JP2011238500A - 接続構造体及び接続構造体の製造方法 - Google Patents

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永吾 達川
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Abstract

【課題】導体と、該導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子とが接触することで導体が腐食するという異種金属接触腐食の発生を防止し、経年安定した電気特性を有する接続構造体及び接続構造体の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】導体43を絶縁被覆41で被覆し、先端側の前記絶縁被覆41を剥がして前記導体43を露出させた電線先端部42を備えた被覆電線40と、前記電線先端部42を接続する電線接続部42を備え、前記導体43を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子10と、前記電線接続部12に接続した前記電線先端部42を封止する絶縁樹脂50とで構成した接続構造体1であって、前記絶縁樹脂50を、硬化前の粘度が異なる2種類以上の樹脂で構成した。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、自動車用ワイヤーハーネスの接続を担うコネクタ等に装着される接続端子付電線としての接続構造体に関し、さらに詳しくは、ワイヤーハーネスの導体と、該導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子との接続構造体に関する。
自動車、OA機器、家電製品の分野において、電気伝導性に優れた銅系材料から成る芯線を有する銅電線が信号線、電力線として使用されてきた。中でも自動車分野においては、車輌の高性能・高機能化が急速に進められてきていることから、車載される各種電気機器、制御機器等の増加に伴って使用される電線も増加する傾向にあるのが現状である。
その一方で車両の軽量化により燃費効率を向上させようとする要求が急速に高まりつつあり、銅電線と比較してより軽量で安価なアルミ電線が自動車分野において特に注目されている。
しかし、実際にアルミ電線を自動車用として用いる場合、異種金属接触腐食(電食)が生じるという問題が生じる。
詳しくは、接続端子と電線の導体とのそれぞれを構成する金属材料が異種の金属材料である場合、接続端子と導体との接続部分に水などの電解液が付着すると、両者の標準電極電位が異なるため、イオン化傾向の大きい金属(卑な金属)と小さい金属(貴な金属)との間に腐食電流が流れる。その結果、卑な金属は金属イオンとなり溶液中に溶解し腐食される。これを異種金属腐食という。
例えば、雨天時の走行や洗車、あるいは結露などによって異種金属同士の接続部分が被水した場合には電気的に卑であるアルミ系端子のイオン化が進行して腐食が促進する。その結果、端末部の接触状態が悪化して電気的特性が不安定になる他、接触抵抗の増大や腐食による線径の減少により電気抵抗の増大、更には断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至ることも考えられる。
殊に、異種金属端子同士の接続の中でもアルミ系端子と銅系端子とを接続する場合、相互の標準電極電位差が大きくなるため、電食が生じ易くなる。
このような電食の発生を防ぐ従来の方法として、下記特許文献1においてアルミ電線用端子が提案されている。
特許文献1におけるアルミ電線用端子は、端子後端部をアルミ系材料で形成し、端子先端部を銅系材料で形成し、これら前記端子後端部と端子先端部を接合して、その接合部を絶縁体で封止して構成した接続端子である。
特許文献1によれば、アルミ系材料で形成した端子後端部にアルミ電線を接続し、銅系材料で形成した端子先端部に接続相手方の銅系端子を接続することができ、さらに、端子先端部と端子後端部との接続部分を樹脂封止することにより、該接続部分に電解液が付着することがなく電食を防止できるとされている。
しかし、特許文献1のように樹脂封止を施す場合、その構造や製造工程が複雑になる上、使用樹脂量も多いためコストがかかるという問題があった。
一方、防水コネクタを使用することが考えられるが、振動疲労や経年劣化で亀裂が生じた場合、この亀裂部から雨水等が防水コネクタ内にいったん浸入すると、逆に電食を促進する結果となる。
そこで、必要な部分のみ、樹脂封止することが考えられる。しかしながら、端子先端部と端子後端部との接続部分をコーティングする樹脂が硬化前の粘度が低い樹脂である場合、拡散性、流動性に富むため、低粘度の樹脂を接続部分に供給したときに、層厚が薄くなり、電解液が浸透し易くなる。その結果、浸透した電解液により、端子先端部と端子後端部との接続部分の電食が発生するという難点があった。
さらに、硬化前の粘度が500mPa・S以下の低粘度の樹脂である場合、接続部分に供給した樹脂の一部が相手側端子接続部にまで流れてしまい、相手側端子との接続不良の要因となるという難点があった。
さらにまた、低粘度の樹脂の場合、被覆する厚みを確保するために何度も樹脂の被覆・硬化を繰り返す手間を要し、積層した樹脂の層間に界面が生じ、剥離し易くなり電解液が浸入し接続部分が電食するという難点もあった。
一方、前記接続部分を封止する樹脂が高粘度の樹脂の場合、接続部分に存在する微小な隙間に確実に充填させることができないことから、微小な隙間に電解液が浸入するなどして電食に至るという難点を有していた。
さらに、硬化前の粘度が高い樹脂の場合、塗布する際に拡がり難いため、接続部分との樹脂の接触面積が小さくなり、一体性が損なわれ、接続部分に対して剥離し易くなる。剥離すると、接続部分に電解質が浸入し、付着することで、電食に至るという難点も有していた。
特開2004−111058号公報
