JP2011251419A - 圧電アクチュエータ装置、及び、インクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁耐圧不良が生じた圧電素子を特定するとともに、その素子における電極間の短絡を確実に防止すること。
【解決手段】ドライバIC47の比較器48は、圧電アクチュエータ7の1つの活性部にのみ電圧が印加されたときの電源からの供給電圧(VDD)を所定の基準値と比較し、この比較結果から、制御装置8の判定回路49は、複数の活性部のそれぞれについて関連する絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する。また、判定回路49は、ある1つの活性部に関連する不良が生じていると判定したときには、それに隣接する活性部にも不良が生じているか否かによって、前記1つの活性部の不良が、単体不良か、隣接する活性部間での不良かを判別する。ドライバIC47は、その判別結果に応じて、不良が生じた活性部に関連する電極間での短絡を防止できるように印加電圧を決定する。
【選択図】図5
【解決手段】ドライバIC47の比較器48は、圧電アクチュエータ7の1つの活性部にのみ電圧が印加されたときの電源からの供給電圧(VDD)を所定の基準値と比較し、この比較結果から、制御装置8の判定回路49は、複数の活性部のそれぞれについて関連する絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する。また、判定回路49は、ある1つの活性部に関連する不良が生じていると判定したときには、それに隣接する活性部にも不良が生じているか否かによって、前記1つの活性部の不良が、単体不良か、隣接する活性部間での不良かを判別する。ドライバIC47は、その判別結果に応じて、不良が生じた活性部に関連する電極間での短絡を防止できるように印加電圧を決定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、圧電アクチュエータ装置、及び、この圧電アクチュエータ装置を備えたインクジェットヘッドに関する。
従来から、圧電層の圧電変形(圧電歪ともいう)を利用して対象を駆動する圧電アクチュエータが、様々な技術分野で広く用いられている。その中でも、特許文献1には、インクジェットヘッド用の圧電アクチュエータが開示されている。
この特許文献1の圧電アクチュエータは、複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を備えた、インクジェットヘッドの流路ユニットに設けられ、各圧力室内のインクにそれぞれ圧力を付与して、ノズルからインクの液滴を噴射させるものである。より具体的には、特許文献1の圧電アクチュエータは、流路ユニットの複数の圧力室を覆うように配置された圧電層(圧電シート)と、この圧電層の両面にそれぞれ設けられた2種類の電極(複数の個別電極と共通電極)とを有する。複数の個別電極は複数の圧力室とそれぞれ対向して設けられ、また、共通電極は圧電層を挟んで複数の個別電極と共通に対向している。この構成において、駆動装置(ドライバIC)から個別電極と共通電極間に電圧が印加されたときに、複数の個別電極と共通電極とに挟まれた複数の圧電層部分(圧電素子)に圧電変形が生じることで、圧力室内のインクに圧力が付与される。
ところで、上述した圧電アクチュエータにおいて、1つの圧電素子の2種類の電極間、あるいは、隣接する2つの圧電素子の個別電極間において、圧電層に絶縁耐圧の低下が生じることがある。例えば、電極間の圧電層部分においてクラックが発生している状態で電極間に電圧が印加されると、クラックに沿ってマイグレーションが進行する。また、クラックに水分が吸収された状態で電圧が印加されると、トリー現象が進行してやはり圧電層の絶縁耐圧が低下する。そして、このような絶縁耐圧低下は、電極間への電圧印加が続くことによって進行し、最終的には電極間に短絡が発生する。
特許文献1の圧電アクチュエータは、各圧電素子に対して、電圧が印加された待機状態から、一旦電圧の印加を解除した後に、再び、電圧印加状態に戻すという、一連の過程を経て、各ノズルから液滴を噴射させる構成である。そのため、使用しない(ノズルから液滴を噴射させない)、待機状態の圧電素子においても電圧が印加される。そこで、この特許文献1では、待機状態でも電圧が印加されることによるマイグレーション現象を抑制するため、ブラックノズルのみを使用するテキスト印刷時には、液滴を噴射しないカラーノズル用の圧電素子(個別電極)には電圧を印加しないようにするなどして、各圧電素子に電圧が印加される時間を短縮している。
前記特許文献1では、マイグレーションの進行による電極間の短絡を防止するために、使用しない圧電素子への電圧を印加しないようにして、印加時間を短縮するという対策を取っているが、どの圧電素子に不良が存在するのかを特定できていないため、不良が生じている圧電素子に個別に対策を施すということはできない。つまり、正常な圧電素子を含む多数の圧電素子に対しても、不良の圧電素子に対するのと同じ対策を行わなくてはならない。そして、不良の圧電素子への対策を行うとともに、正常な圧電素子の駆動が妨げられてしまうことがないようにするには、テキスト印刷時には使用しないことが予めわかっているカラーノズルを対象とする場合など、上記対策を行うことのできる機会はかなり限られる。そのため、絶縁耐圧不良が生じている圧電素子における電極間の短絡を確実に防止できるとは言い難い。
本発明の目的は、絶縁耐圧不良が生じている圧電素子を特定し、その特定された素子における電極間の短絡を防止することが可能な、圧電アクチュエータ装置を提供することである。
第1の発明の圧電アクチュエータ装置は、それぞれが2種類の電極に挟まれた複数の圧電素子を備えた圧電アクチュエータと、電源に接続され、前記複数の圧電素子のそれぞれについて前記2種類の電極間の電圧を変化させて圧電素子を駆動する駆動装置と、前記駆動装置により、前記複数の圧電素子のそれぞれ1つの圧電素子にのみ電圧が印加されたときの、電源から前記駆動装置への供給電圧、又は、前記電源と前記駆動装置との間を流れる電流を、所定の基準値と比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果から、前記複数の圧電素子のそれぞれについて絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段が、ある1つの圧電素子に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、この圧電素子を駆動しないことを特徴とするものである。
前記判定手段が、ある1つの圧電素子に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、この圧電素子を駆動しないことを特徴とするものである。
絶縁耐圧不良が発生している圧電素子においては、この圧電素子を挟む2種類の電極間に電圧が印加されたときに、本来絶縁性を有する圧電素子に電流が流れてしまう。そのため、不良が存在する圧電素子にのみ電圧が印加されている間に、電源から駆動装置への供給電圧が低下する、あるいは、電源と駆動装置との間に電流が流れ続けるといった兆候が現れる。そこで、本発明では、比較手段が、複数の圧電素子のそれぞれ1つの圧電素子にのみ電圧が印加されたときの、電源から駆動装置への供給電圧、又は、電源と駆動装置間の電流を基準値と比較し、その比較結果に基づいて、判定手段が複数の圧電素子のそれぞれについて不良が存在するか否かを判定する。これにより、絶縁耐圧不良が存在する圧電素子を特定することができる。さらに、判定手段が、ある1つの圧電素子に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、駆動装置は、その不良の存在する圧電素子には常に電圧を印加せず、この圧電素子を駆動しないことにより、2種類の電極間の短絡を確実に防止できる。このように、絶縁耐圧不良が生じている圧電素子を特定することにより、その圧電素子に的を絞った効果的な対策を取ることができ、不良が生じている圧電素子における電極間の短絡を確実に防止することが可能となる。
