JP2011189394A - 表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱延鋼板を製造する際に、赤スケールの発生やスケールの噛込み疵を防止して表面疵が少ない表面性状に優れた熱延鋼板を製造する。
【解決手段】C:0.001〜0.30%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、酸可溶性Al:0.005〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を持つ鋼を連続鋳造した後に熱間圧延する際に、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度を下記(1)式で示すT1(℃)以上、高圧水の衝突圧を15.7MPa以下とし、しかも熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(2)式で示すT2(℃)以下とする。
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
【選択図】図1
【解決手段】C:0.001〜0.30%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、酸可溶性Al:0.005〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を持つ鋼を連続鋳造した後に熱間圧延する際に、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度を下記(1)式で示すT1(℃)以上、高圧水の衝突圧を15.7MPa以下とし、しかも熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(2)式で示すT2(℃)以下とする。
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車部品、建築部材のほか、一般加工用、或いは各種めっき鋼板の原板等に用いられる、表面性状が良好な熱間圧延鋼板(以下、熱延鋼板)の製造方法に関するものである。
熱延鋼板は、一般的には図1に示すような構成の設備で製造されている。なお、図1では、熱延鋼板の搬送方向は、図の右から左である。
素材となる厚さ200mm程度のスラブは、加熱炉(図示せず)にて、例えば、1200〜1300℃に加熱されている。その後、表面に生成したスケールを高圧水デスケーリング装置(図示せず)にてデスケーリングした後、粗圧延機1にて厚さ25〜45mm程度まで薄くする。続いて、仕上げ圧延機2にて厚さ1.2〜6.0mm程度まで圧下して圧延を終えた後、ホットランテーブル6上にて冷却し、コイラー7にて巻取り、熱延鋼板を得ている。
素材となる厚さ200mm程度のスラブは、加熱炉(図示せず)にて、例えば、1200〜1300℃に加熱されている。その後、表面に生成したスケールを高圧水デスケーリング装置(図示せず)にてデスケーリングした後、粗圧延機1にて厚さ25〜45mm程度まで薄くする。続いて、仕上げ圧延機2にて厚さ1.2〜6.0mm程度まで圧下して圧延を終えた後、ホットランテーブル6上にて冷却し、コイラー7にて巻取り、熱延鋼板を得ている。
熱間圧延工程で鋼帯の表面に生成するスケールには、加熱炉の中でスラブの表面が酸化して生成する1次スケール、粗圧延中に生成する2次スケール、さらに仕上げ圧延中およびそれ以降にて生成する3次スケールがある。
1次スケールは粗圧延機1の入側に設置された高圧水デスケーリング装置(図示せず)によって除去される。その後に生成した2次スケールは、仕上げ圧延機2の入側に設置された高圧水デスケーリング装置3によりほとんどの場合除去され、均質な3次スケールが圧延材の表面に生成する。
1次スケールは粗圧延機1の入側に設置された高圧水デスケーリング装置(図示せず)によって除去される。その後に生成した2次スケールは、仕上げ圧延機2の入側に設置された高圧水デスケーリング装置3によりほとんどの場合除去され、均質な3次スケールが圧延材の表面に生成する。
しかし、2次スケールは、素材成分や圧延材の温度によっては、仕上げ圧延前の高圧水デスケーリング装置で完全に除去しきれず残存する場合があり、その場合、仕上げ圧延機に持ち込まれ、仕上げ圧延機のロールにて圧下され、赤スケールが発生することがある。
赤スケールとは、高圧水デスケーリングによって除去されなかった2次スケールが、鋼帯表面に帯状、あるいは縞状に残存して模様として観察されるものである。
一方、仕上げ圧延中に生成した3次スケールは鋼板と一緒に圧延されるが、鋼板表面温度が高い場合には、仕上げ圧延中に3次スケールが剥離し、仕上げ圧延機の第2列スタンドロールに巻き付き、これに起因して鋼板の表面にスケールの噛込み疵が発生したり、鋼板表面の肌荒れが生じる場合がある。
赤スケールとは、高圧水デスケーリングによって除去されなかった2次スケールが、鋼帯表面に帯状、あるいは縞状に残存して模様として観察されるものである。
一方、仕上げ圧延中に生成した3次スケールは鋼板と一緒に圧延されるが、鋼板表面温度が高い場合には、仕上げ圧延中に3次スケールが剥離し、仕上げ圧延機の第2列スタンドロールに巻き付き、これに起因して鋼板の表面にスケールの噛込み疵が発生したり、鋼板表面の肌荒れが生じる場合がある。
このように、赤スケール、或いは剥離した3次スケールが熱延鋼板の表面性状に悪影響を及ぼすことは良く知られている。そして、各種の対策が検討、提案されている。
例えば特許文献1では、C:0.02〜0.60%、Si:0.02〜2.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.05〜0.11%を含有しかつ、0.04≦P/Si≦0.55を満足し、加熱炉の均熱保持時間や粗圧延開始前の高圧水デスケーリングの衝突圧およびP/Siの値に応じて粗圧延終了温度を制御することにより、赤スケールのない表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法が提案されている。
