JP2011507930A - 変形性関節症治療用組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明はコンドロイチン硫酸およびマンノサミンまたはその誘導体を含有してなる組成物に関する。マンノサミン誘導体は、好ましくはN−アセチルマンノサミンである。該組成物はグルコサミンを含有していてもよい。当該組成物は変性関節疾患、好ましくは変形性関節症の治療または予防、腱または靭帯の疾患、障害または損傷の、および免疫系疾患、好ましくはリウマチ様関節炎の治療または予防に有用である。
Description
本発明はコンドロイチン硫酸およびアミノ糖を含有してなる新規組成物に関する。さらに、本発明は該組成物の医学における使用に関する。
変形性関節症(関節症)は65歳以降の殆どの人々を冒す変性関節疾患であり、軟骨組織の漸進性の分解を特徴とし、炎症および疼痛の存在と組み合わさったものである。疾患が進行した状態では、通常、遅れて滑膜の炎症が起こるが、一般的には、これはもっぱら変形性関節症の病態における二次的構成要素である。
変形性関節症は硝子関節軟骨の変性と定義し得る。その二次的影響は、滑膜および助軟骨下骨(軟骨と接触する骨)の損傷、さらに関節表面縁での新生骨の形成である。
軟骨は骨が互いに滑動するのを可能とする。それはまた物理的な運動が惹き起こす緊張を吸収する。変形性関節症においては、軟骨表面が壊れて磨耗し、骨が互いにぶつかり合って、摩擦、疼痛、腫脹および関節運動の喪失を招く。時の経過と共に、関節が変形することもあり得る。
正常な状態において、軟骨の再生は非常に遅い過程であり、細胞外マトリックス成分の絶え間なく続く合成(同化作用)および分解(異化作用)を含む。軟骨細胞はこの代謝に関与する細胞であり、その過程は完全に同調的でなければならない。
変形性関節症の発生機序は今なお未知であるが、最初の変化は軟骨細胞のレベルで起こり、当該変化が引続いて変形性関節症関節の発病を惹き起こすものであることが、現在真実として受け容れられている。
該疾患発病のための一連のリスクファクタが既に記載されており、その一部のものは加齢、遺伝、肥満、過負荷障害、スポーツマンの肉体的に過度の練習、傷害または外傷、および低骨無機質密度などである。
変形性関節症は決定的な治療法のない疾患である。以下の現行の治療の可能性が強調されよう。
即効性症候薬物。中でも以下のものが認められる。鎮痛剤、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、コルチコイドおよびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)選択的インヒビタ。それらのあるものの使用は、潜在的に重篤な副作用の高いリスクを伴う、例えば、NSAIDの場合の胃腸管の問題である。
遅効性症候薬物。それらはSYSADOA(Symptomatic Slow Acting Drug for Osteoarthritis; 変形性関節症用症候遅効性薬物)として知られる(非特許文献1,2)。これら物質の一部は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸およびグルコサミン塩酸塩を包含する。この群はNSAIDに似た全般的有効性を有することを特徴とし、さらに、さらなる利点として、より高い安全性と、長時間にわたる持続性作用、治療の停止後に数ヶ月もの持続作用を有する(持越し作用)。ヒアルロン酸(非特許文献3)およびコンドロイチン硫酸(非特許文献4)にて実施された一部の臨床治験は、両化合物がSYSADOAとして作用することに加えて、変形性関節症疾患の経過に影響して、S/DMOAD(Structure/Disease Modifying anti-Osteoarthritis Drug;構造/疾患修飾抗変形性関節症薬)薬物などの疾患を減速するか、または遅延させ得る。
靭帯および腱は、とりわけ成人において、自己修復能力の制限された関節周囲の構造物である。
腱および靭帯の機能的および構造的性質はよく似ている。腱は筋肉を骨に付着する解剖学的構造であり、靭帯は骨を他の骨に付着する同様の構造である。両者共に円筒状の細長い構造であり、高密度の結合組織から形成されていて、一方向の伸張に適合し、並行するコラーゲン(主としてI型コラーゲン)線維を有する。当該組織の血管形成の低下は、腱および靭帯の治癒が遅いことの原因の一つである。
腱において支配的な細胞は腱細胞と呼称する。腱細胞の機能は、分解と合成の過程を経てマトリックス構造を維持することである。しかし、腱は比較的細胞密度が低く、有糸***活性が小さい、このことがこの組織の置き換わり速度の低下していることを説明し、またこれらの細胞が本来有する治癒作用を促進し得る度合いに疑問を呈する。
腱および靭帯の損傷は、異なる因子を原因とするが、その因子はスポーツ練習または事故による傷害、拡張、不適切な姿勢、細菌感染、有害な薬物反応、関節の炎症、および別の疾患の結果として、などである。
最適レベル以下の治癒、長期のリハビリテーション期間および高い疾患再発率は、腱および靭帯の損傷を適切に治療することを困難なものとする。
腱異常(腱疾患)および靭帯病(靭帯疾患)の最も頻度の高い処置は、以下の通りである。休養、物理療法(訓練、マッサージ、超音波、レーザ、水治療法、加熱と冷却)、食事サプリメント、外科処置と薬物療法(非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、グルココルチコイドおよび抗生物質を含み、後者はその疾患が感染により惹き起こされた場合に適用)。NSAIDおよびグルココルチコイドは共に副作用を有することが知られている。さらに、最近の文献は腱再生におけるNSAIDの有効性に疑問を呈している(非特許文献5)。
過去2〜3年、幹細胞、腱細胞、靭帯細胞、増殖因子によるか、または遺伝子による腱異常および靭帯病の治療に関しての研究が実施されつつある。
リウマチ様関節炎と呼称される免疫系の疾患は、慢性進行性の炎症性障害であり、滑膜炎と重症関節破壊の発症を特徴とする。
リウマチ様関節炎の病因は、例えば、滑膜レベルでの細胞増殖と線維症、パンヌスと軟骨の形成および骨侵食などを含む複雑な過程をとる。この過程はサイトカイン、プロスタノイドおよびタンパク分解酵素の互いに依存し合うネットワークが仲介する。
