JP2011231792A - 摺動式等速自在継手およびその外側継手部材のしごき加工方法 - Google Patents

摺動式等速自在継手およびその外側継手部材のしごき加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】旋削加工や加締め加工といった追加加工、およびそのための専用設備を不要とし、安定した抜け止めを実現する共にコスト低減を可能にする摺動式等速自在継手およびそのしごき加工方法を提供すること。
【解決手段】一端に開口部を有するカップ状をなし、筒状内周面6に軸方向に延びる複数のトラック溝7が形成された外側継手部材2と、球面状外周面11に、前記外側継手部材2のトラック溝7に対向する複数のトラック溝9が形成された内側継手部材3と、これら内外継手部材のトラック溝7、9間に介在してトルクを伝達する複数のボール4と、前記外側継手部材2と内側継手部材3との間に配置されボール4を保持するケージ5とからなる摺動式等速自在継手1において、前記外側継手部材2の開口端部14における筒状円周面6とトラック溝7の少なくとも一つに、内部部品16の係止突起部15が形成され、この係止突起部15が前記外側継手部材2の筒状円周面6およびトラック溝7を仕上げるしごき加工によって形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車、航空機、船舶や各種産業機械の動力伝達系に使用され、具体的には、例えば、FF車や4WD車などで使用されるドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれて駆動側と従動側の二軸間で軸方向変位および角度変位を許容する摺動式等速自在継手およびその外側継手部材のしごき加工方法に関する。
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達するドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれる等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これらの等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結して、その二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、デフと車輪との相対的な位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、一般的にデフ側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装着し、両等速自在継手をシャフトで連結した構造を有する。摺動式等速自在継手の一つにダブルオフセット型等速自在継手がある。
シャフトの一端に固定式等速自在継手を、他端に摺動式等速自在継手を取り付けたドライブシャフトを自動車に組み付けるに際しては、摺動式等速自在継手をデフ側(インボード側)に組み付けた後、固定式等速自在継手を駆動車輪側(アウトボード側)に組み付けるのが一般的である。駆動車輪側では、ナックルに組付けた車輪軸受装置と固定式等速自在継手とを組み付けた状態では、ナックルをまだ車体の懸架装置に組み付けていないため、摺動式等速自在継手には、固定式等速自在継手、シャフト、車輪軸受装置およびナックルの総重量により荷重(例えば、0.3kN以上)がかかる場合がある。このような荷重が摺動式等速自在継手にかかると、内部部品が外側継手部材の開口部から抜け出すことになる。そこで、従来では、以下のような抜け止め機構が採用されている。
抜け止め機構の一般的なものとして、外側継手部材の開口端部の内周面に環状の凹溝を設け、この環状の凹溝にサークリップを嵌着したものがある。この場合は、内部部品が軸方向に変位したとき、ボールがサークリップと干渉することで、外側継手部材から内部部品が抜け出すことを防止している。
他の抜け止め機構として、外側継手部材の開口部端面の内側縁部を加締めにより潰すことで、外側継手部材の開口端部の内周面に***部分を形成した構造がある(特許文献1参照)。このような構造にすることにより、内部部品の軸方向変位時、ボール又はケージが***部分と干渉することで内部部品が抜け出すことを防止している。
特開2008−2627号公報
ところで、サークリップを用いた従来の摺動式等速自在継手では、内部部品の抜け止めのためのサークリップを外側継手部材に組み付けるため、外側継手部材の開口端部の内周面に環状凹部を形成するために、外側継手部材の開口部内周面を旋削加工する必要があり、サークリップも必要となることから、旋削加工および部品点数の増加により製品のコストアップを招くことになる。
