JP2011510975A - 脳腫瘍の予防用または治療用の組成物 - Google Patents

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Abstract


本発明は、カフェイン及び/またはその類似体、及び/またはこれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する脳腫瘍の予防用及び/または治療用の組成物に関するものである。本発明による脳腫瘍の治療用の組成物は脳腫瘍の浸潤、転移、及び増殖を阻害するため、脳腫瘍の予防及び/または治療に非常に効果的である。

Description

関連出願
本出願は、2008年1月31日付けで出願された韓国特許出願第10−2008−0010155号の優先権利益を主張し、前記韓国特許出願の明細書は、本明細書に参照として含まれる。
本発明は、カフェイン及び/またはその類似体、及び/またはこれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、脳腫瘍の予防用及び/または治療用の組成物に関するものである。
「脳腫瘍(または癌)」は、脳組織及び脳を包んでいる脳膜で発生する原発性脳癌と、頭蓋骨や身体の他の部位で発生した癌から転移した二次性脳癌とを通称するものである。このような脳癌は他の臓器で発生する癌と区分される点が多い。まず、肺、胃、***などに生じる癌は臓器別に一種類か二種類に限定され、その性質が同一、類似している方である。しかし、脳には非常に多様な種類の癌が発生する。例えば、多形成膠茅細胞腫、悪性神経膠腫、リンパ節腫、胚細胞腫瘍、転移性腫瘍など多様である。この中でも神経膠腫(glioma)、特に多形成膠茅細胞腫(glioblastoma multiforme、GBM)は最も悪性であり攻撃的であるため予後が非常に良くなく、診断後の平均生存期間が約1年を越えない非常に致命的な疾患である。脳細胞と腫瘍細胞の間の境界が明らかでないために、GBMを外科的に完全に除去するのはほとんど不可能である。したがって、外科的治療以外の化学的治療剤の開発が至急であるのが実情であるが、まだ効果的な治療法が開発されていないため、これに関する研究および開発が要求される。
したがって、本発明は腫瘍細胞の増殖抑制だけでなく、浸潤及び転移を抑制して、脳腫瘍、特に膠茅細胞腫(glioblastoma)などの神経膠腫(glioma)疾患を効果的に予防及び/または治療することができる技術を提供することをその目的とする。
図1a〜eは、多様なGPCR(G−protein coupled receptors)及びRTK(receptor tyrosine kinases)アゴニストによるCa2+応答を示したものであって、 図1aは、代表的な疑似カラー蛍光強度イメージ(pseudo color fluorescence intensity images)(380nmまたは340nm励起、510nm発光)(上段)、下段はFura−2AM(5μM)を添加した膠茅腫細胞でのEGF刺激前後の比率イメージ(ratio images)を示したものであり、 図1bは、4個の膠茅細胞腫細胞株で行われたCa2+イメージレコーディングから得られたトレースであり、 図1cは、Fura−2が添加されたU178MG細胞上での多様なアゴニストによるFura−2AMの強度比率の変化を示し、 図1dは、ヒト膠茅細胞腫細胞の低倍率での写真(Low power view)であって、左上端は200倍率の写真であり、 図1eは、多様なGPCR及びRTKアゴニストが、ヒト膠茅細胞腫細胞において細胞内Ca2+増加を誘導することを示す、カルシウムイオン放出の減衰動態(dekay kinetics)を示したものである。 図2a〜2fは、Ca2+シグナル伝達に関連した結果を示したものであって、 図2aは、Fura−2が添加されたU178MG細胞でのカルシウムイオン放出の減衰動態であって、Fura−2が添加されたU178MG細胞は2mM Ca2+ HEPESバッファー、Ca2+−無添加HEPESバッファー、及びSKF96365の存在下でブラジキニンによって刺激されたものをそれぞれ示したものであり、 図2b及び2cは、各サンプルの減衰動態の代表的な平均トレース及び半幅値(half width)を示したものであり、 図2dは、U73343前処理によってレスキューされた、U73122の前処理によりあらかじめ遮断された、ブラジキニンまたはEGF誘導性Ca2+放出の減衰動態の変化を示したものであり、 図2eは、タブシガルギンによる小胞体でのCa2+枯渇後のGPCRアゴニストの適用の結果を示したものであり、 図2fは、リアノジン受容体拮抗剤の存在下における、ブラジキニンによるU178MG上でのIPR介在性Ca2+の放出の減衰動態を示したものである。 図3a〜3cは、カフェインの膠茅腫細胞の転移及び浸潤に対する阻害活性を示したものであって、 図3aは、損傷部位及び創傷閉鎖(wound closure)率を示したものであり、 図3bは、カフェイン濃度の変化によってマトリゲル(Matrigel)を通じて浸潤する細胞の代表的な写真(上段)、及び浸潤細胞の比率(下段)を示したものであり、 図3cは、カフェイン濃度の変化によるコロニーの代表的な写真(上段)、及びコロニー数の比率(下段)を示したものである。 図4a〜hは、カフェインのCa2+放出阻害活性を示したものであって、 図4a及び4bは、各々、EGFまたはブラジキニンで刺激されたU178MGでのカフェインによる細胞内Ca2+の放出の遮断を示したものであり、 図4cは、U178MGにおいてカフェイン存在下での多様なアゴニストによって誘導されたCa2+放出に対する%遮断を示したものであり、 図4dは、多様な濃度のカフェイン存在下でのTFLLR誘導性Ca2+応答の阻害レベルを示したものであり、 図4eは、TFLLRによって誘発されるCa2+放出の用量応答曲線であり、 図4f及び図4gは、GPCRアゴニストで刺激されたHEK293及びヒト膠茅細胞腫の、カフェインによる細胞内Ca2+の放出に対する遮断を各々示したものであり、 図4hは、各々の細胞でのカフェイン存在下でのGPCR誘導性Ca2+放出の%遮断を示したものである。 図5a〜5dは、IPRsサブタイプ(subtypes)のmRNA発現率を示したものであって、 図5aは、ヒト神経膠腫細胞株(U87MG、U178MG、U373MG、T98G、M059K)、ヒト神経芽細胞腫細胞株(SH−SY5Y)、及びHEK293T細胞株でのIPRs及びGAPDHのmRNA発現を示した電気泳動の画像であり、 図5bは、各々の細胞でのIPRサブタイプ3の発現とカフェイン遮断間の相関関係を示したものであり、 図5cは、正常なヒトの脳細胞とヒト膠茅細胞腫でのIPRサブタイプmRNA発現を確認した電気泳動画像であり、 図5dは、ヒト試料中でのIP3R mRNAの濃度測定ヒストグラム(Densitometric histograms)の結果を示したものである。 