JP2011248042A - 液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】視野角及び輝度に優れ、かつ環境変動による表示ムラや「ロールtoパネル」製法における貼合時に発生する視野角のロット間ばらつきが低減された液晶表示装置とその製造方法の提供。
【解決手段】第1光学補償層、垂直配向型液晶セル、及び第2光学補償層がこの順に設置された液晶表示装置であって、第1光学補償層は正のAプレート層であり、第2光学補償層は負のCプレート層であり、かつ液晶の波長分散DSP(LC)とセルの波長分散DSP(CELL)と第1光学補償層の波長分散DSP(I)と第2光学補償層の波長分散DSP(II)が所定式を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置とその製造方法に関する。より詳しくは、視野角及び輝度に優れ、かつ環境変動による表示ムラや「ロールtoパネル」製法における貼合時に発生する視野角のロット間ばらつきが低減された液晶表示装置とその製造方法に関する。
液晶表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)に比べて薄くて軽量であり、低電圧で駆動できて消費電力が小さいという利点がある。そのため、液晶表示装置は、テレビ、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、ディスクトップ型PC、PDA(携帯端末)及び携帯電話など、種々の電子機器に使用されている。
近年、垂直配向型液晶(誘電率異方性が負の液晶)を利用したVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置が、従来のTN型液晶表示装置に比べて視野角特性が優れていることから、広く使用されるようになった。
一般に、液晶表示装置の液晶セルは、二枚の液晶セル基板と、当該二枚の液晶セル基板間に介在されたスぺーサーと、当該二枚の液晶セル基板の間隙に注入された液晶材料と、を備えており、スぺーサーによって、液晶材料の注入された液晶層の厚さ(セルギャップ)が一定に保たれている。
かかる液晶材料の注入された液晶層は、それ自体複屈折性を有し、位相差を生じる。この位相差に起因する視野角特性改善などのため、液晶セルには、液晶層の位相差を打ち消す光学補償層(板)が設けられている。
従来、VA型液晶表示装置の光学補償層(板)として、X方向、Y方向及びZ方向の屈折率をそれぞれnx,ny,nzとしたときに、nx>ny=nzの関係を満たす正のAプレート(「正のAプレート」又は「ポジティブAプレート」ともいう。)と、nx=ny>nzの関係を満たす負のCプレート(「負のCプレート」又は「ネガティブCプレート」ともいう。)をセルの両側に配置することにより、広視野角化を実現する技術が開示されている(例えば特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上記技術では垂直配向型液晶に特有の斜め方向からの白の色味変化について考慮されておらず、その改善のため、セルの波長分散を調整する技術が提案されている(特許文献3参照)。上記技術では、セルの厚さ方向位相差の波長分散が逆波長分散になるように設定されている。しかし、そのような液晶セルを用いてテレビ等で必要とされる高速動画を表示すると、RGBで液晶の駆動速度に差が生じ、色ずれなどの問題があった。
そのため、実際の液晶パネルでは、波長分散がほぼ平らな(波長に対してセルの位相差が変化しない)セルが使用されている。このようなパネルを使用する場合において、特許文献1及び2に開示されるような構成のパネルでは、視野角不足や環境変動による表示ムラの発生等の問題がある。
また、一方、近年液晶パネルの製造工程において、液晶パネルにロール状の偏光板を直接貼合する「ロールtoパネル製法」が採用され始めているが、このような製法においては、貼合の際にロールからの繰り出しにより余分な応力が生じ貼合の際に微小な配向ばらつきが生じやすくなるため、ロット間のばらつきが問題となっている。
特許3648240号公報 特開2008−242258号公報 特開2008−170514号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、視野角及び輝度に優れ、かつ環境変動による表示ムラや「ロールtoパネル」製法における貼合時に発生する視野角のロット間ばらつきが低減された液晶表示装置とその製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.第1光学補償層、垂直配向型液晶セル、及び第2光学補償層がこの順に設置された液晶表示装置であって、前記第1光学補償層は正のAプレート層であり、前記第2光学補償層は負のCプレート層あり、かつ液晶の波長分散DSP(LC)と液晶セルの波長分散DSP(CELL)と当該第1光学補償層の波長分散DSP(I)と当該第2光学補償層の波長分散DSP(II)が下記式(1)〜(5)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
式(1):0.01≦DSP(LC)−DSP(CELL)≦0.10
式(2):DSP(CELL)>1.0
式(3):0.6≦DSP(I)≦0.8
式(4):DSP(II)≦−3.7x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.41式(5):DSP(II)≧−1.1x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.15ただし、
DSP(CELL)は、液晶セルの厚さ方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
DSP(LC)は、液晶を垂直配向させた際の常光屈折率と異常光屈折率の差をΔn、厚さをdとしたときのΔn・dの波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
DSP(I)は、第1光学補償層の面内方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
DSP(II)は、第2光学補償層の厚さ方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であるとする。
2.前記液晶セルの視認側に第1光学補償層が配置され、バックライト側に第2光学補償層が配置され、かつ第1光学補償層の波長550nmにおける面内位相差Ro550(I)と、第2光学補償層の波長550nmにおける厚さ方向位相差Rt550(II)が下記式(R1)及び式(R2)を満たすことを特徴とする前記第1項に記載の液晶表示装置。
式(R1):100nm≦Ro550(I)≦200nm
式(R2):150nm≦Rt550(II)≦250nm
3.前記第2光学補償層の配向ばらつき係数Xが、下記式(X)を満たすことを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の液晶表示装置。
式(X):0.00000001≦X≦0.000001
4.前記第1光学補償層がポリカーボネート系樹脂を含有し、かつ前記第2光学補償層がセルロース系樹脂を含有することを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
5.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置を製造する液晶表示装置の製造方法であって、前記第1光学補償層を有する長尺ロール状偏光板を準備し、前記液晶セルに対してロールtoパネル製法で貼合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
本発明の上記手段により、視野角及び輝度に優れ、かつ環境変動による表示ムラや「ロールtoパネル」製法における貼合時に発生する視野角のロット間ばらつきが低減された液晶表示装置とその製造方法を提供することができる。
垂直配向型(VA型)液晶表示装置の構成の一例を示す概念図 実施例の範囲を示すグラフ ロールtoパネル製法を示す概念図
