JP2011186750A - 測定対象分子の定量的解析方法及び装置 - Google Patents

測定対象分子の定量的解析方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011186750A
JP2011186750A JP2010050910A JP2010050910A JP2011186750A JP 2011186750 A JP2011186750 A JP 2011186750A JP 2010050910 A JP2010050910 A JP 2010050910A JP 2010050910 A JP2010050910 A JP 2010050910A JP 2011186750 A JP2011186750 A JP 2011186750A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
pixel
staining
nuclear
cell membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010050910A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Ozaki
裕一 尾崎
Shinya Kuroda
真也 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tokyo NUC
Original Assignee
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Tokyo NUC filed Critical University of Tokyo NUC
Priority to JP2010050910A priority Critical patent/JP2011186750A/ja
Publication of JP2011186750A publication Critical patent/JP2011186750A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Image Processing (AREA)
  • Image Analysis (AREA)

Abstract

【課題】汎用性がありスループットの高い、細胞内の測定対象分子の定量的解析方法と、該方法を実行するプログラム、装置及びシステムとを開発する。
【解決手段】本発明の細胞の輪郭を抽出する方法は、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定することを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、測定対象分子の定量的解析方法、プログラム、装置及びシステムに関し、具体的には、細胞の輪郭を抽出する方法と、該方法を用いる細胞内の測定対象分子の定量的解析方法と、該方法を実行するプログラム、装置及びシステムとに関する。
免疫抗体その他の特異的結合パートナーを用いて細胞内に存在する分子の存在量を定量的に解析する方法には、ELISA法、ラテックス凝集法、ウェスタンブロッティング法等が知られている。しかし、これらは全て細胞又はその分画全体に含まれる分子を集団として検出するものであって、ある細胞集団における個別の細胞の測定対象分子の存在量の頻度分布についての情報を得ることはできない。フロー・サイトメトリー法では、培養液又は生理食塩水中に懸濁された単離細胞の集団について、個別の細胞の測定対象分子の存在量の頻度分布を解析することができるが、前記測定対象分子の細胞内での局在、すなわち、細胞表面、細胞質及び核内のいずれに存在するのか、についての情報を得ることはできない。
蛍光標識した測定対象分子の特異的結合パートナーを用いる蛍光顕微鏡観察では、個別の細胞について前記測定対象分子の細胞内局在及び存在量を検出することができる。しかし多数の細胞について、前記測定対象分子の細胞内局在及び存在量に関する定量的データを収集し、解析するための技術であって、汎用性がありスループットの高い技術は存在しない。
かかる技術を開発するうえで大きな問題は、顕微鏡画像の視野に含まれる細胞の形態、特に、細胞の輪郭を自動認識する手法が確立していない点である。例えば、非特許文献1は、酵母細胞の明視野像で細胞の辺縁が近傍の細胞内部及び細胞外の背景に比べて著しく暗いことを利用して、細胞の輪郭を抽出する。この手法は酵母細胞、血球細胞等では有効ではあるが、基質上に伸展している線維芽細胞、上皮細胞、神経細胞等の細胞では適用できない。
これらの細胞では、HCS CellMask(商標)シリーズの染色試薬(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)のような脂質に基づいて原形質膜と一様に結合する蛍光標識試薬を用いることによって細胞の形状の蛍光画像を得ることができる。かかる細胞の画像から、細胞1個1個の輪郭を識別する、すなわち、細胞輪郭を抽出する方法にはいくつか知られている。非特許文献2は判別基準によりヒストグラムから閾値を決定する方法を提案した。しかし、非特許文献2の方法は、対象領域の濃淡値の分散と背景の濃淡値の分散が極端に異なる場合等にバイアスがかかることが知られている。基質に接着した細胞の場合も、背景の蛍光はほとんど強度差がないのに対し、細胞の部分では細胞の辺縁と中心部とでは蛍光の強度差は大きい。そこで、この方法をそのまま適用することはできない。非特許文献3は、対象領域と背景領域の濃淡値の分散が異なる場合でも適用可能な判別基準を用い、ヒストグラムから閾値を決定する方法を提案した。いずれの方法でも1枚の画像に対して1つの閾値を適用するため、実際の顕微鏡画像のように背景の大域的な平均輝度が平坦ではない場合には視野全域にわたって適切な細胞輪郭抽出を行うことはできない。
また特許文献1は、動的計画法を用いる最適経路計算により細胞輪郭を抽出する技術を開示する。特許文献1に説明される方法では、輝度勾配に基づいてあらかじめ検出した細胞輪郭断片を、注目する核の重心からの距離に基づいて連結することによって核の周囲を一周する細胞輪郭を算出する。しかし、細胞輪郭は、隣接する核どうしの間か、核と背景領域との間かに引かれるべきであるから、1個の核だけに注目して決定することができるものではない。また特許文献1の方法でうまく細胞の輪郭を決定できるのは、細胞が真円に近い形態の場合であって、一般性がない。例えば繊維芽細胞のように長径と短径との比が著しく異なる形態の細胞の場合には、特許文献1の方法ではギャップペナルティ関数が真円に近いエッジを優先的に選択してしまうことは容易に想像される。
Gordon, A.ら、Nature Methods、4:175(2007) Otsu, N.、IEEE Trans. Syst. Man Cybern. SMC−9, 62-66(1979) Kittler、J.及びIllingworth、J.、Pattern Recognition、19:41(1986)
特開2008−146278号公報
そこで、汎用性がありスループットの高い、細胞内の測定対象分子の定量的解析方法と、該方法を実行するプログラム、装置及びシステムとを開発する必要がある。
本発明は細胞の輪郭を抽出する方法を提供する。本発明の細胞の輪郭を抽出する方法は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像と、細胞膜染色画像とを用意するステップと、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップと、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出するステップとを含み、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定すること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算すること、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定すること、前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差として局所標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記局所標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を2倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個(pは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルの近接領域は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が5個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する方法において、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法を提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとを用いて細胞の多重染色をするステップと、前記多重染色された細胞の同一の視野について、前記核に対する標識特異的結合パートナーによって染色された核染色画像と、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーによって染色された細胞膜染色画像と、前記測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーによって染色された測定対象分子染色画像とを取得するステップと、本発明の細胞の輪郭を抽出する方法によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップとを含む。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する核染色画像ピクセル、細胞膜染色画像ピクセル及び測定対象分子染色画像ピクセルについて、前記核染色画像ピクセルの核染色輝度か、前記細胞膜染色画像ピクセルの細胞膜染色輝度かと、前記測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度との積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトに属する測定対象分子の核又は細胞膜との共局在指標として計算するステップを含む場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法を提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、複数の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとを用いて細胞の多重染色をするステップと、前記多重染色された細胞の同一の視野について、前記核に対する標識特異的結合パートナーによって染色された核染色画像と、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーによって染色された細胞膜染色画像と、前記測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーによって染色された測定対象分子染色画像とを取得するステップと、本発明の細胞の輪郭を抽出する方法によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する前記測定対象分子染色画像ピクセルごとの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップとを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの前記複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法において、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法において、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値の場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法において、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法において、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムを提供する。本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムは、コンピュータに、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、核染色画像及び細胞膜染色画像を取得させるステップと、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップと、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出させるステップとを含み、前記細胞膜染色画像から細胞輪郭ピクセルオブジェクトを抽出させるステップは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定すること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算すること、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定すること、前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差として局所標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記局所標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を2倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個(pは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記背景予備候補ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記背景予備候補ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルの近接領域は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が5個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップは、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムを提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析するためのプログラムは、コンピュータに、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得させるステップと、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップとを含む。