リウマチ様関節炎の治療における中間目標は、炎症性症候を制御すること、痛みを減ずること、関節の損傷を予防または制御すること、および機能喪失を予防することであり、治療の最終目的は疾患の完全な寛解を誘導することであるが、これは滅多に起こることではない。
コンドロイチン硫酸はポリマ構造をもつ天然の硫酸化グリコサミノグリカンであり、N−アセチル−D−ガラクトサミンとD−グルクロン酸により形成される二糖の繰返しであることを特徴とする。N−アセチル−D−ガラクトサミン残基の大部分が硫酸化されている。コンドロイチン硫酸はアグリカンの必須の成分であり、そのアグリカンは関節軟膏に局在している。
異なる疾患の治療のために、例えば、心臓血管系疾患の治療(特許文献1)または乾癬の治療(特許文献2)におけるコンドロイチン硫酸の使用について記載はあるが、しかし、その殆どの広範囲の使用は変形性関節症の治療においてであり(非特許文献6,7)、一般的に1日800〜1,200mgを投与する。
これに矛盾する結果が、腱異常の治療におけるコンドロイチンポリ硫酸の使用に関して報告されている。一部の著者はその有益な作用について記載している(非特許文献8)が、しかし、他の著者は、処置した腱と対照群の間に有意な差異を見出していない(非特許文献9)。
D−マンノサミン(2−アミノ−2−デオキシ−D−マンノース)はアミノ糖であるが、その大半の広範囲の使用は、シアル酸とその誘導体の合成におけるものであり、これは天然のシアル酸の生理的前駆体がN−アセチルマンノサミンであるという事実によるものである。N−アシルマンノサミン(N−アセチル、N−プロパノイル、N−グリコリル、N−ホルミルマンノサミン)の使用もまた神経細胞増殖の調節に関して記載されており(特許文献3)、最近は、性ホルモン、特にテストステロンのレベルを上昇させるためのN−アセチルマンノサミンの使用について記載されている(特許文献4)。
アミノ糖D−グルコサミン(2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース)は、グリコサミノグリカンとプロテオグリカンの合成において、関節軟骨が使用する中間体基質である。
いくつかの研究グループが、変形性関節症におけるグルコサミン塩酸塩の作用について研究している(例えば、非特許文献10)。
コンドロイチン硫酸とアミノ糖とを含有する組成物について記載した文献が存在する。
特許文献5は、コンドロイチン硫酸とグルコサミンを含有する組成物について記載している。
特許文献6は、関節障害の治療剤であって、アミノ糖とトレハロースを含有する治療剤を特許請求している。該薬剤はグリコサミノグリカンを含有し得る。当該文献は、コンドロイチン硫酸およびグルコサミンを含有し、トレハロースを含有してもよい混合物について、またケラタン硫酸、マンノサミンおよびトレハロースの組み合わせについて、さらにII型のコラーゲン誘発関節炎モデルにおけるそれらの活性について記載している。コンドロイチン硫酸とマンノサミンとの組み合わせについては、本文献中に何ら記載も、示唆もなされていない。
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前記の事実により、本発明が基礎を置く問題は、変形性関節症、関節周囲の疾患、特に腱もしくは靭帯の疾患、および免疫系疾患、とりわけリウマチ様関節炎の代替治療法を提供することの問題である。
本発明はコンドロイチン硫酸およびアミノ糖を含有してなる組成物であって、該アミノ糖がマンノサミンおよびマンノサミン誘導体、並びにその混合物からなる群より選択される組成物に関する。
本発明の好適な一実施態様において、該アミノ糖はマンノサミンである。
別の同様に好適な実施態様において、該アミノ糖はマンノサミン誘導体、好ましくは、N−アセチルマンノサミンである。
本発明の別の実施態様において、該アミノ糖はマンノサミンとN−アセチルマンノサミンとの組み合わせである。
本発明の別の実施態様において、該組成物はグルコサミンを含有してなる。
本発明の別の実施態様において、コンドロイチン硫酸とアミノ糖間の重量比は、1:0.1〜1:2であり、該重量比は、好ましくは、1:0.1〜1:0.7の間で変動する。
本発明の特定の実施態様において、本発明の組成物は医薬組成物である。好適な実施態様において、該医薬組成物は経口投与用のものである。別の好適な実施態様において、該医薬組成物は関節内投与のためのものである。
本発明の別の特定の実施態様において、本発明の組成物は食品組成物である。別の実施態様において、該食品組成物は機能的食品である。別の実施態様において、該食品組成物は食品サプリメントとも呼称される栄養補助食品組成物である。機能食品は、乳製品、牛乳、ヨーグルト、穀類加工食品、ビスケット、フルーツジュース、野菜ジュース、ベビーフード、および乾燥食品であり得る。
他の成分、例えば、ビタミンなどは、食品組成物にも、医薬組成物にも添加し得る。
本発明はまた、以下の工程を含んで構成される前記定義の組成物の製造法にも関する。
a)コンドロイチン硫酸を含有する水溶液を調製する工程、
b)アミノ糖を含有する水溶液を調製する工程、および、
c)工程a)およびb)の溶液を混合する工程、または、
a)コンドロイチン硫酸およびアミノ糖を固体状で混合する工程、
b)該混合物を篩にかけ、均一化する工程。
a)コンドロイチン硫酸を含有する水溶液を調製する工程、
b)アミノ糖を含有する水溶液を調製する工程、および、
c)工程a)およびb)の溶液を混合する工程、または、
a)コンドロイチン硫酸およびアミノ糖を固体状で混合する工程、
b)該混合物を篩にかけ、均一化する工程。
本発明の別の態様によると、先に定義した組成物はその医薬としての使用について開示する。
本発明はまた、変性関節疾患、好ましくは変形性関節症の治療、防止または予防のための先に定義した組成物の使用に関する。
本発明はまた、炎症または疼痛の治療、防止または予防用の医薬の製造のための先に定義した組成物の使用に関する。炎症および疼痛は、好ましくは、変形性関節症と関連するものである。
本発明の別の特定の実施態様において、該医薬は軟骨保護剤である。
関節周囲の疾患、障害または損傷の治療、防止または予防用の医薬の製造のために、先に定義した組成物を使用することも可能である。関節周囲の疾患、障害または損傷とは、好ましくは、腱もしくは靭帯の疾患、障害または損傷であり、好ましくは、腱断裂、腱炎(tendonitis)、リウマチ様腱炎、腱周囲炎、腱滑膜炎、腱傍結合組織炎、およびいずれかの靭帯病からなる群より選択される。同様に、関節周囲の疾患、障害または損傷は、例えば、外傷、酷使もしくは病態、感染性、代謝性もしくは内分泌性疾患の結果でもあり得る。
