5〜20×10cpmの32Pで標識したプローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中、18〜20時間、42℃でインキュベートし、その後、30分間、25℃で、2×SSC、25mMのトリス−HCl(pH7.4)、5mMのEDTA、および0.1%のSDSを含有する溶液中で洗浄する。洗浄溶液を新鮮な溶液に交換し、さらに1時間、65℃でインキュベートする。フィルターをブロットして乾燥させ、オートラジオグラフィーに露出させる。必要な場合は、65〜68℃でフィルターの3回目の洗浄を行い、フィルムに再度露出させる。使用し得る他の低ストリンジェンシー条件は当分野で周知である(たとえば、種間ハイブリダイゼーションで用いるものなど)。
本発明の核酸と「ハイブリダイズする」(アニーリングする)核酸は、「高ストリンジェンシー条件」下でそれを行い得る。限定はしないが、例として、そのような高ストリンジェンシー条件を用いた手順は以下のとおりである。DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーションを、8時間〜終夜、65℃で、6×SSC、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.02%のBSA、および500μg/mlの変性サケ***DNAからなる緩衝液中で実施する。フィルターは、48時間、65℃で、100μg/mlの変性サケ***DNAおよび5-20×10cpmの32Pで標識したプローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中でハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄は、37℃で1時間、2×SSC、0.01%のPVP、0.01%のフィコール、および0.01%のBSAを含有する溶液中で行う。これに続いて、0.1×SSC中、50℃で45分間洗浄した後、オートラジオグラフィーを行う。使用し得る他の高ストリンジェンシー条件は当分野で周知である。
本発明の核酸と「ハイブリダイズする」(アニーリングする)核酸は、「中等度のストリンジェンシー条件」下でそれを行い得る。たとえば、それだけには限定されないが、そのような中等度のストリンジェンシー条件を用いた手順は以下のとおりである:固定したDNAを含むフィルターを、6時間、55℃で、6×SSC、5×デンハート溶液、0.5%のSDSおよび100μg/mlの変性サケ***DNAを含有する溶液中で前処理する。ハイブリダイゼーションは、5〜20×10cpmの32Pで標識したプローブを含む同じ溶液中で実施する。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で18〜20時間、55℃でインキュベートし、その後、30分間、60℃で、1×SSCおよび0.1%のSDSを含有する溶液中で2回洗浄する。フィルターをブロットして乾燥させ、オートラジオグラフィーに露出させる。フィルターの洗浄を、37℃で1時間、2×SSC、0.1%のSDSを含有する溶液中で行う。使用し得る他の中等度のストリンジェンシー条件は当分野で周知である。(たとえば、Sambrook他、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨークを参照されたい。Ausubel他編、実験室技術マニュアルのCurrent Protocols in Molecular Biologyシリーズ、1987 1997、Current Protocols、(著作権)1994 1997、John Wiley and Sons,Inc.も参照されたい)。
一般用語として、単語「単離すること」とは、その元の環境(たとえば、天然に存在する場合は天然の環境、またはそれを配置した環境)から目的の物質を取り出すことをいう。たとえば、「単離した」ペプチドまたはタンパク質は、タンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞物質もしくは他の汚染タンパク質を実質的に含まない、または化学合成の場合は化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。本発明では、記載した方法は、目的タンパク質を発現する細胞のクローン集団を、目的タンパク質を発現しない他の細胞から「単離する」手段を提供する。
「リーダー配列」とは、タンパク質へと翻訳されない、mRNAの5’末端の配列である。5’末端から開始コドンAUGまでの非翻訳mRNAの長さである。「トリパータイトリーダー(TPL)配列」は、Zhang Y、Dolph PJ、Schneider RJ.、Secondary structure analysis of adenovirus tripartite leader.、J Biol Chem.、1989年6月25日、264(18):10679〜84に記載されている。
用語「核酸分子」または「核酸配列」とは、二本鎖および一本鎖のヌクレオチド配列をどちらもいい、それだけには限定されないが、ウイルス、原核、真核および/または合成起源のゲノムDNA、cDNA、およびmRNAの配列をいう。また、この用語は、DNAおよびRNAの任意の塩基類似体が含まれる配列も捕える。本明細書で使用する用語「核酸構築体」とは、目的タンパク質をコードしている遺伝子ならびに他の5’または3’の隣接調節配列、たとえば、プロモーター、リーダー配列、イントロン、内部リボソーム進入部位(IRES)および選択可能マーカー遺伝子を含有する核酸分子をいう。
「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)、リン酸分子、ならびに糖分子(DNA中ではデオキシリボース、RNA中ではリボース)からなるDNAまたはRNAのサブユニットをいう。この用語は、DNA分子またはポリヌクレオチドではデオキシリボヌクレオチドの配列を意図し、RNA分子またはポリヌクレオチドでは、指定したデオキシリボヌクレオチド配列中のそれぞれのチミジンデオキシリボヌクレオチド(T)がリボヌクレオチドウリジン(U)で置き換えられている、リボヌクレオチドの対応する配列(A、G、CおよびU)を意図する。
「作動可能に連結した」とは、記載した構成要素が、その通常の機能を果たすように構成されている、エレメントの配置をいう。したがって、コード配列と作動可能に連結した所定のプロモーターは、調節タンパク質および適切な酵素が存在する場合に、コード配列の発現に影響を与えることができる。一部の例では、特定の制御エレメントは、コード配列の発現を指示するように機能する限りは、コード配列と連続的である必要はない。
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」技術は、米国特許第4,683,202号、第4,683,195号および第4,800,159号に開示されている。その最も単純な形態では、PCRとは、逆の鎖とハイブリダイズし、標的DNA中の目的領域に隣接する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いた、特定のDNA配列を酵素合成するためのin vitro方法である。鋳型の変性、プライマーのアニーリングおよびDNAポリメラーゼによるアニーリングしたプライマーの伸長を含む反応ステップの一連の反復により、末端がプライマーの5’末端によって定義される特定の断片(すなわち単位複製配列)の指数関数的な蓄積がもたらされる。PCRは、10の係数の特定のDNA配列の選択的濃縮をもたらすことができると報告されている。PCR方法はSaiki他、1985、Science、230:1350にも記載されている。やはり本発明に適用可能な他のPCR方法、たとえば、RT−PCR、逆PCR、定量的PCR、リアルタイムPCRおよびin situ PCRは、当業者に知られている。
本明細書で使用する用語「プライマー」とは、精製した制限消化物中などのように天然に存在するか、または合成によって生成したオリゴヌクレオチドであって、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に置いた場合、すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下、かつ適切な温度およびpHで、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは一本鎖または二本鎖であってよく、誘導剤の存在下で所望の伸長産物の合成を開始させるために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源および方法の使用を含めた多くの要因に依存する。さらに、「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、核酸鋳型とハイブリダイズ可能であり(たとえば、アニーリングすることができ)、第2の核酸鎖の酵素合成を開始させることができる、一本鎖のDNAまたはRNA分子をいう。その代わりに、またはそれに加えて、オリゴヌクレオチドプライマーは、直接または間接的に(たとえば、オリゴヌクレオチドプライマーに特異的な標識した二次プローブによって結合されている)標識した場合、試料中の特異的な核酸の存在を検出するためのプローブとして有効に使用し得る。本発明によって有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、約10〜約100個のヌクレオチドの長さ、約17〜約50個のヌクレオチドの長さ、約17〜約40個のヌクレオチドの長さ、より詳細には約17〜約30個のヌクレオチドの長さである。
本明細書で使用する用語「タンパク質」とは、単位として機能することができる1つまたは複数のポリペプチドをいう。本明細書で使用する用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合によって一緒に連結された、連続したアミノ酸の鎖をいう。治療的タンパク質は、たとえば分泌されたタンパク質であり得る。治療的タンパク質には、抗体、抗体の抗原結合断片、可溶性受容体、受容体融合物、サイトカイン、成長因子、酵素、SMIP、または凝固因子が含まれる。上記タンパク質のリストは単に例示的な性質のものであり、限定的な列挙であることを意図しない。当業者は、任意の目的タンパク質を本発明に従って発現させてよく、必要に応じて発現させる特定のタンパク質を選択できることを理解されよう。
本明細書で使用する用語「再編成」とは、たとえば目的タンパク質をコードしているものを含めた、導入した核酸配列中の任意の変化をいう。再編成は、目的タンパク質をコードしている遺伝子中の1つまたは複数のヌクレオチド中の付加または欠失によって起こり得る。
本明細書で使用する用語「組換え」とは、単に、遺伝子操作方法によって産生される、任意のタンパク質または目的遺伝子を発現する細胞をいう。さらに、本明細書で使用する「組換え」とは、その起源または操作により、それが天然で会合しているポリヌクレオチドの全部または一部分と会合していない、核酸分子をさらに説明している。タンパク質またはポリペプチドに関して使用する用語「組換え」とは、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されるポリペプチドを意味する。宿主細胞に関して使用する用語「組換え」とは、組換えポリヌクレオチドを内部に導入した宿主細胞を意味する。