図6a〜6gは、カフェインがIPR3に特異的に作用することを示したものであって、 図6a及び6bは、IPR1(ウシ)及びIP3R3(ウシ)で各々形質転換されたHEK293T細胞でのカフェインによるTFLLR誘導Ca2+放出の遮断を各々示したものであり、 図6cは、IPR1(ウシ)、IPR3(ウシ)、及びIPR3(マウス)で各々形質転換されたHEK293Tでのカフェインによる%遮断を示したものであり、 図6dは、U178MG細胞でGFPだけ発現した場合と、IPR3−shRNA+GFPが発現した場合とのカフェイン処理後のカルシウムイメージング結果を示したものであり、 図6eは、対照群とshRNA発現群でのカフェイン添加によるCa2+応答を示したグラフであり、 6f及び6gは、カフェインを処理していないU178MG細胞と、カフェインを処理したU178MG細胞との細胞遊走をライブイメージングした結果を示す。 図7a〜7dは、カフェインの浸潤阻害及び生存率改善の活性を示したものであって、 図7aは、カフェインの存在下または非存在下で、6日目(6day aged)の器官型海馬切片培養物(Organotypic hippocampal slice cultures)上に乗せたU178MG細胞を示した写真であり、 図7bは、カフェインによって、腫瘍細胞OHSCsへの浸潤及び遊走が阻害されることを示したグラフであり、 図7cは、カフェイン処理による腫瘍の大きさの相対的減少を示したグラフであり、 図7dは、脳腫瘍動物モデルにおける、カフェイン摂取によるの生存率の増加を示したグラフである。 各細胞株での様々なカフェイン濃度に応じた細胞生存率を示したMTTアッセイの結果である。 図9a〜9dは、カフェイン作用がストア感受性チャンネル(store operated channels)またはストア(store)枯渇に依存的であることを示したものであって、 図9aは、Ca2+無添加HEPESバッファーでタブシガルギンを2分間添加した後の、カルシウムイオン濃度の変化の挙動を示し、ここで無添加群(上)、カフェイン(中央)またはSKF96365(下)であり、 図9b及び9cは、カフェイン処理なしでFura−2が添加されたU178MG細胞(対照群)、及びカフェイン処理されたFura−2が添加されたU178MG細胞での細胞内Ca2+濃度のシクロピアゾン酸(cyclopiazonic acid)−誘導性またはタブシガルギン−誘導性増加を各々示したものであり、 9dは、カフェイン存在下でシクロピアゾン酸及びタブシガルギンによる調節率(%)を示したものである。 図10a〜図10cは、カフェイン類似体の脳腫瘍細胞内のカルシウムイオンの放出の阻害活性を示したものであって、 図10a及び10bは、TFLLR誘導Ca2+放出のカフェイン(a)及びテオフィリン(b)に対する遮断の代表的なトレースを各々示したものであり、図10cは、カフェイン類似体による%遮断を示したものである。
本発明のより完全な評価、及びこれらの多様な利点は、以下の詳細な説明により十分に理解されるだろう。
本発明者らは、カフェイン及びその誘導体が脳腫瘍、その中でも特に膠茅細胞腫(GBM)を含む神経膠腫の増殖を抑制し、浸潤及び遊走を抑制して効果的に脳癌を治療するということを見出し、本発明を完成した。
したがって、本発明の一態様は、カフェイン及び/またはその類似体、及び/またはこれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脳腫瘍の治療用の組成物を提供する。また、他の態様において、本発明は、カフェイン及び/またはその類似体、及び/またはこれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、脳腫瘍の予防用及び/または改善用の機能性食品組成物を提供する。
カフェインは、高等植物で発見されるプリン塩基の一種であって、下記の化学式I(C10)として表される、3個のメチル基を有するキサンチン構造である。
Figure 2011510975
カフェインは、白色の軟らかい結晶性物質であり、興奮性成分としての特性を有し、そしてブラジルのコーヒー豆に1乃至5%、熱帯アフリカのコーラー果実に約3%、パラグアイのマテ茶に1乃至2%、ブラジルのガラナ種子に3乃至5%存在する。
カフェインは、緑茶などを熱い水に滲出させた後、タンニンなどの物質を除去して単離することができる。または、カフェインは、ジメチル尿素及びマロン酸を出発物質として化学的に合成することもできる。植物中でのカフェインは、その他のプリン塩基と同様に、グリシン、ギ酸、二酸化炭素などの物質を材料にして合成される。また、カフェイン中に存在する3個のメチル基はメチオニンに由来する。カフェインの重要性はその薬理作用にある。カフェインは主に、CNS(中枢神経)興奮剤、呼吸興奮剤、強心剤、利尿剤としての活性を有する。少量を投与した場合、カフェインは疲労回復の効力があり、偏頭痛や心臓病軽減する。しかし、カフェインの脳腫瘍、特に神経膠腫に対する治療活性については本発明で最初に明らかにされた。
本発明で脳腫瘍に対する治療活性を有するカフェイン類似体としては、7−イソプロピルテオフィリン、7−(β−ヒドロキシエチル)テオフィリン、キサンチン、テオフィリン、1,7−ジメチル−3−イソブチルキサンチンなどが挙げられる。前記カフェイン誘導体の脳腫瘍治療活性は、図面(図10参照)に示してある。
本発明の組成物によって治療可能な脳腫瘍は、脳組織または他の部位で発生して脳組織に転移した全ての腫瘍を含み、例えば、膠茅細胞腫、星状細胞腫などの神経膠腫、髄膜腫、脳下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、先天性脳腫瘍などからなる群より選択される1種以上の病気であることができ、この中でも神経膠腫、特に、膠茅細胞腫(GBM)に対する予防、治療、改善及び/または軽減効果が非常に優れている。また、本発明の組成物の適用可能な患者は哺乳類動物、好ましくはヒトである。
本発明の組成物に有効成分として含まれているカフェイン、その類似体またはこれらの薬学的に許容可能な塩の量に関して、望ましい量は、0.3乃至30mM、好ましくは0.5乃至20mM、より好ましくは2.5乃至12mMである。有効成分の含有量を前記範囲内に設定することにより、前記組成物は高濃度による細胞毒性を引き起こすことなく、十分な薬理学的効果を発揮することができる。また、前記組成物の1日投与量は、適用しようとする病気の症状、程度、患者の状態などによって適切に調節される。1日投与量は、好ましくは1乃至5mg/kg(体重)に設定することが好ましく、前記の量を1回または数回に分量して服用することができる。