そこで本発明は、導体と、該導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子とが接触することで導体が腐食するという異種金属接触腐食の発生を防止し、経年安定した電気特性を有する接続構造体及び接続構造体の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた電線先端部を備えた被覆電線と、前記電線先端部を接続する電線接続部を備え、前記導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子と、前記電線接続部に接続した前記電線先端部を封止する絶縁樹脂とで構成した接続構造体であって、前記絶縁樹脂を、硬化前の粘度が異なる2種類以上の樹脂で構成したことを特徴とする。
この発明の態様として、前記絶縁樹脂を、第1絶縁樹脂と、該第1絶縁樹脂よりもオリゴマーの割合が高く、モノマーの割合が低い第2絶縁樹脂とで構成し、前記第1絶縁樹脂と前記第2絶縁樹脂を、それぞれ同じ主成分で構成することができる。
またこの発明の態様として、前記第1絶縁樹脂を、硬化前の粘度が50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の樹脂とし、前記第2絶縁樹脂を、硬化前の粘度が前記第1絶縁樹脂よりも粘度の高い樹脂とし、前記電線先端部を前記絶縁樹脂で封止した樹脂封止部を、前記電線先端部の表面を前記第1絶縁樹脂で被覆する第1樹脂封止部と、前記第1樹脂封止部の外面を前記第2絶縁樹脂で被覆する第2樹脂封止部とで構成することができる。
またこの発明の態様として、前記第1絶縁樹脂を、硬化前の粘度が2,000mPa・s以下の低粘度の樹脂とし、前記第2絶縁樹脂を、硬化前の粘度が5,000mPa・s以上の高粘度の樹脂とすることができる。
またこの発明の態様として、前記第1絶縁樹脂を、硬化前の粘度が500mPa・s以上とし、前記第2絶縁樹脂を、粘度が20,000mPa・s以下とすることができる。
またこの発明の態様として、前記電線先端部における前記電線接続部から露出している露出導体の表面を被覆した前記絶縁樹脂の厚みを少なくとも200μmで形成することができる。
またこの発明の態様として、前記絶縁樹脂を、ショアD硬度が40〜80、金属に対する接着強度が−40℃〜125℃の範囲において3MPa以上、且つ、弾性率が200MPa以上1000MPa以下の樹脂とすることができる。
またこの発明の態様として、接続構造体は、前記絶縁樹脂を、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうち少なくともいずれかの樹脂とすることができる。
またこの発明の態様として、前記導体がアルミニウム系材料からなり、前記接続端子が銅系材料からなるよう構成することができる。
また本発明は、導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線において先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた電線先端部を、前記被覆電線を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子に備えた電線接続部に接続し、前記電線接続部に接続した前記電線先端部を絶縁樹脂で封止する接続構造体の製造方法であって、前記電線先端部の前記絶縁樹脂による封止を、硬化前の粘度が少なくとも50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の第1絶縁樹脂と、硬化前の粘度が前記第1絶縁樹脂よりも粘度の高い第2絶縁樹脂とを含む2種類以上の樹脂を用い、前記電線先端部の表面を前記第1絶縁樹脂で被覆する第1樹脂被覆工程を行い、前記第1樹脂被覆工程の後に、前記第1絶縁樹脂の外面を前記第2絶縁樹脂で被覆する第2樹脂封被覆工程を行うことを特徴とする。
この発明の態様として、前記絶縁樹脂を紫外線硬化樹脂で構成し、紫外線照射して前記絶縁樹脂を硬化させる紫外線照射工程を、前記第1樹脂被覆工程と前記第2樹脂被覆工程との間に行わずに、前記第2樹脂被覆工程の後に行うことができる。
前記電線接続部と前記電線先端部との接続は、圧着による接続に限らず、例えば、超音波溶接などの溶接、或いは、金属粒子等を含有することにより導電性を有する接着剤やテープを用いた接続であってもよい。
前記接続端子は、雌型端子、雄型端子のいずれの端子をも含むものとする。
前記絶縁樹脂は、2種類の絶縁樹脂で構成するに限らず、粘度に応じて3種類以上の絶縁樹脂で構成してもよい。
前記絶縁樹脂にはフィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカや、アルミナ、ガラスバルーン等の無機フィラーがあげられる。
なお、本発明の特許請求の範囲及び明細書にて「〜」の記号を使って記載される範囲は、記号の前に記載される数値と、記号の後に記載される数値とを含むものとする。
この発明によれば、導体と、該導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子とが接触することで導体が腐食するという異種金属接触腐食の発生を防止し、経年安定した電気特性を有する接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することができる。
本実施形態の圧着端子付電線の圧着端子部分の斜視図。 本実施形態の圧着端子の説明図。 本実施形態の圧着端子付電線の圧着端子部分の構成説明図。 側方から視た圧着端子付電線の圧着端子部分を一部断面で示した説明図。 図4中のA−A線矢視断面図。 本実施形態の樹脂封止部を形成する様子を断面で表した説明図。 本実施形態の樹脂封止部を形成する様子を断面で表した説明図。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態の圧着端子付電線1は、図1乃至図5に示すように、圧着端子10、被覆電線40、及び、樹脂封止部29とで構成している。
