JP2011509669A - 膜上で核酸を抽出及び精製する方法 - Google Patents

膜上で核酸を抽出及び精製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、液体又は気体媒体中に低濃度で存在する微生物の同定を可能にする、膜上の核酸を抽出及び検出するための方法並びにこの方法の実施を可能とする、塩化グアニジウム及び0.1と1%の間のN−ラウロイル−サルコシン(NLS)を含む新規溶解組成物に関する。

Description

本発明は、グアニジウム塩及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)の組み合わせを含む溶解組成物を用いて、膜上でろ過された微生物の極めて少数に適用することができる核酸を抽出する方法に関する。
この方法によって、ハイブリッド形成又は増幅による特異的な様式で検出するのに適した形態で前記微生物の核酸を収集することが可能となる。
今日、産業又は医学的活動の分野では、ますます厳しくなる基準を満たすために、水及び空気並びに使用又は拒絶される道具及び材料の微生物学的品質管理が必要とされる。
従って、迅速に且つ低コストで救済措置を講じることができるように、産業従事者及び保健機関は、微生物学のきょう雑を可能な限り素早く、自由に検出することができるツールを有する必要がある。
旧来、微生物学的モニタリングは寒天培地上で行われている。実施が簡単な培養のこの種類は、肉眼で細菌の計数を実施することを可能とする。培養のこの種類は、生きた微生物を保存することを可能とし、必要であれば、存在する様々な細菌の属又は種を確定する目的で、性質決定期間をもたらすことを可能とする。
これらの性質決定検査は、微生物中に含有される核酸を抽出すること及び当業者に公知の多数の連鎖反応技術(PCR:重合化連鎖反応又はLCR:連結連鎖反応)の1つによって、特異的な様式で前記核酸を増幅することから一般になる。
それにも関わらず、核酸の増幅による性質決定検査は信頼性の高い水準を有しているが、微生物を培養し、その核酸を抽出し、及びPCR技術を実施することからなる工程は実行に長時間を要する。
肉眼で見ることができるようにするために、微生物は少なくとも24時間培養しなければならず、メチロバクテリウム種(methylobacterium sp.)などの成長がより遅い微生物に関しては、又は細菌は環境条件によるストレスを受けるので、時には、さらに長時間培養しなければならない。
さらに、核酸の抽出は直接ゲロース上で実施することができず、これは、核酸を抽出する前に、微生物を取り除かなければならないことを意味する。この場合には、検出は定性的なものとなり、もはや定量的ではない。
固体支持体上に固定された核酸プローブを用いるハイブリッド形成技術を基礎とするラボオンチップ(lab−on−a−chip)装置の最近の開発により、微生物の性質決定工程のための時間の短縮が可能となり得る。しかしながら、これらの技術は、なお高価であり、核酸抽出及び転移工程から完全に免れるわけではない。
これらの条件下で、微生物の計数及び性質決定のためには、なお24時間以上を要することを考慮しなければならず、これは製品の品質の継続的なモニタリングが必要とされる産業状況においては長すぎる。
液体若しくは気体媒体中に又は表面上に存在する微生物の検出を加速するために、出願人(Millipore Corporation)は、Milliflex(R) Rapidという名称で販売されている、微生物を検出するための汎用的方法を数年間開発してきた。
この方法は、出願WO92−00145に記載されている。この方法は、液体又は空気を膜に通すことにより、溶液中に又は空気中に含有されている微生物が膜の表面に保持されることに存する。肉眼では見ることができないマイクロコロニーを形成するのに必要な時間、寒天培地と接触している膜の表面で微生物が培養される。次いで、アデノシン三リン酸(ATP)含有物を放出させるために、マイクロコロニーを形成している細胞を溶解する。放出されたATPは、ATP−生物発光によって生きた細胞を同定及び定量するためのマーカーとして使用される。ATPは、それによって光シグナルが得られる化学発光反応を生成する酵素への基質としての役割を果たし、次いで、適切なビデオインターフェース(例えば、LCDカメラ)を用いて検出される。画像へ形成される得られたシグナルは、寒天培地中、ペトリ皿の上で実施される標準的な計数法と類似の様式で、原位置(細菌が発育している膜上の場所)での視覚化を可能とする。このインターフェースは、分析される液体又は気体試料中に最初に存在する微生物の数を定量することも可能とする。
Milliflex(R)システム中での微生物の検出は、全ての生きた細胞中に含有される基質であるATP(アデノシン三リン酸)を使用するので、「汎用性」と称される。必要なきょう雑除去措置を短時間内に採ることができるように、関与する微生物がどのようなものであれ、この技術は、例えば、産業上の生産ライン上又はクリーンルーム中において、極めて低い濃度でさえ、迅速にきょう雑物の存在を検出することを可能とする。
しかしながら、現在、Milliflex(R)システムを用いて、検出される微生物の正体に関する信頼できる情報を平行して獲得することはできない。
しかし、この同定は、きょう雑の起源をより詳しく決定し、その解決策を確定するのに有用である。
この同定に対する主な障害は、Milliflex(R)システム中で実施されるATP−生物発光による検出が関与する微生物を破壊するという事実に存する。
実際、生物発光による検出のための反応の間、まず、微生物は、ATP分子を抽出するためにエタノールを基礎とする溶液を用いて処理され、次いで、生物発光試薬によって処理される。さらに、生物発光反応を実施するために、これら2つの工程の間に膜は乾燥される。これらの処理の結果、微生物が死滅し、これにより、標準的な性質決定試験(抗生物質耐性、代謝マーカー、グラム反応など)を実施するためのその後の培養ができなくなる。
従って、本発明者らは、本発明に従い、ハイブリッド形成による又は増幅による(特に、PCRによる)特異的検出に進むために、生物発光によって処理された微生物の核酸を回収することによって検出された微生物を性質決定することに着手した。
しかしながら、核酸の増幅又はハイブリッド形成の技術は、所望の検出反応へ確かに進むことができるほど十分に濃縮されたDNA又はRNAの精製試料を必要とする。
ろ過膜上で検出する特定の場合には、これらの核酸を回収する上での困難さは、特に、以下の事実のために非常に大きい。
−1つ又はそれ以上のマイクロコロニー(マイクロコロニーのそれぞれの1つは、少数の微生物(一般に、10未満の細胞)を含む。)の形態で膜の表面に微生物が分散される、及び
−抽出されるべき核酸を含有する細胞は乾燥され、さらに、ハイブリッド形成又はPCR反応の収率を阻害又は低減し得る因子及び塩で予め処理されている。
これらの制約は、膜上の溶液中に核酸を回収し、精製し、及び濃縮しなければならないことを意味する。
細胞中に含有される核酸を抽出し、精製し、及び濃縮するための多くの技術が従来技術存在し、核酸の性質(DNA又はRNA)に従って異なる。
これらの技術の大半は、溶解緩衝液による最初の処理、次いで、溶液中の核酸を沈降させる工程を必要とする。溶解緩衝液の目的は細胞膜を破裂させ、タンパク質を可溶化することであるのに対して、沈降は、核酸を溶液中の他の細胞構成成分から分離することを可能にする。
