JP2011247222A - 車両用v型エンジンの吸気制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1及び第2弁軸間を同期的に連結する連動装置の作動をスムーズを確保しつゝ,第1及び第2スロットル弁の全開側へのオーバーシュートを容易に可能にして,車両のドラバビリティを良好にする車両用V型エンジンの吸気制御装置を提供する。
【解決手段】電動モータ11及び減速ギヤ装置12を第1スロットルボディ5aに取り付け,連動装置29を,第1弁軸9aの一端部に連結される第1リンクレバー21aと,第2弁軸9bの一端部に連結され,第1リンクレバー21aと同方向へ平行に延びる第2リンクレバー21bと,これら第1及び第2リンクレバー21a,21b間を連接するリンク28とで平行リンク式に構成して,第1及び第2スロットル弁8a,8bがそれぞれの全開位置を越えてオーバーシュートすることを可能にした。
【選択図】図2
【解決手段】電動モータ11及び減速ギヤ装置12を第1スロットルボディ5aに取り付け,連動装置29を,第1弁軸9aの一端部に連結される第1リンクレバー21aと,第2弁軸9bの一端部に連結され,第1リンクレバー21aと同方向へ平行に延びる第2リンクレバー21bと,これら第1及び第2リンクレバー21a,21b間を連接するリンク28とで平行リンク式に構成して,第1及び第2スロットル弁8a,8bがそれぞれの全開位置を越えてオーバーシュートすることを可能にした。
【選択図】図2
Description
本発明は,車両用V型エンジンの吸気制御装置に関し,特に,V型エンジンの第1及び第2バンクの各気筒に連なる第1及び第2吸気道,並びにそれら吸気道を開閉する第1及び第2スロットル弁をそれぞれ有して並設される第1及び第2スロットルボディと,電動モータと,この電動モータの回転を減速して前記第1スロットル弁の第1弁軸に伝達する減速ギヤ装置と,前記第1及び第2スロットル弁の第1及び第2弁軸間を同期的に連結する連動装置と,前記第1スロットル弁又は第2スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサと,運転者によるアクセル操作部材の操作量を検出するアクセル開度センサと,前記スロットル開度センサ及びアクセル開度センサの検出信号に応じて前記電動モータの作動を制御する電子制御ユニットとを備える,V型エンジンの吸気制御装置の改良に関する。
かゝるV型エンジンの吸気制御装置は,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。また第1及び第2弁軸間を連結する連動装置として,第1弁軸に連結される第1リンクレバーと,第2弁軸に連結され第1リンクレバーと反対方向に延びる第2リンクレバーと,これら第1及び第2リンクレバー間を連結して,第1及び第2弁軸を互いに反対方向に回転させるリンクとで構成したものが,下記特許文献に開示されるように既に知られている。
オートバイやスポーツカーでは,アクセル操作部材の加速操作,特に全開操作に対するスロットル弁の高い開き応答性が要求される。それを満足させるには,電動モータの回転速度を極力速める必要がある。その際,スロットル弁が,電動モータの伝動系各部の慣性により一旦全開位置を超えるオーバーシュートを許容し,その後,スロットル弁を所定の全開位置に戻す方が車両のドラバビリティを良好にする上で有効である。
しかしながら,特許文献2記載の吸気制御装置における連動装置では,第1及び第2弁軸の回転角度を大きく取ろうとすると,回転限界位置で一方のリンクレバーとリンクとのなす角度が極端に大きくなると共に,他方のリンクレバーとリンクとのなす角度が極端に小さくなって,各リンクレバー及びリンク間の力の伝達効率が悪くなり,連動装置のスムーズな作動が妨げられるので,結局,スロットル弁を,全開側にオーバーシュートさせるような大きな回転角度を第1及び第2弁軸に付与することは困難である。また特許文献1記載のものゝ連動装置も,実質的には特許文献1のものと同様である。したがって,これら従来のものは,オートバイやスポーツカー用V型エンジンの吸気制御装置には不向きである。