JP2011202110A - 発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法、予備発泡粒子および発泡成形体 - Google Patents

発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法、予備発泡粒子および発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】予備発泡粒子同士の合着を引き起こさず、予備発泡時間を大幅に短縮することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法を提供することを課題とする。
【解決手段】融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を、密閉した予備発泡槽内で、0.02〜0.15MPaの予備発泡槽内のゲージ圧力下で予備発泡させて予備発泡粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法により課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法ならびに該予備発泡方法により得られる予備発泡粒子および発泡成形体に関する。さらに詳しくは、本発明は、予備発泡時において予備発泡粒子同士の合着を引き起こさず、予備発泡時間を大幅に短縮することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法、ならびに該予備発泡方法により得られる予備発泡粒子および発泡成形体に関する。
ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む発泡性熱可塑性樹脂粒子(本発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒子とも称する)から得られる発泡成形体は、従来のポリスチレン系単独樹脂粒子から得られる発泡成形体と比べて、その成形性、耐熱性等に優れるため、自動車部品等の通い箱、電気製品等の緩衝包装材として幅広く利用されている。
また、前記の発泡成形体の製造方法として、発泡性熱可塑性樹脂粒子を所定倍率まで予備発泡させ、次いで得られた予備発泡粒子を型内で発泡成形する発泡成形体の製造方法が一般に用いられている。
前記の予備発泡方法として予備発泡粒子の品質維持等の観点からバッチ法が広く用いられ、具体的には、
予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を投入し;
予備発泡槽に、大気圧下、加圧されていない蒸気、または実質的に加圧されていない0.01MPa程度の加圧蒸気を流通させつつ、攪拌しながら発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ;
発泡性熱可塑性樹脂粒子が所望の発泡倍率まで発泡した際、蒸気の流通を停止し、次いで空気を吹き込むことにより予備発泡粒子を冷却、乾燥し;
得られた予備発泡粒子を予備発泡槽内から回収する
方法が一般に用いられている。
しかしながら、前記の予備発泡は、予備発泡工程に要する時間が極めて長い等の製造工程上の問題点が認められていた。前記の問題点は単位時間当たりの発泡処理量の低下につながり、製造コスト、生産効率等の点で好ましいものではない。
よって、これらの問題点を解決する方法として、所定のゲージ圧力を有する加圧蒸気を用いた予備発泡方法が特許文献1に提案されている。
特許第4105195号公報 特許第4085835号公報 特許第4090932号公報 特開2008−308668号公報
特許文献1には、ゲージ圧力0.01〜0.10MPaの加圧蒸気を流通させる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は前記のゲージ圧力を有する加圧蒸気を用いているものの、従来の方法と同様に、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡は、開放された予備発泡槽内で行われている。このため、予備発泡槽内は、実質的には加圧条件下ではなく、予備発泡槽内のゲージ圧力は従来のバッチ法の場合と同様であった。よって、この場合であっても、若干の予備発泡時間の短縮は確認されたものの、従来技術と比べて満足のいく予備発泡時間の短縮効果は認められなかった。
また、特許文献2および特許文献3には、若干加圧された条件(予備発泡槽内の蒸気圧力(ゲージ圧力)0.03MPa以下)下で予備発泡を行うことにより、高品質な予備発泡粒子を製造する、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡方法が具体的に開示されている。
しかしながら、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡性熱可塑性樹脂粒子に置き換えて、同条件で予備発泡を行った場合、同様に予備発泡工程に長時間を要し、製造コスト等の観点から好ましいものではなかった。また、十分に発泡した予備発泡粒子を得ることができない場合もあり、品質の点でも好ましくない場合があった。さらに、特許文献2に記載の発明は予備発泡工程を2回以上に分けて実施しているため、予備発泡工程が複雑化し、生産性等の点でも満足のいくものではない。
他方、特許文献4には、所定の加圧条件(内圧(ゲージ圧力)0.27〜0.54MPa)下で行うことにより、高品質な予備発泡粒子を製造する、発泡性ポリオレフィン系樹脂粒子の予備発泡方法が具体的に開示されている。
同様に、発泡性ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡性熱可塑性樹脂粒子に置き換えて、同条件で予備発泡を行った場合、その極めて高い加圧条件のため、予備発泡粒子同士の合着(本発明では、ブロッキングとも称する)の現象が多く認められた。前記のブロッキングは、発泡成形体製造時のキャビティやホッパー内での予備発泡粒子のブリッジ等を引き起こす原因ともなり、製造面で好ましい現象ではない。また、予備発泡粒子の凝集物の発生にもつながり、予備発泡粒子および発泡成形体の品質面でも好ましいものではない。
従って、予備発泡時においてブロッキングを引き起こさず、予備発泡時間を大幅に短縮することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法、ならびに該予備発泡方法により得られる予備発泡粒子および発泡成形体を提供することが求められている。
かくして本発明によれば、融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を、密閉した予備発泡槽内で、0.02〜0.15MPaの予備発泡槽内のゲージ圧力下で予備発泡させて予備発泡粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が提供される。
また本発明によれば、前記の予備発泡方法により得られる予備発泡粒子も提供される。
さらに本発明によれば、前記の予備発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡成形体が提供される。
本発明では、予備発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒子同士のブロッキングを抑制し、予備発泡時間を大幅に短縮することができる。
本発明では、予備発泡工程を1工程とすることもできる。この場合も、本発明の予備発泡方法は、多段階工程とすることを要さず、生産性、製造コスト等に優れたものである。
