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Description
この発明は、固体電解コンデンサに関する。
近年、固体電解コンデンサの小型化および高容量化が要求されており、従来の酸化アルミニウムや酸化タンタルを誘電体として用いる代わりに、誘電率が大きい酸化ニオブを用いる固体電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、従来の固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。図8を参照して、従来の固体電解コンデンサの構造について説明する。
従来の固体電解コンデンサでは、図8に示すように、陽極101は、タンタルからなる陽極リード101aと、陽極リード101a上に形成されたニオブ粒子の多孔質焼結体からなる直方体状の基体101cとを備えており、陽極リード101aは、一部が基体101c中に埋め込まれている。
陽極101上には、基体101cの周囲を覆うように、酸化物層102が形成されている。ここで、酸化物層102は、いわゆる誘電体層として機能する。
酸化物層102上には、酸化物層102の周囲を覆うようにポリピロールなどからなる導電性高分子層103が形成されている。ここで、導電性高分子層103は、いわゆる電解質層として機能する。導電性高分子層103上には、導電性高分子層103の周囲を覆うように形成されたカーボン粒子を含む第1導電層104aと、第1導電層104aの周囲を覆うように形成された銀粒子を含む第2導電層104bとが積層された陰極104が形成されている。
陰極104の周囲のうち上面には、導電性接着剤層105が形成され、さらに導電性接着剤層105上には、陰極端子106が形成されている。基体101cおよび酸化物層102から露出した陽極リード101a上には、陽極端子107が接続されている。また、陰極端子106および陽極端子107の端部が外部に引き出されるように、陰極104、陰極端子106および陽極端子107の周囲には、モールド外装樹脂108が形成されている。これにより、従来の固体電解コンデンサが構成されている。
図9〜図13は、従来の固体電解コンデンサの形成プロセスを説明するための断面図である。図9〜図13を参照して、次に、上記のような構造を有する従来の固体電解コンデンサの形成プロセスについて説明する。
まず、図9に示すように、タンタルからなる陽極リード101aとニオブ粒子の多孔質焼結体からなる直方体状の基体101cとを備える陽極101を形成する。基体101cは、陽極リード101aの一部を埋め込んだニオブ粒子からなる成形体を真空中で熱処理することにより形成する。
次に、陽極101をリン酸などの水溶液中において陽極酸化を行うことにより、図10に示すように、基体101cの周囲を覆うように、基体101a上に酸化物層102を形成する。
次に、図11に示すように、重合などにより酸化物層102の周囲を覆うように、酸化物層102上にポリピロールなどからなる導電性高分子層103を形成する。
次に、図12に示すように、導電性高分子層103の周囲を覆うように、導電性高分子層103上に、カーボンペーストを塗布、乾燥することによりカーボン粒子を含む第1導電層104aを形成した後、第1導電層104aの周囲を覆うように、第1導電層104a上に銀ペーストを塗布、乾燥することにより銀粒子を含む第2導電層104bを形成する。これにより、導電性高分子層103の周囲を覆うように第1導電層104aおよび第2導電層104bが積層された陰極104を形成する。
次に、図13に示すように、陰極端子106上に導電性接着剤を塗布した後、この導電性接着剤を介して陰極104の周囲のうち上面に陰極端子106とを接着する。さらに、導電性接着剤を乾燥することにより、陰極104と陰極端子106とを接続する導電性接着剤層105を形成する。また、陽極端子107を基体101cおよび酸化物層102から露出している陽極リード101a上に溶接する。
最後に、図8に示したように、陰極端子106および陽極端子107の端部が外部に引き出されるように、陰極104、陰極端子106および陽極端子107の周囲にモールド外装樹脂108を形成する。このようにして、従来の固体電解コンデンサが形成される。
図14は、従来の固体電解コンデンサにおける陽極リード付近の酸化物層の状態を説明するための断面模式図である。図14を参照して、従来の固体電解コンデンサでは、基体101cは多孔質焼結体から構成されているので、陽極リード101aと基体101cとの間に存在する間隙においては、酸化物層102は、基体101cの表面に形成されるとともに、陽極リード101aの表面にも形成される。ここで、陽極リード101aはタンタルから構成されているので、陽極リード上には、酸化タンタルからなる酸化物層102aが形成される。また、基体101cはニオブから構成されているので、基体101c上には、酸化ニオブからなる酸化物層102bが形成される。これにより、陽極リード101aと基体101cとの間に存在する間隙においては、酸化物層102は、酸化タンタル
