JP2011244708A - チョコレート及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カカオ脂の含有量が高いにも係らず煩雑なテンパリング処埋を必要としない風味豊かで良好な光沢を有するチョコレート及びその製造法を提供する。
【解決手段】カカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含むチョコレート生地を、融解状態から冷却固化することにより、チョコレート中の油脂の結晶形が2鎖長構造でβ’型となり、良好に型から剥離し、かつ外観に優れた光沢を有し、豊かなチョコレート風味と良好な口どけとなるチョコレートを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、カカオ脂を豊富に含有した非テンパリング型チョコレート及びその製造法に関する。
従来テンパリング型のチョコレートは、カカオマス、砂糖、カカオ脂、粉乳などの原料を混合、磨砕した後、コンチング処理した融液状のチョコレート生地を冷却固化する際に、カカオ脂をV型の安定結晶として得るために、いわゆるテンパリング処理が行われている。
すなわち、テンパリング処理は、多くの結晶型をとるカカオ脂を安定なV型の結晶として固化させるために、安定結晶の結晶核を生じさせる操作であり、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレート生地を、品温が27〜28℃程度になるまで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作である。このテンパリング処理したチョコレート生地を成形型に適量充填し、カカオ脂のV型結晶の融点温度以下で冷却すると、チョコレートの油脂は3鎖長構造でβ型の一種であるV型で結晶化する。V型結晶で固化したチョコレートは、収縮が良好となり、型離れが良く、表面に良好な光沢のあるチョコレートが得られるのであるが、テンパリング処理の操作は煩雑であり、お菓子作りの現場では多分に技術と経験が必要とされる。
一方で、テンパリング処理を必要としない非テンパリング型油脂も知られているが、非テンパリング型油脂はカカオ脂との相溶性が悪いためにカカオ脂を十分量混合することが出来ず、したがってチョコレート風味の根源をなすカカオマス(カカオ脂を約55質量%含有)の配合量が著しく制限されるため、非テンパリング型油脂を使用したチョコレートは風味に乏しい安物(イミテーション)チョコであった。
良好な風味を得るためにカカオ脂含量が高く、且つ、煩雑なテンパリング処理を必要としない光沢に優れたチョコレートを得るために、幾つかの試みがなされている。例えば、特許文献1には、カカオ脂とOStOトリグリセリド(O:オレイン酸、St:ステアリン酸)とを混合することにより、油脂相が2鎖長構造でβ型の安定結晶である非テンパリング型のチョコレートが開示されている。また、特許文献2には、カカオ脂と8St8トリグリセリド(8:カプリル酸)とを混合することにより、油脂結晶の長面間隔がカカオ脂の3鎖長構造よりも長い65Å以上の分子間化合物である非テンパリング型のチョコレートが開示されている。
しかしながら、OStOや8St8といったトリグリセリドの製造は、工程が煩雑であり、コストが掛かるので、実用化には至っていない。
特開平4−135453号公報 WO2006/121182
本発明の課題は、カカオ脂の含有量が高い、すなわち、カカオ脂を約55質量%含むカカオマスの含有量が高いにも係らず、煩雑なテンパリング処理を必要とせず、優れた光沢を有し、風味豊かな、そしてテンパリング処理して冷却固化した場合よりも著しく口どけの良いチョコレートとその製造法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、意外にも、カカオ脂と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とをチョコレート生地中に並存させると、融液状態にあるチョコレート生地を単純に冷却固化するだけでチョコレート生地中の油脂が2鎖長構造のβ’型で結晶化し、適宜な冷却時間で成形型から剥離でき、光沢があって、かつ、通常のテンパリング処理をしてV型で結晶化させた場合より著しく口どけの良いチョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明第1の発明は、チョコレート中にカカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含み、固化したチョコレート中の油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’型であるチョコレートである。本発明第2の発明は、前記のカカオ脂と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂との質量比が40:60〜90:10であるチョコレートである。本発明第3の発明は、前記のチョコレートを使用した複含食品である。
