JP2011240868A - 情報表示装置及び情報表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の周囲状況を安価な構成で提示することができる情報表示装置等を提供する。
【解決手段】運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられ、当該運転者に提示する情報を表示する表示装置11を備え、表示装置11は、所定の位置関係に従って配列された複数のLED32a〜32iと、複数のLED32a〜32iと運転者の間であって前記各LED32a〜32iの放射光の放射方向に設けられ、各LED32a〜32iの放射光を拡散させて当該各LED32a〜32iの輝度を低下させる拡散板33とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられ、当該運転者に提示する情報を表示する表示装置11を備え、表示装置11は、所定の位置関係に従って配列された複数のLED32a〜32iと、複数のLED32a〜32iと運転者の間であって前記各LED32a〜32iの放射光の放射方向に設けられ、各LED32a〜32iの放射光を拡散させて当該各LED32a〜32iの輝度を低下させる拡散板33とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の運転者等に情報を提示する情報表示装置及び情報表示方法に関する。
従来より、車両の周囲状況を表示する車両用表示装置としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用表示装置は、中心視野から離れた視野周辺部位に液晶ディスプレイの表示画面を設置している。この車両用表示装置は、当該表示画面に対して、自車両と略同一進行方向で走行する他車両との相対位置関係を示す情報を、自車両進行方向と略同一ベクトルで表示している。
しかしながら、上述した車両用表示装置は、表示装置として液晶ディスプレイを用いているので、車両の周囲状況を表示する装置としてはコスト的に高くなってしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、車両の周囲状況を安価な構成で提示することができる情報表示装置及び情報表示方法を提供することを目的とする。
本発明は、所定の位置関係に従って配列された複数の点光源と、各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とを有する表示手段を、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けて、運転者に提示する情報を表示する。
本発明によれば、各点光源の放射光を拡散させて、中心視野から離れた周辺視野に情報を表示させるので、車両の周囲状況を安価な構成で提示することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態として示す情報表示システムは、例えば、車両の運転者に対して、現在の車両の走行状態を提示するものである。この情報表示システムは、車両の運転者の視野内において、時間的にも空間的にも輝度が急激に変化しない表示パターンによって情報を提示する。換言すれば、情報表示システムは、時間的且つ空間的にエッジが立たない情報を運転者の視野内の所定の視野範囲で視認させる。この情報表示システムで運転者に伝達する情報としては、瞬間燃費値、他車との距離及び方位の状況、自車車速等、運転者が車両を運転させているときに必要な車両の走行状態を含む。
本発明の第1実施形態として示す情報表示システムは、例えば、車両の運転者に対して、現在の車両の走行状態を提示するものである。この情報表示システムは、車両の運転者の視野内において、時間的にも空間的にも輝度が急激に変化しない表示パターンによって情報を提示する。換言すれば、情報表示システムは、時間的且つ空間的にエッジが立たない情報を運転者の視野内の所定の視野範囲で視認させる。この情報表示システムで運転者に伝達する情報としては、瞬間燃費値、他車との距離及び方位の状況、自車車速等、運転者が車両を運転させているときに必要な車両の走行状態を含む。
この情報表示システムは、例えば、図1に示すように、自車両のフロントガラス1及びインストルメントパネル2、メータ表示部3、ステアリングホイール4といった運転者から視認される範囲内に情報を表示させる。情報表示システムは、視認可能な範囲おいて、運転者の注視方向周囲であって、車両運転時に周辺視野によって視認可能な表示領域を設定する。
情報表示システムは、例えば、運転者の視野中心(注視方向)から下方向の視野周辺部位、又は、運転者の視野中心から上方向の視野周辺部位に設ける。視野中心の下方向の部位としては、インストルメントパネル2上やフロントガラス1の下部に光源を設けることが可能である。視野中心の上方向の部位としては、フロントガラス1の上部に光源を設けることが可能である。
この表示領域は、運転者が前方を見る標準的な運転姿勢にある場合であって、図1中の注視方向を視野中心とした場合に、それぞれ、略同じ離心角となる視野周辺部位に設けられている。この離心角は、視野中心に対して10度以上であって30度以内となっていることが望ましく、視野中心に対する方位によるコントラスト感度の差異が無視できるものとする。
この情報表示システムは、例えば、図2に示すような機能的な構成を有している。情報表示システムは、表示装置11と、表示制御装置12とを含む。なお、表示制御装置12は、実際にはROM、RAM、CPU等にて構成されているが、当該CPUがROMに格納された情報表示用のプログラムに従って処理をすることによって実現できる機能をブロックとして説明する。なお、第1実施形態においては、車両の走行状態として、車両の瞬間燃費値を提示するものについて説明する。
表示装置11は、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられ、当該運転者に提示する情報を表示する表示手段である。表示装置11は、図3(a)に示すように、回路基板31上に設けられた複数の点光源である複数のLED32a〜32i(以下、総称する場合には単に「LED32」と呼ぶ。)と、当該複数のLED32と運転者との間に設けられた拡散板33とを含む。
複数のLED32は、所定の位置関係に従って配列されている。LED32は、表示制御装置12からの制御信号に従って、点灯又は消灯し、輝度、色が制御される。これにより、LED32は、表示装置11における全体の点灯状態により現れる表示パターンが制御される。この情報表示システムにおいて、LED32a〜32iは、横長の楕円の上半分の形状に沿って配置された9個からなる。
拡散板33は、複数のLED32と運転者の間であってLED32の放射光の放射方向に設けられる。拡散板33は、LED32の放射光を拡散させて当該LED32の輝度を低下させる。拡散板33は、LED32の輝度分布をガウス分布に近似するよう変換するよう構成されている。すなわち、拡散板33は、図3(b)に複数の拡散光a〜iを示すように、LED32の中心位置が最も輝度が高く、中心位置から離間するに従い次第に輝度が低くなるよう輝度分布を変換する。拡散板33により透過された拡散光は、輝度分布がガウス分布状として観察者に視認される。