本発明の組成物において、カフェイン、その類似体またはこれらの薬学的に許容可能な塩は組成物内に単独で、または他の薬学的に許容可能な薬剤、担体または賦形剤と共に含むことができる。組成物に含まれているカフェイン、その類似体またはこれらの薬学的に許容可能な塩の含有量の範囲は、組成物の使用目的に応じて、当業者が適切に設定することができる。本発明の組成物に使用可能である担体または賦形剤は剤形に応じて適切な物質を使用することができ、通常の希釈剤、充填剤、増量剤、湿潤剤、崩壊剤、及び/または界面活性剤を使用することができる。代表的な希釈剤または賦形剤としては、水、デキストリン、炭酸カルシウム、ラクトース、プロピレングリコール、流動パラフィン、タルク、異性化糖、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラフィン、プロピルパラベン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、生理食塩水、色素及び香料が挙げられる。
本発明の組成物は、所望の使用方法に応じた多様な剤形で、経口または非経口経路で投与される。剤形の例としては、硬膏剤、顆粒剤、ローション剤、散剤、シロップ剤、液剤、エアロゾル剤、軟膏剤、流動エキス剤、油剤、懸濁剤、沈剤、錠剤、注射剤、カプセル剤または丸剤を含むことができるが、これらに限定されない。
また、本発明の一態様は、カフェイン、その類似体またはこれらの薬学的に許容可能な塩を含む脳腫瘍予防及び/または改善用の機能性食品を提供する。本発明の機能性食品に含まれるカフェイン、その類似体またはこれらの薬学的に許容可能な塩の含有量は特別な制限はなく、最終製品の目的及び特性によって適切に調節可能であり、例えば、食品組成物全体に対して0.00001乃至99.9重量%、好ましくは0.001乃至50重量%の範囲で設定することができる。本発明においてこのような機能性食品は、各種食品、健康補助食品、及び食品添加剤を総称する。上記式品、健康補助食品または食品添加剤は特別な制限がない。例えば、前記食品は、特殊栄養食品(調剤乳類、嬰児、乳児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、カード、麺類(ラーメン類、そば類など)、パン類、機能性食品、調味食品(醤油、味噌、唐辛子みそ、混合醤など)、ソース類、クッキー類及びスナック類、乳加工品(醗酵乳、チーズなど)、その他の加工食品、キムチ、漬物食品(醤油に漬けた薄切り大根またはキュウリ)、並びに飲料(果物ジュース、野菜ジュース、豆乳類、発酵飲料類など)を含むことができ、かつこれらは通常の製造方法で製造されたものであることができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
最も悪性でかつ浸潤する脳腫瘍である多形性膠茅細胞腫(GBM)は、診断後の平均生存期間が約1年以下であり、予後が非常に良くない。また、脳細胞と腫瘍細胞の間の境界が明らかでないため、GBMを外科的に完全除去するのはほとんど不可能である。このような困難性は、これらの細胞が脳の隣接した部位に転移及び浸潤する潜在的な傾向を有することに基本的に起因する。高度に浸潤するGBM細胞は、能動的なニューロンの死滅を通じて、正常脳に散在的に浸潤して、空間を確保する。様々なシグナル伝達分子がこれらのGBM細胞を活性化してこれらの増殖、運動性、及び浸潤性に影響を与える。これらのシグナル伝達分子には、表皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)などの多様な成長因子、並びにATP、ブラジキニン(bradykinin)、リゾフォスファチジン酸酸(lysophosphatic acid、LPA)、スフィンゴシン1−リン酸(Sphingosine 1−phosphate、S1P)、トロンビン、及びプラスミンなどのG−タンパク質共役受容体(GPCR)アゴニストなどが含まれる。このようなシグナル伝達分子は、次にこれらの対応部(counter part)表面の受容体を活性化する。これらの表面受容体は、EGFR、PAR1、B2、P2Y、LPA受容体、S1P受容体など多様であり、これらの活性化は下流のエフェクターの活性を誘発し、より重要なことには、細胞内Ca2+濃度([Ca2+)の増加を誘発する(図1参照)。
図1は、多様なG−タンパク質共役受容体()及び受容体チロシンキナーゼ()アゴニストによるCa2+応答を示したものである。図1aは、代表的な疑似カラー蛍光強度イメージ(380nmまたは340nm励起、510nm発光)(上段)、及びFura−2AM(5μM)が添加された膠茅細胞腫細胞でのEGF刺激前後の比率イメージ(下段)を示したものである。右側のカラースケール(bar)は、蛍光強度に応じた疑似カラーの程度を示したものであって、黒い色に行くほど蛍光強度が低く、黄色に行くほど蛍光強度が高い。図1bは、4種の膠茅細胞腫細胞株で行われたCa2+イメージ記録から得られたトレースである。各々のトレースは、各々の細胞でのFura−2AMの強度比率の変化を示したものである(各細胞株当りn=36乃至83)。赤色線は平均応答を示したものである。灰色の棒グラフは、EGF適用時間を示したものである。
図1cは、Fura−2が添加されたU178MG細胞上での多様なアゴニストによるFura−2AMの強度比率の変化を示したものである。図1dは、ヒトGBM細胞の低倍率画像であり、左上端は200倍率写真であって、細胞水準の膠細胞腫瘍は二つの地点で偽柵状配列(pseudopalisading)壊死(矢印、H&E、X200)を示しており、右上段は400倍率写真であって、頻繁に有糸***する細胞(矢印)を示しており(H&E、X400)、左下端は多核多形態性核を示しており(H&E、X200)、右下段は大部分の腫瘍細胞がグリア繊維性酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein)に対して免疫反応性があるということを示している(X200)(GFAP免疫染色)。図1eは、GPCR及びRTKアゴニストが、ヒト膠茅細胞腫細胞において細胞内Ca2+増加を誘導することを示している。
癌細胞遊走(migration)は主にアクチン重合反応及び細胞内組織化に依存するが、前記重合反応及び細胞内組織化は多様なアクチン結合蛋白質によって影響を受ける。アクチン結合蛋白質の活性の調節はホスホイノシチド(phosphoinositides)及びカルシウムなどの二次情報伝達物質(second messenger)によって媒介される。したがって、GBM細胞内でのCa2+増加の正確なメカニズムが、前記細胞の増殖、運動性、及び浸潤性を調節するのにかなり重要な1つの要因であるといえる。しかしながら、今まで前記GBM細胞でのCa2+シグナル伝達と関連して行なわれた研究は、ごくわずかに行われているのみである。