図1は、本実施形態の圧着端子付電線1の圧着端子部分の外観図であり、図2(a)は、後述する樹脂封止部29を仮想線で示した本実施形態の圧着端子付電線1の圧着端子10を含む部分の斜視図である。図2(b)は、圧着前の圧着端子10および被覆電線40の外観図である。図3は、圧着端子10を長手方向Xの先端部から後端部の手前部分まで幅方向Yの中間部分を切断して表した本実施形態の圧着端子付電線1の圧着端子10を含む部分を示す説明図である。図4は、側方から視た圧着端子付電線の圧着端子部分を一部断面で示した説明図であり、図5は、図4中のA−A線断面図である。
被覆電線40は、図2(b)に示すように、近年の小型化、軽量化に伴い、従来の撚り線と比べて細いアルミ電線を撚って芯線43を構成し、該芯線43を絶縁樹脂で構成する絶縁被覆41で被覆している。被覆電線40の先端側には、前記絶縁被覆41を剥がして被覆電線40を露出させた電線先端部42を形成している。
前記圧着端子10は雌型端子であり、図2(a)に示すように、長手方向Xの前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子のオスタブの挿入を許容するボックス部11と、該ボックス部11の後方で、所定の長さの第1トランジション18を介して配置されたワイヤーバレル部12と、ワイヤーバレル部12の後方で所定の長さの第2トランジション19を介して配置されたインシュレーションバレル部15とを一体に構成している。
圧着前のワイヤーバレル部12は、図2(b)に示すように、バレル底部13と、その幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するワイヤーバレル片14とで構成し、後方視略U型に形成している。圧着前のインシュレーションバレル部15も、バレル底部16と、その幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するインシュレーションバレル片17とで構成し、後方視略U型に形成している。
圧着端子10の長手方向Xの後方部分には、図2(a)に示すように、被覆電線40の電線先端部42が接続された電線接続部分21を構成している。
電線接続部分21は、長手方向Xの後方から先端側に順に、インシュレーションバレル部15等で構成する被覆電線圧着部21a、後方側芯線露出部21b、インシュレーションバレル片17等で構成する芯線圧着部21c、及び、先端側芯線露出部21dとからなる。
詳述すると、被覆電線圧着部21aは、被覆電線40の絶縁被覆41をインシュレーションバレル部15によりかしめて圧着した部分である。後方側芯線露出部21bは、被覆電線圧着部21aと芯線圧着部21cとの間である第2トランジション19において芯線43が絶縁被覆41やバレル片14,17に覆われずに露出した露出芯線部分である。芯線圧着部21cは、被覆電線40の芯線43をワイヤーバレル部12によりかしめて圧着した部分である。先端側芯線露出部21dは、芯線圧着部21cの前方側である第1トランジション18において芯線43が絶縁被覆41やワイヤーバレル片14に覆われずに露出した露出芯線部分である。
圧着端子10は、厚み0.25mm、幅31mmの銅合金条(FAS680H材、古河電気工業株式会社製)を金属基板とし、金属基板に折り曲げ加工を施して立体構成している。
ボックス部11は、倒位の中空四角柱体で構成され、該ボックス部11の内部空間は、圧着端子10に樹脂封止部29を形成する前において長手方向Xに連通している。ここでボックス部11の長手方向Xの後端で開口する開口部Aを後端開口部Arに設定する。
ボックス部11は、図4に示すように長手方向Xの前方から後方へ順に機能上3つの部分に区分けしている。詳しくは、それぞれ挿入された雄型端子(図示省略)と接続する雌型接続部分23と、ボックス部11をコネクタハウジングに形成された端子収容凹部(図示省略)に収容した状態で取り付けるハウジング取付け部分24と、樹脂封止部29を構成する絶縁樹脂50の流入を許容する内部空間26Aを有し、ボックス部11の後側部分に構成された樹脂流入許容部分26としている。
ボックス部11の雌型接続部分23は、内部に雄型端子のオスタブの挿入を許容する空間23Aを備え、挿入される雄型端子のオスタブに接触する接触片23aを備えている。
ボックス部11のハウジング取付け部分24は、コネクタハウジング側に形成した溝部(図示省略)に差し込み可能に下方へ向けて突出して形成したハウジング取付け突片25と、コネクタハウジング側に形成した凸部(図示省略)を内部空間24Aへの差し込みを許容するハウジング取付け開口Adとを備えている。ハウジング取付け突片25は、ボックス部11の底部の幅方向Yの両端部に下方へ向けて突出して形成し、ハウジング取付け開口Adは、ボックス部11の底部を開口させて形成している。
ボックス部11の樹脂流入許容部分26は、内部に樹脂封止部29の形成を許容する内部空間26Aを備えている。
このように構成した圧着端子10は、電線先端部42を圧着した状態において電線接続部分21の表面全体を覆う樹脂封止部29が形成されている。
樹脂封止部29は、電線接続部分21の表面全体に形成しており、中でも絶縁被覆41やバレル片14,17に覆われずに露出した芯線露出部分である後方側芯線露出部21b、及び先端側芯線露出部21dに形成した厚みが少なくとも200μmとなるように形成している。
樹脂封止部29は、電線先端部42の表面を覆う第1樹脂封止部29Aと、主に第1樹脂封止部29Aの外面を覆う第2樹脂封止部29Bとで構成している。
続いて、このような樹脂封止部29を構成する絶縁樹脂50について説明する。
絶縁樹脂50は、第1樹脂封止部29Aを構成する第1絶縁樹脂50Aと、第2樹脂封止部29Bを構成する第2絶縁樹脂50Bとで構成し、硬化前の粘度すなわち電線接続部分21へ塗布する際の粘度がそれぞれ異なる樹脂材料で構成している。
