JP2011214079A - 洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面疵の発生を抑制でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】フェライト系ステンレス鋼板は、0.05質量%以下のC、0.1〜2.0質量%のSi、0.1〜1.5質量%のMn、10〜32質量%のCr、0.03質量%以下のAlを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。また、Si/Alの質量比を20以上となるよに調整する。さらに、鋼板に分散している非金属介在物が、MgOを10質量%以下、Alを40質量%以下、Crを10質量%以下とし、残部がMn(O,S)およびSiOとなるように調整する。鋼板表面には、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下にて分布している。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)の部材や、薄膜シリコン太陽電池基板をはじめとする半導体層形成基板などの、精密機器部材に適したステンレス鋼板であって、洗浄液や蒸気を用いた洗浄によって表面付着物を除去しやすく、表面疵が少なく平滑化された表面性状を有し、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関する。
近年、HDDは高速化や高密度化が要求され、内装部品に使用される材料としては、耐食性以外に、微細な表面疵やパーティクルおよびアウトガスなどの汚れについても厳格に管理された材料が求められている。そのため、HDD部材は、製造工程が厳格に管理されている。
HDD部材には、普通鋼、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼などが用いられており、特に、ステンレス鋼は不動態皮膜の生成により無垢材のままで耐食性に優れているため有用であるが、これらの材料の表面には無電解ニッケル(Ni)メッキが施されているものが多い。無電解Niメッキは、耐食性を向上させる目的以外に洗浄性を向上させる目的で施されている。
しかしながら、無電解Niメッキは、通常の電解メッキと異なり均質な膜厚でメッキできるものの、生産性が悪く工程負荷が大きくなってしまうとともに、原材料費が増加してしまうので、工業的にはデメリットも大きい。
太陽電池について従来は、バッチ式の製造ラインによりガラス基板上にアモルファスシリコンを蒸着させていたが、近年は、連続式ラインによる大量生産方式によりステンレス鋼板に成膜する方法も採用されてきている。このように基板に蒸着されるアモルファスシリコン層は、例えば2μm以下の薄い層であり、さらに、均一かつ連続的に形成する必要がある。
したがって、太陽電池の基板としてステンレス鋼板を使用する場合、ステンレス鋼板を表面疵が少なく平滑な表面に仕上げる必要がある。
太陽電池については、エネルギ変換効率を向上させるため、基板の表面に凹凸を付与し、入射光を正反射させるだけで、外部に放出させずに散乱多重反射させる方法についても検討されており、電解エッチング、機械研磨、Niメッキなどで微細な凹凸を有する表面層を基板に形成させる方法もある。
しかしながら、微細な凹凸を有する表面層を基板に形成させる方法によると、基板表面が汚れやすくなるという問題点があり、その汚れにより、太陽電池回路が短絡し、太陽電池としての機能が損なわれるおそれがある。
太陽電池の基板としてステンレス鋼板を用いるため、太陽電池としてのエネルギ変換効率は維持しつつ、基板表面の汚れが落ちやすい洗浄性の優れたステンレス鋼板が望まれている。
このように、例えばHDD部材および太陽電池基板などの電子部品や精密機器部材としては、表面疵の発生が発生しにくく、洗浄性が良好なステンレス鋼板が非常に有用である。
ステンレス鋼板が用いられたHDDや精密機械の内装材としては、内装光輝焼鈍(BA)仕上げのステンレス鋼板と、外層ダル仕上げのステンレス鋼板との間に樹脂層を積層して形成された樹脂複合型ステンレス制振鋼板が紹介されている(特許文献1参照。)。
また、微小な塵や埃が付着しにくく、洗浄性に優れたステンレス鋼板としては、調質圧延材の表面において、調質圧延後の鋼板表面の小さな凹みであるピンホールの大きさおよび数と表面粗さとを規定し、0.25mmを超えるピンホールが10cm当たり10個以下であり、かつ、圧延方向に直角方向の中心線粗さRaが0.15μmであるステンレス鋼板素材が紹介されている(特許文献2参照。)。
また、電子部品や精密機器では、表面疵自体が不良とされ、表面疵を減らすことは製品化のための重要な対策の一つである。
ステンレス鋼板の表面疵が発生する原因については、製鋼工程での不可避的な非金属介在物に起因する場合、熱間圧延工程での割れや異物の噛み込みに起因する場合、冷間圧延工程での割れや異物の噛み込み起因する場合、および、粒界酸化部の残存に起因する場合などのように様々な原因が考えられる。電子部品などにおいては、製鋼工程における非金属介在物を起点として加工割れが発生し、表面疵となって問題になるケースがあるので、製品について高清浄化が求められている。例えば、板厚0.5mm以下の極薄板で製品形状が複雑なものでは、非金属介在物の影響が大きく、特に硬質の非金属介在物が存在すると、この非金属介在物を起点として、製品の加工割れが顕著になり表面疵が発生しやすくなる。
そこで、非金属介在物に起因する表面疵の発生を抑制する方法としては、精錬の際に特定の脱酸剤を用いた特定のスラグ組成にて精錬する方法(特許文献3参照。)、連続鋳造の際のタンディッシュのフラックス組成を特定のものにする方法(特許文献4参照。)、および、溶鋼成分を規定する方法(特許文献5参照。)などのように精錬方法を制御することによって、精錬反応にて生成する非金属介在物の形態を制御して、加工の際の非金属介在物を起点とする表面疵や割れの発生を抑制する方法が紹介されている。
特許第3956346号公報(第3−6頁) 特開2001−20045号公報(第3,4頁) 特許第3668087号公報(第2−4頁) 特許第4354026号公報(第2−4頁) 特許第3953626号公報(第2−4頁)
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、ステンレス鋼板を積層させたのは、HDDのケースカバーについてのみであり、他の部材に適用できるとは考えにくい。また、ケースカバーとして、塵埃やアウトガスの発生しにくいこと等が目的とされているものにすぎず、ステンレス鋼板の表面仕上げについては、BA仕上げとしか記載されておらず、BA仕上げにおいても表面に付着する汚れが多い方法や鋼種もある。また、この特許文献1では、汚れが付着する原因を、焼鈍時に形成される粒界酸化物や、クロム(Cr)欠乏層が酸洗によって除去される際にステンレス鋼板表面の粒界に沿って生成される微細な溝であるミクログローブであるとしている。したがって、汚れの付着防止という観点から、ミクログローブの深さを0.1μm以下としているものの、ステンレス鋼板の洗浄性は考慮されておらず、ミクログローブの面積率や分布状況などの発生状況によって、洗浄性が悪化する問題が考えられる。
