JP2011255742A - ハイブリッド駆動装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の制動力を損なうことなく電力回生を実現する。
【解決手段】車両(1)の駆動輪(FL、FR)に接続される駆動軸(500)と、前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な内燃機関(200)と、前記内燃機関との間でトルクの伝達が可能な第1回転電機(MG1)と、前記内燃機関と前記駆動軸との間のトルク伝達を断接可能なクラッチ(F1)と、前記クラッチよりも前記駆動輪側において前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な第2回転電機(MG2)とを備えたハイブリッド駆動装置(10)を制御する制御装置(100)は、前記第2回転電機の回生期間において、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する第1制御手段と、前記トルク伝達が遮断される場合に、前記内燃機関の機関回転を促すトルクが供給されるように前記第1回転電機を制御する第2制御手段とを具備する。
【選択図】図6
【解決手段】車両(1)の駆動輪(FL、FR)に接続される駆動軸(500)と、前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な内燃機関(200)と、前記内燃機関との間でトルクの伝達が可能な第1回転電機(MG1)と、前記内燃機関と前記駆動軸との間のトルク伝達を断接可能なクラッチ(F1)と、前記クラッチよりも前記駆動輪側において前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な第2回転電機(MG2)とを備えたハイブリッド駆動装置(10)を制御する制御装置(100)は、前記第2回転電機の回生期間において、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する第1制御手段と、前記トルク伝達が遮断される場合に、前記内燃機関の機関回転を促すトルクが供給されるように前記第1回転電機を制御する第2制御手段とを具備する。
【選択図】図6
Description
本発明は、内燃機関と回転電機とを動力源として備えた車載可能なハイブリッド駆動装置を制御するハイブリッド駆動装置の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、回生制動時の制動力を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたハイブリッド車両によれば、二次電池の残存容量が第1限界容量よりも大きい場合に一のモータジェネレータの回生電力を残余のモータジェネレータでエンジンを回転させることによって消費するに際し、エンジンの回転抵抗を増大させることによって、制動力を大きくすることができるとされている。
また、特許文献2には、エンジン、発電機及び電動機を有する構成において、遊星ギア装置のキャリアをエンジンの出力軸に、サンギアを発電機の回転軸に接続し、リングギアを、当該リングギアから出力ギアへは回転を伝達し、その逆方向へは回転を伝達しない回転伝達方向規制手段を介して出力ギアに接続する構成が開示されている。また、係る構成においては、リングギアの回転をケースに対して断接可能とするブレーキを備える点も開示されている。
尚、上記特許文献2と同様の構成については、特許文献3にも開示されており、特許文献3に開示される装置構成においては特に、上記回転伝達方向規制手段の代わりにリングギアと出力軸とを結合及び切り離し可能なクラッチを有する構成とされている。
特許文献1に開示された技術では、二次電池への充電が通常時と較べて制限される場合であっても、モータジェネレータを介した電力回生を停止する必要がなく、電力回生による回生制動がなされる回生制動期間における制動力抜けを抑制可能である。
ところで、電力回生時に内燃機関がモータリングされる場合、このモータリングに要する回転電機のトルクは、駆動軸に負トルクとして伝達される。この負トルクは、車両を制動する制動力として作用する。
従って、駆動軸と内燃機関とが機械的に連結された構成を採る、特許文献1に開示されるハイブリッド車両では、電力回生時に内燃機関の状態が機関停止状態からモータリング状態へと切り替わる場合等において、駆動軸にトルクショックが生じる可能性がある。このようなトルクショックは、ドライバに不快感や違和感を与える要因となり得る。
即ち、特許文献1に開示されるハイブリッド車両には、電力収支を考慮した電力回生を行うにあたってドライバビリティが悪化しかねないという技術的問題点がある。
尚、特許文献2及び3に開示される構成は、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドとの協調を図るものであり、係る問題点を解決し得るものでない。
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、ドライバビリティを低下させることなく好適な電力回生を実現し得るハイブリッド駆動装置の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、車両の駆動輪に接続される駆動軸と、前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な内燃機関と、前記内燃機関との間でトルクの伝達が可能な第1回転電機と、前記内燃機関と前記駆動軸との間のトルク伝達を断接可能なクラッチと、前記クラッチよりも前記駆動輪側において前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な第2回転電機とを備えたハイブリッド駆動装置を制御するハイブリッド駆動装置の制御装置であって、前記駆動軸からの入力トルクにより前記第2回転電機が回生状態となる回生期間において、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する第1制御手段と、前記トルク伝達が遮断される場合に、前記内燃機関に対し前記内燃機関の機関回転を促すトルクが供給されるように前記第1回転電機を制御する第2制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るハイブリッド駆動装置は、内燃機関並びに第1及び第2回転電機を動力源として備えた駆動装置であり、特に、駆動輪に接続される駆動軸と内燃機関との間のトルク伝達を断接可能な、例えば、公知の各種湿式多板型摩擦係合装置、ドグクラッチ、カムロッククラッチ又はワンウェイクラッチ装置若しくはツーウェイクラッチ装置等の各種態様を有するクラッチを備えた駆動装置を意味する。
ここで、「トルク伝達を断接可能」とは、即ち、少なくとも、トルク伝達が遮断される状態とトルクが伝達される状態とを構築可能であることを意味し、必ずしもトルクの伝達対象同士が物理的に接触しているか否かを規定する概念ではない。例えば、ワンウェイクラッチ等の回転方向選択型のクラッチにおいては、トルクの伝達対象同士は常時接触状態にあるが、両者の回転速度の相対的状態に応じてトルク伝達は選択的に遮断され得る。
また、トルク伝達が遮断される状態とは、好適には完全に遮断される状態を意味し、トルクが伝達される状態とは、好適には入力トルクの減衰が実践上無視し得る程度である状態を意味するが、必ずしもこれらに限定されない。また、本発明に係るクラッチは、トルク伝達を遮断する状態及びトルクを伝達する状態の他に、これらの中間的意味合いを有する状態(所謂「半クラッチ状態」)を構築可能に構成されていてもよい。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、このようなハイブリッド駆動装置を制御する装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Controlled Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ等の実践的態様を採り得る。尚、これらには必要に応じて更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等が内蔵又は付帯されていてもよい。
