JP2011507822A - 抗菌性化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は式(I)で表される化合物に関する;AA−AA−AA−X−Y−Z(I)順不同に、該AA(アミノ酸)部分のうち2つは陽イオン性アミノ酸であり、AAのうち1つは親油性のR基を有するアミノ酸であり、該R基は14〜27個の非水素原子を有しており;XはN原子であり、該N原子は、N、OおよびSから選ばれるヘテロ原子を最大2個まで含んでいてもよい、分岐もしくは非分岐のC1〜C10のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよく;Yは−Ra−Rb−、−Ra−Rb−Rb−および−Rb−Rb−Ra−から選ばれる基であり、RaはC、O、SまたはNであり、RbはCであり;RaおよびRbのそれぞれはC1〜C4のアルキル基で置換されているか、または非置換であり;Zは、それぞれ5または6個の非水素原子からなる環状基を1〜3個を含む基であり、該環状基のうち、2個以上は縮合していてもよく、1個以上は置換されていてもよく;Z部分は最大15個の非水素原子を有し;YZ間の結合は、YのRaまたはRbと、Zの環状基の1つに属する非水素原子との共有結合である。さらに本発明は、これらの化合物を含む製剤、およびそれらを治療に、特に、抗菌剤または抗腫瘍剤として使用することに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は生物活性分子に関し、詳しくは抗菌活性を示すペプチドに関する。
ペプチドおよびその誘導体は長い間治療上興味深い分子だと考えられてきた。さまざまな生物体が宿主防御機構の一因子としてペプチドを使用する。抗菌性ペプチドは細菌や哺乳類といった多様な種から単離されてきた。一般にこれらのペプチドは正味の正電荷を帯び、細菌の細胞膜の外側のリン脂質二重層と相互作用してα−へリックスまたはβ−シート構造を形成する傾向を有する。ほとんどの場合、抗菌活性の詳細なメカニズムはわかっていないが、クラスL(溶解性)に分類されるペプチドのいくつかは細菌の細胞膜と相互作用し、おそらくイオンチャンネルまたは細孔を形成すると考えられる。
既知の抗菌性ペプチドのほとんどは10以上、主に20以上のアミノ酸を含んでいるが、細菌の細胞膜に陥入し、細孔を形成するために、ペプチド、一般にα−へリックス構造に十分な長さを与えるには、これだけの数のアミノ酸が必要である。このようなメカニズムが、このようなペプチドの大多数が細胞毒性を発揮する一般に受け入れられた方法である。
従来技術での抗菌性ペプチドの合成は難しく、通常は、興味のあるペプチドを得るには培養し、採取することができる細菌またはその他の生物体によってペプチドを合成する必要があり、一般的には翻訳による直接生成物の単離後の追加の加工段階が必要である。もし、より短い活性ペプチドが確認されたならば、アミノ酸構成単位あるいは市販のジ−またはトリ−ペプチドからの合成を用いた経済的生産が可能になるだろう。さらに、ペプチドが短いということは、バイオデリバリーにとって強みになる。鼻腔の毛細血管からの吸入または吸収によって、注射の必要なしに投与することができる抗生物質の需要が高まっている。
新規抗生物質の探索は、既知で広く用いられている薬剤への耐性を示す菌種が増加しているため、特に緊急性を帯びてきている。農業、環境保護および食品安全以外に医薬の分野で作用する菌種には、絶えず新しい抗菌剤を必要とし、望ましくない菌に有効に対抗するために、一定の集団または部位をさまざまな異なる細菌で処理しなければならないかもしれない。
国際公開第01/66147号に開示されるように、実際、膜不安定化を通じて作用すると考えられる小さな抗菌分子、特にペプチドを作り出すことが可能であることが最近示された。
本発明者らは、優れた一連の特徴、特に抗菌活性、低毒性および安定性、すなわち酵素分解耐性を有効に併せ持つ少数の修飾ペプチドを特定した。
つまり式(I)で表される化合物、好ましくはペプチドがその一形態である。
AA−AA−AA−X−Y−Z (I)
順不同に、上記AA(アミノ酸)の部分うち2つは陽イオン性アミノ酸、好ましくはリシンまたはアルギニンであるが、ヒスチジン、またはpH7.0の時に正電荷を持つ、遺伝子によってコードされていない、すなわち遺伝子組み替えしていないアミノ酸であってもよく;上記AAのうち1つは大きな親油性のR基を有するアミノ酸であり、該R基は14〜27個の非水素原子を有し、かつ好ましくは縮合または結合していてもよい環状基を2個以上、例えば2または3個有し、これらの環状基は非水素原子を通常5または6個、好ましくは6個含み;
Xは、分岐もしくは非分岐のC1〜C10のアルキル基またはアリール基(例えば、メチル基、エチル基、フェニル基)で置換されていてもよいが、好ましくは置換されていないN原子であり、この基はN、OおよびSから選ばれるヘテロ原子を最大2つまで含んでもよく;
Yは−Ra−Rb−、−Ra−Rb−Rb−および−Rb−Rb−Ra−から選ばれる基であり、
aはC、O、SまたはN、好ましくはCであり、
bはCであり、RaおよびRbのそれぞれはC1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、
好ましくは、Yは−Ra−Rb−(RaはCであることが好ましい)であり、この基は置換されていないことが好ましいが、Yが−Ra−Rb−Rc−または−Rb−Rb−Ra−であるときはRaおよびRbの1以上は置換されているのが好ましく;
Zは、それぞれ5または6個の非水素原子(好ましくはC原子)からなる環状基を1〜3個を含む基であり、該環状基のうち、2個以上は縮合していてもよく、該環状基のうち、1個以上は置換されていてもよく、これらの置換は、通常含まないだろうが極性基を含んでいてもよく、適当な置換基としてはハロゲン、好ましくは臭素またはフッ素、およびC1〜C4のアルキル基であり、Z部分は最大15個、好ましくは5〜12の非水素原子を含み、より好ましくはフェニル基である。
YZ間の結合は、YのRaまたはRbと、Zの環状基の1つに属する非水素原子との共有結合である。
遺伝子によってコードされていないアミノ酸および変性アミノ酸として、適切に陽イオン性アミノ酸を提供し得るものとしては、トリメチルリシンおよびトリメチルオルニチン以外に、ホモリシン、オルニチン、ジアミノ酪酸、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸およびホモアルギニンなどのリシン、アルギニンおよびヒスチジンの類似体;4−アミノピペリジン−4−カルボン酸;4−アミノ−1−カルバムイミドイルピペリジン−4−カルボン酸ならびに4−グアニジノフェニルアラニンが挙げられる。
大きな親油性のR基はO、NまたはSのようなヘテロ原子を含んでもよいが、一般的にはへテロ原子が1個だけ含まれ、それが窒素であることが好ましい。このR基は極性基を2個以上含まないのが好ましく、含まないか1個だけ含むのがより好ましく、含まないのが最も好ましい。
本発明の化合物の好ましい態様は、式(II)で表されるペプチドである。
AA1−AA2−AA1−X−Y−Z (II)
