JP2011199082A - リアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱が抑制されるとともに高いインダクタンス特性の得られるリアクトルを提供する。
【解決手段】軟磁性粉末を含んだコア16の内部にコイル10を内蔵したリアクトル15において、コア16におけるコイル10の内周側部分32と外周側部分25とを異なった材料で構成し、外周側部分25については、軟磁性粉末として純Fe若しくはSiを0.2〜4.0質量%含有したFe基合金から成る低Si材の粉末を用いたコア材で構成し、内周側部分については、軟磁性粉末としてSiを1.5〜9.0質量%含有し且つ外周側部分のコア材の軟磁性粉末よりもSiの含有量の多いFe基合金から成る高Si材の粉末を用いたコア材で構成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は軟磁性粉末を含んだコアの内部にコイルを内蔵したリアクトルに関する。
コアの内部に絶縁被膜付きの導体線材を巻いて成るコイルを内蔵したインダクタンス部品としてのリアクトルが従来様々な分野に用いられている。
例えばハイブリット自動車や燃料電池自動車,電気自動車等ではバッテリーと、モータ(電気モータ)に交流電力を供給するインバータとの間に昇圧回路が設けられており、その昇圧回路にインダクタンス部品であるリアクトル(チョークコイル)が用いられている。
例えばハイブリット自動車では、バッテリーの電圧は最大で300V程度であり、一方モータには大出力が得られるように600V程度の高電圧を印加する必要がある。そのための昇圧回路用の部品としてリアクトルが用いられている。
このリアクトルは太陽光発電の昇圧回路用その他にも広く用いられている。
従来において、リアクトルのコアは軟磁性粉末を樹脂をバインダとして固めたものが多く用いられており、また軟磁性粉末としてFe-Si系のFe基合金粉末が一般に多く使用されている。
これは、FeにSiを含有させることで磁歪を小さくでき、従ってその磁歪に起因するコア振動を小さく抑制できることによる。
FeにSiを含有させた場合、Siの含有量の増加に連れて磁歪が小さくなり、Si含有量6.5%の下で磁歪はゼロとなり、6.5%を超えると磁歪は負となる(6.5%以下では磁歪は正)。一方コアロスは6.5%で極小となり、これよりもSiが多くなっても少なくなってもコアロスは増大する。
従って磁歪及びこれに起因するコア振動の観点からはSiを6.5%含有させたものが良好である。
コアの軟磁性粉末としてFe-6.5%Siの組成を有する軟磁性粉末を用いたリアクトルはまたコアロスが低く、動作時の発熱も小さい特性を有するが、反面においてインダクタンスが十分に高くないといった難点を有する。
一方Siの含有量を3%,2%と少なくして純Feに近づけて行くと、これに伴ってインダクタンスは高くなるが、逆にコアロスが大きくなり、発熱も大きくなってしまう。
発熱が大きくなればコアの温度上昇が大となって、コアが高温度に達してしまい、場合によってコア材内部で設定された許容最高温度を超える部分が出てきてしまう。
例えば自動車の昇圧回路に用いられるリアクトルは極めて長期に亘って使用される部品であり、温度上昇が長期間繰り返されると熱履歴によりバインダとしての樹脂が劣化し、ひいては部品寿命を短くしてしまうことに繋がる。
このためリアクトルは許容可能な到達温度(最高温度)が設定され、内部発熱による温度上昇がその設定最高温度以下に抑制されることが求められる。
この点においてコア材の軟磁性粉末として上記のFe-6.5Si系の組成を有する軟磁性粉末を用いたリアクトルの場合、コア材内部における発熱が小さく、到達温度を設定された最高温度以下に良好に抑制することができる。
ところが一方で、リアクトルとして本来求められるインダクタンス特性が不十分となってしまうのである。
他方Si含有量の少ない純Feに近い材料のものを用いたものにあっては、インダクタンス特性については十分であるものの、コア材内部での発熱が大きく、到達温度を設定された最高温度以下に抑制することが難しい。
また中間の例えばFe-3Si組成のものを用いた場合にはインダクタンス,発熱特性の両方の特性が中途半端となってしまって、何れも満足できない場合が生じる。
尚本発明に対する先行技術として、下記特許文献1にはインダクタンス部品及びその製造方法についての発明が示され、そこにおいてコアにおけるコイルの内周側部分と外周側部分とでコア材を異ならせ、内周側部分についてはSiの含有量を少なくしたFe基軟磁性粉末を用いたコア材で構成し、また外周側部分についてはSi含有量を多くしたFe基合金の軟磁性粉末を用いたコア材で構成した点が開示されている。
但しこの特許文献1に開示のものでは本発明の課題を解決することができず、本発明とは別異のものである。
また下記特許文献2には、インダクタ及びその製作方法についての発明が示され、そこにおいてコアの第1磁性体をFeが98.5%より多い軟磁性粉末を用いたコア材で構成し、第2磁性体をFe-9.5Cr-3Siの組成のステンレス粉末を軟磁性粉末として用いたコア材で構成する点が開示されている。
但しこの特許文献2に開示のものもまた本発明の課題を解決することができず、本発明とは別異のものである。
特開2006−261331号公報 特開2009−224745号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、発熱が抑制されるとともに高いインダクタンス特性の得られるリアクトルを提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、軟磁性粉末を含んだコアの内部にコイルを内蔵したリアクトルであって、前記コアにおける前記コイルの内周側部分と外周側部分とを異なった材料で構成してあり、該外周側部分については、前記軟磁性粉末として純Fe若しくはSiを0.2〜4.0質量%含有したFe基合金から成る低Si材の粉末を用いたコア材で構成し、前記内周側部分については、前記軟磁性粉末としてSiを1.5〜9.0質量%含有し且つ前記外周側部分のコア材の軟磁性粉末よりもSi含有量の多いFe基合金から成る高Si材の粉末を用いたコア材で構成してあることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記高Si材のSi含有量が前記低Si材のSi含有量よりも1.5質量%を超えて多いことを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、絶縁被膜付きの前記コイルを電気絶縁性の樹脂にて外側から全体的に包み込む状態に被覆してコイル被覆体となす一方、前記コアは、該コイル被覆体を内部に一体に埋め込む状態に前記軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材を射出成形して成る成形体にて構成してあり、且つ該コアは、前記コイル被覆体の外周面に接する筒状の外周側成形部を含む1次成形体と、該コイル被覆体の内周面に接する内周側成形部を含む2次成形体とを境界面で接合一体化してあることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項3において、前記コイル被覆体の樹脂被覆層を熱可塑性樹脂にて形成し、且つ該樹脂被覆層は、前記コイルの外周面を被覆する外周被覆部を含む成形体と、該コイルの内周面を被覆する内周被覆部を含む成形体とを接合して一体化してあることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項3,4の何れかにおいて、前記コアがリアクトルケースの容器部と一体に射出成形してあることを特徴とする。