また、本発明第4の発明は、カカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含む融液状態にあるチョコレート生地を冷却固化することにより、チョコレート中の油脂結晶を2鎖長構造のβ’型とするチョコレートの製造法である。そして、本発明第5の発明は、前記チョコレートの製造法において、カカオ脂を12質量%以上と安定緒晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含む融解状態にあるチョコレート生地が、カカオ脂を18質量%以上含有するテンパリング型のチョコレート生地に、安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂及び/又は安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂を含む生地を混合することにより調製されるチョコレートの製造法である。
本発明は、本来のテンパリング型チョコレートと同程度にカカオ脂含量が高いチョコレート生地中の油脂を2鎖長構造のβ’型で冷却固化することにより、煩雑なテンパリング処理が不要であり、単純な冷却固化により良好な型剥がれと光沢を実現し、かつ、通常のテンパリング処理をしてV型で結晶化させた場合より著しく口どけの良い風味豊かなチョコレートを提供することができる。
テンパリング処理したカカオ脂結晶(V型(β型))の広角領域のX線回折チャートである。(参考例1) テンパリング処理しないカカオ脂:試験油脂=48:52の油脂結晶(β’型)の広角領域のX線回折チャートである。(実施例1)
以下、木発明を詳細に説明する。
本発明におけるチョコレートは、カカオ脂を12質量%以上含有するものであり、さらに風味豊かなものとするためには18〜54質量%含有することが好ましく、25〜45質量%含有することがより好ましい。本発明に使用するカカオ脂は、焙煎されたカカオ豆より圧搾分離されたもの、及び/又は、チョコレート中に配合されるカカオマスやココアパウダー中に含まれているカカオ脂を含むものである。チョコレート中のカカオマスの配合量を高めることで、風味豊かなチョコレートを得ることができるので、ホワイトチョコレート以外はカカオマス由来のカカオ脂含量を高めることが好ましい。一般的にカカオマスには55質量%のカカオ脂が含まれており、カカオマスをチョコレート中に21.8質量%配合することでチョコレート中のカカオ脂含量は12質量%となり、同様に、32.7質量%配合することで18質量%となり、45.5質量%配合することで25質量%となる。
なお、本発明におけるチョコレートは、カカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含むことを必須要件とするが、この限りにおいては、規約「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」乃至法規上の規定により限定されるものではなく、いわゆるカカオ代用脂等を使用したチョコレート類及び油脂加工食品をも含むものである。
本発明における安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とは、40〜50℃で融液状態にある油脂を10℃で1時間冷却固化した後、20℃で1週間静置した後の油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’(βプライム)型を示す油脂をいう。チョコレート中の安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂の含量は、カカオ脂含量とのバランスもあるが、3〜36質量%であることが好ましく、6〜30質量%であることがより好ましい。
なお、本発明における融液状態とは、油脂結晶が全て融解している状態を言い、チョコレート生地についても同様に、チョコレート生地中の油脂結晶が全て融解している状態を言う。
前記油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’型であることは、X線回折(粉末法)の測定により得られる回折ピークから判断される。すなわち、前記の油脂結晶について、その短面問隔を2θが17〜26度の範囲でX線回折を測定し、4.1〜4.3Åおよび3.8〜3.9Åの面間隔に対応する強い回折ピークを検出し、4.5〜4.7Åの面間隔に対応する回折ピークを検出しない場合に、β’型結晶であると判断される。また、前記の油脂結晶について、その長面間隔を2θが0〜8度の範囲で測定し、40〜50Åに相当する回折ピークを検出し、60〜65Åに相当する回折ピークを検出しない場合に、2鎖長構造であると判断される。