Fura2−AMが添加された培養GBM細胞株、及び外科的に除去された組織から急性的に分離して得られたGBM細胞に対してCa2+イメージ化を行うことによって、これら細胞内での[Ca2+の増加が部分的には細胞内放出プール(pools)からのCa2+放出によるものであり、部分的にはストア感受性チャンネル(store operated channels)を通じたCa2+の流入によるものであることを見出した(図2a、2b、及び2c参照)。このような細胞内ストアからのCa2+の放出は、G−蛋白質結合受容体(GPCRs)及び受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinases、RTKs)の活性化に応答してホスホイノシトール−4,5−ビスホスフェート(phosphoinositol−4,5−bisphosphate、PIP2)の代謝によってIPを生産する、ホスホリパーゼC(PLC)に対する特異な抑制剤であるU73122によって完璧に抑制された(図1c参照)。
図2はCa2+シグナル伝達に関連した結果を示したものであって、図2aは、Fura−2が添加されたU178MG細胞が2mM Ca2+HEPESバッファー、Ca2+−無添加HEPESバッファー、及びSKF96365の存在下においてブラジキニンで刺激されることを各々示したものである。図2b及び2cは、前記各サンプルの代表的な平均動き及び半幅値(half width)の挙動(Decay kinetics)を示したものである。エラーバーはSEMを示す。図2dは、U73122の前処理によって抑制されたブラジキニンまたはEGF誘導性Ca2+の放出が、U73343前処理によってレスキューされた(rescued)ことを示したものである。図2eは、タブシガルギンによる小胞体でのCa2+枯渇後のGPCRアゴニストの適用結果を示したものである。図2fは、リアノジン受容体拮抗剤の存在下での、U178MG上でブラジキニンによるIPR介在性Ca2+減衰動態を示したものである。
タブシガルギンによるストアの欠乏によって、後続のブラジキニンによる[Ca2+の増加誘導が完璧に抑制されるという事実に照らし合わせると(図2e参照)、ストア感受性チャンネルを通じたCa2+の流入は放出と密接に関連していると見られる。このような結果から、GBM細胞が、細胞内ストアからのCa2+放出を導く共通のホスホイノシチド経路と、それに続くストア感受性チャンネルを通じたCa2+流入と共役される、様々な表面受容体を発現していると結論付けた。Ca2+放出経路にあるこれらの分子が、GBMの遊走及び浸潤を調節する潜在的分子標的として役割を果たすと仮定される。
細胞内貯蔵所(store)からのCa2+放出に関与するチャンネルとして、IPRs(イノシトール−1,4,5−トリホスフェート受容体)及びRyRs(リアノジン受容体)の2つのチャンネルが知られている。カフェインは、特に筋肉細胞及び心筋細胞において、RyRsの開放によって、細胞内ストアからのCa2+放出を誘導することが古典的に知られている。したがって本発明者等は、GBM運動性、浸潤及び増殖に対する多様なアッセイにおいて、Ca2+放出機構を強化または阻害する製剤と共に、カフェインをテストした。
しかし、本発明者等の予想と異なり、10mMカフェインが多様なGBM細胞株(U178MG、U87MG、U373MG、及びT98G細胞)の運動性、浸潤性、及び増殖性を著しく抑制する反面(図3a、3b、及び3c)、細胞生存性にはほとんど影響を与えないことが明らかになった(図8参照)。このカフェインの矛盾的効果は、1μMのタブシガルギン、10μMの2−APB、20μMのCPA、50μMのBAPTA−AMなどのような細胞内ストアからのCa2+放出を阻害することが知られている多様な製剤により模倣されるが、この濃度でのRyRsに対するアゴニストである10μMのリアノジンによっては、模倣されなかった(図3a参照)。
上記の事実は、カフェインの作用機序は細胞内ストアからのCa2+放出の阻害に関与し、阻害作用はRyRsではなく、IPRsを選択的に標的化していることを示唆している。本発明での実験結果、カフェインまたはその類似体は病変細胞である脳癌細胞、特に膠茅細胞腫でイノシトール−1,4,5−トリホスフェート受容体(IPR)のサブタイプ3(IPR3)の作用を選択的に遮断して、IPR3媒介Ca2+の増加を抑制することにより、カルシウムイオンによってシグナル伝達される細胞増殖、移動性、及び浸潤性を抑制して優れた膠茅細胞腫の治療活性を有することが明らかになった。
このような結果をインビトロ(in vitro)試験でより全身的水準に適用するために、空間的微細生息環境がカフェイン効果を折衝することができるインビトロ(in vitro)動物モデル及び即席分離切片に対するカフェインの効果を試験した結果、動物モデルでもカフェイン処理によってGBM細胞の転移、浸潤及び増殖が著しく減少することが確認された(図7b−c参照)。
本発明は、最も致命的な脳癌と知られたGBMの転移及び浸潤に対するカフェイン作用の詳細な分子的メカニズムを提供する。このようなカフェインの有利な効果は脳癌だけでなく、これとメカニズムが類似しているまだ治療手段のない致命的な他の病気の治療に有用に用いられることができるであろう。
膠芽細胞腫細胞の準備
ヒトGBMを除いた膠芽細胞腫細胞株は10%ウシ胎児血清(FBS)、1%L−グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン(50単位/mL)、及びストレプトマイシン(50単位/mL)が補充されたダルベッコ(Dulbecco′s)修正イーグル培地(DMEM;Gibco、Invitrogen、USA)に保持した。ヒト膠芽細胞種は20%FBS、1%L−グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン(50単位/mL)、及びストレプトマイシン(50単位/mL)が補充されたDMEMに保持し、使用時まで保管した。
カフェインのGBM細胞に対する運動性、浸潤性、及び増殖性の阻害試験
カフェインの多様なGBM細胞株に対する運動性、浸潤性、及び増殖性の阻害活性を試験した。
2.1.掻爬遊走試験(Scrape Motility Assay)
まず、運動性に対する効果を試験するために、神経膠腫細胞株として、U178MG、U87MG、wtEGFR、及びΔEGRF細胞を使用した。前記細胞株は、各々、Emory Uni.(U178MG)、及びATCC(U87MG、T98G、及びM59K)から得た。全ての細胞株を12−ウェル培養プレート内の血清含有培地(Emory Uni.製)で単層に増殖させた。その後、10μLのピペットチップで掻爬(scrape)を作って、10mMカフェイン、1μMタブシガルギン、または10μMリアノジンを各々添加し、プレートをインキュベータに戻して培養した(各細胞株当りn=3乃至4、37℃)。増殖を防止するために、フルオロデオキシウリジン(FdU/U;Sigma社製)を添加した。24時間培養した後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した。損傷領域内の3個の10Xフィールドの再増殖広さを測定し、損傷領域の傷口縫合の平均パーセントを測定した。カフェイン処理していない細胞株を対照群として使用した。