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のいずれかであり、ポリスチレン系樹脂がポリスチレン単独重合体である場合、ブロッキングのより少ない良好な予備発泡粒子を得ることができる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子が、発泡性熱可塑性樹脂100重量部に対して8〜20重量部の易揮発性発泡剤を含む場合、より発泡性に優れた予備発泡粒子を得ることができる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子が、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合させることによりポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂を含む熱可塑性樹脂粒子を製造し、次いで該熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させる場合、熱可塑性重合性樹脂粒子および予備発泡粒子の表層におけるポリオレフィン系樹脂の比率を高め、その結果、得られる発泡成形体の成形性、耐熱性をより向上させることができる。
また、本発明の予備発泡方法を行うことによりブロッキング等の少ない、品質面に優れた予備発泡粒子を得ることもできる。
本発明では、予備発泡粒子表面のポリスチレン系樹脂比率が40質量%以下である場合、予備発泡粒子表面が必要以上に軟化することを抑制し、さらにブロッキング等の少ない、品質面に優れた予備発泡粒子を得ることができる。
また、本発明で得られる予備発泡粒子は、ブロッキングした発泡性熱可塑性樹脂粒子の量が極めて少なく、耐熱性等の品質に優れるため、成形性、耐熱性等に優れた発泡成形体を得ることもできる。
予備発泡槽を示す概略図である。 ポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率を測定するための検量線を示すグラフである。
本発明は、融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を、密閉した予備発泡槽内で、0.02〜0.15MPaの予備発泡槽内のゲージ圧力下で予備発泡を行うことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法である。
本発明において、密閉した予備発泡槽とは、図1に示すような開閉バルブ等の調整により予備発泡槽内を1つの閉じられた空間とすることができ、所望のゲージ圧力下で発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡を行うことができる予備発泡槽を意味する。前記の予備発泡槽は、その系内を一定のゲージ圧力条件下に保つことができるため、発泡性熱可塑性樹脂粒子中から易揮発性発泡剤が多量に放出せず、より品質面に優れた予備発泡粒子を得ることができる。また、樹脂粒子の軟化を促進し、その結果予備発泡時間をより短縮することもできる。
本発明においては、予備発泡槽内を0.02〜0.15MPa、好ましくは0.03
〜0.08MPa、より好ましくは0.04〜0.06MPaのゲージ圧力下で予備発泡を行う。0.02MPaより低いゲージ圧力下で予備発泡を行った場合、前記の易揮発性発泡剤の放出を引き起こすことがある。他方、0.15MPaより高いゲージ圧力下で予備発泡を行った場合、樹脂粒子が必要以上に軟化するため、ブロッキングを引き起こすことがある。
なお、本発明において、ゲージ圧力とは、予備発泡槽内に備えた圧力計が示す圧力を意味する。よって、本発明の予備発泡は、大気圧とゲージ圧力との合算圧力下で行われる。
以下に本発明で用いる発泡性熱可塑性樹脂粒子について説明する。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂にポリスチレン系樹脂が含まれた粒子である。
本発明においてポリオレフィン系樹脂とは、二重結合を有するオレフィン系重合性単量体を重合させることにより得られる樹脂をいう。ポリオレフィン系樹脂として、例えば、分枝鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、ポリプロピレン単独重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
本発明においては、予備発泡時のゲージ圧力とポリオレフィン系樹脂の融点との相関関係から、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のいずれかが好ましい。
本発明においては、予備発泡工程等に影響を与えない限り前記のポリオレフィン系樹脂を単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。なお、前記の例示中、低密度とは0.91〜0.94g/cm3であることが好ましく、0.91〜0.93g/cm3であることがより好ましい。高密度とは0.95〜0.97g/cm3であることが好ましく、0.95〜0.96g/cm3であることがより好ましい。中密度とはこれら低密度と高密度の中間の密度である。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂は、117〜145℃、好ましくは125〜140℃、より好ましくは138〜142℃の融点を有する。前記の融点を有するポリオレフィン系樹脂を用いることにより、予備発泡時のゲージ圧力と調和を図り、その結果、本発明の課題である予備発泡時間の短縮およびブロッキングの防止をより容易に解決することができる。
本発明においては、前記の融点が117℃より低い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が軟化し過ぎることによりブロッキングを引き起こすことがある。また、易揮発性発泡剤の保持能が低下するため、予備発泡時間の調整等を安定に行い得ないことがある。他方、前記の融点が145℃より高い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が十分に軟化せず、所定の発泡倍数を得ることができないことがある。なお、融点の測定方法等の詳細については実施例において詳説する。
また、ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン単独重合体、またはスチレンを主成分とし、スチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体である。ここでスチレンを主成分とするとは、スチレンが全単量体の70重量%以上を占めることを意味する。他の単量体として、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が例示される。例示中、アルキルとは炭素数1〜8のアルキルを意味する。