また、油脂結晶の短面間隔を2θが17〜26度の範囲でX線回折を測定し、4.5〜4.7Åの面間隔に対応する回折ピークを検出する場含はβ型と判断され、その長面間隔を2θが0〜8度の範囲で測定し、60〜65Åに相当する回折ピークを検出した場合は3鎖長構造であると判断される。
本発明における安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂(以下この油脂をβ’−2型油脂と記すことがある)は、その10℃におけるSFC(固体脂含量)が60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましく、80〜100%であることが最も好ましい。また、20℃におけるSFCが50〜100%であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることが最も好ましい。更に30℃におけるSFCが10〜60%であることが好ましく、20〜60%であることがより好ましく、30〜50%であることが最も好ましい。β’−2型油脂のSFCが前記範囲を満たす場合、カカオ脂12質量%以上と併用して得られるチョコレート生地は、融液状態から冷却固化した場合、その生地中の油脂の油脂結晶が2鎖長構造のβ’型になるので好ましい。また、得られたチョコレートは、チョコレート生地の冷却固化後の型抜け、表面の光沢及び口どけが非常に良好なものである。
なお、SFCの測定は基準油脂分析法2.2.9−2003(NMR法)に準じて行うことができる。
本発明におけるβ’−2型油脂としては、前記条件を満たすように、通常食用に用いられる油脂、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ種子油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、イリッペ脂、サル脂、シア脂、パーム油、パーム核油、やし油等の植物性油脂、並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂を原料とし、これらに、硬化、分別、エステル交換(油脂と脂肪酸または脂肪酸エステルとのエステル交換も含む)等から選ばれる1種または2種以上の加工手段を施した加工油脂が使用できる。例えば、ISF(INTERCONTINENTAL SPECIALTY FAT SDN BHD)社製の商品名:ISFAT HG2100G、商品名:HISOMEL O35R、商品名:LTNLFAT等が好適に使用できる。
本発明におけるチョコレートは、チョコレート中の油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’型であり、チョコレート中の油脂の結晶形については次のように判断する。すなわち、該当するチョコレート中の油脂の組成と同じになるようにカカオ脂とβ’−2型油脂とを含む油脂を調製し、チョコレート製造と同様の条件で冷却固化、例えば、40〜50℃の融液状態から10℃以下(好ましくは0〜10℃)の温度で冷却固化させた油脂の結晶形を、前記のX線回折測定による方法で判定することにより決定する(チョコレートを直接X線回折測定しても、チョコレートには糖類の結晶も含まれるので、油脂結晶の結晶形を正確に判定できないことによる)。
本発明のチョコレートは、その好ましい特性として、40〜50℃で融液状態にあるチョコレート生地をポリカーボネート樹脂製の成形型(縦165mm×横82mm×深さ11mm)に120g充填し、次いでこれを庫内温度が5〜10℃に制御された大型冷蔵庫(例えば、ホシザキ電気製リーチインショーケースRSC-120BT-B形463 L)に静置して冷却固化した場合に、冷却時間60分以内の離型率(型表面より剥離したチョコレートの面積を型表面積で除して100を乗じた値)が90%以上であり、かつ、型より剥離した固化チョコレートが良好な光沢を有することが挙げられる。
本発明のチョコレートに含まれるカカオ脂とβ’−2型油脂とは、質量比が、40:60〜90:10であることが好ましく、40:60〜80:20であることがより好ましく、45:55〜70:30であることが最も好ましい。カカオ脂とβ’−2型油脂とが前記の質量比で含有されることにより、チョコレートは冷却固化で良好な型剥がれと光沢を示し、チョコレート中の油脂が2鎖長構造のβ’型となり、通常のテンパリング処理をしてチョコレート中の油脂をV型で結晶化させた場合より著しく口どけの良い風味豊かなチョコレートを得易くなる。
また、本発明のチョコレートに含まれる油脂分(油脂の合計)は、風味の点から30〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であること最も好ましい。
