JP2011223908A - 二枚貝の養殖方法及び施設 - Google Patents
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Abstract
【課題】クルマエビの養殖施設を利用してアサリの餌となる植物プランクトンを繁殖させ、アサリ等の二枚貝を効率的に養殖する二枚貝の養殖方法及び施設を提供する。
【解決手段】養殖池1に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、クルマエビの養殖池を繁殖池2として利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、繁殖池2で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池1に供給しながら養殖を行う。二枚貝を養殖する養殖池1と、二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させる繁殖池2と、繁殖池で繁殖させたプランクトンを含む海水を養殖池へ送水する送水手段3を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】養殖池1に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、クルマエビの養殖池を繁殖池2として利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、繁殖池2で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池1に供給しながら養殖を行う。二枚貝を養殖する養殖池1と、二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させる繁殖池2と、繁殖池で繁殖させたプランクトンを含む海水を養殖池へ送水する送水手段3を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、二枚貝の養殖方法及び施設に関し、特に、クルマエビの養殖施設を利用してアサリの餌となる植物プランクトンを繁殖させ、アサリ等の二枚貝を効率的に養殖する二枚貝の養殖方法及び施設に関する。
近年、各地の水産試験場や真珠貝養殖場などで赤貝、アサリ、ハマグリ、ホタテガイ、マガキなどの二枚貝の種苗生産の試験研究が進められ、各種養殖技術が提案されている。
そして、二枚貝の養殖方法に関する技術として特許文献1,2の技術が知られている。
特開2008−113649号公報
特開2009−195116号公報
そして、二枚貝の養殖方法に関する技術として特許文献1,2の技術が知られている。
二枚貝は、巻貝と異なり海水中に懸濁するキートセロス(chaetoceros) やモノグリシス(monoglicis)などの珪藻や黄色鞭毛藻等の黄色植物を食しており、養殖にあたっては、これらの植物プランクトンを培養して給餌しているのが現状である。
前記特許文献1,2には二枚貝の物理的環境を工夫して養殖する技術が記載されているが、アサリの主食とされる植物プランクトンをどのように供給するかについては記載がない。
アサリ等の二枚貝の養殖においては、餌となる植物プランクトンをいかに安定供給するかが鍵となり、二枚貝の種苗生産・養殖の規模拡大への障壁となっている。
本発明は係る従来の問題点を解決するためになされたものであってその目的とするところは、クルマエビの養殖施設を利用してアサリの餌となる植物プランクトンを繁殖させ、アサリ等の二枚貝を効率的に養殖する二枚貝の養殖方法及び施設を提供することにある。
前記特許文献1,2には二枚貝の物理的環境を工夫して養殖する技術が記載されているが、アサリの主食とされる植物プランクトンをどのように供給するかについては記載がない。
アサリ等の二枚貝の養殖においては、餌となる植物プランクトンをいかに安定供給するかが鍵となり、二枚貝の種苗生産・養殖の規模拡大への障壁となっている。
本発明は係る従来の問題点を解決するためになされたものであってその目的とするところは、クルマエビの養殖施設を利用してアサリの餌となる植物プランクトンを繁殖させ、アサリ等の二枚貝を効率的に養殖する二枚貝の養殖方法及び施設を提供することにある。