本発明においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子を安定に予備発泡させることができるポリスチレン単独重合体が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂は、予備発泡工程等に影響を与えない限り、それぞれ、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基等の官能基を含んでいてもよく、2以上のビニル基を有する架橋剤等により架橋されていてもよく、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ポリスチレン系樹脂は、発泡性熱可塑性樹脂粒子中に、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して100〜400重量部の範囲で含まれる。また、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対するポリスチレン系樹脂の、原料のスチレン系単量体の配合量も、同様にポリスチレン系樹脂と同じ100〜400重量部である。ポリスチレン系樹脂の含有量が400重量部より多いと、予備発泡粒子および発泡成形体の耐熱性が低下し、ブロッキングを起こすことがある。一方、100重量部より少ないと、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面層からの易揮発性発泡剤の逸散が速くなり所望の発泡性を得ることができず、易揮発性発泡剤の保持性が低下することがある。また、前記の範囲内である場合、予備発泡槽内の蒸気圧力(ゲージ圧力)を0.02〜0.03MPaに保った場合であっても、長期の工程時間を要することなく、ブロッキングの少ない所望の予備発泡粒子を得ることができる。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して125〜240重量部が好ましく、140〜190重量部がより好ましい。他方、ブロッキングのより少ない良好な予備発泡粒子を得うることがあるため、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との組合せとして、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のいずれかとポリスチレン単独重合体との組合せが好ましい。
易揮発性発泡剤として、公知の種々の揮発性発泡剤を使用することができる。特に、発泡性能付与の観点からブタンを用いることが好ましい。ブタンとして、ノルマルブタンおよびイソブタンが挙げられる。また、プロパン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン等のその他の炭化水素を少量併用してもよい。易揮発性発泡剤中、ブタンの含量は80重量%以上であることが好ましい。さらに、発泡助剤を用いてもよい。発泡助剤として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、d−リモネン等の溶剤、ジイソブチルアジペート、グリセリン、ジアセチル化モノラウレート、やし油等の可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。なお、前記の易揮発性発泡剤および発泡助剤は、予備発泡工程等に影響を与えない限り、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基等の官能基を含んでいてもよい。
易揮発性発泡剤の含有量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは8〜20重量部、より好ましくは10〜17重量部、さらにより好ましくは12〜15重量部である。易揮発性発泡剤の含有量が8重量部より低いと、発泡性熱可塑性樹脂粒子の発泡性が低下することがある。発泡性が低下すると、嵩倍数の高い低嵩密度の予備発泡粒子が得られ難くなると共に、この予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体は、合着率が低下し、耐割れ性が低下することがある。一方、20重量部より高いと、成形性の低下や、得られる発泡成形体の圧縮、曲げ等の強度特性の低下が発生することがある。
また、所望の予備発泡粒子を得ることができる限り、予備発泡粒子は添加剤等を含んでいてもよい。添加剤として、具体的には、難燃剤、難燃助剤、被覆剤、連鎖移動剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
予備発泡時に使用する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法について以下に説明する。
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造時に使用する熱可塑性樹脂粒子の製造には、公知の重合法、即ち、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、シード重合法等を適宜使用することができる。本発明においては、重合時の過度な発熱、圧力上昇を抑制しつつ、より容易かつ安全に熱可塑性樹脂粒子を製造することができるため、重合法として懸濁重合法を用いることが好ましい。
特に、懸濁重合法として、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系単量体を水性媒体中で含浸、重合させることにより熱可塑性樹脂粒子を製造する含浸重合法が好ましい。前記の含浸重合により、熱可塑性重合性樹脂粒子および予備発泡粒子の表層におけるポリオレフィン系樹脂の比率がより高くなることがある。
次いで、得られた熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させることにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。易揮発性発泡剤の含浸は、易揮発性発泡剤存在下、水性媒体の存在下または非存在下に行うことができる。前記の含浸は熱可塑性樹脂粒子を過剰量の易揮発性発泡剤に接触、浸漬することで、熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させることに対応している。
含浸法の例として、
易揮発性発泡剤と熱可塑性樹脂粒子とを攪拌下に混合させる方法;
熱可塑性樹脂粒子が保持された容器中に易揮発性発泡剤を循環させる方法;
熱可塑性樹脂粒子が分散している水性媒体中に発泡剤を注入して熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法等が挙げられる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法について以下に説明する。
本発明においては、図1に示すような開閉バルブ等により系内を閉じられた空間とし、系内のゲージ圧力を一定とすることができる予備発泡槽中で発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡を行うことができるが、本発明は図1の予備発泡槽に限定されるものではない。
図1において、1は予備発泡槽に蒸気を送り込むラインを示しており、バルブの開閉により送り込む蒸気の圧力を調節することができる。
2は予備発泡槽のジャケットに蒸気を送り込むラインを示しており、1と同様に、ジャケットに送り込む蒸気の圧力をバルブで調節することができる。
3は予備発泡を行う予備発泡槽を示している。
4は予備発泡の際、予備発泡粒子同士の合着を防ぐための攪拌翼を示している。
5は1から予備発泡槽内に送り込んだ蒸気を排出するためのラインを示しており、バルブ操作により開閉度を調節することができる。
6は予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れる際に用いる投入口を示している。
7は予備発泡終了後、予備発泡粒子を取り出す際の排出口を示している。
8は予備発泡槽内のゲージ圧力および温度を測定する際の計測計を示している。
9は蒸気配管内の加圧蒸気のゲージ圧力および温度を測定する際の計測計を示している。
前記の予備発泡槽は、5の蒸気排出バルブの開閉度を調節することで8の予備発泡槽内のゲージ圧力をゼロから9の蒸気配管の蒸気圧と同等のゲージ圧力まで任意に調節することができる。
本発明においては、前記のごとく、バルブの開閉等により系内を大気圧下、密閉調整とし、次いで加圧蒸気を導入し、予備発泡槽内を0.02〜0.15MPaのゲージ圧力下とすることにより予備発泡を行う。0.02MPaより低いゲージ圧力下で予備発泡を行った場合、易揮発性発泡剤の放出を引き起こすことがある。他方、0.15MPaより高いゲージ圧力下で予備発泡を行った場合、樹脂粒子が必要以上に軟化し、ブロッキングを引き起こすことがある。