第2の発明の圧電アクチュエータ装置は、平板状に形成された圧電層と、この圧電層の一方の面において互いに間隔を空けて形成された複数の個別電極と、前記圧電層の他方の面に形成され、前記複数の個別電極と前記圧電層を挟んで対向する共通電極を有し、前記複数の個別電極と前記共通電極とに挟まれた複数の前記圧電層の部分からなる、複数の圧電素子を備えた圧電アクチュエータと、電源に接続され、前記複数の圧電素子のそれぞれについて前記個別電極と前記共通電極の間の電圧を変化させて圧電素子を駆動する駆動装置と、前記駆動装置により、前記複数の圧電素子のそれぞれ1つの圧電素子にのみ電圧が印加されたときの、電源から前記駆動装置への供給電圧、又は、前記電源と前記駆動装置との間を流れる電流を所定の基準値と比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果から、前記複数の圧電素子のそれぞれについて絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段は、前記比較手段による比較の結果から、ある1つの圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が生じていると判定したときに、
前記1つの圧電素子に隣接する圧電素子の全てについて関連する絶縁耐圧不良が発生していないと判定したときには、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断する一方で、ある1つの前記隣接する圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が発生していると判定したときには、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断し、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子の一方に電圧を印加する際に、これら2つの圧電素子にそれぞれ対応する2つの個別電極間の電位差が、他方の圧電素子に電圧を印加しない場合よりも小さくなるような電圧を、前記他方の圧電素子に印加することを特徴とするものである。
前記判定手段は、前記比較手段による比較の結果から、ある1つの圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が生じていると判定したときに、
前記1つの圧電素子に隣接する圧電素子の全てについて関連する絶縁耐圧不良が発生していないと判定したときには、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断する一方で、ある1つの前記隣接する圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が発生していると判定したときには、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断し、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子の一方に電圧を印加する際に、これら2つの圧電素子にそれぞれ対応する2つの個別電極間の電位差が、他方の圧電素子に電圧を印加しない場合よりも小さくなるような電圧を、前記他方の圧電素子に印加することを特徴とするものである。
本発明においては、1枚の圧電層が複数の個別電極にわたって設けられており、その結果、2種類の電極(複数の個別電極と共通電極)に挟まれた圧電層部分からなる複数の圧電素子が、周囲の圧電層部分を介して互いに繋がっている。そのため、圧電素子の絶縁耐圧不良としては、その圧電素子を挟む個別電極と共通電極の間の、厚み方向に関する絶縁耐圧不良(以下、圧電素子単体の絶縁耐圧不良という)だけでなく、隣接する圧電素子間(個別電極間)の絶縁耐圧不良もあり得る。尚、本発明の「圧電素子に関連する絶縁耐圧不良」とは、上述した、圧電素子単体の絶縁耐圧不良と、隣接する圧電素子間における絶縁耐圧不良の両方を含む概念である。ここで、圧電素子単体の不良の場合にはその圧電素子を挟む2種類の電極間に電圧が印加されることが問題になるのに対して、隣接する圧電素子間の不良では、隣接する2つの圧電素子の個別電極間での電位差が問題となる。つまり、2種類の異なる不良に対して、それぞれ取るべき対策は異なってくる。
そこで、本発明では、判定手段は、複数の圧電素子のそれぞれについて各素子に関連する絶縁耐圧不良が生じているか否かを判定する。さらに、ある1つの圧電素子に関連する不良が生じている場合には、その不良が、前記1つの圧電素子単体の不良なのか、隣接する圧電素子との間の不良なのかを判別する。即ち、隣接する圧電素子の全てにおいて絶縁耐圧不良が生じていない場合には前記1つの圧電素子にそれ単体の不良が生じていると判定し、隣接する圧電素子にも絶縁耐圧不良が生じている場合には2つの圧電素子間に不良が生じていると判定する。このようにして、圧電素子に生じている絶縁耐圧不良の種類を判別することができる。
さらに、絶縁耐圧不良の種類判別ができれば、それぞれの不良に適した対策を取ることができる。即ち、圧電素子単体の不良である場合には、駆動装置は、その圧電素子には常に電圧を印加せず、この圧電素子の個別電極−共通電極間の短絡を防止する。一方、隣接する圧電素子との間の不良である場合には、駆動装置は、2つの圧電素子の一方に電圧を印加する際には、2つの圧電素子の個別電極間の電位差が小さくなるように、他方の圧電素子に対しても電圧を印加し、2つの個別電極間の短絡を防止する。このように、不良が発生する圧電素子について、その不良の種類を判別するとともにその不良に応じた適切な対策を取ることにより、電極間の短絡を確実に防止できる。
第3の発明の圧電アクチュエータ装置は、前記第2の発明において、前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて所定の電圧レベルのパルスを有する駆動パルス信号を印加することにより、前記圧電素子の印加電圧を変化させて圧電素子を駆動するものであり、前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子のうち、一方の圧電素子に前記駆動パルス信号を印加する場合に、他方の圧電素子に、パルス形状が同じ駆動パルス信号を印加することを特徴とするものである。
隣接する2つの圧電素子の間に絶縁耐圧不良が生じているときに、一方の圧電素子に駆動パルス信号を印加する際には、他方の圧電素子にもパルス形状が同じ駆動パルス信号を印加する。これにより、2つの圧電素子の一方については正常な場合と同様に駆動しつつ、2つの圧電素子の個別電極間の電位を常に等しくすることができ、2つの個別電極間の短絡を確実に防止できる。
第4の発明の圧電アクチュエータ装置は、前記第2の発明において、前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて所定の電圧レベルのパルスを有する駆動パルス信号を印加することにより、前記圧電素子の印加電圧を変化させて圧電素子を駆動するものであり、前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子のうち、一方の圧電素子に前記駆動パルス信号を印加する場合に、他方の圧電素子には、前記駆動パルス信号と比べてパルス高さが低く、且つ、パルス高さ以外のパルス形状は同一の、非駆動パルス信号を印加することを特徴とするものである。