本発明の液晶表示装置は、第1光学補償層、垂直配向型液晶セル、及び第2光学補償層がこの順に設置された液晶表示装置であって、前記第1光学補償層は正のAプレート層であり、前記第2光学補償層は負のCプレート層あり、かつ液晶の波長分散DSP(LC)とセルの波長分散DSP(CELL)と当該第1光学補償層の波長分散DSP(I)と当該第2光学補償層の波長分散DSP(II)が前記式(1)〜(5)を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記セルの視認側に第1光学補償層が配置され、バックライト側に第2光学補償層が配置され、かつ第1光学補償層の波長550nmにおける面内位相差Ro550(I)と、第2光学補償層の波長550nmにおける厚さ方向位相差Rt550(II)が前記式(R1)及び式(R2)を満たすことが好ましい。また、当該第2光学補償層の配向ばらつき係数Xが前記式(X)を満たす範囲内であることが好ましい。さらに、当該第1光学補償層が、ポリカーボネート系樹脂を含有し、かつ前記第2光学補償層がセルロース系樹脂を含有することが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法としては、前記第1光学補償層を有する長尺ロール状偏光板を準備し、前記液晶セルに対してロールtoパネル製法で貼合する態様の製造方法であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。
(液晶表示装置の構成概要)
本発明の液晶表示装置の構成の典型的例について図を参照して説明する。
図1は、垂直配向型(VA型)液晶表示装置の構成の一例を示す概念図である。図1に示す液晶表示装置においては、吸収軸を直交させた一対の偏光子の間に、第1光学補償層、液晶セル、第2光学補償層、の順で設置されている。第1位相差層の遅相軸と近接する偏光子の吸収軸は直交している。バックライト(BL)の位置は第1光学補償層側、第2光学補償層側どちらでもよいが、図1(a)に示すように第2光学補償層側に配置することが、図1(b)に示すように第1光学補償層側に配置するより好ましい。
図1(a)に示す液晶表示装置について、更に詳しく説明すると、当該液晶表示装置は、液晶セル3を挟持して配置された上側偏光子1(視認側)と下側偏光子5(バックライト側)とを有し、上側偏光子と液晶セルの間に本発明に係る第1光学補償層2が、下側偏光子5と液晶セルの間に第2光学補償層4が位置する。
以下、当該液晶表示装置の各構成要素について詳細な説明をする。
(垂直配向型液晶セル)
本発明の液晶表示装置は、垂直配向型液晶セルを有することを特徴とするが、本発明に係る液晶セルは、下記式(1)及び(2)を満たす必要がある。
式(1):0.01≦DSP(LC)−DSP(CELL)≦0.10
式(2):DSP(CELL)>1.0
ここで、DSP(CELL)はセルの厚さ方向位相差の波長650nmにおける値Rt650に対する波長450nmにおける値Rt450の比(Rt450/Rt650)であり、DSP(LC)は、DSP(LC)は、液晶を垂直配向させた際の常光屈折率と異常光屈折率の差をΔn、厚さをdとしたときのΔn・dの波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比である。
上記式を満たす液晶セルを形成させるには、ガラス基板上に形成されたカラーフィルターの厚さをR(赤色)・G(緑色)・B(青色)ごとに変える(具体的には、カラーフィルターの厚さをR<G<Bの順に厚くする。)ことで実質の液晶層の厚さがR・G・B毎に変わり前式を満たす液晶セルを作製することができる(例えば特開2008−134587参照)。
また、カラーフィルターそのものにR・G・Bで異なる厚さ方向位相差を持たせることでも達成できる(例えば特開2009−180783号公報参照)。カラーフィルターは、視認側のガラス基板上に形成することもできるが、バックライト側のガラス基板上に形成された画素電極上に形成することもできる。
このようなガラス基板間に負の誘電率異方性を有するネマチック液晶を封入することで液晶セルを形成する。負の誘電率異方性を有するネマチック液晶としては、特開2004−204133号、特開2004−250668号、特開2005−047980号等各公報等に記載されている従来公知のものを用いることができる。
液晶の波長分散DSP(LC)は、(株)アタゴ社製 多波長アッベ屈折計 DR−M2を用いて測定できる。
液晶セルの波長分散DSP(CELL)は、AXOMETRICS社製 Axo scanを用いて、23℃、55%RHの環境下で求めることができる。
本発明において、当該液晶セルは、上下基板間に、誘電異方性が負で、Δn=0.0815、Δε=−4.5程度のネマチック液晶材料などを用いることができる。
液晶層の厚さdについては特に制限されないが、前記範囲の特性の液晶を用いる場合、3.5μm程度に設定することができる。
厚さdと屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化するので、最大の明るさを得るためには、Δn・dは0.2〜0.5μmの範囲になるように設定するのが好ましい。
なお、垂直配向型(VA型)液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性を劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
また、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。
なお、「マルチドメイン構造」とは、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割した構造をいう。例えば、垂直配向型(VA型)液晶表示装置において、白表示時には液晶分子が傾斜しているので、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じるが、マルチドメイン構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。
具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
一画素内で液晶分子の配向方向が異なる領域を複数形成するには、例えば、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせる等の方法を利用することができる。
全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割あるいは8分割以上とすることで、ほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
各ドメインの領域境界では、液晶分子が応答し難い傾向がある。垂直配向型(VAモード)等のノーマリーブラックモードでは、黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加してドメイン間の境界領域を小さくすることが可能である。
一方、ノーマリーホワイトモードでは白表示状態が維持されるため、正面コントラストが低下する。そこで、その領域を覆うブラックマトリックスなどの遮光層を設けるとよい。
(光学補償層)
本発明の液晶表示装置は、第1光学補償層、垂直配向型液晶セル、及び第2光学補償層がこの順に配置された液晶表示装置であって、前記第1光学補償層は正のAプレート層であり、前記第2光学補償層は負のCプレート層であることを特徴とする。
本願において、「正のAプレート」とは、0.9≦Nz≦1.1を満たし、好ましくは、0.95≦Nz≦1.05を満たす複屈折層をいう。ただし、Nzは、下記式で定義される。
Nz=(nx−ny)/(nz−ny)
ここで、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzは厚さ方向の屈折率を表す。
一方、「負のCプレート層」とは、nx=ny>nzを満たす位相差層のことをいう。ただし、=は実質的に近い値であることを意味し、厳密に等しい必要はない。
なお、好ましくは、0≦Ro≦10、より好ましくは0≦Ro≦5、さらに好ましくは0≦Ro≦2を満たす。
ここで、位相差(Ro、Rt)の定義は、下記式で表され、上記の位相差(リターデーション)値は、全て波長550nmで測定した値である。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