例えば特許文献1では、C:0.02〜0.60%、Si:0.02〜2.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.05〜0.11%を含有しかつ、0.04≦P/Si≦0.55を満足し、加熱炉の均熱保持時間や粗圧延開始前の高圧水デスケーリングの衝突圧およびP/Siの値に応じて粗圧延終了温度を制御することにより、赤スケールのない表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法が提案されている。
また、特許文献2には、スケール疵を防止し、優れた表面性状を有する薄物熱延鋼板の製造方法として、C:0.03〜0.20%、Si:0.05%未満、Mn:0.10〜2.0%、Al:0.08%以下、P/Si≦2.0を含有し、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンドの入側の鋼板表面温度を830℃以上かつ仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンドのワークロールの表面肌と鋼板のP/Si比により定められる温度以下で仕上げ圧延を行うことによる製造方法が開示されている。
特許文献3では、C:0.01〜0.2%、Si:0.05〜0.7%、Mn:0.01〜2.0%、P:0.001〜0.1%、 S:0.001〜0.1%、Cu:0.01〜0.15%、Al:0.001〜0.1%、N:0.0005〜0.01%、Ni:0.005〜0.03%を含有し、MnとSの原子数比Mn/Sを5以上とした鋼を所定の条件で製造することにより、赤スケールの少ない、表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献4は、C:0.01〜0.2%、Si:0.05%以下、Mn:0.1〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.08%以下、Ni:0.05〜0.2%、CuをNiに対し1/3×Ni<Cu<2/3Niを含有した熱延鋼板で、その表面のスケール厚さが10μm以下、かつスケール中のマグネタイト(Fe3O4)の比率を80%以上であることを特長とした表面性状およびスケールの密着性に優れた熱延鋼板の製造方法を提案している。
さらに、特許文献5〜7には、Si添加鋼における赤スケールの発生を抑制した表面性状に優れた鋼板を製造する方法が提案されている。
さらに、特許文献5〜7には、Si添加鋼における赤スケールの発生を抑制した表面性状に優れた鋼板を製造する方法が提案されている。
前記各特許文献では、仕上げ圧延前のデスケーリング不足に伴う赤スケールの抑制手段や剥離した3次スケールに起因するスケール疵の防止手段について、種々個別に検討されている。このため、赤スケールは抑制できても噛込みスケール疵は防止できていない。また、噛込みスケール疵は防止できても赤スケールは抑制できていない。したがって、赤スケールも噛込みスケール疵もない熱延鋼板の製造方法が望まれている。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、熱延鋼板を製造する際に、赤スケールの発生を抑制するとともにスケールの噛込み疵を防止して表面疵が少ない表面性状に優れた熱延鋼板を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、熱延鋼板を製造する際に、赤スケールの発生を抑制するとともにスケールの噛込み疵を防止して表面疵が少ない表面性状に優れた熱延鋼板を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法は、その目的を達成するため、質量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、酸可溶性Al:0.005〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を持つ鋼を連続鋳造した後に熱間圧延する際に、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度を下記(1)式で示すT1(℃)以上、高圧水の衝突圧を15.7MPa以下とし、しかも熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(2)式で示すT2(℃)以下とすることを特徴とする。
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
T1:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
T2:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃)
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
T1:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
T2:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃)
熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際、鋼板温度を下記(3)式で示すT1’(℃)以上、高圧水の衝突圧を24.5MPa以上としてもよい。
T1’≧776×Si(%)‐998×P(%)+980 ・・・・(3)
ただし、
T1’:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
T1’≧776×Si(%)‐998×P(%)+980 ・・・・(3)
ただし、
T1’:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