特許文献2では、ピンホールに汚れが付着しやすいという観点からピンホールの大きさや数を規定しており、0.25mmを超えるピンホールが10cm当たり10個以下とされているものの、対象としている疵の大きさが大きすぎるため、例えば電子部品などのように表面疵などが厳格に管理されたものの材料としては汚れが付着しやすく適用しにくい問題が考えられる。
特許文献3ないし特許文献5では、精錬反応にて生成する非金属介在物を好ましい形態に制御し、非金属介在物に起因するの表面疵や割れの発生を抑制しているものにすぎず、例えば、熱間圧延工程や冷間圧延工程での表面疵の発生、製造工程中の異物の噛み込み、粒界酸化部の残存などのような、他の要因による表面疵の発生を抑制できないため、パーティクルなどの汚れを完全に低減するまでにはいたらないという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、表面疵の発生を抑制でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板は、0.05質量%以下のC、0.1〜2.0質量%のSi、0.1〜1.5質量%のMn、10〜32質量%のCr、0.03質量%以下のAlを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Si/Alの質量比が20以上であり、分散している非金属介在物は、MgO:10質量%以下、Al:40質量%以下、Cr:10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、鋼板表面には、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下で分布しているものである。
請求項2に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、0.05質量%以下のC、0.1〜2.0質量%のSi、0.1〜1.5質量%のMn、10〜32質量%のCr、0.03質量%以下のAlを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Si/Alの質量比が20以上であり、分散している非金属介在物は、MgOが10質量%以下、Alが40質量%以下、Crが10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法であって、ドロマイト系耐火物をライニングした精錬容器にステンレス溶鋼を装入し、精錬が終了した際に、スラグのCaO/SiOの質量比が1.4〜2.4となり、かつ、スラグのAl濃度が8質量%以下となるように精錬するものである。
請求項3に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、請求項2に記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、各冷間圧延による総圧延率が70%以上であるものである。
請求項4に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、請求項2または3に記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、熱間圧延以降から仕上焼鈍前の冷間圧延を行うまでの間に、鋼板表面を20μm以上研磨するものである。
請求項5に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、請求項2ないし4のいずれかに記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、仕上焼鈍前に行う冷間圧延は、圧延率が30%以上であり、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度100m/min以下の速度で圧延するものである。
請求項6に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、請求項2ないし5のいずれかに記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、仕上焼鈍では、光輝焼鈍を行うものである。
請求項7に記載された洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、請求項2ないし6のいずれかに記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、調質圧延は、潤滑剤を用いることなく、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、伸び率0.1〜2.0%に圧延するものである。
請求項1に記載された発明によれば、Si/Alの質量比が20以上であり、分散している非金属介在物は、MgOが10質量%以下、Alが40質量%以下、Crが10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、鋼板表面には、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下で分布しているため、表面疵の発生を抑制でき、洗浄性を向上できる。
請求項2に記載された発明によれば、ドロマイト系耐火物をライニングした精錬容器にステンレス溶鋼を装入し、精錬が終了した際にスラグのCaO/SiOの質量比が1.4〜2.4となり、かつ、スラグのAl濃度が8質量%以下となるように精錬することにより、後工程である圧延の際に非金属介在物が粘性変形しやすいので、マイクロピットおよび表面疵の発生を抑制でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製造できる。
請求項3に記載された発明によれば、熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、冷間圧延による総圧延率が70%以上であるため、深さが0.5μm以上のマイクロピットを減少できるとともに、非金属介在物を伸展でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
請求項4に記載された発明によれば、熱間圧延以降から仕上焼鈍前の冷間圧延を行うまでの間に、鋼板表面を20μm以上研磨するため、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットを減少でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