なお、拡散板33と観察者の間に設けられ拡散光を遮蔽する表示枠のようなものは設けていない。従って、1個のLED32の放射光は、中央が明るく周辺ほど徐々に暗くなって背景と同一になる、輝度エッジのない染み状の表示パターンとなる。従って、各LED32の輝度分布、及び、LED32の配列によって形成される複数の染みパターンから成る表示パターンの全体は、周辺視によって視認可能で、かつ、中心視を誘導しないという条件(特開2006−184854号公報、舟川政美 視野の時空間周波数特性に基づくアンビエント型情報表示法、自動車技術,40,5,1191−1196.)を満たすために必要な空間的に輝度エッジを含まない低空間周波数パターンを形成する。なお、この表示パターンが、周辺視によって視認可能で、かつ、中心視を誘導しないという条件は、後述する。
なお、この情報表示システムにおいては、点光源としてLED32以外の光源を使用しても良い。また、拡散板33は、光学的に設計されたものでなくとも、不透明な各種薄板状素材の中から輝度エッジを含まない拡散光分布を実現できるものであれば良い。
表示制御装置12は、図2に示すように、走行状態検知部21、画像制御部22、画像生成部23を含む。
走行状態検知部21は、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段として機能する。第1実施形態において、走行状態検知部21は、車両の瞬間燃費値を取得する。このために、走行状態検知部21は、例えば、燃費を計算するために必要なセンサからセンサ信号を取得する。そして、走行状態検知部21は、当該センサ信号に基づいて車両の瞬間燃費値を計算して、画像制御部22に供給する。
画像制御部22は、走行状態検知部21から供給された車両の走行状態に基づいて、LED32a〜32iの発光機序を設定する。この発光機序は、LED32a〜32i間の時間的な発光機序及び空間的な発光機序を含む。時間的な発光機序とは、各LED32a〜32i間の表示順序又は点灯タイミングであって、表示パターンを運動させる規則である。空間的な発光機序とは、各LED32a〜32iの輝度又は色度であり、ある瞬間での表示パターン全体の広がり、輝度、色等の見え方の規則である。
画像制御部22は、9個のLED32a〜32iの配列長さLに対して、左右対称に、輝度分布がガウス分布となっている2つの表示パターンを表示させることができる。図4の上段には、表示装置11の配列長さLのうち、輝度分布がガウス分布となっている表示パターン11aを一つだけ表示した場合を示している。即ち、画像制御部22は、図4の下段に示すように、水平軸を9個のLED32a〜32iに沿った配列長さLとし、垂直軸を輝度として、水平軸に沿って輝度分布をガウス分布に従って増減させる。9個のLED32a〜32iの輝度は、当該LED32a〜32iの水平軸上の位置に応じて、画像制御部22により決定される。
この画像制御部22は、走行状態検知部21から供給された瞬間燃費値に基づいて、各LED32の輝度を増減させる。ここで、画像制御部22は、走行状態検知部21により検出される瞬間燃費値(車両の走行状態)に対する瞬間燃費基準値(走行状態基準値)を設定する(走行状態基準値設定手段)。画像制御部22は、走行状態検知部21により検出された瞬間燃費値と、設定された瞬間燃費基準値との差の変化に応じて、各LED32の表示パターン11a(点灯状態)を制御する。
このとき、画像制御部22は、走行状態検知部21から出力される瞬間燃費値に応じて、2つの表示パターン11aをLED32a〜32iにおける配列中央(LED32e)を中心にして表示させる。各表示パターン11aは、瞬間燃費値に応じて、表示装置11における配列長さLのうちの表示範囲が設定される。また、画像制御部22は、2つの表示パターン11aを、一定の時間周波数Tの正弦波に従って、逆位相で左右に往復運動させる。
例えば、瞬間燃費値が瞬間燃費基準値よりも高く、配列長さLの最小範囲より小さく表示パターン11aを表示させる場合には、図5(a)に示すようにLED32eのみを点灯させることによって、輝度分布がガウス分布の拡散光eのみ(運動振幅A=0)を表示させる。また、当該拡散光eを含め、拡散光eの往復運動の振幅を0にする。
瞬間燃費値が瞬間燃費基準値よりも低く、配列長さLの最大範囲より大きく表示パターン11aを表示させる場合には、図5(b)に示すように、全てのLED32a〜32iを点灯させることによって、配列長さL/2の運動振幅Aの拡散光a〜iを表示させる。ここで、拡散光a〜eによって一つの表示パターン11aとなり、拡散光e〜iによって他の表示パターン11aとされる。更に、瞬間燃費値が瞬間燃費基準値に対して通常の範囲である場合には、瞬間燃費値と瞬間燃費基準値との差に応じて、運動振幅Aを0〜L/2の範囲で表示パターン11aの輝度が往復運動するようにする。
これにより、画像制御部22は、車両の走行状態が変化する場合であっても、各LED32a〜32iにおいて輝度が段階的に変化する領域を発生させないように各LED32a〜32iの点灯状態を制御する。
画像制御部22は、図5に示した例のみならず、瞬間燃費値が瞬間燃費基準値よりも高く、配列長さLの最小範囲より小さく表示パターン11aを表示させる場合には、図6(a)に示すようにLED32aのみを点灯させることによって、運動振幅Aが0であって拡散光aのみの表示パターン11aを表示させても良い。また、瞬間燃費値が瞬間燃費基準値よりも低く、配列長さLの最大範囲より大きく表示パターン11aを表示させる場合には、図6(b)に示すように、全てのLED32a〜32iを点灯させることによって、配列長さL/2の運動振幅Aの拡散光a〜eからなる表示パターン11aを表示させても良い。
輝度分布がガウス分布となる表示パターン11aのサイズは、輝度値がゼロになるガウス分布における両端の距離によって決定される。表示装置11における配列長さLの最小範囲より小さく表示させる瞬間燃費値である場合には、表示パターン11aのサイズBは、図7(a)に示すようにL/4する。表示装置11における配列長さLの最大範囲より大きく表示させる瞬間燃費値である場合には、表示パターン11aのサイズBは、図7(b)に示すようにL/3とする。表示装置11の配列長さLの範囲内の瞬間燃費値である場合には、表示パターン11aのサイズBは、L/4〜L/3とする。輝度分布がガウス分布の2つの表示パターン11aが重なる範囲を表示するLED32a〜32iの輝度は、それぞれ表示パターン11aのガウス分布から与えられる輝度値の和とする。これにより、画像制御部22は、各LED32a〜32iから放射された光が重複する領域において段階的に輝度が変化する領域を発生させないように点灯状態を制御する。
画像制御部22は、瞬間燃費値が配列長さLの最小範囲より小さい、すなわち、瞬間燃費値が望ましい値であるときには、LED32a〜32iの発光色を青に設定する。画像制御部22は、瞬間燃費値が望ましい値ではない場合には、LED32a〜32iの発光色を白に設定する。
このように画像制御部22によって設定されたLED32a〜32iの輝度値及び発光色は、画像生成部23に供給される。画像生成部23は、各LED32a〜32iを、画像制御部22により設定された発光色及び輝度で発光させる制御信号を生成する。そして、画像生成部23は、各LED32a〜32iの発光順序及び発光タイミングとなるように制御信号を表示装置11に供給する。