また、熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(4)式で示すT2’(℃)以下としてもよい。
T2’≦599×Si(%)‐770×P(%)+915 ・・・・(4)
ただし、
T2’:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃)
T2’≦599×Si(%)‐770×P(%)+915 ・・・・(4)
ただし、
T2’:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃)
なお、鋼組成としては、さらにCu:0.01〜0.30%、Ni:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、B:0.0005〜0.005%、の1種または2種以上を含有するものが好ましい。
本発明の熱延鋼板の製造方法では、Si及びPの含有量を規定した鋼にあって、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度と熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度、並びに高圧水の衝突圧を規定することにより、1次スケール、2次スケールの剥離性を良くするとともに、赤スケールの発生および三次スケールの仕上げ圧延中の剥離を抑制することができる。
したがって、本発明により、赤スケールの発生や仕上げ圧延中でのスケールの噛込み疵を防止して表面疵が少ない表面性状に優れた熱延鋼板を得ることができる。
したがって、本発明により、赤スケールの発生や仕上げ圧延中でのスケールの噛込み疵を防止して表面疵が少ない表面性状に優れた熱延鋼板を得ることができる。
1:粗圧延機 2:仕上圧延機
3:高圧水デスケーリング装置 4:仕上圧延ロールF2
5:仕上圧延ロールF3 6:ホットランテーブル
7:コイラー
8:デスケーリング温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
9:F2−F3間温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
10:仕上げ出側鋼板温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
3:高圧水デスケーリング装置 4:仕上圧延ロールF2
5:仕上圧延ロールF3 6:ホットランテーブル
7:コイラー
8:デスケーリング温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
9:F2−F3間温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
10:仕上げ出側鋼板温度の測定位置(鋼板のオモテ面を測定)
一般的に、Si添加鋼では地鉄とスケール界面にSi系の酸化物層が形成され、Siは安定なファイアライト(Fe2SiO4)の形態で存在すると考えられている。
このファイアライトを含むスケールが仕上げ圧延機入側のデスケーリングで除去されなかった場合、仕上げ圧延機にて鋼板表面に押込まれ、鋼板表面に凹凸が生じこれが赤スケールの発生原因と考えられている。
特に、Si、Pは、900℃以上の温度域でスケールと地鉄界面に濃化し、Fe−Si−P系の酸化物を形成することにより、スケール層の剥離性を左右する。
このファイアライトを含むスケールが仕上げ圧延機入側のデスケーリングで除去されなかった場合、仕上げ圧延機にて鋼板表面に押込まれ、鋼板表面に凹凸が生じこれが赤スケールの発生原因と考えられている。
特に、Si、Pは、900℃以上の温度域でスケールと地鉄界面に濃化し、Fe−Si−P系の酸化物を形成することにより、スケール層の剥離性を左右する。
そこで、発明者らは、スケールの剥離性をSi量とP量の関係において高温域で調査した。
まず、表1に合金成分を示す5種の供試鋼を用意し、温度920〜1100℃の大気中で高温曲げ試験を行い、供試鋼のスケール剥離率を求めた。高温曲げ試験の試験片は、1.5厚×12幅×50長とし、JIS
Z 2248に準拠して行った。
その結果を表2に示す。
まず、表1に合金成分を示す5種の供試鋼を用意し、温度920〜1100℃の大気中で高温曲げ試験を行い、供試鋼のスケール剥離率を求めた。高温曲げ試験の試験片は、1.5厚×12幅×50長とし、JIS
Z 2248に準拠して行った。
その結果を表2に示す。
求めたスケール剥離率と合金成分のうち、Si量とP量の関係から重回帰分析により、高温曲げ試験の温度とスケール剥離率の間の関係は、f値=-665×Si(%)+855×P(%)を指標として整理できることを見出した。
そして、熱延鋼板の製造条件において、仕上げ圧延機入り側の高圧水デスケーリング装置の位置における鋼板表面温度と赤スケール発生の有無、さらに、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度とスケール疵発生の有無が、このf値を用いることで明瞭に整理できることを突き止めた。
そして、熱延鋼板の製造条件において、仕上げ圧延機入り側の高圧水デスケーリング装置の位置における鋼板表面温度と赤スケール発生の有無、さらに、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度とスケール疵発生の有無が、このf値を用いることで明瞭に整理できることを突き止めた。
結果、図2に示すように、Si量の増加に伴ってスケール剥離性が悪くなることが分った。仕上げ圧延機入側のデスケーリングにおいて熱延鋼板のスケールを除去するには、Si量の増加に伴って仕上げ入側のデスケーリング温度を高くすることが有効であることが分った。
また、P量については、P量の増加に伴ってスケール剥離性が良くなることが分った。従って、P量が少ない場合にも、スケール剥離性が劣化するため仕上げ入側のデスケーリング温度を高くすることにより、噛込み疵または表面肌荒れ(以降、スケール疵と略記)を抑制させることが可能であることが分った。