からなる酸化物層102aと酸化ニオブからなる酸化物層102bとが混在した状態となっている。
からなる酸化物層102aと酸化ニオブからなる酸化物層102bとが混在した状態となっている。
このように、上記した従来の固体電解コンデンサでは、酸化物層102は、陽極リード101aと基体101cとの界面付近を除いて、酸化ニオブから構成されているので、大きな静電容量を得ることができる。
しかしながら、上記した従来の固体電解コンデンサにおいては、陽極リード101aと基体101cとの界面付近では、酸化物層102は、酸化タンタルからなる酸化物層102aと酸化ニオブからなる酸化物層102bとが混在した状態となっているので、リフローなどの熱処理の際に、酸化タンタルからなる酸化物層102aと酸化ニオブからなる酸化物層102bとの熱膨張係数の差に起因する応力が発生する。これにより、酸化物層102は、陽極リード101aおよび基体101cから剥離しやすく、また、酸化物層102内部にひび割れが発生しやすいという不具合があった。その結果、この酸化物層102上に形成される陰極104と陽極101との間の漏れ電流が増加しやすいという問題点があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の目的は、漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを提供することである。
この発明の目的は、漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による固体電解コンデンサ素子は、陽極上に形成された酸化ニオブを含む酸化物層と、酸化物層上に形成された陰極とを備え、陽極は、陽極リードと、陽極リード上に形成されたニオブを含む表面層と、表面層上に形成されたニオブを含む多孔質焼結体からなる基体とを有している。
この第1の局面による固体電解コンデンサ素子では、上記のように、陽極は、陽極リードと、陽極リード上に形成されたニオブを含む多孔質焼結体からなる基体とを有しているので、陽極リードと基体との間に存在する間隙においては、陽極上に形成される酸化ニオブを含む酸化物層は、基体の表面に形成されるとともに、陽極リードの表面にも形成される。ここで、陽極リード上には、ニオブを含む表面層が形成されているので、酸化物層は、このニオブを含む表面層上に形成される。即ち、上記間隙では、酸化ニオブを含む酸化物層は、ともにニオブを含んでいる表面層および基体の上に形成される。これにより、酸化ニオブを含む酸化物層は、リフローなどの熱処理の際にもニオブを含んでいる表面層および基体から剥離しにくく、酸化物層内部のひび割れが発生しにくい。その結果、この酸化物層上に形成される陰極と陽極との間の漏れ電流の増加を抑制することができるので、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサ素子を容易に得ることができる。
上記第1の局面による固体電解コンデンサ素子において、好ましくは、表面層の膜厚は、0.01μm〜2μmの範囲である。このように構成すれば、陽極リードと酸化物層との間に生じる応力を十分抑制することができるとともに、陽極リード上における表面層の密着性も向上させることができるので、酸化物層の剥離またはひび割れが生じにくい。これにより、漏れ電流をさらに小さくすることができる。
上記第1の局面による固体電解コンデンサ素子において、好ましくは、タンタルからなるとともに、基体が形成されていない陽極リード上に表面層が形成されていない領域を有する。このように構成すれば、基体および表面層が形成されていない陽極リード上の領域では、ニオブよりも化学的に安定で酸化されにくいタンタル素地が露出しているので、この領域上には、熱処理の際に酸化被膜が形成されにくい。これにより、この領域上に陽極端子を接続した場合、陽極リードと陽極端子との電気的な接続を良好に行うことができるので、等価直列抵抗(ESR)の小さい固体電解コンデンサ素子を得ることができる。
また、この発明の第2の局面による固体電解コンデンサ素子の製造方法では、陽極リード上にニオブを含む表面層を形成する工程と、表面層上にニオブを含む多孔質焼結体からなる基体を有する陽極を形成する工程と、陽極上に陽極酸化により酸化ニオブを含む酸化物層を形成する工程と、酸化物層上に陰極を形成する工程とを備える。