RNA(DNAより脆弱)を抽出するための最も通常の方法は、例えば、「フェノール−クロロホルム」法として知られる方法である。
この技術によれば、まず、変性剤−プロテイナーゼK混合物を含む溶解緩衝液と接触させて細胞を配置し、その目的は、細胞構成成分を解離させて、核酸を放出させることである。
使用される溶解緩衝液は、変性剤として、細胞溶解剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を、及びサルコシル、Tween(R)20又はNonidetP40などのプロテイナーゼKの活性化因子を一般に含む。
次いで、得られた細胞可溶化液中に含有される核酸は、強力な脱タンパク質剤であるフェノール及び有機溶媒であるクロロホルムの混合物を適用することによって、タンパク質から分離される。遠心後、核酸は有機相中に可溶化されるのに対して、タンパク質は水相と有機相の間の中間相に集められる。
水相を別の管の中に移した後、核酸は、クロロホルム−イソアミルアルコール混合物で処理される。この効果は、毒性産物のみならず、ポリメラーゼなどのある種の酵素の阻害剤でもあるという欠点を有する有機化合物であるフェノールの微量を除去することである。
次いで、沈殿剤(典型的には、−20℃で、溶解緩衝液の2.5倍容量の割合の無水エタノール又は0.7容量の割合のイソプロパノール)の添加によって、核酸を沈殿させる。
70%エタノール中の沈殿された核酸のその後の洗浄は、塩を除去するために不可欠である。
次いで、低イオン強度を有する緩衝液(一般に、Tris−EDTA緩衝液(10/1mM))中に沈殿を採取する。
フェノール/クロロホルム法は核酸抽出に関する標準法であるが、後者は、多数の工程を含み並びに注意して取り扱わなければならない揮発性且つ毒性の産物であるフェノール及びクロロホルムを使用するという欠点を有している。RNA分子より脆弱性が低いゲノムDNAを抽出したい場合、従って、4Mと6Mの間のチオシアン酸グアニジウム、10mMEDTA、2%と6%の間のNLS並びに50mMTris−HCl(中性pH)(いわゆる、改変クルード・スーザン法)を典型的に含む溶解緩衝液を使用する傾向がある[Chirgwin,J. et al.(1979)Isolation of biologicall active ribonucleic acid from sources enriched in ribonuclease,Biochem.18:5294−5299]。この種類の溶解緩衝液は、フェノール−クロロホルムを使用せずに、細胞可溶化液中へ直接核酸の沈殿を実施できるようにする[Jeanpierre,M.(1987)A rapid method for the purification of DNA from blood,Nucleic Acids Research15(22):9611]。
それにも関わらず、特に、水相のより大きな容量及び微生物の性質に応じて変動し得る細胞構成成分の負荷のために、これらの条件下で得られた核酸の品質及び反応の収率は一定しない。次いで、優れた品質のDNAを得るために、核酸の第二の沈殿を実施することが必要となり得る[De Nedjma,A.(2005)Principe de Biologie Moleculaire in Biologie Clinique,Elsevier & Masson]。
洗浄及び核酸の回収の工程を促進するために、ある種の技術は、シリカビーズを含有するミクロカラム又は同様の固体吸着相を使用する。しかしながら、吸着相上への核酸の沈殿の工程が同じく必要とされるので、原理は同じである。
上記技術は、核酸の少量の調製及び検出には適していない。実際、上述されているように、核酸が希釈されすぎている場合、核酸の沈殿はより無作為になり、精製法の間に核酸が失われる増大したリスクが存在する。
国際公開第92/00145号
Chirgwin,J.他、Isolation of biologicall active ribonucleic acid from sources enriched in ribonuclease,Biochem.18、1979年、pp.5294−5299 Jeanpierre,M.A rapid method for the purification of DNA from blood,Nucleic Acids Research15(22)、1987年、pp.9611 De Nedjma,A.、Principe de Biologie Moleculaire in Biologie Clinique,Elsevier & Masson、2005年
従って、本発明の目的は、その後、微生物の性質決定を実施するために、微生物の少数から核酸(DNA及びRNAの両方)を調製するための単純で、迅速及び効果的な方法を達成することである。
従って、本願は、細胞が塩化グアニジウム及びNLSの限定量を用いて溶液中で処理される、例えば、膜上でろ過された細胞に適用することが可能なゲノムDNAの抽出及び精製法を開示する。この方法によれば、沈殿工程へ継続することなく、核酸は膜上で精製され、膜によって保持されたDNAは、ハイブリッド形成による又はPCRによる検出に適した形態で純粋な又は緩衝化された水の一定容量中に回収される。
驚くべきことに、溶解組成物中に通常見出される濃度よりずっと低い、組成物中のNLSの低濃度を用いて最良の検出結果が本発明者らによって得られた。特に、この低い濃度では、NLSは精製工程の間の膜の目詰まりに伴う問題を回避することを可能にし、方法の最後での核酸の回収も容易にすることが特に注目された。
本発明は、より具体的には、最大Milliflex(R)Rapidシステムの1CFUまでを検出閾値として、膜上にろ過された微生物の極めて少数をPCRによって性質決定することを目的として実施された。しかしながら、本発明は、特に、関与する細胞の種類が何であれ、ハイブリッド形成又は増幅反応を実施する目的で、核酸を調製するための膜微生物の状況外で適用することが可能である。得られた核酸調製物は、例えば、PCR反応又はLAMPタイプの等温増幅反応を実施するために、又はNASBA若しくはTMAタイプの増幅などのRNA分子を含む反応を実施するために(RNA配列は、逆転写工程により、DNAへ転写され得ることが理解される。)使用することが可能である。
以下の図面は、本願に記載されている本発明の実施例の結果を示す。