以上のように、この情報表示システムは、複数のLED32a〜32i及び拡散板33を有する表示装置11を備え、輝度分布がガウス分布となる表示パターン11aによって車両の走行状態を提示することができる。また、この情報表示システムは、車両の走行状態の変化に応じ、連続的に輝度を増減させるときの輝度分布を、例えば1−7Hzの時間周波数で運動させる。更に、情報表示システムは、車両の走行状態に応じて各LED32a〜32iの輝度値及び色を決定する。このように、情報表示システムは、周辺視によって視認可能で、かつ、中心視を誘導しないという条件を満たすために必要な時間的に輝度エッジを含まない低空間且つ中時間周波数の表示パターン11aによって、車両の走行状態を認識させることができる。更にまた、情報表示システムは、上述した画像生成機序によって、LED32a〜32iの間隔よりも細かい表示パターン11aの位置を制御することが可能となる。これにより、空間的に断続的な位置関係となっているLED32a〜32iであっても、連続的な位置の変化によって表示パターン11aを表示することができる。
この結果、瞬間燃費値が高いときには、LED32の配列に沿って左右に逆位相で往復運動する2つのぼんやりした白く明るい大きな染みパターンである表示パターン11aを見せる。これに対し、瞬間燃費値が低くなるにつれ、往復運動の振幅が小さくなり表示パターン11aの大きさも小さくし、LED32a〜32iの配列における中央付近に表示パターン11aが限定される。そして、最も望ましい瞬間燃費値となると、LED32a〜32iにおける配列の中央のみを青色で点灯させる。
このような表示パターン11aの変化を周辺視野で視認できる観察者は、前方視認して運転しながら、周辺視を介して瞬間燃費値の連続的な変化を知ることができる。瞬間燃費値が高い時は、より速くより長い距離にわたって表示パターン11aの運動が起こるため、比較的高い視認性が得られる。しかし、表示パターン11aには時間的及び空間的な輝度エッジがない。このため、表示パターン11aをより速くより長い距離にわたって運動させても、運転者の中心視を表示装置11に誘導することはない。また、瞬間燃費値が最適であるとき、表示パターン11aの運動がもはや見えなくなり、表示パターン11aの色が白から青へ変化する。このため、喩え運転者が色覚異常であっても、点灯しているLED32の数や表示パターン11aの運動の有無から、容易に瞬間燃費値を認知することができる。
なお、この情報表示システムにおいては、車両の走行状態としての瞬間燃費値に応じて、表示パターン11aの運動振幅、表示パターン11aの大きさ(包絡線形状)及び色を変化させた。しかし、情報表示システムは、表示パターン11aの運動振幅の時間周波数を変化させることも可能である。
また、情報表示システムは、輝度分布の包絡線形状の変化として、表示パターン11aの大きさ(幅)ではなく、表示パターン11aにおけるガウス分布の高さ(輝度のピーク値)等を連続的に変化させることも可能である。
さらに、情報表示システムは、表示パターン11aに輝度エッジが存在しない限り、図8(a)のA1〜A3のように輝度変化するガウス分布から、図8(b)のようにA1〜A4のように輝度変化するガウス分布以外の輝度分布に表示パターン11aの点灯状態を変化させることも可能である。このとき、画像制御部22は、各LED32a〜32iの間隔を所定の視角に相当する間隔にし、当該各LED32a〜32iにおける最大輝度位置の間隔の最小値を、当該視角に相当する間隔以上とするように点灯状態を制御する。すなわち、LED32a〜32iの配列間隔を運転者の視角でX度とし、輝度エッジを含まない輝度分布の包絡線において輝度一定と上昇と下降の変換点をAnとすると、AnとAn+1の距離の最小値を視角X度以上とする。これは、表示パターン11aの輝度分布の変化に対応した各LED32a〜32iの発光機序において、時間的な輝度エッジの発生を避けるためである。
つぎに、上述した情報表示システムにおいて、表示パターン11aが、周辺視によって視認可能で、かつ、中心視を誘導しないという条件について説明する。
この情報表示システムは、視野周辺部位における表示パターン11aの空間周波数に対して運転者が情報としてどの程度認知できるかという視認分解能、表示パターン11aの視野周辺部位における時間周波数に対して運転者が情報としてどの程度認知できるかという視認分解能を利用している。すなわち、この情報表示システムは、運転者が情報として読み取り可能な視野範囲が表示パターンの空間周波数及び時間周波数によって変化することを利用して、視野周辺部位で読み取り可能と判断できる空間周波数及び時間周波数の範囲を設定しておく。そして、当該空間周波数及び時間周波数の範囲に該当する表示パターン11aを、運転者の周辺視野に表示させて情報として伝達している。
これによって、運転者が車両走行方向である前方を注視する必要があるような眼球運動を誘発することが望ましくない運転場面で情報提示を行いたいときに、上述の条件を満たすような時間周波数及び空間周波数の表示パターン11aを表示させる。
つぎに、視野範囲の部位によって変化する視覚特性の差異を説明する。
時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの上方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図9(a)、図9(b)、図9(c)に示す。また、時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの左右方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図10(a)、図10(b)、図10(c)に示す。更に、時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの下方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図11(a)、図11(b)、図11(c)に示す。
この図9乃至図11は、被験者による実測結果に基づいており、2名の被験者に対して、同じ輝度の表示パターン11aを提示し、コントラスト感度を測定し、被験者ごとにコントラスト感度の最大値で標準化し、また、空間周波数は標準化したコントラスト感度0.01を有する最大空間周波数で標準化した後、視野周辺部位によるコントラスト感度が連続的に変化するという仮定のもとで離心角毎に求めた回帰曲線である。また、離心角は、0度が視野中心であり、当該視野中心から離れるほど、5度、10度、20度、30度、50度、70度、90度と大きくなる。
図9乃至図11における横軸は、空間周波数であり、表示パターン11aにおける空間的な輝度変化の荒さ及び細かさを表す。また、時間周波数は、任意の画像内位置における輝度変化の速さを表し、表示パターン11aの切り換え間隔(フレーム間隔)に依存する。
図9乃至図11における縦軸は、コントラスト感度であり、各表示パターン11aの空間内において正弦波的に輝度が変化する表示パターン11aにおいて、輝度変化が視認できる最小のコントラスト((最大輝度−最小輝度)/(最大輝度+最小輝度))の逆数である。