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析するためのプログラムは、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する核染色画像ピクセル、細胞膜染色画像ピクセル及び測定対象分子染色画像ピクセルについて、前記核染色画像ピクセルの核染色輝度か、前記細胞膜染色画像ピクセルの細胞膜染色輝度かと、前記測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度との積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトに属する測定対象分子の核又は細胞膜との共局在指標として計算させるステップを含む場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムを提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析するためのプログラムは、コンピュータに、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、複数の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び複数の測定対象分子染色画像を取得させるステップと、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する前記測定対象分子染色画像ピクセルごとの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップとを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムは、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算させるステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムは、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムは、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算させるステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値の場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は、本発明のプログラムを記録した媒体を提供する。
本発明は、本発明のプログラムを実行するコンピュータを提供する。
本発明は細胞の輪郭を抽出する装置を提供する。本発明の細胞の輪郭を抽出する装置は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像及び細胞膜染色画像を取得する画像取得部と、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出する核輪郭抽出部と、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出する細胞輪郭抽出部とを含み、前記細胞輪郭抽出部は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定し、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とし、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とし、前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定し、前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得て、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられる場合がある。
キトラーの閾値は、背景ピクセルと細胞ピクセルの曖昧度を最小化する閾値を求める方法である(Kittler、J.及びIllingworth、J.Pattern Recognition、19:41(1986))。注目する画像領域の輝度ヒストグラムをある閾値で2つのクラスに分類したとき、それぞれのクラスを正規分布モデルでフィッティングし,そのときの重複部分の面積によってクラスの曖昧度が表される。この面積を最小にする閾値を最適閾値とする。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差として局所標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記局所標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を2倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個(pは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記背景予備候補ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記背景予備候補ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルの近接領域は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が5個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記核輪郭抽出部は、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定し、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得て、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定する場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出するための装置において、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置を提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得する画像取得部と、本発明の細胞の輪郭を抽出するための装置と、前記細胞の輪郭を抽出する装置によって得られる前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する測定対象分子解析部とを備える。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置における前記測定対象分子解析部は、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する核染色画像ピクセル、細胞膜染色画像ピクセル及び測定対象分子染色画像ピクセルについて、前記核染色画像ピクセルの核染色輝度か、前記細胞膜染色画像ピクセルの細胞膜染色輝度かと、前記測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度との積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトに属する測定対象分子の核又は細胞膜との共局在指標として計算する場合がある。
本発明は細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置を提供する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置は、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、複数の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得する画像取得部と、本発明の細胞の輪郭を抽出する装置と、該細胞の輪郭を抽出する装置によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する前記測定対象分子染色画像ピクセルごとの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する測定対象分子解析部とを含む。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記測定対象分子解析部は、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算する場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記測定対象分子解析部は、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算することを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記測定対象分子解析部は、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算することを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記細胞の輪郭を抽出するための装置の核輪郭抽出部は、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定し、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得て、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定する場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値であり、前記周辺核染色輝度は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて、該核染色画像ピクセルの周辺領域内の核染色画像ピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置において、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は、本発明のコンピュータか、本発明の装置かと、顕微鏡と、デジタルカメラとを含む、測定対象分子の定量解析システムを提供する。
本発明の測定対象分子の定量解析システムは、細胞培養装置、サンプル細胞の移動装置及び/又はリキッドハンドリングロボットを含む場合がある。
本明細書において、特異的結合パートナーとは、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質その他の生体分子か、核、原形質膜等の細胞の特定の微細構造かと特異的に結合することができ、かつ、蛍光その他の光学的に検出可能な標識を行うことのできる当業者に知られたあらゆる物質をいう。本発明の特異的結合パートナーは、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体と、該抗体の抗原結合断片と、該抗原結合断片を含むキメラ抗体又は組換え抗体とからなるグループ(以下、「抗体等」という。)から選択される場合がある。抗体の抗原結合断片は、抗原結合に参加する抗体の部分を指す。前記抗原結合部位は、重(H)鎖及び軽(L)鎖のN末端の可変(V)領域のアミノ酸残基によって形成される。本発明の特異的結合パートナーは、DNA又はRNAか、これらと相補性のある核酸塩基が結合したヌクレオチド誘導体又はヌクレオシド誘導体かからなる核酸プローブの場合がある。本発明の特異的結合パートナーは、遺伝子組換え法を含むいかなる方法で製造されたものであってもよく、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコールその他の医薬品として許容される添加剤・処理剤を結合又は添加したものでもかまわない。
本発明の核に対する標識特異的結合パートナーは、細胞核に局在する生体分子に対する抗体等を蛍光色素のような発色団と結合又は会合させて光学的に検出可能にしたものであってもかまわないし、例えば、ヘキスト33342及びヘキスト33258と、これらのビスベンズイミド誘導体と、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)と、よう化プロピジウムとを含むがこれらに限定されない、いずれかのDNAと特異的に結合することができる色素であってもかまわない。
本発明の細胞膜に対する特異的結合パートナーは、少なくとも細胞の表面を含む細胞全体に局在する生体分子に対する抗体等を蛍光色素のような発色団と結合又は会合させて光学的に検出可能にしたものであってもかまわないし、例えば、ライフテクノロジーズジャパン株式会社から商業的に入手可能なCellMask(商標)Deep Red及びCellMask(商標)Orangeを含むがこれらに限定されない、いずれかの原形質膜と特異的に結合することができる色素であってもかまわない。
本明細書において測定対象分子とは、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質その他のいずれかの生体分子をいうが、検出可能である場合には、ある特定の生体分子がリン酸化、メチル化その他の共有結合による修飾されたものや、2個以上の特定の生体分子が会合したものをいう。本明細書における測定対象分子は、細胞核に局在する生体分子や、細胞膜に局在する生体分子であってもかまわない。
