JP2011218389A - ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法 - Google Patents

ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス成形時にブランク材が破損してしまう成形異常を確実に検知することができるように、ブランク材破損検知センサの設置位置を評価することができる方法を提供する。
【解決手段】ブランク材要素ごとに算出された、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときの成形下死点到達時接触面圧Pのうち、所定の閾値以上の成形下死点到達時接触面圧Pを示したブランク材要素とその周辺のブランク材要素を抽出し、その抽出したブランク材要素のうち、相互に隣接するブランク材要素の結合を分離して、再度、有限要素法を適用して、ブランク材要素ごとに、参照用成形下死点到達時接触面圧Pを算出し、PとPの差の絶対値|P−P|であるΔPを、ブランク材要素に対応するプレス成形用工具要素ごとに検討・評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレス成形中のブランク材に破損が生じたことを検知するセンサの設位置を評価する方法に関する。詳しくは、有限要素法を用いた、ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法に関する。
ポンチやダイス、しわ押さえ金型などで構成されるプレス成形用工具を用いて、ブランク材をプレス成形する場合、プレス成形用工具の表面(成形面)に造型された湾曲凸形状、特に、小さな曲率半径を有するビードや突起などをブランク材に転写する際、割れやしわ、ブランク材の特定断面に塑性変形が集中してくびれを生じるネッキングなどが発生し、ブランク材が破損してしまう成形異常が問題になる。
このような、割れやしわ、ネッキングなどは、その大きさが微小で、発生頻度もそれ程高くないため、製造工程でこれらの成形異常を発見することは難しい。
ブランク材の破損は、プレス成形時における、ブランク材とプレス成形用工具との間の摩擦力によって発生する接触面圧が増大することが原因である。
本発明者らの一部は、特許文献1及び非特許文献1で、このような接触面圧の増大を、プレス成形用工具の内部に設置した圧電センサで検知することを提案した。
これは、接触面圧の増大により、プレス成形用工具が、僅かに弾性変形することを、圧電センサで検知することを原理とするものである。
特開2009−12043号公報
「高張力鋼板の成形一貫技術開発(金型摩擦センサーの開発)」、第57回塑性加工連合講演会講演論文集(平成18年10月31日〜11月2日、高岡商工会議所商工ビル)、社団法人日本塑性加工学会発行(平成18年10月17日)pp.165−166
特許文献1及び非特許文献1に記載された、プレス成形用工具の内部に圧電センサを設置する方法は、プレス成形中のブランク材に、割れやしわ、ネッキングなど、ブランク材が破損してしまう成形異常が発生した際、圧電センサの設置箇所が適切であれば、ブランク材の僅かな破損であっても、成形異常を検知することができる。
したがって、プレス成形用工具の内部に設置した圧電センサは、プレス成形時のブランク材破損検知センサとして使用することができる。
しかしながら、ブランク材破損検知センサの設置場所の決定は、プレス成形品や、プレス成形用工具の設計者の経験や知見に依存していることが多かった。
また、近年では、特に自動車用を中心として、プレス成形品の形状が複雑化する傾向にあり、ブランク材破損検知センサの設置位置を、設計者の経験や知見だけで的確に決定することが難しくなってきている。
本発明は、上記の実情に鑑み、プレス成形時にブランク材が破損してしまう成形異常を検知するためのブランク材破損検知センサを、プレス成形用工具の内部に設置するに際し、成形異常を確実に検知することができるように、ブランク材破損検知センサの設置位置を検討・評価することができる、ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者らは、プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有する解析用モデルに有限要素法を適用し、種々の解析を行い、検討を重ねた。
その結果、着プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有するモデルを用いて、前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に有限要素法を適用し、前記プレス成形用工具の成形下死点手前所定位置到達時に、前記プレス成形用工具と前記ブランク材との間で発生する成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、該成形下死点手前所定位置到達時接触面圧が所定の閾値以上となる前記ブランク材の部位を抽出し、該部位の前記ブランク材要素のうち、相互に隣接する前記ブランク材要素間での有限要素法における数値の交換を制限する変更モデルを作成し、該変更モデルに再度、有限要素法を適用して参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、前記成形下死点手前所定位置到達時接触面圧と前記参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧との差が所定値より大きくなる部位で前記ブランク材が破損すると予測して、前記ブランク材破損検知センサの前記プレス成形用工具への設置位置を決定することを着想した。
そして、ブランク材要素ごとに算出された、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときの成形下死点到達時接触面圧P0のうち、所定の閾値以上の成形下死点到達時接触面圧P0を示したブランク材要素とその周辺のブランク材要素を抽出し、その抽出したブランク材要素のうち、相互に隣接するブランク材要素の結合を分離して、再度、有限要素法を適用して、ブランク材要素ごとに、参照用成形下死点到達時接触面圧Piを算出し、P0とPiの差の絶対値|P0−Pi|であるΔPiを、ブランク材要素に対応するプレス成形用工具要素ごとに検討することで、ブランク材の破損を検知するセンサの最適設置位置を選定することができることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに改良を加えて完成されたもので、その要旨は次の通りである。
