JP2011213530A - セラミック成形体の製造方法、並びにセラミックスラリー、セラミック成形体、セラミック焼結体、及びセラミック焼結体を含む電子部品 - Google Patents

セラミック成形体の製造方法、並びにセラミックスラリー、セラミック成形体、セラミック焼結体、及びセラミック焼結体を含む電子部品 Download PDF

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大始 田邊
Akihiko Ito
陽彦 伊藤
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Abstract

【課題】クラック、ポア、又は成形型からの剥れの発生を伴わずに、厚いセラミック成形体を製造する方法を提供する。
【解決手段】セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る、セラミック成形体の製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
前記低分子量ジオールが、前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合されており、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、セラミック成形体の製造方法に関する。更に、本発明は、セラミックスラリー、セラミックスラリーを成形して得られるセラミック成形体、セラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体、及びセラミック焼結体を含む電子部品に関する。
従来から、セラミック粉体、溶剤、及び有機バインダを含んでなるセラミックスラリーから、例えば、ドクターブレード法等の方法によって、薄板状のセラミックグリーンシートを複数枚製造し、これらのセラミックグリーンシートに加工、印刷、積層、焼成等の処理を施して種々の完成品を製造する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
この際、所望の厚さを有する完成品を得るために必要なセラミックグリーンシートの枚数は、個々のセラミックグリーンシートの厚さによって定まる。すなわち、所定の厚さを有する完成品を得ようとする際、個々のセラミックグリーンシートの厚さが大きいほど、必要とされるセラミックグリーンシートの枚数が少なくなる。
しかしながら、上述のようなセラミックスラリーから製造されたセラミックグリーンシートには溶剤が残存しており、成形後の乾燥時に溶剤の揮発に伴ってセラミックグリーンシートが収縮し、その収縮応力に起因して、セラミックグリーンシートの内部にクラックが発生するという問題があり、厚いセラミックグリーンシートほど、このクラックが発生する傾向が強いため、(例えば、0.5mm以上の厚さを有する)厚物のセラミックグリーンシートを製造することは困難であり、結果として、所望の厚さを有する完成品を得るためには、膨大な枚数のセラミックグリーンシートを積層する必要があった。
そこで、イソシアネート及びポリオールをセラミックスラリーに添加しておき、セラミックグリーンシートの製造過程における固化乾燥の際にイソシアネートとポリオールとを反応させて、有機バインダとしてのウレタン樹脂(ポリウレタン)を生成させ、ポリウレタン分子間に架橋構造を生成させてセラミックスラリーをゲル化することにより、セラミックグリーンシートの乾燥時の収縮に伴うクラックの発生を抑制しようとする試みもなされている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記のようにセラミックスラリー中に添加されたイソシアネート及びポリオールを反応させてセラミックスラリーをゲル化させることにより、乾燥時の収縮応力に起因するクラックの発生を抑制しようとする試みは、セラミックシートの厚さの増加に伴う収縮応力の増大によるクラックを十分には抑制できず、特に1mmを超えるセラミックシートを成形することは困難であった。また、上記の方法では、ポア(気孔)の発生や成形型からの剥れという新たな欠陥要因も生じ、セラミックシートの品質上の問題につながる。
特開2006−121012号公報
国際公開第2009/104703号
本発明は前述の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの発生を伴わずに、厚いセラミック成形体を製造する方法を提供することである。本発明のもう1つの目的は、かかる製造方法において好適に使用されるセラミックスラリー、かかるセラミックスラリーを成形して得られるセラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)、かかるセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体、及びかかるセラミック焼結体を含む電子部品を提供することである。
上記目的は、以下に列挙する本発明の実施態様によって達成される。
先ず、本発明の第1実施態様は、
セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る、セラミック成形体の製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
前記低分子量ジオールが、前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合されており、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法である。
次に、本発明の第2実施態様は、
上記第1実施態様に係るセラミック成形体の製造方法であって、
前記低分子量ジオールが、前記OH/NCO比が0.7〜0.9になるように配合されており、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.2重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法である。
本発明の第3実施態様は、
上記第1又は第2実施態様に係るセラミック成形体の製造方法であって、
前記セラミックスラリーが成形型内において成形される、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法である。