この第2の局面による固体電解コンデンサ素子の製造方法では、上記のように、ニオブを含む表面層を有する陽極リード上にニオブを含む多孔質焼結体からなる基体が形成されている陽極に対して、陽極酸化により酸化ニオブを含む酸化物層を形成しているので、陽極リードと基体との間に存在する間隙では、ともにニオブを含んでいる表面層および基体の上に酸化ニオブを含む酸化物層を容易に形成することができる。これにより、酸化ニオブを含む酸化物層は、リフローなどの熱処理の際にもニオブを含んでいる表面層および基体から剥離しにくく、酸化物層内部のひび割れが発生しにくい。その結果、この酸化物層上に形成される陰極と陽極との間の漏れ電流の増加を抑制することができるので、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサ素子を容易に製造することができる。
また、この発明の第3の局面による固体電解コンデンサでは、陽極上に形成された酸化ニオブを含む酸化物層と、酸化物層上に形成された陰極と、陰極上に形成された外装体とを備え、陽極は、陽極リードと、前記陽極リード上に形成されたニオブを含む表面層と、前記表面層上に形成されたニオブを含む多孔質焼結体からなる基体とを有している。
即ち、この第3の局面による固体電解コンデンサでは、上記第1の局面による固体電解コンデンサ素子上に外装体を形成しているので、周囲の環境の影響を受けにくく、信頼性の高い固体電解コンデンサを得ることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。
図1は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。
本発明の実施例1による直方体状の固体電解コンデンサでは、図1に示すように、陽極1は、タンタルからなる陽極リード1aと、陽極リード1a上に形成された約0.1μmの膜厚を有するニオブからなる表面層1bと、約2μmの平均粒径を有するニオブ粒子の多孔質焼結体からなる約3.3mm×約2.7mm×約1.7mmの直方体状の基体1cとを備えており、陽極リード1aは、一部が基体1c中に埋め込まれている。また、基体1c中に埋め込まれていない側の陽極リード1aの端部1dには表面層1bが形成されていないので、タンタル素地が露出している。なお、この端部1dは、本発明の「表面層が形成されていない領域」の一例である。
陽極1上には、陽極1の周囲を覆うように、酸化ニオブからなる酸化物層2が形成されている。ここで、酸化物層2は、いわゆる誘電体層として機能する。
酸化物層2上には、酸化物層2の周囲を覆うようにポリピロールからなる導電性高分子層3が形成されている。ここで、導電性高分子層3は、いわゆる電解質層として機能する。導電性高分子層3上には、導電性高分子層3の周囲を覆うように形成されたグラファイト粒子を含む第1導電層4aと、第1導電層4aの周囲を覆うように形成された銀粒子を含む第2導電層4bとが積層された陰極4が形成されている。これにより、陽極1上に酸化物層2、導電性高分子層3および陰極4が順次積層された固体電解コンデンサ素子Aが構成される。
陰極4の周囲のうち上面には、導電性接着剤層5が形成され、さらに導電性接着剤層5上には、陰極端子6が形成されている。また、陽極リード1aの基体1c中に埋め込まれていない側の端部1dは、表面層1b、基体1cおよび酸化物層2から露出しており、この端部1d上には、陽極端子7が接続されている。また、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、固体電解コンデンサ素子Aと陰極端子6および陽極端子7との周囲には、モールド外装樹脂8が形成されている。これにより、本発明の実施例1による固体電解コンデンサが構成されている。ここで、モールド外装樹脂は、本発明の「外装体」の一例である。
図2〜図6は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスを説明するための断面図である。図2〜図6を参照して、次に、上記のような構造を有する本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスについて説明する。
まず、図2に示すように、陽極リード1aを約550℃に加熱することにより溶融したフッ化リチウム−フッ化ナトリウム−フッ化カリウム−六フッ化ニオブ酸カリウム(LiF−NaF−KF−K 2 NbF 6 )中で約3分間陰極還元することにより、陽極リード1a上に約0.1μmの膜厚を有するニオブからなる表面層1bを形成した。この表面層1bの膜厚については、エネルギー分散型X線分析(EDX)法などにより確認することができる。このとき、陽極リード1aの一方の端部1dを溶融塩に浸漬しないで陰極還元を行うことにより、この端部1dにおいて、タンタル素地を露出させた。
次に、この陽極リード1aと約2μmの平均粒径を有するニオブ粒子の多孔質焼結体からなる約3.3mm×約2.7mm×約1.7mmの直方体状の基体1cとを備える陽極1を形成した。基体1cは、陽極リード1aの他方の端部を埋め込んだニオブ粒子からなる成形体を真空中で熱処理することにより形成した。
次に、陽極1を約60℃に保持した約0.5wt%のリン酸水溶液中において約10Vの定電圧で約8時間陽極酸化を行うことにより、図3に示すように、基体1aの周囲を覆うように、酸化ニオブからなる酸化物層2を形成した。