AA1は陽イオン性アミノ酸、好ましくはリシンまたはアルギニンであるが、ヒスチジン、またはpH7.0の時に正電荷を持つ、遺伝子によってコードされていない、すなわち遺伝子組み替えしていないアミノ酸であってもよく;
AA2は大きな親油性のR基を有するアミノ酸であり、該R基は14〜27個の非水素原子を有し、かつ好ましくは縮合または結合していてもよい環状基を2個以上、例えば2または3個有し、これらの環状基は非水素原子を通常5または6個、好ましくは6個含み;
X、YおよびZは上記のように定義される。
本発明の化合物にはさらに式(III)および(IV)で表される化合物が含まれる。
AA2−AA1−AA1−X−Y−Z (III)
AA1−AA1−AA2−X−Y−Z (IV)
AA1、AA2、X、YおよびZは上記のように定義される。しかし、式(II)で表される分子が好ましい。
上記化合物の中では特定のものが好ましい。具体的には、大きな親油性のR基を有するアミノ酸(ここでは便宜上AA2という)としては、トリブチルトリプトファン(Tbt)あるいはBip(4−(2−Naphthyl))、Bip(4−(1−Naphthyl))、Bip(4−n−Bu)、Bip(4−Ph)またはBip(4−T−Bu)などのビフェニルアラニン誘導体が挙げられるが、Bip(4−(2−Naphthyl))およびTbtが最も好ましい。
上記したようにYが−Ra−Rb−であるもの、好ましくはRaおよびRbが置換されていないもの、最も好ましくはRaおよびRbがいずれも炭素原子であるものが化合物のもう一つの好ましい基である。
−X−Y−Zは、合わせて−NHCH2CH2Ph基であるものが化合物のさらに好ましい基である。
化合物はすべてのエナンチオマー型、すなわち、D−およびL−アミノ酸、ならびにアミノ酸のR基、およびYまたはZの部分の中にあるキラル中心に起因するエナンチオマーを含む。
最も好ましい化合物を以下に挙げる。
Figure 2011507822
さらなる態様は、治療用、特に抗菌薬(抗菌)剤だけではなく抗癌剤にも用いられる、式(I)、(II)、(III)または(V)で表される化合物である。本発明に係る分子は、抗真菌薬としての効果もあり、それ自体および真菌感染症の治療(予防も含む)方法における用途は本発明のさらなる形態を構成する。本発明に係る分子は爪甲真菌症(onchyomycosis)の治療に特に好適である。本発明に係る好ましい分子は、抗真菌薬および抗菌剤のいずれとしても活性である。
このような抗菌性分子には、例えば、農業あるいは家庭内または工業上の状況での微生物汚染を受けやすい物質への殺菌剤といった非治療的用途もある。したがって、本発明のさらなる側面によると、本発明に係る分子には抗菌薬剤、特に抗菌剤としての用途があることを提供するものである。
上記分子は抗菌活性を示し、特に膜に直接影響を与えるメカニズムを介して細胞毒性を示すので、膜作用性抗菌薬剤と呼ばれている。これらの分子は溶解し、細胞膜を不安定化し、穿孔することさえある。このことは、細胞表面受容体などの標的細胞のタンパク質成分に作用したり、相互作用する薬剤に対する明確な治療上の利点である。突然変異が抗生物質に対する耐性を引き起こす新しい型の標的タンパク質を形成しても、細胞毒性を回避するために脂質膜への急激な変化が起こる可能性は非常に低い。溶解効果は非常に急速な細胞死を引き起こすため、増殖する機会を得る前に細菌を殺すという利点がある。さらに、上記分子は、例えばタンパク質合成の抑制能といった標的微生物を殺すか損なうという他の有用な性質を持っているため、マルチターゲットである。
したがって、さらなる態様において、本発明は、微生物の細胞膜を不安定化および/または透過化するのに用いられる分子を提供するものである。「不安定化」というのは、膜の薄層化や、細菌の呼吸器系をも害する水、イオンまたは代謝物などに対する膜透過率の増大(主にチャンネル以外)を含んでいてもよい脂質二重層の通常の三次元配置の摂動を意味する。
N−置換グリシンがすべてAA単位であると考えられるように、αアミノ酸以外に、βおよびγアミノ酸も「アミノ酸」という用語には含まれる。本発明に係る分子は、βペプチドおよびデプシペプチドを含む。
式(I)〜(IV)で表される化合物はペプチド擬似体および記載されたペプチドのペプチド擬似体であってもよいので、本発明の別の特徴としてここに記載する。ペプチド擬似体は一般的に、ペプチドと等価物であるがペプチド結合がしばしばより安定な連鎖によって置換されているものの極性、三次元的な大きさおよび機能性(生物活性)を保持することによって特徴付けられる。「安定な」は、加水分解性酵素の酵素分解に対し、より耐性があるという意味である。一般的にアミド結合に代わる結合(アミド結合の代用物)は、立体配座、立体的かさ高さ、静電的性質または水素結合形成能などのアミド結合の性質の多くを維持する。Krogsgaard、Larsen、LiljeforsおよびMadsen編、「Drug Design and Development」、Horwood Acad. Pub、1996年の第14章には、ペプチド擬似体の設計および合成のための技術の全般的な議論が開示されている。本発明のように分子が酵素の特定の活性部位ではなく膜と反応する場合、親和性および有効性の正確な模倣、または基質の機能について述べた問題のいくつかは関わりがなく、ペプチド擬似体は所定のペプチド構造または必須官能基のモチーフに基づいて容易に合成される。適切なアミド結合代用物は以下のように分類される:N−アルキル化(Schmidt, R.他、「Int. J. Peptide Protein Res.」、1995年、第46号、p. 47);レトロインバース(retro-inverse)アミド(Chorev, MおよびGoodman, M、「Acc. Chem. Res.」、1993年、第26巻、p. 266);チオアミド(Sherman D.B.およびSpatola, A.F.、「J. Am. Chem. Soc.」、1990年、第112巻、p. 433);チオエステル、ホスホネート、ケトメチレン(Hoffman, R.V.およびKim, H.O.、「J. Org. Chem.」、1995年、第60巻、p. 5107);ヒドロキシメチレン、フルオロビニル(Allmendinger, T.他、「Tetrahydron Lett.」、1990年、第31巻、p. 7297);ビニル、メチレンアミノ(Sasaki, YおよびAbe, J.、「Chem. Pharm. Bull.」、1997年、第45巻、p. 13);メチレンチオ (Spatola, A.F.、「Methods Neurosci.」、1993年、第13号、p. 19);アルカン(Lavielle, S.他、「Int. J. Peptide Protein Res.」、1993年、第42号、p. 270);ならびにスルホンアミド(Luisi, G.他、「Tetrahedron Lett.」、1993年、第34巻、p. 2391)。
本発明に係るペプチド擬似化合物は、大きさおよび機能がアミノ酸(AAユニット)と大体同じである3つの特定可能なサブユニットを有する。したがって、ここでは便宜上、「アミノ酸」の用語はペプチド擬似化合物と同等のサブユニットを指すのに用いられる。さらに、ペプチド擬似体はアミノ酸のR基に相当する基を有するので、適当なR基ならびにNおよびC末端修飾基に関するここでの議論は、変更すべきところは変更すれば、ペプチド擬似化合物にあてはまる。