PCRによる微生物の検出のために使用された溶解組成物1から7の有効性の比較。全ての事例で、DNAは、(Microcon(R))遠心管中に含有されるセルロース膜上で精製された後、対応する溶解組成物によって細胞を処理した。実験は、培養物上に試料として採取された新鮮な細胞(懸濁物中の細胞)、PVDFろ過膜上に試料として採取された新鮮な細胞又は(Milliflex(R)Rapid法に従う)ATP−生物発光での処理後にPVDF膜上に試料として採取された細胞に対して行った。PCR阻害対照のために、純粋なDNAを溶解組成物中に導入し、次いで、他の調製物の場合と同様に、膜上で精製した。組成物は、実験当り少なくとも2回検査した。検出された細胞は、イー・コリ細菌である。PCRの結果は、増幅の再現性と強度を示す写真の形態で与えられている。+:正の増幅;−負の増幅、1/2:再現性なし;ND;実施せず;NA:膜上で負の結果。 シー・アルビカンス及びエス・セレビシアエ酵母に関する、本発明の核酸抽出及び検出法の検査結果。アガロースゲルは、PCRによる増幅の優れた再現性を示す。ウェルには、左から右に番号が付されている。1:陽性PCR対照(シー・アルビカンスの純粋なDNA)、2から6(上のゲル)又は2から5(下のゲル):異なる試料を検査した;7(第一のゲル)又は6(第二のゲル);1000塩基対プラスラダー。PCR反応は汎用プライマーを用いて実施され、単細胞性真菌を検出することを可能にする。中央には、PCR検査された各試料に対して実施されたATP−生物発光による汎用検出から得られた膜の合成画像が示されている。 (A)グラム陽性細菌エス・オーレウス(S.aureus)、エス・エピデルミディス(S.epidermidis)、ビー・スブチリス(B.subtilis)、(B)グラム陰性細菌ピー・アエルギノサ(aeruginosa)、イー・コリ(E.coli)、エス・エンテリカ(S.enterica)のゲノムDNAに関する、本発明の核酸抽出及び検出法の検査結果。アガロースゲルのウェルには、左から右に番号が付されている。1:陽性PCR対照、2から4:グラム陽性又はグラム陰性細菌に対して共通のプライマーを用いて、3つの独立した試料に対して実施されたPCR;5:100塩基対プラスラダー。中央には、PCR検査された各試料に対して実施されたATP−生物発光による汎用検出から得られた膜の合成画像が示されている。 イー・コリとエス・エピデルミスの混合物を含む細胞の集団のゲノムDNAに関する、本発明の核酸抽出及び検出法の検査結果。A:ATP−生物発光に続く、Milliflex(R)法による、3つの集団中の細胞の混合物の計数。B:アガロースゲル上で可視化された、本発明のPCR増幅による検出。1:PCR陽性対照;2から4:3つの集団の各々に対して実施されたPCR;5:陰性対照;6:100塩基対プラスラダー。第一の系列:イー・コリ及びエス・エピデルミスに対して、汎用プライマーを用いて行われたPCR;第二の系列:イー・コリに対して、特異的プライマーを用いて行われたPCR;第三の系列:エス・エピデルミスに対して、特異的なプライマーを用いて行われたPCR;第四の系列:ビー・スブチリスに対して、特異的なプライマーを用いて行われたPCR。 本発明に従う、ATP−生物発光(Milliflex Rapid(R))による、次いで、PCR及び微少配列決定による検出。A:エス・エピデルミディスの13CFU及びビー・スブチリスの9CFUの計数。B:A.の膜に対して検出されたものと同じエス・エピデルミス及びビー・スブチリスの細胞から精製されたゲノムDNAの抽出物に対して実施されたPCR増幅の産物のゲル上での可視化。Bで可視化された増幅産物に対して実施された微少配列決定の結果。 本発明の単細胞真菌及び細菌のPCR検出に関連する感度検査の結果。本発明の方法に従って、まず、生物発光によって1CFUに対応するゲノムDNAを検出し、抽出し、次いで、PCRによって検出する。A:細菌に対して特異的な汎用プライマーを用いて、細菌試料(イー・コリ)に対して得られたPCRの陽性結果。B:単細胞性真菌(エス・セレビシアエ)の3つの異なる試料に対して得られたPCRの陽性結果。 グラム陽性細菌ピー・アクネスのATP生物発光及びPCRによる検出。A:5及び6CFUで検出された細菌の数の評価を可能にする、3つの試料中でのATP生物発光による検出の結果。B:本発明の抽出法によって、これら3つの試料からそれぞれ抽出された核酸調製物を用いて得られたPCRの陽性結果。 本発明に従って、シュードモナス・アエルギノサから抽出された2つの核酸調製物中に含有されるRNAのTMAによる増幅から得られたRNA増幅断片のリアルタイム蓄積特性。調製物は、それぞれ、約30及び300CFUの細菌の数に相当する。
従って、本発明の主題は、液体若しくは気体媒体中に低濃度で存在する又は表面上に存在する微生物の同定を可能にする、膜上の核酸を抽出及び検出するための方法である。
本発明の方法は、より具体的には、膜を通して液体若しくは気体試料をろ過することによる、又は微生物を含有し若しくは含むことができる媒体若しくは表面と前記膜を接触させて配置することによる、膜上に転移された微生物の検出に関する。本発明は、より具体的には、膜の表面に分散された細菌の同定という問題を解決することを目的とする。
本発明の方法は、例えば、Milliflexs迅速法において使用されるATP生物発光などの非特異的方法を用いて、膜上で予め検出されている微生物の同定に特に適している。
本発明の方法は、生きた又は死んだ細胞の少数の核酸を抽出及び精製することからなる。本発明の方法は、迅速且つ効果的な様式で核酸を抽出することが求められているあらゆる細胞に対して、膜上の微生物の検出という状況外において適用することができる。この方法は、RNA及び/又はDNA核酸の性質決定のために必要なハイブリッド形成又は精製反応を生成するのに適した形態で、RNA及び/又はDNA核酸を得るために特に有用である。
この方法は、その間に以下の工程を含む。
a)細胞を溶解し、及び細胞が含有する核酸を放出するために、溶液中において、塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)で細胞を処理し;
b)ろ過によって得られた細胞可溶化液の膜を通したろ過によって、得られた細胞可溶化液から核酸を分離し;
c)前記膜によって保持された核酸を、水中の溶液又は弱くイオン化された水溶液中に回収する。
本明細書において、「細胞」は、膜によって区切られた細胞質を含み及び核酸の形態で遺伝物質を含有する小さなサイズの生物学的物体として定義される。
本発明の意味の中で、「微生物」は、微視的サイズ、すなわち、藻類、単細胞真菌、原生生物、mycete 細菌又は配偶子などの、代謝及び生殖能力を有する0.5と5ミクロンの間に含まれるサイズを有する細胞を意味する。
求められる微生物は、より具体的には、病原性細菌、シュードモナス(Pseudomonas)、エシェリヒア(Escherichia)、レジオネラ(Legionella)、サルモネラ(Salmonella)、リステリア(Listeria)、バチルス(Bacillus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ビブリオ(Vibrio)、エルシニア(Yersinia)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)、シゲラ(Shigella)、クロストリジウム(Clostridium)、カンピロバクター(Campylobacter)又はエアロモナス(Aeromonas)属のグラム陽性又はグラム陰性細菌、ギアルディア(Giardia)、エンタモエバ(Entamoeba)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、シクロスポラ(Cyclospora)属の原生生物;マイコプラズマ(Mycoplasma)及びウレアプラズマ(Ureaplasma)属のマイコプラズマ、サッカロミセス(Saccharomyces)、アスペルギルス(Aspergillus)、カンジダ(Candida)又はペニシリウム(Penicillium)属の真菌である。
塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシンによる工程a)中の細胞の処理は、これらの化合物の一方及びその後他方によって又は同時にさえ実施することができる。本発明の好ましい態様によれば、処理は、組成物の総重量の0.1と1%の間に含まれるNLS濃度を含む溶解組成物を用いて実施される。