また、予備発泡槽内のゲージ圧力P(MPa)はポリオレフィン樹脂の融点をT(℃)とした場合、式:
0.02<P<10(8.027-1705/(T+220))×1.33×10-4−0.1013MPa
であることが好ましい。
前記の式は、アントワン式:
log10P[mmHg]=A−B/(t[℃]+C)
によって、算出される。なお、A、BおよびCはアントワン定数を意味する。
前記の式を満たさない場合、予備発泡粒子がブロッキングを起こすことがある。
本発明においては、予備発泡槽内をより均一な温度条件下とし得る場合があるため、好ましくは0.02〜0.15MPa、より好ましくは0.02〜0.06MPaのゲージ圧力の加圧蒸気を用いて予備発泡槽を加熱する。0.02MPaより低いゲージ圧力の加圧蒸気を用いた場合、槽内温度を均一にできないことがある。他方、0.15MPaより高いゲージ圧力の加圧蒸気を用いた場合、製造コスト面で問題となることがある。
また、予備発泡槽内の温度は105〜127℃が好ましく、109〜114℃がより好ましい。105℃より低い温度で予備発泡を行った場合、十分に発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させることができない場合がある。他方、127℃より高い温度で予備発泡を行った場合、樹脂粒子が必要以上に軟化し、ブロッキングを引き起こすことがある。さらに、ブロッキング防止の観点から、予備発泡槽内に穏やかな攪拌を加えることが好ましい。
本発明の予備発泡を行うことにより、予備発泡時間を好ましくは120秒以下、より好ましくは65秒以下とすることもできる。また本発明を用いなくとも120秒以下の予備発泡時間で予備発泡が可能な組成を有する発泡性熱可塑性樹脂粒子は、本発明を用いることで更に予備発泡時間を2分の1以下にすることも出来る場合がある。これらは、従来技術と比較して予備発泡時間を大幅に短縮することができることを意味し、バッチ法においては製造コスト等の点から極めて好ましい。なお、予備発泡時間とは、発泡性熱可塑性樹脂粒子を系内に投入し、予備発泡槽内に加圧蒸気の導入を開始した時点から、予備発泡粒子の嵩倍数が35倍となるまでに要した時間をいう。予備発泡時間の測定方法等は実施例に詳説する。
前記の予備発泡時間経過後、バルブの開閉調整により予備発泡槽内の圧力を開放することにより、系内を大気圧下、得られた予備発泡粒子を予備発泡槽から回収する。
本発明においては、予備発泡工程を1工程で行うことが、生産性、製造コスト面で好ましい。また、予備発泡工程、品質等に影響を与えない限り、加圧条件、加熱条件、加熱時間等の予備発泡条件を多段階とし、予備発泡工程を2段階以上で行ってもよい。
本発明においては、予備発泡粒子の表層におけるポリスチレン系樹脂の比率が、好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下となる発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いる。前記の比率が40質量%より高い場合、予備樹脂粒子が必要以上に軟化し、ブロッキングを引き起こすことがある。よって、本発明においては、予備発泡粒子の表層におけるポリスチレン系樹脂の比率を調節することにより効果的にブロッキングを低減することもできる。なお、表層とは予備発泡粒子表面から深さ数μmまでの領域をいい、前記の比率の算出方法は実施例において詳説する。
本発明の予備発泡粒子は、好ましくは嵩倍数25〜80倍(嵩密度0.04〜0.0125g/cm3)、より好ましくは嵩倍数35〜60倍(嵩密度0.029〜0.017g/cm3)を有する。嵩倍数が80倍より大きいと、得られる発泡成形体の強度が低下することがある。一方、25倍より小さいと、得られる発泡成形体の重量が増加することがある。
また、予備発泡粒子の平均粒子径は8.4mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましい。平均粒子径が8.4mmより大きいと、発泡成形機への予備発泡粒子の充填性が低下することがあり、得られる発泡成形体の強度が低下することがある。
さらに、予備発泡粒子を成型機の型内に充填し、加熱して二次発泡させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることにより、所望の形状を有する発泡成形体を得ることができる。前記成形機としては、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられるEPS成形機等を用いることができる。
本発明で得られる発泡成形体はブロッキングが低減された予備発泡粒子を使用しているため、成形性に優れ、その表面は美麗である。よって、得られる発泡成形体は、家電製品等の緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の用途に用いることができる。特に、自動車部品等の通い箱、電気製品等の緩衝包装材として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。各種製造条件および評価方法について以下に説明する。
<ポリオレフィン系樹脂の融点>
JIS K 7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に従ってポリオレフィン系樹脂の融点の測定を行う。具体的には、示差走査熱量計装置DSC220型(セイコー電子工業社製)を用い、測定容器に試料を7mg充填し、窒素ガス流量30ml/分のもと、室温から220℃の間で10℃/分の昇・降スピードにより昇温、降温、昇温を繰り返し、2回目の昇温時のDSC曲線の融解ピーク温度を融点とする。また、融解ピークが2つ以上ある場合は、低い側のピーク温度を融点とする。
<発泡性熱可塑性樹脂粒子の易揮発性発泡剤内包量>
発泡性熱可塑性樹脂粒子20mg程度の量を精秤し、島津製作所社製熱分解炉PYR−1Aの分解炉入り口にセットし、15秒間ほどヘリウムでパージしてサンプルセット時の混入ガスを排出する。密閉後試料を200℃の炉心に挿入し、120秒間加熱してガスを放出させ、この放出ガスを島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14B(検出器:TCD)を用いて定量する。その測定条件はカラムがジーエルサイエンス社製ポラパックQ(80/100)3mmf×1.5mを用い、カラム温度(100℃)、キャリアーガス(ヘリウム)、キャリアーガス流量(1ml/min)、注入口温度(120℃)、検出器温度(120℃)である。
<予備発泡時間>
本発明においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子を系内に投入後、予備発泡槽内に加圧蒸気の導入を開始した時点から予備発泡粒子の嵩倍数が35倍となるまでの時間が65秒以下となる場合、合格(○)と判定する。前記の予備発泡時間は、予備発泡槽内の予備発泡粒子の全容積が、予備発泡粒子の嵩倍数が35倍に相当する所定の容積に達するまでの時間をいい、予備発泡粒子回収後、個々の予備発泡粒子の嵩倍数を評価することにより、予備発泡粒子の嵩倍数が実際に35倍であることを確認する。加圧蒸気の導入の終了は、予備発泡槽内に備えた発泡終了を検知するレベルセンサを用いて判断した。なお、予備発泡時に前記の所定の容積に達しなかった場合および65秒より長時間を要した場合、不合格(×)と判定する。
<予備発泡粒子のブロッキング>
予備発泡実施後の予備発泡粒子を目視にて確認することにより、2粒子以上のブロッキングの有無を確認する。次いで、得られた予備発泡粒子を、ブロッキングの有無に関わらず、分級等の操作を行うことなく、キャビティ内に、予備発泡粒子を充填する充填器を備えた公知の発泡成形機を用いて発泡成形を行う。ここで、キャビティ内に予備発泡粒子を充填する際、ブリッジ等を引き起こすことなく良好に充填されるか否かを確認する。