得られた結果を図3aに示した。図3aの左側写真のボックスで表示された部分は近似的な傷部位の境界を示す。右側のグラフに示されたデータは、細胞遊走による傷口縫合(wound closure)比率を示したものである。上記の結果から分かるように、カフェインは、細胞内のCa2+濃度を減少させるタブシガルギンの処理と同様に細胞内Ca2+ストアの枯渇を誘導して、傷部位への細胞移動を非常に効果的に阻害することが明らかになった。反面、細胞内Ca2+濃度に関与する受容体のうちの1つのRyRs(リアノジン受容体)に対するアゴニストであるリアノジンで処理した場合はこのような細胞遊走がほとんど観察されなかった。エラーバーは±SEMを示す。**p<0.01、事後のニューマン−クールズ分散分析(ANOVA with Newman−Keuls post hoc)。
2.2.マトリゲル浸潤試験(Matrigel Invasion Assay)
浸潤の阻害効果を試験するために、膠芽細胞腫細胞として、U178MG、U87MG、U373MG、及びT98Gを使用した。前記細胞株は各々ATCC(アメリカ培養細胞系統保存器官)から得た。前記細胞にカフェインを各々1、2、5、及び10mMを添加した(n=4)。24−ウェルプレートで8μmM孔径(Corning、NY、米国)を含むトランスウェルインサートを使用して細胞浸潤を検定した。浸潤分析に使用するために、インサートを2mg/ml基底膜マトリゲル(BD Bioscience、Bedford、MA、米国)でコーティングした。無血清培地(FBS、DMEM、GIBCO社より、Invitrogen社、米国)内の1X10細胞をインサート上端面にプレーティングし、完全培地をチャンバー下部に入れて化学誘引物質として作用するようにした。37℃で24時間培養した後、インサート上端面上の細胞を綿棒で拭いて除去し、メンブレンの下端面に遊走した細胞をDAPI(Molecular Probes、Invitrogen社、米国)で染色して、40倍率で、顕微鏡で無作為に撮影した。カフェイン未処理細胞(対照群)の平均数を100%浸潤と見なした。
上記で得られた浸潤程度の結果を図3bに示す。上段の写真は、様々なカフェイン濃度におけるマトリゲルを通じて浸潤する細胞の代表的な写真を示したものであり、下段は対照群に対する浸潤細胞の比率を示したグラフである。浸潤細胞数はx200倍率顕微鏡によってカウントした。分析は2回行い、5箇所の場を無作為に選択し、分析ごとにカウントした。結果から分かるように、カフェインは、24時間の処理後に、用量依存的に(処理したカフェイン量に比例して減少が増加する)神経膠腫細胞の浸潤比率を減少させた。
2.3.コロニー形成についてのカフェイン阻害効果の軟寒天試験(Soft Agar Assay)
カフェインの増殖能における阻害効果を試験するために、軟寒天試験を行った。1X10個の細胞を、6−ウェルプレート中の、0.6%ベース寒天を覆った軟寒天(0.3%、Difco社)に接種した。凝固した細胞層を、0.5、1、2、5、及び10mMmpカフェインを含有する培地で覆い、前記培地は4日ごとに交換した。コロニーが発生するように、前記細胞を37℃で14〜17日間培養した。その後、コロニーを0.05%クレシルバイオレットで染色して撮影した。対照群としてカフェインを処理していないものを使用した。各試験はn=3で行った。
図3cは前記から得られた結果を示す。上段はカフェイン濃度において形成されたコロニーを示す写真であり、下段は、対照群に対するカフェイン処理群のコロニー数の比率を示したグラフである。図3で示すように、カフェインはインビトロ(in vitro)で神経膠腫の接着非依存性増殖(anchorage−independent growth)を濃度依存的に減少させた。
カフェインのカルシウムイオン放出遮断活性試験
U178MG細胞に10mMカフェインで処理した。100秒の処理後、細胞を2つの群に分けた後、GPCR(G−protein coupled receptors)アゴニスト、すなわち100ng/mlEGFまたは10μMブラジキニンで各々処理した。細胞内電流を測定して、EGFまたはブラジキニンで刺激されたU178MGでのカフェインによる細胞内Ca2+放出の遮断を試験した。細胞内電流測定を通じたカルシウムイオン濃度の測定は「C.Justin Lee、et al.、The Journal of Physiology、Astrocytic control of synaptic NMDA receptor、2007」(前記文献は参照として本明細書に含まれる)の記載通りに行った。カフェインを処理していない群を対照として使用した。前記で得られた結果を図4a(EGF)及び4b(ブラジキニン)に各々示した。前記図4a及び4bに示されているように、カフェインを処理した群では、アゴニストを処理しても、[Ca2+が大きく増加しないことが分かる。
U178MG細胞を10mMカフェインで100秒処理後、U178MGは多様なアゴニスト(10μMブラジキニン(BK)、100ng/mlEGF、30μM TFLLR)で刺激した。図4cは、U178MGにおけるアゴニスト誘導性Ca2+放出に対するカフェインによる%遮断率を示す。エラーバーは±SEMを示す。図4cに示したように、カフェインは、多様なCa2+放出アゴニストに対して細胞内Ca2+放出の遮断効果を示す。
U178MG細胞を0.3mM、3mM、10mM、及び30mMカフェインで処理した。100秒後、細胞を30μM TFLLRで処理した。図4dは、U178MGにおけるTFLLR誘導性Ca2+放出に対する遮断効果を示す。図4dに示したように、カフェインは、TFLLRによるCa2+濃度の増加をカフェイン濃度依存的に阻害するということが分かる。
図4eは、カフェイン濃度に応じたTFLLR(30μM)及びEGF(100ng/ml)によって誘発されるCa2+放出の用量応答曲線を示したものである。測定されたIC50はTFLLRに対しては2.45mMであり、EGFに対しては1.87mMであることが明らかになった。
図4f及び4gは、ヒト膠茅細胞腫細胞(SH−SY5Y、ATCC)及びHEK293細胞株(ATCC)の細胞内Ca2+放出の挙動を示し、細胞は10mMカフェインで処理した後、10μMブラジキニン(ヒト膠茅細胞腫)または30μM TFLLR(HEK293)で刺激した。図4f及び4gから分かるように、両方の細胞株でカフェインによって細胞内Ca2+放出が遮断されることを示している。
図4hは、GBM、U178MG、T98G、U87MG、及びHEK293細胞でのカフェイン(10mM)によるGPCR誘導性細胞内Ca2+放出の%遮断率を示したものである。細胞株は、:ソウル大学校病院神経外科(GBM)、Emory Uni.(U178MG)、:ATCC(T98G、U87MG、及びHEK293)より入手した。大部分の細胞で、細胞内Ca2+放出がカフェインにより阻害されていることが見出された。エラーバーは±SEMを示す。
IPR亜型3(IPR3)に対する選択的遮断の評価
4.1.mRNA発現の測定