本出願では、用語「選択マーカー」または「選択可能マーカー」とは、形質転換体のクローニングおよび同定を容易にするタンパク質をいい、たとえば、アプラマイシン、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、フレオマイシン、グルタミン合成酵素およびヒスチジノールに対する耐性を与えるタンパク質が有用な選択可能マーカーである。したがって、本発明の核酸構築体を含有する細胞は、構築体中に選択可能マーカーのコード領域を含めることによって、in vitroまたはin vivoで同定し得る。そのようなマーカーは細胞に同定可能な変化を与え、核酸構築体を含有する細胞の容易な同定が可能となる。一般に、選択可能マーカーとは、選択を可能にする特性を与えるものである。陽性選択可能マーカーとは、マーカーの存在がその選択を可能にするものである一方で、陰性選択可能マーカーとは、その存在がその選択を妨げるものである。陽性選択可能マーカーの一例は、マーカーを発現する細胞に薬物耐性を与えるマーカーである。条件の実装に基づいて形質転換体の識別を可能にする、表現型を与えるマーカーに加えて、比色分析に基づくGFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含めた、他の種類のマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(「tk」)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)などのスクリーニング可能な酵素を利用し得る。また、当業者は、免疫学的マーカーを、場合によってはFACS分析と併せて使用する方法も知っているであろう。遺伝子産物をコードしている核酸と同時に発現されることができる限りは、任意の選択可能マーカーを使用し得る。選択可能およびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は当業者に周知である。
「小モジュラー免疫薬」または(SMIP(商標))薬物(Trubion Pharmaceuticals、ワシントン州Seattle)とは、抗原、対抗受容体などの同族構造の結合ドメイン、1個または0個のシステイン残基を有するヒンジ領域ポリペプチド、ならびに免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインからなる単鎖ポリペプチドである(www.trubion.comも参照されたい)。SMIPならびにその使用および応用は、たとえば、すべてその全体が本明細書に参照により組み込まれている、米国公開特許出願第2007/002159号、第2003/0118592号、第2003/0133939号、第2004/0058445号、第2005/0136049号、第2005/0175614号、第2005/0180970号、第2005/0186216号、第2005/0202012号、第2005/0202023号、第2005/0202028号、第2005/0202534号、および第2005/0238646号、ならびにその関連パテントファミリーのメンバーに開示されている。
用語「標準的なハイブリダイゼーション条件」とは、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の両方について、5×SSCおよび65℃に実質的に等価な塩および温度の条件をいう。しかし、当業者は、そのような「標準的なハイブリダイゼーション条件」が緩衝液中のナトリウムおよびマグネシウムの濃度、ヌクレオチド配列の長さおよび濃度、ミスマッチの%、ホルムアミドの%などを含めた特定の条件に依存することを理解されよう。また、「標準的なハイブリダイゼーション条件」の決定には、ハイブリダイズする2つの配列がRNA−RNA、DNA−DNAまたはRNA−DNAであるかも重要である。そのような標準的なハイブリダイゼーション条件は、周知の式に従って当業者によって容易に決定され、ハイブリダイゼーションは典型的には予測または決定されたTmよりも10〜20℃低く、所望する場合は洗浄により高いストリンジェンシーを用いる。適切なハイブリダイゼーション条件の定義は当分野の技術範囲内にある。たとえば、Maniatis他、上記、DNA Cloning、第IおよびII巻、上記、Nucleic Acid Hybridization、上記を参照されたい。
一般的な説明
哺乳動物細胞中での遺伝子の発現を駆動するために使用するベクターには、一般に、いくつかの基本的なエレメントが存在する。遺伝子発現を駆動し、転写を開始するためにプロモーターが必要である。効率的なRNAのプロセッシングおよび翻訳が起こることを可能にするために、イントロン配列が転写されたmRNA中に必要である。最後に、RNA転写物を安定化させるためにポリアデニル化配列が必要である。
化学的選択は、しばしば使用され、哺乳動物細胞中における外来遺伝子の安定な発現の実施を可能にする。化学的選択とは、特定のDNAを取り込んで組み込んだ細胞を単離するための手段である。導入されたDNAは、化学的選択剤を分解または克服する能力をもたらす機能を有する少なくとも1つのタンパク質、すなわち選択可能マーカーをコードしている。たとえば、選択可能マーカーをコードしているDNAを目的遺伝子と連結させることにより、細胞が選択剤の存在下で生存するように選択可能マーカーを発現することができる限りは、細胞は目的タンパク質も産生し続けることが保証される(Kaufman,RJ他(1991)、Nucleic Acids Res.、8月25日、19(16):4485〜90)。
いくつかの手法を用いて、目的遺伝子を、選択可能マーカーをコードしているDNAと連結させることができる:目的遺伝子を含有するDNAを、選択可能マーカーを含有する第2のDNAと共に同時導入すること(図1A、B)、目的遺伝子および選択可能マーカーを含有する単一のDNA片を導入し、それぞれの発現は、そのそれぞれのプロモーターエレメントによって駆動されること(図1A、B)、または、目的遺伝子および選択可能マーカーが単一の転写物中で一緒に連結された単一のDNA片を、内部リボソーム進入部位、すなわちIRESエレメントを用いてもしくは用いずに導入すること(図1C)。IRESは、典型的には、ウイルスによって、ウイルスゲノムの効率的な翻訳のために用いられる(Dobrikova,EY他、(2006)、J.Virology Apr、80(7):3310〜21)。IRESを遺伝子発現カセット内に組み込むことにより、目的タンパク質のRNAが選択可能マーカーのRNAと連結され、これにより、選択可能マーカーのRNAおよび目的タンパク質のRNAを2つの別々の転写物として有するよりも直接的な選択様式が提供される。
遺伝子発現の不安定性は、タンパク質治療のための産生細胞系の開発を妨害する事象である。発現の喪失は、それだけには限定されないが、DNAメチル化ならびに遺伝子の切除、相同組換えおよび非相同組換えが含まれる染色体再編成を含めた、様々な機構によって起こる場合がある。これらの機構のいずれかが発現カセットの喪失をもたらす場合があり、これにより、細胞が選択剤に対して感受性のあるものとなる。
1つの特定の発現の喪失は、目的遺伝子をコードしているDNAが切除または「ループアウト」される再編成である。この再編成は、選択可能マーカーのみをコードしているRNA転写物をもたらし得る。目的遺伝子は完全に取り除かれるか、または非機能的な状態にされる、すなわち、不完全な転写物またはナンセンス配列となる。
本発明の一目的は、目的タンパク質の大スケール産生に適した、目的タンパク質をコードしている遺伝子を含有する細胞のクローン集団を同定することである。細胞のクローン集団中における目的タンパク質をコードしている再編成された遺伝子の存在または非存在を測定するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの方法を用いた高スループットのスクリーニングを開発できるかどうかを評価するために、研究を行った。目的遺伝子中で再編成が観察された場合、これは、細胞が目的タンパク質の大スケール産生における使用に適切でないことを示している。データは、そのような遺伝子再編成が、Fc融合タンパク質、SMIPおよびモノクローナル抗体を含めた様々な目的タンパク質を発現する細胞において観察されることを実証している。さらに、この遺伝子再編成が細胞のクローン集団中に存在する場合、この細胞集団は不安定であり、したがって目的タンパク質の大スケール産生に適切でないことが示されている。
本発明の使用
上述のように、本発明は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法を提供する。より詳細には、本方法は、目的タンパク質をコードしている遺伝子でトランスフェクトした細胞のクローン集団を同定し、目的遺伝子中における遺伝子再編成の発生は、細胞がその遺伝子によってコードされている目的タンパク質のスケールアップ産生に適切でないことを示す。
一実施形態では、本発明の方法は、
a)細胞の集団を、目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体でトランスフェクトするステップと、
b)目的タンパク質をコードしている遺伝子を発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
を含む。
別の実施形態では、この方法は、
a)細胞の集団を、トリパータイトリーダー配列(TPL)のコード領域、イントロン、目的タンパク質をコードしている遺伝子、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域を順次含む核酸でトランスフェクトするステップと、
b)目的タンパク質をコードしている遺伝子および選択可能マーカーを発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
を含む。
本方法は、当業者に知られている任意の方法を用いて目的タンパク質を単離および精製することをさらに含む。大スケール産生は、少なくとも2リットルであり、10、100、250、500、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル以上、またはその間の任意の体積であり得る体積の細胞培地中で細胞を培養することを含む。
本発明の方法は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞の同定に使用してよく、そのようなタンパク質は、抗体またはその抗原結合断片を含めた治療的タンパク質などの任意のタンパク質であり得る。一部の実施形態では、生成物は、分泌されたタンパク質、融合タンパク質、たとえば、受容体融合タンパク質もしくはIg融合タンパク質(Fc融合タンパク質が含まれる)、可溶性受容体、成長因子、酵素、凝固因子、Fc含有タンパク質、免疫コンジュゲート、サイトカイン、インターロイキン、SMIP、ホルモン、または治療的酵素である。
前述のポリペプチドおよび多くの他のものに関する情報は、GenBankなどの電子データベースを含めた様々な公開情報源から得ることができる。特に有用なサイトは、全米バイオテクノロジー情報センター/米国立医学図書館、国立衛生研究所のウェブサイトである。当業者は、所望のポリペプチドを発現させるために必要な情報を得て、それに記載されている技術を日常的な実験によって適用できるであろう。
宿主細胞
本明細書で使用する用語「細胞」、もしくは「複数の細胞」、または「宿主細胞」とは、互換性があるように使用し得る。これらの用語には、任意かつすべてのその後の世代であるその子孫も含まれる。意図的または偶発的な突然変異により、すべての子孫が同一でない場合があることを理解されたい。子孫が親細胞と遺伝的に同一でない場合、細胞は「細胞の集団」と呼ばれ、これは「細胞のクローン集団」と区別される。本明細書で使用する「細胞のクローン集団」とは、この用語が一般に単一の単離した細胞から生じた細胞の集団をいう点で、上述の細胞とは異なる。異種核酸配列の発現のコンテキストにおいて記載したように、「宿主細胞」とは原核または真核細胞をいい、本発明中でより詳細には真核細胞をいい、ベクターを複製するおよび/またはベクターによってコードされている異種遺伝子を発現させることができる任意の形質転換可能な生物が含まれる。宿主細胞はベクターのレシピエントとして使用することができ、使用されてきた。宿主細胞は「トランスフェクト」または「形質転換」してもよく、これは、外因性の核酸が宿主細胞内に移されるまたは導入されるプロセスをいう。形質転換細胞には、一次対象細胞およびその子孫が含まれる。本発明の一部の発現ベクターは、原核および真核細胞のどちらにおいても複製および/または発現されることを可能にする制御配列を用い得る。当業者には、さらに、そのような宿主細胞を維持してベクターの複製を許容するためのインキュベーションの条件が理解されるであろう。また、ベクターの大スケール産生、ならびにベクターによってコードされている核酸およびその同族ポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの産生を可能にする技術および条件も、理解されており、知られているであろう。