本発明の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーは、該分子に対する抗体等又は核酸プローブを蛍光色素のような発色団と結合又は会合させて光学的に検出可能にしたものであってもかまわないし、例えば、酵素反応阻害剤のように前記測定対象分子と特異的に結合することができる化合物や、特定の糖鎖と結合するレクチンのようなタンパク質を蛍光色素のような発色団と結合又は会合させて光学的に検出可能にしたものであってもかまわない。本発明の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーは、核に対する標識特異的結合パートナー及び/又は細胞膜に対する特異的結合パートナーと同一でもかまわない。
本明細書において、多重染色とは、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する特異的結合パートナーとを、核、細胞膜、測定対象分子のそれぞれの局在を重複して検出しないように光学的に標識して、これらの少なくとも2つを、同一のサンプルの細胞に同時に反応させることをいう。当業者は、蛍光色素の励起波長及び発光波長や、可視領域の発色色素の吸光波長や、撮像時に用いるフィルターの透過波長の組合せを選択することによって、核、細胞膜、測定対象分子のそれぞれの局在を重複して検出しないようにできる。
本明細書において、同一の視野について撮影した画像とは、視野を固定して、光学系を切り替えて撮影した画像をいうが、機械的に、あるいは、手作業で、視野が重複する画像から重複する部分を抜き出す等の手法によって得られる実質的に同一の視野について撮影した画像も含む場合がある。
本明細書において、画像を取得するとは、光学顕微鏡及びデジタルカメラを用いて細胞の顕微鏡写真を撮影すること、及び/又は、既に撮影された顕微鏡写真の画像データを他の記憶装置から受け取って、本発明のコンピュータ又は装置のデータベースのような記憶装置に保存することを含む。
本明細書において、核ピクセルオブジェクトとは、核染色画像の視野に含まれる個々の細胞核の形状を反映した配置パターンで分布するピクセルの集合をいう。本明細書において細胞ピクセルオブジェクトとは、細胞染色画像の視野に含まれる個々の細胞の形状を反映した配置パターンで分布するピクセルの集合をいう。ある測定対象分子染色画像ピクセルが、核又は細胞ピクセルオブジェクトに属するとは、当該測定対象分子染色画像ピクセルに位置的に対応する核又は細胞染色画像ピクセルが、核又は細胞ピクセルオブジェクトに属することをいう。
本発明において、核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップには、いかなる手法を用いてもかまわない。核染色画像で背景及び細胞質の非特異的染色の輝度と核特異的染色の輝度との差が大きいときであって、細胞が重ならずに分布するように細胞が播種される場合であれば、背景輝度より高い適当な輝度を核ピクセル閾値として設定し、該核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補とすることができる。そして、隣接する前記核ピクセル候補からなるピクセル群をそのまま核ピクセルオブジェクトとする場合もある。
本発明の核ピクセル閾値は、前記のとおり適当に設定される場合もあるが、視野全体の核染色輝度の相加平均値や、大津の閾値を用いる場合もある。これらの固定閾値を用いる場合のほか、以下に説明する適応的閾値を用いる場合がある。視野内で細胞の分布や染色の程度が均一でない場合を考慮すると、局所平均法あるいは移動平均法を採用することが好ましい。これは、それぞれの核画像ピクセルごとにその周辺領域の核染色輝度の統計処理で得られる値を本発明の核ピクセル閾値とする手法である。前記周辺領域は、当該核画像ピクセルを重心とする任意の形状であってかまわない。好ましい形状は矩形である。
前記周辺領域の大きさは、視野に含まれる細胞の大きさと、演算に要する時間とを考慮して決定される。前記細胞の大きさは、実験材料の細胞の種類、細胞タイプ、生理状態、播種密度等と、細胞が接着する基質の状態と、顕微鏡の拡大倍率とに応じて変化する。前記周辺領域に前記核染色画像中の核の領域を多く含む場合には、核に属するピクセルであるのに核候補ピクセルとされない偽陰性判定が増える。また、前記周辺領域に前記核染色画像中の核の領域をほとんど含まない場合には、背景に属するピクセルであるのに非特異的な核染色輝度を有するために核ピクセル候補と判定される偽陽性判定が増える。前記周辺領域が矩形のとき、その一辺は核の平均径の2倍あるいは細胞の平均径の1倍の場合がある。核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
前記核染色画像の辺縁近傍の核画像ピクセルについては、該画像ピクセルを重心とする周辺領域が該核染色画像の範囲外となる場合がある。その場合には、画像処理の分野で当業者に知られたいずれかの手法で当該画像ピクセルについての核ピクセル閾値を算出することができる。例えば、当該画像ピクセルについての周辺領域のうち、前記核染色画像の範囲外の部分については、該核染色画像の辺縁を対称の軸とする鏡面対称変換により拡張することができる。あるいは、前記核染色画像の辺縁近傍の核画像ピクセルについては、前記周辺領域のうち前記核染色画像の範囲内の部分だけについて統計処理を行うことができる。
前記画像ピクセルについての核ピクセル閾値を算出するための統計処理は、当業者に知られたいずれの手法であってもよく、演算時間を考慮して選択することができる。代表的な統計処理は相加平均及び相乗平均であるが、例えば、非特異的な孤立輝点の影響を軽減又は排除するために、前記周辺領域内の核画像ピクセルの重心からの距離を反映した加重平均の場合もある。
以上のとおりの判定基準で選別された核候補ピクセルは、たがいに隣接する核候補ピクセル群を1つの核候補ピクセルグループとしてオブジェクト化され、識別番号が付与され、同定される。
前記核候補ピクセルグループから核の輪郭を抽出して核ピクセルオブジェクトを得るための好ましい手法は、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を伴う手法である。前記手法は、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む。ここで、個々の核候補ピクセルグループは、単一の核と、複数の核が連結したものとが含まれる。制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行うことによって、複数の核が連結した核候補ピクセルグループを個々の核ピクセルオブジェクトに分けることができる。
前記制限付きwatershedアルゴリズムによる分割においては、核候補ピクセルグループの辺縁のピクセルを輝度の低いものから水位を上げて水没させるように順次除去して、該核候補ピクセルグループを縮小する。前記核候補ピクセルグループの核染色輝度の合計が縮小開始前の核候補ピクセルグループの核染色輝度の合計と比較して核輝度閾値以下になるまで縮小作業を繰り返す。前記核輝度閾値は、80−95%、好ましくは85%である。縮小作業が終わると、前記核候補ピクセルグループの辺縁のピクセルを輝度の低いものから水位を下げて水面に露出させるように順次拡大する。縮小によって1個の核候補ピクセルグループが複数のオブジェクトに分割された場合には、拡大したピクセルがオブジェクト間を結合する場合には、該ピクセルを核オブジェクトの境界ピクセルとする。このようにして境界ピクセルを伸長させながら拡大作業を続け、縮小開始前の核候補ピクセルグループまで拡大させて、前記境界ピクセルに囲まれた領域を核ピクセルオブジェクトとする。核ピクセルオブジェクトの輪郭は、スムージング処理を施される場合がある。
本発明において、細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出するステップで細胞候補ピクセルを判定する際には、視野内の大域的輝度勾配を考慮し、適応的閾値を用いる。核は細胞質に囲まれているため、核どうしが隣接する頻度が非常に低いのに対し、細胞は、播種密度にもよるが、細胞どうしが隣接する頻度は核どうしが隣接する頻度よりははるかに高い。また、核染色画像では核の部分と背景の部分との間の核染色輝度のコントラストは比較的高いが、細胞膜染色画像では細胞の部分と背景の部分との間の細胞膜染色輝度のコントラストが比較的低い。そのため、核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップに用いた核閾値の場合のような移動平均法では細胞の輪郭を正確に認識することができない。そこで、移動背景平均法に基づく細胞ピクセル閾値を用いて細胞候補ピクセルを判定することにした。
細胞膜染色画像全体の細胞膜染色輝度のヒストグラムは、低輝度領域に最大ピークがあり、背景、すなわち、視野のうち細胞が配置されていない部分にあたるピクセルはほぼこのピークに含まれると考えられる。これは、細胞が複雑な構造を有するのに背景は比較的均一な構造を有するためである。そこで、以下では細胞膜染色画像の細胞膜染色輝度ヒストグラムの低輝度領域の最大ピークを「細胞膜染色背景ピーク」という。前記細胞膜染色背景ピークに含まれるピクセルを除去するように細胞ピクセル閾値を設定するために、以下の手法を用いた。
さまざまなサンプル細胞についての細胞膜染色輝度のヒストグラムでは、細胞膜染色背景ピークの頂部のピクセル数は細胞の部分にあたるピクセル群のピークのピクセル数に比べて数桁多い。そこで、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの周辺領域の細胞膜染色輝度の分布が前記背景ピークを含む場合には、該周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の統計処理によって背景予備候補ピクセル群を抽出し、さらに統計処理によって前記細胞膜染色背景ピーク部分を近似することで、適切な細胞ピクセル閾値を計算することができると考えられる。前記背景予備候補ピクセル群を抽出する統計処理は、例えば前記周辺領域の細胞膜染色輝度の相加平均値でも、相乗平均値でも、前記周辺領域の細胞膜染色輝度に対するキトラーの閾値でもかまわないが、演算に要する時間を考慮すると相加平均値が好ましい。本発明では、細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算し、前記相加平均値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定した。これにより、視野内で細胞の分布や染色の程度が均一でない場合でも、非特異的な孤立輝点を背景予備候補ピクセルに含めることができる。また、前記周辺領域の面積が細胞の占める面積より十分広い場合、例えば、前記周辺領域の面積が細胞の占める面積の2倍以上あるように前記周辺領域を設定すると、細胞の部分にあたるピクセルの大部分は背景予備候補ピクセルから排除できる。このようにして得られた背景予備候補ピクセルは、前記細胞膜染色背景ピーク部分をより多く含み、かつ、細胞の部分にあたるピクセルをより少なく含む。そこで、背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値は、前記細胞膜染色背景ピーク部分の細胞膜染色輝度の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値の近似値として用いることができる。
前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値に更にオフセットを加えた値を細胞ピクセル閾値とすると、本発明の細胞候補ピクセルから前記細胞膜染色背景ピークの「ショルダー」部分以下を除去することができる。ここで、前記細胞膜染色背景ピークをガウス分布とみなすと、前記ピーク部分の標準偏差の−0.24倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」部分以下の40.7%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の0.03倍をオフセットとすれば、前記細胞膜染色背景ピークの「ショルダー」部分以下の51.2%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の1.5倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」部分以下の93.3%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の3倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」部分以下の99.73%まで除去することができる。前記細胞膜染色画像の細胞と背景の境界部分において、撮影光学系の特性に由来する蛍光のにじみがないとみなせる場合、前記標準偏差は、前記細胞膜染色画像ピクセルそれぞれについての周辺領域の前記背景予備候補ピクセルの標準偏差として計算することができる。また前記細胞膜染色画像の背景部分について、細胞膜染色輝度の大域的な勾配がないとみなせる場合、前記標準偏差は、細胞膜染色画像の前記細胞膜染色背景ピーク部分の細胞膜染色輝度の頻度分布にフィッティングするガウス分布の標準偏差として計算することができる。前記のいずれの条件も満たさない場合は、背景にあたるピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差が細胞の部分にあたるピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差と比較して格段に小さいことを利用し、以下に説明する方法によって計算される場合がある。
そこで、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについてその近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、その最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを前記ピークの標準偏差の推定値として用いることにした。細胞膜染色輝度の標準偏差前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記細胞膜染色輝度の標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。細胞膜染色画像の細胞の部分を背景の部分から抽出するには、サイトパーコレーション理論の臨界浸透確率から、前記細胞膜染色背景ピークの「ショルダー」部分以下の40.7%以上を除去することが必要である。前記ピークの「ショルダー」の51.2%以上を除去することが好ましく、93.3%以上を除去することがより好ましく、97.7%以上を除去することがさらに好ましく、99.7%以上を除去すれば十分である。これらに対応するのは、それぞれ、前記背景予備候補ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差の−0.24倍、0.03倍、1.5倍、2倍及び3倍である。もっとも、前記ピークの「ショルダー」の細胞膜染色輝度の高い部分を除去すると、本来細胞にあたるピクセルも切り取られてしまう。そこで、前記オフセットは、前記背景予備候補ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差の1.5倍ないし3倍の範囲であることが好ましく、2倍がより好ましい。