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、周波数が1〜50kHzの交番磁界中で使用されることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、リアクトルにおけるコアをコイルの内周側部分と外周側部分とに分け、そして外周側部分については軟磁性粉末として純Fe若しくはSiを0.2〜4.0%含有したFe基合金から成る低Si材の粉末を用いた、相対的に高インダクタンス、高発熱のコア材で構成する一方、内周側部分については軟磁性粉末としてSiを1.5〜9.0%含み且つ外周側部分のコア材の軟磁性粉末よりもSiの含有量の多いFe基合金から成る高Si材の粉末を用いた、相対的に低発熱、低インダクタンスのコア材で構成したものである。
本発明は、コア内部での発熱による温度上昇がコア全体に亘って均等ではなく、発熱による温度上昇の高い部分と温度上昇の低い部分とがある、との知見に基づいてなされたものである。
具体的には、リアクトルのコアは冷却の効き易い部分と冷却の効き難い部分とがあり、コイルの外周側部分は冷却の効き易い部分となり、内周側部分は冷却の効き難い部分となる。
現に本発明者等がコア内部の到達温度を測定したところ、外周側部分については到達温度は低く、内周側部分については到達温度が高いことが確認された。
そこで本発明では、冷却され易い外周側部分については、高インダクタンスが得られる一方で発熱の大きな材料、具体的には純Fe若しくはSiを0.2〜4.0%含有したFe基合金から成る低Si材の粉末を用いてコア材で構成し、一方冷却が効き難く、熱の逃げ難い内周側部分については、Siを1.5〜9.0%含んだFe基合金から成る高Si材の粉末を用いてコア材を構成したものである。
コアをこのように構成した結果、インダクタンス特性及び温度抑制特性の相反する何れの特性をも両立し得るリアクトルの得られることを確認した。
本発明では軟磁性粉末に、必要に応じてCr,Mn,Niの1種以上を任意元素として添加しておくことができる。
但しCrを添加する場合には、この添加量を5質量%以下とするのが良い。その理由はコアロスをより低減し易くなることによる。
またMn,Niは合計で1質量%以下とするのが良い。その理由は低い保磁力を維持し易くなることによる。
(粉末について)
上記軟磁性粉末は、ガス噴霧、水噴霧、遠心噴霧、これらの組み合わせ(例えば、ガス・水噴霧)、ガス噴霧直後に速やかに冷却する等によるアトマイズ法や、ジェットミル、スタンプミル、ボールミル等による機械粉砕法や、化学還元法などによる粉末を用いることができる。
比較的歪みが小さい、球状になりやすく分散性に優れる、粉砕に機械的エネルギーが不要であるなどの観点から、上記軟磁性粉末はアトマイズ法による粉末とするのが良い。より好ましくは歪みが小さく、酸化も少ないなどの観点からガスアトマイズ法による粉末とするのが良い。
上記軟磁性粉末の粒径は、例えば、アトマイズ時の粉末の歩留まり、混練時の混練トルクや焼き付き性、射出成形時の流動性、磁心で使用される周波数などの観点から1〜500μmの範囲内、好ましくは5〜250μmの範囲内、より好ましくは10〜150μmの範囲内とするのが良い。
粉末は粒径が小さくなるほど渦電流損失の低減には効果が大きいものの、逆にヒステリシス損失は大きくなる傾向がある。したがって粉末の歩留まり(すなわちコスト)と得られる効果(すなわちコアロス)とのバランス、使用される周波数などから、粉末の粒径の上下限や粒径の分布などを決めれば良い。
上記軟磁性粉末は、歪みの除去や結晶粒の粗大化を図るため、熱処理されていても良い。熱処理条件としては、水素、アルゴンの何れか一方または双方等の雰囲気下、温度700℃〜1000℃、時間30分〜10時間などを例示することができる。
軟磁性粉末とともにコア材を構成するバインダとしての有機高分子としては、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂,ゴム,熱可塑性エラストマー若しくはそれらの組み合わせを用いることができる。好ましくは耐熱性、機械的強度などの観点から樹脂を好適に用いることができる。
その樹脂としては、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂,ポリアミド(PA)樹脂,ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,エポキシ樹脂(例えばコアをポッティング成形する場合等)などを例示することができる。
このうち耐熱性、難燃性、絶縁性、成形性、機械的強度などの観点からポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂が好適である。
軟磁性粉末とバインダとの混練物における軟磁性粉末の割合は、磁束密度を高めたり、透磁率を適切な範囲としたり、熱伝導率を高めたりするなどの観点から30体積%以上、好ましくは50体積%以上、より好ましくは60体積%以上とするのが良い。
軟磁性混練物は、上記軟磁性粉末、上記有機高分子以外にも必要に応じて酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、安定剤、強化剤、着色剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
軟磁性混練物は、例えば軟磁性粉末と、粉末状等の有機高分子と、必要に応じて添加される各種の添加物とを適当な割合となるように配合し、これを2軸混練機等の混練機を用いて、有機高分子を溶融状態として、各種配合物を練り合わせるなどの工程を経ることにより製造することができる。
(成形方法について)
成形方法は、コアを射出成形する場合には、射出成形装置に、軟磁性混練物として、予め軟磁性粉末と有機高分子とが混練された混練物、例えば、上述した軟磁性混練物等を供給し、これを可塑化して(溶融状態にして)、金型内に射出することにより成形する方法を用いることができる。また他にも、射出成形装置に、軟磁性粉末と粉末状等の有機高分子とをそれぞれ単独または混合状態で供給し、装置中にて有機高分子を溶融状態にし、軟磁性粉末と有機高分子とを混練することにより軟磁性混練物を生成させ、これを金型内に射出するようになすこともできる。
軟磁性混練物を金型内に射出した後、適当な時間冷却するなどすれば、金型のキャビティ形状に応じた所定形状を有する射出成形コアを得ることができる。なお、得られた射出成形コアは、必要に応じて、機械加工等などの加工が施されても良い。
射出成形装置としては、横型射出成形装置、縦型射出成形装置、プランジャー式射出成形装置、スクリュー式射出成形装置、電動式射出成形装置、油圧式射出成形装置、2材射出成形装置、これらを組み合わせた射出成形機装置等を用いることができる。
本発明では、上記内周側部分の軟磁性粉末を構成する高Si材のSi含有量は、外周側部分の軟磁性粉末を構成する低Si材のSi含有量よりも1.5%を超えて多くしておくことが望ましい(請求項2)。
より望ましくはSi含有量を2.5%以上、更に望ましくは3.5%以上多くしておくのが良い。
次に請求項3は、絶縁被膜付きのコイルを電気絶縁性の樹脂にて外側から全体的に包み込む状態に被覆してコイル被覆体となす一方、上記コアを、コイル被覆体を内部に一体に埋め込む状態に軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材を射出成形して成る成形体にて構成し、且つそのコアを、コイル被覆体の外周面に接する筒状の外周側成形部を含む1次成形体と、コイル被覆体の内周面に接する内周側成形部を含む2次成形体とを境界面で接合して一体化したものである。
リアクトルをこのように構成しておくことで、これを次のように製造することができる。