本発明のチョコレートは、カカオ脂を12質量%以上とβ’−2型油脂とを含む融液状態にあるチョコレート生地を、テンパリング処理することなく冷却固化することにより製造することができる。チョコレート生地の原料としては、カカオ脂とβ’−2型油脂の他、少なくとも糖類を含有することが好ましい。その他、通常チョコレートに使用されるカカオマス、ココアパウダー、油脂類、乳固形類、乳化剤、香料、色素等の他、澱粉類、ガム類、熱凝固性蛋白、各種粉末類等の食品改質材等を含有することができる。チョコレート生地は、常法に従い、ロールリファイニング等による微粒化、必要に応じてコンチング処理等を行い製造することができる。なお、チョコレート生地は、水、果汁、各種洋酒、牛乳、濃縮乳、生クリーム等を含有した含水物であってもよく、○/W乳化型、W/○乳化型の何れであってもよい。
なお、チョコレート生地とは、便宜上、冷却固化して最終的に固形のチョコレートを得る前段階の配合物を指し、配合物(チョコレート生地)の原材料組成はチョコレートと同一である。
本発明のチョコレートの製造における好ましい態様の1つとしては、カカオ脂とβ’−2型油脂、カカオマス、糖類、乳固形類、乳化剤等を混合して、カカオ脂の含量を12質量%以上に調製した後、ロールリファイニングによる微細化、コンチング処理を行い、40〜50℃の融液状態となったチョコレート生地を10℃以下(好ましくは0〜10℃)の温度で冷却固化することにより製造することができる。
本発明のチョコレートの製造におけるまた別の好ましい態様の1つとしては、カカオ脂含量が18質量%以上、好ましくは24質量%以上である市販のテンパリング型チョコレート(生地)に、β’−2型油脂又はβ’−2型油脂を含む生地を混合し、最終的なチョコレート生地中のカカオ脂の含量が12質量%以上、好ましくは18質量%以上であり、カカオ脂とβ’−2型油脂との質量比が40:60〜90:10、好ましくは40:60〜80:20であるように調製した後、40〜50℃の融液状態とした生地を10℃以下(好ましくは0〜10℃)の温度で冷却固化することにより製造することができる。この製造法によれば、市販のテンパリング型のチョコレート(生地)を簡単にテンパリングの必要がないチョコレート(生地)へと改質できる。
本発明のチョコレートは、型抜きされたチョコレート塊としてそのまま食する他、製菓製パン製品、例えば、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、シュー菓子等に、コーティング、フィリング、または、チップ状として生地へ混ぜ込む等して使用することができ、多彩なチョコレート複合食品を得ることができる。特に、本発明のチョコレートを使用することにより、家庭や街のパン屋さんで簡単に風味豊かで多彩なチョコレート複合食品の製造が可能となる。
以下に、実施例を提示することにより、本発明を更に具体的に説明する。
(試験油脂)
試験油脂として、以下の試験油脂1〜4を準備した。
試験油脂1:ISFAT H2100G、SFC : 97. 3% (10℃)、96.0% (20℃)、48.5% (30℃)、
ISF (INTERCONTINENTAL SPECIALTY FAT SDN BHD)社製
試験油脂2:HISOMEL 035R、SFC: 94.4% (10℃)、77.4% (20℃)、34.9% (30℃)、
ISF (INTERCONTINENTAL SPECIALTY FAT SDN BHD) 社製
試験油脂3:LTNLFAT、 SFC : 84.3% (10℃)、81.8% (20℃)、57.0% (30℃)、
ISF (INTERCONTINENTAL SPECIALTY FAT SDN BHD) 社製
試験油脂4:VIENTA 50、 SFC: 81.5% (10℃)、76.7% (20℃)、26.2% (30℃)、
日清オイリオグループ株式会社製
(試験油脂の安定結晶形評価)
試験油脂1〜4について、50℃の融液状態として10℃で冷却固化した後、20℃で1週間静置した後の油脂の結晶形を、X線回折測定による方法により判断した。結果を表1に示した。
Figure 2011244708
(チョコレート評価1)
表2〜3のチョコレート配合に従って実施例1〜5、比較例1〜3を秤量し、常法どおりに、ロールリファイニング、コンチングをおこなった後、40℃の融液状態とした生地をテンパリング処埋することなく、ポリカーボネート樹脂製の成形型(縦165mm×横82mm×深さ11mm)に120g充填し、次いでこれを庫内温度5〜10℃に制御された大型冷蔵庫(ホシザキ電気製リーチインショーケースRSC-120BT-B形463 L)に静置して冷却固化した。以下に示した評価基準により、冷却固化30分後の型抜け(離型率)、固化したチョコレート表面の光沢(JlSZ8741に準じ、光沢度計(ミノルタ光沢度計GM−060)で入射角度/受光器の受光角度を60゜にして測定した光沢度)、およびチョコレートの風味(専門パネル5名による官能検査の4段階評価(3:カカオ風味豊かで非常に良好、2:良好、1:カカオ風味に乏しい、0:カカオ風味が殆どない)の平均値)を評価した。また、各チョコレート中の油脂と同じ組成となるように、試験油脂、カカオ脂及び必要により乳脂を混合し、チョコレート生地の冷却固化条件で結晶化させ、X線回折測定でその結晶形を判定した。結果を同じく表2〜3に示した。