隣接する2つの圧電素子の間に絶縁耐圧不良が生じているときに、一方の圧電素子に駆動パルス信号を印加する際には、他方の圧電素子には、前記駆動パルス信号と比べてパルス高さが低く、且つ、パルス高さ以外のパルス形状は同一の、非駆動パルス信号を印加する。これにより、2つの圧電素子の一方については正常な場合と同様に駆動しつつ、2つの圧電素子の個別電極間の電位差を小さくして、2つの個別電極間の短絡を防止できる。
第5の発明のインクジェットヘッドは、被記録媒体に向けて液滴を噴射する複数のノズル、及び、これら複数のノズルに連通する液体流路を有する流路ユニットと、前記流路ユニットに設けられ、前記複数のノズルからそれぞれ液滴を噴射させる前記複数の圧電素子を有する、請求項1〜4の何れかに記載の圧電アクチュエータ装置を備えた、インクジェットヘッドであって、前記複数のノズルが前記被記録媒体と対向していない状態で液滴噴射が行われるフラッシング時において、前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて1つずつ電圧を印加するとともに、前記判定手段が、前記複数の圧電素子のそれぞれについて関連する絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定することを特徴とする
上述した圧電アクチュエータ装置が、ノズルからインクの液滴を噴射するインクジェットヘッドに用いられる場合、絶縁耐圧不良の判定のために圧電素子に電圧を印加すると、その圧電素子に対応するノズルからインクの液滴が噴射されて、被記録媒体に着弾してしまう虞がある。そこで、本発明においては、ノズルが被記録媒体と対向しておらず、万が一液滴が噴射されても問題のない、フラッシング時に圧電素子の不良判定を行うようにする。
本発明によれば、絶縁耐圧不良が生じている圧電素子を特定することにより、その特定された圧電素子に的を絞った効果的な対策を取ることができ、その圧電素子における電極間の短絡を確実に防止できる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、記録用紙に対してインクの液滴を噴射するインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
まず、本実施形態のインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略平面図である。この図1に示すように、プリンタ1は、所定の走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3と、被記録媒体である記録用紙100を、走査方向と直交する搬送方向に搬送する搬送機構4等を備えている。
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。尚、プリンタ1には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ10が設けられている。一方、キャリッジ2には、発光素子と受光素子とを有する透過型のフォトセンサ11が設けられている。そして、プリンタ1は、キャリッジ2の移動中にフォトセンサ11が検出したリニアエンコーダ10の透光部の計数値(検出回数)から、キャリッジ2の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっている。
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3が搭載されている。インクジェットヘッド3は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に多数のノズル30(図2〜図4参照)を備えている。このインクジェットヘッド3は、搬送機構4により図1の下方(搬送方向)に搬送される記録用紙100に対して、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを多数のノズル30から噴射するように構成されている。
搬送機構4は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向上流側に配置された給紙ローラ12と、インクジェットヘッド3よりも搬送方向下流側に配置された排紙ローラ13とを有する。給紙ローラ12と排紙ローラ13は、それぞれ、給紙モータ14と排紙モータ15により回転駆動される。そして、この搬送機構4は、給紙ローラ12により、記録用紙100を図1の上方からインクジェットヘッド3へ搬送するとともに、排紙ローラ13により、インクジェットヘッド3によって画像や文字等が記録された記録用紙100を図1の下方へ排出する。
次に、インクジェットヘッド3について説明する。図2はインクジェットヘッドの平面図、図3は図2の一部拡大図、図4は図3の断面図であり、(a)は図3のA−A線断面図、(b)は図3のB−B線断面図である。図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド3は、ノズル30や圧力室24を含むインク流路が形成された流路ユニット6と、圧力室24内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ7とを備えている。
まず、流路ユニット6について説明する。図4に示すように、流路ユニット6はキャビティプレート20、ベースプレート21、マニホールドプレート22、及びノズルプレート23を備えており、これら4枚のプレート20〜23が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート20、ベースプレート21及びマニホールドプレート22は、それぞれ、ステンレス鋼等の金属材料からなる平面視で略矩形状の板である。そのため、これら3枚のプレート20〜22に、後述するマニホールド27や圧力室24等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができるようになっている。また、ノズルプレート23は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート22の下面に接着剤で接合される。あるいは、このノズルプレート23も、他の3枚のプレート20〜22と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2〜図4に示すように、4枚のプレート20〜23のうち、最も上方に位置するキャビティプレート20には、その面と平行な方向に沿って配列された複数の圧力室24がプレート20を貫通する孔により形成されている。また、複数の圧力室24は、搬送方向(図2の上下方向)に千鳥状に複数列(図では簡単のため2列の形態を例示)に配列されている。また、図4に示すように、複数の圧力室24は上下両側から後述の振動板40及びベースプレート21によりそれぞれ覆われている。さらに、各圧力室24は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート21の、平面視で圧力室24の長手方向両端部と重なる位置には、それぞれ連通孔25,26が形成されている。また、マニホールドプレート22には、平面視で、2列に配列された圧力室24の連通孔25側の部分と重なるように、搬送方向に延びる複数(図2では2つ)のマニホールド27が形成されている。これら複数のマニホールド27は、圧電アクチュエータ7の振動板40に形成されたインク供給口28に連通しており、図示しないインクタンクからインク供給口28を介してマニホールド27へインクが供給される。さらに、マニホールドプレート22の、平面視で複数の圧力室24のマニホールド27と反対側の端部と重なる位置には、それぞれ、複数の連通孔26に連なる複数の連通孔29も形成されている。