更に、図9乃至図11において、縦軸の数値は、コントラスト((最大輝度−最小輝度)/(最大輝度+最小輝度))の逆数で求めた最大値のコントラスト感度を1として標準化した数値である。また、横軸の数値は、コントラスト感度として検出される最も高い空間周波数(カットオフ周波数の最大値)を1として標準化した数値である。
図9乃至図11の全体で見ると、時間周波数が低い条件(0.57 Hz)、且つ、中心視(離心角0度)である場合には、コントラスト感度が空間周波数に対してバンドパス型の特性となっている。一方、時間周波数が中程度の条件(2.28Hz)及び時間周波数が高い条件(9.12Hz)である場合、及び、離心角が中心視ではない条件(5度〜90度)である場合には、コントラスト感度が空間周波数に対してローパス型の特性になっている。
すなわち、時間周波数が低く且つ中心視である条件でのみ、空間周波数に対するコントラスト感度のピーク値が存在し、他の条件では、空間周波数が低いほどコントラスト感度が高い。換言すれば、被験者の視野中心で表示させている表示パターン11aの輝度変化の速さが遅い場合には、被験者にとって最も表示パターン11aが正確に視認される空間周波数帯が存在する。
また、図9乃至図11において、離心角が増加するに従って、全ての方位において、コントラスト感度の値が0.01となる空間周波数であるカットオフ周波数が低下している(視力の低下)。すなわち、視野中心からの方位に拘わらず、視野中心から離れた位置に表示されるほど、空間周波数が高く輝度変化が細かい表示パターン11aが視認できなくなる。
更に、図9乃至図11において、離心角が増加するに従って、全ての方位において、最大のコントラスト感度の低下が起こっている。すなわち、視野中心からの方位に拘わらず、視野中心から離れた位置に表示されるほど、空間周波数が低い表示パターン11aであっても視認しにくくなる。
つぎに、実測値に基づいた図9乃至図11のように、時間周波数が変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの上下左右方向の離心角(0度〜90度)ごとにどのように変化するかを計算によって求めることができることについて説明する。
この計算方法としては、時間周波数が低い状態且つ離心角が0度のバンドパス型の特性を除く、ローパス型の特性を算出する。このローパス型のコントラスト感度の特性を求める関数は、下記の式1に示すように、
S=1−EXP(−EXP(−(Fs−Pp)/Sp)) (式1)
で表現される。この式1において、S(Contrast Sensitivity)はコントラスト感度を示し、Fs(Spatial Frequency)は空間周波数である。また、式1におけるパラメータSp(Spread Parameter)は式2で表され、パラメータPp(Position Parameter)は式2で表される。
S=1−EXP(−EXP(−(Fs−Pp)/Sp)) (式1)
で表現される。この式1において、S(Contrast Sensitivity)はコントラスト感度を示し、Fs(Spatial Frequency)は空間周波数である。また、式1におけるパラメータSp(Spread Parameter)は式2で表され、パラメータPp(Position Parameter)は式2で表される。
Sp=(S1+S2)×Ec^S3 (式2)
Pp=(P1+P2)×Ec^P3 (式3)
ここで、式2,式3におけるEc(Eccentricity)は、網膜離心角[Deg]であり、S1,S2,S3及びP1,P2,P3は、時間周波数及び視野中心に対する方位によって図12に示す値が代入される。
Pp=(P1+P2)×Ec^P3 (式3)
ここで、式2,式3におけるEc(Eccentricity)は、網膜離心角[Deg]であり、S1,S2,S3及びP1,P2,P3は、時間周波数及び視野中心に対する方位によって図12に示す値が代入される。
そして、離心角Ecの値を連続的に変化させてコントラスト感度Sを求めることによって、図9乃至図11における離心角ごとのコントラスト感度の特性に対して、図9乃至図11に存在しない離心角での空間周波数に対するコントラスト感度の値を補間することができる。
なお、時間周波数が低い状態且つ離心角が0度のバンドパス型の特性を求める計算方法は、下記の式4に示すように、
S=-0.015777+0.8141×EXP(-POWER(LOG10(Fs)+1.513,2)/POWER(0.815,2)) (式4)
で表現される。この式4において、空間周波数Fsは、中心視の視力に対応した空間周波数であり、コントラスト感度Sは、最大感度を1として標準化した数値として算出できる。
S=-0.015777+0.8141×EXP(-POWER(LOG10(Fs)+1.513,2)/POWER(0.815,2)) (式4)
で表現される。この式4において、空間周波数Fsは、中心視の視力に対応した空間周波数であり、コントラスト感度Sは、最大感度を1として標準化した数値として算出できる。
次に、図13(a)〜(c)に、時間周波数がそれぞれ0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzである場合に、最大感度の10%のコントラスト感度を有する視野範囲を空間周波数毎に示す。
この図13における縦軸及び横軸は、視野の垂直軸及び水平軸に対応し、離心角を表している。また、図13においては、図1と同様に、0〜1の範囲で標準化した空間周波数の値(最小値0.025)を示している。なお、図13における空間周波数の数値は、中心視の視力Va(視角の分で標記した最小分離値の逆数)に対応した、被験者が視認できる空間周波数Faを1とした時の値である。ここで、空間周波数Fa=30Va(Visual Acuiy:視力)であるから、視力0.7のときには、被験者が視認できる空間周波数Fa=21cpd(cycles per degree)となる。なお、図13中における数値が例えば0.025である場合には、0.025×21=0.53cpdを表す。
また、この図13に示す視野範囲の変化についても、被験者による視野範囲の変化に対する実測定値に基づいており、実測定値のない方位に関しては、隣接する方位間で楕円を回帰させている。
この図13(a)、(b)、(c)を見ると、時間周波数の変化に拘わらず、上方向の視野において、10%というコントラスト感度が得られる範囲が狭くなっている。この図13から、空間周波数に対する視認可能な視野範囲を推定できる。すなわち、視野中心部において視認可能な空間周波数は、図13(a)〜(c)に示すように、0.40,0.24,0.16と時間周波数の上昇と共に低下するが、視野周辺部でも視認可能な低い空間周波数は、中程度の時間周波数の条件(2.28 Hz)であって最も広範囲で視認可能である。
このように時間周波数の条件及び空間周波数の条件によって、視認範囲が変化する。図14に、時間周波数の変化によって、視認可能な範囲である離心角がどのように変化するかを空間周波数ごとに推定した結果を示す。この図14において、横軸は時間周波数であり、縦軸は離心角である。この図14より、空間周波数が低下するに従ってコントラスト感度が得られる離心角が大きくなり、コントラスト感度が得られる視認可能な視野範囲が広くなることが分かり、空間周波数が低いほど離心角のピーク値に相当する最適な時間周波数が高くなる傾向がある。
このように、図9乃至図14に示したような視覚特性から、運転者にとって視認可能な視野範囲を設定した時、表示パターン11aの時間周波数の条件及び空間周波数の条件の組合せを決定することができる。