前記目的を達成するための手段として請求項1記載の二枚貝の養殖方法では、養殖池に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、クルマエビの養殖池を繁殖池として利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うことを特徴とする。
請求項2記載の二枚貝の養殖方法では、養殖池に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、クルマエビの養殖に使用した後の池を利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うことを特徴とする。
請求項3記載の二枚貝の養殖方法では、請求項1又は2記載の二枚貝の養殖方法において、前記二枚貝の稚貝の育成においては、種苗の段階では飼料プランクトンを種苗と同一タンクで大量培養する方法とした。
請求項4記載の二枚貝の養殖方法では、請求項1記載の二枚貝の養殖方法において、クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換えることを特徴とする。
請求項5記載の二枚貝の養殖方法では、請求項2記載の二枚貝の養殖方法において、プランクトンを繁殖させた繁殖池では翌年にクルマエビを養殖することを特徴とする。
請求項6記載の二枚貝の養殖施設では、請求項1〜3いずれか記載の養殖方法に使用する二枚貝の養殖施設であって、二枚貝を養殖する養殖池と、二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させる繁殖池と、繁殖池で繁殖させたプランクトンを含む海水を養殖池へ送水する送水手段を備えたことを特徴とする。
請求項7記載の二枚貝の養殖施設では、請求項6記載の二枚貝の養殖施設において、養殖池の海水に溶存酸素を供給する酸素供給手段を備えたことを特徴とする。
請求項8記載の二枚貝の養殖施設では、請求項7記載の二枚貝の養殖施設において、前記二枚貝としてアサリ、ハマグリ、赤貝、ホタテガイ、マガキのうちいずれかを養殖する構成とした。
請求項9記載の二枚貝の養殖施設では、請求項6〜8いずれか記載の二枚貝の養殖施設において、養殖池ではサバヒー、ボラ、ナマコのうちいずれかを混養することを特徴とする。
前記構成を採用したことにより、本発明では次の効果を有する。
クルマエビの養殖池を繁殖池として、またはクルマエビの養殖に使用した後の池を利用するので、現在休止中のクルマエビの養殖施設を有効利用できる。
クルマエビの養殖池には餌として大量の有機物が投入され、この有機物を栄養源として大量の植物プランクトンがクルマエビと共生して繁殖するので、この植物プランクトンをアサリの餌として有効利用できる。
クルマエビの養殖池には砂床にクルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が堆積しているので、これらの有機物を栄養源として二枚貝の餌となるプランクトンを大量に繁殖させることができる。また、植物プランクトンが砂床の堆積物を分解するので養殖池が浄化される。
繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うので、アサリの餌を安定して供給することができる。
プランクトンを繁殖させた繁殖池では砂床が浄化されるので、翌年にはクルマエビの養殖に適した環境が整備される。
クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換えるので、クルマエビの養殖とアサリの養殖を切り換えて連作障害を解消しながら効率的に水産資源の養殖を行うことができる。
クルマエビの養殖池を繁殖池として、またはクルマエビの養殖に使用した後の池を利用するので、現在休止中のクルマエビの養殖施設を有効利用できる。
クルマエビの養殖池には餌として大量の有機物が投入され、この有機物を栄養源として大量の植物プランクトンがクルマエビと共生して繁殖するので、この植物プランクトンをアサリの餌として有効利用できる。