ノズルプレート23の、平面視で複数の連通孔29にそれぞれ重なる位置には、複数のノズル30が形成されている。図2に示すように、複数のノズル30は、搬送方向に沿って2列に配列された複数の圧力室24の、マニホールド27と反対側の端部とそれぞれ重なるように配置され、複数列(図では2列)のノズル列を構成している。
以上より、図4に示すように、マニホールド27は連通孔25を介して圧力室24に連通し、さらに、圧力室24は、連通孔26,29を介してノズル30に連通している。このように、流路ユニット6内には、マニホールド27から圧力室24を経てノズル30に至る個別インク流路31が複数形成されている。
尚、図2においては、説明の簡単のため、1つのインク供給口28に連なる1種類の流路構造(マニホールド27、圧力室24、ノズル30等)のみが描かれているが、インクジェットヘッド3が、図2に示されている流路構造が走査方向に複数並べて設けられた構成を備え、複数色(例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色)のインクをそれぞれ噴射可能な、カラーインクジェットヘッドであってもよい。
次に、圧電アクチュエータ7について説明する。図2〜図4に示すように、圧電アクチュエータ7は、複数の圧力室24を覆うように流路ユニット6(キャビティプレート20)の上面に配置された振動板40と、この振動板40の上面に、複数の圧力室24と対向するように配置された圧電層41と、圧電層41の上面に配置された複数の個別電極42とを備えている。
振動板40は、平面視で略矩形状の金属板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。この振動板40は、キャビティプレート20の上面に複数の圧力室24を覆うように配設された状態で、キャビティプレート20に接合されている。また、導電性を有する振動板40の上面は、圧電層41の下面側に配置されることによって、上面の複数の個別電極42との間で圧電層41に厚み方向の電界を生じさせる、共通電極を兼ねている。この共通電極としての振動板40は、後述するドライバIC47のグランド配線に接続されて、常にグランド電位に保持される。
圧電層41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなり、平板状に形成されている。図2、図4(b)に示すように、この圧電層41は、振動板40の上面において、複数の圧力室24に跨って連続的に形成されている。
圧電層41の上面の、複数の圧力室24と対向する領域には、複数の個別電極42がそれぞれ配置されている。各々の個別電極42は圧力室24よりも一回り小さい略楕円形の平面形状を有し、圧力室24の中央部と対向している。即ち、複数の個別電極42は、圧電層41の上面において、複数の圧力室24にそれぞれ対応して、互いに間隔を空けて配置されている。また、複数の個別電極42の端部からは、ドライバIC47を実装したフレキシブル配線基板(図示省略)と接続される、複数の接点部45が個別電極42の長手方向に沿ってそれぞれ引き出されている。
また、複数の個別電極42と共通電極としての振動板40とに挟まれた、複数の圧電層部分(活性部46)は、予め、その厚み方向に分極されている。そして、個別電極42と振動板40との間に電位差(電圧)が発生したときには、活性部46には圧電変形(圧電歪み)が発生し、この変形によって、その活性部46と対向する圧力室24内のインクに圧力が付与されることになる。即ち、1つの活性部46が、1つの圧力室24内に噴射圧力を付与してノズル30からインクの液滴を噴射させる、本願発明における1つの圧電素子に相当する。
以上の圧電アクチュエータ7には、この圧電アクチュエータ7を駆動するドライバIC47(駆動装置)を実装した、図示しないフレキシブル配線基板(FPC)が接続され、FPC上の配線を介してドライバIC47と複数の個別電極42、及び、共通電極としての振動板40が電気的に接続される。また、ドライバIC47はFPCを介して制御装置8(図5参照)やプリンタの電源(図示省略)とも接続されている。そして、制御装置8からの指令を受けて、ドライバIC47が個別電極42に対して、所定のパルス波形と電圧レベル(波高値)を有する、後述の駆動パルス信号(図6(a)参照)を供給することにより、個別電極42と、常時グランド電位に保持される振動板40との間の電位差、即ち、活性部46に印加される電圧が変化するようになっている。
次に、駆動パルス信号が供給されたときの、圧電アクチュエータ7の各活性部46の動作について説明する。ある個別電極42に対して、ドライバIC47から駆動パルス信号(図6(a))が供給されると、個別電極42とグランド電位に保持されている共通電極としての振動板40との間に挟まれた、活性部46に電圧が印加され、活性部46に厚み方向の電界が作用する。この電界の方向は活性部46の分極方向と平行であるから、活性部46が厚み方向と直交する面方向に収縮する。ここで、圧電層41の下側の振動板40はキャビティプレート20に固定されているため、この振動板40の上面に位置する圧電層41が面方向に収縮するのに伴って、振動板40の圧力室24を覆う部分が圧力室24側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室24内の容積が減少するために圧力室24内のインク圧力が上昇し、この圧力室24に連通するノズル30からインクが噴射される。
次に、圧電アクチュエータ7に駆動パルス信号を供給する、ドライバIC47(駆動装置)について詳細に説明する。図5は、圧電アクチュエータとドライバICと制御装置の電気的な接続構成を示す図である。図5のように、ドライバIC47は制御装置8と接続され、制御装置8から供給された信号に基づき、圧電アクチュエータ7の個別電極42に対して所定の波形を有する駆動パルス信号を供給する。図6(a)は、駆動パルス信号を示す図である。ドライバIC47は、各活性部46(個別電極42)に対して、図6(a)に示す3種類のパルス信号の中から1種類を選択して供給するようになっている。これら3種類の信号は、多階調印字を可能とするために、1つのノズル30からサイズの異なる3種類の液滴(小玉、中玉、大玉)を噴射させる信号であり、パルス波形が互いに異なっている。より具体的には、図6(a)に示すように、3種類の駆動パルス信号は、1印字周期(記録用紙100に1ドットを形成する周期)に含まれるパルスP1の数が異なっている。
図5に示すように、制御装置8とドライバIC47は、2本の電源線(VDD(高電位線)、及び、VSS(低電位線:グランド線))によって接続されており、ドライバIC47はプリンタ1の電源(図示略)と制御装置8を介して接続されている。また、制御装置8からドライバIC47に対して、クロック(CLK)、3種類の駆動パルス信号の波形データ(FIRE)、3種類の波形から1種類を選択するための波形選択信号(SIN)等がそれぞれ入力される。そして、ドライバIC47は、クロックに従って制御装置8から送信された波形選択信号(SIN)に基づいて、3種類の波形データ(FIRE)から1種類を選択し、選択された波形を有する駆動パルス信号を生成して、圧電アクチュエータ7の各個別電極42に供給する。
さらに、ドライバIC47は、前記3種類の駆動パルス信号の他に、3種類の非駆動パルス信号を生成して圧電アクチュエータ7に供給可能となっている。図6(b)は非駆動パルス信号を示す図である。図6(b)の3種類の非駆動パルス信号は、図6(a)に示される3種類の駆動パルス信号と比べて、パルス数、パルス間隔、及び、パルスの位相は同じとなっている。但し、これら3種類の非駆動パルス信号のパルスP2の高さ(電圧レベル)は、圧電アクチュエータ7の個別電極42に供給されたときに、ノズル30から液滴が噴射されることがないように、前記駆動パルス信号のパルスP1の高さよりも低い値となっている。この非駆動パルス信号は、例えば、ノズル30から液滴を噴射させることなくノズル30内でインクを振動させて、ノズル30の乾燥を防止する場合(不吐出フラッシング)などに使用される。さらに、後述するように、隣接する2つの活性部46間に絶縁耐圧不良が存在する場合の、2つの個別電極42間の短絡を防止するためにも使用することができる。