上述したテキストにおいて述べたように、ペプチド擬似体は、アミド結合の置換と同様により大きな構造部分をジ−またはトリ−ペプチド擬似構造で置換することにも関与しており、この場合、アゾールから誘導される擬似体のようなペプチド結合を含む擬似部分をジペプチド代替物として用いてもよい。しかしながら、ペプチド擬似体、そしてアミド結合が上述のように置換されたペプチド擬似骨格が好ましい。
適切なペプチド擬似体としては、アミド結合がボランや水素化アルミニウムリチウムのような水素化物試薬などの還元剤で処理することによりメチレンアミンまで還元された、還元ペプチドが挙げられる。このような還元は分子の分子全体の陽イオン性を増大できるという追加利点がある。
その他のペプチド擬似体としては、アミド官能化されたポリグリシンの段階的合成によって形成されたペプトイドが挙げられる。
ペプチド擬似骨格は、完全メチル化されたペプチドのような、そのペプチド前駆体から容易に得られる。なお、完全メチル化の適切な方法はOstresh, J.M.他、「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」、1994年、第91巻、p.11138−11142に記載されている。N−メチル化はO−メチル化よりも強い塩基性条件を必要とし、ペプチド結合中の一部またはすべての窒素原子およびN−末端の窒素をメチル化する。
好ましいペプチド擬似骨格としては、置換アルカンおよび置換アルケンの他にポリエステル、ポリアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。ペプチド擬似体は、本明細書で説明したように修飾されていてもよいNおよびC末端を含んでいるのが好ましい。
本発明は、ここで説明した種々の分子を投与することによる細菌感染の治療方法を提供する。同様に、微生物の細胞膜を不安定化する方法が提供される。投与量は、標的微生物を全部または部分的に殺すのに有効であり、繁殖を止めるかまたは低下させるのに有効であり、あるいは逆に体への悪影響を少なくために有効な量でなければならない。臨床医や患者は、感染と関係がある1以上のパラメータや症状において改善が認められることに気付くべきだろう。投与は予防のために行ってもよい。
本発明に係るペプチドは任意の便利な方法で合成すればよい。一般に、存在する反応基(例えば、アミノ、チオールおよび/またはカルボキシル)は全合成中、保護されていてもよい。したがって、合成の最終工程は、保護基の付いた誘導体の脱保護になるだろう。
ペプチドを構築するには、原則としてN末端かC末端のどちらかから始めるが、C末端から始める手順が好ましい。
ペプチドの合成方法は技術的には周知であるが、本発明では技術的に周知の固相担体を利用した合成を行うのが特に利便性が高い。
アミノ酸の保護基は幅広く選択できることが知られるが、適切なアミン保護基としては、カルボベンゾキシ(Zとも表す)、t−ブトキシカルボニル(Bocとも表す)、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmocとも表す)が挙げられる。ペプチドがC末端側から構築されるとき、アミン保護基は付加されたそれぞれの新しい残基のα−アミノ基上に存在し、次のカップリング工程の前に選択的に除去する必要がある。
例えば、使用できるカルボキシル保護基としては、例えば、ポリスチレンに結合したメチル基のような固相担体上の結合基以外に、ベンジル(Bzl)、p−ニトロべンジル(ONb)、ペンタクロロフェニル(OPClP)、ペンタフルオロフェニル(OPfp)またはt−ブチル(OtBu)のような容易に開裂したエステル基が挙げられる。
チオール保護基としては、p−メトキシベンジル(Mob)、トリチル(Trt)およびアセトアミドメチル(Acm)が挙げられる。
アミン−およびカルボキシル−保護基を除去するにはさまざまな手法がある。しかしながらこれらは用いられる合成戦略と一致していなければならない。側鎖保護基は、次のカップリング工程の前にα−アミノ保護基による仮保護を除去するのに用いられる条件において安定でなければならない。
Bocなどのアミン保護基およびtBuなどのカルボキシル保護基は、例えば、トリフルオロ酢酸のような酸処理によって同時に除去することができる。Trtなどのチオール保護基は、ヨウ素などの酸化剤を使って選択的に除去することができる。
本発明に係るペプチド擬似化合物および他の生物活性化合物を合成するための参照文献や方法は、以下に説明するように公知技術である。
適切な希釈剤、担体または賦形剤と混合に本発明の化合物を含む製剤は、本発明のさらなる態様を構成する。このような製剤は、製薬(動物用を含む)目的または農業目的あるいは食品産業などにおいて微生物汚染を受けやすい物質のための殺菌剤に特に好適である。適切な希釈剤、賦形剤および担体は当業者に知られたものである。
ここに定義するペプチドは広い抗菌活性を有するため、抗ウイルス薬および抗真菌薬として適しており、薬物および農業に応用できる。また、創傷治療や殺***剤の促進剤として適している。これらの用途はすべて本発明のさらなる態様を構成する。
細菌、ウイルスまたは真菌による感染症を治療または予防する方法、あるいは人間または動物患者に、ここに定義するペプチドまたはペプチド擬似体の1種以上を投与して腫瘍を治療する方法は本発明のさらなる態様を構成する。
本発明に係る組成物は、例えば、口腔、鼻腔、非経口、静脈内、腫瘍内または直腸投与に適した形態で提供することができる。
ここで用いられるように、「製薬の」の用語は、本発明の動物への応用を含む。
ここに定義する活性化合物は、タブレット、コーティング錠、経鼻噴霧剤、液剤、乳剤、リポソーム、粉薬、カプセルまたは持続放出形態などの通常の薬理学的な投与形態で提供される。
ペプチドは糖尿病性潰瘍や爪甲真菌症などの真菌感染症の治療における局所的な投与に特に適している。局所的投与のための製剤としては、ジェル、クリーム、ローション、ペーストまたはその他の調合液であって、水より高い粘性を持つものであることが好ましい。局所的投与のためのさらなる製剤としては、本発明の化合物を含浸させた包帯剤やガーゼ剤などが挙げられる。こうした材料に含浸させれば、本発明の化合物を含む調合液は水より粘性を高くする必要がない。これらを調製するには、通常の方法で製造する以外に従来の医薬品賦形剤が用いられる。例えば、タブレットは、有効成分または成分と既知の賦形剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはラクトースなどの希釈剤、コーンスターチまたはアルギン酸などの崩壊剤、デンプンまたはゼラチンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウムまたはタルク粉などの滑剤、および/またはカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレートまたはポリ酢酸ビニルなどの徐放性を得るための剤とを混合することにより製造することができる。