トランスフェクトした宿主細胞とは、異種DNAでトランスフェクトした(場合によっては形質転換させたといわれる)細胞である。細胞をトランスフェクトするための多くの技術が知られている。一手法では、細胞を、組換えDNA技術を用いて構築し、組換えタンパク質をコードしている配列を含有する発現ベクターでトランスフェクトする。発現されたタンパク質は、好ましくは培養上清中に分泌されるが、発現させる特定のポリペプチド次第では、細胞膜と会合していてもよい。哺乳動物宿主細胞が本発明に好ましい。様々な哺乳動物細胞培養系を用いて組換えタンパク質を発現させることができるか、または、細胞培養中で成長させるために順応させた哺乳動物産生細胞であり得るか、および/または同種細胞系であり得る。業界で一般的に使用されるそのような細胞の例は、VERO、BHK、HeLa、CV1(Cosが含まれる)、MDCK、293、3T3、骨髄腫細胞系(たとえば、NSO、NS1)、PC12、WI38細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり、これらは、いくつかの複雑な組換えポリペプチド、たとえば、サイトカイン、凝固因子、および抗体の産生に幅広く使用されている(Brasel他(1996)、Blood、88:2004〜2012、Kaufman他(1988)、J.Biol Chem、263:6352〜6362、McKinnon他(1991)、J Mol Endocrinol、6:231〜239、Wood他(1990)、J.Immunol.、145:3011〜3016)。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)欠損突然変異体細胞系(参照により組み込まれているUrlaub他(1980)、Proc Natl Acad Sci USA、77:4216〜4220)、DXB11およびDG−44が望ましいCHO宿主細胞系であり、これは、効率的なDHFR選択可能および増幅可能な遺伝子発現系により、これらの細胞中における高レベルの組換えポリペプチドの発現が可能となるためである(参照により組み込まれているKaufman R.J.(1990)、Meth Enzymol、185:537〜566)。さらに、これらの細胞は接着または懸濁培養としての操作が容易であり、比較的良好な遺伝的安定性を示す。
一般的に使用されている細胞系は、グリシン、チミジンおよびヒポキサンチンに対して栄養要求性であり、DHFR cDNAを増幅可能な優性マーカーとして用いてDHFR−t表現型へと形質転換させることができるDHFR−CHO細胞である。1つのそのようなDHFR−CHO細胞系であるDXB11は、UrlaubおよびChasin(Proc.Natl.Acad.Sci.、30USA、77:4216、1980)によって記載されている。DHFR−CHO細胞系の別の例はDG44である(たとえばKaufinan,R.J.、Meth.Enzymology、185:537(1988)を参照)。特異的選択または増幅スキームのために開発された他の細胞系も、本発明で有用となる。CHO細胞およびその中で発現された組換えポリペプチドは大規模に特徴づけられており、臨床的な市販用の製造における使用が規制当局によって認可されている。また、本発明の方法は、抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を用いても実施することができる。ハイブリドーマ系を作製する方法は当分野で周知である。たとえばBerzofsky他、Paul編、Fundamental Immunology、第2版、315〜356ページの347〜350、Raven Press Ltd.、ニューヨーク(1989)を参照されたい。上述の系に由来する細胞系も本発明の実施に適している。
他の脊椎動物由来の細胞および昆虫細胞を含めた数々の他の真核細胞も、本発明で有用となる。当業者は、その好ましい培養系の要求に応じて適切なベクター、調節エレメント、トランスフェクトおよび培養スキームを選択することができるであろう。
トランスフェクトした哺乳動物細胞の調製
いくつかのトランスフェクトプロトコルが当分野で知られており、Kaufman,R.J.に総説されている。選択されるトランスフェクトプロトコルは宿主細胞種および目的タンパク質の性質に依存し、日常的な実験に基づいて選択することができる。任意のそのようなプロトコルの基本的な要件は、最初に目的タンパク質をコードしている遺伝子、たとえば異種DNAを適切な宿主細胞内へと導入し、その後、異種DNAを安定かつ発現可能な様式で取り込んだ宿主細胞を同定および単離することである。
異種DNAを導入する一般的に使用されている一方法は、たとえばWigler他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:3567、1980)によって記載されているリン酸カルシウム沈殿である。
ポリエチレンで誘導した細菌プロトプラストと哺乳動物細胞との融合(Schaffner他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:2163、1980)が、異種DNAを導入する別の有用な方法である。プロトプラスト融合プロトコルでは、哺乳動物宿主細胞のゲノム内に組み込まれた複数コピーのプラスミドDNAがしばしばもたらされる。この技術は、選択および増幅マーカーが目的遺伝子と同じプラスミド上に存在することを必要とする。
また、Potter他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:7161、1988)またはShigeltawaおよびDower(BioTechniques、6:742、1988)によって記載されているように、電気穿孔を用いてDNAを宿主細胞の細胞質内に直接導入することもできる。プロトプラスト融合とは異なり、電気穿孔は、選択マーカーおよび目的遺伝子が同じプラスミド上に存在することを必要としない。
より最近では、異種DNAを哺乳動物細胞内に導入するために有用ないくつかの試薬が記載されている。これらには、Lipofectin(商標)試薬およびLipofectamine(商標)試薬(Gibco BRL、メリーランド州Gaithersburg)が含まれる。これらの試薬はどちらも、培養細胞に施用した際に細胞内への核酸の取り込みを容易にする脂質−核酸の複合体(すなわちリポソーム)を形成するために使用する、市販の試薬である。
細胞を異種DNAでトランスフェクトし、異種DNAを取り込んで選択可能マーカーを発現する細胞を選択することにより、トランスフェクトされた細胞のプールがもたらされる。これらのプール中の個々の細胞は、取り込まれたDNAの量およびトランスフェクトしたDNAの染色***置が変動する。繰り返し継代培養した後、プールはしばしば異種タンパク質を発現する能力を喪失する。細胞の安定なクローン集団を作製するために、個々の細胞をプールから単離して培養することができ(クローニングと呼ばれるプロセス)、これは面倒な時間のかかるプロセスである。しかし、一部の例では、プール自体が安定であり得る(すなわち、異種組換えタンパク質の産生が安定に保たれる)。
しかし、細胞の安定なクローン集団でさえも、時間と共に異種タンパク質を発現する能力を喪失し得る。この発現の喪失は、目的タンパク質をコードしている遺伝子中における再編成の結果である場合がある。特定の理論に束縛されることを望まずに、この再編成を受ける集団中の細胞のサブセットが、集団中の再編成されていない細胞を超える選択的利点を獲得し、それにより、時間と共に、これらがクローン集団中で優勢となると考えられている。細胞のクローン集団からの連続的な目的タンパク質の大スケール産生を可能にするため、細胞の再編成されていない安定なプールを選択および培養する能力が望ましい。
また、目的遺伝子を増幅する方法も組換えタンパク質の発現に望ましく、典型的には選択マーカーの使用を含む。細胞毒性薬に対する耐性が選択マーカーとして最も頻繁に使用される特徴であり、優性形質(すなわち、宿主細胞種に依存せずに使用できる)または劣性形質(すなわち、選択する何らかの活性が欠損している特定の宿主細胞種において有用である)のいずれかの結果であり得る。いくつかの増幅可能なマーカーが、本発明の発現ベクター中における使用に適している(たとえばManiatis、Molecular Biology:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク、1989、16.9〜16.14ページに記載)。
薬物耐性哺乳動物細胞中における遺伝子増幅の有用な選択可能マーカーには、ジヒドロ葉酸還元酵素−メトトレキサート(DHFR−MTX)耐性、P−糖タンパク質および多剤耐性(MDR)、様々な親油性細胞毒性剤(すなわち、アドリアマイシン、コルヒチン、ビンクリスチン)、ならびにアデノシンデアミナーゼ(ADA)−Xyl−Aまたはアデノシンおよび2’−デオキシコホルマイシンが含まれる。選択可能マーカーをコードしている遺伝子の具体的な例は、代謝拮抗剤耐性をコードしているもの、たとえば、メトトレキサートに対する耐性を与えるDHFRタンパク質(Wigler他、1980、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:3567、O’Hare他、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:1527)、ミコフェノール酸に対する耐性を与えるGPTタンパク質(MulliganおよびBerg、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:2072)、アミノグリコシドG−418に対する耐性を与えるネオマイシン耐性マーカー(Colberre−Garapin他、1981、J.Mol.Biol.、150:1)、ハイグロマイシン5に対する耐性を与えるHygroタンパク質(Santerre他、1984、Gene、30:147)、およびzeocin(商標)耐性マーカー(Invitrogenから購入可能)である。さらに、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler他、1977、Cell、11:223)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1962、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、48:2026)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy他、1980、Cell、22:817)の遺伝子を、それぞれtk、hgprtおよびaprt細胞中で用いることができる。