塩化グアニジウムは、溶解剤として使用されるカオトロピック剤である。塩化グアニジウムは、タンパク質、特に膜タンパク質を変性させ、及び浸透圧ショックを生成するという二重の効果を有する。塩化グアニジウムは、1L当り3モルと8モルの間、より好ましくは、溶解組成物1L当り4モルと6モルの間に含まれる濃度で一般に使用される。
N−ラウロイル−サルコシン(サルコシルNL−97又はNLS)は、N−メチル−N−(1−オキソドデシル)グリシン(C1528NONa))のナトリウム塩である。この分子は、タンパク質、特に膜タンパク質を可溶化するために、数モル/Lの桁の濃度で、プロテイナーゼKと組み合わせて、溶解緩衝液中でしばしば使用される変性剤である。
本発明によれば、NLSは、溶解剤として、又は少なくとも主に溶解剤として使用されない。実際、本発明によれば、NLSは、溶解組成物の最終重量の0.1と1%の間、より好ましくは、0.1と0.5%の間に含まれる濃度で、すなわち、細胞溶解に対する効果が限定される濃度で好ましく使用される。
本特許出願の実施例に示されているように(特に、図1の結果参照)、この濃度でNLSを添加することによって、特に上記方法の工程b)及びc)の抽出及び精製収率を改善し、その結果、その後、得られた核酸調製物を用いて実施することができる微生物の性質決定を改善することが可能となる。
NLSは、タンパク質中のほぼ全ての非共有的相互作用を変性させ、タンパク質を可溶化する傾向を有する陰イオン性変性剤である。陰イオン性界面活性剤である。理論に拘泥するものではないが、本発明者らは、NLSが膜を通した細胞可溶化液のろ過の間のDNAとタンパク質の分離及びその後のDNAの濯ぎを促進すると考える。
本明細書では、「細胞可溶化液」によって、工程a)での処理が完了時に、溶解組成物を加えた溶液中の溶解された細胞を意味する。
好ましくは、本発明の溶解組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の0.1及び1mmol・L−1の間も含む。EDTAは、数多くの酵素、特に、PCR反応中のポリメラーゼの活性を阻害することができる物質として認識されているが、EDTAの存在により、グラム陰性微生物のみならず、グラム陽性微生物の溶解を改善することが可能となることが、本発明者らによって実施された実験において発見された。原理的に、EDTAは、二価イオンを封鎖することによって、細菌の膜を不安定化させることができる。
本願において、「膜」は、その孔が既知の平均直径を有する2つの表面を有する合成支持体を表す。このような膜は、高い表面/容積比を有する。膜の厚さは、一般に、90と200ミクロンの間で一定である。
このような膜は、単一層又は複数層であり得る。このような膜は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、アセチルセルロース及びニトロセルロースから選択される1つ又はそれ以上の材料から一般に構成される。
本発明のDNA抽出法の工程b)において指定される膜は、一般に、限外ろ過膜(すなわち、3,000と100,000ダルトンの間、好ましくは、50,000と100,000ダルトンの間の分子量名目限界値を有する膜)と称されるセルロース製の膜である。膜のこの種類の例は、microcon(R)遠心管(Millipore Corporation)とともに提供される膜である。
本発明によれば、細胞可溶化液からの核酸の分離は、陰性又は陽性の圧力の影響下で、膜を通じて実施される。例として、可溶化液の通過は、真空ポンプを用いて、膜の表面の1つの上に対する低い圧力によって実施され得る。これは、遠心の影響下において、すなわち、膜の表面における細胞可溶化液へ遠心力を負荷することによって活性化することもできる。遠心効果は、遠心装置中に配置された遠心管などの支持体上に膜を配置することによって一般に得られる。
さらに、本発明は、前記方法の工程b)とc)の間で、水又は弱くイオン化された水溶液などの洗浄溶液を用いて、膜によって保持された核酸を洗浄する工程を実施できることを提供する。洗浄溶液は、膜を通過した後に除去される。
工程c)では、核酸は、工程b)で与えられる方向又は上記さらなる洗浄工程の方向と反対方向に、膜を通して水又は弱くイオン化された水溶液を通過させることによって容易に回収することができる。工程c)が陰圧若しくは陽圧の負荷によって又は遠心によって促進される場合には、必要とされるのは、元の方向とは反対の方向に膜がその上に固定されている支持体を配置し、及び膜の表面上に弱くイオン化された溶液の滴を配置することだけである。
圧力又は遠心力によって発揮される力は、膜の孔に水を強制的に通過させ、膜から核酸を放出させる。次いで、遠心管の底に投入された水の滴の中に核酸を集める。
この場合には、弱くイオン化されたとは、リットル当りのその塩中の濃度が10−2モル/L、より好ましくは、5.10−3モル/L未満である溶液を表す。
より具体的には、本発明は、以下の工程を含むことを特徴とする、液体又は気体媒体中の1つ又はそれ以上の細胞を検出するための方法に関する。
a)試料中に含有される細胞を膜上に保持するために、膜を通して液体又は気体媒体の試料をろ過する工程;
b)前記細胞から放出された核酸を含有する細胞可溶化液を得るために、溶液中の塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)で、工程a)において保持された細胞を処理する工程;
c)前記膜を通した又は別の膜を通した前記可溶化液のろ過によって、工程b)において得られた細胞可溶化液の核酸を分離する工程;
d)工程c)において膜によって保持された核酸を、水の中又は弱くイオン化された水溶液中に回収する工程;
e)工程d)において回収された核酸を検出する工程。
好ましくは、前記検出方法の工程b)からd)は、本発明に係る核酸の抽出及び精製方法、すなわち、上記方法の工程a)からc)に従って実施される工程に対応する。
検出方法の目的は、細胞の正体を可能な限り決定しながら(科、属、種など)、細胞、より具体的には、水などの液体媒体又は空気などの気体媒体中に存在する微生物を計数することである。
液体又は気体媒体は、0.1と1.5ミクロンの間、好ましくは0.15と0.8ミクロンの間、より好ましくは0.2と0.6ミクロンの間に一般に含まれる平均直径の孔を有する膜を横切って圧力差を付与することによってろ過され得るあらゆる流体を表す。このような流体は、無菌製品の製造の一部を形成する純粋な溶液のみならず、複雑な溶液(携帯水、血清、尿、羊水など)又は大気などの気体混合物からもなり得る。
本発明は、動物又は患者を起源とする試料を分析するための診断薬の分野にも適用され得る。
検出法の工程a)において、細胞転移は、いわゆるろ過膜(すなわち、液体又は気体媒体に対して透過性であるが、その平均孔径が対象細胞又は微生物の少なくとも80%、好ましくは90%を保持することができる膜)上で一般に実施される。好ましくは、この膜は、PVDF(ポリビニリデンフルオリド)、セルロース又はポリエチレンスルホンから主として構成される。より好ましくは、膜は、Milliflexの商品名及びMXHVWP124又はRMHVMFX24参照記号でMillipore社によって販売されている種類のPVDF製のフィルター膜である。