また、特許文献1の摺動式等速自在継手では、外側継手部材の開口部端面の内側縁を加締めにより潰すため、加締めのための別加工が必要となるだけでなく、加締め治具に対して外側継手部材を正確に位置決めしなければならないため、その位置決め作業が非常に困難であり、位置決めのための専用設備を必要とし、製造コスト・作業面でも問題がある。また、***部分を加締めにより潰すことで形成するため、その変形は金型に拘束されない自由な変形となるので、その***部分の大きさ、寸法にバラツキが生じやすく、また、***部分の形状が鋭利で壊れやすい形状になりやすい。したがって、引き抜き耐力が安定しない問題がある。さらには、内側継手部材、ケージ、ボールからなる内部部品を外側継手部材に入れた後に***部分の加工を行うと、焼入れ硬化した部分に塑性変形させることになるので加工が難しく、反対に外側継手部材の焼入れ前に加工を行うと、内部部品を外側継手部材内に入れるときに、鋭利な形状の***部分が壊れやすいという問題がある。
本発明は、前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、旋削加工や加締め加工といった追加加工、およびそのための専用設備を不要とし、安定した抜け止めを実現する共にコスト低減を可能にする摺動式等速自在継手およびそのしごき加工方法を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために種々検討した結果、外側継手部材のトラック溝や筒状内周面を形成する鍛造加工工程において、金型で拘束して係止突起部を高精度に成形するという新規な手段を着想した。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、一端に開口部を有するカップ状をなし、筒状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、球面状外周面に、前記外側継手部材のトラック溝に対向する複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、これら内外継手部材のトラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に配置されボールを保持するケージとからなる摺動式等速自在継手において、前記外側継手部材の開口端部における筒状円周面とトラック溝の少なくとも一つに、内部部品の係止突起部が形成され、この係止突起部が前記外側継手部材の筒状円周面およびトラック溝を仕上げるしごき加工によって形成されていることを特徴とする。
上記の構成により、係止突起部は、その成形に追加の加工が不要のため製造コストを低減することができると共に、係止突起部の寸法・精度の向上により、内側継手部材、ケージおよびボールからなる内部部品の引き抜き耐力を安定させた摺動式等速自在継手を実現することができる。また、組立面では、係止突起部が、しごき加工で成形パンチの成形面に倣った適宜の形状に形成されるので、係止突起部を乗り越えて、内部部品を外側継手部材内へ挿入する組立作業を容易に行うことができる。
具体的には、固定式等速自在継手、シャフト、車輪軸受装置およびナックルの総重量による荷重に対して、係止突起部の抜け耐力を0.3kN以上に設定したので、内部部品の抜け出しを確実に防止した摺動式等速自在継手を実現することができる。
係止突起部の高さを0.8mm以下に設定することが望ましい。また、係止突起部が継手の軸線に対して傾斜したテーパ面状部を有し、その立上り角度を45°以下に設定することが望ましい。これにより、しごき加工における金型寿命の低下をより一層抑えることができる。
そして、係止突起部を外側継手部材のトラック溝に形成する場合、特に、外側継手部材のトラック溝とボール間の接触角位置に係止突起部を形成することが最も効率的であり、また、係止突起部を小さくすることにより、しごき加工における金型寿命の低下を最小限に抑えることができる。さらに、係止突起部が外側継手部材の筒状内周面に形成される場合は、係止突起部とケージの球状外周面との間で、内部部品の抜け出しを確実に防止することができる。
係止突起部は、外側継手部材の軸心に対して点対称である方が加工しやすく、引き抜き耐力も大きくすることができる。したがって、係止突起部は外側継手部材の軸心に対して点対称に配置し、その数はトラック溝数の約数が望ましい。さらに、係止突起部の高さを小さくして金型寿命の低下を抑えるためには、係止突起部の数を多くして、1個当たりの受け持つ抜け荷重を小さくすることが良い。そのために、係止突起部を全てのトラック溝あるいは筒状内周面に形成することが望ましい。