第1絶縁樹脂50Aは、硬化前の粘度が50μm以下の隙間に浸透可能な低粘度の樹脂であり、第2絶縁樹脂50Bは、該第1絶縁樹脂50Aよりもオリゴマーの割合が高く、モノマーの割合が低く高粘度の樹脂とし、前記第1絶縁樹脂50Aと前記第2絶縁樹脂50Bとは、それぞれ同じ主成分で構成することが好ましい。
詳しくは、第1絶縁樹脂50Aは、「JIS K6251」の規定に基づいて条件が25℃の下、BH型回転粘度計を用いて計測した硬化前の粘度が500〜2,000mPa・sの樹脂材料からなる。
第2絶縁樹脂50Bは、「JIS K6251」の規定に基づいて第1絶縁樹脂50Aと同条件の下計測した硬化前の粘度が5,000〜20,000mPa・sの樹脂材料からなる。
さらに、第1絶縁樹脂50A、及び第2絶縁樹脂50Bは、いずれも「JIS K6253」の規定に基づいて条件が25℃の下、計測したショアD硬度が40〜80の樹脂材料からなる。
さらにまた第1絶縁樹脂50A、及び第2絶縁樹脂50Bは、いずれも「JIS K6849」の規定に基づいて計測した金属に対する接着強度が−40℃から125℃の範囲において3MPa以上の樹脂材料からなる。
また、第1絶縁樹脂50A、及び第2絶縁樹脂50Bは、いずれも「JIS K6251」の規定に基づいて計測した弾性率が200MPa以上1000MPa以下である樹脂材料からなる。
さらに、第1絶縁樹脂50A、及び第2絶縁樹脂50Bは、いずれも2時間煮沸した時の重量変化率で表わした煮沸吸水率が1.0%以下であり、電解液(水)に対する耐加水分解性に優れた樹脂材料からなる。
上述した第1絶縁樹脂50A、及び第2絶縁樹脂50Bとしては、例えば、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうちいずれかの樹脂材料をいずれも同じ主成分として構成することができる。
続いて電線接続部分21の表面に樹脂封止部29を形成する方法について図6乃び図7を用いて説明する。
なお、図6(a),(b)、及び図7は、電線接続部分21の表面に樹脂封止部29を形成する様子を一部拡大して断面により示した説明図である。
まず、電線接続部分21の表面を第1絶縁樹脂50Aで被覆する第1樹脂被覆工程を行う。第1樹脂被覆工程では、図6(a)に示すように、第1絶縁樹脂50Aを電線接続部分21に滴下する。第1絶縁樹脂50Aは低粘度であるため、例えば、後方側芯線露出部21b、及び、先端側芯線露出部21dを構成する複数本の芯線43の僅かな隙間に浸透するとともに電線接続部分21の表面全体に拡がり(図6(a)中の一部拡大図参照)、電線接続部分21の表面を被覆する膜状の第1樹脂封止部29Aを形成することができる。
第1絶縁樹脂50Aは低粘度であるため、電線接続部分21を被覆する第1樹脂封止部29Aの膜厚は薄くなっているが、第1樹脂封止部29Aは、各芯線43の表面を第1絶縁樹脂50Aによりコーティングした状態で形成される。
続いて、第1絶縁樹脂50Aの外面を第2絶縁樹脂50Bで被覆する第2樹脂封被覆工程を行う。第2樹脂封被覆工程では、図6(b)に示すように、電線接続部分21の表面に被覆した第1絶縁樹脂50Aの表面に第2絶縁樹脂50Bを滴下する。第1絶縁樹脂50Aは高粘度であるため、広い範囲に拡がらず、電線接続部分21を嵩高く被覆する第2樹脂封止部29Bを形成することができる(図6(b)中の一部拡大図参照)。
このように第1樹脂被覆工程と第2樹脂封被覆工程とを連続して行った後、図7に示すように、電線接続部分21の表面に被覆した第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとに対して紫外線照射することで、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとを硬化することができ、第1樹脂封止部29Aと第2樹脂封止部29Bとの2層からなる樹脂封止部29を界面なく形成することができる(図7中の一部拡大図参照)。
なお、光重合開始剤がカチオン重合開始剤の場合、カチオンが活性種として発生し、カチオン重合が生じる。光重合開始剤がラジカル重合開始剤の場合、ラジカルが活性種として発生し、ラジカル重合が生じる。
上述した工程により、図1及至図5に示すような圧着端子付電線1を構成でき、このような構成の圧着端子付電線1は、以下のように様々な作用、効果を得ることができる。
圧着端子付電線1は、芯線43を絶縁被覆41で被覆し、先端側の前記絶縁被覆41を剥がして前記芯線43を露出させた電線先端部42を備えた被覆電線40と、前記電線先端部42を接続するワイヤーバレル部12を備え、前記芯線43を構成する金属より貴な金属で構成される圧着端子10と、前記ワイヤーバレル部12に接続した前記電線先端部42を封止する絶縁樹脂50とで構成した圧着端子付電線1であり、前記絶縁樹脂50を、硬化前の粘度が異なる2種類の絶縁樹脂50A,50Bで構成している。
前記構成により異種金属である芯線43と圧着端子10同士が接触し、電解液が付着することで圧着端子10と、該圧着端子10よりも卑な金属である芯線43との間で電食が発生することを有効に防止し、経年安定した電気特性を有する圧着端子付電線1を提供することができる。
詳しくは、芯線43を構成するアルミと、圧着端子10を構成する銅合金のように、種類の異なる金属を接触させた状態で電解液が付着すると、両者の標準電極電位が異なるため、イオン化傾向の大きい金属(卑な金属:本実施例では芯線43を構成するアルミニウム)と小さい金属(貴な金属:本実施例では金属基板を構成する銅合金)間に腐食電流が流れる。その結果、卑な金属は金属イオンとなり溶液中に溶解し腐食される。
これに対して圧着端子付電線1は、粘度の異なる2種類以上の前記絶縁樹脂50で前記電線先端部42を封止する構成である。このため、粘度の低い第1絶縁樹脂50Aが電線先端部42の微小な隙間にまで浸透して各芯線43の表面をコーティングすることができる。そして、電線先端部42全体に拡がることで粘度の低い第1絶縁樹脂50Aにより電線先端部42の表面全体を被覆することができる。