請求項5に記載された発明によれば、仕上焼鈍前に行う冷間圧延は、圧延率が30%以上であり、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度100m/min以下の速度で圧延するため、仕上焼鈍前に行う冷間圧延にて、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが発生しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
請求項6に記載された発明によれば、仕上焼鈍では光輝焼鈍を行うため、粒界やメタル/介在物界面が酸化しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
請求項7に記載された発明によれば、調質圧延は、潤滑剤を用いることなく、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、伸び率0.1〜2.0%となるように圧延するため、調質圧延の際に、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが発生しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板におけるマイクロピットの個数と光沢度との関係を示すグラフである。 洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板におけるマイクロピットの面積率と光沢度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態の構成について詳細に説明する。
洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板は、0.05質量%以下の炭素(C)、0.1〜2.0質量%のケイ素(Si)、0.1〜1.5質量%のマンガン(Mn)、10〜32質量%のクロム(Cr)、0.03質量%以下のアルミニウム(Al)を含有し、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、Si/Alの質量比が20以上であるフェライト系ステンレス鋼が板状に形成されたものである。
また、この洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板は、非金属介在物として、10質量%以下のMgO、40質量%以下のAl、10質量%以下のCrが分散しており、残部すなわち非金属介在物の主成分がMn(O,S)およびSiOである。
さらに、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板は、鋼板表面に、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上の微細な窪みであるマイクロピットを有しており、マイクロピットは、鋼板表面において、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率が1.0%以下で分布している。
マイクロピットは、介在物や炭化物などの異質粒子の隙間や脱落跡、製造工程中での金属粒子やその他の微細な粒子の噛み込みによる窪み、酸化スケール残存物の脱落跡、冷間圧延の際の圧延油の巻き込みによるピット、および冷間圧延条件のミスマッチによる微細な表面疵、および、冷間加工の際の介在物に起因した加工割れなどによって形成される。
後述する方法にてフェライト系ステンレス鋼について洗浄性の評価を行い、洗浄性に影響する因子について検討を重ねた結果、鋼板表面に存在する微細な窪みであるマイクロピットが、パーティクルなどの汚れのトラップサイトとして作用していることを見出した。
具体的には、マイクロピットは、深さが0.5μm以上になるとパーティクルなどの微細な汚れのトラップサイトとして作用しやすくなり、洗浄性が悪化する原因となる。したがって、洗浄性を向上するためには、鋼板表面において、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの分布状態を制御することが重要である。
そして、鋼板表面において、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの個数が10.0個/0.01mmより多いと、マイクロピットが微細な汚れのトラップサイトとして作用しやすくなる。また、鋼板表面における深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの開口部面積率が1.0%より高いと、マイクロピットが微細な汚れのトラップサイトとして作用しやすくなる。したがって、フェライト系ステンレス鋼板の鋼板表面では、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの存在密度を10.0個/0.01mm以下とし、かつ、これらマイクロピットの開口部面積率を1.0%以下とした。
なお、マイクロピットの深さや面積の測定には、レーザや白色干渉法などを有する顕微鏡が用いられる。さらに、例えば倍率1000倍で視野数10視野以上の観察視野条件にて観察を行って、マイクロピットの存在密度や開口部面積率を算出すると好ましく、観察視野数は多いほど好ましい。
フェライト系ステンレス鋼板における鋼板表面のマイクロピットを減少させるには、製造工程において、非金属介在物に起因する表面疵、熱延の際の割れや異物の噛み込みに起因する表面疵、冷間圧延の際の割れや異物の噛み込みに起因する表面疵、および粒界酸化物に起因する表面疵を少なくすることが重要である。具体的には、合金成分および分散する非金属介在物を制御すること、冷間圧延での圧延率を大きくし表面疵を引き延ばして深さを浅くすること、仕上圧延での圧延ロールの表面粗さを平滑にして圧延し、仕上焼鈍を還元性雰囲気にて行い粒界酸化の発生抑制させること、および調質圧延において表面粗さの平滑なロールにて圧延油の噛み込みによる表面疵の影響を減少させることが効果的である。
ここで、上記洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の合金成分について説明する。
Cは、固溶強化元素であるが、C濃度が高いと結晶粒界に析出するCr炭化物が増加し、マイクロピットを発生させる原因となる。したがって、Cの含有量の上限を0.05質量%とした。