タブレットは必要に応じて数層からなる。コーティング錠は芯をコーティングすることにより製造され、例えば、ポリビニルピロリドン、シェラック、アラビア・ゴム、タルク粉、二酸化チタンまたは砂糖などのタブレットコーティングに通常用いられる剤を使って、タブレットの製造と同様の方法で製造される。徐放性を得るため、また不適合を避けるため、芯も数層からなっていてもよい。コーティング錠は徐放性を得るために数層からなっていてもよく、その場合、タブレット化のための上記賦形剤を使用してもよい。
器官特異的なキャリアシステムも用いることができる。
例えば、注射液はp−ヒドロキシベンゾエートなどの保存料やEDTAなどの安定剤を添加するなどの従来の方法で製造することができる。それから、液剤を注射剤のバイアルまたはアンプルに入れる。
投与の好ましい方法である経鼻噴霧剤は、水性液剤と同様に調合され、エアゾール噴射剤か、手で押す方法が備わった噴霧容器に充填する。1種または数種の有効成分の入ったカプセルは、有効成分と、ラクトースやソルビトールなどの不活性担体とを混合し、該混合物をゼラチンカプセルに入れることによって製造することができる。
適切な座薬は、例えば、有効成分または有効成分の組み合わせと、天然油脂、ポリエチレングリコールまたはこれらの誘導体など、この目的を想定した従来の担体とを混合することにより製造することができる。
上記活性分子を含む投薬単位には、抗菌剤が0.1〜10mg、例えば1〜5mg含まれていることが好ましい。また、医薬組成物は他の抗微生物ペプチドなどの他の細胞毒性薬を含む、さらに効果のある成分を含んでもよい。他の有効成分は異なる種類の抗生物質、IFN−γ、TNF、CSFおよび成長因子などのサイトカイン、免疫調整剤ならびにシスプラチンおよび抗体などの化学療法薬を含んでいてもよい。
生物活性分子は一般的に、局所用組成物に用いられるとき、少なくとも0.1重量%の量で存在する。ほとんど場合、1.0重量%を超える量でペプチドを用いる必要はない。
このような組成物を全身的に(筋肉内、静脈内、腹腔内)用いることによって、活性分子は生物活性分子の血中濃度が少なくとも約5μg/mlに達するような量で存在する。一般に血中濃度は500μg/mlを超える必要はない。好ましい血中濃度は約100μg/mlである。そのような血中濃度は、生物活性分子を1〜約10mg/kgという量で全身的に投与されるよう組成物中に導入することによって達成される。一般に上記分子を100mg/kgを超える量で投与する必要はない。
食料および食料生産地のみならず、環境もしくは農業用地または生産物、あるいは例えば病院環境での表面または道具を、生菌数を減らし、細菌増殖や再生を示しまたは制限するために、本発明に係る分子の1種以上を用いて処理する方法は、本発明のさらなる態様を構成する。
次の実施例および図は本発明をさらに説明するものであるが、本発明はこれらに限定されない。
図1は、ネズミの皮膚感染モデルの黄色ブドウ球菌FDA486に対し、化合物2を用いて1日局所治療を行った効果を示すグラフである。コロニー形成単位数(CFU)はY軸に示し、マウスに適用した局所治療の種類はX軸に示す。 図2は、ネズミの皮膚感染モデルの化膿連鎖球菌に対し、化合物2を用いて1日局所治療を行った効果を示すグラフである。コロニー形成単位数(CFU)はY軸に示し、マウスに適用した局所治療の種類はX軸に示す。 図3は、製剤により誘導されるクエンチ後のATPの回復の比較、およびそれらの既知濃度の標準との比較を示すグラフである(実施例5)。 図4は、異なる製剤を適用した後のATP放出の比較を示すグラフである(実施例5)。
[実施例1]
[本発明の分子のインビトロ活性]
2.0 原料および方法
2.1 抗菌剤
予め秤量した化合物1および2のバイアルはLytix Biopharma ASにより提供された。
Figure 2011507822
2.2 細菌分離株
この研究において使用する細菌分離株は、GR Micro Ltd.が保管する世界各地の調達源から来ており、非希釈ウマ血清の高タンパク質基質中に存在する高密度懸濁液として、最小限の継代培養で−70℃で冷凍保存されている。使用される種およびそれらの特徴を表1に示す。これらは54のグラム陽性菌、33のグラム陰性菌、10の真菌を含んでいた。
2.3 最小発育阻止濃度(MIC)の測定
MICはClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI、旧NCCLS)によって発行された微量液体希釈法による抗菌薬感受性試験で求めた。
M7−A6、第23巻、第2号、2003年1月、好気的に増殖する細菌の希釈法による抗菌薬感受性試験;承認された基準−第6版
M100−S15、第25巻、第1号、2005年1月、抗菌薬感受性試験実施基準;第15の補足情報
M11−A6、第24巻、第2号、嫌気性菌の抗菌薬感受性測定法;承認された基準−第6版
M27−A2、第22巻、第15号、液体希釈法による酵母の抗真菌薬感受性試験の標準法;承認された基準−第2版
M38−A、第22巻、第16号、液体希釈法による糸状菌の抗真菌薬感受性試験の標準法;承認された基準
MIC測定はGR Micro Ltd.で調製された抗菌剤または抗真菌剤を含む湿板を用いて行われた。
陽イオン調整済みミューラー・ヒントンブロス(オキソイド社(ベイジングストーク、イギリス)製およびトレック・ディアグノスティック・システムズ社(イースト・グリンステッド、イギリス)製)(連鎖球菌属、コリネバクテリウム・ジャイカムおよびリステリア菌に5%ウマ溶解血を添加)を初回接種時のコロニー形成単位数(CFU)/mLが約105の状態で使用した。
ヘモフィルス試験培地(0.5%酵母抽出物、ならびにヘマチンおよびNAD(いずれもオキソイド社製、ベイジングストーク、イギリス)を15mg/Lずつ含むヘモフィルス試験培地補充物を含むミューラー・ヒントンブロス)がインフルエンザ菌に対して用いられ、約105 CFU/mLの量で接種された。
添加ブルセラブロス(SBB)を約106 CFU/mLの接種剤を用いて嫌気性菌体に対して使用された。SBBは1%ペプトン、0.5%ラブ‐レムコ、1%グルコースおよび0.5%塩化ナトリウムからなるブロスに、5μg/Lのヘミンおよび1μg/LのビタミンK(いずれもシグマアルドリッチ社製)を添加したものである。
酵母および糸状菌のMIC測定はMOPS buffered RPMI 1640培地中で行った(MOPS bufferはシグマアルドリッチ社製、RPMI 1640はインヴィトロジェン社製、ペイズリー、スコットランド)。酵母接種は7.5x102〜4x103 CFU/mLであり、糸状菌接種は約8x103〜1x105 CFU/mLであった。
通常の慣行に従って、ミューラー・ヒントンブロスを含むすべてのプレートを予め用意し、調製日に−70℃で凍結し、使用日に解凍した。真菌性、ヘモフィルス性および嫌気性の菌のMICはいずれも同日に調製したプレート上で測定した。
凍結がペプチドの活性に影響を与えるかどうかを評価するため、いくつかのMICは新たに調製したミューラー・ヒントンブロスを含んだプレートを使って繰り返し測定した。
2.4 対照菌株
以下の対照(標準)菌株を試験菌株のパネルに含有させた。
大腸菌 Escherichia coli(ATCC 25922)