(1)プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有するモデルを用いて、前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に有限要素法を適用し、前記プレス成形用工具の成形下死点手前所定位置到達時に、前記プレス成形用工具と前記ブランク材との間で発生する成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、該成形下死点手前所定位置到達時接触面圧が所定の閾値以上となる前記ブランク材の部位を抽出し、該部位の前記ブランク材要素のうち、相互に隣接する前記ブランク材要素間での有限要素法における数値の交換を制限する変更モデルを作成し、該変更モデルに再度、有限要素法を適用して参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、前記成形下死点手前所定位置到達時接触面圧と前記参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧との差が所定値より大きくなる部位で前記ブランク材が破損すると予測して、前記ブランク材破損検知センサの前記プレス成形用工具への設置位置を決定することを特徴とする、ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
(2)プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有する有限要素法用の第1次解析モデルを作成する、第1次解析モデル作成ステップと、
前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に、前記第1次解析モデルを用いる有限要素法を適用し、前記プレス成形用工具の成形下死点手前所定位置到達時に、前記プレス成形用工具と前記ブランク材との間で発生する成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfと、前記プレス成形用工具の成形下死点到達時に、前記ブランク材と前記プレス成形用工具との間で発生する成形下死点到達時接触面圧P0とを、前記プレス成形用工具要素ごと及び前記ブランク材要素ごとに算出する、第1次解析ステップと、
前記成形下死点到達時接触面圧P0が算出された前記ブランク材要素のうち、所定の閾値以上の前記成形下死点到達時接触面圧P0が算出された前記ブランク材要素を、高P0ブランク材要素として抽出する、高P0ブランク材要素抽出ステップと、
前記高P0ブランク材要素から所定の範囲内に存在する前記ブランク材要素を、周辺ブランク材要素として抽出する、周辺ブランク材要素抽出ステップと、
前記高P0ブランク材要素及び前記周辺ブランク材要素からなる抽出ブランク材要素を、相互に隣接する2つの前記抽出ブランク材要素で構成されるi組(ただし、iは1〜nの整数)のブランク材要素組Aiとする、ブランク材要素組Ai生成ステップと、
前記ブランク材要素組Aiを構成する抽出ブランク材要素SAi,1と抽出ブランク材要素SAi,2とが共有する節点Ni,1及びNi,2について、Ni,1をNi,1aとNi,1bとに、Ni,2をNi,2aとNi,2bとに分離し、前記ブランク材要素組Aiを、抽出ブランク材要素SBi,1と抽出ブランク材要素SBi,2とで構成されるブランク材要素組Biに変換する、ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップと、
前記第1次解析用モデルの前記ブランク材要素組Aiを、前記ブランク材要素組Biに置換して第(i+1)次解析用モデルを作成する、第(i+1)次解析用モデル作成ステップと、
前記成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfに基づき、前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に、前記第(i+1)次解析用モデルを用いる有限要素法を適用し、前記成形下死点到達時接触面圧P0に対する、参照用成形下死点到達時接触面圧Piを、前記プレス成形用工具要素ごと、及び、前記ブランク材要素組Aiを前記ブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素ごとに算出する、第(i+1)次解析ステップと、
前記成形下死点到達時接触面圧P0と前記参照用成形下死点接触面圧Piとの差の絶対値|P0−Pi|であるΔPiを、前記プレス用成形工具要素ごと、及び、前記ブランク材要素組Aiを前記ブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素ごとに算出する、ΔPi算出ステップと、
1〜nの整数iについて、前記ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップ、前記第(i+1)次解析用モデル作成ステップ、前記第(i+1)次解析ステップ、及び前記ΔPi算出ステップを繰り返し実行し、前記プレス成形用工具要素ごとに、ΔPiを下記(1)式に基づき合計する、ΔPi合計値算出ステップと、
前記ΔPi合計値のうち、前記プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素それぞれのΔPi合計値を、プレス成形用工具成形面ひずみ指数として出力する、プレス成形用工具成形面ひずみ指数出力ステップと、
プレス成形時の前記ブランク材の破損を検知するセンサの設置位置は、前記プレス成形用工具成形面ひずみ指数が所定数値以上である前記プレス成形用工具要素から、所定深さ以内であると判定する、ブランク材破損検知センサ設置位置判定ステップと、
を有することを特徴とする、上記(1)に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
Figure 2011218389