さらに、第1絶縁樹脂50Aは低粘度であるため、電線接続部分21を被覆する第1樹脂封止部29Aの膜厚は薄くなっているが、粘度の高い第2絶縁樹脂50Bにより、電線先端部42を防食性の観点から十分な膜厚で被覆することができる。
このように電線先端部42を粘度の異なる第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bでしっかりと封止することができ、圧着端子付電線1は、優れた防食効果を得ることができる。
また、前記絶縁樹脂50は、第1絶縁樹脂50Aと、該第1絶縁樹脂50Aよりもオリゴマーの割合が高く、モノマーの割合が低い第2絶縁樹脂50Bとで構成し、前記第1絶縁樹脂50Aと前記第2絶縁樹脂50Bを、それぞれ同じ主成分で構成している。ただし、粘度の調整はこれに限定されず、例えばフィラーの含有量を変えることにより粘度を調整してもよい。
上記構成により、第2絶縁樹脂50Bは、第1絶縁樹脂50Aよりも粘度が高くなり、それぞれ粘度の異なる樹脂で電線先端部42を封止することができる。
また粘度の異なる第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとを同じ主成分で構成することで、それぞれの絶縁樹脂50を電線接続部分21に積層被覆したとき、互いに馴染み易くなり、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとの間に界面が生じることがない。
よって、第1絶縁樹脂50Aに対して第2絶縁樹脂50Bが剥離することがなく、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとの間に電解液が浸入することを防ぐことができ、優れた防食効果を得ることができる。
圧着端子付電線1は、前記第1絶縁樹脂50Aを、50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の樹脂とし、前記第2絶縁樹脂50Bを、前記第1絶縁樹脂50Aよりも粘度の高い樹脂とし、前記前記電線先端部42を前記絶縁樹脂50で封止した樹脂封止部29を、前記電線先端部42の表面を前記第1絶縁樹脂50Aで被覆する第1樹脂封止部29Aと、前記第1樹脂封止部29Aの外面を前記第2絶縁樹脂50Bで被覆する第2樹脂封止部29Bとで構成している。
このように第1絶縁樹脂50Aと第2樹脂封止部29Bとを上述した積層構成で被覆するとすることで低粘度樹脂である前記第1絶縁樹脂50Aと、高粘度樹脂である第2樹脂封止部29Bとの両方の樹脂の粘度の違いによる特性を活かした樹脂封止部29を形成することができ、優れた防食効果を得ることができる。
詳しくは、第1絶縁樹脂50Aが電線接続部分21の表面に有する50μm以下の微小な隙間にまで浸透させることにより、電線接続部分21の各芯線43を前記第1絶縁樹脂50Aでコーティングし、該電線先端部42の全体にいき渡らせることができる。
さらに第1絶縁樹脂50Aは、電線接続部分21の表面全体という広範囲にわたって被覆することができる。
よって、第1絶縁樹脂50Aにより電線接続部分21をコーティングすることができるとともに、電線先端部42との広い接触面積を確保することができ、芯線43と圧着端子10との間の細部に第1絶縁樹脂50Aが塗れ広がるため、電線先端部42を含む電線接続部分21と第1絶縁樹脂50Aとの接触面積が広げることができる。
また電線接続部分21に対して第1絶縁樹脂50Aが剥離することがなくしっかりと被覆することができる。
一方、第1樹脂封止部29Aの外面を第1絶縁樹脂50Aよりも粘度の高い第2絶縁樹脂50Bで被覆することにより、防食性を確保する上で十分な膜厚を確保して被覆することができる。
圧着端子付電線1は、前記第1絶縁樹脂50Aを、粘度が2,000mPa・s以下の低粘度の樹脂とし、前記第2絶縁樹脂50Bを、粘度が5,000mPa・s以上の高粘度の樹脂とすることができる。
このように、前記第1絶縁樹脂50Aの粘度を2,000mPa・s以下とすることで、微小な隙間へ浸透しつつ、十分な接触面積で拡散して電線接続部分21全体を被覆することができる。
一方、前記第2絶縁樹脂50Bの粘度を5,000mPa・s以上とすることで、十分な膜厚を確保して第1樹脂封止部29Aを被覆することができる。
より好ましくは、圧着端子付電線1は、前記第1絶縁樹脂50Aを、粘度が500〜2,000mPa・sの範囲内である低粘度の樹脂とし、前記第2絶縁樹脂50Bを、粘度が5,000〜20,000mPa・sの範囲内である高粘度の樹脂とすることができる。
このように前記第1絶縁樹脂50Aの粘度を500mPa・s以上とすることで、電線接続部分21を第1絶縁樹脂50Aで被覆する際に、圧着端子10の先端側、すなわち、ボックス部11の内部にまで第1絶縁樹脂50Aが流れ込むことがなく、接続相手側となる雄型端子のオスタブをボックス部11の内部に挿入したとき、接続不良の要因となる事態を防ぐことができる。
さらに、電線接続部分21に滴下した第1絶縁樹脂50Aが拡散しすぎることがなく、その厚みが極端に薄くなりすぎることがないため、必要最低限の膜厚を確保して第1絶縁樹脂50Aにより電線接続部分21の表面を被覆することができる。
またこのように前記第2絶縁樹脂50Bの粘度を20,000mPa・s以下とすることで、粘度が高すぎることで、拡散性に乏しく、第1絶縁樹脂50Aの表面を第2絶縁樹脂50Bで被覆するのに時間がかかるという事態を防ぐことができる。さらに、第1絶縁樹脂50Aの表面を完全に被覆できないという被覆に斑が生じることもないため、必要な防食性を確実に得ることができる。
圧着端子付電線1は、電線接続部分21におけるワイヤーバレル部12から露出している露出導体としての後方側芯線露出部21b、及び、先端側芯線露出部21dに形成した樹脂封止部29の厚みを少なくとも200μmで形成することにより、ワイヤーバレル部12から露出していることで電解液が付着し易く、侵食し易い後方側芯線露出部21b、及び、先端側芯線露出部21dの表面を200μm以上という十分な膜厚を確保してしっかりと封止することができ、電食を確実に防止することができる。