本発明の好ましい態様によれば、工程c)において溶解組成物の核酸を分離するために使用される膜は、工程a)において使用される膜とは異なる。さらに、工程a)において使用される膜は、前記膜によって保持された細胞又は微生物が工程a)とb)の間でその表面上で増殖できるように、栄養素培地と接触して配置することができる。次いで、栄養素培地は一般にゲロース培地であり、その栄養素は毛細管作用によって細胞に達する。膜の表面上で増殖しながら、マイクロコロニーへの細胞の形成が起こる。
Milliflex技術のためにも提供されるように、膜上の微生物の計数を可能とする検出工程は、例えば、工程a)と工程b)の間に細胞からATPを抽出することによって、並びにルシフェリン及びルシフェラーゼを含む生物発光試薬とこのATPを反応させることによって、工程b)における細胞溶解の前に予め実施することができる。
本発明によれば、抽出された核酸はRNA及びDNA,特に、メッセンジャー及びリボソームRNA並びにゲノムDNAによって構成される。本発明の方法は、本発明の方法によって細胞から抽出されたRNA及びDNAを使用することができるという利点を有する。
工程e)における核酸の検出は、特異的に印を付すことができるプライマー又はプローブを用いて、工程d)において回収された核酸の全部又は一部の特異的なハイブリッド形成によって好ましく実施される。
本発明によれば、プローブとは、上記核酸のカテゴリーの1つを認識し、これと組み合わされて、核酸のマーク付けを可能とする高分子を意味する。
本発明によれば、プライマーとは、核酸の増幅反応を開始するために、上記核酸のカテゴリーの1つを認識し、これと組み合わされることができる高分子を意味する。
一般に、使用されるプローブ又はプライマーは、特異性のある程度で、抽出された核酸の間に存在するDNA又はRNA配列とハイブリッド形成することができる高分子である。本発明は、例えば、単純なオリゴヌクレオチド、2’O−メチル−RNA型のオリゴヌクレオチド、PNA型のプローブ又はプライマー(プリン及びピリミジン塩基によって置換されたポリペプチド鎖によって構成されるプローブ)[Nielsen P.E. et al.Science(1991)254:1497−1500]又は欧州特許1013661号に記載されているようなLNA(2’−O−4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシルの1つ又はそれ以上の単量体を含むオリゴヌクレオチド)など、核酸との特異的なハイブリッド形成を生じることができる当業者に公知のプローブ又はプライマーのあらゆる種類を想定する。
増幅反応とは、標準的な方法によって(例えば、アガロースゲル又はアクリルアミド上でのクロマトグラフィー、微小配列決定又は蛍光によって)、その存在を検出することができる高分子を前記核酸から合成することを可能にする酵素反応を表す。
従って、本発明の方法は、PCR(重合化連鎖反応;Polymerization Chain Reaction)又は例えば、NASP型[Compton,J.,Nature(1991)350:91−92]、TMA又はLAMP型[Notomi T.,Nucleic Acids Research(2000)、28(12):e63]の増幅など、当業者に周知の技術に従って等温的に実施される増幅反応などの当業者に公知の技術の1つによって、工程d)において回収された核酸の全部又は一部を増幅する工程を工程e)の中に含むことができる。
このような増幅は、検出の目的に利用可能な核酸の量を増加させることにより、微生物の最適な検出に有用であることが判明し得る。増幅のこの工程が高度に特異的であれば、微生物をより高い選択性で同定することがさらに可能になる。
本発明の方法に従って得られた核酸調製物は、増幅によって核酸の検出を実施するのに特に適している。
本発明の主題は、以下を含むことを特徴とする、核酸を抽出するためのキットでもある。
−膜、好ましくは、セルロース又はPVDF製の膜
−既述されている溶解組成物。
有利なことに、このキットは、特にハイブリッド形成によって又はPCRによって、抽出された核酸の検出を実施するための1つ又はそれ以上の特異的なプローブ又はプライマーをさらに含む。場合によって、このキットは、液体又は気体媒体をろ過するための第二の膜も含み得る。このキットによって、本発明の方法を実施することが可能となる。
このようなキットは、DNAを抽出及び精製し、その後、先述されている条件下で細胞又は微生物を同定する方法を実施するのに特に有用である。
以下の実施例は、一切の限定を課することなく、本発明の説明を補完することを意図する。
実施例
材料と方法
検査された微生物
本明細書の以下に記載されている検出試験において使用される微生物は、アメリカの微生物収集所ATCCから得られた。株の参照番号は、表1に与えられている。
Figure 2011509669
これらの株は、適切な培地(Sigma、refC6039)中において、−80℃に保たれた。次いで、必要とされる密度を得るために、これらの株を培養し、ペプトンを基礎とする培地(Biomerieux、ref.42111)中に希釈した。
総微生物叢の計数
2つの方法に従って、微生物を計数した。
1−ゲロース培地上での計数法:
希釈された培養物100μLが接種されたゲロース培地を含有するペトリ皿を、細菌については35℃+/−2.5℃で24から48時間、酵母及びカビについては25℃+/−2.5℃で48から72時間温置する。接種のために使用した希釈された培養物の濃度を測定するために3つの異なる皿の上で、コロニーを視覚的に計数する。
2−ろ過による方法:
セルロース製の膜(MCE)(Millipore,ref.MXHAWG124)又はポリビニリデンフルオリド(PVDF)(Millipore,ref.RMHVWP124)製の膜(Millipore,ref.RMHVWP124)(その平均孔径は0.45μmである。)上で希釈された培養物の同じ100μLをろ過するために、Milliporeによって販売されているMilliflex(R)システムを伴った装置及び消耗品を使用した。無菌条件下で、以下の操作に従う。
1.0.9%NaClを含む無菌溶液50mLを漏斗に配置する。
2.次いで、希釈された培養物100μLを添加する。
3.均一化のために0.9%NaClを含む無菌溶液50mLをさらに添加する。
4.セルロース膜を通して真空ポンプを用いて、ろ過を実施し、ゲロース媒体カセット上に膜を移す。
5.ATP生物発光(迅速な微生物学)によって計数するために数時間又は肉眼で計数するために1若しくは2日間、膜の上で微生物を発育させる。
次いで、ATP生物発光技術を用いて、PVDF膜上に発育するマイクロコロニーを検出するために、自動化された迅速検出システム(Milliflex Rapid Microbiology Detection system)を使用する。この技術は、細胞のATPを放出するための溶解試薬及び反応基質としてATPを使用するルシフェラーゼ及びルシフェリンを含む生物発光試薬を使用する。適切なスプレー(Milliflex Rapid Autospray Station;Millipore,ref.MXRP SPRKT)を使用することによって、試薬のそれぞれの35μLを噴霧することによって、膜を処理する。ソフトウェアによって管理されるインターフェースに接続されたCCDカメラによって、ATPと生物発光試薬の間の反応によって生成される光子を暗室で検出し、膜を合成画像として再構築できるようにする(Milliflex Rapid software v3.0)。測定される最小ATP濃度は200アットモルである(すなわち、1つの酵母から又は100個の細菌から抽出されるATPの量に等しい。)。