このような本発明に係るハイブリッド駆動装置を搭載する車両において、例えば、アクセルオフ操作に伴うコーストダウン(惰性減速)やブレーキペダルの踏下に伴う制動要求が生じた場合等においては、駆動軸との間のトルク伝達が可能に構成された、例えばモータジェネレータ等の実践的態様を採り得る第2回転電機が、駆動軸からの入力トルクを利用した電力回生を行う状態としての回生状態に制御されることがある。第2回転電機が回生状態となる期間としての回生期間においては、回生電力を消費又は蓄積する必要が生じる。
ここで、通常、この種のハイブリッド駆動装置内外には、各種二次電池等から構成される各種バッテリ等の蓄電手段が付設されており、第2回転電機或いは更に第1回転電機との間で適宜電力の入出力を行っている。従って、この種の回生期間における回生電力は、好適な一形態としてはこの種の蓄電手段における蓄電に供され得る。或いは、これら回転電機と蓄電手段との間に、例えばインバータ等の各種電力制御デバイスを備える構成においては、好適な他の態様として、この種の蓄電手段を介さずに、例えば第2回転電機から第1回転電機又は各種電気駆動型補機類や直接的に電力が受け渡されてもよい。
一方、回生状態において第2回転電機から供給される回生トルクは、一種の制動トルクであるから、この種の回生状態においては車両に所謂回生制動力が作用する。従って、車両に制動力を付与する必要がある、或いは付与して差し支えない状況においては、積極的に回生制動を活用して、エネルギの有効利用を図ることができる。
他方、駆動軸と内燃機関との間のトルク伝達パスが遮断されていない場合、この入力トルクは、内燃機関のフリクションに対抗して内燃機関の受動回転を促すトルクとしても作用する。即ち、この場合、所謂エンジンブレーキと称される慣性制動力が車両に作用することとなる。然るに、この慣性制動力は、上記回生制動に係る回生制動力と異なり、エネルギを回収する効果はない。従って、回生効率のみを考えれば、このフリクションに相当するエネルギが無駄に消費される分、内燃機関は単なる物理的負荷に過ぎなくなる。
そこで、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置では、第2回転電機が回生状態となる回生期間において、内燃機関と駆動軸との間のトルク伝達が、上記クラッチに対する第1制御手段の制御により遮断される構成となっている。その結果、回生期間における入力トルクは、可及的に電力回生に利用され、好適な回生効率を実現することが可能となる。
ところで、車両運用上独立して生じる電力回生要求と、蓄電手段や他の回転電機或いは各種電気駆動型補機類における要求電力とは必ずしも相互にリンクしない。従って、ハイブリッド駆動装置の実践的運用面においては、コーストダウン時や回生制動時であっても、これら電力の受け渡し先として規定される各種の装置が、回生電力又はそれに相当する電力(即ち、回生電力を受け取ることによって蓄電手段側から余剰な電力として供給される電力等)を全く必要としない状態、或いは必要としても電力収支から見て回生電力が過剰であるといった状態である場合が少なくない頻度で生じ得る。
このような問題に対し、電力回生を禁止することも一つの有効な措置となり得るが、電力回生は、負トルクとしての回生トルクによって駆動輪に制動力を与える一種の制動処理であるから、電力回生を停止すれば当然ながら制動力が相対的に不足することとなる。この際、不足する制動力は、車両に各種ECB(Electronic Controlled Braking system:電子制御式制動装置)が搭載されている場合等には、当該ECBからの物理的制動力によって代替させることも可能であるが、回生制動から油圧制動への切り替えが回生期間開始後に生じた場合には、ドライバに少なからず違和感を与える結果を招きかねない。また、制動部材等の消耗も早くなる。
一方、第1制御手段の作用により遮断された状態にある内燃機関と駆動軸との間のトルク伝達を復帰せしめれば、先述したようにフリクションに応じた慣性制動力を得ることも不可能ではない。然るに、回生期間中にクラッチの状態を変化させると、駆動軸におけるトルクショックが顕在化する可能性がある。特に、摩擦係合装置のように過渡期間におけるクラッチ容量の推定が容易でない構成においては、クラッチの状態切り替え前後において車両に作用する制動力を一律に維持することは容易でなく、当該トルクショックがドライバビリティの低下として顕在化する可能性が高くなる。
そこで、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置では、上述の理由からトルク伝達が遮断される場合に、第2制御手段により、内燃機関に対し内燃機関の機関回転を促すトルクが供給されるように第1回転電機が制御される。即ち、端的には、第1回転電機によって内燃機関がモータリングされる。尚、この第モータリングに要する電力が、第2回転電機の回生電力に相当する電力を消費する形で供給されることは言うまでもない。
ここで、クラッチはトルク伝達を遮断した状態に維持されており、第1回転電機によって内燃機関をモータリングするにあたってのトルク収支は、殆どクラッチ上流側(駆動輪側を下流側とする)で独立したものとなって、クラッチ下流側、即ち第2回転電機を含む電力回生デバイス側には殆ど影響しない。特に、トルク伝達が完全に遮断されている場合、当該トルク収支は、電力回生側には全く影響しなくなる。
従って、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、例えば、回生期間において何らかの理由により回生電力の受け渡し先が無くなったとしても、第2回転電機による電力回生を停止する必要はなく、各種制動装置を介した制動力、或いはクラッチを介した所謂エンジンブレーキ等の慣性制動力等の力を借りずとも、第2回転電機から必要にして十分な制動力を供給することができるのである。また、この際、クラッチ下流側における回生制動措置を、理想的には一切のトルク変動を排除した形で遂行することが可能となるため、ドライバビリティの低下を防止することが可能となるのである。
補足すると、クラッチ上流側と下流側との間のトルク伝達が遮断されない場合、或いはクラッチそのものが存在しない場合、上記電力収支に関する要請から内燃機関をモータリングすると、当該モータリングに要する第1回転電機のトルクが駆動輪側に負トルクとして伝達される。この負トルクは、駆動輪に対し制動力として作用するから、例えば回生期間中にモータリングが必要とされる場合等においては特に、モータリング開始前後において制動力が不連続となり易い。このような制動力の不連続性は、ドライバに違和感を与え、ドライバビリティを低下させる要因となり得る。本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、トルク伝達が遮断された状態でモータリングがなされるため、このような問題が生じることがない。
また、内燃機関をモータリングするにあたって必要となる電力は、モータリングに際しての回転速度に応じて変化する。従って、消費したい電力が概ね或いは明確に規定出来る場合には、ハイブリッド駆動装置全体の電力収支を所望のものに維持又は収束させることもまた容易にして可能となる。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の一の態様では、前記ハイブリッド駆動装置は、前記回生期間における前記第2回転電機の回生電力により充電可能な蓄電手段を具備し、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記蓄電手段が所定の充電制限状態にあるか否かを判定する判定手段を更に具備し、前記第2制御手段は、前記トルク伝達が遮断されている場合において、前記蓄電手段が前記充電制限状態にあると判定された場合に、前記蓄電手段に蓄積された電力及び前記回生電力のうち少なくとも一方を利用して前記機関回転を促すトルクを供給させる。