他の優性選択可能マーカーには、微生物に由来する抗生物質耐性遺伝子、たとえば、ネオマイシン、カナマイシンまたはハイグロマイシン耐性が含まれる。しかし、これらの選択マーカーは増幅可能であることが示されていない(Kaufman,R.J.、上記)。いくつかの適切な選択系が哺乳動物宿主について存在する(Maniatis、上記、16.9〜16.15ページ)。2つの優性選択可能マーカーを用いる同時トランスフェクトプロトコルも記載されている(OkayamaおよびBerg、Mol Cell Biol、5:1136、1985)。特に有用な選択および増幅スキームは、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)メトトレキサート(MTX)耐性(DHFR−MTX)を利用する。MTXとは、内在性DHFR遺伝子(Alt F.W.他、J Biol Chem、253:1357、1978)およびトランスフェクトしたDHFR配列(Wigler M.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:3567、1980)の増幅を引き起こすことが示されている、DHFRの阻害剤である。一実施形態では、細胞を、バイシストロン発現単位中の目的遺伝子を含むDNAおよびDHFRをコードしているDNAでトランスフェクトする(Kaufman他、1991、上記およびKaufman R.J.他、EMBO J、6:187、1987)。トランスフェクトした細胞を、漸増的に増加する量のMTXを含有する培地中で成長させることで、より高いDHFR遺伝子および目的遺伝子の発現がもたらされる。
既に記載した有用な調節エレメントも、哺乳動物細胞をトランスフェクトさせるために使用するプラスミドまたは発現ベクター中に含めることができる。選択したトランスフェクトプロトコル、およびその中で使用するために選択したエレメントは、使用する宿主細胞の種類に依存する。当業者は数々の異なるプロトコルおよび宿主細胞を認識しており、その選択した細胞培養系(複数可)の要件に基づいて、所望のタンパク質の発現に適切な系を選択できるであろう。
調節エレメント
本明細書で使用する、調節エレメントおよび/または調節配列とは、転写および/もしくは翻訳を増強もしくは他の様式で変調する、または転写および/もしくは翻訳産物を安定化させるヌクレオチド配列である。したがって、たとえば、発現構築体のコード配列と作動可能に連結したプロモーターは、そのコード配列の転写を増強する。
例示的な調節エレメントには、それだけには限定されないが、プロモーター、エンハンサー、イントロン、終結配列、ポリアデニル化配列、安定化配列などが含まれ得る。本発明で有用な一部の適切な調節配列には、それだけには限定されないが、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、発生特異的プロモーター、誘導性プロモーターおよびウイルスプロモーターが含まれる。
特定の実施形態では、目的タンパク質をコードしている核酸は、プロモーターと作動可能に連結しており、その転写制御下にある。「プロモーター」とは、遺伝子の特異的転写の開始に必要な、細胞の合成機構または導入した合成機構に認識されるDNA配列をいう。語句「転写制御下」とは、RNAポリメラーゼの開始および遺伝子の発現を制御するために、プロモーターが核酸に対して正しい位置および配向にあることを意味する。
本発明の特定の実施形態では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)末端反復配列、ラットインスリンプロモーターまたはグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーターを用いて、目的のコード配列の高レベルの発現を得ることができる。発現レベルが所定の目的に十分であるという条件で、目的のコード配列の発現を達成するために当分野で周知の他のウイルスまたは哺乳動物細胞または細菌ファージのプロモーターを使用することも企図される。周知の特性を有するプロモーターを用いることによって、トランスフェクトまたは形質転換後の目的タンパク質の発現のレベルおよびパターンを最適化することができる。例示として、遍在性の強力(すなわち高活性)のプロモーターを用いて、宿主細胞の群中における大量の遺伝子発現を提供し得るか、または、組織特異的プロモーターを用いて、遺伝子発現を1つもしくは複数の特異的細胞種に標的化し得る。さらに、特異的な生理シグナルに応答して調節されるプロモーターの選択は、誘導性の遺伝子産物の発現を可能にすることができる。
エンハンサーとは、DNAの同じ分子上の遠位に位置するプロモーターからの転写を増加させる遺伝因子である。エンハンサーはプロモーターと同様に構成されている。すなわち、これらは多くの個々のエレメントからなり、そのそれぞれが1つまたは複数の転写タンパク質と結合する。エンハンサーおよびプロモーターの基本的な区別は作動上のものである。エンハンサー領域は、全体として、典型的には転写を遠位で刺激することができ、プロモーター領域またはその構成要素には必ずしもこれが当てはまらない。他方で、プロモーターは、典型的には、特定の部位および特定の配向でRNA合成の開始を指示する1つまたは複数のエレメントを有する一方で、エンハンサーは、一般にこれらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば重複かつ連続的であり、多くの場合、非常に類似したモジュラー構成を有するように見える。
他のプロモーター/エンハンサーの組合せ(たとえば、真核プロモーターのデータベースEPDBを参照)を用いて遺伝子の発現を駆動することもできる。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝子発現構築体として提供されている場合は、特定の細菌プロモーターからの細胞質の転写を支援することができる。一態様では、組織特異的プロモーター、たとえば、心臓に特異的および/または線維芽細胞に特異的なプロモーターが特に興味深い。例示として、心臓に特異的なプロモーターには、ミオシン軽鎖−2プロモーター(Franz他、1994、Circ Res.、1993年10月、73(4):629〜38、Kelly他、1995、J Cell Biol.、1995年4月、129(2):383〜96)、αアクチンプロモーター(Moss他、1996、J Biol Chem.、1996年12月6日、271(49):31688〜94)、トロポニン1プロモーター(Bhavsar他、1996、Genomics.、1996年7月1日、35(1):11〜23)、ジストロフィンプロモーター(Kimura他、1997、Dev Growth Differ.、1997年6月、39(3):257〜65)、クレアチンキナーゼプロモーター(Ritchie,M.E.、1996、J Biol Chem.、1996年10月11日、271(41):25485〜91)、α7インテグリンプロモーター(ZioberおよびKramer、1996、J Biol Chem.、1996年9月13日、271(37):22915〜22)、脳ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointe他、1996、Hypertension.、1996年3月27日(3Pt2):715〜22)およびαB−クリスタリン/小熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal−Srivastava,R.、1995、Mol Cell Biol.、1995年12月、15(12):7081〜90)、αミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi−Takihara他、1989、PNAS、1989年5月15日、第86(10)巻:3504〜3508)ならびにANFプロモーター(LaPointe他、1996、Hypertension、27:715〜722)が含まれる。
cDNA挿入を用いる場合は、典型的には、遺伝子転写物の適切なポリアデニル化をもたらすためにポリアデニル化シグナルを含めることが望ましい。ポリアデニル化シグナルの性質は本発明の実施の成功に重要ではないと考えられ、ヒト成長ホルモンおよびSV40のポリアデニル化シグナルなどの任意のそのような配列を用い得る。また、ターミネーターも発現カセットのエレメントとして企図される。これらのエレメントは、メッセージのレベルを増強し、カセットから他の配列への読み過ごしを最小限にする役割を果たすことができる。
選択可能マーカー
細胞が本発明の核酸構築体を含有する本発明の特定の実施形態では、発現構築体中にマーカーを含めることによって細胞をin vitroまたはin vivoで同定し得る。そのようなマーカーは細胞に同定可能な変化を与え、発現構築体を含有する細胞の容易な同定が可能となる。通常は、薬物選択マーカーを含めることで、クローニングおよび形質転換体の選択が支援され、たとえば、アンピシリン、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DWR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を与える遺伝子が有用な選択可能マーカーであり、上述のものも同様である。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの酵素を用い得る。免疫学的マーカーも用いることができる。選択可能マーカーは、遺伝子産物をコードしている核酸と同時に発現されることができるべきである。選択可能マーカーのさらなる例は当業者に周知である。
核酸を細胞に送達する方法
「ベクター」とは、宿主生物中における複製が可能なDNA分子であり、その中に核酸配列を挿入して組換えDNA分子を構築する。核酸配列は、「外因性」(たとえば、それを導入する細胞にとって外来である)、または「内在性」(たとえば、それを導入する細胞中で配列として同じである)であり得る。例示的なベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、人工染色体(たとえばYAC)、脂質系ベクター(たとえばリポソーム)ならびに宿主細胞へのポリヌクレオチドの送達を媒介することができる他の巨大分子複合体が含まれる。(Schek,N、Cooke,C.、およびJ.C.Alwine(1992)、Mol.Cell.Biol.、12:5386〜5393、Klasens,B.I.F.、Das,A.T.、およびB.Berkhout(1998):Nucleic Acids Res.、26:1870〜1876、Gil,A.、およびN.J.Proudfoot.(1987):Cell、49:399〜406、Cole,C.N.およびT.P.Stacy(1985):Mol.Cell.Biol.、5:2104〜2113、Batt,D.BおよびG.G.Carmichael(1995)
:Mol.Cell.Biol.、15:4783〜4790、Girnrni,E.R.、Reff,M.E.、およびI.C.Deckrnan.(1989):Nucleic Acids Res.、17:6983〜6998)。当業者は、標準的な技術、たとえば、どちらも本明細書に参照により組み込まれているSarnbrook他、1989およびAusubel他、1994に記載されているものなどの標準的な組換え技術によってベクターを構築する知識を十分に有するであろう。
多数のウイルスおよび非ウイルスベクター(当分野で知られている脂質系および他の合成送達系が含まれる)も、本発明のポリヌクレオチドを送達するために同様に用いることができる。そのようなベクターは、細胞特異性を与えるまたは増強するために、当業者に知られているように改変されていてもよい。例示として、特定の標的細胞集団に優先的または排他的に結合および/または感染するように、ウイルスベクターの表面を改変し得る。