同様に、本発明の組成物を含有してなる医薬は、関節周囲の疾患、障害または損傷に関連する炎症および疼痛の治療に使用し得る。
本発明はまた、免疫系疾患の治療、防止または予防のための医薬製造用の先に定義した組成物の使用にも関し、該免疫系疾患は、リウマチ様関節炎、紅斑性狼瘡、グレーブス病、ライター症候群およびシェーングレン症候群からなる群より選択される。中でも、最も好適に適合する免疫系疾患はリウマチ様関節炎である。
本発明はまた、変性関節疾患および関節周囲疾患から選択される疾患の治療、防止または予防において使用するための先に定義した組成物に関する。該アミノ糖は、好ましくはマンノサミンおよびN−アセチルマンノサミンから選択される。また、変性関節疾患は、好ましくは変形性関節症であり、関節周囲疾患は腱または靭帯の疾患である。コンドロイチン硫酸とアミノ糖間の重量比は、好ましくは、1:0.1〜1:2であり、該組成物はグルコサミンを含有し得る。
本発明はまた、免疫系疾患、好ましくはリウマチ様関節炎の治療、防止または予防に使用するための先に定義した組成物に関する。
当該医薬は、好ましくは、経口、関節内、病巣内、病巣周囲の投与に適するか、または移植片内投与に適する。さらに、疾患が関節周囲の疾患である場合、該医薬は露出した腱または靭帯への局所投与に適し得る。
本発明が病巣内投与を意図する場合、それは実際の損傷個所への直接投与をいう。
本発明が病巣周囲への投与を意図する場合、それは損傷周辺への投与をいう。
本発明の食品組成物は軟骨に栄養補給し、関節を保護し、関節の機能的能力、弾力性および柔軟性を改善することにより作用して、またスポーツマンの肉体的過度訓練症候群の、およびそれと関連する不所望作用の予防と復帰の作用を有する。
本発明組成物の一成分であるコンドロイチン硫酸は、硫酸化グリコサミノグリカンであり、10,000ダルトン〜60,000ダルトンからなる分子量を有し、分子量はその起源とそれを取得する方法により変わる。このものは動物の軟骨性組織、例えば、ブタもしくはウシの気管、およびサメ軟骨性骨格などから、文献(スペイン特許ES547769号明細書)に記載された方法に従って取得し得る。
そのポリマ構造は二糖の繰返しを特徴とし、その繰返しはN−アセチル−D−ガラクトサミンとD−グルクロン酸により形成される。N−アセチル−D−ガラクトサミン残基の大部分が硫酸化されている。
軟骨性組織からのコンドロイチン硫酸は、主として、N−アセチルガラクトサミン残基、コンドロイチン4−硫酸(コンドロイチン硫酸A)およびコンドロイチン6−硫酸(コンドロイチン硫酸C)に存在する硫酸基の位置が異なる2種の異性体に見出され、それらは以下の構造によって表わされる。
コンドロイチン4−硫酸およびコンドロイチン6−硫酸に加えて、用語のコンドロイチン硫酸はまた以下の化合物を包含する。
コンドロイチン硫酸B、デルマタン硫酸としても知られる、
コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン2,6−二硫酸としても知られる、
コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン4,6−二硫酸としても知られる。
コンドロイチン硫酸B、デルマタン硫酸としても知られる、
コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン2,6−二硫酸としても知られる、
コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン4,6−二硫酸としても知られる。
本発明において、用語の“コンドロイチン硫酸(chondroitin sulphate)”はこれらの化合物のすべて、並びにその混合物をも包含する。
コンドロイチン硫酸における硫酸基は、共有結合により糖に結合する。
分子中に存在する負電荷のため、コンドロイチン硫酸は塩の形状を採る、例えば、市販の調製品では、コンドロイチン硫酸がナトリウム塩の形状である。それ故、用語の“コンドロイチン硫酸”はその有機および無機の塩を包含する。有機塩の例は、例えば、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、および塩基性アミノ酸との塩である。無機塩の例は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、リチウム、およびアルミニウムの塩である。当該塩は一般に、例えば、遊離塩基形のコンドロイチン硫酸と化学量論量の適当な酸とを、水中または有機溶媒中または両者の混合物中、反応させることにより調製する。
D−マンノサミン(2−アミノ−2−デオキシ−D−マンノース)は以下の構造を有するアミノ糖である。
本発明において、用語の“マンノサミン(mannosamin)”はマンノサミン塩を包含する。
本発明にて使用するアミノ糖類、マンノサミン、マンノサミン誘導体、例えば、N−アセチルマンノサミン、グルコサミンおよびその塩は、好ましくはD系列である。
当該アミノ糖は、αおよびβのアノマ体として存在し得る。本発明は、分離した個々のαおよびβアノマー並びにその混合物の両方の使用を包含する。
薬学的に許容される酸とのマンノサミン塩は、限定されるものではないが、以下の酸との塩を包含する。塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、ピルビン酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アスコルビン酸、グルクロン酸およびリンゴ酸等である。
マンノサミン塩はアミノ糖の塩の調製のための標準的方法に従って調製し得る。
当該塩は一般に、マンノサミン塩酸塩から得られる塩基マンノサミンと、化学量論量の適当な酸とを反応させることにより調製する。
マンノサミン塩酸塩は市販の製品(NZP、ニュージーランド・ファーマシューティカル(New Zealand Pharmaceutical))であるが、所望により、Ca(OH)2水溶液によりN−アセチルグルコサミンをエピマ化し、次いで、該異性体を分離し、塩酸で処理し、脱色し、次いで溶媒により沈殿形成または結晶化することにより調製し得る(スガイら(Sugai et al.), Bull. Chem. Soc. Jpn., 68, 3581-3589 (1995); スガイら、Sugai et al., Tetrahedron, 53(7), 2397-2400 (1997))。