ヒト神経膠腫細胞株(U87MG、U178MG、U373MG、T98G、M059K)、ヒト神経膠茅細胞腫細胞株(SH−SY5Y)、及びHEK293T細胞株での、IPRs及びグリセルアルデヒド‐3‐ホスファターゼ(GAPDH)のmRNA発現を測定した。mRNAの発現はRT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応)によって測定された。Trizol試薬(Invitrogen社、Carlsbad、CA)と共に上記の調製サンプルから全RNAを分離し、1μgの分離されたRNAを増幅させた。各サイクルは、94℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、及び72℃で60秒間の伸張で構成された。使用されたプライマー配列は次の通りである:
IPR1センス:5′−CTCTGATCGTTTACCTG−3′(配列番号1)、
ITPR1アンチセンス:5′−TCTTCTGCTTCTCACTCCTC−3′(配列番号2);
IPR2センス:5′−AGAAGGAGTTTGGAGAGGAC−3′(配列番号3)、
IPR2アンチセンス:5′−TCACCACCTTTCACTTGACT−3′(配列番号4);
IPR3センス:5′−CTGTTCAACGTCATCAAGAG−3′(配列番号5)、
IPR3アンチセンス:5′−CATCAACAGAGTGTCACAGG−3′(配列番号6);
GAPDHセンス:5′−AGCTGAACGGGAAGCTCACT−3′(配列番号7)、
GAPDHアンチセンス:5′−TGCTGTAGCCAAATTCGTTG−3′(配列番号8)。
図5aは、上記で得られたPCR産物を電気泳動して得られたmRNA発現の結果である。3種の亜型のIPRの発現率は、それぞれの細胞株で相異していた。
図5bは、各々の細胞でのIPR3の発現度と、カフェインによるCa2+遮断の相関関係を示したものである。Ca2+レベルは、前記実施例2及び3の記載に従って測定した。前記図5bに示したように、IPR3の発現レベルとCa2+遮断との間に、統計的に有意な相関関係が見出された。これは、カフェインの阻害活性が、IPR3と関連することを示唆する。
図5cは、正常ヒトの脳細胞(n=8、ソウル大学校病院神経外科)とヒト神経膠茅腫細胞(n=10)との間の、IPRサブタイプのmRNA発現を電気泳動上での比較を示す。図5dは、上記のヒトサンプルにおける、IPRサブタイプmRNA発現の濃度測定ヒストグラムを示したものである。図5c及び5dで確認できるように、IPRの他の亜類型と比較してIPR3が膠茅細胞腫細胞で著しく多く発現することが明らかになった。
4.2.IPR3に特異的なカフェインの活性試験
HEK293T細胞をIPR1(ウシ)及びIPR3(ウシ)に各々形質転換した(GFPとIP3R遺伝子を同時に形質転換させたHEK293T細胞はATCCから入手し、かつGFPが入った細胞だけをCa2+イメージングし、Ca2+イメージングは、形質転換させてから2日後に行った。)。細胞はその後10mMカフェインで処理した。カフェイン処理した細胞に対して、TFLLR誘導性Ca2+放出(30μM TFLLRで処理)に対する遮断度を評価した。結果を各々図6a及び6bに示した。図6aにおいて、IPR1が発現する場合はTFLLR誘導性Ca2+放出に対するカフェインによる遮断は現れなかったが、図6bに示されているように、IPR3を発現する場合には、TFLLR誘導Ca2+放出に対するカフェインによる遮断が観測された。
また、HEK293T細胞を、IPR1(ウシ)、IPR3(ウシ)、及びIPR3(マウス)に各々形質転換した(GFPとIP3R遺伝子を同時に形質転換させさせたHEK293T細胞はATCCから入手し、かつGFPが入った細胞だけをCa2+イメージングし、Ca2+イメージングは、形質転換させてから2日後に実験を行った。)。細胞はその後10mMカフェインで処理した。カフェイン処理した細胞に対して、TFLLR誘導性Ca2+放出(30μM TFLLRで処理)に対する遮断度を評価した。結果を図6cに示す。図6cに示したように、ウシ由来だけでなくマウス由来の遺伝子の場合にも、TFLLR誘導性Ca2+放出に対するカフェインによる遮断がIPR3に対して特異的であった。エラーバーは±SEMを示す。
また、図6d及び6eは、IPR3に対するGFPを付けたshRNAを、電気穿孔を通じて形質させたU178MG細胞のCa2+イメージングの結果である。shRNAが発現している細胞ではCa2+放出が殆どない反面、GFPを形質転換させた細胞では正常なCa2+放出が観測された。これは、カフェイン添加が有意にカルシウム放出を遮断することを示す。この実験から、IPR3が神経膠腫細胞でのCa2+放出に非常に重要な役割を果たすことと、カフェインがIPR3に特異的なCa2+放出の阻害活性を示すことが証明される。
また、図6fおよび図6gは、カフェイン処理していないU178MG細胞と、カフェイン処理したU178MG細胞との細胞遊走をライブイメージングした結果を示し、9時間の間、10分間隔で顕微鏡観察(200倍率)して得られた細胞遊走経路を赤線で表示した。図6fおよび図6gで明らかなように、カフェインで処理した場合、U178MG細胞の動きが顕著に鈍化することが分かる。
カフェインによる腫瘍増殖の阻害
海馬の器官型切片培養(Organotypic hippocampal slice cultures、OHSCs)において、カフェインがU178MG神経膠腫細胞の浸潤を減少させるかどうかについて試験した。前記OHSCsは「Simoni AD and YuLM,Preparation of organotypic hippocampal slice cultures:interface method.Nat Protoc.2006;1(3):1439〜45」の記載に従って調製した。器官型神経膠腫浸潤を若干変更した(Eyupoglu IY、Hahnen E、Buslei R、Siebzehnrubl FA、Savaskan NE、Luders M、Trankle C、Wick W、Weller M、Fahlbusch R、Blumcke I.Suberoylanilide hydroxamic acid(SAHA)has potent anti−glioma properties in vitro、ex vivo and in vivo.J Neurochem.2005 May;93(4):992〜9)。簡略に説明すれば、0、1、2、5、および10mMのカフェインの存在下で、DiI株化(DiI−strained)U178MG細胞(5000細胞/20nl)を6日目の海馬器官型切片上に乗せた。1時間および120時間経過後、前記神経膠腫細胞の挙動を、倒立型共焦点レーザー走査顕微鏡(inverted confocal laser scanning microscope)(Zeiss LSM5、Carl Zeiss社、ドイツ)を使用して観察した。得られた結果を図7aに示す。図7aは、6日目の切片表面に乗せたU178MG細胞を示す写真で、Adobe Photoshop 7 softwareを利用して1時間後のイメージ(緑色)と120時間後のイメージ(赤色)を重ねておいた併合イメージである。スケールバー:500μm。