即ちコアを射出成形する工程Aを、コアの、コイル被覆体の外周面に接する筒状の外周側成形部を含む、コイル軸方向の一端側にコイル被覆体の嵌込用の開口を有する形状の1次成形体をコア用の1次成形型にて予め射出成形しておく工程A-1と、コイル被覆体の内周面に接する内周側成形部を含む2次成形体をコア用の2次成形型にて成形する工程A-2と、に分け、工程A-2では、工程A-1で得た1次成形体の外周側成形部にコイル被覆体を内嵌状態に嵌合させ、且つコア用の2次成形型にて外周側成形部を外周側から径方向に拘束し保持した状態で、内周側成形部を含む2次成形体を成形すると同時に、2次成形体と1次成形体及びコイル被覆体を一体化する方法を用いてリアクトルを製造することができる。
従来、リアクトルの製造方法としては、外ケースないし容器の内部にコイルをセットした状態で、熱硬化性の樹脂の液に軟磁性粉末を分散状態に混合したものを、外ケースないし容器の内部に注入し、そしてその後これを所定温度に加熱し且つ所定時間かけて樹脂液を硬化反応させ、以てコアを成形すると同時にコイルと一体化させる、いわゆるポッティング成形によるもの(注型成形)が一般的である(例えば特開2007−27185号公報,特開2008−147405号公報等に開示)。
しかしながらこの製造方法の場合、軟磁性粉末を含んだ樹脂の液を硬化させるための大型の加熱炉が必要であるとともに、硬化のための多量の熱エネルギーが必要であったり、また硬化のために長い時間がかかり、コスト的に高くなるとともに生産性を高めることが難しいといった問題がある。
しかるに上記射出成形による製造方法によれば、上記ポッティング成形による製造方法の有する様々な問題を解決することが可能である。
但し単にコイルを射出成形型の内部にセットした状態でコアを射出成形した場合、次のような困難な問題が生ずる。
軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材は、成形型のキャビティへの射出時において温度が例えば300℃以上の溶融状態で液状のものであり、射出後に成形型内部で成形型により冷却されて固化し成形体となる。
その際に、或いはその後成形型から取り出されて室温まで冷却される過程で、成形体としてのコアが大きく径方向に収縮しようとする。
ところがコアの内部には金属製のコイルが位置しているため、コアはコイルの外周側において径方向に収縮することができず(コアと金属製のコイルとの間には熱膨張係数に大きな差がある)、その結果コイルの外周側部分が周方向に収縮しようとして、図21に示すようにコア16の外周側成形部16Aに亀裂Kが発生してしまうのである。
コア16におけるこのような亀裂Kの発生はリアクトルとしての性能を低下させる要因となる。
しかるにリアクトルを請求項3に示す構成とし、そしてこれを上記した方法で製造するようになした場合、この製造方法ではコアにおける外周側部分(外周側成形部)が予めコイルとは別に単独で1次成形体として成形されているため、コアの成形に際してその内側に位置しているコイルが原因となって外周側成形部に亀裂発生するといった問題は生じない。
外周側成形部を含む1次成形体が、コイルとは別に単独で予め成形されるため、その成形時に1次成形体、詳しくは外周側成形部が冷却に伴って自由に収縮することができるからである。
一方、コイルの内周面(厳密にはコイル被覆体の内周面)に接する内周側成形部を含む2次成形体は、コイルを成形型にセットした状態でコイルと一体に成形されるが、この内周側成形部は径方向に収縮するに際してコイルによる抵抗を特に受けないため、その収縮によって亀裂発生するといった問題は特に生じない。
即ち上記の製造方法によれば、コイルの存在によってコアに亀裂が発生する問題を有効に解決することができる。
この製造方法ではまた、工程A-1で得た1次成形体の外周側成形部にコイル被覆体を内嵌状態に嵌合させ、そしてその1次成形体の外周側成形部を、コア用の2次成形型にて外周側から径方向に拘束し保持した状態でコアの内周側成形部を含む2次成形体を成形することができる。
この状態でコアの2次成形体を成形した場合、2次成形体の成形に際してコイルが射出圧及び流動圧にてセット位置から位置ずれするのを防止でき、コイルを予め設定した位置に正確に位置決めし且つ保持した状態でコアを成形完了することができる。
従ってコアの成形時にコイルが位置ずれすることによって、コイル複合成形体の特性に悪影響が及ぶのを良好に防止することができる。
次に請求項4は、上記請求項4におけるコイル被覆体の樹脂被覆層を熱可塑性樹脂にて形成し、そしてその樹脂被覆層を、コイルの外周面を被覆する外周被覆部を含む成形体と、コイルの内周面を被覆する内周被覆部を含む成形体とを接合し、一体化したものである。
コイル被覆体をこのように構成しておくことで、かかるコイル被覆体を含むリアクトルを次のようにして製造することが可能となる。
即ち、コイル被覆体の樹脂被覆層を射出成形にて成形するようにし、且つ射出成形の工程Bを、コイルの内周面又は外周面に対して樹脂被覆層用の1次成形型を接触させ、1次成形型にてコイルを内周面又は外周面において径方向に位置決めし拘束した状態で、コイルの外周側又は内周側に形成される1次成形型の1次成形キャビティに樹脂材料を射出して、樹脂被覆層における外周被覆部又は内周被覆部を含む1次成形体を成形し且つコイルと一体化する工程B-1と、しかる後1次成形体をコイルとともに樹脂被覆層用の2次成形型にセットして、コイルの内周側又は外周側に形成される2次成形型の2次成形キャビティに樹脂材料を射出して、樹脂被覆層における内周被覆部又は外周被覆部を含む2次成形体を成形し、且つコイル及び1次成形体と一体化する工程B-2と、に分けて射出成形を行い、リアクトル製造を行うことが可能となる。
この製造方法によれば、コイル被覆体を射出成形するに際し、成形を少なくとも2回に分けて行うことで、コイルを成形型により良好に位置決めし保持した状態でコイル被覆体、具体的には樹脂被覆層を良好に射出成形することができ、その成形に際して、コイルが射出圧や流動圧により位置ずれしてしまうのを良好に防止することができ、且つ樹脂被覆層をコイル被覆状態に良好に成形することが可能となる。
本発明においては、請求項3,4の上記コアが射出成形の成形体であることを利用して、コアを射出成形する際にリアクトルケースの容器部とコアとを一体に射出成形しておくことができる(請求項5)。
このようにすれば、コア成形後において即ちリアクトルを製造した後において、別途の工程でリアクトルケースの容器部をリアクトルのコアに取り付ける工程を省くことができる。
本発明のリアクトルはまた、周波数が1〜50kHzの交番磁界中で使用されるもの、例えば上記のハイブリット自動車や燃料電池自動車,電気自動車或いは太陽光発電の昇圧回路に用いられるリアクトルに対して好適に適用可能である(請求項6)。
本発明の一実施形態のリアクトルを示した図である。 図1のリアクトルの要部断面図である。 図1のリアクトルを分解して示した斜視図である。 図3のコイル被覆体を樹脂被覆層とコイルとに分解して示した斜視図である。 図4のコイルを図4とは別の角度から見た図及び上,下コイルに分解して示した図である。 同実施形態におけるコイル被覆体の成形手順の説明図である。 図6に続く成形手順の説明図である。 同実施形態のリアクトルの製造方法の工程説明図である。 同実施形態におけるコイル被覆体の成形方法の説明図である。 同実施形態におけるコアの成形方法の説明図である。 コイル縦断面のアスペクト比と重量比又は損失比との関係を示した図である。 リアクトルにおけるコイルの複数の形態例を示した図である。 リアクトルにおけるコア材を異ならせる際のコア材の分け方を示した説明図である。 コア材の組成を異ならせたときの特性の評価の試験方法の要部を示した説明図である。 コア材の温度測定点の位置を示した説明図である。 表2における実施例1と3の製造方法の説明図である。 アルミケース(リアクトルケース)の一例を示した図である。 本発明の他の実施形態を示した図である。 図18の実施形態のリアクトルの製造方法の一例を示した図である。 従来のリアクトルの一例を示した要部断面図である。 リアクトルのコアを射出成形する際の問題点を説明した際の説明図である。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、15はインダクタンス部品としてのリアクトル(チョークコイル)で、軟磁性樹脂成形体から成るコア16の内部に絶縁被膜付きのコイル10が隙間無く埋込状態に内包され、一体化されている。即ちコア16は、ギャップをもたない構造のリアクトルとなるように作製してある。