また、図5に示すように、ドライバIC47内には、電源からドライバIC47への供給電圧(VDD電圧)を基準電圧と比較する比較器48が設けられている。この比較器48は、圧電アクチュエータ7の複数の活性部46のそれぞれについて、絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定するために設けられているのであるが、その詳細は後述する。
次に、制御装置8を中心とするプリンタ1の電気的構成について、図7のブロック図を参照して説明する。図7に示すように、制御装置8は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)70、ROM(Read Only Memory)71、RAM(Random Access Memory)72、及び、これらを接続するバス73からなるマイクロコンピュータを有する。また、バス73には、インクジェットヘッド3のドライバIC47、キャリッジ2を駆動するキャリッジ駆動モータ19、搬送機構4の給紙モータ14及び排紙モータ15等を制御する、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)74が接続されている。また、このASIC74は、入出力インターフェイス(I/F)78を介して外部装置であるPC(パーソナルコンピュータ)79とデータ通信可能に接続されている。
また、ASIC74には、PC79から入力された画像データに基づいてインクジェットヘッド3のドライバIC47とキャリッジ駆動モータ19をそれぞれ制御するヘッド制御回路81と、同じく前記画像データに基づいて搬送機構4の給紙モータ14と排紙モータ15をそれぞれ制御する搬送制御回路82等が組み込まれている。
ヘッド制御回路81は、PC79からの画像データに基づいて、複数のノズル30に対応した複数の活性部46(個別電極42)のそれぞれについて、3種類の駆動パルス信号(図6(a)参照)から1種類を選択させるための波形選択信号(SIN)を生成する。また、ドライバIC47に対して、3種類の駆動パルス信号の波形データ(FIRE)と、前記波形選択信号(SIN)を送信する。そして、ドライバIC47は、複数の個別電極42に対して前記波形選択信号に応じた駆動パルス信号を生成し、複数の個別電極42にそれぞれ供給する。
ところで、上述した圧電アクチュエータ7において、個別電極42と共通電極としての振動板40との間、あるいは、隣接する2つの個別電極42間において、マイグレーション現象やトリー現象等に起因する絶縁耐圧不良が発生することがある。例えば、図4に示される、本実施形態のユニモルフ型の圧電アクチュエータ7では、変形効率を上げるために圧電層41の厚みを極力薄くすることが好ましいが、そのような厚みの薄い圧電層41にはクラックが発生しやすく、個別電極42と共通電極(振動板40)間でクラックに沿って厚み方向にマイグレーションを発生させる原因となる。また、高速印字及び高解像度印字のために、ノズル数を増やしつつもヘッドの小型化を実現しようとすると、複数の個別電極42のピッチを小さくせざるを得ない。この場合には、狭ピッチで隣接する個別電極42間でマイグレーションによる短絡が発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、絶縁耐圧不良が発生している活性部46を特定するとともに、その活性部46における電極間での短絡を防止可能に構成されている。
具体的には、図5、図7に示すように、ドライバIC47内に、1つの活性部46にのみ電圧が印加されたときの、電源からドライバIC47への供給電圧(VDD電圧)を基準電圧と比較する比較器48(比較手段)と、この比較器48から出力された比較結果を記憶する記憶部が設けられている。また、制御装置8側には、比較器48の比較結果から、複数の活性部46のそれぞれについて、絶縁耐圧不良が生じているか否かを判定する判定回路49(判定手段)が設けられている。
(絶縁耐圧不良が生じている活性部の特定)
複数の活性部46の絶縁耐圧不良の判定を行う際には、ドライバIC47は、複数の活性部46のそれぞれに対して、1つずつ、個別電極42に電圧を印加する。即ち、検査対象となる1つの活性部46の個別電極42にのみ電圧を印加するとともに、それ以外の活性部46に電圧を印加しない。このとき、検査対象の活性部46の個別電極42と振動板40の間だけでなく、検査対象の活性部46の個別電極42と、隣接する別の個別電極42との間においても電圧(電位差)が発生する。
複数の活性部46の絶縁耐圧不良の判定を行う際には、ドライバIC47は、複数の活性部46のそれぞれに対して、1つずつ、個別電極42に電圧を印加する。即ち、検査対象となる1つの活性部46の個別電極42にのみ電圧を印加するとともに、それ以外の活性部46に電圧を印加しない。このとき、検査対象の活性部46の個別電極42と振動板40の間だけでなく、検査対象の活性部46の個別電極42と、隣接する別の個別電極42との間においても電圧(電位差)が発生する。
複数の活性部46のうちの1つの活性部46にのみ電圧が印加されたときに、その活性部46が、絶縁耐圧不良が生じていない正常な活性部である場合には、電源からドライバIC47への供給電圧(図5のVDDの電圧)は、その1つの活性部46への電圧印加初期(充電時)にわずかに変化する程度であり、供給電圧はほとんど変化しない。しかし、活性部46に絶縁耐圧不良が生じている場合には、個別電極42−振動板40間、あるいは、隣接する個別電極42との間の短絡によって電流が流れ続けて電圧降下が生じるため、電源からドライバIC47への供給電圧が低下する。そこで、比較器48は、ドライバIC47により1つの活性部46にのみ電圧が印加されたときの、電源からドライバIC47(圧電アクチュエータ7)への供給電圧(VDD電圧)を所定の基準電圧値と比較する。また、複数の活性部46のそれぞれについて、比較器48から出力された比較結果は、記憶部50にまとめて記憶される。
一方、制御装置8内の判定回路49は、記憶部50に記憶された、比較器48の比較結果を読み出す。そして、この比較結果に基づいて、1つの活性部46に電圧が印加されたときのVDD電圧が前記基準電圧値を下回ったときにはその活性部46に関連する絶縁耐圧不良が生じていると判定する。上記判定を全ての活性部46について行うことにより、全ての活性部46のそれぞれについて、各活性部46に関連する不良が生じているか否かを認識できるようになる。
(不良種類の判別)
図4(b)に示されているように、本実施形態では、圧電層41の上面に複数の個別電極42が間隔を空けて配置されており、その結果、複数の個別電極42にそれぞれ対応する複数の活性部46が、周囲の圧電層部分を介して互いに繋がっている。そのため、活性部46の絶縁耐圧不良としては、個別電極42と振動板40の間の、厚み方向に関する絶縁耐圧不良(以下、活性部46の単体不良という)だけでなく、隣接する活性部46(個別電極42)との間の絶縁耐圧不良もあり得る。そこで、判定回路49は、1つの活性部46に関連する不良が生じていると判定した場合に、さらに、その不良が、活性部46の単体不良なのか、それとも、隣接する活性部46との間の不良なのかを判別する。
図4(b)に示されているように、本実施形態では、圧電層41の上面に複数の個別電極42が間隔を空けて配置されており、その結果、複数の個別電極42にそれぞれ対応する複数の活性部46が、周囲の圧電層部分を介して互いに繋がっている。そのため、活性部46の絶縁耐圧不良としては、個別電極42と振動板40の間の、厚み方向に関する絶縁耐圧不良(以下、活性部46の単体不良という)だけでなく、隣接する活性部46(個別電極42)との間の絶縁耐圧不良もあり得る。そこで、判定回路49は、1つの活性部46に関連する不良が生じていると判定した場合に、さらに、その不良が、活性部46の単体不良なのか、それとも、隣接する活性部46との間の不良なのかを判別する。