すなわち、運転者の視野範囲の任意の部位において、図9に示したようなコントラスト感度を有する最も高い空間周波数(カットオフ周波数)より低い空間周波数、且つ、当該空間周波数に対する時間周波数が図14に示す最適な時間周波数から±0.5logunitの範囲の時間周波数を決定する。そして、正弦波を基調とした時間的空間的輝度変化(フーリエ成分)から構成される表示パターン11aを表示させることによって、運転者の視野範囲の任意の部位において視認可能な表示パターン11aを提示することができる。
換言すれば、特定の視野周辺部位におけるカットオフ周波数の空間周波数以下の空間周波数成分の条件(図9参照)と、当該空間周波数での離心角のピーク値が得られる最適な時間周波数から±0.5logunitの範囲であるという時間周波数の条件(図14参照)との双方の条件を満たす表示パターン11aを生成する。
これによって、情報表示システムは、観察者に映像を提示することによって情報を伝達するに際して、標準的な姿勢にある場合の観察者の中心視野から離れた視野周辺部位に対して、当該視野周辺部位で観察者のコントラスト感度が得られる時間周波数及び空間周波数であって、時間的なエッジ及び空間的なエッジのない時間周波数及び空間周波数の範囲の周波数成分からなる映像である表示パターン11aを表示させる。
すなわち、表示パターン11a内の縦方向又は横方向、又は任意の斜め方向において正弦波状に輝度変化された複数の画像を時間周波数に従って連続的に切り換えて表示パターン11aを表示させる時の各画像の空間周波数を、視野周辺部位での観察者のコントラスト感度が0.01などの所定値まで小さくなるカットオフ周波数以下の範囲とする。同時に、時間周波数を、観察者の中心視野から離れた視野周辺部位が最も広くなる最適時間周波数から±0.5logunitの範囲とする。
このような第1実施形態に係る情報表示システムは、以下のような効果を発揮する。
情報表示システムは、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられた表示装置11を、複数の点光源と各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とで構成している。これにより、情報表示システムは、液晶ディスプレイを備える場合よりも低コストで、運転者に情報提示することができる。
情報表示システムは、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられた表示装置11を、複数の点光源と各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とで構成している。これにより、情報表示システムは、液晶ディスプレイを備える場合よりも低コストで、運転者に情報提示することができる。
すなわち、現在の走行状態や特定の走行状態との差異を、周辺視で視認可能で、かつ、中心視と干渉しない形態で表示させるためには、上述したように、低空間周波数且つ中時間周波数のローパス若しくは狭帯域の表示パターン11aを表示させる必要がある。このような表示のために、液晶ディスプレイではなく、LED32a〜32i及び拡散板33からなる表示装置11を採用する。これにより、拡散光a〜iの遮蔽による輝度エッジが生成されない十分な大きさの表示面を有するため、拡散板33の拡散特性が等方的で一様であれば、高空間周波数成分のない空間的に輝度エッジのないガウス分布に似たローパス・パターンを低コストで生成できる。また、多諧調表示可能なドットマトリックス型ディスプレイは、面として設置場所を確保しなければならないが、表示装置11のような点光源配列の場合は、線として配置できるので、レイアウトの自由度も高い。
また、この情報表示システムによれば、拡散板33によって、LED32a〜32iの輝度をガウス分布に近似した輝度分布に変換するので、車両の走行状態を周辺視で視認可能で、かつ、中心視と干渉しない形態で表示させることができる。
更に、情報表示システムによれば、車両の走行状態に対する走行状態基準値の差の変化に応じて、LED32a〜32iの表示パターン11aを制御するので、当該差を、中心視を移動させることなく、車両の走行状態を周辺視で視認可能によって認知させることができる。すなわち、車両の瞬間燃費値を、液晶ディスプレイ等で表示することなく、車両の運転を妨げずに、認知させることができる。
更に、情報表示システムによれば、各LED32a〜32iの輝度又は色度、各LED32a〜32i間の表示順序又は点灯タイミングのうちの一又は複数の点灯状態を制御するので、当該点灯状態の制御によって、車両の走行状態の変化を運転者に認知させることができる。
更に、情報表示システムによれば、各LED32a〜32iの間隔を所定の視角に相当する間隔にし、当該各LED32a〜32iにおける最大輝度位置の間隔の最小値を、視角に相当する間隔以上とするように点灯状態を制御する。これにより、情報表示システムは、車両の走行状態に応じて点灯状態を制御して、輝度分布の位置を連続的に変化させた場合、表示パターン11aの位置もまた連続的に変化させることができる。すなわち、LED32a〜32i間の距離よりも細かい位置の変化を表示できる。このとき、観察者には、LED32a〜32iの配列ではなく、仮想輝度分布の連続的な位置の変化を認知させることができる。したがって、この情報表示システムによれば、運転者の周辺視で視認可能で、かつ、中心視と干渉しない低空間周波数且つ中時間周波数の表示パターン11aを、伝達情報量を低下させることなく、低コストで表示できる。
更に、情報表示システムによれば、各LED32a〜32iにおいて輝度が段階的に変化する領域を発生させないように点灯状態を制御するので、段階的な輝度エッジを表示することによって表示装置11に対して中心視を誘導する可能性をなくすことができる。
更に、情報表示システムによれば、各LED32a〜32iから放射された光が重複する領域において段階的に輝度が変化する領域を発生させないように点灯状態を制御するので、各LED32a〜32iの拡散光が空間的に重なっても拡散光の加算によって輝度エッジが生成されない。このため、点灯状態を制御して表示パターン11aが変化しても、時間的及び空間的に輝度エッジが生成されて、中心視を誘導する可能性をなくすことができる。
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る情報表示システムについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
つぎに、第2実施形態に係る情報表示システムについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第2実施形態として示す情報表示システムは、車両の走行状態として、後側方の他車両の走行状態に関する情報の認知させるものについて説明する。この情報表示システムも、第1実施形態と同様に、例えば標準的な運転姿勢にある運転者の視野の正面下方であって注視点から離心角10−20度の範囲に置かれた表示装置11によって、車両の走行状態を認知させるものである。