本発明においては、上記屈折率は、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で求めた。
また、上記屈折率の測定と同様に、450nm、650nmで測定を行うことで、第1光学補償層の面内方向位相差の波長分散DSP(I)と第2光学補償層の厚さ方向位相差の波長分散DSP(II)を算出した。
光学補償層は、その形態に制限はないが取り扱いの観点からフィルム状であることが好ましい。
〈第1光学補償層〉
本発明に係る第1光学補償層は、正のAプレート層であり、かつ、下記式(3)を満たすことが必要であり、その形態に制限はないが取り扱いの観点からフィルム状であることが好ましい。
式(3):0.6≦DSP(I)≦0.8
ここで、DSP(I)は、第1光学補償層の面内方向位相差の波長650nmにおける値Ro650に対する波長450nmにおける値Ro450の比(Ro450/Ro650)である。
このような光学特性を有するフィルムとしては、正の複屈折性成分と負の複屈折性成分の両方を有する高分子を主体とするフィルム、例えば、フルオレン骨格(負)を有するポリカーボネート(正)共重合体を主成分とする高分子延伸フィルム(特開2002−221622号公報)や、スチレン(負)とポリカーボネート(正)を主成分とする高分子延伸フィルム(特開2003−294942号公報)、シクロオレフィン(正)とスチレン(負)を主成分とする高分子延伸フィルムなどが挙げられる。また、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムの延伸フィルム(例えば特開2001−091743号公報参照)、なども挙げられる。具体的には、帝人化成(株)製ピュアエースなどを用いることができる。かかる樹脂の詳細については、後述する。
〈第2光学補償層〉
本発明に係る第2光学補償層は、下記式(4)及び(5)を満たす負のCプレート層であることが必要であり、その形態に制限はないが、取り扱いの観点からフィルム状であることが好ましい。
式(4):DSP(II)≦−3.7x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.41
式(5):DSP(II)≧−1.1x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.15
ここで、DSP(II)は、第2光学補償層の厚さ方向位相差の波長650nmにおける値Rt650に対する波長450nmにおける値Rt450の比(Rt450/Rt650)である。
前記式の満たす範囲を図2に示す。図2から明らかなように、前記式(1)を満たす範囲内では、DSP(II)は、[DSP(LC)−DSP(CELL)]にかかわらず、必ず1.04≦DSP(II)≦1.37を満足する必要がある。
このような光学特性を満たすフィルムとしては、ポリカーボネート系、セルロース系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする高分子延伸フィルムが挙げられる。特に好ましくはセルロース系樹脂である。かかる樹脂基材の詳細については、後述する。
なお、本発明においては、前記セルの視認側に第1光学補償層が配置され、バックライト側に第2光学補償層が配置され、かつ第1光学補償層の波長550nmにおける面内位相差Ro550(I)と、第2光学補償層の波長550nmにおける厚さ方向位相差Rt550(II)が下記式(R1)及び(R2)を満たす態様の液晶表示装置であることが、本発明の効果発現の観点から、好ましい。
式(R1):100nm≦Ro550(I)≦200nm
式(R2):150nm≦Rt550(II)≦250nm
[DSP(LC)−DSP(CELL)]とDSP(II)の関係が、図2に示す範囲にあることで斜め方向の偏光状態が全波長において補償され、黒表示時の斜め方向の光漏れが減少し、広視野角化が可能になる。
〈配向ばらつき係数〉
本発明では、第2光学補償層の配向ばらつき係数Xが下記式を満たすことが好ましい。
式(X):0.00000001≦X≦0.000001
このようなばらつき係数を示す光学補償層を作製するには、フィルム状の光学補償層を用いることが好ましく、光学補償フィルム作製特にベルトからウェブを剥離後搬送方向と直交方向に1.01〜1.1倍に延伸し、さらに延伸した後緩和せずに保持することが好ましい。
本発明に係る配向ばらつき係数は、スポット径の小さな位相差測定装置を用いて位相差R、配向角θを各点で測定することで算出できる。例えば、(株)溝尻光学工業所製 複屈折測定機を用いることができる。フィルムをセットし、規定範囲内を1mmピッチで面内位相差、配向方向を測定し、下記の定義式より配向ムラXを算出することができる。
Figure 2011248042
(光学補償層に用いる樹脂フィルム基材)
本発明に係る光学補償層を構成する素材としては、フィルム状の樹脂基材を用いることが好ましい。
本発明に係る樹脂フィルム基材としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等があり、溶媒に可溶なものを適宜溶解して本発明の方法で処理することが好ましい。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに高い熱変形温度と長期使用できる特性を要求される場合は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途にそって樹脂の種類、分子量の組み合わせを行うことが可能である。
光学補償層の厚さは、用途に応じて、適宜、適当な厚さを選定することが好ましい。厚さの上限は、特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は150μm程度である。
樹脂基材は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
以下、本発明において、特に好適な樹脂について詳細な説明をする。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に用いることができるセルロースエステル樹脂は、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有している場合、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂であることが好ましい。
式(I) 2.0≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
さらに、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステル樹脂は、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
《糖エステル化合物》
本発明においては、セルロースエステル樹脂として、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物を含むことも好ましい。
エステル化の割合としては、ピラノース構造またはフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
本発明に係るエステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
本発明ピラノース構造またはフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、本発明に係るピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2011248042
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基は更に置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も本発明に係るエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、本発明に係るエステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2011248042