この態様によれば、判定手段により蓄電手段が充電制限状態にあると判定された場合に、回生電力相当電力(即ち、蓄電手段に蓄積された電力及び回生電力のうち少なくとも一方)を利用して第1回転電機が駆動制御される。
電力回生の実行可否及び継続可否に最も顕著に影響を与える要因は、蓄電手段のSOC(State Of Charge:充電状態及び充電状態を規定する指標値を包括する概念である)であるから、このように蓄電手段が充電制限状態にあるか否かに応じて第2制御手段に係る措置が講じられることによって、必要に応じたモータリングを実現することが可能となる。
尚、「充電制限状態」について補足すると、充電可能な二次電池等から構成される蓄電手段において、単位時間当たりに入出力可能な電力には予め制限値(端的には、入力側については充電制限値Winであり、出力側については、放電制限値Woutである)が存在し、充電制限状態とは、好適には、入力側の制限値に、通常時の値としての基準値よりも大きい制限が与えられた状態を意味する。このような充電制限は、例えば、蓄電手段のSOCが公知のSOCフィードバック制御の上限値(例えば、満充電を100%として80〜90%程度)近傍である場合等に生じ得る。蓄電手段のSOCが良好であれば、元より電力回生の必要は生じないからである。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の他の態様では、前記ハイブリッド駆動装置は、前記第1回転電機に連結される第1回転要素、前記内燃機関に連結される第2回転要素及び前記クラッチに連結される第3回転要素を含む相互に差動作用をなす複数の回転要素を有してなる差動機構と、前記第3回転要素を固定可能な固定手段とを備え、前記第1制御手段は、前記回生期間に前記第3回転要素が固定されるように前記固定手段を制御すると共に、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する。
この態様によれば、第1、第2及び第3回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素を有する差動機構によって、所謂電気的CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速装置)としての機能が実現され得る。差動機構に備わる回転要素の数は、これら三要素に限定されないが、好適な一例として、第1、第2及び第3回転要素を、夫々反力要素、入力要素及び出力要素として機能させることによって構築された回転二自由度の差動機構において、第1回転電機の回転速度及びトルクの制御によって、内燃機関の動作点(例えば、機関回転速度とトルクとによって規定される動作条件)が、例えば、最適燃費動作点等に制御され得る。
一方、このような回転二自由度の差動機構において、例えば湿式多板型ブレーキ装置等の各種固定手段を介して第3回転要素を選択的に固定すれば、内燃機関の機関回転速度に応じて第1回転電機の動作点を決定することができる。即ち、内燃機関からのトルク供給により第1回転電機に電力回生を行わしめることが可能となる。この際、当然ながらクラッチはトルク伝達遮断側に制御され(出力要素の固定は、即ち、直接的又は間接的の別はあれ駆動輪の固定に繋がる)、車両は、所謂シリーズハイブリッド車両として機能し得る。
この態様によれば、差動機構と固定手段とによって、車両に状況に応じた最適な走行モードを用意することが可能であり、実践上有益である。
尚、この態様では、前記クラッチは、一回転方向にのみ前記トルク伝達を許容するワンウェイクラッチであってもよい。
ワンウェイクラッチは、物理構成によって選択的トルク伝達作用を実現するものであり、その駆動に直接的な制御を必要としない。従って、例えば湿式多板クラッチ等と較べれば、油圧駆動装置等の設置を必要としない分、コスト面からも搭載性の面からも好適である。
ここで、ハイブリッド駆動装置は、上述したように差動機構と固定手段とを有しており、固定手段により第3回転要素の回転を固定すると、第3回転要素よりも駆動輪側に位置するワンウェイクラッチの入力側の回転速度はゼロとなり、駆動軸の回転速度が正回転(車両前進方向の回転を意味する)であれば、無条件に駆動軸と内燃機関との間のトルク伝達が遮断されることになる。即ち、この態様では、固定手段への制御により間接的にクラッチの状態制御が実現され、制御上の負荷が緩和されて尚好適である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両1の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両1の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両1の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両1の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両1は、ECU100、PCU(Power Control Unit)11、バッテリ12、アクセル開度センサ13、車速センサ14、ブレーキペダルセンサ15、及びSOCセンサ16並びにハイブリッド駆動装置10を備えた、本発明に係る「車両」の一例たるハイブリッド車両である。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM等を備え、ハイブリッド車両1の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド駆動装置の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、ハイブリッド駆動装置10の動作状態を制御可能に構成されている。尚、ECU100は、本発明に係る「第1制御手段」、「第2制御手段」及び「判定手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
ハイブリッド駆動装置10は、ハイブリッド車両1の駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FRに連結された左車軸SFL及び右車軸SFRに駆動力としての駆動トルクを供給することにより、ハイブリッド車両1を駆動する、本発明に係る「ハイブリッド駆動装置」の一例たるハイブリッド車両1のパワートレインユニットである。ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成については後述する。
PCU11は、バッテリ12から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ12に供給可能に構成された不図示のインバータを含み、バッテリ12と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ12を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された電力制御ユニットである。PCU11は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ12は、複数のリチウムイオン電池セルを直列接続した構成を有し、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能する、本発明に係る「蓄電手段」の一例たる充電可能な電池ユニットである。尚、バッテリ12は、本発明に係る蓄電手段の一例に過ぎず、例えば、ハイブリッド車両1は、バッテリ12に代えて、ニッケル水素電池を構成要素とする電池ユニットを搭載していてもよい。或いは、例えば電気二重層キャパシタ等の各種キャパシタ装置を搭載していてもよい。
アクセル開度センサ13は、ハイブリッド車両1の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ13は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって適宜参照される構成となっている。
車速センサ14は、ハイブリッド車両1の車速Vhを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vhは、ECU100によって適宜参照される構成となっている。