この情報表示システムにおいて、走行状態検知部21は、自車両の後側方に存在する他車両との距離情報及び方位情報を取得し、画像制御部22に出力する。走行状態検知部21は、例えば、車両の後方及び後側方の障害物を検出するセンサと接続され、センサ信号を受信することによって、他車両との距離情報及び方位情報を演算する。ここで、基準値は、自車両100の位置であり、他車両200の位置が車両の走行状態の差となる。
画像制御部22は、図15に示すように、表示装置11における他車両の表示範囲を、例えば自車両100の後方180度、距離40mの範囲と設定しておく。画像制御部22は、方位情報に基づいて、表示パターン11aを表示装置11の表示領域のうち左右のどちら側に表示するかを決定する。
画像制御部22は、自車両100に対する後側方の領域と、表示装置11の表示領域としてのLED32a〜32iとを対応させている。図15に示す自車両100に対する左側方領域ALは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32eに対応する。図15に示す自車両100に対する右側方領域ARは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32eに対応する。図15に示す自車両100に対する左後側方領域BLは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32cに対応する。図15に示す自車両100に対する右後側方領域BRは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32gに対応する。図15に示す自車両100に対する左後側方領域CLは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32aに対応する。図15に示す自車両100に対する右後側方領域CRは、図16に示すように、表示装置11の表示領域としてのLED32iに対応する。
これにより、画像制御部22は、他車両200の距離情報及び方位情報から、表示装置11における表示パターン11aの表示位置を決定できる。画像制御部22は、LED32a〜32eによって輝度分布がガウス分布の表示パターン11aを表示させ、LED32e〜32iによって輝度分布がガウス分布の表示パターン11aを表示させる。また、画像制御部22は、各表示パターン11aにおけるガウス分布のサイズを、配列長さL/4とする。すなわち、自車両100から他車両200までの距離が大きいほど、LED32a〜32iにおける外側(LED32a、32i)に表示パターン11aを表示させる。自車両100から他車両200までの距離が小さいほど、LED32a〜32iにおける中央側(LED32e)に表示パターン11aを表示させる。
更に、画像制御部22は、他車両200との距離に応じて、時間周波数1−7Hzの正弦波に従って、表示パターン11aを振動させる。また、画像制御部22は、表示パターン11aの色を黄色とする。このとき、画像制御部22は、決定された表示パターン11aの表示位置の外側にあるLED32、すなわち、他車両200と同じ側で他車両200よりも遠い距離に対応するLED32を全て白く発光させる。
このようなLED32の発光機序によって、情報表示システムは、例えば後方から接近する他車両200の位置を、LED32a〜32iによって現れる表示パターン11aの点滅(運動)及び色によって表示させることができる。更に、情報表示システムは、当該表示パターン11aの長さによって他車両200までの距離を表示させることができる。
これにより、運転者は、前方視認を中断することなく、周辺視を介して後側方の他車両200の存在、当該他車両200の方位及び距離を認知できる。また、運転者は、表示パターン11aの変化を認知することによって、他車両200が自車両100に接近しているのか離れつつあるのか、どのくらいの速さで接近又は離れているのかを認知できる。
このような他車両200の情報は、自車両100がジャンクションにおいて合流する場面や車線変更の場面に提示することが有効である。上述したように他車両200の情報を表示パターン11aとして提示することによって、最終的に目視によって他車両200を確認する必要であるにしても、事前に大凡の他車両200の情報を認知させることができる。このため、合流や車線変更の際に他車両200を認知するための運転者の負荷を大きく低減させることができる。
また、他車両200の位置は、表示パターン11aの運動と色によって二重に符号化されている。このため、運転者に色覚異常があっても、支障なく他車両200を認知させることができる。
更に、情報表示システム後側方から接近する他車両200の走行音を音場処理によって、3D空間における音源移動を再現し、視覚表示と同期させても良い。この情報表示システムは、例えば図17に示すように、走行状態検知部21に接続された音響制御部41及び音響生成部42を備える。
音響制御部41は、走行状態検知部21から出力された車両の走行状態としての他車両200の方位情報及び距離情報を取得する。音響制御部41は、取得した方位情報及び距離情報に基づいて、車室内に発生させる音源移動を制御する。音響生成部42は、音響制御部41によって演算された音源移動に基づいて、音声出力部4(スピーカ)を駆動する。音声出力部4は、複数のスピーカからなり、音の重ね合わせによって音源を移動させることができる。これにより、図15に示した他車両200が存在する領域に基づいて、音響制御部41が音源を制御して、他車両200の方位及び距離に応じた音場処理を行う。
これにより、情報表示システムは、表示パターン11aによる視覚表示変化の意味を把握しやすく、接近する他車両200の存在に対してより高い確信度を持って対応させることができる。このようなマルチモーダルな情報表示や、表示パターン11aの複数の属性変化によって符号化して、冗長性を高めることは、必ずしも伝達情報量を増加させるわけではない。しかし、情報に対する運転者の気付き易さ、意味の理解し易さ、情報への信頼性、対処行動への確信度を高める効果がある。なお、情報表示システムは、音場処理による音源移動の再現ではなく、他車両200が自車両100に接近している時のみ、効果音を付加しても良い。
このような第2実施形態に係る情報表示システムは、第1実施形態と同様に、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられた表示装置11を、複数の点光源と各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とで構成しているので、液晶ディスプレイを備える場合よりも低コストで、運転者に情報提示することができる。
これに加え、この情報表示システムによれば、走行状態検知部21により検出された車両の走行状態の種類に応じて、表示装置11の点灯状態を制御することができる。例えば、第1実施形態のように瞬間燃費値と、第2実施形態のように他車両との距離及び方位とによって、表示パターン11aの大きさ、位置、輝度、色度等の属性を変化させることができる。すなわち、第1実施形態では車両の瞬間燃費情報を表示パターン11aの広がりで提示したのに対し、第2実施形態では他車両との距離及び方位を表示パターン11aの位置により提示している。また、瞬間燃費値と他車両との距離及び方位の状況に応じて、表示パターン11aの変化の大きさや速さを変化させることができる。これにより、情報表示システムによれば、現在の走行状態を表す指標や、現在の走行状態と特定の走行状態との差異の大きさを観察者に教えるため、表示する情報の種類によって、変化させる属性の組み合わせを変更でき、運転者を混乱させることなく複数の情報を表示することができる。