第1絶縁樹脂50A、及び、第2絶縁樹脂50Bを、ショアD硬度が40〜80、金属に対する接着強度が−40℃から125℃の範囲において3MPa以上、且つ、弾性率が200MPa以上1000MPa以下の樹脂とすることにより、電線接続部分21に形成した樹脂封止部29が電線接続部分21に対して剥離し難くすることができる。
従って、電解液の浸入を防ぐことができ、電食が生じることのない優れた耐久性を備えて構成することができる。
また、本実施形態の圧着端子付電線1は、芯線43を、アルミニウム系材料で形成し、前記圧着端子10を、銅系材料で形成しているため、優れた導電性能を得ることができつつ、燃費の向上を図ることができる。
詳しくは、このように芯線43を、アルミニウム系材料で形成することにより、コストダウンを図ることができるとともに、車両を軽量化することができ、燃費効率の向上を図ることができる。
さらにまた、異種金属端子同士の接続の中でもアルミニウム系材料と銅系材料とを接続する場合、相互の標準電極電位差が特に大きくなるため、電食を起こし易くなるが、本実施形態の圧着端子付き電線1のように、絶縁樹脂50を、粘度の異なる2種類以上の樹脂で構成することで、粘度の違いを活かした樹脂封止部29を電線接続部分21に形成することができ、長期に亘って電食を防止することができる。
また、本実施形態の圧着端子付き電線1の製造方法では、電線先端部42の絶縁樹脂50による封止を、少なくとも50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の第1絶縁樹脂50Aと、第1絶縁樹脂50Aよりも粘度の高い第2絶縁樹脂50Bとを用い、電線接続部分21の表面を第1絶縁樹脂50Aで被覆する第1樹脂被覆工程を行い、第1樹脂被覆工程の後に、第1絶縁樹脂50Aの表面を第2絶縁樹脂50Bで被覆する第2樹脂封被覆工程を行う製造方法である。
第1樹脂被覆工程では、50μm以下の微小な隙間に浸透する低い粘度である第1絶縁樹脂50Aを用いて、電線接続部分21を被覆する工程であるため、電線接続部分21に有する微小な隙間にまで第1絶縁樹脂50Aを浸透させることができるとともに、電線接続部分21の表面全体を被覆することができる。
さらにまた、第2樹脂被覆工程では、第1絶縁樹脂50Aよりも粘度の高い第2絶縁樹脂50Bを用いて、電線接続部分21の表面全体に被覆された第1樹脂封止部29Aの外面を被覆する工程であるため、第1絶縁樹脂50Aの膜厚では不十分な電線接続部分21の被覆を第2絶縁樹脂50Bによって補うことができる。
このように、第1樹脂封止部29Aと第2樹脂封止部29Bとの粘度の違いによる特性を活かした優れた防食効果を得ることができる。
前記圧着端子付き電線1の製造方法は、前記絶縁樹脂50を紫外線硬化樹脂で構成し、紫外線照射して前記絶縁樹脂50を硬化させる紫外線照射工程を、前記第1樹脂被覆工程と前記第2樹脂被覆工程との間に行わずに、前記第2樹脂被覆工程の後に行う製造方法である。
このような製造方法により、第1樹脂封止部29Aと第2樹脂封止部29Bとの間に界面が生じることなく、第1樹脂封止部29Aと第2樹脂封止部29Bとの一体性に優れた樹脂封止部29を形成することができ、剥離による電解液の浸入を防ぎ、優れた防食効果を得ることができる。
続いて、本実施形態の圧着端子付き電線1の効果を確認するために行った効果確認試験について説明する。
本効果確認試験では、サンプルとして複数の圧着端子付き電線ごとに、電線接続部分21に対して絶縁樹脂50の粘度に応じて樹脂封止部29を形成し、これら樹脂封止部29ごとの防食性能を比較することで、本実施形態の樹脂封止部29を構成する2種類の絶縁樹脂50の粘度に応じた組み合わせによる効果を確認した。
樹脂封止部29としては、低粘度の第1絶縁樹脂50Aのみで形成した樹脂封止部29、高粘度の第2絶縁樹脂50Bのみで形成した樹脂封止部29、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとの2種類の絶縁樹脂50で形成した樹脂封止部29を形成した。
このうち2種類の絶縁樹脂50で形成する樹脂封止部29は、第1樹脂封止部29Aと第2樹脂封止部29Bとの上述した積層構造で構成した。
さらに、このように粘度の異なる第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとを用い、第1絶縁樹脂50Aを構成するモノマーとオリゴマーと、第2絶縁樹脂50Bを構成するモノマーとオリゴマーとは、上述した樹脂材料のうち同じ種類の樹脂材料を主成分として構成した。
具体的には、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとは、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうちいずれかの同じ種類の樹脂材料を主成分として構成した。
第1絶縁樹脂50Aとしては、粘度(mPa・s)が230、500、730、1,200、1,750、1,800、2,000、2,100という、いずれも第2絶縁樹脂50Bよりも低粘度である粘度の異なる7種類の樹脂を使用した。
第2絶縁樹脂50Bとしては、粘度(mPa・s)が3,500、5,000、5,500、6,300、6500、7,000、8,000、8,500、10,000、11,000、15,000、16,500、17,000、20,000、24,000という、いずれも第1絶縁樹脂50Aよりも高粘度である粘度の異なる15種類の樹脂を使用した。
本効果確認実験では、圧着端子付き電線の芯線43の断面積が0.75sq、2.5sqのそれぞれについて、上述した第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bの様々な組み合わせでサンプルを作成するとともに、サンプルごとに樹脂封止部29を形成した電線接続部分21の抵抗変動値を算出し、これらを基に防食性能を比較した。