クルマエビの養殖池には砂床にクルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が堆積しているので、これらの有機物を栄養源として二枚貝の餌となるプランクトンを大量に繁殖させることができる。また、植物プランクトンが砂床の堆積物を分解するので養殖池が浄化される。
繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うので、アサリの餌を安定して供給することができる。
プランクトンを繁殖させた繁殖池では砂床が浄化されるので、翌年にはクルマエビの養殖に適した環境が整備される。
クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換えるので、クルマエビの養殖とアサリの養殖を切り換えて連作障害を解消しながら効率的に水産資源の養殖を行うことができる。
二枚貝の稚貝の育成においては、種苗の段階では飼料プランクトンを種苗と同一タンクで大量培養する方法としたので、種苗の育成を効率的に行うことができる。
繁殖池で繁殖させたプランクトンを養殖池へ海水と共に供給する送水手段を備えているので、養殖池への給餌が容易に行われる。
酸素供給手段を備えているので養殖環境を適切に維持できる。
サバヒー、ボラまたはナマコを混養するので、砂床に堆積した有機物をボラ、サバヒー、ナマコが食してアサリの棲息環境を浄化する。
繁殖池で繁殖させたプランクトンを養殖池へ海水と共に供給する送水手段を備えているので、養殖池への給餌が容易に行われる。
酸素供給手段を備えているので養殖環境を適切に維持できる。
サバヒー、ボラまたはナマコを混養するので、砂床に堆積した有機物をボラ、サバヒー、ナマコが食してアサリの棲息環境を浄化する。
以下、本発明の二枚貝の養殖方法及び施設を実現する最良の形態を説明する。
第1実施例に係る二枚貝の養殖方法を説明する。
[親貝の確保]
天然個体から産卵可能なアサリの親貝を採取する。または、自家育成により成熟させた個体、品種改良等を施した個体を使用する。
[親貝の確保]
天然個体から産卵可能なアサリの親貝を採取する。または、自家育成により成熟させた個体、品種改良等を施した個体を使用する。
[採卵]
アサリの産卵誘発は反復温度刺激で行う。手順としては、30分〜1時間干出した後、自然水温(春は14〜18℃)の採卵水槽に収容し、27〜28℃まで上昇させる。その後新しい海水(14〜18℃)と交換して温度を下げ、再び昇温する。温度操作を繰り返しても産卵を始めない場合は、別の貝を解剖してその生殖腺内容物を水槽に加える。
親貝が十分に成熟していれば、2時間前後で産卵が始まる。受精は誘発水槽中で自然に行われるので、そのための操作は特に必要ない。受精卵は海水を排水して回収し、さらに新しい海水を加えて産卵を続けさせる。産卵量は貝の大きさと成熟度で差が大きく、雌1個体あたり数十万〜数百万である。回収した卵は目合い30umの網で洗卵し、ふ化用水槽に4500個/cm2(底面積)の密度で収容する。
アサリの産卵誘発は反復温度刺激で行う。手順としては、30分〜1時間干出した後、自然水温(春は14〜18℃)の採卵水槽に収容し、27〜28℃まで上昇させる。その後新しい海水(14〜18℃)と交換して温度を下げ、再び昇温する。温度操作を繰り返しても産卵を始めない場合は、別の貝を解剖してその生殖腺内容物を水槽に加える。
親貝が十分に成熟していれば、2時間前後で産卵が始まる。受精は誘発水槽中で自然に行われるので、そのための操作は特に必要ない。受精卵は海水を排水して回収し、さらに新しい海水を加えて産卵を続けさせる。産卵量は貝の大きさと成熟度で差が大きく、雌1個体あたり数十万〜数百万である。回収した卵は目合い30umの網で洗卵し、ふ化用水槽に4500個/cm2(底面積)の密度で収容する。
[幼生飼育]
一般的に幼生水槽に収容して飼料生物は別途培養したものを与えるが、本発明では種苗の段階において飼料プランクトンを種苗と同一タンクで大量培養する。飼育は弱水流(1〜数回転/日)にするか2〜3日ごとの全換水とする。飼料はパブロバ・ルテリ、イソクリシス・タヒチ株、キートセロス類等の各種植物プランクトンの混在物を使用する。
このように、飼料プランクトンと種苗を同一タンクで培養することにより養殖の効率化が図られる。