本明細書に記載のように、本発明の発現ベクターには、転写されることができる遺伝子産物の少なくとも一部をコードしている核酸配列を含有するベクターが含まれる。一部の例では、その後、転写産物(複数可)はタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドへと翻訳される。他の例では、たとえばアンチセンス分子またはリボザイムの産生で、これらの配列は翻訳されない。発現ベクターは、様々な「調節エレメントおよび/または制御配列」を含有することができる、特定の宿主生物中における転写および場合によっては作動可能に連結したコード配列の翻訳を調節する核酸配列をいう。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、たとえば本明細書に記載のように他の機能の役割を果たす核酸配列も含有し得る。
組換え発現ベクターには、目的タンパク質、たとえば、治療的タンパク質、(またはその断片)、リボザイム、リボソームmRNA、アンチセンスRNAなどをコードしているコード配列が含まれ得る。コード配列は、合成、cDNA由来の核酸断片またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離した核酸断片であり得る。
また、発現ベクターは、発現させる遺伝子と連結した適切なプロモーターおよび/またはエンハンサー、他の5’または3’隣接非転写配列、5’または3’非翻訳配列、たとえば、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、ならびに転写終結配列などの、非転写エレメントも含み得る。宿主中での複製能力を与える複製起点、およびトランスフェクト体の認識を容易にする選択可能な遺伝子も取り込ませ得る。
DNA領域は、互いに機能的に関連している場合に作動可能に連結している。たとえば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現された場合にポリペプチドのDNAと作動可能に連結している。したがって、分泌リーダーをコードしているDNAの場合、作動可能に連結したとは、連続的かつ読み枠内にあることを意味する。プロモーターは、配列の転写を制御する場合にコード配列と作動可能に連結しており、リボソーム結合部位は、翻訳を可能にするように配置されている場合にコード配列と作動可能に連結している。
細胞のトランスフェクトに使用する発現ベクター中の転写および翻訳制御配列は、ウイルス源によって提供し得る。たとえば、一般的に使用されているプロモーターおよびエンハンサーは、ポリオーマ、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウイルスに由来する。ウイルスゲノムのプロモーター、制御および/またはシグナル配列を利用して発現を駆動し得るが、ただし、そのような制御配列は選択された宿主細胞に適合性があることが条件である。そのようなベクターの例は、OkayamaおよびBerg(Mol.Cell.Biol.、3:280、1983)によって開示されているように構築することができる。また、組換えタンパク質を発現させる細胞種次第では、非ウイルス細胞プロモーターも使用することができる(すなわち、β−グロビンおよびEF−laプロモーター)。
SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列、たとえば、SV40由来の初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライス、ならびにポリアデニル化部位を用いて、異種DNA配列の発現に必要な他の遺伝因子を提供し得る。初期および後期プロモーターは、どちらもSV40ウイルス複製起点も含有する断片としてウイルスから容易に得られるため、特に有用である(Fiers他、Nature、273:113、1978)。より小さなまたは大きなSV40断片も用い得る。
発現ベクターと併せて使用することができるさらなる技術は、Lucas他(Nucleic Acids Res.、24:1774、1996)によって記載されている。所望のタンパク質の産生を増加する試みとして、Lucas他は、mRNAスプライスドナーおよびアクセプター部位を利用して、選択可能マーカーおよび組換えタンパク質をどちらも産生する安定なクローンを開発した。これらの研究者らによれば、彼らが調製したベクターは、所望のタンパク質をコードしているmRNAの高い割合の転写、および固定された比較的低いレベルの選択マーカーをもたらし、これにより、安定なトランスフェクト体の選択が可能となった。
発現系
本発明の実施に適した哺乳動物細胞には、それだけには限定されないが、VERO、BHK、HeLa、CV1(Cosが含まれる)、MDCK、293、3T3、骨髄腫細胞系(たとえば、NSO、NS1)、PC12、WI38細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。上述のように、哺乳動物細胞中において発現を指示するために適切な発現ベクターには、一般に、プロモーター、ならびに他の転写および翻訳の調節および/または制御配列が含まれる。代表的な方法には、リン酸カルシウム媒介遺伝子移入、電気穿孔、レトロウイルス、およびプロトプラスト融合媒介トランスフェクトが含まれる(たとえばSambrook他を参照)。本明細書に記載の組成物の少なくとも一部または全体を含む数々の発現系が存在する。核酸配列、またはその同族ポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生するために本発明と共に使用するため、様々な真核生物に基づいた系を用いることができる。多くのそのような系は市販されており、幅広く入手可能である。
どちらも本明細書に参照により組み込まれている米国特許第5,871,986号および第4,879,236号に記載されているものなど、昆虫細胞/バキュロウイルス系は、高レベルの異種核酸セグメントのタンパク質発現を生じることができ、これらは、たとえば、商品名MAXBACO2.0の下でINVITROGENから、およびBACPACK(商標)バキュロウイルス発現系の下でCLONTECHから購入することができる。
発現系の他の例には、STRATAGENEのCOMPLETE CONTROL(商標)誘導性哺乳動物発現系、またはそのPET発現系、大腸菌(E.coli)発現系が含まれる。誘導性発現系の別の例は、完全長のCMVプロモーターを使用する誘導性哺乳動物発現系であるT−REX(商標)(テトラサイクリン調節発現)系を保有するINVITROGENから入手可能である。また、INVITROGENは、メチロトローフ酵母ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)中での組換えタンパク質の高レベルの産生用に設計された酵母発現系も提供する。
当業者は、発現構築体などのベクターを発現させて核酸配列またはその同族ポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを産生させる方法を知っているであろう。
本発明に有用なIRES
本発明の特定の実施形態では、内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用を用いて、多重遺伝子、または多シストロン性のメッセージを作製する。IRESエレメントは5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャンモデルを迂回することができ、内部部位で翻訳を開始する(PelletierおよびSonenberg、1988、Nature、334:320〜325)。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRESエレメント(PelletierおよびSonenberg、1988、Nature、334:320〜325)、ならびに哺乳動物メッセージ由来のIRES(MacejakおよびSarnow、1991、Nature、9月5日、353(6339):90〜4.)が記載されている。IRESエレメントは異種オープンリーディングフレームと連結させることができる。複数のオープンリーディングフレームは、それぞれが1つのIRESによって分離されて一緒に転写されることができ、多シストロンメッセージが作製される。IRESエレメントのおかげで、それぞれのオープンリーディングフレームが効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。単一のプロモーター/エンハンサーを用いて複数の遺伝子を効率的に発現させて、単一のメッセージを転写することができる(本明細書に参照により組み込まれている米国特許第5,925,565号および第5,935,819号を参照)。任意のIRESエレメントを本発明の方法で使用し得ることが想定される。たとえば、特定のIRESを配列番号4、6および8に示す。他のIRESは、たとえばCLONTECHから購入し得る(カタログ番号631605、631607、631619、631620、631621および631622を参照)。
内部リボソーム進入部位(IRES)は、Morgan RA、Couture L、Elroy−Stein O、Ragheb J、Moss B、Anderson WF.、Retroviral vectors containing putative internal ribosome entry sites:development of a polycistronic gene transfer system and applications to human gene therapy.、Nucleic Acids Res.、1992年3月25日、20(6):1293〜9に記載されている。IRESの一例は、in EMC Genbank受託番号AJ000155に、塩基767から開始して塩基1310までに示されている。他のIRES配列は、Genbank受託番号V01149の塩基数1〜627およびGenbank受託番号NC_001461の塩基1〜900に見つかる。
本発明の方法の実施に有用なプライマー
本発明は、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法を提供する。より詳細には、本方法は、細胞の集団を、目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体でトランスフェクトすることと、目的タンパク質をコードしている細胞のクローン集団を単離することと、タンパク質の大スケール産生の前に目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定することとを提供する。一実施形態では、再編成は、目的タンパク質をコードしている遺伝子の全部または一部の欠失を検出することによって決定する。一実施形態では、欠失は、再編成の非存在下における、目的タンパク質をコードしている遺伝子ならびに前記遺伝子の5’および3’側の核酸領域が含まれる核酸領域の増幅によって検出される。この手順によれば、目的遺伝子の5’および3’側の領域と結合する特定のプライマーが使用に適していることが企図され、本明細書で実証されている。一実施形態では、プライマーは、リーダー配列内の部位、たとえば、本明細書で使用するトリパータイトリーダー配列(本発明では、目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’側である)およびマーカー遺伝子内の部位(本発明では、目的タンパク質をコードしている遺伝子の3’側である)と結合し得る。本発明では、配列番号1および2として示すプライマーをこの目的で使用した。しかし、目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’および3’側の任意の他の領域と結合する任意のプライマーを設計し得る。完全長の遺伝子または再編成された遺伝子の存在または非存在の決定は、それだけには限定されないがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当業者に知られている任意の増幅手順を用いて行い得る。その後、目的タンパク質をコードしている遺伝子または再編成された遺伝子(目的タンパク質をコードしている遺伝子の全部または一部の欠失)の大きさを、たとえばアガロースゲル分析を用いてモニターし得る。したがって、目的タンパク質をコードしている遺伝子の大きさにより、再編成が細胞のクローン集団中で起こったかどうかが決定される。本発明によれば、目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成が存在しない場合に、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団が選択される。