(3)前記成形下死点手前所定位置が、成形下死点手前5mmであることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
(4)前記プレス成形用工具要素がリジット要素、前記ブランク材要素が弾塑性変形可能なシェル要素であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
(5)前記プレス成形用工具成形面ひずみ指数を、前記プレス成形用工具成形面の等高線図(コンタ図)として出力することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のブランク材破損センサ設置位置評価方法。
(6)前記ブランク材破損検知センサが、圧電センサであることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
(7)前記所定深さが、15mmであることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
本発明によれば、プレス成形時にブランク材が破損してしまう成形異常を検知するセンサの設置位置を、3次元的に複雑な形状を有するプレス成形用工具であっても、プレス成形用工具の製作前の設計段階で、数値解析により事前に検討・評価し、決定することができ、そして、成形異常が発生したプレス成形品を、容易に発見することができる。
本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法を説明するフローチャートである。 ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップを説明する図であり、(a)は変換前のブランク材要素組Aiの節点構成を、(b)は変換後のブランク材要素組Bi変換の節点構成を示す。 相互に隣接する2つの抽出ブランク材のうちの一方が、3つの節点からなる場合における、ブランク材要素組Aiをブランク材要素組Biに変換する、ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップを説明する図であり、(a)は変換前のブランク材要素組Aiの節点構成を、(b)は変換後のブランク材要素組Biの節点構成を示す。 本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法を適用する、自動車用車体部材の外観を示す図である。 抽出された高P0ブランク材要素及び周辺ブランク材要素の分布を示す図である。 プレス成形用工具成形面ひずみ指数が、成形下死点到達時接触面圧P0の5%以上10%未満である、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素の分布を示す図である。 プレス成形用工具成形面ひずみ指数が、成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上である、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素の分布を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の一例について説明する。図1は、本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法を説明するフローチャートである。以下、図1に示したステップごとに説明する。
(ステップS1)
まず、有限要素法を適用するためのモデルを作成する。作成された有限要素法用モデルは、ポンチ、ダイス及びしわ押さえ金型などのプレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素を有し、後述する次のステップS2で実行する第1次解析に供されるもので、第1次解析モデルと呼ぶことにする。
実際のプレス成形中には、プレス成形用工具も僅かに弾性変形するが、ブランク材の弾塑性変形量と比較すると、プレス成形用工具の弾性変形量は遥かに小さいため、第1次解析モデルにおいて、プレス成形用工具は、弾性変形を考慮しないリジット要素で定義することが好ましい。
プレス成形中は、作用・反作用の法則により、プレス成形用工具とブランク材の双方に同一の力が作用するが、プレス成形用工具をリジット要素で定義することにより、有限要素法で算出される、プレス成形用工具に作用する力の、プレス成形用工具の部位による差異が明確になり都合がよい。
ブランク材は、通常、1.5〜5.0mmの薄板であることから、ブランク材要素はシェル要素で定義することが好ましい。また、プレス成形により、ブランク材は、弾性変形することはもちろんのこと、大きく塑性変形するため、ブランク材要素を弾塑性変形可能なシェル要素で定義することが好ましい。
(ステップS2)
第1次解析では、プレス成形用工具がブランク材に接触したときを解析開始とし、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときを解析終了とする。なお、解析には、市販の弾塑性解析ソルバーを使用することができる。
第1次解析の結果として算出されるデータは、ブランク材とプレス成形用工具との間で発生する接触面圧で、プレス成形用工具要素ごと、及びブランク材要素ごとに出力される。なお、以下の説明で、単に「接触面圧」と表記した場合には、特に断りのない限り、「ブランク材とプレス成形用工具との間で発生する接触面圧」を意味するものとする。
接触面圧は、第1次解析を開始する前に設定したタイムステップごとに出力されるが、プレス成形用工具が成形下死点手前所定位置に到達したときの接触面圧を、成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfとして有限要素法の出力ファイルに保存する。同様に、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときの接触面圧を、成形下死点到達時接触面圧P0として有限要素法の出力ファイルに保存する。
(ステップS3)
成形下死点到達時接触面圧P0は、すべてのプレス成形用工具要素及びブランク材要素に対して出力されるが、それらのうち、所定の閾値以上の成形下死点到達時接触面圧P0が出力されたブランク材要素を抽出する。抽出されたブランク材要素は、高P0ブランク材要素と呼ぶことにする。