上記不良の判別について、図8を参照して具体的に説明する。尚、図2では、図面の簡単のため、2列の圧力室24(個別電極42)の列が配置された簡単な構成が図示されていたが、ここでは、図8のように、中央の1つの活性部46(個別電極42)に対して、図中上下方向及び左右方向にそれぞれ別の活性部46(個別電極42)が隣接して配置されている形態を例に挙げて説明する。
図8の中央に位置する1つの活性部46aに関連する絶縁耐圧不良が生じていると判定した場合には、判定回路49は、前記1つの活性部46aに対して取り囲むように隣接する、合計8つの活性部46bのそれぞれについての判定結果に基づいて、前記1つの活性部46aの絶縁耐圧不良がどのような不良なのかを判断する。
具体的には、隣接する8つの活性部46bの全てについて不良が生じていないときには、判定回路49は、中央に位置する活性部46aの不良がそれ単体の不良であると判断する。一方、隣接する活性部46bの何れか1つに不良が生じているときには、中央の活性部46aと1つの活性部46bとの間の圧電層部分に不良が生じていると判断する。
尚、厳密に言えば、上記判断においては、互いに隣接する2つの活性部46a,46bのそれぞれに単体の不良が生じている場合と、2つの活性部46a,46b間で不良が発生している場合とを区別していない。そのため、上記判断では、2つの活性部46a,46bのそれぞれに単体の不良が生じているのに、2つの活性部46a,46b間で不良が発生していると誤って判断してしまう。
ところで、ここで述べている活性部46の不良判定は、実際には、プリンタ1が一定期間使用される毎に繰り返し行われるものである。そして、2つの活性部46a,46bのそれぞれにおいて単体の不良が生じた場合には、それら単体の不良が同時に発生することは稀であり、通常はその不良状態発生(検出)の時期がずれるのに対して、2つの活性部46a,46b間で不良が発生した場合には、2つの活性部46a,46bについて同時に不良が検出されると考えられる。従って、上述した誤判定を極力無くすには、互いに隣接する2つの活性部46a,46bの不良が初めて検出された時期が同じか、ずれているかということも考慮して、不良種類の判別を行ってもよい。
尚、本実施形態では、ドライバIC47内に、1つの活性部46に電圧を印加したときのVDD電圧の低下を検出する比較器48が設けられているが、ドライバIC47側ではなく、制御装置8側に比較器が設けられても同様の判定を行うことができる。但し、図5に示すように、一般的に、制御装置8とドライバIC47とを接続する2本の電源線(高電位線(VDD)と低電位線(VSS))の間には、供給電圧を安定化させるためのコンデンサCが設けられる。そのため、絶縁耐圧不良が存在する活性部46に電圧が印加されたときの、ドライバIC47側で生じた供給電圧(VDD)の変化がコンデンサCによって平滑化されてしまい、制御装置8側で検出しにくくなる。そのため、検出精度を高める観点から、本実施形態では、ドライバIC47側に比較器48とその比較結果を記憶する記憶部50が設けられた上で、制御装置8は、比較器48の比較結果を記憶部50から読み出して、各活性部46の絶縁耐圧不良の判定を行うように構成されている。
また、判定回路49による判定を行う際には、ドライバIC47が活性部46の1つずつに電圧を印加するため、印加する電圧にもよるが、活性部46への電圧印加によって対応する圧力室24に圧力が付与され、ノズル30から液滴が噴射されることも考えられる。そのため、液滴が噴射されても問題がない状況で、活性部46の判定を行うことが好ましい。例えば、インクジェットプリンタにおいては、記録用紙100への印刷前、又は、印刷途中に、ノズル30の乾燥を防ぐために、インクジェットヘッド3を記録用紙100と対向しない位置(例えば、図1の左右方向(走査方向)両端位置)まで移動させた上で、その位置において液滴噴射を行わせる、いわゆるフラッシングを行うことが一般的である。そこで、ノズル30が記録用紙100と対向しておらず、万が一液滴が噴射されても問題のない、上記フラッシング時において、複数の活性部46のそれぞれについて1つずつ電圧を印加して、活性部46の判定を行ってもよい。
また、上記判定時に活性部46に印加する電圧は、実際に活性部46を駆動するときの駆動電圧(駆動パルス信号の電圧レベル)であってもよいが、駆動電圧とは異なった電圧でもよい。判定時に印加する電圧を駆動電圧よりも低く設定すれば、検査時に液滴が噴射されてしまうことを防止できる。逆に、判定時の電圧を駆動電圧よりも大きくすれば、不良が生じている活性部46に電圧が印加された時の供給電圧の低下度合が顕著になり、不良検出の精度が上がる。
尚、本実施形態において、圧電アクチュエータ7と、この圧電アクチュエータ7を駆動するドライバIC47(駆動装置)と、このドライバIC47内に組み込まれている比較器48(比較手段)と、制御装置8内に設けられた判定回路49(判定手段)からなる構成が、本願発明の圧電アクチュエータ装置に相当する。
(短絡防止対策)
上述した活性部46の不良判定が行われた後、制御装置8のヘッド制御回路81は、判定回路49による判定結果に基づいて、絶縁耐圧不良が生じている活性部46については電極間での短絡の発生を防止するために、ドライバIC47に対して下記のような対策を行わせる。ここで、活性部46の単体不良の場合にはその活性部46に電圧が印加されることが問題になるのに対して、隣接する活性部46間の絶縁耐圧不良では、2つの個別電極42間での電位差が問題となる。つまり、2種類の絶縁耐圧不良に対して、それぞれ取るべき対策は異なってくる。
上述した活性部46の不良判定が行われた後、制御装置8のヘッド制御回路81は、判定回路49による判定結果に基づいて、絶縁耐圧不良が生じている活性部46については電極間での短絡の発生を防止するために、ドライバIC47に対して下記のような対策を行わせる。ここで、活性部46の単体不良の場合にはその活性部46に電圧が印加されることが問題になるのに対して、隣接する活性部46間の絶縁耐圧不良では、2つの個別電極42間での電位差が問題となる。つまり、2種類の絶縁耐圧不良に対して、それぞれ取るべき対策は異なってくる。
(活性部単体不良)
単体の不良(個別電極42−振動板40間の絶縁耐圧不良)が生じている活性部46については、ドライバIC47は、その活性部46に常に電圧を印加せず(個別電極42に、図6(a)の駆動パルス信号を供給せずにグランド電位に維持し)、駆動を禁止する。つまり、PC79から入力された画像データにかかわらず、不良の活性部46に対応するノズル30は使用しない。
単体の不良(個別電極42−振動板40間の絶縁耐圧不良)が生じている活性部46については、ドライバIC47は、その活性部46に常に電圧を印加せず(個別電極42に、図6(a)の駆動パルス信号を供給せずにグランド電位に維持し)、駆動を禁止する。つまり、PC79から入力された画像データにかかわらず、不良の活性部46に対応するノズル30は使用しない。
(隣接する活性部間の不良)
隣接する2つの活性部46間で絶縁耐圧不良が生じているときには、2つの活性部46の個別電極42の間の電位差を小さくすることによって、個別電極42の間の短絡を防止する。最も簡単に実現するには、2つの個別電極42の両方に一定電圧を常時印加すればよいが、この場合には、これら2つの活性部46が共に駆動されず、それぞれ対応する2つのノズル30の両方が常に使用されないことになる。そこで、少なくとも一方の活性部46については正常な場合と同じように駆動しつつ、2つの個別電極42の間の短絡を確実に防止できる対策を取ることが好ましい。以下、その具体的な対策を2例挙げる。