Milliflex膜の表面に含有される核酸の抽出
点1.2での上記生物発光検出工程後にPVDF膜上に存在する細胞を溶解緩衝液中に採取する。幾つかの溶解緩衝液を検査した。これらの緩衝液は、SIGMA社によって販売されている製品の1つ又はそれ以上から調合され、以下から、異なる濃度で選択された。チオシアン酸グアニジウム(Ref.50980)、塩酸グアニジム(Ref.G9284)、TrisEDTA緩衝液(Ref.86377)、TritonX100(Ref.T8787)、Tween20(Ref.P−7949)及びN−ラウロイルサルコシン(Ref.L7414)。
溶解プロトコールは、以下のとおりである。
1.注射器を用いて溶解組成物の1から1.5mLがその内部に注入される密封されたユニットを形成するように、Milliflex膜をカセット(refMilliporeカタログ番号MPRBLB100)の上に配置する。
2.10から12rpmで、穏やかな撹拌下において、55℃で1時間、溶解組成物と接触させて膜を維持する。
3.注射器を用いて、細胞可溶化液を回収する。
核酸の精製
2つの方法を使用した。イソプロピルアルコール(IPA、Sigma ref.I9030)による核酸の沈降、次いで、エタノール(Prolabo、ref.20 824.365)での処理を基礎とする標準的な方法(いわゆる、「改変クルード・スーザン」法)。本発明者らが改変したこの方法に従って、プロテイナーゼKの不存在下において、以下のものを含む溶解組成物で細胞を処理する。
チオシアン酸グアニジウム 4M
NLS 2%
Tris、pH=7.6 50mM
EDTA 10mM
β−メルカプトエタノール 1%
このようにして処理された細胞可溶化液に、等容量の(volume for volume)イソプロピルアルコールを添加する。得られた混合物を、15℃で、13200rpmで30分間遠心する。次いで、遠心管から上清を除去し、沈殿によって形成されたペレットを70%のエタノール400μLで濯ぎ、次いで、15℃で、13200rpmで10分間、再度遠心した。上清を廃棄し、ペレットを周囲温度で20分間乾燥させる。最後に、核酸沈殿物を純水50μL中に溶解する。
本発明の他の方法は、遠心管中に装着された限外ろ過膜を使用することからなる。膜のこの種類は、Microcon(R)フィルター(Millipore、ref.42413)の商品名で入手することができる。Microcon(R)フィルターは、再生されたセルロース膜を含有し、その孔は100,000Da(MWCO)未満の名目分子量の分子の通過を可能とする。この消耗品は、500μLの収容量を有している。
核酸精製プロトコールは、以下のとおりである。
1.細胞可溶化液500μLをフィルター中の膜上に配置し、フィルターを周囲温度で25から30分間、500×gでの遠心に供する。
2.膜を通過した細胞可溶化液を廃棄する。
3.55℃で精製水(MilliQ)450μLの容量をフィルター中の膜上に配置する。
4.周囲温度にて、500×gで20分間の遠心に、フィルターを再度供する。
5.膜を通過した水を廃棄する。
6.4及び5と同じ操作を繰り返す。
7.膜の表面上に残存する水の容積を50μLに調整する。
8.フィルターを数秒間渦巻き撹拌する。
9.フィルターをひっくり返し、新しい1.5mL遠心管中に配置する。
10.フィルターを1,000×gで3分間遠心する。
11.1.5mLの管中に存在する水溶液中に、核酸を回収する。
膜はこれらの操作の間に乾燥しないことが推奨される。
PCRによるDNAの増幅
製造業者の指示書に従って、QiagenPCRキット(Ref.201223)を用いて、PCR増幅を行った。使用される試薬の容量は、表2に示されている。Eurogentecによって製造されたプライマーの配列及びそのハイブリッド形成温度が表3に示されている。
Figure 2011509669
Figure 2011509669
Bact−F及びBact−Rに対するPCR条件は、以下のとおりである。
(細菌に対する汎用性検出)
−95℃5分間、1サイクル
−35サイクル
(94℃30秒間、52℃40秒間、72℃1分10秒間);
−72℃で20分間、1サイクル
YM−F及びYM−Rに対するPCR条件は、以下のとおりである。
(酵母に対する汎用性検出)
−95℃5分間、1サイクル
−35サイクル
(94℃1分間、52℃1分間、72℃1分間);
−72℃で20分間、1サイクル
イー・コリ(E.coli)、ビー・スブチリス(B.subtilis)及びエス・エピデルミディス(S.epidermidis)の特異的な共通の検出に対するPCR条件は、以下のとおりである。
−95℃5分間、1サイクル
−35サイクル
(94℃1分間、それぞれ、62℃/60℃/64℃40秒間、72℃1分10秒間);
−72℃で20分間、1サイクル
特異的な入れ子式PCR(nested PCR)検出に対するPCR条件:
−95℃5分間、1サイクル
−35サイクル
(94℃1分間、60℃40秒間、72℃1分10秒間);
−72℃で20分間、1サイクル
既知の大きさのDNAラダー(Gel Pilot1Kb又は100bp Pluse Ladder、Qiagen、Ref.239045)との比較によって、PCR産物をアガロースゲル上で分析する。
結果
膜上で精製されたDNAの量及び品質に対する溶解組成物の影響
第一のアプローチは、例えば、Qiagen(R)又はDynal(R)から得られるキットなどの市販のキットを使用することからなった。しかしながら、それらの使用は、アガロースゲル上で検出可能なPCRによる増幅を可能とするために、ろ過膜の表面に保持された微生物から核酸の十分な量を精製することを可能にしなかった(Milliflex Rapidシステムによって検出可能なマイクロコロニー中に含有される細胞の数は、100から1000の細菌細胞に対応する。)。
第二のアプローチは、その処方として以下のものを有する溶解組成物を使用することからなった。
−チオシアン酸グアニジン4M、
−Tris50mM
−EDTA25mM
微生物の異なる株上でこの組成物を検査し、次いで、2つの方法に従って、ゲノムDNAを精製した。
−改変クルード・スーザン法に従う沈殿、又は
−セルロース膜上でのろ過による
改変クルード・スーザン法に従って得られた結果は、結果の再現性が低いために、失望するものであることが判明した。PCR増幅は、おそらくは沈殿工程の間に遺伝物質が失われるために、調製物ごとに強度が変動した。
Microcon(R)膜上での精製に関しては、明白に高すぎたチオシアン酸グアニジウム濃度(4M)のために、溶解組成物がセルロース膜に孔を開けたので、これは失敗であった。
得られた結果のため、チオシアン酸グアニジウムは、これ以降、再び使用しなかった。
第三のアプローチは、塩化グアニジウム(GHCl)を含む一連の組成物を調製し、検査することからなった。これらの組成物の幾つか及びEDTAに、変性剤(Tween、Triton、NLS)を添加した。細菌イー・コリ(グラム陰性)の細胞に対して、これらの組成物を独立して2回検査した。ゲノムDNAの抽出は、希釈された培養物を起源とする新鮮な細胞又は膜上のろ過後のマイクロコロニーに起因する新鮮な細胞又は膜上でろ過され、次いで、Milliflex(R)法に従って、生物発光によって処理されたマイクロコロニー、すなわち死んだ細胞の何れかから開始して実行した。全ての事例で、細胞可溶化液中のゲノムDNA含有物は、Microncon(R)セルロース膜上で精製し、次いで、いわゆる汎用プライマーを用いて、PCRによって増幅した。