更に、この情報表示システムによれば、車両の走行状態として他車両200の存在を提示するときでも、表示パターン11aの点灯状態に同期した効果音を出力する。これにより、この情報表示システムによれば、表示パターン11aの変化に同期した効果音を出力でき、他モダリティの感覚刺激を同期させる。このため、表示装置11に対して冗長性の高いわかりやすい表示として運転者に認知させることができ、情報取得の精度を高めることができる。
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る情報表示システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
つぎに、第3実施形態に係る情報表示システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第3実施形態として示す情報表示システムは、車両の走行状態として、自車両の車速を認知させるものについて説明する。この情報表示システムも、第1実施形態と同様に、例えば標準的な運転姿勢にある運転者の視野の正面下方であって注視点から離心角10−20度の範囲に置かれた表示装置11によって、車両の走行状態を認知させるものである。
この情報表示システムにおいて、走行状態検知部21は、自車両の車速を取得し、画像制御部22に出力する。走行状態検知部21は、例えば、車速センサと接続され、センサ信号を受信することによって、車速を取得する。
この情報表示システムにおける表示装置11は、図18に示すように、円弧状に配置された複数のLED32が、多重に配置されているものである。表示装置11は、表示装置11の中央LED32Cと、当該中央LED32Cから外側に配置された第1LED32a〜32sと、当該第1LED32a〜32sから更に外側に配置された第2LED32a〜32sとによって構成されている。第1LED32a〜32s、第2LED32a〜32sは、それぞれ、中央LED32Cから10度ごとに伸びた放射線上に、離間して各LED32を配置している。このような表示装置11は、第1LED32a〜32s及び第2LED32a〜32sによって、外殻が楕円形状であって、角度方向A及び放射線方向Bの2次元方向においてそれぞれガウス分布に従って輝度が変化する表示パターン53を表示させる。
走行状態検知部21は、検出した自車両の車速と法定速度との差を画像制御部22に出力する。
画像制御部22は、表示装置11における自車両の車速の表示範囲を設定し、当該表示範囲内での車速値の表示位置に、輝度分布がガウス分布状の表示パターン53を表示させる。この表示パターン53のサイズは、図18中の角度方向Aにおいて、図19に示すように、水平軸を角度方向Aとして例えば20度以上とする。また、この表示パターン53のサイズは、図18中の放射線方向Bにおいて、図20に示したように、水平軸を中央LED32Cである円弧中心からの距離として設定される。この放射線方向Bにおける表示パターン53のサイズは、円弧中心である中央LED32Cからの同一放射線上にあるLED32の間隔の3倍とする。
画像制御部22は、この表示パターン53の位置を振動させるときの振幅を、走行状態検知部21から供給された自車両の車速と法定速度との差に基づいて変化させる。画像制御部22は、自車両の車速が法定速度以下である時には表示パターン53を振動させる振幅を1倍、自車両の車速が法定速度を越えた場合には時には表示パターン53を振動させる振幅を2倍とする。また、画像制御部22は、放射線方向Bにおいて、時間周波数1−7Hzの範囲内の一定の時間周波数で水平軸に沿って正弦波に従って、表示パターン53の位置を振動させる。
また、画像制御部22は、ある時点における特定のLED32の輝度を、角度方向Aにおける表示パターン53の位置と、放射線方向Bおける表示パターン53の位置とを掛け合わせて決定する。ただし、画像制御部22は、中央LED32Cの輝度を、放射線方向Bおける値のみから決定する。即ち、図18に示すように配列されたLED32と共に示した楕円状の2次元ガウス分布の表示パターン53は、この2次元ガウス分布と重なった位置のLED32の輝度が、その位置における2次元ガウス分布の輝度によって決定される。
また、画像制御部22は、各LED32の発光色を、車速が法定速度以下なら白色、法定速度を越えたらオレンジ色とする。これによって、画像制御部22は、表示パターン53の色を制御する。
以上のように、この情報表示システムは、表示パターン53の位置又は中央LED32Cから放射状に広がる表示パターン53の分布の向きによって、自車両の車速を提示できる。図18の例では、例えば30km/h程度であることを認知させることができる。また、情報表示システムは、放射線方向Bにおける表示パターン53の振動の大きさ及び発光色によって、自車両の車速が法定速度を超過していないかどうかを提示できる。
このような第3実施形態に係る情報表示システムは、第1実施形態と同様に、運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられた表示装置11を、複数の点光源と各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とで構成しているので、液晶ディスプレイを備える場合よりも低コストで、運転者に情報提示することができる。
これにより、運転者は、前方視認を中断することなく、周辺視を介して車速及び車速と法速度との関係、さらに、速度変化の速さ(加速度)を認知できる。例えば、車速一定で走行していても、表示装置11における中央LED32Cの表示中央から放射線方向Bに生じる表示パターン53の揺れによって、容易に自車両の車速を認知できる。また、自車両の車速が法定速度を超えた場合には、表示パターン53の発光色が変化するだけでなく表示パターン53の揺れの大きさが変化するため、運転者が色覚異常であっても、法定速度と自車両の車速との関係を支障なく認知させることができる。
更に、この情報表示システムは、自車両の車速を表示パターン53の向きとして符号化するために、メータ表示部3に含まれるような既存のアナログ速度計のアナロジーとして理解されやすい。また、情報表示システムは、指針に相当するものが表示パターン53における最も明るい点でとすることによって、LED32の配列間隔よりも細かい表示が可能であり、原理的に既存のヒストグラム状ディジタル表示よりも細かい精度で速度を表示することができる。
更にまた、この情報表示システムによれば、表示パターン53を、輝度エッジを含まない複数の明るい染み状のパターンであって中心視を誘導させないものとしている。他方、既存のアナログ速度計は、鮮明な数字や目盛りや指針から構成されている。この情報表示システムは、メータ表示部3に含まれる既存のアナログ速度計の背景として、表示パターン53を重ねて表示することができる。即ち、表示パターン53は、低空間周波数且つ中時間周波数成分の画像によって構成され、既存のアナログ速度計は、主に高空間周波数且つ低時間周波数成分の絵柄によって構成されるため、両者の視認は相互に干渉しない。即ち、前方を見ながら運転している場合、運転者には、表示パターン53しか見えず、運転に余裕がある状況で注視点をアナログ速度計に移した場合、既存のアナログ速度計によって示している速度を視認できる。このようにアナログ速度計を視認しているときであっても、背景の揺れ動くぼんやりした表示パターン53によって指針や数字や目盛りが見にくくなることはない。さらに、表示パターン53は、既存のアナログ速度計に表示されていない法定速度との関係についての情報を背景色の変化という形で付加することができる。