ブレーキペダルセンサ15は、ハイブリッド車両1の各車輪に対し個別に制動力を付与可能な不図示のECBの作動、或いはモータジェネレータMG2を利用した回生制動の作動を促す運転者の制動操作量を検出可能に構成されたセンサである。この制動操作は、不図示のブレーキペダルを介して与えられる構成となっており、ブレーキペダルセンサ15は、このブレーキペダルの踏下量Tbを係る制動操作量として検出する構成となっている。ブレーキペダルセンサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたブレーキペダル踏下量Tbは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
SOCセンサ16は、バッテリ12のSOCを検出可能に構成されたセンサである。SOCセンサ16は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたバッテリ12のSOCは、ECU100により適宜参照される構成となっている。尚、本実施形態では、「SOC」なる文言を、完全放電状態を0(%)、満充電状態を100(%)として規格化してなる、バッテリ12の充電状態を表す定量的指標値としても使用することとする。
次に、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、ハイブリッド駆動装置10は、エンジン200、入力軸300、動力分割機構400、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、出力軸500、変速装置600及びオイルポンプ700を備える。
エンジン200は、ハイブリッド車両1の一動力源として機能するように構成された、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。エンジン200は、公知の各種態様を有し得るガソリンエンジンであり、ここでは、その詳細な構成を割愛するが、エンジン200の出力動力たるエンジントルクTeは、不図示のクランク軸を介してハイブリッド駆動装置10の入力軸300に連結されている。
尚、本発明に係る「内燃機関」とは、燃料の燃焼に伴う熱エネルギを運動エネルギに変換可能な機関を包括する概念であって、例えば、燃料種別、燃料の供給態様、給排気系の構成、吸気排気系の制御態様、気筒数及び気筒配列等を含む実践的形態は、如何様にも限定されない趣旨である。
モータジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた電動発電機であり、本発明に係る「第1回転電機」の一例である。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1よりも体格の大きい、本発明に係る「第2回転電機」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。
尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有するが、無論他の構成を有していてもよい。
動力分割機構400は、本発明に係る「差動機構」の一例たるシングルピニオン型遊星歯車機構である。
動力分割機構400は、中心部に設けられた、本発明に係る「第1回転要素」の一例たるサンギアSg1と、サンギアSg1の外周に同心円状に設けられた、本発明に係る「第3回転要素」の一例たるリングギアRg1と、サンギアSg1とリングギアRg1との間に配置されてサンギアSg1の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア(不図示)と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支する、本発明に係る「第2回転要素」の一例たるキャリアCr1とを備える。
サンギアSg1は、モータジェネレータMG1のロータに、その回転軸を共有する形で連結されており、その回転速度はMG1の回転速度たるMG1回転速度Nmg1と等価である。尚、このMG1回転速度Nmg1は、レゾルバRV1によって検出される構成となっており、レゾルバRV1と電気的に接続されたECU100に一定周期で送出される構成となっている。
一方、リングギアRg1は、ワンウェイクラッチF1の一方の係合要素である入力側係合要素に連結されている。この入力側係合要素がワンウェイクラッチF1の他方の係合要素である出力側係合要素とロック状態にある場合、その回転速度は、ハイブリッド駆動装置10の動力出力軸としての出力軸500の回転速度たる出力軸回転速度Noutと一義的な関係となる。尚、出力軸500は、本発明に係る「駆動軸」の一例である。
他方、キャリアCr1は、エンジン200のクランクシャフトに連結された上記入力軸300と連結されており、その回転速度がハイブリッド駆動装置10の動力入力軸としての入力軸300の回転速度たる入力軸回転速度Ninと一義的な関係を有する構成となっている。尚、入力軸回転速度Ninは、エンジン200の機関回転速度Neと等価である。
ハイブリッド駆動装置10は、ブレーキBR1及びワンウェイクラッチF1を有する。
ブレーキBR1は、動力分割機構400のリングギアRg1に連結される係合要素(ブレーキ板)と、固定要素に連結される係合要素とを含む複数の係合要素を備え、これら複数の係合要素が油圧駆動装置を介して供給される係合油圧に応じて接触押圧されることにより制動力を発揮する公知の湿式多板型ブレーキ装置である。ハイブリッド駆動装置10では、このブレーキBR1の制動作用によって、リングギアRg1の回転を停止させることができる。
尚、この油圧駆動装置の一部をなすオイルポンプ700は、駆動力供給源としての入力軸300に連結された機械式の流体吐出装置であり、その制動油の吐出圧を規定するポンプ回転速度が、エンジントルクTeによって制御される構成となっている。
ワンウェイクラッチF1は、予め規定される正回転方向に作用するトルクのみを伝達し、負回転方向に作用するトルクに対しては空転する公知の一方向クラッチである。ワンウェイクラッチF1の入力側係合要素は、先述した通り動力分割機構400のリングギアRg1に連結されており、出力側係合要素は、後述する変速装置600の第2ギア602に連結されている。
ここで、図3を参照し、ワンウェイクラッチF1の動作について説明する。ここに、図3は、ワンウェイクラッチF1のロック領域を説明する図である。
図3において、横軸及び縦軸には、夫々ワンウェイクラッチF1の入力側係合要素の回転速度たるクラッチ入力回転速度Ncin及びワンウェイクラッチF1の出力側係合要素の回転速度たるクラッチ出力回転速度Ncoutが表される。
尚、クラッチ入力回転速度Ncinは、リングギアRg1の回転速度と等価である。また、第2ギア602は、後述する第1ギア601を介して出力軸500と連結されているため、クラッチ出力回転速度Ncoutは、出力軸500の回転速度たる出力軸回転速度Noutと一義的な関係にある。
図3において、ハッチング表示された領域は、入力側係合要素と出力側係合要素とが回転比率1:1でロックされる領域としてのロック領域を表している。ロック領域とは、即ち、締結状態と解放状態との間で状態が制御される通常のクラッチで言えば、締結状態に相当する領域である。尚、当然ながら、ワンウェイクラッチF1において、ハッチング表示されたロック領域は、動作状態として採り得ない領域であり、入力側係合要素と出力側係合要素との関係は、図示実線で示される通りの関係となる。
一方、ハッチング表示された領域以外の領域は、出力側係合要素と入力側係合要素との間のトルク伝達が遮断される領域であり、この領域においては、出力側係合要素は入力側係合要素に対して空転するのみでありトルク伝達は行われない。即ち、この領域は、締結状態と解放状態との間で状態が制御される通常のクラッチで言えば、解放状態に相当する領域である。
図2に戻り、出力軸500は、ドライブギアDRを介してディファレンシャルD/Gに連結されており、出力軸500に作用するトルクたる駆動トルクは、最終的にこのディファレンシャルD/Gを介して先述した左右の車軸に作用する構成となっている。尚、出力軸500の回転速度たる出力軸回転速度Noutは、レゾルバRV2によって検出される構成となっており、レゾルバRV2と電気的に接続されたECU100に一定周期で送出される構成となっている。