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本発明に係るセルロースエステルフィルムは、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化する為に、本発明に係る糖エステル化合物を、セルロースエステルフィルムの0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。
〈アクリル樹脂〉
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〈環状オレフィン樹脂〉
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。
これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及びノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000である。好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよい。耐久性及び延伸加工性の観点から、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
環状オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間、生産性等の観点から、1.2〜3.5、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.7である。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂は、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
本発明において、環状オレフィン樹脂には、実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで、実質的に粒子を含まないとは、環状オレフィン樹脂からなるフィルムへ粒子を添加しても、未添加状態からのヘイズの上昇巾が0.05%以下の範囲である量までは許容できることを意味する。特に、脂環式ポリオレフィン樹脂は、多くの有機粒子や無機粒子との親和性に欠けるため、上記範囲を超えた粒子を添加した環状オレフィン樹脂フィルムを延伸すると、空隙が発生しやすく、その結果として、ヘイズの著しい低下が生じるおそれがある。
〈ポリカーボネート樹脂〉
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートらから重縮合で得られるものを意味する。通常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、芳香族ポリカーボネート共重合体を構成することができる。
かかる共重合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一部にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸成分を含む芳香族ポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノール−Aからなる芳香族ポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり、また400000以上の高分子量になるとドープの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度は200℃以上であることが高耐熱性のフィルムを得る上で好ましく、より好ましくは230℃以上である。これらは、上記共重合成分を適宜選択して得ることができる。ガラス転移温度は、DSC装置(示差走査熱量分析装置)にて測定することができ、例えばセイコー電子工業株式会社製:RDC220にて、10℃/分の昇温条件によって求められる、ベースラインが偏奇し始める温度である。
本発明において、上記芳香族ポリカーボネートを含むドープ組成物に用いる溶媒は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを4〜14質量部含有する混合溶媒であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの混合量は、好ましくは4〜12質量部である。このような混合溶媒を用い、従来よりも高い残留溶媒濃度でウェブを剥離することにより、ウェブ剥離時の強い静電気の発生を抑制し、これによりベルトが損傷したり、フィルムのスジやムラ、微小傷の発生を防止することができる。
加えるアルコールの種類は用いる溶媒により制限される。アルコールと当該溶媒とが相溶性があることが必要条件である。これらは単独で加えても良いし、2種類以上組み合わせても問題ない。本発明におけるアルコールとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4の鎖状、或いは分岐した脂肪族アルコールが好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールなどが挙げられる。これらのうちエタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールはほぼ同等の効果が得られるが、メタノールはやや効果が低い。理由は明らかでないが溶媒の沸点、即ち乾燥時の飛び易さが関係しているものと推測している。それ以上の高級アルコールは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。
アルコールの添加量は慎重に選択されなければならない。これらのアルコールは芳香族ポリカーボネートに対する溶解性には全く乏しく、完全な貧溶媒である。従ってあまり多く加えることはできず、満足すべき剥離性が得られる最少量とすべきである。前述したようにメチレンクロライドに対して4〜14質量部、好ましくは4〜12質量部である。メチレンクロライド量に対しては、添加量が4〜14質量部の範囲であると、当該溶媒のポリマーに対する溶解性、ドープ安定性が向上し、剥離性改善の効果が大きくなる。
本発明はドープ組成物中、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールで構成されるが、他の溶媒を使用することもできる。その他残りの溶媒としては芳香族ポリカーボネートを高濃度に溶解し、かつアルコールと相溶性があること、さらに低沸点溶媒であれば特に限定はない。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して溶解力のある溶媒として、塩化メチレン以外にクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系の溶媒が挙げられる。
他の溶媒を使用する場合は特に限定はなく、効果を勘案して用いればよい。ここでいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえば溶液流延法により製膜したフィルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効果などである。これらの効果の度合により混合する溶媒の種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒として1種又は2種以上用いてもかまわない。
好適に用いられる他の溶媒としてはクロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテートなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明に係るドープ組成物は、結果としてヘイズの低い透明な溶液が得られればいかなる方法で調製してもよい。あらかじめある溶媒に溶解させた芳香族ポリカーボネート溶液に、アルコールを所定量添加してもよいし、アルコールを含む混合溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させてもよい。ただ先にも述べた様にアルコールは貧溶媒であるため、前者の後から添加する方法ではポリマーの析出によるドープ白濁の可能性があるため、後者の混合溶媒に溶解させる方法が好ましい。
〈ポリエステル樹脂〉