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus(ATCC 29213)
大便連鎖球菌 Enterococcus faecalis(ATCC 29212)
肺炎球菌 Streptococcus pneumoniae(ATCC 49619)
緑濃菌 Pseudomonas aeruginosa(ATCC 27853)
カンジダ・クルセイ Candida krusei(ATCC 6258)
以下の対照菌株は試験菌株のパネルに追加的に用いられ、必要に応じて、対照薬が範囲内であることを確認するために含有させた。
インフルエンザ菌 Haemophilus influenza(ATCC 49247)
カンジダ・パラシローシス Candida parapsilosis(ATCC 22019)
バクテロイデス・フラギリス Bacteroides fragilis(ATCC 25285)
エッゲルセラ・レンタ Eggerthella lenta(ATCC 43055)
3.0 結果
結果をシングルライン表示で表1に示す。繰り返し対照菌株の結果を表2に示す。凍結保存した、あるいは新たに調製したミューラー・ヒントンブロスを含むプレートからの結果を含め、対照菌株の結果は高度に再現性のあるものであることがわかる。なお、プレートを凍結しても、他の細菌株に対するMICに影響はなかった。
得られたMICの結果は非常に有望なものであり、ペプチドがかなり広い活性スペクトルを持つことを示している。
Figure 2011507822
Figure 2011507822
Figure 2011507822
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[実施例2]ペプチド合成
[化学薬品]
保護アミノ酸Boc−Trp−OH、Boc−Arg−OH、Boc−4−phenyl−PheおよびAc−Arg−OHはバッケム社から購入し、Boc−4−ヨードフェニルアラニン、Boc−3,3−ジフェニルアラニン、Boc−(9−アントリル)アラニンはアルドリッチ社から購入した。ペプチドのC末端を形成する、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、(R)−2−フェニルプロピルアミン、(S)−2−フェニルプロピルアミン、N,N−メチルベンジルアミン、N,N−エチルベンジルアミンおよびN,N−ジベンジルアミンは、N−エチルベンジルアミンをアクロス社から購入した以外は、フルカ社から購入した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt)、クロロトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyCloP)およびo−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)は、フルカ社から購入した。4−n−ブチルフェニルボロン酸、4−t−ブチルフェニルボロン酸、4−ビフェニルボロン酸、2−ナフチルボロン酸、トリ‐o−トリルホスフィン、ベンジルブロミドおよび酢酸パラジウムはアルドリッチ社から購入した。溶媒はメルク社、リーデルデハーン社またはアルドリッチ社から購入した。
[アミノ酸の調製]
Boc−2,5,7−トリ−t−ブチルトリプトファン−OHの調製:H2N−Trp−OH(1.8g、8.8mmol)およびt−BuOH(4.7g、63.4mmol)の混合物をトリフルオロ酢酸(19mL)中、70℃で3時間撹拌する。得られたダークブラウンで半透明な溶液を室温で30分間かけてロータリーエバポレーターで濃縮し、7重量% NaHCO3を60mL滴下することによって粉砕する。得られた灰白色の粒状固体を真空ろ過によって回収した後、室温で24時間真空乾燥する。生成物は、沸点の近接する混合物である40%エタノール水溶液から結晶化することにより分離される。その量は一般に粗生成物1gに対し、約20mLである。
粗生成物からの最初の結晶化によって、サンプルに含まれるその他のすべての物質に対し、80〜83%、既知のTBT類似体に対し約94〜95%の純度(HPLC)の生成物が分離される。この段階での収率は60〜65%である。
Boc−4−ヨードフェニルアラニンのベンジル化:Boc−4−ヨードフェニルアラニン(1当量)を90%メタノール水溶液に溶解させ、弱アルカリ性のpHになるまで(リトマス試験紙で確認)炭酸セシウムを添加することにより中和した。溶媒はロータリーエバポレーターで除去し、Boc−4−ヨードフェニルアラニンのセシウム塩中に残存する水をトルエンでの共沸蒸留を繰り返すことによりさらに減少させた。得られた乾燥した塩をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、ベンジルブロミド(1.2当量)を添加した混合物を6〜8時間撹拌した。反応終了後、DMFを減圧除去すると、標題の化合物を含むオイルが生ずる。このオイルを酢酸エチルに溶解させ、等体積のクエン酸溶液(3回)、炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で洗浄する。標題の化合物は、ジクロロメタン:酢酸エチル(95:5)を溶離液とするフラッシュクロマトグラフィーにより淡黄色のオイルとして収率85%で単離された。結晶状のベンジル Boc−4−ヨードフェニルアラニンがn−ヘプタンからの再結晶により得られた。
鈴木カップリングの一般的な手順: ジメトキシエタン(6ml/mmolベンジル Boc−4−ヨードフェニルアラニン)および水(1ml/mmolベンジル Boc−4−ヨードフェニルアラニン)の混合物を脱気後、ベンジル Boc−4−ヨードフェニルアラニン(1当量)、アリールボロン酸(1.5当量)、炭酸ナトリウム(2当量)、酢酸パラジウム(0.05当量)およびトリ−o−トリルホスフィン(0.1当量)を添加した。反応混合物をアルゴン下に保ち、80℃に4〜6時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物をシリカゲルおよび炭酸ナトリウムの短パッドを通してろ過する。フィルターケーキはさらに酢酸エチルで洗浄した。ろ液を合わせ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチルおよびn−ヘキサンの混合物を溶離液とするフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物が単離された。
Boc−Bip(n−Bu)−OBnの調製:鈴木カップリングの一般的な手順を用いて、4−n−ブチルフェニルボロン酸から標題の化合物を収率53%で調製した。Boc−Bip(n−Bu)−OBnは酢酸エチル/n−ヘキサン(80:20)溶離液を用いて単離された。
Boc−Bip(t−Bu)−OBnの調製:鈴木カップリングの一般的な手順を用いて、4−t−ブチルフェニルボロン酸から標題の化合物を収率79%で調製した。Boc−Bip(t−Bu)−OBnは酢酸エチル/n−ヘキサン(80:20)溶離液を用いて単離された。
Boc−Bip(4−Ph)−OBnの調製:鈴木カップリングの一般的な手順を用いて、4−ビフェニルボロン酸から標題の化合物を収率61%で調製した。Boc−Bip(4−Ph)−OBnは粗生成物をn−ヘプタンを用いて再結晶することにより単離された。
Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OBnの調製:鈴木カップリングの一般的な手順を用いて、2−ナフチルボロン酸から標題の化合物を収率68%で調製した。Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OBnは粗生成物をn−ヘプタンを用いて再結晶することにより単離された。
Boc−Bip(4−(1−Naphthyl))−OBnの調製:鈴木カップリングの一般的な手順を用いて、2−ナフチルボロン酸から標題の化合物を調製した。Boc−Bip(4−(1−Naphthyl))−OBnは粗生成物をn−ヘプタンを用いて再結晶することにより単離された。
ベンジルエステルの脱エステル化の一般的な手法:ベンジルエステルをDMFに溶解させ、パラジウム/炭素(Pd10%)を触媒として用いて、大気圧下で2日間水素添加した。反応の終わりに、触媒をろ過により除去し、溶媒を減圧下で除去する。遊離酸はジエチルエーテルからの再結晶により分離する。
Boc−Bip(4−n−Bu)−OHの調製:脱エステル化の一般的な手順を用いて、Boc−Bip(n−Bu)−OBnから標題の化合物を収率61%で調製した。
Boc−Bip(4−t−Bu)−OHの調製:脱エステル化の一般的な手順を用いて、Boc−Bip(t−Bu)−OBnから標題の化合物を収率65%で調製した。
Boc−Bip(4−Ph)−OHの調製:脱エステル化の一般的な手順を用いて、Boc−Bip(4−Ph)−OBnから標題の化合物を収率61%で調製した。
Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OHの調製:脱エステル化の一般的な手順を用いて、Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OBnから標題の化合物を収率68%で調製した。
Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OHの調製:脱エステル化の一般的な手順を用いて、Boc−Bip(4−(2−Naphthyl))−OBnから標題の化合物を収率68%で調製した。
HBTUを用いた液相ペプチド合成の一般的な手順:以下の一般的な手法に従い、ペプチドはBoc保護法を用いたアミノ酸の段階的なカップリングにより液相中で合成された。遊離アミノ基(1当量)およびBoc保護したアミノ酸(1.05当量)を有するC末端ペプチド部分ならびに1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt)(1.8当量)を、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.8当量)を添加する前に、DMF(アミノ成分が2〜4ml/mmol)に溶解させた。混合物は氷上で冷却し、o−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(1.2当量)を添加した。反応混合物を1〜2時間、室温で振盪させた後、酢酸エチルで希釈し、クエン酸、炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。溶媒は減圧下で除去し、得られたペプチドのBoc保護基は無水メタノール中の95%TFAまたは塩化アセチルを用いて暗所で脱保護した。
PyCloPを用いた液相アミド形成:Boc−Arg−N(CH2Ph)2の合成:Boc−Arg−OH(1当量)、NH(CH2Ph)2(1.1当量)およびPyCloP(1当量)を乾燥DCM(アルミナでろ過)(2ml)およびDMF(1ml)に溶解させた溶液:溶液を氷上で冷却し、DIPEA(2当量)を撹拌しながら添加した。溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発させた後、酢酸エチルに再溶解させ、クエン酸、炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。溶媒は減圧下で除去し、得られたペプチドのBoc保護基は95%TFAを用いて暗所で脱保護した。
ペプチドの精製および分析:水およびアセトニトリル(いずれも0.1%TFAを含む)の混合物を溶離液とし、デルタパック(Delta−Pak)(ウォーターズ社製、C18カラム、100Å、15μm、25×100mm)の逆相HPLCを用いて精製した。ペプチドは、分析用デルタパック(Delta−Pak)(ウォーターズ社製、C18カラム、100Å、5μm、3.9×150mm)のRP−HPLCおよびVG Quattro四重極質量分析計(VGインスツルメンツ社製、オルトリンガム、イギリス)による陽イオンエレクトロスプレー質量分析法により分析した。
[実施例3]トリプシン分解に対する安定性
式AA1−AA2−AA1−NHCH2CH2Phで表わされる化合物のトリプシン耐性および抗菌活性を調べた。
[ペプチドの半減期の測定および計算]
それぞれのペプチドを0.1M NH4HCO3緩衝液(pH6.5)に溶解させ、最終的なペプチド濃度を1mg/mlとした。トリプシン1mgを0.1M NH4HCO3緩衝液(pH8.2)50mlに溶解させてトリプシン溶液を調製した。安定性の確認のため、新たに調製したトリプシン溶液250μl、およびペプチド溶液250μlをロッキングテーブル上で37℃下、0.1M NH4HCO3緩衝液(pH8.6)2ml中でインキュベートした。0.5mlのアリコートを様々な時間間隔でサンプリングし、1%TFAを含む水:アセトニトリル(60:40 v/v)0.5mlで希釈し、上述したRP−HPLCで分析した。37℃で0時間および20時間後に採取したトリプシン非添加のサンプルは陰性対照とした。分析の最初の5時間中に採取したサンプルの254nmにおけるピーク領域の積算はτ1/2を出すのに使用された。最初の24時間中に分解しなかったペプチドは安定だと分類された。
[抗菌性試験]
黄色ブドウ球菌ATCC 25923株、メチシリン耐性 黄色ブドウ球菌(MRSA)ATCC 33591株およびメチシリン耐性 表皮ブドウ球菌(MRSE)ATCC 27626株)のMICは、標準法を用いてToslab ASにより測定した;D.アムステルダム(Amsterdam)著、「液状培地での抗菌剤の感受性試験」、Antibiotics in Laboratory Medicine、第4版(Lorian,V.,Ed.)、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ社、ボルチモア、1996年、p.75−78
Figure 2011507822
[実施例4]化合物2のインビトロ活性
マウスの皮膚を黄色ブドウ球菌または化膿連鎖球菌に感染させ、3時間間隔で合計3回の処置を行った。最後の処置から3時間後、皮膚生検体を集め、皮膚サンプル中にあるコロニー形成単位数(CFU)を計測した。
結果をマウス1匹当たりのコロニー形成数として、図1および2に示す。