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,第1及び第2弁軸間を同期的に連結する連動装置の作動をスムーズを確保しつゝ,第1及び第2スロットル弁の全開側へのオーバーシュートを容易に可能にして,車両のドラバビリティを良好にする車両用V型エンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,V型エンジンの第1及び第2バンクの各気筒に連なる第1及び第2吸気道,並びにそれら吸気道を開閉する第1及び第2スロットル弁をそれぞれ有して並設される第1及び第2スロットルボディと,電動モータと,この電動モータの回転を減速して前記第1スロットル弁の第1弁軸に伝達する減速ギヤ装置と,前記第1及び第2スロットル弁の第1及び第2弁軸間を同期的に連結する連動装置と,前記第1スロットル弁又は第2スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサと,運転者によるアクセル操作部材の操作量を検出するアクセル開度センサと,前記スロットル開度センサ及びアクセル開度センサの検出信号に応じて前記電動モータの作動を制御する電子制御ユニットとを備える,車両用V型エンジンの吸気制御装置において,前記電動モータ及び減速ギヤ装置を前記第1スロットルボディに取り付け,前記連動装置を,前記第1弁軸の一端部に連結される第1リンクレバーと,前記第2弁軸の一端部に連結され,前記第1リンクレバーと同方向へ平行に延びる第2リンクレバーと,これら第1及び第2リンクレバー間を連接するリンクとで平行リンク式に構成して,前記第1及び第2スロットル弁がそれぞれの全開位置を越えてオーバーシュートすることを可能にしたことを第1の特徴とする。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記第1及び第2スロットルボディ間に前記電動モータを配置する一方,前記第1及び第2スロットルボディの同側方の側壁に,第1及び第2スロットル弁より下流の第1及び第2吸気道に燃料を噴射し得る第1及び第2燃料噴射弁を取り付けたことを第2の特徴とする。
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記第1及び第2燃料噴射弁を,前記第1及び第2スロットル弁の開きに伴ない,第1及び第2スロットル弁の,前記第1及び第2吸気道の下流側に向かう端部側でこれら燃料噴射弁が燃料を噴射し得るように配置したことを第3の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,連動装置は,第1弁軸の一端部に連結される第1リンクレバーと,第2弁軸の一端部に連結され,第1リンクレバーと同方向へ平行に延びる第2リンクレバーと,これら第1及び第2リンクレバー間を連接するリンクとで平行リンク式に構成されるので,第1及び第2弁軸の回転角度を大きく取っても,回転限界位置における各リンクレバーとリンクとのなす角度が極端に大きくなったり,小さくなったりすることがなく,したがって常に両リンクレバー及びリンク間の力の伝達効率が良く,連動装置のスムーズな作動を確保することができ,これにより第1及び第2スロットル弁の全開側へのオーバーシュートを容易にさせることができる。したがって,全開加速操作時には,第1及び第2スロットル弁を,これらがオーバーシュートする程,電動モータにより高速で駆動できて,運転者の意志に即した急加速が可能となり,車両のドラバビリティを良好にすることができる。
本発明の第2の特徴によれば,第1及び第2スロットルボディ間のデッドスペースに電動モータを配置することができ,V型エンジンの吸気制御装置のコンパクト化を図ることができる。また第1及び第2スロットルボディの同側方の側壁に,第1及び第2スロットル弁より下流の第1及び第2吸気道に燃料を噴射し得る第1及び第2燃料噴射弁を取り付けたことで,第1及び第2スロットル弁を通過して第1及び第2吸気道の下流側に流れる吸気の流れと,第1及び第2燃料噴射弁からの噴射燃料との関係が互いに同じになり,第1及び第2バンクの各気筒に同条件で混合気を供給し得て,第1及び第2バンクの出力性能のバランスを図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,第1及び第2スロットル弁の中間開度時には,多くの吸気が第1及び第2スロットル弁に誘導されて第1及び第2燃料噴射弁側に流れることになり,各吸気道において,吸気と噴射燃料との混合が効果的に行われ,良好な混合気を生成することができ,V型エンジンの出力性能及び低燃費性の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず図1において,自動二輪車に搭載されるV型エンジンEは,クランクケース1の上部から後傾及び前傾姿勢でそれぞれ起立する後側バンク2a及び前側バンク2bを備える。以下,便宜上,後側バンク2aを第1バンク2a,前側バンク2bを第2バンク2bと呼ぶ。この説明において前後及び左右とは,自動二輪車の前後及び左右方向を指すものとする。