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有すると共に、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
(その他添加剤)
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
前記添加剤の中で、本発明に有効に寄与するのは光学異方性制御剤であり、特にリターデーション上昇剤が光学的に複屈折性を本願目的の平面から斜め方向に発現し易くするため好ましい。リターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、樹脂の100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用することが好ましい。そして、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。これらについては、特開2004−109410号、特開2003−344655号、特開2000−275434号、特開2000−111914号、特開平12−275434号公報などに詳細が記載されている。
(マット剤)
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
(光学補償層を構成する光学フィルムの製造方法)
本発明に係る樹脂フィルム基材をフィルムとして製造する方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延法、溶融流延法が好ましい。
以下、本発明に係る光学フィルムを作製する場合の製造方法について詳述する。
<溶液流延法による光学フィルムの製造方法>
《有機溶媒》
本発明に係る光学フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、乳酸エチル、乳酸、ジアセトンアルコール等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、乳酸エチル等を好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させてもよい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系での熱可塑性樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、熱可塑性樹脂は、少なくとも計10〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明に係る光学フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
熱可塑性樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で熱可塑性樹脂、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程である。
熱可塑性樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
返材とは、フィルムを細かく粉砕した物で、フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたフィルム原反のことをいい、これも再使用される。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法の乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥はでき上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時二軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃が好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、70〜140℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取り機により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明に係るフィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明に係るフィルムの膜厚に特に制限はないが、20〜200μmであることが好ましく、25〜150μmであることがより好ましく、30〜120μmであることが特に好ましい。
<溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法>
本発明に係る樹脂フィルム基材を、光学フィルムとして、溶融流延製膜法により製造する場合の方法について説明する。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いる熱可塑性樹脂フィルムを構成する組成物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥した熱可塑性樹脂と目的に応じて添加剤をフィーダーで押出機に供給し1軸や2軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給押出機合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、こと前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、熱可塑性樹脂に含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。ペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
〈溶融混合物をダイから冷却ロールへ押し出す工程〉
まず、作製したペレットを1軸や2軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に共押出し、冷却ロール上で固化し、弾性タッチロールと押圧しながら流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。なお、Tmは、押出機のダイ出口部分の温度である。
ダイに傷や可塑剤の凝結物等の異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
本発明において冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体又は冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押し出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度を上げたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできるのである。もちろん表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
本発明において、弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97−028950、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号公報に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
〈延伸工程〉
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、さらに少なくとも1方向に1.01〜3.0倍延伸することもできる。
好ましくは縦(フィルム搬送方向)、横(巾方向)両方向にそれぞれ1.1〜2.0倍延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に光学フィルムが、偏光板保護フィルムを兼ねる場合は、延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態でできるので好ましい。
巾方向に延伸することで光学フィルムの遅相軸は巾方向になる。