型抜けの評価基準
◎ 非常に良好 (離型率90%以上)
○ 良好 (離型率70%以上90%未満)
△ 一部剥がれない部分有り(離型率0%を超え70%未満)
× 不可 (離型率0%)

チョコレート表面の光沢の評価基準
◎ 非常に良好な光沢 (光沢度が55〜80)
○ 良好な光沢 (光沢度が40〜54)
△ 光沢に乏しい (光沢度が21〜39)
× 光沢が殆どない (光沢度が20以下)

風味の評価基準
◎ カカオ風味豊かで非常に良好(官能評価平均点:2.5〜3.0)
○ 良好 (官能評価平均点:2.0〜2.4)
△ カカオ風味に乏しい (官能評価平均点:0.5〜1.9)
× カカオ風味が殆どない (官能評価平均点:0〜0.4)
Figure 2011244708
Figure 2011244708
(チョコレート評価2)
比較例2のチョコレート生地を40℃の融液状態とした後、常法に従ってテンパリング処理を行い、チョコレート評価1と同様に冷却固化して参考例1とした。チョコレート評価1と同じ評価基準により評価したところ、チョコレート中の油脂の結晶形が3鎖長構造のβ型であり、型抜けと表面の光沢が良好であり、そしてカカオ風味の豊かなチョコレートが得られた。
実施例1〜5で得られたチョコレートと参考例1のチョコレートとを比較したところ、実施例1〜5のチョコレートは口どけにおいて、参考例1のチョコレートより極めて優れていた。
(チョコレート評価3)
比較例2のチョコレート生地(71.4質量部)と試験油脂2(28.6質量部)とを混合融解して40℃の融液状態とした生地(油脂含量57.2質量%、カカオ脂含量28.6質量%、カカオ脂:試験油脂2(質量比)=50:50)を調製し、テンパリング処理することなく、チョコレート評価1と同様に冷却固化した。チョコレート評価1と同じ評価基準により評価したところ、チョコレート中の油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’型であり、型抜けと表面の光沢が良好であり、そしてカカオ風味の豊かなチョコレートが得られた。
(複合菓子への応用)
市販のケーキドーナツの表面に、実施例1のチョコレートを40℃の融液状態とした後、テンパリング処埋することなくコーティングした。得られたチョコレートコーティングドーナツは、光沢があって外観に優れ、かつチョコレート風味豊かで美味であった。
本発明により、煩雑なテンパリング処理が不要であるにも係らず、カカオ脂含量が高く風味豊かで、光沢に優れ、口どけの良好なチョコレートを提供することができる。また、該チョコレートを使用することで、家庭や街のパン屋さんで簡単に風味豊かで外観に優れた多彩なチョコレート複合食品の製造が可能となる。

Claims (5)

  1. チョコレート中にカカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含み、固化したチョコレート中の油脂の結晶形が2鎖長構造のβ’型であることを特徴とするチョコレート。
  2. カカオ脂と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂との質量比が40:60〜90:10であることを特徴とする請求項1に記載のチョコレート。
  3. 請求項1又は2に記載のチョコレートを使用した複合食品。
  4. カカオ脂を12質量%以上と安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含む融液状態にあるチョコレート生地を冷却固化することにより、チョコレート中の油脂結晶を2鎖長構造のβ’型とすることを待徴とするチョコレートの製造法。
  5. カカオ脂を12質量%以上と安定緒晶が2鎖長構造のβ’型である油脂とを含む融解状態にあるチョコレート生地が、カカオ脂を18質量%以上含有するテンパリング型のチョコレート生地に、安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂及び/又は安定結晶が2鎖長構造のβ’型である油脂を含む生地を混合することにより調製されることを特徴とする請求項4に記載のチョコレートの製造法。
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