次に、図4に示すように、重合などにより酸化物層2の周囲を覆うように、酸化物層2上にポリピロールからなる導電性高分子層3を形成した。
次に、図5に示すように、導電性高分子層3の周囲を覆うように、導電性高分子層3上に、グラファイトペーストを塗布し、約80℃で約30分間乾燥することによりグラファイト粒子を含む第1導電層4aを形成した後、第1導電層4aの周囲を覆うように、第1導電層4a上に銀ペーストを塗布し、約170℃で約30分間乾燥することにより銀粒子を含む第2導電層4bを形成する。これにより、導電性高分子層3の周囲を覆うように第1導電層4aおよび第2導電層4bが積層された陰極4を形成した。これにより、陽極1上に酸化物層2、導電性高分子層3および陰極4が順次積層された固体電解コンデンサ素子Aが形成される。
次に、図6に示すように、表面をニッケルめっきした約0.1mmの厚さを有する鉄箔からなる陰極端子6上に導電性接着剤を約2mg塗布した後、この導電性接着剤を介して陰極4の周囲のうち上面に陰極端子6とを接着した。さらに、導電性接着剤を約60℃の温度で約30分間乾燥することにより、陰極4と陰極端子6とを接続する導電性接着剤層5を形成した。
また、表面をニッケルめっきした約0.1mmの厚さを有する鉄箔からなる陽極端子7を表面層1b、基体1cおよび酸化物層2から露出している陽極リード1aの端部1d上に溶接した。
最後に、図1に示したように、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、固体電解コンデンサ素子Aと陰極端子6および陽極端子7との周囲にモールド外装樹脂8を形成した。このようにして、図1に示すように、実施例1による固体電解コンデンサを作製した。
図7は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサにおける陽極リード付近の酸化物層の状態を説明するための断面模式図である。図6を参照して、本発明の実施例1の固体電解コンデンサでは、基体1cは多孔質焼結体から構成されているので、陽極リード1aと基体1cとの間に存在する間隙においては、陽極1上に形成される酸化物層2は、表面層1bおよび基体1cの表面に形成される。ここで、表面層1bおよび基体1cはニオブを含んでいるので、酸化ニオブを含む酸化物層2は、リフローなどの熱処理の際にもニオブを含んでいる表面層1bおよび基体1cから剥離しにくく、酸化物層2内部のひび割れが発生しにくい。その結果、この酸化物層2上に形成される陰極4と陽極1との間の漏れ電流の増加を抑制することができるので、漏れ電流を小さくすることができる。
また、上記実施例1では、陽極リード1aはタンタルからなるとともに、陽極リード1aの基体1cおよび酸化物層2から露出している側の端部1dでは、タンタル素地が露出しているので、この端部1dは、熱処理の際に酸化被膜が形成されにくい。これにより、この端部1d上に陽極端子8を接続した場合、陽極リード1aと陽極端子8との電気的な接続を良好に行うことができるので、ESRを小さくすることができる。
また、上記実施例1では、上記構成の陽極1を陽極酸化することにより、酸化ニオブを含む酸化物層2を形成しているので、陽極リード1aと基体1cとの間に存在する間隙において、ともにニオブを含んでいる表面層1bおよび基体1cの上に酸化ニオブを含む酸化物層2を容易に形成することができる。これにより、酸化ニオブを含む酸化物層2は、リフローなどの熱処理の際にもニオブを含んでいる表面層1bおよび基体1cから剥離しにくく、酸化物層2内部のひび割れが発生しにくい。その結果、この酸化物層2上に形成される陰極4と陽極1との間の漏れ電流の増加を抑制することができるので、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
次に、上記した本発明の実施例1による効果を確認するために、以下のような比較実験を行った。
(比較例1)
比較例1では、図8に示した上記従来の固体電解コンデンサを作製した。即ち、比較例1では、実施例1の表面層を形成していないタンタルからなる陽極リードを用いる以外は、実施例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
比較例1では、図8に示した上記従来の固体電解コンデンサを作製した。即ち、比較例1では、実施例1の表面層を形成していないタンタルからなる陽極リードを用いる以外は、実施例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
比較例2では、比較例1の実施例1のタンタルからなる陽極リードに代えて、ニオブからなる陽極リードを用いる以外は、比較例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