幼生期から着底期にはビブリオなどの感染による大量死亡が発生することがあるが、これは飼育水の紫外線処理や器材の消毒など基本的な防疫対策を講じる。
一般的に幼生水槽に収容して飼料生物は別途培養したものを与えるが、本発明では種苗の段階において飼料プランクトンを種苗と同一タンクで大量培養する。飼育は弱水流(1〜数回転/日)にするか2〜3日ごとの全換水とする。飼料はパブロバ・ルテリ、イソクリシス・タヒチ株、キートセロス類等の各種植物プランクトンの混在物を使用する。
このように、飼料プランクトンと種苗を同一タンクで培養することにより養殖の効率化が図られる。
幼生期から着底期にはビブリオなどの感染による大量死亡が発生することがあるが、これは飼育水の紫外線処理や器材の消毒など基本的な防疫対策を講じる。
[稚貝育成及び成貝育成]
幼成から所定の大きさへ成長した稚貝を中間育成用の大型タンクに移し、さらに育成させて養殖池へ稚貝の蒔き付け(放養)を行う。または大型タンクを経由せずに、直接養殖池に放養して稚貝の蒔き付けを行う。
蒔き付ける種苗のサイズは5〜10mmが中心とされ、密度は300〜700個/m2 が目安とされるが、適正サイズ、密度は適用する環境条件等によって適宜設定される。
尚、天然親貝を直接広大な養殖池に放養して、そのまま採卵から稚貝育成することも可能である。
幼成から所定の大きさへ成長した稚貝を中間育成用の大型タンクに移し、さらに育成させて養殖池へ稚貝の蒔き付け(放養)を行う。または大型タンクを経由せずに、直接養殖池に放養して稚貝の蒔き付けを行う。
蒔き付ける種苗のサイズは5〜10mmが中心とされ、密度は300〜700個/m2 が目安とされるが、適正サイズ、密度は適用する環境条件等によって適宜設定される。
尚、天然親貝を直接広大な養殖池に放養して、そのまま採卵から稚貝育成することも可能である。
[飼料生物の大量培養]
養殖池に稚貝の蒔き付けを行った後は、クルマエビの養殖池で別途繁殖させたプランクトンを供給する。
種苗生産と同様に成貝養成でも、飼料プランクトンの繁殖維持が最も重要である。
クルマエビの養殖池ではクルマエビの餌として大量の有機物が投入され、この有機物を栄養源として大量の植物プランクトンがクルマエビと共生して繁殖する。そのため、この植物プランクトンをアサリの餌として有効利用する。クルマエビの養殖池で繁殖する植物プランクトンはクルマエビが補食摂取しないために、一般的なクルマエビの養殖施設では池水の入れ換え等によって外洋に流出していたが、本発明ではその直物プランクトンを有効利用したものである。
一方、クルマエビ養殖に使用した後の池では砂床に多量の有機物が堆積しているため、珪藻(実際は多様なプランクトン種が混在)を豊富に繁殖させることが可能である。
尚、植物プランクトンの繁殖に際しては必要に応じ有機物を投入する。
このような繁殖池で繁殖させたプランクトンを養殖池へ供給する。供給方法はポンプ及びパイプでプランクトンの含まれる海水を取水して養殖池に放流する方法等、その他公知の方法による。供給量はプランクトンの繁殖密度、アサリの成長適度によって適宜設定する。
繁殖池には水流を起こすための水車または外部海洋の海水を取り入れるための給水手段、あるいは海水を循環させる循環手段等を設置する。
養殖池に稚貝の蒔き付けを行った後は、クルマエビの養殖池で別途繁殖させたプランクトンを供給する。
種苗生産と同様に成貝養成でも、飼料プランクトンの繁殖維持が最も重要である。
クルマエビの養殖池ではクルマエビの餌として大量の有機物が投入され、この有機物を栄養源として大量の植物プランクトンがクルマエビと共生して繁殖する。そのため、この植物プランクトンをアサリの餌として有効利用する。クルマエビの養殖池で繁殖する植物プランクトンはクルマエビが補食摂取しないために、一般的なクルマエビの養殖施設では池水の入れ換え等によって外洋に流出していたが、本発明ではその直物プランクトンを有効利用したものである。
一方、クルマエビ養殖に使用した後の池では砂床に多量の有機物が堆積しているため、珪藻(実際は多様なプランクトン種が混在)を豊富に繁殖させることが可能である。
尚、植物プランクトンの繁殖に際しては必要に応じ有機物を投入する。