以下の判定基準に従って、ブロッキングの評価を判定する。
1.ブロッキングが確認されず、良好に充填することができる:○(合格)
2.ブロッキングが確認されたが、良好に充填することができる:△(合格)
3.ブロッキングが確認され、良好に充填することもできない:×(不合格)
<予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数>
予備発泡粒子を500cm3のメスシリンダ内に500cm3の目盛りまで充填する。ここで、メスシリンダを水平から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。次いで、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を少数点以下2位の有効数字で測定し、その質量をW(g)とする。
下式により予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
嵩倍数=1/嵩密度
<予備発泡粒子の平均粒子径>
予備発泡粒子の平均粒子径は、予備発泡粒子の粒子径の平均をとることにより算出する。即ち、本発明の予備発泡粒子の平均粒子径は体積平均粒子径を意味する。なお、予備発泡粒子の平均粒子径は、例えば、べックマンコールター株式会社から製品名「コールターマルチサイザーII」として市販されている測定装置を用いて測定することができる。
<予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率>
粒子の表層とは、予備発泡粒子の表面から深さ数μmまでの領域をいい、以下の測定により予備発泡粒子表層部分のポリスチレン系樹脂の比率を算出することができる。
吸光度比からポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の組成割合を求める方法としては、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を後述の要領で作製し、各標準試料についてATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行って赤外線吸収スペクトルを得る。得られた赤外吸収スペクトルのそれぞれから吸光度比を算出する。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のポリスチレン系樹脂比率(質量%))を、横軸に吸光度比(D698/D1376)をとることで、検量線を描く。この検量線に基づいて、本発明の予備発泡粒子におけるポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の組成割合を求めることができる。
例えば、ポリプロピレン系樹脂がサンアロマー社製、商品名「PC540R」、ポリスチレン系樹脂がポリスチレン(積水化成工業社製、商品名「SS142」)の場合、図2に示す検量線を用いることで、組成割合を知ることができる。例えば、吸光度比(D698/D1376)が10.0の場合、ポリプロピレン系樹脂が20.2質量%、ポリスチレン系樹脂が79.8質量%、吸光度比が15.0の場合にはポリプロピレン系樹脂が8.1質量%、ポリスチレン系樹脂が90.9質量%であると算出できる。
検量線の作成条件は以下の方法による。
上記標準試料は、次の方法により得られる。
まず、組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂)が下記比率になるようにポリスチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を合計2g精秤する。
これを小型射出成形機にて下記条件下に加熱混練して、直径が25mmでかつ高さが2mmの円柱状に成形することによって標準試料が得られる。
なお、小型射出成形機としては、例えば、CSI社から商品名「CS−183」で販売されているものを用いることができる。
射出成形条件:加熱温度200〜250℃、混練時間10分
組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂;質量比):
0/10、1/9、2/8、3/7、4/6、5/5、6/4、7/3、8/2、9/1、10/0
前期比率の標準試料の吸光度比を測定し、ポリスチレン系樹脂比率(質量%)と吸光度比(D698/D1376)の関係をグラフ化することで、図2の検量線が得られる。
図2において、ポリスチレン系樹脂比率が40質量%以下の場合、検量線は下記の式(1)で近似される。
Y=−2.5119X2+22.966X・・・(1)
また、図2において、ポリスチレン系樹脂比率が40質量%以上の場合、検量線は下記の式(2)で近似される。
Y=27.591Ln(X)+16.225・・・(2)
なお、前記式において、Xは吸光度比(D698/D1376)を示し、Yはポリスチレン系樹脂比率を示す。予備発泡粒子のポリスチレン系樹脂比率(質量%)が、図2の検量線を基に算出される。
同様に、吸光度比からポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成割合を求める方法としては、横軸に吸光度比(D698/D2850)をとり、同様の検量線を描くことにより、本発明の予備発泡粒子におけるポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成割合を求めることもできる。
実施例1
<ポリオレフィン系樹脂粒子の調製>
ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、プライムポリマー社製、製品名F−744NP、融点140℃)100重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。このときのポリオレフィン系樹脂粒子の平均質量を100粒当たり74mgに調整した。
<第1の重合>
次いで、攪拌機付き5Lオートクレーブに、前記のポリオレフィン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド(dicumyl peroxide)0.7gを溶解させたスチレン単量体0.344kgを30分で滴下した。滴下後30分間保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。次いで、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂の融点と同じ140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリオレフィン系樹脂粒子中で重合させた。
<第2の重合>
次いで、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂の融点より20℃低い120℃として、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレン単量体0.856kgを4時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合を行った。この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に昇温し、3時間保持して重合を完結し、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<易揮発性発泡剤の含浸>