この実施形態において、コイル10は図4〜図6(A)に示すようにフラットワイズコイルで、平角線材を線材の厚み方向(径方向)に巻き、重ねてコイル形状となしたもので、巻き加工し成形した自由形状状態で径方向に隣接する線材同士が互いに接触状態に重なっている。
本実施形態において、コイル10は図4,図5に示しているように上コイルブロック(以下単に上コイルとする)10-1と下コイルブロック(以下単に下コイルとする)10-2とを巻き方が反対方向になるようにコイル軸方向に上下に2段に段重ねして、それぞれの内径側の端部20を接合し、1つの連続したコイルとして構成してある。但し1本の線材で上コイル10-1と下コイル10-2とを連続して構成したものであっても良い。
尚、上コイル10-1と下コイル10-2との間には大きな電位差が生ずるため、それらの間には図5(B)に示しているように円環状の絶縁シート21が介装してある。ここで絶縁シート21は厚みが約0.5mm程度のものである。
尚図中18はコイル10におけるコイル端子で、径方向外方に突出せしめられている。
図5(A)に示しているように上コイル10-1,下コイル10-2は同一形状のもので、何れも平面形状が円環状をなしており、従ってコイル10全体も円環状をなしている。
図2に示しているように上コイル10-1,下コイル10-2はコイル軸方向の上下方向の寸法が同一寸法をなしており、それら2つのコイルを合せた全体の高さ寸法がAとされている。尚この高さ寸法Aは絶縁シート21込みの寸法である。
また縦断面における径方向寸法である幅寸法がBとされている。
而してそれら高さ寸法Aと幅寸法Bとの比率であるアスペクト比A/Bが、ここでは0.7〜1.8の範囲内とされている。
尚コイル10は、図1に示しているようにコイル端子18の先端側の一部を除いて全体的にコア16に埋込状態に一体に内包されている。
この実施形態においてコイル10は銅,アルミニウム,銅合金,アルミニウム合金等種々の材質のものを用いることができる(但しこの実施形態ではコイル10は銅製である)。
本実施形態において、コア16は軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材を射出成形して得た成形体から成っている。
ここでは軟磁性粉末として純Fe又はFe-Si系の鉄基合金粉末が用いられている。
絶縁被膜付きのコイル10は、コイル端子18の先端側の一部を除いて、その全体が電気絶縁性の樹脂で外側から被覆されている。
図1〜図3中、24はコイル10と樹脂被覆層22とから成るコイル被覆体で、コイル10はこのコイル被覆体24としてコア16の内部に埋め込まれている。
この実施形態において、樹脂被覆層22の厚みは0.5〜2.0mmとしておくことが好ましい。
この樹脂被覆層22は、軟磁性粉末を含有していない電気絶縁性の熱可塑性樹脂から成っている。その熱可塑性樹脂としてはPPS,PA12,PA6,PA6T,POM,PE,PES,PVC,EVAその他種々の材質のものを用いることができる。
図3の分解図にも示しているように、コア16は、1次成形体16-1と2次成形体16-2とを、図1(B)に示す境界面Pで射出成形による接合にて一体化して構成してある。
1次成形体16-1は、図1〜図3に示すようにコイル被覆体24の外周面に接する円筒状の外周側成形部25と、コイル被覆体24の図中下側に位置する底部26とを有する容器状且つコイル軸線方向の図中上端に開口30を有する形状をなしている。
尚、この1次成形体16-1の外周側成形部25には切欠部28が設けられている。
この切欠部28は、後述のコイル被覆体24の厚肉部36(図3参照)を嵌め入れるためのものである。
一方2次成形体16-2は、図1〜図3に示しているようにコイル被覆体24の内周面に接し、且つコイル10の内側の空所を埋めて1次成形体16-1における底部26に達する内周側成形部32と、コイル被覆体24の図中上側に位置し、1次成形体16-1における上記の開口30を閉鎖して、1次成形体16-1の凹所40及びそこに収容されたコイル被覆体24を内側に隠蔽する上部の円形の蓋部34とを一体に有している。
一方、コイル10を被覆する樹脂被覆層22もまた、図4の分解図にも示しているように1次成形体22-1と2次成形体22-2とから成っており、それらが図1(B)に示す境界面Pにおいて射出成形による接合にて一体化されている。
1次成形体22-1は、コイル10の外周面を被覆する円筒状の外周被覆部46と、コイル10の下端面の全体を被覆する下被覆部48とを一体に有している。
一方2次成形体22-2は、コイル10の内周面を被覆する円筒状の内周被覆部50と、コイル10の上端面の全体を被覆する上被覆部52とを一体に有している。
尚、1次成形体22-1には径方向外方に突出する厚肉部36が全高に亘って形成されており、その厚肉部36に、これを径方向に貫通する一対のスリット38が形成されている。
コイル10における上記の一対のコイル端子18は、これらスリット38を貫通して1次成形体22-1の径方向外方に突出せしめられている。
また2次成形体22-2には、径方向外方に突出する舌片状の突部42が上被覆部52に一体に形成されている。1次成形体22-1における厚肉部36は、その上面がこの突部42にて被覆される。
図3〜図10に、図1のリアクトル15の製造方法が具体的に示してある。
この実施形態では、図6及び図7に示す手順に従って図6(A)に示す絶縁被膜付きのコイル10を外側から包み込むように樹脂被覆層22を形成し、コイル10と樹脂被覆層22とを一体化して成るコイル被覆体24を構成する。
このとき、図6(B)に示しているように先ず外周被覆部46と下被覆部48を一体に有する1次成形体22-1を成形し、しかる後に図7(C)に示すように内周被覆部50と上被覆
部52とを一体に有する2次成形体22-2を成形し、樹脂被覆層22の全体を成形する。
図9に、その際の具体的な成形方法が示してある。
図9(A)において、54はコイル被覆体24具体的には樹脂被覆層22用の1次成形型で、上型56と下型58を有している。
ここで下型58は中型部58Aと外型部58Bとを有している。
図9(A)に示す1次成形型54を用いた1次成形では、先ずコイル10を1次成形型54にセットする。このときコイル10は図4に示す向きとは上下の向きを逆向きにしてセットする。
詳しくは下コイル10-2が上側に、上コイル10-1が下側に位置するように上下を逆向きにして1次成形型54にセットする。
そして中型部58Aをコイル10の内周面に接触させて、この中型部58Aによりコイル10の内周面を径方向に拘束し保持する。
そして1次成形型54の、コイル10の外周側に形成された1次成形キャビティ66に通路68を通じて樹脂(熱可塑性樹脂)材料を射出し、図1及び図6(B)に示す樹脂被覆層22の1次成形体22-1を射出成形する。
詳しくは、図9(B)に示す外周被覆部46と下被覆部48とを一体に有する1次成形体22-1を射出成形する。
以上のようにして樹脂被覆層22の1次成形体22-1を成形したら、これと一体のコイル10とともに、それらを図9(B)に示す2次成形型70にセットする。