比較例2では、比較例1の実施例1のタンタルからなる陽極リードに代えて、ニオブからなる陽極リードを用いる以外は、比較例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
さらに、上記実施例1および比較例1、2による固体電解コンデンサに対して、漏れ電流の測定を行った。漏れ電流の測定は、作製した各固体電解コンデンサを約240℃、約5分間熱処理した後、陰極端子および陽極端子の間に約5Vの定電圧を印加し、約20秒後に観察される電流値をそれぞれ測定した。測定結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例1、2の固体電解コンデンサに対して、実施例1の固体電解コンデンサでは、漏れ電流が大きく低減していることがわかった。
(実施例2)
次に、本発明の実施例1の固体電解コンデンサにおいて、表面層1bの膜厚の影響について検討を行った。即ち、実施例1において、陽極リード1aに対して、溶融LiF−NaF−KF−K 2 NbF 6 中で行う陰極還元の時間を、表2に示すように、約10秒〜約2時間30分の間で変化させることにより、表面層1bの膜厚を変化させる以外は、実施例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
次に、本発明の実施例1の固体電解コンデンサにおいて、表面層1bの膜厚の影響について検討を行った。即ち、実施例1において、陽極リード1aに対して、溶融LiF−NaF−KF−K 2 NbF 6 中で行う陰極還元の時間を、表2に示すように、約10秒〜約2時間30分の間で変化させることにより、表面層1bの膜厚を変化させる以外は、実施例1と同様の固体電解コンデンサを作製した。
そして、実施例1と同様に、EDX法により表面層1bの膜厚を測定するとともに、漏れ電流の測定を行った。測定結果を表2に示す。
表2に示すように、陰極還元時間を変えることにより、表面層1bの膜厚が約0.005μm〜約5.0μmの範囲で変化しており、この範囲では、いずれも、比較例1、2よりも漏れ電流が小さい。また、表面層1bの膜厚が約0.01μm〜約2.0μmの範囲では、漏れ電流が特に小さくなっていることがわかった。
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、上記実施例では、ニオブからなる表面層1bを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、表面層1bは、ニオブの他にタンタル、チタンおよび窒素などの他の元素を含んでいてもよい。
例えば、実施例では、表面層1bは、溶融LiF−NaF−KF−K 2 NbF 6 中で行う陰極還元により形成されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、フッ化リチウム−フッ化カリウム−六フッ化ニオブ酸カリウム(LiF−KF−K 2 NbF 6 )およびフッ化リチウム−六フッ化ニオブ酸カリウム(LiF−K 2 NbF 6 )などの他のニオブ含有溶融塩を用いてもよく、また、他の薄膜作製方法により形成してもよい。また、これらの方法で表面層1bを作製した後、窒素雰囲気中で加熱処理してもよい。
また、上記実施例では、タンタルから陽極リード1aを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、陽極リード1aは、タンタルの他にニオブおよびチタンなどの他の金属や窒素などの他の元素を含むタンタル合金から構成されていてもよい。
また、上記実施例では、基体1cとして、ニオブ粒子の多孔質焼結体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基体1は、ニオブの他にタンタルおよびチタンなどの他の金属や窒素などの他の元素を含むニオブ合金からなる粒子の多孔質焼結体であってもよい。
また、上記実施例では、酸化物層2は、陽極1を水溶液中で陽極酸化することにより形成されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方法により形成してもよい。
また、上記実施例では、ポリピロールからなる導電性高分子層3を形成したが、本発明はこれに限らず、ポリチオフェンやポリアニリンなどの他の導電性高分子を用いてもよく、また、酸化マンガンなどの他の導電性材料を用いてもよい。
1 陽極
1a 陽極リード
1b 表面層
1c 基体
1d 端部
2 酸化物層
3 導電性高分子層
4 陰極
4a 第1導電層
4b 第2導電層
5 導電性接着剤層
6 陰極端子
7 陽極端子
8 モールド外装樹脂
1a 陽極リード
1b 表面層
1c 基体
1d 端部
2 酸化物層
3 導電性高分子層
4 陰極
4a 第1導電層
4b 第2導電層
5 導電性接着剤層
6 陰極端子
7 陽極端子
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