前記周辺領域の大きさは、視野に含まれる細胞の大きさと、演算に要する時間とを考慮して決定される。前記細胞の大きさは、実験材料の細胞の種類、細胞タイプ、生理状態、播種密度等と、細胞が接着する基質の状態と、顕微鏡の拡大倍率とに応じて変化する。前記周辺領域が矩形のとき、その一辺は細胞の平均径の1ないし3倍、あるいは、30ないし90μmの場合がある。前記背景予備候補ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個のピクセル(pは2又は3以上の自然数)からなる矩形の場合がある。細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率の場合、p=20が好ましい。
前記近接領域の大きさは、視野に含まれる背景領域の大きさと背景部分の細胞膜染色輝度の分散、演算に要する時間とを考慮して決定される。前記近接領域の大きさは、できるだけ多くの近接領域が背景部分のピクセルのみから成るように、できるだけ小さいことが好ましい。一方、細胞膜染色輝度は一般に離散値で与えられるため、滑らかな標準偏差頻度分布を得るためには、前記近接領域の大きさはできるだけ大きいことが好ましい。また背景部分に細胞以外の粒子状染色パターンが見られる場合には、前記近接領域の大きさは前記粒子状染色パターン単位の2倍以上に取ることが好ましい。前記近接領域が矩形のとき、その一辺は2ピクセル以上、細胞の平均径の1倍以下の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率の場合、q=2が好ましい。
前記細胞膜染色画像の辺縁近傍の細胞膜画像ピクセルについては、該画像ピクセルを重心とする近接領域が該細胞膜染色画像の範囲外となる場合がある。その場合には、画像処理の分野で当業者に知られたいずれかの手法で当該画像ピクセルについての細胞膜染色輝度の標準偏差を算出することができる。例えば、当該画像ピクセルについての近接領域のうち、前記細胞膜染色画像の範囲外の部分については、該細胞膜染色画像の辺縁を対称の軸とする鏡面対称変換により拡張することができる。あるいは、前記細胞膜染色画像の辺縁近傍の細胞膜画像ピクセルについては、前記近接領域のうち前記細胞膜染色画像の範囲内の部分だけについて標準偏差の計算を行うことができる。
以上のとおりの判定基準で選別された細胞候補ピクセルは、たがいに隣接する細胞候補ピクセル群を1つの細胞候補ピクセルグループとしてオブジェクト化され、識別番号が付与され、同定される。
前記細胞候補ピクセルグループから細胞の輪郭を抽出して細胞ピクセルオブジェクトを得るための好ましい手法は、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することである。ここで、個々の細胞候補ピクセルグループは、単一の細胞と、複数の細胞が連結したものとが含まれる。marker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行うことによって、複数の細胞が連結した細胞候補ピクセルグループを個々の細胞ピクセルオブジェクトに分けることができる。
前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割処理においては、前記核ピクセルオブジェクトを2個又は3個以上含む細胞候補ピクセルグループについて、細胞候補ピクセルグループのピクセルを輝度の低いものから水位を上げて水没させるように順次除去して、該細胞候補ピクセルグループを縮小する。前記縮小処理は前記核ピクセルオブジェクトがそれぞれ独立した島状の細胞候補ピクセルグループ断片に含まれる状態となるまで行えば十分である。次に縮小作業が終わると、前記細胞候補ピクセルグループのピクセルを輝度の低いものから水位を下げて水面に露出させるように順次拡大する。拡大したピクセルが核ピクセルオブジェクトを含む複数の細胞候補ピクセルグループ断片間を結合する場合には、該ピクセルを細胞オブジェクトの境界ピクセルとする。このようにして境界ピクセルを伸長させながら拡大作業を続け、縮小開始前の細胞候補ピクセルグループまで拡大させて、前記境界ピクセルに囲まれた領域を細胞ピクセルオブジェクトとする。細胞ピクセルオブジェクトの輪郭は、スムージング処理を施される場合がある。
本発明の細胞及び核の輪郭を抽出する方法を用いると、任意のサンプルについて個々の細胞及び核ごとに、測定対象分子の染色輝度の和を計算して、集計することができる。本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法は、ある実験条件下の多数の細胞について、個別の細胞及び/又は核ごとの測定対象分子の存在量のデータセットのハイスループット解析が可能になる。このような解析には、さまざまな実験条件下の多数の細胞について、個別の細胞及び/又は核ごとの測定対象分子の存在量のデータセットを作成し、記録しておいて、これらにもとづいて、例えば細胞を刺激するリガンドの濃度及び刺激後の経過時間と、細胞内又は核内での測定対象分子の存在量のヒストグラムの変化や、細胞全体の存在量に対する核内の存在量の比や積和等の変化を解析することが含まれる。
ある1個の細胞Pにおける測定対象分子の前記積和は以下の式(1)によって表される。
Figure 2011186750
ここで、a及びbは細胞(細胞輪郭オブジェクト)Pに属するピクセルpの核染色輝度及び測定対象分子染色輝度をそれぞれ表す。a及びbをそれぞれベクトルとみなすと、積和とはベクトルの内積に他ならず、したがって細胞内における2つの異なる計測対象分子輝度間の共局在の指標として用いることができる。例えばコサイン値は内積を各ベクトルのノルムで割った値であり、2つのベクトルの成す角度の指標であるが、前記積和を用いて式2のように計算できる。
Figure 2011186750
また、細胞内における2つの異なる計測対象分子輝度間の相関は、2つのベクトルの重心を0、ノルムをそれぞれ1となるように正規化した上で内積を計算したときの値であるが、前記積和を用いて式(3)のように計算できる。
Figure 2011186750
前記コサイン値ならびに相関値はいずれも2つの異なる計測対象分子輝度間の共局在の指標として用いることができる。
本発明は、本発明の細胞の輪郭を抽出する方法、及び/又は、本発明の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。図1は本発明のプログラムのアルゴリズムの流れ図である。図1を参照して、本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムは、コンピュータに、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する特異的結合パートナーとによる多重染色か、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する特異的結合パートナーとによる多重染色かを施された細胞サンプルの同一の視野についての複数の染色画像を取得させるステップ(SP1)と、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP2)と、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP3)とを含む。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析するためのプログラムは、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得させるステップ(SP1)と、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP2)と、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP3)と、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)、又は、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度とし、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)とを含む。
前記染色画像を取得させるステップ(SP1)は、蛍光顕微鏡のような顕微鏡に接続されたデジタルカメラによって撮影されたデジタル画像を取得することを含む。本発明のプログラムは、サンプル細胞の移動装置リキッドハンドリングロボットを用いて、細胞を播種し、培地交換を行い、サイトカインその他のリガンドを含む培地に細胞を曝露し、所定の時間経過後に細胞を固定し、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する特異的結合パートナーとからなるグループから選択される少なくとも2種類の特異的結合パートナーによる染色処理を行わせ、顕微鏡に戴置して検鏡させるステップを含む場合がある。
前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP2)には、いかなる手法を用いてもかまわない。核染色画像で背景及び細胞質の非特異的染色の輝度と核特異的染色の輝度との差が大きいときであって、細胞が重ならずに分布するように細胞が播種される場合であれば、背景輝度より高い適当な輝度を核ピクセル閾値として、該核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補とすることができる。そして、隣接する前記核ピクセル候補からなるピクセル群をそのまま核ピクセルオブジェクトとする場合もある。
前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP2)は、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明のプログラムにおける核ピクセル閾値は、前記のとおり適当に設定される場合もあるが、視野全体の核染色輝度の相加平均値や、大津の閾値を用いる場合もある。これらの固定閾値を用いる場合のほか、以下に説明する適応的閾値を用いる場合がある。視野内で細胞の分布や染色の程度が均一でない場合を考慮すると、局所平均法あるいは移動平均法を採用することが好ましい。これは、それぞれの核画像ピクセルごとにその周辺領域の核染色輝度の統計処理で得られる値を本発明の核ピクセル閾値とする手法である。例えば、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルの周辺核染色輝度の相加平均値であり、前記周辺核染色輝度は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて、該核染色画像ピクセルの周辺領域内の核染色画像ピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明のプログラムの前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域は、当該核画像ピクセルを重心とする任意の形状であってかまわない。前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出させるステップ(SP3)は、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定すること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算すること、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定すること、前記細胞候補ピクセルを隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられる場合がある。
キトラーの閾値は、背景ピクセルと細胞ピクセルの曖昧度を最小化する閾値を求める方法である(Kittler、J.及びIllingworth、J.Pattern Recognition、19:41(1986))。注目する画像領域の輝度ヒストグラムをある閾値で2つのクラスに分類したとき、それぞれのクラスを正規分布モデルでフィッティングし、そのときの重複部分の面積によってクラスの曖昧度が表される。この面積を最小にする閾値を最適閾値とする。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムにおいて、前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記細胞膜染色輝度の標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。