N−アセチルマンノサミンは市販の製品(NZP、ニュージーランド・ファーマシューティカル)であるが、所望により、マンノサミン塩酸塩からのアセチル化により調製し得る。使用し得る別のN−アシルマンノサミンは、例えば、N−プロパノイル−D−マンノサミンである。
本発明において、用語の“グルコサミン(glucosamine)”はグルコサミン塩を包含する。
薬学的に許容される酸とのグルコサミン塩は、限定されるものではないが、以下の酸との塩を包含する。塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、およびメタンスルホン酸等である。
変性関節疾患、炎症、疼痛、関節周囲の疾患、障害もしくは損傷、または免疫系疾患の治療、防止または予防での使用の場合、本発明の組成物は、文献(レミントン(Remington): The Science and Practice of Pharmacy 2000, edited by Lippincott Williams and Wilkins, 20th edition, Philadelphia)に記載された常套の方法および賦形剤または担体を用いて、適当な医薬組成物に製剤化する。
医薬製剤の性質は、よく知られているように、投与経路に、また治療すべき病態の性質に左右される。
本発明の医薬組成物は、必要な用量で患者に投与することができる。組成物の投与は、異なる経路で、例えば、経口、静脈内、腹腔内、関節内、病巣内、病巣周辺、腱内、腱周辺、胸膜内、皮下、筋肉内、局所、舌下、皮内または鼻腔内経路で実施し得る。本発明の医薬組成物は、治療有効量の本発明活性組成物を含有し、当該有効量は多くの因子、例えば、患者の身体的状態、年齢、性別、投与経路、病状の重篤度に、および当該技術分野において周知の他の因子に依存する。さらに、理解されることは、当該活性組成物の投与量が単回または多回用量単位で投与し、所望の治療効果を提供し得ることである。
本発明の医薬製剤は、一般に、固体形状、液体形状で、またはゲルとして存在する。本発明により調製し得る固体形状の医薬製剤は、粉剤、ペレット剤、細粒剤、ナノ粒子剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、シール剤および坐剤である。液体形状の製剤は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤であり、共通して使用される不活性の希釈剤、例えば、蒸留水、エタノール、ソルビトール、グリセロールまたはプロピレングリコールを含有する。固体形状の製剤であって、使用直前に液体形状の製剤に変換される製剤もまた企図するものである。当該液体形状は、溶液、懸濁液およびエマルジョンを包含する。
食品組成物(機能食品または栄養補助食品組成物)を調製するために、本発明の組成物は栄養上使用される適当な成分および/または添加物で製剤化する。調製された食品組成物は、例えば、固体の形状、液体形状で、エマルジョンとして、懸濁液として、またはゲルとして存在し得る。使用前に液状製剤に、または懸濁液に変換し得る固体形状の製剤もまた企図するものである。
本発明により見出されたことは、本発明の組成物は以下の利点を有する。(i)コンドロイチン硫酸およびマンノサミン塩酸塩を含有してなる本発明組成物は、分離した成分それぞれよりもより有効である。(ii)コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の間にはそれらを共に投与した場合に、相乗作用がある。(iii)コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物から作製した本発明の組成物は、コンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物から作製した組成物よりも有意により有効である(プロテオグリカン合成に対してよりすぐれた作用)。(iv)コンドロイチン硫酸およびマンノサミン塩酸塩を含有する本発明組成物は、TNFαと培養した軟骨細胞のアポトーシスを用量依存的に低下させた。
以下の実施例は説明するものであって、本発明の範囲を限定するもとのではない。
錠剤および注射剤用の代表的製剤についての一部の実施例を以下に示す。
<実施例1>
[コンドロイチン硫酸およびマンノサミンまたはN−アセチルマンノサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩またはN−アセチルマンノサミン 400.0mg
[コンドロイチン硫酸およびマンノサミンまたはN−アセチルマンノサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩またはN−アセチルマンノサミン 400.0mg
<実施例2>
[コンドロイチン硫酸、マンノサミンおよびN−アセチルマンノサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩 200.0mg
N−アセチルマンノサミン 200.0mg
[コンドロイチン硫酸、マンノサミンおよびN−アセチルマンノサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩 200.0mg
N−アセチルマンノサミン 200.0mg
<実施例3>
[コンドロイチン硫酸、マンノサミンおよびグルコサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩 200.0mg
グルコサミン塩酸塩 200.0mg
[コンドロイチン硫酸、マンノサミンおよびグルコサミンの錠剤]
錠剤を常套の方法に従って調製した。
1錠当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 400.0mg
マンノサミン塩酸塩 200.0mg
グルコサミン塩酸塩 200.0mg
<実施例4>
[コンドロイチン硫酸およびマンノサミンまたはN−アセチルマンノサミンの注射剤]
注射用製剤2mLを常套の方法に従って調製した。
1mL当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 75mg/mL
マンノサミン塩酸塩またはN−アセチルマンノサミン 75mg/mL