隣接する2つの活性部46間で絶縁耐圧不良が生じているときには、2つの活性部46の個別電極42の間の電位差を小さくすることによって、個別電極42の間の短絡を防止する。最も簡単に実現するには、2つの個別電極42の両方に一定電圧を常時印加すればよいが、この場合には、これら2つの活性部46が共に駆動されず、それぞれ対応する2つのノズル30の両方が常に使用されないことになる。そこで、少なくとも一方の活性部46については正常な場合と同じように駆動しつつ、2つの個別電極42の間の短絡を確実に防止できる対策を取ることが好ましい。以下、その具体的な対策を2例挙げる。
(対策1)
2つの活性部46間に不良が生じていると判定されたときには、ドライバIC47は、一方の活性部46に駆動パルス信号を印加する場合に、他方の活性部46に、前記一方の活性部46に印加した信号とパルス形状(パルス高さ、パルス幅、及び、パルスの位相等)が同じ駆動パルス信号を印加する。例えば、一方の活性部46に対応するノズル30から、中玉の液滴を噴射させる必要がある場合、この一方の活性部46には図6(a)の(2)の駆動パルス信号を印加する。このとき、同時に、隣接する他方の活性部46に対しても、同じ駆動パルス信号を印加する。これにより、2つの活性部46のそれぞれに対応する2つの個別電極42の電位が互いに等しくなり、個別電極42間の電位差が0となる。この対策1では、2つの活性部46の少なくとも一方に対して、画像データに基づいて決定される駆動パルス信号を正常な場合と同様に供給し、ノズル30から液滴を噴射させることができる。
2つの活性部46間に不良が生じていると判定されたときには、ドライバIC47は、一方の活性部46に駆動パルス信号を印加する場合に、他方の活性部46に、前記一方の活性部46に印加した信号とパルス形状(パルス高さ、パルス幅、及び、パルスの位相等)が同じ駆動パルス信号を印加する。例えば、一方の活性部46に対応するノズル30から、中玉の液滴を噴射させる必要がある場合、この一方の活性部46には図6(a)の(2)の駆動パルス信号を印加する。このとき、同時に、隣接する他方の活性部46に対しても、同じ駆動パルス信号を印加する。これにより、2つの活性部46のそれぞれに対応する2つの個別電極42の電位が互いに等しくなり、個別電極42間の電位差が0となる。この対策1では、2つの活性部46の少なくとも一方に対して、画像データに基づいて決定される駆動パルス信号を正常な場合と同様に供給し、ノズル30から液滴を噴射させることができる。
(対策2)
隣接する2つの活性部46間で不良が生じている場合の別の対策として、ドライバIC47が、それら2つの活性部46のうちの一方に、ある駆動パルス信号(図6(a))を印加してノズル30から液滴を噴射させる場合には、他方の活性部46には、前記駆動パルス信号と、パルス高さ以外のパルス形状は同一の、非駆動パルス信号(図6(b))を印加する。例えば、一方の活性部46に対応するノズル30から、中玉の液滴を噴射させる必要がある場合、この一方の活性部46には図6(a)の(2)の駆動パルス信号を印加する。このとき、同時に、他方の活性部46には、図6(a)の(2)の駆動パルス信号と比べてパルス高さは低いものの、それ以外のパルス形状は同一である、図6(b)の(2)の非駆動パルス信号を印加する。
隣接する2つの活性部46間で不良が生じている場合の別の対策として、ドライバIC47が、それら2つの活性部46のうちの一方に、ある駆動パルス信号(図6(a))を印加してノズル30から液滴を噴射させる場合には、他方の活性部46には、前記駆動パルス信号と、パルス高さ以外のパルス形状は同一の、非駆動パルス信号(図6(b))を印加する。例えば、一方の活性部46に対応するノズル30から、中玉の液滴を噴射させる必要がある場合、この一方の活性部46には図6(a)の(2)の駆動パルス信号を印加する。このとき、同時に、他方の活性部46には、図6(a)の(2)の駆動パルス信号と比べてパルス高さは低いものの、それ以外のパルス形状は同一である、図6(b)の(2)の非駆動パルス信号を印加する。
尚、上述した対策1と対策2で、一方のノズル30に画像データに基づく噴射要求がなされているときに、液滴噴射を禁止するのではなく、そのノズル30からは活性部46が正常な場合と同じように、液滴を噴射させることができるという効果を奏する点では共通である。しかしながら、他方のノズル30について、対策1では、噴射要求の有無にかかわらず、前記一方のノズル30と同じ液滴を噴射させるのに対し、対策2では、噴射要求の有無にかかわらず、他方のノズル30からは液滴を噴射させないという点で異なる。また、対策2では駆動パルス信号(図6(a))とは別に、非駆動パルス信号(図6(b))を別に生成する必要があるのに対して、対策1ではその必要がないため、ドライバICの回路構成が簡単になる。
以上説明したように、本実施形態では、絶縁耐圧不良が生じている活性部46を特定することにより、その活性部46に的を絞った効果的な対策を取ることができ、活性部46における電極間の短絡を確実に防止することが可能となる。
また、ある1つの活性部46に絶縁耐圧不良が生じている場合に、さらに、その不良が、活性部46の単体不良か、あるいは、隣接する活性部46との間での不良なのかを判別し、その不良に応じた適切な対策を取ることにより、電極間の短絡を確実に防止できる。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]絶縁耐圧不良が生じている1つの活性部46にのみ電圧が印加されたときには、電源からの供給電圧(VDD)だけでなく、電源とドライバIC47(圧電アクチュエータ7)との間を流れる電流においても、異常な兆候が現れる。即ち、活性部46が正常な場合にはその活性部46に電流がほとんど流れないのに対して、絶縁耐圧不良が生じている場合には、電圧が印加されている間、その活性部46に電流が流れ続けることになる。つまり、電源とドライバIC47(圧電アクチュエータ7)との間で電流が流れ続ける。そこで、1つの活性部46にのみ電圧が印加されたときに、比較器48が、電源とドライバIC47(圧電アクチュエータ7)との間を流れる電流(図5のVDD又はVSSを流れる電流)を所定の基準電流値と比較し、基準電流値を超える電流が流れ続ける場合には、判定回路49が、その活性部46に関連する絶縁耐圧不良が発生していると判定してもよい。
2]活性部46の単体不良と2つの活性部46間の不良の、どちらが生じやすいかは、圧電アクチュエータ7の構成によって異なる。例えば、圧電層41の厚みが小さい場合には活性部46の単体不良が生じやすく、また、個別電極42のピッチが小さい場合には2つの活性部46間の不良が生じやすい。そこで、圧電アクチュエータ7の構成によって、活性部46の単体不良と、隣接する2つの活性部46間の不良とで、発生する確率が大きく異なることがわかっている場合には、ある活性部46に不良が生じたときには前記発生確率が高い方の不良であると、一義的に判断するようにして、その不良に適した対策を取るようにしてもよい。
3]前記実施形態の圧電アクチュエータは、隣接する活性部46(圧電素子)が周囲の圧電層41を介して繋がっているために、隣接する活性部46間においても絶縁耐圧が発生する構造となっていた。しかし、図9のように、複数の活性部86(圧電素子)が互いに分離して配置されている場合には、隣接する活性部86間における絶縁耐圧不良を考慮する必要はない。従って、この場合に、ある活性部86に不良が生じていると判定されたときには、その不良は活性部86の単体の不良であるとして、その活性部86には常に電圧を印加しないようにする。
4]圧電アクチュエータ7の活性部46の数が多い場合に、最初から、これら多数の活性部46のそれぞれに1つずつ電圧を印加して不良判定を行うとすると、判定に長い時間がかかってしまう。そこで、多数の活性部46を複数の活性部の群に分けて、活性部の群単位で判定を行ってもよい。