本発明の第4実施態様は、
上記第1乃至第3実施態様のいずれかに係るセラミック成形体の製造方法であって、
前記セラミックスラリーによって導体の少なくとも一部が被覆された状態で、前記セラミックスラリーを成形し、固化乾燥して、導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体を得る、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法である。
また、本発明の第5実施態様は、
セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーであって、
前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0であり、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミックスラリーである。
本発明の第6実施態様は、
上記第5実施態様に係るセラミックスラリーであって、
前記OH/NCO比が0.7〜0.9であり、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.2重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミックスラリーである。
更に、本発明の第7実施態様は、
上記第5又は第6実施態様に係るセラミックスラリーを成形し、固化乾燥して得られる、セラミック成形体である。
本発明の第8実施態様は、
上記第7実施態様に係るセラミック成形体であって、
その内部に導体の少なくとも一部が埋没している、
ことを特徴とする、セラミック成形体である。
また更に、本発明の第9実施態様は、上記第7又は第8実施態様に係るセラミック成形体を焼成して得られる、セラミック焼結体であり、本発明の第10実施態様は、上記第1乃至第4実施態様に係る方法によって得られるセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体である。
また、本発明の第11実施態様は、上記第9実施態様に係るセラミック焼結体を含む電子部品である。更に、本発明の第12実施態様は、上記第10実施態様に係るセラミック焼結体を含む電子部品である。
更に、本発明の第13実施態様は、上記第1乃至第4実施態様に係る方法によって得られるセラミック成形体を焼成する工程を含む、電子部品の製造方法である。また更に、本発明の第14実施態様は、上記第7又は第8実施態様に係るセラミック成形体を焼成する工程を含む、電子部品の製造方法である。
本発明によれば、良好な品質を有する(具体的には、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの発生を伴わない)厚いセラミック成形体を製造する方法が提供される。また、本発明によれば、かかる製造方法において好適に使用されるセラミックスラリー、かかるセラミックスラリーを成形して得られるセラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)、かかるセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体、及びかかるセラミック焼結体を含む電子部品が提供される。
本発明は、イソシアネート基を有するゲル化剤と低分子量ジオールとを、イソシアネート基に対する水酸基のモル比(OH/NCO比)が特定の範囲になるように配合したものを熱硬化性樹脂(有機バインダー)前駆体としてセラミックスラリーに含ませ、かつ当該セラミックスラリーに含まれる水分を特定の量以下に抑えることにより、当該セラミックスラリーを成形して得られるセラミック成形体におけるクラック、ポア、成形型からの剥れ、シート厚異常等の品質上の問題を有効に低減することができることを見出したことに基づいてなされたものである。
より具体的には、本発明は、セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る、セラミック成形体の製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
前記低分子量ジオールが、前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合されており、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法である。
セラミック粉体として使用されるセラミック材料としては、酸化物系セラミックまたは非酸化物系セラミックのいずれを使用してもよい。例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ネオジム(Nd)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、窒化珪素(Si)、炭化珪素(SiC)等を使用することができる。また、これらの材料は、1種類単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。更に、スラリーを調製可能な限りにおいて、セラミック材料の粒子径は特に限定されない。
溶剤としては、熱硬化性樹脂前駆体及び分散剤を溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)等)等の、2以上のエステル結合を有する溶剤を使用することが望ましい。
上述のように、熱硬化性樹脂前駆体は、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなる。
イソシアネート基を有するゲル化剤としては、イソシアネート基を官能基として有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジインシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はこれら化合物の変性体等を使用することができる。なお、これらの化合物の分子内にイソシアネート基以外の反応性官能基が含有されていてもよく、更には、ポリイソシアネートのように、反応官能基が多数含有されていてもよい。