また、P量については、P量の増加に伴ってスケール剥離性が良くなることが分った。従って、P量が少ない場合にも、スケール剥離性が劣化するため仕上げ入側のデスケーリング温度を高くすることにより、噛込み疵または表面肌荒れ(以降、スケール疵と略記)を抑制させることが可能であることが分った。
仕上げ圧延では、デスケーリング後に生成した3次スケールが仕上げ圧延機のロール間で剥離すると、ロール表面に固着しスケール疵の発生原因となる。
したがって3次スケールは、剥離し難い方がスケール疵の発生を抑制するために有効であり、そのためには、仕上げ圧延温度を低目にすることが有効であることが分った。
しかし、Si量やP量により仕上げ入側のデスケーリング温度が設定されているため、実際の仕上げ圧延温度は冷却能力と圧延材の板厚にも依存して決まり、任意の温度に設定することはできない。
したがって3次スケールは、剥離し難い方がスケール疵の発生を抑制するために有効であり、そのためには、仕上げ圧延温度を低目にすることが有効であることが分った。
しかし、Si量やP量により仕上げ入側のデスケーリング温度が設定されているため、実際の仕上げ圧延温度は冷却能力と圧延材の板厚にも依存して決まり、任意の温度に設定することはできない。
そこで本発明は、Si量、P量に応じて、仕上げ圧延入側の適正なデスケーリング温度と仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を設定することにより、熱延鋼板の赤スケールやスケール疵を抑制し、優れた表面性状を有する熱延鋼板を製造することができると推測し、本発明方法に到達したものである。
以下に、その詳細を説明する。
なお本発明は、熱延鋼板や本素材を基材鋼とした冷延鋼板およびめっき鋼板の表面性状に関するものであり、冷延鋼板の焼鈍方法やめっき方法の種類を特定するものではない。
以下に、その詳細を説明する。
なお本発明は、熱延鋼板や本素材を基材鋼とした冷延鋼板およびめっき鋼板の表面性状に関するものであり、冷延鋼板の焼鈍方法やめっき方法の種類を特定するものではない。
本発明における基材鋼の化学成分の効果、含有量限定の理由および熱間圧延条件について、これを個別に説明すると以下の通りである。
C:0.30%以下
Cは強度を確保するために有効な元素である。添加量が多くなると加工性が低下するとともにスケール剥離が不均一となり疵を発生しやすくなるため、上限値を0.30%とした。
C:0.30%以下
Cは強度を確保するために有効な元素である。添加量が多くなると加工性が低下するとともにスケール剥離が不均一となり疵を発生しやすくなるため、上限値を0.30%とした。
Si:0.10%
Siは一般に脱酸と鋼の強化のために添加される。Si量の増加に伴ってスケール層と地鉄界面に生成するFe−Si系の酸化物の濃化が進み、共晶温度が上昇するためスケールの剥離性が悪くなり、仕上げ圧延入側のデスケーリングでスケールが除去できにくくなる。しかし、仕上げ圧延機の第2列スタンド(以下、F2と記す)と第3列スタンド(以下、F3と記す)間でのスケール剥離には有効に作用するが、赤スケールの発生により表面性状の劣化が著しくなるため上限値を0.10%以下とした。
Siは一般に脱酸と鋼の強化のために添加される。Si量の増加に伴ってスケール層と地鉄界面に生成するFe−Si系の酸化物の濃化が進み、共晶温度が上昇するためスケールの剥離性が悪くなり、仕上げ圧延入側のデスケーリングでスケールが除去できにくくなる。しかし、仕上げ圧延機の第2列スタンド(以下、F2と記す)と第3列スタンド(以下、F3と記す)間でのスケール剥離には有効に作用するが、赤スケールの発生により表面性状の劣化が著しくなるため上限値を0.10%以下とした。
Mn:1.0%以下
Mnは強度の改善に添加される元素である。Mnによる強度改善効果はMn含有量が多いほど大きい。しかし、Mn含有量が1.0%を超えても、添加量に伴い強度は増大するものの加工性を劣化させる。したがって、1.0%を上限とした。
Mnは強度の改善に添加される元素である。Mnによる強度改善効果はMn含有量が多いほど大きい。しかし、Mn含有量が1.0%を超えても、添加量に伴い強度は増大するものの加工性を劣化させる。したがって、1.0%を上限とした。
P:0.04%以下
Pは高強度化に有効な合金元素である。また、Pの増加にともなって、スケール層と地鉄界面にFe−Si−P系の酸化物が生成し濃化する。P系の酸化物は、共晶温度を低下させ液相が増加するため、スケールの剥離性は良好となる。しかし、0.04%を超えて含有させてもスケールの剥離性におよぼす効果は飽和するとともに、粒界脆化が起こりやすくなり加工性が劣化する。したがって、0.04%を上限とした。
Pは高強度化に有効な合金元素である。また、Pの増加にともなって、スケール層と地鉄界面にFe−Si−P系の酸化物が生成し濃化する。P系の酸化物は、共晶温度を低下させ液相が増加するため、スケールの剥離性は良好となる。しかし、0.04%を超えて含有させてもスケールの剥離性におよぼす効果は飽和するとともに、粒界脆化が起こりやすくなり加工性が劣化する。したがって、0.04%を上限とした。
S:0.02%以下
Sは多量に含有すると冷間または熱間加工性を害するので、可能な限り少ないことが好ましいが、通常不可避的に含有される0.02%以下であれば本発明上何ら問題はない。
Al:0.005〜0.10%
Alは脱酸剤として添加されるが、十分な脱酸効果を得るためには酸可溶Alとして0.005%以上の添加が必要である。Al脱酸の効果は0.10%で飽和しそれ以上に添加しても却って鋼材のコストの上昇を招く。
Sは多量に含有すると冷間または熱間加工性を害するので、可能な限り少ないことが好ましいが、通常不可避的に含有される0.02%以下であれば本発明上何ら問題はない。
Al:0.005〜0.10%
Alは脱酸剤として添加されるが、十分な脱酸効果を得るためには酸可溶Alとして0.005%以上の添加が必要である。Al脱酸の効果は0.10%で飽和しそれ以上に添加しても却って鋼材のコストの上昇を招く。