本発明により有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸配列とハイブリダイズ可能であり、第2の核酸鎖の酵素合成を開始させる一本鎖のDNAまたはRNA分子であり得る。プライマーは、核酸分子のプール中に存在する標的分子の一部分と相補的である。本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーは、化学的または酵素的のどちらかの合成方法によって調製し得ることが企図される。あるいは、そのような分子またはその断片は天然に存在する場合があり、その天然源から単離するか、または市販の供給者から購入する。オリゴヌクレオチドプライマーは、一般に5〜100個のヌクレオチドの長さ、理想的には17〜40個のヌクレオチドであるが、異なる長さのプライマーも使用し得る。増幅用のプライマーは、好ましくは約17〜25個のヌクレオチドである。また、本発明により有用なプライマーは、融解温度推定方法によって特定の融解温度(Tm)を有するように設計される。Oligo(商標)、Primer Designを含めた市販のプログラムならびにPrimer3およびOligo Calculatorを含めたインターネット上で利用可能なプログラムを用いて、本発明により有用な核酸配列のTmを計算することができる。好ましくは、たとえばOligo Calculatorによって計算した本発明により有用な増幅プライマーのTmは、好ましくは約45〜65℃、より好ましくは約50°〜60℃である。
典型的には、選択的ハイブリダイゼーションは、2つの核酸配列が実質的に相補的(少なくとも14〜25個のヌクレオチドのストレッチにわたって少なくとも約65%相補的、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%相補的)である場合に起こる。本明細書に参照により組み込まれているKanehisa,M.、1984、Nucleic Acids Res.、12:203を参照されたい。その結果、開始部位での特定の度合のミスマッチが許容されることが予測される。そのようなミスマッチは、モノ、ジまたはトリヌクレオチドなどの小さなものであり得る。あるいは、ミスマッチの領域は、中断されていない一連の4個以上のヌクレオチド中にミスマッチが存在する領域として定義される、ループを包含し得る。
数々の要因が、プライマーと第2の核酸分子とのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響を与える。本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する際には、プライマーの長さ、ヌクレオチドの配列および/または組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝液の組成ならびにプライマーがハイブリダイズすることが要される領域中での立体障害の潜在性を含めたこれらの要因を考慮する。
プライマーの長さと、プライマーが標的配列とアニーリングする効率および精度の両方との間には、正の相関が存在する。具体的には、より長い配列は、より短いものよりもより高い融解温度(TM)を有し、所定の標的配列内で反復する可能性が低く、したがって、***雑のハイブリダイゼーションが最小限となる。溶液中では、一般に二分子よりも単分子のハイブリダイゼーション動力学が好まれるため、高いG−C含有率を有する、または回文配列を含むプライマー配列は自己ハイブリダイズする傾向があり、その意図される標的部位も同様である。しかし、それぞれのG−C対は3つの水素結合によって結合し、AおよびTの塩基が対合して標的配列と結合する際に見つかる2つよりも密で強力な結合を形成するため、十分な数のG−Cヌクレオチド対を含有するプライマーを設計することも重要である。ハイブリダイゼーション温度は、プライマーのアニーリング効率に伴って逆に変動し、プライム反応またはハイブリダイゼーション混合物中に含まれ得る有機溶媒、たとえばホルムアミドの濃度も同様である一方で、塩濃度の増加は結合を促進する。ストリンジェントなアニーリング条件下では、より長いハイブリダイゼーションプローブ、または合成プライマーは、より許容的な条件下では十分な、より短いものよりも効率的にハイブリダイズする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、典型的には、約1M未満、より通常は約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度が含まれる。ハイブリダイゼーション温度の範囲は、0℃と低いものから、22℃より高く、約30℃より高く、(最も頻繁には)約37℃を超えるものである。より長い断片は、特異的ハイブリダイゼーションにより高いハイブリダイゼーション温度を必要とし得る。いくつかの要因がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与え、パラメータの組合せが単一の要因の絶対的測度よりも重要である。
オリゴヌクレオチドプライマーは、これらの検討事項を考慮して設計し、以下の方法に従って合成することができる。
オリゴヌクレオチドプライマーの設計戦略
プライマーの設計は、上述のいくつかのパラメータの評価およびプライマー配列の最適化を支援するために開発された、容易に入手可能なコンピュータプログラムを使用することによって容易になる。そのようなプログラムの例は、「Primer Express」(Applied Biosystems)、DNAStar(商標)の「PrimerSelect」である。DNAStar(商標)ソフトウェアパッケージの「PrimerSelect」(DNAStar,Inc.、ウィスコンシン州Madison)、OLIGO4.0(National Biosciences,Inc.)、PRIMER、オリゴヌクレオチド選択プログラム(Oligonucleotide Selection Program)、PGENおよびAmplifyである(Ausubel他、1995、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、John Wiley&Sonsに記載)。
目的タンパク質の大スケール産生
本発明によれば、哺乳動物宿主細胞を、目的タンパク質、たとえば、抗体、Fc融合タンパク質またはSMIPの産生を促進する条件下で培養する。基底細胞培地配合物は当分野で周知である。これらの基底培地配合物に、当業者は、培養する宿主細胞の要件に応じて、アミノ酸、塩、糖、ビタミン、ホルモン、成長因子、緩衝剤、抗生物質、脂質、微量元素などの構成要素を加える。培地は、血清および/またはタンパク質を含有していても、していなくてもよい。無血清および/または既知組成培養培地を含めた様々な組織培養培地が、細胞培養用に市販されている。本発明の目的で、組織培養培地は、動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞の、in vitro細胞培養中での成長に適切な培地として定義されている。典型的には、組織培養培地は、緩衝剤、塩、エネルギー源、アミノ酸、ビタミンおよび微量の必須元素を含有する。培養中の適切な真核細胞の成長を支援することができる任意の培地を使用することができる。本発明は、培養中の真核細胞、特に哺乳動物細胞に幅広く適用可能であり、培地の選択は本発明に重要ではない。本発明での使用に適した組織培養培地は、たとえばATCC(バージニア州Manassas)から市販されている。たとえば、American Type Culture CollectionまたはJRH Biosciences、および他の販売業者から得ることができるもののうち、とりわけ、以下の培地の任意の1つまたは組合せを使用することができる:RPMI−1640培地、RPMI−1641培地、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、最小必須培地イーグル、F−12K培地、ハムF12培地、イスコフ変法ダルベッコ培地、マッコイ5A培地、レイボビッツL−15培地、およびEX−CELL(商標)300シリーズ(JRH Biosciences、米国カンザス州Lenexaから入手可能)などの無血清培地。無血清および/またはペプトン非含有の既知組成培地を使用する場合、培地は通常、アミノ酸および微量元素が高度に濃縮されている。たとえば、Mather他の米国特許第5,122,469号およびKeen他の第5,633,162号を参照されたい。
哺乳動物細胞の適切な培養条件は当分野で知られている。たとえば、Animal cell culture:A Practical Approach、D.Rickwood編、Oxford university press、ニューヨーク(1992)を参照されたい。哺乳動物細胞は、懸濁液中または固体基質に付着させて培養し得る。さらに、哺乳動物細胞は、たとえば、流動床バイオリアクター、中空繊維バイオリアクター、ローラーボトル、振盪フラスコ、または攪拌タンクバイオリアクター中で、マイクロキャリアを用いてまたは用いずに培養してよく、また、回分、流加、連続的、半連続的、または灌流の様式で稼働してよい。
市場規模および必要な製品の量に対して適切なスケールアップを行うことができるため、経済的に実行可能な唯一のプロセスは反応器プロセスである。接着細胞には、古典的なマイクロキャリアを用いた担体プロセスが、タンパク質産生に必要な細胞の大スケール培養の現時点で最良の選択である(Van Wezel他、1967.、Nature、216:64〜65、Van Wezel他、1978.、Process Biochem.、3:6〜8)。
一実施形態によれば、本方法はCHO細胞の使用を提供するが、当業者に知られている大スケールのタンパク質産生に適した任意の他の細胞を使用し得る。たとえば、すべてその全体が参照により組み込まれている米国特許第6,872,549号、第6,855,535号および第6,951,752号を参照されたい。
マイクロキャリアと結合した接着細胞は、従来の血清含有培地中で成長させることができる。本発明の一実施形態では、細胞は、Kistner他(1998.、Vaccine、16:960〜968)、Merten他(1994、Cytotech.、14:47〜59)、Cinatl他(1993、Cell Biology Internat.、17:885〜895)、Kessler他(1999、Dev.Biol.Stand.、98:13〜21)、WO96/15231号、米国特許第6,100,061号によって記載されている無血清もしくは血清かつタンパク質非含有培地中、または、当分野で知られている任意の他の無血清もしくは血清かつタンパク質非含有培地中で成長させる。細胞は、好ましくは、無血清または血清かつタンパク質非含有培地中で、1個のアンプルから大スケールからバイオマスへと成長させる。