所定の閾値は、解析開始前に、有限要素法の入力ファイルに記述しておくか、あるいは、成形下死点到達時接触面圧P0を、プレス成形用工具の成形面上でコンタ図(等高線図)などで出力し、成形下死点到達時接触面圧P0の分布を確認してから閾値を決めてもよい。
成形下死点到達時接触面圧P0とブランク材に作用する張力には相関があり、一般に成形下死点到達時接触面圧P0が高くなると、ブランク材に作用する張力も高くなり、ブランク材が破損することを意味する。
成形下死点到達時接触面圧P0が所定の閾値を超えたことにより、ブランク材に作用する張力が引張強さを大きく超える場合には、プレス成形時に大きな破損が生じ、その発生頻度も非常に高い。
本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法は、プレス成形時に発生するブランク材の微小な破損による成形異常であって、その発生頻度がそれ程高くないものを検知することを対象としている。
したがって、所定の閾値を大きく超える成形下死点到達時接触面圧P0を示すブランク材要素が認められる場合には、プレス成形品の形状(プレス成形用工具の形状)や成形条件を変更し、再度、第1次解析を行ってから閾値を決定する。
閾値は、ブランク材の引張強さを基準に、プレス成形品の形状や、成形圧力、成形速度、潤滑剤(潤滑油)の種類などの成形条件等を考慮して決定され、具体的には下記の(2)式より算出される接触面圧Pの10%とすることが好ましい。
Figure 2011218389
ここで、t:ブランク材の板厚、TB:ブランク材の引張強さ、r:ブランク材とプレス成形用工具との接触部の曲率半径である。
例えば、t=0.7mm、TB=280MPa、r=10mmのとき、接触面圧P=17.6MPaと算出されるので、その10%である1.76MPaを閾値とする。
なお、プレス成形品に複数のr(ブランク材とプレス成形用工具との接触部の曲率半径)が存在する場合は、それらのうち、最も小さい値を、rとして採用する。
rが小さいほど接触面圧Pが高くなり、ブランク材は破損し易くなるため、複数のrのうち、最も小さい値をrとして採用することで、ブランク材全体で最も破損しやすい部位で閾値を決定したことになる。
(ステップS4)
ブランク材の高P0ブランク材要素に相当する部位の周辺は、実際のプレス成形においては、成形下死点到達時接触面圧P0が閾値未満であっても、成形条件のばらつき等で、破損することが少なくない。したがって、高P0ブランク材要素から所定の範囲内に存在するブランク材要素を、周辺ブランク材要素として抽出し、高P0ブランク材要素と同様の取り扱いをする。
ここで、所定の範囲としては、例えば、「高P0ブランク材要素から周囲10ブランク材要素以内、又は、高P0ブランク材要素から周囲20ブランク材要素以内に、プレス成形品の形状で隅R5以下又は角R5以下(プレス成形用工具の形状で角R5以下又は隅R5以下)の深絞り形状が存在する場合には、高P0ブランク材要素から深絞り形状が存在する部位に相当するブランク材要素までのブランク材要素のうち、高P0ブランク材要素を除いたブランク材要素を、周辺ブランク材要素とする。」と設定することができる。
所定の範囲は、解析開始前に、有限要素法の入力ファイルに記述しておくか、あるいは、成形下死点到達時接触面圧P0を、プレス成形用工具の成形面上でのコンタ図などで出力し、成形下死点到達時接触面圧P0の分布を確認してから所定の範囲を決めてもよい。
(ステップS5)
ステップS3で抽出した高P0ブランク材要素と、ステップS4で抽出した周辺ブランク材要素を便宜上、抽出ブランク材要素と呼ぶことにする。抽出ブランク材要素のうち、相互に隣接する2つの抽出ブランク材要素を組み合わせ、ブランク材要素組Aiを生成する。
ブランク材要素組Aiの数は、ステップS3での閾値の設定や、高P0ブランク材要素の分布により異なる。例えば、相互に隣接する2つの抽出ブランク材要素の組合せが、100組できる場合(相互に隣接する2つの抽出ブランク材要素が100組存在する場合)、ブランク材要素組A1、A2、・・・・A100を生成する。この場合、ブランク材要素組Ai(i=1〜100)と記述するものとする。
(ステップS6)
ステップS5で、相互に隣接する2つのブランク材要素を組み合わせたブランク材要素組Aiは、以下に説明するようにブランク材要素組Biに変換される。
図2は、ブランク材要素組Aiをブランク材要素組Biに変換する、ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップを説明する図であり、(a)は変換前のブランク材要素組Aiの節点構成を、(b)は変換後のブランク材要素組Biの節点構成を示す。
ブランク材要素組Aiは、2つの隣接するブランク材要素SAi,1、SAi,2で構成される。ブランク材要素SAi,1は、節点Ni,1、Ni,2、Ni,3、Ni,4からなる。ブランク材要素SAi,2は、節点Ni,1、Ni,2、Ni,5、Ni,6からなる。
節点Ni,1、Ni,2は、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2とで共有されており、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2とが拘束されている。
ステップS6では、共有節点であるNi,1及びNi,2について、Ni,1をNi,1aとNi,1bに、Ni,2をNi,2aとNi,2bに分離し、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2との拘束を解除する。
そして、ブランク材要素SAi,1は、節点Ni,1a、Ni,2a、Ni,3、Ni,4からなるブランク材要素SBi,1に変換され、ブランク材要素SAi,2は、節点Ni,1b、Ni,2b、Ni,5、Ni,6からなるブランク材要素SBi,2に変換される。
このように、2つの拘束されたブランク材要素SAi,1、SAi,2で構成されるブランク材要素組Aiは、2つの拘束を解除されたブランク材要素SBi,1、SBi,2で構成されるブランク材要素組Biに変換される。