150以下の分子量を有する低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール(EG)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール等を使用することができる。
尚、上記のように、上記ジオールの分子量は150以下であるべきである。これは、上記ジオールとして、150を超える分子量を有するジオールを使用すると、セラミックスラリーの粘度上昇による成形性の低下や、セラミックグリーンシートの硬度不足による変形等の問題が生ずるためである。
上述のように、熱硬化性樹脂前駆体において、ゲル化剤及び低分子量ジオールは、ゲル化剤のイソシアネート基に対する低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合される。OH/NCO比が0.6未満になると、ウレタン反応を伴う固化乾燥工程後も未反応のイソシアネート基(NCO基)が残存し、硬化後のポリウレタンの架橋密度が低下し、例えば溶剤乾燥前のセラミックスラリー硬化体の強度が不足して、溶剤乾燥時の収縮応力によってクラックが発生したり、溶剤乾燥後のセラミック成形体の強度が不足し、加工時にカケが発生する等の問題が生ずるので望ましくない。逆に、OH/NCO比が1.0を超えると、ウレタン反応を伴う固化乾燥工程後も未反応の低分子量ジオール(OH基)が残存し、やはりセラミックスラリー硬化体もしくは溶剤乾燥後のセラミック成形体の強度が低下する等の問題が生ずるので望ましくない。より好ましくは、OH/NCO比は0.7〜0.9の範囲にあるのが望ましい。
また、セラミックスラリーを成形し、固化乾燥する際に、熱硬化性樹脂前駆体がウレタン反応によってゲル化・固化して、セラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)が製造される。従って、熱硬化性樹脂前駆体は、上記ゲル化剤及び低分子量ジオール以外に、ウレタン反応を促進させるための触媒を含んでもよい。かかる触媒としては、ウレタン反応を促進させる物質であれば特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノー1−ヘキサノール等を使用することができる。
更に、セラミックスラリーは、上述のセラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体以外に、分散剤を含んでいてもよい。かかる分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩等を使用することが望ましい。この分散剤を添加することで、成形前のスラリーを、低粘度とし、且つ高い流動性を有するものとすることができる。
上記セラミック粉体及び溶剤(並びに、必要な場合には、分散剤)を所定の割合で配合し、これらを所定時間に亘って混合・解砕した後に、上記熱硬化性樹脂前駆体を添加し、混合・真空脱泡して、セラミックスラリーを調製する。
上記セラミックスラリーの調製方法は単なる例示であって、各構成成分の配合順序や、脱泡処理の方法については、構成成分の種類や配合比等に応じて、適宜変更することができる。すなわち、本発明に係るセラミックスラリーは、その構成成分の種類や配合比等に応じて、当該技術分野において周知の種々の方法から適宜選択される方法によって調製することができる。
但し、上述のように、セラミックスラリーにおける水分率は0.3重量%以下であることが必要である。セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%を超えると、セラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)において、ポアが発生したり、(例えば、ゲル化時や溶剤乾燥時に)クラックが発生したり、成形型から剥れたり、シート厚異常を生じたりするので望ましくない。これらの問題は、セラミックスラリーにおける水分がイソシアネート基と反応してウレア結合を生ずる際に発生する二酸化炭素(CO)が原因であると考えられる。すなわち、セラミック成形体中にCOガスが留まればポアの発生につながり、セラミック成形体と成形型との界面にCOガスが残存すればセラミック成形体と成形型との密着が不十分となり、その結果、シート厚の異常やクラックの発生につながる。尚、イソシアネート基と水分との反応は、前述のウレタン反応と競合するので、かかる観点からも望ましくない反応であり、抑制されるべき反応である。より好ましくは、セラミックスラリーにおける水分率は0.2重量%以下であることが望ましい。
従って、セラミックスラリーの調製においては、セラミック粉体や溶剤の乾燥や脱水処理を行う等、上記熱硬化性樹脂前駆体を添加する前に水分率を下げておくことが望ましい。
次に、上記のように調製されたセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る。例えば、セラミックスラリーを、ドクターブレード法等を用いて薄板状に成形し、この薄板状に成形された成形体を乾燥して溶剤等を揮発除去して、薄板状のセラミック成形体(セラミックグリーンシート)を製造してもよい。あるいは、上記のように調製されたセラミックスラリーを、鋳込み成形等の方法によって所望の形状の成形空間を有する成形型に注入し、当該成形型中で成形し、この成形された成形体を乾燥して溶剤等を揮発除去して、所望の形状のセラミック成形体を製造してもよい。
上記固化工程及び乾燥工程においては、成形体を加熱して成形体の固化乾燥を行ってもよく、又は成形体を常温下で放置して成形体の固化乾燥を行ってもよい。この固化乾燥工程において、前述のように、熱硬化性樹脂前駆体に含まれるゲル化剤と低分子量ジオールとがウレタン反応によってゲル化し、セラミックスラリーの成形体が固化し、その後溶剤を乾燥、除去することでセラミック成形体(セラミックグリーンシート)が作製される。