通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+50℃の温度範囲で行われる。
延伸は、長手方向もしくは幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製したフィルム状樹脂フィルムを光学フィルムとして用いる場合、当該光学フィルムのリターデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長手方向や幅手方向に収縮させてもよい。
長手方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、又は横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましく、特に−0.1〜+0.1°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明の光学フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明に係るフィルム状樹脂フィルムの膜厚に特に制限はなく、目的に応じて変化させることが好ましい。例えば、偏光板保護フィルムに使用する場合は、20〜200μmであることが好ましく、25〜150μmであることがより好ましく、30〜120μmであることが特に好ましい。
(偏光板)
本発明に係る光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光学フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては一液型であっても良いし、使用前に二液以上を混合して使用する型であっても良い。
また、上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
(液晶表示装置の製造方法)
前記配向ばらつき係数の規定されたフィルムは、ロールtoパネル製法で製造される液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
なお、本願において、「ロールtoパネル製法」とは、ロール状の長尺偏光板を液晶セルサイズにあらかじめカットすることなく、直接ロールから偏光板を繰り出し、液晶セルに貼合したのち、レーザーカッターなどで液晶セルサイズにカットする製法である(図3参照)。この場合、液晶セルに偏光板を貼合する際に貼合ロールが押しあてられるが、長尺偏光板であるため、貼合時に無理な力がかかりやすく偏光板にムラが生じやすい。そのため、この製法の場合、本発明で規定された配向ばらつきを有するフィルムを用いることが好ましい。
[実施例]
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪光学補償フィルムの作製≫
<光学補償フィルムA1>
市販の帝人化成(株)製 商品名「ピュアエース」を加熱延伸することにより作製した。厚さ50μm、Roが135nm、Nz=1.0、DSP(I)=0.70であった。
なお、屈折率、リターデーション値、及び波長分散DSP(I)は、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、測定光波長450nm、650nmで測求めた。以下のフィルムについても同様に測定した。
<光学補償フィルムA2>
市販の帝人化成(株)製 商品名「ピュアエース」を加熱延伸することにより作製。厚さ35μm、Roが90nm、Nz=1.0、DSP(I)=0.70であった。
<光学補償フィルムA3〜5>
特開2008−242258号公報に記載の光学フィルムB1、2、3の作製に従いフィルムを作製し、光学補償フィルムA3、4、5とした。
光学補償フィルムA3の作製
ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加したシクロオレフィン系樹脂を主成分とするポリマーフィルム[日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノアZF14−100」(平均屈折率=1.51、Ro[590]=2.0nm、Rt[590]=8.0nm);厚さ100μm]の両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム[東レ(株)製 商品名「トレファンE60−高収縮タイプ」(厚さ60μm)]をアクリル系粘着剤層(厚さ15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、148℃±1℃の空気循環式乾燥オーブン内(フィルム裏面から3cmの距離の温度を測定)で、1.40倍に延伸した。その後、フィルムを切り出し、四辺を把持しロール延伸機の延伸方向とは直交する方向に1.25倍延伸することで光学フィルムB1を作製した。
なお、光学フィルムB1の作製に用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、140℃における収縮率が、MD方向に6.4%、TD方向に12.8%であった。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして、溶液重合により合成されたイソノニルアクリレート(重量平均分子量=550,000)を用い、該ポリマー100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物の架橋剤[日本ポリウレタン(株)製 商品名「コロネートL」]3質量部、触媒[東京ファインケミカル(株)製 商品名「OL−1」]10質量部を混合したものを用いた。
光学補償フィルムA4の作製
特開2006−188671号公報の実施例に記載の方法を参考にして、当該公報の記載の樹脂P2を製造した。
この樹脂P2を塩化メチレンキャスト法により製膜し、厚さ100μm、残留溶剤量0.2%以下の無色透明なキャストフィルムを得た。このフィルムを195℃に加熱し、延伸速度220%/分で2.0倍に延伸した後、冷却して取り出し、光学補償フィルムA4を作製した。
光学補償フィルムA5の作製
変性ポリカーボネート商品名「WRF」(帝人社製)を二軸延伸して、光学補償フィルムA5を作製した。
<光学補償フィルムA6>
市販の(株)カネカ製 商品名「KAフィルム」を使用した。厚さ100μm、Roが140nm、Nz=1.0、DSP(I)=0.97であった。
<光学補償フィルムA7>
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度0.9、総アシル基置換度2.7) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液1の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステル( アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度0.9、総アシル基置換度2.7) 100質量部
(メタ)アクリル系重合体A 3.0質量部
糖エステル化合物A(例示化合物3) 5.5質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液を濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFで微粒子添加液1を濾過した。濾過したドープ液を100質量部に対し、濾過した微粒子添加液1を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを50℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、その後、テンターで同時二軸延伸機によりMD方向に(長手方向)に収縮させながら、TD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に、180℃で1.5倍(50%)に延伸した。120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、2000mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施しフィルムA7を作製した。フィルム幅は1.5m、巻き長は5000m、膜厚は60um、Ro=135nm、Nz=1.0であった。