本発明の方法に従って使用し得るマイクロキャリアはデキストラン、コラーゲン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ガラス、セルロース、ポリエチレンおよびプラスチックに基づくマイクロキャリア、ならびにMiller他(1989、Advances in Biochem Eng./Biotech.、39:73〜95)によって記載されているものおよびButler(1988、Spier&Griffiths、Animal cell Biotechnology、3:283〜303)に記載のものの群から選択し得る。
本方法に従って増加した細胞密度およびマイクロキャリア濃度を有する細胞バイオマスを得るために使用することができる、コンフルエントな細胞培養バイオマスを得るために、それぞれのマイクロキャリアの種類、開始培養物中のマイクロキャリアの濃度、使用するウイルスまたはベクターに感受性のある接着細胞、ならびに酸素濃度、培地の添加物、温度、pH、圧力、ステアリング速度、フィード制御などの培地および最適な成長条件を選択することは、当業者の知識範囲内にある。その後、より高い細胞密度バイオマスを有する細胞培養物を、有効なタンパク質産生に使用することができる。細胞培養物がコンフルエントに達した後、本発明の方法により、マイクロキャリア濃度の細胞密度が少なくとも1.3倍から10倍まで増加した細胞培養物を得ること、ならびにi)培養体積の減少およびii)細胞あたりの生産性の増加により、培養体積あたりより高いタンパク質収率を得ることが可能となる。
目的タンパク質の単離および精製
生じる発現されたポリペプチドは、そのような培養物または構成要素から(たとえば、培地または細胞抽出物から)、既知のプロセスを用いて、収集、単離および精製または部分精製することができる。「部分精製した」とは、一部の分画手順、または複数の手順を実施したが、所望のポリペプチドより多くのポリペプチド種(少なくとも10%)が存在することを意味する。「精製した」とは、ポリペプチドが本質的に均一である、すなわち、1%未満の汚染ポリペプチドしか存在しないことを意味する。分画手順には、それだけには限定されないが、濾過、遠心分離、沈殿、相分離、親和性精製、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC、フェニルエーテル、ブチルエーテル、もしくはプロピルエーテルなどの樹脂を用いる)、HPLCのうちの1つまたは複数のステップ、または、上記の一部の組合せが含まれ得る。
たとえば、ポリペプチドの精製には、ポリペプチドと結合する薬剤を含有する親和性カラム、コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−TOYOPEARL(商標)(Toyo Soda Manufacturing Co.Ltd.、日本)もしくはCibacrom blue 3GA SEPHAROSE(商標)(Pharmacia Fine Chemicals,Inc.、ニューヨーク)などの親和性樹脂上の1つもしくは複数のカラムステップ、溶出を含む1つもしくは複数のステップ、および/またはイムノアフィニティークロマトグラフィーが含まれ得る。ポリペプチドは、精製が容易となる形態で発現させることができる。たとえば、マルトース結合ポリペプチド(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはチオレドキシン(TRX)などの融合ポリペプチドとして発現させ得る。そのような融合ポリペプチドを発現および精製するためのキットは、それぞれNew England BioLab(マサチューセッツ州Beverly)、Pharmacia(ニュージャージー州Piscataway)およびInVitrogenから市販されている。ポリペプチドをエピトープでタグ付けし、その後そのようなエピトープに対する特異的抗体を用いることによって精製することができる。1つのそのようなエピトープFLAGSは、Kodak(コネチカット州New Haven)から市販されている。また、発現されたポリペプチドを親和性精製するために、組換えポリペプチドに対するモノクローナル抗体などのポリペプチド結合タンパク質を含む親和性カラムを利用することも可能である。他の種類の親和性精製ステップは、親和性剤がFcドメインを含有するタンパク質と結合する、プロテインAまたはプロテインGカラムであり得る。ポリペプチドは、従来技術を用いて、たとえば、高塩の溶出緩衝液中、その後、使用するためにより低い塩の緩衝液中へと透析するか、または利用するアフィニティーマトリックスに応じてpHもしくは他の構成要素を変更することによって、親和性カラムから取り出すことができるか、または、親和性部分の天然に存在する基質を用いて競合的に取り出すことができる。
所望の度合の最終純度は、ポリペプチドの意図する使用に依存する。たとえばポリペプチドをin vivoで投与する場合は、比較的高い度合の純度が所望される。そのような場合は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析した際に、他のポリペプチドに対応するどのポリペプチドのバンドも検出可能でないように、ポリペプチドを精製する。関連分野の技術者には、示差的グリコシル化、示差的翻訳後プロセッシングなどにより、ポリペプチドに対応する複数のバンドがSDS−PAGEによって可視化できることが理解されよう。任意選択で、本発明のポリペプチドは、SDS−PAGEによって分析した際に、単一のポリペプチドバンドによって示されるように実質的な均一性まで精製する。ポリペプチドバンドは、銀染色、クマシーブルー染色、または(ポリペプチドが放射標識されている場合は)オートラジオグラフィーによって可視化することができる。特定の実施形態では、精製したポリペプチドは、治療的使用のために配合する。
以下の実施例は、本発明の特定の態様を実証する。しかし、これらの実施例は例示のみであり、本発明の条件および範囲に関して完全に定義することを意図しないことを理解されたい。典型的な反応条件(たとえば、温度、反応時間など)を示した場合は、一般に利便性は低下するが、指定した範囲を超えるまたは下回る条件をどちらも使用できることを理解されたい。実施例は、室温(約23℃〜約28℃)かつ大気圧で実施する。別段に指定しない限りは、本明細書で言及するすべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての温度は摂氏で表す。
材料および方法
以下の材料および方法を実施例1〜3で用いた。
細胞培養
図1Cに概要を示したベクターのコンテキスト内で、目的タンパク質をコードしている遺伝子でCHO細胞をトランスフェクトした。メトトレキサートを選択剤として使用して、個々のクローンを単離した。クローンを96ウェルプレート中で拡大増殖させ、タンパク質発現についてスクリーニングした。その後、このスクリーニングからの高発現クローンのサブセットを既知組成培地中に懸濁液で移した。細胞をタンパク質発現について再度スクリーニングし(二次スクリーニング)、追加のサブセットを拡大増殖させ、それぞれの継代でタンパク質発現についてモニターした。
RNA単離
二次スクリーニング中に、Qiagen RNeasyキットを用いて、製造者の指示に従って(Qiagen Inc、米国)、それぞれの個々のクローン由来の1×10〜5×10個の細胞からRNAを単離した。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
AccessQuick RT−PCRキット(Promega、ウィスコンシン州Madison)を用いて、製造者の指示に従って、個々のクローン由来のRNAをRT−PCRの鋳型として用いた。これは単一ステップのRT−PCR反応キットであり、これは、2×反応緩衝液がPCR反応に必要な材料を含有することを意味する。手短に述べると、それぞれのクローンについて、1回の反応あたり1μgのRNAを使用した。それぞれの反応チューブは、発現カセット中のトリパータイトリーダー配列とアニーリングする、50pmolの順方向オリゴ「Int Gen F」(5’−TACTCTTGGATCGGAAACCCGTCG−3’(配列番号1))を含有していた。それぞれの反応チューブは、発現カセット中のマウスDHFR配列とアニーリングする、50pmolの逆方向オリゴ「DHFR2」(5’−CTACTTTACTTGCCAATTCC−3’(配列番号2))を含有していた。これらの配列は目的遺伝子に隣接する。逆転写には、製造者によって提供された1〜2単位のAMV逆転写酵素を用いた。全反応体積は50μlであった。反応条件は以下のとおりである:45℃で1.5時間を1サイクル、95℃で5分間を1サイクル、94℃で1分間、46℃で1分間、68℃で3分間を28サイクル、最後に、68℃で7分間を1サイクル。完成したPCR産物は1〜2%のアガロースゲル上で分離した。特定のPCR産物は臭化エチジウムを用いて同定した。
(実施例1)
ノーザンブロット分析によって示される、細胞クローンが時間と共にタンパク質発現を喪失することの実証
上述のCHO細胞を、抗RAGE(糖化最終産物の受容体、US20070286858号を参照)抗体をコードしている遺伝子およびDHFRマーカー遺伝子でトランスフェクトし、遺伝子発現の安定性を評価するために細胞クローンを経時的にモニターした。図2は、タンパク質発現を喪失したクローンのノーザンブロット分析である。DHFR特異的プローブを用いて、HC−DHFR転写物の喪失およびより小さなDHFRのみの転写物の出現が見られる。目的タンパク質の発現を喪失したが、それでもメトトレキサート(MTX)選択を生き延びたクローン由来のRNAをクローニングし、GeneRacerキットを用いた、製造者の指示(Invitrogen)に従ったcDNA末端の5’急速増幅によって配列決定した。
結果
これらのクローンから単離した、配列決定したcDNAにより、本発明者らのベクターのリードイントロンと第2のシストロンの翻訳に使用されるIRESエレメントとの間の再編成が実証された。そのような再編成の模式図を図3に示す。これにより、目的タンパク質を産生することなしに、選択条件下での細胞生存が可能となる。この再編成の効果は急性であり、細胞の生産性の急速な喪失がもたらされる(図4)。
(実施例2)
遺伝子再編成を評価するための高スループットアッセイの開発。
この特定の再編成を有するクローンを同定するために、細胞系開発の初期に高スループット評価のために逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイを開発した。このアッセイでは、リードイントロンの5’側でRNAとアニーリングするオリゴおよびDHFRコード配列内でアニーリングする別のオリゴ(表I)を使用する。QuickAccess RT−PCRキット(Promega)を用いて、製造者の指示に従って、RNAをcDNAに変換し、その後、増幅した(表II)。完全長の変更されていない遺伝子産物は、産物間で異なるが、抗体重鎖遺伝子産物では約2.7キロ塩基であると予測される(図5)。再編成された遺伝子産物は、約300〜約800塩基対、または約500〜約700塩基対の範囲の大きさとなる。より詳細には、目的タンパク質をコードしている遺伝子が欠失している再編成された遺伝子産物は、約550塩基対となる。再編成された産物の大きさはクローン間で異なるが、すべての場合で、目的タンパク質の発現は喪失する。
結果
この「ループアウト検出アッセイ」、すなわちLODAを、選択の初期にクローンから単離したRNAに用いて、約500bpの検出可能なRT−PCR産物が、早くもトランスフェクト後の60日目に見られた(図6)。
(実施例3)
様々な目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の検出
上述の材料および方法を用いて、この高スループットアッセイを用いて3つの異なる目的タンパク質をコードしている様々な遺伝子でトランスフェクトした細胞クローン中の遺伝子再編成を検出できるかどうかを決定するための研究を行った。この例は図7に示し、そのような分析は、Fc融合分子(可溶性IL21受容体と融合したFc、US20060039902号を参照)、小モジュラー免疫治療製品(SMIP)(抗CD20 SMIP、US20030133939号を参照)およびRAGEに特異的なモノクローナル抗体(Mab)をコードしている遺伝子を用いて行った。