変速装置600は、第1ギア601、第2ギア602及び第3ギア603を備え、第1ギア601が夫々第2ギア602及び第3ギア603と噛み合うように配置されてなる、二重噛み合い式ギア機構である。
ここで、第2ギア602は、先述したように、ワンウェイクラッチF1の出力側係合要素に連結されている。従って、当該出力側係合要素の回転速度たるクラッチ出力回転速度Ncoutと出力軸回転速度Noutとは、双方のギアのギア比に応じた一義的な関係となる。
一方、第3ギア603は、モータジェネレータMG2のロータに連結されている。従って、モータジェネレータMG2の回転速度たるMG2回転速度Nmg2と出力軸回転速度Noutとは、双方のギアのギア比に応じた一義的な関係となる。
尚、変速装置600は二重噛み合い式のギア機構であるから、中心に位置する第1ギア601の回転方向と、第2ギア602及び第3ギア603の回転方向とは逆の関係となる。一方、第1ギア601の回転は、ドライブギアDRを介してディファレンシャルD/Gに伝達されるので、駆動輪の回転方向と第1ギア601の回転方向とも同様に逆である。即ち、前進方向に対応する駆動輪の回転方向を正回転方向と定義すると、駆動輪の正回転は、夫々モータジェネレータMG2及びワンウェイクラッチF1の出力側係合要素の正回転に対応する。
<実施形態の動作>
<走行モードの詳細>
ハイブリッド駆動装置10は、上述した構成において、ハイブリッド車両10に各種の走行モードを提供することができる。ここで、図4を参照し、ハイブリッド駆動装置10における各要素の状態と、実現される走行モードとの関係について説明する。ここに、図4は、ハイブリッド駆動装置の各要素の状態と走行モードとの関係を説明する表である。
<実施形態の動作>
<走行モードの詳細>
ハイブリッド駆動装置10は、上述した構成において、ハイブリッド車両10に各種の走行モードを提供することができる。ここで、図4を参照し、ハイブリッド駆動装置10における各要素の状態と、実現される走行モードとの関係について説明する。ここに、図4は、ハイブリッド駆動装置の各要素の状態と走行モードとの関係を説明する表である。
図4において、左端の列が走行モードを表しており、その他の列は、左から順にエンジン200の動作状態、ブレーキBR1の動作状態及びワンウェイクラッチF1の動作状態を表している。
尚、エンジン200の動作状態は、「○」が稼動している状態を、「×」が機関停止している状態を、夫々意味する。また、ブレーキBR1の動作状態は、「○」が固定された状態を、「×」が解放された状態を、夫々意味する。また、ワンウェイクラッチF1の動作状態は、「○」がトルクの伝達がなされる状態を、「×」がトルクの伝達がなされない状態を、夫々意味する。
<パワースプリットHVモード>
エンジン200が稼動している状態においてブレーキBR1が解放されると、走行モードとしてパワースプリットHVモードが実現される。パワースプリットHVモードとは、動力分割機構400の差動作用によって、エンジントルクTeをサンギアSg1側とリングギアRg1側に分割(スプリット)し、必要に応じてモータジェネレータMG2から出力軸500へのトルクアシストを付加しつつハイブリッド(HV)走行を実現する走行モードである。
エンジン200が稼動している状態においてブレーキBR1が解放されると、走行モードとしてパワースプリットHVモードが実現される。パワースプリットHVモードとは、動力分割機構400の差動作用によって、エンジントルクTeをサンギアSg1側とリングギアRg1側に分割(スプリット)し、必要に応じてモータジェネレータMG2から出力軸500へのトルクアシストを付加しつつハイブリッド(HV)走行を実現する走行モードである。
パワースプリットHVモードでは、クラッチ入力回転速度Ncinとクラッチ出力回転速度Ncoutとは回転比率1:1であり、図3における実線上で関係が推移する。
ここで、より具体的にパワースプリットHVモードについて説明する。
動力分割機構400は、上述した構成の下で、エンジン200から入力軸300に供給されるエンジントルクTeを、キャリアCr1によってサンギアSg1及びリングギアRg1に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能である。
この際、動力分割機構400の動作を分かり易くするため、リングギアRg1の歯数に対するサンギアSg1の歯数としてのギア比ρを定義すると、エンジン200からキャリアCr1に対しエンジントルクTeを作用させた場合に、サンギアSg1に作用するトルクTesは下記(1)式により、またリングギアRg1に作用するエンジン直達トルクTerは下記(2)式により、夫々表される。
Tes=−Te×ρ/(1+ρ)・・・(1)
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
ハイブリッド車両1は、車速Vh及びアクセル開度Ta等に基づいて算出される要求出力を満たす要求駆動トルクが、このエンジン直達トルクTerで不足する場合には、モータジェネレータMG2からのMG2トルクTmg2を出力軸500に付加し、適宜これらの協調制御によって、所謂HV(Hybrid Vehicle)走行を行う。
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
ハイブリッド車両1は、車速Vh及びアクセル開度Ta等に基づいて算出される要求出力を満たす要求駆動トルクが、このエンジン直達トルクTerで不足する場合には、モータジェネレータMG2からのMG2トルクTmg2を出力軸500に付加し、適宜これらの協調制御によって、所謂HV(Hybrid Vehicle)走行を行う。
<シリーズHVモード>
エンジン200が稼動状態にあり、且つリングギアRg1がブレーキBR1によりその回転が阻止された状態にある場合、シリーズHVモードが実現される。シリーズHVモードとは、エンジン200からの上述したトルクTesによりモータジェネレータMG1を電力回生状態に維持しつつ、出力軸500に要求されるトルクを、モータジェネレータMG2からのMG2トルクのみで賄う走行モードである。即ち、シリーズHVモードとは、EV(Electric Vehicle)走行モードの一種であり、MG1の回生電力によりMG2が駆動される形態を採る。
エンジン200が稼動状態にあり、且つリングギアRg1がブレーキBR1によりその回転が阻止された状態にある場合、シリーズHVモードが実現される。シリーズHVモードとは、エンジン200からの上述したトルクTesによりモータジェネレータMG1を電力回生状態に維持しつつ、出力軸500に要求されるトルクを、モータジェネレータMG2からのMG2トルクのみで賄う走行モードである。即ち、シリーズHVモードとは、EV(Electric Vehicle)走行モードの一種であり、MG1の回生電力によりMG2が駆動される形態を採る。
この場合、リングギアRg1の回転速度がゼロ(即ち、Ncin=0)であるから、図3から明らかなように、前進走行(Ncout>0)の走行領域においては、全域で出力軸500から動力分割機構400側へのトルク伝達が遮断される。従って、シリーズHVモードでは、動力分割機構400、エンジン200及びモータジェネレータMG1が一種の発電機として機能し、出力軸500側から独立した構成となる。
ここで、図5を参照し、パワースプリットHVモードとシリーズHVモードとの間の切り替え制御について説明する。ここに、図5は、シリーズHVモード及びパワースプリットHVモードの切り替え条件を説明する図である。
図5において、縦軸及び横軸には夫々理論伝達効率ηsys及び変速比γが表される。
尚、理論伝達効率ηsysは、エンジン200の熱効率、動力分割機構400における電気効率等に基づいて算出される、ハイブリッド駆動装置10全体のエネルギ効率である。また、変速比γは、入力軸回転速度Ninの絶対値と出力軸回転速度Noutの絶対値との比(γ=|Nin|/|Nout|)である。