2つのブランク材要素の拘束が解除されると、2つのブランク材要素間では応力が伝達されなくなり、拘束が解除される以前に2つのブランク材要素が分担していた応力を、2つのブランク材要素の周辺に存在するブランク材要素が代わりに分担することになるため、ブランク材に微小な破損が生じた状態を数値解析で表現することが可能となる。
なお、ブランク材要素組Aiを構成する、2つのブランク材要素SAi,1、SAi,2のうち、一方又は両方のブランク材要素が、3つの節点からなる場合も同様に変換される。
例えば、図3は、ブランク材要素SAi,2が3つの節点からなる場合における、ブランク材要素組Aiをブランク材要素組Biに変換する、ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップを説明する図であり、(a)は変換前のブランク材要素組Aiの節点構成を、(b)は変換後のブランク材要素組Biの節点構成を示す。
図3に示すように、ブランク材要素SAi,1は、節点Ni,1、Ni,2、Ni,3、Ni,4からなる。ブランク材要素SAi,2は、節点Ni,1、Ni,2、Ni,5からなる。節点Ni,1、Ni,2は、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2とで共有されており、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2とが拘束されている。
ステップS6では、共有節点であるNi,1及びNi,2について、Ni,1をNi,1aとNi,1bに、Ni,2をNi,2aとNi,2bに分離し、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2との拘束を解除する。
そして、ブランク材要素SAi,1は、節点Ni,1、Ni,2、Ni,3a、Ni,4aからなるブランク材要素SBi,1に変換され、ブランク材要素SAi,2は、節点Ni,1b、Ni,2b、Ni,5からなるブランク材要素SBi,2に変換される。
なお、図3では、ブランク材要素SAi,2が3つの節点からなる場合を示したが、ブランク材要素SAi,1が3つの節点からなる場合、ブランク材要素SAi,1とブランク材要素SAi,2の両方が3つの節点からなる場合も同様に変換される。
(ステップS7)
ステップS1で作成した第1次解析用モデルにおいて、ブランク材要素組Aiの部分のみをブランク材要素Biに置換して、第(i+1)次解析用モデルを作成する。
例えば、i=1のとき、第1次解析用モデルにおいて、ブランク材要素組A1の部分のみをブランク材要素B1に置換して、第2次解析用モデルを作成する。後述するように、次のステップS8で、第(i+1)次解析を実行するが、ステップS1で、既に1回解析を実行(第1次解析)しているので、ステップS8では、第(i+1)次解析の実行となり、その第(i+1)次解析用モデルを作成するのが、このステップS7である。
なお、すべての第(i+1)次解析用モデル(ただし、i=1〜n(nは1以上の整数))も、置換前のモデルは第1次解析用モデルである。例えば、第5次解析用モデルは、第1次解析用モデルにおいて、ブランク材要素組A4の部分のみをブランク材要素B4に置換したモデルであり、第13次解析用モデルは、第1次解析用モデルにおいて、ブランク材要素組A12の部分のみをブランク材要素B12に置換したモデルである。
(ステップS8)
ステップS7で作成した第(i+1)次解析用モデルを用いて、第(i+1)次解析を実行する。第(i+1)次解析でも、プレス成形用工具がブランク材に接触したときを解析開始とし、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときを解析終了とするが、プレス成形用工具がブランク材に接触したときから、プレス成形用工具が成形下死点手前所定位置に到達するまでは、ステップS2で有限要素法の出力ファイルに保存された成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfのデータを使用して数値解析する。
つまり、プレス成形用工具がブランク材に接触したときから、プレス成形用工具が成形下死点手前所定位置に到達するまでについては、第1次解析用モデルを使用して数値解析していることになる。
これは、プレス成形中に発生するブランク材の破損、特に、微小な破損については、プレス成形用工具が成形下死点手前所定位置に到達した後の接触面圧が重要であるため、プレス成形用工具がブランク材に接触したときから、プレス成形用工具が成形下死点手前所定位置に到達するまでについては、第1次解析で1度解析すれば十分で、繰り返し解析する必要がないからである。
このように、成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfを使用することで、第(i+1)次解析の解析時間を大幅に短縮することができる。
算出された接触面圧は、第(i+1)次解析を開始する前に設定したタイムステップごとに出力されるが、プレス成形用工具が成形下死点に到達したときの接触面圧を、参照用成形下死点到達時接触面圧Piとして有限要素法の出力ファイルに保存する。このステップS8で算出された参照用成形下死点到達時接触面圧Piは、次のステップS9で、ステップS2で算出された成形下死点到達時接触面圧P0と比較する演算を実行するので、「参照用」とした。
なお、参照用成形下死点到達時接触面圧Piは、すべてのプレス成形用工具要素及びブランク材要素に対して出力されるが、ブランク材要素については、ステップS6でブランク材要素組Aiをブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素すべてに対して出力される。
また、成形下死点手前所定位置、即ち、ブランク材の微小破損を数値解析で再現するために繰り返し解析を開始する位置は、プレス成形品の形状により異なるが、成形下死点手前5mmとすることが好ましい。
成形下死点手前5mmよりも離れた位置、例えば、成形下死点手前8mmから繰り返し解析を行うと、ブランク材の微小破損とは関係ないタイムステップの解析時間が多くなる。
一方、成形下死点手前5mmよりも成形下死点に近い位置、例えば、成形下死点手前3mmから繰り返し解析を行うと、ブランク材の微小破損が発生し易いタイムステップ、例えば、成形下死点手前5〜3mmの間について、精密な解析、即ち、繰り返し解析を行わないことにより、ブランク材の微小破損を数値解析で再現することが難しくなる。