Cu:0.01〜0.30%
Cuは地鉄からスケール界面、スケール層内に拡散する性質をもつことから、ファイアライト(Fe2SiO4)濃化層の分散に有効で、融点も低いためデスケーリングの際に、スケールの剥離性が向上できる。このため、必要に応じて添加する。添加量が0.01%未満であると濃化層の地鉄界面側に十分濃化しないため0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.30%を超えると熱間脆性が劣化する恐れがある。
Cuは地鉄からスケール界面、スケール層内に拡散する性質をもつことから、ファイアライト(Fe2SiO4)濃化層の分散に有効で、融点も低いためデスケーリングの際に、スケールの剥離性が向上できる。このため、必要に応じて添加する。添加量が0.01%未満であると濃化層の地鉄界面側に十分濃化しないため0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.30%を超えると熱間脆性が劣化する恐れがある。
Ni:0.01〜0.20%
Niは地鉄とスケール界面に濃化し、スラブ加熱時のCu溶融によるスラブの脆化を防止する作用を有するので、必要に応じて添加する。Ni含有量は0.01%未満であると濃化層の地鉄界面側に十分濃化しないため0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.20%を超えると熱間脆性が劣化し表面性状が悪化する。
Niは地鉄とスケール界面に濃化し、スラブ加熱時のCu溶融によるスラブの脆化を防止する作用を有するので、必要に応じて添加する。Ni含有量は0.01%未満であると濃化層の地鉄界面側に十分濃化しないため0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.20%を超えると熱間脆性が劣化し表面性状が悪化する。
Ti:0.01〜0.20%
TiはC、SおよびNと化合し析出物を形成し、析出強化により鋼帯の高強度化に有効な元素である。さらにこれらの析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復を抑制するとともに、溶接加熱時の固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できるので、必要に応じて添加する。添加量が0.01%に満たないと顕著な効果は発現しない。しかし、0.20%を超えて添加しても、その効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。
TiはC、SおよびNと化合し析出物を形成し、析出強化により鋼帯の高強度化に有効な元素である。さらにこれらの析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復を抑制するとともに、溶接加熱時の固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できるので、必要に応じて添加する。添加量が0.01%に満たないと顕著な効果は発現しない。しかし、0.20%を超えて添加しても、その効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。
Nb:0.01〜0.20%
NbはTiと同様にCと化合し析出物を形成し、析出強化により鋼帯の高強度化に有効な元素であるとともに、鋼板の金属組織を微細化して強度を向上させる。さらに溶接部においては、Tiの効果と同様に析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復を抑制するとともに固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できる。添加量が0.01%に満たないと顕著な効果は発現しない。しかし、0.20%を超えて添加しても、その効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。
NbはTiと同様にCと化合し析出物を形成し、析出強化により鋼帯の高強度化に有効な元素であるとともに、鋼板の金属組織を微細化して強度を向上させる。さらに溶接部においては、Tiの効果と同様に析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復を抑制するとともに固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できる。添加量が0.01%に満たないと顕著な効果は発現しない。しかし、0.20%を超えて添加しても、その効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。
B:0.0005〜0.005%
Bは必要に応じて時効性や焼入れ性を改善のために添加される。Bの添加量が0.0005%未満では添加効果がなく、0.005%を超えると効果が飽和し経済的に不利となる。
Bは必要に応じて時効性や焼入れ性を改善のために添加される。Bの添加量が0.0005%未満では添加効果がなく、0.005%を超えると効果が飽和し経済的に不利となる。
仕上げ圧延機入側デスケーリング温度:(1)式を満たすT1(℃)以上
スケール層と地鉄界面に生成するFe−Si系やFe−Si−P系の酸化物の濃化が進むと、共晶温度が変化しスケールの剥離性を左右させる。
仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度が(1)式のT1(℃)よりも低い場合、2次スケールの剥離性が悪くなり圧延材の表面にスケールが残存し、赤スケールの発生を招くのでT1(℃)以上とする。なお、この(1)式は、図2から求めたものである。
スケール層と地鉄界面に生成するFe−Si系やFe−Si−P系の酸化物の濃化が進むと、共晶温度が変化しスケールの剥離性を左右させる。
仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度が(1)式のT1(℃)よりも低い場合、2次スケールの剥離性が悪くなり圧延材の表面にスケールが残存し、赤スケールの発生を招くのでT1(℃)以上とする。なお、この(1)式は、図2から求めたものである。
2次スケールの除去は、仕上げ圧延機の入り側にて、鋼板表面へ高圧水を衝突させて行う。このため、デスケーリング衝突圧は、製造コストの面から2次スケールが除去できる範囲において低いほど望ましいが、通常は15.7MPa以下である。
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
なお、2次スケールの除去は、高圧水デスケーリングの衝突圧を15.7MPa以下から24.5MPa以上と高くすることにより、仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度を式(3)のT1’まで低下させてもスケールは完全に除去され、赤スケールの発生は抑制される。
T1’≧776×Si(%)‐998×P(%)+980 ・・・・(3)
T1’≧776×Si(%)‐998×P(%)+980 ・・・・(3)
仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度:(2)式を満たすT2(℃)以下
デスケーリング後に生成した3次スケールが、仕上げ圧延中に剥離しなければスケール疵の発生は抑制できる。そして、仕上げ圧延中のスケールの剥離を防止するには、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を(2)式のT2(℃)よりも低くすることがスケール疵の改善に有効である。
デスケーリング後に生成した3次スケールが、仕上げ圧延中に剥離しなければスケール疵の発生は抑制できる。そして、仕上げ圧延中のスケールの剥離を防止するには、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を(2)式のT2(℃)よりも低くすることがスケール疵の改善に有効である。
ここで、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を規制する理由は、第4スタンド以降では圧延速度が大きく、圧延機スタンド間におけるスケールの生成量が減少しスケール厚さが薄くなるため、スケールが地鉄に押込まれてもスケール疵にはならないためである。
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
さらに、第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を(4)式を満足する仕上げ圧延温度T2’(℃)以下にて圧延することにより、スケール疵の低減が図れる。
T2’≦599×Si(%)‐770×P(%)+915 ・・・・(4)
なお、(2)式、(3)式、(4)式とも、(1)式と同様に、後述の実施例で求めたものである。
T2’≦599×Si(%)‐770×P(%)+915 ・・・・(4)
なお、(2)式、(3)式、(4)式とも、(1)式と同様に、後述の実施例で求めたものである。
表3に示す成分の鋼スラブを準備し、それぞれ表4〜6に示す各条件にて熱間圧延して、赤スケール発生の有無、およびスケール疵の発生の有無を評価した。
詳細は次のとおりである。
詳細は次のとおりである。
各スラブを加熱炉にて加熱し、表4に示した抽出温度で搬出した。
1次スケールは粗圧延機前の高圧水デスケール装置で除去し、粗圧延を約1120℃で終了させた後、仕上げ圧延機前の高圧水デスケーリング装置で2次スケールを除去した後、仕上げ圧延機にて圧延を行った。
その時の仕上げ圧延機入側のデスケーリング温度は940℃〜1105℃、デスケーリング衝突圧は9.8〜15.7MPa、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度は920℃〜1045℃、仕上げ圧延機出側温度は850℃〜970℃とした。
その後、ホットランテーブル上にて水冷し、巻取り温度を500℃〜650℃にて板厚2.0mmtの熱延コイルを製造した。
1次スケールは粗圧延機前の高圧水デスケール装置で除去し、粗圧延を約1120℃で終了させた後、仕上げ圧延機前の高圧水デスケーリング装置で2次スケールを除去した後、仕上げ圧延機にて圧延を行った。
その時の仕上げ圧延機入側のデスケーリング温度は940℃〜1105℃、デスケーリング衝突圧は9.8〜15.7MPa、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度は920℃〜1045℃、仕上げ圧延機出側温度は850℃〜970℃とした。
その後、ホットランテーブル上にて水冷し、巻取り温度を500℃〜650℃にて板厚2.0mmtの熱延コイルを製造した。
No.1〜27のそれぞれの具体的な条件は、表4に記載したとおりである。
なお、高圧水デスケーリング装置の衝突圧は、表4のNo.1,4,7,8では9.8MPa、No.2,3,5,6,9は15.7MPaであった。また、仕上げ圧延入側のデスケーリング温度、F2−F3間での鋼板温度、また仕上げ出側温度は、それぞれ図1の8,9,10の位置で、鋼板のオモテ面の温度を、放射温度計を用いて測定した。
なお、高圧水デスケーリング装置の衝突圧は、表4のNo.1,4,7,8では9.8MPa、No.2,3,5,6,9は15.7MPaであった。また、仕上げ圧延入側のデスケーリング温度、F2−F3間での鋼板温度、また仕上げ出側温度は、それぞれ図1の8,9,10の位置で、鋼板のオモテ面の温度を、放射温度計を用いて測定した。
得られた熱延コイルを酸洗した後、コイル表面の赤スケールおよび噛込み疵または表面肌荒れ(以降、スケール疵と略記)の有無を目視判定した。
酸洗の条件は、液温80℃、塩酸濃度6.4%、浸漬時間は20秒である。
表4には、No.1〜27のそれぞれについて、熱延条件と赤スケールの発生の有無、スケール疵の発生の有無について目視判定結果を示す。