Siは、溶鋼の脱酸に使用される合金成分であり、非金属介在物の形態に大きな影響を及ぼす。Siの含有量が0.1質量%より少ないと脱酸不足となり、非金属介在物中のCr濃度が10質量%を超えて、マイクロピットの起点となる非金属介在物が生成されやすくなる。しかし、2.0質量%を超える多量のSiを含有していると、鋼材が硬質化して、冷間加工で薄板を製造する際に所定の板厚まで圧延するために多くのパス回数が必要になり、生産性が著しく低下してしまう。したがって、Siの含有量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下とした。
Mnは、非金属介在物をMn(O,S)−SiOが主成分となる組成へ制御するために重要な合金成分である。Mn含有量が0.1質量%より少ないと、非金属介在物をMn(O,S)−SiOの組成に調整することが困難になる。このようなMnによる作用は、Mnの含有量が1.5質量%にて飽和し、それ以上にMnの含有量を増加しても材料コストが増加してしまう原因になる。したがって、Mnの含有量は、0.1質量%以上、1.5質量%以下とした。
Crは、耐食性の改善に必要な合金成分であり、Crの含有量が10質量%以上になるとCr添加による耐食性の改善効果が顕著になる。しかし、32質量%を超える過剰量のCrを含有していると、鋼材が硬質化し、加工性が悪化してしまう。したがって、Crの含有量は、10質量%以上、32質量%以下とした。
Alは、非金属介在物の組成に大きな影響を与える合金成分である。Alの含有量が0.03質量%を超えると、マイクロピットの起点となるMgO−Al系のスピネル型非金属介在物が生成されやすくなり、マイクロピットが発生しやすくなってしまう。したがって、Alの含有量は、0.03質量%以下とした。
SiおよびAlは、マイクロピットの起点となる非金属介在物の組成に影響し、Si/Alの質量比を調整することで、非金属介在物の組成を制御できる。Si/Alの質量比が20以上であると、熱間加工の際に粘性変形し、冷間加工の際に微細分散するMn(O,S)−SiO系の非金属介在物が生成される。一方、Si/Alの質量比が20より小さいと、マイクロピットの起点となる有害な非金属介在物が生成され、マイクロピットが発生しやすくなってしまう。したがって、Si/Alの質量比は20以上とした。
なお、上述した合金成分以外に、必要に応じて他の合金成分を含有させてもよい。例えば、耐食性および加工性などを改善する目的で、0.2質量%以上5質量%以下のモリブデン(Mo)、0.1質量%以上3.0質量%以下の銅(Cu)、および0.1質量%以上0.8質量%以下のニオブ(Nb)のうちの少なくとも一種を添加してもよい。
次に、非金属介在物について説明する。
非金属介在物の隙間や脱落跡はマイクロピットの要因になるため、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットを減少させるには、非金属介在物をどのような形態に制御するかが重要である。
冷延鋼板表面のマイクロピットには、その起点となる部分に非金属介在物が存在する場合が認められ、一部のものでは、非金属介在物に由来する加工割れが発生しているものも認められた。
フェライト系ステンレス鋼板に分散している非金属介在物は、MgO−Al系、Mn(O,S)−SiO−Al系、およびMn(O,S)−Cr系などがある。
MgO−Al系およびCr系の非金属介在物は、冷間圧延工程での変形能が小さいため、メタル/介在物界面にボイドや空隙が発生しやすく、マイクロピットの起点になりやすい。
そこで、MgOを10質量%以下、Alを40質量%以下、Crを10質量%以下に調整して、残部としてMn(O,S)およびSiOを主成分とする非金属介在物が生成されると、冷間圧延における非金属介在物の変形能が大きく、そのため、メタル/介在物界面に空隙が発生しにくく、非金属介在物が伸展されて無害化し、マイクロピットや加工割れの基点になりにくい。
MgOは、耐火物やスラグに含まれており、不可避的に非金属介在物中に含まれることが多い。MgO濃度が10質量%を超えると、非金属介在物が熱間加工中に粘性変形しなくなり、マイクロピットや加工割れの起点になりやすい。このような欠陥は、MgO濃度を10質量%以下にすることにより抑制される。したがって、MgOの濃度は、10質量%以下とした。
Alは、種々の添加原料に含まれているAlから形成されると考えられているが、Alも非金属介在物中の濃度により非金属介在物の変形能に大きな影響を及ぼす。Al濃度が40質量%を超えると、マイクロピットの起点になりやすい有害な非金属介在物が生成される。一方、Al濃度が40質量%以下であると、非金属介在物は熱間圧延で粘性変形し、冷間圧延で微細分散するため、Alがマイクロピットや加工割れを発生させることはない。したがって、Alの濃度は、40質量%以下とした。
Crは、10質量%を超える濃度であると非金属介在物がマイクロピットの起点になりやすく、10質量%以下の濃度の場合、マイクロピットの起点になりにくく無害な非金属介在物である。したがって、Crの濃度は、10質量%以下とした。
なお、Mn(O,S)は、MnO単体、MnS単体、および、MnOとMnSとを複合した介在物のいずれかを意味し、また、MnOとMnSとを複合した介在物は、介在物中のOとSとの比率が一定のものではなく、酸化物と硫化物とを複合している介在物を意味する。
次に、上記洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。
フェライト系ステンレス鋼板は、精錬、鋳造、熱間圧延後に、焼鈍、冷間圧延、研磨などの冷延工程を経て、最終的に、仕上焼鈍および調質圧延が順次行われて製造される。
精錬では、ドロマイト系耐火物をライニングした精錬容器に、ステンレス溶鋼を装入して上述のような合金成分を目標に精錬する。この精錬では、精錬が終了した際に、スラグのCaO/SiOの質量比が1.4〜2.4であり、かつ、スラグのAl濃度が8質量%以下となるように精錬される。
精錬が終了した際のスラグの組成は、非金属介在物の組成に大きな影響を及ぼす。すなわち、スラグにおけるCaO/SiOの質量比が1.4より低く、かつ、スラグにおけるAlの濃度が8質量%以下の場合、非金属介在物中のCr濃度が10質量%を超えることがあり、非金属介在物がマイクロピットの起点になりやすくなってしまう。また、スラグにおけるCaO/SiOの質量比が1.4より低く、かつ、スラグにおけるAlの濃度が8質量%を超える場合、Mn(O,S)−Al系の非金属介在物が生成されやすくなり、Mn(O,S)−Al系の非金属介在物は、圧延における変形能が良好でないためマイクロピットの起点になりやすくなってしまう。一方、CaO/SiOの質量比が2.4を超えるようなスラグ組成では、代表的な硬質非金属介在物であるMgO−Al系のスピネル型非金属介在物が生成されやすく、非金属介在物がマイクロピットの起点になりやすくなってしまう。したがって、精錬が終了した際のスラグの組成は、CaO/SiOの質量比を1.4以上2.4以下とし、Al濃度を8質量%以下とした。