本発明の摺動式等速自在継手として、トラック溝とボール間の接触状態を、アンギュラコンタクト、あるいはサーキュラコンタクトとしたダブルオフセット型等速自在継手が好適である。
本願の第2の発明は、一端に開口部を有するカップ状をなし、筒状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法において、この外側継手部材が、その開口端部において筒状円周面とトラック溝の少なくとも一つに内部部品の係止突起部が設けられるものであって、前記外側継手部材の筒状内周面およびトラック溝を成形する成形パンチに前記係止突起部を成形する成形面を有し、前記成形パンチにより前記筒状内周面、トラック溝および係止突起部を同時加工したことを特徴とする。これにより、係止突起部が成形パンチの成形面に倣って適宜の形状に形成され、かつ係止突起部がトラック溝や筒状内周面と同時加工されるので、高精度で生産性の高い摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法が実現できる。
本発明の摺動式等速自在継手では、係止突起部の成形に追加の加工が不要のため製造コストを低減することができると共に、係止突起部の寸法・精度の向上により、内側継手部材、ケージおよびボールからなる内部部品の引き抜き耐力を安定させることができる。また、組立面では、係止突起部が、しごき加工で成形パンチの成形面に倣った適宜の形状に形成されるので、係止突起部を乗り越えて、内部部品を外側継手部材内へ挿入する組立作業を容易に行うことができる。
固定式等速自在継手、シャフト、車輪軸受装置およびナックルの総重量による荷重に対して、係止突起部の引き抜き耐力を0.3kN以上に設定にしたので、内部部品の抜け出しを確実に防止することができる。
外側継手部材のトラック溝とボール間の接触角位置に係止突起部を形成することにより係止突起部を小さくすることができるので、しごき加工における金型寿命の低下を最小限に抑えることができる。また、係止突起部の高さを0.8mm以下に設定し、さらに係止突起部のテーパ状面部の立上り角度を45°以下に設定したので、上記の接触角位置に係止突起部を形成することと相俟って、しごき加工における金型寿命の低下をより一層抑えることができる。
本発明の摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法では、係止突起部が成形パンチの成形面に倣って適宜の形状に形成され、かつ係止突起部がトラック溝や筒状内周面と同時加工されるので、高精度で生産性が高い。
本発明の第1の実施形態の摺動式等速自在継手の縦断面図である。 本発明の第1の実施形態の摺動式等速自在継手の正面図である。 図2のA部を拡大した図である。 図1のB部を拡大した図である。 本発明の第2の実施形態の摺動式等速自在継手を部分的に拡大した正面図である。 本願の第2の発明の概要説明のための前素形材の図である。 本願の第2の発明の概要説明のための最終鍛造品の図である。 本願の第2の発明の概要説明のための粗鍛造加工用金型の図である。 本願の第2の発明の概要説明のためのしごき加工用金型の図である。 本発明の第1の実施形態における外側継手部材の最終鍛造品を示す図である。 本願の第2の発明である外側継手部材のしごき加工方法を示す図である。 本発明の第3の実施形態の摺動式等速自在継手の縦断面図である。 本発明の第3の実施形態の摺動式等速自在継手の正面図である。 図13のH部を拡大した図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態を図1〜図4に示す。この実施形態は、摺動式等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)である。図1および図2に示すように、この等速自在継手1は、外側継手部材2、内側継手部材3、ボール4およびケージ5からなる。外側継手部材2の筒状内周面6には6本のトラック溝7が円周方向等間隔に、かつ軸方向に直線状に形成されている。内側継手部材3の球状外周面8には、外側継手部材2のトラック溝7と対向するトラック溝9が円周方向等間隔に、かつ軸方向に直線状に形成されている。外側継手部材2のトラック溝7と内側継手部材3のトラック溝9との間にトルクを伝達する6個のボール4が介在されている。外側継手部材2の筒状内周面6と内側継手部材3の球状外周面8との間に、ボール4を保持するケージ5が配置されている。ボール4はケージ5のポケット10に収容されている。ケージ5の球状外周面11は外側継手部材2の筒状内周面6と嵌合し、ケージ5の球状内周面12は内側継手部材3の球状外周面8と嵌合している。図示は省略するが、内側継手部材3の内径孔13にシャフトの軸端部がスプライン嵌合され、止め輪によって軸方向に固定されている。そして、外側継手部材2の開口端部14の外周面とシャフトの外周面にブーツが取り付けられ、継手内部に潤滑剤としてのグリースが封入される。外側継手部材2の奥側の底部には軸部2aが一体に形成されており、軸端のスプライン部2bが図示しないデファレンシャルのサイドギヤに連結される。