図示例では,各バンク2a,2bには単一の気筒(図示せず)が形成されており,第1バンク2aの前面には,それの気筒に連なり上流端を上方に開口する第1吸気管3aが,また第2バンク2bの後面には,それの気筒に連なり上流端を上方に開口する第2吸気管3bがそれぞれ接合されており,第1吸気管3aには,その内部と連通する第1吸気道6aを有する第1スロットルボディ5aが,また第2吸気管3bには,その内部と連通する第2吸気道6bを有する第2スロットルボディ5bがそれぞれ連結される。こうして第1及び第2スロットルボディ5a,5bは,第1及び第2バンク2a,2b間の谷部4内に配設される。第1及び第2スロットルボディ5a,5bは,左右両側部を一対のステー7を介して互いに一体的に連結される。
図2〜図5に示すように,第1及び第2スロットルボディ5a,5bには,第1及び第2吸気道6a,6bをそれぞれ開閉するバタフライ型の第1及び第2スロットル弁8a,8bを支持する第1及び第2弁軸9a,9bが回転自在に支承される。その際,これら第1及び第2弁軸9a,9bは,エンジンEの左右方向に沿って互いに平行に配置される。また第1及び第2スロットル弁8a,8bは,それぞれ同方向に回転して第1及び第2吸気道6a,6bを開閉するように配置される。
また第1及び第2スロットルボディ5a,5bには,第1及び第2スロットル弁8a,8bより下流の各吸気道6a,6bに燃料を噴射し得る電磁式の第1及び第2燃料噴射弁14a,14bが,これらスロットル弁8a,8bの開閉方向が同じであることに対応して,同側方の側壁に取り付けられる。その際,望ましくは,これら燃料噴射弁14a,14bは,第1及び第2スロットル弁8a,8bの開き時,各スロットル弁8a,8bの,各吸気道6a,6bの下流側に向かう端部側で各吸気道6a,6bに燃料を噴射し得るように配置される。
図4及び図5に明示するように,第1スロットルボディ5aの左右方向一側面に制御ケース10が接合又は一体に形成される。第1弁軸9aの一端部は,この制御ケース10内まで延びている。制御ケース10は,第1弁軸9aと平行に配置される円筒状のモータ収容部10aと,このモータ収容部10aの軸方向一端から,第1弁軸9aと直交する方向に延びる扁平なギヤ収容部10bとからなっており,ギヤ収容部10bの,第1スロットルボディ5aと反対側の面が開放面になっている。モータ収容部10aには電動モータ11が収容され,ギヤ収容部10bは,電動モータ11の回転を減速して第1弁軸9aに伝達する減速ギヤ装置12が収容され,これら電動モータ11及び減速ギヤ装置12を覆うケースカバー13が制御ケース10の開放面に複数のボルト32により着脱可能に接合される。
減速ギヤ装置12は,電動モータ11の出力軸11aに固着される1次駆動ギヤ15と,中間軸16に回転自在に支承されて1次駆動ギヤ15と噛合する1次従動ギヤ17と,この1次従動ギヤ17の一側に一体に形成される2次駆動ギヤ18と,第1弁軸9aの一端部にナット20で固着されて2次駆動ギヤ18と噛合するセクタ型の出力ギヤ19とで構成され,電動モータ11の出力軸11aの回転を2段階減速して第1弁軸9aに伝達して,第1スロットル弁8aを開閉し得るようになっている。減速ギヤ装置12の各ギヤはスパーギヤであり,電動モータ11及び中間軸16は,これらの軸線が第1弁軸9aの軸線と平行に並ぶように配置される。また制御ケース10は,電動モータ11が両スロットルボディ5a,5b間に来るようモータ収容部10aを配置する。こうすることで比較的大型の電動モータ11は,第1及び第2スロットルボディ5a,5b間のデッドスペースに配置されることになり,吸気制御装置のコンパクト化に寄与し得る。
再び図2〜図5において,第1及び第2弁軸9a,9bの他端部も第1及び第2スロットルボディ5a,5bの外側面より突出しており,第1弁軸9aの他端部には第1リンクレバー21aが固着され,第2弁軸9bの他端部には第2リンクレバー21bが同調機構23を介して連結される。これら第1及び第2リンクレバー21a,21bは,第1及び第2弁軸9a,9bから同方向へ平行に延びており,この両リンクレバー21a,21bは,リンク28を介して相互に連接される。即ち,各リンクレバー21a,21bとリンク28とはピンジョイントにより相対回転自在に連結される。こうして第1及び第2弁軸9a,9bは,互いに回転をリンク28を介して同方向へ伝達し,互いに開閉方向を同じにする第1及び第2スロットル弁8a,8bを同時に開閉し得るようになっている。上記第1リンクレバー21a,リンク28及び第2リンクレバー21bは,第1及び第2弁軸9a,9bを相互に同期的に連結する平行リンク式の連動装置29を構成する。