抵抗変動値は、電線接続部分21ごとの初期抵抗値を測定するとともに、それぞれの電線を後述する環境に晒した後に、電線接続部分21ごとの抵抗値を測定し、初期抵抗値に対する変動値として算出した。
抵抗の測定に際しては、抵抗測定器(ACmΩHiTESTER3560、日置電機株式会社製)を用いて測定した。
本効果確認試験では、実際の使用に耐え得る耐侵食性を確認するために初期抵抗値の測定後に複数の電線を、高温暴露(120℃×120時間)の条件下に晒した後、JIS Z2371に定める塩水噴霧試験(35℃の5重量%食塩水を所定圧力で噴霧する)を96時間実施した。さらにその後、恒温恒湿(85℃,95%RH×96h)の条件下に晒した。
その後、上述したように、各サンプルとしての電線に対して、初期抵抗の計測と同様にして抵抗値を測り、同一サンプルの初期抵抗値を差し引くことにより、曝露前後の電線接続部分21の抵抗変動値を算出し、これらを基に防食性能を比較した。
ここで抵抗変動値が2.5mΩ以下を満足することが防食に有効であることが明らかになっている。
各サンプルの抵抗変動値と電線接続部分21の樹脂の封止状態を基に、各サンプルについて表1のような分類を行った。
Figure 2011238500
表1に示すとおり、分類Aは、第1絶縁樹脂50Aの中でも、最も高粘度である粘度が2,100(mPa・s)の樹脂と、最も低粘度である粘度が230(mPa・s)の樹脂とを除いて分類した第1絶縁樹脂50Aのみで分類されるグループである。
分類Bは、第2絶縁樹脂50Bの中でも、上位2種類の高粘度である粘度が20,000、24,000(mPa・s)の第2絶縁樹脂50Bのみで分類されるグループである。
また、表1に示すように、分類CからKの中でも、例えば、分類E,H,I,J,Kについては、いずれも第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとのうち少なくとも一方を、粘度の異なる複数の樹脂を分類している。
このような分類E,H,I,J,Kについては、第1絶縁樹脂50Aと第2絶縁樹脂50Bとの間で全ての組み合わせとなるよう樹脂封止部29を形成したサンプルを作成し、防食性能を比較している。
分類AからKごとの平均抵抗変動値を比較したところ、分類AからKのうち、分類AからI、Kにおける平均抵抗変動値は、いずれも2.5mΩより大きくなり腐食性能が良好ではなかったのに対してJの分類における平均抵抗変動値は、2.5mΩ以下となり優れた腐食性能を有する結果となった。
以上より、本実施形態の圧着端子付電線1の優れた防食性能を確認することができた。
さらに、本効果確認試験により、使用する2種類の樹脂のうち、第1絶縁樹脂50Aの粘度が500〜2,000(mPa・s)であり、第2絶縁樹脂50Bの粘度が5,000〜20,000(mPa・s)であることが最適であることが明らかとなった。
詳述すると、分類C,D,Eのように、粘度がいずれも500mPa・s未満である第1絶縁樹脂50Aを用いて形成した第1樹脂封止部29Aの場合、抵抗変動値が2.5mΩを超える値となったのに加え、第1樹脂封止部29Aを観察したところ、ボックス部11の内部にまで第1絶縁樹脂50Aが流れ込んでいるサンプルも確認された。この場合、接続相手側となる雄型端子のオスタブをボックス部11の内部に挿入したとき、接続不良の要因となるため、機能上難点を有することになる。また、電線接続部分21には非常に薄い膜状のみで被覆された部分が存在した。
このことからも第1絶縁樹脂50Aの粘度は、粘度が500mPa・s以上であることが好ましいことが明らかになった。
また、分類F,G,Hのように、粘度が2,000mPa・sより大きな値である第1絶縁樹脂50Aを用いて形成した樹脂封止部29の場合、抵抗変動値が2.5mΩを超える値となった。これは、粘度が2,000mPa・sを超えると、50μm以下という微小な隙間へ浸透し難くなるからであると考えられる。また、樹脂封止部29を観察したところ、電線接続部分21に対して十分な接触面積で拡散して全体を被覆することができないものも存在した。
このことから第1絶縁樹脂50Aの粘度は、粘度が2,000mPa・s以上であることが好ましいことが明らかになった。
一方、分類C,F,Iのように、前記第2絶縁樹脂50Bの粘度が5,000mPa・s未満である第2絶縁樹脂50Bを用いて形成した樹脂封止部29の場合、抵抗変動値が2.5mΩを超える値となったのに加え、樹脂封止部29を観察したところ、第2樹脂封止部29Bを被覆したとき、電食を防止する上で十分な層厚を確保することができないサンプルが多数存在していた。
このことから第2絶縁樹脂50Bの粘度は、粘度が5,000mPa・s以上であることが好ましいことが明らかになった。
また、分類B,E,H,Kのように、粘度が20,000mPa・sを超える第2絶縁樹脂50Bを用いて形成した樹脂封止部29の場合、抵抗変動値が2.5mΩを超える値となったのに加え、浸透性が悪いため、均等な膜厚で塗れず、樹脂封止部29の形成に時間を要するとともに、サンプルの中には、膜厚が厚くなりすぎて端子がソケットに入らないなどの機能上の問題が生じたサンプルも存在した。
このことから第2絶縁樹脂50Bの粘度は、粘度が20,000mPa・s以下であることが好ましいことが明らかになった。
上述した本効果確認試験により、使用する2種類の樹脂のうち、第1絶縁樹脂50Aの粘度が500〜2,000(mPa・s)であり、第2絶縁樹脂50Bの粘度が5,000〜20,000(mPa・s)である本実施形態の圧着端子付電線1が防食性能、機能の両観点から最適であることが明らかとなった。
この発明の構成と、上述した実施形態との対応において、
接続構造体は、圧着端子付電線1に対応し、以下同様に、
接続端子は、圧着端子10に対応し、