ケージ5の球状外周面11は曲率中心O1を有し、ケージ5の球状内周面12は曲率中心O2を有する。曲率中心O1、O2は、継手中心Oに対して軸方向に等距離オフセットされている。これにより、継手が作動角をとった場合、外側継手部材2と内側継手部材3の両軸線がなす角度を二等分する平面上にボール4が常に案内され、二軸間で等速に回転が伝達されることになる。
図1および図2に示すように、外側継手部材2のトラック溝7の開口端部14に係止突起部15が形成されている。内側継手部材3、ケージ5およびボール4からなる内部部品16は、外側継手部材2に対して、軸方向に摺動するが、この内部部品16が外側継手部材2の外方向に引っ張られた時に、内部部品16が抜け出さないように、ボール4が係止突起部15に干渉して規制される。図1のB部を図4に拡大して示す。図4に示すように、係止突起部15は、開口端部14側の円筒面状部15aとこれに接続するテーパ面状部15bからなり、このテーパ面状部15bがトラック溝7に接続する。外側継手部材2のトラック溝7とボール4とがアンギュラコンタクトしている例を図3に拡大して示す。ただし、この図では、図を簡素化するためにボール4とケージ5は図示を省略した。この図に示すように、係止突起部15は、トラック溝7とボール4の接触点、すなわちトラック溝7の接触角位置7a、7aを越えた円周方向の凸部幅Cを有する。この円周方向の凸部幅Cはトラック溝7の接触角位置7a、7aを越えて0.5mm以上あることが望ましい。トラック溝7の横断面は、楕円形状あるいはゴシックアーチ形状で形成され、接触角αは30〜40°程度で適宜設定される。外側継手部材2のトラック溝7とボール4間の隙間は、接触角位置7a、7aで最も小さいため、凸部を小さくすることができるので、接触角位置7a、7aに係止突起部15を形成することが最も効率的である。また、係止突起部15を小さくすることにより、後述するしごき加工における金型寿命の低下を最小限に抑えることができる。
図4に示すように、トラック溝7の表面から係止突起部15の円筒面状部15aまでの高さDは0.8mm以下としている。また、テーパ状面部15bの立上がり角θは45°以下が望ましい。これにより、前述した接触角位置7a、7aに係止突起部15形成することによる係止突起部15を小さくできるということと相俟って、後述するしごき加工における金型寿命の低下をより一層抑えることができる。尚、係止突起部15の形状として円筒面状部15a、テーパ状面部15bのものを示したが、円筒面状部15aを平面状とし、テーパ状面部15bを傾斜した曲面状としても良い。また、円筒面状部15aとテーパ状面部15bとの接続部やテーパ面状部15bとトラック溝7との接続部は小さな円弧面を介在させて滑らかに接続することも適宜実施できる。これらは後述する実施形態でも同様である。
前述したように、駆動車輪側では、ナックルに組付けた車輪軸受装置と固定式等速自在継手とを組み付けた状態では、ナックルをまだ車体の懸架装置に組み付けていないため、摺動式等速自在継手1には、図示は省略するが、固定式等速自在継手、シャフト、車輪軸受装置およびナックルの総重量により荷重がかかる場合がある。しかし、上述した形態の係止突起部15の引き抜き耐力を0.3kN以上に設定したことにより、上記の荷重に耐え得る。
図3は、外側継手部材2のトラック溝7とボール4とがアンギュラコンタクトとした例を示したが、トラック溝7とボール4とがサーキュラコンタクトの場合には、外側継手部材2のトラック溝7の底付近に係止突起部15を形成すればよい(図示省略)。この場合は、円周方向の凸部幅Cはトラック溝7の底から円周方向の両側へ0.5mm以上あることが望ましい。このように、サーキュラコンタクトの場合には、係止突起部15の円周方向の凸部幅Cを小さくすることができる。係止突起部15は、内部部品16の軸方向のスライド量をなるべく長くとるため、外側継手部材1の開口端部14寄りに形成することが望ましい。