したがって、実際のプレス成形において経験的に知られている、ブランク材の微小破損が発生し易い、成形下死点手前5mmから成形下死点までについて繰り返し解析する、即ち、成形下死点手前5mmを成形下死点手前所定位置とすることが好ましい。
(ステップS9)
ステップS2で算出した成形下死点到達時接触面圧P0と、ステップS8で算出した参照用成形下死点到達時接触面圧Piとの差の絶対値|P0−Pi|であるΔPiを算出する。
なお、ΔPiは、すべてのプレス成形用工具要素及びブランク材要素に対して出力されるが、ブランク材要素については、ステップS6でブランク材要素組Aiをブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素すべてに対して出力する。
ここで、ΔPiが大きいことは、ブランク材要素組Ai(拘束された相互に隣接する2つのブランク材要素)でモデル化された第1次解析モデルで得られた成形下死点到達時接触面圧P0と、ブランク材要素組Bi(拘束が解除された相互に隣接する2つのブランク材要素)でモデル化された第(i+1)次解析モデルで得られた参照用成形下死点到達時接触面圧Piとの差が大きいことを表している。
ブランク材の微小破損発生を数値解析で表現した前後で、成形下死点到達時接触面圧の差が大きく異なることは、ブランク材の微小破損発生を数値解析で表現する際には、相互に隣接する2つのブランク材要素の拘束の影響が大きいことを意味する。
相互に隣接する2つのブランク材要素の拘束が解除されると、2つのブランク材要素間では応力が伝達されなくなる。そして、拘束が解除される以前に、2つのブランク材要素が分担していた応力は、2つのブランク材要素の周辺に存在する要素に分散されることにより応力の分布が変化する。したがって、相互に隣接する2つのブランク材要素の拘束が解除されたとき、接触面圧の増減する箇所(すなわち、ΔPiが大きい箇所)が発生する。
大きいΔPiを示す部位は、相互に隣接する2つのブランク材要素の拘束が解除されることによる影響が大きい。このことは実際のプレス成形では、ブランク材の微小破損が発生したときに、その現象を接触面圧の変化により検知しやすいことを意味する。したがって、大きいΔPiを示す部位にブランク材破損検知センサを設置すればよい。
(ステップS10)
ΔPiの分布を求めるために、ステップS6〜ステップS9を、1〜nの整数iについて繰り返し実行し、プレス成形用工具要素ごとに、下記の(1)式に基づいて合計し、ΔPi合計値を算出する。
Figure 2011218389
つまり、ブランク材要素組Ai→Bi変換(ステップS6)が、すべてのブランク材要素組Aiについて実行される。例えば、ブランク材要素組Ai(i=1〜100)の場合、100組のAiについて実行される。
ブランク材要素組Ai(i=1〜100)のうち、例えば、ブランク材要素組A43の場合、節点N43,1、N43,2、N43,3、N43,4からなるブランク材要素SA43,1と、節点N43,1、N43,2、N43,5、N43,6からなるブランク材要素SA43,2とを、N43,1a、N43,2a、N43,3、N43,4からなるブランク材要素SB43,1と、節点N43,1b、N43,2b、N43,5、N43,6からなるブランク材要素SB43,2とで構成されるブランク材要素組B43に変換される。
そして、すべてのi(i=1〜100)について、ブランク材要素組の変換が行われた第(i+1)次解析用モデルについて第(i+1)次解析とΔPi算出が実行される(ステップS6〜ステップS9を、1〜nの整数iについて繰り返し実行する)ことで、ステップS5で生成された、すべてのブランク材要素組で作成された第(i+1)次解析モデルについて、プレス成形工具が成形下死点手前所定位置から成形下死点に到達するまでの解析を行ったことになる。
(ステップS11)
ステップS10で、プレス成形用工具要素ごとに合計されたΔPi合計値のうち、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素それぞれのΔPi合計値を、プレス成形用工具成形面ひずみ指数として出力する。
ΔPi合計値は、接触面圧の変化量であることから、ΔPi合計値の大小は、接触面圧によって発生する、プレス成形用工具に発生するひずみの大小を表す指数とすることができる。
そして、プレス成形用工具要素それぞれのΔPi合計値のうち、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素それぞれのΔPi合計値は、プレス成形用工具成形面ひずみ指数として、プレス成形用工具の成形面に発生した、ひずみの大小の分布を示す指数とすることができる。
(ステップS12)
ステップS11で出力したプレス成形用工具成形面ひずみ指数が、所定数値以上である場合には、その所定数値以上を示すプレス成形用工具要素から、所定深さ以内に、ブランク材破損検知センサを設置することがよいと判断する。
プレス成形用工具成形面ひずみ指数を、プレス成形工具の成形面での等高線図(コンタ図)として出力すると、プレス成形用工具成形面ひずみ指数の、プレス成形用工具の成形面での分布が明確に分かるため、プレス成形用工具のどこにブランク材破損検知センサを設置するかを簡単に評価することができる。
ブランク材破損検知センサは、プレス成形用工具の成形面から深い場所(成形面から離れた場所)に設置するほど、検知感度が低下する。したがって、プレス成形用工具成形面ひずみ指数の所定数値は、ブランク材破損検知センサを設置する、プレス成形用工具の成形面からの深さを勘案して決定すればよい。
ただし、ブランク材破損検知センサの設置深さが、成形面からの深さで15mmを超えると、極端に検知感度が低下する。したがって、ブランク材破損検知センサのプレス成形用工具の成形面からの設置深さは、15mm以下とすることが好ましい。
また、プレス成形用工具成形面ひずみ指数は、プレス成形時に、プレス成形用工具とブランク材との間の摩擦力に起因する接触面圧によって発生するひずみの、プレス成形用工具成形面における相対的分布を示すものであることから、成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上とすることが好ましい。