実験1(図1)では、クリームまたはジェルに化合物2を2%(w/w)含有させたものとして、ネズミの皮膚に塗布した。化合物2を含まない同じクリームまたはジェルを陰性対照(プラセボ)として用いた。化合物2を含むクリームまたはジェルをネズミの皮膚に塗布したとき、陰性対照と比べ、CFUの数が減少することが明確に示され、化合物2が黄色ブドウ球菌に対して抗菌作用を発現したことを示している。担体、クリームまたはジェルの性質は重要な作用を発現しなかった。
実験2(図2)では、化合物2を1%または2%のジェルとして2つの異なった濃度で投与した。プラセボジェルおよび既知の抗菌薬「バクトロバン」をコントロールとして使用した。化合物2を含むジェルは、プラセボジェルやバクトロバンよりもCFUの数を減少させるのに効果的であったことがわかる。化合物2を2%含むジェルは、化合物2を1%しか含まないジェルよりも効果を示した。
[実施例5]感染した爪のモデルにおける紅色白癬菌に対する化合物2のex vivo有効性
この試験の目的は、爪甲真菌症の治療のために、化合物2の抗菌効果(実施例1において説明)を調べることと、これを、ヒトの爪を使ってインビトロでTCCTTM感染させた爪モデルであるメドファーム社で販売のロセリル(登録商標)と比較することであった。
[材料]
試験項目1はHCl塩としての化合物2である。参照項目1はロセリル(登録商標)ネイルラッカーである。
Figure 2011507822
[試験方式]
ChubTur(登録商標) System
・ChubTur(登録商標) Test Systemはメドファーム社によって作成された。
・ChubTur(登録商標) Test Systemは、供給源の詳細が下記のとおりであるT.rubrumを試験菌として用いて確立された。
・ChubTur(登録商標) Test Systemはその周辺温度で設定された。ただし、最終細胞のインキュベーションの温度は25±2℃である。
T.rubrum
T.rubrumを接種したサブロー・デキストロース寒天(SDA)斜面はカーディフ大学から入手した。培養物を最初に爪甲真菌症の患者から単離した。受け取り後直ちに新しいSDA斜面上25℃で7日間、継代培養し、参照サンプルはグリセロール溶液中に入れ、極低温にして凍結させた。微生物は残存率を維持するために、3カ月ごとに継代培養した。培養物は、継代培養の後7日間25℃で保存し、必要になるまで2〜8℃で保存した。
[方法]
<予備実験>
化合物2の調製
化合物2の飽和溶液は、10mgの化合物2を脱イオン水1mlに溶解させたものを用いて調製した。終夜撹拌した後、混合物を13,000rpmで5分間遠心分離し、上澄みを除去した、2〜8℃で14日間を超えない程度に保存した。
プラセボは脱イオン水のみで調製した。
<微生物懸濁液の調製>
サブロー・デキストロース寒天の調製
簡単に言えば、65gの粉状のSDAを1Lの脱イオン水に添加した。寒天が目に見えて溶解するまで混合物を加熱した。その後、オートクレーブ中、121℃で15分間殺菌し、56℃まで冷却してから、25mlを滅菌した90mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿は使用前に、ラミナーフローキャビネット内で蓋をわずかに(1cm程度)開けて30分間放置した。
リンゲル液の調製
リンゲル液はSOP 3080に記載されているように調製した。この溶液をオートクレーブ中、121℃で15分間殺菌した。
T.rubrumの懸濁液の調製
(i)90mmのSDAプレートにT.rubrumを添加し、斜面培養物から菌糸体や胞子を滅菌綿棒でそっと除去し、それを寒天表面に移した。
(ii)寒天プレートを25℃で7日間インキュベートした。
(iii)リンゲル液(20ml)で白色の胞子をプレート表面から洗い流した。
(iv)胞子懸濁液を滅菌ガーゼ(Smith+Nephew,Propax,7.5cm×7.5cm,8層織りガーゼスワブ,BP Type 13)でろ過して菌糸体や寒天の細片を除去した。
(v)胞子懸濁液の生菌数を計測し、胞子を適宜希釈または濃縮することにより、最終体積を20ml中、胞子数が約1×107cfu/mlとなるように調節した。
爪の準備
ヒトの爪先端を切って3mm×3mmの切片とする前に、爪を冷凍庫から取り出し、ラミナーフローキャビネット内に30分間置いて室温まで平衡化させた。その後、爪をそれぞれ以下のように軽く洗った:
(i)爪を70%エタノール水溶液に浸し、1分間ボルテックスした。
(ii)エタノール溶液をデカントし、新しい70%エタノール溶液で置換し、さらに1分ボルテックスした。
(iii)エタノール溶液をデカントし、リンゲル液で置換し、1分間ボルテックスし、デカントし、新しいリンゲル液で置換した。このリンゲル液で洗浄するプロセスは3回行い、各段階で洗浄溶液を交換した。
(iv)洗浄プロセスが終わったら、爪を滅菌したペトリ皿に蓋をせずに置き、室温で30分間、ラミナーフローキャビネット内で風乾させた。
方法の説明:ChubTur(登録商標) cells
ChubTur(登録商標) cellsは以下のように用いた。
(i)爪を準備したら、ChubTur(登録商標) cellsを組み立てる前に、それぞれの爪の厚みをノギスで測定した。
(ii)まず、T.rubrum(〜1×107cfu/mlを5μL)を爪の裏側に接種し、ラミナーフローキャビネット内で乾燥させ、ChubTur(登録商標) cellに背面を上にして載せた。receptor chamber(4.4±0.24cm3容)の半分まで滅菌したリンゲル液で満たした。
(iii)爪の微生物を十分に成長させるため、細胞を25±3℃で14日間、インキュベートした。
(iv)14日でChubTur(登録商標) cellsのインキュベーションを止め、化合物2を10μLとロセリル(登録商標)とを、微生物懸濁液を接種した側とは反対側の爪表面にそれぞれ別々に塗布した。化合物2およびロセリル(登録商標)を爪表面に塗布した後、細胞は25±3℃で再びインキュベーションした。
(v)5日間24時間ごとに複数回に渡って細胞に投与する方法が採られた(表5)。投与前に、爪表面を滅菌したリンゲル液で洗浄し、前に投与した過剰の化合物2およびロセリル(登録商標)を除去した。これを行った後、表5に示す投与法に従って、新たに10μL量の化合物2およびロセリル(登録商標)を適切な細胞に投与した。
Figure 2011507822
(vi)5日間投与した後、過剰の化合物2およびロセリル(登録商標)を爪表面からできるだけ除去し、爪をChubTur(登録商標) cellsのガスケットから取り外した。その後、爪について、生菌のATPの存在を分析した。
[結果と考察]
阻害検査:製剤存在下における消去能
試験品の消去能試験は、既知濃度(n=3)のATP標準品に、10μLの化合物2、ロセリル(登録商標)およびプラセボを添加し、それを(試験品を含まない)標準品のみと比較することにより行った。10mg/mL〜1000ng/mLの範囲において、ATP標準品の蛍光強度に対する濃度を示す線形回帰曲線が得られた。種々のマトリックスの存在下でATP標準品と比較した結果を図3に示す。2つの製剤の吸収強度は標準品のみと比較して著しい低下を示すため、グラフから、化合物2およびロセリルは、既知濃度のATP標準溶液(750ng/mL)に添加すると消光効果を示すことがわかる。プラセボは標準品のみと著しい差異がないため、消光効果を示さなかった。