本発明のプログラムにおいて、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍、好ましくは2倍することによって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個(pは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるプログラムにおいて、前記細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルの近接領域は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が5個のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)、又は、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度とし、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)は、さらに、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算させることを含む場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出させるためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)、又は、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度とし、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップ(SP4)は、さらに、さまざまな実験条件下の多数の細胞について、個別の細胞及び/又は核ごとの測定対象分子の存在量のデータセットを作成し、記録しておいて、これらにもとづいて、例えば細胞を刺激するリガンドの濃度及び刺激後の経過時間と、細胞内又は核内での測定対象分子の存在量のヒストグラムの変化や、細胞全体の存在量に対する核内の存在量の比の変化を解析するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムは、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムは、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算させるステップを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含む場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値であり、前記周辺核染色輝度は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて、該核染色画像ピクセルの周辺領域内の核染色画像ピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析させるためのプログラムにおいて、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは1又は2以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明は、本発明の細胞の輪郭を抽出する装置、及び/又は、本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置を提供する。図2は本発明の装置のブロック図である。図2を参照して、本発明の細胞の輪郭を抽出する装置は、顕微鏡装置とのインターフェース部10と、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像及び細胞膜染色画像を取得する画像取得部11と、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出する核輪郭抽出部12と、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出する細胞輪郭抽出部13と、これらの抽出演算の結果、装置のその他の運転状況等についてのレポートを生成するレポート生成部15と、その表示部16と、データベース17と、装置の操作部18と、これらの演算、運転等の動作の制御部19とが、バス20を介して接続された構成を有する。本発明の細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置は、顕微鏡装置とのインターフェース部10と、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得する画像取得部11と、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出する核輪郭抽出部12と、前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出する細胞輪郭抽出部13と、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算し、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する測定対象分子解析部14と、これらの抽出及び解析演算の結果、装置のその他の運転状況等についてのレポートを生成するレポート生成部15と、その表示部16と、データベース17と、装置の操作部18と、これらの演算、運転等の動作の制御部19とが、バス20を介して接続された構成を有する。
顕微鏡装置とのインターフェース部10は、前記染色画像を作成する顕微鏡及びデジタルカメラと接続され、前記染色画像を画像取得部11に取り込む。顕微鏡装置とのインターフェース部10は、顕微鏡の視野を移動させるステージの水平移動装置と、顕微鏡の焦点を移動させるピント合わせ機構、すなわち、ステージの垂直移動装置又は鏡筒移動装置と、対物レンズ、フィルター系等の切り替え装置と、サンプル細胞の移動装置及び/又はリキッドハンドリングロボットとからなるグループから選択される装置とも接続される場合がある。前記サンプル細胞の移動装置及び/又はリキッドハンドリングロボットは、細胞を播種し、培地交換を行い、サイトカインその他のリガンドを含む培地に細胞を曝露し、所定の時間経過後に細胞を固定し、核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する特異的結合パートナーとからなるグループから選択される少なくとも2種類の特異的結合パートナーによる染色処理を行い、顕微鏡に戴置して検鏡する場合がある。
画像取得部11は、前記多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び/又は測定対象分子染色画像を取得する。ここで同一の視野について撮影した画像とは、視野を固定して、光学系を切り替えて撮影した画像をいうが、機械的に、あるいは、手作業で、視野が重複する画像から重複する部分を抜き出す等の手法によって得られる実質的に同一の視野について撮影した画像も含む。
核輪郭抽出部12では、前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するためにいかなる手法を用いてもかまわない。核染色画像で背景及び細胞質の非特異的染色の輝度と核特異的染色の輝度との差が大きいときであって、細胞が重ならずに分布するように細胞が播種される場合であれば、背景輝度より高い適当な輝度を核ピクセル閾値として、該核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補とすることができる。そして、隣接する前記核ピクセル候補からなるピクセル群をそのまま核ピクセルオブジェクトとする場合もある。
核輪郭抽出部12は、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定し、前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得て、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定する場合がある。
本発明の装置における核ピクセル閾値は、前記のとおり適当に設定される場合もあるが、視野全体の核染色輝度の相加平均値や、大津の閾値を用いる場合もある。これらの固定閾値を用いる場合のほか、以下に説明する適応的閾値を用いる場合がある。視野内で細胞の分布や染色の程度が均一でない場合を考慮すると、局所平均法あるいは移動平均法を採用することが好ましい。これは、それぞれの核画像ピクセルごとにその周辺領域の核染色輝度の統計処理で得られる値を本発明の核ピクセル閾値とする手法である。例えば、前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルの周辺平均核染色輝度の相加平均値であり、前記周辺核染色輝度は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて、該核染色画像ピクセルの周辺領域内の核染色画像ピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算される場合がある。
本発明の装置の前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域前記周辺領域は、当該核画像ピクセルを重心とする任意の形状であってかまわない。前記周辺領域とは、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2r+1個(rは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の装置において、前記核染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記核染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。
細胞輪郭抽出部13は、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定し、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とし、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とし、前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定し、前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得て、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定する。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、前記予備閾値は、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられる場合がある。
本発明の細胞の輪郭を抽出する装置において、前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記細胞膜染色輝度の標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられる場合がある。
本発明の装置において、前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍、好ましくは2倍することによって与えられる場合がある。
本発明の装置において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記周辺領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2p+1個(pは2又は3以上の自然数)のピクセルからなる矩形の場合がある。
本発明の装置において、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて前記近接領域とは、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が2q+1個のピクセル(qはpより小さい自然数)からなる矩形の場合がある。
本発明の装置において、前記細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域は、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のとき、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が41個のピクセルからなる矩形の場合がある。前記細胞膜染色画像ピクセルの近接領域は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれを重心とし、一辺が5個のピクセルからなる矩形の場合がある。
測定対象分子解析部14は、本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する場合がある。さらに、前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算する場合がある。あるいは、測定対象分子解析部14は、前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度とする場合がある。さらに、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算する場合がある。本発明の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する場合がある。前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算する場合がある。測定対象分子解析部14は、さらに、さまざまな実験条件下の多数の細胞について、個別の細胞及び/又は核ごとの測定対象分子の存在量のデータセットを作成し、記録しておいて、これらにもとづいて、例えば細胞を刺激するリガンドの濃度及び刺激後の経過時間と、細胞内又は核内での測定対象分子の存在量のヒストグラムの変化や、細胞全体の存在量に対する核内の存在量の比やCosine等の変化を解析する場合がある。
本発明のプログラムの流れ図。 本発明の装置のブロック図。 本発明の核輪郭抽出技術による核輪郭画像。 本発明の細胞輪郭抽出技術による細胞輪郭画像。 本発明の細胞輪郭抽出技術による核及び細胞輪郭画像。 本発明の定量的解析技術とウェスタンブロッティング法との比較評価を示すグラフ。 本発明の定量的解析技術による細胞内分子の発現量及び核内移行度の解析結果図。
10 顕微鏡インターフェース
11 染色画像取得部
12 核輪郭抽出部
13 細胞輪郭抽出部
14 測定対象分子解析部
15 レポート生成部
16 表示部
17 データベース
18 操作部
19 制御部
20 バス
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
1.定量的免疫サイトメトリー(QIC)法
細胞
本発明の実施例では、ラット褐色細胞腫由来のPC12細胞と、ヒト子宮頸部癌由来のHeLa細胞を用いた。前記細胞はともに、1g/Lグルコース、10%ウシ胎児血清及び5%ウマ血清を添加したDMEM培地を用いて、5%CO2存在下、37°Cで培養された。PC12細胞を分化誘導するためには、組換えマウスβ−NGF(R&Dシステムズ社、ミネソタ州、ミネアポリス)が用いられた。HeLa細胞は、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地を用いて、5%CO2存在下、37°Cで培養された。