組成物1
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 1mM
組成物2
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 1mM
TritonX100 最終1%
組成物3
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 1mM
Tween20 最終1%
組成物4
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 1mM
N−ラウロイル−サルコシン(NLS) 最終1%
組成物5
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 1mM
N−ラウロイル−サルコシン(NLS) 最終0.5%
組成物6
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 0.5mM
N−ラウロイル−サルコシン(NLS) 最終1%
組成物7
塩化グアニジウム 6M
Tris 10mM
EDTA 0.5mM
N−ラウロイル−サルコシン(NLS) 最終0.5%
増幅の結果は、図1中の表に示されている。PCRに対する溶解組成物の阻害効果を検査するために使用される対照(PCR阻害対照)は、膜上での精製前に、純粋な細菌DNAがその中に導入された試料を起源とする。これらの結果は、組成物7のみが、膜上にろ過された細胞に関して、満足できる及び再現性のある結果を得ることを可能にすることを示している。これは、予め生物発光によって処理された又は処理されていない(すなわち、細胞溶解の時点で生きている又は死んでいる。)、10と100の間から構成される多数の細胞に対して確認される。これらの実験は、膜上でのDNA精製及びPCRによるその増幅の有効性に対する溶解組成物の著しい影響を示す。
検出の汎用性、特異性及び感度
本発明の方法の特異性及び汎用性を確認するために、上記溶解組成物7番を用いて開発されたゲノムDNAを抽出及び検出するためのプロトコールを、様々な微生物(カビ、酵母、グラム陽性及びグラム細菌)に対して適用した。
汎用性
得られた検出結果は、図2及び3A及び3Bに記されている。
これらの結果は、汎用PCRプライマーの使用によって、シグナル増幅の同等のレベルで、全ての検査された微生物の検出を取得できることを示している。
細菌プロピオニバクテリウム・アクネスATCC6919の核酸(39時間、32.5℃で、嫌気的にTSA培地上で温置された5と6CFUの間)を同じ方法に従って抽出した。核酸のこの調製物中に含有されるDNAは、オリゴヌクレオチドBact−F及びBact−Rを用いて(これによって、細菌の汎用検出が可能となる。)、上に記載されているのと同じ様式で、PCRによって増幅された。検査された3つの核酸調製物に対する増幅の結果が、図7に示されている。
特異性
特に、細胞の数個の種類が混合物中に存在する場合に検出の特異性を確認するために、以下の微生物:ビー・スブチリスATCC6633、エス・エピデルミディスATCC14990及びイー・コリATCC25922の特異的な内部プライマーを使用するPCRを実施した。
これらの3つの細菌種を含む細胞の集団をこのようにして調製し、次いで、Milliflex Rapid(R)システムの膜上にろ過し、ATP生物発光による検出を可能にした。3つの異なる細胞試料に対するATP−生物発光による検出の結果が、図4に示されている。次いで、本発明の溶解組成物(組成物7番)で細胞を処理し、細胞のゲノムDNAを先述されているようにセルロース膜上で精製した。汎用プライマー及び特異的なプライマーの各対を用いるPCRによって得られた結果が、図4Bに示されている。
別の実験では、2つの細胞培養物(一方はビー・スブチリスATCC6633及び他方はエス・エピデルミディスATCC14990)を、先述されているMilliflex Rapid(R)検出プロトコールに従って処理した(図5Aの結果)。次いで、前記溶解組成物7番を使用することによって、細菌のDNAを膜の上で抽出及び精製し、次いで、汎用プライマーを使用するPCRによって増幅した(図5Bの結果)。
次いで、増幅産物を微小配列決定に供した。微小配列決定の結果(図5C)は、増幅産物の100%が培養中の微生物に対応することを示している。
検出感度
本発明の方法の検出閾値を測定するために、細菌イー・コリ及び酵母エス・セレビシアエの1CFUを別々の膜上に配置した。Milliflex Rapidシステムを用いて、ATP生物発光によって膜を計数し、次いで、先述されているように、ゲノムDNAを抽出及び増幅した。
図6に示されている結果は、1CFUによって表される少ない細胞数が、PCRに続く本発明のDNA抽出法によって増幅できることを示している。この感度は、細菌及び酵母の両方に対して達成される。
核酸調製物中に含有されるRNAの検出
HPA法(ハイブリッド形成保護アッセイ)
前記方法に従って、プロピオニバクテリウム・アクネスの1.6.10から開始して調製された核酸調製物中に含有されるRNAを生物発光に続くHPA法によって検出した。
この方法は、Gen−Probe(R)(104574Rev.C)から得たMTC−NI RAPID DETECTION SYSTEMキットを用いて実施した。このキットにより、細胞溶解後に入手可能なピー・アクネスのリボソームRNAの濃度を定量することが可能になる。RNAの存在は、ハイブリッド形成期の間に、アクリジンエステルの分子を含む一本鎖DNAの保護を可能にする。次いで、過酸化物イオンを添加し、読み取りを行う。過酸化物イオンはアクリジンエステル分子と反応し、光子の放出を引き起こす。放出された光子の量は、最初に添加されたRNAの量に比例する。放出された光は照度計を用いて測定され、結果は相対光単位で与えられる。
表4は、本発明に従って、溶解組成物7番を用いて抽出された調製物に対して得られた結果を比較し、溶解組成物を用いて得られた調製物はMTC−NIキットとともに供給され、陰性及び陽性対照はMTC−NIキット中に供給されていた。
Figure 2011509669
これらの結果は、本発明の溶解組成物を用いて得られた核酸の調製物によって、MTC−NIキット中に供給された溶解組成物を用いて得られたものより優れた検出を得ることが可能となることを示している。
TMA増幅法(転写媒介増幅):
前記方法に従って、プロピオニバクテリウム・アクネスの30及び300CFUから調製された核酸調製物中に含有されるRNAを、Craig S Hill他[Molecular diagnostic testing for infectious diseases using TMA technology(2001)Expert Rev Mol Digan.1(4):445−55]によって記載されたTMA技術によって、増幅及び検出された。この技術は、第一の工程において、試料中に存在するRNA分子を逆転写すること、次いで、第二の工程において、第一の工程で産生されたDNAからの転写によって、RNA断片を合成する(等温増幅工程)ことからなる。