薬品塗布後のATPの回復
図4は、試験品(n=3)を塗布した感染した爪サンプルからのATP放出の変化ならびに感染対照および非感染対照である非処理の爪サンプルとの比較を示す(対照はn=2で試験した)。回復したATPの量が少なくなると、試験微生物に対する試験品の効率が高くなることに注目すべきである。非処理の感染対照は予想通りの高いATP回復をもたらし、非処理の非感染対照は非常にATP回復レベルが低かったことがグラフからわかる。また、化合物2およびロセリル(登録商標)は感染対照およびプラゼボと比べてATP回復が少ないことが観察され、試験微生物に対して効率がよいことを示した。プラゼボと非処理の感染対照との間には著しい差はなかった。
〔実施例6〕
本発明に係る化合物をさらに調製し、さまざまな微生物に対する最小発育阻止濃度(MIC)を求めた。
[H−Arg−Tbt−Arg−NH(CH22(2−Br−phenyl)]
Boc−Arg−Tbt−Arg−OMeのケン化
BocArgTbtArg−OMe・2HCl(2.5g、2.9mmol、国際公開第01/66147号に記載の方法で調製)をH2O(5ml)およびTHF(20ml)の混合物に溶解させた無色の溶液中に、LiOH・H2O(373mg,8.9mmol)を添加し、室温で30分間撹拌すると、急速に黄色に着色した:希HCl(52ml)と飽和食塩水(35ml)を添加し、得られた混合物をDCMで抽出した。DCMを蒸発させ、有機物質をDCMに再び溶解させ、Na2SO4で乾燥させ、ろ過および濃縮した。得られたBocArgTbtArg−OHは2.46g,93%であった。
PyBOP媒介カップリング
BocArgTbtArgCO2H(365mg,0.35mmol)のTFA塩を、2−ブロモフェニルエチルアミン(53μl)のDMF(0.9ml)溶液と混合し、DIPEA(120μl)を混合した。PyBOP(194mg,0.37mmol)を添加する前に、反応混合物を室温で5分間撹拌し、その後3時間置いた。ワークアップする前に混合物をEtOAc(20ml)で希釈し、5%クエン酸溶液30mlで2回、5%NaHCO3溶液30mlで2回、飽和食塩水30mlで洗浄し、Na2SO4で乾燥、ろ過、濃縮した。カップリング試薬から生じた副生成物を含むオイル(432mg)として粗生成物が単離された。濃縮、および逆相クロマトグラフィーによる最終精製の前に、この粗生成物を4M HClを15ml含む1,4−ジオキサン溶液中に溶解させ、室温で30分撹拌することによりBoc基を除去した。
純度:>95%、エレクトロスプレー質量分析(m/z,プロトン化した分子イオン):866.48/868.56(計算値)、866.5/868.5(実測値)。
微生物学的データ
最小発育阻止濃度(mg/l)、
H−Arg−Tbt−Arg−NH−Y−Z
Figure 2011507822

Claims (19)

  1. 式(I)で表される化合物
    AA−AA−AA−X−Y−Z (I)
    順不同に、該AA(アミノ酸)部分のうち2つは陽イオン性アミノ酸であり、AAのうち1つは親油性のR基を有するアミノ酸であり、該R基は14〜27個の非水素原子を有しており;
    XはN原子であり、該N原子は、N、OおよびSから選ばれるヘテロ原子を最大2個まで含んでいてもよい、分岐もしくは非分岐のC1〜C10のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよく;
    Yは−Ra−Rb−、−Ra−Rb−Rb−および−Rb−Rb−Ra−から選ばれる基であり、
    aはC、O、SまたはNであり、
    bはCであり;RaおよびRbのそれぞれはC1〜C4のアルキル基で置換されているか、または非置換であり;
    Zは、それぞれ5または6個の非水素原子からなる環状基を1〜3個を含む基であり、該環状基のうち2個以上は縮合していてもよく、該環状基のうち1個以上は置換されていてもよく;Z部分は最大15個の非水素原子を有し;
    YZ間の結合は、YのRaまたはRbと、Zの環状基の1つに属する非水素原子との共有結合である。
  2. ペプチドである、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
  3. 前記陽イオン性アミノ酸がリシンおよび/またはアギニンである、請求項1または2に記載の式(I)で表される化合物。
  4. 前記親油性のR基が、縮合または結合していてもよい環状基を2個以上含む、前記いずれかの請求項に記載の式(I)で表される化合物。
  5. Xが非置換である、前記いずれかの請求項に記載の式(I)で表される化合物。
  6. aがCである、前記いずれかの請求項に記載の式(I)で表される化合物。
  7. Yが−Ra−Rb−または非置換である、前記いずれかの請求項に記載の式(I)で表される化合物。
  8. Yが−CH2−CH2である、請求項7に記載の式(I)で表される化合物。
  9. Zがフェニル基である、前記いずれかの請求項に記載の式(I)で表される化合物。
  10. 請求項1に記載の式(II)で表される化合物。
    AA1−AA2−AA1−X−Y−Z (II)
    AA1は陽イオン性アミノ酸であり;
    AA2は親油性のR基を有するアミノ酸であり、該R基は14〜27個の非水素原子を有しており;
    X、YおよびZは請求項1〜9のいずれかに記載された通りである。
  11. 前記親油性のR基を有するアミノ酸(式(II)中のAA2)が、
    トリブチルトリプトファン(Tbt)、または
    Bip(4−(2−Naphthyl))、Bip(4−(1−Naphthyl))、Bip(4−n−Bu)、Bip(4−Ph)およびBip(4−T−Bu)から選ばれるビフェニルアラニン誘導体
    である、請求項1〜9のいずれかに記載の式(I)で表される化合物または請求項10に記載の式(II)で表される化合物。
  12. −X−Y−Zが、合わせて−NHCH2CH2Phである、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
  13. 前記いずれかの請求項に記載され、かつ、下記構造式を有する化合物。
    Figure 2011507822
  14. 治療用である、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
  15. 抗菌剤、抗真菌剤または抗腫瘍剤として用いられる、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
  16. 前記いずれかの請求項に記載の化合物の抗菌剤としての使用。
  17. 適切な希釈剤、担体または賦形剤と混合して、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物を含む製剤。
  18. 医薬製剤である、請求項17に記載の製剤。
  19. 局所的投与に適している、請求項18に記載の製剤。
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