1次抗体
202番目のスレオニン残基/204番目残基のチロシンがリン酸化されたERK(以下、「リン酸化ERK」という。)に対するマウスモノクローナル抗体と、217番目のセリン残基/221番目のセリン残基がリン酸化されたMEK(以下、「リン酸化MEK」という。)に対するウサギポリクローナル抗体と、c−Fosに対するウサギモノクローナル抗体と、183番目のスレオニン残基/185番目のチロシン残基がリン酸化されたJNK(以下、「リン酸化JNK」という。)に対する抗体は、Cell Signaling Technology社(マサチューセッツ州、Beverly)から購入された。c−Junに対するウサギモノクローナル抗体はEpitomics社(カリフォルニア州、Burlingame)から購入された。リン酸化p38に対するウサギ抗体はPromega社(ウィスコンシン州、Madison)から購入された。
原形質膜及び核の染色剤
原形質膜の染色剤として、Invitrogen社からCellMask Deep Red(商標)が購入され、核の染色剤として、Invitrogen社からHoechst33342が購入された。
蛍光染色用細胞の準備
PC12細胞又はHeLa細胞は、ポリ−L−リジンでコーティングされたガラス製平底96穴マルチウェルプレートにウェル当たり10個播種された。以下の作業では、ベックマン・コールター社(カリフォルニア州、Fullerton)製リキッドハンドリングシステム(Biomek(登録商標)NX Span−8)、一体型ヒーター・シェーカー(Variomag(登録商標)、フロリダ州、Daytona Beach)及びロボット式インキュベーター(Liconic社製STX−40、リヒテンシュタイン、Mauren)が用いられた。PC12細胞で分化誘導を行う場合には、1g/Lグルコースと、25mMのHepesと、0.1%のBSAとを添加したDMEM培地(以下、「貧栄養培地」という。)中で約17時間の前培養を行った。分化誘導は、前記培地をβ−NGFが添加された貧栄養培地に切り替えることによって実行された。
固定及び多重染色
前記96穴マルチウェルプレート中で前処理及び分化誘導された細胞は、20%ホルマリン液を最終濃度が5%になるように添加して固定された。固定は、ホルマリン蒸気の影響を排除するため、同一プレート上の全てのウェルについて同時に行った。固定後10分間37°Cで保温された後、氷冷された中和バッファー(10mMグリシンが添加されたPBS)と、氷冷されたPBSとを順次注入して洗浄された。その後、50%メタノール中で4°C、30分間インキュベーションし、氷冷されたPBSで2回リンスされた。
以下の作業は室温で行われた。固定されたマルチウェルプレート中の細胞は、ブロッキングバッファー(0.1% トリトンX−100及び10%ウシ胎児血清が添加されたPBS)で40分間インキュベーションした後、リンスされ、東洋紡績株式会社(大阪)製のCan Get Signal免疫染色液Aで希釈された一次抗体で2時間インキュベーションされた。その後前記細胞は、PBSで3回リンスされた後、Invitrogen社製のAlexa Fluor 488をコンジュゲートした抗マウスIgG抗体又はAlexa Fluor 546をコンジュゲートした抗ウサギIgG抗体を添加したPBSと1時間暗所でインキュベーションされ、PBSでリンスされた。
免疫染色の後、前記細胞は1μg/mLのHoechst33342及び10μg/mLのCellMask Deep Redで10分間インキュベーションされて核及び原形質膜が染色され、PBSでリンスされた。
顕微鏡画像撮影
固定及び染色処理を施されたマルチウェルプレートは、リキッドハンドリングシステム(Biomek(登録商標)NX Span−8)を用いてApplied Precision社製CellWoRx自動顕微鏡に装着されて、各ウェルの細胞の蛍光顕微鏡写真画像が撮影された。画像処理及びその定量的解析の詳細は以下の実施例3を参照せよ。
2.ウェスタンブロッティング法による解析
PC12細胞は6cm径の培養ディッシュ当たり8×10個ずつ播種され、前記貧栄養培地中で16時間培養された。分化誘導は、前記貧栄養培地を、5ng/mLのβ−NGFが添加された貧栄養培地に切り替えることによって実行された。その後細胞はPBSでリンスされてから、スクレーパーでディッシュから氷冷された10%トリクロロ酢酸液中に掻き取られて固定された。細胞の全タンパク質はアセトンで洗浄され、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、「SDS−PAGE」という。)用サンプルバッファーに溶解され、常法に従ってSDS−PAGE法による分離に供された。未修飾のERKをリン酸化されたERKと分離する場合には、アクリルアミドとビスとの配合比が144:1の低ビス濃度SDS−PAGEゲルが用いられた。電気泳動で分離されたPAGEゲル中のタンパク質は、常法に従ってニトロセルロース膜に転写され、実施例1で説明された1次抗体とインキュベーションされた。その後GEヘルスケア社(英国、Buckinghamshire)製のHRPコンジュゲート2次抗体と、ミリポア社(マサチューセッツ州、Billerica)社製Immbilon Western ChemiluninescentHRP基質を用いて、富士フイルム株式会社製LAS4000イメージャーによって検出された。このようにウェスタンブロッティング法により検出された各バンドの信号強度は、Nonlinear Dynamics社(英国、Newcastle)製TotalLab TL120解析ソフトウェアによって定量化された。
3.定量的免疫サイトメトリーにおける情報処理
(1)開発環境
本発明の画像処理及び定量的解析技術に用いるソフトウェアは、マイクロソフト社製Visual Basic2008を用いて作成され、Media Cybernetics社(メリーランド州、ベセスダ)製ImagePro Plus 6.1のプラグ・インプログラムとして実行された。
(2)核染色画像からの核輪郭の抽出
以下の核輪郭及び細胞輪郭の抽出においては、1個のピクセルの幅が実寸0.74μmとなる倍率のPC12細胞又はHeLa細胞の顕微鏡写真画像を用いた。図3は本発明の核輪郭抽出技術による核輪郭画像である。図3を参照して、図3(a)はHoechst33342による核染色画像の一部を示す。白線(41×41ピクセル)は、本発明の核染色画像ピクセルの周辺平均核染色輝度の相加平均値の計算に用いられる矩形の周辺領域のサイズの例を示す。以下の核輪郭抽出では、図3(a)の面積の約16倍の画像データに基づいて画像処理を行った。
まず、核染色画像の全ピクセルについて一定の閾値を適用する2値化を試みた。図3(b)は前記核染色画像の全ピクセルの核染色輝度の平均値を閾値とした2値化を行った結果を示す。全ピクセルの輝度の平均値を閾値とする場合には、核以外の部位での非特異的な染色でも輝度が閾値を超えてしまう。また、細胞の播種密度によって全ピクセルの輝度の平均値が影響されるので、この点からも全ピクセルの輝度の平均値を閾値とすることは好ましくない。図3(c)は大津の閾値による2値化の結果を示す。大津の閾値を用いると、核以外の部位での非特異的染色を排除することができる。しかし、核が小さめに認識されるため、核内に存在する分子の定量的解析には適さない。
そこで、核の輪郭をより明確に認識するために、核染色画像ピクセルごとに閾値を決定することにした。図3(d)は、画像内の各核染色ピクセルのそれぞれについて、当該ピクセルの周辺領域のピクセルだけについて算出された核染色輝度の相加平均値以上の輝度を有するピクセル(核候補ピクセル)のみを陽性とする2値化画像である。ここで前記周辺領域は、当該ピクセルを重心とし、一辺が41ピクセルの正方形(図3(a)内の白線の正方形)であった。前記核染色画像の辺縁近傍の核画像ピクセルについては、該画像ピクセルを重心とする周辺領域が該核染色画像の範囲外となる場合がある。その場合には、当該画像ピクセルについての周辺領域のうち、前記核染色画像の範囲外の部分については、該核染色画像の辺縁を対称の軸とする鏡面対称変換により拡張した。図3(d)では、核の周辺領域では閾値が高いため非特異的染色はほとんど排除できた。しかし、細胞が存在しない背景領域では閾値が低くなり、非特異的染色を拾ってしまった。
図3(e)は、図3(d)の画像における核候補ピクセルのうち、他の陽性ピクセルと隣接していない孤立輝点ピクセルを除去する処理が施された画像である。すなわち図3(e)で陽性の核候補ピクセルは、少なくとも2個以上の陽性核候補ピクセルが隣接して、1つの核候補ピクセルグループを形成した。画像に含まれる核候補ピクセルグループは、それぞれに識別番号が付与され、オブジェクトとして同定された。
図3(f)は、図3(e)の画像に含まれる核候補ピクセルグループのそれぞれについて、制限付きWatershedアルゴリズムによる縮小・拡大処理を行って、得られた核ピクセルオブジェクトを示す画像である。前記処理では、核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定した。その後、前記核候補ピクセルを隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定した。次に、前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得た。そして、前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定した。ここで、個々の核候補ピクセルグループは、単一の核と、複数の核が連結したものとが含まれた。制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行うことによって、複数の核が連結した核候補ピクセルグループを個々の核ピクセルオブジェクトに分けることができた。
前記制限付きwatershedアルゴリズムによる分割においては、核候補ピクセルグループの辺縁のピクセルを輝度の低いものから水位を上げて水没させるように順次除去して、該核候補ピクセルグループを縮小した。前記核候補ピクセルグループの核染色輝度の合計が縮小開始前の核候補ピクセルグループの核染色輝度の合計と比較して核輝度閾値以下になるまで縮小作業を繰り返した。図3(f)の画像処理では前記核輝度閾値は85%であった。縮小作業が終わると、前記核候補ピクセルグループの辺縁のピクセルを輝度の低いものから水位を下げて水面に露出させるように順次拡大した。縮小によって1個の核候補ピクセルグループが複数のオブジェクトに分割された場合には、拡大したピクセルがオブジェクト間を結合する場合には、該ピクセルを核オブジェクトの境界ピクセルとした。このようにして境界ピクセルを伸長させながら拡大作業を続け、縮小開始前の核候補ピクセルグループまで拡大させて、前記境界ピクセルに囲まれた領域を核ピクセルオブジェクトとした。
(3)細胞染色画像からの細胞輪郭の抽出
図4は本発明の細胞輪郭抽出技術による細胞輪郭画像である。図4を参照して、図4(a)はCellMask Deep Redによる細胞染色画像の一部を示す。核染色画像では核の部分と背景の部分との間の核染色輝度のコントラストは比較的高いが、細胞膜染色画像では細胞の部分と背景の部分との間の細胞膜染色輝度のコントラストが比較的低かった。また、背景の部分の細胞膜染色輝度は一様ではなく、大域的な輝度勾配が見られたさまざまなサンプル細胞についての細胞膜染色輝度のヒストグラムでは、細胞膜染色背景ピークの頂部のピクセル数は細胞の部分にあたるピクセル群のピークのピクセル数に比べて数桁多かった。そこで細胞が存在しない背景領域のピクセルを細胞候補ピクセルから排除するために、核輪郭の抽出と同様にピクセルごとに閾値を決定し、さらに前記細胞膜染色背景ピーク部分の標準偏差に基づいて細胞膜染色背景ピークに属する細胞膜ピクセルを細胞候補ピクセルから排除するアプローチを採用した。
まず、細胞膜染色画像のピクセルそれぞれについて周辺細胞膜染色画像の細胞膜染色輝度の相加平均値より低い輝度の細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルとして、それぞれの背景予備候補ピクセルについて細胞膜染色輝度の相加平均値を算出した。図4(b)は前記周辺領域を1辺が41ピクセルからなる矩形としたときの前記背景予備候補ピクセルだけについての細胞膜染色輝度の相加平均値を閾値とする2値化画像である。細胞部分のピクセルは確実に抽出されているが、背景領域のピクセルが多数含まれている。これは、当該ピクセルの輝度が前記背景予備候補ピクセルの相加平均値より細胞膜染色輝度の高い側の「ショルダー」部分に含まれるためであった。
そこで、前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値に更にオフセットを加えた値を細胞ピクセル閾値とすると、本発明の細胞候補ピクセルから前記ピークの「ショルダー」部分を除去することができる。ここで、前記ピークをガウス分布で近似すると、該ガウス分布の標準偏差の1.65倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」の90%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の2倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」の95.45%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の2.57倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」の99%まで除去することができる。前記ピーク部分の標準偏差の3倍をオフセットとすれば、前記ピークの「ショルダー」の99.73%まで除去することができる。
前記細胞膜染色背景ピークの分布をガウス分布で近似した場合の標準偏差に相当する数値として、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて該背景予備候補ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、その頻度分布の最頻値近傍にフィッティングするガウス分布の平均値が用いられた。前記近接領域として、1辺が5ピクセルからなる矩形が用いられた。
図4(c)は前記ピーク部分の標準偏差の2倍をオフセットとして、該オフセットと前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値との和を閾値とする2値化画像である。図4(c)では細胞領域のピクセルはほぼ残存するが、背景領域の非特異的染色は除去しきれなかった。しかし細胞の輪郭抽出では、以下に説明する前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割処理を行うので背景領域の非特異的染色は容易に排除された。