このとき、図9(B)に示しているようにコイル10を1次成形体22-1とともに上下逆向きにして2次成形型70にセットする。
この2次成形型70は、上型72と下型74とを有している。また下型74は、中型部74Aと外型部74Bとを有している。
この2次成形型70は、1次成形体22-1をコイル10とともにセットした状態で、その内周側と上側とに2次成形キャビティ80を形成する。
この2次成形型70を用いた2次成形では、通路82を通じて1次成形の際の樹脂材料と同一の樹脂材料を2次成形キャビティ80に射出し、樹脂被覆層22における2次成形体22-2を射出成形して同時にこれを1次成形体22-1及びコイル10と一体化する。
本実施形態では、以上のようにして成形されたコイル被覆体24を、図1のコア16の成形の際にコア16と一体化する。
その具体的な手順が図8及び図10に示してある。
この実施形態では、コア16の全体を成形するに際して、図8に示すように先ず容器状をなす1次成形体16-1を予め成形しておく。
そしてその後において、図8(A)に示すように容器状をなす1次成形体16-1の凹所40の内部に、図6及び図7に示す手順で成形したコイル被覆体24を、1次成形体16-1の開口30を通じて図中下向きに全高に亘って嵌め込み、コイル被覆体24を1次成形体16-1にて保持させる。
そしてその状態で1次成形体16-1とコイル被覆体24とを成形型にセットし、コア16における2次成形体16-2を射出成形して、これを1次成形体16-1及びコイル被覆体24と一体化する。
図10(A)は、1次成形体16-1を成形するコア16用の1次成形型を示している。
84は、1次成形体16-1を成形する1次成形型で、上型86と下型88とを有している。
ここでは通路92を通じて軟磁性粉末と熱可塑性樹脂の混合材をキャビティ94に射出成形し、以て外周側成形部25と底部26とを一体に有する1次成形体16-1を成形する。
図10(B)は、コア16における2次成形体16-2を成形する2次成形型を示している。
96はその2次成形型で、上型98と下型100とを有している。
この2次成形では、先に成形した1次成形体16-1にコイル被覆体24を嵌め込み、保持させた状態で、それらを2次成形型96にセットする。
このとき、1次成形体16-1はその外周面が2次成形型96への全周に亘る接触によって径方向に位置決めされ、更に底部26の下面が2次成形型96内において上下方向に位置決状態に保持される。
即ちコイル被覆体24が1次成形体16-1を介して2次成形型96内で径方向にも、また上下方向にも位置決めされ保持される。
この2次成形では、その状態でキャビティ104よりも図中上方の通路102を通じキャビティ104内に1次成形の際とは異なった混合材を射出し、以て図1(B),図3及び図8(B)の2次成形体16-2を成形し、同時にこれを1次成形体16-1及びコイル被覆体24と一体化する。
ここにおいて図1及び図8(B)に示すリアクトル15が得られる。
以上のような本実施形態では、絶縁被膜付きのコイル10が外側から樹脂被覆層22にて被覆され保護された状態で、軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材が射出されてコア16が成形されるため、射出に際して混合材に含まれる鉄粉等の軟磁性粉末がコイル10の絶縁被膜に直接強く当ったり擦れたりするといったことがなく、従ってコア16の成形時にコイル10の絶縁被膜に軟磁性粉末が当ることによって絶縁被膜が損傷してしまうのを有効に防止することができる。
またコア16とコイル10の絶縁被膜との間には樹脂被覆層22が保護層ないし緩衝層として介在しているため、コア16の膨張収縮に伴う熱応力が絶縁被膜に直接作用することはなく、従ってその熱応力に起因する絶縁被膜の損傷の問題も解決することができる。
またコイル10は樹脂被覆層22と一体のコイル被膜体24をなしているため、コア16を射出成形する際にコイル10が変形を生じるのも良好に防止することができる。
この実施形態では、コア16を射出成形する工程を、コイル被覆体24の外周面に接する筒状の外周側成形部25を含む1次成形体16-1を予め射出成形しておく1次成形の工程と、コイル被覆体24の内周面に接する内周側成形部32を含む2次成形体16-2を成形する2次成形の工程とに分け、そして2次成形の工程では、先の射出成形にて得た1次成形体16-1の外周側成形部25にコイル被覆体24を内嵌状態に嵌合させ、且つコア用の2次成形型96にてその外周側成形部25を外周側から径方向に拘束し保持した状態で、内周側成形部32を含む2次成形体16-2を成形し且つ同時に1次成形体16-1及びコイル被覆体24と一体化する。
即ちこの実施形態では、コア16における外周側成形部25が、予めコイル10とは別に単独で1次成形体16-1として成形されているため、コア16の成形に際してその内側に位置しているコイル10が原因となって外周側成形部25に亀裂発生するといった問題は生じない。
この実施形態ではまた、コイル被覆体24即ちコイル10を1次成形体16-1を介してコア16用の2次成形型96にて位置決めし保持した状態で、コアの2次成形体16-2を成形するため、その際にコイル10が射出圧及び流動圧にてセット位置から位置ずれするのを防止でき、コイル10を予め設定した位置に正確に位置決めし且つ保持した状態でコア16を成形完了することができる。
従ってコア16の成形時にコイル10が位置ずれすることによって、リアクトル15の特性に悪影響が及ぶのを良好に防止することができる。
更に容器状をなす1次成形体16-1の凹所40にコイル被覆体24を収容し保持させた状態で、2次成形体16-2を成形するため、成形作業性が良好となるとともに、2次成形体16-2を成形する際に1次成形体16-1自身にてコイル被覆体24をコイル軸線方向である上下方向にも位置決めし保持しておくことができる。
本実施形態では、コイル被覆体24の樹脂被覆層22を射出成形するに際し、成形を少なくとも2回に分けて行うことで、コイル10を成形型により良好に位置決めし保持した状態で成形を行うことができ、成形に際してコイル10が射出圧や流動圧により位置ずれしてしまうのを防止することができる。
また本実施形態では、コイル被覆体24をコア16の1次成形体16-1とともにコア用の2次成形型96にセットした状態で、コア16の2次成形体16-2を射出成形する際、射出圧ないし流動圧が強く作用する樹脂被覆層22の内周被覆部50及び上被覆部52に、樹脂被覆層22における1次成形体22-1と2次成形体22-2との接合部が位置していないので、軟磁性粉末が強い射出圧の下でその接合部の隙間から浸入してコイル10の絶縁被膜12を傷付けてしまうのを良好に回避することができる。
<実験例>
ところで、かかるリアクトルのコイルとしては断面丸形状の線材を巻いたものが従来一般的に用いられてきた。
しかしながらこのような断面丸形状の線材を巻いたコイルの場合、隣合う線材と線材との間に大きな隙間を生ぜしめてしまう。
線材の断面積はそこに流す電流に応じて所定の断面積を必要とし、また所望のインダクタンスを得るためにその巻数も定まってくる。
結果としてコイル全体の高さが高くなり、これに応じてコアの高さも高くなってリアクトルが大型化してしまう。
そこでリアクトルの小型化を指向する場合、例えば特開2008−182151号公報に開示されているように、コイルとして扁平な形状の平角線材を幅方向に巻いて成るエッジワイズコイルが一般に用いられている。
図20に示しているようにエッジワイズコイル200の場合、隣合う線材(平角線材)同士を全体的に密着状態とすることができ、線材と線材との間に無駄な空間を生ぜしめない。
尚図中204はコアを、206はこれらエッジワイズコイル200とコア204とを含んだリアクトルを示している。