また、MgO含有量が50質量%以上85質量%以下であり、残部の主成分がCrであるマグクロ(マグネシア・クロマイト)系耐火物を精錬容器の取鍋耐火物として用いた場合、スラグにおけるCaO/SiOの質量比が1.9を超えると耐火物の溶損が大きくなり、スラグ中のMgO濃度が上昇するため、非金属介在物におけるMgO濃度が高くなる。その結果、マイクロピットの発生を招く非金属介在物が生成される可能性が高い。
一方、MgO含有量が40質量%以上63質量%以下であり、残部の主成分がCaOであるドロマイト系耐火物を精錬容器の取鍋耐火物として用いた場合、スラグにおけるCaO/SiOの質量比が上昇しても耐火物が溶損しにくいため、非金属介在物の組成に及ぼす悪影響が小さく、マイクロピットの起点になりにくい非金属介在物に制御しやすいとともに、製造コストを廉価に抑えることができる。したがって、精錬においては、ドロマイト系耐火物をライニングした精錬容器を用いる。
なお、精錬の際に用いる脱酸剤は、最終成分やスラグ組成が上記範囲を満たすものであれば、例えば、Si、Al、Ti、Ca、Mgおよび希土類元素(REM)を含む単体や合金などの少なくとも一種を適宜用いることができる。また、合金成分としてAlの上限を規定しているため、フェロシリコン、メタルシリコン、およびSi−Mn合金などのAl含有量が低いSi合金系の脱酸剤を用いた方がAl含有量を規定範囲内に制御しやすいので好ましい。
熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延では、各冷間圧延における総圧延率を70%以上となるように圧延すると好ましい。
ここで、熱間圧延以降の熱延材に施される工程の具体例を下記(1)ないし(6)に例示する。なお、下記(1)ないし(6)の製造工程における括弧書きの工程は任意の工程であり、通板しなくてもよい。
(1)熱延材→(焼鈍)→(酸洗)→研磨→酸洗→仕上冷間圧延→(脱脂)→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
(2)熱延材→(焼鈍)→(酸洗)→研磨→冷間圧延→焼鈍→酸洗→仕上冷間圧延→(脱脂)→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
(3)熱延材→(焼鈍)→(酸洗)→研磨1→冷間圧延1→焼鈍1→酸洗1→研磨2→冷間圧延2→焼鈍2→酸洗2→仕上冷間圧延→(脱脂)→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
(4)熱延材→冷間圧延→研磨→焼鈍→酸洗→仕上冷間圧延→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
(5)熱延材→(焼鈍)→酸洗→冷間圧延1→焼鈍1→酸洗1→研磨→冷間圧延2→焼鈍2→酸洗2→仕上冷間圧延→(脱脂)→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
(6)熱延材→(焼鈍)→(酸洗)→研磨→冷間圧延→脱脂→焼鈍(光輝焼鈍)→仕上冷間圧延→仕上焼鈍(光輝焼鈍)→(調質圧延)
熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延の総圧延率とは、例えば、上記(1)の製造工程では仕上冷間圧延の圧延率であり、上記(2)の製造工程では冷間圧延と仕上冷間圧延との総圧延率であり、上記(3)の製造工程では冷間圧延1と冷間圧延2と仕上冷間圧延との総圧延率であり、上記(4)の製造工程では冷間圧延と仕上冷間圧延との総圧延率であり、上記(5)の製造工程では冷間圧延1と冷間圧延2と仕上冷間圧延との総圧延率であり、上記(6)の製造工程では冷間圧延と仕上冷間圧延との総圧延率である。
また、総圧延率は、熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延において、最初の圧延パス前の板厚をh0(mm)とし、最後の圧延パス後の板厚をh1(mm)とすると、((h0−h1)/h0)×100(%)にて示される。
熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、マイクロピットの原因となる表面疵などを冷間圧延で引き延ばして深さを浅くするとともに、非金属介在物を伸展させて無害化できる。
マイクロピットは、汚れをトラップする場所となるため、冷間圧延によりマイクロピットの深さを浅くすると、深さが0.5μm以上のマイクロピットが減少して、付着汚れを抑制できる。また、非金属介在物が伸展させると、非金属介在物に起因するマイクロピットが発生しにくく、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットを減少させて、付着汚れを抑制できる。
そして、熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、各冷間圧延による総圧延率が70%より低いと、鋼板表面のマイクロピットの深さが十分に浅くならず、また、非金属介在物を十分に伸展できないので、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが多く発生してしまう。したがって、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製造する際には、熱間圧延以降にて、仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延における総圧延率を70%以上とすることが好ましい。
マイクロピットは、様々なものが原因となって発生するが、粗大な異物の噛み込みに起因するマイクロピットや、酸化スケールの残存によるマイクロピットは、深く形成されることが多く、圧延工程で引き延ばされても除去できず、深さが0.5μm以上の深さのマイクロピットとして残存してしまう場合がある。
そこで、熱間圧延以降から仕上焼鈍前の冷間圧延を行うまでの間に、少なくとも1回研磨を行い、ステンレス鋼板表面を20μm以上研磨することが好ましい。
このように研磨することにより、マイクロピットだけでなく、製鋼工程での大型介在物に起因する疵や、圧延工程での割れ起因の疵も削り取ることができる。
例えば仕上冷間圧延のような仕上焼鈍前に行う冷間圧延では、圧延率が30%以上となるように圧延することが好ましい。また、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度を100m/min以下にして圧延することが好ましい。
仕上焼鈍前の冷間圧延は、フェライト系ステンレス鋼板における表面状態に影響し、洗浄性を向上させるためには重要な工程である。そこで、各冷間圧延による総圧延率を管理するだけでなく、仕上焼鈍前の冷間圧延を特定の冷間圧延条件にて行い、マイクロピットの痕跡が残存しないように引き延ばすと、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの分布を制御しやすい。