[コンドロイチン硫酸およびマンノサミンまたはN−アセチルマンノサミンの注射剤]
注射用製剤2mLを常套の方法に従って調製した。
1mL当たりの有効成分の含量
コンドロイチン硫酸、ナトリウム塩 75mg/mL
マンノサミン塩酸塩またはN−アセチルマンノサミン 75mg/mL
本発明組成物の活性を決定するために使用し得るアッセイの数例を以下に示す。
<実施例5>
[コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の配合剤のインビボ軟骨保護活性の評価]
本目的は、活性成分としてのみのコンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物の軟骨保護活性(軟骨を保護する活性)を評価することであり、モルモットに部分的中央膝関節半月板切除術により誘発した変形性関節症の実験モデルで実施し(ベンデル(A.M. Bendele), Progressive chronic osteoarthritis in femorotibial joints of partial medial meniscectomized guinea pigs(部分的に中央膝関節半月板を切除したモルモットの大腿脛骨における進行性慢性変形性関節症), Vet. Pathol. 24, 444-448 (1987))、当該活性をコンドロイチン硫酸およびマンノサミン塩酸塩それぞれの軟骨保護活性と比較した。
[コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の配合剤のインビボ軟骨保護活性の評価]
本目的は、活性成分としてのみのコンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物の軟骨保護活性(軟骨を保護する活性)を評価することであり、モルモットに部分的中央膝関節半月板切除術により誘発した変形性関節症の実験モデルで実施し(ベンデル(A.M. Bendele), Progressive chronic osteoarthritis in femorotibial joints of partial medial meniscectomized guinea pigs(部分的に中央膝関節半月板を切除したモルモットの大腿脛骨における進行性慢性変形性関節症), Vet. Pathol. 24, 444-448 (1987))、当該活性をコンドロイチン硫酸およびマンノサミン塩酸塩それぞれの軟骨保護活性と比較した。
(材料と方法)
体重580gと699gの間のダンキン・ハートレイ(Dunkin Hartley、DH)モルモットを使用した。部分的中央膝関節半月板切除術はそれらの一部で実施した。
体重580gと699gの間のダンキン・ハートレイ(Dunkin Hartley、DH)モルモットを使用した。部分的中央膝関節半月板切除術はそれらの一部で実施した。
以下の処置群を形成した。ブランク対照群(健常なモルモットに相当する)、操作対照群(部分的中央膝関節半月板切除術を実施し、実験的変形性関節症を誘発したモルモットに相当する)、コンドロイチン硫酸のナトリウム塩(95mg/kg体重/日)を投与した操作モルモット、マンノサミン塩酸塩(60mg/kg体重/日)を投与した操作モルモット、コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(95mg/kg体重/日)とマンノサミン塩酸塩(60mg/kg体重/日)の混合物を投与した操作モルモットである。
手術後1日目に、胃瘻栄養法による、相当する経口処置の日単位投与を開始し、担体として注射用水を使用した。ブランク対照群と操作対照群には担体(注射用水)のみを経口経路で与えた。
処置は1日1回、70日間(10週間)の投与とした。動物の体重と臨床上の兆候を1日2回記録した。処置期間全般で顕著な臨床上の兆候は観察されなかった。
投与を終了したその日に、動物を麻酔薬の過剰投与(ペントバルビタールナトリウム)で屠殺し、右後脚の大腿脛骨関節を取り出し、10%ホルモル中で少なくとも48時間固定した。次いで、それらを脱石灰化し、パラフィンに包埋し、必要なセクションを得て、ヘマトキシリン−エオシンおよびサフラニン−O−ファストグリーン(またはトルイジンブルー)による染色を実施して組織学的に評価した。その評価は盲検様式により病理学者が実施した。
変形性関節症による損傷の重症度は、マンキンらの修正した組織学的/組織化学的スケールにより評価した(HJ. Mankin and L. Lipiello Biochemical and metabolic abnormalities in articular cartilage from osteoarthritic human hips(変形性関節症のヒト臀部からの関節軟骨の生化学的代謝性異常). J. Bone Joint Surg.-Amer. 53-A, 523-537 (1971))。
該スケールはグリコサミノグリカン(GAG)含量の損失量、構造変化および細胞変化に基づき、変形性関節症による損傷の重症度を評価する。全体の総括的組織病理学的スコアは、マンキンの採点システムにより得ることができ、それは各動物についての数種のパラメータ(GAGの損失、軟骨構造、軟骨細胞の損失、クローンの形成および系統の完全性)の合計である。
グリコサミノグリカン(GAG)の量の評価は2種の染色法、すなわち、トルイジンブルーおよびサフラニンO−ファストグリーンにより実施した。サフラニンによる赤色強度(またはトルイジンブルーによる青色)の損失は、プロテオグリカンの損失を意味し、軟骨の退行性変化と共に観察される。
ヘマトキシリン−エオシン染色を使用して、軟骨構造の変化および細胞レベルでの変化を評価する。
得られたデータについて、2つのタイプの評価を実施した。
(軟骨保護活性)
トルイジンブルーおよびヘマトキシリン−エオシン染色により得られた結果に基づき、軟骨保護活性の計算を行った。
トルイジンブルーおよびヘマトキシリン−エオシン染色により得られた結果に基づき、軟骨保護活性の計算を行った。
軟骨保護活性を計算するために、先ず、各パラメータの頻度の指標(Iparameter)を、記載されたスコア(Si)の値に、かかるスコア(ni)をもつ動物数を掛けることにより求めた。各群の大きさが一致していないため、それらをその群の個体総数で割り、100を掛けて標準化した。