この後、反応系の温度を60℃にして、この懸濁液中に、難燃剤としてトリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製)60gと、難燃助剤として2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン(化薬アクゾ社製)30gとを投入し、投入後、反応系の温度を130℃に昇温し、2時間攪拌を続け、熱可塑性樹脂粒子を得た。次いで、常温まで冷却し、熱可塑性樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後の熱可塑性樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、易揮発性発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。易揮発性発泡剤の含有量は発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して13重量部であった。
<予備発泡>
次いで、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機(笠原工業社製、製品名PSX40)に1000g投入し、系内を密閉後、PSX予備発泡槽内に加圧蒸気を導入するとともにPSX予備発泡槽内のゲージ圧力を0.14MPaに保ち、嵩倍数35倍に予備発泡させた予備発泡粒子を得た。予備発泡槽内のゲージ圧力を0.14MPaに保った場合、予備発泡槽内温度は126℃まで上昇した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は21質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.0mmであった。
実施例2
ポリオレフィン系樹脂粒子の調製時のポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、プライムポリマー社製、製品名F−744NP、融点140℃)100重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得、ポリオレフィン系樹脂粒子の平均質量を100粒当たり74mgに調整したことを、
ポリオレフィン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、日本ユニカー社製、製品名TUF−2032、融点126℃)100重量部を押出機に供給して造粒して、L/D=0.9のポリオレフィン系樹脂粒子を得、ポリオレフィン系樹脂粒子の平均質量を100粒当たり40mgに調整したこととした以外は実施例1と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は13質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.1mmであった。
実施例3
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.08MPaとした以外は実施例2と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は13質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.1mmであった。
実施例4
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.025MPaとした以外は実施例1と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は21質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.0mmであった。
実施例5
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.025MPaとした以外は実施例2と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は13質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.1mmであった。
実施例6
(1)第1の重合時のポリオレフィン系樹脂粒子800gを600gとし;
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.7gを0.6gとし;
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.344kgを0.3kgとし;
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド3.6gを4.2gとし;
(5)第2の重合時のスチレン単量体0.856kgを1.1kg
とした以外は実施例1と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は25質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.5mmであった。
実施例7
(1)第1の重合時のポリオレフィン系樹脂粒子800gを400gとし;
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.7gを0.4gとし;
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.344kgを0.2kgとし;
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド3.6gを4.8gとし;
(5)第2の重合時のスチレン単量体0.856kgを1.4kg
とした以外は実施例1と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は32質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は6.3mmであった。
実施例8
(1)第1の重合時のポリオレフィン系樹脂粒子800gを400gとし;
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.7gを0.4gとし;
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.344kgを0.2kgとし;
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド3.6gを4.8gとし;
(5)第2の重合時のスチレン単量体0.856kgを1.4kg
とした以外は実施例2と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
実施例9
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.05MPaとした以外は実施例8と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
実施例10
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.025MPaとした以外は実施例7と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は6.3mmであった。
実施例11
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.025MPaとした以外は実施例8と同様に実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
比較例1
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.17MPaとした以外は実施例1と同様に実施した。