ここで、上記ゲル化の進行に伴って、隣接するウレタン樹脂(ポリウレタン)の分子間において、各ウレタン樹脂分子内にそれぞれ生成されているウレタン基同士を連結するように架橋が発生し得る。この架橋により、ウレタン樹脂の分子間では強固なネットワークが形成され得る。この結果、セラミックスラリー硬化体(溶剤乾燥前)の強度が向上するため乾燥時に溶剤の揮発が進行しても、ウレタン樹脂分子(有機バインダ分子)の分子間距離が縮まり難くなり、セラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)が(熱)収縮し難くなり(セラミック成形体の(熱)収縮率が小さくなり)、溶剤乾燥時の収縮応力によるクラックの発生を抑制することができる。また、このネットワークの形成により、溶剤乾燥後のセラミック成形体の硬度も高まり、取り扱い性の向上や、ダイサー切断時及びバレル研磨加工時のチッピング(欠け)の低減という利点も認められる。
本発明に係るセラミック成形体の製造方法の別の実施態様においては、セラミックスラリーによって導体の少なくとも一部が被覆された状態で、セラミックスラリーを成形し、固化乾燥して、導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体を得る。かかる導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体を得る方法の例につき、以下に説明する。
例えば、前述のように調製されたセラミックスラリーを、鋳込み成形等の方法によって所望の形状の成形空間を有する成形型に注入し、当該成形型中で成形し、この成形された成形体を乾燥して溶剤等を揮発除去して、所望の形状のセラミック成形体を製造する際に、当該成形型中の所定の位置に導体(例えば、金属等の導電性材料からなる電極等)を配置しておき、当該導体の少なくとも一部がセラミックスラリーに埋没した状態で所望の形状のセラミック成形体を製造してもよい。
また、必要に応じて、上記のように製造された導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体の表面に追加の電極を更に設けてもよい。このようにして得られる、導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体は、例えば、圧電/電歪アクチュエータ、圧電センサー等の圧電/電歪素子やコンデンサー、酸素センサ、フィルター、カプラ等の電子部品として使用することができる。
更に、上述のセラミック成形体の製造方法において使用されるセラミックスラリーもまた、本発明の範囲に含まれる。具体的には、本発明のもう1つの実施態様は、
セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーであって、
前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0であり、かつ
前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
ことを特徴とする、セラミックスラリーである。
尚、本発明に係る上記セラミックスラリーの組成及び原材料等については、本発明に係るセラミック成形体の製造方法に関する説明において既に詳しく説明したので、ここでは改めて説明しない。
また、前述と同様に、より好ましくは、上記セラミックスラリーにおいて、前記OH/NCO比が0.7〜0.9であり、かつ前記セラミックスラリーにおける水分率が0.2重量%以下である。かかる構成を有するセラミックスラリーは、特に厚物のセラミック成形体(例えば、セラミックグリーンシート)を製造するのに好適である。
加えて、上述のセラミックスラリーを成形し、固化乾燥して得られるセラミック成形体もまた、本発明の範囲に含まれる。また、前述と同様に、その内部に導体(例えば、金属等の導電性材料からなる電極等)の少なくとも一部が埋没していることを特徴とするセラミック成形体もまた、本発明の範囲に含まれる。
更に、前述のいずれかの方法によって得られるセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体もまた本発明の範囲に含まれる。
また、前述のいずれかの方法によって得られるセラミック焼結体を含む電子部品もまた本発明の範囲に含まれる。
更に、前述のいずれかの方法によって得られるセラミック成形体を焼成する工程を含む、電子部品の製造方法もまた本発明の範囲に含まれる。
以下に記載する実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの例に限定されるものではない。
1.セラミックスラリーの調製
先ず、セラミック粉体としてのバリウムシリケート(BaO・SiO)粉末100重量部、溶剤としてのトリアセチンと有機二塩基酸エステルとの混合溶剤(混合比=1:9)40重量部、及び分散剤としてのポリカルボン酸系共重合体3重量部とを用意し、これらをボールミルを用いて12時間に亘つて、混合・解砕してセラミック粉体分散溶液を調製した。
上記セラミック粉体分散溶液(バリウムシリケート粉末100重量部を含む)に、イソシアネート基を有するゲル化剤としてのMDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)系イソシアネート及び150以下の分子量を有する低分子量ジオールとしてのエチレングリコール(EG)を含んでなる熱硬化性樹脂前駆体を混合した。この際、当該ゲル化剤と当該低分子量ジオールは、当該ゲル化剤のイソシアネート基に対する当該低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が表1に列挙されている各値(具体的には、0.5〜1.2)となるように配合した。
次に、上記混合物に、触媒として6−ジメチルアミノー1−ヘキサノール0.01重量部を更に混合し、この混合物を真空脱泡して、セラミックスラリーを調製した。
尚、粉末の乾燥条件を変更することにより、表1に列挙されている各OH/NCO比と各水分率(具体的には、0.05〜0.5重量%)との組み合わせを有する一連のセラミックスラリーを調製した。
2.セラミック成形体の成形
上記一連のセラミックスラリーを、成形型内に成形し、表1に列挙されている各種厚さ(具体的には、500、1500、3000、及び5000μm)のシート状に成形した。成形後、これらのシートを当該シート成形型内にて15時間に亘ってゲル化・硬化させ、その後、硬化したセラミックシート硬化体を成形型から取り出し、80℃に加熱し、15時間に亘って乾燥を行ない、各種セラミックグリーンシートを製造した。
3.セラミック成形体の評価
上記乾燥工程によって溶剤を揮発させた後、個々のセラミック成形体(セラミックグリーンシート)につき、目視検査を行った。クラック、ポア、又は成形型からの剥れが発生しているシートは「×」、上記不具合が認められないシートは「○」として、それぞれ格付けを行った。