これは、プレス成形用工具成形面ひずみ指数が成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上である場合、成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上を示す部位、もしくはその周辺部位において、ブランク材に過度の引張応力が作用してブランク材が破損したときに、その現象を成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上を示す部位に設置されたブランク材破損検知センサによって検出することができるからである。
また、ブランク材破損検知センサとしては、プレス成形用工具のひずみを検知できるものであれば、いずれも使用することができ、例えば、ひずみゲージや圧電センサがある。ひずみの検知感度がよいことから、ブランク材破損検知センサとしては、圧電センサが好ましい。
次に、本発明を実施例でさらに説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
図4は、本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法を適用する、自動車用車体部材の外観を示す。図4中、符号10は、自動車用車体部材を示す。
自動車用車体部材10に有限要素法を適用して、図1に示したステップS1〜ステップS12を実行した。なお、プレス成形工具はリジット要素で定義し、ブランク材は弾塑性変形可能なシェル要素で定義した。また、成形下死点手前所定位置は、成形下死点手前5mmとした。
図5は、ステップS3及びステップS4終了時における、抽出された高P0ブランク材要素及び周辺ブランク材要素の分布を示す。図5中、符号20(斜線部)は高P0ブランク材要素を、符号30(縦線部)は周辺ブランク材要素を示す。
なお、高P0ブランク材は、前述の式1より算出される接触面圧Pの10%以上の成形下死点到達時接触面圧P0を示すブランク材要素である。
自動車用車体部材10のブランク材の板厚及び材質は、次の通りである。
t(ブランク材の板厚):2.0mm
B(ブランク材の引張強さ):780MPa
また、自動車用車体部材10をプレス成形する際に使用するポンチ及びダイにおいて、ポンチ肩R=8mm、ダイ肩R=10mm、軸長方向の曲率半径=100mmであることから、最も小さいポンチ肩R=8mmを、ブランク材とプレス成形用工具との接触部の曲率半径rとして採用した。このとき、前述の式1より接触面圧P=175.6MPaと算出されるので、その10%である17.56MPaを閾値とした。
また、周辺ブランク材要素は、「高P0ブランク材要素から周囲10ブランク材要素以内、又は、高P0ブランク材要素から周囲20ブランク材要素以内に、プレス成形品の形状で隅R5以下又は角R5以下(プレス成形用工具の形状で角R5以下又は隅R5以下)の深絞り形状が存在する場合には、高P0ブランク材要素から深絞り形状が存在する部位に相当するブランク材要素までのブランク材要素のうち、高P0ブランク材要素を除いたブランク材要素を、周辺ブランク材要素とする。」という条件を設定して抽出した。
図6は、プレス成形用工具成形面ひずみ指数が成形下死点到達時接触面圧P0の5%以上10%未満である、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素の分布を示す。
図7は、プレス成形用工具成形面ひずみ指数が成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上である、プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素の分布を示す。
図7に示した、プレス成形用工具成形面ひずみ指数が成形下死点到達時接触面圧P0の10%以上を示す部位の成形面から、12mmの深さ位置に圧電センサを設置し、実際にプレス成形したところ、割れやしわ、ネッキングなどでブランク材が破損してしまう成形異常を、確実に検知することができることを確認した。
図7により決定した圧電センサの設置位置は、図5の符号20及び符号30で示した部位をさらに絞り込むものであることから、本発明のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法は、圧電センサ(ブランク材破損検知センサ)の設置位置を正確に決定するものであることを確認した。
なお、上述したところは、本発明の実施形態を例示したものにすぎず、本発明は、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更を加えることができる。
前述したように、本発明によれば、プレス成形時にブランク材が破損してしまう成形異常を検知するセンサの設置位置を、3次元的に複雑な形状を有するプレス成形用工具であっても、プレス成形用工具の製作前の設計段階で、数値解析により事前に検討・評価し、決定することができ、そして、成形異常が発生したプレス成形品を、容易に発見することができる。本発明は、工業上、利用価値の高いものである。
10 自動車用車体部材
20 高P0ブランク材要素
30 周辺ブランク材要素
i 変換前のブランク材要素組
i 変換後のブランク材要素組
Ai,1、SAi,2 相互に隣接する2つの抽出ブランク材要素(変換前)
Bi,1、SBi,2 相互に隣接する2つの抽出ブランク材要素(変換後)
i,1、Ni,2、Ni,3、Ni,4Ai,1を構成する節点
i,1、Ni,2、Ni,5、(Ni,6) SAi,2を構成する節点
i,1、Ni,2Ai,1とSAi,2とが共有する節点
i,1a、Ni,1bi,1を分離した節点
i,2a、Ni,2bi,2を分離した節点

Claims (7)