図4(d)は前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割処理によって抽出された細胞の輪郭を示す画像である。まず、前記核ピクセルオブジェクトを含まない細胞候補ピクセルグループを排除した。次に、細胞候補ピクセルグループのピクセルを輝度の低いものから水位を上げて水没させるように順次除去して、該細胞候補ピクセルグループを縮小した。前記細胞候補ピクセルグループに含まれる核ピクセルオブジェクトがそれぞれ独立した島状になるまで縮小作業を繰り返した。縮小作業が終わると、前記細胞候補ピクセルグループのピクセルを輝度の低いものから水位を下げて水面に露出させるように順次拡大した。拡大したピクセルがそれぞれ核ピクセルオブジェクトを含む複数の細胞候補ピクセルグループ断片間を結合する場合には、該ピクセルを細胞オブジェクトの境界ピクセルとした。このようにして境界ピクセルを伸長させながら拡大作業を続け、縮小開始前の細胞候補ピクセルグループまで拡大させて、前記境界ピクセルに囲まれた領域を細胞ピクセルオブジェクトとした。
図5は本発明の細胞輪郭抽出技術による核及び細胞輪郭画像である。図5は、PC12細胞及びHeLa細胞について、Hoechst33342(Hoechst)及びCellMask Deep Red(CellMask)による多重染色を施した細胞標本を蛍光顕微鏡で撮影して得られた、それぞれ、核及び細胞膜染色画像と、本実施例で説明した核及び細胞の輪郭抽出技術により得られる核及び細胞輪郭オブジェクト画像とを示す。本発明によって、さまざまな細胞の核及び細胞の輪郭を識別するための汎用性がありスループットの高い技術が提供できた。
4.定量的免疫サイトメトリーによる解析
(1)ウェスタンブロッティング法との比較評価
図6は本発明の定量的解析技術とウェスタンブロッティング法との比較評価を示すグラフである。PC12細胞を0.01ないし50ng/mLの範囲の7つの異なる濃度のβ―NGFに曝露して、5分又は45分インキュベーションした後、定量的免疫サイトメトリー又はウェスタンブロッティング法により、測定対象分子としてリン酸化ERK(a)、リン酸化MEK(b)、c−Fos(c)、c−Jun(d)、リン酸化p38(e)及びリン酸化JNK(f)を定量し、同一条件でのウェスタンブロッティング法による定量相対値を縦軸に、定量的免疫サイトメトリーによる定量相対値を横軸にプロットしたものである。測定は3回の独立の実験によって行われ、その再現性が検討された。定量的免疫サイトメトリー(QIC)及びウェスタンブロッティング法(WB)におけるそれぞれの測定対象分子ごとの発現量の変動係数の平均(Mean CV)と、ピアソン相関係数を表1に示した。
Figure 2011186750
比較された6種類の測定対象分子のうち、リン酸化ERK(pERK)、c−Jun及びリン酸化JNK(pJNK)では定量的免疫サイトメトリーのほうがウェスタンブロッティング法より再現性が高かった。しかし、再現性の差は有意ではないので、総体的には両者の再現性は同等であった。したがって、定量的免疫サイトメトリーはウェスタンブロッティングに匹敵する再現性を有する定量的解析技術であることが証明された。
(2)定量的免疫サイトメトリーを用いるハイコンテント解析
図7は、本発明の定量的解析技術による細胞内分子の発現量及び核内移行度の解析結果図である。図7(a)及び(b)は、それぞれ、分化誘導前のPC12細胞及び5ng/mLのβ―NGFによる分化誘導から5分後のPC12細胞におけるERK分子の局在を示す蛍光顕微鏡写真である。各細胞の近傍の数字は、当該細胞のERK量のうち核内に局在する量の指標(以下、「核移行度」という。)を表す。
ある1個の細胞Pにおける測定対象分子の核移行度(NLI)は以下の式(4)によって表される。
Figure 2011186750
図7(c)は、5ng/mLのβ―NGFによって分化誘導されたPC12細胞におけるリン酸化ERKの検出量(×、左側の縦軸の目盛り)と、ERKの核移行度(黒塗りの四角、左側の縦軸の目盛り)との経時変化を示す。横軸に分化誘導開始後の時間(分)を示す。
図7(c)から、リン酸化ERKの変動はERKの核移行度の変動とほぼ平行して起こること、分化誘導開始直後のERKの核移行度の上昇よりもリン酸化ERKの増大が先立つことが示された。この結果は、蛍光共鳴エネルギー移動法によってERKのリン酸化と核移行の経時変化をEGFで刺激されたHeLa細胞で観察したFujioka、A.ら(J.Biol. Chem.、281:8917(2006))の結果とも一致する。以上の結果から、本発明の定量的解析技術を用いる定量的免疫サイトメトリー法は、多数の細胞における対象分子の細胞内局在についての定量的な情報を高い時間的分解能で提供することができる技術であることが示された。

Claims (20)

  1. 核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像と、細胞膜染色画像とを用意するステップと、
    前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップと、
    前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出するステップとを含み、
    前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定すること、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算すること、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、
    前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定すること、
    前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、
    前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、
    前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含むことを特徴とする、細胞の輪郭を抽出する方法。
  2. 前記予備閾値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値によって与えられることを特徴とする、請求項1に記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  3. 前記予備閾値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの周辺領域内のピクセルの細胞膜染色輝度分布に対するキトラーの閾値によって与えられることを特徴とする、請求項1に記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  4. 前記曲線のピークに対応する値は、前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該ピクセルの近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差として局所標準偏差を計算し、前記細胞膜染色画像ピクセルの全てについて得られた前記局所標準偏差の頻度分布に最頻値近傍でフィットするガウス分布の平均値によって与えられることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  5. 前記オフセットは、前記背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値を−0.24倍ないし3倍することによって与えられることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  6. 前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出するステップは、
    核ピクセル閾値以上の核染色輝度を有する核染色画像ピクセルを核ピクセル候補と判定すること、
    前記核候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの核候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、
    前記同定された核候補ピクセルグループについて、制限付きwatershedアルゴリズムによる分割を行って、核ピクセルオブジェクトを得ること、及び、
    前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  7. 前記核ピクセル閾値は、前記核染色画像ピクセルのそれぞれについて該ピクセルの周辺領域内のピクセルの核染色輝度の相加平均値として計算されることを特徴とする、請求項6に記載の細胞の輪郭を抽出する方法。
  8. 核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとを用いて細胞の多重染色をするステップと、
    前記多重染色された細胞の同一の視野について、前記核に対する標識特異的結合パートナーによって染色された核染色画像と、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーによって染色された細胞膜染色画像と、前記測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーによって染色された測定対象分子染色画像とを取得するステップと、
    請求項1ないし7のいずれか1つに記載の細胞の輪郭を抽出する方法によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップとを含むことを特徴とする、細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  9. 前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する核染色画像ピクセル、細胞膜染色画像ピクセル及び測定対象分子染色画像ピクセルについて、前記核染色画像ピクセルの核染色輝度か、前記細胞膜染色画像ピクセルの細胞膜染色輝度かと、前記測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度との積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトに属する測定対象分子の核又は細胞膜との共局在指標として計算するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  10. 核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、複数の測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとを用いて細胞の多重染色をするステップと、
    前記多重染色された細胞の同一の視野について、前記核に対する標識特異的結合パートナーによって染色された核染色画像と、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーによって染色された細胞膜染色画像と、前記測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーによって染色された測定対象分子染色画像とを取得するステップと、
    請求項1ないし11のいずれか1つに記載の細胞の輪郭を抽出する方法によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する前記測定対象分子染色画像ピクセルごとの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップとを含むことを特徴とする、細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  11. 前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの前記複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算するステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  12. 前記核染色画像から抽出された核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算するステップとを含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  13. 前記核ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの複数の測定対象分子染色輝度間の積和を、前記核ピクセルオブジェクトの測定対象分子間の共局在指標として計算するステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載の細胞内に存在する測定対象分子の定量的解析方法。
  14. コンピュータに、
    核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、核染色画像及び細胞膜染色画像を取得させるステップと、
    前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出させるステップと、
    前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出させるステップとを含み、
    前記細胞膜染色画像から細胞輪郭ピクセルオブジェクトを抽出させるステップは、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定すること、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算すること、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とすること、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とすること、
    前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定すること、