結果
図7、レーン1(左から右)は、Fc融合タンパク質をコードしている遺伝子でトランスフェクトした細胞のクローン集団を示し、トランスフェクト後の61日目の完全長の遺伝子を示す。ここで、これらの細胞はFc融合タンパク質の大スケール産生のために安定かつ適切となる。しかし、レーン2は、Fc融合遺伝子の切断型(500bp)の存在によって実証されるように、トランスフェクト後の61日目に、Fc融合タンパク質をコードしている再編成された遺伝子を発現する細胞の別のクローン集団を示す。これらの細胞は、Fc融合タンパク質の大スケール産生に適切でない。
レーン4は、SMIPをコードしている遺伝子でトランスフェクトした細胞のクローン集団を示し、トランスフェクト後の70日目の完全長の遺伝子を示す。ここで、これらの細胞はSMIPの大スケール産生のために安定かつ適切となる。しかし、レーン3は、SMIP遺伝子の切断型(500bp)の存在によって実証されるように、トランスフェクト後の87日目に同じSMIPをコードしている再編成された遺伝子を発現する細胞の別のクローン集団を示す。これらの細胞は、SMIPの大スケール産生に適切でない。
レーン5は、モノクローナル抗体(MAb)をコードしている遺伝子でトランスフェクトした細胞のクローン集団を示し、トランスフェクト後の65日目のMAbをコードしている再編成された遺伝子を示す。これらの細胞は、モノクローナル抗体の大スケール産生に適切でない。完全長の遺伝子がMabを発現する対照MAbは示していない。
Figure 2011512877
現在ループアウト検出アッセイで使用するオリゴのリスト。順方向オリゴはトリパータイトリーダー配列(Int GenF)とハイブリダイズする。逆方向オリゴはマウスDHFR配列とハイブリダイズする。これらのオリゴを現在使用しているが、これらの領域のどちらかに対する、または目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’および3’側の他の領域に対する、任意の相補的オリゴ配列を使用することができる。
Figure 2011512877
LODA RT−PCRで使用する構成要素のリスト。製造者の指示に従って使用した。オリゴは、アッセイをより良好に最適化するために変わるため、これらの条件は変わる場合がある。
要約
本発明の1つの目的は、目的タンパク質の大スケール産生に適した、目的タンパク質を発現する細胞のクローン集団を同定することであった。それだけには限定されないが、目的タンパク質を発現する再編成された遺伝子の存在または非存在を測定するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの方法を用いて、高スループットのスクリーニングを開発できるかどうかを評価するために、研究を行った。再編成が目的遺伝子中で観察された場合、これは、細胞が、目的タンパク質の大スケール産生での使用に適切でなかったことを示す。データは、そのような遺伝子再編成が、Fc融合タンパク質、SMIPおよびモノクローナル抗体を含めた様々な目的タンパク質を発現する細胞中で観察できることを実証している。さらに、細胞がこの遺伝子再編成を発現した場合、これらの細胞は不安定であり、目的タンパク質の大スケール産生に適切でないことが示された。
本発明の利点は、この再編成された転写物を有するクローンを、細胞系の順応化プロセスの初期を含めた任意の時点でスクリーニングできることである。これまで検査された、この再編成を発生したすべてのクローンは、本発明者らの目的タンパク質の発現を喪失している。本発明は、任意の目的タンパク質、たとえば治療的タンパク質の大スケール発現に適切な細胞のクローン集団に適用可能である。より大きな転写物、すなわち、目的タンパク質をコードしている転写物の存在は、細胞が別の機構(複数可)を介して目的タンパク質の発現を喪失することができないことも、DNA再編成を細胞系開発の間の後の時点で行うことができないことも意味しない。このアッセイは、タンパク質産生を喪失し得るクローンを排除するための、ノーザンブロットよりも感受性のあるスクリーニング方法として使用するために開発された。それにもかかわらず、本発明の方法は、目的タンパク質の産生の間にいつでも使用し得る。
Figure 2011512877

Claims (21)

  1. 目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法であって、
    a)細胞の集団を、目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体でトランスフェクトするステップと、
    b)目的タンパク質をコードしている遺伝子を発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
    c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
    d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
    e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
    を含む方法。
  2. 目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定する方法であって、
    a)細胞の集団を、トリパータイトリーダー配列(TPL)のコード領域、イントロン、目的タンパク質をコードしている遺伝子、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域を順次含む核酸構築体でトランスフェクトするステップと、
    b)目的タンパク質をコードしている遺伝子および選択可能マーカーを発現している細胞のクローン集団を単離するステップと、
    c)クローン集団中において目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成の存在または非存在を決定するステップと、
    d)目的タンパク質をコードしている遺伝子の再編成を欠くステップc)の細胞のクローン集団を選択するステップと、
    e)ステップd)の細胞のクローン集団を目的タンパク質の大スケール産生のために培養するステップと
    を含む方法。
  3. 目的タンパク質を細胞のクローン集団から単離および精製することをさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. ステップe)の大スケール産生が、2リットルを超える体積の細胞培地中で細胞を培養することを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  5. 核酸構築体が、目的タンパク質をコードしている遺伝子の5’側に位置するイントロン配列を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  6. 核酸構築体が、イントロン配列の5’側に位置するトリパータイトリーダー(TPL)配列のコード領域を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 核酸構築体が、選択可能マーカーのコード領域と作動可能に連結した内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに順次含み、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域が、目的タンパク質をコードしている遺伝子の3’側に位置する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 遺伝子が免疫グロブリン分子の重鎖をコードしている、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  9. 遺伝子が免疫グロブリン分子の軽鎖をコードしている、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  10. 選択可能マーカーが、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、ネオマイシントランスフェラーゼ、ヒスチジノール、ハイグロマイシン、グルタミン合成酵素、ゼオシンおよびフレオマイシンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  11. IRESが、配列番号4、6および8からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  12. 再編成が、遺伝子の全部または一部の欠失を含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 欠失が、DNA、mRNA前駆体およびmRNAからなる群から選択される核酸中で検出される、請求項12に記載の方法。
  14. 遺伝子が、抗体、融合タンパク質、または小モジュラー免疫薬(SMIP)をコードしている、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  15. 抗体が治療的抗体である、請求項14に記載の方法。
  16. 決定ステップが、ヘリカーゼ依存性増幅またはRT−PCR、逆PCR、定量的PCR、リアルタイムPCR、およびin situ PCRからなる群から選択される任意のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  17. 目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団を同定するためのアッセイであって、
    a)目的タンパク質をコードしている遺伝子を含む核酸構築体を含む細胞を培養して細胞のクローン集団を産生するステップと、
    b)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって遺伝子の一部分を増幅するステップであって、増幅が第1のプライマーおよび第2のプライマーを用いて実施され、第1のプライマーが遺伝子の5’側のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、第2のプライマーが遺伝子の3’側のヌクレオチド配列とハイブリダイズするステップと、
    c)遺伝子の増幅した部分における遺伝子の全部または一部の欠失の存在または非存在を決定するステップと
    を含み、欠失の非存在から、細胞のクローン集団が目的タンパク質の大スケール産生に適していることが同定されるアッセイ。
  18. 核酸構築体が、遺伝子の5’側に位置するトリパータイトリーダー(TPL)配列のコード領域をさらに含む、請求項17に記載のアッセイ。
  19. 核酸構築体が、選択可能マーカーのコード領域と作動可能に連結した内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに順次含み、IRESおよび選択可能マーカーのコード領域が、遺伝子の3’側に位置する、請求項18に記載のアッセイ。
  20. 増幅ステップが、第1のプライマーをTPL配列のコード領域とハイブリダイズさせ、第2のプライマーを選択可能マーカーのコード領域とハイブリダイズさせることを含む、請求項19に記載のアッセイ。
  21. 請求項1または2のいずれかに記載の方法によって産生された、目的タンパク質の大スケール産生に適した細胞のクローン集団。
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