  1. プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有するモデルを用いて、前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に有限要素法を適用し、前記プレス成形用工具の成形下死点手前所定位置到達時に、前記プレス成形用工具と前記ブランク材との間で発生する成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、該成形下死点手前所定位置到達時接触面圧が所定の閾値以上となる前記ブランク材の部位を抽出し、該部位の前記ブランク材要素のうち、相互に隣接する前記ブランク材要素間での有限要素法における数値の交換を制限する変更モデルを作成し、該変更モデルに再度、有限要素法を適用して参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧を算出し、前記成形下死点手前所定位置到達時接触面圧と前記参照用成形下死点手前所定位置到達時接触面圧との差が所定値より大きくなる部位で前記ブランク材が破損すると予測して、前記ブランク材破損検知センサの前記プレス成形用工具への設置位置を決定することを特徴とする、ブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
  2. プレス成形用工具を定義したプレス成形用工具要素と、ブランク材を定義したブランク材要素とを有する有限要素法用の第1次解析モデルを作成する、第1次解析モデル作成ステップと、
    前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に、前記第1次解析モデルを用いる有限要素法を適用し、前記プレス成形用工具の成形下死点手前所定位置到達時に、前記プレス成形用工具と前記ブランク材との間で発生する成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfと、前記プレス成形用工具の成形下死点到達時に、前記ブランク材と前記プレス成形用工具との間で発生する成形下死点到達時接触面圧P0とを、前記プレス成形用工具要素ごと及び前記ブランク材要素ごとに算出する、第1次解析ステップと、
    前記成形下死点到達時接触面圧P0が算出された前記ブランク材要素のうち、所定の閾値以上の前記成形下死点到達時接触面圧P0が算出された前記ブランク材要素を、高P0ブランク材要素として抽出する、高P0ブランク材要素抽出ステップと、
    前記高P0ブランク材要素から所定の範囲内に存在する前記ブランク材要素を、周辺ブランク材要素として抽出する、周辺ブランク材要素抽出ステップと、
    前記高P0ブランク材要素及び前記周辺ブランク材要素からなる抽出ブランク材要素を、相互に隣接する2つの前記抽出ブランク材要素で構成されるi組(ただし、iは1〜nの整数)のブランク材要素組Aiとする、ブランク材要素組Ai生成ステップと、
    前記ブランク材要素組Aiを構成する抽出ブランク材要素SAi,1と抽出ブランク材要素SAi,2とが共有する節点Ni,1及びNi,2について、Ni,1をNi,1aとNi,1bとに、Ni,2をNi,2aとNi,2bとに分離し、前記ブランク材要素組Aiを、抽出ブランク材要素SBi,1と抽出ブランク材要素SBi,2とで構成されるブランク材要素組Biに変換する、ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップと、
    前記第1次解析用モデルの前記ブランク材要素組Aiを、前記ブランク材要素組Biに置換して第(i+1)次解析用モデルを作成する、第(i+1)次解析用モデル作成ステップと、
    前記成形下死点手前所定位置到達時接触面圧Pfに基づき、前記プレス成形用工具が、前記ブランク材に接触してから成形下成形下死点に到達するまでのプレス成形加工に、前記第(i+1)次解析用モデルを用いる有限要素法を適用し、前記成形下死点到達時接触面圧P0に対する、参照用成形下死点到達時接触面圧Piを、前記プレス成形用工具要素ごと、及び、前記ブランク材要素組Aiを前記ブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素ごとに算出する、第(i+1)次解析ステップと、
    前記成形下死点到達時接触面圧P0と前記参照用成形下死点接触面圧Piとの差の絶対値|P0−Pi|であるΔPiを、前記プレス用成形工具要素ごと、及び、前記ブランク材要素組Aiを前記ブランク材要素組Biに変換した後のブランク材要素ごとに算出する、ΔPi算出ステップと、
    1〜nの整数iについて、前記ブランク材要素組Ai→Bi変換ステップ、前記第(i+1)次解析用モデル作成ステップ、前記第(i+1)次解析ステップ、及び前記ΔPi算出ステップを繰り返し実行し、前記プレス成形用工具要素ごとに、ΔPiを下記(1)式に基づき合計する、ΔPi合計値算出ステップと、
    前記ΔPi合計値のうち、前記プレス成形用工具の成形面を定義したプレス成形用工具要素それぞれのΔPi合計値を、プレス成形用工具成形面ひずみ指数として出力する、プレス成形用工具成形面ひずみ指数出力ステップと、
    プレス成形時の前記ブランク材の破損を検知するセンサの設置位置は、前記プレス成形用工具成形面ひずみ指数が所定数値以上である前記プレス成形用工具要素から、所定深さ以内であると判定する、ブランク材破損検知センサ設置位置判定ステップと、
    を有することを特徴とする、請求項1に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
    Figure 2011218389
  3. 前記成形下死点手前所定位置が、成形下死点手前5mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
  4. 前記プレス成形用工具要素がリジット要素、前記ブランク材要素が弾塑性変形可能なシェル要素であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
  5. 前記プレス成形用工具成形面ひずみ指数を、前記プレス成形用工具成形面の等高線図(コンタ図)として出力することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブランク材破損センサ設置位置評価方法。
  6. 前記ブランク材破損検知センサが、圧電センサであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
  7. 前記所定深さが、15mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブランク材破損検知センサ設置位置評価方法。
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