導体は、芯線43に対応し、
電線接続部は、ワイヤーバレル部12に対応し、
前記電線接続部に接続した前記電線先端部は、電線接続部分21に対応し、
露出導体は、後方側芯線露出部21b、及び、先端側芯線露出部21dに対応するものとする。
本発明は、上述した実施形態に限定せず、様々な実施形態で構成することができる。
例えば、他の実施形態として樹脂封止部29は、前記ボックス部11の内部の長手方向の電線接続部分21側で開口する電線接続部側開口部Arを前記絶縁樹脂50で閉塞した構成であってもよい(図示せず)。
これにより、前記ボックス部11の内部に電線接続部側開口部Arを通じて電解液が流入することを確実に阻止することができ、電解液が前記ボックス部11の内部に長期に亘って滞留することがなく、樹脂封止部29が加水分解することを防ぐことができ、電食の発生を確実に防止することができる。
また、他の実施形態として電線接続部分21に滴下した絶縁樹脂50の流れを堰き止める堰止め部を、圧着端子10に形成してもよい(図示せず)。
これにより、例えば、電線接続部分21に滴下した絶縁樹脂50がボックス部11の内部にまで流れ込んで、接続相手側の雄型端子のオスタブを雌型接続部23に挿入したとき、接続不良となることを防ぐことができ、また、絶縁樹脂50が拡散しすぎて膜厚が薄くなりすぎることを防ぐことができる。
1…圧着端子付電線
10…圧着端子
12…ワイヤーバレル部
21…電線接続部分
21b…後方側芯線露出部
21d…先端側芯線露出部
29A…第1樹脂封止部
29B…第2樹脂封止部
40…被覆電線
41…絶縁被覆
42…電線先端部
43…芯線
50…絶縁樹脂
50A…第1絶縁樹脂
50B…第2絶縁樹脂

Claims (11)

  1. 導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた電線先端部を備えた被覆電線と、
    前記電線先端部を接続する電線接続部を備え、前記導体を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子と、
    前記電線接続部に接続した前記電線先端部を封止する絶縁樹脂とで構成した接続構造体であって、
    前記絶縁樹脂を、硬化前の粘度が異なる2種類以上の樹脂で構成した
    接続構造体。
  2. 前記絶縁樹脂を、
    第1絶縁樹脂と、該第1絶縁樹脂よりもオリゴマーの割合が高く、モノマーの割合が低い第2絶縁樹脂とで構成し、
    前記第1絶縁樹脂と前記第2絶縁樹脂を、それぞれ同じ主成分で構成した
    請求項1に記載の接続構造体。
  3. 前記第1絶縁樹脂を、
    硬化前の粘度が50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の樹脂とし、
    前記第2絶縁樹脂を、
    硬化前の粘度が前記第1絶縁樹脂よりも粘度の高い樹脂とし、
    前記前記電線先端部を前記絶縁樹脂で封止した樹脂封止部を、
    前記電線先端部の表面を前記第1絶縁樹脂で被覆する第1樹脂封止部と、
    前記第1樹脂封止部の外面を前記第2絶縁樹脂で被覆する第2樹脂封止部とで構成した
    請求項1または2に記載の接続構造体。
  4. 前記第1絶縁樹脂を、硬化前の粘度が2,000mPa・s以下の低粘度の樹脂とし、
    前記第2絶縁樹脂を、硬化前の粘度が5,000mPa・s以上の高粘度の樹脂とした
    請求項3に記載の接続構造体。
  5. 前記第1絶縁樹脂を、硬化前の粘度が500mPa・s以上とし、
    前記第2絶縁樹脂を、硬化前の粘度が20,000mPa・s以下とした
    請求項4に記載の接続構造体。
  6. 前記電線先端部における前記電線接続部から露出している露出導体の表面を被覆した前記絶縁樹脂の厚みを少なくとも200μmで形成した
    請求項1乃至5のうちいずれかに記載の接続構造体。
  7. 前記絶縁樹脂を、
    ショアD硬度が40〜80、金属に対する接着強度が−40℃〜125℃の範囲において3MPa以上、且つ、弾性率が200MPa以上1000MPa以下の樹脂とした
    請求項1または6に記載の接続構造体。
  8. 前記絶縁樹脂を、
    シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系のうち少なくともいずれかの樹脂とした
    請求項1乃至7のうちいずれかに記載の接続構造体。
  9. 前記導体は、アルミニウム系材料からなり、
    前記接続端子は、銅系材料からなる
    請求項1乃至8のうちいずれかに記載の接続構造体。
  10. 導体を絶縁被覆で被覆する被覆電線において先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた電線先端部を、
    前記被覆電線を構成する金属より貴な金属で構成される接続端子に備えた電線接続部に接続し、
    前記電線接続部に接続した前記電線先端部を絶縁樹脂で封止する接続構造体の製造方法であって、
    前記電線先端部の前記絶縁樹脂による封止を、硬化前の粘度が少なくとも50μm以下の隙間に浸透可能な粘度の第1絶縁樹脂と、前記第1絶縁樹脂よりも硬化前の粘度が高い第2絶縁樹脂とを含む2種類以上の樹脂を用い、
    前記電線先端部の表面を前記第1絶縁樹脂で被覆する第1樹脂被覆工程を行い、
    前記第1樹脂被覆工程の後に、前記第1絶縁樹脂の外面を前記第2絶縁樹脂で被覆する第2樹脂封被覆工程を行う
    接続構造体の製造方法。
  11. 前記絶縁樹脂を紫外線硬化樹脂で構成し、
    紫外線照射して前記絶縁樹脂を硬化させる紫外線照射工程を、前記第1樹脂被覆工程と前記第2樹脂被覆工程との間に行わずに、前記第2樹脂被覆工程の後に行う
    請求項10に記載の接続構造体の製造方法。
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