本発明の第2の実施形態を図5に基づいて説明する。図5は第1の実施形態の図3に対応するものである。前述した第1の実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明は省略する。また、第2の実施形態は、第1の実施形態に対して係止突起部の形態だけが異なる。継手構造については第1の実施形態に関する図1と同様であるので、重複説明を省略する。
図5に示すように、第2の実施形態も外側継手部材2のトラック溝7とボール4とがアンギュラコンタクトとした例である。この実施形態では、係止突起部15、15が接触角位置7a、7aにのみ形成され、係止突起部15、15が各トラック溝7に2箇所ずつ設けられている。各係止突起部15、15の円周方向の凸部幅Cはトラック溝7の接触角位置7a、7aから円周方向の両側へ0.5mm以上あることが望ましい。また、第1の実施形態と同じように、トラック溝7の表面から係止突起部15の円筒面状部15aまでの高さBは0.8mm以下とし、テーパ状面部15bの立上り角度θは45°以下が望ましい。また、係止突起部15は、内部部品16の軸方向のスライド量をなるべく長くとるため、外側継手部材1の開口端部14寄りに形成することが望ましい。
次に、本願の第2の発明である外側継手部材のしごき加工方法の実施形態を図6〜図11に基づいて説明する。
まず、本実施形態の摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法を含めた鍛造加工工程の概要を図6〜図9に基づいて説明する。鍛造加工は、図6および図8に示す粗鍛造加工と、図7および図9に示す仕上げのしごき加工とからなっている。図6は、粗鍛造加工後の前素形材21を示す。図6(a)は、前素形材21を正面から見た図で、図6(b)は、図6(a)のE−E線における縦断面図である。前素形材21は、カップ部21aの内側にトラック溝部分23、筒状内周面部分22が形成されている。カップ部21aの底部には軸部21bが一体に形成されている。
前素形材21の粗鍛造加工を図8に示す。粗鍛造加工の主な金型は、前素形材21の外周形状を形成する金型30と前素形材21の内周形状を形成する成形パンチ31である。金型21内に素材を挿入し、金型21内の素材を成形パンチ31で加圧して、カップ部21aを押し出し成形する。
次に、図6の前素形材21を仕上げるためにしごき加工を行う。図7にしごき加工後の外側継手部材2の最終鍛造品25を示す。図7(a)は、最終鍛造品25を正面から見た図で、図7(b)は、図7(a)のF−F線における縦断面図である。最終鍛造品25のトラック溝27および筒状内周面26は高精度に仕上られている。
最終鍛造品25のしごき加工を図9に示す。外側継手部材2の前素形材21(図6参照)に成形パンチ33を挿入した状態で、ダイス32により前素形材21の外周面をしごき加工する。成形パンチ33の外周には、図7に示す外側継手部材の最終鍛造品25のトラック溝27、筒状内周面26に対応する成形面33a(図9参照)が形成されている。この成形面33aは仕上がり寸法・精度になっている。ダイス32で前素形材21の外周をしごき加工することにより半径方向内方の成形パンチ33外周の成形面33aに押し付けられ、最終鍛造品25のトラック溝27、筒状内周面26が仕上がり寸法・精度になる。前素形材21をしごき加工したとき、円周方向で肉厚の減少率が変化するので、図7(b)に示すように最終鍛造品25の開口端部の形状は不揃いとなる。
外側継手部材2の鍛造加工の概要は以上のとおりである。詳細は後述するが、本発明の第1の実施形態における係止突起部15は、上記鍛造加工工程の中のしごき加工において形成される。しごき加工の後、最終鍛造品25の外周面などを旋削加工し、熱処理工程を経て完成品となる。外側継手部材2の材料として、中炭素鋼の用いる場合は、鍛造加工、旋削加工を経て高周波熱処理を行う。また、低〜中炭素鋼を用いて、浸炭熱処理を行う場合もある。係止突起部15の部分は焼入れを施さなくてもよい。また、係止突起部15に熱処理を施す場合でも、係止突起部15の靭性を考慮すると、HRC50程度の硬さが望ましい。
次に、外側継手部材2の開口端部14の係止突起部15について詳述する。図10に、本発明の第1実施形態の外側継手部材2の最終鍛造品25を拡大して示す。トラック溝27の開口端部14に係止突起部15が形成されている。最終鍛造品25はG−G線の所が完成品の開口端部となり、端面および外周面の形状を形成するために旋削加工が行われ、仕上げられる。