図5において、図示L_PSHV(実線参照)は、パワースプリットHVモードの理論伝達効率であり、図示L_SRHV(破線参照)は、シリーズHVモードの理論伝達効率を表す。
図示の通り、パワースプリットHVモードでは、変速比γに応じて理論伝達効率ηsysが変化し、変速比γが基準変速比γthとなるポイントにおいてピーク値を採る。尚、出力軸500に各種有段変速装置が接続される場合には、この理論伝達効率のピーク値は、変速段の個数だけ存在する。
一方、シリーズHVモードにおいては、出力軸へのトルク供給がMG2のみでなされるため、変速比γに対して理論伝達効率ηsysは殆ど変化しない。その結果、基準変速比γthを境に両者の関係は逆転する。
ECU100は、常時この変速比γをモニタしており、変速比γが基準変速比γth未満となる領域ではシリーズHVモードを、基準変速比γth以上となる領域ではパワースプリットHVモードを夫々選択する構成となっている。
<EVモード>
一方、シリーズHVモードにおいてエンジン200を停止させると、走行モードはEVモードとなる。EVモードでは、シリーズHVモードと同様に、出力軸500の要求トルクが全てMG2トルクによって賄われる。
一方、シリーズHVモードにおいてエンジン200を停止させると、走行モードはEVモードとなる。EVモードでは、シリーズHVモードと同様に、出力軸500の要求トルクが全てMG2トルクによって賄われる。
ここで、EVモードにおいては、エンジン200が機関停止状態とされるため、モータジェネレータMG1を稼動させる理由もなくなり、モータジェネレータMG1もまた停止状態とされる。更に、このようにエンジン200及びモータジェネレータMG1が非稼動となり各々回転速度がゼロとなると、回転二自由度の差動機構たる動力分割機構400において残余の一要素であるリングギアRg1の回転は、必然的にゼロとなる。従って、ブレーキBR1から制動トルクを付与する必要はなくなり、ブレーキBR1は、解放状態に制御される。
このような状態においては、動力分割機構400全体が非稼動状態にあるのと実質的に等価であるから、ワンウェイクラッチ400のクラッチ出力回転速度Ncoutはクラッチ入力回転速度Ncinよりも高くなり、出力軸500から動力分割機構400へのトルク伝達は遮断される。
他方、このEVモードにおいて、バッテリ12のSOCが低下した、或いはMG2の動作許容範囲を超えるトルク要求が生じた等の各種の理由により、エンジン始動要求が生じることがある。この場合、機関停止中のエンジン200は、モータジェネレータMG1を力行状態とすることによりエンジン200に供給されるクランキングトルクによってクランキングされ、然るべき始動制御により速やかに始動する。
この際、リングギアRg1が反力を負担していないと、モータジェネレータMG1からのクランキングトルクはエンジン200に伝達されない。このため、ブレーキBR1は締結状態に移行される。尚、各要素の動作状態のみ見れば、エンジン始動要求時のEVモードとは先述のシリーズHVモードと同一である。但し、シリーズHVモードは、エンジン200からモータジェネレータMG1へのトルク供給がなされるモードであり、エンジン始動要求時のEVモードは逆にMG1からエンジン200へのトルク供給がなされるモードである点において相違している。
<回生モード>
ハイブリッド車両1において、ブレーキペダル踏下量Tbが所定値以上である、或いはアクセル開度Taの減少率が所定値以上である等、回生条件が満たされると、走行モードは回生モードに移行する。回生モードとは、モータジェネレータMG2により出力軸500から入力トルクを利用して電力回生を行うモードであり、同時に、電力回生に伴う回生トルク(負トルク)によってハイブリッド車両1に制動力を与える走行モードである。
ハイブリッド車両1において、ブレーキペダル踏下量Tbが所定値以上である、或いはアクセル開度Taの減少率が所定値以上である等、回生条件が満たされると、走行モードは回生モードに移行する。回生モードとは、モータジェネレータMG2により出力軸500から入力トルクを利用して電力回生を行うモードであり、同時に、電力回生に伴う回生トルク(負トルク)によってハイブリッド車両1に制動力を与える走行モードである。
回生モードにおいては、エンジン200のフリクション(回転抵抗或いは慣性抵抗)による回生効率の低下を抑制する目的から、ワンウェイクラッチF1におけるトルク伝達は遮断される。ここで、ワンウェイクラッチF1は、その物理構成によって半ば自動的にトルクの伝達態様が切り替わる装置であるから、この場合の実質的な制御対象は、ブレーキBR1である。即ち、ブレーキBR1を締結状態とすると、図3の特性より正回転領域のトルク入力に対してワンウェイクラッチF1が空転するため、トルク伝達が遮断される。また、エンジン200を稼動させる必要がないため、エンジン200は機関停止とされる。
その結果、回生モードでは、出力軸500からの入力トルクに対し回生トルクを作用させることによってモータジェネレータMG2で電力回生がなされ、回生電力がPCU11を介してバッテリ12に蓄積される。
一方、このような回生モードにおける走行が比較的長期にわたって継続した場合や、元よりバッテリ12のSOCが良好な場合(例えば、80〜90%程度の値を維持している場合)等においては、バッテリ12の充電制限値Winが低下してバッテリ12が充電制限状態となり、単位時間当たりにバッテリ12に受け入れ可能な電力が、その時点の回生電力を下回ることがある。特に、SOCが極端に高い場合には、充電制限値Winがゼロになることがある。
このようなバッテリ12の充電制限時には、電力回生の必要は生じないのであるが、電力回生時にMG2から出力軸500に作用させる回生トルクが一種の制動トルクとして機能する関係上、単に電力回生を停止してしまうと、ハイブリッド車両1の減速度が低下する。さりとて、ブレーキBR1の締結を解除してワンウェイクラッチF1を介してエンジン200の慣性抵抗を制動力に代替させようとすると、ワンウェイクラッチF1の状態遷移に伴うトルクショックが出力軸500に現れてドライバビリティの低下を招く。
そこで、ECU100は、このような場合には、モータジェネレータMG1によりエンジン200をモータリングする(図示「MT」参照)。エンジン200をモータリングするには、必然的にバッテリ12からの電力消費が必要となる。従って、バッテリ12から電力を持ち出すことによって係る電力消費を賄うにせよ、回生電力を、バッテリ12を経由せずに直接MG1に供与するにせよ、電力回生の継続を阻害する要因は解消される。
その結果、制動力抜けを生じさせることなく、またトルクショック等の不具合を顕在化させることなく、電力回生を継続することが可能となる。
<リバースモード>
上述の各種走行モードは、車両前進時に対応する走行モードである。ハイブリッド車両1を後進走行させる必要がある場合、ECU100は、リバースモードを選択する。リバースモードにおいては、モータジェネレータMG2からのMG2トルクによってハイブリッド車両1を後進させる。即ち、この場合、出力軸500の回転方向は前進時と逆方向であり、クラッチ出力回転速度Ncoutは負値を採る。そのため、ワンウェイクラッチF1を介して動力分割機構400側へトルクの伝達がなされる。
上述の各種走行モードは、車両前進時に対応する走行モードである。ハイブリッド車両1を後進走行させる必要がある場合、ECU100は、リバースモードを選択する。リバースモードにおいては、モータジェネレータMG2からのMG2トルクによってハイブリッド車両1を後進させる。即ち、この場合、出力軸500の回転方向は前進時と逆方向であり、クラッチ出力回転速度Ncoutは負値を採る。そのため、ワンウェイクラッチF1を介して動力分割機構400側へトルクの伝達がなされる。
ここで、バッテリ12のSOCが相対的に高い場合(例えば、基準値以上である場合)、エンジン200を稼動させる必要はないが、バッテリ12のSOCが低い場合(例えば、基準値未満である場合)、シリーズHVモード等と同様に、エンジン200が稼動状態とされ、エンジン200からのトルク供給によってMG1が電力回生状態に制御される。
<各走行モードにおけるハイブリッド駆動装置10の状態>