予備発泡時にブロッキングが多く確認され、その後の成型は困難であった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は21質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.0mmであった。
比較例2
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.17MPaとした以外は実施例2と同様に実施した。
予備発泡時にブロッキングが多く確認され、その後の成型は困難であった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は13質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.1mmであった。
比較例3
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.17MPaとした以外は実施例7と同様に実施した。
予備発泡時にブロッキングが多く確認され、その後の成型は困難であった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は32質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は6.3mmであった。
比較例4
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.17MPaとした以外は実施例8と同様に実施した。
予備発泡時にブロッキングが多く確認され、その後の成型は困難であった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
比較例5
予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.01MPaとした以外は実施例8と同様に実施した。
しかし、予備発泡時間120秒で実施したが、発泡性熱可塑性樹脂粒子を所定の倍数まで予備発泡させることはできなかった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は21であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
比較例6
予備発泡を、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機(積水工機製作所社製、製品名SKK−70)に投入し、系内を密閉せず、大気圧下に開放した状態で、PSX予備発泡槽内に加圧蒸気圧0.05MPaの加圧蒸気を導入し、次いで同様に大気圧下に開放した状態で予備発泡を行った以外は実施例8と同様に実施した。
35倍の予備発泡粒子を得るのに82秒を必要とし、実施例8と比較して発泡時間に要する時間が長かった。
予備発泡工程時、予備発泡槽内のゲージ圧力は実質的に大気圧と同等であった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は22質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.1mmであった。
比較例7
(1)第1の重合時のポリオレフィン系樹脂粒子800gを1200gとし;
(2)第1の重合時のジクミルパーオキサイド0.7gを0.96gとし;
(3)第1の重合時のスチレン単量体0.344kgを0.48kgとし;
(4)第2の重合時のジクミルパーオキサイド3.6gを2.4gとし;
(5)第2の重合時のスチレン単量体0.856kgを0.32kg
とした以外は実施例1と同様に実施した。
しかし、予備発泡時間が120秒経過した場合であっても、良好な予備発泡を起こすことはできなかった。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は18倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は11質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.4mmであった。
比較例8
ポリオレフィン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、日本ユニカー社製、製品名TUF−2032、融点126℃)100重量部を押出機に供給して造粒して、L/D=0.9のポリオレフィン系樹脂粒子を得、ポリオレフィン系樹脂粒子の平均質量を100粒当たり40mgに調整した。次いで、攪拌機付き5Lオートクレーブに、前記のポリオレフィン系樹脂粒子200gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.2gを溶解させたスチレン単量体0.1kgを15分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。次いで、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂の融点より17℃高い140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリオレフィン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次いで、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂の融点より3℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド5.4gを溶解したスチレン単量体1.7kgを5時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
次いで、常温まで冷却し、熱可塑性樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後の熱可塑性樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、易揮発性発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機(笠原工業社製、製品名PSX40)に1000g投入し、系内を密閉後、PSX予備発泡槽内に加圧蒸気圧0.08MPaの加圧蒸気を導入するとともに、PSX予備発泡槽内のゲージ圧力を0.08MPa、に保ち、嵩倍数35倍に予備発泡させた予備発泡粒子を得た。予備発泡槽内のゲージ圧力を0.08MPaに保った場合、予備発泡槽内温度は115℃まで上昇した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は29質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は6.4mmであった。
比較例9
<ポリオレフィン系樹脂粒子の調製>
ポリオレフィン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA))(日本ユニカー社製、製品名NUC−3221、酢酸ビニル含有量:5重量%、融点107℃、密度:0.93g/cm3)100重量部および合成含水二酸化ケイ素0.5重量部を押出機に供給し、溶融混練し、水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。ポリオレフィン系樹脂粒子1粒の平均重量は0.60mgであった。
<第1の重合>