この連動装置29により連結される第1及び第2リンクレバー21a,21bは,第1及び第2スロットル弁8a,8bを全閉位置から,全開位置(各スロットル弁の板面が各吸気道の軸線と平行になる位置)を超えてオーバーシュートさせるように回転が可能である
第1リンクレバー21a及び第1スロットルボディ5a間には,第1リンクレバー21aを第1スロットル弁8aの閉じ方向に付勢する,捩じれコイルばねよりなる第1戻しばね31aが接続され,またスロットルレバー22及び第2スロットルボディ5b間には,スロットルレバー22を第2スロットル弁8bの閉じ方向に付勢する第2戻しばね31bが接続される。
第1リンクレバー21a及び第1スロットルボディ5a間には,第1リンクレバー21aを第1スロットル弁8aの閉じ方向に付勢する,捩じれコイルばねよりなる第1戻しばね31aが接続され,またスロットルレバー22及び第2スロットルボディ5b間には,スロットルレバー22を第2スロットル弁8bの閉じ方向に付勢する第2戻しばね31bが接続される。
前記同調機構23は,図6に示すように,第2リンクレバー21bに形成されそれぞれ半径方向に延びて互いに対向する一対のアーム24,24′を備えており,この両外側アーム24,24′間にスロットルレバー22の先端部が挿入される。そして一方のアーム24には,先端部をスロットルレバー22に当接させる調整ボルト26が螺着され,他方のアーム24′及びスロットルレバー22間には,スロットルレバー22を調整ボルト26との当接状態に保持するセットばね27が縮設される。
而して,第1及び第2リンクレバー21b,22間をリンク28を介して連結した後,第1スロットル弁8a,8bの全閉状態において,同調機構23の調整ボルト26をスロットルレバー22に対して進退させ,スロットルレバー22及び第1リンクレバー21a相互の位相を変えて第2スロットル弁8bをも全閉位置に調整することにより,両スロットル弁8a,8bの同調を図ることができる。
図5において,第1弁軸9a及びケースカバー13間には,第1スロットル弁8a,8bの開度を検出するスロットル開度センサ33が設けられる。このスロットル開度センサ33は,第1スロットル弁8a,8bの開度を電気信号として外部に取り出す公知のもので,前記出力ギヤ19を第1弁軸9aに固着するソケット型のナット20の端部に付設された発信体35と,それに対向するようにケースカバー13に付設される受信体36とで構成される。こうしてケースカバー13及び第1弁軸9a間にスロットル開度センサ33が構成される。スロットル開度センサ33の検出信号は,受信体36から,電動モータ11の作動を制御する電子制御ユニット39(図7参照)に入力される。
また図7に示すように,自動二輪車の操向ハンドル37には,アクセルグリップ37aの開度を検出するアクセル開度センサ38が設けられ,このアクセル開度センサ38の検出信号も前記電子制御ユニット39に入力される。
次に,この実施形態の作用について説明する。
自動二輪車の運転中,ライダ(即ち運転者)がアクセルグリップ37aを加速方向に回転すると,その回転角度をアクセル開度センサ38が検出して,その検出信号を電子制御ユニット39に入力する。電子制御ユニット39は,その入力を受けて電動モータ11を正転させ,減速ギヤ装置12を介して第1弁軸9aを第1スロットル弁8aの開き方向に第1戻しばね31aの付勢力に抗して回転する。すると,スロットル開度センサ33が第1スロットル弁8a,8bの開度を検出して,その検出信号を電子制御ユニット39に入力するので,電子制御ユニット39は,上記2検出信号から,スロットル弁8a,8bの開度がアクセル開度に対応するようになったところで電動モータ11の作動を停止する。
この間,上記第1弁軸9aは,連動装置29を介して第2弁軸9bに同期的に同方向へ回転するので,第2弁軸9bは,第2戻しばね31bの付勢力に抗して第2スロットル弁8bを第1スロットル弁8aと同一開度まで開くことになる。