前述のように製造した各種セラミックグリーンシートについて、上記評価を行った結果を以下の表1に示す。
Figure 2011213530
表1に示されているように、セラミックスラリーにおける水分率の如何にかかわらず、ゲル化剤のイソシアネート基に対する低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6未満の場合、及び1.0を超える場合、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの無い、良好なセラミック成形体を得ることは出来なかった。また、ゲル化剤のイソシアネート基に対する低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)を0.6〜1.0になるように配合しても、セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%を超える場合は、やはり、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの無い、良好なセラミック成形体を得ることは出来なかった。逆に、ゲル化剤のイソシアネート基に対する低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合し、かつセラミックスラリーにおける水分率を0.3重量%以下とした場合は、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの無い状態で、1500〜5000μmもの厚みを有するセラミック成形体を製造することが出来た。
上述のように、セラミック粉体、溶剤、並びにイソシアネート基を有するゲル化剤及び150以下の分子量を有する低分子量ジオールを含む熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る、本発明に係るセラミック成形体の製造方法において、前記低分子量ジオールを、前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合し、かつ前記セラミックスラリーにおける水分率を0.3重量%以下とすることにより、クラック、ポア、又は成形型からの剥れの発生を伴わずに、厚いセラミック成形体を製造することができることが、表1に示されている評価結果から確認された。

Claims (14)

  1. セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーを成形し、固化乾燥してセラミック成形体を得る、セラミック成形体の製造方法であって、
    前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
    前記低分子量ジオールが、前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0になるように配合されており、かつ
    前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
    ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のセラミック成形体の製造方法であって、
    前記低分子量ジオールが、前記OH/NCO比が0.7〜0.9になるように配合されており、かつ
    前記セラミックスラリーにおける水分率が0.2重量%以下である、
    ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のセラミック成形体の製造方法であって、
    前記セラミックスラリーが成形型内において成形される、
    ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造方法であって、
    前記セラミックスラリーによって導体の少なくとも一部が被覆された状態で、前記セラミックスラリーを成形し、固化乾燥して、導体の少なくとも一部が埋没したセラミック成形体を得る、
    ことを特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
  5. セラミック粉体、溶剤、及び熱硬化性樹脂前駆体を含んでなるセラミックスラリーであって、
    前記熱硬化性樹脂前駆体が、イソシアネート基を有するゲル化剤と、150以下の分子量を有する低分子量ジオールとを含んでなり、
    前記ゲル化剤のイソシアネート基に対する前記低分子量ジオールの水酸基のモル比(OH/NCO比)が0.6〜1.0であり、かつ
    前記セラミックスラリーにおける水分率が0.3重量%以下である、
    ことを特徴とする、セラミックスラリー。
  6. 請求項5に記載のセラミックスラリーであって、
    前記OH/NCO比が0.7〜0.9であり、かつ
    前記セラミックスラリーにおける水分率が0.2重量%以下である、
    ことを特徴とする、セラミックスラリー。
  7. 請求項5又は6に記載のセラミックスラリーを成形し、固化乾燥して得られる、セラミック成形体。
  8. 請求項7に記載のセラミック成形体であって、
    その内部に導体の少なくとも一部が埋没している、
    ことを特徴とする、セラミック成形体。
  9. 請求項7又は8に記載のセラミック成形体を焼成して得られる、セラミック焼結体。
  10. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法によって得られるセラミック成形体を焼成して得られるセラミック焼結体。
  11. 請求項9に記載のセラミック焼結体を含む電子部品。
  12. 請求項10に記載のセラミック焼結体を含む電子部品。
  13. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法によって得られるセラミック成形体を焼成する工程を含む、電子部品の製造方法。
  14. 請求項7又は8に記載のセラミック成形体を焼成する工程を含む、電子部品の製造方法。
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