攪拌機付き5Lオートクレーブに、70℃の水2000kg、ピロリン酸マグネシウム16gおよびドデシルベンゼンスルホン酸0.4gを攪拌しながら水性媒体とした。次いで、水性媒体中に前記ポリオレフィン系樹脂粒子800gを攪拌しながら懸濁させた。次いで、水性媒体を85℃に昇温して水性懸濁液とした。重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド3g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2gおよびジクミルパーオキサイド5gをスチレン単量体400gに溶解させて第1のスチレン単量体を作製した。また、スチレン単量体800gに気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド2gを溶解させて第2のスチレン単量体を作製した。
次いで、第1のスチレン単量体を1時間当たり200gの割合で前期水性媒体中に連続的に滴下し、スチレン単量体、重合開始剤および架橋剤をポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら、スチレン単量体をポリオレフィン系樹脂粒子中に重合させた。
<第2の重合>
さらに、水性媒体を攪拌しつつ、第2のスチレン単量体の水性媒体への滴下が終了してから1時間放置した後、水性媒体を140℃に加熱して3時間保持した。次いで、重合容器を冷却して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.08MPaとした以外は実施例1と同様に易揮発性発泡剤の含浸および予備発泡を実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は27質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.0mmであった。
比較例10
ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製、製品名HRM10N)40重量部とポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、サンアロマー社製、製品名PF734S、融点150℃)60重量部との混合樹脂100重量部に、気泡調整剤として微粉末タルク0.2重量部と共に押出機に供給し、溶液混合した。押出機は、かみ合い型同方向回転2軸スクリュー混練機(スクリュー外径37mm、L/D比31.1)を使用した。次いで、溶融混練物をストランド状に押出して、ペレタイズし、100粒子当たりの重量が200mgである熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、予備発泡時の予備発泡槽内のゲージ圧力を0.07MPaとした以外は実施例1と同様に易揮発性発泡剤の含浸および予備発泡を実施した。
予備発泡時間およびブロッキングの評価結果については表1に示す。
予備発泡粒子の嵩倍数は35倍であった。
予備発泡粒子表層のポリスチレン系樹脂比率は27質量%であった。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.6mmであった。
表1に、実施例および比較例の原料種等を示す。
Figure 2011202110
表1より、実施例1〜10で行った発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法により、工程時間として長時間を要することなく、かつ、ブロッキングを引き起こすことなく良好な予備発泡粒子を得ることができることを示している。特に、実施例8、9、11で行った予備発泡方法により、同一の組成を有する発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡においては、本発明を用いない場合と比較して予備発泡時間を2分の1以下に短縮することができることを示している。これは、本発明の予備発泡粒子は、融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリオレフィン系樹脂100〜400重量部を含有する複合性発泡性熱可塑性樹脂粒子であるため、従来技術では行い得なかった予備発泡槽内のゲージ圧力(MPa)が0.02〜0.03MPaであっても、前記の問題を引き起こすことなく所望の予備発泡を行うことができることを示している。
また、予備発泡槽内のゲージ圧力(MPa)とポリオレフィン樹脂の融点をT(℃)とが、式:
0.02<P<10(8.027-1705/(T+220))×1.33×10-4−0.1013MPa
を満たす場合、特に良好な予備発泡粒子を得ることができることを示している。
さらに、融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部とポリオレフィン系樹脂100〜400重量部とを含む発泡性熱可塑性樹脂粒子であれば、前記の比率に関わらず本発明を適用することができることを示している。
実施例12
実施例1〜11で得られた予備発泡粒子を用いて発泡成形体を製造した場合、発泡成型時に予備発泡粒子を成型機内でブリッジ等を引き起こすことなく、安定内に成型機内に導入することができた。
従って、本発明の予備発泡方法を用いることにより得られた発泡成形体は耐熱性に優れ、その外観は美麗であった。
1 予備発泡槽に蒸気を送り込むラインおよびその開閉バルブ
2 予備発泡槽のジャケットに蒸気を送り込むラインおよびその開閉バルブ
3 予備発泡槽
4 攪拌翼
5 予備発泡槽に送り込んだ蒸気を排出するためのラインおよびその開閉バルブ
6 予備発泡粒子の投入口
7 予備発泡粒子の排出口
8 予備発泡槽の計測計
9 予備発泡槽に蒸気を送り込むラインの計測計

Claims (8)

  1. 融点が117〜145℃であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部を含有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を、密閉した予備発泡槽内で、0.02〜0.15MPaの予備発泡槽内のゲージ圧力下で予備発泡させて予備発泡粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
  2. 前記予備発泡が、1工程で行われる請求項1に記載の予備発泡方法。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のいずれかであり、前記ポリスチレン系樹脂が、ポリスチレン単独重合体である請求項1または2に記載の予備発泡方法。
  4. 前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して8〜20重量部の易揮発性発泡剤を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の予備発泡方法。
  5. 前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、前記ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合させることにより前記ポリオレフィン系樹脂および前記ポリスチレン系樹脂を含む熱可塑性樹脂粒子を製造し、次いで該熱可塑性樹脂粒子に前記易揮発性発泡剤を含浸させることにより製造される請求項1〜4のいずれか1つに記載の予備発泡方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法により得られる予備発泡粒子。
  7. 前記予備発泡粒子が、その表層に40質量%以下のポリスチレン系樹脂比率を有する請求項6に記載の予備発泡粒子。
  8. 請求項6または7に記載の予備発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡成形体。
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