ところで,ライダが自動二輪車の急加速のためにアクセルグリップ37aを全開位置まで急速に回転した場合には,アクセル開度センサ38の全開検出信号が直ちに電子制御ユニット39に入力されるので,電子制御ユニット39は,電動モータ11を第1スロットル弁8aの全開位置に向かって急速に正転させる。しかしながら,第1スロットル弁8aが全開位置に達することで,スロットル開度センサ33が全開検出信号を発し,それを受けた電子制御ユニット39が電動モータ11の正転を停止させようとしても,電動モータ11から第1スロットル弁8aに至る伝動系の慣性により電動モータ11の正転が停止するまでには時間遅れがあり,その間に第1スロットル弁8aは全開位置を超えるオーバーシュート状態となり,スロットル開度センサ33は,当然その状態の検出信号を電子制御ユニット39に発し続ける。このとき,第1スロットル弁8aに連動する第2スロットル弁8bも同様にオーバーシュート状態となる。
そこで,電子制御ユニット39は,スロットル開度センサ33の検出信号がアクセル開度センサ38の全開信号に対応するところまで,即ち第1スロットル弁8aが全開位置に戻るまで電動モータ11を逆転させることになり,第1スロットル弁8a及びそれに同期的に連動する第2スロットル弁8bを全開位置に安定させることができる。
このように,全開加速操作時には,第1及び第2スロットル弁8a,8bを,これらがオーバーシュートするよう,電動モータ11により高速で駆動するので,ライダの意志に即した急加速が可能となり,自動二輪車のドラバビリティを良好にすることができる。
尚,第1スロットル弁8aをオーバーシュートさせることなく,第1スロットル弁8aが全開位置に到達したとき,第1リンクレバー21aを受け止める全開ストッパを第1スロットルボディ5aに設けることが考えられるが,そうすると,第1スロットル弁8aが全開位置に到達する度に第1リンクレバー21aが全開ストッパに衝撃的に当接することになり,その衝撃が電動モータ11の伝動系に伝達して,各部の耐久性を低下させ,また異音の発生原因ともなり,好ましくない。
ところで,第1及び第2スロットル弁8a,8bのこのような全開側へのオーバーシュートには,第1及び第2弁軸9a,9b間の連動装置29の構成が大きく貢献する。即ち,その連動装置29は,第1弁軸の一端部に連結される第1リンクレバーと,第2弁軸の一端部に連結され,第1リンクレバー21aと同方向へ平行に延びる第2リンクレバーと,これら第1及び第2リンクレバー間を連接するリンクとで平行リンク式に構成されるので,第1及び第2弁軸9a,9bの回転角度を大きく取っても,回転限界位置における各リンクレバー21a,21bとリンク28とのなす角度が極端に大きくなったり,小さくなったりすることがなく,したがって常に両リンクレバー21a,21b及びリンク28間の力の伝達効率が良く,連動装置29のスムーズな作動を確保することができる。こうしたことが第1及び第2スロットル弁8a,8bの全開側へのオーバーシュートを容易にさせるのである。
アクセルグリップ37aを減速方向に回転したときは,電子制御ユニット39が上記とは反対に電動モータ11を逆転させ,第1戻しばね31aの付勢力で助勢されながら第1弁軸9aを第1スロットル弁8aの閉じ方向に回転し,同時に第1弁軸9aは,連動装置29を介して第2弁軸9bを第2戻しばね31aの付勢力で助勢されながら第2スロットル弁8bの閉じ方向に回転する。
第1及び第2スロットルボディ5a,5bにそれぞれ取り付けられて第1及び第2吸気道6a,6bの下流側に燃料を噴射する第1及び第2燃料噴射弁14a,14bは,第1及び第2スロットル弁8a,8bの開閉方向が同じであることに対応して,第1及び第2スロットルボディ5a,5bの同側方に配置されるので,第1及び第2スロットル弁8a,8bを通過して第1及び第2吸気道6a,6bの下流側に流れる吸気の流れと,第1及び第2燃料噴射弁14a,14bからの噴射燃料との関係が互いに同じになり,第1及び第2バンク2a,2bの各気筒に同条件で混合気を供給し得て,第1及び第2バンク2a,2bの出力性能のバランスを図ることができる。
またその際,燃料噴射弁14a,14bを,第1及び第2スロットル弁8a,8bの開きに伴ない,各スロットル弁8a,8bの,各吸気道6a,6bの下流側に向かう端部側で各吸気道6a,6bに燃料を噴射し得るように配置したので,第1及び第2スロットル弁8a,8bの中間開度時には,多くの吸気が第1及び第2スロットル弁8a,8bに誘導されて第1及び第2燃料噴射弁14a,14b側に流れるので,各吸気道6a,6bにおいて,吸気と噴射燃料との混合が効果的に行われ,良好な混合気を生成することができ,V型エンジンEの出力性能及び低燃費性の向上を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,同調機構23を必要としない場合,もしくは同調機構23をリンク28に設けて,リンク28の有効長さを調節することで第1及び第2スロットル弁8a,8b間の同調を図る場合には,第2リンクレバー21bを第2弁軸9bに直接固着することになる。またスロットル開度センサ33は,第2スロットル弁8bの開度を検出するように配設することもできる。また本発明は,第1及び第2バンク2a,2bをクランクケース1の上部から左右方向にV字状に突出させるV型エンジンにも適用可能であり,また各バンクに気筒を複数備えるものにも適用可能である。さらに本発明はスポーツカー用V型エンジンにも適用可能である。