このような繁殖池で繁殖させたプランクトンを養殖池へ供給する。供給方法はポンプ及びパイプでプランクトンの含まれる海水を取水して養殖池に放流する方法等、その他公知の方法による。供給量はプランクトンの繁殖密度、アサリの成長適度によって適宜設定する。
繁殖池には水流を起こすための水車または外部海洋の海水を取り入れるための給水手段、あるいは海水を循環させる循環手段等を設置する。
第2実施例に係る二枚貝の養殖方法を説明する。
第2実施例に係る二枚貝の養殖方法は、前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、植物プランクトンを繁殖させた繁殖池では、翌年にクルマエビを養殖する方法である。
クルマエビ養殖池では、クルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が砂床に堆積してヘドロ状になるが、プランクトンを繁殖させた繁殖池では砂床が浄化されてさらさらになる。
クルマエビの養殖方法は公知の技術が採用される。
第2実施例に係る二枚貝の養殖方法は、前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、植物プランクトンを繁殖させた繁殖池では、翌年にクルマエビを養殖する方法である。
クルマエビ養殖池では、クルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が砂床に堆積してヘドロ状になるが、プランクトンを繁殖させた繁殖池では砂床が浄化されてさらさらになる。
クルマエビの養殖方法は公知の技術が採用される。
第3実施例に係る二枚貝の養殖方法を説明する。
第3実施例に係る二枚貝の養殖方法は、前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換える方法である。
クルマエビ養殖池では、クルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が砂床に堆積してヘドロ状になるため、この除去が必要となり、池を干し上げて、砂中のヘドロを除去したり、砂を耕して空気に触れさせて更新したり、新しい砂と取り替えたりするなどの作業が必要となる。したがって、次の養殖を再開するまでに2、3ヶ月の養殖休止期間が必要となり、上記作業のための費用も必要となる。このため、生産効率が著しく損なわれていた。
しかし、クルマエビの養殖池で翌年にアサリを養殖することにより、クルマエビの養殖池の休止期間が確保され、アサリは海水を浄化する能力も有していることからヘドロが除去または低減される。
従って、翌年にはクルマエビの養殖に適した環境が整備され、単年ごとにクルマエビの養殖とアサリの養殖を切り換えて連作障害を解消しながら効率的に水産資源の養殖を行うことができる。
第3実施例に係る二枚貝の養殖方法は、前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換える方法である。
クルマエビ養殖池では、クルマエビの糞尿、残餌、脱皮殻などの有機物が砂床に堆積してヘドロ状になるため、この除去が必要となり、池を干し上げて、砂中のヘドロを除去したり、砂を耕して空気に触れさせて更新したり、新しい砂と取り替えたりするなどの作業が必要となる。したがって、次の養殖を再開するまでに2、3ヶ月の養殖休止期間が必要となり、上記作業のための費用も必要となる。このため、生産効率が著しく損なわれていた。
しかし、クルマエビの養殖池で翌年にアサリを養殖することにより、クルマエビの養殖池の休止期間が確保され、アサリは海水を浄化する能力も有していることからヘドロが除去または低減される。
従って、翌年にはクルマエビの養殖に適した環境が整備され、単年ごとにクルマエビの養殖とアサリの養殖を切り換えて連作障害を解消しながら効率的に水産資源の養殖を行うことができる。
第4実施例に係る二枚貝の養殖方法を説明する。
前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、サバヒー、ボラ、ナマコのうちいずれかを混養させるものである。