この種リアクトルにおいて、インダクタンスLを高めるためにはコイルの巻数を多くするのが有効である。
ここでインダクタンスLは、以下の式(1)で表される。
L∝μ×N×A/l・・・・・式(1)
但しμ:コアの透磁率
N:コイルの巻数(ターン数)
A:コアの磁路断面積
l:コアの磁路長
図20から分るように従来のリアクトル206において、コイル200の巻数を多くすれば、その分コイル200の高さ(コイル軸方向の高さ)が必然的に高くなる。
而してコイル200の高さが高くなると磁路長(図中208で示す磁束の長さ)が長くなり、これはインダクタンスLを低くする方向となる。
そこでインダクタンスLを一定に保つためにはコアの磁路断面積を大きくすることが必要となり、その結果リアクトル206は高さ寸法も径方向寸法も大となって、全体的に大型化してしまう。
またリアクトルが大型化するのに伴って必要なコア材の量も多くなってしまう。
リアクトルの場合、全コストに占める材料コストの比率が高く、コア材の材料コストが高くなるのに伴ってリアクトルのコストも高くなってしまう。
更にリアクトルが大型化すればコアロス,銅損(コイル自身による損失)等による全体の損失も大きくなってしまう。
そこでリアクトルとしては、コア内のコイルを、複数のコイルブロックを互いに接続状態でコイル軸方向である高さ方向又は/及び径方向に且つ前記線材の巻き重ねの方向と直交方向に絶縁シートを介して同軸状に重ねた形態で構成するとともに絶縁シート込みの、コイル縦断面における高さ寸法をA,径方向寸法である幅方向寸法をBとしたときのアスペクト比A/Bが0.7〜1.8の範囲となしておくことが望ましい。
特にコイルを平角線材を該線材の厚み方向に巻いて成るフラットワイズコイルとなし、且つこれをコイルブロックを高さ方向に複数段に積み重ねて構成しておくことが望ましい。
このようにしておくことで高いインダクタンス特性を維持しつつリアクトルを効果的に小型化,軽量化でき、また損失を小さくすることができる。
これは、上記に従ってコイルを構成した場合、図20に示すリアクトルに比べてコイル線材の断面積,巻数を同等に維持しつつ磁路長を短くでき、またその結果として磁路断面積を小さくできることによりもたらされる効果である。
図12(A)は、本発明の一実施形態として図1〜図10に開示したもの、詳しくは平角線材をその厚み方向に巻いて成るフラットワイズコイルとなし、そして2つのコイルブロック10-1,10-2を線材の巻き重ねの方向と直交方向のコイル軸方向に上,下に同軸状に2段に段重ねしてコイル10を構成し、且つコイル10の高さ寸法(コイルブロック10-1とコイルブロック10-2の高さ寸法を加えた寸法)をAとし、また幅方向寸法をBとしたときのアスペクト比A/Bを0.7〜1.8の範囲内としたものを模式的に表している。
図20との比較から明らかなように図12(A)に示すものでは磁束208の長さである磁路長を効果的に短くすることができる。
磁路長は全磁力線全ての長さを平均したものであるが、その磁路長はコイル10における縦断面の周長が短くなればこれに伴って短くなる。
即ち図12(A)に一例を示す本発明のリアクトルは、コイルの縦断面における周長を短くすることで磁路長を短くなし得たものである。
尚A/Bで表されるアスペクト比は望ましくは0.8〜1.2、より望ましくは0.9〜1.1の範囲内としておくのが良い。
図12(A)に示すものの他、図12(B)に示しているようにフラットワイズコイルを3つのコイルブロック10-1,10-2,10-3に分画し、そしてそれらをコイル軸方向である上下方向に3段に段重ねしたり、或いは図12(C)に示しているようにエッジワイズコイルを2つのコイルブロック10-1,10-2に分画し、それらを径方向に2列に重ねる状態に配置するといったことも可能である。
或いはより多くのコイルブロックをコイル軸方向である高さ方向に若しくは径方向に重ねるように配置して全体のコイル10を構成するといったことも可能である。
以下はこれらの点につき具体的に明らかにしたものである。
リアクトル15におけるコイル10をフラットワイズコイル,エッジワイズコイルを用いて構成し、総ターン数及び平角線材の断面積を変えずに、コイル縦断面のアスペクト比A/Bを様々に変えてリアクトルの重量減,損失減に対する効果を調べた。
結果が表1に示してある。
Figure 2011199082
Figure 2011199082
Figure 2011199082
表1中、例B-1はエッジワイズコイルを図20に示す形態で、即ちコイルブロックを重ねることなく連続した形態のエッジワイズコイルを単体で用いた例で、この例B-1のリアクトルは従来一般に用いられている形態のものである。
そこでこの表1では、これを基準として(100として)各例の重量比,損失比等の特性を評価している。
尚例B-2は、コイルブロックを上下に重ねないでフラットワイズコイルを単体で用いた例で、例A-1はエッジワイズコイルを内周側のコイルブロックと外周側のコイルブロックとに分けて、それらを巻き方が反対になるよう径方向に2重に重ねて2列に配置し下側で接続した例、例A-2はフラットワイズコイルを上下のコイルブロックに分けて、それらを巻き方が反対になるよう上下に2段重ねに配置し内周で接続した例である。
同様に例A-3、例B-3、例B-4は、同じくフラットワイズコイルを上下のコイルブロックに分けて、それらを巻き方が反対になるよう上下に2段重ねに配置し内周で接続した例で、平角線材の断面積を実施例2と同じに保ったまま偏平度を下げていった場合である。平角線材の偏平度は、例A-2、例A-3、例B-3、例B-4の順にそれぞれ11.25、8.33、5.0、3.45である
更に例A-4はフラットワイズコイルを上下方向に3つのコイルブロックに分けて、それらを上下のコイルが中央のコイルと巻き方が反対になるように、上下に3段に段重ねに配置し、下と中央のコイルは内周で接続し、中央と上のコイルは外周で接続した例である。例A-5、例B-5は、エッジワイズコイルを内周側と外周側との2つのコイルブロックに分けて、それらを巻き方が反対になるよう径方向に重なる状態に2列に配置し下側で接続した例で、平角線材の断面積を例A-1と同じに保ったまま偏平度を下げていった場合である。平角線材の偏平度は、例A-1、例A-5、例B-5の順にそれぞれ11.25、5.0、3.45である。
(a)リアクトルの構成
表1に示す各例のものは何れもコア材の軟磁性粉末としてFe-2Si(質量%)の組成のものを用いた。
更にコイルブロックを上下又は径方向の内外に重ねて配置してある場合には0.5mmの厚みの絶縁シートを中間に介在させてある。
表1中のA/Bの値はその絶縁シート込みの値である。
また各例全て、コア材の材質は軟磁性粉末として、アルゴンガスを用いて噴霧した軟磁性粉末を使用し、粉末熱処理は酸化防止や還元作用を狙って水素中で750℃×3時間行った。またコア材として1〜50kHzの交番磁界中で使用されることを想定し、軟磁性粉末は粉末熱処理後に250μm以下に篩で篩ったものを使用した。
次いで、透磁率を適正な範囲に制御するためや熱伝導率を高めるための観点及び金型内での流動性の観点から、軟磁性粉末を65体積%の配合でPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂と混合した。そして2軸混練機により約300℃で樹脂を溶融させ、軟磁性粉末と練り合わせてペレット化した。
そして横型インラインスクリュー式射出成形装置により、このペレット状の軟磁性混練物を約300℃で加熱し溶融状態として、これを金型内に射出した後、冷却してコア材を作製した。