次に、第1実施形態の主要部であるトラック溝27の係止突起部15がしごき加工において形成される状態を図11に基づいて説明する。この図では、説明を分かりやすくするために、前述した図9の金型のうち、ダイス32と成形パンチ33のみを取り出して示す。この場合も、前素形材21の形状は図6と同様にトラック溝23の開口端部はストレートになっている。図11に示すように、しごき加工される最終鍛造品25の内側にはパンチ33が挿入され外周側にダイス32が嵌っている。成形パンチ33にはトラック溝27を成形する面33aが上下方向の略中央部分から下端部に亘って形成されている。このトラック溝27を形成する面33aの上端に係止突起部15を形成する成形面35が設けられている。成形面35は、最終鍛造品25のテーパ面状部15bを成形するテーパ状成形面35bと円筒面状部15aを成形する円筒状成形面35aからなる。
トラック溝7の成形面33aと円筒状成形面35aの段差は、前述した係止突起部15の高さBに対応して0.8mm以下とし、テーパ状成形面35bは、立上り角度θに対応して45°以下となっている。しごき加工後、上記のトラック溝7の成形面33aと円筒状成形面35aの段差がある状態で、最終鍛造品25から成形パンチ33が引き抜かれる。この引き抜きの際、トラック溝7の成形面33aと円筒状成形面35aの段差が抵抗となり、金型寿命を低下させる。金型寿命の低下を抑えるには、金型引き抜きの際の抵抗を小さくすれば良く、係止突起部15の高さB、凸部幅C、立上り角度θは、なるべく小さい方が良い。具体的には、前述したように係止突起部15の高さBに対応して0.8mm以下、テーパ状成形面35bの立上り角度θに対応して45°以下となっているので、型抜けが可能で金型寿命の低下を抑制することができる。
本実施形態における係止突起部15を成形する場合の前素形材21は、図6(b)に示すものと同じで、内周面の形状はストレート状であるので、粗鍛造加工では従来の金型を変更する必要はない。前素形材21に成形パンチ33を挿入した状態で、ダイス32により前素形材21の外周面をしごき加工すると、図11に示すように、材料が軸方向に伸ばされて、係止突起部15は成形パンチ33の成形面35に倣って形成されるので、係止突起部15がトラック溝27や内周面26と同時加工される。したがって、係止突起部15の成形に追加の加工が不要で、かつ係止突起部15の寸法・精度を高めることができ、内側継手部材3、ケージ5およびボール4からなる内部部品16(図1参照)の引き抜き耐力を安定させるという顕著な効果を有する。
係止突起部15は、しごき加工で成形パンチ33の成形面35に倣って形成されるので、鋭利な形状とならないようにでき、また、壊れにくい形状にすることができるので、係止突起部15を乗り越えて、内部部品16を外側継手部材2内へ挿入する組立作業を容易に行うことができる。
本発明の第3の実施形態を図12〜図14に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明は省略する。図12および図13に示すように、本実施形態では、係止突起部15は外側継手部材2の開口端部14の筒状内周面6に形成されている。図14は、図13のH部を拡大した図である。ただし、図を簡素化するためにボール4とケージ5は図示を省略した。図14に示すように、係止突起部15は、隣り合うトラック溝7、7間にある筒状内周面6に円周方向の凸部幅Cを有する。図12に示すように、係止突起部15は、開口端部14側の円筒面状部15aとこれに接続するテーパ面状部15bからなり、このテーパ面状部15bが筒状内周面6に接続する。第1の実施形態の係止突起部15と同様に、筒状内周面6の表面から係止突起部15の円筒面状部15aまでの高さは0.8mm以下とし、テーパ状面部15bの立上り角度は45°以下が望ましい。
内側継手部材3、ケージ5およびボール4からなる内部部品16は、外側継手部材2に対して軸方向に摺動するが、この内部部品16が外側継手部材2の外方向に引っ張られた時に、内部部品16が抜け出さないように、ケージ5の球状外周面11が係止突起部15に干渉して規制される。本実施形態では、ケージ5の球状外周面11が係止突起部15に干渉するので、内部部品16の軸方向のスライド量をなるべく長くとるためには、内側継手部材3へのケージ5の組込みの向きを、図12のようにケージ5の球状外周面11の軸方向位置が継手中心Oより継手の奥側になるようにすることが望ましい。
本実施形態では、係止突起部15は外側継手部材2の開口端部14の筒状内周面6に形成されているので、しごき加工の成形パンチには、筒状円周面6の対応する位置に係止突起部15を成形する成形面が設けられる。しごき加工の態様については、前述したものと同様である。