また、Image J software(NIH、MD)を用いて、DiI株化細胞の浸潤領域を計算した。
浸潤領域(%)=(120時間後のDiI株化細胞領域/1時間後のDiI株化細胞領域)×100。
このように得られた浸潤領域の計算結果を図7bに示した。データは平均±SEMとして表示している(***p<0.001 対照に対するStudents t−検定;による;+++p<0.001 未処理に対するStudent's t−検定による)。図7bで示されているように、カフェイン処理していない場合よりは、カフェイン処理した場合に浸潤領域が減少し、カフェイン処理濃度に比例して浸潤領域が減少することが見出された。
また、カフェインによる腫瘍増殖抑制効果を確認するため、異種移植(xenograft)モデルを用いた試験を行い、U78MG細胞(ATCC)を皮膚に注入して腫瘍の進行を検討した。5週齢の無胸腺マウス(Balb/c nu/nu)をCentral Lab.Animal Inc.(日本)から得た。異種移植腫瘍増殖アッセイのために、U87MG細胞(3×10細胞/150μl PBS)をマウスの左側横腹に皮下注入し(n=5乃至10マウス/グループ)、実験は3回行った。注入後7日目に、カフェイン(Sigma社、St.Louis、MO)を飲用水に1mg/mlの濃度で与えた。対照群には蒸溜水を与えた。腫瘍の大きさは一週間に2回ずつ4週間測定し、腫瘍体積は次の式で計算した:
体積=(長さ×幅)/2
カフェインの効果は、移植された腫瘍細胞の増殖遅延によって測定した。
図7aに示すように、カフェイン処理した場合、カフェイン処理していない対照群と比較して、顕著に腫瘍体積の増加が阻害された。図7bは、カフェイン処理し始めた日を0日とし、この時の腫瘍体積を100%として腫瘍の大きさの成長を%値で示す。
試験管内試験の結果をより全身的水準で適用するために、局所的な微小環境がカフェインの効果を損なうことができる急性切片及び生体内動物モデルに対するカフェインの効果を試験した。マウスの脳の急性切片に対して1μl DiIが添加されたU178MG細胞(Emory Uni.)を線条体部位に乗せた後、これらの細胞の隣接部位に対する放射状進行を試験した。図7cで示されるように、10mMカフェインで処理された脳切片において、DiIが添加されたU178MG細胞は、10mM 7−エチルテオフィリン及びカフェインなし(0mM)で処理した対照群切片と比較して、顕著に低い浸潤を示したことが見出された。
生存率に対するカフェインの効果を試験するために、ヒトU87MGが移植された箇所において同所移植モデルを構築した。同所移植モデルを調製するため、最初にカフェイン溶液(0.1% wt/vol)で1週間前処理した。その後、U87MG細胞(2×10細胞/5μl PBS)をブレグマ(bregma)の側面2mm、前方0.5mmおよび脳実質(intraparenchymal)の3.5mmの座標で、左側前頭葉に頭蓋内注入して移植した。U87MG細胞をヌードマウス(5週齢、Balb/c nu/nu)の脳に注入したGBM動物モデルにおいて、1mg/mlカフェイン含有飲用水を通じてカフェインを摂取したモデル群とカフェインを摂取していないモデル群での生存率を測定した。結果を図7dに示す。生存率は図7dのグラフに示すように、腫瘍細胞注入日(0日)からマウスが死ぬまでの時間である。対照群(CTL)は、カフェイン処理していない群である。図7dで示すように、カフェインを摂取したマウスは、カフェインを摂取していない対照マウスと比較して、生存率が顕著に増加した。これはマウスモデルにおけるカフェイン処理は、GBM細胞の浸潤および増殖を顕著に減少させることを示す。
細胞毒性試験
各細胞株(U178MG、U87MG、U373MG、およびT98MG)でのカフェイン濃度に依存する細胞生存率を、比色MTT還元アッセイ(colorimetric MTT reduction assay)によって評価した。カフェイン処理前に、細胞を96−ウェルプレートで増殖させた。処理24時間後、MTT溶液(2.5mg/ml)10μlをそれぞれのウェルに入れ、細胞を37℃で4時間培養した。細胞をDMSOで可溶化させ、570nmにおいて分光光度的に定量化した。データは、対照値に対する生存率で表示した。
得られた結果を図8に示した。図8のデータは対照群(カフェイン処理なし)に対する生存率で表示した。図8から分かるように、T98MG細胞株における10mMカフェイン処理では生存率が減少することが見出され、他の細胞株では生存率が高かった(70%以上)。これはカフェインが比較的高濃度でも低い細胞毒性レベルを示すことを示唆する。
カフェイン作用とCa2+濃度との関係
カフェイン作用はストア感受性チャンネルまたはストア枯渇に依存的であることを示すために、Ca2+添加およびCa2+無添加浴槽(bath)でのカフェイン作用を試験した。
まず、Ca2+無添加HEPESバッファーで1μMタプシガルギンを2分間適用した。小胞体でのCa2+枯渇後、追加溶液を2mM Ca2+ HEPESバッファーに交換した。前記カルシウムイオン含有追加溶液に交換する100秒前に、10mMカフェインまたは20μM SKF96365を適用した(U178MG細胞株、Emory Uni.)。得られたカルシウムイオン濃度変化を図9aに示した。上段は無添加群、中段はカフェイン添加群、下段はSKF96365添加群である。
図9bおよび図9cは、カフェイン未処理のFura−2が添加されたU178MG細胞(対照群)および10mMカフェイン処理のFura−2が添加されたU178MG細胞での、シクロピアゾン酸(Cyclopiazonic acid、20μM)誘導性またはタプシガルギン(1μM)誘導性の[Ca2+]i増加を示す。図9dは、10mMカフェイン存在下でのシクロピアゾン酸(20μM)およびタプシガルギン(1μM)による%対照を示す。エラーバーは、平均±SEMである。
図9a乃至図9dは、カフェインによるCa2+遮断が、IPRを通じたCa2+放出の遮断によって起こることを示す。つまり、カフェインによるCa2+遮断は、Ca2+枯渇または、TRPC(transient receptor potential ion channels)を通じたカルシウム流入の遮断によらない。むしろ、Ca2+遮断はIPRを遮断することによって起こる。
[実施例7]
カフェイン誘導体の作用試験
カフェインのみならず、カフェイン類似体もカフェインと同等程度の活性、つまり、脳腫瘍細胞でのCa2+放出に対する阻害、およびCa2+シグナル伝達による細胞増殖、移動および浸潤阻害活性を有するかどうかを確認するために、いくつかのカフェイン類似体のCa2+放出に対する阻害活性を測定した。