そして、仕上焼鈍前の冷間圧延は、圧延率が30%より低いと、深さ0.5mm以上であり、かつ、開口面積が10μm以上のマイクロピットが残存しやすく、このようなマイクロピットの分布を10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下に制御しにくい。また、マイクロピットは冷間圧延の際の圧延油の噛み込みによっても発生し、圧延速度が100m/minより速くなると、圧延油の噛み込みが顕著になる。したがって、仕上焼鈍前の冷間圧延の圧延率を30%以上とし、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度の上限を100m/minとすることが好ましい。
また、マイクロピットの状態や分布を制御するためには、仕上焼鈍にて、鋼板表面、粒界、および、メタル/介在物界面を酸化させないことや、酸洗による非金属介在物の脱落跡を減らすことが重要である。したがって、仕上焼鈍としては、光輝焼鈍(BA)にて、水素および窒素ガス雰囲気による焼鈍を行い、酸洗は行わないことが好ましい。
調質圧延は、鋼板表面を最終的に決定付ける工程であり、この調質圧延にてマイクロピットが発生する場合もある。すなわち、調質圧延において、鋼板表面に光沢を付与することや、錆びを防ぐことなどを目的として添加剤などを配合した例えば、圧延油、潤滑油および防錆剤などの潤滑剤を使用する場合があるが、この潤滑剤の油膜がロールと鋼板表面との間に入り込むことで、調質圧延の際にオイルピットなどのマイクロピットが発生してしまう。
したがって、調質圧延では、潤滑油および防錆剤などの潤滑剤を用いることなく圧延することが好ましい。なお、ロールと鋼板表面との間に油膜が入り込むことを防止できればよいので、例えば、ロール異物除去のために洗浄液などを用いてロールを洗浄する作業や、洗浄液などを用いてワイパなどによる拭き取る作業のように、洗浄液を用いてロールと鋼板表面との間に油膜や異物が入り込むことを防止してもよい。
また、調質圧延における圧延ロールの算術粗さRaや調質圧延における鋼板の伸び率もマイクロピットの発生に影響するので、特定の調質圧延条件にて引き延ばすことが好ましい。
具体的には、調質圧延では、調質圧延による伸び率が0.1%より低いと深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの残存数が多くなり、調質圧延による伸び率が2.0%より高いと異物などの噛み込みなどを助長してしまう。したがって、調質圧延によるフェライト系ステンレス鋼板の伸び率は、0.1%以上2.0%以下とし、この調質圧延では、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いることが好ましい。
そして、このような洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板によれば、含有するSi/Alの質量比が20以上であり、分散している非金属介在物は、MgOが10質量%以下、Alが40質量%以下、Crが10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、鋼板表面には、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上であるマイクロピットが、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下で分布しているので、マイクロピットが微細な汚れのトラップサイトとして作用しにくい。したがって、フェライト系ステンレス鋼板のマイクロピットや表面疵の発生を抑制でき、洗浄性を向上できる。
このような洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製造する際には、ドロマイト系耐火物をライニング(内張り)した精錬容器にステンレス溶鋼を装入し、精錬が終了した際にスラグのCaO/SiOの質量比が1.4〜2.4となり、かつ、スラグのAl濃度が8質量%以下となるように精錬することにより、硬質非金属介在物が生成されにくく、後工程における冷間圧延にて非金属介在物が粘性変形しやすい。したがって、非金属介在物がマイクロピットや加工割れの原因になりにくく、マイクロピットの発生を抑制でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製造できる。
熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、冷間圧延による総圧延率が70%以上であるため、圧延にともなってマイクロピットの深さが浅くなり、圧延後の鋼板表面において深さが0.5μm以上であるマイクロピットを減少できるとともに、非金属介在物を伸展できるので、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
例えば仕上圧延などのような熱間圧延以降から仕上焼鈍前の冷間圧延までの間に、鋼板表面を20μm以上研磨することにより、粗大な異物の噛み込みに起因するマイクロピットや、酸化スケールの残存によるマイクロピットなどのように、比較的深く形成されて、圧延工程で引き延ばされても除去できないマイクロピットを削り取ることがきる。したがって、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上であるマイクロピットを減少でき、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
また、例えば仕上圧延のような仕上焼鈍前に行う冷間圧延は、圧延率が30%以上であり、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度100m/min以下の速度で圧延を行うことにより、この冷間圧延にて、マイクロピットの痕跡が残存しないように引き延ばすことができるとともに、圧延油を噛み込みにくい。したがって、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが発生しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
仕上焼鈍では光輝焼鈍を行うことにより、粒界やメタル/介在物界面を酸化しにくいとともに、酸洗が不要で酸洗による非金属介在物の脱落跡の発生を防止できる。したがって、仕上焼鈍にてマイクロピットの原因要素が発生しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
調質圧延は、潤滑剤を用いることなく、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、伸び率0.1〜2.0%となるように圧延することにより、調質圧延にてマイクロピットの残存を防止できるとともに、異物の噛み込みによるマイクロピットの発生を防止できる。したがって、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが発生しにくく、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を容易に製造できる。