Iparameter =[Σ(ni×Si)/Σni]×100
Iparameter =[Σ(ni×Si)/Σni]×100
次いで、各処置の軟骨保護活性は、変動係数として、3つのパラメータ(GAG、軟骨構造、軟骨細胞の増殖)それぞれにおいて得られる指標から、以下の式に従って計算した。
軟骨保護活性
=CV=[(IOperated control−ITreatment)/(IOperated control−IBlank control)]×100
軟骨保護活性
=CV=[(IOperated control−ITreatment)/(IOperated control−IBlank control)]×100
ブランク対照群についての対照標準を100%とし、操作対照群については0%として、3つのパラメータの平均軟骨保護活性を表した。
(結果)
図1に見られるように、コンドロイチン硫酸での処理群(12%)と操作群(0%)の間に、またはマンノサミン塩酸塩での処理群(−21%)および操作群(0%)の間に、いずれにも差はないと考察し得る。しかし、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物を操作モルモットの群に投与した場合には、軟骨保護活性の相乗的上昇があり、その値(130%)はブランク対照群(100%)と同様の値にまで達していた。
図1に見られるように、コンドロイチン硫酸での処理群(12%)と操作群(0%)の間に、またはマンノサミン塩酸塩での処理群(−21%)および操作群(0%)の間に、いずれにも差はないと考察し得る。しかし、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物を操作モルモットの群に投与した場合には、軟骨保護活性の相乗的上昇があり、その値(130%)はブランク対照群(100%)と同様の値にまで達していた。
(修正マンキン法による評価)
配点システムにより、GAGのサフラニン染色(スコア0〜6)、軟骨細胞の損失(スコア0〜4)、構造(スコア0〜8)、クローン形成(スコア0〜3)および系統完全性(スコア0〜1)について個別のスコアを割り当てた。次いで、各動物についての各下位範疇にて得られるスコアを加えて、包括的組織病理学スコアを得た。異なる群間の統計的評価は、マン・ホイットニイのU検定により実施した(グラベッターおよびウオルノウ(F.J. Gravetter and L.B. Wallnau), Statistics for the Behavioral Sciences, Wadsworth Publishing, 7 edition, 2006)(表1参照)。
配点システムにより、GAGのサフラニン染色(スコア0〜6)、軟骨細胞の損失(スコア0〜4)、構造(スコア0〜8)、クローン形成(スコア0〜3)および系統完全性(スコア0〜1)について個別のスコアを割り当てた。次いで、各動物についての各下位範疇にて得られるスコアを加えて、包括的組織病理学スコアを得た。異なる群間の統計的評価は、マン・ホイットニイのU検定により実施した(グラベッターおよびウオルノウ(F.J. Gravetter and L.B. Wallnau), Statistics for the Behavioral Sciences, Wadsworth Publishing, 7 edition, 2006)(表1参照)。
(結果)
以下の研究の実験条件において、また表1で観察され得るように、操作群およびマンノサミン塩酸塩処理群の間に統計的有意差のないことが確認される。コンドロイチン硫酸で処理した群では操作群に関して改善をもたらすが、統計的有意性はない。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせで処理した群においては、統計的に有意な改善が操作群に関して達成された(p<0.05)。
以下の研究の実験条件において、また表1で観察され得るように、操作群およびマンノサミン塩酸塩処理群の間に統計的有意差のないことが確認される。コンドロイチン硫酸で処理した群では操作群に関して改善をもたらすが、統計的有意性はない。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせで処理した群においては、統計的に有意な改善が操作群に関して達成された(p<0.05)。
(結論)
コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせによる処置は、損傷の発生率をブランク対照群(健常モルモット)と同時に低下させた。
コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせによる処置は、損傷の発生率をブランク対照群(健常モルモット)と同時に低下させた。
マンノサミン塩酸塩とコンドロイチン硫酸の間には、それらを一緒に投与した場合、相乗作用を示す。マンノサミン塩酸塩はコンドロイチン硫酸の作用を相乗的に増大させる。
<実施例6>
[プロテオグリカン合成の定量。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせ、および対するコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の組み合わせについての比較検討]
本目的は本発明組成物の作用を観察することであり、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物(CS+Man)から作製した本発明組成物、およびコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物(CS+Glu)から作製した組成物のプロテオグリカン合成に対する作用を観察することであった。
[プロテオグリカン合成の定量。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせ、および対するコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の組み合わせについての比較検討]
本目的は本発明組成物の作用を観察することであり、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物(CS+Man)から作製した本発明組成物、およびコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物(CS+Glu)から作製した組成物のプロテオグリカン合成に対する作用を観察することであった。