まず、U178MG細胞(Emory Uni.)を10mMカフェインまたは10mM 7−エチルテオフィリンでそれぞれ処理した後、30μM TFLLRで処理した。細胞内Ca2+放出の挙動動態を測定して、図10a(カフェイン)および図10b(7−エチルテオフィリン)にそれぞれ示した。図10aおよび図10bで示すように、カフェイン処理によりTFLLR誘導性Ca2+放出が阻害されるが、その類似体である7−エチルテオフィリン処理によっては、このような阻害が見出されなかった。したがって、すべてのカフェイン類似体がカフェインと類似するCa2+遮断効果を示すのではないことが見出された。
カフェイン類似体中の有意な遮断効果を有する物質を探索するために、カフェインおよび10種類の代表的なカフェイン類似体について、Ca2+放出(%遮断)に対する遮断効果を測定した。結果を図10cに示す。エラーバーはSEMを示す。図10cから観測されるように、カフェイン以外の物質にも、ある程度のCa2+放出に対する遮断効果が見出された。このような物質には、7−イソプロピルテオフィリン、7−(β−ヒドロキシエチル)テオフィリン、キサンチン、テオフィリン、および1,7−ジメチル−3−イソブチルキサンチンが含まれる。これらの物質の中でも、7−(β−ヒドロキシエチル)テオフィリン、キサンチン、テオフィリン、および1,7−ジメチル−3−イソブチルキサンチンは、20%以上の優れた阻害効果を示し、特に1,7−ジメチル−3−イソブチルキサンチンは、50%以上の非常に優れた阻害効果を示した。
Ca2+シグナル経路に対する遺伝子のマイクロアレイ解析
本実施例で使用されたマイクロアレイ解析は次のような方法で行った。
8.1:全RNA抽出
全RNAは、10個の正常ヒト脳組織および27個の神経膠腫から、使用説明書に従ってTRIZOL(登録商標)試薬(Invitrogen社、英国)を用いて単離し、その後RNeasy mini kit(Qiagen社、Valencia、CA)で精製した。
8.2.RNA量、完全性(Integrity)および純度の評価
NanoDrop分光光度計(NanoDrop Technologies社、Wilmington、Delaware、米国)を用いて、OD260/280を測定し、全RNA量および純度を測定した。A260/280比率が>1.8であるものを、マイクロアレイ実験に使用可能なものと見なした。RNAの長さ分布および完全性は、Agilent Total RNA Nano chip assay(Agilent Technologies社、Palo Alto、CA)を用いる蛍光検出(Agilent Bioanalyzer 2100)によるキャピラリー電気泳動で、28Sおよび18S rRNAバンドの存在に対して評価した。理論上、28Sバンドの強度は、18Sバンドの強度の2倍にならなければならない。
8.3.マイクロアレイプラットフォーム
遺伝子発現解析は、Agilent Human 1A(V2)oligo microarry Kit(Agilent Technologies社、PaloAlto、CA)を用いて行った。マイクロアレイは各プローブ当り4個の複製配列(replicate)がアレイを横切って分布するように、つまり、4×20K Multiplexスライドフォーマットで設計した。4個の複製配列は、対照スポット(control spot)を含む、それぞれ20,000個以上の60塩基長のヒト遺伝子及び転写配列を含む。
8.4.RNA標識およびハイブリダイゼーション
オリゴマイクロアレイ解析に使用するための蛍光ラベル化cDNAは、アミノアルキル−UTP存在下でAmino allyl MessageAmpTM aRNA kit(Ambion Inc.,Texas)を使用して全RNAを増幅させた後、Cy3またはCy5染料(1色使用の場合はCy3染料)(AmershamPharmacia社、Uppsala、スウェーデン)を結合させて調製した。Agilent 60merオリゴマイクロアレイプロセシングプロトコルを使用して、回転ハイブリダイゼーション化オーブンで、65℃で17時間ハイブリダイゼーションを行った。プロトコルに従ってスライドを洗浄した後、GenePix 4000B アレイスキャナ(Axon Instruments社、Union City、CA)でスキャンした。
8.4.マイクロアレイデータ解析
スキャンされたイメージは、GenePix Pro 6.0 software(Axon Instruments社、Union City、CA)を用いて解析して、遺伝子発現比率を得た。変換されたデータはLOWESS回帰式[Cell Mol Life Sci.2007 Feb;64(4):458〜78]を用いて正常化し、その後GeneSpring GX 7.3ソフトウェアプログラム(Agilent Technologies Inc.米国)を用いて解析した。1色デフォルト正常化(チップあたり:平均または百分位数に正常化させる;遺伝子当たり:平均に正常化させる)と共に、GeneSpring GXは先ずそれぞれの実測強度値をチップの平均値で割った。その後、各値を、サンプルにわたる各遺伝子の平均値でさらに割って、最終正常化値を得た。
カルシウムイオンのシグナル経路に対する遺伝子のマイクロアレイ解析結果を、次の表1に示した。
Figure 2011510975
表1は、カフェインの標的として見出された、Ca2+に関与するシグナル伝達系に関連した遺伝子の発現程度(数字で表される)を反映する数値を示したものである。ITPR3、TRPC6、EGFR、F2R、PLCE1などの遺伝子発現レベルが、顕著に増加していることが観測された。

Claims (5)

  1. カフェイン、7−イソプロピルテオフィリン、7−(β−ヒドロキシエチル)テオフィリン、キサンチン、テオフィリン、及び1,7−ジメチル−3−イソブチルキサンチンからなる群より選択される1種以上またはこれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、脳腫瘍の予防用または治療用の組成物。
  2. 前記脳腫瘍は、神経膠腫、髄膜腫、脳下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、及び先天性脳腫瘍からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の脳腫瘍の予防用または治療用の組成物。
  3. 前記神経膠腫は、膠茅細胞腫である、請求項2に記載の脳腫瘍の予防用または治療用の組成物。
  4. 病変細胞のイノシトール−1,4,5−トリホスフェート受容体(IPR)のサブタイプ3(IPR3)の作用を選択的に遮断することによって、脳腫瘍の予防活性または治療活性を有する、請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の脳腫瘍の予防用または治療用の組成物。
  5. 請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の組成物を含む、脳腫瘍の予防用または改善用の機能性食品組成物。
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