ボラは雑食性で、水底に積もったデトリタスや付着藻類を主な餌とする。水底で摂食する際は細かい歯の生えた上顎を箒のように、平らな下顎をちりとりのように使い、餌を砂泥ごと口の中にかき集める。石や岩の表面で藻類などを削り取って摂食する。という食性を有している。
デトリタス(Detritus)とは、生物遺体や生物由来の物質の破片や微生物の遺体、あるいはそれらの***物を起源とする微細な有機物粒子のことであり、通常はその表面や内部に繁殖した微生物群集を伴う。陸上の土壌に混入した有機物片のことを指す場合もあるが、多くの場合は水中のそれを指す。プランクトンとともに水中の懸濁物(けんだくぶつ、セストン)の重要な構成要素であり、堆積物にも多く含まれる。
サバヒーは(学名 Chanos chanos )は、ネズミギス目サバヒー亜目サバヒー科サバヒー属に属する魚であり、藻類を主食とし、砂床に堆積した有機物等を食する。
ナマコは、きょく皮動物門ナマコ綱に属する海洋生物であり、海底に棲息してデトリタスを主な餌とし、水中に触手を広げ、海中を漂う有機物を集めて食べ、または海底表面のデトリタスを舐めとるように食べ、あるいは、砂と共に口にかき集めて食べる習性を有している。
前記第1実施例で説明した二枚貝の養殖方法において、サバヒー、ボラ、ナマコのうちいずれかを混養させるものである。
ボラは雑食性で、水底に積もったデトリタスや付着藻類を主な餌とする。水底で摂食する際は細かい歯の生えた上顎を箒のように、平らな下顎をちりとりのように使い、餌を砂泥ごと口の中にかき集める。石や岩の表面で藻類などを削り取って摂食する。という食性を有している。
デトリタス(Detritus)とは、生物遺体や生物由来の物質の破片や微生物の遺体、あるいはそれらの***物を起源とする微細な有機物粒子のことであり、通常はその表面や内部に繁殖した微生物群集を伴う。陸上の土壌に混入した有機物片のことを指す場合もあるが、多くの場合は水中のそれを指す。プランクトンとともに水中の懸濁物(けんだくぶつ、セストン)の重要な構成要素であり、堆積物にも多く含まれる。
サバヒーは(学名 Chanos chanos )は、ネズミギス目サバヒー亜目サバヒー科サバヒー属に属する魚であり、藻類を主食とし、砂床に堆積した有機物等を食する。
ナマコは、きょく皮動物門ナマコ綱に属する海洋生物であり、海底に棲息してデトリタスを主な餌とし、水中に触手を広げ、海中を漂う有機物を集めて食べ、または海底表面のデトリタスを舐めとるように食べ、あるいは、砂と共に口にかき集めて食べる習性を有している。
ボラ、サバヒー、ナマコはアサリとの関係において捕食の関係に無く、浅水での養殖が可能なためアサリと共生が可能である。
アサリの養殖池にボラ、サバヒー、ナマコを入れて共に養殖することにより、砂床に堆積した有機物をボラ、サバヒーまたはナマコが食してアサリの棲息環境を浄化する。
ボラ、サバヒー、ナマコの養殖方法は公知の技術が採用される。
アサリの養殖池にボラ、サバヒー、ナマコを入れて共に養殖することにより、砂床に堆積した有機物をボラ、サバヒーまたはナマコが食してアサリの棲息環境を浄化する。
ボラ、サバヒー、ナマコの養殖方法は公知の技術が採用される。
第5実施例に係る二枚貝の養殖施設を説明する。
本発明の二枚貝の養殖施設は、図1に示すように、沿岸海洋の所定の領域を囲って形成した養殖池1と、養殖池1に隣接して同じく海洋沿岸の所定の領域を囲って形成した繁殖池2と、繁殖池2の海水を養殖池1へ送水する送水手段3と主要な構成としている。
クルマエビの養殖施設は海洋上の仕切り4と砂床を有しているため、アサリの養殖施設として転用が可能である。前記養殖池1と繁殖池2はクルマエビの養殖施設に使用された仕切り4と砂床を転用したものであるが、仕切りの網目の大きさ等についてはアサリ種類、大きさ等に応じて適宜設定する。
養殖池1の水深は数十cm〜数mに設定するが、干潟が生じる場合であっても適用可能である。
本発明の二枚貝の養殖施設は、図1に示すように、沿岸海洋の所定の領域を囲って形成した養殖池1と、養殖池1に隣接して同じく海洋沿岸の所定の領域を囲って形成した繁殖池2と、繁殖池2の海水を養殖池1へ送水する送水手段3と主要な構成としている。
クルマエビの養殖施設は海洋上の仕切り4と砂床を有しているため、アサリの養殖施設として転用が可能である。前記養殖池1と繁殖池2はクルマエビの養殖施設に使用された仕切り4と砂床を転用したものであるが、仕切りの網目の大きさ等についてはアサリ種類、大きさ等に応じて適宜設定する。