以上のように、第3実施形態として示した情報表示システムによれば、表示装置11の点灯状態を制御しているときに、複数のLED32間又は各LED32上に、各LED32により表示される輝度分布よりも高空間周波数の表示パターン53を重畳させることができる。例えば、既存のアナログ速度計の背景に表示パターン53を表示させることができる。なお、アナログ速度計に限らず、エンジン回転数等の他の要素であっても良い。
すなわち、情報表示システムによれば、表示パターン53の形状、大きさ、位置、輝度、色度等の属性を変化させ、当該属性の変化の大きさや速さを変化させる場合、表示パターン53の隣接領域や表示パターン53上に数字、アイコン等のコード情報や目盛り等の高空間周波数パターンを重畳させる。このため、情報表示システムによれば、周辺視による情報取得を損なうことなく、中心視で見た場合にLED32の配列の表示パターン53の変化では伝えにくい絶対値情報を付与することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態において、LED32a〜32iは、9個であったが、LED32の個数を5個にして全長を半分に変更しても、LED32の個数3個にして全長を1/3に変更しても、同様の効果を得ることができる。ただし、上記実施形態のように、表示パターンにおける運動の振幅や位置、長さの変化を利用して、情報を認知させる場合には、LED32の個数は多く、全長は長い方が有利である。
しかし、LED32の個数が1個の場合であっても、当該LED32の点滅周波数やDuty比、明るさ変化の振幅、明るさの時間平均等の変化を制御して、情報を伝達することができる。すなわち、LEDの個数が1個の点滅の場合であっても、周辺視によって視認可能で、かつ、中心視を誘導しないという条件を満たすため、時間的、空間的に輝度エッジを含まない低空間周波数且つ中時間周波数の表示パターンを形成すればよい。
1 フロントガラス
2 インストルメントパネル
3 メータ表示部
4 音声出力部
11 表示装置
11a 表示パターン
12 表示制御装置
21 走行状態検知部
22 画像制御部
23 画像生成部
31 回路基板
32 LED
33 拡散板
41 音響制御部
42 音響生成部
53 表示パターン
2 インストルメントパネル
3 メータ表示部
4 音声出力部
11 表示装置
11a 表示パターン
12 表示制御装置
21 走行状態検知部
22 画像制御部
23 画像生成部
31 回路基板
32 LED
33 拡散板
41 音響制御部
42 音響生成部
53 表示パターン
Claims (11)
- 運転者の中心視野から離れた周辺視野に設けられ、当該運転者に提示する情報を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、所定の位置関係に従って配列された複数の点光源と、前記複数の点光源と運転者の間であって前記各点光源の放射光の放射方向に設けられ、前記各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とを有することを特徴とする情報表示装置。 - 前記拡散板は、前記点光源の輝度をガウス分布に近似した輝度分布に変換するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
- 車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段により検出される前記車両の走行状態に対する走行状態基準値を設定する走行状態基準値設定手段と、
前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態と、前記走行状態基準値設定手段により設定された走行状態基準値との差の変化に応じて、前記点光源の表示パターンを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報表示装置。 - 前記制御手段は、前記各点光源の輝度又は色度、前記各点光源間の表示順序又は点灯タイミングのうちの一又は複数の点灯状態を制御することを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段は、前記各点光源の間隔を所定の視角に相当する間隔にし、当該各点光源における最大輝度位置の間隔の最小値を、前記視角に相当する間隔以上とするように前記点灯状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段は、前記各点光源において輝度が段階的に変化する領域を発生させないように前記点灯状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段は、前記各点光源から放射された光が重複する領域において段階的に輝度が変化する領域を発生させないように前記点灯状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段は、前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態の種類に応じて、前記点灯状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段により制御されている前記点灯状態に同期した効果音を出力する音響出力手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
- 前記制御手段は、前記点灯状態を制御しているときに、前記複数の点光源間又は各点光源上に、前記各点光源により表示される輝度分布よりも高空間周波数の表示パターンを重畳させることを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
- 車両の運転者に提示する情報を表示するに際して、車両の走行状態を検出し、
所定の位置関係に従って配列された複数の点光源と、前記複数の点光源と運転者の間であって前記各点光源の放射光の放射方向に設けられ、前記各点光源の放射光を拡散させて当該各点光源の輝度を低下させる拡散板とを有する表示手段に対し、
当該検出した車両の走行状態と、予め設定された走行状態基準値との差の変化に応じて制御された表示パターンを表示することを特徴とする情報表示方法。
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JP2010116215A JP2011240868A (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | 情報表示装置及び情報表示方法 |
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