    前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定すること、
    前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得ること、及び、
    前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含むことを特徴とする、細胞の輪郭を抽出するためのプログラム。
  15. コンピュータに、
    核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得させるステップと、
    請求項14に記載の細胞の輪郭を抽出するためのプログラムの実行によって得られる細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算させるステップとを含むことを特徴とする、細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析するためのプログラム。
  16. 請求項14又は15に記載のプログラムを実行することを特徴とするコンピュータ。
  17. 核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像及び細胞膜染色画像を取得する画像取得部と、
    前記核染色画像から核ピクセルオブジェクトを抽出する核輪郭抽出部と、
    前記細胞膜染色画像から細胞ピクセルオブジェクトを抽出する細胞輪郭抽出部とを含み、
    前記細胞輪郭抽出部は、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、該細胞膜染色画像ピクセルの周辺領域内の細胞膜染色輝度に基づく予備閾値を計算し、前記予備閾値未満の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを背景予備候補ピクセルと判定し、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値を計算し、
    前記細胞膜染色画像ピクセルのそれぞれについて、近接領域内のピクセルの細胞膜染色輝度の標準偏差を計算し、該標準偏差の最頻値か、該最頻値近傍の頻度分布にフィッティングする曲線のピークに対応する値かを、背景領域の細胞膜染色輝度の標準偏差の推定値とし、
    前記背景予備候補ピクセルの細胞膜染色輝度の相加平均値と、前記推定値に基づいて決定されるオフセットとの和を細胞ピクセル閾値とし、
    前記細胞ピクセル閾値以上の細胞膜染色輝度を有する細胞膜染色画像ピクセルを細胞候補ピクセルと判定し、
    前記細胞候補ピクセルを、隣接するピクセルからなるピクセル群ごとに1つの細胞候補ピクセルグループとして識別番号を付与し、同定し、
    前記同定された細胞候補ピクセルグループについて、前記核ピクセルオブジェクトをマーカーとするmarker−controlled watershedアルゴリズムによる分割を行って、細胞ピクセルオブジェクトを得て、
    前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに識別番号を付与して同定することを含むことを特徴とする、細胞の輪郭を抽出する装置。
  18. 核に対する標識特異的結合パートナーと、細胞膜に対する標識特異的結合パートナーと、測定対象分子に対する標識特異的結合パートナーとによって多重染色された細胞を同一の視野について撮影した、それぞれ、核染色画像、細胞膜染色画像及び測定対象分子染色画像を取得する画像取得部と、
    請求項17に記載の細胞の輪郭を抽出する装置と、
    該細胞の輪郭を抽出する装置によって得られる前記細胞ピクセルオブジェクトのそれぞれに属する測定対象分子染色画像ピクセルの測定対象分子染色輝度の和を、前記細胞ピクセルオブジェクトの測定対象分子染色輝度として計算する測定対象分子解析部とを備えることを特徴とする、細胞内に存在する測定対象分子を定量的に解析する装置。
  19. 請求項16に記載のコンピュータか、請求項17又は18に記載の装置かと、
    顕微鏡と、
    デジタルカメラとを含むことを特徴とする、測定対象分子の定量解析システム。
  20. 細胞培養装置、サンプル細胞の移動装置及び/又はリキッドハンドリングロボットを含むことを特徴とする、請求項19に記載の測定対象分子の定量解析システム。
JP2010050910A 2010-03-08 2010-03-08 測定対象分子の定量的解析方法及び装置 Withdrawn JP2011186750A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010050910A JP2011186750A (ja) 2010-03-08 2010-03-08 測定対象分子の定量的解析方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010050910A JP2011186750A (ja) 2010-03-08 2010-03-08 測定対象分子の定量的解析方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011186750A true JP2011186750A (ja) 2011-09-22

Family

ID=44792940

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010050910A Withdrawn JP2011186750A (ja) 2010-03-08 2010-03-08 測定対象分子の定量的解析方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011186750A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102012215198A1 (de) 2011-08-30 2013-02-28 Gs Yuasa International Ltd. Elektrode und Verfahren zu ihrer Herstellung
JP2014115979A (ja) * 2012-11-15 2014-06-26 Ricoh Co Ltd 領域抽出装置、領域抽出方法およびプログラム
WO2015145643A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 コニカミノルタ株式会社 画像処理装置および画像処理プログラム
WO2019188647A1 (ja) 2018-03-30 2019-10-03 コニカミノルタ株式会社 画像処理方法、画像処理装置及びプログラム
CN110633651A (zh) * 2019-08-26 2019-12-31 武汉大学 一种基于图像拼接的异常细胞自动识别方法
KR20200068238A (ko) * 2018-12-05 2020-06-15 재단법인대구경북과학기술원 단일 세포의 운동성 분석 방법 및 장치
CN112219104A (zh) * 2018-05-28 2021-01-12 维也纳自然资源与生命科学大学 用于确定介质中的三维颗粒分布的方法
CN113302492A (zh) * 2019-01-03 2021-08-24 彼克斯赛尔医疗科技有限公司 用于分析流体样品的***和方法
WO2022254726A1 (ja) * 2021-06-04 2022-12-08 暢 長坂 画像解析方法、画像解析装置、及び、画像解析方法を実現するためのコンピュータプログラム

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102012215198A1 (de) 2011-08-30 2013-02-28 Gs Yuasa International Ltd. Elektrode und Verfahren zu ihrer Herstellung
JP2014115979A (ja) * 2012-11-15 2014-06-26 Ricoh Co Ltd 領域抽出装置、領域抽出方法およびプログラム
WO2015145643A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 コニカミノルタ株式会社 画像処理装置および画像処理プログラム
JP5804220B1 (ja) * 2014-03-27 2015-11-04 コニカミノルタ株式会社 画像処理装置および画像処理プログラム
US9384550B2 (en) 2014-03-27 2016-07-05 Konica Minolta, Inc. Image processing device and storage medium for image processing
WO2019188647A1 (ja) 2018-03-30 2019-10-03 コニカミノルタ株式会社 画像処理方法、画像処理装置及びプログラム
JP7259844B2 (ja) 2018-03-30 2023-04-18 コニカミノルタ株式会社 画像処理方法、画像処理装置及びプログラム
JPWO2019188647A1 (ja) * 2018-03-30 2021-05-13 コニカミノルタ株式会社 画像処理方法、画像処理装置及びプログラム
CN112219104A (zh) * 2018-05-28 2021-01-12 维也纳自然资源与生命科学大学 用于确定介质中的三维颗粒分布的方法
CN112219104B (zh) * 2018-05-28 2024-03-26 维也纳自然资源与生命科学大学 用于确定介质中的三维颗粒分布的方法
KR102209721B1 (ko) 2018-12-05 2021-01-29 재단법인대구경북과학기술원 단일 세포의 운동성 분석 방법 및 장치
KR20200068238A (ko) * 2018-12-05 2020-06-15 재단법인대구경북과학기술원 단일 세포의 운동성 분석 방법 및 장치
CN113302492A (zh) * 2019-01-03 2021-08-24 彼克斯赛尔医疗科技有限公司 用于分析流体样品的***和方法
CN110633651B (zh) * 2019-08-26 2022-05-13 武汉大学 一种基于图像拼接的异常细胞自动识别方法
CN110633651A (zh) * 2019-08-26 2019-12-31 武汉大学 一种基于图像拼接的异常细胞自动识别方法
WO2022254726A1 (ja) * 2021-06-04 2022-12-08 暢 長坂 画像解析方法、画像解析装置、及び、画像解析方法を実現するためのコンピュータプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011186750A (ja) 測定対象分子の定量的解析方法及び装置
US10657643B2 (en) Medical image analysis for identifying biomarker-positive tumor cells
CA2994911C (en) Automated analysis of cellular samples having intermixing of analytically distinct patterns of analyte staining
JP7228688B2 (ja) 改善された核検出およびセグメンテーションを可能にする画像強化
US20170350805A1 (en) Analysis device, analysis method, analysis program, cell manufacturing method and cells
US20040114800A1 (en) System and method for image segmentation
US20060127881A1 (en) Automated segmentation, classification, and tracking of cell nuclei in time-lapse microscopy
CN101243192A (zh) 用于检测和定量多种亚细胞组分的方法
JP2023100730A (ja) 自動化された原位置ハイブリッド形成分析のためのシステム
AU2007284207A1 (en) System and methods for scoring images of a tissue micro array
JP6960935B2 (ja) コントロールスライドを使用する改善された画像解析アルゴリズム
CN115088022A (zh) 用于训练机器学习算法和维护患者隐私的联邦学习***
JP2022513316A (ja) Pd-1軸指向型治療薬に対する応答を予測するための方法およびシステム
AU2005289765A1 (en) Method for detecting and quantitating multiple subcellular components
Kucarov et al. Single cell position determination and transformation from static high-resolution digital image to laser-microdissector coordinate system using image processing techniques
CN111534563B (zh) 一种细胞免疫疗法评价方法及***
Gopal Engineering Principles for Quantitative Measurement Tools for Single-Cell Biology and Pandemic Response
Venkataraman et al. Automated image analysis of fluorescence microscopic images to identify protein-protein interactions
CN118414640A (zh) 数字病理学中深度学习模型的对抗鲁棒性
JP2023501279A (ja) 患者の細胞の画像をラベル付けする方法、およびそのためのコンピュータ化システム
Kim et al. Cellular imaging-based biological analysis for cancer diagnostics and drug target development

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20130604