次に、図6を参照し、上記各種走行モードに対応するハイブリッド駆動装置10の各回転要素の状態について説明する。ここに、図6は、各走行モードに対応するハイブリッド駆動装置10の各回転要素の動作状態を例示する動作共線図である。
次に、図6を参照し、上記各種走行モードに対応するハイブリッド駆動装置10の各回転要素の状態について説明する。ここに、図6は、各走行モードに対応するハイブリッド駆動装置10の各回転要素の動作状態を例示する動作共線図である。
図6において、縦軸は回転速度を表しており、横軸には、左から順にサンギアSg1(一義的にモータジェネレータMG1)、キャリアCr1(一義的にエンジン200)、及びリングギアRg1(一義的にワンウェイクラッチF1の入力側係合要素である)からなる入力側回転要素群、並びに左から順に第2ギア602(一義的にワンウェイクラッチF1の出力側回転要素である)、第1ギア601(一義的に出力軸500)及び第3ギア603(一義的にモータジェネレータMG2)からなる出力側回転要素群が夫々表される。
ここで、動力分割機構400は、相互に差動関係にある複数の回転要素により構成された回転二自由度のプラネタリギアユニットであり、二要素の回転速度が定まった場合に、残余の一回転要素の回転速度が必然的に定まる構成となっている。即ち、動作共線図上において、各回転要素の動作状態は、ハイブリッド駆動装置10の一動作状態に一対一に対応する一の動作共線によって表すことができる。
尚、図6において、各回転要素のその時点の回転状態を示す動作点を図示黒丸に相当する動作点Mi(iは自然数)として示すこととする。
図6(a)には、先述のEVモード、回生モード及びシリーズHVモードに対応する動作共線が示される。
EVモードにおいては、MG1及びエンジン200が停止されるため、入力側回転要素群の動作共線は、動作点m1、m2及びm3を繋げて得られる図示L_IN1(実線参照)となる。
一方、出力側回転要素群の動作共線は、車速に応じた値となる出力軸回転速度Noutに相当する動作点を図示動作点m4とすれば、二重噛み合い式ギア機構である変速装置600の動作上、図示動作点m5及びm6を繋げて得られる図示L_OUT1(鎖線参照)となる。
ここで、ワンウェイクラッチF1を介したトルク伝達が遮断されている関係上、第2ギア602とリングギアRg1とは切り離されており(図示白丸参照)、ハイブリッド車両1の走行状態は、出力側回転要素群の回転状態のみによって規定される。
一方、シリーズHVモードでは、この状態からバッテリ12の電力確保のため発電が行われる。即ち、動作共線は、ブレーキBR1によって固定されるリングギアRg1とエンジン回転速度Neとによって一義的に定まり、動作点m3、m8及びm7を繋げて得られる図示L_IN2(破線参照)となる。
他方、回生モードにおける動作共線は、例えば図示L_OUT1と同様である。これは、EV走行モード及び回生モードが、トルクの供給側と受け入れ側とが入れ替わるのみであるためであり、トルクの入出力を記載しない動作共線図上では、両者の間に差異は生じないのである。
図6(b)には、パワースプリットHVモードが示される。パワースプリットHVモードにおいては、例えば出力側回転要素群の回転状態を図6(a)と同様とした場合に、入力側回転要素群が、動作点m6、m10及びm9を繋げて得られる図示L_IN3(破線参照)の如くになる。
パワースプリットHVモードにおいては、ワンウェイクラッチF1を介したトルク伝達が許可されるため、第2ギア602の回転速度とリングギアRg1の回転速度とが一致し、リングギアRg1の動作点が図示動作点m6となる。一方、このように入力側回転要素群の出力要素となるリングギアRg1の回転状態が規定されると、モータジェネレータMG1の回転速度及びトルクの制御によって、エンジン200の動作点を所定範囲で自由に選択可能となる。即ち、電気的に一種のCVT(Continuously Variable Transmission)が構築される。
図6(c)には、リバースモードが示される。リバースモードにおいては、出力側回転要素群の回転状態が反転し、出力軸500が正回転となる。この際、車速に応じた出力軸回転速度Noutに相当する動作点を図示m16とすれば、第2ギア602及び第3ギア603の動作点は、夫々図示動作点m12及びm11となる。その結果、出力側回転要素群の動作共線は、図示L_OUT2(鎖線参照)となる。
一方、ワンウェイクラッチF1によりトルク伝達が許可されるリバースモードにおいては、第2ギア602とリングギアRg1との回転速度は一致し、リングギアRg1の動作点は図示動作点m12となる。
その結果、入力側回転要素群の動作共線は、SOC低下防止のためエンジン200を稼動させれば、例えば、動作点m12、m14及びm15を繋げて得られる図示L_IN5(破線参照)となり、エンジン200が非稼動であれば、動作点m12、m2及びm13を繋げて得られる図示L_IN4(実線参照)となる。
<実施形態の効果>
図6(a)を見れば明らかなように、本実施形態に係るハイブリッド車両1においては、回生モードにおいて、入力側回転要素群と出力側回転要素群とがトルク伝達の観点から切り離された関係となる。
図6(a)を見れば明らかなように、本実施形態に係るハイブリッド車両1においては、回生モードにおいて、入力側回転要素群と出力側回転要素群とがトルク伝達の観点から切り離された関係となる。
このため、当該トルク伝達が遮断されない場合にエンジン200のフリクションが一種の制動トルクとして機能することによる回生効率の低下が回避され、ハイブリッド駆動装置10の電力消費率を向上させることが可能となる。
また、バッテリ12が充電制限状態になる等して回生電力が余剰となる状況においても、回生電力に相当する電力を、MG1によるエンジン200のモータリングによって消費することができるため、制動力を与える回生トルクを減じる或いは回生を停止する等の措置を講じる必要がなく、必要とされる制動力を回生トルクで賄うことができる。
ここで特に、当該トルク伝達の遮断措置により、当該モータリングの開始前後における出力軸500のトルク変動が防止されるため、回生走行中に当該モータリングが必要となった場合であっても、当該トルク変動により生じ得るドライバビリティの低下を防止することが可能となる。
補足すると、入力側回転要素群と出力側回転要素群とのトルク伝達が遮断されない構成(例えば、ワンウェイクラッチF1に類するクラッチ機構が存在しない構成)或いは制御態様(油圧制御式クラッチ機構等においてクラッチ解放制御がなされない場合)が採用される場合、モータリングにより余剰電力を消費するにあたって、MG1からの反力トルクが出力軸500に伝達される。この反力トルクは負トルクであり、一種の制動トルクであるから、モータリング開始前後において、出力軸500に作用する制動トルクは不連続となり、回生走行中にバッテリ12が充電制限状態に陥った場合等には特に、トルク変動がドライバビリティを低下させる要因となり得るのである。
尚、本発明に係るクラッチは、必ずしも本実施形態に係るワンウェイクラッチF1に限定されるものではなく、公知の各種油圧係合クラッチ機構等が採用されてもよい。但し、ワンウェイクラッチの場合、油圧駆動装置等の付帯設備を要しないため、コスト面からも、車両搭載性の面からも、一般の油圧係合装置と較べて有利である。特に、本実施形態においては、ブレーキBR1の締結によって、ワンウェイクラッチF1のトルク伝達状態を自動的に切り替えることが可能であるため実践上有益である。
<第2実施形態>
尚、本発明に係る「クラッチ」は、ハイブリッド駆動装置10におけるワンウェイクラッチF1に限定されない。例えば、二方向にトルク伝達が可能なツーウェイクラッチであってもよい。ここで、本発明の第2実施形態として、ツーウェイクラッチを備える場合について説明する。尚、第2実施形態に係る車両構成は、ワンウェイクラッチF1に代えてツーウェイクラッチが採用される点を除いて第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置10に準ずるものとする。
<第2実施形態>