No.1,4,7,10,13,16,19,22,25は、仕上げ入側デスケーリング温度がそれぞれの供試鋼に対応して(1)式により決まるT1(℃)よりも高く、デスケーリングにてスケールが剥離しやすく除去される。
また、仕上げ圧延では、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度が(2)式により決まるT2(℃)よりも低く、スケールが剥離しにくいため、赤スケールやスケール疵は発生しない。
酸洗の条件は、液温80℃、塩酸濃度6.4%、浸漬時間は20秒である。
表4には、No.1〜27のそれぞれについて、熱延条件と赤スケールの発生の有無、スケール疵の発生の有無について目視判定結果を示す。
No.1,4,7,10,13,16,19,22,25は、仕上げ入側デスケーリング温度がそれぞれの供試鋼に対応して(1)式により決まるT1(℃)よりも高く、デスケーリングにてスケールが剥離しやすく除去される。
また、仕上げ圧延では、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度が(2)式により決まるT2(℃)よりも低く、スケールが剥離しにくいため、赤スケールやスケール疵は発生しない。
一方、No.3,6,9,12,15,18,21,24,27は、仕上げ入側デスケーリング温度がT1(℃)よりも低くスケールが仕上げ圧延入側のデスケーリングで除去されない。
この場合、デスケーリングにてスケールが除去できず残存した箇所においては、残存したスケールが仕上げ圧延にて鋼板表面に押込まれ、(仕上げ圧延にて)赤スケールが発生した。
No.2,5,8,11,14,17,20,23,26は、仕上げ入側デスケーリング温度がそれぞれの供試鋼に対応して(1)式により決まるT1(℃)よりも高いため、2次スケールは高圧水デスケーリングにて剥離し除去された。しかし、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度が(2)式よりも高く、3次スケールが剥離しやすくなるため、スケール疵が発生した。
この場合、デスケーリングにてスケールが除去できず残存した箇所においては、残存したスケールが仕上げ圧延にて鋼板表面に押込まれ、(仕上げ圧延にて)赤スケールが発生した。
No.2,5,8,11,14,17,20,23,26は、仕上げ入側デスケーリング温度がそれぞれの供試鋼に対応して(1)式により決まるT1(℃)よりも高いため、2次スケールは高圧水デスケーリングにて剥離し除去された。しかし、仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度が(2)式よりも高く、3次スケールが剥離しやすくなるため、スケール疵が発生した。
表5は、仕上げ圧延機入側の高圧水デスケーリング圧力を15.7MPaと24.5MPaに設定した場合の、赤スケール疵の目視判定結果を示す。
ここで、No.28と29では、抽出温度が1230℃、仕上げ出側温度885℃、巻取り温度は550℃であった。
No.30と31では、それぞれ順に、1230℃、880℃、550℃、No.32と33では、1240℃、880℃、600℃であった。
ここで、No.28と29では、抽出温度が1230℃、仕上げ出側温度885℃、巻取り温度は550℃であった。
No.30と31では、それぞれ順に、1230℃、880℃、550℃、No.32と33では、1240℃、880℃、600℃であった。
No.28,30,32は高圧水デスケーリングの衝突圧が15.7MPaであるが、仕上げ入側デスケーリング温度が(1)式により決まるT1(℃)よりも低いため、2次スケールが残存し赤スケール発生が見られた。
一方、No.29,31,33は、仕上げ入側デスケーリング温度が(1)式で決まる温度T1よりも低いが、(3)式で決まるT1’よりは高く、そして高圧水デスケーリングの衝突圧が24.5MPaであるので、スケールは完全に除去され赤スケール疵は発生しない。
一方、No.29,31,33は、仕上げ入側デスケーリング温度が(1)式で決まる温度T1よりも低いが、(3)式で決まるT1’よりは高く、そして高圧水デスケーリングの衝突圧が24.5MPaであるので、スケールは完全に除去され赤スケール疵は発生しない。
表6は仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板温度を、(4)式に従って設定した場合のスケール疵の目視判定結果を示す。
ここで、供試鋼がNo.6の場合(No.34と35)の場合の抽出温度は1230℃、No.2の場合(No.36〜38)の場合の抽出温度は1250℃、No.5の場合(No.39〜41)の場合は1230℃、No.4の場合(No.42と43)の場合は1240℃、No.8の場合(No.44と45)の場合は1220℃とした。
また、仕上げ圧延機入り側の高圧水デスケーリングの衝突圧は、どの場合も15.7MPaである。
ここで、供試鋼がNo.6の場合(No.34と35)の場合の抽出温度は1230℃、No.2の場合(No.36〜38)の場合の抽出温度は1250℃、No.5の場合(No.39〜41)の場合は1230℃、No.4の場合(No.42と43)の場合は1240℃、No.8の場合(No.44と45)の場合は1220℃とした。
また、仕上げ圧延機入り側の高圧水デスケーリングの衝突圧は、どの場合も15.7MPaである。