養殖池1の水深は数十cm〜数mに設定するが、干潟が生じる場合であっても適用可能である。
送水手段3は繁殖池2の海水を取り入れる取水パイプ5と、取水した海水を養殖池1へ放流する排水パイプ6と、これらの海水を輸送するポンプ7を備えている。
送水手段3によってプランクトンが養殖池1に供給されアサリへの給餌が行われる。
ポンプ7による送水量、送水時間等はプランクトンの繁殖密度、アサリの養殖密度、成長段階によって適宜設定される。
養殖池1と繁殖池2は施工場所に応じて面積、設置数は適宜設定され、繁殖池2を集約させて、そこから多方向へ送水パイプを延設して各養殖池1に供給する構成とすることも可能である。
必要に応じ酸素供給手段が設置される。この酸素供給手段はクルマエビの養殖施設に使用されるものと同様に、水車、海水の循環装置等から構成される。
送水手段3によってプランクトンが養殖池1に供給されアサリへの給餌が行われる。
ポンプ7による送水量、送水時間等はプランクトンの繁殖密度、アサリの養殖密度、成長段階によって適宜設定される。
養殖池1と繁殖池2は施工場所に応じて面積、設置数は適宜設定され、繁殖池2を集約させて、そこから多方向へ送水パイプを延設して各養殖池1に供給する構成とすることも可能である。
必要に応じ酸素供給手段が設置される。この酸素供給手段はクルマエビの養殖施設に使用されるものと同様に、水車、海水の循環装置等から構成される。
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、養殖用水としては人工海水や栄養塩を含む無菌性の深層水を利用することも可能である。
例えば、養殖用水としては人工海水や栄養塩を含む無菌性の深層水を利用することも可能である。
1 養殖池
2 繁殖池
3 送水手段
4 仕切り
5 取水パイプ
6 排水パイプ
7 ポンプ
2 繁殖池
3 送水手段
4 仕切り
5 取水パイプ
6 排水パイプ
7 ポンプ
Claims (9)
- 養殖池に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、
クルマエビの養殖池を繁殖池として利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、
繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うことを特徴とする二枚貝の養殖方法。 - 養殖池に二枚貝の稚貝の蒔き付けを行い、
クルマエビの養殖に使用した後の池を利用して二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させ、
繁殖池で培養したプランクトンを順次二枚貝の養殖池に供給しながら養殖を行うことを特徴とする二枚貝の養殖方法。 - 前記二枚貝の稚貝の育成においては、種苗の段階では飼料プランクトンを種苗と同一タンクで大量培養する方法とした請求項1又は2記載の二枚貝の養殖方法。
- クルマエビの養殖池と二枚貝の養殖池を年ごとに入れ換えることを特徴とする請求項1記載の二枚貝の養殖方法。
- プランクトンを繁殖させた繁殖池では翌年にクルマエビを養殖することを特徴とする請求項2記載の二枚貝の養殖方法。
- 請求項1〜3いずれか記載の養殖方法に使用する二枚貝の養殖施設であって、
二枚貝を養殖する養殖池と、
二枚貝の餌となるプランクトンを繁殖させる繁殖池と、
繁殖池で繁殖させたプランクトンを含む海水を養殖池へ送水する送水手段を備えたことを特徴とする二枚貝の養殖施設。 - 養殖池の海水に溶存酸素を供給する酸素供給手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の二枚貝の養殖施設。
- 前記二枚貝としてアサリ、ハマグリ、赤貝、ホタテガイ、マガキのうちいずれかを養殖する構成とした請求項7記載の二枚貝の養殖施設。
- 養殖池ではサバヒー、ボラ、ナマコのうちいずれかを混養することを特徴とする請求項6〜8いずれか記載の二枚貝の養殖施設。
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