(材料と方法)
2種の組成物について溶液を調製した。本発明組成物(CS+Man)は、0.27mgのコンドロイチン硫酸ナトリウム塩および0.17mgのマンノサミン塩酸塩を含有しており、組成物(CS+Glu)は、0.27mgのコンドロイチン硫酸ナトリウム塩および0.17mgのグルコサミン塩酸塩を含有していた。各組成物を1mLの培地に溶解した。
2種の組成物について溶液を調製した。本発明組成物(CS+Man)は、0.27mgのコンドロイチン硫酸ナトリウム塩および0.17mgのマンノサミン塩酸塩を含有しており、組成物(CS+Glu)は、0.27mgのコンドロイチン硫酸ナトリウム塩および0.17mgのグルコサミン塩酸塩を含有していた。各組成物を1mLの培地に溶解した。
ウシ軟骨細胞を10日間、アルギン酸塩ビーズで培養した(記載例、ビークマンら(B. Beekman et al.), Exp. Cell Res. 237, 135-141 (1997); Biochem. Biophys. Res. Comm. 237, 107-110 (1997); Osteoarthritis and Cartilage 6, 330-340 (1998))。培養は1ウエル当たり5個のビーズ、1ウエル当たり250μLの培地とし、48穴プレート上、該組成物の不存在下(対照)または存在下に実施した。週に2回、培地を新たにした。10日後に、ビーズを回収し(各培養ウエル中5個のビーズ、処置当たりn=3ウエル、対照についてはn=8ウエル)、分析時まで−20℃で保存した。
プロテオグリカンの合成はグリコサミノグリカン(GAG)レベル(1ビーズ当たりのGAGのμg)として定量した。
(結果)
図2に見られるように、プロテオグリカン合成の有意な刺激作用が、対照に比較して、CS+Glu混合物およびCS+Man混合物に見出された。しかし、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した本発明組成物は、コンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物よりも、より優れた作用を示した。
図2に見られるように、プロテオグリカン合成の有意な刺激作用が、対照に比較して、CS+Glu混合物およびCS+Man混合物に見出された。しかし、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した本発明組成物は、コンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物よりも、より優れた作用を示した。
<実施例7>
[軟骨細胞アポトーシスの定量。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせ、および対するコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の組み合わせについての比較検討]
本目的は、本発明組成物の軟骨細胞アポトーシスに対する作用を観察することであり、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物(CS+Man)から作製した本発明組成物、およびコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物(CS+Glu)から作製した組成物の作用を観察することであった。
[軟骨細胞アポトーシスの定量。コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の組み合わせ、および対するコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の組み合わせについての比較検討]
本目的は、本発明組成物の軟骨細胞アポトーシスに対する作用を観察することであり、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物(CS+Man)から作製した本発明組成物、およびコンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物(CS+Glu)から作製した組成物の作用を観察することであった。
(材料と方法)
ウシ軟骨細胞を48時間、アルギン酸塩ビーズで培養した(記載例、ビークマンら(B. Beekman et al.), Exp. Cell Res. 237, 135-141 (1997); Biochem. Biophys. Res. Comm. 237, 107-110 (1997); Osteoarthritis and Cartilage 6, 330-340 (1998))。培養は1ウエル当たり5個のビーズ、1ウエル当たり250μLの培地とし、48穴プレート上、TNFa(腫瘍壊死因子−α)と共に、該組成物の不存在下(対照)または存在下に実施した。次いで、ビーズを回収し(処置当たり3ウエル、対照については8ウエル)、分析時まで−20℃で保存した。
ウシ軟骨細胞を48時間、アルギン酸塩ビーズで培養した(記載例、ビークマンら(B. Beekman et al.), Exp. Cell Res. 237, 135-141 (1997); Biochem. Biophys. Res. Comm. 237, 107-110 (1997); Osteoarthritis and Cartilage 6, 330-340 (1998))。培養は1ウエル当たり5個のビーズ、1ウエル当たり250μLの培地とし、48穴プレート上、TNFa(腫瘍壊死因子−α)と共に、該組成物の不存在下(対照)または存在下に実施した。次いで、ビーズを回収し(処置当たり3ウエル、対照については8ウエル)、分析時まで−20℃で保存した。
各組成物を以下の濃度で試験した。
本発明の組成物CS+Man
高濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(1.07mg)+マンノサミン塩酸塩(0.67mg)を1mlの培地に溶解した。
低濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(0.54mg)+マンノサミン塩酸塩(0.34mg)を1mlの培地に溶解した。
本発明の組成物CS+Man
高濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(1.07mg)+マンノサミン塩酸塩(0.67mg)を1mlの培地に溶解した。
低濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(0.54mg)+マンノサミン塩酸塩(0.34mg)を1mlの培地に溶解した。
組成物CS+Glu
高濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(1.07mg)+グルコサミン塩酸塩(0.67mg)を1mlの培地に溶解した。
低濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(0.54mg)+グルコサミン塩酸塩(0.34mg)を1mlの培地に溶解した。
高濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(1.07mg)+グルコサミン塩酸塩(0.67mg)を1mlの培地に溶解した。
低濃度。コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(0.54mg)+グルコサミン塩酸塩(0.34mg)を1mlの培地に溶解した。
軟骨細胞のアポトーシスは、細胞溶解後のカスパーゼ−3およびカスパーゼ−7活性の蛍光検出(fluorogenic detection)に基づくキットを用いて測定した。
(結果)
図3に見られるように、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した本発明組成物は、TNFαと培養した軟骨細胞のアポトーシスを、すべての用量において、用量依存的に、統計的に有意に低下させた。対照的に、コンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物は、統計的に有意な作用を示さなかった。
図3に見られるように、コンドロイチン硫酸とマンノサミン塩酸塩の混合物により形成した本発明組成物は、TNFαと培養した軟骨細胞のアポトーシスを、すべての用量において、用量依存的に、統計的に有意に低下させた。対照的に、コンドロイチン硫酸とグルコサミン塩酸塩の混合物により形成した組成物は、統計的に有意な作用を示さなかった。
Claims (30)
- コンドロイチン硫酸およびアミノ糖を含有してなる組成物であって、前記アミノ糖がマンノサミンおよびマンノサミン誘導体からなる群より選択されるものである組成物。
- 前記アミノ糖がマンノサミンである請求項1記載の組成物。
- 前記アミノ糖がマンノサミン誘導体である請求項1記載の組成物。
- 前記マンノサミン誘導体がN−アセチルマンノサミンである請求項3記載の組成物。
- 前記アミノ糖がマンノサミンとN−アセチルマンノサミンの組み合わせである請求項1記載の組成物。
- さらにグルコサミンを含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記コンドロイチン硫酸と前記アミノ糖との重量比が、1:0.1〜1:2である請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記コンドロイチン硫酸と前記アミノ糖との重量比が、1:0.1〜1:0.7である請求項7記載の組成物。
- 医薬組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 経口投与用の請求項9記載の医薬組成物。
- 関節内投与用の請求項9記載の医薬組成物。
- 食品組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 機能食品であることを特徴とする請求項12記載の食品組成物。
- 栄養補助食品組成物であることを特徴とする請求項12記載の食品組成物。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物の製造法であって、
a)コンドロイチン硫酸を含有する水溶液を調製する工程、
b)アミノ糖を含有する水溶液を調製する工程、および、
c)工程a)およびb)の溶液を混合する工程、または、
a)コンドロイチン硫酸およびアミノ糖を固体状で混合する工程、
b)その混合物を篩にかけ、均一化する工程
を含むことを特徴とする製造法。 - 医薬として使用するための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 変性関節疾患または関節周囲疾患の治療または予防に使用するための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記変性関節疾患が変形性関節症である請求項17記載の組成物。
- 前記関節周囲疾患が腱または靭帯の疾患である請求項17記載の組成物。
- 免疫系疾患の治療または予防に使用するための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記免疫系疾患がリウマチ様関節炎である請求項20記載の組成物。
- 変性関節疾患の治療または予防用の医薬の製造のための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 前記変性関節疾患が変形性関節症である請求項22記載の使用。
- 炎症または疼痛の治療または予防用の医薬の製造のための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 前記炎症または疼痛が変形性関節症と関連するものである請求項24記載の使用。
- 前記医薬が軟骨保護剤である請求項22〜25のいずれか1項に記載の使用。
- 関節周囲の疾患、障害または損傷の治療または予防用の医薬の製造のための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 前記関節周囲の疾患、障害または損傷が、腱または靭帯の疾患、障害または損傷である請求項27記載の使用。
- 免疫系疾患の治療または予防用の医薬の製造のための請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 前記免疫系疾患がリウマチ様関節炎である請求項29記載の使用。
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