TMA技術は、Milliprobeシュードモナス・アエルギノサ検出キット(Millipore ref.GPPAE0100)から得られる試薬を用いて実施した。
図8は、本発明に従う、核酸調製物の各々に対して反応溶媒中に合成された増幅産物のリアルタイム検出を表す(30及び300CFU)。
30CFUに対応する核酸の調製物は300CFUに対応するものとほぼ等しい満足できる増幅を可能にし、溶解組成物番号7によるピー・アエルギノサのRNAの抽出に対する有効性の極めて高いレベルを示す。

Claims (26)

  1. 溶解組成物であって、塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)を含み、NLS濃度が、前記組成物の総重量に関して、0.1と1%の間で含まれることを特徴とする、溶解組成物。
  2. 塩化グアニジウム濃度が3と8mol.L−1の間で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の溶解組成物。
  3. EDTAも含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶解組成物。
  4. 請求項3に記載の溶解組成物であって、前記組成物のEDTA濃度が0.1と1mmol.L−1の間で含まれることを特徴とする、溶解組成物。
  5. 溶液の形態で与えられることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の溶解組成物。
  6. 1つ又はそれ以上の細胞の核酸を抽出するための方法であって、以下の
    a)細胞を溶解させ及び細胞が含有する核酸を放出させるために、溶液中の塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)で細胞が処理され;
    b)a)において得られた細胞可溶化液の膜を横切るろ過によって、前記細胞可溶化液から核酸が分離され;
    c)前記膜によって保持される核酸が、水中の溶液又は弱くイオン化された水溶液中に回収される工程
    を含むことを特徴とする、方法。
  7. NLSが0.1と1%の間で含まれる濃度で溶液中において使用されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 塩化グアニジウム及びNLSが請求項5に記載の溶解組成物中において同時に使用されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 細胞可溶化液から核酸を分離するために工程b)において使用される膜がセルロース膜であることを特徴とする、請求項6から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 工程b)において使用される膜が3,000と100,000ダルトンの間、好ましくは50,000と1000,000ダルトンの間の分子量名目限界を有することを特徴とする、請求項6から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 細胞可溶化液からの核酸の分離が陰圧又は陽圧の影響下で膜を通して実施されることを特徴とする、請求項6から10の何れか一項に記載の方法。
  12. 細胞可溶化液からの核酸の分離が遠心の影響下で膜を通して実施されることを特徴とする、請求項6から10の何れか一項に記載の方法。
  13. 水又は弱くイオン化された水溶液などの洗浄溶液(この洗浄溶液は、膜を通過した後に除去される。)を用いて、膜によって保持された核酸を洗浄する工程を工程b)とc)の間にさらに含むことを特徴とする、請求項6から12の何れか一項に記載の方法。
  14. 好ましくは、陰圧若しくは陽圧又は遠心の影響下で、工程b)において適用された方向とは反対の方向に、水又は弱くイオン化された水溶液を膜に通過させることによって、工程c)において、核酸が回収されることを特徴とする、請求項6から13の何れか一項に記載の方法。
  15. 液体又は気体媒体中の1つ又はそれ以上の細胞を検出するための方法であって、以下の
    a)試料中に含有される細胞を膜上に保持するために、膜を通して液体又は気体媒体の試料をろ過し;
    b)前記細胞から放出された核酸を含有する細胞可溶化液を得るために、溶液中の塩化グアニジウム及びN−ラウロイル−サルコシン(NLS)で、工程a)において保持された細胞を処理し;
    c)前記膜を通した又は別の膜を通した前記可溶化液のろ過によって、工程b)において得られた細胞可溶化液から核酸を分離し;
    d)工程c)において膜によって保持された核酸を、水又は弱くイオン化された水溶液中に回収し;
    e)工程d)において回収された核酸を検出する工程
    を含むことを特徴とする、方法。
  16. 工程e)における核酸の検出が、プローブ又は特異的な印が付されたプライマーを用いて、工程d)に回収された核酸の全部又は一部の特異的なハイブリッド形成によって実施されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 工程e)における核酸の検出が、工程d)において回収された核酸の全部又は一部の増幅の工程を含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記増幅工程は重合化連鎖反応(PCR)からなることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 前記増幅工程がLAMP、NASBA又はTMA型の増幅などの等温増幅からなることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 工程e)における核酸の検出がDNAへのRNAの逆転写の工程を含むことを特徴とする、請求項15から19の何れか一項に記載の方法。
  21. 工程c)において溶解組成物の核酸を分離するために使用される膜が工程a)において使用されるものと異なることを特徴とする、請求項15から20の何れか一項に記載の方法。
  22. 工程b)からd)が請求項6から14の何れか一項に記載の方法の工程a)からc)に従って実施されることを特徴とする、請求項15から21の何れか一項に記載の方法。
  23. 工程a)とb)の間で、微生物が前記膜の表面上で増殖できるように、工程a)において使用される前記膜が栄養素培地と接触して配置されることを特徴とする、請求項15から22の何れか一項に記載の方法。
  24. 工程a)とb)の間で、微生物から抽出されたATPを生物発光試薬(ルシフェリンとルシフェラーゼを含む試薬など)と反応させることによって、微生物の計数を可能にする検出工程が実施されることを特徴とする、請求項15から23の何れか一項に記載の方法。
  25. 核酸を抽出するためのキットであって、
    −ろ過膜;
    −請求項1から5の何れか一項に記載の溶解組成物;
    を含むことを特徴とする、キット。
  26. 核酸を抽出するためのキットであって、
    −ろ過膜;
    −請求項1から5の何れか一項に記載の溶解組成物;
    −ハイブリッド形成によって又はPCRによって、抽出された核酸の検出を実施するための1つ又はそれ以上の特異的プライマー;
    を含むことを特徴とする、キット。
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