以下、実施例に使用した材料である。
(メタ)アクリル系重合体A:特開2000−128911号公報に記載の重合方法により塊状重合を行った。すなわち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口及び環流冷却管を備えたフラスコにモノマーとしてメチルアクリレートを投入し、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガスで置換したチオグリセロールを攪拌下添加した。
チオグリセロール添加後、4時間重合を行い、内容物を室温に戻し、それにベンゾキノン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部添加し、重合を停止させた。内容物をエバポレーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロフラン、残存モノマー及び残存チオグリセロールを除去し、分子量1000の(メタ)アクリル系重合体Aを得た。
糖エステル化合物A:糖エステル化合物例示化合物3
<光学補償フィルムB1>
〈主ドープ液Bの組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度2.80) 100質量部
トリアジン系化合物 5.3質量部
糖エステル化合物A(例示化合物3) 5.5質量部
微粒子分散液 11.2質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液を濾過した。次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が30%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。その後、TD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に、125で1.04(4%)に延伸した。125℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、2000mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施しフィルムB1を作製した。フィルム幅は1.5m、巻き長は3000m、厚さ80μm、Roが0nm、Rt=190nm、DSP(II)=1.19であった。
Figure 2011248042
<光学補償フィルムB2〜4>
光学補償フィルムB1の作製において、表1に記載の通り延伸条件、膜厚を変更した以外は同様にして光学補償フィルムB2〜4を作製した。
<光学補償フィルムB5〜6>
特開2008−242258号公報に記載の光学フィルムA1、A2の作製に従いフィルムを作製し、光学補償フィルムB5、6とした。
光学補償フィルムB5の作製
セルロースアシレートフィルム(TAC−TD80U 富士フイルム(株)製)を準備した。
別途、下記構造のポリイミド(λmax:260〜350nmの範囲;重量平均分子量(Mw)120,000)をシクロヘキサノンに溶解し、9.5%のシクロヘキサノン溶液を調製した。
この溶液を、セルロースアシレートフィルムの表面に塗布し、100℃で5分乾燥して、ポリイミド層を形成した。ポリイミド層の厚さは1.6μmであった。
Figure 2011248042
光学補償フィルムB6の作製
下表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート組成物を調製した。これを真空排気付き2軸混練押出し機を用い、スクリュー回転数300rpm、混練時間40秒間、押出し量200kg/hrでダイから押出し60℃の水中で固化した後、裁断し、直径2mm、長さ3mmの円柱状のペレットを得た。その後、前記ペレットを用い、特開2007−2216号公報の実施例1と同様の手法で溶融製膜し、80μmのフィルムを得た。このフィルムを150℃で二軸延伸することでセルロースアシレートフィルムを得た。TAC−TD80Uの代わりに、このセルロースアシレートフィルムを用いた以外は、同様にしてポリイミド層を形成し、光学補償フィルムB6を製造した。ポリイミド層の厚さは1.6μmであった。
<光学補償フィルムB7>
市販のJSR(株)製 商品名「ARTONフィルム」を長手方向に175℃で1.15倍乾式延伸した後、幅方向(長手方向に直交する方向)に175℃で1.335倍乾式延伸し、延伸処理後の幅方向長さに対して、長手方向長さが0.975倍となるように緩和して作製したフィルム2枚を、粘着を介して貼合し、光学補償フィルムB7とした。厚さ75μm、R0=0nm、Rt=180nm、DSP(II)=1.01であった。
<光学補償フィルムB8〜14>
光学補償フィルムB1の作製において、表2に記載の通りセルロースアセテート種、添加剤(トリアジン系化合物)量を変更した以外は同様にし、膜厚、延伸温度を適宜調整することにより光学補償フィルムB8〜14を作製した。膜厚、波長分散は表2に記載のようになり、位相差はすべてRo=0nm、Rt=190nmであった。
Figure 2011248042
Figure 2011248042
<偏光板PA4、PA6、PA7、PB1〜15の作製>
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して偏光子を得た。
次いで、下記の工程1〜5に従って、偏光子の表面側には光学補償フィルムA4、A6、A7、B1〜15を、裏面側にはコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)を、それぞれ偏光板保護フィルムとして貼り合わせ、偏光板PA4、PA6、PA7、PB1〜15を作製した。ただし、光学補償フィルムB5、6については、セルロースエステルフィルム側が偏光子側(液晶層側が偏光子の反対側)になるようにして偏光子に貼り合わせた。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液にフィルム(光学補償フィルム,セルロースエステルフィルム)を90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化したフィルムを得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学補償フィルムと、セルロースエステルフィルムとの間に挟んで積層した。
工程4:工程3で積層した積層物を圧力20〜30N/cm、搬送スピード約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で貼合せた試料を2分間乾燥し、偏光板PA4、PA6、PA7、PB1〜14を作製した。
<偏光板PA1〜3、PA5の作製>
ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の水性エマルジョン(DIC(株)製の商品名“ハイドラン AP−20”、固形分濃度30%、粘度30mPa・sec)100部に、ポリイソシアネート化合物(DIC(株)製の商品名“ハイドラン アシスター C1”)3部を加えたものを接着剤として、光学補償フィルムA1〜3、A5のMD方向(フィルム搬送方向、長手方向)と偏光子の延伸方向が一致するように貼り合わせ、偏光板PA1〜3、PA5を作製した。
<液晶セルC1〜C7の作製>
ITO透明電極付きガラス基板上に通常の方法でアクティブマトリクス型のTFTおよび画素電極を形成し、アクティブマトリクス基板とする。一方、別のガラス基板上にフレキソ印刷法を用いて青色フィルター、緑色フィルターおよび赤色フィルターの3色のカラーフィルターとブラックマトリクスとを形成する。さらに、その上に酸化インジウム錫膜(ITO膜)からなる対向電極を形成し、カラーフィルター基板とする。次に、カラーフィルター基板の対向電極上およびアクティブマトリクス基板の画素電極上に、それぞれスピンコート法を用いてポリイミド樹脂を塗工した後、ラビング処理を施して配向膜を形成する。それぞれの配向膜が対向するようにカラーフィルター基板とアクティブマトリクス基板とをスペーサーを介して貼り合わせ、基板間に表3記載の波長分散を有する液晶を注入し、VA型液晶層を作製した。カラーフィルター基板中の、青色フィルター、緑色フィルターおよび赤色フィルターの3色のカラーフィルターの厚さを適宜変更することで、表3に記載のようなセルDSPを有する液晶セルC1〜C7を作製した。液晶セルの波長分散DSP(セル)は、Axometrcs社製のAxoscanを用いて測定した。