E・・・・V型エンジン
2a,2b・・・第1,第2バンク
5a,5b・・・第1,第2スロットルボディ
6a,6b・・・第1,第2吸気道
8a,8b・・・第1,第2スロットル弁
9a,9b・・・第1,第2弁軸
11・・・電動モータ
12・・・減速ギヤ装置
21a,21b・・・第1,第2リンクレバー
28・・・リンク
29・・・連動装置
33・・・スロットル開度センサ
38・・・アクセル開度センサ
39・・・電子制御ユニット
2a,2b・・・第1,第2バンク
5a,5b・・・第1,第2スロットルボディ
6a,6b・・・第1,第2吸気道
8a,8b・・・第1,第2スロットル弁
9a,9b・・・第1,第2弁軸
11・・・電動モータ
12・・・減速ギヤ装置
21a,21b・・・第1,第2リンクレバー
28・・・リンク
29・・・連動装置
33・・・スロットル開度センサ
38・・・アクセル開度センサ
39・・・電子制御ユニット
Claims (3)
- V型エンジン(E)の第1及び第2バンク(2a,2b)の各気筒に連なる第1及び第2吸気道(6a,6b),並びにそれら吸気道(6a,6b)を開閉する第1及び第2スロットル弁(8a,8b)をそれぞれ有して並設される第1及び第2スロットルボディ(5a,5b)と,電動モータ(11)と,この電動モータ(11)の回転を減速して前記第1スロットル弁(8a)の第1弁軸(9a)に伝達する減速ギヤ装置(12)と,前記第1及び第2スロットル弁(8a,8b)の第1及び第2弁軸(9a,9b)間を同期的に連結する連動装置(29)と,前記第1スロットル弁(8a)又は第2スロットル弁(8b)の開度を検出するスロットル開度センサ(33)と,運転者によるアクセル操作部材の操作量を検出するアクセル開度センサ(38)と,前記スロットル開度センサ(33)及びアクセル開度センサ(38)の検出信号に応じて前記電動モータ(11)の作動を制御する電子制御ユニット(39)とを備える,車両用V型エンジンの吸気制御装置において,
前記電動モータ(11)及び減速ギヤ装置(12)を前記第1スロットルボディ(5a)に取り付け,前記連動装置(29)を,前記第1弁軸(9a)の一端部に連結される第1リンクレバー(21a)と,前記第2弁軸(9b)の一端部に連結され,前記第1リンクレバー(21a)と同方向へ平行に延びる第2リンクレバー(21b)と,これら第1及び第2リンクレバー(21a,21b)間を連接するリンク(28)とで平行リンク式に構成して,前記第1及び第2スロットル弁(8a,8b)がそれぞれの全開位置を越えてオーバーシュートすることを可能にしたことを特徴とする,車両用V型エンジンの吸気制御装置。 - 請求項1記載の車両用V型エンジンの吸気制御装置において,
前記第1及び第2スロットルボディ(5a,5b)間に前記電動モータ(11)を配置する一方,前記第1及び第2スロットルボディ(5a,5b)の同側方の側壁に,第1及び第2スロットル弁(8a,8b)より下流の第1及び第2吸気道(6a,6b)に燃料を噴射し得る第1及び第2燃料噴射弁(14a,14b)を取り付けたことを特徴とする,車両用V型エンジンの吸気制御装置。 - 請求項2記載の車両用V型エンジンの吸気制御装置において,
前記第1及び第2燃料噴射弁(14a,14b)を,前記第1及び第2スロットル弁(8a,8b)の開きに伴ない,第1及び第2スロットル弁(8a,8b)の,前記第1及び第2吸気道(6a,6b)の下流側に向かう端部側でこれら燃料噴射弁(14a,14b)が燃料を噴射し得るように配置したことを特徴とする,車両用V型エンジンの吸気制御装置。
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- 2010-05-28 JP JP2010123478A patent/JP2011247222A/ja active Pending
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