ここで、通常、ステンレス鋼のBA材の表面指標の一つとして光沢度が挙げられている。図1は、ステンレス鋼のBA材の表面光沢度とマイクロピット個数(個/mm)との関係を示し、図2は、ステンレス鋼のBA材の表面光沢度とマイクロピット面積率(%)との関係を示す。表面光沢度は、JIS Z 8741に基づいてGS20°(L、C方向平均値)を測定した。
これら図1および図2に示すように、表面光沢度とマイクロピット個数との間、および、表面光沢度とマイクロピット面積率との間には相関がなく、ステンレス鋼表面のマイクロピットを減少させて洗浄性を向上させるには、光沢度を向上させればよいというものではない。
ここで、例えばHDD(ハードディスクドライブ)部材や太陽電池基板などの精密機器部材にフェライト系ステンレス鋼板を用いる場合は、通常の材料特性以外に、表面にどれだけパーティクルなどの汚れが付着しているか、または、どのくらい汚れが洗浄により落ちやすいかといった、表面清浄度や洗浄性などの特有の指標が問題となる。
したがって、上述のように洗浄性の優れたフェライト系ステンレス鋼板は、耐久性も良好であり、HDD部材や太陽電池基板などの精密機器部材に非常に有用である。なお、上述の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板は、HDD部材や太陽電池基板などの精密機器部材に用いることに適しているものの、このような用途には限定されない。
表面清浄度の評価方法は、リキッドパーティクルカウンタ(LPC)装置を用いた方法が採用されている。すなわち、評価用サンプルを超純水に入ったビーカに浸漬し、超音波洗浄によりサンプルに付着したパーティクルを超純水に抽出させた後、LPC装置にてパーティクル数をカウントする。そして、抽出後の測定値と、測定前の超純水のブランク測定値との差がサンプルから抽出されたパーティクル数となり、ビーカ内の超純水量とサンプルの表面積の計測値とにより、サンプルの単位面積あたりのパーティクル数が算出される。なお、LPC装置でのパーティクル数の測定は同一抽出液から3回以上測定した平均値を採用する。また、抽出作業は同種のサンプルにて2サンプル以上行い、その平均値を同種のサンプルの表面清浄度とした。
例えば、実際にHDD部材に用いられている無電解Niメッキが施された部品の表面清浄度を測定すると、0.3μm以上の粒子数にてカウントして、1×10個/cmであった。したがって、フェライト系ステンレス鋼板の無垢材の表面清浄度の目標値を1×10個/cmとした。
なお、表面清浄度の評価は、空気中に存在する微細な汚れも汚染源となるので、JIS B 9920にて規格されるクラス5以上のクリーン環境で行われる。
HDD部材の製造の際には、例えば、脱脂工程にて油汚れや粗大な汚れを除去し、次いで、仕上洗浄にてパーティクル除去を行う方法が作用されている。
脱脂工程では、例えば、炭化水素系、アセトン、およびイソプロピルアルコールなどの脱脂作用が強力な洗浄液を用いることが好ましい。また、洗浄方法は、どぶ付けやウエスなどによるラヴィング、超音波洗浄および蒸気洗浄などを組み合わせて行うことが好ましく、油汚れと粗大な汚れを除去できるような洗浄方法が採用される。
仕上洗浄は、フッ素系洗浄液、弱アルカリ系洗浄液および超純水などが洗浄液として用いられる。洗浄方法は、超音波洗浄や蒸気洗浄などが採用され、パーティクルの除去が行われる。また、洗浄後には、超純水を用いたすすぎ(リンシング)工程が複数回行われ、パーティクルの除去だけでなく、イオン性物質の除去も行われる。また、洗浄後の乾燥工程では、リンシングの超純水の残存によるウォーターマークを防止するため、低速引上げ、エアブローによる撥水、回転による撥水および温風乾燥などの組み合わせにより乾燥される。
なお、洗浄工程は、空気中に存在する微細な汚れも汚染源になるため、JIS B 9920にて規定されたクラス5以上のクリーン環境で行われる。
発明者らは、このように洗浄前後の表面性清浄度からの洗浄性の評価を種々行い、マイクロピットによる洗浄性への影響を確認した。
表1に示す合金成分の各ステンレス鋼(80トン/チャージ)を電気炉、転炉およびVacuum Oxygen Decarburization(VOD)工程を経て溶製し、連続鋳造して、各ステンレス鋼のスラブを形成した。
鋼種a〜dのステンレス鋼は、各元素の含有量が規定した上記範囲内にある合金成分を有する本実施例である。
鋼種e〜hのステンレス鋼は、Alの含有量が0.03質量%より多く、また、Si/Alの質量比が20より低い比較例である。
Figure 2011214079
この表1に示す各ステンレス鋼を表2に示す条件にて精錬した。
表1と同様に、鋼種a〜dのステンレス鋼は、規定した上記の条件で精錬するとともに、規定した上記範囲内に介在物を制御した本実施例である。
鋼種eおよびfのステンレス鋼は、鋼種a〜dのステンレス鋼と同様にドロマイト系耐火物を用いたものの、精錬終了時のスラグ組成や非金属介在物の組成が規定した上記範囲外の比較例である。
鋼種gのステンレス鋼は、マグクロ系の耐火物を用い、精錬終了時のスラグ組成や非金属介在物の組成が規定した上記範囲外の比較例である。
鋼種hのステンレス鋼は、CaO/SiOの質量比が規定した上記範囲内の1.4であるものの、マグクロ系の耐火物を用い、精錬終了時のスラグ組成や非金属介在物の組成が規定した上記範囲外の比較例である。
Figure 2011214079
この表2に示す各ステンレス鋼のスラブを従来の方法にて熱間圧延し、熱延板を形成した。
次いで、表3に示す冷間圧延、焼鈍および調質圧延の組み合わせにて、板厚0.1〜1.5mmの冷延板を形成した。なお、熱間圧延後の製造工程は、上記(2)または(3)の工程を採用した。
そして、各冷延板から、非金属介在物調査用サンプル、洗浄性評価用サンプルおよびマイクロピット測定用サンプルを切り出して評価した。なお、参考として、いずれのサンプルについても光沢度を測定しており、いずれも光沢度は900〜1100の範囲であった。
非金属介在物調査においては、各冷延焼鈍板から切り出されたサンプルの表面を製品のBA仕上げのままで、断面は圧延方向、板厚方向に平衡断面を研磨し、X線マイクロアナライザを用いて非金属介在物を定量分析した。また、板表面については、マイクロピット内部の非金属介在物の有無も確認した。評価は、10点以上行い、そのサンプルでの平均組成は表2に示し、表3には主な介在物形態について示す。
洗浄性の評価においては、各冷延板から50mm角のサンプルを切り出し、洗浄後にLPC装置にて鋼板表面に付着するパーティクル数の測定し、単位面積あたりの0.3μm以上の付着粒子数から評価した。評価は、同種のサンプルを3個以上行い、その平均値にて評価した。また、目標値の目安として、通常のHDD部材に用いられる無電解Niメッキ部品も併せて評価した。