このコア材の材料特性としては、初比透磁率は約14.6であり、磁気飽和する磁束密度は約1.3テスラであった。また体積抵抗率は3〜10×10−3Ω・m、熱伝導率は2.0〜3.5W/(m・K)、比熱は0.6〜0.65kJ/(kg・K)であった。またヤング率は20〜25GPa、ポアソン比は0.3〜0.35、線膨張係数は2〜3×10−5−1であった。
コイルは、電気抵抗減及び表皮効果低減の観点から純銅のエナメル被膜(絶縁被膜)付きの平角線材を使用した。エナメル被膜は耐熱性の観点からポリアミドイミド樹脂を用い、膜厚は20〜30μmとした。
樹脂被覆層22は、耐電圧3000V以上に耐えうるためにPPS樹脂製とし、その肉厚はコイル内周側は0.5mm、コイル外周側と上下面側は1mmの肉厚とした。
尚コアの軸心と軸方向中央は、コイルの軸心と軸方向中央が一致するように揃えて配置してある。
(b)評価方法
全ての特性評価は、リアクトル15を図14に示す容器部110と蓋部112とを有するアルミケース(リアクトルケース)114の内部に収納した状態で行った。
ここでアルミケース114の肉厚は5mm厚の寸法とした。
またアルミケース114とリアクトルとの固定はシリコーン樹脂にて行った。
(c)インダクタンスの測定
インダクタンスの測定は、アルミケース114に入ったリアクトル15を昇圧チョッパ回路に組込み、入力電圧300V、昇圧後電圧600V、スイッチング周波数10kHzで所定の重畳電流を流して回路を駆動させた。そしてリアクトルに流れる電流(片方の端子にクランプ式電流計を取り付け測定)の波形を測定し、ある時間間隔の電流波形の傾きからインダクタンスを算出した。
(d)損失測定
損失の測定は以下の方法にて行った。
水冷プレート上にアルミケース114に入ったリアクトル15を固定した。このとき熱伝導グリスを水冷プレートとアルミケース114の間に薄く塗布した。
重畳電流0A及び50Aで300V→600Vに10kHzの条件でインダクタンス測定と同じ昇圧チョッパ回路で駆動させ、熱的に定常状態(コアの内部温度や冷却水温が時間的に変化しなくなる状態)になるまで連続運転した。また冷却水はチラー(恒温水循環装置)で50℃、毎分10リットルで流れるよう制御した。
この時のコア内部の温度を数点測定して、その最も高い温度を内部温度とした。温度の測定箇所は図15の11点とし、そこに熱電対を埋め込んで測定を行った。ただし同一断面に埋め込むのではなく、隣り合う点の埋め込みの影響を避けるため円周方向に少しずつずらしながら11点の測定点を配置した。
この時の水冷プレートの冷却水の流量と、入側と出側の温度との差から熱量を測定し、重畳電流0Aの値を鉄損、重畳電流50Aの値を全損失、全損失−鉄損を重畳電流50Aの銅損とした。
ここで、重畳電流0Aではコイルの発熱はほとんどなく、銅損は0と考えられる。よって重畳電流0Aでの全損失=鉄損である。また鉄損は重畳電流に依存しないため一定と考えられる。よって重畳電流50Aの全損失から鉄損を差し引けば、残りは重畳電流50Aでの銅損である。ただしリアクトルに流れる電流から直流重畳電流を除いた電流振幅分によるコイルの発熱は小さいと仮定している。
表1の例B-1を基準とした各例の重量比及び損失比が図11に示してある。
図中横軸はアスペクト比A/Bを表し、また縦軸は重量比(図11(A)),損失比(図11(B))を表している。
図11(A),(B)から、コイル縦断面のアスペクト比A/Bを0.7〜1.8の範囲内(例A-1〜A-5)とすることで、インダクタンスを例B-1とほぼ同等に維持しながら、例B-1に対して重量比及び損失を99%以下に低減できることが見て取れる。
重量比と損失比でA/Bに対する傾向が少し異なるのは、平角線材の偏平度の違いにより、表皮効果による損失が違ってきている影響のためと考えられる。より詳しくは偏平度が小さい方が、表皮効果の影響で銅損が大きくなるため、コイルの重量の変化分より、損失の方が大きく変化している。図11の(A)でA/Bの範囲が0.65〜2.0、図11の(B)でA/Bの範囲が0.7〜1.8と異なるのはこのためである。
尚、コイル内周側部分のコア直径とコイル縦断面の周長の比率(コイル内周側部分のコア直径/コイル縦断面の周長)は、例A-1が0.81,例A-2が0.86,例A-3が0.87,例A-4が0.84,例A-5が0.86である。
コイル内周側部分のコア直径とコイル縦断面の周長との比率は0.8以上としておくことが望ましい。
次に本発明の実施例を以下に説明する。
図13に示すように、リアクトル15におけるコア16の外周側成形部(外周側部分)25,内周側成形部(内周側部分)32,底部(下面部分),蓋部(上面部分)34を、表2及び図3に示す組成の軟磁性粉末を用いたコア材で構成し、それぞれについてインダクタンス測定と最高温度測定とを行った。
ここで比較例1〜9,実施例1〜4については、上記の製造方法に従ってリアクトル15を製造した。
一方実施例5については図16に示す製造方法でリアクトル15を製造した。
即ち実施例5については底部26と外周側成形部25とを有する1次成形体16-1を単独で予め成形しておくとともに、図3の2次成形体16-2における内周側成形部32を同じく単独で予め成形しておき、そして1次成形体16-1にコイル被覆体24を内嵌状態に嵌め込み、更にそのコイル被覆体24の内側に予め単独で成形した内周側成形部32を内嵌状態にセットし、そしてそれらを組み合せた状態で成形型にセットして、図3の2次成形体16-2における蓋部34を射出成形し、同時にこれを1次成形体16-1,コイル被覆体24及び内周側成形部32と一体化し、リアクトル15を製造した。
一方実施例6については、1次成形体16-1における外周側成形部25と底部26とをそれぞれ単独で別々に成形し、他方2次成形体16-2、詳しくは内周側成形部32と蓋部34とについては図1〜図10に示す方法で成形した。
(a)リアクトルの構成
ここで製造したリアクトル15の構成は以下の通りである。
各例全てコア材については軟磁性粉末としてガス噴霧粉を使用し、これを60体積%となる配合でPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂と混合して構成した。
コイル10はポリアミドイミド樹脂から成る絶縁被膜(被膜の膜厚は20〜30μm)付きの純銅の平角線材(線材寸法は厚み0.85mm,幅9mm)を用い、これをフラットワイズ巻とした上コイル10-1と下コイル10-2とを上下に2段重ねとし、そして内周側端部20同士を接続して、これをポリイミドテープで再絶縁処理をした。
上コイル10-1と下コイル10-2との重ね方は、図5(B)に示すように、下コイル10-2に対して上コイル10-1を反転して重ね合せ、通電時電流が同じ回転方向に流れるようにした。
寸法は、コイル内径がφ47mmで、ターン数は下コイル10-2,上コイル10-1ともに18ターンとし、合計で36ターンとした。
また上コイル10-1と下コイル10-2との間には0.5mmの厚みの絶縁シート21を中間に介在させた。
コア16はコイル10を隙間無く内部に埋込状態に内包するものとなしてあり、その寸法はコア外径がφ90mmで、コア高さは40.5mmである。
コア16の軸心とコイル10の軸心及びコア16の軸方向中央とコイル10の軸方向中央とはそれぞれ一致するように揃えて配置している(この点は上記実施形態,実施例,比較例ともに同様)。
このコア材の材料特性としては、初比透磁率は軟磁性粉末が純Feのときで約13.8、2%Siで約13.5、3%Siで約13.0であり、4%Siで約12.6であり、5%Siで約12.0であり、6.5%Siで約11.1であった。磁気飽和する磁束密度は純Feで約1.3テスラ、2%Siで約1.2テスラ、3%Siで約1.17テスラ、4%Siで約1.14テスラ、5%Siで約1.09テスラ、6.5%Siで約1.02テスラであった。またいずれの組成のコア材も体積抵抗率は3〜10×10−3Ω・m、熱伝導率は2.0〜3.5W/(m・K)、比熱は0.6〜0.65kJ/(kg・K)であった。またヤング率は20〜25GPa、ポアソン比は0.3〜0.35、線膨張係数は2〜3×10−5−1であった。