No.34、36、39、42、44は、第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度が(2)式よりも高いため、3次スケールが剥離を起こしスケール疵が発生しやすい。第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を、(2)式に代って(4)式に基づいて設定することにより、No.35、37、38、40,41、43、45のようにスケール疵の発生はより軽減される。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、酸可溶性Al:0.005〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を持つ鋼を連続鋳造した後に熱間圧延する際に、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度を下記(1)式で示すT1(℃)以上、高圧水の衝突圧を15.7MPa以下とし、しかも熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(2)式で示すT2(℃)以下とすることを特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
T1≧998×Si(%)‐1283×P(%)+1010 ・・・・(1)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
T1:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
T2:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃) - 質量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、酸可溶性Al:0.005〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成を持つ鋼を連続鋳造した後に熱間圧延する際に、熱延仕上げ圧延機入側で鋼板表面に高圧水デスケーリングを行う際の鋼板温度を下記(3)式で示すT1’(℃)以上、高圧水の衝突圧を24.5MPaMPa以下とし、しかも熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(2)式で示すT2(℃)以下とすることを特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
T1’≧776×Si(%)‐998×P(%)+980 ・・・・(3)
T2≦599×Si(%)‐770×P(%)+976 ・・・・(2)
ただし、
Si(%):熱間圧延鋼板が含有するSi量(質量%)
P(%):熱間圧延鋼板が含有するP量(質量%)
T1’:仕上げ圧延機入側におけるデスケーリング温度(℃)
T2:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃) - 熱間仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度を下記(4)式で示すT2’(℃)以下とする請求項1又は2に記載の表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
T2’≦599×Si(%)‐770×P(%)+915 ・・・・(4)
ただし、
T2’:仕上げ圧延機の第2列および第3列スタンド間の鋼板表面温度(℃) - 鋼組成が、さらにCu:0.01〜0.30%、Ni:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、B:0.0005〜0.005%、の1種または2種以上を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2010059217A JP2011189394A (ja) | 2010-03-16 | 2010-03-16 | 表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 |
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JP2010059217A JP2011189394A (ja) | 2010-03-16 | 2010-03-16 | 表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 |
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JP2011189394A true JP2011189394A (ja) | 2011-09-29 |
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JP2010059217A Withdrawn JP2011189394A (ja) | 2010-03-16 | 2010-03-16 | 表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103769424A (zh) * | 2014-01-08 | 2014-05-07 | 南京钢铁股份有限公司 | 炉卷轧机钢板表面红色氧化铁皮的控制方法 |
CN111014297A (zh) * | 2019-12-03 | 2020-04-17 | 西安庄信新材料科技有限公司 | 一种钛板坯热轧的加工方法 |
WO2022131618A1 (ko) * | 2020-12-18 | 2022-06-23 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 우수한 제진 댐퍼용 강판 및 이의 제조방법 |
-
2010
- 2010-03-16 JP JP2010059217A patent/JP2011189394A/ja not_active Withdrawn
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WO2022131618A1 (ko) * | 2020-12-18 | 2022-06-23 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 우수한 제진 댐퍼용 강판 및 이의 제조방법 |
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