Figure 2011248042
<液晶表示装置の作製>
上記作製の偏光板PA1〜6、PB1〜14を表4〜7の組み合わせになるように選択し、視認側からPA/カラーフィルター/液晶/アクティブマトリクス基板/PBとなるように粘着を介して貼りつけ、PB側にバックライトを配置して液晶表示装置1−0〜1−8、2−1〜2−15、4−1を作製した。その際、偏光板の貼合の向きは、光学補償フィルム側(コニカミノルタタックKC4UYとは反対の側)が、液晶セル側となるように、かつ、PAとPBの吸収軸が直行するように配置した。
PBを視認側、PAをバックライト側に配置する以外は同様にして、液晶表示装置3−1を作製した。
以上のようにして作製した液晶表示装置を用い、以下の評価を行った。
≪液晶表示装置の評価≫
<視野角の評価>
23℃55%RHの環境で各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯した後、視野角の測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、方位角45°、135°、225°、315°、倒れ角70°の方向での黒表示と白表示との輝度の比Aを測定し、平均した値を採用した。測定結果を以下の基準に従って評価したところ、表4〜6に示す通りとなった。なお、この評価基準において、「△」は実用上、許容範囲内にあることを意味し、「×」は実用上、許容範囲外にあることを意味する。
◎:10000<A≦16000
○:5000<A≦10000
△:500<A≦5000
×:A≦500
<正面輝度の評価>
23℃55%RHの環境で各々の液晶表示装置のバックライトを点灯し、50時間調湿したのち、白表示時の表示画面の法線方向からの輝度を測定した。測定には、コニカミノルタセンシング社製CS−2000を用いた。なお、白輝度が500cd/mを超えると、優れた液晶表示装置である。また、この評価基準において、「○」は実用上、許容範囲内にあることを意味し、「×」は実用上、許容範囲外にあることを意味する。
◎:500<白輝度
○:400<白輝度≦500
×:白輝度≦400
<ムラの評価>
作製した液晶表示装置を23℃10%RHの環境でバックライトを点灯し、50時間調湿したのち、黒表示時の画面のムラを目視で評価した。なお、この評価基準において、「○」は実用上、許容範囲内にあることを意味し、「×」は実用上、許容範囲外にあることを意味する。
◎:20人中0〜5人がムラを感じた
○:20人中5〜10人がムラを感じた
×:20人中11人以上がムラを感じた
<配向ばらつきの測定>
前記の光学補償フィルムBの配向ばらつきを、(株)溝尻光学工業所製 複屈折測定機を用いて位相差R、配向角θを各点で測定し、下記の計算式より配向ムラXを算出した。測定範囲:100mmx100mm、測定ピッチ:1mm。
Figure 2011248042
<液晶表示装置のばらつき評価>
前記の光学補償フィルムB1を作製し、配向ばらつきXが表8に記載した測定値であるようなフィルムを選択し、偏光板PB1−2〜PB1−4を作製した。この偏光板PBとPA1をロール状のまま繰り出し、ロールtoパネル製法で液晶セルC1に貼合し、液晶表示装置5−1〜5−3をそれぞれ100セットずつ作製した。これらの視野角を前記の方法で評価し、視野角のロットばらつきを評価した結果が表8である。
◎: 100セット中80セット以上が視野角10000以上
○: 100セット中50〜79セットが視野角10000以上
×: 100セット中49セット以下が視野角10000以上
<総合評価>
上記各種液晶表示装置の内容と評価結果をまとめて表4〜8に記載する。
Figure 2011248042
Figure 2011248042
Figure 2011248042
Figure 2011248042
Figure 2011248042
以上の結果より、本発明の実施例としての液晶表示装置1−0〜1−4、2−1〜2−5では、比較例としての液晶表示装置1−5〜1−8、2−6〜2−16と異なり、視野角の著しい拡大が達成され、優れていることが分る。なお、実施例の範囲を図2にグラフで示している。
また、液晶表示装置1−0と3−1の比較により、視認側に正のAプレート層(pA層)である光学補償フィルムを、バックライト側に負のCプレート層(nC層)である光学補償フィルムを配置することで、白輝度が向上することがわかった。
また、液晶表示装置1−0と4−1の比較により、第2光学補償フィルムを薄膜化することで環境変動による表示ムラが低減することが分かった。
また、液晶表示装置5−1、5−2と5−3の比較により、第2光学補償フィルムの配向ばらつきが式(X)を満たすことで、ロールtoパネル貼合時に発生する視野角のロットばらつきが低減することが分かる。
1、5 偏光子
2 第1光学補償層
3 液晶セル
4 第2光学補償層
6、8 吸収軸
7 遅相軸
10 偏光板ロール
11 貼合ロール

Claims (5)

  1. 第1光学補償層、垂直配向型液晶セル、及び第2光学補償層がこの順に設置された液晶表示装置であって、前記第1光学補償層は正のAプレート層であり、前記第2光学補償層は負のCプレート層あり、かつ液晶の波長分散DSP(LC)と液晶セルの波長分散DSP(CELL)と当該第1光学補償層の波長分散DSP(I)と当該第2光学補償層の波長分散DSP(II)が下記式(1)〜(5)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
    式(1):0.01≦DSP(LC)−DSP(CELL)≦0.10
    式(2):DSP(CELL)>1.0
    式(3):0.6≦DSP(I)≦0.8
    式(4):DSP(II)≦−3.7x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.41
    式(5):DSP(II)≧−1.1x[DSP(LC)−DSP(CELL)]+1.15
    ただし、
    DSP(CELL)は、液晶セルの厚さ方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
    DSP(LC)は、液晶を垂直配向させた際の常光屈折率と異常光屈折率の差をΔn、厚さをdとしたときのΔn・dの波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
    DSP(I)は、第1光学補償層の面内方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であり、
    DSP(II)は、第2光学補償層の厚さ方向位相差の波長650nmにおける値に対する波長450nmにおける値の比であるとする。
  2. 前記液晶セルの視認側に第1光学補償層が配置され、バックライト側に第2光学補償層が配置され、かつ第1光学補償層の波長550nmにおける面内位相差Ro550(I)と、第2光学補償層の波長550nmにおける厚さ方向位相差Rt550(II)が下記式(R1)及び式(R2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
    式(R1):100nm≦Ro550(I)≦200nm
    式(R2):150nm≦Rt550(II)≦250nm
  3. 前記第2光学補償層の配向ばらつき係数Xが、下記式(X)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
    式(X):0.00000001≦X≦0.000001
  4. 前記第1光学補償層がポリカーボネート系樹脂を含有し、かつ前記第2光学補償層がセルロース系樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の液晶表示装置を製造する液晶表示装置の製造方法であって、前記第1光学補償層を有する長尺ロール状偏光板を準備し、前記液晶セルに対してロールtoパネル製法で貼合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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