(b-1)インダクタンスの測定
インダクタンスの測定は、上記実施例で述べたのと同様の方法で行った。
(b-2)最高温度の測定
(b-2-1)水冷時の最高温度測定
水冷時の最高温度測定は次のようにして行った。
水冷プレート上に上記のアルミケース114に入ったリアクトルを固定した。このとき熱伝導グリスを水冷プレートとアルミケース114の間に薄く塗布した。
重畳電流50Aで300V→600Vに10kHzの条件でインダクタンス測定と同じ昇圧チョッパ回路で駆動させ、熱的に定常状態(コアの内部温度や冷却水温が時間的に変化しなくなる状態)になるまで連続運転させた。また冷却水はチラー(恒温水循環装置)で50℃、毎分10リットルで流れるよう制御した。この時のリアクトル内部の温度を数点測定して、その最も高い温度を最高温度としている。温度の測定箇所は、図15の11点に熱電対を埋め込んで測定した。ただし同一断面に埋め込むのではなく、隣り合う点の埋め込みの影響を避けるため円周方向に少しずつずらしながら11点の測定点を配置した。
測定結果は、いずれも図15の点Hの位置の温度が最も高いものであった。
また許容温度は、実際に使用される条件と本評価方法の差異及び使用部材の耐熱温度及び寿命の観点から、115℃とした。
これらの結果が表2に併せて示してある。
Figure 2011199082
(b-2-2)空冷時の最高温度測定
空冷時の最高温度測定は次のようにして行った。
図17に示すフィン116付きのアルミケース114にリアクトル15を収納し、上面と下面からフィン116付きのアルミケース114に向かって冷却風が流れるよう空冷ファンを20mmの位置に固定した。この時、雰囲気温度は30℃に保たれている。
ファン1個の流量は毎分3000リットルである。
重畳電流30Aで300V→600Vに10kHzの条件でインダクタンス測定と同じ昇圧チョッパ回路で駆動させ、熱的に定常状態(コアの内部温度や冷却水温が時間的に変化しなくなる状態)になるまで連続運転させた。
この時のリアクトル内部の温度を数点測定して、その最も高い温度を最高温度とした。温度の測定箇所は図15の11点とし、そこに熱電対を埋め込んで測定した。ただし同一断面に埋め込むのではなく、隣り合う点の埋め込みの影響を避けるため円周方向に少しずつずらしながら11点の測定点を配置した。
測定結果は、いずれも図15の点Hの位置の温度が最も高いものであった。
また許容温度は、実際に使用される条件と本評価方法の差異及び使用部材の耐熱温度及び寿命の観点から、130℃とした。
結果が表3に併せて示してある。
Figure 2011199082
表2及び表3の結果から、上記に従ってリアクトル15におけるコア16の各部の材料を構成することでインダクタンス,最高到達温度のそれぞれの特性をともに満たし得ることが見て取れる。
尚、表2及び表3では便宜的に1次成形体16-1における底部26を下面部分とし、2次成形体16-2における蓋部34を上面部分としているが、リアクトル15設置の際に上記の図とは上下逆向きに設置されることも想定され、その場合には蓋部34が下面部分となり、底部26が上面部分となる。
従ってそのような場合には底部26を上面部分として、また蓋部34を下面部分として表2及び表3に示すような材料でこれを構成しておく。
次に図18及び図19は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態は、リアクトル15におけるコア16をアルミケース(金属製のリアクトルケース)114の容器部110と一体に、具体的にはここでは底部40と外周側成形部25とを有するコア16の1次成形体16-1を容器部110と一体に射出成形した例である。
ここではアルミケース114の容器部110と1次成形体16-1とを射出成形により一体化した後、コイル被覆体24をそこに内嵌状態にセットし、しかる後コア16における2次成形体16-2を図19に示す成形方法で射出成形し、他部と一体化する。
しかる後、図18(B)に示すアルミケース(リアクトルケース)114の蓋部112を被せて、アルミケース114の内部にリアクトル15を収容状態とする。
この例は、コア16が射出成形の成形体であることを利用して、コア16を射出成形する際に、具体的には1次成形体16-1を金属製のアルミケース114の容器部110と一体化するようになしたもので、このようにすれば、コア16成形後において即ちリアクトル15を製造した後において、別途の工程でアルミケース114の容器部110をリアクトル15のコア16に取り付ける工程を省くことができる。
以上本発明の実施形態,実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
10 コイル
10-1 上コイルブロック
10-2 下コイルブロック
15 リアクトル
16 コア
16-1,22-1 1次成形体
16-2,22-2 2次成形体
22 樹脂被覆層
24 コイル被覆体
25 外周側成形部(外周側部分)
26 底部(下面部分)
30 開口
32 内周側成形部(内周側部分)
34 蓋部(上面部分)
46 外周被覆層
50 内周被覆層
54,84 1次成形型
66 1次成形キャビティ
70,96 2次成形型
80 2次成形キャビティ
110 容器部
114 アルミケース(リアクトルケース)

Claims (6)

  1. 軟磁性粉末を含んだコアの内部にコイルを内蔵したリアクトルであって、
    前記コアにおける前記コイルの内周側部分と外周側部分とを異なった材料で構成してあり、
    該外周側部分については、前記軟磁性粉末として純Fe若しくはSiを0.2〜4.0質量%含有したFe基合金から成る低Si材の粉末を用いたコア材で構成し、
    前記内周側部分については、前記軟磁性粉末としてSiを1.5〜9.0質量%含有し且つ前記外周側部分のコア材の軟磁性粉末よりもSi含有量の多いFe基合金から成る高Si材の粉末を用いたコア材で構成してあることを特徴とするリアクトル。
  2. 請求項1において、前記高Si材のSi含有量が前記低Si材のSi含有量よりも1.5質量%を超えて多いことを特徴とするリアクトル。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、絶縁被膜付きの前記コイルを電気絶縁性の樹脂にて外側から全体的に包み込む状態に被覆してコイル被覆体となす一方、
    前記コアは、該コイル被覆体を内部に一体に埋め込む状態に前記軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材を射出成形して成る成形体にて構成してあり、
    且つ該コアは、前記コイル被覆体の外周面に接する筒状の外周側成形部を含む1次成形体と、該コイル被覆体の内周面に接する内周側成形部を含む2次成形体とを境界面で接合一体化してあることを特徴とするリアクトル。
  4. 請求項3において、前記コイル被覆体の樹脂被覆層を熱可塑性樹脂にて形成し、且つ該樹脂被覆層は、前記コイルの外周面を被覆する外周被覆部を含む成形体と、該コイルの内周面を被覆する内周被覆部を含む成形体とを接合して一体化してあることを特徴とするリアクトル。
  5. 請求項3,4の何れかにおいて、前記コアがリアクトルケースの容器部と一体に射出成形してあることを特徴とするリアクトル。
  6. 周波数が1〜50kHzの交番磁界中で使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のリアクトル。
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