なお、洗浄では、アセトン超音波洗浄により脱脂を行い、次いで、フッ素系洗浄液による超音波洗浄、蒸気洗浄、真空乾燥を行った。
次に、弱アルカリ系洗剤による超音波洗浄を行い、最後に超純水によるリンシング、低速引上げ、温風乾燥を行った。
マイクロピットの評価においては、切り出したサンプルにアセトン超音波洗浄を施し、表面に付着した汚れを除去したものを、マイクロピット測定用サンプルとした。
マイクロピットの評価は、レーザ顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、ランダムに選んだ視野を10視野以上測定し、深さ0.5μm以上で開口面積10μm以上であるマイクロピットの存在密度および開口部面積率を求めた。
Figure 2011214079
サンプルa1,b1,c1,d1は、規定した上記条件にて冷間圧延、焼鈍および調質圧延を行った本実施例である。
これらサンプルa1,b1,c1,d1は、サンプル表面における深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの分布が10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下であった。また、表面付着粒子数が従来からHDD部材に使用されている無電解Niメッキ品と同程度となり、洗浄性に優れていることが分かる。
サンプルa2,a3、サンプルb2〜b4、サンプルc2〜c4、サンプルd2,d3は、本実施例と同様に表2における鋼種a〜cのステンレス鋼を用いたものの、冷間圧延、焼鈍および調質圧延において、規定した上記条件とは異なる工程が含まれた比較例である。
これらの比較例では、上記本実施例と非金属介在物の形態が同様であったが、冷間圧延、焼鈍および調質圧延の処理が異なったため、サンプル表面における深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの分布が、10.0個/0.01mmより多く、かつ、開口部面積率1.0%より高かった。そして、表面付着粒子数も無電解Niメッキ品に比べて著しく多く、洗浄性が優れていないことが分かる。
また、サンプルe1,e2、サンプルf1,f2、サンプルg1,g2、サンプルh1,h2は、本実施例とは異なり表2における鋼種e〜hを用い、また、焼鈍および調質圧延において規定した条件とは異なる工程が含まれた比較例である。
これらの比較例では、上記本実施例と非金属介在物の形態が異なり、好ましくない形態であった。また、サンプル表面における深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットの分布は、10.0個/0.01mmより多く、かつ、開口部面積率1.0%より高かった。そして、表面付着粒子数も無電解Niメッキ品に比べて著しく多く、洗浄性が優れていないことが分かる。
本発明は、例えば、HDD部材や太陽電池基板などの精密機器部材に利用することができる。

Claims (7)

  1. C:0.05質量%以下、Si:0.1〜2.0質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Cr:10〜32質量%、Al:0.03質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Si/Alの質量比が20以上であり、
    分散している非金属介在物は、MgO:10質量%以下、Al:40質量%以下、Cr:10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、
    鋼板表面には、深さが0.5μm以上で開口面積が10μm以上のマイクロピットが、10.0個/0.01mm以下であり、かつ、開口部面積率1.0%以下で分布している
    ことを特徴とする洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  2. C:0.05質量%以下、Si:0.1〜2.0質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Cr:10〜32質量%、Al:0.03質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Si/Alの質量比が20以上であり、分散している非金属介在物は、MgO:10質量%以下、Al:40質量%以下、Cr:10質量%以下であり、残部がMn(O,S)およびSiOであり、洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法であって、
    ドロマイト系耐火物をライニングした精錬容器にステンレス溶鋼を装入し、精錬が終了した際に、スラグのCaO/SiOの質量比が1.4〜2.4となり、かつ、スラグのAl濃度が8質量%以下となるように精錬する
    ことを特徴とする洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  3. 熱間圧延以降から仕上焼鈍後の調質圧延までに行う冷間圧延は、各冷間圧延による総圧延率が70%以上である
    ことを特徴とする請求項2記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 熱間圧延以降から仕上焼鈍前の冷間圧延を行うまでの間に、鋼板表面を20μm以上研磨する
    ことを特徴とする請求項2または3記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  5. 仕上焼鈍前に行う冷間圧延は、圧延率が30%以上であり、この冷間圧延の最終パスでは、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、圧延速度100m/min以下の速度で圧延する
    ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  6. 仕上焼鈍では、光輝焼鈍を行う
    ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  7. 調質圧延は、潤滑剤を用いることなく、算術粗さRaが0.5μm以下の圧延ロールを用いて、伸び率0.1〜2.0%に圧延する
    ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれか記載の洗浄性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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