即ち、1つの活性部の群に属する複数の活性部46の全てにそれぞれ電圧を印加し、そのときのVDD電圧、あるいは、VDD又はVSSを流れる電流を監視して、その活性部の群の中に不良が生じている活性部46が存在するかをまず判定する。その後、不良が生じている活性部46が存在すると判定された群の中で、1つずつ活性部46に電圧を印加し、不良が生じている活性部46を特定する。つまり、不良が生じている活性部46が存在しない群については、活性部毎の個別の判定を行わないため、不良の活性部46の特定に要する時間を短縮できる。
5]本発明の適用対象となる圧電アクチュエータは、ノズルから液滴を噴射させるインクジェットヘッドのアクチュエータには限られない。例えば、インク以外の液体に圧力を付与するためのアクチュエータであってもよいし、さらには、固形の駆動対象を駆動するアクチュエータに対しても本発明を適用できる。
1 インクジェットプリンタ
3 インクジェットヘッド
6 流路ユニット
7 圧電アクチュエータ
8 制御装置
24 圧力室
30 ノズル
40 振動板
41 圧電層
42 個別電極
46 活性部
47 ドライバIC
48 比較器
49 判定回路
86 活性部
100 記録用紙
3 インクジェットヘッド
6 流路ユニット
7 圧電アクチュエータ
8 制御装置
24 圧力室
30 ノズル
40 振動板
41 圧電層
42 個別電極
46 活性部
47 ドライバIC
48 比較器
49 判定回路
86 活性部
100 記録用紙
Claims (5)
- それぞれが2種類の電極に挟まれた複数の圧電素子を備えた圧電アクチュエータと、
電源に接続され、前記複数の圧電素子のそれぞれについて前記2種類の電極間の電圧を変化させて圧電素子を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置により、前記複数の圧電素子のそれぞれ1つの圧電素子にのみ電圧が印加されたときの、電源から前記駆動装置への供給電圧、又は、前記電源と前記駆動装置との間を流れる電流を、所定の基準値と比較する比較手段と、
この比較手段による比較の結果から、前記複数の圧電素子のそれぞれについて絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段が、ある1つの圧電素子に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、この圧電素子を駆動しないことを特徴とする圧電アクチュエータ装置。 - 平板状に形成された圧電層と、この圧電層の一方の面において互いに間隔を空けて形成された複数の個別電極と、前記圧電層の他方の面に形成され、前記複数の個別電極と前記圧電層を挟んで対向する共通電極を有し、前記複数の個別電極と前記共通電極とに挟まれた複数の前記圧電層の部分からなる、複数の圧電素子を備えた圧電アクチュエータと、
電源に接続され、前記複数の圧電素子のそれぞれについて前記個別電極と前記共通電極の間の電圧を変化させて圧電素子を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置により、前記複数の圧電素子のそれぞれ1つの圧電素子にのみ電圧が印加されたときの、電源から前記駆動装置への供給電圧、又は、前記電源と前記駆動装置との間を流れる電流を、所定の基準値と比較する比較手段と、
この比較手段による比較の結果から、前記複数の圧電素子のそれぞれについて絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段は、前記比較手段による比較の結果から、ある1つの圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が生じていると判定したときに、
前記1つの圧電素子に隣接する圧電素子の全てについて関連する絶縁耐圧不良が発生していないと判定したときには、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断する一方で、ある1つの前記隣接する圧電素子に関連する絶縁耐圧不良が発生していると判定したときには、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断し、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子単体に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子に常に電圧を印加せず、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子の一方に電圧を印加する際に、これら2つの圧電素子にそれぞれ対応する2つの個別電極間の電位差が、他方の圧電素子に電圧を印加しない場合よりも小さくなるような電圧を、前記他方の圧電素子に印加することを特徴とする圧電アクチュエータ装置。 - 前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて所定の電圧レベルのパルスを有する駆動パルス信号を印加することにより、前記圧電素子の印加電圧を変化させて圧電素子を駆動するものであり、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子のうち、一方の圧電素子に前記駆動パルス信号を印加する場合に、他方の圧電素子に、パルス形状が同じ駆動パルス信号を印加することを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ装置。 - 前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて所定の電圧レベルのパルスを有する駆動パルス信号を印加することにより、前記圧電素子の印加電圧を変化させて圧電素子を駆動するものであり、
前記判定手段が、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子との間に絶縁耐圧不良が存在すると判断したときには、前記駆動装置は、前記1つの圧電素子と前記1つの隣接する圧電素子のうち、一方の圧電素子に前記駆動パルス信号を印加する場合に、他方の圧電素子には、前記駆動パルス信号と比べてパルス高さが低く、且つ、パルス高さ以外のパルス形状は同一の、非駆動パルス信号を印加することを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ装置。 - 被記録媒体に向けて液滴を噴射する複数のノズル、及び、これら複数のノズルに連通する液体流路を有する流路ユニットと、前記流路ユニットに設けられ、前記複数のノズルからそれぞれ液滴を噴射させる前記複数の圧電素子を有する、請求項1〜4の何れかに記載の圧電アクチュエータ装置を備えた、インクジェットヘッドであって、
前記複数のノズルが前記被記録媒体と対向していない状態で液滴噴射が行われるフラッシング時において、
前記駆動装置は、前記複数の圧電素子のそれぞれについて1つずつ電圧を印加するとともに、前記判定手段が、前記複数の圧電素子のそれぞれについて関連する絶縁耐圧不良が発生しているか否かを判定することを特徴とするインクジェットヘッド。
Priority Applications (1)
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JP2010125159A JP2011251419A (ja) | 2010-05-31 | 2010-05-31 | 圧電アクチュエータ装置、及び、インクジェットヘッド |
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2010
- 2010-05-31 JP JP2010125159A patent/JP2011251419A/ja active Pending
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