第1〜3の実施形態において、係止突起部15の数は1個でもよいが、その場合、半径方向に対向する位置から内部部品16が抜け出やすいため、係止突起部15の高さBを大きくする必要がある。そのため、係止突起部15の数は2個以上が望ましい。また、外側継手部材2の軸心に対して点対称である方が加工しやすく、抜け耐力も大きくできるため、係止突起部15は外側継手部材2の軸心に対して点対称に配置し、その数はトラック溝数の約数が望ましい。さらに、係止突起部15の高さBを小さくして金型寿命の低下を抑えるためには、係止突起部15の数を多くして、1個当たりの受け持つ抜け荷重を小さくする。そのためには、係止突起部15を全てのトラック溝あるいは筒状内周面に形成することが望ましい。
1 摺動式等速自在継手
2 外側継手部材
3 内側継手部材
4 ボール
5 ケージ
6 筒状内周面
7 トラック溝
7a 接触点
8 球状外周面
9 トラック溝
10 ポケット
11 球状外周面
12 球状内周面
13 内径孔
14 開口端部
15 突起部
15a 円筒面状部
15b テーパ面状部
16 内部部品
21 前素形材
25 最終鍛造品
30 金型
31 成形パンチ
32 ダイス
33 成形パンチ
33a 成形面
35 成形面
35a 円筒面状部
35b テーパ面状部
C 凸部幅
D 係止突起部の高さ
O 継手中心
O1 曲率中心
O2 曲率中心
α 接触角
θ 立上り角度

Claims (10)

  1. 一端に開口部を有するカップ状をなし、筒状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、球面状外周面に、前記外側継手部材のトラック溝に対向する複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、これら内外継手部材のトラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に配置されボールを保持するケージとからなる摺動式等速自在継手において、
    前記外側継手部材の開口端部における筒状円周面とトラック溝の少なくとも一つに、内部部品の係止突起部が形成され、この係止突起部が前記外側継手部材の筒状円周面およびトラック溝を仕上げるしごき加工によって形成されていることを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記内部部品を外側継手部材の係止突起部から引き抜く際の引き抜き耐力を0.3kN以上としたことを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記係止突起部の高さを0.8mm以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記係止突起部は、前記外側継手部材の反開口端部側に、継手の軸線に対して傾斜したテーパ状面を有しており、その立上り角度を45°以下としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記係止突起部が、前記外側継手部材のトラック溝に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  6. 前記係止突起部が、前記外側継手部材の筒状内周面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  7. 前記係止突起部の個数を、トラック溝の約数としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  8. 前記トラック溝とボールをアンギュラコンタクトとしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  9. 前記摺動式等速自在継手がダブルオフセット型等速自在継手であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の摺動式等速自在継手。
  10. 一端に開口部を有するカップ状をなし、筒状内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法において、
    この外側継手部材が、その開口端部において筒状円周面とトラック溝の少なくとも一つに内部部品の係止突起部が設けられるものであって、前記外側継手部材の筒状内周面およびトラック溝を成形するパンチに前記係止突起部を成形する成形面を有し、前記パンチにより前記筒状内周面、トラック溝および係止突起部を同時加工したことを特徴とする摺動式等速自在継手の外側継手部材のしごき加工方法。
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