尚、本発明に係る「クラッチ」は、ハイブリッド駆動装置10におけるワンウェイクラッチF1に限定されない。例えば、二方向にトルク伝達が可能なツーウェイクラッチであってもよい。ここで、本発明の第2実施形態として、ツーウェイクラッチを備える場合について説明する。尚、第2実施形態に係る車両構成は、ワンウェイクラッチF1に代えてツーウェイクラッチが採用される点を除いて第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置10に準ずるものとする。
始めに、図7を参照し、ツーウェイクラッチのロック領域について説明する。ここに、図7は、ツーウェイクラッチのロック領域を説明する図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、ハッチング表示された領域として示されるロック領域は、クラッチ出力回転速度NcoutがNcout>0なる領域にある場合にはクラッチ入力回転速度NcinがNcin>Ncoutとなる領域であり、NcoutがNcout<0なる領域にある場合には、Ncin<Ncoutとなる領域である。即ち、ツーウェイクラッチにおいては、二方向にトルク伝達が許容される。また、図7から明らかな通り、クラッチ入力回転速度Ncinがゼロとなる場合、ツーウェイクラッチは、クラッチ出力回転速度Ncoutが正負いずれの領域でいずれの値を取ろうともトルクの伝達を遮断する。
次に、図8を参照し、ハイブリッド駆動装置10における各要素の状態と、実現される走行モードとの関係について説明する。ここに、図8は、ハイブリッド駆動装置の各要素の状態と走行モードとの関係を説明する表である。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、リバースモード以外の各要素の状態は第1実施形態と等しい。
リバースモードにおいて、バッテリ12のSOCが相対的に高い場合、即ち、エンジン200を稼動させる必要がない場合、ECU100は、エンジン200を機関停止とする。エンジン200が機関停止となれば、リングギアRg1の回転速度はゼロである。従って、ブレーキBR1は、締結状態であっても解放状態であってもよく、いずれにせよツーウェイクラッチはトルク伝達を遮断する。
一方、バッテリ12のSOCが相対的に低い場合、即ち、エンジン200を稼動させる必要がある場合、ECU100は、エンジン200を稼動状態とするが、それにはブレーキBR1による反力の供給が必要となるため、ブレーキBR1もまた締結状態とされる。一方、ブレーキBR1が締結状態となるとリングギアRg1の回転速度はゼロとなるため、ツーウェイクラッチにおけるトルク伝達の遮断は継続される。
次に、図9を参照し、第2実施形態に係るリバースモードにおけるハイブリッド駆動装置の各回転要素の動作状態について説明する。ここに、図9は、ツーウェイクラッチを備えたハイブリッド駆動装置10においてリバースモードが選択された場合における各回転要素の動作状態を例示する動作共線図である。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、バッテリ12のSOCが相対的に高い場合、入力側回転要素群の動作共線は図示L_IN2であり、出力側回転要素群の動作共線は図示L_OUT2である。一方、バッテリ12のSOCが相対的に低い場合、入力側回転要素群の動作共線は、動作点m3と、例えば動作点m17及びm18を繋げて得られる図示L_IN6(破線参照)となる。いずれにせよ、ツーウェイクラッチを備える構成においては、入力側回転要素群と出力側回転要素群とがトルク伝達上分離される。
<第3実施形態>
次に、図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るハイブリッド駆動装置の構成について説明する。ここに、図10は、本発明の第3実施形態に係るハイブリッド駆動装置20の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
<第3実施形態>
次に、図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るハイブリッド駆動装置の構成について説明する。ここに、図10は、本発明の第3実施形態に係るハイブリッド駆動装置20の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、ハイブリッド駆動装置20は、オイルポンプ700がモータジェネレータMG1に連結される点において、第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置10と相違している。
ハイブリッド駆動装置20において、オイルポンプ700は、ワンウェイクラッチ800を介してモータジェネレータMG1に連結される。これはモータジェネレータMG1が正負いずれの回転も採り得るためであり、オイルポンプ700における逆流防止の意味を持つ。このような構成においても、第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置10と遜色ない効果が奏される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド駆動装置の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、内燃機関と回転電機とを動力源として備えた車載可能なハイブリッド駆動装置の制御に適用可能である。
1…ハイブリッド車両、10…ハイブリッド駆動装置、100…ECU、200…エンジン、300…入力軸、400…動力分割機構、500…駆動軸、600…変速装置、700…オイルポンプ。
Claims (4)
- 車両の駆動輪に接続される駆動軸と、
前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な内燃機関と、
前記内燃機関との間でトルクの伝達が可能な第1回転電機と、
前記内燃機関と前記駆動軸との間のトルク伝達を断接可能なクラッチと、
前記クラッチよりも前記駆動輪側において前記駆動軸との間でトルクの伝達が可能な第2回転電機と
を備えたハイブリッド駆動装置を制御するハイブリッド駆動装置の制御装置であって、
前記駆動軸からの入力トルクにより前記第2回転電機が回生状態となる回生期間において、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する第1制御手段と、
前記トルク伝達が遮断される場合に、前記内燃機関に対し前記内燃機関の機関回転を促すトルクが供給されるように前記第1回転電機を制御する第2制御手段と
を具備することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記ハイブリッド駆動装置は、前記回生期間における前記第2回転電機の回生電力により充電可能な蓄電手段を具備し、
前記ハイブリッド駆動装置の制御装置は、
前記蓄電手段が所定の充電制限状態にあるか否かを判定する判定手段を更に具備し、
前記第2制御手段は、前記トルク伝達が遮断されている場合において、前記蓄電手段が前記充電制限状態にあると判定された場合に、前記蓄電手段に蓄積された電力及び前記回生電力のうち少なくとも一方を利用して前記機関回転を促すトルクを供給させる
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記ハイブリッド駆動装置は、
前記第1回転電機に連結される第1回転要素、前記内燃機関に連結される第2回転要素及び前記クラッチに連結される第3回転要素を含む相互に差動作用をなす複数の回転要素を有してなる差動機構と、
前記第3回転要素を固定可能な固定手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記回生期間に前記第3回転要素が固定されるように前記固定手段を制御すると共に、前記トルク伝達が遮断されるように前記クラッチを制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記クラッチは、一回転方向にのみ前記トルク伝達を許容するワンウェイクラッチである
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
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